説明

着座センサ

【課題】 構成の簡素化を図りつつ、複数の座席に対する着座の有無を適切に判断させ得る着座センサを提案する。
【解決手段】 センサ部71,72,73と、センサ部71,72,73に並列に接続される抵抗素子61,62,63との組US1,US2,US3を一対の端子42A,42B間に複数備える。複数の組US1,US2,US3は互いに直列に接続され、複数の組US1,US2,US3それぞれにおける抵抗素子61,62,63の抵抗値は互いに異なり、かつ、それら抵抗素子61〜63の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成の簡素化を図りつつ、複数の座席に対する着座の有無を適切に判断させ得る着座センサに関する。
【背景技術】
【0002】
車両における安全システムの一つとして、乗車時にシートベルトが非着用であることを警告するアラームシステムが実用化されている。このアラームシステムでは、人の着座が感知されている状態においてシートベルトの着用が非感知となる場合に、警告が発せられる。この人の着座を感知するものとして、着座による荷重を感知する着座センサが用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、複数乗員の着座ポジションにおける着座状態を個々に検知する着座センサが記載されている。この特許文献1に記載の着座センサでは、複数のオン・オフタイプとなる3つの感圧スイッチが各座席に配置されている。これら感圧スイッチを構成する一方の電極は、それぞれ別々の端子に接続され、他方の電極は、共通の端子に接続されている。そして、これら4つの端子には、エンジンコントロールユニットのコネクタ端子にそれぞれ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−134065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、着座センサに対して用意されるエンジンコントロールユニットのコネクタ端子の数は2つである。したがって、上記特許文献1の着座センサをエンジンコントロールユニットに接続する場合、エンジンコントロールユニットのコネクタ端子数を増加する等、エンジンコントロールユニット側の構成が複雑となる。また、エンジンコントロールユニットに接続すべき電子機器は着座センサ以外にも数多くあるため、着座センサに対するコネクタ端子を別途新たに設けることが困難となる場合もある。
【0006】
そこで、本発明は、構成の簡素化を図りつつ、複数の座席に対する着座の有無を適切に判断させ得る着座センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の着座センサは、センサ部と、前記センサ部に並列に接続される抵抗素子との組を一対の端子間に複数備え、複数の前記組が互いに直列に接続され、複数の前記組それぞれにおける抵抗素子の抵抗値は互いに異なり、かつ、それら抵抗素子の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なることを特徴とするものである。
【0008】
この着座センサによれば、センサ部と抵抗素子との組が各座席に1つずつ割り当てられた場合、各組のセンサ部における検知又は非検知の組み合わせごとに出力抵抗が異なることになる。したがって、センサ部に接続される一対の端子から出力される信号に基づいて、複数の座席に対する着座の有無がそれぞれ判断可能となる。また、着座センサの端子数が2つであるため、上記特許文献1に比べて端子数を低減でき、この結果、着座センサ自身又はエンジンコントロールユニット側の構成が簡素化される。
【0009】
また、前記センサ部は、互いに対向する一対の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートに介在し、少なくとも1つの開口が形成されたシート状のスペーサと、前記一対の絶縁シートの対向面にそれぞれ設けられ、前記開口を介して互いに対向する一対の電極とを有し、前記抵抗素子は、印刷抵抗でなり、前記一対の絶縁シートの対向面上に配置され、前記スペーサに覆われることが好ましい。
【0010】
この着座センサによれば、印刷抵抗に対する異物の混入がスペーサによって回避されるため、その異物に伴う配線抵抗の破損や抵抗値の変動が回避される。また、回路素子としての抵抗器を用いる場合に比べて、互いに対向する一対の絶縁シート間の厚みを低減することができる。
【0011】
また、複数の前記組は、それぞれ独立でなり、各前記組それぞれにおける前記センサ部同士は、柔軟性を有する導電線によって接続されていることが好ましい。
【0012】
この着座センサによれば、座席ごとに、センサ部の配置位置を、配線し直すことなく、自由に選択させることができる。したがって、複数の座席の一部が折り畳み可能となる場合、あるいは、物理的に離間する各座席がセンサ部の配置対象とされた場合であっても、感度が良好となる位置に各センサ部をそれぞれ配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、構成の簡素化を図りつつ、複数の座席に対する着座の有無を適切に判断させ得る着座センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す斜視図である。
【図2】図1の第1電極シートを示す平面図である。
【図3】図1の第2電極シートを示す平面図である。
【図4】図1のスペーサを示す平面図である。
【図5】第1電極シートとスペーサと第2電極シートとを重ね合わせた状態を、鉛直方向から見た図である。
【図6】図5のV−V線に沿った断面の様子を示す図である。
【図7】図1の着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。
【図9】座席装置に人が正規着座した状態で、座席装置のシートパンが、クッションパッドを介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。
【図10】座席装置内に着座センサが配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る着座センサを示す斜視図である。
【図12】図11のセンサ部における第1電極シートと、第2電極シートと、スペーサとを示す平面図である。
【図13】図11の導電線の長さ方向に垂直な断面を示す図である。
【図14】図11の着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図15】並列接続対象の感圧スイッチを組として直列に接続した場合の着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図16】直列接続対象の感圧スイッチを組として並列に接続した場合の着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図17】櫛歯電極の感圧スイッチを有する着座センサを示す平面図である。
【図18】ショートバー電極の感圧スイッチを有する着座センサを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る座席装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す概略図である。図1に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と、第2電極シート20と、スペーサ30と、クッション部材51,52とを主な構成要素として備える。
【0017】
図2は、図1の第1電極シート10を示す平面図である。図2に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に設けられる第1電極14A〜14Fと、第1絶縁シート11の表面に設けられる端子42A、42Bと、印刷抵抗61〜63とを主な構成要素として備える。
【0018】
第1絶縁シート11は、矩形状のメインブロックB1と、そのメインブロックB1の短手方向の一端に連結され、メインブロックB1よりも小さい比率となる矩形状のサブブロックB2とから成る。
【0019】
第1電極14A〜14Fは、それぞれ略円形の形状とされ、第1絶縁シート11の一方の表面に対して、同一直線状に並ぶ状態で配置されている。なお、第1電極14A〜第1電極14Fが配置される表面は、第2電極シート20が対向される側の表面である。
【0020】
端子42A、42Bは、略四角形の形状とされ、サブブロックB2のうち、第1電極14A〜14Fが配置されている面と同じ表面上に配置されている。
【0021】
端子42Aと第1電極14Aとは、第1配線16Aにより互いに電気的に接続され、端子42Bと第1電極14Fとは、第1配線16Bにより互いに電気的に接続されている。また、第1電極14Bと14Cとは、第1配線16Cにより互いに電気的に接続され、第1電極14Dと14Eとは、第1配線16Dにより互いに電気的に接続されている。
【0022】
印刷抵抗61〜63は、第1電極14Aと14B、14Cと14D、14Eと14Fごとに割り当てられ、第1電極14A〜14Fが配置されている面と同じ表面上に配置されている。これら印刷抵抗61〜63の抵抗値は互いに異なり、かつ、印刷抵抗61〜63の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なっている。例えば、単位長あたりの抵抗値が同程度となる印刷抵抗61〜63の長さが、1:2:4とされる。
【0023】
印刷抵抗61と印刷抵抗62とは、配線16Eにより互いに電気的に接続され、その配線16Eと配線16Cとは、配線16Fにより互いに電気的に接続されている。また、印刷抵抗62と印刷抵抗63とは、配線16Gにより互いに電気的に接続され、その配線16Gと配線16Dとは、配線16Hにより互いに電気的に接続されている。さらに、印刷抵抗61と配線16Aとは、配線16Iにより互いに電気的に接続され、印刷抵抗63と第1電極14Fとは、配線16Jにより互いに電気的に接続されている。
【0024】
図3は、図1の第2電極シート20を示す平面図である。図3に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Fを主な構成要素として有する。なお、第2絶縁シート21における可撓性は、第1絶縁シート11と同程度とされるが、異なっていても良い。
【0025】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11におけるメインブロックB1と同形同大でなる。
【0026】
第2電極24A〜24Fは、第1電極14A〜14Fと同形同大とされている。さらに、第2電極24A〜24Fは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0027】
第2電極24Aと24Bとは第2配線26Aにより互いに電気的に接続され、第2電極24Cと24Dとは第2配線26Bにより互いに電気的に接続され、第2電極24Eと24Fとは第2配線26Cにより互いに電気的に接続されている。
【0028】
図4は、図1のスペーサ30を示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなる。そして、図4に示すように、スペーサ30は、外形が第2電極シート20と一致している。
【0029】
また、スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口34A〜34Fが形成されている。開口34A〜34Fは、周縁が略円形の形状であり、第1電極14A〜14Fよりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、開口34A〜34Fは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合に、第1電極14A〜14Fのそれぞれの外周の内側にそれぞれの開口34A〜34Fが収まるような位置に形成されている。
【0030】
さらにスペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Fをスペーサ30の外部と空間的に接続するスリット36A〜36Fが形成されている。具体的には、それぞれのスリット36A〜36Fは、一端がスペーサ30の外部と接続されている。そして、スリット36A〜36Fの他端は、対応する開口34A〜34Fと接続されている。
【0031】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0032】
図5は、第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とを重ね合わせた状態を、鉛直方向から見た図である。図6は、図5のV−V線に沿った断面の様子を示す図である。ただし、図5では、理解用意のため、クッション部材51,52が省略されている。
【0033】
図5、図6に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0034】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、重ね合わされ一体化された場合、図6に示すように第1電極シート10の第1電極14D、及び、第2電極シート20の第2電極24Dは、互いに重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Dは、第2電極24Dの外周内に収まっている。そして、第1電極14Dと第2電極24Dとは、図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Aが形成されたシート状のスペーサ30と、開口34Aを介して互いに対向する一対の電極14A、24Aとを有する感圧スイッチ40Aが構成されている。
【0035】
同様に他の第1電極14B〜14Fと、他の第2電極24B〜24Fとが、それぞれスペーサ30の開口34B34Fにおいて所定の間隔をあけて対向し、図5に示すように感圧スイッチ40B〜40Fが構成されている。
【0036】
感圧スイッチ40Aと40B,40Cと40D,40Eと40Fは、座席に割り当てられるセンサ部71,72,73とされる。また、感圧スイッチ40Aと40B,40Cと40D,40Eと40Fは、後部座席として一列に並べられるクッションパッドの幅方向の中心を通る鉛直平面VFと交わるメインブロックB1の表面部分を基準として対称に配置されている。
【0037】
図6に示すように、第1電極シート10の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、クッション部材51が設けられている。一方、第2電極シート20の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材52が設けられている。
【0038】
なお、一対のクッション部材51,52は、それぞれ対応する第1電極シート10,第2電極シート20の一方の表面全体にわたって設けられていても良く、第1電極シート10,第2電極シート20における一方の表面のうち、感圧スイッチ40A〜40Fが配置される部分の反対側となる表面部分に設けられていても良い。また一対のクッション部材51,52が、感圧スイッチ40A〜40Fの全体又は一部を覆うように一体として設けられていても良い。少なくとも、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面の一部に設けられていれば良い。
【0039】
本実施形態では、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は、同じ材質で、同じ弾性力を有しており、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0040】
図7は、着座センサ1の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成されるそれぞれの感圧スイッチ40A〜40F、及び、それぞれの端子42A、42Bは、図7に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16J、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A〜26Cにより互いに接続されている。このように感圧スイッチ40A〜40Fが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
【0041】
感圧スイッチ40Aと40Bとからなるセンサ部71には印刷抵抗61が並列に接続され、これらセンサ部71と印刷抵抗61とは、1つの座席に割り当てるべき組(以下、ユニットセンサという)US1とされる。一方、感圧スイッチ40Cと40Dとからなるセンサ部72には印刷抵抗62が並列に接続され、これらセンサ部72と印刷抵抗62とは、ユニットセンサUS2とされる。他方、感圧スイッチ40Eと40Fとからなるセンサ部72には印刷抵抗63が並列に接続され、これらセンサ部73と印刷抵抗63とはユニットセンサUS3とされる。これらユニットセンサUS1〜US3は互いに直列に接続されている。
【0042】
図8は、本発明の第1実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、図8の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図8の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図8の(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92、クッションパッド93A〜93C、背もたれ96A〜96C、及び、着座センサ1を主な構成として備えている。
【0043】
シートパン92は、例えば合成の高い金属板の折曲加工によってクッションパッド93A〜93Cの台座として形成されており、クッションパッド93A〜93Cを支持している。
【0044】
クッションパッド93A〜93Cは、車両の運転席及び助手席の後部座席として一列に並べられている。これらクッションパッド93A〜93Cは、例えば発泡ウレタンから構成され、クッション性を有する。すなわち、クッションパッド93A〜93Cは、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93A〜93Cは、図示しない布製の表皮に覆われている。
【0045】
背もたれ96A〜96Cは、図示しない手段によりリクライニング可能にクッションパッド93A〜93Cの後方に設けられている。
【0046】
着座センサ1は、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93A〜93Cとに挟まれている。図8の(B)に示すように、この着座センサ1では、クッション部材51のうち第1絶縁シート11と対向する側と逆側が、シートパン92に対向され、クッション部材52のうち第2絶縁シート21と対向する側と逆側が、クッションパッド93A〜93Cに対向されている。
【0047】
図8の(A)に示すように、ユニットセンサUS1のセンサ部71(感圧スイッチ40Aと40B)と、そのセンサ部71に並列に接続される印刷抵抗61とはクッションパッド93Aに割り当てられている。一方、ユニットセンサUS2のセンサ部72(感圧スイッチ40Cと40D)と、そのセンサ部72に並列に接続される印刷抵抗62とはクッションパッド93Bに割り当てられている。他方、ユニットセンサUS3のセンサ部73(感圧スイッチ40Eと40F)と、そのセンサ部73に並列に接続される印刷抵抗63とはクッションパッド93Cに割り当てられている。また、感圧スイッチ40Aと40B,40Cと40D,40Eと40Fは、割当対象のクッションパッド93A,93B,93Cの幅方向の中心を通る鉛直平面VFを基準として、左右対称の関係で、同一線上に配置されている。
【0048】
上述したように、これらユニットセンサUS1〜US3は互いに直列に接続され、ユニットセンサUS1は一方の端子42Aに接続されるとともに、ユニットセンサUS3は他方の端子42Bに接続される。これら端子42A、42Bには、図示しないエンジンコントロールユニットが接続されている。
【0049】
なお、この実施形態における感圧スイッチ40A〜40Fは、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されている。「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれ96に接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、人が着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0050】
図9は、図8の(B)において破線で示すように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、クッションパッド93A、93B又は93Cを介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。なお、図9の「FC」は、シートパン92のうち、1つのクッションパッド93A、93B又は93C部分を示している。
【0051】
座席装置9に正規着座する人から加わる荷重は、クッションパッドの表面では、人の臀部が位置する場所に集中するものであるが、図9に示すように、シートパン92上では、ヒップポイントHPよりも前方の鉛直平面VF付近が最大荷重領域MGとなる。
【0052】
これは、次のように考えられる。つまり、正規着座する人の重力によって鉛直方向に力が働くことに加えて、背もたれ96が背中を押す力によって前方向にも力が働くからである。なお、この実施形態のように座席装置9に背もたれ96がない場合であっても、正規着座する人から加わる荷重は、シートパン92上では、ヒップポイントHPよりも前方の領域が最も大きくなる。これは、正規着座する人の重力によって鉛直方向に力が働くことに加えて、後ろ側に倒れないように着座者自身が前かがみになることに起因する力によって前方向にも力が働くからであると考えている。
【0053】
なお、「最大荷重領域MG」とは、シートパンがクッションパッドから最も押圧力を受けていない場所における押圧力を0として、シートパンがクッションパッドから最も大きな押圧力を受けている場所における押圧力を100とする場合に、シートパン92が90以上の押圧力をうける領域をいう。
【0054】
上述のように、感圧スイッチ40A〜40Fは、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置され、その配置場所が最大荷重領域MGと重なっている。従って、感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
【0055】
図10は、座席装置9内に着座センサ1が配置された状態で、例えば感圧スイッチ40Aがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。
【0056】
人がクッションパッド93Aに着座すると、ヒップポイントHPよりも前方の最大荷重領域MGに配置されている感圧スイッチ40Aは、着座センサ1の両面に対して垂直な方向から、シートパン92及びクッションパッド93Aによって、矢印で示すように適切に押圧される。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93Aから押圧力を受け、クッション部材51は、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Aに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Aを介して対向する絶縁シート11、20に設けられた電極14A、24Aが接触する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。
【0057】
そして、鉛直平面VFを基準として、感圧スイッチ40Aと対称な位置に配置されている感圧スイッチ40Bも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。
【0058】
なお、本実施形態の着座センサ1では、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14A,14Bと電極24A,24Bとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40A,40Bをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0059】
また、シートパン92と、クッションパッド93とが対向されるそれぞれの部分にクッション部材51、52が設けられているため、クッションパッド93の底面が不均一であることに起因して、単位領域当たりの押圧力に差が生じても、その差が緩和される。従って、シートパン92からクッション部材51に加えられる押圧力と、クッションパッド93からクッション部材52に加えられる押圧力とは略同じとなる。そして、本実施形態では、上述のようにクッション部材51、52は、同じ弾性力を有するため、同じ押圧力が加えられると、クッション部材51、52が、絶縁シート11、21を同じ弾性力で押圧する。従って、絶縁シート11、21は、同じように撓み、それぞれの感圧スイッチ40A,40Bにおける一対の電極14A,14B、24A,24Bは、開口34A,34B内において、スペーサ30の厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、一方の絶縁シートの撓み量が大きくなるということが抑制されており、着座の検出感度が向上されている。
【0060】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、開口34A,34B内の空気は、スリット36A,36Bを介して外部に排出される。従って、感圧スイッチ40A,40Bがオンになるとき、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、感圧スイッチ40A,40Bの一対の電極が接触し易くされており、着座の検出感度が向上されている。
【0061】
上述の感圧スイッチ40A,40Bと同様に、クッションパッド93Bに人が着座した場合には、感圧スイッチ40C,40Dがオンとなり、クッションパッド93Cに人が着座した場合には、感圧スイッチ40E,40Fがオンとなる。
【0062】
こうして、クッションパッド93A〜93Cの少なくとも1つに人が着座した場合、その着座対象のクッションパッドに配置されるセンサ部71〜73の感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなり、端子42A,42Bが導通する。この場合、端子42A,42Bに接続されるエンジンコントロールユニットには、着座センサ1の検出信号が、端子42A,42Bを介して与えられることになる。
【0063】
この実施形態の場合、センサ部71,72,73それぞれに対して並列に接続される抵抗素子61,62,63は、上述したように、単位長あたりの抵抗値を同程度とし、その長さを1:2:4としている。したがって、着座センサ1の出力抵抗は、センサ部71〜73の感圧スイッチがすべてオフとなる場合、「7」となり、クッションパッド93Aに配されるセンサ部71の感圧スイッチのみがオンとなる場合、「6」となる。また、クッションパッド93Bに配されるセンサ部72の感圧スイッチのみがオンとなる場合、「5」となり、クッションパッド93Cに配されるセンサ部73の感圧スイッチのみがオンとなる場合、「3」となる。また、クッションパッド93Aに配されるセンサ部71と、クッションパッド93Bに配されるセンサ部72とがオンとなる場合、「4」となり、クッションパッド93Aに配されるセンサ部71と、クッションパッド93Cに配されるセンサ部73とがオンとなる場合、「2」となる。また、クッションパッド93Bに配されるセンサ部72と、クッションパッド93Bに配されるセンサ部72とがオンとなる場合、「1」となり、センサ部71〜73の感圧スイッチがすべてオンとなる場合、「0」となる。
【0064】
このように着座センサ1の出力抵抗は、各センサ部71,72,73における検知又は非検知の組み合わせごとに異なることになる。なお、配線抵抗や接点抵抗等に起因して着座センサ1の出力抵抗が実際には上記値として得られないが、これら要因を考慮しても着座センサ1の出力抵抗はセンサ部71,72,73の検知又は非検知の組み合わせごとに異なった値となる。
【0065】
エンジンコントロールユニットでは、着座センサ1から与えられる検出信号のレベルに基づいて着座センサ1の回路抵抗が算出され、その回路抵抗に対して設定される閾値との比較結果に基づいて、クッションパッド93A〜93Cに対する着座の有無が判断される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の着座センサ1では、センサ部71,72,73と、そのセンサ部71,72,73に並列に接続される印刷抵抗61,62,63とを組とするユニットセンサUS1,US2,US3が、互いに直列に接続される。そして、印刷抵抗61〜63の抵抗値は互いに異なり、かつ、各印刷抵抗61〜63の組み合わせそれぞれの合計抵抗と異なるものとされている。このため、各センサ部71〜73の感圧スイッチにおけるオンオフの8通りの組み合わせごとに、着座センサ1の出力インピーダンスが相違することになる。
【0067】
したがって、エンジンコントロールユニットでは、着座センサ1から与えられる検出信号のレベルに基づいて、クッションパッド93A〜93Cに対する8通りの着座の有無がそれぞれ判断可能となる。
【0068】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について図11〜図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図11は、本発明の第2実施形態に係る着座センサを示す斜視図である。
【0069】
図11に示すように、着座センサ2は、独立した3つのユニットセンサ分体75A〜75C、及び、ユニットセンサ分体75Aと75B,75Bと75Cを電気的に接続する配線としての導電線45を主な構成として備える。
【0070】
3つのユニットセンサ分体75A〜75Cは、第1電極シート10A〜10Cと、第2電極シート20A〜20Cと、スペーサ30A〜30Cと、クッション部材51A〜51C,52A〜52Cとを主な構成要素として備えている。
【0071】
図12は、図11のユニットセンサ分体75A〜75Cにおける第1電極シート10A〜10Cと、第2電極シート20A〜20Cと、スペーサ30A〜30Cとを示す平面図である。具体的には、図12の(A)は、第1電極シート10A〜10Cを示し、図12の(B)は、第2電極シート20A〜20Cを示し、図12の(C)は、スペーサ30A〜30Cを示すものである。
【0072】
図12の(A)に示すように、第1電極シート10A〜10Cは、図2に示した第1実施形態の第1絶縁シート11をおおむね3つに分割した第1絶縁シート11A〜11Cを有している点で、第1実施形態の第1電極シート10と異なる。このシート分割に応じて、図2に示した第1実施形態の配線16Bは、配線16Bx〜16Bzに3分割され、配線16C、16D、16E、16Gは、配線16Cx,16Cy、16Dy,16Dz、16Ex,16Ey、16Gy,16Gzに2分割されている。また、第1絶縁シート11A〜11Cには、これら分割された配線同士を、導電線45を介して接続するための端子46A〜46C,47A〜47C,48A〜48C,49A〜49Cが新たに設けられている点で、第1実施形態の第1絶縁シート11と異なる。
【0073】
図12の(B)に示すように、第2電極シート20A〜20Cは、図3に示した第1実施形態の第2絶縁シート21を3つに分割した第1絶縁シート21A〜21Cを有している点で、第1実施形態の第1電極シート20と異なる。
【0074】
図12の(C)に示すように、スペーサ30A〜30Cは、図4に示した第1実施形態のスペーサ30を3つに分割したものとなっている点で、第1実施形態のスペーサ30と異なる。
【0075】
第1実施形態の場合と同様に、図12の(A)に示す第1電極シート10A〜10Cと、図12の(B)に示す第2電極シート20A〜20Cとが、図12の(C)に示すスペーサ30A〜30Cの両面に塗布された接着剤により固定されて一体となる。こうして、図11に示すように、センサ部71の感圧スイッチ40A及び40Bと、センサ部72の感圧スイッチ40C及び40Dと、センサ部73の感圧スイッチ40E及び40Fとが構成されている。
【0076】
図13は、図11の導電線45の長さ方向に垂直な断面を示す図である。図13に示すように、導電線45は、金属の撚り線等で成る芯部材46と、芯部材46の外周を被覆する絶縁部材47との2層構造となっている。そして、図11に示すように、導電線45は全体として柔軟性を有しており、その導電線45の芯部材46の一端はセンサ部71の端子46A〜46C又はセンサ部72の端子48A〜48Cに接続され、他端はセンサ部72の端子47A〜47C又はセンサ部73の端子49A〜49Cに接続されている。
【0077】
図14は、着座センサ2の回路構成を等価回路で示す回路図である。図14に示すように、ユニットセンサ分体75A,75B,75Cは、導電線45を介して、互いに直列に接続される。また、ユニットセンサ分体75Aのセンサ部71(感圧スイッチ40Aと40B)には印刷抵抗61が並列に接続される。一方、ユニットセンサ分体75Bのセンサ部72(感圧スイッチ40Cと40D)には印刷抵抗62が並列に接続される。他方、ユニットセンサ分体75Aのセンサ部73(感圧スイッチ40Eと40F)には印刷抵抗63が並列に接続される。そして、第1実施形態と同様に、印刷抵抗61,62,63の抵抗値は互いに異なり、かつ、印刷抵抗61〜63の組み合わせそれぞれの合計抵抗と異なるものとされている。
【0078】
このようなユニットセンサ分体75A,75B,75Cは、第1実施形態と同様に、車両の運転席及び助手席の後部座席として一列に並べられるクッションパッド93A,93B,93Cと、シートパン92との間に配置される。また、ユニットセンサ分体75Aの端子42A、42Bには、図示しないエンジンコントロールユニットが接続される。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の着座センサ2では、独立となる3つのユニットセンサ分体75A,75B,75Cが、導電線45を介して、それぞれ直列に接続される。また、これらユニットセンサ分体75A,75B,75Cのセンサ部71,72,73には、印刷抵抗61,62,63が並列に接続される。そして、印刷抵抗61〜63の抵抗値は互いに異なり、かつ、各印刷抵抗61〜63の組み合わせそれぞれの合計抵抗と異なるものとされている。
【0080】
このためこの着座センサ2では、第1実施形態の着座センサ1と同様に、センサ部71〜73の感圧スイッチにおけるオンオフの8通りの組み合わせごとに、着座センサ1の出力インピーダンスが相違することになる。
【0081】
したがって、この着座センサ2は、エンジンコントロールユニットに対して、出力インピーダンスに基づいて、クッションパッド93A〜93Cに対する8通りの着座の有無がそれぞれ判断させることが可能となる。
【0082】
また、この着座センサ2では、ユニットセンサ分体75A,75B,75Cが柔軟性を有する導電線45によって接続されている。このため、クッションパッド93A,93B,93Cごとに、センサ部71の感圧スイッチ40A及び40Bと、センサ部72の感圧スイッチ40C及び40Dと、センサ部73の感圧スイッチ40E及び40Fとの配置位置を、配線し直すことなく、自由に選択させることができる。したがって、クッションパッド93A,93B,93Cごとに、感圧スイッチの感度が良好となる位置に各センサ部71,72,73をそれぞれ配置することが可能となる。
【0083】
これに加えて、第1実施形態のように各クッションパッド93A,93B,93Cをわたって着座センサ2が介在することを回避できる。したがって、クッションパッド93A,93B,93Cの一部が折り畳み可能となる場合、あるいは、物理的に離間する各座席がセンサ部の配置対象とされた場合であっても、各センサ部71,72,73それぞれの配置が可能となる。
【0084】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0085】
例えば、上記実施形態では、各クッションパッド93A,93B,93Cに配される感圧スイッチの数が2つとされたが、1つでも良く、3つ以上でも良い。なお、クッションパッド93A,93B,93Cごとに、感圧スイッチの数が異なっていても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、各クッションパッド93A,93B,93Cに配される感圧スイッチが直列接続されたが、例えば図15又は図16に示すように、並列接続を組み合わせても良い。
【0087】
図15は、並列接続対象の感圧スイッチを組として直列に接続した場合の着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。この図15に示す着座センサ3では、2つの感圧スイッチ40Aaと40Ab,40Baと40Bb,40Caと40Cb,40Daと40Db,40Eaと40Eb,40Faと40Fbが並列接続対象の組S11,S12,S13,S14,S15,S16とされる。そして、2つの組S11とS12,S13とS14,S15とS16が、直列に接続され、クッションパッド93A,93B,93Cに割り当てられるセンサ部71,72,73とされる。この着座センサ3では、クッションパッド93A,93B,93Cの押圧力が、並列接続される組S11とS12,S13とS14,S15とS16における感圧スイッチの1つにさえ伝われば、他の感圧スイッチに対して伝わり難いとしても接続状態が維持される。したがって、並列接続されていない場合に比べて、感圧スイッチの非感知が、感圧スイッチの配置位置を変更することなく低減される。
【0088】
一方、図16は、直列接続対象の感圧スイッチを組として並列に接続した場合の着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。この図16に示す着座センサ4では、2つの感圧スイッチ40Aaと40Ab,40Baと40Bb,40Caと40Cb,40Daと40Db,40Eaと40Eb,40Faと40Fbが直列接続対象の組S21,S22,S23,S24,S25,S26とされる。そして、2つの組S21とS22,S23とS24,S25とS26が、並列に接続され、クッションパッド93A,93B,93Cに割り当てられるセンサ部71,72,73とされる。この着座センサ4では、クッションパッド93A,93B,93Cの押圧力が、直列接続される組S11とS12,S13とS14,S15とS16における感圧スイッチのすべてに伝わらない限り非接続状態となる。したがって、直列接続されていない場合に比べて、臀部よりも小さい荷物が座席に置かれたことに起因する誤検出が低減される。
【0089】
なお、着座センサ3,4は、第1実施形態のように各クッションパッド93A,93B,93Cをわたって介在する形態となる。しかしながら、着座センサ3,4が、第2実施形態の図14に示したようにクッションパッド93A,93B,93Cごとに個別のユニットセンサ分体を導電線45によって接続する形態とされていても良い。また、着座センサ3,4では、組S11〜S16,S21〜S26とされる感圧スイッチの数が2つとされたが、2つ以上であれば良い。さらに、1つのクッションパッドに対する並列接続対象又は直列接続対象の組が2組とされたが、1組又は3組以上でもよい。ただし、対称性の観点では、偶数組であるほうが好ましい。
【0090】
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40A〜40Fを構成する第1電極14A〜14Fが略円形状とされたが、これ以外の形状としても良い。具体例として、図17又は図18が挙げられる。
【0091】
図17は、櫛歯電極の感圧スイッチを有する着座センサを示す平面図である。具体的には、図17の(A)は、第1電極シート10を示し、図17の(B)は、第2電極シート20を示し、図17の(C)は、図17の(A)の第1電極シート10と図17の(B)の第2電極シート20とをスペーサ30を介して重ね合わせた状態を示すものである。ただし、理解用意のため、図17の(C)ではクッション部材51,52は省略されている。図17の(A)に示すように、第1電極シート10は、第1電極14A〜14Fが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態と異なる。この櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。一方、図17の(B)に示すように、第2電極シート20は、第2配線26A〜26Cが設けられていない点において、第1実施形態と異なる。図17の(C)に示すように、図17の(A)に示す第1電極シート10と図17の(B)に示す第2電極シート20とが第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねた状態で一体化され、感圧スイッチ40A〜40Fを有する着座センサ5が構成される。この着座センサ5では、感圧スイッチ40A〜40Fが押圧されると、第2電極24A〜24Fが、第1電極14A〜14Fにおけるそれぞれの平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Fにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなることにより、人の着座が検出される。
【0092】
一方、図18は、ショートバー電極の感圧スイッチを有する着座センサを示す平面図である。具体的には、図18の(A)は、第1電極シート10を示し、図18の(B)は、第2電極シート20を示し、図18の(C)は、図18の(A)の第1電極シート10と図18の(B)の第2電極シート20とをスペーサ30を介して重ね合わせた状態を示すものである。ただし、理解用意のため、図18の(C)ではクッション部材51,52は省略されている。図18の(A)に示すように、第1電極シート10は、第1電極14A〜14Fがショートバー電極から構成されている点において、第1実施形態と異なる。このショートバー電極は、一組の半月状導体を、互いの非円弧部分が一定の距離だけ隔てて配置することで構成される。一方、図18の(B)に示すように、第2電極シート20は、第2配線26A〜26Cが設けられていない点において、第1実施形態と異なる。図18の(C)に示すように、図18の(A)に示す第1電極シート10と図18の(B)に示す第2電極シート20とが第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねた状態で一体化され、感圧スイッチ40A〜40Fを有する着座センサ6が構成される。この着座センサ6では、感圧スイッチ40A〜40Fが押圧されると、第2電極24A〜24Fが、第1電極14A〜14Fにおけるそれぞれの半月状導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Fにおける互いに絶縁されている一組の半月状導体同士が、第2電極24A〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなることにより、人の着座が検出される。
【0093】
なお、着座センサ5,6は、第1実施形態における第1電極14A〜14Fの形状を変更するとともに、第2配線26A、26Bを省略したものである。第2実施形態における第1電極14A〜14Fの形状を変更するとともに、第2配線26A、26Bを省略するようにしても良い。
【0094】
また、上記実施形態では、感圧スイッチの配置対象として割り当てられるクッションパッド数が3つとされたが、2つであっても良く、4つ以上であっても良い。なお、感圧スイッチの配置対象として割り当てられるクッションパッド数が、例えば車種等に応じて異なる場合、上記第1実施形態では、車種ごとに寸法の異なる着座センサ1を配置する必要がある。これに対し、上記第2実施形態では、着座センサ2の端部を構成するセンサ部71,73の中間となるセンサ部72と、導電線45との数を増やし、そのセンサ部72の印刷抵抗62を、他のセンサ部と異ならせるだけで、車種にかかわらず着座センサ2が配置可能となる。
【0095】
また、上記実施形態では、抵抗素子として印刷抵抗61〜63が用いられたが、必ずしも印刷されていることが必須の条件となるものではない。例えば、独立した回路部品としての抵抗器が用いられても良い。この抵抗器は、固定の抵抗値であるものであっても良く、抵抗値を変更可能なものであっても良い。また、印刷抵抗61〜63は、第1絶縁シート11のみに配置されたが、第2絶縁シート21のみに配置されても良く、双方に配置されても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40Aと40B、40Cと40D,40Eと40Fが、鉛直平面VFを境界として左右対称となるように配置されているとしたが、鉛直平面VFを境界として、一方側のみに配置されても良い。
【0097】
また、各感圧スイッチ40A〜40Fにおける、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとされたが、押圧力を感知できる範囲で、大きさや形状等が異なっていても良い。例えば、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成されても良い。つまり少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにしても良い。人が座席装置に着座する場合において、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92の場所により異なるが、着座センサ1をこのように構成することにより、シートパン92上において、クッションパッド93から比較的小さな押圧力がかかる場所に開口の直径が大きな感圧スイッチを配置して、比較的大きな押圧力がかかる場所に開口の直径が小さな感圧スイッチを配置することができる。このように着座センサを配置することにより、クッションパッド93上に人が着座して、スペーサ30に形成された開口の直径が互いに異なるそれぞれの感圧スイッチに対して、異なる押圧力がかかる場合に、それぞれの感圧スイッチにおける絶縁シート11、21が適切に撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fが適切にオンすることができる。このため、人の着座を適切に検出することができる。そして、このように少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なる場合においては、互いに開口の直径が異なるそれぞれの感圧スイッチは、互いに電気的に直列に接続されていることが好ましい。
【0098】
またさらに、上記の様に、少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにする場合、さらに、開口の直径が互いに等しい少なくとも2つの感圧スイッチを備え、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側に、開口の直径が互いに等しい感圧スイッチが少なくとも1つずつ配置されることが好ましい。人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座するため、人の着座をより適切に検出して、クッションパッド93の幅方向に中心に配置されない荷物を人の着座として荷物を誤検出することを抑制することができる。そして、このように構成する場合、さらに鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されていることが好ましく、鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、鉛直平面VFを基準として互いに対称な位置に配置されていることがより好ましい。このように構成することにより、人の着座を更に適切に検出し、荷物を人の着座として誤検出することを更に抑制できる。このように構成するには、例えば、感圧スイッチ40A〜40Fの位置が上述の実施形態と同様にされ、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成され、さらに、感圧スイッチ40C,40Dと40Bにおける開口34C,34Dと34Bを同じ直径にして、感圧スイッチ40E,40Fと40Aにおける開口34E,34Fと34Aを同じ直径にすれば良い。
【0099】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Fに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を感知することができる。
【0100】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0101】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とが、互いに同じ可撓性を有し、同じ力が加わると同じように撓むとしたが、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とは、互いに異なる可撓性を有していても良い。
【0103】
また、上記実施形態においては、着座センサ1〜6がシートパン92上に配置されたが、クッションパッド93とそのクッションパッド93を覆う表皮との間に配置されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、構成の簡素化を図りつつ、複数の座席に対する着座の有無を適切に判断させ得る着座センサが提供される。
【符号の説明】
【0105】
1〜6・・・着座センサ
9・・・座席装置
10・・・第1電極シート
11・・・第1絶縁シート
14A〜14F・・・第1電極
16A〜16J・・・第1配線
20・・・第2電極シート
21・・・第2絶縁シート
24A〜24F・・・第2電極
26A〜26C・・・第2配線
30・・・スペーサ
34A〜34F・・・開口
36A〜36F・・・スリット
40A〜40F・・・感圧スイッチ
42A,42B、46A〜46C、47A〜47C、48A〜48C、49A〜49C・・・端子
45・・・導電線
51、52・・・クッション部材
61〜63・・・印刷抵抗
71〜73・・・センサ部
75A〜75C・・・ユニットセンサ分体
92・・・シートパン
93A〜93C・・・クッションパッド
96A〜96C・・・背もたれ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と、前記センサ部に並列に接続される抵抗素子との組を一対の端子間に複数備え、
複数の前記組が互いに直列に接続され、複数の前記組それぞれにおける抵抗素子の抵抗値は互いに異なり、かつ、それら抵抗素子の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なる
ことを特徴とする着座センサ。
【請求項2】
前記センサ部は、互いに対向する一対の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートに介在し、少なくとも1つの開口が形成されたシート状のスペーサと、前記一対の絶縁シートの対向面にそれぞれ設けられ、前記開口を介して互いに対向する一対の電極とを有し、
前記抵抗素子は、印刷抵抗でなり、前記一対の絶縁シートの対向面上に配置され、前記スペーサに覆われる
ことを特徴とする請求項1に記載の着座センサ。
【請求項3】
複数の前記組は、それぞれ独立でなり、各前記組それぞれにおける前記センサ部同士は、柔軟性を有する導電線によって接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の着座センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−16285(P2013−16285A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146873(P2011−146873)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】