眼科薬物供給装置
目に挿入するための眼科装置を提供する。この装置は、目の上強膜および下強膜のうちの1つ上に配置するための前面および後面を有するボディを含む。後面は、目の上強膜および下強膜のうちの1つ曲率半径に実質的に等しい基本曲線により規定される。1つの実施形態では、眼科装置は、眼科薬物供給装置として機能し、活性薬剤、潤滑剤、などを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府財政援助に関する声明
合衆国政府は、この発明について一括払いライセンスを有し、限られた状況において、特許権者に、国立健康研究所により与えられている助成金番号第2R44EY13479−02の観点から提供されるように、適当な条件で他の者に使用許諾するように要求する権利を有する。
【背景技術】
【0002】
背景
血液房水関門および血液網膜関門のため、全身経路を介して投与された薬剤を目自体に到達させることは困難である。これらの関門を克服するのに十分多量の用量ではしばしば、許容されない全身の副作用が生じる。そのため、実質的に全ての目の急性および慢性疾患は、少なくとも1日1回適用される局所的な点眼製剤の形態の薬剤により治療される。
【0003】
患者が正確に挿入することが困難である上に、点眼液を使用すると、2つの主な技術的な不都合が生じる。目からの消失が急速であり、標的組織へのバイオアベイラビリティがよくないことである。涙液膜による希釈および排除、ならびに角膜の透過障壁のため、典型的には適用した用量の薬物の5%未満しか眼内組織に到達しない。そのため、局所的な眼科用薬剤溶液は、高濃度で製剤化され、しばしば投与する必要がある。要求される投与回数、治療適用に即時関連する検出可能な症状緩和の欠如、高濃度の薬物が必要なことによる望ましくない全身の副作用、および他の理由による治療におけるノンコンプライアンスが主な臨床的な不都合である。
【0004】
固体装置を眼内または眼近傍に配置し、時間と共に薬剤または潤滑剤を供給させるという発想は新しくない。この分野における最近の科学的興味は外科的技術、薬理学および薬物動態の進歩ならびに眼科薬物供給の特定の要求に合わせることができる改良ポリマー系の有効性に由来する。明確にするために、「目に挿入される」装置はまぶたの下、眼球自体の外側に配置されることを意味し、伝統的に「眼挿入物」と呼ばれ、一方、外科的処置により眼内に挿入される装置は、眼球内に、または一部眼球内に配置される眼内挿入物を意味し、両者は区別されるべきである。実際、いくつかの装置は、眼球の球を形成する結合組織の層中に移植され、これらの層を通って眼球内まで延在することさえある。まぶたの下に局所的に挿入することができるいくつかの装置はまた、外科的処置により、最外層、結膜下、前方に、またはテノン嚢、後方に移植することができ、正確には、結膜下またはサブテノン嚢挿入物と呼ばれる。これは、眼球自体に開口せず、むしろ結膜下またはサブテノン嚢注入のために眼科医が現在使用している空間に開口する低侵襲手順により実施される。
【0005】
サエットン(Saettone)は簡潔に、下記の点において記載されているように眼科用挿入物に対する事例を記述している(サエットン、眼科薬物供給の生物薬剤学(Biopharmaceutics of Ocular Drug Delivery)、第4章、エドモンド(Edmond)P編、CRCプレス、ロンドン、1993、61−79)。
1.標準ビヒクルに関し、眼持続性が増加し、これにより、治療活性が長くなり、薬物バイオアベイラビリティが高くなる
2.正確な投与(薬物は全て、理論的に吸収部位に保持される)
3.標準的な点眼液で鼻粘膜を介して自由に起きる全身吸収の減少の可能性
4.薬剤の投与回数が減少し、視覚的および全身的な副作用の発症が減少することによる患者のコンプライアンスの向上
5.非角膜(結膜−強膜)浸透経路による内部眼組織を標的とする可能性
6.水が存在しないことによる点眼液の有効期間の延長
7.一定速度の薬物放出を提供する可能性
【0006】
従来技術は、瞼の下、結膜の潜在空間(potential space)内に装置をフィットさせることに関心を有していた。今日までの目標は、装置を、結膜の眼瞼部分(瞼の内側の膜)および結膜の眼球部分(眼球の前半球の外側の膜)により形成される、この潜在空間、または潜在ポケットに保持することであった。この潜在ポケットのより深部は、結膜円蓋(fornix)または結膜盲嚢(cul−de−sac)と呼ばれる結膜の緩いひだ(loose fold)である。この連続組織の潜在ポケットは、まつげの近くの眼瞼辺縁、および白目との角膜の境界を形成する円である角膜縁により制限される。普段何かを保持するように特に「設計」されておらず、むしろ、過剰組織により眼窩内での眼球の移動を可能とし、異物や涙液膜を眼球の後から頭や脳に行かないように保持するので、潜在空間と呼ばれる。柔らかな粘膜組織であるので、結膜はアレルゲンまたは感染に反応して容易に膨張する。そのため、占有空間は、瞼への外側に向かう圧力により、潜在的に膨張可能である。
【0007】
この潜在空間に挿入される装置は、多くの形状およびサイズを有し、しばしば、製造の容易さという工学的見地から設計される(ランド(Land)D、ベンジャミン(Benjamin)W、結膜挿入物のサイズおよび形状、ICLC.21:Nov/Dec 212 −217、1994)。得られた形状は単純であり、例えば、長楕円形、円筒形などである。そのサイズおよび形状は、錠剤製造技術およびその場で目立たないという望みに基づき断定される。すなわち、結膜嚢での快適性および保持は、眼球を覆う結膜および瞼の内側により形成されるポケット内に何かを滑り込ませる、およびそれはサイズが小さいため被験者により容認されると仮定することにより得られる。意図された空間の制限的な輪郭に特異的な設計がないと、不快となり、任意の有意の体積の装置が外に出てしまう。この全体の寸法の制限が、含有され、結果的には供給される薬物の量を著しく制限する。商業的に製造されている、薬物供給のための眼挿入物の一例が、アルザ社(Alza Corporation)に譲渡された、米国特許第3,618,604号の対象、オクセート(Ocusert、登録商標)において見いだされる。この製品は、薬物放出「サンドイッチ」を製造する工業技術見地から設計されたものであった。サイズが小さいため、十分な保持および快適性が仮定された。アルザ社に譲渡されたいくつかのその後の特許(第3,416,530号および3,828,777号)でも、主に材料特性に基づく薬物供給動力学を改善するように設計された装置が記述されている。これらの特許は、装置が眼球の強膜と下瞼との間の結膜盲嚢に挿入され、瞼の圧力により眼球に対し定位置に保持されるように適合されるという点においてのみ、設計に取り組んでいる。これらの装置は実際、本発明に比べかなり小さいが、オクセート(Ocusert、登録商標)装置の使用による保持および刺激の重要な問題が文献で報告されている(シボラ(Sihovola)Pら、オキュセート−ピロカルピン供給システムの使用における実際の問題(Practical Problems in the Use of Ocusert−Pilocarpine Delivery System) Acta Ophthalmol.(Copenh.),58(6)933−937、1980)。実際、製品は現在、製造中止されており、広く受け入れられず、臨床的に使用されていない。
【0008】
結膜盲嚢の潜在空間を利用する従来技術の別の例は、米国特許第6,217,896号におけるベンジャミン(Benjamin)のものである。ベンジャミンは、従来技術でそうすることに失敗したことを記述しているが、盲嚢に含まれる実際の体積および形状を最大限使用し、合致性を改善し、薬物量をより多くし、嚢内での安定性を増加させることを提案している。彼の設計は、結膜盲嚢の潜在空間を成形材料で最大限満たした結果であり、結果的に得られた形状を記述している。彼の設計説明は、幾分眼球表面に一致する背部湾曲を含むが、これは、ヒトの結膜嚢に含有させることができる体積および形状を最大化する彼のアプローチによるものである。自分の設計のユニークなところとして彼が記述している特徴は、膨張した嚢自体の寸法および体積であり、水平には三日月形状であり、厚い下水平隆起があり、矢状方向ではくさび形形状である。設計のための明確な数学的寸法または表記、または背部湾曲と眼球表面との間の一貫した推奨関係さえもないことから、潜在空間を成形材料で膨張させることにより潜在空間を成形する彼のアプローチが確認される。他の従来技術のように、彼の発明は眼球自体にフィットさせるように設計されておらず、経験的に導いた成形設計として潜在空間にフィットしている。瞼を眼球から引っ張って離すと、挿入物は正しい位置または向きから滑り、および/または目から落ちる。
【0009】
眼球表面に合致する背部湾曲を含む従来技術の別の例はまた、眼球自体にフィットさせるのではなく、瞼の下の潜在空間内に装置をフィットさせる工業技術アプローチを追求する。米国特許第3,416,530号で、ネス(Ness)は、「眼球薬剤分注用錠剤」を記述している。この特許の中空チャンバ(hollow chamber)は、盲嚢内で快適にフィットさせるために、かなり小さい。
【0010】
従来技術の多くは保持を達成するため材料フレキシビリティ(flexibility)に依存し、装置の材料または主張したフレキシビリティに対する任意の値もしくは範囲を特定してない。ダロガー(Darougar)に付与したWO01/32140A1では、フレキシビリティは、請求項1において、配置させると、上または下円蓋内の目の湾曲に沿って曲がるのに十分なものとして主張されており、そのため、装置は眼球のいずれの可視部分上にも延在しない。ダロガーらのフレキシビリティは、円蓋の結膜ひだ内に長く薄い装置をトラップさせることであり、特定的には、眼球との接触を排除する。我々の発明の設計の範囲では、任意のフレキシビリティの材料の組み入れが可能である。
【0011】
米国特許第6,217,896号におけるベンジャミン以外、薬物供給のための眼挿入物の技術の歴史は、結膜のひだまたは瞼と眼球との間に捕捉されている間、着用者にとって目立たないように設計された、小さな装置の作製の1つであることに注意することが重要である。これは主に、小さなサイズにより、第2に形状により、取り扱われている。安定性に対する特別な設計特徴は、取り込みを補助するアンカー、例えば、ダロガーに付与されたWO01/32140A1などのいくつかの従来技術において言及されている突起から構成される。この場合、突起はかなり小さく、長く、薄いロッド形状の装置の取り込みを補助し、円蓋の結膜ひだ内で見えないようにするアンカーとして提案されている。
【0012】
かなり少ない体積の従来技術の例は、上記オキュセート(Ocusert、登録商標)および米国特許第3,828,777号の対象を含む。これは軸上せいぜい5.7×13.4mmで、厚さが0.5mmであり、38.5μlの体積を有する。ダロガーに付与されたEPA−0262893号では、17μlの体積を有するロッド状眼挿入装置が開示されている。体積に対するこれらの制約は、目への実際の薬物供給の量およびその後の期間を著しく制限する。
【0013】
【特許文献1】特開平8−336599
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術を再検討すると、眼内で安定であり、かつ快適であるが、治療薬を制御した速度で、延長した期間にわたり供給する体積および質量を有する眼科装置が必要であることが明かである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
概要
第1の観点における本発明は、目の上強膜または下強膜上に適用する、治療薬の制御された持続放出のために適合された眼科装置を提供する。その眼科装置は、目の強膜に適合するように設計される。眼科装置はポリマー材料の細長いボディを備え、そのボディは薬学的に活性な成分または潤滑剤を含む。眼科装置は配置されると上円蓋または下円蓋内で強膜湾曲にフィットし、その装置の長軸は眼球の横径におおよそ平行であり、装置は、上または下結膜領域に挿入されると、装置が眼球、すなわち眼瞼開口の通常可視部分のいずれ上にも延在しないようなサイズおよび構造とされる。角膜コンタクトレンズの後面が、所定の様式で角膜の形状に対応するのと同様の様式で、装置の後面は、所定の様式で、強膜の形状に対応する。眼科装置の後方エッジは、角膜コンタクトレンズのエッジと同様に、エッジリフトの半径および程度でテーパをつけることができる。装置が瞼の真下の解剖学的潜在空間を占めるので、前面は、瞼形状、張力および移動と相互作用するように設計することができ、そのため、適当な位置決め、安全性および快適性が提供される。
【0016】
本発明の眼科装置は、眼内で安定であり、そのため、長期にわたってうまく保持されるように設計されている。さらに、眼科装置は、患者に、眼挿入物では達成されない快適性および許容範囲を提供するように設計される。上または下結膜領域内にフィットされた眼措置の快適性、安定性および保持の増加を使用して、長期間の連続処置により目に治療薬を供給することができる。その装置の1つの適用を、炎症、感染またはアレルギーの1度の、または定期的な処置または予防に使用することができる。1〜3か月またはそれ以上長い間の繰り返し適用を、慢性疾患、例えば緑内障に使用することができる。装置は眼科の技術者、看護師または医者により、ならびにコンタクトレンズ着用者に適用するものと同様の簡単なレッスン後、患者自身によって、着脱してもよい。
【0017】
眼科装置は、上または下結膜上に、上瞼または下瞼の眼瞼結膜および眼球の強膜を覆う眼球結膜の接合部内にうまく配置されるように設計される。眼球結膜に対し、本発明の装置は、その向きを維持し、眼球に対する瞼の圧力または動きにより、または眼球自体の動きにより、垂直または水平で最小に抑えられた移動のみを示す。瞬目または目の移動による装置のわずかな移動は、コンタクトレンズの場合のように、好都合であり、装置の目への付着、代謝片および堆積物の関連する取り込みが阻止される。角膜コンタクトレンズの眼球に対するそのような移動はしばしば「ずれ(ラグ:lag)」と呼ばれる。
【0018】
装置は位置および安定性を維持し、結膜領域内での装置のランダムな移動を最小限に抑えるように使用時に作用する隆起領域を含み、好ましくは装置のボディの中心点について対称的に配置されるように各々位置決めされた2つの隆起領域を含む。
【0019】
本発明の眼科装置は、約11mm〜約13mmの半径を有する、目の強膜にフィットするように設計される。驚くべきことに、大人の集団におけるこの半径は約12mmでかなり一定である。そのため、装置は全体的に、約11mm〜約16mmの基本曲線半径を有する。好ましくは、装置の基本曲線半径は12〜14mmである。
【0020】
一般に、大人では、上円蓋により制限される強膜の領域は、下円蓋により制限される強膜の領域よりも大きい。このように、35mmまでの長さを有する本発明の眼科装置は、上強膜上で維持され、25mmまでの長さを有するものが下強膜上で維持されると、不快さが生じない。
【0021】
本発明の装置の長さは、幼児、小人および大人などの異なるサイズの目に適応するように上強膜上で使用するためには8〜35mmが都合良く、または幼児、小人および大人などの異なるサイズの目に適応するように下強膜上で使用するためには8〜25mmが都合がよい。
【0022】
本発明の装置の幅(目の上の装置で垂直子午線の高さ)は好ましくは、幼児、小人および大人などの異なるサイズの目に適応するには約1.0mm〜14.0mmである。
【0023】
本発明の装置のエッジは好ましくはテーパが付けられ、より好ましくは、快適性および瞼相互作用を最適化するために、前後周辺表面の要素、例えば、周辺曲線幅および半径、ならびに結果として得られるエッジリフトおよびエッジ先端輪郭を含む。
【0024】
本発明の装置の体積は約70μl〜約400μlの範囲とすることができ、好ましくは大人では約100μl〜約200μlである。5歳未満の幼児および小人では、100μl未満の装置が必要かもしれない。
【0025】
一定の好ましい実施形態およびそれらの改変は、添付の図面を参照して本明細書で詳細に記述した説明により当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、ハードガス透過性およびソフト角膜コンタクトレンズ設計においていくつかの基本を有する原理を組み入れ、より特定的には、本発明による眼科装置の工学技術は特に、目の強膜(白目)にフィットさせている間に目に薬物供給するための装置を製造するために適している。したがって、および下記で極めて詳細に記述されているように、本明細書で記述されている装置設計は、背部中央湾曲、周辺湾曲、エッジ先端輪郭、エッジリフト、全体の形状、および上下強膜の特徴および範囲を定められた観点に対応する厚さプロファイル、例えば、強膜表面湾曲、外眼筋付着(insertion)点、強膜角膜連結部輪郭、および対応する瞼相互作用に取り組んでいる。従来の装置および薬物供給アプローチとは完全に対照的に、本発明の眼科装置は特に、目の強膜にフィットするように設計され、全体のフィッティング輪郭が、強膜の制限的な解剖学的特徴および特色、例えば外眼筋付着部および角膜との角膜縁連結部などを説明する。装置は流体引力により定位置に保持され、装置はコンタクトレンズの場合のように、移動、位置決め、安定性および快適性に対し、瞼と相互作用する。後方輪郭により強膜の表面に対し快適な相対的接合が可能となり、瞬目および目の動きによる移動が可能となる。本発明の実施形態の前方輪郭、エッジ設計および厚さプロファイルは、瞬目中および瞬目間の両方で瞼と相互作用し、装置を強膜上の安定で快適な位置に最適に配向させる。各装置は、コンタクトレンズが典型的に透明な角膜上に配置されるように、ヒトの目の上または下の前部強膜(白目)に、または霊長類および四肢動物の治療において、配置することにより挿入される。装置の設計では、保持のために結膜盲嚢内に挿入する必要はない。ちょうど目を開けた時にコンタクトレンズが定位置に残っているように、この設計により、装置は、瞼を収縮させても(retracted)定位置に残ったままとすることができる。この設計は、広範囲にわたる薬物、潤滑剤および他の薬剤、ならびに広範囲にわたる可能な侵食および非侵食薬物供給材料または材料の組み合わせと共に、例えばポリマーマトリクス化学もしくはリザーバシステムを介して、実施形態において使用することができる。装置のポリマー材料は、35℃の気体転移を超える任意のポリマーとしてもよい。例えば、シリコーンエラストマー、アクリレート、およびメタクリレート組成物類およびヒドロゲル類が適している。治療薬または潤滑剤放出の機構は、例えば、装置のマトリクスを介する拡散、装置の外壁を介する拡散、浸透および生物浸食によるかもしれない。装置の設計により、大量の薬物を長期にわたり供給させることが可能である。
【0027】
図1について説明すると、前部眼球の解剖学的構造および本発明の詳細な説明に関し、下記定義および用語を使用してもよい。目について記述する場合、多くの異なる確立された解剖学用語を使用して説明することが慣例となっている。図1では、眼球の透明な前部分である角膜20を含み、目の残りよりも鋭い湾曲を有する目10が図示されている。角膜縁30は角膜20と眼球結膜40と強膜50との間の輪状境界ゾーンを記述する。結膜60は眼瞼辺縁から角膜縁30まで延在する粘膜を示し、瞼の内側層および眼球の前部外側層を形成する。結膜円蓋70は、結膜盲嚢80の瞼(眼瞼)および眼球部分を連結させる緩く、自由な結膜である。結膜盲嚢80は眼球と眼瞼結膜との間の潜在空間であり、結膜円蓋内に存在し、結膜円蓋は装置または他の物体もしくは物質を挿入することにより膨張し実空間となる。眼瞼結膜は様々な筋肉90および瞼の包埋(embedded)腺92により支持される。前に言及したように、強膜50は眼球の白く、不透明な外膜であり、前方の角膜20により覆われたセグメント以外の眼球全体を覆う。強膜50は前方を結膜60により覆われる。
【0028】
図1〜3について説明すると、図2および3は一般に、本発明の特徴を具体化し、ヒトの目10の下または上の前部強膜(白目)50上に、または霊長類および四肢動物の治療において配置することにより、目10内に挿入され、装着されるように構成された眼科薬物供給装置100を示す。装置100について、本発明の眼科薬物供給装置の全ての構造および機能を説明するのを助ける多くの設計用語を規定するために、最初に図2において説明する。このように、以下で、装置100は本発明の単なる1つの例示的な実施形態にすぎず、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではないことは理解され、より明らかになるであろう。
【0029】
装置100は、装置の縁の丸めの量および位置決めであり、典型的には装置100の周囲で掃引された半径プロファイルとして規定されるエッジ先端輪郭112を有するボディ110を含む。装置100は各子午線、すなわち垂直(軸3−3)および水平(軸H−H)における主半径として規定され、強膜50と接触する装置100の表面(装置の後面)である基本曲線114を有する。各子午線における値が同じである場合、基本曲線114は、球面基本曲線として規定される。各子午線における値が異なっている場合、後面は円環状後面として規定される。装置100はまた、エッジリフト116を有する。エッジリフトは、基本曲線114がより平坦である(増加する)場合、エッジ先端輪郭112に隣接する、およびそれに従う周囲の断面形状幅である。エッジリフト116はインクリメント半径増または幅により規定される。
【0030】
前方曲線118は、各子午線、すなわち垂直および水平(ボディ110に沿って規定された軸)における第2の装置半径として規定される。前方曲線により、瞼と接触する表面が生成する(装置の前面)。各子午線における値が同じである場合、前方曲線118は球面と規定される。各子午線における値が異なっている場合、装置100の前面は円環状前面として規定される。好ましい実施形態、本明細書で開示したこの装置100では、前方曲線118は円環状と規定される。装置100はまた、1つの規定された形状または断面を別のものに橋渡しする滑らかにブレンドされた輪郭表面を規定する多項式により得られる幾何学的構成要素である雲形(Spline)120を含む。レンチキュラー(lenticular)122は、装置100の瞼側にあるエッジ先端輪郭112に隣接する前方湾曲形状での装置100のエッジの厚さのマニピュレーション(manipulation)である。レンチキュラー122は正(positive)または負(negative)の曲線とすることができ、典型的には主な前方曲線半径形状への逆半径方向を有し、レンチキュラー122はエッジ先端輪郭112のプロファイルに従い、装置100の周囲では断面プロファイルの厚さが減少する。
【0031】
装置のボディ110は、装置100の位置決め、安定性、移動および快適性に対する瞼の効果に敬意を払いながら、眼球自体の白目部分(強膜50)の輪郭にフィットするように構築および構成される。このフィットは、角膜20の輪郭上での角膜コンタクトレンズの設計およびフィッティングから類推できる。コンタクトレンズの主機能は、屈折異常を光学的に較正するものであるが、レンズはまた、快適性、安定性および非刺激性を提供し、正しく機能するように定位置に維持されるよう設計されなければならない。定位置に維持されるが、瞼の動きによるわずかな移動および眼球が動いた後のわずかなラグも保持しなければならない。これによりレンズの周りの涙液層の循環が可能となり、発赤、炎症および組織への付着、および前または後面上での粘液および他の表面堆積物の蓄積が回避される。同様に、薬物供給のために眼科装置、例えば装置100はまた、位置安定性を示さなければならず、さらに、好ましくは、同じ理由によりわずかな移動およびラグを保持する。着用時間が進んでも、過剰の自覚が引き起こされ、または不快さが生じてはならない。瞼との相互作用はまた、コンタクトレンズを用いた場合のように、設計により決定され、装置100の位置決め、安定性、移動および快適性に影響するであろう。装置100と瞼の正しい相互作用により、装置100の周囲の涙液層の流れも可能となり、これにより、結膜盲嚢80内に単純にトラップさせた異物によって起きる傾向のある粘液の蓄積がないように補助される。
【0032】
本発明の装置100は、図4に示されるように角膜20より上、または図5に示されるように角膜20より下の強膜50上で着用することができる。そのため、本発明の原理および特徴を具体化した眼科薬物供給装置は全て、これらの2つの位置のいずれかに配置することができ、そのようなものとして一線を画すことができることは認識されるであろう。
【0033】
コンタクトレンズのフィットおよび保持は、涙の表面張力(流体引力)による装置の目への引力に依存し、コンタクトレンズの後部の湾曲により促進される。典型的にはコンタクトレンズは角膜の湾曲に対応する(当業者に周知の関係に従う)背部湾曲を有し、そのため、レンズは強膜、すなわち目の白目部分ではなく角膜表面に引き付けられる。コンタクトレンズの目への一般的な引力は、着用者が目を開けている時に頭を下に傾けてもコンタクトレンズが簡単に落ちないという事実により証明される。
【0034】
コンタクトレンズの目の特定の部分(角膜20)への引力は、目を大きく開くと、注視方向の変化に伴い、レンズは目と共に、例えば、左右または上下に移動するという観察結果から証明される。このコンタクトレンズの眼球の特別な部分(形状)への優先的な引力は、特に、より急に湾曲した角膜20対より平坦な強膜50では、目を大きく開いたままで、ソフトコンタクトレンズを角膜20から目の白目部分50まで引きずり、小さな部分のみを角膜20上に残すことにより、証明することができる。目が十分濡れている限り、コンタクトレンズは瞬目無しで、自然に角膜20上に戻っていく。これは、コンタクトレンズが、一連の後部ベース(中心)および周囲曲線ならびに直径、厚さなどにより角膜20に密接に関連して配置されるように特異的に設計されているからである。要するに、コンタクトレンズ着用の設計および意図は、コンタクトレンズを角膜20上に配置することであり、目10の別の解剖学的領域でのコンタクトレンズの配置は全く教示、または示唆されていない。実際、コンタクトレンズは、他の領域、例えば具体的には強膜50に配置するには適していない。
【0035】
このように、コンタクトレンズ設計および着用は、本発明とは完全に対照的であり、本発明では、装置100は、強膜50上の定位置に維持されるように、前眼部の白目部分50の輪郭および解剖学的特徴にフィットするように設計される。現在入手可能なコンタクトレンズは、薬物供給ための眼科装置のいくつかの所望の属性、例えば、十分な快適性、保持および移動を有するように設計されているが、重要な薬物供給能力を提供していない。これは、レンズ材料が、かなり長期にわたる薬物供給を実施することができないからである。薬液に予め浸漬させたコンタクトレンズを調査するほとんどの研究において、全ての薬物がせいぜい数時間、またはおそらく1〜2日で放出されてしまうことが示されている。光学的透明性(視覚のため)および酸素透過性(無血管結膜での十分な代謝のために必要)を有する使用可能なコンタクトレンズ材料の制約により、長期薬物供給を提供するポリマー材料を選択することは最優先されない。このように、コンタクトレンズ設計を模倣することに焦点を当てた従来の薬物供給設計では、多くの不都合がある。
【0036】
本明細書で開示した本発明は特に、視軸の外側で、無血管結膜からはずれて維持され、眼球の角膜ではない(強膜)前面にフィットするように設計される。そのため、光学設計、光学的透明性および酸素透過性は、本発明を構成する設計と共に使用することができる材料に対し制限的なパラメータではない。
【0037】
装置100は、薬物を目に局所的に供給するために、角膜ではない、前眼表面で維持されるように構成される。局所薬物供給の機構の観点から考えられた現在の眼科薬物供給とは対照的に、本発明の装置100は特に、目10の強膜50にフィットするように設計されている。これは、本発明の装置100の各実施形態が、目を大きく開いている間コンタクトレンズが角膜20上に存在するのと同様に、瞼を目10から引き離しても強膜50上に存在するという事実により証明される。これは、定位置に保持するために結膜嚢のひだに、または瞼と眼球との間に装置をトラップさせることに依存する従来の眼科薬物供給設計のアプローチとは異なるアプローチである。
【0038】
しかしながら、保持に加えて、コンタクトレンズ分野における「フィット」という用語はまた、位置決め、安定性、移動、瞼の相互作用、さらには快適性さえも含む。コンタクトレンズ設計のように、この出願で記述した装置100を「フィット」のこれら全ての観点において十分機能することができるようにする特定の設計特徴が存在する。目10の強膜50にフィットさせ、目10および瞼の移動との動的相互作用を説明するその設計のため、本発明の装置100は大きな設計において快適性を提供する。総装置体積は、従来の多くの装置体積に比べずっと高くすることができる。従来技術では、検出可能な感覚または不快さを生じさせるそのサイズにより著しく制限されている。
【0039】
本発明の眼科装置は、その単純な形態で、目の強膜50にフィットするように設計される。一般に、ほとんどの装置は、水平寸法が垂直寸法よりも大きい、全体的に概卵形を有するボディを含む。これは、図6〜8で示した実施形態で図示されている。この場合、例示的な眼科装置200が提供される。眼科装置200はボディ202と、第1の端203と、対向する第2の端205と、ならびにボディ202の周囲エッジ211に沿って互いに最も近くなる前面207と、対向する後面209とを有する。
【0040】
形状が、ボディ202の幅に沿って延在する中心軸(垂直子午線)(例えば、図6の線7−7)に対し対称であることが好ましく、そのため、横半分は鏡像である。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目の上または下強膜50上で使用することができる。装置200の基本曲線212半径は、強膜50にフィットするように選択される。図7において最もよく示されているように、ボディ202はそのエッジ211では厚さが小さく、ボディ202の中央に向かって大きくなる。より特定的には、ボディ202は、ボディ202の側縁の両方から測定すると、その中央で最大厚を有し、その結果、最大厚が図6の線8−8(水平子午線)に沿って存在するように設計することができる。この構造のため、装置200の厚さは、ボディ202の両側縁から中央に向かって連続して増加することが認識されるであろう。
【0041】
さらに、第1端203から対向する第2端205までのボディ202の断面厚は、図8で最もよく示されているように、同様に均一ではなく、ボディ202の中心部分(中央)から各端203、205に向かって内向きにテーパが付けられている。第1端203から第2端205まで縦方向に測定すると、ボディの最大断面厚は一般に図6の線8−8に沿って存在する。このように、ボディ202はその中心領域から端203、205に向かって縦方向にテーパが付けられ、そのため前面207と後面209との間の距離は中心領域で最大となり、端203、205で、より特定的にはボディ202の周囲エッジ211に沿って最小となる。周囲エッジ211に沿って測定すると、ボディ202のエッジの厚さは一般に、前面207と後面209とが交わる楕円ボディ202の周囲全体に沿って均一である。したがって、このボディ設計は、均一なエッジ半径を有するかなり球面の基本曲線上の著しい円環形状であるとして特徴づけられる。1つの例示的な実施形態では、装置200は下記寸法を有することができる。ボディ202の中心を通して、すなわち図6の線7−7に沿って測定すると、幅は約10mm〜約25mm、高さは約5mm〜約12mm、断面厚(中心厚)は約1.0mm〜約3.0である。装置200の基本曲線半径は約12mm〜約14mmである。装置200が上記寸法を有する場合、体積は約72μl〜約400μlの範囲である。前記寸法は本質的には例示にすぎず、いかなる意味においても本発明を制限しようとするものではないことは認識されるであろう。装置200が上記範囲の1つの外側に存在する1または複数の寸法を有するが、依然として眼科供給装置として完全に動作することができるからである。
【0042】
前に言及したように、本発明者らは、装置200が、図4で示したように上強膜または図5に示したように下強膜のいずれか上に配置するのに特に適しており、そのように構築および構成されることを発見した。装置200はこれらの位置で着用するのに快適であるだけでなく、目10に挿入され、強膜50以外の位置、例えば角膜20で着用される従来の眼科装置では達成することができなかった上記好都合な薬物供給特性を有する。
【0043】
図9〜12は本発明の第2の実施形態による眼科薬物供給装置300を示す。眼科薬物供給装置300は装置200と多くの類似点を共有する。例えば、どちらも強膜50上に配置されるものである。しかしながら、装置200に比べ装置300の構成および設計の観点では多くの違いが存在する。装置200と同様に、装置300はある程度の対称性を有する。装置300はボディ302を有し、ボディ302は好ましくは、ボディ302の第1端304および対向する第2端306から等距離にあり、そのボディ302の2つの側の間に延在するものとして規定される中心軸について対称である。この中心軸(垂直子午線)は図9において線11−11として描かれている。装置200のように、装置300は前面301および後面303を含む。
【0044】
図9の正面図で最もよく示されているように、装置300は一般に、かなり薄い中心部分308と、それぞれ、端304、306で形成される2つの対向するローブ部310を備える「ダンベル」形態をとる。ローブ310の中心部分308(図9の正面図でみると、垂直子午線11−11)に対する中心軸アスペクト比は、約2:1〜約10:1まで変動させることができる。理論的には、中心部分308は無限に狭く、薄くすることができるが、そのような寸法に到達すると、安定性および快適性にますます悪影響を与え、そのため、制限するものではないが、上記範囲が、適した装置300を得るための指針となる。装置300のダンベル形状は、質量を中心308から装置300の端304、306に向かって再分配させ、瞼の下の強膜50上での望ましい位置決め、および体積を維持したままでの、目10でのより高い安定性が得られる。
【0045】
装置300の周囲で質量が増加すると、外眼筋付着部(上または下直筋)により制限される、45度四分円対中心軸(上下)において有効な強膜表面積が大きくなるという利点が存在する。中心部分に対しローブ310の形状がより大きいこと、目の表面からのローブ310の高さが大きいことおよびローブ310の表面輪郭は全て、強膜50上での装置300の正しい位置決め、安定性および移動に寄与する。ローブ310は任意の幾何学的形状の周囲を有することができるので、瞼との最適相互作用および瞬目過程のために、中心接続部分308から遠位のローブ310の周囲は一般に、図9の平面図で示されるように球面の外観を有し、端304、306で、それらの間に雲形を備えた放物形を有することができる。
【0046】
ローブ310の最大直径は約0.5mm〜約20mmとすることができる。より好ましくは、直径は約3mm〜約17mmである。最も好ましくは、ローブ310の最大直径は約7mm〜約13mmとすることができる。装置300の中心部分308の前面303から後面301まで測定すると(コンタクトレンズの場合の同じ測定と同様)、中心厚は約0.50mm〜約4.0mm、より好ましくは約0.10mm〜約2.0mm、最も好ましくは約0.10mm〜約1.25mmとすることができるが、ローブ310の中心部分を横切るように測定した厚さは約0.5mm〜約5.0mm、より好ましくは約0.5mm〜約3.0mmとし、瞼から視認可能な隆起としないことができ、最も好ましくは、約0.5mm〜約2.5mmとすることができる。ボディ302の他の領域に比べローブ310の厚さおよび体積を大きくすると、瞼との相互作用により目の上での位置および安定性を維持しながら、臨床量の薬物供給のための十分な体積が保持される。中心部分308の厚さプロファイルをローブ310の厚さプロファイル以下に維持すると、有効な潜在体積が減少するが、装置300の使用で、位置、安定性、外観(瞼を通して隆起がわからない)、および快適性においてかなりの利点が得られる。ローブ310の鼻および一時的な周囲(「端」)304、306は、円形、放物線または楕円形状を近似することができる。装置300の中心部分308と各ローブ310との間の移行曲線は直線、放物線、楕円または双曲線とすることができ、雲形が好ましく、ブレンドして線12−12で中心断面となる。装置300の全体の水平幅は約10mm〜約25mmの範囲とすることができ、基本曲線半径314は約12mm〜約14mmである。装置300の全体の体積は約70μl〜約400μlである。装置300の厚さは、エッジ周囲全体313の周りの、規定した最小の、ほとんど均一なエッジ厚までテーパが付けられている。
【0047】
垂直子午線(軸11−11(垂直子午線))についての装置300の対称性は、横半分が鏡像となるようなものとする。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目10の上または下強膜50上で使用することができる。
【0048】
図13〜15で示したさらに別の実施形態において、眼科薬物供給装置400を提供する。多くの意図した用途では、装置400の実施形態は、上記理由のため、他の前の実施形態(装置200および300)よりも好ましい。より特定的には、装置400は目10の解剖学的特徴によりよくフィットするように設計される。本発明のこの実施形態では、目10上に配置している間、角膜20に近接する中心部分404のエッジ402は、角膜周囲の突出におおよそ対応する形状を有する。この内部に湾曲した形状は、角膜境界(角膜縁)および装置400境界を角膜面内に突出させても、装置400が上または下強膜50上の意図した位置にある場合、角膜境界に対しおおよそ均一なクリアランス(clearance)を有するような湾曲を有する。この特徴は「角膜解放(レリーフ:relief)曲線」と呼ばれ、一般に410で示される。この設計における角膜開放曲線の湾曲は、角膜と強膜の接合部(角膜縁)の湾曲の円錐または雲形投影形(Spline Projection)である。最も好ましくは、強膜50に沿う角膜縁からの放射状の均一オフセットに従う。装置400の中心とローブ部分420との間の中心軸14−14(垂直子午線)のこの内側への湾曲のために、14−14に対し平行に測定した、高さの差は、約0.50mm〜約3.5mm、より好ましくは、約0.50mm〜約2.5mmとすることができる。「レリーフ輪郭」は、敏感な角膜表面に影響を与えない形状を提供し、これにより、快適性および潜在的には視覚への影響が避けられ、角膜20に関しては均一なクリアランスが近似される。
【0049】
角膜から遠位の中心部分404のエッジ306は、内側に向かって湾曲した形状を有し、湾曲により、(上または下強膜上の装置の配置により、上または下)直筋付着部のクリアランスが得られる。この特徴は「筋肉レリーフ曲線」と呼ばれ、一般に418で示される。この内側に向かう湾曲により、装置400の中心とローブ部分420との間の中心軸14−14の高さの違いは、約0.15mm〜約2.5mm、より好ましくは約0.15mm〜約1.5mmとすることができる。
【0050】
そのような実施形態では、図13における中心軸14−14(垂直子午線)についての対称性が維持され、ほとんどの場合において下方にまたは上方に着用されるが、中心部分404の質量は角膜に対し遠位の図13の長軸子午線15−15の側ではより大きくなり、そのため、上方位置では、装置400の内側に向かった湾曲418により上直筋付着部がクリアされるが、結膜に対し近位の側410よりも、内側に向かう湾曲がより小さい。
【0051】
線14−14(垂直子午線)に沿った中心厚は、1つの態様によれば約0.25mm〜約3.0mmで変動し、端414〜端416まで測定した装置400の縦の長さは約15mm〜約22mmであり、最大垂直高さ(図14の側面図で見られる)は約5mm〜約14mmである。中心点でのこの中心部分404を横切る、近位〜遠位レリーフ曲線の、軸14−14に沿った距離は、約0.5mm〜約12mmで変動することができる。約1mm〜約10mmの範囲がより好ましい。約6mm〜約10mmの範囲が最も好ましい。中心部分404の両側の各ダンベル(それぞれの端ローブ)420の中心は、その厚さが約0.5mm〜約5.0mm、より好ましくは0.5mm〜約3.0mmであり、瞼を介する視認可能な隆起が避けられ、より好ましくは約0.5mm〜約2.5mmである。ローブ420は、約70μl〜約400μlの範囲の、装置400の体積の大部分を含むことができる。
【0052】
装置400の、一般に412で示される基本曲線半径は約12mm〜約14mmである。
【0053】
各端ローブ420は、各端ローブ420の周囲部分よりも薄い、中央周囲部分422を有する。これは著しく高倍率のハードコンタクトレンズの形状で典型的に使用されているエッジプロファイル技術を模倣したものである。そのような高倍率レンズでは、上瞼との相互作用により、一般的な臨床角膜コンタクトレンズ設計が最も角膜からずれやすいことが観察されている。そのようなコンタクトレンズの体積は、視力矯正のための十分な視力を提供することが必要である。同様に、装置400の体積は、放出するための十分な薬物を提供することが必要である。どちらの場合でも、レンチキュラー特徴は、瞼との相互作用により、十分な体積を有する装置400の位置および安定性を維持するのに有利である。レンチキュラー特徴により、約0.5mm〜約3.5mmの範囲で、ローブ420の正の前方先端曲線から移行して負の背向曲線にブレンドされる。
【0054】
装置の軸14−14(垂直子午線)についての対称性は、横半分が鏡像となるようなものとする。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目の上または下強膜50上で(角膜面で180°回転させることにより)使用することができる。
【0055】
全ての実施形態において、背面は、材料のフレキシビリティによっては、少なくともその場で、主強膜湾曲に近似する。装置を形成するために使用される材料のフレキシビリティにより、装置を挿入する前に、背面がどのくらい密接に強膜湾曲に対応しなければならないかが決定される。例えば、理論的には、フレキシビリティの高い材料は大きな基本曲線半径を有するように作製することができ、使用時に強膜の表面に合致させることができる。これは目の上でのソフトコンタクトレンズの「ドレープ」効果に匹敵する。
【0056】
本発明は、円蓋の結膜ひだ内へのトラップを補助するのではなく、眼球の表面にフィットさせるために眼球湾曲への合致を使用する。この発明の設計は、より長期にわたり目に供給させるためのより多量の薬物を含むより体積の高い装置を用いて快適性と保持とのバランスをとるために、目10の強膜50にフィットする表面形状を提供することを目的とする。この発明の後面の基本湾曲および周辺湾曲を調整することにより、広範囲にわたるフレキシビリティを有する多くの材料を使用することができる。材料特性に対するそのような設計の適合は、コンタクトレンズ設計分野において周知である。コンタクトレンズ設計の分野で周知なように、様々な球面、非球面および円環周囲曲線系と組み合わせた、球面、非球面および円環背面基本曲線の範囲により、眼球の表面にフィットする後面が提供される。
【0057】
そのため、平坦な後面が本発明の可能な後面の範囲内にあるが、本発明の装置の体積の好ましい範囲では、目に挿入する前に後面が平坦である場合、使用される材料に実質的に関係なく、ドレープ効果がより小さくなり、強膜表面に一致する傾向がより制限されてしまう。これは、非常に薄い低倍率ソフトコンタクトレンズではなく、厚いソフトコンタクトレンズ、例えば目の上での無水晶体症、ドレーピング、屈曲、または湾曲の矯正に使用される高倍率レンズに相当する。同様に、かなりフレキシブルな薄い低倍率ソフトコンタクトレンズでさえも、平坦な後面とは対照的に、幾分眼(角膜)湾曲に対応する基本湾曲を有するように製造されるということができ、フィッティングおよびドレープイングが補助される。そのため、本発明の好ましい実施形態では、装置は強膜湾曲に近似する後面を有するであろう。
【0058】
実際、前強膜の表面は幾分円環状の非対称表面を形成する。これは、設計を中心角膜トポグラフィーに基づかせるのではなく、より非対称な中間周囲角膜上でコンタクトレンズをフィットさせることに類似する。裏円環設計非球面後面コンタクトレンズを、そのような円環表面上で使用するために適用することができる。そのため、より好ましい態様は、強膜湾曲に合致することができる非球面形状または2つの球面半径を有する後面を有する。球状裏面設計を有する可能な薬物供給装置は強膜表面に十分近似するが、楕円または非球面裏湾曲の平坦化および急勾配化により、移動および涙の流れを微調整することができ、これにより装置の最適フィットが得られる。
【0059】
装置の裏面の特定の設計の別の利点は、均一な涙液層の流れが可能となることである。より均一な涙の流れにより、装置から目への薬物の放出がより一定になる。そのため、円環離面はよりフレキシブルな材料では必要ないが、より硬質の材料を用いた位置決め、安定性、快適性、保持および均一な薬物供給では好ましい。そのため、本発明の最も好ましい実施形態は、わずかに楕円の強膜表面と合致することができる2つの楕円半径を有する後面を含む。これらの楕円半径は製造プロセスにより得ることができ、またはフレキシブル材料の球面半径装置のその場合致から得ることができる。周囲曲線430のエッジリフト半径は、各子午線において基本曲線半径よりも0.0〜5.0mm平坦とすることができる。より好ましくは、各子午線において基本曲線半径よりも0.50〜5.0mm平坦とすることができる。最も好ましくは各子午線において基本曲線半径よりも2.0〜5.0mm平坦とすることができる。周囲曲線430幅は0.10〜2.0mmの範囲とすることができる。より好ましくは0.10〜1.0mmである。最も好ましくは0.25〜0.75mmである。得られたエッジプロファイルは、装置400の前面および後面の周囲湾曲430を組み入れる。
【0060】
コンタクトレンズ設計は瞬目および/または瞬目間の期間、瞼相互作用を使用し、角膜に対しコンタクトの位置決めを最適化する。コンタクトレンズ設計の場合のように、本発明の最も好ましい実施形態は、瞬目中および瞬目間の両方で、瞼と相互作用し、この場合強膜上で、装置を安定で快適な位置に最適に配向させる、前方形状、エッジ輪郭および厚さプロファイルの重要な設計特徴を有する。
【0061】
コンタクトレンズ設計の技術分野で周知の本発明のそのような設計特徴の例は、マイナスキャリヤ(minus−carrier)レンチキュラーの追加の例である。この設計特徴はエッジプロファイル厚に影響し、瞼との相互作用に影響する。これにより、快適性が援助され、目の上の所望の位置でコンタクトレンズを安定化し位置決めされることが知られている。同様に、本発明者らのより好ましい実施形態のレンチキュラー設計では、眼科装置が強膜上の最適な位置に配置され、安定化される。実際、コンタクトレンズの実際の技術分野では、マイナスキャリヤレンチキュラーを有する角膜ハードコンタクトレンズは、誤って上強膜上にずれると、その位置で安定なままである傾向があることが観察される。これは角膜に戻る傾向のあるレンズの別の設計特徴にかかわらない。このマイナスキャリヤレンチキュラー型周囲プロファイルの瞼との相互作用を、本発明の最も好ましい実施形態で使用し、強膜上の上位および下位のいずれかにおいて装置の位置および安定性を最適化している。より好ましい実施形態は、装置の中心部分の半径よりも大きな半径を有するローブ上でレンチキュラーを使用する。そのため、レンチキュラー半径は装置の中心垂直子午線で最も小さく、その点での遠位(非結膜)側レンキュラー半径はローブのより大きなレンチキュラー半径により近く、近位(角膜)側の半径よりも大きな(約2倍サイズ)の半径を有する。本発明の好ましい実施形態では、装置の周囲全体にレンチキュラーが備えられ、瞼による装置の位置の維持、瞬目による装置の位置決めと移動のバランス、瞼の移動による装置または異物の感覚の認識を最小に抑えることが補助される。遠位(非角膜側)中心垂直子午線、近位(角膜側)中心垂直子午線およびローブに対するレンチキュラー半径はそれぞれ、好ましくは、0.0〜5.0、0.0〜5.0、0.0〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.5、0.5〜3.5、0.5〜3.5mm、最も好ましくは1.0〜2.0、0.25〜1.5、1.5〜2.5mmである。レンチキュラーはバランスを増強させ、瞼接触領域との相互作用での装置の感覚を最小に抑える。上瞼の移動に直面した安定性および保持は、特にレンチキュラー設計の使用により最適化される。
【0062】
本発明の実施形態の全体形状および表面およびエッジ形状となる設計の同じ要素により、目10の前方および後方に薬物を供給させるために、結膜またはテノン嚢下に本発明の装置を外科的処置により配置することができる。好ましい実施形態の全体形状は、一定の外眼筋付着部に対し前方または後方の位置にフィットする。筋肉付着部に対し後方に配置する場合、筋肉レリーフ曲線はその機能を維持するが、角膜レリーフ曲線は「視神経」レリーフ曲線となる。主に前および後面上での湾曲およびエッジ先端輪郭により、必要であれば、外科的処置による挿入、着用および外科的処置により除去中の、本発明の装置の周囲の組織との構造的な干渉が最小に抑えられる。本実施形態の各々において記述しているように装置の最大化体積により、かなりの量の薬物を供給することができ、必要とされる外科的置換数が最小に抑えられ、目の正常な動きおよび感覚において目立たないままである。
【0063】
本発明は、従来設計されている眼科装置に関連する欠陥を克服し、下記特徴の1または複数を組み入れた眼科装置設計を記述する。(a)眼科装置は、目の強膜にフィットするように設計され、(2)眼科装置は瞼とは関係なく目の上で保持されるように設計され、(3)眼科装置は瞬目に伴い移動し、位置決めするように設計され、(4)眼科装置は、装置の基本湾曲が球面、非球面または円環状であり、強膜の解剖学的形状に関連して規定されるように設計され、(5)眼科装置は質量および体積を最大化するために1または複数のローブを使用し、(6)眼科装置は中心接続部分よりも質量および厚さが大きい2つのローブを採用し(ダンベル形状)、(7)眼科装置は約70μl〜約400μlの体積を有し、(8)眼科装置は約8mm〜約35mmの長さを有し、(9)眼科装置は約1.0mm〜約14mmの高さを有し、(10)眼科装置は約0.10mm〜約5.0mmの厚さを有し、(11)眼科装置は明確なエッジ先端輪郭を有し、(12)眼科装置は明確なエッジリフトを有し、(13)眼科装置は明確な前方曲線を有し、(14)眼科装置は円環状の前方曲線を有し、(15)眼科装置は非球面前方曲線を有し、(16)眼科装置は前方曲線形状において使用されるレンチキュラーを有する。
【0064】
本発明は、従来技術により主張されているものよりかなり大きな寸法で作製することができるが、依然として安定で、快適である。最終的な体積、形状特徴および装置設計の使用目的により、装置の挿入、その場評価および除去が、眼科医、検眼医、他のコンタクトレンズ施術者、看護師、眼科技術者にわかりやすくなる。本発明は、ピンセットまたは他の器具または挿入もしくは除去のための外科的処置を必要としない装置を記述する。患者には、そのような装置を、コンタクトレンズを挿入および除去するために教示された様式で、挿入および除去するように教示することができる。これは、例えば、目の後方セグメントへの薬物供給(この場合、装置移植手順において外科的器具が関係する)のために、結膜またはテノン嚢下に配置される装置を除外するものではない。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、装置は非腐食性または腐食性材料から製造される。非腐食性材料の例は、ポリアクリレート類およびメタクリレート類、ポリビニルエーテル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリ塩化ビニル、フルオロポリマー類、ポリウレタン類、ポリビニルエステル類、ポリシロキサン類およびポリスチレンン類であるが、これらに限定されない。腐食性材料の例はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリレート類、例えばポリアクリル酸塩類、エチルアクリレート類およびポリアクリルアミド類、天然物、例えばゼラチン、コラーゲン、アルギナート類、ペクチン類、トラガカントゴム、カラヤゴム、クロンドラス(chrondrus)、寒天およびアカシアゴム、デンプン誘導体、例えば酢酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプンエーテル類およびヒドロキシプロピルデンプン、ならびに合成誘導体、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中和カルボポール(Carbopol、登録商標)、キサンタンガム、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファジン、ポリリン酸エステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の別の実施形態では、薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を目の下強膜または上強膜上に配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含む薬剤を必要とする個人の目に薬剤を供給する方法が提供される。代表的な眼疾患は緑内障であり、当業者は、この発明を使用するこの様式で治療することができる目の他の疾患、感染または炎症を認識するであろう。本発明の薬物供給装置は、緑内障、アレルギー、感染、炎症、ブドウ膜炎、外傷、術後予防、疼痛、ドライアイまたは変性状態のための任意の様々な有益な薬物を含んでもよい。他の薬剤、例えば、潤滑剤類、増粘剤類、緩和薬類、またはビタミン類もまたこの発明により供給させてもよい。
【0067】
本発明のさらに別の実施形態では、薬剤を必要とする個人に薬物を全身的に供給する方法が提供され、この方法は、眼内吸収動力学がよくない薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を目の下強膜または上強膜上に配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含み、これにより放出された薬物が涙ドレナージ経路により鼻涙管内まで移動し、鼻粘膜およびドレナージ経路を介して全身的に吸収される。代表的な全身疾患は糖尿病であり、代表的な薬物はインスリンであり、当業者は、本発明の眼科装置を使用するこの様式で治療することができる他の全身疾患、感染または炎症を認識するであろう。
【0068】
本発明の別の実施形態では、薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を、上または下直筋付着部に対し後方にある目の下強膜または上強膜上、結膜、筋肉間膜、またはテノン嚢下、または強膜外隙内にまで、配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含む薬剤を必要とする個人の目に薬剤を供給する方法が提供される。この外科的移植では、装置は、さらに、付着部の解剖学的潜在空間に対応する1形状に多くの体積を提供する。目の動きによる移動は制限され、外眼部上に着用される実施形態よりも必要性は低い。後眼部は、配置したこの実施形態からの薬物浸透を受けやすい。代表的な眼疾患は黄斑変性症、後部ブドウ膜炎、眼内炎、糖尿病性網膜症、緑内症神経障害であり、当業者は、この発明を使用するこの様式で治療することができる後眼部の疾患、感染または炎症を認識するであろう。本発明の薬物供給装置は、緑内障、網膜症、感染、炎症、ブドウ膜炎、外傷、術後予防または変性状態のための任意の様々な有益な薬物を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を目の下強膜または上強膜上に配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含む薬剤を必要とする個人に全身的に薬物を供給する方法が提供される。代表的な全身疾患は糖尿病であり、当業者は、本発明を使用するこの様式で治療することができる身体の疾患、感染または炎症を認識するであろう。本発明の薬物供給装置は、糖尿病、高血圧、癌、関節炎、感染、炎症、様々な自己免疫疾患、および薬物供給分野の当業者が認識するであろう他の全身病変のための任意の様々な有益な薬物を含んでもよい。本発明の他のおよび別の観点、特徴および利点は、開示する目的で示した本発明の現在のところ好ましい実施形態の下記記述から明らかになるであろう。
【0069】
本発明の装置は、ポリマー系材料から作製することができる。薬物または薬剤は、このポリマーマトリクス内で溶解または分散状態のいずれかで存在することができる。1つの実施形態では、薬物または薬剤は、予め成形されたポリマー内に混合され、その場合溶解または分散状態で存在してもよい。その後、装置をこの薬物含有ポリマーから形成する。有益なポリマーマトリクスの例は、エチレン酢酸ビニルおよびアクリル系ポリマー材料である。別の実施形態では、薬物または薬剤は反応系内に混合させることができる。その系はモノマーまたはマクロマーであってもよく、この場合、薬物または薬剤は溶解または分散形態である。その後、UV、可視光、熱またはこれらの手段の組み合わせにより系を重合させると、装置が形成される。例としては液体アクリルモノマー類または反応性シリコーンプレポリマーの使用が挙げられる。
【0070】
本発明の薬物供給装置を製造するための好ましい製造プロセスは注型成形である。このプロセスでは、薬物をモノマー混合物中に溶解または分散させ、眼科装置形状を有するプラスチック鋳型に入れる。熱曝露、UV露光または両方の組み合わせによりモノマーを重合させる。その後、装置を鋳型から取り出す。例えば、エッジ仕上げなどの後処理が必要かもしれない。眼科装置の場合、ポリプロピレン鋳型が好ましい。最も好ましいのはメルトフローインデックスが20を超えるポリプロピレン樹脂である。1つのポリプロピレン樹脂はエキソン(Exxon)PP1105Eであり、このメルトフローインデックスは34g/10分である。20gm/10分を超えるメルトフローを用いると、複雑な形状の鋳造鋳型は、部分寸法の優れた複製で射出成形することができる。
【0071】
バリを除去し、または分割線の輪郭を示すために後処理がしばしば必要となる。コンタクトレンズおよび本発明の装置などの眼科装置では、装置の快適性およびフィット性を提供する点において、エッジプロファイルが重要である。本発明の眼科装置のエッジは、ガス透過性ハードコンタクトレンズに対し現在使用可能な標準研磨技術を用いて成形し、輪郭をつけることができる。より好ましくは、レーザエッジングを用いて滑らかで、よく輪郭が付けられたエッジを形成する。
【0072】
実施例1
実施例1の装置の観点を図6〜8に示す。本発明の全体形状は垂直方向よりも水平方向に大きく、図6の正面図に示されるように卵形に見える。形状は垂直子午線について対称であることが好ましく、そのため横半分は鏡像である。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目の上または下強膜上で使用することができる。基本曲線114半径は強膜50にフィットするように選択される。中心厚は、水平中心線で最も大きく、前面207と後面209が交わる楕円の全エッジ周囲の明確な最小の、おおよそ均一のエッジ厚までテーパが付けられる。これにより、均一のエッジ半径を有するかなり球状の基本曲線上で著しい円環形状が得られる。サイズは、幅が約10mm〜約25mm、高さが約5mm〜約12mm、厚さが中心で約1.0mm〜約3.0mmとすることができる。基本曲線半径114は約10mm〜約20mmである。装置の体積は約70μl〜約400μlである。図6〜7による装置はシリコーンエラストマーから構成した。寸法は、幅が16mm、高さが7.0mm、中心厚が2.3mmであり、厚さは中心点から減少するようにテーパをつけた。円環前面半径は垂直子午線4.0mm×水平子午線9.0mmであった。基本曲線半径は12.4mmであった。装置体積は150μlであった。
【0073】
実施例2
実施例2の装置の観点を図6〜8に示す。一般的な幾何学的パラメータは実施例1で記述した。プロトタイプ装置をシリコーンエラストマーから構成した。全幅は21.0mm、高さは7.8mm、中心厚は1.5mmであった。円環前面半径は垂直子午線5.0mmおよび水平子午線12.0mmであった。基本曲線半径は12.4mmであった。全体の装置体積は150μlであった。装置を被験者の上強膜上に配置した。装置は目の中で安定であり、わずかな回転が観察された。装置の快適性は良好であると報告した。
【0074】
実施例3
実施例3の装置の観点を図6〜8に示す。一般的な幾何学的パラメータは実施例1で記述した。プロトタイプ装置をシリコーンエラストマーから構成した。全幅は24.5mm、高さは10.0mm、中心厚は2.3mmであった。円環前面半径は垂直子午線6.0mm×水平子午線12.5mmであった。全装置体積は385μlであった。
【0075】
装置を被験者の上強膜上に配置した。装置は鼻の位置にわずかに移動する傾向があった。装置の快適性は「わずかな自覚」と評価した。
【0076】
実施例4
実施例4の装置の観点を図9〜12に示す。全体形状は、中心垂直軸および中心水平軸の両方について対称な水平「ダンベル」である。ローブの前方形状上にレンチキュラー特徴を含むプロトタイプ装置をシリコーンエラストマーから構成した。前面と後面との間の距離、中心厚(ローブ間の中間)は0.75mmであった。各ローブの中心での2つの表面間の距離は1.5mmであった。ローブの中心の前方湾曲は4.3の正の半径であり、2.0mmの負のレンチキュラー半径に移行し、その後0.25の正のエッジ半径に移行した。全幅は20.5mmであった。垂直高さは各ローブで最大8.45mmであり、装置の中心では6.5mmであった。背部曲線半径は約12.4mmであった。体積は130μlであった。ローブは、瞼からわずかに隆起したものとして検出できた(美容上視認可能)。レンチキュラーを備えた装置は、上下両方の位置で、臨床的に許容される位置、安定性および保持を証明した。エッジのいくらかの感覚を除き、快適性はかなり良好であった。
【0077】
実施例5
実施例5の装置の観点を図13〜15に示す。プロトタイプ装置は、実施例4よりも全体的に高くおよび広く作製した。この装置は幅21mm、装置の中心での高さ7.25mmとした。このダンベルバージョンでは、前面から見るとダンベルローブ高さが9.5mmであった。使用した材料はかなりフレキシブルであったので、均一な球面12.4mm背部湾曲を使用した。角膜に対し遠位の圧入により、この湾曲によって装置の高さに0.26mmの最大差が得られた。装置は、水平子午線から周囲ローブの中心を通り角膜に近位の装置のエッジまで2.77mmであった。水平子午線から(周囲ローブの中心を通って)エッジに至る同じ測定値は、角膜の遠位側では4.47mmであった。発明者らは前方の負のレンチキュラー湾曲を2.1mmまで増加させた。そのため、実際の真の半径は4.0mmであった。発明者らは移行曲線に対し平滑化し、着用中、上瞼の下で、ローブの「隆起」がより視認できないようにした。幅は同様にわずかに大きくなる。後方エッジ半径を減少させ、コンタクトレンズ半径の領域内としたが、エッジリフトは同じであった。上瞼からのエッジ感覚を減らし、快適さを増加させようとして、よりタイトな半径が試みられている。体積は136μlであった。
【0078】
目の上では、この装置は依然として上方位置で最も快適であった。上瞼下では、「隆起」は見られなかった。瞼との相互作用では非常に安定であると感じられた。除去は、いったん瞼裂で見えるようになると、コンタクトレンズを用いた場合と同様に、瞼の外部のマニュアル操作により装置を下方にマッサージし、その後装置を手作業で除去することにより、依然としてかなり容易であった。
【0079】
実施例6
実施例6の装置の観点を図13〜15に示す。プロトタイプ装置を、アクリルモノマーから注型成形した。第2の周囲曲線半径を追加したことにより、実施例5と比べてエッジリフトを増大させた。この装置は幅21mm、装置の中心の高さが7.25mmであった。この実施形態は、正面から見てわかるように、ローブセクションの高さが9.45mmであった。水平前方曲線は、中心と、明確な垂直前方曲線半径とエッジリフト半径と幅を有するローブ領域とを滑らかにブレンドする雲形である。中心軸15−15における前方曲率半径は中心では7.26mm、ローブでは5.09mmであった。角膜に近い圧入をレンチキュラー半径0.75mmでカットすると、この曲率のために、装置の高さに最大1.95mmの差が生じた。装置は、軸14−14から周囲ローブの中心を通って角膜に近い装置のエッジまで2.77mmであった。角膜から遠い圧入を、1.50mmのレンチキュラー半径でカットすると、この湾曲のために装置の高さに最大0.26mmの差が生じた。装置は、軸14−14から周囲ローブの中心を通って角膜に遠い装置のエッジまで4.47mmであった。ローブのレンチキュラー背向曲線は2.1mmであった。レンチキュラー曲線の幅は角膜近くでは1.13mmであり、角膜から遠くでは1.23であった。エッジ先端半径は0.56mmであり、エッジ厚は0.43mmであった。材料がかなりフレキシブルなので、円環−12.5mm垂直子午線(軸15−15)、12.4mm水平子午線(軸14−14)−背部湾曲を使用した。エッジリフト基本曲線半径は、中心垂直子午線(15−15)では、16.4mm、幅1.0mmであり、ローブの全周囲に沿っては、16.4mm、幅1.2mmであった。体積は124μlであった。
【0080】
この実施例6の眼科装置は、下記のように、アクリルモノマー調合物から注型成形させた。装置の設計を機械加工し、金属鋳型とした。鋳型半球は、エキソンポリプロピレンPP1105Eから射出成形させた。不活性雰囲気下では、鋳型下半球をUV開始剤を含むアクリルモノマー調合物で充填させた。鋳型上半球を、鋳造下半球内にフィットさせ、装置形状を形成させた。閉じた鋳型アセンブリをUV硬化チャンバ内に入れ、365nmの波長のUVを30分間露光した。その後、重合した眼科装置を取り出した。周囲曲線系を装置の後方周囲に成形した。それらの幅および半径値のインクリメンタル増分により、中心基本曲線に対するこれらの周囲曲線が規定される。1つの実施形態では、各曲線に対するこれらの値は、装置の周囲後面の周りでは均一とすることができる。発明者らの最も好ましい周囲曲線系は、装置の中心と横のローブ部分での異なる幅の曲線を含む。周囲曲線系はエッジリフトを提供する。このアプローチは、快適性、移動および涙液層交換を増強させるためにコンタクトレンズ技術において使用されている。被験者に置くと、実施例6の装置は全ての観点において実施例6の装置と同様に実施し、目の中でほとんど、または全く感覚のない装置により快適性が増強する追加の結果が得られる。目の移動に伴うラグ、ならびに瞬目による移動また再配置は優れていた。蛍光染料を使用することにより、周囲曲線系およびその関連するエッジリフトに対応する装置下では、染料の周囲バンドは、ハードコンタクトレンズの観察などの標準臨床評価と一致する様式で観察することができるであろう。装置の残り下での蛍光強度に対する、蛍光染料のこのバンドの幅、均一性、および強度を判断すると、ハードコンタクトレンズの臨床業務の当業者により実施される基準を使用しても臨床的に素晴らしかった。
【0081】
本明細書で開示し、主張した設計および方法は全て、本発明の開示を鑑みると、必要以上の実験無しで、作製および実施することができる。一方、本発明の設計および方法について好ましい実施形態の観点から記述してきたが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに、本明細書で記述した方法の工程または一連の工程で、設計および/または方法に様々な改変を適用することができることは明かであろう。当業者に明かなそのような同様の置換および改変は、添付の請求の範囲により記述されるような本発明の精神、範囲および概念内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】目および瞼の断面図である。
【図2】第1の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図3】図2の線3−3についての断面図である。
【図4】上強膜にフィットさせた図1の装置を有する斜視図である。
【図5】下強膜にフィットさせた図1の装置を有する斜視図である。
【図6】第2の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図7】図6の線7−7についての断面図である。
【図8】図6の線8−8についての断面図である。
【図9】第3の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図10】図9の装置の平面図である。
【図11】図9の線11−11についての断面図である。
【図12】図9の線12−12についての断面図である。
【図13】第4の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図14】図13の線14−14についての断面図である。
【図15】図13の線15−15についての断面図である。
【技術分野】
【0001】
連邦政府財政援助に関する声明
合衆国政府は、この発明について一括払いライセンスを有し、限られた状況において、特許権者に、国立健康研究所により与えられている助成金番号第2R44EY13479−02の観点から提供されるように、適当な条件で他の者に使用許諾するように要求する権利を有する。
【背景技術】
【0002】
背景
血液房水関門および血液網膜関門のため、全身経路を介して投与された薬剤を目自体に到達させることは困難である。これらの関門を克服するのに十分多量の用量ではしばしば、許容されない全身の副作用が生じる。そのため、実質的に全ての目の急性および慢性疾患は、少なくとも1日1回適用される局所的な点眼製剤の形態の薬剤により治療される。
【0003】
患者が正確に挿入することが困難である上に、点眼液を使用すると、2つの主な技術的な不都合が生じる。目からの消失が急速であり、標的組織へのバイオアベイラビリティがよくないことである。涙液膜による希釈および排除、ならびに角膜の透過障壁のため、典型的には適用した用量の薬物の5%未満しか眼内組織に到達しない。そのため、局所的な眼科用薬剤溶液は、高濃度で製剤化され、しばしば投与する必要がある。要求される投与回数、治療適用に即時関連する検出可能な症状緩和の欠如、高濃度の薬物が必要なことによる望ましくない全身の副作用、および他の理由による治療におけるノンコンプライアンスが主な臨床的な不都合である。
【0004】
固体装置を眼内または眼近傍に配置し、時間と共に薬剤または潤滑剤を供給させるという発想は新しくない。この分野における最近の科学的興味は外科的技術、薬理学および薬物動態の進歩ならびに眼科薬物供給の特定の要求に合わせることができる改良ポリマー系の有効性に由来する。明確にするために、「目に挿入される」装置はまぶたの下、眼球自体の外側に配置されることを意味し、伝統的に「眼挿入物」と呼ばれ、一方、外科的処置により眼内に挿入される装置は、眼球内に、または一部眼球内に配置される眼内挿入物を意味し、両者は区別されるべきである。実際、いくつかの装置は、眼球の球を形成する結合組織の層中に移植され、これらの層を通って眼球内まで延在することさえある。まぶたの下に局所的に挿入することができるいくつかの装置はまた、外科的処置により、最外層、結膜下、前方に、またはテノン嚢、後方に移植することができ、正確には、結膜下またはサブテノン嚢挿入物と呼ばれる。これは、眼球自体に開口せず、むしろ結膜下またはサブテノン嚢注入のために眼科医が現在使用している空間に開口する低侵襲手順により実施される。
【0005】
サエットン(Saettone)は簡潔に、下記の点において記載されているように眼科用挿入物に対する事例を記述している(サエットン、眼科薬物供給の生物薬剤学(Biopharmaceutics of Ocular Drug Delivery)、第4章、エドモンド(Edmond)P編、CRCプレス、ロンドン、1993、61−79)。
1.標準ビヒクルに関し、眼持続性が増加し、これにより、治療活性が長くなり、薬物バイオアベイラビリティが高くなる
2.正確な投与(薬物は全て、理論的に吸収部位に保持される)
3.標準的な点眼液で鼻粘膜を介して自由に起きる全身吸収の減少の可能性
4.薬剤の投与回数が減少し、視覚的および全身的な副作用の発症が減少することによる患者のコンプライアンスの向上
5.非角膜(結膜−強膜)浸透経路による内部眼組織を標的とする可能性
6.水が存在しないことによる点眼液の有効期間の延長
7.一定速度の薬物放出を提供する可能性
【0006】
従来技術は、瞼の下、結膜の潜在空間(potential space)内に装置をフィットさせることに関心を有していた。今日までの目標は、装置を、結膜の眼瞼部分(瞼の内側の膜)および結膜の眼球部分(眼球の前半球の外側の膜)により形成される、この潜在空間、または潜在ポケットに保持することであった。この潜在ポケットのより深部は、結膜円蓋(fornix)または結膜盲嚢(cul−de−sac)と呼ばれる結膜の緩いひだ(loose fold)である。この連続組織の潜在ポケットは、まつげの近くの眼瞼辺縁、および白目との角膜の境界を形成する円である角膜縁により制限される。普段何かを保持するように特に「設計」されておらず、むしろ、過剰組織により眼窩内での眼球の移動を可能とし、異物や涙液膜を眼球の後から頭や脳に行かないように保持するので、潜在空間と呼ばれる。柔らかな粘膜組織であるので、結膜はアレルゲンまたは感染に反応して容易に膨張する。そのため、占有空間は、瞼への外側に向かう圧力により、潜在的に膨張可能である。
【0007】
この潜在空間に挿入される装置は、多くの形状およびサイズを有し、しばしば、製造の容易さという工学的見地から設計される(ランド(Land)D、ベンジャミン(Benjamin)W、結膜挿入物のサイズおよび形状、ICLC.21:Nov/Dec 212 −217、1994)。得られた形状は単純であり、例えば、長楕円形、円筒形などである。そのサイズおよび形状は、錠剤製造技術およびその場で目立たないという望みに基づき断定される。すなわち、結膜嚢での快適性および保持は、眼球を覆う結膜および瞼の内側により形成されるポケット内に何かを滑り込ませる、およびそれはサイズが小さいため被験者により容認されると仮定することにより得られる。意図された空間の制限的な輪郭に特異的な設計がないと、不快となり、任意の有意の体積の装置が外に出てしまう。この全体の寸法の制限が、含有され、結果的には供給される薬物の量を著しく制限する。商業的に製造されている、薬物供給のための眼挿入物の一例が、アルザ社(Alza Corporation)に譲渡された、米国特許第3,618,604号の対象、オクセート(Ocusert、登録商標)において見いだされる。この製品は、薬物放出「サンドイッチ」を製造する工業技術見地から設計されたものであった。サイズが小さいため、十分な保持および快適性が仮定された。アルザ社に譲渡されたいくつかのその後の特許(第3,416,530号および3,828,777号)でも、主に材料特性に基づく薬物供給動力学を改善するように設計された装置が記述されている。これらの特許は、装置が眼球の強膜と下瞼との間の結膜盲嚢に挿入され、瞼の圧力により眼球に対し定位置に保持されるように適合されるという点においてのみ、設計に取り組んでいる。これらの装置は実際、本発明に比べかなり小さいが、オクセート(Ocusert、登録商標)装置の使用による保持および刺激の重要な問題が文献で報告されている(シボラ(Sihovola)Pら、オキュセート−ピロカルピン供給システムの使用における実際の問題(Practical Problems in the Use of Ocusert−Pilocarpine Delivery System) Acta Ophthalmol.(Copenh.),58(6)933−937、1980)。実際、製品は現在、製造中止されており、広く受け入れられず、臨床的に使用されていない。
【0008】
結膜盲嚢の潜在空間を利用する従来技術の別の例は、米国特許第6,217,896号におけるベンジャミン(Benjamin)のものである。ベンジャミンは、従来技術でそうすることに失敗したことを記述しているが、盲嚢に含まれる実際の体積および形状を最大限使用し、合致性を改善し、薬物量をより多くし、嚢内での安定性を増加させることを提案している。彼の設計は、結膜盲嚢の潜在空間を成形材料で最大限満たした結果であり、結果的に得られた形状を記述している。彼の設計説明は、幾分眼球表面に一致する背部湾曲を含むが、これは、ヒトの結膜嚢に含有させることができる体積および形状を最大化する彼のアプローチによるものである。自分の設計のユニークなところとして彼が記述している特徴は、膨張した嚢自体の寸法および体積であり、水平には三日月形状であり、厚い下水平隆起があり、矢状方向ではくさび形形状である。設計のための明確な数学的寸法または表記、または背部湾曲と眼球表面との間の一貫した推奨関係さえもないことから、潜在空間を成形材料で膨張させることにより潜在空間を成形する彼のアプローチが確認される。他の従来技術のように、彼の発明は眼球自体にフィットさせるように設計されておらず、経験的に導いた成形設計として潜在空間にフィットしている。瞼を眼球から引っ張って離すと、挿入物は正しい位置または向きから滑り、および/または目から落ちる。
【0009】
眼球表面に合致する背部湾曲を含む従来技術の別の例はまた、眼球自体にフィットさせるのではなく、瞼の下の潜在空間内に装置をフィットさせる工業技術アプローチを追求する。米国特許第3,416,530号で、ネス(Ness)は、「眼球薬剤分注用錠剤」を記述している。この特許の中空チャンバ(hollow chamber)は、盲嚢内で快適にフィットさせるために、かなり小さい。
【0010】
従来技術の多くは保持を達成するため材料フレキシビリティ(flexibility)に依存し、装置の材料または主張したフレキシビリティに対する任意の値もしくは範囲を特定してない。ダロガー(Darougar)に付与したWO01/32140A1では、フレキシビリティは、請求項1において、配置させると、上または下円蓋内の目の湾曲に沿って曲がるのに十分なものとして主張されており、そのため、装置は眼球のいずれの可視部分上にも延在しない。ダロガーらのフレキシビリティは、円蓋の結膜ひだ内に長く薄い装置をトラップさせることであり、特定的には、眼球との接触を排除する。我々の発明の設計の範囲では、任意のフレキシビリティの材料の組み入れが可能である。
【0011】
米国特許第6,217,896号におけるベンジャミン以外、薬物供給のための眼挿入物の技術の歴史は、結膜のひだまたは瞼と眼球との間に捕捉されている間、着用者にとって目立たないように設計された、小さな装置の作製の1つであることに注意することが重要である。これは主に、小さなサイズにより、第2に形状により、取り扱われている。安定性に対する特別な設計特徴は、取り込みを補助するアンカー、例えば、ダロガーに付与されたWO01/32140A1などのいくつかの従来技術において言及されている突起から構成される。この場合、突起はかなり小さく、長く、薄いロッド形状の装置の取り込みを補助し、円蓋の結膜ひだ内で見えないようにするアンカーとして提案されている。
【0012】
かなり少ない体積の従来技術の例は、上記オキュセート(Ocusert、登録商標)および米国特許第3,828,777号の対象を含む。これは軸上せいぜい5.7×13.4mmで、厚さが0.5mmであり、38.5μlの体積を有する。ダロガーに付与されたEPA−0262893号では、17μlの体積を有するロッド状眼挿入装置が開示されている。体積に対するこれらの制約は、目への実際の薬物供給の量およびその後の期間を著しく制限する。
【0013】
【特許文献1】特開平8−336599
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術を再検討すると、眼内で安定であり、かつ快適であるが、治療薬を制御した速度で、延長した期間にわたり供給する体積および質量を有する眼科装置が必要であることが明かである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
概要
第1の観点における本発明は、目の上強膜または下強膜上に適用する、治療薬の制御された持続放出のために適合された眼科装置を提供する。その眼科装置は、目の強膜に適合するように設計される。眼科装置はポリマー材料の細長いボディを備え、そのボディは薬学的に活性な成分または潤滑剤を含む。眼科装置は配置されると上円蓋または下円蓋内で強膜湾曲にフィットし、その装置の長軸は眼球の横径におおよそ平行であり、装置は、上または下結膜領域に挿入されると、装置が眼球、すなわち眼瞼開口の通常可視部分のいずれ上にも延在しないようなサイズおよび構造とされる。角膜コンタクトレンズの後面が、所定の様式で角膜の形状に対応するのと同様の様式で、装置の後面は、所定の様式で、強膜の形状に対応する。眼科装置の後方エッジは、角膜コンタクトレンズのエッジと同様に、エッジリフトの半径および程度でテーパをつけることができる。装置が瞼の真下の解剖学的潜在空間を占めるので、前面は、瞼形状、張力および移動と相互作用するように設計することができ、そのため、適当な位置決め、安全性および快適性が提供される。
【0016】
本発明の眼科装置は、眼内で安定であり、そのため、長期にわたってうまく保持されるように設計されている。さらに、眼科装置は、患者に、眼挿入物では達成されない快適性および許容範囲を提供するように設計される。上または下結膜領域内にフィットされた眼措置の快適性、安定性および保持の増加を使用して、長期間の連続処置により目に治療薬を供給することができる。その装置の1つの適用を、炎症、感染またはアレルギーの1度の、または定期的な処置または予防に使用することができる。1〜3か月またはそれ以上長い間の繰り返し適用を、慢性疾患、例えば緑内障に使用することができる。装置は眼科の技術者、看護師または医者により、ならびにコンタクトレンズ着用者に適用するものと同様の簡単なレッスン後、患者自身によって、着脱してもよい。
【0017】
眼科装置は、上または下結膜上に、上瞼または下瞼の眼瞼結膜および眼球の強膜を覆う眼球結膜の接合部内にうまく配置されるように設計される。眼球結膜に対し、本発明の装置は、その向きを維持し、眼球に対する瞼の圧力または動きにより、または眼球自体の動きにより、垂直または水平で最小に抑えられた移動のみを示す。瞬目または目の移動による装置のわずかな移動は、コンタクトレンズの場合のように、好都合であり、装置の目への付着、代謝片および堆積物の関連する取り込みが阻止される。角膜コンタクトレンズの眼球に対するそのような移動はしばしば「ずれ(ラグ:lag)」と呼ばれる。
【0018】
装置は位置および安定性を維持し、結膜領域内での装置のランダムな移動を最小限に抑えるように使用時に作用する隆起領域を含み、好ましくは装置のボディの中心点について対称的に配置されるように各々位置決めされた2つの隆起領域を含む。
【0019】
本発明の眼科装置は、約11mm〜約13mmの半径を有する、目の強膜にフィットするように設計される。驚くべきことに、大人の集団におけるこの半径は約12mmでかなり一定である。そのため、装置は全体的に、約11mm〜約16mmの基本曲線半径を有する。好ましくは、装置の基本曲線半径は12〜14mmである。
【0020】
一般に、大人では、上円蓋により制限される強膜の領域は、下円蓋により制限される強膜の領域よりも大きい。このように、35mmまでの長さを有する本発明の眼科装置は、上強膜上で維持され、25mmまでの長さを有するものが下強膜上で維持されると、不快さが生じない。
【0021】
本発明の装置の長さは、幼児、小人および大人などの異なるサイズの目に適応するように上強膜上で使用するためには8〜35mmが都合良く、または幼児、小人および大人などの異なるサイズの目に適応するように下強膜上で使用するためには8〜25mmが都合がよい。
【0022】
本発明の装置の幅(目の上の装置で垂直子午線の高さ)は好ましくは、幼児、小人および大人などの異なるサイズの目に適応するには約1.0mm〜14.0mmである。
【0023】
本発明の装置のエッジは好ましくはテーパが付けられ、より好ましくは、快適性および瞼相互作用を最適化するために、前後周辺表面の要素、例えば、周辺曲線幅および半径、ならびに結果として得られるエッジリフトおよびエッジ先端輪郭を含む。
【0024】
本発明の装置の体積は約70μl〜約400μlの範囲とすることができ、好ましくは大人では約100μl〜約200μlである。5歳未満の幼児および小人では、100μl未満の装置が必要かもしれない。
【0025】
一定の好ましい実施形態およびそれらの改変は、添付の図面を参照して本明細書で詳細に記述した説明により当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、ハードガス透過性およびソフト角膜コンタクトレンズ設計においていくつかの基本を有する原理を組み入れ、より特定的には、本発明による眼科装置の工学技術は特に、目の強膜(白目)にフィットさせている間に目に薬物供給するための装置を製造するために適している。したがって、および下記で極めて詳細に記述されているように、本明細書で記述されている装置設計は、背部中央湾曲、周辺湾曲、エッジ先端輪郭、エッジリフト、全体の形状、および上下強膜の特徴および範囲を定められた観点に対応する厚さプロファイル、例えば、強膜表面湾曲、外眼筋付着(insertion)点、強膜角膜連結部輪郭、および対応する瞼相互作用に取り組んでいる。従来の装置および薬物供給アプローチとは完全に対照的に、本発明の眼科装置は特に、目の強膜にフィットするように設計され、全体のフィッティング輪郭が、強膜の制限的な解剖学的特徴および特色、例えば外眼筋付着部および角膜との角膜縁連結部などを説明する。装置は流体引力により定位置に保持され、装置はコンタクトレンズの場合のように、移動、位置決め、安定性および快適性に対し、瞼と相互作用する。後方輪郭により強膜の表面に対し快適な相対的接合が可能となり、瞬目および目の動きによる移動が可能となる。本発明の実施形態の前方輪郭、エッジ設計および厚さプロファイルは、瞬目中および瞬目間の両方で瞼と相互作用し、装置を強膜上の安定で快適な位置に最適に配向させる。各装置は、コンタクトレンズが典型的に透明な角膜上に配置されるように、ヒトの目の上または下の前部強膜(白目)に、または霊長類および四肢動物の治療において、配置することにより挿入される。装置の設計では、保持のために結膜盲嚢内に挿入する必要はない。ちょうど目を開けた時にコンタクトレンズが定位置に残っているように、この設計により、装置は、瞼を収縮させても(retracted)定位置に残ったままとすることができる。この設計は、広範囲にわたる薬物、潤滑剤および他の薬剤、ならびに広範囲にわたる可能な侵食および非侵食薬物供給材料または材料の組み合わせと共に、例えばポリマーマトリクス化学もしくはリザーバシステムを介して、実施形態において使用することができる。装置のポリマー材料は、35℃の気体転移を超える任意のポリマーとしてもよい。例えば、シリコーンエラストマー、アクリレート、およびメタクリレート組成物類およびヒドロゲル類が適している。治療薬または潤滑剤放出の機構は、例えば、装置のマトリクスを介する拡散、装置の外壁を介する拡散、浸透および生物浸食によるかもしれない。装置の設計により、大量の薬物を長期にわたり供給させることが可能である。
【0027】
図1について説明すると、前部眼球の解剖学的構造および本発明の詳細な説明に関し、下記定義および用語を使用してもよい。目について記述する場合、多くの異なる確立された解剖学用語を使用して説明することが慣例となっている。図1では、眼球の透明な前部分である角膜20を含み、目の残りよりも鋭い湾曲を有する目10が図示されている。角膜縁30は角膜20と眼球結膜40と強膜50との間の輪状境界ゾーンを記述する。結膜60は眼瞼辺縁から角膜縁30まで延在する粘膜を示し、瞼の内側層および眼球の前部外側層を形成する。結膜円蓋70は、結膜盲嚢80の瞼(眼瞼)および眼球部分を連結させる緩く、自由な結膜である。結膜盲嚢80は眼球と眼瞼結膜との間の潜在空間であり、結膜円蓋内に存在し、結膜円蓋は装置または他の物体もしくは物質を挿入することにより膨張し実空間となる。眼瞼結膜は様々な筋肉90および瞼の包埋(embedded)腺92により支持される。前に言及したように、強膜50は眼球の白く、不透明な外膜であり、前方の角膜20により覆われたセグメント以外の眼球全体を覆う。強膜50は前方を結膜60により覆われる。
【0028】
図1〜3について説明すると、図2および3は一般に、本発明の特徴を具体化し、ヒトの目10の下または上の前部強膜(白目)50上に、または霊長類および四肢動物の治療において配置することにより、目10内に挿入され、装着されるように構成された眼科薬物供給装置100を示す。装置100について、本発明の眼科薬物供給装置の全ての構造および機能を説明するのを助ける多くの設計用語を規定するために、最初に図2において説明する。このように、以下で、装置100は本発明の単なる1つの例示的な実施形態にすぎず、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではないことは理解され、より明らかになるであろう。
【0029】
装置100は、装置の縁の丸めの量および位置決めであり、典型的には装置100の周囲で掃引された半径プロファイルとして規定されるエッジ先端輪郭112を有するボディ110を含む。装置100は各子午線、すなわち垂直(軸3−3)および水平(軸H−H)における主半径として規定され、強膜50と接触する装置100の表面(装置の後面)である基本曲線114を有する。各子午線における値が同じである場合、基本曲線114は、球面基本曲線として規定される。各子午線における値が異なっている場合、後面は円環状後面として規定される。装置100はまた、エッジリフト116を有する。エッジリフトは、基本曲線114がより平坦である(増加する)場合、エッジ先端輪郭112に隣接する、およびそれに従う周囲の断面形状幅である。エッジリフト116はインクリメント半径増または幅により規定される。
【0030】
前方曲線118は、各子午線、すなわち垂直および水平(ボディ110に沿って規定された軸)における第2の装置半径として規定される。前方曲線により、瞼と接触する表面が生成する(装置の前面)。各子午線における値が同じである場合、前方曲線118は球面と規定される。各子午線における値が異なっている場合、装置100の前面は円環状前面として規定される。好ましい実施形態、本明細書で開示したこの装置100では、前方曲線118は円環状と規定される。装置100はまた、1つの規定された形状または断面を別のものに橋渡しする滑らかにブレンドされた輪郭表面を規定する多項式により得られる幾何学的構成要素である雲形(Spline)120を含む。レンチキュラー(lenticular)122は、装置100の瞼側にあるエッジ先端輪郭112に隣接する前方湾曲形状での装置100のエッジの厚さのマニピュレーション(manipulation)である。レンチキュラー122は正(positive)または負(negative)の曲線とすることができ、典型的には主な前方曲線半径形状への逆半径方向を有し、レンチキュラー122はエッジ先端輪郭112のプロファイルに従い、装置100の周囲では断面プロファイルの厚さが減少する。
【0031】
装置のボディ110は、装置100の位置決め、安定性、移動および快適性に対する瞼の効果に敬意を払いながら、眼球自体の白目部分(強膜50)の輪郭にフィットするように構築および構成される。このフィットは、角膜20の輪郭上での角膜コンタクトレンズの設計およびフィッティングから類推できる。コンタクトレンズの主機能は、屈折異常を光学的に較正するものであるが、レンズはまた、快適性、安定性および非刺激性を提供し、正しく機能するように定位置に維持されるよう設計されなければならない。定位置に維持されるが、瞼の動きによるわずかな移動および眼球が動いた後のわずかなラグも保持しなければならない。これによりレンズの周りの涙液層の循環が可能となり、発赤、炎症および組織への付着、および前または後面上での粘液および他の表面堆積物の蓄積が回避される。同様に、薬物供給のために眼科装置、例えば装置100はまた、位置安定性を示さなければならず、さらに、好ましくは、同じ理由によりわずかな移動およびラグを保持する。着用時間が進んでも、過剰の自覚が引き起こされ、または不快さが生じてはならない。瞼との相互作用はまた、コンタクトレンズを用いた場合のように、設計により決定され、装置100の位置決め、安定性、移動および快適性に影響するであろう。装置100と瞼の正しい相互作用により、装置100の周囲の涙液層の流れも可能となり、これにより、結膜盲嚢80内に単純にトラップさせた異物によって起きる傾向のある粘液の蓄積がないように補助される。
【0032】
本発明の装置100は、図4に示されるように角膜20より上、または図5に示されるように角膜20より下の強膜50上で着用することができる。そのため、本発明の原理および特徴を具体化した眼科薬物供給装置は全て、これらの2つの位置のいずれかに配置することができ、そのようなものとして一線を画すことができることは認識されるであろう。
【0033】
コンタクトレンズのフィットおよび保持は、涙の表面張力(流体引力)による装置の目への引力に依存し、コンタクトレンズの後部の湾曲により促進される。典型的にはコンタクトレンズは角膜の湾曲に対応する(当業者に周知の関係に従う)背部湾曲を有し、そのため、レンズは強膜、すなわち目の白目部分ではなく角膜表面に引き付けられる。コンタクトレンズの目への一般的な引力は、着用者が目を開けている時に頭を下に傾けてもコンタクトレンズが簡単に落ちないという事実により証明される。
【0034】
コンタクトレンズの目の特定の部分(角膜20)への引力は、目を大きく開くと、注視方向の変化に伴い、レンズは目と共に、例えば、左右または上下に移動するという観察結果から証明される。このコンタクトレンズの眼球の特別な部分(形状)への優先的な引力は、特に、より急に湾曲した角膜20対より平坦な強膜50では、目を大きく開いたままで、ソフトコンタクトレンズを角膜20から目の白目部分50まで引きずり、小さな部分のみを角膜20上に残すことにより、証明することができる。目が十分濡れている限り、コンタクトレンズは瞬目無しで、自然に角膜20上に戻っていく。これは、コンタクトレンズが、一連の後部ベース(中心)および周囲曲線ならびに直径、厚さなどにより角膜20に密接に関連して配置されるように特異的に設計されているからである。要するに、コンタクトレンズ着用の設計および意図は、コンタクトレンズを角膜20上に配置することであり、目10の別の解剖学的領域でのコンタクトレンズの配置は全く教示、または示唆されていない。実際、コンタクトレンズは、他の領域、例えば具体的には強膜50に配置するには適していない。
【0035】
このように、コンタクトレンズ設計および着用は、本発明とは完全に対照的であり、本発明では、装置100は、強膜50上の定位置に維持されるように、前眼部の白目部分50の輪郭および解剖学的特徴にフィットするように設計される。現在入手可能なコンタクトレンズは、薬物供給ための眼科装置のいくつかの所望の属性、例えば、十分な快適性、保持および移動を有するように設計されているが、重要な薬物供給能力を提供していない。これは、レンズ材料が、かなり長期にわたる薬物供給を実施することができないからである。薬液に予め浸漬させたコンタクトレンズを調査するほとんどの研究において、全ての薬物がせいぜい数時間、またはおそらく1〜2日で放出されてしまうことが示されている。光学的透明性(視覚のため)および酸素透過性(無血管結膜での十分な代謝のために必要)を有する使用可能なコンタクトレンズ材料の制約により、長期薬物供給を提供するポリマー材料を選択することは最優先されない。このように、コンタクトレンズ設計を模倣することに焦点を当てた従来の薬物供給設計では、多くの不都合がある。
【0036】
本明細書で開示した本発明は特に、視軸の外側で、無血管結膜からはずれて維持され、眼球の角膜ではない(強膜)前面にフィットするように設計される。そのため、光学設計、光学的透明性および酸素透過性は、本発明を構成する設計と共に使用することができる材料に対し制限的なパラメータではない。
【0037】
装置100は、薬物を目に局所的に供給するために、角膜ではない、前眼表面で維持されるように構成される。局所薬物供給の機構の観点から考えられた現在の眼科薬物供給とは対照的に、本発明の装置100は特に、目10の強膜50にフィットするように設計されている。これは、本発明の装置100の各実施形態が、目を大きく開いている間コンタクトレンズが角膜20上に存在するのと同様に、瞼を目10から引き離しても強膜50上に存在するという事実により証明される。これは、定位置に保持するために結膜嚢のひだに、または瞼と眼球との間に装置をトラップさせることに依存する従来の眼科薬物供給設計のアプローチとは異なるアプローチである。
【0038】
しかしながら、保持に加えて、コンタクトレンズ分野における「フィット」という用語はまた、位置決め、安定性、移動、瞼の相互作用、さらには快適性さえも含む。コンタクトレンズ設計のように、この出願で記述した装置100を「フィット」のこれら全ての観点において十分機能することができるようにする特定の設計特徴が存在する。目10の強膜50にフィットさせ、目10および瞼の移動との動的相互作用を説明するその設計のため、本発明の装置100は大きな設計において快適性を提供する。総装置体積は、従来の多くの装置体積に比べずっと高くすることができる。従来技術では、検出可能な感覚または不快さを生じさせるそのサイズにより著しく制限されている。
【0039】
本発明の眼科装置は、その単純な形態で、目の強膜50にフィットするように設計される。一般に、ほとんどの装置は、水平寸法が垂直寸法よりも大きい、全体的に概卵形を有するボディを含む。これは、図6〜8で示した実施形態で図示されている。この場合、例示的な眼科装置200が提供される。眼科装置200はボディ202と、第1の端203と、対向する第2の端205と、ならびにボディ202の周囲エッジ211に沿って互いに最も近くなる前面207と、対向する後面209とを有する。
【0040】
形状が、ボディ202の幅に沿って延在する中心軸(垂直子午線)(例えば、図6の線7−7)に対し対称であることが好ましく、そのため、横半分は鏡像である。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目の上または下強膜50上で使用することができる。装置200の基本曲線212半径は、強膜50にフィットするように選択される。図7において最もよく示されているように、ボディ202はそのエッジ211では厚さが小さく、ボディ202の中央に向かって大きくなる。より特定的には、ボディ202は、ボディ202の側縁の両方から測定すると、その中央で最大厚を有し、その結果、最大厚が図6の線8−8(水平子午線)に沿って存在するように設計することができる。この構造のため、装置200の厚さは、ボディ202の両側縁から中央に向かって連続して増加することが認識されるであろう。
【0041】
さらに、第1端203から対向する第2端205までのボディ202の断面厚は、図8で最もよく示されているように、同様に均一ではなく、ボディ202の中心部分(中央)から各端203、205に向かって内向きにテーパが付けられている。第1端203から第2端205まで縦方向に測定すると、ボディの最大断面厚は一般に図6の線8−8に沿って存在する。このように、ボディ202はその中心領域から端203、205に向かって縦方向にテーパが付けられ、そのため前面207と後面209との間の距離は中心領域で最大となり、端203、205で、より特定的にはボディ202の周囲エッジ211に沿って最小となる。周囲エッジ211に沿って測定すると、ボディ202のエッジの厚さは一般に、前面207と後面209とが交わる楕円ボディ202の周囲全体に沿って均一である。したがって、このボディ設計は、均一なエッジ半径を有するかなり球面の基本曲線上の著しい円環形状であるとして特徴づけられる。1つの例示的な実施形態では、装置200は下記寸法を有することができる。ボディ202の中心を通して、すなわち図6の線7−7に沿って測定すると、幅は約10mm〜約25mm、高さは約5mm〜約12mm、断面厚(中心厚)は約1.0mm〜約3.0である。装置200の基本曲線半径は約12mm〜約14mmである。装置200が上記寸法を有する場合、体積は約72μl〜約400μlの範囲である。前記寸法は本質的には例示にすぎず、いかなる意味においても本発明を制限しようとするものではないことは認識されるであろう。装置200が上記範囲の1つの外側に存在する1または複数の寸法を有するが、依然として眼科供給装置として完全に動作することができるからである。
【0042】
前に言及したように、本発明者らは、装置200が、図4で示したように上強膜または図5に示したように下強膜のいずれか上に配置するのに特に適しており、そのように構築および構成されることを発見した。装置200はこれらの位置で着用するのに快適であるだけでなく、目10に挿入され、強膜50以外の位置、例えば角膜20で着用される従来の眼科装置では達成することができなかった上記好都合な薬物供給特性を有する。
【0043】
図9〜12は本発明の第2の実施形態による眼科薬物供給装置300を示す。眼科薬物供給装置300は装置200と多くの類似点を共有する。例えば、どちらも強膜50上に配置されるものである。しかしながら、装置200に比べ装置300の構成および設計の観点では多くの違いが存在する。装置200と同様に、装置300はある程度の対称性を有する。装置300はボディ302を有し、ボディ302は好ましくは、ボディ302の第1端304および対向する第2端306から等距離にあり、そのボディ302の2つの側の間に延在するものとして規定される中心軸について対称である。この中心軸(垂直子午線)は図9において線11−11として描かれている。装置200のように、装置300は前面301および後面303を含む。
【0044】
図9の正面図で最もよく示されているように、装置300は一般に、かなり薄い中心部分308と、それぞれ、端304、306で形成される2つの対向するローブ部310を備える「ダンベル」形態をとる。ローブ310の中心部分308(図9の正面図でみると、垂直子午線11−11)に対する中心軸アスペクト比は、約2:1〜約10:1まで変動させることができる。理論的には、中心部分308は無限に狭く、薄くすることができるが、そのような寸法に到達すると、安定性および快適性にますます悪影響を与え、そのため、制限するものではないが、上記範囲が、適した装置300を得るための指針となる。装置300のダンベル形状は、質量を中心308から装置300の端304、306に向かって再分配させ、瞼の下の強膜50上での望ましい位置決め、および体積を維持したままでの、目10でのより高い安定性が得られる。
【0045】
装置300の周囲で質量が増加すると、外眼筋付着部(上または下直筋)により制限される、45度四分円対中心軸(上下)において有効な強膜表面積が大きくなるという利点が存在する。中心部分に対しローブ310の形状がより大きいこと、目の表面からのローブ310の高さが大きいことおよびローブ310の表面輪郭は全て、強膜50上での装置300の正しい位置決め、安定性および移動に寄与する。ローブ310は任意の幾何学的形状の周囲を有することができるので、瞼との最適相互作用および瞬目過程のために、中心接続部分308から遠位のローブ310の周囲は一般に、図9の平面図で示されるように球面の外観を有し、端304、306で、それらの間に雲形を備えた放物形を有することができる。
【0046】
ローブ310の最大直径は約0.5mm〜約20mmとすることができる。より好ましくは、直径は約3mm〜約17mmである。最も好ましくは、ローブ310の最大直径は約7mm〜約13mmとすることができる。装置300の中心部分308の前面303から後面301まで測定すると(コンタクトレンズの場合の同じ測定と同様)、中心厚は約0.50mm〜約4.0mm、より好ましくは約0.10mm〜約2.0mm、最も好ましくは約0.10mm〜約1.25mmとすることができるが、ローブ310の中心部分を横切るように測定した厚さは約0.5mm〜約5.0mm、より好ましくは約0.5mm〜約3.0mmとし、瞼から視認可能な隆起としないことができ、最も好ましくは、約0.5mm〜約2.5mmとすることができる。ボディ302の他の領域に比べローブ310の厚さおよび体積を大きくすると、瞼との相互作用により目の上での位置および安定性を維持しながら、臨床量の薬物供給のための十分な体積が保持される。中心部分308の厚さプロファイルをローブ310の厚さプロファイル以下に維持すると、有効な潜在体積が減少するが、装置300の使用で、位置、安定性、外観(瞼を通して隆起がわからない)、および快適性においてかなりの利点が得られる。ローブ310の鼻および一時的な周囲(「端」)304、306は、円形、放物線または楕円形状を近似することができる。装置300の中心部分308と各ローブ310との間の移行曲線は直線、放物線、楕円または双曲線とすることができ、雲形が好ましく、ブレンドして線12−12で中心断面となる。装置300の全体の水平幅は約10mm〜約25mmの範囲とすることができ、基本曲線半径314は約12mm〜約14mmである。装置300の全体の体積は約70μl〜約400μlである。装置300の厚さは、エッジ周囲全体313の周りの、規定した最小の、ほとんど均一なエッジ厚までテーパが付けられている。
【0047】
垂直子午線(軸11−11(垂直子午線))についての装置300の対称性は、横半分が鏡像となるようなものとする。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目10の上または下強膜50上で使用することができる。
【0048】
図13〜15で示したさらに別の実施形態において、眼科薬物供給装置400を提供する。多くの意図した用途では、装置400の実施形態は、上記理由のため、他の前の実施形態(装置200および300)よりも好ましい。より特定的には、装置400は目10の解剖学的特徴によりよくフィットするように設計される。本発明のこの実施形態では、目10上に配置している間、角膜20に近接する中心部分404のエッジ402は、角膜周囲の突出におおよそ対応する形状を有する。この内部に湾曲した形状は、角膜境界(角膜縁)および装置400境界を角膜面内に突出させても、装置400が上または下強膜50上の意図した位置にある場合、角膜境界に対しおおよそ均一なクリアランス(clearance)を有するような湾曲を有する。この特徴は「角膜解放(レリーフ:relief)曲線」と呼ばれ、一般に410で示される。この設計における角膜開放曲線の湾曲は、角膜と強膜の接合部(角膜縁)の湾曲の円錐または雲形投影形(Spline Projection)である。最も好ましくは、強膜50に沿う角膜縁からの放射状の均一オフセットに従う。装置400の中心とローブ部分420との間の中心軸14−14(垂直子午線)のこの内側への湾曲のために、14−14に対し平行に測定した、高さの差は、約0.50mm〜約3.5mm、より好ましくは、約0.50mm〜約2.5mmとすることができる。「レリーフ輪郭」は、敏感な角膜表面に影響を与えない形状を提供し、これにより、快適性および潜在的には視覚への影響が避けられ、角膜20に関しては均一なクリアランスが近似される。
【0049】
角膜から遠位の中心部分404のエッジ306は、内側に向かって湾曲した形状を有し、湾曲により、(上または下強膜上の装置の配置により、上または下)直筋付着部のクリアランスが得られる。この特徴は「筋肉レリーフ曲線」と呼ばれ、一般に418で示される。この内側に向かう湾曲により、装置400の中心とローブ部分420との間の中心軸14−14の高さの違いは、約0.15mm〜約2.5mm、より好ましくは約0.15mm〜約1.5mmとすることができる。
【0050】
そのような実施形態では、図13における中心軸14−14(垂直子午線)についての対称性が維持され、ほとんどの場合において下方にまたは上方に着用されるが、中心部分404の質量は角膜に対し遠位の図13の長軸子午線15−15の側ではより大きくなり、そのため、上方位置では、装置400の内側に向かった湾曲418により上直筋付着部がクリアされるが、結膜に対し近位の側410よりも、内側に向かう湾曲がより小さい。
【0051】
線14−14(垂直子午線)に沿った中心厚は、1つの態様によれば約0.25mm〜約3.0mmで変動し、端414〜端416まで測定した装置400の縦の長さは約15mm〜約22mmであり、最大垂直高さ(図14の側面図で見られる)は約5mm〜約14mmである。中心点でのこの中心部分404を横切る、近位〜遠位レリーフ曲線の、軸14−14に沿った距離は、約0.5mm〜約12mmで変動することができる。約1mm〜約10mmの範囲がより好ましい。約6mm〜約10mmの範囲が最も好ましい。中心部分404の両側の各ダンベル(それぞれの端ローブ)420の中心は、その厚さが約0.5mm〜約5.0mm、より好ましくは0.5mm〜約3.0mmであり、瞼を介する視認可能な隆起が避けられ、より好ましくは約0.5mm〜約2.5mmである。ローブ420は、約70μl〜約400μlの範囲の、装置400の体積の大部分を含むことができる。
【0052】
装置400の、一般に412で示される基本曲線半径は約12mm〜約14mmである。
【0053】
各端ローブ420は、各端ローブ420の周囲部分よりも薄い、中央周囲部分422を有する。これは著しく高倍率のハードコンタクトレンズの形状で典型的に使用されているエッジプロファイル技術を模倣したものである。そのような高倍率レンズでは、上瞼との相互作用により、一般的な臨床角膜コンタクトレンズ設計が最も角膜からずれやすいことが観察されている。そのようなコンタクトレンズの体積は、視力矯正のための十分な視力を提供することが必要である。同様に、装置400の体積は、放出するための十分な薬物を提供することが必要である。どちらの場合でも、レンチキュラー特徴は、瞼との相互作用により、十分な体積を有する装置400の位置および安定性を維持するのに有利である。レンチキュラー特徴により、約0.5mm〜約3.5mmの範囲で、ローブ420の正の前方先端曲線から移行して負の背向曲線にブレンドされる。
【0054】
装置の軸14−14(垂直子午線)についての対称性は、横半分が鏡像となるようなものとする。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目の上または下強膜50上で(角膜面で180°回転させることにより)使用することができる。
【0055】
全ての実施形態において、背面は、材料のフレキシビリティによっては、少なくともその場で、主強膜湾曲に近似する。装置を形成するために使用される材料のフレキシビリティにより、装置を挿入する前に、背面がどのくらい密接に強膜湾曲に対応しなければならないかが決定される。例えば、理論的には、フレキシビリティの高い材料は大きな基本曲線半径を有するように作製することができ、使用時に強膜の表面に合致させることができる。これは目の上でのソフトコンタクトレンズの「ドレープ」効果に匹敵する。
【0056】
本発明は、円蓋の結膜ひだ内へのトラップを補助するのではなく、眼球の表面にフィットさせるために眼球湾曲への合致を使用する。この発明の設計は、より長期にわたり目に供給させるためのより多量の薬物を含むより体積の高い装置を用いて快適性と保持とのバランスをとるために、目10の強膜50にフィットする表面形状を提供することを目的とする。この発明の後面の基本湾曲および周辺湾曲を調整することにより、広範囲にわたるフレキシビリティを有する多くの材料を使用することができる。材料特性に対するそのような設計の適合は、コンタクトレンズ設計分野において周知である。コンタクトレンズ設計の分野で周知なように、様々な球面、非球面および円環周囲曲線系と組み合わせた、球面、非球面および円環背面基本曲線の範囲により、眼球の表面にフィットする後面が提供される。
【0057】
そのため、平坦な後面が本発明の可能な後面の範囲内にあるが、本発明の装置の体積の好ましい範囲では、目に挿入する前に後面が平坦である場合、使用される材料に実質的に関係なく、ドレープ効果がより小さくなり、強膜表面に一致する傾向がより制限されてしまう。これは、非常に薄い低倍率ソフトコンタクトレンズではなく、厚いソフトコンタクトレンズ、例えば目の上での無水晶体症、ドレーピング、屈曲、または湾曲の矯正に使用される高倍率レンズに相当する。同様に、かなりフレキシブルな薄い低倍率ソフトコンタクトレンズでさえも、平坦な後面とは対照的に、幾分眼(角膜)湾曲に対応する基本湾曲を有するように製造されるということができ、フィッティングおよびドレープイングが補助される。そのため、本発明の好ましい実施形態では、装置は強膜湾曲に近似する後面を有するであろう。
【0058】
実際、前強膜の表面は幾分円環状の非対称表面を形成する。これは、設計を中心角膜トポグラフィーに基づかせるのではなく、より非対称な中間周囲角膜上でコンタクトレンズをフィットさせることに類似する。裏円環設計非球面後面コンタクトレンズを、そのような円環表面上で使用するために適用することができる。そのため、より好ましい態様は、強膜湾曲に合致することができる非球面形状または2つの球面半径を有する後面を有する。球状裏面設計を有する可能な薬物供給装置は強膜表面に十分近似するが、楕円または非球面裏湾曲の平坦化および急勾配化により、移動および涙の流れを微調整することができ、これにより装置の最適フィットが得られる。
【0059】
装置の裏面の特定の設計の別の利点は、均一な涙液層の流れが可能となることである。より均一な涙の流れにより、装置から目への薬物の放出がより一定になる。そのため、円環離面はよりフレキシブルな材料では必要ないが、より硬質の材料を用いた位置決め、安定性、快適性、保持および均一な薬物供給では好ましい。そのため、本発明の最も好ましい実施形態は、わずかに楕円の強膜表面と合致することができる2つの楕円半径を有する後面を含む。これらの楕円半径は製造プロセスにより得ることができ、またはフレキシブル材料の球面半径装置のその場合致から得ることができる。周囲曲線430のエッジリフト半径は、各子午線において基本曲線半径よりも0.0〜5.0mm平坦とすることができる。より好ましくは、各子午線において基本曲線半径よりも0.50〜5.0mm平坦とすることができる。最も好ましくは各子午線において基本曲線半径よりも2.0〜5.0mm平坦とすることができる。周囲曲線430幅は0.10〜2.0mmの範囲とすることができる。より好ましくは0.10〜1.0mmである。最も好ましくは0.25〜0.75mmである。得られたエッジプロファイルは、装置400の前面および後面の周囲湾曲430を組み入れる。
【0060】
コンタクトレンズ設計は瞬目および/または瞬目間の期間、瞼相互作用を使用し、角膜に対しコンタクトの位置決めを最適化する。コンタクトレンズ設計の場合のように、本発明の最も好ましい実施形態は、瞬目中および瞬目間の両方で、瞼と相互作用し、この場合強膜上で、装置を安定で快適な位置に最適に配向させる、前方形状、エッジ輪郭および厚さプロファイルの重要な設計特徴を有する。
【0061】
コンタクトレンズ設計の技術分野で周知の本発明のそのような設計特徴の例は、マイナスキャリヤ(minus−carrier)レンチキュラーの追加の例である。この設計特徴はエッジプロファイル厚に影響し、瞼との相互作用に影響する。これにより、快適性が援助され、目の上の所望の位置でコンタクトレンズを安定化し位置決めされることが知られている。同様に、本発明者らのより好ましい実施形態のレンチキュラー設計では、眼科装置が強膜上の最適な位置に配置され、安定化される。実際、コンタクトレンズの実際の技術分野では、マイナスキャリヤレンチキュラーを有する角膜ハードコンタクトレンズは、誤って上強膜上にずれると、その位置で安定なままである傾向があることが観察される。これは角膜に戻る傾向のあるレンズの別の設計特徴にかかわらない。このマイナスキャリヤレンチキュラー型周囲プロファイルの瞼との相互作用を、本発明の最も好ましい実施形態で使用し、強膜上の上位および下位のいずれかにおいて装置の位置および安定性を最適化している。より好ましい実施形態は、装置の中心部分の半径よりも大きな半径を有するローブ上でレンチキュラーを使用する。そのため、レンチキュラー半径は装置の中心垂直子午線で最も小さく、その点での遠位(非結膜)側レンキュラー半径はローブのより大きなレンチキュラー半径により近く、近位(角膜)側の半径よりも大きな(約2倍サイズ)の半径を有する。本発明の好ましい実施形態では、装置の周囲全体にレンチキュラーが備えられ、瞼による装置の位置の維持、瞬目による装置の位置決めと移動のバランス、瞼の移動による装置または異物の感覚の認識を最小に抑えることが補助される。遠位(非角膜側)中心垂直子午線、近位(角膜側)中心垂直子午線およびローブに対するレンチキュラー半径はそれぞれ、好ましくは、0.0〜5.0、0.0〜5.0、0.0〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.5、0.5〜3.5、0.5〜3.5mm、最も好ましくは1.0〜2.0、0.25〜1.5、1.5〜2.5mmである。レンチキュラーはバランスを増強させ、瞼接触領域との相互作用での装置の感覚を最小に抑える。上瞼の移動に直面した安定性および保持は、特にレンチキュラー設計の使用により最適化される。
【0062】
本発明の実施形態の全体形状および表面およびエッジ形状となる設計の同じ要素により、目10の前方および後方に薬物を供給させるために、結膜またはテノン嚢下に本発明の装置を外科的処置により配置することができる。好ましい実施形態の全体形状は、一定の外眼筋付着部に対し前方または後方の位置にフィットする。筋肉付着部に対し後方に配置する場合、筋肉レリーフ曲線はその機能を維持するが、角膜レリーフ曲線は「視神経」レリーフ曲線となる。主に前および後面上での湾曲およびエッジ先端輪郭により、必要であれば、外科的処置による挿入、着用および外科的処置により除去中の、本発明の装置の周囲の組織との構造的な干渉が最小に抑えられる。本実施形態の各々において記述しているように装置の最大化体積により、かなりの量の薬物を供給することができ、必要とされる外科的置換数が最小に抑えられ、目の正常な動きおよび感覚において目立たないままである。
【0063】
本発明は、従来設計されている眼科装置に関連する欠陥を克服し、下記特徴の1または複数を組み入れた眼科装置設計を記述する。(a)眼科装置は、目の強膜にフィットするように設計され、(2)眼科装置は瞼とは関係なく目の上で保持されるように設計され、(3)眼科装置は瞬目に伴い移動し、位置決めするように設計され、(4)眼科装置は、装置の基本湾曲が球面、非球面または円環状であり、強膜の解剖学的形状に関連して規定されるように設計され、(5)眼科装置は質量および体積を最大化するために1または複数のローブを使用し、(6)眼科装置は中心接続部分よりも質量および厚さが大きい2つのローブを採用し(ダンベル形状)、(7)眼科装置は約70μl〜約400μlの体積を有し、(8)眼科装置は約8mm〜約35mmの長さを有し、(9)眼科装置は約1.0mm〜約14mmの高さを有し、(10)眼科装置は約0.10mm〜約5.0mmの厚さを有し、(11)眼科装置は明確なエッジ先端輪郭を有し、(12)眼科装置は明確なエッジリフトを有し、(13)眼科装置は明確な前方曲線を有し、(14)眼科装置は円環状の前方曲線を有し、(15)眼科装置は非球面前方曲線を有し、(16)眼科装置は前方曲線形状において使用されるレンチキュラーを有する。
【0064】
本発明は、従来技術により主張されているものよりかなり大きな寸法で作製することができるが、依然として安定で、快適である。最終的な体積、形状特徴および装置設計の使用目的により、装置の挿入、その場評価および除去が、眼科医、検眼医、他のコンタクトレンズ施術者、看護師、眼科技術者にわかりやすくなる。本発明は、ピンセットまたは他の器具または挿入もしくは除去のための外科的処置を必要としない装置を記述する。患者には、そのような装置を、コンタクトレンズを挿入および除去するために教示された様式で、挿入および除去するように教示することができる。これは、例えば、目の後方セグメントへの薬物供給(この場合、装置移植手順において外科的器具が関係する)のために、結膜またはテノン嚢下に配置される装置を除外するものではない。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、装置は非腐食性または腐食性材料から製造される。非腐食性材料の例は、ポリアクリレート類およびメタクリレート類、ポリビニルエーテル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリ塩化ビニル、フルオロポリマー類、ポリウレタン類、ポリビニルエステル類、ポリシロキサン類およびポリスチレンン類であるが、これらに限定されない。腐食性材料の例はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリレート類、例えばポリアクリル酸塩類、エチルアクリレート類およびポリアクリルアミド類、天然物、例えばゼラチン、コラーゲン、アルギナート類、ペクチン類、トラガカントゴム、カラヤゴム、クロンドラス(chrondrus)、寒天およびアカシアゴム、デンプン誘導体、例えば酢酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプンエーテル類およびヒドロキシプロピルデンプン、ならびに合成誘導体、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中和カルボポール(Carbopol、登録商標)、キサンタンガム、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファジン、ポリリン酸エステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の別の実施形態では、薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を目の下強膜または上強膜上に配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含む薬剤を必要とする個人の目に薬剤を供給する方法が提供される。代表的な眼疾患は緑内障であり、当業者は、この発明を使用するこの様式で治療することができる目の他の疾患、感染または炎症を認識するであろう。本発明の薬物供給装置は、緑内障、アレルギー、感染、炎症、ブドウ膜炎、外傷、術後予防、疼痛、ドライアイまたは変性状態のための任意の様々な有益な薬物を含んでもよい。他の薬剤、例えば、潤滑剤類、増粘剤類、緩和薬類、またはビタミン類もまたこの発明により供給させてもよい。
【0067】
本発明のさらに別の実施形態では、薬剤を必要とする個人に薬物を全身的に供給する方法が提供され、この方法は、眼内吸収動力学がよくない薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を目の下強膜または上強膜上に配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含み、これにより放出された薬物が涙ドレナージ経路により鼻涙管内まで移動し、鼻粘膜およびドレナージ経路を介して全身的に吸収される。代表的な全身疾患は糖尿病であり、代表的な薬物はインスリンであり、当業者は、本発明の眼科装置を使用するこの様式で治療することができる他の全身疾患、感染または炎症を認識するであろう。
【0068】
本発明の別の実施形態では、薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を、上または下直筋付着部に対し後方にある目の下強膜または上強膜上、結膜、筋肉間膜、またはテノン嚢下、または強膜外隙内にまで、配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含む薬剤を必要とする個人の目に薬剤を供給する方法が提供される。この外科的移植では、装置は、さらに、付着部の解剖学的潜在空間に対応する1形状に多くの体積を提供する。目の動きによる移動は制限され、外眼部上に着用される実施形態よりも必要性は低い。後眼部は、配置したこの実施形態からの薬物浸透を受けやすい。代表的な眼疾患は黄斑変性症、後部ブドウ膜炎、眼内炎、糖尿病性網膜症、緑内症神経障害であり、当業者は、この発明を使用するこの様式で治療することができる後眼部の疾患、感染または炎症を認識するであろう。本発明の薬物供給装置は、緑内障、網膜症、感染、炎症、ブドウ膜炎、外傷、術後予防または変性状態のための任意の様々な有益な薬物を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、薬物を薬物供給装置中に入れる工程と、その後、装置を目の下強膜または上強膜上に配置することにより個人を薬物含有薬物供給装置と接触させる工程と、を含む薬剤を必要とする個人に全身的に薬物を供給する方法が提供される。代表的な全身疾患は糖尿病であり、当業者は、本発明を使用するこの様式で治療することができる身体の疾患、感染または炎症を認識するであろう。本発明の薬物供給装置は、糖尿病、高血圧、癌、関節炎、感染、炎症、様々な自己免疫疾患、および薬物供給分野の当業者が認識するであろう他の全身病変のための任意の様々な有益な薬物を含んでもよい。本発明の他のおよび別の観点、特徴および利点は、開示する目的で示した本発明の現在のところ好ましい実施形態の下記記述から明らかになるであろう。
【0069】
本発明の装置は、ポリマー系材料から作製することができる。薬物または薬剤は、このポリマーマトリクス内で溶解または分散状態のいずれかで存在することができる。1つの実施形態では、薬物または薬剤は、予め成形されたポリマー内に混合され、その場合溶解または分散状態で存在してもよい。その後、装置をこの薬物含有ポリマーから形成する。有益なポリマーマトリクスの例は、エチレン酢酸ビニルおよびアクリル系ポリマー材料である。別の実施形態では、薬物または薬剤は反応系内に混合させることができる。その系はモノマーまたはマクロマーであってもよく、この場合、薬物または薬剤は溶解または分散形態である。その後、UV、可視光、熱またはこれらの手段の組み合わせにより系を重合させると、装置が形成される。例としては液体アクリルモノマー類または反応性シリコーンプレポリマーの使用が挙げられる。
【0070】
本発明の薬物供給装置を製造するための好ましい製造プロセスは注型成形である。このプロセスでは、薬物をモノマー混合物中に溶解または分散させ、眼科装置形状を有するプラスチック鋳型に入れる。熱曝露、UV露光または両方の組み合わせによりモノマーを重合させる。その後、装置を鋳型から取り出す。例えば、エッジ仕上げなどの後処理が必要かもしれない。眼科装置の場合、ポリプロピレン鋳型が好ましい。最も好ましいのはメルトフローインデックスが20を超えるポリプロピレン樹脂である。1つのポリプロピレン樹脂はエキソン(Exxon)PP1105Eであり、このメルトフローインデックスは34g/10分である。20gm/10分を超えるメルトフローを用いると、複雑な形状の鋳造鋳型は、部分寸法の優れた複製で射出成形することができる。
【0071】
バリを除去し、または分割線の輪郭を示すために後処理がしばしば必要となる。コンタクトレンズおよび本発明の装置などの眼科装置では、装置の快適性およびフィット性を提供する点において、エッジプロファイルが重要である。本発明の眼科装置のエッジは、ガス透過性ハードコンタクトレンズに対し現在使用可能な標準研磨技術を用いて成形し、輪郭をつけることができる。より好ましくは、レーザエッジングを用いて滑らかで、よく輪郭が付けられたエッジを形成する。
【0072】
実施例1
実施例1の装置の観点を図6〜8に示す。本発明の全体形状は垂直方向よりも水平方向に大きく、図6の正面図に示されるように卵形に見える。形状は垂直子午線について対称であることが好ましく、そのため横半分は鏡像である。この観点により、同じ装置設計を右および左目で(同じ向きで)、目の上または下強膜上で使用することができる。基本曲線114半径は強膜50にフィットするように選択される。中心厚は、水平中心線で最も大きく、前面207と後面209が交わる楕円の全エッジ周囲の明確な最小の、おおよそ均一のエッジ厚までテーパが付けられる。これにより、均一のエッジ半径を有するかなり球状の基本曲線上で著しい円環形状が得られる。サイズは、幅が約10mm〜約25mm、高さが約5mm〜約12mm、厚さが中心で約1.0mm〜約3.0mmとすることができる。基本曲線半径114は約10mm〜約20mmである。装置の体積は約70μl〜約400μlである。図6〜7による装置はシリコーンエラストマーから構成した。寸法は、幅が16mm、高さが7.0mm、中心厚が2.3mmであり、厚さは中心点から減少するようにテーパをつけた。円環前面半径は垂直子午線4.0mm×水平子午線9.0mmであった。基本曲線半径は12.4mmであった。装置体積は150μlであった。
【0073】
実施例2
実施例2の装置の観点を図6〜8に示す。一般的な幾何学的パラメータは実施例1で記述した。プロトタイプ装置をシリコーンエラストマーから構成した。全幅は21.0mm、高さは7.8mm、中心厚は1.5mmであった。円環前面半径は垂直子午線5.0mmおよび水平子午線12.0mmであった。基本曲線半径は12.4mmであった。全体の装置体積は150μlであった。装置を被験者の上強膜上に配置した。装置は目の中で安定であり、わずかな回転が観察された。装置の快適性は良好であると報告した。
【0074】
実施例3
実施例3の装置の観点を図6〜8に示す。一般的な幾何学的パラメータは実施例1で記述した。プロトタイプ装置をシリコーンエラストマーから構成した。全幅は24.5mm、高さは10.0mm、中心厚は2.3mmであった。円環前面半径は垂直子午線6.0mm×水平子午線12.5mmであった。全装置体積は385μlであった。
【0075】
装置を被験者の上強膜上に配置した。装置は鼻の位置にわずかに移動する傾向があった。装置の快適性は「わずかな自覚」と評価した。
【0076】
実施例4
実施例4の装置の観点を図9〜12に示す。全体形状は、中心垂直軸および中心水平軸の両方について対称な水平「ダンベル」である。ローブの前方形状上にレンチキュラー特徴を含むプロトタイプ装置をシリコーンエラストマーから構成した。前面と後面との間の距離、中心厚(ローブ間の中間)は0.75mmであった。各ローブの中心での2つの表面間の距離は1.5mmであった。ローブの中心の前方湾曲は4.3の正の半径であり、2.0mmの負のレンチキュラー半径に移行し、その後0.25の正のエッジ半径に移行した。全幅は20.5mmであった。垂直高さは各ローブで最大8.45mmであり、装置の中心では6.5mmであった。背部曲線半径は約12.4mmであった。体積は130μlであった。ローブは、瞼からわずかに隆起したものとして検出できた(美容上視認可能)。レンチキュラーを備えた装置は、上下両方の位置で、臨床的に許容される位置、安定性および保持を証明した。エッジのいくらかの感覚を除き、快適性はかなり良好であった。
【0077】
実施例5
実施例5の装置の観点を図13〜15に示す。プロトタイプ装置は、実施例4よりも全体的に高くおよび広く作製した。この装置は幅21mm、装置の中心での高さ7.25mmとした。このダンベルバージョンでは、前面から見るとダンベルローブ高さが9.5mmであった。使用した材料はかなりフレキシブルであったので、均一な球面12.4mm背部湾曲を使用した。角膜に対し遠位の圧入により、この湾曲によって装置の高さに0.26mmの最大差が得られた。装置は、水平子午線から周囲ローブの中心を通り角膜に近位の装置のエッジまで2.77mmであった。水平子午線から(周囲ローブの中心を通って)エッジに至る同じ測定値は、角膜の遠位側では4.47mmであった。発明者らは前方の負のレンチキュラー湾曲を2.1mmまで増加させた。そのため、実際の真の半径は4.0mmであった。発明者らは移行曲線に対し平滑化し、着用中、上瞼の下で、ローブの「隆起」がより視認できないようにした。幅は同様にわずかに大きくなる。後方エッジ半径を減少させ、コンタクトレンズ半径の領域内としたが、エッジリフトは同じであった。上瞼からのエッジ感覚を減らし、快適さを増加させようとして、よりタイトな半径が試みられている。体積は136μlであった。
【0078】
目の上では、この装置は依然として上方位置で最も快適であった。上瞼下では、「隆起」は見られなかった。瞼との相互作用では非常に安定であると感じられた。除去は、いったん瞼裂で見えるようになると、コンタクトレンズを用いた場合と同様に、瞼の外部のマニュアル操作により装置を下方にマッサージし、その後装置を手作業で除去することにより、依然としてかなり容易であった。
【0079】
実施例6
実施例6の装置の観点を図13〜15に示す。プロトタイプ装置を、アクリルモノマーから注型成形した。第2の周囲曲線半径を追加したことにより、実施例5と比べてエッジリフトを増大させた。この装置は幅21mm、装置の中心の高さが7.25mmであった。この実施形態は、正面から見てわかるように、ローブセクションの高さが9.45mmであった。水平前方曲線は、中心と、明確な垂直前方曲線半径とエッジリフト半径と幅を有するローブ領域とを滑らかにブレンドする雲形である。中心軸15−15における前方曲率半径は中心では7.26mm、ローブでは5.09mmであった。角膜に近い圧入をレンチキュラー半径0.75mmでカットすると、この曲率のために、装置の高さに最大1.95mmの差が生じた。装置は、軸14−14から周囲ローブの中心を通って角膜に近い装置のエッジまで2.77mmであった。角膜から遠い圧入を、1.50mmのレンチキュラー半径でカットすると、この湾曲のために装置の高さに最大0.26mmの差が生じた。装置は、軸14−14から周囲ローブの中心を通って角膜に遠い装置のエッジまで4.47mmであった。ローブのレンチキュラー背向曲線は2.1mmであった。レンチキュラー曲線の幅は角膜近くでは1.13mmであり、角膜から遠くでは1.23であった。エッジ先端半径は0.56mmであり、エッジ厚は0.43mmであった。材料がかなりフレキシブルなので、円環−12.5mm垂直子午線(軸15−15)、12.4mm水平子午線(軸14−14)−背部湾曲を使用した。エッジリフト基本曲線半径は、中心垂直子午線(15−15)では、16.4mm、幅1.0mmであり、ローブの全周囲に沿っては、16.4mm、幅1.2mmであった。体積は124μlであった。
【0080】
この実施例6の眼科装置は、下記のように、アクリルモノマー調合物から注型成形させた。装置の設計を機械加工し、金属鋳型とした。鋳型半球は、エキソンポリプロピレンPP1105Eから射出成形させた。不活性雰囲気下では、鋳型下半球をUV開始剤を含むアクリルモノマー調合物で充填させた。鋳型上半球を、鋳造下半球内にフィットさせ、装置形状を形成させた。閉じた鋳型アセンブリをUV硬化チャンバ内に入れ、365nmの波長のUVを30分間露光した。その後、重合した眼科装置を取り出した。周囲曲線系を装置の後方周囲に成形した。それらの幅および半径値のインクリメンタル増分により、中心基本曲線に対するこれらの周囲曲線が規定される。1つの実施形態では、各曲線に対するこれらの値は、装置の周囲後面の周りでは均一とすることができる。発明者らの最も好ましい周囲曲線系は、装置の中心と横のローブ部分での異なる幅の曲線を含む。周囲曲線系はエッジリフトを提供する。このアプローチは、快適性、移動および涙液層交換を増強させるためにコンタクトレンズ技術において使用されている。被験者に置くと、実施例6の装置は全ての観点において実施例6の装置と同様に実施し、目の中でほとんど、または全く感覚のない装置により快適性が増強する追加の結果が得られる。目の移動に伴うラグ、ならびに瞬目による移動また再配置は優れていた。蛍光染料を使用することにより、周囲曲線系およびその関連するエッジリフトに対応する装置下では、染料の周囲バンドは、ハードコンタクトレンズの観察などの標準臨床評価と一致する様式で観察することができるであろう。装置の残り下での蛍光強度に対する、蛍光染料のこのバンドの幅、均一性、および強度を判断すると、ハードコンタクトレンズの臨床業務の当業者により実施される基準を使用しても臨床的に素晴らしかった。
【0081】
本明細書で開示し、主張した設計および方法は全て、本発明の開示を鑑みると、必要以上の実験無しで、作製および実施することができる。一方、本発明の設計および方法について好ましい実施形態の観点から記述してきたが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに、本明細書で記述した方法の工程または一連の工程で、設計および/または方法に様々な改変を適用することができることは明かであろう。当業者に明かなそのような同様の置換および改変は、添付の請求の範囲により記述されるような本発明の精神、範囲および概念内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】目および瞼の断面図である。
【図2】第1の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図3】図2の線3−3についての断面図である。
【図4】上強膜にフィットさせた図1の装置を有する斜視図である。
【図5】下強膜にフィットさせた図1の装置を有する斜視図である。
【図6】第2の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図7】図6の線7−7についての断面図である。
【図8】図6の線8−8についての断面図である。
【図9】第3の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図10】図9の装置の平面図である。
【図11】図9の線11−11についての断面図である。
【図12】図9の線12−12についての断面図である。
【図13】第4の実施形態による眼薬物供給装置の正面図である。
【図14】図13の線14−14についての断面図である。
【図15】図13の線15−15についての断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線と、その周囲エッジのエッジリフト半径とにより規定され、それらのどちらも前記目の強膜にフィットするように相補的であり、適合されており、そのため、瞼に助けられなくても、装置を流体引力により目の上に保持させ、目の上で維持させることができる、
目に治療薬を供給するための眼科装置。
【請求項2】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線と、前記基本曲線とは異なる曲率半径の前記ボディのエッジの周囲湾曲とにより規定され、
前記基本曲線および前記周囲湾曲は、前記目の上強膜および下強膜の1つの曲率半径と実質的には同じである、
目に挿入するための眼科装置。
【請求項3】
前記後面の前記基本曲線は球面、非球面または円環状であり、強膜解剖学的形状に関係して規定される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項4】
前記ボディは1つの中心部分と、その中心部分両側に形成された一対のローブとを備え、各ローブは、中心部分の水平幅および高さより、各々大きな水平幅および高さを有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項5】
前記ボディは、該ボディの幅を横切って延在する中心軸について対称である、請求項4記載の眼科装置。
【請求項6】
各ローブは前記中心部分よりも大きな質量および厚さを有する、請求項4記載の眼科装置。
【請求項7】
前記ボディは約70μl〜約400μlの体積を有する、請求項4記載の眼科装置。
【請求項8】
前記ボディは、水平幅が約8mm〜約35mm、高さが約1.0mm〜約14mm、および厚さが約0.10mm〜約5.0mmからなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項4記載の眼科装置。
【請求項9】
前記ボディが、非球面である前方曲線を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項10】
前記ボディが、円環状である前方曲線を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項11】
周囲エッジが、前記後面と前記前面との間に形成され、ボディの下での涙の交換、装置の位置の安定性および着用時の快適性を促進する形状を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項12】
前記ボディは目の環境内に置いても腐食しない材料で形成される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項13】
前記ボディは目の環境内に置くと腐食する材料で形成される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項14】
前記ボディは目の環境内に置くと腐食する、および腐食しない両方の材料の組み合わせで形成される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項15】
前記ボディが、前記強膜表面から、テーパが付けられた後方エッジを有し、エッジリフトの程度は、前記周囲湾曲の半径および幅により規定される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項16】
前記ボディが、前記ボディの幅を横切って延在し、前記ボディを2つの部分に分割する中心垂直軸を有し、前記ボディが前記中心軸について対称に配置されるように配向され、前記装置が目の中に入れられると、目の表面上での装置の位置および安定性が維持され、ランダムな動きが最小に抑えられるように機能する、厚さの増加した少なくとも2つの領域を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項17】
前記中心部分は、第1の周囲エッジにより規定され、そのエッジは前記装置が目の中に入れられると目の角膜に接近し、角膜の周囲の突出におおよそ対応する形状を有し、
そのようなエッジは、目の角膜縁で、角膜境界と装置の境界が角膜面内に突出するような湾曲を有する、内に向かって湾曲した形状を有し、
前記装置は、上強膜または下強膜上に配置されると、角膜境界に関しておおよそ均一なクリアランスを有し、
この周囲エッジの輪郭は角膜レリーフ曲線として機能する、
請求項4記載の眼科装置。
【請求項18】
前記角膜レリーフ曲線の湾曲は、角膜縁での前記角膜と前記強膜の接合部の円環または雲形投影形である、請求項17記載の眼科装置。
【請求項19】
前記中心部分は、前記装置が目の中に入れられると目の角膜から離れて存在するエッジにより規定され、
前記エッジは、目に関連する直筋付着部のクリアランスを可能とする湾曲により規定される、内に向かって湾曲した形状を有し、
この周囲エッジの輪郭は筋肉レリーフ曲線として機能する、
請求項4記載の眼科装置。
【請求項20】
前記ボディが、該ボディの一端から他端まで延在し、該ボディを2つの対称半球に分割する中心縦(水平)軸を有し、
前記中心部分は、前記装置が目の中に入れられると、角膜から離れて存在する前記長軸側でより大きな質量を有する、
請求項4記載の眼科装置。
【請求項21】
前記後面が、2つの楕円半径形態の2つのエッジリフト半径により規定され、前記ボディが、形状がわずかに楕円の強膜表面に合致することができる、請求項2記載の眼科装置。
【請求項22】
前記エッジリフト半径の曲率半径が、前記基本曲線の曲率半径よりも約0.5mm〜約5.0mm平坦である、請求項21記載の眼科装置。
【請求項23】
各ローブから前記中心部分への移行部が、直線、放物線、楕円および双曲線からなる群より選択される形状を有する移行曲線により規定される、請求項4記載の眼科装置。
【請求項24】
前記基本曲線が、周囲エッジ間で規定され、該周囲エッジは、前記基本曲線の曲率半径とは異なる曲率半径を有し、そのため、前記周囲エッジでは、前記装置と前記目との間の涙交換および流体引力が促進されるエッジリフトが規定され、前記装置が瞼の下の強膜上に保持される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項25】
前記中心部分の先端が、第1の面内に存在し、前記中心部分の周辺エッジが、前記第1の面と実質的に平行な第2の面内に存在し、前記第1の面と前記第2の面との間の距離が約0.5mm〜約5.0mmである、請求項4記載の眼科装置。
【請求項26】
前記装置の前面が、少なくとも部分的に、レンチキュラー形状によって規定され、前記前面の前記レンチキュラー半径は、前記中心部分通って延在し、前記ボディを2つの半球に分割する垂直子午線に沿って最小となる、請求項4記載の眼科装置。
【請求項27】
前記前面が、レンチキュラー形状を有し、瞼接触領域との相互作用において、バランスが増強され、装置の感覚が最小に抑えられる、請求項2記載の眼科装置。
【請求項28】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線とその周囲エッジのエッジリフト半径を含む相補曲線の系とにより規定され、
曲線系は、目の上強膜および下強膜にフィットするように適合され、前記ボディが、前記ボディと目の間の流体引力により目の上で維持可能なように構成される、
目の上強膜または下強膜上で着用するための物品。
【請求項29】
請求項2記載の眼科装置を作製し、薬剤または潤滑剤を該装置に加え、該装置により運搬させる工程と、
前記眼科装置を目の上強膜または下強膜上に配置する工程と、
を含む、目に薬剤または潤滑剤を適用するための方法。
【請求項30】
前記上強膜または下強膜上に前記眼科装置を配置する工程が、
前記眼科装置を前記目の結膜または前記目のテノン嚢の下に挿入する工程を含む、
請求項29記載の方法。
【請求項31】
強膜表面に実質的に合致する後方曲率半径により規定される後面を有する予め形成されたポリマーボディを備え、
該強膜上に前記ボディが配置され、
前記後方曲率半径は、前記ボディが流体引力により前記目の強膜上に保持され、その下に前記ボディが配置されている前記目の瞼の瞬目動作を妨害せずに、ある程度目の上を移動することができるように選択される、
実質的に、瞼の裏側の目の強膜上に配置するための眼科薬物供給装置。
【請求項32】
前記後方曲率半径は、約10mm〜約16mmの半径を有する球面である、請求項31記載の眼科薬物供給装置。
【請求項33】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線とエッジリフト半径とにより規定され、どちらも目の上強膜および下強膜の1つの曲率半径に実質的に等しく、
さらに、病状を治療するためにボディ内に配置した十分な量の薬学的活性剤または潤滑剤を備える、
眼科薬物供給装置。
【請求項1】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線と、その周囲エッジのエッジリフト半径とにより規定され、それらのどちらも前記目の強膜にフィットするように相補的であり、適合されており、そのため、瞼に助けられなくても、装置を流体引力により目の上に保持させ、目の上で維持させることができる、
目に治療薬を供給するための眼科装置。
【請求項2】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線と、前記基本曲線とは異なる曲率半径の前記ボディのエッジの周囲湾曲とにより規定され、
前記基本曲線および前記周囲湾曲は、前記目の上強膜および下強膜の1つの曲率半径と実質的には同じである、
目に挿入するための眼科装置。
【請求項3】
前記後面の前記基本曲線は球面、非球面または円環状であり、強膜解剖学的形状に関係して規定される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項4】
前記ボディは1つの中心部分と、その中心部分両側に形成された一対のローブとを備え、各ローブは、中心部分の水平幅および高さより、各々大きな水平幅および高さを有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項5】
前記ボディは、該ボディの幅を横切って延在する中心軸について対称である、請求項4記載の眼科装置。
【請求項6】
各ローブは前記中心部分よりも大きな質量および厚さを有する、請求項4記載の眼科装置。
【請求項7】
前記ボディは約70μl〜約400μlの体積を有する、請求項4記載の眼科装置。
【請求項8】
前記ボディは、水平幅が約8mm〜約35mm、高さが約1.0mm〜約14mm、および厚さが約0.10mm〜約5.0mmからなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項4記載の眼科装置。
【請求項9】
前記ボディが、非球面である前方曲線を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項10】
前記ボディが、円環状である前方曲線を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項11】
周囲エッジが、前記後面と前記前面との間に形成され、ボディの下での涙の交換、装置の位置の安定性および着用時の快適性を促進する形状を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項12】
前記ボディは目の環境内に置いても腐食しない材料で形成される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項13】
前記ボディは目の環境内に置くと腐食する材料で形成される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項14】
前記ボディは目の環境内に置くと腐食する、および腐食しない両方の材料の組み合わせで形成される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項15】
前記ボディが、前記強膜表面から、テーパが付けられた後方エッジを有し、エッジリフトの程度は、前記周囲湾曲の半径および幅により規定される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項16】
前記ボディが、前記ボディの幅を横切って延在し、前記ボディを2つの部分に分割する中心垂直軸を有し、前記ボディが前記中心軸について対称に配置されるように配向され、前記装置が目の中に入れられると、目の表面上での装置の位置および安定性が維持され、ランダムな動きが最小に抑えられるように機能する、厚さの増加した少なくとも2つの領域を有する、請求項2記載の眼科装置。
【請求項17】
前記中心部分は、第1の周囲エッジにより規定され、そのエッジは前記装置が目の中に入れられると目の角膜に接近し、角膜の周囲の突出におおよそ対応する形状を有し、
そのようなエッジは、目の角膜縁で、角膜境界と装置の境界が角膜面内に突出するような湾曲を有する、内に向かって湾曲した形状を有し、
前記装置は、上強膜または下強膜上に配置されると、角膜境界に関しておおよそ均一なクリアランスを有し、
この周囲エッジの輪郭は角膜レリーフ曲線として機能する、
請求項4記載の眼科装置。
【請求項18】
前記角膜レリーフ曲線の湾曲は、角膜縁での前記角膜と前記強膜の接合部の円環または雲形投影形である、請求項17記載の眼科装置。
【請求項19】
前記中心部分は、前記装置が目の中に入れられると目の角膜から離れて存在するエッジにより規定され、
前記エッジは、目に関連する直筋付着部のクリアランスを可能とする湾曲により規定される、内に向かって湾曲した形状を有し、
この周囲エッジの輪郭は筋肉レリーフ曲線として機能する、
請求項4記載の眼科装置。
【請求項20】
前記ボディが、該ボディの一端から他端まで延在し、該ボディを2つの対称半球に分割する中心縦(水平)軸を有し、
前記中心部分は、前記装置が目の中に入れられると、角膜から離れて存在する前記長軸側でより大きな質量を有する、
請求項4記載の眼科装置。
【請求項21】
前記後面が、2つの楕円半径形態の2つのエッジリフト半径により規定され、前記ボディが、形状がわずかに楕円の強膜表面に合致することができる、請求項2記載の眼科装置。
【請求項22】
前記エッジリフト半径の曲率半径が、前記基本曲線の曲率半径よりも約0.5mm〜約5.0mm平坦である、請求項21記載の眼科装置。
【請求項23】
各ローブから前記中心部分への移行部が、直線、放物線、楕円および双曲線からなる群より選択される形状を有する移行曲線により規定される、請求項4記載の眼科装置。
【請求項24】
前記基本曲線が、周囲エッジ間で規定され、該周囲エッジは、前記基本曲線の曲率半径とは異なる曲率半径を有し、そのため、前記周囲エッジでは、前記装置と前記目との間の涙交換および流体引力が促進されるエッジリフトが規定され、前記装置が瞼の下の強膜上に保持される、請求項2記載の眼科装置。
【請求項25】
前記中心部分の先端が、第1の面内に存在し、前記中心部分の周辺エッジが、前記第1の面と実質的に平行な第2の面内に存在し、前記第1の面と前記第2の面との間の距離が約0.5mm〜約5.0mmである、請求項4記載の眼科装置。
【請求項26】
前記装置の前面が、少なくとも部分的に、レンチキュラー形状によって規定され、前記前面の前記レンチキュラー半径は、前記中心部分通って延在し、前記ボディを2つの半球に分割する垂直子午線に沿って最小となる、請求項4記載の眼科装置。
【請求項27】
前記前面が、レンチキュラー形状を有し、瞼接触領域との相互作用において、バランスが増強され、装置の感覚が最小に抑えられる、請求項2記載の眼科装置。
【請求項28】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線とその周囲エッジのエッジリフト半径を含む相補曲線の系とにより規定され、
曲線系は、目の上強膜および下強膜にフィットするように適合され、前記ボディが、前記ボディと目の間の流体引力により目の上で維持可能なように構成される、
目の上強膜または下強膜上で着用するための物品。
【請求項29】
請求項2記載の眼科装置を作製し、薬剤または潤滑剤を該装置に加え、該装置により運搬させる工程と、
前記眼科装置を目の上強膜または下強膜上に配置する工程と、
を含む、目に薬剤または潤滑剤を適用するための方法。
【請求項30】
前記上強膜または下強膜上に前記眼科装置を配置する工程が、
前記眼科装置を前記目の結膜または前記目のテノン嚢の下に挿入する工程を含む、
請求項29記載の方法。
【請求項31】
強膜表面に実質的に合致する後方曲率半径により規定される後面を有する予め形成されたポリマーボディを備え、
該強膜上に前記ボディが配置され、
前記後方曲率半径は、前記ボディが流体引力により前記目の強膜上に保持され、その下に前記ボディが配置されている前記目の瞼の瞬目動作を妨害せずに、ある程度目の上を移動することができるように選択される、
実質的に、瞼の裏側の目の強膜上に配置するための眼科薬物供給装置。
【請求項32】
前記後方曲率半径は、約10mm〜約16mmの半径を有する球面である、請求項31記載の眼科薬物供給装置。
【請求項33】
目の上強膜および下強膜のうちの1つの上に配置するための前面および後面を有するボディを備え、
前記後面は、基本曲線とエッジリフト半径とにより規定され、どちらも目の上強膜および下強膜の1つの曲率半径に実質的に等しく、
さらに、病状を治療するためにボディ内に配置した十分な量の薬学的活性剤または潤滑剤を備える、
眼科薬物供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−503265(P2007−503265A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524804(P2006−524804)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027510
【国際公開番号】WO2005/020907
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(501344500)ヴィスタ サイエンティフィック エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027510
【国際公開番号】WO2005/020907
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(501344500)ヴィスタ サイエンティフィック エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
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