真贋判定装置、真贋判定方法及び真贋判定システム
【解決課題】 物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる真贋判定装置、真贋判定方法及び真贋判定システムを提供する。
【解決手段】 光透過性を有する保護シート14を物品12の表面に貼り付けて、物品12の特徴読取領域18の表面の特徴を保護しているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【解決手段】 光透過性を有する保護シート14を物品12の表面に貼り付けて、物品12の特徴読取領域18の表面の特徴を保護しているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて物品の真贋を判定する真贋判定装置、真贋判定方法及び真贋判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有価証券や紙幣、クレジットカード、プリペイドカード等の各種カード、各種の権利書、機密文書等の重要書類、などの各種の物品の偽造が問題となっており、物品の真贋を判定するために様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、磁性体繊維を混ぜた樹脂でプリペイドカードを製造し、カードの所定の基準領域での磁気の配列状態を示す識別データ、及び当該識別データから所定の署名生成ルールに基づいて生成した署名データを当該カードに貼り付けられた磁気ストライプに予め記憶させておき、カードの真贋を判定する際に、カードの磁気ストライプに記憶された識別データ及び署名データを読み取ると共に、カードの前記基準領域での磁気の配列状態を示す基準データを読み取り、読み取った署名データに基づいて識別データが改竄されていなかを検査し、改竄されていない場合に基準データと識別データとが一致するか否かをチェックすることによりプリペイドカードが本物であるか否かを判定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−245139号公報
【特許文献2】特開平11−212454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び特許文献2の技術は、基準領域内に磁性体繊維を配置させるため、磁性体繊維を配合した専用の樹脂や専用の紙で対象の物品を製造しなければならないので、コストアップとなってしまう。
【0005】
そこで、本物の物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する特徴を示す基準データを予め記憶しておき、真贋を判定する際に、判定対象の物品の表面に沿って分布している特徴を読み取って照合データを求め、基準データと照合データとの照合を行うことにより判定対象とする物品の真偽を判定する技術も考えられる。
【0006】
これにより、専用の樹脂や専用の紙で物品を製造する必要がなくなり、汎用的な樹脂や紙で物品を製造できるため、コストアップを防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、この技術では、判定対象の物品の表面に沿って分布している特徴を読み取って真贋の判定を行うため、当該特徴が変化してしまった場合、本物の物品を贋物と誤判定してしまう場合がある、という新たな問題点が生じる。
【0008】
すなわち、例えば、上記特徴が物品表面の凹凸である場合、当該物品表面が他の物と擦れて磨耗し、磨耗により表面の凹凸の状態が変化してしまった場合には本物の物品を贋物と誤判別してしまう場合がある。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる真贋判定装置、真贋判定方法及び真贋判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定装置であって、光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段と、前記物品に光を照射する光照射手段と、前記光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得する取得手段と、前記光照射手段により真正の前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段と、前記光照射手段により真贋の判定対象とする前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段と、を備えている。
【0011】
請求項1記載の発明によれば、光透過性を有する保護手段が物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面が保護されており、
光照射手段により、物品に光が照射され、取得手段により、光照射手段により照射され、取得手段により、保護手段を透過して物品の表面の所定領域で反射された反射光又は所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報が取得され、光照射手段により真正の前記物品に光が照射されて取得手段により取得された特徴情報が記憶手段に基準情報として記憶される。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、フレキシブルディスク、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、マイクロドライブ(登録商標)、CD−R(Compact Disc-Recordable)、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)、光磁気ディスク等の可搬記憶媒体やハードディスク等の固定記憶媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置が含まれる。
【0012】
そして、本発明によれば、判定手段により、光照射手段により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて取得手段により取得された特徴情報と記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋が判定される。
【0013】
このように請求項1記載の発明によれば、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【0014】
なお、本発明は、請求項2記載の発明のように、前記基準情報を、前記保護手段が貼り付けられていない真正の前記物品に対して前記光照射手段により光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報としてもよい。
【0015】
また、本発明は、請求項3記載の発明のように、前記保護手段又は前記物品の表面に対して当該物品を識別するための識別情報を示す画像を印刷する印刷手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記印刷手段により印刷された前記画像により示される識別情報を前記基準情報と対応付けて更に記憶し、前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする前記物品の前記特徴情報と共に前記画像を示す画像情報を更に取得し、前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記画像情報によって示される前記画像により示される識別情報に対応付けた前記基準情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した前記基準情報と前記取得手段により取得された特徴情報との類似性を示す相関値を求めて前記真贋を判定するものとしてもよい。
【0016】
また、請求項3記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記画像を、バーコード又は2次元コードとすることが好ましい。
【0017】
また、請求項3又は請求項4記載の発明は、請求項5記載の発明のように、前記印刷手段は、インクジェット方式、又はゼログラフィー方式を用いて印刷を行うと共に、前記保護手段又は前記物品の表面に対してオンデマンドで印刷を行うものとしてもよい。
【0018】
また、請求項3又は請求項4記載の発明は、請求項6記載の発明のように、前記画像を、前記保護手段の表面に予め印刷されているものとしてもよい。
【0019】
また、本発明は、請求項7記載の発明のように、前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする物品に対して前記所定領域を含む当該所定領域よりも大きな照合領域で反射された反射光又は前記照合領域を透過した透過光を受光して当該照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得するものとし、前記判定手段は、前記光照射手段により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて前記取得手段により取得された前記照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報から前記所定領域と同一形状かつ同一面積の抽出対象領域を移動させつつ当該抽出対象領域の特徴情報を抽出し、当該抽出した特徴情報と基準情報との類似性を示す相関値を求めることを繰り返し、求めた相関値の最大値に基づいて真贋を判定するものとしてもよい。
【0020】
また、本発明は、請求項8記載の発明のように、前記特徴を、表面の凹凸としてもよい。
【0021】
また、本発明は、請求項9記載の発明のように、前記特徴を、表面に形成されたドットパターンとしてもよい。
【0022】
また、本発明は、請求項10記載の発明のように、前記保護手段を、ポリマーを材料とする合成フィルムにより形成されており、一方の面に透明な接着剤により物品に貼り付けられるものとしてもよい。
【0023】
さらに、請求項10記載の発明は、請求項11記載の発明のように、前記ポリマーを、ポリエステル、またはポリプロピレン、またはポリスチレン、またはポリ塩化ビニル、またはポリイミドとする。
【0024】
一方、上記目的を達成するために、請求項12記載の発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定方法であって、光透過性を有すると共に物品の表面を保護する保護手段を前記物品の表面に貼り付けておき、真正の前記物品に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、取得した前記特徴情報を基準情報として記憶手段に予め記憶し、真贋の判定を行う際に、当該真贋の判定対象とする前記物品の表面に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、取得した前記特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する。
【0025】
よって、請求項12に記載の発明は、請求項1記載の発明と同様に、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【0026】
一方、上記目的を達成するために、請求項13記載の発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定システムであって、光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段、真正の前記物品に光を照射する第1光照射手段、前記第1光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第1取得手段、及び前記第1取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段、を備えた基準情報登録装置と、真贋の判定対象とする前記物品の前記表面に光を照射する第2光照射手段、前記第2光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第2取得手段、及び前記第2取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段、を備えた真贋判定装置と、を有している。
【0027】
よって、請求項13に記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様に、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を、基準情報登録装置と真贋判定装置とを含んで構成された真贋判定システムに適用した場合について説明する。
【0030】
図1には、本実施の形態に係る真贋判定システム10が示されている。
【0031】
真贋判定システム10は、物品の表面の所定領域を被うように保護シート14(図2参照)を貼り付けると共に、物品の表面に沿って分布している各物品固有のランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴を読み取り、当該特徴を示す特徴情報を基準情報として記憶する基準情報登録装置20と、判定対象とする物品の真贋の判定を行う真贋判定装置70とが、ネットワーク11に接続されて互いに通信可能に構成されている。
【0032】
図2には、本実施の形態に係る保護シート14の詳細な構成が示されている。
【0033】
保護シート14は、光透過性を有するプラスチック(ポリマー)を材料とするシート状の合成フィルムにより構成されている。保護シート14は、一方の面に接着剤が塗布されており、物品に付着させることが可能となっている。
【0034】
また、保護シート14は、物品には貼り付ける際に基準情報登録装置20により2次元コード16(本実施の形態では、QRコード(Quick Response code)(商標登録))が印刷されるようになっている。また、保護シート14は、当該保護シート14を物品に付着させた際に、当該物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する特徴を読み取る領域として特徴読取領域18が設けられている。
【0035】
図3(A)〜(C)は、物品12として有価証券12A、カード12B、紙文書12Cに保護シート14を貼り付けた例を示している。
【0036】
図4には、本実施の形態に係る基準情報登録装置20の詳細な構成が示されている。
【0037】
基準情報登録装置20は、図示しない挿入口から挿入された物品12を搬送する1対の搬送ローラ22と、シート状の保護シート14が巻かれているボビン24と、保護シート14にインクジェット方式を用いてインク液滴を吐出させることにより2次元コード16を印刷する印刷装置26と、2次元コード16が印刷された保護シート14を搬送される物品12に貼り付けるシート定着装置28と、物品12の表面にライン状に光を照射するライン光源30と、ライン光源30が照射された光の物品12の表面での反射光を所定の結像位置に結像させる結像レンズ32と、結像レンズ32の結像位置も配置され、結像した画像により示される物品12の表面状態の濃淡を電気信号に変換するCCDラインセンサ34と、物品12を図示しない排出口へ搬送する1対の排出ローラ36と、を備えている。
【0038】
なお、本実施の形態に係る基準情報登録装置20は、物品12の表面の特徴として、光を照射した際に表面の凹凸によって生じるランダムパターンをラインセンサ34により読み取る。なお、本実施の形態に係る基準情報登録装置20は、物品12の表面での反射光をCCDラインセンサ34によって読み取る構成としたが、CCDラインセンサ34、結像レンズ32を物品12に対してライン光源30と反対側に設け、物品12を透過した透過光を読み取る構成としてもよい。
【0039】
ここで、例えば、物品12が不織布の場合、不織布は、繊維が複雑に絡み合ってできたものであり、この繊維によるパターンが同一になるものはない。すなわち、不織布から繊維によるランダムパターンを観測することができる。
【0040】
また、物品12が紙の場合、紙も植物繊維が複雑に絡み合ってできたものであり、不織布と同様に、紙からもランダムパターンを観測することができる。同一種、同一ロットの紙であっても紙毎にそのパターンは異なる。
【0041】
また、物品12がカードの場合、カードも樹脂により製造されたものであり、表面に微小なクラックや材料の微粒子等のランダムパターンが観察できる。
【0042】
このように、各種の物品12はランダムパターンを観察することができる。このランダムパターンは、意図的に作ったものではなく、物品そのものの成り立ち、製造工程、或いは製造後などで不作為にできたものであり、そのパターンが全く同じである物品が複数存在するとは考え難い。また、同一のものを故意に作り出すことは困難と思われる。すなわち、同一の工程を経て製造・物流された物品であっても、微視的には、各物品ごとにランダムパターンが異なる。特に、上述したようなランダムパターンは、顕微鏡レベル(数十ミクロン程度)の微細なパターンであり、これを偽造することは容易ではない。
【0043】
本実施の形態に係る基準情報登録装置20は、挿入された物品12を搬送しつつCCDラインセンサ34により表面の凹凸によるランダムパターンを読み取り、後述する制御部40によってCCDラインセンサ34から出力される画像から物品固有の特徴を示す特徴情報を生成して基準情報として記憶している。
【0044】
図5には、基準情報登録装置20の制御部40の機能的な構成を示す機能ブロック図が示されている。
【0045】
基準情報登録装置20の制御部40は、操作入力部41と、ID情報入力部42と、2次元コード生成部44と、ID情報印刷制御部46と、保護シート貼付制御部48と、画像読取制御部50と、を備えている。
【0046】
操作入力部41は、キーボード等として構成されており、ユーザによる操作により個々の物品12に対して割り当てるID情報が入力される。
【0047】
ID情報入力部42は、操作入力部41より入力されるID情報が後述する記憶装置60に記憶されているデータベースに既に登録されているか否かをチェックし、未登録の場合にID情報に基づいて2次元コード16を示す画像情報を生成する。なお、本実施の形態では、2次元コード生成部44は操作入力部41より入力されるID情報に基づき2次元コード16を示す画像情報を生成するものとしたが、例えば、2次元コード生成部44において重複しないように個別にID情報を生成し、当該ID情報に基づいて2次元コード16を示す画像情報を生成するものとしてもよい。
【0048】
ID情報印刷制御部46は、上述した印刷装置26の動作を制御しており、2次元コード生成部44より入力される画像情報に基づいて印刷装置26の動作を制御して保護シート14の物品12への付着面に2次元コード16を印刷させる。
【0049】
保護シート貼付制御部48は、上述したシート定着装置28の動作を制御しており、保護シート14の物品12への貼り付けの制御を行う。
【0050】
画像読取制御部50は、上述したライン光源30及びCCDラインセンサ34の動作を制御しており、ライン光源30から照射した光の反射光をCCDラインセンサ34により読み取り、物品12の保護シート14が貼り付けられた領域の画像情報を取得する。
【0051】
一方、本実施の形態に係る制御部40は、コード位置特定部52と、コードデコード部54と、特徴画像切出部56と、特徴情報変換部58と、記憶装置60と、をさらに備えている。
【0052】
コード位置特定部52は、画像読取制御部50により取得された画像情報により示される画像から2次元コード16の範囲及び当該2次元コード16の範囲との位置関係から特徴読取領域18の範囲を特定する。なお、本実施の形態では、2次元コード16であるQRコード(登録商標)の3つの切り出しシンボル16A(図2参照)をそれぞれ左上、左上、左下とした正面状態での左側の所定範囲を特徴読取領域18と定めている。
【0053】
コードデコード部54は、画像読取制御部50により取得された画像情報により示される画像からコード位置特定部52で特定された2次元コード16の範囲の画像を読み取って2次元コード16の画像を取得し、当該2次元コード16の画像を信号処理回路によりデコードしてID情報を取得する。なお、コードデコード部54はデコードしたID情報をさらに秘密鍵で暗号化するものとしてもよい。
【0054】
特徴画像切出部56は、画像読取制御部50により取得された画像情報により示される画像からコード位置特定部52で特定された特徴読取領域18の範囲の画像を読み取って、特徴読取領域18内の物品12を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する表面凹凸の変化を切り出す。
【0055】
特徴情報変換部58は、特徴画像切出部56から出力された信号をディジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており、特徴読取領域18内の画像を所定の解像度(例えば400dpi)且つ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)の特徴情報に変換する。特徴情報変換部58は、変換した特徴情報を基準情報として記憶装置60へ出力する。なお、特徴情報変換部58は変換されたデータはさらに秘密鍵で暗号化するものとしてもよい。
【0056】
記憶装置60は、例えば、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)のようにデータを記憶して保持可能なデバイスとして構成されており、コードデコード部54でデコードされたID情報と特徴情報変換部58から変換された基準情報とを関連付けたデータベースを記憶する。なお、本実施の形態では、2次元コード16をデコードすることによりデータベースに登録するID情報を得ているが、ユーザによって入力された入力されたID情報を直接用いてもよい(図5の点線矢印)。
【0057】
次に、図6には、本実の形態に係る真贋判定装置70の構成が示されている。なお、本実施の形態に係る真贋判定装置70は、ユーザが目視にて2次元コード16と特徴読取領域18の位置を確認しながら読み取る構成となっている。図6(a)は、真贋判定装置70の2次元コード16を読み取る画像読取部72の側面概略構成図であり、(b)は画像読取部72の上面概略構成図である。
【0058】
画像読取部72は、読取対象位置の上方に反射ミラー74が所定角度で配置されている。この反射ミラー74は、半透明上になっており、光源75から照射されて物品12の表面で反射された反射光により示される物品12の表面状態を示す画像を、集光レンズ76を通してCCDエリアセンサ78に入力させると共に、拡大レンズ80を通してユーザが目視できるようになっている。反射ミラー74にはユーザが目視できる入力枠82が印刷などによって形成されている。本実施の形態に係る画像読取部72では、2次元コード16の全体を入力枠82の右端に置いたときに特徴読取領域18を含んだ検査対象の物品12の特徴情報の照合領域(例えば、約4mm×約4mm)の全体が左端に入るように入力枠82が形成されている。
【0059】
真贋判定装置70では、保護シート14に印刷されている2次元コード16及び特徴読取領域18を含む領域の物品12の表面状態を読み取って、後述する制御部によって真贋の判定が行われる。なお、本実施の形態に係る真贋判定装置70は、物品12の表面での反射光をCCDエリアセンサ78によって読み取る構成としたが、CCDエリアセンサ78、反射ミラー74、拡大レンズ80を物品12に対して光源75の反対側に設け、物品12を透過した透過光を読み取る構成としてもよい。
【0060】
図7には、真贋判定装置70の制御部90の機能構成を示す機能ブロック図が示されている。
【0061】
真贋判定装置70の制御部90は、画像読取制御部92と、コード切出部94と、コードコードデコード部96と、記憶装置98と、基準情報復号部100と、第1記憶部102と、を備えている。
【0062】
画像読取制御部92は、上述した光源75及びCCDエリアセンサ78の動作を制御しており、CCDエリアセンサ78により保護シート14に印刷されている2次元コード16及び特徴読取領域18を含んだ領域の画像を取得する。
【0063】
コード切出部94は、画像読取制御部92により取得した画像から2次元コード16の範囲を特定する。
【0064】
コードデコード部96は、画像読取制御部92により取得した画像からコード切出部94により特定された2次元コード16の範囲の画像(2次元コード16の画像)を切り出し、信号処理回路によりデコードしてID情報を取得する。
【0065】
記憶装置98には、ネットワーク11を介して基準情報登録装置20の記憶装置60に記憶されたデータベースの情報が伝送されて、同じ内容のデータベースが複製されて記憶されている。
【0066】
基準情報復号部100は、記憶装置98に記憶されているデータベースからコードデコード部96で得られたID情報に関連付けられた基準情報を検索し、上述した特徴情報変換部58で暗号化に使用された秘密鍵と対になっている公開鍵で復号化する。
【0067】
第1記憶部102には、復号化した基準情報が一時的に記憶される。
【0068】
一方、制御部90は、特徴画像切出部104と、特徴情報変換部106と、第2記憶部108と、画像照合部110と、判定部112と、をさらに備えている。
【0069】
特徴画像切出部104は、コード切出部94により特定された2次元コード16の範囲に基づいて特徴読取領域18の範囲を換算し、画像読取制御部92により取得した画像から特徴読取領域18を含み、かつ、その領域よりも広い照合領域(例えば、400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの領域)の画像を切り出す。
【0070】
特徴情報変換部106は、特徴画像切出部104から出力された画像を示す信号をディジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており、特徴画像切出部104により切り出した画像を所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)の特徴情報に変換する。
【0071】
第2記憶部108には、変換した特徴情報が一時的に記憶される。
【0072】
画像照合部110は、第2記憶部108に記憶されている特徴情報により示される画像と、第1記憶部102記憶されている基準情報により示される画像とを比較照合して類似性を示す相関値を算出する。
【0073】
判定部112は、画像照合部110により算出された相関値が所定の条件を満たすか否かにより、特徴情報により示される画像の中に、基準情報により示される画像が含まれているか否かを判定する。
【0074】
次に、真贋判定システム10の動作を説明する。
【0075】
最初に、基準情報登録装置20の物品12の基準情報を登録する際の動作の流れを説明する。
【0076】
ユーザは、例えば、図3(A)、(B)、(C)に示すような有価証券12A、カード12B、紙文書12Cなどの基準情報の登録対象とする物品12を基準情報登録装置20の不図示の挿入口に挿入すると共に、操作入力部41からID情報を入力する。
【0077】
基準情報登録装置20は、物品12が不図示の挿入口に挿入されると、当該物品12を自動送り装置(図示せず)とガイド(図示せず)沿って内部に送り、搬送ローラ22によって図4の左側から右側に一定の速度で搬送させると共に、以下の基準情報登録処理を実行する。
【0078】
図8には、基準情報登録処理の流れが示されている。なお、図8は、基準情報登録装置20により実行される基準情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
同図のステップ200では、操作入力部41からID情報が入力された否かを判定し、肯定判定である場合はステップ202へ移行し、否定判定である場合は再度ステップ200へ移行してID情報の入力待ちとなる。
【0080】
ステップ202では、入力されたID情報が既に記憶装置60に記憶されているデータベースに既に登録済みであるか否かを判定し、肯定判定である場合は図示しない表示パネルに登録済みのエラー表示を行ってステップ200へ再度移行し、否定判定である場合はステップ204へ移行する。
【0081】
ステップ204では、ID情報入力部42より入力されたID情報から2次元コード16を示す画像情報を生成する。
【0082】
次のステップ206では、ボビン308に巻かれた保護シート14を物品12の搬送に合わせて物品12の表面方向に搬送し、印刷装置26と対向する位置の通過する際に、上述したステップ204で生成した画像情報に基づいて印刷装置26からインク液適を吐出して保護シート14の接着面に2次元コード16を印刷する。
【0083】
次のステップ208では、2次元コード16が印刷された保護シート14を物品12の搬送と同期するようにシート定着装置28へ搬送し、シート定着装置28により登録対象の物品12に貼り付ける。
【0084】
次のステップ210では、登録対象の物品12が搬送されてライン光源30と対向する位置に達すると、ライン光源30より物品12の表面へ光を照射し、CCDラインセンサ34により、保護シート14を透過して物品12の表面で反射した反射光を読み取り、保護シート14により保護されている2次元コード16の範囲と特徴読取領域18の範囲を含む物品12の表面を示す画像情報を取得する。
【0085】
次のステップ212では、上述のステップ210で取得した画像情報により示される画像から2次元コード16の範囲を特定する。
【0086】
次のステップ214では、特定した2次元コード16の範囲の画像を切り出し、切り出した2次元コード16の画像をデコードしてID情報を取得する。
【0087】
次のステップ216では、特定した2次元コード16の範囲との位置関係から登録対象の物品12の特徴読取領域18の範囲の画像を切り出し、特徴情報に変換する。すなわち、例えば、画像情報により示される画像から特徴読取領域18の範囲として400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの範囲の画像を切り出し、切り出した画像を所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)の特徴情報に変換し、さらに、特徴情報を秘密鍵で暗号化する。なお、本実施の形態では、読み取り解像度を400dpi、読み取りの階調を8ビットグレイスケール、読み取り対象の領域を32×32dotとしているので、特徴情報のデータサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。
【0088】
図9には、特徴情報を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例が示されている。
【0089】
次のステップ218では、暗号化した特徴情報を基準情報として上述した次のステップ214で取得したID情報と関連付けてデータベースに記憶させて本基準情報登録処理は終了となる。
【0090】
図10には、記憶装置60に記憶されているデータベースのデータ構造の一例が示されている。
【0091】
同図に示すように、本実施の形態に係るデータベースには、ID情報と基準情報の他に、物品12の分類データ、スキャン日、基準情報登録装置20のシリアルナンバーなどの情報を付加してもよい。
【0092】
本実施の形態では、記憶装置60に記憶されているデータベースの情報がネットワーク11を介して真贋判定装置70の記憶装置98へ伝送され、真贋判定装置70の記憶装置98には同じ内容のデータベースが複製されて記憶される。
【0093】
なお、基準情報登録装置20と真贋判定装置70がネットワーク11により接続されていない場合は、フレキシブルディスク、スマート・メディア(登録商標)、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクト・フラッシュ(登録商標)、ATA(AT Attachment)カード、マイクロドライブ(登録商標)、リムーバブルHDD、CD−R、CD−RW、光磁気ディスク等の可搬記憶媒体にデータベースの情報を記録し、その媒体を介して、真贋判定装置70の記憶装置98にデータベースを記憶させるものとしてもよい。
【0094】
また、基準情報登録装置20が記憶装置60に記憶されているデータベースを、ネットワーク11を介して接続されている特徴情報記憶用のサーバ・コンピュータに転送して、サーバ・コンピュータの記憶装置に記憶させ、サーバ・コンピュータが真贋判定装置70へデータを転送して記憶装置98にデータベースを記憶させるものとしてもよい。
【0095】
次に、真贋判定装置70により物品12の真贋の判定を行う際の動作の流れを説明する。
【0096】
真贋判定装置70は、店舗、役所、オフィスなど有価証券、カード、紙文書など物品12の真贋の確認を行う機関に設置される。
【0097】
ユーザは、図6(A)(B)に示すように、保護シート14を目視で確認しながら入力枠の右端に2次元コード16の全体が入るように物品の位置を調整する。
【0098】
真贋判定装置70は、ユーザによって、例えば、真贋判定装置70に備えられた真贋判定処理の開始を指示する指示ボタンを押下されると、真贋判定装置70は、以下の真贋判定処理を実行する。
【0099】
図11には、真贋判定処理の流れが示されている。なお、図11は、真贋判定装置70により実行される真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
同図のステップ250では、光源75を点灯させる。光源75から照射された光は、保護シート14を透過して印刷された2次元コード16及び物品12の表面で反射し、さらに、反射ミラー74により反射した反射光が集光レンズ76を通してCCDエリアセンサ78に入力する。
【0101】
次のステップ252では、CCDエリアセンサ78により、入力した反射光を読取り、保護シート14により保護されている2次元コード16と特徴読取領域18を含む物品12の表面を示す画像情報を取得する。
【0102】
次のステップ254では、取得した画像情報により示される画像から2次元コード16の範囲を特定し、特定した2次元コード16の範囲の画像を切り出して信号処理回路によりデコードしてID情報を取得する。
【0103】
次のステップ256では、上述したステップ254で特定した2次元コード16の範囲の位置との位置関係から特徴読取領域18の位置を換算し、取得した画像情報により示される画像から特徴読取領域18を含み、かつ、その領域よりも広い照合領域の画像を切り出し、切り出した画像を所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)に変換して、変換した特徴情報を第2記憶部108に記憶する。
【0104】
なお、本実施の形態では、読取解像度を400dpi、読み取りの階調を8ビットグレイスケール、照合領域を64×64dot(約4mm×約4mm)としているので、特徴情報のサイズは2048バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。
【0105】
次のステップ258では、記憶装置98に記憶されているデータベースに上述したステップ254のID情報に対応する基準情報が記憶されているか否かを判定し、肯定判定である場合はステップ260へ移行し、否定判定である場合は真贋判定装置70の備えられた図示しない表示装置にID情報登録エラーを表示して本真贋判定処理を終了する。
【0106】
ステップ260では、記憶装置98に記憶されているデータベースから上述したステップ254で取得したID情報に関連付けられた基準情報を読み出し、公開鍵によって復号化して第1記憶部102に記憶する。
【0107】
次のステップ262では、第1記憶部102に記憶されている復号化された基準情報により示される画像(400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの第1の特徴)と、第2記憶部108に記憶されている特徴情報により示される画像(400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第2の特徴)とを比較し、第2の特徴領域の中に、第1の特徴が含まれているか否かを照合する。当該照合には、本発明者らにより特願2004−85212にて提案されている手法である類似度を示す相関値を求め、当該相関値の最大値と相関最大値のノーマライズド・スコアにより判定する手法を用いる。
【0108】
すなわち、特徴情報により示される画像領域内で基準情報により示される画像を移動させながら両画像が重なる領域において相関値を演算することを繰り返す。
【0109】
そして、求めた相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除すことで得られる相関値の最大値のノーマライズド・スコアを求め、相関値の最大値が第1の所定値以上でかつ相関値の最大値のノーマライズド・スコアが第2の所定値以上か否かに基づいて判定対象の物品12の真贋を判定する
次のステップ264では、照合の結果、本物であると判定された否かを判定し、肯定判定である場合はステップ268へ移行し、否定判定である場合はステップ266へ移行する。
【0110】
ステップ266では、照合判定結果により、同一ではないと判定されたため、図示しない表示装置上に本物と認証できないことを示すエラーを表示して本真贋判定処理を終了する。
【0111】
一方、ステップ268では、照合判定結果により、登録された基準情報と特徴情報が同一の特徴情報(対象物の表面凹凸のランダムな変化)であると判定されたため、対象物の真正性を保証し、本物と認証したこと旨をディスプレイ上に表示して本真贋判定処理を終了する。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、光透過性を有する保護手段(ここでは、保護シート14)を物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護しており、第1光照射手段(ここでは、ライン光源30)により、真正の物品に光を照射し、第1取得手段(ここでは、CCDラインセンサ34)により、第1光照射手段により照射され、保護手段を透過して物品の表面の所定領域(ここでは、特徴読取領域18)で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、第1取得手段により取得された特徴情報を記憶手段(ここでは、記憶装置60)に基準情報として記憶し、第2光照射手段(ここでは、光源75)により、真贋の判定対象とする物品の表面に光を照射し、第2取得手段(ここでは、CCDエリアセンサ78)により、第2光照射手段により照射され、保護手段を透過して判定対象とする物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、判定手段(ここでは、判定部112)により、前記第2取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定しているので、物品の真贋を正確に判定することができる。また、物品の表面に保護手段を貼り付けて表面を保護しているため、判定対象の物品の表面の経時的な変化を抑えることができるので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【0113】
なお、本実施の形態では、基準情報登録装置20と真贋判定装置70とを含んで構成した真贋判定システム10として説明したが、基準情報登録装置20において真贋判定を行うものとしてもよく、また、真贋判定装置70において基準情報の登録を行うものとしてもよい。
【0114】
例えば、基準情報登録装置20を真贋判定装置と用いる場合、検査対象とする物品12が挿入口から挿入されると搬送ローラ22によって図4の左側から右側に一定の速度で搬送させ、ライン光源30から光を照射し、CCDラインセンサ34により2次元コード16の範囲及び特徴読取領域18の範囲の画像情報を取得し、2次元コード16をデコードして得られるID情報に対応する基準情報を記憶装置98に記憶されたデータベースから読み出して、特徴読取領域18の範囲の画像情報と比較すればよい。この場合、ライン光源30が光照射手段となり、CCDラインセンサ34が取得手段となる。
【0115】
また、本実施の形態によれば、保護手段又は物品の表面に対して当該物品を識別するための識別情報(ここでは、ID情報)を示す画像(ここでは、2次元コード16)を印刷する印刷手段(ここでは、印刷装置26)をさらに備え、記憶手段は、印刷手段により印刷された前記画像により示される識別情報を基準情報と対応付けて更に記憶し、取得手段は、真贋の判定対象とする前記物品の特徴情報と共に画像を示す画像情報を更に取得し、判定手段は、取得手段により取得された画像情報によって示される画像により示される識別情報に対応付けた基準情報を記憶手段から読み出し、読み出した基準情報と取得手段により取得された特徴情報との類似性を示す相関値を求めて前記真贋を判定しているので、識別コードが対応する基準情報とのみ真贋を判定すればよいため、判定処理の処理効率が向上する。
【0116】
また、本実施の形態によれば、画像を、バーコード又は2次元コードとしているので、多くの識別情報を保持させることができる。
【0117】
また、本実施の形態によれば、取得手段(ここでは、CCDエリアセンサ78)は、真贋の判定対象とする物品に対して所定領域を含む当該所定領域よりも大きな照合領域で反射された反射光又は照合領域を透過した透過光を受光して当該照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得するものとし、判定手段は、光照射手段(ここでは、光源75)により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて取得手段により取得された照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報から所定領域と同一形状かつ同一面積の抽出対象領域を移動させつつ当該抽出対象領域の特徴情報を抽出し、当該抽出した特徴情報と基準情報との類似性を示す相関値を求めることを繰り返し、求めた相関値の最大値に基づいて真贋を判定しているので、読み取り画像の位置や読み取った画像に角度のずれがあった場合でも照合を行うことができる。
【0118】
なお、本実施の形態では、保護シート14を貼り付けられた後に、物品12に光を照射してCCDラインセンサ34により物品12の表面状態を読み取る場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、保護シート14の透明度が高く、、特徴情報への保護シート14による影響(変化)が小さい場合、保護シート14を貼り付ける前に、物品12に光を照射してCCDラインセンサ34により物品12の表面状態を読み取るものとしてもよい。
【0119】
また、保護シート14による特徴情報への影響が予め求められている場合は、保護シート14が貼り付けられていない真正の物品12の表面状態を読み取り、特徴情報を補正すればよい。この場合、保護シート14が汚れた場合や傷が発生した際に、保護シート14のみを新しいものに交換すればよく、再度基準情報を登録する必要が無いため、保護シート14の交換に関する作業が容易となる。
【0120】
また、本実施の形態では、2次元コード16としてQRコード(登録商標)を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2次元コードとしてピーディーエフ417(PDF417)(登録商標)、データマトリクス(DataMatrix)(登録商標)、マキシコード(Maxi CoDe)(登録商標)、ベリコード(Veri CoDe)等の他の2次元コードを用いてもよい。また、バーコード等を用いてもよい。この場合も本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0121】
また、本実施の形態では、印刷装置26としてインクジェット方式ものを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ゼログラフィー方式のもとをもちいてもよい。インクジェット方式及びゼログラフィー方式を用いた場合、オンデマンドで印刷を実行できるため、保護シート14が無駄に消費されることを防止できる。また、保護シート14をインクジェット方式、ゼログラフィー方式、凸版印刷方式、を用いた別な印刷装置で2次元コード16を予め印刷しておき、当該保護シート14を物品12に貼り付けるものとしてもよい。この場合、基準情報登録装置に印刷装置26が不用となるため、製造コストを低コスト化及び装置を小型化することができる。
【0122】
また、本実施の形態では、物品12の特徴情報をランダムとみなすことのできる表面の凹凸とする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、物品12の表面に形成されているランダムとみなすことのできる微小なインクのドットとしてもよく、また、例えば、スクリーン印刷により印刷された模様としてもよい。この場合も本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0123】
また、真贋判定装置70として、図12に示すようなディジタル複合機や、図13に示すようなフラットベッドスキャナとPCとの組合せて構成してスキャナにより特徴読取領域18の表面状態を読み取るものとしてもよい。
【0124】
また、上述したように、保護シート14に2次元コード16を予め印刷しておき、当該保護シート14を物品12に貼り付けるものとした場合、基準情報登録装置20を、図12に示すようなディジタル複合機や、図13に示すようなフラットベッドスキャナとPCとの組合せて構成してもよい。
【0125】
その他、本実施の形態で説明した真贋判定システムの構成(図1参照)、基準情報登録装置及び真贋判定装置(図4、図5、図6、図7参照)の構成は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施の形態に係る真贋判定システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る保護シートの詳細な構成を示す正面図である。
【図3】実施の形態に係る保護シートを貼り付けた物品の一例を示す図である。
【図4】実施の形態に係る基準情報登録装置の詳細な構成を示す構成図である。
【図5】実施の形態に係る基準情報登録装置の制御部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図6】実施の形態に係る真贋判定装置の詳細な構成を示す構成図である。
【図7】実施の形態に係る真贋判定装置の制御部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図8】実施の形態に係る基準情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る特徴情報を可視化した画像の一例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る記憶装置に記憶されているデータベースのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図11】実施の形態に係る真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】真贋判定装置の別な構成の一例を示す図である。
【図13】真贋判定装置の別な構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
10 真贋判定システム
14 保護シート
16 2次元コード
20 基準情報登録装置
26 印刷装置
30 ライン光源
34 CCDラインセンサ
60 記憶装置
70 真贋判定装置
75 光源
78 CCDエリアセンサ
112 判定部
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて物品の真贋を判定する真贋判定装置、真贋判定方法及び真贋判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有価証券や紙幣、クレジットカード、プリペイドカード等の各種カード、各種の権利書、機密文書等の重要書類、などの各種の物品の偽造が問題となっており、物品の真贋を判定するために様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、磁性体繊維を混ぜた樹脂でプリペイドカードを製造し、カードの所定の基準領域での磁気の配列状態を示す識別データ、及び当該識別データから所定の署名生成ルールに基づいて生成した署名データを当該カードに貼り付けられた磁気ストライプに予め記憶させておき、カードの真贋を判定する際に、カードの磁気ストライプに記憶された識別データ及び署名データを読み取ると共に、カードの前記基準領域での磁気の配列状態を示す基準データを読み取り、読み取った署名データに基づいて識別データが改竄されていなかを検査し、改竄されていない場合に基準データと識別データとが一致するか否かをチェックすることによりプリペイドカードが本物であるか否かを判定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−245139号公報
【特許文献2】特開平11−212454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び特許文献2の技術は、基準領域内に磁性体繊維を配置させるため、磁性体繊維を配合した専用の樹脂や専用の紙で対象の物品を製造しなければならないので、コストアップとなってしまう。
【0005】
そこで、本物の物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する特徴を示す基準データを予め記憶しておき、真贋を判定する際に、判定対象の物品の表面に沿って分布している特徴を読み取って照合データを求め、基準データと照合データとの照合を行うことにより判定対象とする物品の真偽を判定する技術も考えられる。
【0006】
これにより、専用の樹脂や専用の紙で物品を製造する必要がなくなり、汎用的な樹脂や紙で物品を製造できるため、コストアップを防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、この技術では、判定対象の物品の表面に沿って分布している特徴を読み取って真贋の判定を行うため、当該特徴が変化してしまった場合、本物の物品を贋物と誤判定してしまう場合がある、という新たな問題点が生じる。
【0008】
すなわち、例えば、上記特徴が物品表面の凹凸である場合、当該物品表面が他の物と擦れて磨耗し、磨耗により表面の凹凸の状態が変化してしまった場合には本物の物品を贋物と誤判別してしまう場合がある。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる真贋判定装置、真贋判定方法及び真贋判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定装置であって、光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段と、前記物品に光を照射する光照射手段と、前記光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得する取得手段と、前記光照射手段により真正の前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段と、前記光照射手段により真贋の判定対象とする前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段と、を備えている。
【0011】
請求項1記載の発明によれば、光透過性を有する保護手段が物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面が保護されており、
光照射手段により、物品に光が照射され、取得手段により、光照射手段により照射され、取得手段により、保護手段を透過して物品の表面の所定領域で反射された反射光又は所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報が取得され、光照射手段により真正の前記物品に光が照射されて取得手段により取得された特徴情報が記憶手段に基準情報として記憶される。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、フレキシブルディスク、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、マイクロドライブ(登録商標)、CD−R(Compact Disc-Recordable)、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)、光磁気ディスク等の可搬記憶媒体やハードディスク等の固定記憶媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置が含まれる。
【0012】
そして、本発明によれば、判定手段により、光照射手段により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて取得手段により取得された特徴情報と記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋が判定される。
【0013】
このように請求項1記載の発明によれば、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【0014】
なお、本発明は、請求項2記載の発明のように、前記基準情報を、前記保護手段が貼り付けられていない真正の前記物品に対して前記光照射手段により光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報としてもよい。
【0015】
また、本発明は、請求項3記載の発明のように、前記保護手段又は前記物品の表面に対して当該物品を識別するための識別情報を示す画像を印刷する印刷手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記印刷手段により印刷された前記画像により示される識別情報を前記基準情報と対応付けて更に記憶し、前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする前記物品の前記特徴情報と共に前記画像を示す画像情報を更に取得し、前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記画像情報によって示される前記画像により示される識別情報に対応付けた前記基準情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した前記基準情報と前記取得手段により取得された特徴情報との類似性を示す相関値を求めて前記真贋を判定するものとしてもよい。
【0016】
また、請求項3記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記画像を、バーコード又は2次元コードとすることが好ましい。
【0017】
また、請求項3又は請求項4記載の発明は、請求項5記載の発明のように、前記印刷手段は、インクジェット方式、又はゼログラフィー方式を用いて印刷を行うと共に、前記保護手段又は前記物品の表面に対してオンデマンドで印刷を行うものとしてもよい。
【0018】
また、請求項3又は請求項4記載の発明は、請求項6記載の発明のように、前記画像を、前記保護手段の表面に予め印刷されているものとしてもよい。
【0019】
また、本発明は、請求項7記載の発明のように、前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする物品に対して前記所定領域を含む当該所定領域よりも大きな照合領域で反射された反射光又は前記照合領域を透過した透過光を受光して当該照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得するものとし、前記判定手段は、前記光照射手段により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて前記取得手段により取得された前記照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報から前記所定領域と同一形状かつ同一面積の抽出対象領域を移動させつつ当該抽出対象領域の特徴情報を抽出し、当該抽出した特徴情報と基準情報との類似性を示す相関値を求めることを繰り返し、求めた相関値の最大値に基づいて真贋を判定するものとしてもよい。
【0020】
また、本発明は、請求項8記載の発明のように、前記特徴を、表面の凹凸としてもよい。
【0021】
また、本発明は、請求項9記載の発明のように、前記特徴を、表面に形成されたドットパターンとしてもよい。
【0022】
また、本発明は、請求項10記載の発明のように、前記保護手段を、ポリマーを材料とする合成フィルムにより形成されており、一方の面に透明な接着剤により物品に貼り付けられるものとしてもよい。
【0023】
さらに、請求項10記載の発明は、請求項11記載の発明のように、前記ポリマーを、ポリエステル、またはポリプロピレン、またはポリスチレン、またはポリ塩化ビニル、またはポリイミドとする。
【0024】
一方、上記目的を達成するために、請求項12記載の発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定方法であって、光透過性を有すると共に物品の表面を保護する保護手段を前記物品の表面に貼り付けておき、真正の前記物品に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、取得した前記特徴情報を基準情報として記憶手段に予め記憶し、真贋の判定を行う際に、当該真贋の判定対象とする前記物品の表面に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、取得した前記特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する。
【0025】
よって、請求項12に記載の発明は、請求項1記載の発明と同様に、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【0026】
一方、上記目的を達成するために、請求項13記載の発明は、物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定システムであって、光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段、真正の前記物品に光を照射する第1光照射手段、前記第1光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第1取得手段、及び前記第1取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段、を備えた基準情報登録装置と、真贋の判定対象とする前記物品の前記表面に光を照射する第2光照射手段、前記第2光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第2取得手段、及び前記第2取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段、を備えた真贋判定装置と、を有している。
【0027】
よって、請求項13に記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様に、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、光透過性を有する保護手段により物品の表面を保護した状態で真贋の判定を行うようにしているので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を、基準情報登録装置と真贋判定装置とを含んで構成された真贋判定システムに適用した場合について説明する。
【0030】
図1には、本実施の形態に係る真贋判定システム10が示されている。
【0031】
真贋判定システム10は、物品の表面の所定領域を被うように保護シート14(図2参照)を貼り付けると共に、物品の表面に沿って分布している各物品固有のランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴を読み取り、当該特徴を示す特徴情報を基準情報として記憶する基準情報登録装置20と、判定対象とする物品の真贋の判定を行う真贋判定装置70とが、ネットワーク11に接続されて互いに通信可能に構成されている。
【0032】
図2には、本実施の形態に係る保護シート14の詳細な構成が示されている。
【0033】
保護シート14は、光透過性を有するプラスチック(ポリマー)を材料とするシート状の合成フィルムにより構成されている。保護シート14は、一方の面に接着剤が塗布されており、物品に付着させることが可能となっている。
【0034】
また、保護シート14は、物品には貼り付ける際に基準情報登録装置20により2次元コード16(本実施の形態では、QRコード(Quick Response code)(商標登録))が印刷されるようになっている。また、保護シート14は、当該保護シート14を物品に付着させた際に、当該物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する特徴を読み取る領域として特徴読取領域18が設けられている。
【0035】
図3(A)〜(C)は、物品12として有価証券12A、カード12B、紙文書12Cに保護シート14を貼り付けた例を示している。
【0036】
図4には、本実施の形態に係る基準情報登録装置20の詳細な構成が示されている。
【0037】
基準情報登録装置20は、図示しない挿入口から挿入された物品12を搬送する1対の搬送ローラ22と、シート状の保護シート14が巻かれているボビン24と、保護シート14にインクジェット方式を用いてインク液滴を吐出させることにより2次元コード16を印刷する印刷装置26と、2次元コード16が印刷された保護シート14を搬送される物品12に貼り付けるシート定着装置28と、物品12の表面にライン状に光を照射するライン光源30と、ライン光源30が照射された光の物品12の表面での反射光を所定の結像位置に結像させる結像レンズ32と、結像レンズ32の結像位置も配置され、結像した画像により示される物品12の表面状態の濃淡を電気信号に変換するCCDラインセンサ34と、物品12を図示しない排出口へ搬送する1対の排出ローラ36と、を備えている。
【0038】
なお、本実施の形態に係る基準情報登録装置20は、物品12の表面の特徴として、光を照射した際に表面の凹凸によって生じるランダムパターンをラインセンサ34により読み取る。なお、本実施の形態に係る基準情報登録装置20は、物品12の表面での反射光をCCDラインセンサ34によって読み取る構成としたが、CCDラインセンサ34、結像レンズ32を物品12に対してライン光源30と反対側に設け、物品12を透過した透過光を読み取る構成としてもよい。
【0039】
ここで、例えば、物品12が不織布の場合、不織布は、繊維が複雑に絡み合ってできたものであり、この繊維によるパターンが同一になるものはない。すなわち、不織布から繊維によるランダムパターンを観測することができる。
【0040】
また、物品12が紙の場合、紙も植物繊維が複雑に絡み合ってできたものであり、不織布と同様に、紙からもランダムパターンを観測することができる。同一種、同一ロットの紙であっても紙毎にそのパターンは異なる。
【0041】
また、物品12がカードの場合、カードも樹脂により製造されたものであり、表面に微小なクラックや材料の微粒子等のランダムパターンが観察できる。
【0042】
このように、各種の物品12はランダムパターンを観察することができる。このランダムパターンは、意図的に作ったものではなく、物品そのものの成り立ち、製造工程、或いは製造後などで不作為にできたものであり、そのパターンが全く同じである物品が複数存在するとは考え難い。また、同一のものを故意に作り出すことは困難と思われる。すなわち、同一の工程を経て製造・物流された物品であっても、微視的には、各物品ごとにランダムパターンが異なる。特に、上述したようなランダムパターンは、顕微鏡レベル(数十ミクロン程度)の微細なパターンであり、これを偽造することは容易ではない。
【0043】
本実施の形態に係る基準情報登録装置20は、挿入された物品12を搬送しつつCCDラインセンサ34により表面の凹凸によるランダムパターンを読み取り、後述する制御部40によってCCDラインセンサ34から出力される画像から物品固有の特徴を示す特徴情報を生成して基準情報として記憶している。
【0044】
図5には、基準情報登録装置20の制御部40の機能的な構成を示す機能ブロック図が示されている。
【0045】
基準情報登録装置20の制御部40は、操作入力部41と、ID情報入力部42と、2次元コード生成部44と、ID情報印刷制御部46と、保護シート貼付制御部48と、画像読取制御部50と、を備えている。
【0046】
操作入力部41は、キーボード等として構成されており、ユーザによる操作により個々の物品12に対して割り当てるID情報が入力される。
【0047】
ID情報入力部42は、操作入力部41より入力されるID情報が後述する記憶装置60に記憶されているデータベースに既に登録されているか否かをチェックし、未登録の場合にID情報に基づいて2次元コード16を示す画像情報を生成する。なお、本実施の形態では、2次元コード生成部44は操作入力部41より入力されるID情報に基づき2次元コード16を示す画像情報を生成するものとしたが、例えば、2次元コード生成部44において重複しないように個別にID情報を生成し、当該ID情報に基づいて2次元コード16を示す画像情報を生成するものとしてもよい。
【0048】
ID情報印刷制御部46は、上述した印刷装置26の動作を制御しており、2次元コード生成部44より入力される画像情報に基づいて印刷装置26の動作を制御して保護シート14の物品12への付着面に2次元コード16を印刷させる。
【0049】
保護シート貼付制御部48は、上述したシート定着装置28の動作を制御しており、保護シート14の物品12への貼り付けの制御を行う。
【0050】
画像読取制御部50は、上述したライン光源30及びCCDラインセンサ34の動作を制御しており、ライン光源30から照射した光の反射光をCCDラインセンサ34により読み取り、物品12の保護シート14が貼り付けられた領域の画像情報を取得する。
【0051】
一方、本実施の形態に係る制御部40は、コード位置特定部52と、コードデコード部54と、特徴画像切出部56と、特徴情報変換部58と、記憶装置60と、をさらに備えている。
【0052】
コード位置特定部52は、画像読取制御部50により取得された画像情報により示される画像から2次元コード16の範囲及び当該2次元コード16の範囲との位置関係から特徴読取領域18の範囲を特定する。なお、本実施の形態では、2次元コード16であるQRコード(登録商標)の3つの切り出しシンボル16A(図2参照)をそれぞれ左上、左上、左下とした正面状態での左側の所定範囲を特徴読取領域18と定めている。
【0053】
コードデコード部54は、画像読取制御部50により取得された画像情報により示される画像からコード位置特定部52で特定された2次元コード16の範囲の画像を読み取って2次元コード16の画像を取得し、当該2次元コード16の画像を信号処理回路によりデコードしてID情報を取得する。なお、コードデコード部54はデコードしたID情報をさらに秘密鍵で暗号化するものとしてもよい。
【0054】
特徴画像切出部56は、画像読取制御部50により取得された画像情報により示される画像からコード位置特定部52で特定された特徴読取領域18の範囲の画像を読み取って、特徴読取領域18内の物品12を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する表面凹凸の変化を切り出す。
【0055】
特徴情報変換部58は、特徴画像切出部56から出力された信号をディジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており、特徴読取領域18内の画像を所定の解像度(例えば400dpi)且つ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)の特徴情報に変換する。特徴情報変換部58は、変換した特徴情報を基準情報として記憶装置60へ出力する。なお、特徴情報変換部58は変換されたデータはさらに秘密鍵で暗号化するものとしてもよい。
【0056】
記憶装置60は、例えば、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)のようにデータを記憶して保持可能なデバイスとして構成されており、コードデコード部54でデコードされたID情報と特徴情報変換部58から変換された基準情報とを関連付けたデータベースを記憶する。なお、本実施の形態では、2次元コード16をデコードすることによりデータベースに登録するID情報を得ているが、ユーザによって入力された入力されたID情報を直接用いてもよい(図5の点線矢印)。
【0057】
次に、図6には、本実の形態に係る真贋判定装置70の構成が示されている。なお、本実施の形態に係る真贋判定装置70は、ユーザが目視にて2次元コード16と特徴読取領域18の位置を確認しながら読み取る構成となっている。図6(a)は、真贋判定装置70の2次元コード16を読み取る画像読取部72の側面概略構成図であり、(b)は画像読取部72の上面概略構成図である。
【0058】
画像読取部72は、読取対象位置の上方に反射ミラー74が所定角度で配置されている。この反射ミラー74は、半透明上になっており、光源75から照射されて物品12の表面で反射された反射光により示される物品12の表面状態を示す画像を、集光レンズ76を通してCCDエリアセンサ78に入力させると共に、拡大レンズ80を通してユーザが目視できるようになっている。反射ミラー74にはユーザが目視できる入力枠82が印刷などによって形成されている。本実施の形態に係る画像読取部72では、2次元コード16の全体を入力枠82の右端に置いたときに特徴読取領域18を含んだ検査対象の物品12の特徴情報の照合領域(例えば、約4mm×約4mm)の全体が左端に入るように入力枠82が形成されている。
【0059】
真贋判定装置70では、保護シート14に印刷されている2次元コード16及び特徴読取領域18を含む領域の物品12の表面状態を読み取って、後述する制御部によって真贋の判定が行われる。なお、本実施の形態に係る真贋判定装置70は、物品12の表面での反射光をCCDエリアセンサ78によって読み取る構成としたが、CCDエリアセンサ78、反射ミラー74、拡大レンズ80を物品12に対して光源75の反対側に設け、物品12を透過した透過光を読み取る構成としてもよい。
【0060】
図7には、真贋判定装置70の制御部90の機能構成を示す機能ブロック図が示されている。
【0061】
真贋判定装置70の制御部90は、画像読取制御部92と、コード切出部94と、コードコードデコード部96と、記憶装置98と、基準情報復号部100と、第1記憶部102と、を備えている。
【0062】
画像読取制御部92は、上述した光源75及びCCDエリアセンサ78の動作を制御しており、CCDエリアセンサ78により保護シート14に印刷されている2次元コード16及び特徴読取領域18を含んだ領域の画像を取得する。
【0063】
コード切出部94は、画像読取制御部92により取得した画像から2次元コード16の範囲を特定する。
【0064】
コードデコード部96は、画像読取制御部92により取得した画像からコード切出部94により特定された2次元コード16の範囲の画像(2次元コード16の画像)を切り出し、信号処理回路によりデコードしてID情報を取得する。
【0065】
記憶装置98には、ネットワーク11を介して基準情報登録装置20の記憶装置60に記憶されたデータベースの情報が伝送されて、同じ内容のデータベースが複製されて記憶されている。
【0066】
基準情報復号部100は、記憶装置98に記憶されているデータベースからコードデコード部96で得られたID情報に関連付けられた基準情報を検索し、上述した特徴情報変換部58で暗号化に使用された秘密鍵と対になっている公開鍵で復号化する。
【0067】
第1記憶部102には、復号化した基準情報が一時的に記憶される。
【0068】
一方、制御部90は、特徴画像切出部104と、特徴情報変換部106と、第2記憶部108と、画像照合部110と、判定部112と、をさらに備えている。
【0069】
特徴画像切出部104は、コード切出部94により特定された2次元コード16の範囲に基づいて特徴読取領域18の範囲を換算し、画像読取制御部92により取得した画像から特徴読取領域18を含み、かつ、その領域よりも広い照合領域(例えば、400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの領域)の画像を切り出す。
【0070】
特徴情報変換部106は、特徴画像切出部104から出力された画像を示す信号をディジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており、特徴画像切出部104により切り出した画像を所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)の特徴情報に変換する。
【0071】
第2記憶部108には、変換した特徴情報が一時的に記憶される。
【0072】
画像照合部110は、第2記憶部108に記憶されている特徴情報により示される画像と、第1記憶部102記憶されている基準情報により示される画像とを比較照合して類似性を示す相関値を算出する。
【0073】
判定部112は、画像照合部110により算出された相関値が所定の条件を満たすか否かにより、特徴情報により示される画像の中に、基準情報により示される画像が含まれているか否かを判定する。
【0074】
次に、真贋判定システム10の動作を説明する。
【0075】
最初に、基準情報登録装置20の物品12の基準情報を登録する際の動作の流れを説明する。
【0076】
ユーザは、例えば、図3(A)、(B)、(C)に示すような有価証券12A、カード12B、紙文書12Cなどの基準情報の登録対象とする物品12を基準情報登録装置20の不図示の挿入口に挿入すると共に、操作入力部41からID情報を入力する。
【0077】
基準情報登録装置20は、物品12が不図示の挿入口に挿入されると、当該物品12を自動送り装置(図示せず)とガイド(図示せず)沿って内部に送り、搬送ローラ22によって図4の左側から右側に一定の速度で搬送させると共に、以下の基準情報登録処理を実行する。
【0078】
図8には、基準情報登録処理の流れが示されている。なお、図8は、基準情報登録装置20により実行される基準情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
同図のステップ200では、操作入力部41からID情報が入力された否かを判定し、肯定判定である場合はステップ202へ移行し、否定判定である場合は再度ステップ200へ移行してID情報の入力待ちとなる。
【0080】
ステップ202では、入力されたID情報が既に記憶装置60に記憶されているデータベースに既に登録済みであるか否かを判定し、肯定判定である場合は図示しない表示パネルに登録済みのエラー表示を行ってステップ200へ再度移行し、否定判定である場合はステップ204へ移行する。
【0081】
ステップ204では、ID情報入力部42より入力されたID情報から2次元コード16を示す画像情報を生成する。
【0082】
次のステップ206では、ボビン308に巻かれた保護シート14を物品12の搬送に合わせて物品12の表面方向に搬送し、印刷装置26と対向する位置の通過する際に、上述したステップ204で生成した画像情報に基づいて印刷装置26からインク液適を吐出して保護シート14の接着面に2次元コード16を印刷する。
【0083】
次のステップ208では、2次元コード16が印刷された保護シート14を物品12の搬送と同期するようにシート定着装置28へ搬送し、シート定着装置28により登録対象の物品12に貼り付ける。
【0084】
次のステップ210では、登録対象の物品12が搬送されてライン光源30と対向する位置に達すると、ライン光源30より物品12の表面へ光を照射し、CCDラインセンサ34により、保護シート14を透過して物品12の表面で反射した反射光を読み取り、保護シート14により保護されている2次元コード16の範囲と特徴読取領域18の範囲を含む物品12の表面を示す画像情報を取得する。
【0085】
次のステップ212では、上述のステップ210で取得した画像情報により示される画像から2次元コード16の範囲を特定する。
【0086】
次のステップ214では、特定した2次元コード16の範囲の画像を切り出し、切り出した2次元コード16の画像をデコードしてID情報を取得する。
【0087】
次のステップ216では、特定した2次元コード16の範囲との位置関係から登録対象の物品12の特徴読取領域18の範囲の画像を切り出し、特徴情報に変換する。すなわち、例えば、画像情報により示される画像から特徴読取領域18の範囲として400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの範囲の画像を切り出し、切り出した画像を所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)の特徴情報に変換し、さらに、特徴情報を秘密鍵で暗号化する。なお、本実施の形態では、読み取り解像度を400dpi、読み取りの階調を8ビットグレイスケール、読み取り対象の領域を32×32dotとしているので、特徴情報のデータサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。
【0088】
図9には、特徴情報を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例が示されている。
【0089】
次のステップ218では、暗号化した特徴情報を基準情報として上述した次のステップ214で取得したID情報と関連付けてデータベースに記憶させて本基準情報登録処理は終了となる。
【0090】
図10には、記憶装置60に記憶されているデータベースのデータ構造の一例が示されている。
【0091】
同図に示すように、本実施の形態に係るデータベースには、ID情報と基準情報の他に、物品12の分類データ、スキャン日、基準情報登録装置20のシリアルナンバーなどの情報を付加してもよい。
【0092】
本実施の形態では、記憶装置60に記憶されているデータベースの情報がネットワーク11を介して真贋判定装置70の記憶装置98へ伝送され、真贋判定装置70の記憶装置98には同じ内容のデータベースが複製されて記憶される。
【0093】
なお、基準情報登録装置20と真贋判定装置70がネットワーク11により接続されていない場合は、フレキシブルディスク、スマート・メディア(登録商標)、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクト・フラッシュ(登録商標)、ATA(AT Attachment)カード、マイクロドライブ(登録商標)、リムーバブルHDD、CD−R、CD−RW、光磁気ディスク等の可搬記憶媒体にデータベースの情報を記録し、その媒体を介して、真贋判定装置70の記憶装置98にデータベースを記憶させるものとしてもよい。
【0094】
また、基準情報登録装置20が記憶装置60に記憶されているデータベースを、ネットワーク11を介して接続されている特徴情報記憶用のサーバ・コンピュータに転送して、サーバ・コンピュータの記憶装置に記憶させ、サーバ・コンピュータが真贋判定装置70へデータを転送して記憶装置98にデータベースを記憶させるものとしてもよい。
【0095】
次に、真贋判定装置70により物品12の真贋の判定を行う際の動作の流れを説明する。
【0096】
真贋判定装置70は、店舗、役所、オフィスなど有価証券、カード、紙文書など物品12の真贋の確認を行う機関に設置される。
【0097】
ユーザは、図6(A)(B)に示すように、保護シート14を目視で確認しながら入力枠の右端に2次元コード16の全体が入るように物品の位置を調整する。
【0098】
真贋判定装置70は、ユーザによって、例えば、真贋判定装置70に備えられた真贋判定処理の開始を指示する指示ボタンを押下されると、真贋判定装置70は、以下の真贋判定処理を実行する。
【0099】
図11には、真贋判定処理の流れが示されている。なお、図11は、真贋判定装置70により実行される真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
同図のステップ250では、光源75を点灯させる。光源75から照射された光は、保護シート14を透過して印刷された2次元コード16及び物品12の表面で反射し、さらに、反射ミラー74により反射した反射光が集光レンズ76を通してCCDエリアセンサ78に入力する。
【0101】
次のステップ252では、CCDエリアセンサ78により、入力した反射光を読取り、保護シート14により保護されている2次元コード16と特徴読取領域18を含む物品12の表面を示す画像情報を取得する。
【0102】
次のステップ254では、取得した画像情報により示される画像から2次元コード16の範囲を特定し、特定した2次元コード16の範囲の画像を切り出して信号処理回路によりデコードしてID情報を取得する。
【0103】
次のステップ256では、上述したステップ254で特定した2次元コード16の範囲の位置との位置関係から特徴読取領域18の位置を換算し、取得した画像情報により示される画像から特徴読取領域18を含み、かつ、その領域よりも広い照合領域の画像を切り出し、切り出した画像を所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)に変換して、変換した特徴情報を第2記憶部108に記憶する。
【0104】
なお、本実施の形態では、読取解像度を400dpi、読み取りの階調を8ビットグレイスケール、照合領域を64×64dot(約4mm×約4mm)としているので、特徴情報のサイズは2048バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。
【0105】
次のステップ258では、記憶装置98に記憶されているデータベースに上述したステップ254のID情報に対応する基準情報が記憶されているか否かを判定し、肯定判定である場合はステップ260へ移行し、否定判定である場合は真贋判定装置70の備えられた図示しない表示装置にID情報登録エラーを表示して本真贋判定処理を終了する。
【0106】
ステップ260では、記憶装置98に記憶されているデータベースから上述したステップ254で取得したID情報に関連付けられた基準情報を読み出し、公開鍵によって復号化して第1記憶部102に記憶する。
【0107】
次のステップ262では、第1記憶部102に記憶されている復号化された基準情報により示される画像(400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの第1の特徴)と、第2記憶部108に記憶されている特徴情報により示される画像(400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第2の特徴)とを比較し、第2の特徴領域の中に、第1の特徴が含まれているか否かを照合する。当該照合には、本発明者らにより特願2004−85212にて提案されている手法である類似度を示す相関値を求め、当該相関値の最大値と相関最大値のノーマライズド・スコアにより判定する手法を用いる。
【0108】
すなわち、特徴情報により示される画像領域内で基準情報により示される画像を移動させながら両画像が重なる領域において相関値を演算することを繰り返す。
【0109】
そして、求めた相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除すことで得られる相関値の最大値のノーマライズド・スコアを求め、相関値の最大値が第1の所定値以上でかつ相関値の最大値のノーマライズド・スコアが第2の所定値以上か否かに基づいて判定対象の物品12の真贋を判定する
次のステップ264では、照合の結果、本物であると判定された否かを判定し、肯定判定である場合はステップ268へ移行し、否定判定である場合はステップ266へ移行する。
【0110】
ステップ266では、照合判定結果により、同一ではないと判定されたため、図示しない表示装置上に本物と認証できないことを示すエラーを表示して本真贋判定処理を終了する。
【0111】
一方、ステップ268では、照合判定結果により、登録された基準情報と特徴情報が同一の特徴情報(対象物の表面凹凸のランダムな変化)であると判定されたため、対象物の真正性を保証し、本物と認証したこと旨をディスプレイ上に表示して本真贋判定処理を終了する。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、光透過性を有する保護手段(ここでは、保護シート14)を物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護しており、第1光照射手段(ここでは、ライン光源30)により、真正の物品に光を照射し、第1取得手段(ここでは、CCDラインセンサ34)により、第1光照射手段により照射され、保護手段を透過して物品の表面の所定領域(ここでは、特徴読取領域18)で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、第1取得手段により取得された特徴情報を記憶手段(ここでは、記憶装置60)に基準情報として記憶し、第2光照射手段(ここでは、光源75)により、真贋の判定対象とする物品の表面に光を照射し、第2取得手段(ここでは、CCDエリアセンサ78)により、第2光照射手段により照射され、保護手段を透過して判定対象とする物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、判定手段(ここでは、判定部112)により、前記第2取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定しているので、物品の真贋を正確に判定することができる。また、物品の表面に保護手段を貼り付けて表面を保護しているため、判定対象の物品の表面の経時的な変化を抑えることができるので、物品の真贋判定時の誤判定の発生を抑制することができる。
【0113】
なお、本実施の形態では、基準情報登録装置20と真贋判定装置70とを含んで構成した真贋判定システム10として説明したが、基準情報登録装置20において真贋判定を行うものとしてもよく、また、真贋判定装置70において基準情報の登録を行うものとしてもよい。
【0114】
例えば、基準情報登録装置20を真贋判定装置と用いる場合、検査対象とする物品12が挿入口から挿入されると搬送ローラ22によって図4の左側から右側に一定の速度で搬送させ、ライン光源30から光を照射し、CCDラインセンサ34により2次元コード16の範囲及び特徴読取領域18の範囲の画像情報を取得し、2次元コード16をデコードして得られるID情報に対応する基準情報を記憶装置98に記憶されたデータベースから読み出して、特徴読取領域18の範囲の画像情報と比較すればよい。この場合、ライン光源30が光照射手段となり、CCDラインセンサ34が取得手段となる。
【0115】
また、本実施の形態によれば、保護手段又は物品の表面に対して当該物品を識別するための識別情報(ここでは、ID情報)を示す画像(ここでは、2次元コード16)を印刷する印刷手段(ここでは、印刷装置26)をさらに備え、記憶手段は、印刷手段により印刷された前記画像により示される識別情報を基準情報と対応付けて更に記憶し、取得手段は、真贋の判定対象とする前記物品の特徴情報と共に画像を示す画像情報を更に取得し、判定手段は、取得手段により取得された画像情報によって示される画像により示される識別情報に対応付けた基準情報を記憶手段から読み出し、読み出した基準情報と取得手段により取得された特徴情報との類似性を示す相関値を求めて前記真贋を判定しているので、識別コードが対応する基準情報とのみ真贋を判定すればよいため、判定処理の処理効率が向上する。
【0116】
また、本実施の形態によれば、画像を、バーコード又は2次元コードとしているので、多くの識別情報を保持させることができる。
【0117】
また、本実施の形態によれば、取得手段(ここでは、CCDエリアセンサ78)は、真贋の判定対象とする物品に対して所定領域を含む当該所定領域よりも大きな照合領域で反射された反射光又は照合領域を透過した透過光を受光して当該照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得するものとし、判定手段は、光照射手段(ここでは、光源75)により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて取得手段により取得された照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報から所定領域と同一形状かつ同一面積の抽出対象領域を移動させつつ当該抽出対象領域の特徴情報を抽出し、当該抽出した特徴情報と基準情報との類似性を示す相関値を求めることを繰り返し、求めた相関値の最大値に基づいて真贋を判定しているので、読み取り画像の位置や読み取った画像に角度のずれがあった場合でも照合を行うことができる。
【0118】
なお、本実施の形態では、保護シート14を貼り付けられた後に、物品12に光を照射してCCDラインセンサ34により物品12の表面状態を読み取る場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、保護シート14の透明度が高く、、特徴情報への保護シート14による影響(変化)が小さい場合、保護シート14を貼り付ける前に、物品12に光を照射してCCDラインセンサ34により物品12の表面状態を読み取るものとしてもよい。
【0119】
また、保護シート14による特徴情報への影響が予め求められている場合は、保護シート14が貼り付けられていない真正の物品12の表面状態を読み取り、特徴情報を補正すればよい。この場合、保護シート14が汚れた場合や傷が発生した際に、保護シート14のみを新しいものに交換すればよく、再度基準情報を登録する必要が無いため、保護シート14の交換に関する作業が容易となる。
【0120】
また、本実施の形態では、2次元コード16としてQRコード(登録商標)を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2次元コードとしてピーディーエフ417(PDF417)(登録商標)、データマトリクス(DataMatrix)(登録商標)、マキシコード(Maxi CoDe)(登録商標)、ベリコード(Veri CoDe)等の他の2次元コードを用いてもよい。また、バーコード等を用いてもよい。この場合も本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0121】
また、本実施の形態では、印刷装置26としてインクジェット方式ものを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ゼログラフィー方式のもとをもちいてもよい。インクジェット方式及びゼログラフィー方式を用いた場合、オンデマンドで印刷を実行できるため、保護シート14が無駄に消費されることを防止できる。また、保護シート14をインクジェット方式、ゼログラフィー方式、凸版印刷方式、を用いた別な印刷装置で2次元コード16を予め印刷しておき、当該保護シート14を物品12に貼り付けるものとしてもよい。この場合、基準情報登録装置に印刷装置26が不用となるため、製造コストを低コスト化及び装置を小型化することができる。
【0122】
また、本実施の形態では、物品12の特徴情報をランダムとみなすことのできる表面の凹凸とする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、物品12の表面に形成されているランダムとみなすことのできる微小なインクのドットとしてもよく、また、例えば、スクリーン印刷により印刷された模様としてもよい。この場合も本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0123】
また、真贋判定装置70として、図12に示すようなディジタル複合機や、図13に示すようなフラットベッドスキャナとPCとの組合せて構成してスキャナにより特徴読取領域18の表面状態を読み取るものとしてもよい。
【0124】
また、上述したように、保護シート14に2次元コード16を予め印刷しておき、当該保護シート14を物品12に貼り付けるものとした場合、基準情報登録装置20を、図12に示すようなディジタル複合機や、図13に示すようなフラットベッドスキャナとPCとの組合せて構成してもよい。
【0125】
その他、本実施の形態で説明した真贋判定システムの構成(図1参照)、基準情報登録装置及び真贋判定装置(図4、図5、図6、図7参照)の構成は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施の形態に係る真贋判定システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る保護シートの詳細な構成を示す正面図である。
【図3】実施の形態に係る保護シートを貼り付けた物品の一例を示す図である。
【図4】実施の形態に係る基準情報登録装置の詳細な構成を示す構成図である。
【図5】実施の形態に係る基準情報登録装置の制御部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図6】実施の形態に係る真贋判定装置の詳細な構成を示す構成図である。
【図7】実施の形態に係る真贋判定装置の制御部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図8】実施の形態に係る基準情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る特徴情報を可視化した画像の一例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る記憶装置に記憶されているデータベースのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図11】実施の形態に係る真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】真贋判定装置の別な構成の一例を示す図である。
【図13】真贋判定装置の別な構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
10 真贋判定システム
14 保護シート
16 2次元コード
20 基準情報登録装置
26 印刷装置
30 ライン光源
34 CCDラインセンサ
60 記憶装置
70 真贋判定装置
75 光源
78 CCDエリアセンサ
112 判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定装置であって、
光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段と、
前記物品に光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得する取得手段と、
前記光照射手段により真正の前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段と、
前記光照射手段により真贋の判定対象とする前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段と、
を備えた真贋判定装置。
【請求項2】
前記基準情報を、前記保護手段が貼り付けられていない真正の前記物品に対して前記光照射手段により光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報とした
請求項1記載の真贋判定装置。
【請求項3】
前記保護手段又は前記物品の表面に対して当該物品を識別するための識別情報を示す画像を印刷する印刷手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記印刷手段により印刷された前記画像により示される識別情報を前記基準情報と対応付けて更に記憶し、
前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする前記物品の前記特徴情報と共に前記画像を示す画像情報を更に取得し、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記画像情報によって示される前記画像により示される識別情報に対応付けた前記基準情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した前記基準情報と前記取得手段により取得された特徴情報との類似性を示す相関値を求めて前記真贋を判定する
請求項1又は請求項2記載の真贋判定装置。
【請求項4】
前記画像を、バーコード又は2次元コードとする
請求項3記載の真贋判定装置。
【請求項5】
前記印刷手段は、インクジェット方式、又はゼログラフィー方式を用いて印刷を行うと共に、前記保護手段又は前記物品の表面に対してオンデマンドで印刷を行う
請求項3又は請求項4記載の真贋判定装置。
【請求項6】
前記画像を、前記保護手段の表面に予め印刷されているものとした
請求項3又は請求項4記載の真贋判定装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする物品に対して前記所定領域を含む当該所定領域よりも大きな照合領域で反射された反射光又は前記照合領域を透過した透過光を受光して当該照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得するものとし、
前記判定手段は、前記光照射手段により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて前記取得手段により取得された前記照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報から前記所定領域と同一形状かつ同一面積の抽出対象領域を移動させつつ当該抽出対象領域の特徴情報を抽出し、当該抽出した特徴情報と基準情報との類似性を示す相関値を求めることを繰り返し、求めた相関値の最大値に基づいて真贋を判定する
請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項8】
前記特徴を、表面の凹凸とした
請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項9】
前記特徴を、表面に形成されたドットパターンとした
請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項10】
前記保護手段を、ポリマーを材料とする合成フィルムにより形成されており、一方の面に透明な接着剤により物品に貼り付けられるものとした
請求項1乃至請求項9の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項11】
前記ポリマーを、ポリエステル、またはポリプロピレン、またはポリスチレン、またはポリ塩化ビニル、またはポリイミドとした
請求項10記載の真贋判定装置。
【請求項12】
物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定方法であって、
光透過性を有すると共に物品の表面を保護する保護手段を前記物品の表面に貼り付けておき、
真正の前記物品に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、
取得した前記特徴情報を基準情報として記憶手段に予め記憶し、
真贋の判定を行う際に、当該真贋の判定対象とする前記物品の表面に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、
取得した前記特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する
真贋判定方法。
【請求項13】
物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定システムであって、
光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段、真正の前記物品に光を照射する第1光照射手段、前記第1光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第1取得手段、及び前記第1取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段、を備えた基準情報登録装置と、
真贋の判定対象とする前記物品の前記表面に光を照射する第2光照射手段、前記第2光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第2取得手段、及び前記第2取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段、を備えた真贋判定装置と、
を有する真贋判定システム。
【請求項1】
物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定装置であって、
光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段と、
前記物品に光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得する取得手段と、
前記光照射手段により真正の前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段と、
前記光照射手段により真贋の判定対象とする前記物品に光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段と、
を備えた真贋判定装置。
【請求項2】
前記基準情報を、前記保護手段が貼り付けられていない真正の前記物品に対して前記光照射手段により光が照射されて前記取得手段により取得された特徴情報とした
請求項1記載の真贋判定装置。
【請求項3】
前記保護手段又は前記物品の表面に対して当該物品を識別するための識別情報を示す画像を印刷する印刷手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記印刷手段により印刷された前記画像により示される識別情報を前記基準情報と対応付けて更に記憶し、
前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする前記物品の前記特徴情報と共に前記画像を示す画像情報を更に取得し、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記画像情報によって示される前記画像により示される識別情報に対応付けた前記基準情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した前記基準情報と前記取得手段により取得された特徴情報との類似性を示す相関値を求めて前記真贋を判定する
請求項1又は請求項2記載の真贋判定装置。
【請求項4】
前記画像を、バーコード又は2次元コードとする
請求項3記載の真贋判定装置。
【請求項5】
前記印刷手段は、インクジェット方式、又はゼログラフィー方式を用いて印刷を行うと共に、前記保護手段又は前記物品の表面に対してオンデマンドで印刷を行う
請求項3又は請求項4記載の真贋判定装置。
【請求項6】
前記画像を、前記保護手段の表面に予め印刷されているものとした
請求項3又は請求項4記載の真贋判定装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記真贋の判定対象とする物品に対して前記所定領域を含む当該所定領域よりも大きな照合領域で反射された反射光又は前記照合領域を透過した透過光を受光して当該照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報を取得するものとし、
前記判定手段は、前記光照射手段により真贋の判定対象とする物品に光が照射されて前記取得手段により取得された前記照合領域の表面の前記特徴を示す特徴情報から前記所定領域と同一形状かつ同一面積の抽出対象領域を移動させつつ当該抽出対象領域の特徴情報を抽出し、当該抽出した特徴情報と基準情報との類似性を示す相関値を求めることを繰り返し、求めた相関値の最大値に基づいて真贋を判定する
請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項8】
前記特徴を、表面の凹凸とした
請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項9】
前記特徴を、表面に形成されたドットパターンとした
請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項10】
前記保護手段を、ポリマーを材料とする合成フィルムにより形成されており、一方の面に透明な接着剤により物品に貼り付けられるものとした
請求項1乃至請求項9の何れか1項記載の真贋判定装置。
【請求項11】
前記ポリマーを、ポリエステル、またはポリプロピレン、またはポリスチレン、またはポリ塩化ビニル、またはポリイミドとした
請求項10記載の真贋判定装置。
【請求項12】
物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定方法であって、
光透過性を有すると共に物品の表面を保護する保護手段を前記物品の表面に貼り付けておき、
真正の前記物品に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、
取得した前記特徴情報を基準情報として記憶手段に予め記憶し、
真贋の判定を行う際に、当該真贋の判定対象とする前記物品の表面に光を照射することにより、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得し、
取得した前記特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する
真贋判定方法。
【請求項13】
物品の表面に沿って分布しているランダム性を有する光学的に読み取り可能な特徴に基づいて前記物品の真贋を判定する真贋判定システムであって、
光透過性を有し、前記物品の表面に貼り付けられて当該物品の表面を保護する保護手段、真正の前記物品に光を照射する第1光照射手段、前記第1光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記物品の表面の所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第1取得手段、及び前記第1取得手段により取得された特徴情報を基準情報として記憶する記憶手段、を備えた基準情報登録装置と、
真贋の判定対象とする前記物品の前記表面に光を照射する第2光照射手段、前記第2光照射手段により照射され、前記保護手段を透過して前記判定対象とする前記物品の表面の前記所定領域で反射された反射光又は前記所定領域を透過した透過光を受光して当該所定領域の表面の特徴を示す特徴情報を取得する第2取得手段、及び前記第2取得手段により取得された特徴情報と前記記憶手段に記憶されている基準情報との類似性を示す相関値を求めて当該相関値に基づいて真贋を判定する判定手段、を備えた真贋判定装置と、
を有する真贋判定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−52611(P2007−52611A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236911(P2005−236911)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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