説明

着色剤化合物

【課題】高い画質を維持し、また高光密度を有する特に相変化インクに使用可能なマゼンタ着色剤の提供。
【解決手段】着色剤化合物は、例えば、次の式で表される無水マレイン酸の共重合体構造を有する化合物である。


(RはH、アルキル基等、Rはアルキル基等、a及びbは0〜3の整数である。YはO或いはS等、Rはアルキル基等、n及びmは、約1〜1000の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着色剤化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化インク(「ホットメルトインク」と呼ぶこともある)は、常温では固体であるが、インクジェット印刷デバイスが動作する高温では液体として存在する。ジェットの動作温度で、液体インクの液滴が印刷デバイスから放出される。インク液滴が記録基材の表面と接触すると、直接接触する場合でも、中間に加熱転写ベルトまたはドラムを介する場合でも、インク液滴は急速に固化して予め定められた固化インク滴のパタ−ンを形成する。
【0003】
一般に、カラ−印刷用の相変化インクは、相変化インクキャリア組成物を含み、この組成物を、相変化インクに適合する着色剤と調合する。特定の実施態様では、インクキャリア組成物を、適合する減法型原色着色剤と調合することによって、一連の着色済み相変化インクを形成させてよい。減法型原色着色相変化インクは、4つの成分染料、すなわちシアン、マゼンタ、イエロ−およびブラックを含んでよいが、インクは、これらの4色に限定されない。これらの減法型原色インクは、単一の染料を用いて形成させてよく、あるいは、染料の混合物を用いて形成させてよい。着色剤は、顔料も含んでよい。
【0004】
相変化インクは、輸送、長期貯蔵等の間、室温で固体として保持されるのでインクジェットプリンタにとって望ましい。さらに、液体インクジェットインクの場合にインク蒸発の結果起るノズル閉塞による問題がほとんどなく、その結果、インクジェット印刷法の信頼性を高める。さらに、インク液滴を最終記録基材(例えば紙、透明基材(例えば、OHPシ−ト)および類似物)上に直接塗布する相変化インクジェットプリンタの場合、液滴は、基材と接触すると直ちに固化するので、印刷媒体上のインクの移動がなく、ドット品質が向上する。
【0005】
相変化インクキャリア組成物として用いるのに適する組成物が知られている。適当なキャリア材料は、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、脂肪酸およびその他のワックス系材料、脂肪酸アミド含有材料、スルホンアミド材料、さまざまな天然資源から作られる樹脂材料(例えばト−ル油ロジンおよびロジンエステル)ならびに多くの合成樹脂、オリゴマ−、重合体および共重合体を含んでよい。
【0006】
【特許文献1】米国特許第1,991,482号
【特許文献2】米国特許第3,653,932号
【特許文献3】米国特許第4,390,369号
【特許文献4】米国特許第4,484,948号
【特許文献5】米国特許第4,647,675号
【特許文献6】米国特許第4,684,956号
【特許文献7】米国特許第4,851,045号
【特許文献8】米国特許第4,889,560号
【特許文献9】米国特許第4,889,761号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、高い画質を維持し、また高光密度を有する特に相変化インクに使用可能なマゼンタ着色剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の着色剤化合物は、式
【化1】


【化2】


で表され、
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリ−ル基、(iv)アリ−ルアルキル基または(v)アルキルアリ−ル基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、
およびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリ−ル基、(iii)アリ−ルアルキル基、(iv)アルキルアリ−ル基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エ−テル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェ−ト基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェ−ト基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナ−ト基、(xxxii)イソシアナ−ト基、(xxxiii)チオシアナ−ト基、(xxxiv)イソチオシアナ−ト基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基、あるいは(xxxvii)水素であり、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化3】


であり、
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリ−ル基、(iv)アリ−ルアルキル基または(v)アルキルアリ−ル基であり、
Aは、アニオンであり、
CAは、水素原子またはカチオンのどちらかであり、
Rは、(i)アルキル基、(ii)アリ−ル基、(iii)アリ−ルアルキル基、(iv)アルキルアリ−ル基、(v)アルコキシ基、(vi)アセテ−ト基、または(vii)無水マレイン酸の共重合体であり、
nは、約1から約1000の整数であり、
mは、約1から約1000の整数である、化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本開示は、式
【化4】


【化5】


で表される化合物を目的とする。
【0010】
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、これらのアルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約10個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリ−ル基(非置換アリ−ル基および置換アリ−ル基を含み、これらのアリ−ル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアリ−ルアルキル基(非置換アリ−ルアルキル基および置換アリ−ルアルキル基を含み、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリ−ル基(非置換アルキルアリ−ル基および置換アルキルアリ−ル基を含み、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよい。R、R、RおよびRはそれぞれ中心構造体のフェニル環に結合してよい。実施態様によっては、R、R、RおよびRの少なくとも1つはアルキル基である。実施態様によっては、R、R、RおよびRの少なくとも1つはアリ−ル基である。
【0011】
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、実施態様によっては、aおよびbは、それぞれゼロである。
【0012】
およびRは、それぞれ互いに独立に、(i)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約50個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、これらのアルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリ−ル基(非置換アリ−ル基および置換アリ−ル基を含み、これらのアリ−ル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリ−ルアルキル基(非置換アリ−ルアルキル基および置換アリ−ルアルキル基を含み、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝アルキル、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリ−ル基(非置換アルキルアリ−ル基および置換アルキルアリ−ル基を含み、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(v)フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子または類似基、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エ−テル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェ−ト基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェ−ト基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナ−ト基、(xxxii)イソシアナ−ト基、(xxxiii)チオシアナ−ト基、(xxxiv)イソチオシアナ−ト基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基、あるいは(xxxvii)水素であり、RおよびRは、それぞれ、中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化6】


である。
【0013】
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、これらのアルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリ−ル基(非置換アリ−ル基および置換アリ−ル基を含み、これらのアリ−ル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリ−ルアルキル基(非置換アリ−ルアルキル基および置換アリ−ルアルキル基を含み、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリ−ル基(非置換アルキルアリ−ル基および置換アルキルアリ−ル基を含み、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。実施態様によっては、R+R+R+R+R+R+R+R+R10の炭素原子の数は、一実施態様では少なくとも約4、別の実施態様では少なくとも約18、さらに別の実施態様では少なくとも約40、さらに別の実施態様では少なくとも約50、別の実施態様では少なくとも約60、別の実施態様では少なくとも約72である。
【0014】
Rは、(i)アルキル基、(ii)アリ−ル基、(iii)アリ−ルアルキル基または(iv)アルキルアリ−ル基である。Rは、アルキル基の場合、一実施態様では約1から約100の炭素原子、別の実施態様では約18個から約33個の炭素原子を有する。Rは、アリ−ル基の場合、一実施態様では約5個から約20個の炭素原子を有する。Rは、アルキルアリ−ル基の場合、一実施態様では約7個の炭素原子、別の実施態様では約30個の炭素原子、さらに別の実施態様では約50個の炭素原子、別の実施態様では約100個の炭素原子を有する。Rは、アリ−ルアルキル基の場合、一実施態様では約7個の炭素原子、別の実施態様では約30個の炭素原子、別の実施態様では約50個の炭素原子、別の実施態様では約100個の炭素原子を有する。実施態様によっては、Rは、ワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10個の炭素原子、または約18個から約100個の炭素原子、または約18個から約33個の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。実施態様によっては、Rは、CHCH(エチレン)である。実施態様によっては、Rは、OHである。実施態様によっては、Rは、O−R(アルコキシ)であり、例えば、実施態様によっては、RはO−CH(メトキシ)である。実施態様によっては、Rは、OAcであり、OAcは任意のアセテ−ト部分を指し、実施態様によっては、Rは無水マレイン酸の共重合体である。
【0015】
nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数である。
【0016】
Aはアニオンである。適当なアニオンの例は、Cl、Br、I、HSO、HSO、SO2−、SO2−、CHSO、CHSO、NO、HCOO、CHCOO、HPO、HPO2−、SCN、BF、ClO、SSO、PF、SbClまたは類似物ならびにそれらの混合物を含む(しかし、限定はされない)。
【0017】
CAは、水素原子またはカチオンのどちらかである。適当なカチオンの例は、Li、Na、K、RbおよびCsなどのアルカリ金属カチオン、非重合体または単量体アンモニウムおよび一般式
【化7】


で表されるものを含む第四アンモニウムカチオンを含む(しかし、限定はされない)。
【0018】
21、R22、R23およびR24は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、これらのアルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリ−ル基(非置換アリ−ル基および置換アリ−ル基を含み、これらのアリ−ル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリ−ルアルキル基(非置換アリ−ルアルキル基および置換アリ−ルアルキル基を含み、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリ−ル基(非置換アルキルアリ−ル基および置換アルキルアリ−ル基を含み、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。R21、R22、R23およびR24の1つ以上は一緒になって環を形成してよい。置換アルキル基、置換アリ−ル基、置換アリ−ルアルキル基および置換アルキルアリ−ル基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エ−テル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェ−ト基、スルホネ−ト基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェ−ト基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナ−ト基、イソシアナ−ト基、チオシアナ−ト基、イソチオシアナ−ト基、カルボキシレ−ト基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(しかし限定はされない)。2つ以上の置換基は一緒になって、カチオン性重合体またはカチオン性オリゴマ−などの環状カチオン、オリゴマ−カチオンおよび重合体カチオンおよび類似物、ならびにそれらの混合物を形成してよい。
【0019】
一実施態様では、R+R+R+Rの炭素原子数は、少なくとも約4、さらに別の実施態様では少なくとも約20、別の実施態様では少なくとも約30、さらに別の実施態様では少なくとも約40、別の実施態様では少なくとも約60、別の実施態様では少なくとも約72である。
【0020】
【化8】


であるいくつかの特定の実施態様において、一実施態様では、R+R+R+Rの炭素原子の数は、少なくとも約44、別の実施態様では少なくとも約60、別の実施態様では少なくとも約72である。
【0021】
【化9】


であるいくつかの特定の実施態様において、R、R、RおよびRの少なくとも一つは、式
【化10】


で表される基である。
【0022】
41およびR42は、それぞれ互いに独立に、(i)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、これらのアルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリ−ル基(非置換アリ−ル基および置換アリ−ル基を含み、これらのアリ−ル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリ−ルアルキル基(非置換アリ−ルアルキル基および置換アリ−ルアルキル基を含み、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアリ−ルアルキル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリ−ル基(非置換アルキルアリ−ル基および置換アルキルアリ−ル基を含み、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアルキルアリ−ル基のアルキル部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。R41およびR42の1つ以上は一緒になって環を形成してよい。置換アルキル基、置換アリ−ル基、置換アリ−ルアルキル基および置換アルキルアリ−ル基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エ−テル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェ−ト基、スルホネ−ト基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェ−ト基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナ−ト基、イソシアナ−ト基、チオシアナ−ト基、イソチオシアナ−ト基、カルボキシレ−ト基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(しかし、限定はされない)。2つ以上の置換基が一緒になって、カチオン性重合体またはカチオン性オリゴマ−などの環状カチオン、オリゴマ−カチオンおよび重合体カチオンおよび類似物、ならびにそれらの混合物を形成してよい。
【0023】
【化11】


であるいくつかの特定の実施態様において、R、R、RおよびRの少なくとも1つは分枝アルキル基であり、分枝アルキル基は、少なくとも一実施態様では約19個の炭素原子、別の実施態様では、少なくとも約20個の炭素原子を有する。
【0024】
アルキル基、アリ−ル基、アリ−ルアルキル基およびアルキルアリ−ル基の中にヘテロ原子が含まれていてよく、これらの基は置換されていてよいので、これらの基の酸素原子が中心構造部分
【化12】


の窒素、酸素または硫黄原子に直接結合しなければ、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシ基、アリ−ルオキシ基、ポリアリ−レンオキシ基、アリ−ルアルキルオキシ基、ポリアリ−ルアルキレンオキシ基、アルキルアリ−ルオキシ基またはポリアルキルアリ−レンオキシ基などの基でもあってよいと理解するべきである。
【0025】
〜R基の1つがシクロアルキルである状況の例は、
【化13】


のときである。
【0026】
〜R基が一緒になって環を形成する状況の例は、
【化14】


【化15】


のときである。
【0027】
〜R基の1つが中心構造部分の中のフェニル環に結合している状況の例は、
【化16】


【化17】


のときである。
【0028】
本開示による化合物は、
【化18】


であり、一般式
【化19】


【化20】


で表されるロ−ダミン類、
【化21】


であり、一般式
【化22】


【化23】


で表されるアクリジン類、
【化24】


であり、一般式
【化25】


【化26】


で表されるスルホロ−ダミン類、
【化27】


であり、一般式
【化28】


【化29】


で表されるアントラセン類および類似物である。
【0029】
特定の実施態様では、アニオンAは、式A1−R11−A2の有機ジアニオンであってよい。A1およびA2は、それぞれ互いに独立に、カルボキシレ−ト、スルホネ−トまたは類似物などのアニオン基である。R11は、(i)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキレン基(直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、飽和アルキレン基、不飽和アルキレン基、環状アルキレン基、置換アルキレン基および非置換アルキレン基を含み、アルキレン基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリ−レン基(非置換アリ−レン基および置換アリ−レン基を含み、アリ−レン基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリ−ルアルキレン基(非置換アリ−ルアルキレン基および置換アリ−ルアルキレン基を含み、アリ−ルアルキレン基のアルキレン部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、これらのアリ−ルアルキレン基のアルキレン部分とアリ−ル部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、または(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリ−レン基(非置換アルキルアリ−レン基および置換アルキルアリ−レン基を含み、アルキルアリ−レン基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリ−レン基のアルキル部分とアリ−レン部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。置換アルキレン基、置換アリ−レン基、置換アリ−ルアルキレン基および置換アルキルアリ−レン基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エ−テル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェ−ト基、スルホネ−ト基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェ−ト基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナ−ト基、イソシアナ−ト基、チオシアナ−ト基、イソチオシアナ−ト基、カルボキシレ−ト基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(但し、これに限定されるものではない)。適当な有機ジアニオンの例は、非置換ナフタレンジスルホネ−トおよび置換ナフタレンジスルホネ−ト、非置換ベンゼンジスルホネ−トおよび置換ベンゼンジスルホネ−トおよび類似物、ならびにそれらの混合物を含む。
【0030】
別の特定の実施態様では、アニオンAは、有機トリアニオン、テトラアニオンおよびペンタアニオン以上のポリアニオン、オリゴマ−アニオン、およびポリスルホネ−トまたはポリカルボネ−トなどの重合体アニオンまたは類似物であってよい。
【0031】
1つの特定の実施態様では、本開示による着色剤は、式
【化30】


で表される。
【0032】
別の特定の実施態様では、本開示による着色剤は、式
【化31】


で表される。
【0033】
これらの着色剤において、正電荷は、非局在化し、
【化32】


【化33】


および類似物を含む(しかし、限定はされない)他の互変異性構造体を描くことができることを理解すべきである。上記の式には、これらの着色剤について考えられるすべての互変異性体が含まれると理解するべきである。
【0034】
本開示の着色剤は、任意の所望の手順または有効な手順によって調製してよい。例えば、望ましいR基(このR基は、本着色剤の重合体主鎖を形成し、本明細書において定める本着色剤のR基から選択される)を有するα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を、望ましいR、R、RおよびR基等を有する1つ以上のアミノフェノ−ルと混合し、ニ−トで、あるいは任意選択として溶媒の存在下で加熱した後、酸、例えば濃HSOを加え、さらに加熱してよい。R、R、RおよびR基等は、本明細書において着色剤用に定義したように選択する。
【0035】
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体とアミノフェノ−ルとは、任意の所望の相対量または有効な相対量、一実施態様では2モルのアミノフェノ−ルあたり少なくとも約0.5モルのα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、一実施態様では2モルのアミノフェノ−ルあたり約1.5モルを超えないα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を存在させるが、相対量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0036】
望むなら、反応はニ−トで、すなわち溶媒非存在下で実行してよい。さらに、望むなら、反応は、任意選択の溶媒の存在下で実行してよい。適当な溶媒の例は、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、オクタノ−ルならびそれらの混合物を含む。存在する場合、任意選択の溶媒は、任意の所望量または有効量、一実施態様では0.1モルのα−オレフィン−無水コハク酸共重合体あたり少なくとも約1リットル、一実施態様では2モルのα−オレフィン−無水コハク酸共重合体あたり約1リットルを超えない量存在させてよいが、相対量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0037】
次に、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、アミノフェノ−ルおよび任意選択の溶媒の混合物を任意の有効な温度、一実施態様では少なくとも約62℃、一実施態様では約280℃を超えない温度に加熱するが、温度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0038】
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、アミノフェノ−ルおよび任意選択の溶媒の混合物を、任意の有効な時間、一実施態様では少なくとも約5分、一実施態様では約4日を超えない時間加熱するが、時間はこれらの範囲外にあってもよい。
【0039】
実施態様によっては、例えば2モルのアミノフェノ−ルあたり約1モルの酸の量で酸を加えてよい。次に、酸を加え、混合物を任意の有効な温度、一実施態様では少なくとも約62℃、一実施態様では約280℃を超えない温度に加熱するが、温度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0040】
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、アミノフェノ−ル、任意選択の溶媒および酸との混合物を、任意の有効な時間、一実施態様では少なくとも約5分、一実施態様では約14時間加熱するが、時間はこれらの範囲外にあってもよい。
【0041】
結果として得られる生成物は、望むなら、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンまたは類似物など、生成物に対しては可溶性または相溶性であり、望ましくない塩副産物に対しては可溶性でない有機非水溶性および非水相溶性溶媒の中に反応混合物を注入した後、生成物を含む溶媒を分液ロ−トの中で水と混合し、水相と有機相とを分離することによって精製してよい。
【0042】
次に、望むなら、EDTA水溶液で洗浄して金属塩を除去した後、水で洗浄することによって粗生成物をさらに精製してよい。望むなら、滴定法、あるいはAA(原子吸光法)またはICP(誘導結合プラズマ法)などの機器技法を実行して金属塩が完全に除去されたか判定してよい。精製した生成物は、溶媒をすべて留去することによって単離してよい。
【0043】
任意の望ましい方法または有効な方法によって、本開示の着色剤の環にさまざまな置換基を配置してよい。
【0044】
実施態様によっては、変換を実行して代替生成物を作り出してよい。例えば、実施態様によっては、以下の反応
【化34】


を行ってよい。
【0045】
実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、アルキル基、アリ−ル基、アルキルアリ−ル基またはアリ−ルアルキル基である。実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、約1から約100の炭素原子を有するアルキル基、約7の炭素原子または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアルキルアリ−ル基、または約7からの炭素原子、または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアリ−ルアルキル基から選択される。実施態様によっては、Rは、ワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10の炭素原子、または約18から約100の炭素原子、または約18から約33の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数であり、pは、約1から約1000の整数であり、sは、約1から約1000の整数である。
【0046】
別の実施態様では、
【化35】


を行ってよい。
【0047】
実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、アルキル基、アリ−ル基、アルキルアリ−ル基またはアリ−ルアルキル基である。実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、約1から約100の炭素原子を有するアルキル基、約5から約20の炭素原子を有するアリ−ル基、または約7からの炭素原子、または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアリ−ルアルキル基から選択される。実施態様によっては、Rはワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10の炭素原子、または約18から約100の炭素原子、または約18から約33の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数であり、pは、約1から約1000の整数であり、sは、約1から約1000の整数である。
【0048】
さらに別の実施態様では、
【化36】



を行ってよい。
【0049】
実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、アルキル基、アリ−ル基、アルキルアリ−ル基またはアリ−ルアルキル基である。実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、約1から約100の炭素原子、または約18から約33の炭素原子を有するアルキル基、約5から約20の炭素原子を有するアリ−ル基、または約7からの炭素原子、または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアリ−ルアルキル基から選択される。実施態様によっては、Rは、ワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10の炭素原子、または約18から約100の炭素原子、または約18から約33の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数であり、pは、約1から約1000の整数であり、sは、約1から約1000の整数である。
【実施例】
【0050】
実施例1.

【化37】


のα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(50グラム、ベ−カ−ペトロライト社(Baker Petrolite Corporation)から入手可能なMW7000の共重合体X5400(登録商標))を、磁気撹拌子を有する350ミリリットルのビ−カ−の中に入れ、ビ−カ−を150℃の油浴の中に置き、溶融させ、溶融した時点で撹拌を開始した。次に、式
【化38】


のN,N−ジエチルアミノフェノ−ル(アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手可能なMW75のアミノフェノ−ル)約28.3グラムを加え、ビ−カ−の上に時計皿を置き、内容物を150℃で3時間撹拌した。次に、約2.5グラムの濃HSOを加え、さらに1時間撹拌した。次に、溶融した内容物を、500ミリリットルのメタノ−ルを含む1リットルのビ−カ−の中に注入した。次に、固体を乳鉢に移し、乳棒で細かなマゼンタ色の粉体に粉砕した。粉体を300ミリリットルのメタノ−ルを有する500ミリリットルのビ−カ−の中に入れ、加熱撹拌して沸騰させた。ビ−カ−の加熱を止め、ブフナ−漏斗を通してろ過し、マゼンタ色の重合体固体を集めた。この着色剤の双性イオン形は、式
【化39】


で表されると考えられる。
【0051】
実施例2.

【化40】


のα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(50グラム、ベ−カ−ペトロライト社から入手可能なMW7000の共重合体X5400(登録商標))を、磁気撹拌子を有する350ミリリットルのビ−カ−の中に入れ、ビ−カ−を150℃の油浴の中に置き、溶融させ、溶融した時点で撹拌を開始した。次に、式
【化41】


のN,N−ジエチルフェノ−ル(TCIアメリカ社(TCI America)から入手可能なMW221のアミノフェノ−ル)約25.4グラムを加え、ビ−カ−の上に時計皿を置き、内容物を150℃で3時間撹拌した。次に、約5.6グラムの濃HSOを加え、さらに1時間撹拌した。次に、溶融した内容物を、500ミリリットルのメタノ−ルを含む1リットルのビ−カ−の中に注入した。次に、固体を乳鉢に移し、乳棒で細かなマゼンタ色の粉体に粉砕した。粉体を300ミリリットルのメタノ−ルを有する500ミリリットルのビ−カ−の中に入れ、加熱撹拌して沸騰させた。ビ−カ−の加熱を止め、ブフナ−漏斗を通してろ過し、マゼンタ色の固体の重合体を集めた。この着色剤の双性イオン形は、式
【化42】


で表されると考えられる。
【0052】
実施例3.
以下の成分を溶融させ、混合し、ろ過することによってインク基材を調製した。
【0053】
式CH(CH50CHのポリエチレンワックス(PE655(登録商標)、ベ−カ−ペトロライト社から入手した)43.59重量部。
【0054】
ステアリルステアラミドワックス(ケマミド(登録商標)(KEMAMID)S−180、クロンプトン社(Crompton Corporation)から入手した)19.08重量部。
【0055】
1当量のC−36二量体酸(デラウェア州ニュ−キャッスル(New Castle, DE)のユニケマ(Uniqema)から入手)と2当量のエチレンジアミン、および米国特許第6,174,937号の実施例1に記載されているとおりに調製した、末端カルボン酸基を有する長鎖炭化水素であるユニシド(登録商標)(UNICID)700(ベ−カ−ペトロライトから入手した)との反応によって得たテトラアミド樹脂18.94重量部。
【0056】
2当量のアビト−ル(登録商標)(ABITOL)Eヒドロアビエチルアルコ−ル(ハ−キュリ−ズ社(Hercules)から入手した)と米国特許第5,782,966の実施例1に記載されているとおりに調製した1当量のイソホロンジイソシアネ−トとの反応によって得たウレタン樹脂11.71重量部。
【0057】
3当量のステアリルイソシアネ−トと、米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されているとおりに調製したグリセロ−ル系アルコ−ルとの付加体であるウレタン樹脂6.48重量部。
【0058】
ナウガ−ド(登録商標)(NAUGUARD)445酸化防止剤(ユニロイヤルケミカル社(Uniroyal Chemical Co.)から入手した)0.20重量部。
【0059】
それから、上記に列挙した百分率の、600グラムの上記の一覧に挙げたインクキャリア成分を、1リットルのビ−カ−に加え、溶融するまでオ−ブンの中で135℃に加熱した。続いて、このビ−カ−をマントルヒ−タ−に入れて135℃に設定し、ビ−カ−の内容物を45分間撹拌した。結果として得られたインクを、次に、ワットマンの3号と0.2ミクロンNAEフィルタとの組み合わせを通してろ過し、モット(Mott)フィルタ−アセンブリの中に入れた。1重量パ−セントのフル−カヘミカ社(Fluka Chemika)から入手したフィルタエイド(FILTER−AID)を加えてろ過を促進し、6時間後に完了するまで135℃の温度で続行した。約31グラムの無色のインク基材を含むインク基材を型に注入し、放冷した。
【0060】
実施例4.
約30.0グラムの実施例3のインク基材を、磁気撹拌子を有する100ミリリットルのビ−カ−に入れ、続いて溶融するまで135℃の油浴の中に置いた。次に、約2.0グラムの実施例1の生成物を加え、約3時間撹拌した。次に、マゼンタ色の着色剤を、アルミニウム金型の中に注入した。
【0061】
実施例5.
約30.0グラムの実施例3からのインク基材を、磁気撹拌子を有する100ミリリットルのビ−カ−に入れ、続いて溶融するまで135℃の油浴の中に置いた。次に、約2.0グラムの実施例2の生成物を加え、約3時間撹拌した。次に、マゼンタ色の着色剤をアルミニウム金型の中に注入した。
【0062】
実施例6.
K印刷試験機(K Printing Proofer)(イギリス、SG8 0OZ,ヘリス(Heris)、ロイストン(Royston)、リトリントン(Litlington)、PKプリントコ−トインスツルメント社(RK Print Coat Instrument Ltd.)製)を用いて、実施例4および実施例5で調製したインクの印刷標本をハンマ−ミル(HAMMERMILL)レ−ザ印刷紙上に作製した。この方法では、150℃の温度に設定した印刷版上で被検インクを溶融させた。次に、溶融したインクを表面に含む版の上で、上記の紙を巻いたロ−ラ−バ−を回転させた。紙の上のインクを冷却し、3つの分離された矩形ブロックの画像を得た。最も強く着色したブロックは、紙の上に塗布されたインクを最も多く含んでいたので、明度測定値を得るために用いた。目視によって印刷標本を評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


【化2】


で表され、
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリ−ル基、(iv)アリ−ルアルキル基または(v)アルキルアリ−ル基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、
およびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリ−ル基、(iii)アリ−ルアルキル基、(iv)アルキルアリ−ル基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エ−テル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェ−ト基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェ−ト基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナ−ト基、(xxxii)イソシアナ−ト基、(xxxiii)チオシアナ−ト基、(xxxiv)イソチオシアナ−ト基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基、あるいは(xxxvii)水素であり、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化3】


であり、
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリ−ル基、(iv)アリ−ルアルキル基または(v)アルキルアリ−ル基であり、
Aは、アニオンであり、
CAは、水素原子またはカチオンのどちらかであり、
Rは、(i)アルキル基、(ii)アリ−ル基、(iii)アリ−ルアルキル基、(iv)アルキルアリ−ル基、(v)アルコキシ基、(vi)アセテ−ト基、または(vii)無水マレイン酸の共重合体であり、
nは、約1から約1000の整数であり、
mは、約1から約1000の整数である、
化合物。
【請求項2】
A−は、式A1−R11−A2で表される有機ジアニオンであり、A1およびA2は、それぞれ互いに独立に、アニオンであり、R11は、(i)アルキレン基、(ii)アリ−レン基、(iii)アリ−ルアルキレン基または(iv)アルキルアリ−レン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化4】


で表され、
nは、約1から約1,000であり、mは、約1から約1,000である、
化合物。
【請求項4】

【化5】


で表され、
nは、約1から約1,000であり、mは、約1から約1,000である、
化合物。

【公開番号】特開2008−189932(P2008−189932A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24741(P2008−24741)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】