説明

着色コーティングガラスびん

【課題】本発明の目的は、耐傷性と耐アルカリ性を付与するためにウレタン一層コーティングを施したガラスびんに、褐色とは異なる緑色、赤色等の着色をして色調性を持たせるとともに、その着色によって日光臭を予防する遮光性を付与することである。
【解決手段】本発明に係る着色コーティングガラスびんは、ガラスびんの外表面に、ウレタン樹脂を主成分とし、着色剤が分散されたコーティング被膜が施されており、コーティング被膜は、ガラスびんの外表面のうち少なくとも側壁面の全面を一層コーティングで被覆し、コーティング被膜の平均膜厚は30μmを超えて80μm以下であり、着色剤は、遮光性と着色性を備えた無機顔料及び有機顔料の両方を含み、かつ、コーティング被膜中に、着色コーティングガラスびんでの波長460nm以下の透光率が1%未満となる量が含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスびんの外表面に着色ウレタンコーティング膜が形成されて、色調、遮光性、耐傷性、耐アルカリ洗浄性に優れたびん容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラス容器に入れられたビールその他発泡性醸造酒が紫外線により劣化し、鮮度が低下することが知られている。ビールその他発泡性醸造酒とは、ビール、発泡酒及び所謂第3のビールと分類される発泡性アルコール飲料である。本発明では、ビールその他発泡性醸造酒を単にビールともいう。
【0003】
紫外線による劣化を防止するため、例えばビールの場合は波長450nm以下の光線を遮光する褐色のびんに充填し、紫外線による鮮度の低下を防止している。しかし、ビールは前記した褐色のびんでは遮光できない450〜520nmの可視領域の光線でも劣化し、日光臭と呼ばれる異臭が生じるため、商品価値が大きく損なわれるという問題がある。この日光臭の発生原因は、450〜520nmの可視領域(日光臭誘発領域)の光線によって、ビールの苦味成分が分解され、3‐メチル‐2‐ブテン‐1‐チオールが発生するためと考えられている。このため、日光臭誘発領域の光線の遮光が必要とされている(例えば特許文献1を参照。)。なお、前記450nmという波長について、本出願人による特許文献2では、460nmと記載している。
【0004】
遮光性を確保するためにビールびんのガラス厚みを増大させる方法があるが、厚みの増大に伴うびん重量の増加を招き、ビールびんの製造コストの増大、輸送コストの増大等が発生し、好ましくない。遮光性を確保するための別方法として、シュリンクラベル等の遮光性フィルムでビールびん全体を覆う方法があるが、ビールびんの中身が全く見えなくなる等の問題点があった。
【0005】
また、複数回使用されるリターナブルびんにあっては、遮光性だけではなく、耐傷性、耐アルカリ性に優れかつ軽量であることが求められる。
【0006】
前述のように、ビール等の光劣化を防止する必要があるびんでは遮光性の観点から褐色びんが主流であるが、消費者には容器の外観上の色彩についても真新しさを求める傾向があり、緑や赤等の褐色以外の着色びんに対するニーズがある。
【0007】
しかし、ガラスビンへの着色は、ガラスに着色成分を溶解させて実現するが、ガラスびん自体のガラス組成がほぼ決まっているため、制約が大きく、所望の色調を自在に出すことは難しい。例えば、緑色びんについては一部市場に出回っているが、遮光性の観点からは、波長460nm以下の紫外線領域、460〜520nmの可視領域のいずれも、褐色びんの遮光性には及ばないという問題がある。特に赤いびんについては、着色成分の種類が限られ、また、ガラスの製造条件も特殊であることから、通常びんの製造ラインを使用することができず、大量かつ安価に製造することができない。
【0008】
また、傷つきやすいガラスびんの耐圧強度を確保するため、また、ガラスびんの軽量化を図るためにセラミック膜等の保護膜を外面コーティングすることが行なわれている(例えば、麒麟麦酒社製ビール用大びん)。
【0009】
ガラスびんの着色の問題及び耐傷性が小さいという問題の解決を図るため、従来、飲用びん外面へのウレタンコーティング技術が利用されてきた。ウレタンコーティングを行なうことによって、耐アルカリ洗浄性と耐傷性を付与できることが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。特許文献3では、ウレタン樹脂液にスチレンブタジエンゴム(SBR)を混合した1液製の樹脂コーティング液中に着色剤として染料や顔料を添加して着色コーティングすることや紫外線吸収剤を添加することによって中味の変質を防ぐ紫外線カット効果をもたせることも可能であることが記載されている。また、ポリウレタン樹脂やエポキシ樹脂と顔料(茶色)の組み合わせによって、遮光性を付与する技術が紹介されている(例えば、特許文献4を参照。)。遮光性アップを目的として使用する顔料については、酸化鉄(ベンガラ)等の無機系着色顔料及びフタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、アゾ系黄色等の有機系着色顔料(例えば、特許文献5を参照。)があり、着色剤としては黄、橙、赤、赤紫、紫色等の無機色素等が紹介されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005‐220232号公報
【特許文献2】特開昭63‐185841号公報
【特許文献3】特開2002‐347769号公報
【特許文献4】特開平1‐279058号公報
【特許文献5】特開2004‐307827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献3に記載された技術は、ガラスカレットとしての再利用を考慮してコンタクトポイントに帯状にコーティングする技術であり、コンタクトポイントにおける耐傷性を向上させ、それに伴い、耐アルカリ性を向上させる技術である。したがって、帯状部分にのみ遮光性があっても中身の変質防止の効果は薄い。また、帯状の着色領域が形成できるだけであるので、デザインが制限される。さらに、使用する顔料として具体的な教示はない。
【0012】
また、特許文献4に記載された技術は、ウレタンコーティングに関する技術ではなく、遮光性を向上させる技術に関するが、顔料によって遮光性を付与させるという技術ではない。また、特許文献2に記載された技術は、2層コーティングを施す技術に関するものであり、2層コーティングを施すと、操作が煩雑になってしまうという問題がある。
【0013】
また、特許文献5に記載された技術は、遮光性を向上させることを目的とするが、アルカリによる良剥離性を課題としており、リターナブルびんには適用できず、また、ワンウェイびんであってもアルカリ洗浄を行なう洗びん機を通す充填ラインでは使用することができない。
【0014】
また、特許文献1に記載された技術は、ウレタンコーティングに関する技術ではなく、また、リターナブルびんとして用いた場合、どの程度耐アルカリ性を有しているのか不明である。
【0015】
さらに本発明者らの検討によれば、飲料びんに十分な遮光性を付与しつつ、かつ、褐色とは異なる緑色や赤色の外観上優れた着色を飲料びんに施すために、顔料をウレタンコーティング液に添加する場合、顔料の添加量が増えるほど、耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下するという問題があった。
【0016】
そこで、本発明の目的は、耐傷性と耐アルカリ性を付与するためにウレタン一層コーティングを施したガラスびんに、褐色とは異なる緑色、赤色等の着色をして色調性を持たせるとともに、その着色によって日光臭を予防する遮光性を付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、ウレタン膜中に遮光性と着色性を備えた無機顔料及び有機顔料の両方を含ませ、所定の膜厚で少なくとも側壁面の全面を被覆することで、上記課題が達成できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る着色コーティングガラスびんは、ガラスびんの外表面に、ウレタン樹脂を主成分とし、着色剤が分散されたコーティング被膜が施された着色コーティングガラスびんにおいて、前記コーティング被膜は、ガラスびんの外表面のうち少なくとも側壁面の全面を一層コーティングで被覆し、前記コーティング被膜の平均膜厚は30μmを超えて80μm以下であり、前記着色剤は、遮光性と着色性を備えた無機顔料及び有機顔料の両方を含み、かつ、前記コーティング被膜中に、着色コーティングガラスびんでの波長460nm以下の透光率が1%未満となる量が含有されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、前記ガラスびんが、無色透明ガラスびんであることが好ましい。色ガラスで形成されたガラスびんの補助的な着色のみならず、着色ウレタンコーティング自体で色調性及び遮光性を持たせることができる。
【0019】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、前記着色剤は、赤色のモノアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料であり、前記赤色のモノアゾ系有機顔料は、前記橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して70〜130質量部配合されており、着色コーティングガラスびんが赤色を呈する形態が包含される。赤色ウレタンコーティングびんであり、日光臭を抑制する遮光性も有している。
【0020】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる前記着色剤の配合割合は、2.5〜6.0質量%であることが好ましい。遮光性を有し、かつ、耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下することもなく、色彩が濃すぎることもない。
【0021】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、前記着色剤は、赤色のキナクリドン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料であり、前記赤色のキナクリドン系有機顔料及び黄色のジスアゾ系有機顔料は、前記橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対してそれぞれ70〜150質量部及び5〜25質量部配合されており、着色コーティングガラスびんが赤色を呈する形態が包含される。赤色ウレタンコーティングびんであり、日光臭を抑制する遮光性も有している。
【0022】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる前記着色剤の配合割合は、2.0〜5.0質量%であることが好ましい。遮光性を有し、かつ、耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下することもなく、色彩が濃すぎることもない。
【0023】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、前記着色剤は、青色の銅フタロシアニン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料であり、前記青色の銅フタロシアニン系有機顔料及び前記黄色のジスアゾ系有機顔料は、前記橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対してそれぞれ30〜105質量部及び110〜190質量部配合されており、着色コーティングガラスびんが緑色を呈する形態が包含される。緑色ウレタンコーティングびんであり、日光臭を抑制する遮光性も有している。
【0024】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる前記着色剤の配合割合は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。遮光性を有し、かつ、耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下することもなく、色彩が濃すぎることもない。
【0025】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、前記コーティング被膜の平均膜厚は40〜80μmであり、かつ、前記コーティング被膜の最薄箇所の膜厚が40μm以上であり、着色コーティングガラスびんがリターナブルびんである形態が包含される。リターナブルびんとして使用する場合に、十分な耐傷性と耐アルカリ性を付与することができる。
【0026】
本発明に係る着色コーティングガラスびんでは、前記コーティング被膜の平均膜厚は30μmを超えて40μm以下であり、かつ、前記コーティング被膜の最薄箇所の膜厚が30μm以上であり、着色コーティングガラスびんがワンウェイびんである形態が包含される。ワンウェイびんであってもアルカリ洗浄を行なう洗びん機を通すことがあり、このような充填ラインであっても使用することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、ウレタンコーティングガラスびんにおいて、一層コーティングとしているので経済性に優れ、また、耐傷性及び耐アルカリ性を有し、さらに、褐色とは異なる緑色、赤色等の着色ができる色調性及び日光臭を予防する遮光性の両方を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る着色コーティングガラスびんの構成を説明するためのびんの縦断面概略図である。
【図2】赤色ウレタンコーティングびん(赤色びんの第1形態)の透光率曲線の例を示すグラフである。
【図3】赤色ウレタンコーティングびん(赤色びんの第2形態)の透光率曲線の例を示すグラフである。
【図4】緑色ウレタンコーティングびんの透光率曲線の例を示すグラフである。
【図5】赤色のモノアゾ系有機顔料のみのときの透光率曲線の例を示すグラフである。
【図6】橙色の酸化鉄系無機顔料のみのときの透光率曲線の例を示すグラフである。
【図7】赤色のキナクリドン系有機顔料のみのときの透光率曲線の例を示すグラフである。
【図8】青色の銅フタロシアニン系有機顔料のみのときの透光率曲線の例を示すグラフである。
【図9】黄色のジスアゾ系有機顔料のみのときの透光率曲線の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0030】
図1は、本実施形態に係る着色コーティングガラスびんの構成を説明するためのびんの縦断面概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る着色コーティングガラスびん100は、ガラスびん1の外表面に、ウレタン樹脂を主成分とし、着色剤が分散されたコーティング被膜2が施された着色コーティングガラスびんにおいて、コーティング被膜2は、ガラスびん1の外表面のうち少なくとも側壁面の全面を一層コーティングで被覆し、コーティング被膜2の平均膜厚は30μmを超えて80μm以下であり、着色剤は、遮光性と着色性を備えた無機顔料及び有機顔料の両方を含み、かつ、コーティング被膜2中に、着色コーティングガラスびんでの波長460nm以下の透光率が1%未満となる量が含有されている。なお、図1において、コーティング被膜2は厚めに強調して図示した。
【0031】
ガラスびん1は、コーティング被膜2に着色を施すので、無色のガラスびんが好ましい。ガラスの組成は、通常の飲料用ガラスびんで使用されるソーダ石灰系ガラスが好ましい。なお、コーティング被膜2は所望の色調に着色されるが、外観の色調に影響を与えない範囲で、同色系のガラスびんを使用することもできる。例えば、緑色の着色を施したコーティング被膜でガラスびんを被覆する場合には、緑色ガラスびんを使用することもできる。
【0032】
ガラスびん1の側壁面には、ガラスびん1の表面とコーティング被膜2との密着性を高めるために、プライマー3が塗布されている。プライマーはガラスびんの外表面の全面に塗布することが好ましい。図1では、プライマーはガラスびんの外側面の全面に塗布しているが、コーティング被膜2の上端部となる、びんの口部直下の側壁面に位置するプライマー塗布の上端部3aと、コーティング被膜2の下端部となる、びん底の縁部を含むびん底面に位置するプライマー塗布の下端部3bとを明示した。プライマーの種類は特に限定されるものではなく、例えば、アルコールと水とシランカップリング剤とを混合したものを用いる。
【0033】
コーティング被膜2は、ウレタン樹脂を主成分とする。副成分として硬化剤(メラミン樹脂成分とエポキシ樹脂成分)を加えることが好ましい。例えば、ウレタン樹脂を水に分散させ、硬化剤を添加してコーティング液を調製し、ガラスびんの側壁面に塗布し、乾燥し、さらに硬化させる。コーティング液には、後述する着色剤を添加しておく。こうすることによって、着色剤をコーティング被膜2中に分散させることができる。コーティング液には、各種調整剤、例えば、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤を添加しても良い。コーティング液の粘度は、ガラスびんの側壁面に均一に塗布することができれば特に限定されないが、例えば、15〜31mPa・s(25℃)である。リターナブルとするときは好ましくは21〜31mP a・s(25℃)、ワンウェイとするときは好ましくは15〜25mPa・s(25℃)とする。
【0034】
コーティング被膜2で覆う領域は、図1で示すように、外表面のうち少なくとも側壁面の全面とする。側壁面の全面を覆うことで、遮光性が確保できる。なお、遮光性に影響を与え難いびん底5とびん口部4にはコーティング被膜2を被覆する必要はないが、被覆をしても良い。びん口部4は、スカート部の垂直方向長さが長いスクリューキャップを採用することで、蓋に口部における遮光性を持たせても良い。ウレタン樹脂を主成分とするコーティング被膜2は、耐傷性及び耐アルカリ性に優れるので、ガラスびんの少なくとも側壁面の全面を保護する。
【0035】
コーティング被膜2は、被膜工程における経済性の観点から、一層コーティングで形成することが好ましい。本実施形態では、遮光性と着色性を備えた顔料を使用するため、それぞれの役割の顔料を個別に添加する場合よりも、顔料の全含有量を少なくできるので、一層コーティングで対応できる。
【0036】
コーティング被膜2の平均膜厚は30μmを超えて80μm以下とする。通常のウレタンコーティングであれば、特許文献1に示すように5μm以上の膜厚があれば耐傷性、耐アルカリ洗浄性に問題はないが、本実施形態では、コーティング液中に着色や遮光性を上げることを目的として顔料を加えることから、耐アルカリ性が顔料を加えない場合よりも低くなるため、平均膜厚は30μmを超えることが必要となる。一方平均膜厚が80μmを超えてもびんの性能上問題はないが、膜厚が厚いほどコーティング材料を多量に使用するため材料コストが高くなり、また、外面コーティングの工程上乾燥時間が長くなる欠点がある。
【0037】
本実施形態に係る着色コーティングガラスびんでは、リターナブルびんとして使用する場合、コーティング被膜の平均膜厚は40〜80μmであり、かつ、コーティング被膜の最薄箇所の膜厚が40μm以上であることが好ましい。リターナブルびん(ビールびん)の場合、商品として平均20〜22回使用するが、安全率を考慮して見て40回までは使用可能である設計としている。この性能を確保するために硬化後の膜厚が最薄箇所で40μm以上は必要であり、平均膜厚として80μmの厚さがあれば十分である。すなわち、膜厚が40μm(最薄箇所)〜80μm(平均膜厚上限)あれば、リターナブルびんとしての十分な遮光性、耐傷性及び耐アルカリ洗浄性をもたせることができる。
【0038】
本実施形態に係る着色コーティングガラスびんでは、ワンウェイびんとして使用する場合、コーティング被膜の平均膜厚は30μmを超えて40μm以下であり、かつ、コーティング被膜の最薄箇所の膜厚が30μm以上であることが好ましい。ワンウェイびん(ビールびん)の場合、硬化後の膜厚が30μm(最薄箇所)〜40μm(平均膜厚)であれば、1〜5回まで使用できる耐久性を持ち、すなわち、ワンウェイびんとしての十分な遮光性、耐傷性及び耐アルカリ洗浄性をもたせることができる。なお、ワンウェイびんといえども中身を充填する前にアルカリ洗浄を行ない、その後中身を充填するため、安全率を考慮して1〜5回まで使用できる耐久性をもたせる。ワンウェイびんの場合、リターナブルびんほどの耐久性は必要ではないが、最薄箇所が30μm以上の膜厚がないと、耐アルカリ洗浄性をもたせることができなくなる。すなわち、びんのガラス面までアルカリが浸透して、コーティング被膜が剥離する可能性が高くなる。また、ワンウェイびんの場合、リターナブルびんより膜厚がやや薄くなることから、コーティング液中の全顔料配合比率をリターナブルびんの場合より高くすることが好ましい。
【0039】
着色剤は、遮光性と着色性を備えた無機顔料及び有機顔料の両方が使用される。本実施形態に係る着色コーティングガラスびんでは、色調が赤色の2形態と緑色の1形態の合計3形態を例示する。いすれの形態においても着色剤は着色コーティングガラスびん(仕上がり品)での波長460nm以下の透光率が1%未満となる量、好ましくは0.5%以下となる量がコーティング被膜中に含有させる。波長460nm以下の透光率が1%以上であると、日光臭の抑制が不十分になるおそれがある。
【0040】
まず、赤色ウレタンコーティングびん(赤色びんの第1形態)について説明する。本実施形態に係る赤色ウレタンコーティングびんは、着色剤として赤色のモノアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料を使用する。赤色のモノアゾ系有機顔料は、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して70〜130質量部配合される。好ましくは、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して80〜120質量部配合される。赤色ウレタンコーティングびんであり、日光臭を抑制する遮光性も有している。
【0041】
(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤(赤色のモノアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料の合計)の配合割合は、2.5〜6.0質量%であることが好ましい。この割合が3.0質量%未満であると、着色コーティングガラスびん(仕上がり品)での波長460nm以下の透光率が1%以上となり、遮光性が不足する場合がある。一方、この割合が6.0質量%を超えると、色が濃すぎる場合があり、さらに多く添加すると、コーティング被膜の耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下する場合がある。なお、リターナブルボトルとする場合には、前記配合割合は、2.5〜4.5質量%が好ましく、さらに好ましくは、3.0〜4.0質量%である。また、ワンウェイボトルとする場合には、前記配合割合は、4.0〜6.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、4.7〜5.8質量%である。
【0042】
赤色ウレタンコーティングびんの色調について、例えば、L*a*b*表色系におけるL*は40〜45、a*は66〜71、b*は69〜77の範囲である。ただし、視野は2deg、光源はC,データ間隔5mm、等色関数はJIS Z8701−1999である。
【0043】
次に、赤色ウレタンコーティングびん(赤色びんの第2形態)について説明する。本実施形態に係る赤色ウレタンコーティングびんは、着色剤として赤色のキナクリドン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料を使用する。赤色のキナクリドン系有機顔料は、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して70〜150質量部配合される。好ましくは、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して80〜140質量部配合される。また、黄色のジスアゾ系有機顔料は、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して5〜25質量部配合される。好ましくは、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して13〜20質量部配合される。赤色ウレタンコーティングびんであり、日光臭を抑制する遮光性も有している。また、赤色のキナクリドン系有機顔料は、洗びん液に対する耐溶出性が特に優れている。
【0044】
(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤(赤色のキナクリドン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料の合計)の配合割合は、2.0〜5.0質量%であることが好ましい。この割合が2.0質量%未満であると、着色コーティングガラスびん(仕上がり品)での波長460nm以下の透光率が1%以上となり、遮光性が不足する場合がある。一方、この割合が5.0質量%を超えると、色が濃すぎる場合があり、さらに多く添加すると、コーティング被膜の耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下する場合がある。なお、リターナブルボトルとする場合には、前記配合割合は、2.0〜3.5質量%が好ましく、さらに好ましくは、2.3〜2.9質量%である。また、ワンウェイボトルとする場合には、前記配合割合は、3.0〜5.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、3.8〜4.9質量%である。
【0045】
赤色ウレタンコーティングびんの色調について、例えば、L*a*b*表色系におけるL*は35〜45、a*は65〜69、b*は64〜70の範囲である。ただし、視野は2deg、光源はC,データ間隔5mm、等色関数はJIS Z8701−1999である。
【0046】
次に、緑色ウレタンコーティングびんについて説明する。本実施形態に係る緑色ウレタンコーティングびんは、着色剤として、青色の銅フタロシアニン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料を使用する。青色の銅フタロシアニン系有機顔料は、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して30〜105質量部配合される。好ましくは、40〜95質量部配合される。黄色のジスアゾ系有機顔料は、橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して110〜190質量部配合される。好ましくは120〜180質量部配合される。緑色ウレタンコーティングびんであり、日光臭を抑制する遮光性も有している。
【0047】
(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤(銅フタロシアニン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料の合計)の配合割合は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。前記配合割合が1.0質量%未満であると、着色コーティングガラスびん(仕上がり品)での波長460nm以下の透光率が1%以上となり、遮光性が不足する場合がある。一方、前記配合割合が4.0質量%を超えると、色が濃すぎる場合があり、さらに多く添加すると、コーティング被膜の耐アルカリ洗浄性と耐傷性が低下する場合がある。なお、リターナブルボトルとする場合には、前記配合割合は、1.0〜2.5質量%が好ましく、さらに好ましくは、1.3〜1.7質量%である。また、ワンウェイボトルとする場合には、前記配合割合は、2.0〜4.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、2.5〜3.5質量%である。
【0048】
青色の銅フタロシアニン系有機顔料及び黄色のジスアゾ系有機顔料は、洗びん液への溶出性が低く、洗びん液の着色がなかった。
【0049】
緑ウレタンコーティングびんの色調について、例えば、L*a*b*表色系におけるL*は5.7〜54、a*は−28〜−5.5、b*は9.4〜73の範囲である。ただし、視野は2deg、光源はC,データ間隔5mm、等色関数はJIS Z8701−1999である。
【0050】
コーティング被膜2のコーティング手順について説明する。まず、コンベアに載せられた未コートガラスびんが次々と搬送されてきて、塗被装置の口部ホルダーが順次ガラスびんの口部を掴み保持する。次に、ガラスびんを湯が入れられた洗浄槽に漬けて外表面を洗浄する。次に、ガラスびんの表面にプライマーを塗布する。次いで、ガラスびんをコーティング被膜の塗料が入れられたディップ槽に漬けて塗料を塗布する。コーティング被膜2のコーティング方法としては、公知のディッピング法、スピンコーティング法、ローラーコーティング法、スプレーコーティング法、シャワリング法、カーテンフロー法、静電塗装法、更には刷け塗り法や筆塗り法等を用いることができる。特に、ディッピング法、スピンコーティング法、ローラーコーティング法又はスプレーコーティング法のいずれかの方法で飲料用びんの外面にコーティングすることが好ましい。次に、例えば105〜180℃に保持された乾燥炉を通過(通過時間は、例えば20〜90分)させて乾燥を完了させ、さらに180〜300℃に保持された硬化炉(通過時間は、例えば20〜90分)を通過させ、コーティング作業を完了させる。
【実施例】
【0051】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されることはない。なお、質量部は「部」とも表記する。
【0052】
使用するガラスびんは、通常の褐色ビールびんのガラス組成(ソーダ石灰系ガラス)において、着色成分を除いた組成を有する無色透明ビールびんとした。容量は330ml、側面の平均肉厚は2mm、質量230gとした。なお、ガラスびんの平均肉厚は、壜質量(g)/ガラス密度(g/cm)/壜外側側面の面積(cm)の式に従って求めた。
【0053】
びんの外側側面の全面、すなわち図1に示した箇所(上端が符号3aで示した箇所、下端が3bで示した箇所)にプライマー(テクノ月星社製、ソフト添加剤 MX−200)を塗布した。
【0054】
(赤色びんの第1形態)
(実施例1)
[赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製]
水系ウレタン樹脂液(テクノ月星社製、MX−001、固形分質量%:30%)100質量部に対して、メラミン硬化剤(テクノ月星社製、MX−105、固形分質量%:62.5%)を25質量部、エポキシ硬化剤(テクノ月星社製、MX−150、固形分質量%:100%)を3質量部、レベリング剤(テクノ月星社製、MX−310、固形分質量%:100%)を0.1質量部、ソフト添加剤(シランカップリング剤)(テクノ月星社製、MX−200、固形分質量%:100%)を0.6質量部、SBR配合液(テクノ月星社製、MX−800、この配合液はソフトSA−3添加剤(テクノ月星社製、MX−803)を100質量部に対して純水20質量部を配合したもの)を6.8質量部、純水16部を加え、さらに顔料として、赤色のモノアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(G2)MX−531)を3.50質量部、橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.50質量部添加し、赤色ウレタンコーティングびん用塗料1を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、3.39質量%である。塗料の粘度は粘度計(東機産業株式会社製、B型粘度計、TVB−10M)で測定したところ、21〜31mPa・s(25℃)であった。
[ウレタンコーティングびんの作製]
赤色ウレタンコーティングびん用塗料1を1回塗りで図1に示すようにびんの側壁面全体に塗布した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60.8μm、最薄箇所の膜厚は46μmであった。なお、平均膜厚は、びんの口部直下より下方へ裾見切り部まで高さ方向に10分割して位置決めし、塗膜をカッター等を用いて剥がしてマイクロメーターにて測定した。全10箇所の測定値を、作製コートびん3本分測定して求め、それぞれ部位ごとに平均処理後、更に高さ方向10箇所の平均を求め、平均値とした。また、最薄箇所の膜厚は、分割して測定したときの最も薄い膜厚を採用した。
[色調]
紫外/可視分光光度計(日本分光株式会社社製、UV−650)を用いて、L*a*b*表色系にて色調評価を行なったところ、L*=40.75、a*=68.04、b*=64.73であり、彩度の高い赤色着色ボトルが得られていた。紫外/可視分光光度計を用いて、透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を完全に遮光していることが確認できた。このときの透光率曲線を図2に示す。
[耐アルカリ性・耐傷性]
4wt%水酸化ナトリウム水溶液を含むビール用洗びん機を使って40トリップ(1トリップは市場流通1回分相当)後の目視による外観がまだ実用に耐え得るときを耐アルカリ性及び耐傷性がありと判断し、実用に耐えないときを耐アルカリ性及び耐傷性がなしと判断した。実施例1では、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。
[耐アルカリ試験後の色調]
40トリップ後のびんについて、前記と同様に、透光率曲線を測定したところ、透光率曲線に変化は殆ど見られなかった。また、外観の色調も変化が無かった。
【0055】
(実施例2)
実施例1の赤色ウレタンコーティングびん用塗料1を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が55.2μm、最薄箇所の膜厚が45μmとなるように赤色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0056】
(実施例3)
実施例1の赤色ウレタンコーティングびん用塗料1を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は70μm、最薄箇所の膜厚は50μmとなるように赤色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0057】
(実施例4)
実施例1の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、モノアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(G2)MX−531)を2.80質量部、橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.50質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、3.01質量%である。塗料の粘度は実施例1と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0058】
(実施例5)
実施例1の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、モノアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(G2)MX−531)を4.20質量部、橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.50質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、3.77質量%である。塗料の粘度は実施例1と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0059】
(実施例6)
実施例1の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、モノアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(G2)MX−531)を3.50質量部、橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を2.80質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、3.01質量%である。塗料の粘度は実施例1と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は45μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長460nm以下における透光率は0.4%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0060】
(実施例7)
実施例1の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、モノアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(G2)MX−531)を6.72質量部、橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を5.60質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、5.89質量%である。塗料の粘度は実施例1と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は35μm、最薄箇所の膜厚は30μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、ワンウェイびんとしての適性を調べるため、トリップ数5回相当を使用できるか否かの評価を行なった。5トリップ後の目視による外観がまだ実用に耐え得るときをワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性があると判断し、実用に耐えないときを耐アルカリ性及び耐傷性がないと判断した。実施例7では、「ワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。
【0061】
(赤色びんの第2形態)
(実施例8)
[赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製]
水系ウレタン樹脂液(テクノ月星社製、MX−001、固形分質量%:30%)100質量部に対して、メラミン硬化剤(テクノ月星社製、MX−105、固形分質量%:62.5%)を25質量部、エポキシ硬化剤(テクノ月星社製、MX−150、固形分質量%:100%)を3質量部、レベリング剤(テクノ月星社製、MX−310、固形分質量%:100%)を0.1質量部、ソフトSA−3添加剤(シランカップリング剤)(テクノ月星社製、MX−200、固形分質量%:100%)を0.6質量部、SBR配合液(テクノ月星社製、MX−800、この配合液はソフトSA−3添加剤(テクノ月星社製、MX−803)を100質量部に対して純水20質量部を配合したもの)を6.8質量部、純水16質量部を加え、さらに顔料として、赤色のキナクリドン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(GX)MX−534)を3.50質量部、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を0.50質量部及び橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.00質量部添加し、赤色ウレタンコーティングびん用塗料2を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、2.80質量%である。実施例1と同様に塗料の粘度を測定したところ、21〜31mPa・s(25℃)であった。
[ウレタンコーティングびんの作製]
赤色ウレタンコーティングびん用塗料2を1回塗りで図1に示すようにびんの側壁面全体に塗布した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。
[色調]
実施例1と同様に、L*a*b*表色系にて色調評価を行なったところ、L*=40.75、a*=68.04、b*=64.73であり、彩度の高い赤色着色ボトルが得られていた。実施例1と同様に透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を完全に遮光していることが確認できた。このときの透光率曲線を図3に示す。
[耐アルカリ性・耐傷性]
実施例1と同様に40トリップ後の目視による外観がまだ実用に耐え得るときを耐アルカリ性及び耐傷性がありと判断し、実用に耐えないときを耐アルカリ性及び耐傷性がなしと判断した。実施例8では、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。
[耐アルカリ試験後の色調]
40トリップ後のびんについて、前記と同様に、透光率曲線を測定したところ、透光率曲線に変化は殆ど見られなかった。また、外観の色調も変化が無かった。
【0062】
(実施例9)
実施例8の赤色ウレタンコーティングびん用塗料2を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が45μm、最薄箇所の膜厚が40μmとなるように赤色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0063】
(実施例10)
実施例8の赤色ウレタンコーティングびん用塗料2を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は80μm、最薄箇所の膜厚は55μmとなるように赤色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0064】
(実施例11)
実施例8の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、赤色のキナクリドン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(GX)MX−534)を2.40質量部、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を0.42質量部及び橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、2.36質量%である。塗料の粘度は実施例8と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0065】
(実施例12)
実施例8の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、赤色のキナクリドン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(GX)MX−534)を3.60質量部、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を0.60質量部及び橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、2.89質量%である。塗料の粘度は実施例8と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0066】
(実施例13)
実施例8の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、赤色のキナクリドン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(GX)MX−534)を2.40質量部、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を0.42質量部及び橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を3.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、2.36質量%である。塗料の粘度は実施例8と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は45μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長460nm以下における透光率は0.2%であることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0067】
(実施例14)
実施例8の赤色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、赤色のキナクリドン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤レッド(GX)MX−534)を6.72質量部、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を0.96質量部及び橙色の酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を4.80質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、4.88質量%である。塗料の粘度は実施例8と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は35μm、最薄箇所の膜厚は30μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長520nm以下は透光率がほぼゼロ%、すなわち波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。実施例7と同様に耐アルカリ性・耐傷性については、ワンウェイびんとしての適性を調べた結果、「ワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。
【0068】
(実施例15)
水系ウレタン樹脂液(テクノ月星社製、MX−001、固形分質量%:30%)100質量部に対して、メラミン硬化剤(テクノ月星社製、MX−105、固形分質量%:62.5%)を25質量部、エポキシ硬化剤(テクノ月星社製、MX−150、固形分質量%:100%)を3質量部、レベリング剤(テクノ月星社製、MX−310、固形分質量%:100%)を0.1質量部、ソフト添加剤(シランカップリング剤)(テクノ月星社製、MX−200、固形分質量%:100%)を0.6質量部、SBR配合液(テクノ月星社製、MX−800、この配合液はソフトSA−3添加剤(テクノ月星社製、MX−803)を100質量部に対して純水20質量部を配合したもの)を6.8質量部、純水16質量部を加え、さらに顔料として、青色の銅フタロシアニン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤ブルー(G)MX−540)を0.6質量部添加し、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を1.5質量部添加し、酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を1.0質量部添加し、緑色ウレタンコーティングびん用塗料1を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、1.52質量%である。実施例1と同様に塗料の粘度を測定したところ、21〜31mPa・s(25℃)であった。
[ウレタンコーティングびんの作製]
緑色ウレタンコーティングびん用塗料1を1回塗りで図1に示すようにびんの側壁面全体に塗布した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。
[色調]
実施例1と同様に色調を評価したところ、L*=49.95、a*=−24.28、b*=63.90であり、彩度の高い緑色着色ボトルが得られていた。透光率曲線を測定したところ、波長460nm以下における透光率はほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を遮光していることが確認できた。このときの透光率曲線を図4に示す。
[耐アルカリ性・耐傷性]
実施例1と同様に40トリップ後の目視による外観がまだ実用に耐え得るときを耐アルカリ性及び耐傷性がありと判断し、実用に耐えないときを耐アルカリ性及び耐傷性がなしと判断した。実施例15では、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。
[耐アルカリ試験後の色調]
耐アルカリ試験前後で透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0069】
(実施例16)
実施例15の緑色ウレタンコーティングびん用塗料1を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が45μm、最薄箇所の膜厚が40μmとなるように緑色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率はほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を遮光していることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0070】
(実施例17)
実施例15の緑色ウレタンコーティングびん用塗料1を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が80μm、最薄箇所の膜厚が55μmとなるように緑色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率はほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を遮光していることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0071】
(実施例18)
実施例15の緑色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、青色の銅フタロシアニン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤ブルー(G)MX−540)を0.5質量部添加し、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を1.30質量部添加し、酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を1.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、1.36質量%である。塗料の粘度は実施例15と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率はほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を遮光していることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0072】
(実施例19)
実施例15の緑色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、青色の銅フタロシアニン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤ブルー(G)MX−540)を0.70質量部添加し、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を1.70質量部添加し、酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を1.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、1.67質量%である。塗料の粘度は実施例15と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は60μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率はほぼゼロ%であり、日光臭誘発領域を遮光していることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0073】
(実施例20)
実施例15の緑色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、青色の銅フタロシアニン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤ブルー(G)MX−540)を0.50質量部添加し、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を1.30質量部添加し、酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を1.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、1.36質量%である。塗料の粘度は実施例15と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は45μm、最薄箇所の膜厚は40μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率は0.1 %であり、日光臭誘発領域を遮光していることが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0074】
(実施例21)
実施例15の緑色ウレタンコーティング被膜用塗料の調製において、青色の銅フタロシアニン系有機顔料(月星化成社製、カラー剤ブルー(G)MX−540)を1.44質量部添加し、黄色のジスアゾ系有機顔料(月星化成社製、カラー剤イエロー(G)MX−550)を3.60質量部添加し、酸化鉄系無機顔料(月星化成社製、カラー剤オレンジ(F)MX−571)を2.00質量部添加した以外は、同様として塗料を調製した。このとき、(硬化後のコーティング被膜に含有される着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる着色剤の配合割合は、3.41質量%である。塗料の粘度は実施例15と同様であった。この塗料を用いてウレタンコーティングびんを作製した。硬化後のコーティング被膜の平均膜厚は35μm、最薄箇所の膜厚は30μmであった。透光率曲線を測定したところ、波長460nm以下における透光率もほぼゼロ%であることが確認できた。実施例7、14と同様に耐アルカリ性・耐傷性については、ワンウェイびんとしての適性を調べた結果、「ワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性があり」であった。
【0075】
(比較例1)
実施例1の赤色ウレタンコーティングびん用塗料1を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が27μm、最薄箇所の膜厚が24μmとなるように赤色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率は1.17%であり、日光臭誘発領域を十分に遮光していないことが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「ワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性がなし」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0076】
(比較例2)
実施例8の赤色ウレタンコーティングびん用塗料2を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が25μm、最薄箇所の膜厚が22μmとなるように赤色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率は1.16%であり、日光臭誘発領域を十分に遮光していないことが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「ワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性がなし」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0077】
(比較例3)
実施例15の緑色ウレタンコーティングびん用塗料1を用いて、塗布時におけるびんの回転数を調整して、硬化後のコーティング被膜の平均膜厚が17μm、最薄箇所の膜厚が14μmとなるように緑色ウレタンコーティングびんを作製した。透光率曲線を測定したところ、波長460nmの透光率は1.42%であり、日光臭誘発領域を十分に遮光していないことが確認できた。耐アルカリ性・耐傷性については、「ワンウェイびんとして耐アルカリ性及び耐傷性がなし」であった。耐アルカリ試験後の色調についても透光率曲線に変化は殆ど見られず、また、外観の色調も変化が無かった。
【0078】
(参考例1)
実施例1において、橙色の酸化鉄系無機顔料を添加せず、顔料として赤色のモノアゾ系有機顔料のみとした。透光率曲線を測定し、赤色のモノアゾ系有機顔料の特性を調べた。結果を図5に示す。赤色の色調を有しており、350nm以下及び400〜580nmの波長において、強い吸収帯があることが確認できた。
【0079】
(参考例2)
実施例1において、赤色のモノアゾ系有機顔料を添加せず、顔料として橙色の酸化鉄系無機顔料のみとした。透光率曲線を測定し、橙色の酸化鉄系無機顔料の特性を調べた。結果を図6に示す。橙色の色調を有しており、520nm以下の波長において、吸収帯があり、特に460nm以下で強い吸収帯があることが確認できた。
【0080】
(参考例3)
実施例8において、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料を添加せず、赤色のキナクリドン系有機顔料のみとした。透光率曲線を測定し、赤色のキナクリドン系有機顔料の特性を調べた。結果を図7に示す。赤色の色調を有しており、350nm以下及び530〜570nmの波長において、吸収帯があることが確認できた。
【0081】
(参考例4)
実施例15において、橙色の酸化鉄系無機顔料及び黄色のジスアゾ系有機顔料を添加せず、顔料として青色の銅フタロシアニン系有機顔料のみとした。透光率曲線を測定し、青色の銅フタロシアニン系有機顔料の特性を調べた。結果を図8に示す。青色の色調を有しており、365nm以下及び570nm以上の波長において、吸収帯があり、特に350nm以下で強い吸収帯があることが確認できた。
【0082】
(参考例5)
実施例15において、橙色の酸化鉄系無機顔料及び青色の銅フタロシアニン系有機顔料を添加せず、顔料として黄色のジスアゾ系有機顔料のみとした。透光率曲線を測定し、黄色のジスアゾ系有機顔料の特性を調べた。結果を図9に示す。黄色の色調を有しており、495nm以下の波長において、吸収帯があり、特に485nm以下で強い吸収帯があることが確認できた。
【符号の説明】
【0083】
100 着色コーティングガラスびん
1 ガラスびん
2 コーティング被膜
3a プライマー塗布の上端部
3b プライマー塗布の下端部
4 びん口部
5 びん底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスびんの外表面に、ウレタン樹脂を主成分とし、着色剤が分散されたコーティング被膜が施された着色コーティングガラスびんにおいて、
前記コーティング被膜は、ガラスびんの外表面のうち少なくとも側壁面の全面を一層コーティングで被覆し、
前記コーティング被膜の平均膜厚は30μmを超えて80μm以下であり、
前記着色剤は、遮光性と着色性を備えた無機顔料及び有機顔料の両方を含み、かつ、前記コーティング被膜中に、着色コーティングガラスびんでの波長460nm以下の透光率が1%未満となる量が含有されていることを特徴とする着色コーティングガラスびん。
【請求項2】
前記ガラスびんが、無色透明ガラスびんであることを特徴とする請求項1に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項3】
前記着色剤は、赤色のモノアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料であり、前記赤色のモノアゾ系有機顔料は、前記橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対して70〜130質量部配合されており、着色コーティングガラスびんが赤色を呈することを特徴とする請求項1又は2に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項4】
(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる前記着色剤の配合割合は、2.5〜6.0質量%であることを特徴とする請求項3に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項5】
前記着色剤は、赤色のキナクリドン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料であり、前記赤色のキナクリドン系有機顔料及び黄色のジスアゾ系有機顔料は、前記橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対してそれぞれ70〜150質量部及び5〜25質量部配合されており、着色コーティングガラスびんが赤色を呈することを特徴とする請求項1又は2に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項6】
(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる前記着色剤の配合割合は、2.0〜5.0質量%であることを特徴とする請求項5に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項7】
前記着色剤は、青色の銅フタロシアニン系有機顔料、黄色のジスアゾ系有機顔料及び橙色の酸化鉄系無機顔料であり、前記青色の銅フタロシアニン系有機顔料及び前記黄色のジスアゾ系有機顔料は、前記橙色の酸化鉄系無機顔料100質量部に対してそれぞれ30〜105質量部及び110〜190質量部配合されており、着色コーティングガラスびんが緑色を呈することを特徴とする請求項1又は2に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項8】
(硬化後のコーティング被膜に含有される前記着色剤の合計質量/硬化後のコーティング被膜の質量)で求められる前記着色剤の配合割合は、1.0〜4.0質量%であることを特徴とする請求項7に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項9】
前記コーティング被膜の平均膜厚は40〜80μmであり、かつ、前記コーティング被膜の最薄箇所の膜厚が40μm以上であり、着色コーティングガラスびんがリターナブルびんであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の着色コーティングガラスびん。
【請求項10】
前記コーティング被膜の平均膜厚は30μmを超えて40μm以下であり、かつ、前記コーティング被膜の最薄箇所の膜厚が30μm以上であり、着色コーティングガラスびんがワンウェイびんであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の着色コーティングガラスびん。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−215247(P2010−215247A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62030(P2009−62030)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(504190685)株式会社テクノ月星 (7)
【Fターム(参考)】