説明

石膏ウォールボード用の改良された紙

石膏ウォールボードの製造に有用な紙を接着剤で表面処理して湿潤プラスターに対する紙の接着親和性を改良し、それによってデンプンをほとんど又は全く加えない、そして水の量も削減された石膏ウォールボードの製造を可能にする。表面処理接着剤、紙の加工法及び該紙を含有するウォールボードについても記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,325号の利益を主張し、前記出願特許の全文を引用によって本明細書に援用する。
発明の分野
本発明は、石膏ウォールボードの製造における添加剤として有用な組成物に関する。これによってデンプン結合剤をほとんど又は全く使用せずにウォールボードの製造が可能となる。本発明はまた、該添加剤で処理された紙、並びに先行技術の方法と比べて必要とされる乾燥エネルギー量が著しく削減された石膏ウォールボードの製造法にも関する。更に詳しくは、本発明は、湿潤プラスターに対する接着親和性が改良された石膏ウォールボードの紙成分の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
石膏ウォールボード工業では、内部の石膏プラスター芯を挟む2枚の重カリパス紙(heavy caliper paper)の外部層との間に効果的な接着結合が確保されるように考案された方法によってウォールボードを製造している。業界では伝統的に大量のデンプン結合剤をプラスター芯に添加して紙の外被への接着を促進している。業界では大過剰の水もプラスターに加えて、2枚の紙層間のプラスターの乾燥中に過剰の水が湿潤プラスターから紙の中にデンプン結合剤を伴って移動し、プラスターと紙表面との接着を確立できるようにしている。しかしながら、そのような方法は、石膏プラスター芯からの過剰水を移動及び蒸発させるのに要する乾燥エネルギーの量のために高度にエネルギー集約的である。
【0003】
石膏ウォールボード製造業者にとって乾燥コストが実質的に増大しているため、ウォールボードの製造に使用される水の量を削減することに関しては一般的な産業ニーズがある。プラスター対水の比率の削減は、ひいては高強度のウォールボードが得られる本発明を用いて達成可能であることも明白である。石膏ウォールボードの製造工程に紙の表面処理を含めることによって達成されるこの強度増強は、所望により、より強く低密度のウォールボード製品の製造も可能にしうる。
【発明の開示】
【0004】
湿潤プラスター芯にデンプンと高比率の水を使用することに代わる方法が実施でき、さらに紙層とプラスター芯との間に強力な接着も達成できることが思いがけず見出された。
発明の要旨
本発明は、ウォールボードの紙成分に表面処理を施した後、該紙成分を湿潤プラスターと接触させ、プラスターの紙成分への接着を増強することによる石膏ウォールボードの製造法に関する。プラスター成分は比較的少ない量の水しか使用しないが、それでもこの基板への強力な接着を形成できる。
【0005】
本発明はまた、ウォールボードの製造をデンプン結合剤をほとんど又は全く使用せずに可能とする、石膏ウォールボードの製造における添加剤として有用な組成物にも関する。本発明は該添加剤で処理された紙にも関する。
【0006】
さらに、本発明は、内部の石膏プラスター芯と、内部の石膏プラスター芯の表面に接着された少なくとも一つの処理済紙とを有し、紙シートは表面処理接着剤で処理された表面を有するウォールボードにも関する。内部の石膏プラスター芯の表面は、表面処理接着剤で処理された紙シートの表面に接着されている。
【0007】
ウォールボードに使用するための処理済紙は紙シートを含有し、該紙シートの表面は水とラテックス結合剤を含む表面処理接着剤で処理されている。表面処理接着剤は一定量の鉱物フィラーを含有していてもよい。表面処理接着剤は一定量のレオロジー改質剤、例えばセルロースエーテル又はバイオポリマー又はそれらの混合物を含有していてもよい。
【0008】
本発明の以前は、石膏と紙成分の適切な接着を確実にするために石膏ウォールボードには高レベルのデンプンと水の使用が必要とされていた。一般的に、水/プラスター比率は先行技術の実施では70/100を超えていた。本発明では水/プラスター比率は70/ 100より小さくなりうる。
【0009】
本発明は水/プラスター比率の削減を可能にするという利点を有する。従って、ウォールボードを製造するためのエネルギー所要量の削減と、低い水/プラスター比率の使用によるウォールボードの強度の改良を提供できる。そこで、本発明は改良された性質を有するウォールボードの製造を可能にする方法を提供する。
【0010】
発明の詳細な説明
石膏ウォールボードの外被の紙成分を選択された材料で表面処理すると、ウォールボード内部のプラスター芯の紙に対する接着傾向を増強できることが思いがけず見出された。この増強された接着傾向又は親和性は、ひいてはプラスター芯を低含有量の水とデンプンで形成することを可能にするので、ウォールボードの乾燥に必要なエネルギー量を削減する。ウォールボードのプラスター芯のデンプン含有量を削減又は除去する利点の一つに、得られたウォールボードは、高湿度又は微生物の成長を促進するその他の好適な環境条件に曝された場合、おそらく微生物の攻撃を受けにくくなるということが挙げられる。
【0011】
本発明は、ウォールボードの紙成分の表面処理剤として使用される表面処理接着剤に関する。この表面処理接着剤は水とラテックス結合剤を含む。表面処理接着剤はさらに好ましくは鉱物フィラーを含みうる。表面処理接着剤は所望によりレオロジー改質剤、安定剤及び保存剤のような追加の成分を含有することもできる。
【0012】
表面処理接着剤のラテックス結合剤成分は、表面処理接着剤の約1〜55重量%の範囲であるのが好適である。表面処理接着剤のラテックス結合剤成分は一般に入手可能なラテックスポリマーから選ぶことができ、エチレンポリビニルアセテート、ポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックス、スチレンブタジエン(SBR)、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂からなる群から選ばれうる。好ましくは、ラテックス結合剤成分はエチレンポリビニルアセテート又はポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックスである。
【0013】
表面処理接着剤における鉱物フィラーの使用は任意である。使用する場合、表面処理接着剤中の鉱物フィラーの比率は、一般的に表面処理接着剤の約1〜50重量%の範囲である。多種類の鉱物及び選択幅の広い粒径分布の鉱物フィラーが可能であるが、一般的には表面処理接着剤への使用にはより微細な粒径が好適である。鉱物フィラーは、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、粉砕石膏、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム、粘土、及び粉末シリカからなる群を含み得るし、それらから選ばれうる。その他の無機種も鉱物フィラーとして有用でありうる。
【0014】
レオロジー改質剤、塩、促進剤及び分散剤からなる群から選ばれるその他の水溶性種も表面処理接着剤の添加剤として、処理済紙及び得られるウォールボードのその他の性質に影響を及ぼすために使用することができる。好適なレオロジー改質剤はセルロースエーテルを含む。本発明で使用されるセルロースエーテルは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、カチオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HMHEC)、及びアニオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(アニオン性HMHEC)からなる群から選ばれうる。好適なセルロースエーテルはヒドロキシエチルセルロースを含む。
【0015】
レオロジー改質剤はバイオポリマーを含んでいてもよい。好適なバイオポリマーはキサンタンガムを含む。
本発明の一つの側面は、表面処理接着剤が、鉱物フィラーもレオロジー改質剤も含有する場合、高レベルの鉱物フィラーを有する流体混合物になることである。高レベルの鉱物フィラーとは、鉱物フィラーのレベルが表面処理接着剤の約20重量%以上、好ましくは約30重量%ということである。好適なレオロジー改質剤はHECである。別の好適なレオロジー改質剤はキサンタンガムである。なお更に好適なのはHECとキサンタンガムの混合物を含むレオロジー改質剤である。
【0016】
高レベルの鉱物フィラーを有する表面処理接着剤を製造するには、一定量の水を少量のレオロジー改質剤とまず混合し、撹拌して溶解する。レオロジー改質剤が水中に溶解したら、高レベルの鉱物フィラーをレオロジー改質剤を含有する水溶液に高速混合しながら段階的に徐々に加える。鉱物フィラーを含有する水性混合物の粘度は、各添加段階後、混合物の粘度を調整するために剪断減粘される。最後に一定量のラテックス結合剤を該混合物に加える。流体の安定な混合物が得られる。
【0017】
表面処理接着剤を製造する代替法は、一定量の水をラテックス結合剤と混合し、次いで鉱物フィラーを徐々に添加し、最後にレオロジー改質剤(一つ又は複数)に入れる。
実施の際には、上記表面処理接着剤組成物を水で固形分約2〜20重量%の作業濃度に希釈し、次いでこの混合物を紙の表面に、紙加工の分野で通常使用されている任意の機械的方法、例えば、これらに限定されないが、ドクターブレードを用いて、ロールを用いて、パドルアプリケータを用いて、又はスプレーアプリケータを用いて塗布する。表面処理接着剤組成物は、ウォールボード製造に使用される紙の両内面に塗布され、必要ではないが好ましくはその場で乾燥されて、表面処理面を有する紙が製造される。紙の処理に使用される表面処理接着剤の量は、約0.1gm/mより大、好ましくは約0.1gm/mより大〜4gm/mの範囲、好ましくは約0.1〜2gm/m、更に好ましくは約0.5〜1gm/m、なお更に好ましくは約0.2〜0.5gm/mの範囲のレベルである。表面処理接着剤組成物をこの範囲のコーティングとして塗布することにより、該表面処理接着剤組成物は、プラスターがデンプンを全く含有していないか又は標準的技法と比較して削減された量のデンプンを含有するのいずれかの場合、ウォールボードのプラスター内部芯に対する表面処理済紙層の接着親和性を促進する。
【0018】
表面処理接着剤は、表面処理面を有する紙を製造する場合、紙の多孔度に対する影響は最小限であるのが好ましい。この紙の多孔度保存はウォールボードの製造において有用である。なぜならば、湿潤プラスターを表面処理面を有する紙の処理面に塗布した後、この表面に見られる水が紙層を通して容易に蒸発できるからである。紙の多孔度の性質は、“低”に設定したHagertyポロシメーター装置を用いる“ガーレイ透気度”と呼ばれる標準試験法の手段によって測定できる。本発明の表面処理済紙の典型的なガーレイ透気度測定値は、対照の非処理ウォールボード紙に対しておよそ20秒差未満である。ワンステップの連続法が所望の場合、混合物を紙の表面に塗布し、次いで湿潤プラスターを表面処理面を有する紙に塗布する。
【0019】
表面処理面を有する紙は機械的方法によってウォールボードに加工される。すなわち、湿潤プラスター層の両面を表面処理面を有する紙の処理面と接触させて、建築用に有用なウォールボード組成物を創製する。本発明例の湿潤プラスターはデンプンを全く含有していないか又は先行技術と比べてデンプンの量が少ないのいずれかである。該湿潤プラスターはまた、標準的なウォールボードプラスター配合物と比べて削減されたレベルの水を最適に含有することにもなる。従って、最終ウォールボード組成物のデンプン成分のすべて又は一部を本発明の表面処理面を有する紙で置換することにより、新規なウォールボード組成物が創製される。
【0020】
ウォールボードの製造プロセスにおいては二段階のプロセスを想定している。すなわち、本発明の表面処理面を有する紙を予め製造し乾燥させておき、次にそれを湿潤プラスターの層と組み合わせてウォールボードを製造する。あるいは、ワンステップのプロセスも想定している。すなわち、表面処理接着剤組成物を紙表面に塗布し、紙表面が完全に乾燥する前に湿潤プラスターを表面処理面を有する紙に適用してウォールボードを製造する。
【0021】
本発明の方法によって製造されたウォールボードは、類似先行技術の方法に優るいくつかの改良点を有する。例えば、ウォールボードの製造に使用する水の量が少ないことによる強度の増強及び経済的利益である。従って、本方法は次なるステップにおいて、既存技術で現在可能なよりも著しく低い密度の、しかし許容できる規模の強度を有するウォールボード製品の製造を可能にするであろうと想定することができる。
【0022】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。該実施例は本発明を説明するために提供される。部及びパーセント数は特に明記しない限り重量による。
【実施例】
【0023】
実施例
比較例1
30重量部の量の硫酸カルシウム半水和物を70重量部の水と高剪断混合で混合した。混合して5分以内に固体ゲルが形成されたため、この組成物は表面処理接着剤として使用するのに不適切なものとなった。この混合物を表1に組成物1として示す。
比較例2
5重量部の量の硫酸カルシウム半水和物を80重量部の水と高剪断混合で混合した。混合物は一時的に非常に粘稠な状態に増粘するのが観察されたが、高剪断混合で約10分後に再分散された。次に追加量の5重量部の硫酸カルシウム半水和物をさらに高剪断混合しながら加えた。このプロセスをおよそ20重量部の硫酸カルシウム半水和物を水に添加するまで繰り返した。このようにして、硫酸カルシウム半水和物を分散混合しながら水に徐々に加えることによって石膏粒子の濃縮分散物を作製する手段が示された。この混合物は非常に粘稠で、実用性は限られている。これを表1に組成物2として示す。
【0024】
実施例1
20重量部の量のAirflex(登録商標)526 BP エチレンビニルアセテートラテックス(Air Products and Chemicals,Inc.より入手)を80重量部の水と混合した。流体の安定な分散物が得られた。この混合物を表1に組成物3として示す。
【0025】
実施例2
49.8重量部の量の水を0.2重量部のNatrosol(登録商標)250H4BXR ヒドロキシエチルセルロース(Hercules Incorporatedより入手)と混合し、撹拌して溶解した。ヒドロキシエチルセルロース(HEC)が水中に溶解したら、30重量部の硫酸カルシウム半水和物(石膏)を高速混合しながら徐々に段階的に加えた。粘度は、石膏の各逐次部分を最初にHEC水溶液に加えたときには比較的高かったが、この混合物は時間と共に剪断減粘されたので、制御可能なプロセスとみなされた。最後に20重量部のAirflex(登録商標)526 BP エチレンビニルアセテートラテックス(Air Products and Chemicals,Inc.より入手)を該混合物に加えた。流体の安定な混合物が得られた。このプロセスは、HEC成分を含有する水に硫酸カルシウム半水和物を加えることによって石膏粒子の高濃縮分散物が得られることを実証した。この組成物を表1に組成物4として示す。
【0026】
実施例3
20部の量のAirflex(登録商標)526 BP エチレンビニルアセテートラテックス(Air Products and Chemicals,Inc.より入手)を49.7部の水に加え、次いで30重量部の硫酸カルシウム半水和物を高速混合しながら徐々に段階的に加えた。カルシウム半水和物の各逐次添加に伴ってわずかな粘度上昇しか観察されなかったため、この方法は非常に容易に制御されたプロセスとされた。すべての硫酸カルシウム半水和物の添加後、0.1重量部のNatrosol(登録商標)250H4BXR HEC(Hercules Incorporatedより入手)及び0.2部のKeltrol(登録商標)RD キサンタンガム(CP Kelco Inc.より入手)をバッチの最終成分として石膏スラリーの安定剤としてこの混合物に加え、溶解した。本例では、生成物の粘度は1000cpsブルックフィールド粘度と測定され、24時間後に流体スラリーの沈降は観察されなかった。この組成物を表1に組成物5として示す。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例4
標準的なウォールボード紙を様々な水性混合物で表面処理し、次いでその湿った紙表面を直射IRランプ下で乾燥させる。使用した表面処理剤のリストは表1の組成物2〜5に記載されている。二つの対照条件も試験した。すなわち、a)紙表面の表面処理なし及びb)水のみで紙表面処理の二つである。表1の組成物で処理された表面処理済紙サンプルを次に以下の手順を用いてデンプンを含有しない湿潤プラスターと接触させた。
【0029】
1)表1の組成物を以下に示した活性レベルに水で希釈した;
2)希釈組成物を紙表面にGardco引落し装置(Paul N.Gardner Company,Inc.より入手)で塗布し、熱ランプで乾燥させて表面処理面を有する紙を製造した;
3)デンプンを加えてない標準的な乾燥プラスターを60重量部の量で30重量部の水に加え、次いで撹拌棒で30秒間手動混合した;
4)ステップ3の湿潤ミックスを直ちに深さ1/4”(0.6cm)のプラスチック金型にこてで塗り入れ、手工具で平らにして平滑な露出面を形成した;
5)金型内のプラスターの湿った外表面を直ちに表面処理面を有する紙サンプルに当てた;
6)紙と金型を60℃のオーブンに入れ、16時間かけて恒量になるまで乾燥させた;
7)紙/プラスター成形品サンプルをオーブンから取り出し、手で相互に分離した。プラスター成形品に接着していた紙層の相対面積を定量的に見積もった。このようにしてプラスター成形品表面に視覚的に接着している紙繊維の表面カバー率の見積を記録した。
【0030】
【表2】

【0031】
紙の表面処理を行わなかった対照例では、紙とプラスターの間に認知できるような接着は達成されなかったことが分かった。紙の表面をコートするのに水のみを使用した第二の対照例でもプラスターとの接着は観察されなかった。
【0032】
ラテックスのみを用いて紙表面を処理した実施例4では、紙表面に対して中程度に強い接着が形成されているのが観察された。従って、紙表面処理剤としてのラテックス単独の使用は、最適ではないにしてもなお使用可能な本発明の方法の一変形である。
【0033】
実施例4で、表面処理接着剤としてラテックスと石膏粒子の分散物を使用した表面処理面を有する紙の場合、紙と石膏プラスターの間に強力で完全な接着が達成されたことが分かった。
【0034】
本発明を、その実施が想定されるある種の態様又は変形の様々に関して記載し、開示し、説明し、そして示してきたが、本発明の範囲をそれによって制限するつもりもなければ、本発明の範囲がそれによって制限されるとみなされるべきでもない。本明細書中の教示によって示唆されうるようなその他の変形又は態様は、特にここに添付した特許請求の範囲の幅及び範囲に含まれるものとして特別に留保される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォールボードに使用するための処理済紙であって、
紙シートを含み、前記紙シートの表面は水とラテックス結合剤を含む表面処理接着剤で処理されている前記処理済紙。
【請求項2】
表面処理接着剤が鉱物フィラーを更に含む、請求項1に記載の処理済紙。
【請求項3】
表面処理接着剤がラテックス結合剤と鉱物フィラーを含み、ラテックス結合剤は表面処理接着剤の約1〜55重量%を構成し、鉱物フィラーは表面処理接着剤の約1〜50重量%を構成する、請求項2に記載の処理済紙。
【請求項4】
ラテックス結合剤が、エチレンポリビニルアセテート、ポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックス、スチレンブタジエン(SBR)、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂からなる群から選ばれる、請求項1に記載の処理済紙。
【請求項5】
ラテックス結合剤がエチレンポリビニルアセテートラテックスを含む、請求項4に記載の処理済紙。
【請求項6】
ラテックス結合剤がポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックスを含む、請求項4に記載の処理済紙。
【請求項7】
ラテックス結合剤が、エチレンポリビニルアセテート、ポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックス、スチレンブタジエン(SBR)、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂からなる群から選ばれる、請求項2に記載の処理済紙。
【請求項8】
ラテックス結合剤がエチレンポリビニルアセテートラテックスを含む、請求項7に記載の処理済紙。
【請求項9】
ラテックス結合剤がポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックスを含む、請求項7に記載の処理済紙。
【請求項10】
鉱物フィラーが、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、粉砕石膏、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム、粘土、及び粉末シリカからなる群から選ばれる、請求項2に記載の処理済紙。
【請求項11】
鉱物フィラーが硫酸カルシウム半水和物を含む、請求項10に記載の処理済紙。
【請求項12】
表面処理接着剤が、レオロジー改質剤、塩、促進剤及び分散剤からなる群から選ばれる水溶性種をさらに含む、請求項2に記載の処理済紙。
【請求項13】
レオロジー改質剤がセルロースエーテルを含む、請求項12に記載の処理済紙。
【請求項14】
セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、カチオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HMHEC)、及びアニオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(アニオン性HMHEC)からなる群から選ばれる、請求項13に記載の処理済紙。
【請求項15】
セルロースエーテルがヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含む、請求項14に記載の処理済紙。
【請求項16】
レオロジー改質剤がキサンタンガムを含む、請求項12に記載の処理済紙。
【請求項17】
紙の処理に使用される表面処理接着剤の量が約0.1gm/mより大きいレベルである、請求項1に記載の処理済紙。
【請求項18】
紙の処理に使用される表面処理接着剤の量が約0.1gm/mより大〜4gm/mの範囲である、請求項17に記載の処理済紙。
【請求項19】
紙の処理に使用される表面処理接着剤の量が約0.1〜2gm/mの範囲である、請求項18に記載の処理済紙。
【請求項20】
紙の処理に使用される表面処理接着剤の量が約0.5〜1gm/mの範囲である、請求項19に記載の処理済紙。
【請求項21】
表面処理済紙が、表面処理接着剤なしの紙シートと比べた場合に、“低”に設定したHagertyポロシメーター装置を用いて20秒差未満のガーレイ透気度測定値を有する、請求項1に記載の処理済紙。
【請求項22】
ウォールボードであって、
内部の石膏プラスター芯と;そして
内部の石膏プラスター芯の表面に接着された少なくとも一つの処理済紙とを含み、
処理済紙シートは紙シートをさらに含み、前記紙シートの表面は水とラテックス結合剤を含む表面処理接着剤で処理されており、そして内部の石膏プラスター芯の表面は表面処理接着剤で処理された紙シートの表面に接着されているウォールボード。
【請求項23】
表面処理接着剤が鉱物フィラーを更に含む、請求項22に記載のウォールボード。
【請求項24】
表面処理接着剤がラテックス結合剤と鉱物フィラーを含み、ラテックス結合剤は表面処理接着剤の約1〜55重量%を構成し、鉱物フィラーは表面処理接着剤の約1〜50重量%を構成する、請求項23に記載のウォールボード。
【請求項25】
ラテックス結合剤が、エチレンポリビニルアセテート、ポリ(酢酸ビニル)(PVOAc)ラテックス、スチレンブタジエン(SBR)、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂からなる群から選ばれる、請求項22に記載のウォールボード。
【請求項26】
ラテックス結合剤がエチレンポリビニルアセテートラテックスを含む、請求項25に記載のウォールボード。
【請求項27】
鉱物フィラーが、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、粉砕石膏、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム、粘土、及び粉末シリカからなる群から選ばれる、請求項23に記載のウォールボード。
【請求項28】
鉱物フィラーが硫酸カルシウム半水和物を含む、請求項27に記載のウォールボード。
【請求項29】
表面処理接着剤が、レオロジー改質剤、塩、促進剤及び分散剤からなる群から選ばれる水溶性種をさらに含む、請求項22に記載のウォールボード。
【請求項30】
レオロジー改質剤がセルロースエーテルを含む、請求項29に記載のウォールボード。
【請求項31】
セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、カチオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HMHEC)、及びアニオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(アニオン性HMHEC)からなる群から選ばれる、請求項30に記載のウォールボード。
【請求項32】
セルロースエーテルがヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含む、請求項31に記載のウォールボード。
【請求項33】
レオロジー改質剤がキサンタンガムを含む、請求項27に記載のウォールボード。
【請求項34】
紙の処理に使用される表面処理接着剤の量が約0.1gm/mより大きいレベルである、請求項22に記載のウォールボード。
【請求項35】
紙の処理に使用される表面処理接着剤の量が約0.1gm/mより大〜4gm/mの範囲である、請求項34に記載のウォールボード。
【請求項36】
表面処理済紙が、表面処理接着剤なしの紙シートと比べた場合に、“低”に設定したHagertyポロシメーター装置を用いて20秒差未満のガーレイ透気度測定値を有する、請求項22に記載のウォールボード。
【請求項37】
ウォールボードに使用するための処理済紙の製造法であって、
a)紙シートを得るステップと;そして
b)前記紙シートの表面を表面処理接着剤で処理して、表面処理接着剤で処理された紙シートの表面を得るステップと
を含み、表面処理接着剤は水とラテックス結合剤を含む、処理済紙の製造法。
【請求項38】
表面処理接着剤が鉱物フィラーを更に含む、請求項37に記載の処理済紙の製造法。
【請求項39】
表面処理接着剤がドクターブレードを用いて紙シートの表面に塗布される、請求項37に記載の処理済紙の製造法。
【請求項40】
表面処理接着剤がロールを用いて紙シートの表面に塗布される、請求項37に記載の処理済紙の製造法。
【請求項41】
表面処理接着剤がスプレーアプリケータを用いて紙シートの表面に塗布される、請求項37に記載の処理済紙の製造法。
【請求項42】
表面処理接着剤がパドルアプリケータを用いて紙シートの表面に塗布される、請求項37に記載の処理済紙の製造法。
【請求項43】
c)表面処理接着剤を有する紙シートの表面を乾燥させるステップ
をさらに含む、請求項37に記載の処理済紙の製造法。
【請求項44】
表面処理接着剤であって、
水と;
ラテックス結合剤と;
レオロジー改質剤と;そして
鉱物フィラーと
を含み、表面処理接着剤は高レベルの鉱物フィラーを有する表面処理接着剤。
【請求項45】
高レベルの鉱物フィラーが表面処理接着剤の約20重量%以上を構成する、請求項44に記載の表面処理接着剤。
【請求項46】
高レベルの鉱物フィラーが表面処理接着剤の約30重量%を構成する、請求項45に記載の表面処理接着剤。
【請求項47】
レオロジー改質剤が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、カチオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HMHEC)、及びアニオン性疎水化ヒドロキシエチルセルロース(アニオン性HMHEC)からなる群から選ばれるセルロースエーテルを含む、請求項44に記載の表面処理接着剤。
【請求項48】
セルロースエーテルがヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含む、請求項47に記載の表面処理接着剤。
【請求項49】
レオロジー改質剤がキサンタンガムを含む、請求項44に記載の表面処理接着剤。
【請求項50】
レオロジー改質剤がキサンタンガムとヒドロキシエチルセルロース(HEC)の混合物を含む、請求項49に記載の表面処理接着剤。
【請求項51】
鉱物フィラーが、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、粉砕石膏、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム、粘土、及び粉末シリカからなる群から選ばれる、請求項44に記載の表面処理接着剤。
【請求項52】
鉱物フィラーが硫酸カルシウム半水和物を含む、請求項51に記載の表面処理接着剤。
【請求項53】
鉱物フィラーが硫酸カルシウム半水和物を含む、請求項45に記載の表面処理接着剤。
【請求項54】
レオロジー改質剤がキサンタンガムとヒドロキシエチルセルロース(HEC)の混合物を含む、請求項53に記載の表面処理接着剤。

【公表番号】特表2009−531560(P2009−531560A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502869(P2009−502869)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/007129
【国際公開番号】WO2007/111946
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】