説明

瞳補正処理装置及びその方法

【課題】 目の瞳が赤く撮影されるといった赤目現象等が発生しているデジタル画像における瞳領域のカラー補正処理を確実に且つ効率よく実行可能な瞳補正処理装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 デジタル画像から被写体の瞳領域を検出する瞳領域検出手段40と、前記瞳領域検出手段40により検出されたデジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する瞳領域カラー補正手段46とを備えた瞳補正処理装置であって、前記瞳領域検出手段40は、前記デジタル画像を縮小した縮小デジタル画像に縮小処理する縮小処理部41と、前記縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域を検出する縮小瞳検出部42と、前記縮小瞳領域に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する瞳検出部43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物の目の瞳孔部分が赤く撮影されるといった赤目現象等が発生しているデジタル画像における瞳画像を自然な色に補正処理する瞳補正処理装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人物がストロボ撮影された写真画像において、目の瞳部分が赤く撮影される赤目現象等がしばしば発生するが、このような赤目現象を補正するために、従来より、デジタル画像入力手段によりデジタル画像として入力された写真画像から人物の瞳の領域を検出して瞳孔部分の彩度等を補正して自然な色に補正するカラー補正処理手段を備えた写真処理装置が提案されている。
【0003】
上述の写真処理装置では、現像済み写真フィルムからフィルムスキャナで読み取られ、或いはデジタルスチルカメラで撮影されメモリカードに記憶された画像がメディアドライバで読み取られた後に、プレジャッジ画面でモニタに表示されたサムネイル画像に対して、赤目現象等の発生から瞳領域のカラー補正が必要とオペレータにより判断され、プレジャッジ画面に表示されている瞳領域のカラー補正アイコンが操作されると、瞳領域のカラー補正のためのカラー補正処理手段が起動されるように構成されている。
【0004】
前記カラー補正処理手段は、フィルムスキャナやメディアドライバから読み取られた高解像度の画像データを所定の縮小アルゴリズムを用いて縮小する縮小処理手段と、モニタに表示された縮小画像に対してオペレータ操作により瞳領域を含む大まかな目の領域を指定する領域指定手段と、指定された領域のヒストグラムを生成してその値から瞳領域の画素をオペレータによる操作または自動検出により特定する瞳検出手段と、検出された瞳領域に対してオペレータの操作に基づき彩度等を調整する瞳補正手段とを備えて構成され、プリントデータの生成時に前記領域指定手段で指定された領域の座標データと前記瞳補正手段によるカラー補正パラメータ等に基づき、高解像度の画像データに対して対応する領域を座標変換により認識し、当該領域に対して生成されるヒストグラムから瞳領域の画素を自動検出し、当該画素をカラー補正パラメータに基づいて自動補正するように構成されていた。
【0005】
ここに、縮小処理手段を設けて縮小処理後の画像データに対して補正操作を行なうのはプレジャッジ画面において種々の補正処理を実行する際の演算負荷を軽減して高速に処理するためであり、前記縮小処理は、例えば、縮小デジタル画像が高解像度のデジタル画像と比較して極度に劣化しないように、前記デジタル画像における各画素に対して、図11に示すように、特定画素Ps(i,j)となる画素を含んだ目的縮小サイズに応じた所定数の画素群Pg(i,j)における画素データの平均値を算出し、前記算出された平均値を前記特定画素Ps(i,j)の新たな画素データとして置換する等といった平滑化処理を実施するとともに、目的縮小サイズとなるように画素の間引き処理が行なわれ、前記間引き処理により尚もまだ残っている前記新たな画素データとなった画素Ps’(i,j)の座標が新たな座標Ps’(k,l)に置換される圧縮処理が行なわれている(i=0、1,2,・・・,m−1、j=0、1,2,・・・,n−1、k=0,1,2,・・・,(n−1)/p、l=0,1,2,・・・,(m−1)/q、pはy軸方向の縮小係数、qはx軸方向の縮小係数)。
【特許文献1】特開平11−308474号公報
【特許文献2】特開2000−231639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した縮小デジタル画像における個々の画素データは元のデジタル画像の画素が平均化処理されたものであるために、瞳検出手段により生成される縮小デジタル画像に対するヒストグラムに基づいて検出された瞳領域と元のデジタル画像に対するヒストグラムに基づいて検出される瞳領域が相違する、つまり誤検出されることがあるという問題があった。
【0007】
同様に、前記縮小デジタル画像における個々の画素データと前記デジタル画像における個々の画素データとが異なる値であることから、縮小デジタル画像に対する補正パラメータに基づいて元のデジタル画像がカラー補正処理されても適正な色に補正されない場合もあった。
【0008】
上述の写真処理装置では、プレジャッジ画面において前記縮小デジタル画像に対する瞳領域の検出及び補正について適正な補正がなされたか否かがオペレータにより確認されているが、作業効率の向上化等のため前記デジタル画像における瞳領域の検出及びカラー補正の確認が行なわれることなく自動的に補正処理が実行されてプリント処理されるので、出力された写真プリントが適正にカラー補正処理されていないときもあり、このような場合には、再度カラー補正処理を最初から行ない直す必要があり、却って作業効率が低下するといった問題が発生していた。
【0009】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、目の瞳が赤く撮影されるといった赤目現象等が発生しているデジタル画像における瞳領域のカラー補正処理を確実に且つ効率よく実行可能な瞳補正処理装置及びその方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による瞳補正処理装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、記録媒体に記録された画像を読取るデジタル画像入力手段と、前記デジタル画像入力手段により読み取られたデジタル画像から被写体の瞳領域を検出する瞳領域検出手段と、前記瞳領域検出手段により検出されたデジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する瞳領域カラー補正手段とを備えた瞳補正処理装置であって、前記瞳領域検出手段は、前記デジタル画像を縮小した縮小デジタル画像に縮小処理する縮小処理部と、前記縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域を検出する縮小瞳検出部と、前記縮小瞳領域に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する瞳検出部とを備える点にある。
【0011】
上述の構成によれば、デジタル画像を縮小処理した縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出するため、前記縮小デジタル画像で検出された縮小瞳領域に対応する前記デジタル画像における領域を瞳領域として検出することから前記デジタル画像における瞳領域の誤検出を発生させることなく、確実に前記デジタル画像における瞳領域を検出することができるのである。
【0012】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記縮小瞳検出部は、前記検出した縮小瞳領域に対応する所定の座標または所定の大きさを検出し、前記瞳検出部は、前記検出された所定の座標または所定の大きさに基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する点にある。
【0013】
上述の構成によれば、前記瞳検出部が前記縮小瞳検出部により検出された縮小瞳領域に対応する所定の座標または所定の大きさに基づいて瞳領域を検出するため、確実に前記デジタル画像における瞳領域を検出することができるのである。
【0014】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記所定の座標が前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における中心の座標であり、前記所定の大きさが前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における半径である点にある。
【0015】
上述の構成によれば、通常は円形である人物の目の瞳孔部分の形状に対応して、前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における中心の座標とその半径に基づいてデジタル画像の瞳領域を検出するため確実に前記デジタル画像における瞳領域を検出することができるのである。また、前記縮小瞳検出部から瞳検出部に転送されるデータは、多くとも前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における中心の座標とその半径を転送すれば、前記デジタル画像における瞳領域を特定することができるようになるため、縮小瞳領域の全ての座標等のデータを転送する必要はなく、前記瞳領域を特定するためのデータ転送に要する時間を短縮することができ、更には、データ転送に必要とされるメモリ容量を削減することができるのである。
【0016】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記所定の座標が前記縮小瞳領域の重心の座標であり、前記所定の大きさが前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離である点にある。
【0017】
上述の構成によれば、通常は円形である人物の目の瞳孔部分が、例えば、半分だけ瞼によって遮られることにより円形とはいえない形状となっていても、前記縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とに基づいてデジタル画像の瞳領域を検出するため確実に前記デジタル画像における瞳領域を検出することができるのである。また、前記縮小瞳検出部から瞳検出部に転送されるデータは、多くとも前記縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とを転送すれば、前記デジタル画像における瞳領域を特定することができるようになるため、縮小瞳領域の全ての座標等のデータを転送する必要はなく、前記瞳領域を特定するためのデータ転送に要する時間を短縮することができ、更には、データ転送に必要とされるメモリ容量を削減することができるのである。
【0018】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記所定の座標が前記縮小瞳領域の外縁座標である点にある。
【0019】
上述の構成によれば、通常は円形である人物の目の瞳孔部分が、例えば、半分だけ瞼によって遮られることにより円形とはいえない形状となっていても、前記縮小瞳領域の外縁座標に基づいてデジタル画像の瞳領域を検出するため確実に前記デジタル画像における瞳領域を検出することができるのである。また、前記縮小瞳検出部から瞳検出部に転送されるデータは、多くとも前記縮小瞳領域の外縁座標を転送すれば、前記デジタル画像における瞳領域を特定することができるようになるため、縮小瞳領域の全ての座標等のデータを転送する必要はなく、前記瞳領域を特定するためのデータ転送に要する時間を短縮することができ、更には、データ転送に必要とされるメモリ容量を削減することができるのである。
【0020】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第二から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記瞳領域カラー補正手段は、前記縮小瞳検出部により検出された縮小瞳領域に対するカラー補正値を算出するカラー補正値算出部と、前記カラー補正値算出部により算出されたカラー補正値に基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理するカラー補正部とを備える点にあり、前記瞳領域にカラー補正処理を行なうことができるのである。
【0021】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第六の特徴構成に加えて、前記瞳領域カラー補正手段は、前記カラー補正値算出部により算出されたカラー補正値から前記縮小瞳領域のカラーデータを生成するカラーデータ生成部を備え、前記カラー補正部は、前記カラーデータ生成部により生成されたカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する点にある。
【0022】
上述の構成によれば、前記カラー補正部は、前記縮小瞳領域のカラー補正処理を行なったカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理を行なうため、例えば、前記縮小瞳領域のカラー補正処理を行なったカラーデータから前記デジタル画像の瞳領域の画素数に対応するように補間カラーデータを生成し、前記デジタル画像の瞳領域のカラーデータと、前記補間カラーデータを含む前記縮小瞳領域のカラー補正処理を行なったカラーデータとを置き換える置換処理等のカラー補正処理を行なうため、前記瞳領域に対して行なったカラー補正処理後の色と、前記縮小瞳領域に対して行なったカラー補正処理後の色とを確実に一致させることができるのである。
【0023】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第七の特徴構成に加えて、前記カラー補正部は、前記所定の座標または前記所定の座標と前記所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する点にある。
【0024】
上述の構成によれば、前記所定の座標または前記所定の座標と前記所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理を行なうため、前記カラーデータ生成部からに前記カラー補正部に転送されるデータは、多くとも前記所定の座標または前記所定の座標と前記所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータを転送すれば、前記デジタル画像における瞳領域のカラー補正処理ができるようになるのである。つまり、前記縮小瞳領域の全ての座標におけるカラーデータを転送する必要がなく、前記瞳領域のカラー補正処理を行なうためのデータ転送に要する時間を短縮することができ、更には、データ転送に必要とされるメモリ容量を削減することができるのである。
【0025】
上述の目的を達成するため、本発明による瞳補正処理方法の第一の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、記録媒体に記録された画像を読取るデジタル画像入力ステップと、前記デジタル画像入力ステップにより読み取られたデジタル画像から被写体の瞳領域を検出する瞳領域検出ステップと、前記瞳領域検出手段により検出されたデジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する瞳領域カラー補正ステップとからなる瞳補正処理方法であって、前記瞳領域検出ステップは、前記デジタル画像を縮小した縮小デジタル画像に縮小処理する縮小処理ステップと、前記縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域を検出する縮小瞳検出ステップと、前記縮小瞳領域に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する瞳検出ステップとからなる点にある。
【0026】
同第二の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記縮小瞳検出ステップは、前記検出した縮小瞳領域に対応する所定の座標または所定の大きさを検出し、前記瞳検出ステップは、前記検出された所定の座標または所定の大きさに基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する点にある。
【0027】
同第三の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記所定の座標が前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における中心の座標であり、前記所定の大きさが前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における半径である点にある。
【0028】
同第四の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記所定の座標が前記縮小瞳領域の重心の座標であり、前記所定の大きさが前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離である点にある。
【0029】
同第五の特徴構成は、同請求項13に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記所定の座標が前記縮小瞳領域の外縁座標である点にある。
【0030】
同第六の特徴構成は、同請求項14に記載した通り、上述の第二から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記瞳領域カラー補正ステップは、前記縮小瞳検出ステップにより検出された縮小瞳領域に対するカラー補正値を算出するカラー補正値算出ステップと、前記カラー補正値算出ステップにより算出されたカラー補正値に基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理するカラー補正ステップとからなる点にある。
【0031】
同第七の特徴構成は、同請求項15に記載した通り、上述の第六の特徴構成に加えて、前記瞳領域カラー補正ステップは、前記カラー補正値算出ステップにより算出されたカラー補正値から前記縮小瞳領域のカラーデータを生成するカラーデータ生成ステップを備え、前記カラー補正ステップは、前記カラーデータ生成ステップにより生成されたカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する点にある。
【0032】
同第八の特徴構成は、同請求項16に記載した通り、上述の第七の特徴構成に加えて、前記カラー補正ステップは、前記所定の座標または前記所定の座標と前記所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する点にある。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した通り、本発明によれば、目の瞳が赤く撮影されるといった赤目現象等が発生しているデジタル画像における瞳領域のカラー補正処理を確実に且つ効率よく実行可能な瞳補正処理装置及びその方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明によるデジタル画像の瞳補正処理装置を写真処理装置に適用した実施の形態について説明する。前記写真処理装置1の外観構成は、図2に示すように、印画紙Pに対して出力画像データに基づいた露光処理を行なうとともに、露光された印画紙を現像処理する写真プリンタ2と、デジタル画像に対するプリントオーダ情報を設定入力するとともに各種の画像補正処理を行なう操作ステーション3とを備えて構成され、前記操作ステーション3によりデジタル画像に対して編集処理されたプリントデータが前記写真プリンタ2に出力されて所望の写真プリントが生成されるように構成されている。
【0035】
前記写真プリンタ2の概観構成は図2、図3に示すように、感光材料としてのロール状の印画紙Pを収容し、また、感光材料供給部として前記印画紙Pを供給する二系統の印画紙マガジン21と、前記印画紙マガジン21から供給された印画紙Pを所定のプリントサイズに切断するシートカッター22と、前記切断後の印画紙Pの背面に画像番号等のプリント情報を印字するバックプリント部23と、前記写真プリント対象データに基づいて印画紙Pを露光する露光処理部24と、前記露光処理後の印画紙Pを現像、漂白、定着するための各処理液が充填された複数の処理槽25a、25b、25cが印画紙Pの搬送経路に沿って配置された現像処理部25と、現像処理後に乾燥処理された印画紙Pが排出される横送りコンベア26と、横送りコンベア26に集積された複数枚の印画紙(写真プリント)Pが写真プリントの注文単位で仕分けられるプリント仕分け処理部としてのソータ27とを備えて構成されている。前記露光処理部24は、プリント対象データに基づいて印画紙Pを送りながらR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光線の露光を行う露光ヘッドを備えており、露光時には印画紙Pを副走査方向に搬送しながら、この搬送速度と同期して主走査方向に沿ったライン状に露光を行うよう構成されている。尚、露光ヘッドとしては、露光仕様に応じて、蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、DMD方式又はFOCRT方式などの採用が可能である。
【0036】
つまり、前記写真プリンタ2は、2つの印画紙マガジン21に納めたロール状の印画紙Pを搬送してプリントサイズに切断するとともに、このように切断された印画紙Pに対し、露光処理部24で露光処理を行い、この露光処理後の印画紙Pを複数の現像処理槽を有した現像処理部25に送って現像する。そして、現像処理され、乾燥処理の後に当該写真プリンタ2の上部の横送りコンベア26からソータ27に送られた印画紙Pを、つまり写真プリントPをソータ27の複数のトレイにプリント注文毎に仕分けた状態で集積するように構成されている。
【0037】
前記操作ステーション3の外観構成は、図2に示すように、現像済みの写真フィルムFから画像をデジタル画像として読み込むフィルムスキャナ31と、デジタルスチルカメラ等で撮影されたデジタル画像が格納されたメモリカード等のデジタル画像記憶メディアMから前記デジタル画像を読み取るメディアドライバ32と、コントローラ33としての汎用コンピュータ等とを備えて構成されている。尚、前記コントローラ33には、汎用のオペレーティングシステムの管理下で動作し当該写真処理装置1の各種制御が実行されるアプリケーションプログラムがインストールされ、オペレータとの操作インターフェースとしてモニタ34、キーボード35、マウス36等が接続されている。
【0038】
前記コントローラ33のハードウェア及びソフトウェアの協働により実行されるデジタル画像の瞳領域におけるカラー補正処理にかかる機能ブロック構成は、図1に示すように、デジタル画像入力手段としての前記フィルムスキャナ31やメディアドライバ32によって読み取られたデジタル画像等を格納するメモリ37と、前記読み取られたデジタル画像に基づいた画像情報や入力情報等からなるグラフィック操作画面を生成し前記モニタ34に前記グラフィック操作画面の表示を行うとともに前記グラフィック操作画面に対する前記キーボード35またはマウス36からの入力操作に基づいて各種の制御コマンドを生成するグラフィックユーザーインターフェース(GUI)部38と、前記メモリ37に格納されたデジタル画像に対して前記制御コマンドに基づいて瞳領域を検出し前記瞳領域をカラー補正処理する瞳補正処理部39とを備えて構成されている。
【0039】
前記フィルムスキャナ31は、前記フィルムFに記録された画像を低解像度ではあるものの高速で読み取るプレスキャンモードと、低速ではあるものの高解像度で読み取る本スキャンモードの二モードで作動するように構成され、通常はプレスキャンモードで読み込まれた低解像度のコマ画像がプレジャッジ画面で表示され、オペレータによりプリントオーダ情報の入力や各種の画像補正処理がなされ、このときの各種補正パラメータに基づいて本スキャンモードで読み込まれた高解像度の画像データに対して最終の補正が行なわれてプリントデータが生成される。
【0040】
同様にメディアドライバ32で読み込まれたサムネイル画像、サムネイル画像が存在しない場合には高解像度の画像から縮小処理されたサムネイル画像がプレジャッジ画面で表示され、各種の補正処理が行なわれた後にその補正パラメータに基づいて高解像度のデジタル画像が補正処理される。
【0041】
前記プレジャッジ画面に表示されたサムネイル画像に対して高精細な補正処理が必要となる場合にはその都度高解像度のデジタル画像が読み込まれてその縮小画像を表示する一コマ拡大モードに移行して詳細な補正処理が実行される。
【0042】
例えば、プレジャッジ画面でオペレータにより赤目現象の発生等から瞳領域のカラー補正が必要と認識されたサムネイル画像がマウス36でダブルクリックされると一コマ拡大モードに移行して、本スキャンモードにより読み込まれた高解像度のデジタル画像、或いはメディアドライバ32から読み込まれた高解像度のデジタル画像が前記メモリ37に格納され、前記メモリ37に格納された高解像度のデジタル画像に基づいて以下に説明する瞳補正処理部39が起動される。
【0043】
前記瞳補正処理部39は、前記メモリ37に格納されたデジタル画像の瞳領域を検出する瞳領域検出手段40と、前記瞳領域検出手段40により検出されたデジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する瞳領域カラー補正手段46とを備えて構成されている。
【0044】
前記瞳領域検出手段40は、前記メモリ37に格納されたデジタル画像を縮小した縮小デジタル画像に縮小処理する縮小処理部41と、前記縮小処理部41により縮小処理された縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域を検出する縮小瞳検出部42と、前記縮小瞳検出部42により検出された縮小瞳領域に基づいて前記メモリ37に格納されたデジタル画像の瞳領域を検出する瞳検出部43とを備えて構成されている。
【0045】
前記縮小処理部41は、前記メモリ37に格納されたデジタル画像における各画素に対して、特定画素となる画素を含んだ目的縮小サイズに応じた所定数の画素群における画素データの平均値を算出して、前記算出された平均値を前記特定画素の新たな画素データとして置換する平滑化処理を実行し、さらに必要な場合には目的縮小サイズとなるように画素の間引き処理を行ない、前記間引き処理により尚もまだ残っている前記新たな画素データとなった各画素の座標を新たな座標に置換する圧縮処理を実行することで、縮小デジタル画像を生成するように構成されている。尚、前記デジタル画像が前記縮小デジタル画像に縮小処理される縮小率は、予め前記デジタル画像のサイズに応じた縮小率が定められた構成となっている。
【0046】
前記縮小瞳検出部42は、前記GUI38を介して前記モニタ34に表示される前記縮小処理部41により縮小処理された縮小デジタル画像に対して、例えば、図4に示すように、オペレータにより前記マウス36またはキーボード35を介して操作指定される二点P1(x1,y1)、P2(x2,y2)を対角とした矩形領域Eにおけるヒストグラムを生成して彩度が所定の閾値範囲となる連続画素領域を縮小瞳領域として検出するように構成されている。
【0047】
尚、前記縮小瞳領域の検出は、前記彩度の所定の閾値範囲を予め設定しておくことで、オペレータにより前記矩形領域Eが操作指定された後に自動的に実施される構成としてもよいし、前記彩度の所定の閾値範囲を前記マウス36またはキーボード35を介して設定可能な構成としてもよい。オペレータによる前記縮小瞳領域の微調整が可能となるとともに、赤目現象となっている瞳の他、種々の色となっている瞳に対しても検出が可能となる。
【0048】
また、前記縮小瞳領域の検出は、彩度の他に、明度や色度、または、これらの組合せに基づいた値が所定の閾値範囲となる連続画素領域を縮小瞳領域として検出するように構成してもよい。
【0049】
更に、前記縮小瞳検出部42は、前記検出した縮小瞳領域を円領域として近似し、前記円領域の中心座標と前記円領域の半径を算出するように構成されている。例えば、前記縮小瞳領域において、画素の列方向(x軸方向)への連続画素数が最大となっている画素行における前記連続画素数と画素の行方向(y軸方向)への連続画素数が最大となっている画素列における前記連続画素数との平均画素数の半値を前記円領域の半径として検出し、また、画素の列方向(x軸方向)への連続画素数が最大となっている画素行におけるy座標を前記円領域の中心位置のy座標とし、画素の行方向(y軸方向)への連続画素数が最大となっている画素列におけるx座標を前記円領域の中心位置のx座標として検出するように構成されている。
【0050】
つまり、前記縮小瞳検出部42の動作について、図5のフローチャートに基づいて説明すると、縮小デジタル画像に対して、オペレータにより前記マウス36またはキーボード35を介して操作指定される二点P1、P2を対角とした矩形領域Eが指定されると(SA1)、前記縮小瞳検出部42は、前記矩形領域Eを抽出し(SA2)、前記矩形領域Eにおける各画素に対して(SA3、SA4、SA5、SA6、SA7、SA8)、画素データにおける明度Mが所定の第一明度閾値Mth1と所定の第二明度閾値Mth2の範囲以内で(SA9)、かつ、彩度Sが所定の第一彩度閾値Sth1と所定の第二彩度閾値Sth2範囲以内となる画素を検出する(SA10、SA11)。前記矩形領域Eにおける各画素の検出が終了すると、前記検出された画素が所定数の連続画素となっている連続画素領域を縮小瞳領域として検出する(SA12)。
【0051】
前記縮小瞳検出部42は、前記検出した縮小瞳領域における画素の各列に対する行方向の連続画素数を計測し(SA13)、前記連続画素数が最大となる列におけるx座標を検出する(SA14)。また、前記検出した縮小瞳領域における画素の各行に対する列方向の連続画素数を計測し(SA15)、前記連続画素数が最大となる行におけるy座標を検出する(SA16)。更に、前記計測した画素の行方向で最大となる連続画素数と画素の列方向で最大となる連続画素数との平均の半値を検出する(SA17)。つまり、前記縮小瞳検出部42は、前記検出した縮小瞳領域を円領域として近似し、その中心座標とその半径を検出する。
【0052】
尚、前記縮小瞳検出部42は、前記検出された縮小瞳領域に対して種々のサイズの基準円を重ね合わせ、前記縮小瞳領域と最も一致度の高いサイズの基準円を検出し、また、前記縮小瞳領域に対して最も一致度の高い位置となっているときの前記基準円の位置を検出し、このときにおける前記基準円の半径、及び、中心座標とを検出する構成としてもよい。
【0053】
前記瞳検出部43は、前記縮小瞳検出部42により検出された中心座標と半径に基づいて、前記メモリ37に格納されているデジタル画像の瞳領域を検出するもので、前記メモリ37に格納されているデジタル画像が前記縮小処理部41によって縮小デジタル画像に縮小処理された縮小率に応じた拡大率に基づいて前記中心座標と半径とを変換し、前記変換された中心座標と半径により得られる前記デジタル画像内の円領域を特定し、前記特定された円領域を瞳領域として検出するように構成されている。尚、前記拡大率は、前記縮小率に応じた拡大率が予め定められた構成となっている。例えば、前記縮小率が1/N倍であった場合には、前記拡大率はN倍と設定することができ、更にこのとき、前記縮小デジタル画像における縮小瞳領域の中心座標が(xa,ya)で、半径がrであった場合には、変換された中心座標は(N・xa,N・ya)として、また、変換された半径はN・rとして算出することができる。
【0054】
前記瞳検出部43の動作について、図6のフローチャートに基づいて説明すると、前記瞳検出部43は、前記縮小瞳検出部42により前記縮小瞳領域における中心座標と半径が検出されると(SB1)、前記メモリ37に格納されているデジタル画像が前記縮小処理部41により縮小デジタル画像に縮小処理された縮小率の確認を行い(SB2)、前記縮小デジタル画像の縮小率に応じた拡大率を求める(SB3)。
【0055】
また、前記瞳検出部43は、前記縮小瞳領域における中心座標と半径とを前記拡大率に基づいて変換し(SB4)、前記変換された中心座標と半径とにより得られる前記デジタル画像内の円領域を特定し(SB5)、前記円領域を前記デジタル画像における瞳領域として検出する(SB6)。
【0056】
前記瞳領域カラー補正手段46は、前記縮小瞳検出部42より検出された縮小瞳領域に対してカラー補正処理を行ない、前記カラー補正処理に適用されたカラー補正値を算出するカラー補正値算出部44と、前記瞳検出部43により検出された瞳領域に対して前記カラー補正値算出部44により算出されたカラー補正値に基づいてカラー補正処理を行なうカラー補正部45とを備えて構成されている。
【0057】
前記カラー補正値算出部44は、前記GUI38を介して前記モニタ34に表示される前記縮小デジタル画像の縮小瞳領域に対して、オペレータにより前記マウス36またはキーボード35を介して順次試されるカラー補正値、例えば、彩度や色度、明度等毎に夫々設定される補正率等の入力操作指示に基づいて順次カラー補正処理を行なうとともに、前記GUI38を介して前記カラー補正処理をおこなった縮小瞳領域のカラー補正処理画像を前記モニタ34に表示し、オペレータにより最終的に選択された縮小瞳領域のカラー補正処理画像に適用されているカラー補正値を算出するように構成されている。
【0058】
前記カラー補正部45は、前記瞳検出部43により検出された前記デジタル画像における瞳領域の画素に対して、前記カラー補正値算出部44により算出されたカラー補正値に基づいてカラー補正処理を行なうように構成されている。
【0059】
つまり、前記カラー補正部45は、前記カラー補正値算出部44により算出されたカラー補正値としての彩度や色度、明度等の補正率を、前記瞳検出部43により検出された前記デジタル画像における瞳領域の画素値に積算処理する等により反映して新たな画素値を算出することで、カラー補正処理を行なうように構成されている。
【0060】
以下、デジタル画像の瞳領域におけるカラー補正処理の動作について、図7のフローチャートに基づいて説明する。プレジャッジ画面でオペレータにより赤目現象の発生等から瞳領域のカラー補正が必要と認識されたサムネイル画像がマウス36でダブルクリックされ、一コマ拡大モードに移行し、本スキャンモードにより読み込まれた高解像度のデジタル画像、或いはメディアドライバ32から読み込まれた高解像度のデジタル画像が前記メモリ37に格納されると(SC1)、前記縮小処理部41は、前記デジタル画像データを前記デジタル画像サイズに応じた縮小処理を行うことで縮小デジタル画像を生成する(SC2)。
【0061】
前記縮小処理部41により縮小デジタル画像が生成されると、前記モニタ34には、前記GUIを介して前記縮小デジタル画像が表示される(SC3)。前記モニタ34上における前記縮小デジタル画像に対して、オペレータにより前記マウス36またはキーボード35を介して前記矩形領域Eが指定されると(SC4)、前記縮小瞳検出部42は、上述したように前記矩形領域E内において縮小瞳領域の自動検出を行ない(SC5)、前記縮小瞳領域を円領域として近似し、その中心座標とその半径を検出する(SC6)。
【0062】
一方、前記カラー補正値算出部44は、前記GUI38を介して前記モニタ34に表示される前記縮小デジタル画像の瞳領域に対して、オペレータにより前記マウス36またはキーボード35を介して順次試されるカラー補正値の操作指示に基づいて順次カラー補正処理を行なうとともに(SC7、SC8)、前記GUI38を介して前記カラー補正処理を行なった瞳領域のカラー補正処理画像を前記モニタ34に表示し(SC9)、オペレータにより最終的に選択された瞳領域のカラー補正処理画像に適用されているカラー補正値を算出する(SC10、SC11)。
【0063】
前記瞳検出部43は、上述したように、前記縮小瞳検出部42により検出された中心座標と半径に基づいて、前記メモリ37に格納されているデジタル画像の瞳領域を検出する(SC12)。
【0064】
前記カラー補正部45は、前記瞳検出部43により検出された前記デジタル画像における瞳領域の画素に対して、前記カラー補正値算出部44により算出されたカラー補正値に基づいてカラー補正処理を行なう(SC13)。
【0065】
尚、前記瞳領域のカラー補正処理が行なわれたデジタル画像は、プリントデータ生成部45によりプリントデータに変換された後、前記写真プリンタ2により写真プリントとして出力される。
【0066】
以下、別の実施形態について説明する。上述では、前記縮小瞳検出部42は、前記検出した縮小瞳領域を円領域として近似することで、前記円領域の中心座標と前記円領域の半径を算出し、前記瞳検出部43が、前記円領域の中心座標と前記円領域の半径に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出した場合について説明したが、前記縮小瞳検出部42は、前記検出した縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とを算出し、前記瞳検出部43が、前記縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とに基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する構成としてもよい。尚、以下説明の便宜上、前記縮小瞳検出部42を縮小瞳検出部50のように、また前記瞳検出部43を瞳検出部51のように符号を代えて説明する。
【0067】
前記縮小瞳検出部50は、上述と同様に縮小瞳領域を検出した後に、前記検出した縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とを算出するように構成されている。
【0068】
前記縮小瞳領域の重心の座標は、例えば、前記縮小瞳領域におけるx座標の値の平均値とy座標の値の平均値とすることができる。つまり、前記算出されたx座標の値の平均値を前記縮小瞳領域の重心の座標におけるx座標の値とすることが、また、前記算出されたy座標の値の平均値を前記縮小瞳領域の重心の座標におけるy座標の値とすることができる。
【0069】
前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離は、例えば、図8に示すように、前記重心の座標と前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部の各座標とのズレ量をx軸方向とy軸方向とにおいて夫々個別に算出した値とすることができる。尚、前記複数の距離は、前記重心の座標から等角度間隔で異なる方向に位置する前記縮小瞳領域の外縁部の座標と、前記重心の座標とにおける各距離とすれば、後述する前記瞳検出部51による前記瞳領域の検出が比較的精度よく実施することが可能となり好ましい。
【0070】
つまり、前記縮小瞳検出部50の動作について、図9のフローチャートに基づいて説明すると、前記縮小瞳検出部50は、上述と同様に縮小瞳領域を検出した後に(SD1)、前記縮小瞳領域におけるx座標の値の平均値とy座標の値の平均値とを算出する(SD2、SD3)。また、前記算出されたx座標の値の平均値とy座標の値の平均値を前記縮小瞳領域の重心の座標とし、前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部の座標を検出する(SD4)。例えば、前記重心の座標に対してR°間隔で360/Rの方向における前記縮小瞳領域の外縁部の各座標を検出する。
【0071】
前記縮小瞳検出部50は、前記検出された縮小瞳領域の外縁部の各座標と、前記縮小瞳領域の重心の座標との距離を検出する。つまり、前記検出された縮小瞳領域の外縁部の各座標におけるx座標の値と前記重心の座標におけるx座標の値の差と、前記各外縁部の座標におけるy座標の値と前記重心の座標におけるy座標の値の差とを算出する(SD5、SD6)。
【0072】
前記瞳検出部51は、前記メモリ37に格納されているデジタル画像が前記縮小処理部41によって縮小デジタル画像に縮小処理された縮小率に応じた拡大率に基づいて、前記縮小瞳検出部50によって検出された縮小瞳領域の重心の座標と前記複数の距離とを変換し、前記変換された重心座標から前記変換された距離だけ離れた位置に対応する各座標を算出する。また、前記算出された各座標に包囲される前記デジタル画像内の領域を特定し、前記特定された領域を瞳領域として検出するように構成されている。尚、前記拡大率は、上述と同様に前記縮小率に応じた拡大率が予め定められた構成となっている。例えば、前記縮小率が1/N倍であった場合には、前記拡大率はN倍と設定することができ、更にこのとき、前記縮小デジタル画像における縮小瞳領域の重心の座標が(xa,ya)で、前記距離が(xb,yb)であった場合には、変換された中心座標は(N・xa,N・ya)として、また、変換された距離は(N・xb,N・yb)として算出することができる。
【0073】
また、前記複数の距離が、前記重心の座標から等角度間隔で異なる方向に位置する前記縮小瞳領域の外縁部の座標と、前記重心の座標とにおける各距離となっていれば、これらを変換して得られる前記各座標が、比較的等間隔で配置されるため、前記座標等の情報量が比較的少なくても、これらの座標によって包囲される領域、つまり、瞳領域を比較的精度よく検出することができ好ましい。
【0074】
つまり、前記瞳検出部51の動作について、図10のフローチャートに基づいて説明すると、前記瞳検出部51は、前記縮小瞳検出部50により前記縮小瞳領域における前記重心の座標と前記複数の距離が検出されると(SE1)、前記メモリ37に格納されているデジタル画像が前記縮小処理部41により縮小デジタル画像に縮小処理された縮小率の確認を行い(SE2)、前記縮小デジタル画像の縮小率に応じた拡大率を求める(SE3)。
【0075】
また、前記縮小瞳領域の重心の座標と前記複数の距離とを、前記拡大率に基づいて変換し(SE4)、前記変換された重心の座標と前記複数の距離とから、前記変換された重心座標から前記変換された距離だけ離れた位置に対応する各座標を算出する(SE5)。更に、前記算出された各座標に包囲される前記デジタル画像内の領域を特定し、前記特定された領域を瞳領域として検出する(SE6)
上述では、前記縮小瞳検出部50は、前記検出した縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とを算出し、前記瞳検出部51が、前記縮小瞳領域の重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とに基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する場合について説明したが、前記縮小瞳検出部50は、前記検出した縮小瞳領域の外縁部における所定数の座標を検出し、前記瞳検出部51が、前記縮小瞳領域の外縁部における所定数の座標に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する構成としてもよい。前記拡大率に基づいて前記縮小瞳領域の外縁部の各座標を変換し、前記変換された各座標に包囲される前記デジタル画像の領域を瞳領域として検出することができる。
【0076】
また、前記瞳領域カラー補正手段46は、前記カラー補正値算出部44により算出されたカラー補正値から前記縮小瞳領域のカラーデータを生成するカラーデータ生成部を備え、前記カラー補正部45は、前記カラーデータ生成部により生成されたカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する構成としてもよい。例えば、前記カラー補正部45は、前記縮小瞳領域のカラー補正処理を行なって得られるカラーデータ、つまり、前記カラーデータ生成部により生成されるカラーデータから前記デジタル画像の瞳領域の画素数に対応するように補間カラーデータを生成し、前記デジタル画像の瞳領域のカラーデータと、前記補間カラーデータを含む前記縮小瞳領域のカラー補正処理を行なったカラーデータとを置き換える置換処理を行なえばよい。尚、前記補間カラーデータは、例えば、最近隣内挿法や共1次内挿法、3次たたみ込み内挿法(バイキュービック)等を用いて生成することができる。
【0077】
また、前記カラー補正部45は、所定の座標または前記所定の座標と所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する構成としてもよい。例えば、前記所定の座標を前記縮小瞳領域検出部により検出された縮小瞳領域を円領域に近似した中心座標とし、前記所定の大きさを前記円領域の半径とし、前記所定の座標と所定の大きさとから得られる座標を前記円領域の円周部に相当する座標とすることができる。また或いは、前記所定の座標を前記縮小瞳領域検出部により検出された縮小瞳領域の重心の座標とし、前記所定の大きさを前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離とし、前記所定の座標と所定の大きさとから得られる座標を前記重心の座標に対して所定の角度方向に位置する前記縮小瞳領域の外縁部の座標とすることができる。更には、前記所定の座標を前記所定の座標を前記縮小瞳領域検出部により検出された縮小瞳領域の外縁部の座標としてもよい。何れにしても、適宜、補間カラーデータを生成し、前記デジタル画像の瞳領域のカラーデータと、前記補間カラーデータを含む前記縮小瞳領域のカラー補正処理を行なったカラーデータとを置き換える置換処理を行なえばよい。
【0078】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】デジタル画像の瞳領域におけるカラー補正処理にかかる機能ブロック構成の説明図
【図2】写真処理装置の外観構成の説明図
【図3】写真プリンタの概観構成の説明図
【図4】縮小デジタル画像に対する矩形領域の指定方法の説明図
【図5】縮小瞳検出部の動作について説明するためのフローチャート
【図6】瞳検出部の動作について説明するためのフローチャート
【図7】デジタル画像の瞳領域におけるカラー補正処理の動作について説明するためのフローチャート
【図8】重心の座標と、前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離との説明図
【図9】別実施形態における縮小瞳検出部の動作について説明するためのフローチャート
【図10】別実施形態における瞳検出部の動作について説明するためのフローチャート
【図11】デジタル画像を縮小デジタル画像に変換するための縮小処理の説明図
【符号の説明】
【0080】
1:写真処理装置
2:写真プリンタ
3:操作ステーション
31:フィルムスキャナ
32:メディアドライバ
33:コントローラ
34:モニタ
35:キーボード
36:モニタ
37:メモリ
38:GUI
39:瞳補正処理部
40:瞳領域検出手段
41:縮小処理部
42、50:縮小瞳検出部
43、51:瞳検出部
44:カラー補正値算出部
45:カラー補正部
46:瞳領域カラー補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された画像を読取るデジタル画像入力手段と、前記デジタル画像入力手段により読み取られたデジタル画像から被写体の瞳領域を検出する瞳領域検出手段と、前記瞳領域検出手段により検出されたデジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する瞳領域カラー補正手段とを備えた瞳補正処理装置であって、
前記瞳領域検出手段は、前記デジタル画像を縮小した縮小デジタル画像に縮小処理する縮小処理部と、前記縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域を検出する縮小瞳検出部と、前記縮小瞳領域に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する瞳検出部とを備える瞳補正処理装置。
【請求項2】
前記縮小瞳検出部は、前記検出した縮小瞳領域に対応する所定の座標または所定の大きさを検出し、前記瞳検出部は、前記検出された所定の座標または所定の大きさに基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する請求項1に記載の瞳補正処理装置。
【請求項3】
前記所定の座標が前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における中心の座標であり、前記所定の大きさが前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における半径である請求項2に記載のデジタル画像の瞳補正処理装置。
【請求項4】
前記所定の座標が前記縮小瞳領域の重心の座標であり、前記所定の大きさが前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離である請求項2に記載の瞳補正処理装置。
【請求項5】
前記所定の座標が前記縮小瞳領域の外縁座標である請求項2に記載の瞳補正処理装置。
【請求項6】
前記瞳領域カラー補正手段は、前記縮小瞳検出部により検出された縮小瞳領域に対するカラー補正値を算出するカラー補正値算出部と、前記カラー補正値算出部により算出されたカラー補正値に基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理するカラー補正部とを備える請求項2から5の何れかに記載の瞳補正処理装置。
【請求項7】
前記瞳領域カラー補正手段は、前記カラー補正値算出部により算出されたカラー補正値から前記縮小瞳領域のカラーデータを生成するカラーデータ生成部を備え、前記カラー補正部は、前記カラーデータ生成部により生成されたカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する請求項6に記載の瞳補正処理装置。
【請求項8】
前記カラー補正部は、前記所定の座標または前記所定の座標と前記所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する請求項7に記載の瞳補正処理装置。
【請求項9】
記録媒体に記録された画像を読取るデジタル画像入力ステップと、前記デジタル画像入力ステップにより読み取られたデジタル画像から被写体の瞳領域を検出する瞳領域検出ステップと、前記瞳領域検出手段により検出されたデジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する瞳領域カラー補正ステップとからなる瞳補正処理方法であって、
前記瞳領域検出ステップは、前記デジタル画像を縮小した縮小デジタル画像に縮小処理する縮小処理ステップと、前記縮小デジタル画像の瞳領域である縮小瞳領域を検出する縮小瞳検出ステップと、前記縮小瞳領域に基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する瞳検出ステップとからなる瞳補正処理方法。
【請求項10】
前記縮小瞳検出ステップは、前記検出した縮小瞳領域に対応する所定の座標または所定の大きさを検出し、前記瞳検出ステップは、前記検出された所定の座標または所定の大きさに基づいて前記デジタル画像の瞳領域を検出する請求項9に記載の瞳補正処理方法。
【請求項11】
前記所定の座標が前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における中心の座標であり、前記所定の大きさが前記縮小瞳領域を円領域に近似した場合における半径である請求項10に記載の瞳補正処理方法。
【請求項12】
前記所定の座標が前記縮小瞳領域の重心の座標であり、前記所定の大きさが前記重心の座標から前記重心の座標に対して所定の角度方向における前記縮小瞳領域の外縁部までの複数の距離である請求項10に記載の瞳補正処理方法。
【請求項13】
前記所定の座標が前記縮小瞳領域の外縁座標である請求項10に記載の瞳補正処理方法。
【請求項14】
前記瞳領域カラー補正ステップは、前記縮小瞳検出ステップにより検出された縮小瞳領域に対するカラー補正値を算出するカラー補正値算出ステップと、前記カラー補正値算出ステップにより算出されたカラー補正値に基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理するカラー補正ステップとからなる請求項10から13の何れかに記載の瞳補正処理方法。
【請求項15】
前記瞳領域カラー補正ステップは、前記カラー補正値算出ステップにより算出されたカラー補正値から前記縮小瞳領域のカラーデータを生成するカラーデータ生成ステップを備え、前記カラー補正ステップは、前記カラーデータ生成ステップにより生成されたカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する請求項14に記載の瞳補正処理方法。
【請求項16】
前記カラー補正ステップは、前記所定の座標または前記所定の座標と前記所定の大きさとから得られる座標におけるカラーデータに基づいて前記デジタル画像の瞳領域に対してカラー補正処理する請求項15に記載の瞳補正処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−301981(P2006−301981A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123060(P2005−123060)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】