説明

知育玩具

【課題】乳幼児が楽しみながら学習できるものであって、知育可能な知育モードの量が多く、長い期間飽きがこない知育玩具を提供する。
【解決手段】知育玩具1は、台座部2と、当該台座部2に開閉可能に接続された上蓋3と、基本知育モードで用いる基本シート18と、知育内容を変更する複数の交換シート19とを有し、台座部2は、方形状の薄板であって縦横等間隔に複数のセンサを備え上方に基本シート18及び交換シート19が敷設される操作パネル11と、交換シート19の種類を判別するシート判別装置56とを有し、上蓋3は、液晶表示装置53と、学習モード切替ボタンと、音声出力装置53とを有し、基本シート18或いは交換シート19上の所定の位置が押されると、押された位置に対応した画像を液晶表示装置53に表示すると共に音声を音声出力装置53から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、幼児教育が注目されており、これに伴い、幼児が楽しみながら学習できる知育玩具について様々な提案がなされている。例えば、特開2001−194986号公報(特許文献1)では、手書きで文字を入力した場合、文字と対応する音声が出力され、これにより、乳幼児が、書いた文字と音声とを同時に覚えることができる知育玩具が提案されている。
【特許文献1】特開2001−194986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の乳幼児を対象とする知育玩具では、知育可能な知育モードの量が少なく、ひらがな、カタカナ、数字を表示してそのまま書き順等を覚えさせる程度であり、乳幼児が知育を開始しても単語や文字を繰り返す程度で楽しんで覚えることができなかった。又、書き順練習のときも別に紙を用意する必要がある場合があった。このため、乳幼児の飽きが早く、長い期間使用できるものではなかった。
【0004】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、乳幼児が楽しみながら学習できるものであって、知育可能な知育内容の量が多く、長い期間飽きがこない知育玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の知育玩具(1)は、台座部(2)と、当該台座部(2)に開閉可能に接続された上蓋(3)と、基本知育モードで用いる基本シート(18)と、知育内容を変更する複数の交換シート(19)とを有し、台座部(2)は、方形状の薄板であって縦横等間隔に複数のセンサを備え上方に基本シート(18)及び交換シート(19)が敷設される操作パネル(11)と、交換シート(19)の種類を判別するシート判別装置(56)とを有し、上蓋(3)は、液晶表示装置(53)と、学習モード切替ボタンと、音声出力装置(54)とを有し、基本シート(18)或いは交換シート(19)上の所定の位置が押されると、押された位置に対応した画像を液晶表示装置(53)に表示すると共に音声を音声出力装置(54)から出力することを特徴とするものである。
【0006】
又、台座部(2)は、正面に交換シート(19)を収納する摺動可能な交換シート収納部(7)を備え、更に、操作パネル(11)の周縁端部の上部から台座部(2)の外周縁にかけて縁枠(12)を有し、当該縁枠(12)と操作パネル(11)の周縁端部との間にシート挿嵌部(20)となる間隙を備え、シート判別装置(56)は、当該シート挿嵌部(20)の所定の位置に設置され、又、台座部(2)は、音声出力装置(54)から出力される音声の音量を調節する音量スイッチ(14)を備えているものである。
【0007】
更に、液晶表示装置(53)は、照明装置を備えており、この照明装置から射出される光の光量を変更する光量変更装置を備えているものである。
【0008】
又、学習モード切替ボタンは、液晶表示装置(53)に表示された画像及び音声出力装置(54)から出力された音声を繰り返すリピート再生ボタン(23)と、液晶表示装置(53)に表示された表示及び音声出力装置(54)から出力された音声をゆっくりと繰り返すスロー再生ボタン(24)と、基本シート(18)或いは基本シート(18)上に敷設された交換シート(19)の知育内容から所定の問題を出題するクイズボタン(25)とを備えているものである。
【0009】
そして、複数の交換シート(19)は、各交換シート(19)の種類を表す固有の通電印刷部(35)を備え、シート判別装置(56)は、当該通電印刷部(35)から交換シート(19)の種類を識別するものである。又、交換シート(19)は水性ペン(8)により書かれた文字を容易に消せる樹脂によって覆われており、シート挿嵌部(20)に着脱自在に挿嵌されるものである。
【0010】
又、基本シート(18)、交換シート(19)、台座部(2)及び上蓋(3)は乳幼児に人気のあるキャラクターの模型や画を備え、音声出力装置(54)から出力される声は当該キャラクターの声であり、液晶表示装置(53)に表示される画像は当該キャラクターの画像である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乳幼児が楽しみながら学習できるものであって、知育可能な知育モードの量が多く、長い期間飽きがこない知育玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態の知育玩具1は、台座部2と、当該台座部2に開閉可能に接続された上蓋3と、基本知育モードで用いる基本シート18と、知育内容を変更する複数の交換シート19とを有するものであり、この台座部2は、方形状の薄板であって縦横等間隔に複数のセンサを備え上方に基本シート18及び交換シート19が敷設される操作パネル11と、交換シート19の種類を判別するシート判別装置56とを有し、上蓋3は、液晶表示装置53と、学習モード切替ボタンと、音声出力装置54とを有し、基本シート18或いは交換シート19上の所定の位置が押されると、押された位置に対応した画像を液晶表示装置53に表示すると共に音声を音声出力装置54から出力するものである。
【0013】
又、台座部2は、正面に交換シート19を収納する摺動可能な交換シート収納部7を備え、更に、操作パネル11の周縁端部の上部から台座部2の外周縁にかけて縁枠12を有し、当該縁枠12と操作パネル11の周縁端部との間にシート挿嵌部20となる間隙を備え、シート判別装置56は、当該シート挿嵌部20の所定の位置に設置され、又、台座部2は、音声出力装置54から出力される音声の音量を調節する音量スイッチ14を備えているものである。
【0014】
更に、液晶表示装置53は、照明装置を備えており、この照明装置から射出される光の光量を変更する光量変更装置を備えているものである。
【0015】
又、学習モード切替ボタンは、液晶表示装置53に表示された画像及び音声出力装置54から出力された音声を繰り返すリピート再生ボタン23と、液晶表示装置53に表示された表示及び音声出力装置54から出力された音声をゆっくりと繰り返すスロー再生ボタン24と、基本シート18或いは基本シート18上に敷設された交換シート19の知育内容から所定の問題を出題するクイズボタン25とを備えているものである。
【0016】
そして、複数の交換シート19は、各交換シート19の種類を表す固有の通電印刷部35を備え、シート判別装置56は、当該通電印刷部35から交換シート19の種類を識別するものである。又、交換シート19は水性ペン8により書かれた文字を容易に消せる樹脂によって覆われており、シート挿嵌部20に着脱自在に挿嵌されるものである。
【0017】
又、基本シート18、交換シート19、台座部2及び上蓋3は乳幼児に人気のあるキャラクターの模型や画を備え、音声出力装置54から出力される声は当該キャラクターの声であり、液晶表示装置53に表示される画像は当該キャラクターの画像である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例に係る知育玩具を図に基づいて詳説する。本発明の知育玩具は、乳幼児がひらがな、カタカナ、数字、アルファベットを楽しんで学べる玩具であり、図1に示すように、厚肉中空の略直方体形状であって内部に各種制御機器や電池等を内蔵した台座部2と、台座部2と略同一の形状であって台座部2の後方にヒンジ4で回動可能に接続された上蓋3とを備え、上蓋3を開いて使用するものである。
【0019】
この台座部2は、上面の後方端部近傍の所定の2カ所に垂直方向に突出するように形成された2つのヒンジ4と、背面の所定の位置から後方に向かって突出するように形成された知育玩具1を運ぶときに取っ手となる把持部6とを備え、更に、正面には後述する複数枚の交換シート19が収納される引き出し形状の交換シート収納部7を備えている。
【0020】
そして、図2に示すように、台座部2は、上面の中央から外周縁近傍にかけて操作パネル11を備え、操作パネル11の周縁端部の上部から台座部2の外周縁にかけて縁枠12を有し、当該縁枠12と操作パネル11の周縁端部との間にシート挿嵌部20となる間隙を備え、この操作パネル11上には基本シート18が敷設され、上面右後方の角部近傍には電源スイッチ13を有し、左後方の角部近傍には音量を3段階で調節する音量スイッチ14を備えるものである。又、縁枠12の左側端部近傍には水性ペン8を収納するペン収納部15が形成され、縁枠12の正面中央近傍には後述する開閉ボタン5の端部が貫通する係止孔17が形成されているものである。更に、シート挿嵌部20の右正面近傍には後述する交換シート19の種類を識別するためのシート判別装置56を備えるものである。
【0021】
この操作パネル11は、方形状の薄板であって縦横等間隔に複数のセンサ部を備えたタッチパネルセンサ等を用いたものであり、遊戯者が操作パネル11の所定の場所を触れると、この触れられた場所をセンサが感知して触れられた場所の位置情報信号を生成するものである。
【0022】
又、基本シート18は、後述する交換シート19が基本シート18上に敷設されていない状態である基本知育モード時に使用するものであり、図3に示すように、方形状の基本枠31をひらがなの51音分である51マス備え、この基本枠31は、下方にひらがなの一文字が印刷されたひらがな領域32を備え、このひらがな領域32の上方にひらがな領域32に印刷されたひらがなを含む単語及び当該単語と関連する絵が印刷された単語領域33とを備えている。例えば、ひらがな領域32に「い」が記載されているとすれば単語領域33には「いちご」という文字と苺の絵が記載されており、この「いちご」の文字の中でひらがな領域32に記載されているひらがな「い」の部分を丸等で囲むことで強調して記載されているものである。
【0023】
そして、上蓋3は、図1及び図2に示したように、開蓋状態の時に上方に位置する面である上面中央の位置に開閉ボタン5を備えており、この開閉ボタン5の端部は、上蓋3が閉蓋状態の時、台座部2の正面近傍の上面に形成された係止孔17を貫装し、後述する交換シート収納部7の正面端部近傍の上面に形成された係止溝71と係止すものである。つまり閉蓋状態の時には、台座部2と上蓋3が開閉ボタン5により固定された状態となると共に、交換シート収納部7も係止した状態となり、上蓋3が閉蓋状態の時に把持部6を把持して正面を下方に向けて持ち上げた場合でも、上蓋3が開くことを防止できると共に、交換シート収納部7が下側に摺動して開くことも防止できるものである。
【0024】
又、上蓋3は、閉蓋状態時に台座部2の上面と対向する面である正面略中央部には濃度調節機能や照明機能を備えた液晶表示装置53を有し、更に、正面の下方近傍には学習モード切替ボタンとする右側から順にリピート再生ボタン23、スロー再生ボタン24、クイズボタン25を備え、液晶表示装置53の両側端近傍には、液晶表示装置53に表示された画像の濃度を調節する濃度調節ボタン26と、液晶表示装置53の内部から明かりをともす照明ボタン27とを備え、更に、液晶表示装置53の右側端部近傍には、音声出力装置54を備えるものである。
【0025】
尚、学習モードとは学習モード切替ボタンを押すことによって変更されるものであり、リピート再生ボタン23を押すことによって始まるリピート再生モード、スロー再生ボタン24を押すことによって始まるスロー再生モード、クイズボタン25を押すことによって始まるクイズモードがある。
【0026】
この濃度調節ボタン26は、三段階の濃度調節機能を備えており、押されると現在の濃度よりも一段階濃い濃度で表示するか、又は、最も濃い濃度で既に表示されている場合には、最も薄い濃度での表示に切替えるものである。又、照明ボタン27は、押されると液晶表示装置53の内部から照明が点灯し、もう一度照明ボタン27が押されると最初の照明より光量が少ない照明となり、更にもう一度押されると照明が消えるものである。
【0027】
更に、上蓋3は、正面にキャラクターの絵や模型等を備えており、これらの絵や模型が上蓋3の備える液晶表示装置53や学習モード切替ボタン等を抱えているような外観となっている。このような外観とすることで、知育玩具1を使用する乳幼児が好きなキャラクターと遊んでいる感覚で学習でき、遊び感覚で知育が可能となるものである。
【0028】
又、交換シート収納部7は、上面開口の箱形形状であり、正面側の短辺上部には交換シート収納部7を引き出す時に指をかけるための取っ手部72を備え、この取っ手部72の上部中央には開閉ボタン5の端部が係止する係止溝71が形成されており、この交換シート収納部7には知育内容を変更するための複数枚の交換シート19が収納されている。
【0029】
この交換シート19は、シート挿嵌部20に挿嵌して使用するものであって、表裏両面に様々な知育モードを構成する印刷がなされており、図4に示すように、交換シート19の種類をシート判別装置56に識別させるための通電印刷部35を備えるものである。この通電印刷部35は、交換シート19の表裏両面の同位置に異なる印刷パターンで印刷されているものであり、交換シート19をシート挿嵌部20に挿嵌した場合、交換シート19の裏面側に印刷された通電印刷部35近傍がシート判別装置56と縁枠12の間に位置し、この裏面側の通電印刷部35がシート判別装置56と接触することとなる。そして、この通電印刷部35がシート判別装置56と接触すると、シート判別装置56は通電印刷部35の印刷パターンから交換シート19の種類を識別するものである。
【0030】
更に、この交換シート19は、樹脂製の透明シートによって覆われており、備え付けのイレーサーを頭部に備えた水性ペン8で交換シート19に直接書き込みをしても、容易に消すことができるようになっている。このように、直接書き込みができることによって乳幼児が目と耳と手で同時に文字等を覚えることが可能となる。又、交換シート19に記載されている知育内容としては、カタカナ50音表やアルファベット表、或いは、あ行〜ら行までの練習表等様々な種類がある。
【0031】
次に、知育玩具1の制御機構について述べる。本実施例の知育玩具1は、図5に示すように、各種の処理を制御する制御装置51と、知育玩具の様々なデータを記憶している記憶装置52と、制御装置51から送信される画像データを受信して画像を表示する液晶表示装置53と、制御装置51から送信される音声データを受信して音声を出力する音声出力装置54と、入力時に用いる操作パネル11、電源スイッチ13、音量スイッチ14、学習モード切替ボタン23〜25、濃度調節ボタン26、照明ボタン27等の入力装置55と、交換シート19の種類を識別するシート判別装置56とを備えるものである。
【0032】
これらの制御機構の動作について述べる。図6のフローチャートに示すように、電源スイッチ13がONになると、制御装置51は、記憶装置52から開始時に実行する開始データを読み込み液晶表示装置53及び音声出力装置54にこの開始データを送信し、液晶表示装置53に知育開始の旨を表示させ、音声出力装置54には知育開始の音声を出力させる開始処理を実行する(ステップS105)。
【0033】
開始処理(ステップS105)の後、シート判別装置56は、交換シート19が設置されているかを判定するシート判定処理を実行し(ステップS110)、シート判定処理(ステップS110)において交換シート19が設置されていない場合には、制御装置51に交換シート19無しの信号を送信する。シート判別装置56から交換シート19無しの信号を受信した制御装置51は、記憶装置52から基本知育モード開始データを読み込み、液晶表示装置53及び音声出力装置54にこの基本知育モード開始データを送信し、液晶表示装置53に基本知育モード開始の旨を表示させる基本知育モード開始処理を実行する(ステップS115)。
【0034】
尚、シート判定処理(ステップS110)において、交換シート19が設置されていた場合には、シート判別装置56は、交換シート19の種類を識別できるか判定するシート識別処理を実行し(ステップS120)、交換シート19の種類が識別可能な場合は交換シート19の種類を表す信号を制御装置51に送信する。シート判別装置56から交換シート19の種類を表す信号を受信した制御装置51は、交換シート19の種類に対応した変更知育モード開始データを記憶装置52から読み込み、液晶表示装置53及び音声出力装置54にこの変更知育モード開始データを送信し、液晶表示装置53に変更知育モードの表示をさせ、音声出力装置54には変更知育モード開始の音声を出力させる変更知育モード開始処理を実行する(ステップS125)。
【0035】
又、シート識別処理(ステップS120)において、交換シート19の種類を識別できない場合には、シート判別装置56は交換シート19の種類を識別できない旨の信号を制御装置51に送信し、シート判別装置56から交換シート19の種類を識別できない旨の信号を受信した制御装置51は、記憶装置52からエラーデータを読み込み、音声出力装置54にエラーデータを送信し、音声出力装置54にエラー音を出力させるエラー音出力処理を実行する(ステップS130)。
【0036】
基本モード開始処理(ステップS115)及び変更モード開始処理(ステップS125)を実行した後、入力装置55は、入力装置55を操作されたか判定する入力判定処理を実行し(ステップS135)、入力判定処理(ステップS135)において入力が判定できた場合は、その入力内容の入力信号を制御装置51に送信し、入力信号を受信した制御装置51は、記憶装置52から現在の知育モードにおいて入力信号に対応する出力データを読み込み、液晶表示装置53及び音声出力装置54にこの出力データを送信し、液晶表示装置53に出力データに対応する画像を表示させ、音声出力装置54には出力データに対応する音声を出力させる音声出力表示処理を実行し(ステップS140)、再び入力判定処理(ステップS135)に戻る。尚、入力判定処理(ステップS135)において、入力が判定できない場合には所定時間待機した後、電源をOFFにする。
【0037】
次に、電源スイッチ13がON状態の時に基本シート18条に交換シート19を敷設した場合又は現在の交換シート19を他の交換シート19に交換した場合について述べる。図7に示すように、交換シート19をセットすると(ステップS201)、シート判別装置56は、交換シート19の種類を識別できるか判定するシート識別処理を実行し(ステップS210)、交換シート19の種類が識別可能な場合は交換シート19の種類を表すシート種別信号を制御装置51に送信する。
【0038】
シート判別装置56からシート種別信号を受信した制御装置51は、交換シート19の種類に対応した変更知育モード開始データを記憶装置52から読み込み、液晶表示装置53及び音声出力装置54にこの変更知育モード開始データを送信し、液晶表示装置53に変更知育モード開始の旨を表示させ、音声出力装置54には変更知育モード開始の音声を出力させる変更知育モード処理を実行する(ステップS220)。そして、変更後の交換シート19に対応した知育モードを実行する。
【0039】
尚、シート識別処理(ステップS210)において、シートの種類を識別できなかった場合には、シート判別装置56は交換シート19の種類を識別できない旨の信号を制御装置51に送信し、シート判別装置56から交換シート19の種類を識別できない旨の信号を受信した制御装置51は、記憶装置52からエラーデータを読み込み音声出力装置54にエラーデータを送信し、音声出力装置54にエラー音を出力させるエラー音出力処理を実行する(ステップS230)。
【0040】
次に、各処理における知育玩具の具体的な動作について述べる。開始処理(ステップS105)においては、「あいうえおきょうしつ」といった文字とキャラクターが液晶表示装置53に表示され、音楽と共にキャラクターの「僕と一緒にあいうえおを勉強しようね」という声が音声出力装置54から流れる。
【0041】
そして、交換シート19が操作パネル11にセットされていない場合である基本知育モード開始処理(ステップS115)においては、液晶表示装置53に「あいうえおごじゅうおんひょう」といった文字とキャラクターが表示がされ、交換シート19が操作パネル11にセットされている場合である変更知育モード開始処理(ステップS125)においては、例えば、交換シート19がアルファベット表であった場合、液晶表示装置53に「あるふぁべっとひょう」という文字とキャラクターが表示され、音楽と共にキャラクターの「アルファベットを覚えよう」といったキャラクターの声が音声出力装置54から流れる。尚、シート判別装置56が交換シート19の種類を識別できない場合には、「ブーブー」といった音が音声出力装置54から流れる。
【0042】
又、基本知育モードにおける音声出力表示処理(ステップS140)は、例えば乳幼児が基本シート18のひらがな領域32の「あ」を指で押すと、音声出力装置54から「あ」というキャラクターの声が流れ、図8(a)に示すように、液晶表示装置53に「あ」という文字を白抜きした表示がされる。そして、図8(b)に示すように、音楽と共に「あ」の書き順通りに白抜きした部分が徐々に黒く染まっていき、ひらがなを書き終わると再度キャラクターの「あ」という声が流れ終了する。又、例えば、基本シート18に記載された単語領域33の「あり」を押した場合には、音声出力装置54から「あり」というキャラクターの声が流れ、蟻の絵が液晶表示装置53に表示される。
【0043】
一方、交換シート19が操作パネル11上にセットされている場合、又は、セットした場合には、交換シート19の種類をシート判別装置56で判別し(ステップS120、ステップS210)、当該交換シート19の種類に応じた音声が流れ、液晶表示装置53には交換シート19のシート名が表示される。このシート名は、例えばアルファベット小文字シートだった場合は、「アルファベットこもじ」といったような表示がなされるものである。そして、この交換シート19の種類に応じて操作パネル11を押したときの音声や液晶表示装置53の表示も変化するものである。
【0044】
次に、学習モード切替ボタンを押した場合について述べる。乳幼児がリピート再生ボタン23を押すと学習モードがリピート再生モードとなり、リピート再生ボタン23を押す直前に乳幼児が基本シート18或いは交換シート19を押したことにより出力及び表示された単語又は文字と対応する音声及び画像を音声出力装置54及び液晶表示装置53から出力するものである。このリピート再生ボタン23を押すことにより、乳幼児は同じ単語及び文字を反復して聞くこと及び見ることが可能となり反復学習となるため学習効果が高くなる。
【0045】
スロー再生ボタン24を押した場合には学習モードがスロー再生モードとなり、スロー再生ボタン24を押す前に押した基本シート18或いは交換シート19を押した単語又は文字と対応する音声及び画像を音声出力装置54及び液晶表示装置53からゆっくりと出力する。例えば、図4に示す「や行練習シート」がセットされている場合において、「や」を乳幼児が押した後にスロー再生ボタン24を押した場合、「や」の書き順がゆっくりと液晶表示装置53に表示され、乳幼児はこの表示を追いかけるように交換シート19の書き順練習領域に水性ペン8で「や」の字を書き込む学習ができ、通常の早さで再生された場合には表示された書き順を追いかけて書き込むことができなかったような乳幼児でも余裕を持って書き順練習が可能となる。又、書き終わった場合や書き誤った場合は水性ペン8に取付けられているイレーサーにより書いた文字を消し、何度でも同じシートで書き順等の学習を行うことができる。
【0046】
そして、クイズボタン25を押した場合には学習モードがクイズモードとなり、基本シート18又は交換シート19の種類に対応した所定のクイズを出題し、乳幼児の解答が正しかった場合には正解音である「ピンポーン」という音の後で、キャラクター等による「正解だよ。凄いね。」といったような乳幼児を褒める音声が出力され、その後新しい問題が出力される。又、乳幼児が解答を間違った場合には不正解音である「ブー」という音の後にキャラクター等による「違うよ。がんばれがんばれ。」といった音声が出力され、乳幼児が正解するまで続けられる。尚、クイズボタン25をもう一度押すとクイズモードが終了する。
【0047】
例えば、基本知育モードの場合にクイズボタン25を押すと、キャラクターの声で「おりがみ」という音声が流れ、続いて「おりがみを押してね」という音声が流れる。乳幼児が基本シート18上の「おりがみ」と記載された箇所を押すと、上述したように、「ピンポーン」「正解だよ。凄いね。」という音声が流れ、液晶表示装置53にはおりがみの絵が表示される。又、不正解だった場合には、「ブー」「違うよ。がんばれがんばれ。」という音声が流れ、乳幼児が正解するまで繰り返す。そして、正解した後はキャラクターの声で「次の問題だよ」という音声が流れ、次のクイズへと移行するものである。
【0048】
本実施例の知育玩具によれば、乳幼児が楽しんで学習できるようになり、交換シート19により数多くの知育モードで学習ができるため、飽きの来ない知育玩具を提供できる。又、液晶表示装置53が濃度調節機能や照明機能を有しているため、見やすい画像を提供することができ、乳幼児の目の負担も易しい知育玩具1を提供できる。更に、学習モード切替ボタンによって、学習モードを切替えることができるため、反復学習、書き順学習、復習等ができ、乳幼児の学習効果が高い知育玩具1が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の知育玩具に係る斜視図。
【図2】本発明の知育玩具に係る開蓋状態時の斜視図。
【図3】本発明の基本シートを説明する図。
【図4】本発明の交換シートを説明する図。
【図5】本発明の知育玩具の機能ブロック図。
【図6】本発明の知育玩具の動作を説明するフローチャート図。
【図7】交換シートをセットした場合における知育玩具の動作を説明するフローチャート図。
【図8】液晶表示装置の表示の例を示す図。
【符号の説明】
【0050】
1 知育玩具 2 台座部
3 上蓋 4 ヒンジ
5 開閉ボタン 6 把持部
7 交換シート収納部 8 水性ペン
11 操作パネル 12 縁枠
13 電源スイッチ 14 音量スイッチ
15 ペン収納部 17 係止孔
18 基本シート 19 交換シート
20 シート挿嵌部
23 リピート再生ボタン 24 スロー再生ボタン
25 クイズボタン 26 濃度調節ボタン
27 照明ボタン 31 基本枠
32 ひらがな領域 33 単語領域
35 通電印刷部 51 制御装置
52 記憶装置 53 液晶表示装置
54 音声出力装置 55 入力装置
56 シート判別装置 71 係止溝
72 取っ手部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、
当該台座部に開閉可能に接続された上蓋と、
基本知育モードで用いる基本シートと、
知育内容を変更する複数の交換シートとを有し、
前記台座部は、
方形状の薄板であって縦横等間隔に複数のセンサを備え上方に前記基本シート及び交換シートが敷設される操作パネルと、
前記交換シートの種類を判別するシート判別装置とを有し、
前記上蓋は、
液晶表示装置と、
学習モード切替ボタンと、
音声出力装置とを有し、
前記基本シート或いは交換シート上の所定の位置が押されると、押された位置に対応した画像を前記液晶表示装置に表示すると共に音声を音声出力装置から出力することを特徴とする知育玩具。
【請求項2】
前記台座部は、正面に交換シートを収納する摺動可能な交換シート収納部を有していることを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項3】
前記台座部は、前記操作パネルの周縁端部の上部から台座部の外周縁にかけて縁枠を有し、当該縁枠と操作パネルの周縁端部との間にシート挿嵌部となる間隙を備え、
前記シート判別装置は、当該シート挿嵌部の所定の位置に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の知育玩具。
【請求項4】
前記台座部は、音声出力装置から出力される音声の音量を調節する音量スイッチを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の知育玩具。
【請求項5】
前記液晶表示装置は、照明装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の知育玩具。
【請求項6】
前記液晶表示装置は、前記照明装置から射出される光の光量を変更する光量変更装置を備えていることを特徴とする請求項5に記載の知育玩具。
【請求項7】
前記学習モード切替ボタンは、
前記液晶表示装置に表示された画像及び音声出力装置から出力された音声を繰り返すリピート再生ボタンと、
前記液晶表示装置に表示された画像及び音声出力装置から出力された音声をゆっくりと繰り返すスロー再生ボタンと、
前記基本シート或いは基本シート上に敷設された交換シートの知育内容から所定の問題を出題するクイズボタンとを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の知育玩具。
【請求項8】
前記複数の交換シートは、各交換シートの種類を表す固有の通電印刷部を備え、
前記シート判別装置は、当該通電印刷部から交換シートの種類を識別することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の知育玩具。
【請求項9】
前記交換シートは、水性ペンにより書かれた文字を容易に消せる樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項1又は請求項8のいずれかに記載の知育玩具。
【請求項10】
前記交換シートは、前記シート挿嵌部に着脱自在に挿嵌されることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれかに記載の知育玩具。
【請求項11】
前記基本シート、交換シート、台座部及び上蓋は乳幼児に人気のあるキャラクターの模型や画を備え、前記音声出力装置から出力される声は当該キャラクターの声であり、前記液晶表示装置に表示される画像は当該キャラクターの画像であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の知育玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−212240(P2008−212240A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50680(P2007−50680)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(399012929)株式会社アガツマ (26)
【Fターム(参考)】