説明

眼組織を破壊するための眼科用装置

【課題】新規な眼組織破壊用の眼科用装置を提供する。
【解決手段】 眼科用装置1は光パルスを発生する光源51を有するベース・ステーション11と、眼2に搭載することが可能なアプリケーション・ヘッド3であって、眼組織22の点状破壊用の光パルスを収束投射するためのライト・プロジェクタ58を有する。アプリケーション・ヘッド3はさらに送り方向xおよび走査方向y、y′に前記ライト・プロジェクタ58を移動する移動ドライバ57を有するスキャナ52をビーム偏向手段を前記ベース・ステーション11に配置して前記光パルスを第2の走査方向に偏向する。さらに、眼科用装置1は、前記ベース・ステーション11から前記アプリケーション・ヘッド3に偏向された光パルスを伝送し、前記第2の走査方向に偏向された前記光パルスを前記第1の走査方向の前記ライト・プロジェクタ58の移動に重ね合わせる光伝送システムを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼組織を破壊するための眼科用装置に関するものである。本発明は、特に、光パルスを生成する光源を有するベース・ステーションと、アプリケーション・ヘッドとを備え、このアプリケーション・ヘッドは眼に搭載することが可能であり、眼組織の点状破壊用の光パルスの集中投射用のライト・プロジェクタを備え、送り方向および第1の走査方向にライト・プロジェクタを移動する移動ドライバを有してなる眼科用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近視、遠視または乱視のような非正視は現在では屈折率外科処置により永久的に補正することが可能である。屈折率外科処置は眼の光屈折力をできるだけ所望の値に近づけることを目的に眼の屈折力を変える眼についての外科手術である。屈折率外科手術の最も重要な方法の一つはいわゆるレーザーによる原位置角膜曲率形成術(LASIK)であり、この方法では角膜弁(corneal flap)を予め切断し折り畳んだ後に角膜の内部がコンピュータにより制御されたエキシマレーザーを用いて除去される。角膜弁を生成するために、駆動された手術用メスが角膜弁を切断する機械式ミクロケラトーム(microkeratome;超小型角膜切開刀)が使用される。最近、このような角膜弁は強く収束されたフェムト秒レーザーパルスを用いても切断することが可能になっており、このレーザーパルスのパルス幅は典型的には100fs(フェムト秒)〜1000fs(1fs=10-15秒)である。機械式振動手術用メスを使用する際に存在するリスクはフェムト秒レーザーを使用することにより無くなる。そのようなシステムは、例えば米国カリフォルニア州アービン市のイントラレース社(IntraLase Corp.)により、パルシオン・エフ・エス・レーザー(Pulsion FS Laser)の商品名で販売されている。フェムトレーザーを有するこの既知のシステムの全体の寸法はエキシマレーザーの寸法に匹敵し、欠点としては、エキシマレーザーに必要とされるスペースがフェムト秒レーザーシステム用の治療室においてもやはり必要であることが挙げられる。さらに、フェムト秒レーザーシステムにより角膜弁を切断した後に患者をエキシマレーザーのところまで移動しなければならない。フェムト秒レーザーの全体の寸法は、就中、使用する光源、スキャナ技術および付随するビーム案内システムにより決定される。
【0003】
レーザービームはビーム偏向光学要素により大きな固定レンズシステム内で集束されて分離すべき眼の組織領域に当てられる。設計上の理由から、収束光学システムの最大達成可能開口数(NA、対物の開口角の正弦(サイン)の半分に比例)はこの場合正弦される(典型的には、NA=0.2〜0.3)。所与の動作面積、例えば角膜全体に対して走査光学系(典型的にはf−θ光学系)は最小の動作距離を必要とする。必要な移動とビーム偏向光学要素の達成可能な寸法に関係して、動作距離は走査光学系の直径の設計限界を決定する。直径のさらなる設計上限は身体部分(睫毛、鼻)との影または衝突の場合から導かれる。大きな直径の場合でさえも、走査レーザービームで光学系の下位領域のみを照射することがつねに可能である。この結果、光学系の有効な、有用な開口数に対する設計上限が得られる。開口数が大きいと小さな焦点を生成することが可能になり、従ってパルス当りの切断ゾーンが小さくなるので、開口数は大きい方が望ましい。切断ゾーンが小さいと切断ゾーンが大きい場合と比べてパルス当りの生成ガスが少ない。より小さな気泡を用いてより精細な切断を行うことが可能であるが、これは、就中、切断ゾーンが内部のガス圧により実質的に変形されていないからである。加えて、大きい開口数は切断をするのに必要なパルス当りのエネルギーが不釣り合いに小さい。エネルギーが低いと、レーザーパルスにより生成されるキャビテーション気泡も減少し、このことは切断の品質に積極的な効果を有する。さらに、虹彩に焦点の下流のより強く逸れるビームから受けるストレスが少ない。さらなる利点としては、角膜表面の近傍の開口数の大きいと、局所混入物質が焦点における強度を減少させる効果が少ないことが挙げられる。
【0004】
特許文献1(米国特許第5,549,632号明細書)は、就中、角膜弁を切断するのに使用できる、眼組織破壊用のレーザー光源を有する眼科用装置を記載している。この特許文献1に係る装置はレーザー光源と、このレーザー光源に光学的に接続された、このレーザー光源から分離したハウジング内の投光ヘッドとを備える。特許文献1に係る装置は、また、ビーム制御手段を備え、このビーム制御手段はレーザー光源により放出されたレーザーパルスの光路を、レーザー光源に対して固定された参照フレーム内の点が投光ヘッドに対して固定された参照フレーム内の対応する点に光学接続を介してイメージングされるように制御する。この光学接続は多関節ミラー・アームとして設計され、ビーム制御手段により偏向された光パルスがハンドヘルド機器の参照フレームに対してイメージングすることが可能になっている。眼に永久的に接続することが可能な圧平プレートに投光ヘッドを接続することは特許文献1に係る投光ヘッド固定参照フレームが常に圧平プレート上に、従って眼にイメージングされることを意味する。特許文献1によれば、ビーム制御手段を用いて圧平プレートに対してパルス化レーザービームの位置を制御することによりレーザーパルスは眼の所望の位置に導かれ、これを光学的接続と投光ヘッドの投光システムを介してこれをイメージングする。例えば、長さ5〜15mmの切断を行うためには、投光ヘッドの投光システムは眼球の直径よりも大きな直径の光学レンズを有していることが必要である。そのような大直径の投光ヘッドは処置すべき眼への視野を網羅する。さらに、特許文献1に係る装置の開口数は小さく、これはビームが比較的に小さく修練することから分かるであろう。大きいレンズシステムは、また、装置が重く扱いにくくなり、手で保持し適用することが難しくなるという欠点をも持つ。
【0005】
特許文献2(欧州特許出願公開第1486185号明細書)は眼組織の破壊用の眼科用装置を記載しており、この装置は眼に搭載することが可能であり、ライト・プロジェクタを設けたアプリケーション・ヘッドを備えている。ライト・プロジェクタは移動ドライバにより移動され焦点を組織破壊の所望の部位に運ぶ。特許文献2によると、焦点の微細な移動は光学マイクロスキャンを用いてさらにライト・プロジェクタの並進移動に重ね合わせることが可能である。しかしながら、切断に有利な、大きく広がった非収束光線を偏向することができるようにするためには、比較的大きな角度(例えば4°)で傾けられなければならない比較的大きなミラー(例えば14mm)が必要とされる。そのような大きなスキャナ・システムは現在の従来技術では高速動作ができず、コンパクトに設計することもできない。目的が上記のアプリケーション・ヘッドの全体の寸法が大きいという欠点を無くすことであるならば、そして目的が眼の組織の同じ部位が光パルスによって繰り返し照射されることを防止することであるならば、低パルス率の単なる光学的マイクロスキャンをアプリケーション・ヘッドに使用することが可能である。しかしながら、低パルス率は操作の進行が低速になり、それゆえ安定性が低くなることを意味する。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,549,632号明細書
【特許文献1】欧州特許出願公開第1486185号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は従来技術の欠点の少なくともあるものを持たない、新規な眼組織破壊用の眼科用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、これらの目的は、特に独立請求項の要素によって達成される。さらに、好適な実施形態も従属請求項および発明の詳細な説明から明らかである。
【0009】
前記眼科用装置は光パルスを発生する光源を有するベース・ステーションと、眼に搭載することが可能なアプリケーション・ヘッドを備える。アプリケーション・ヘッドは眼組織の点状破壊用の光パルスを収束投射するためのライト・プロジェクタを設けられ、そして送り方向および走査方向にライト・プロジェクタを移動する移動ドライバを有する。アプリケーション・ヘッドは、例えば、接触体を備え、該接触体は、眼に搭載可能であり、少なくとも部分的に透明であり、かつ作業表面から等距離になるように搭載状態で接触がなされる眼の領域を設定するように構成され、かつ配置される。アプリケーション・ヘッドはまた、例えばアプリケーション・ヘッドを低圧力により眼に固定する固定手段を有する。
【0010】
上述の目的は、本発明により、特に眼科用装置が前記ベース・ステーションに配置され、前記光パルスを第2の走査方向に偏向するビーム偏向手段、例えば回転可能に支持され、駆動手段を有するミラーを備え、かつ、前記偏向された光パルスを前記ベース・ステーションから前記アプリケーション・ヘッドに伝送するとともに、前記第2の走査方向に変更された光パルスを第1の走査方向のライト・プロジェクタの移動に重ね合わせる光伝送システムを有することにより達成される。前記回転可能に支持されたミラーは、例えば、多数の面を有する多面体ミラーとして構成される。代替的な一変形例では、前記ビーム偏向手段はAOM(音響/光変調器)エレメントを備える。前記第1の走査方向における前記ライト・プロジェクタの移動(低速走査)は、好ましくは、前記第2の走査方向における前記光パルスの偏向により引き起こされる光パルスの移動(高速走査)と比べて数倍遅い。前記回転可能に支持されたミラーと駆動手段を含む前記スキャナを前記ベース・ステーションに搬出すること、前記光伝送をすること、および前記スキャナにより前記第2の走査方向に偏向された前記光パルスの、前記アプリケーション・ヘッド内の前記ライト・プロジェクタの低速走査移動への重ね合わせることにより、前記アプリケーション・ヘッドの全体の寸法を高速走査移動用のスキャナを有するアロケーション・ヘッドよりも実質的に小さくすることが可能になる。高光パルス率の光源、例えばフェムト秒レーザーを使用することが可能であるが、これは、高速走査移動用のスキャナのために前記アプリケーション・ヘッドの全体の寸法を実際的でない大きさに拡大する必要がなく可能である。前記アプリケーション・ヘッドの全体的寸法は、前記アプリケーション・ヘッドが処置室においてエキシマレーザー・システムの下に位置する患者に適用することが可能であるように、すなわち前記アプリケーション・ヘッドが前記エキシマレーザー・システムと患者の間に、処置の間中、患者もエキシマレーザー・システムも変位し、新しく配置し直す必要がないように採寸することが可能である。高光パルス率の光源を使用すると、前記搬出された高速走査移動用スキャナにより、眼組織の同じ部位が光パルスにより繰り返し照射されることを防止することが可能である。高光パルス率の光源を使用すると、低光パルス率の光源を使用した場合に比べて手術の進行をより迅速に、従ってより安定にすることが可能であり、若干処置の正確さが増加し、眼に対する負担が軽くなる。
【0011】
好適な一変形設計例では、前記ベース・ステーションに前記ベース・ステーションから迂回した端部で固定することが可能な多関節アーム取り付けられており、前記光学伝送システムは前記多関節アームの内部に配置される。前記多関節アームにより、前記アプリケーション・ヘッドの重量を前記ベース・ステーションに移動することに関して前記アプリケーション・ヘッドの位置決めを柔軟に行うことが可能になり、その結果、処置すべき眼の苦痛を取り除くことが可能になる。
【0012】
多関節アームは、好ましくは、多数のアーム・エレメントを備え、それぞれの場合、前記アーム・エレメントの2つが多関節モジュールにより相互に平行な面内においてそれらが回転可能であるように接続され、前記アーム・エレメントの少なくとも1つはその縦軸の周りに回転可能であり、さらに偏向ミラーを前記多関節モジュールに取り付けて前記偏向された光パルスを1つのアーム・エレメントからもう1つのアーム・エレメントに伝送するようにしている。
【0013】
一変形設計例では、重量補償手段が前記多関節アームの少なくとも1つの移動可能なアーム・エレメントに取り付けられて前記アプリケーション・ヘッドを平衡状態に保つ。受領補償手段の例としては釣合い重り、ばねまたはアクチュエータがある。
【0014】
好適な一変形設計例では、前記光伝送システムは回転エレメントを備える。この回転エレメントは、例えばK−ミラーであり、前記偏向された光パルスにより定義される走査平面を光伝送軸の周りに回転する。前記回転エレメントは前記ベース・ステーションに配置されることが好ましい。前記回転エレメントにより前記多関節ミラー・アームにより引き起こされる像の回転を簡単な方法で信頼性をもって補償することが可能になる。
【0015】
一変形設計例では、前記アプリケーション・ヘッドは前記第2の走査方向の所望の位置合わせを決定するための光マークを出射する伝送器(トランスミッター)を備える。前記光マークは前記ベース・ステーションに前記光伝送システムを介して前記光を伝送することが可能なように配置される。さらに、前記ベース・ステーションは光センサモジュールと前記光センサモジュールに接続された調節モジュールを備える。前記調節モジュールは、前記偏向された光パルスによって定義される前記走査平面が前記光伝送軸の周りに前記第2の走査方向の位置合わせが達成されるまで回転されるように、前記回転エレメントの制御を行う。
【0016】
一変形設計例では、前記光センサモジュールは前記光伝送システムを介して前記ベース・ステーションに伝送された前記光マークを検知する2つの光センサを備え、そして前記調節モジュールは前記検知された光マークの、前記光センサにより決定された光度(luminosity)の和および/または差に基づいて前記回転エレメントを制御するように設定される。
【0017】
一変形設計例では、前記アーム・エレメントの幾つかは関連するアーム・エレメントに回転の程度をフィードバックする目的の調節モジュールに接続された回転センサを設けられている。この代替的変形設計例では、前記調節モジュールの設定は、前記偏向された光パルスにより定義される走査平面が、前記第2の走査方向の所望の位置合わせが達成されるまで前記光伝送軸の周りに回転されるように、前記回転エレメントを制御するように設定がなされる。
【0018】
好適な一変形設計例では、前記ベース・ステーションは制御モジュールを備え、前記制御モジュールは、前記ライト・プロジェクタが動作表面(切断表面)を第1の走査方向に延びる複数の直線を等距離に前記送り方向に所定の線送り速度で横断するように、前記移動ドライバを制御するように設定される。この場合、前記光伝送システムおよび前記ライト・プロジェクタは前記第2の走査方向に偏向された光パルスが、前記線上における眼組織の点状破壊がコヒーレントに実行されるように重ね合わせられるように、光接続される。
【0019】
一変形設計例では、前記光源および前記ライト・プロジェクタは眼組織の点状破壊のために眼の内部に焦点を設定される。特に、前記光源はフェムト秒レーザーを備える。フェムト秒レーザーは、パルス幅1fs〜1ps(1fs=1/1000ps=10-15s)のレーザーパルスを発生するレーザー発生器を備える。そのようなパルス幅のレーザーパルスにより、眼組織の内部で目標の組織の点状破壊が可能になり、パルス幅が長い場合に知られているような周囲組織における機械的および熱的副作用が大幅に低減される。さらに、前記ベース・ステーションは制御モジュールを備え、前記制御モジュールは、前記光パルスが前記第2の走査方向に偏向され、かつ前記第1の走査方向の前記ライト・プロジェクタの移動に重ね合わされた光パルスが、残りの領域において眼に接続されたままになっている組織フラップ(皮弁)を残りの眼組織から分離するように前記移動ドライバを制御するように設定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の設計例を実施例により説明する。この設計例を添付図面を参照して説明する。
【0021】
本発明の実装方法
相互に対応する部品は図1〜8において同じ参照符号で示す。
【0022】
図1において、参照符号1は眼科用装置を示し、この眼科用装置はベース・ステーション11およびアプリケーション・ヘッド3を備え、これらは多関節アーム13を介して相互接続されている。
【0023】
ベース・ステーション11は移動可能な構成であり、ロック可能な走行装置18を有する。さらに、ベース・ステーション11は高さ調節手段17を有し、ベース・ステーション11の高さを調節することが可能である。また、ベース・ステーション11は電子制御モジュール15を備え、電子制御15はユーザーからベース・ステーション11のハウジングの外部に配置されたフットスイッチ19を介して制御信号を受信するように設定される。制御モジュール15は、また、ユーザーによりディスプレイおよび操作ユニット14を介して操作および制御することも可能である。ベース・ステーション11はさらに真空ポンプ16、光源51、スキャナ52、および制御モジュール15により制御される回転エレメント54を有する。制御モジュール15はアプリケーション・ヘッド3の移動ドライバ57も制御する。
【0024】
真空ポンプ16はアプリケーション・ヘッド3の吸引ユニット32に真空接続ライン36を介して接続される。アプリケーション・ヘッド3は処置すべき眼2に、例えば吸引リングの形に構成された吸引ユニット32を介して固定することが可能である。眼2にアプリケーション・ヘッド3を固定している間、処置すべき眼2の領域の表面はアプリケーション・ヘッド3の接触体31により圧平されるか、または接触体31の形状によって、例えば凹状または凸状の他の所望の形状が与えられる。従って、接触体31は処置すべき眼組織22をアプリケーション・ヘッド3に対して所定の位置に運ぶ参照体として働く。
【0025】
図4に概略を示すように、光源51はフェムト秒レーザー511、すなわち、フェムト秒の範囲のパルス幅1fs〜1ps(1fs=1/1000ps=10-15s)のレーザーパルスを発生するレーザー発生器を有する。光源51は、また、フェムト秒レーザー511に接続されたビーム拡大器512を有し、ビーム拡大器512は下流の光伝送システムを介して伝送するビーム径を拡大する目的および発散を減少させる目的に役立つ。さらに、ミラーの下流のビームの拡大/縮小により、走査角度の適合が可能になる。
【0026】
移動ドライバ57は、好ましくは、送り方向x用の駆動エレメントと走査方向y、y′用の駆動エレメント、例えば、圧電モータを備える。アプリケーション・ヘッド3は、また、以下に詳細に示すように光源51に光学的に接続され、眼組織22の内部の焦点Fにおける組織の点状破壊用の光パルスの収束された照射のための切断対物レンズとして設定されるライト・プロジェクタ58を備える。図3から分かるように、移動ドライバ57ライト・プロジェクタ58を切断表面21(動作表面)から等距離に(好ましくは平行に)機械式に移動して切断表面21において焦点Fが変位するように設定されている。一変形設計例では、移動ドライバ57はさらに、焦点Fの深度を設定する目的で駆動エレメントを備え、送り方向xおよび走査方向y、y′により定義される平面に垂直にライト・プロジェクタ58を移動させる。
【0027】
アプリケーション・ヘッド3は接続ピース133を介して、例えばねじ接続またはスナップ・ロックを用いて多関節アーム13に取外し可能に接続される。接続ピース130を介して多関節アーム13がベース・ステーション11にアプリケーション・ヘッド3を回避した多関節アーム13が装着される。多関節アーム13は肩関節134として示される関節状モジュールを有し、肩関節134は上腕131として示されるアーム・エレメントを接続ピース130に移動可能に接続する。多関節アーム13は手関節136として示される関節状モジュールを有し、手関節136は前腕131として示されるアーム・エレメントを接続ピース133に移動可能に接続する。多関節アーム13はまた、肘関節135として示される関節状モジュールを有し、肘関節135は上腕131を前腕132に移動可能に接続する。
【0028】
図2に概略を示すように、肩関節134、肘関節135および手関節136はそれぞれ回転可能ジョイント134b、135bおよび136bを備え、これらは関連する関節状モジュールに装着された前記アーム・エレメントが平行な面内において相互に対して回転することができるようにしている。さらに、肩関節134、肘関節135および手関節136はそれぞれ、さらに回転可能ジョイント134aおよび134c、135aおよび135c、並びに136aおよび136cを備え、これらにより関連する関節状モジュールに装着された前記アーム・エレメントがそれらの縦軸の周りに回転できるようになっているので、関節134c/135aまたは135c/136aの一方を省略することが可能である。前記多関節アームはまた、レンズシステム138a、138bおよび偏向ミラー1341、1342、1351、1352、1361、1362を含む光伝送システムを備える。偏向ミラー1341、1342、1351、1352、1361、1362は関節状モジュールの一方に対で配置されており、偏向ミラー1341、1342、1351、1352、1361、1362はそれぞれ、関連する関節状モジュールに直接接続されたアーム・エレメントの縦軸に対して45°の角度で配置されており、それぞれの場合、関節状モジュールの一方に配置された偏向ミラー1341、1342、1351、1352、1361、1362の対は図2示す折り畳み位置において相互に垂直になるように配置される。例示的ビーム10a、10bにより概略を示すように、レンズシステム138a、138bおよび反射ミラー1341、1342、1351、1352、1361、1362は多関節アーム13の一端から多関節アーム13の他端への双方向光路可能にして光ビームが多関節アーム13の全ての可能な整列においてアプリケーション・ヘッド3からベース・ステーション11まで伝送可能であるようにしている。多関節アーム13の光伝送システムの双方向性は特に参照光マークをアプリケーション・ヘッド3からベース・ステーション11まで伝送するというコンテクストにおいて重要であり、この点に関しては以下にさらに詳細に説明する。
【0029】
図3に示すように、アプリケーション・ヘッド3はアプリケーション・ヘッド3を手動で位置決めするためのハンドル35を有する。アプリケーション・ヘッド3はまた、ベース・ステーション11の制御モジュール15に接続インターフェース37を介して接続される電子モジュール38を備え、移動ドライバ57を駆動する。アプリケーション・ヘッド3はまた、眼2に位置決め補助として役立つ参照マークを出射する眼球照射手段34を有する。アプリケーション・ヘッド3に観察窓を設けて、アプリケーション・ヘッド3が眼2に搭載されたときに、ユーザーに参照光が視覚化するようにしている。アプリケーション・ヘッド3は、また、光マークを出射する伝送器50、例えばLED(発光ダイオード)を備える。伝送器50はアプリケーション・ヘッド3からベース・ステーション11に多関節アーム13の光伝送システムを介して伝送される参照光ビーム501の形の光マークを生成する。図3から分かるように、アプリケーション・ヘッド3はベース・ステーション11から多関節アーム13の光伝送システムを介して受光されたレーザービーム10がライト・プロジェクタ58に向けて偏向されるように配置された偏向ミラー33を備え、走査方向s″におけるレーザービーム10の高速走査運動が、移動ドライバ57により生成されるライト・プロジェクタ58の機械式運動に重なり合うように偏向されるようにしている。この結果、焦点Fの結合された走査運動s′′′が生じる。この焦点Fの結合された走査運動はレーザービーム10の走査方向s″における迅速走査運動と送り方向xおよび走査方向y、y´におけるライト・プロジェクタ58の低速機械式運動に基づいており、眼組織22に切断表面21を生成する。
【0030】
図4に概略を示すように、レーザービーム10の高速走査運動はスキャナ52により生成される。スキャナ52は回転可能に支持されたミラー521と駆動手段522を有し、これらが回転可能ミラー521を回転軸の周りに回転させる。光源51により出射された光パルスは回転ミラー521により走査方向sに偏向される。ミラー521は好ましくは多数の面を有する多面体ミラー、例えば八面体ピラミッド状ミラーである。図6に示すように、光パルスは最初の位置Piから終端位置Peまで新たにそれぞれの面により偏向される。光パルスにより形成された光ビームが回転ミラー521の面の端部に衝突した後、光ビームは次の面により再び最初の位置Piから終端位置Peまで偏向される。レーザービーム10は走査方向sに偏向される光パルスにより形成されるが、このレーザービーム10は回転エレメント54、銀メッキされた多関節アーム13および偏向ミラー33を介して伝送されアプリケーション・ヘッド3のライト・プロジェクタ58へ伝送される。これについては以下にさらに詳細に説明する。図6に示すように、偏向された光パルスをライト・プロジェクタ58の機械式運動に重ね合わせると、ライト・プロジェクタ58の機械式運動の走査方向yまたはy´における鋸歯曲線に従う光パルスが出射される。一変形設計例では、ベース・ステーション11は、さらなるスキャナを備えて、光源51により出射された光パルスを、前記走査方向sに垂直なさらなる回転ミラーを用いて偏向させるようにしている。
【0031】
スキャナ52により偏向された光パルスを有するレーザービーム10は回転エレメント、たとえK−ミラーを照射し、K−ミラーは光軸の周りに回転ドライバにより回転することが可能である。回転エレメント54は、走査方向sに偏向された光パルスが通る走査面を光軸qの周りに回転することを可能にするので、多関節アーム13の光伝送システムにより引き起こされた走査方向の回転を補償することが可能である。従って、回転エレメント54は走査方向sの当初の向きを回転して補償された回転方向s´にし、この補償された走査方向s´は多関節アーム13の光伝送システムにより回転されて走査方向s″が得られ、この走査方向s″は走査方向sの当初の向きに対応する。走査方向を補償するのに必要とされる回転エレメント54による回転の程度は、伝送器50により伝送平面Bから多関節アーム13の光伝送システムを介してベース・ステーション11に伝送される参照光ビーム501に基づいて決定される。ベース・ステーション11は受光平面Aにおける参照光ビームを受光する光センサモジュール56を備える。調節モジュール55は受光された参照光ビーム501に基づいて回転エレメント54を制御する。これについては以下に図7および8を参照して説明する。
【0032】
図7において、参照符号Bは、伝送器50により生成される光マーク502と、光パルスの断面61B、62Bが視認できる伝送平面を示す。高速走査運動の所望の位置合わせがtで示される。参照符号Aは、伝送器50を介して生成された光マーク503と、所望の位置合わせにおける光パルスの断面61A、62Aが視認可能である。さらに、2つの光センサ・エレメントを有する光センサモジュール56が受光平面Aに配置されている。図7から分かるように、当初の走査方向sは回転エレメント54により回転角ψrotだけ回転される。回転エレメント54により開店された走査方向s′は多関節アーム13の光伝送システムにより角度ψsysだけ回転されるので、回転エレメント54が最適に調節されると、回転角ψrotと回転角ψsysの和が消え、従って多関節アーム13から発する走査方向s″は当初の走査方向sに対応する。
【0033】
図8に示すように、調節モジュール55は、光センサモジュール56の2つの光センサ・エレメントにより測定された信号値を用いて総合信号71と差分信号72を形成する。第1のステップS1において、調節モジュール55は受光された光マーク503が光センサモジュール56の領域内で開店されて総合信号が所定の閾値73を越えるまで回転角ψrotを増加させることによりサーチを実行する。その後、ステップS2において調節モジュール55が調節モードに切り替わり、ステップS3において差分信号72が消えるまで、回転角ψrotを調節する。差分信号72が調節モードにおいて消えるならば、受光された光マーク503の位置は光センサモジュール56の位置と一致し、従って、迅速走査運動の、多関節アーム13から発する走査方向s″は所望の位置合わせに対応する。ステップS4において、連続微調整が行われて多関節アーム13の運動により引き起こされた走査方向の回転を補償する。
【0034】
代替的位置変形設計例では、伝送器50と光センサモジュール56の代わりに、眼科用装置1はそれぞれ多関節アーム13の回転可能アーム・エレメントに装着された回転センサを備える。関連するアーム・エレメントの縦軸の周りの回転の程度および回転の方向をフィードバックするために、前記回転センサは調節モジュール55に接続される。この変形設計例では、調節モジュール55が個々のアーム・エレメントからのフィードバックに基づいて回転エレメント54について回転角ψrotを決定する。
【0035】
制御モジュール15および電子モジュール38は、好ましくは、ベース・ステーション11の1つ以上のプロセッサを制御するプログラムされたソフトウェア・モジュールとして実装される。当技術の通常の専門家は制御モジュール15および電子モジュール38は部分的にまたは完全にハードウェアとして設計することも可能であることを了解するであろう。制御モジュール15および電子モジュール38は移動ドライバ57を制御するように設定されているので、図5に示すように、ライト・プロジェクタ58は曲がりくねった走査パターン23にそって移動する。ライト・プロジェクタ58の走査パターン23はそれぞれ走査方向yおよびy′における走査ラインi、i+1に沿う並進および送り方向xにおけるライン送り速度v(ライン間隔)により形成される。切断表面21は出射された光ビームの焦点Fにより表面(隙間無く)を覆うように処理され、この場合、処理は光パルスにより形成された光ビーム10の高速走査運動の走査パターン26を、ライト・プロジェクタ58の機械式運動の曲がりくねった走査パターン23に重ね合わせることにより行われる。例えば、眼2の圧平領域24において、組織フラップを残存する眼組織22から分離することが可能であり、このフラップは残存領域25(いわゆるヒンジ)において眼2に結合したままである。そのようなフラップの切断が好ましい応用であるが、本発明の装置1は他の外科手術にも使用可能である。
【0036】
図6に示すように、スキャナ52の偏向速度は、連続する光パルスPが部分的に重なり合うように決定されるのが好ましい。走査方向yおよびy′並びに送り方向x(低速走査運動)の機械式並進速度は光パルス(高速走査運動)の走査方向sにおける光パルスの偏向により引き起こされる運動の速度よりも数倍遅い。走査方向yおよびy′における機械式並進の速度は高速走査運動の連続線zの光パルスPが部分的に重なり合うように決定されるのが好ましい。機械式走査パターン23のライン送り速度vは走査ラインiの高速走査運動が次の走査ラインi+1の高速走査運動の走査パターン26と部分的に重なり合うように決定されるのが好ましい。パルス反復周波数が100kHzと100MHzの間の範囲内であるレーザー光源を用いて短い切断時間でも精細な切断を生成する。光パルスの直径は例えば1〜5μmであり、スキャナ52の回転または偏向速度は例えば100〜1000Hzであり、おおむね、例えば1〜10m/s程度の光パルスの偏向速度に相当し、走査方向y、y′における機械式並進速度が例えば1〜10mm/sであり、走査パターン23のライン送り速度vが、例えば0.5〜1mmである。図6に示した使用した走査範囲Nは、例えば未使用捜査範囲Uが、例えば回転エレメント54の上流でマスクされるように構成された、停止、または機械式もしくは電子式シャッタにより決定される。
【0037】
結論として、当技術における通常の専門家は本発明の装置1が上記説明のように直交走査ラスタに限定されず、装置1は他の走査ラスタ、例えば旋回式または円形走査パターンも可能であることが了解するであろう。
【0038】
最後に、本発明の装置1は一変形設計例ではエキシマレーザー・システムに組みこまれるが、例えばベース・ステーション11がエキシマレーザー・システムのベッド内に組みこまれていてもよいことが注意される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ベース・ステーションに多関節アームを介して接続されたアプリケーション・ヘッドを有する眼科用装置の概略を示すブロック図である。
【図2】光伝送システムを取り付けた多関節アームの概略断面図である。
【図3】吸引ユニットにより眼に装着したアプリケーション・ヘッドの概略断面図である。
【図4】眼科用装置の共働機能エレメントの概略を示すブロック図である。
【図5】レーザービームの機械的移動に重ね合わされた高速走査移動により、残りの領域における眼に結合されたままの組織フラップが除去された分離された眼を示す図である。
【図6】レーザービームの低速機械的移動にパルス化レーザービームの高速走査移動の重ね合わせの説明図である。
【図7】多関節アームの光伝送システムを介して、かつ回転エレメントを介して位置決め補助として光マークの送信平面から受信平面への伝送を概略的に示すブロック図である。
【図8】受信した光マークに基づいて受信平面において形成される総合信号と差分信号のプロフィルを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 眼科用装置
2 眼
3 アプリケーション・ヘッド
10 レーザービーム
11 ベース・ステーション
13 多関節アーム
14 ディスプレイおよび操作ユニット
15 制御モジュール
16 真空ポンプ
17 高さ調節手段
18 走行装置
19 フットスイッチ
21 切断表面
22 眼組織
24 圧平領域
25 残存領域(ヒンジ)
31 接触体
32 吸引ユニット
35 ハンドル
36 真空接続ライン
37 接続インターフェース
38 電子モジュール
50 伝送器
51 光源
52 スキャナ
54 回転エレメント
55 調節モジュール
56 光センサモジュール
57 移動ドライバ
58 ライト・プロジェクタ
61B、62B 光パルスの断面
61A、62A 光パルスの断面
72 差分信号
130 接続ピース
131 上腕(前碗)
132 前腕
133 接続ピース
134 肩関節
134b、135b、136b 回転可能ジョイント
134a,134c、135a,135c、136a,136c
135 肘関節
136 手関節
10a、10b ビーム
138a、138b レンズシステム
1341、1342、1351、1352、1361、1362 反射ミラー
501 参照光ビーム
511 フェムト秒レーザー
512 ビーム拡大器
521 ミラー
522 駆動手段
1341、1342、1351、1352、1361、1362 偏向ミラー
s、s′、s″走査方向
i 最初の位置
e 終端位置
501 参照光ビーム
502 光マーク
503 光マーク503
F 焦点
i、i+1 走査ライン
t 位置合わせ
v ライン送り速度
x 送り方向
y、y′ 走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用装置(1)であって、
光パルスを発生する光源(51)を有するベース・ステーション(11)と、
眼(2)に搭載することが可能なアプリケーション・ヘッド(3)であって、
眼組織(22)の点状破壊用の光パルスを収束投射するためのライト・プロジェクタ(58)を有し、かつ
送り方向(x)および走査方向(y、y′)に前記ライト・プロジェクタ(58)を移動する移動ドライバ(57)を有する、アプリケーション・ヘッド(3)を備え、
ビーム偏向手段を前記ベース・ステーション(11)に配置して前記光パルスを第2の走査方向(s)に偏向するようにし、かつ
前記ベース・ステーション(11)から前記アプリケーション・ヘッド(3)に偏向された光パルスを伝送し、前記第2の走査方向(s)に偏向された前記光パルスを前記第1の走査方向(y、y′)の前記ライト・プロジェクタ(58)の移動に重ね合わせる光伝送システムを特徴とする眼科用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)において、前記ベース・ステーション(11)に前記ベース・ステーション(11)から迂回した端部で固定することが可能な多関節アーム(13)が取り付けられており、かつ前記光伝送システムは前記多関節アーム(13)の内部に配置されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置(1)において、前記多関節アーム(13)は複数のアーム・エレメント(130、131、132、133)を備え、それぞれの場合、前記アーム・エレメント(130、131、132、133)の2つが関節状モジュール(134、135、136)により相互に平行な面内においてそれらが回転可能であるように接続され、前記アーム・エレメント(130、131、132、133)の少なくとも1つはその縦軸の周りに回転可能であり、さらに偏向ミラー(1341、1342、1351、1352、1361、1362)を前記関節状モジュール(134、135、136)に装着して前記偏向された光パルスを1つのアーム・エレメント(134、135、136)からもう1つのアーム・エレメント(134、135、136)に伝送するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(1)であって、重量補償手段が前記多関節アーム(13)の少なくとも1つの移動可能なアーム・エレメント(130、131、132、133)に装着されて前記アプリケーション・ヘッドを平衡状態に保つようにしたことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)において、前記光伝送システムは回転エレメント(54)を備え、前記偏向された光パルスにより定義される走査平面を光伝送軸(q)の周りに回転するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(1)において、前記回転エレメント(54)は前記ベース・ステーション(11)内に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の装置(1)において、前記アプリケーション・ヘッド(3)は前記第2の走査方向の所望の位置合わせを決定するための光マークを出射する伝送器(50)を備え。前記光マークは前記ベース・ステーション(11)に前記光伝送システムを介して前記光マークを伝送することが可能なように配置され、さらに、前記ベース・ステーション(11)は光センサモジュール(56)を備え、そして前記ベース・ステーション(11)は前記光センサモジュール(56)に接続された調節モジュール(55)を備え、前記偏向された光パルスによって定義される前記走査平面が前記光伝送軸(q)の周りに前記第2の走査方向の所望の位置合わせが達成されるまで回転されるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(1)において、前記光センサモジュール856)は前記光伝送システムを介して前記ベース・ステーション(11)に伝送された前記光マークを検知する2つの光センサを備え、前記調節モジュール(55)は前記検知された光マークの、前記光センサにより決定された光度(luminosity)の和および/または差に基づいて前記回転エレメント(54)を制御するように設定されるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項5または6に記載の装置(1)において、前記アプリケーション・ヘッド(3)は前記ベース・ステーション(11)に、それぞれの縦軸の周りに回転可能である多数のアーム・エレメント(130、131、132、133)を備える多関節アーム(13)により、装着され、前記アーム・エレメント(130、131、132、133)の少なくともあるものは回転センサを設けられ、前記回転センサは前記関連するアーム・エレメント(130、131、132、133)の回転の程度をフィードバックするために調節モジュール(55)に接続され、前記調節モジュール(55)は前記回転エレメント(54)を、前記偏向された光パルスにより定義される走査平面が、前記第2の走査方向の所望の位置合わせが達成されるまで前記光伝送軸(q)の周りに回転されるように、前記回転エレメントを制御するように設定がなされるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(1)において、前記ベース・ステーション(11)は制御モジュール(15)を備え、前記制御モジュールは、前記ライト・プロジェクタ(58)が動作表面(切断表面)を第1の走査方向(y、y′)に延びる複数のライン(i、i+1)において等距離に前記送り方向に所定の線送り速度(v)で横断するように、前記移動ドライバを制御するように設定され、前記光伝送システムおよび前記ライト・プロジェクタ(58)は前記第2の走査方向(s)に偏向された光パルスが、前記線上における眼組織(22)の点状破壊がコヒーレントに実行されるように重ね合わせられるように、光接続されるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置(1)において、前記光源(51)および前記ライト・プロジェクタ(58)は、眼組織(22)の点状破壊のために眼(2)の内部に焦点(F)を設定され、前記ベース・ステーション(11)は制御モジュール(15)を備え、前記制御モジュールは、前記光パルスが前記第2の走査方向(s)に偏向され、かつ前記第1の走査方向(y、y′)の前記ライト・プロジェクタ(58)の移動に重ね合わされた光パルスが、残りの領域において眼(2)に接続されたままになっている組織フラップ(皮弁)を残りの眼組織(22)から分離するように前記移動ドライバ(57)を制御するように設定されるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置(1)において、前記ライト・プロジェクタ(58)の運動速度は前記第2の走査方向(s)における前記光パルスの偏向により引き起こされる前記光パルスの運動と比べて数倍遅いことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置(1)において、前記ベース・ステーション(11)二配置された前記ビーム偏向手段は駆動手段(522)を有する回転可能に支持されたミラー(521)、特に多数の面を有する多面体ミラーを備え、前記回転エレメント(54)はK−ミラーとして構成され、前記アプリケーション・ヘッド(3)は前記(2)に搭載可能な接触体(31)を備え、少なくとも部分的に透明であり、搭載された状態で動作表面から当距離に接触がなされる前記眼(2)の領域を設定し、前記アプリケーション・ヘッド(3)は前記アプリケーション・ヘッド(3)を前記眼(2)に低圧力で固定する固定手段を有し、かつ前記光源(51)はフェムト秒レーザーを備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置(1)において、前記ベース・ステーション(11)はエキシマレーザー・システムに組みこまれていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−341103(P2006−341103A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−160937(P2006−160937)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(506198573)エスイーエー アクチェンゲゼルシャフト サージカル インストルメント エンジニアリング (4)
【氏名又は名称原語表記】SIE AG Surgical Instrument Engineering
【Fターム(参考)】