説明

研磨パッドの製造方法

【課題】摩耗の度合を適正化し研磨性能の安定化を図ることができる研磨パッドの製造方法を提供する。
【解決手段】研磨パッドは、研磨面を有する発泡構造のウレタンシートを備えている。ウレタンシートは、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、水、ポリアミン化合物、が混合され形成されている。F=−36.7・HSC−758.8・R+656・D−619・T+2587で得られるF値が100〜200の範囲となるように、各成分の配合量が調整される。HSCはハードセグメントの含有率、Rはポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対するポリオール化合物の水酸基およびポリアミン化合物のアミノ基の合計の当量比、Dはかさ密度、Tは厚みをそれぞれ示す。F値が研磨面での摩耗のしやすさと相関し、厚みTが寿命と相関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨パッドの製造方法に係り、特に、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物を反応させたポリウレタン樹脂製で被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を備えた研磨パッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造や液晶ディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)の表面(加工面)では、平坦性が求められるため、研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。半導体デバイスでは、半導体回路の集積度が急激に増大するにつれて高密度化を目的とした微細化や多層配線化が進み、加工面を一層高度に平坦化する技術が重要となっている。一方、液晶ディスプレイ用ガラス基板では、液晶ディスプレイの大型化に伴い、加工面のより高度な平坦性が要求されている。平坦性の要求が高度化するのに伴い、研磨加工における研磨精度や研磨効率等の研磨性能、換言すれば、研磨パッドに要求される性能も高まっている。
【0003】
半導体デバイスの製造には、一般的に化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、CMPと略記する。)法が用いられている。CMP法では、通常、研磨加工時に、砥粒(研磨粒子)をアルカリ溶液または酸溶液に分散させたスラリ(研磨液)を供給する、いわゆる遊離砥粒方式が採用されている。すなわち、被研磨物(の加工面)は、スラリ中の砥粒による機械的研磨作用と、アルカリ溶液または酸溶液による化学的研磨作用とで平坦化される。加工面に要求される平坦性の高度化に伴い、CMP法に求められる研磨精度や研磨効率等の研磨特性、換言すれば、研磨パッドに要求される性能も高まっている。
【0004】
CMP法で用いられる研磨パッドでは、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物を反応させたポリウレタン樹脂製で、被研磨物の加工面を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を備えている。研磨層が発泡構造を有しており、研削処理等により研磨面に開孔が形成されることで、研磨加工時に供給されるスラリが開孔に保持されつつ、研磨面と加工面との間にスラリが略均等に放出される。また、スラリの供給性や研磨加工に伴い生じた研磨屑の排出性を高めるために研磨面に溝加工等が施されることもある。
【0005】
ところが、開孔や溝等にスラリや研磨屑の目詰まりが発生すると、研磨性能を低下させるばかりではなく、被研磨物の加工面にスクラッチ等を生じさせて平坦性を低下させることとなる。また、スラリの供給性や保持性を向上させるために、開孔や溝の数を増やすことも考えられるが、却って研磨層の弾性を損ない、被研磨物の平坦性を低下させることとなる。さらには、開孔や溝の数を増やした分でスラリの排出が促進され、研磨性能の低下を招く。大量のスラリを供給し続けることで、研磨性能を安定化させることはできるが、スラリ自体を大量に要し、スラリ廃液も大量となるため、高コストとなる。
【0006】
一方、研磨面の開孔に目詰まりが生じたときに研磨加工を中断し、研磨面をドレス処理、すなわち、目詰まりの生じた表層を除去して新しい表層を露出させることで、研磨性能を回復させることも可能である。ところが、研磨加工を中断することで効率低下を余儀なくされるため、研磨パッド自体にドレッシング性を持たせる技術が開示されている。例えば、テーバー摩耗試験による摩耗減量(摩耗の度合)を150〜350mgとした研磨パッドの技術が開示されている(特許文献1)。また、耐アルカリ性のポリオール化合物としてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオールまたはポリカーボネートポリオールを全ポリオール化合物に対して50重量%以上含有させることで、研磨層をpH12.5の水酸化カリウム水溶液(40℃)に24時間浸漬する前後でのテーバー摩耗試験による摩耗減量の差を10mg以下とした研磨パッドの技術が開示されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2001−277101号公報
【特許文献2】特許3570681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、研磨パッドにドレッシング性を持たせるために、研磨パッド形成用の原料液として、特定のポリオール成分を用いたプレポリマと、一般的なプレポリマとを混合し鎖伸長剤と発泡剤とで重合したものが用いられる。このため、2種のプレポリマの混合斑が生じやすく、発泡構造が不均一で、研磨面での開孔径が大きくなることから、低硬度であり研磨層が摩耗しやすい、という問題がある。このため、被研磨物の平坦性や加工面内での均一性が十分ではなく、研磨速度等の研磨性能の変化が大きくなることから研磨加工の安定化、すなわち、長寿命化の点でも不十分である。また、特許文献2の技術では、耐アルカリ性を向上させることで研磨速度等の変化は低減するものの、摩耗減量自体が不十分なため、開孔の目詰まりが生じやすくなる、という問題がある。一方、被研磨物の材質や要求される性能が様々であることを考えれば、摩耗減量を一律に定めることは難しい。従って、研磨加工時に研磨面が適度に摩耗することで新たな面を露出させることが望ましいが、摩耗減量が大きくなりすぎると研磨パッドの摩耗屑によりスクラッチ等の不都合が生じてしまうため、被研磨物に合わせて摩耗減量を適正化することが重要である。
【0009】
本発明は上記事案に鑑み、摩耗の度合を適正化し研磨性能の安定化を図ることができる研磨パッドの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物および水の各成分を準備する準備ステップと、前記準備ステップで準備したポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを予め反応させて得られたイソシアネート基含有化合物、前記ポリアミン化合物、前記水を混合した混合液から発泡体を形成する発泡体形成ステップと、前記発泡体形成ステップで形成された発泡体から、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を形成する研磨層形成ステップと、を含み、前記準備ステップで準備するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対するポリオール化合物の水酸基およびポリアミン化合物のアミノ基の合計の当量比をRとし、前記発泡体形成ステップで得られるイソシアネート基含有化合物および前記ポリアミン化合物の反応で形成されるハードセグメントの含有率をHSC(%)とし、前記研磨層形成ステップで形成される研磨層のかさ密度をD(g/cm)、厚みをT(mm)としたときに、F=−36.7・HSC−758.8・R+656・D−619・T+2587で得られるF値が100〜200の範囲となるように、前記準備ステップで準備する前記各成分の配合量を調整することを特徴とする研磨パッドの製造方法である。
【0011】
本発明では、研磨層のかさ密度Dが水を混合して形成される発泡構造と相関し、含有率HSC、当量比Rが硬さや脆さと相関し、厚みTが寿命と相関することから、F値が研磨層の摩耗のしやすさを表すため、F値を100〜200の範囲とすることで、被研磨物に合わせてかさ密度Dや硬度を変化させても厚みTの分で摩耗の度合を適正化することができるとともに、研磨加工時に研磨面が摩耗により適時再生されるため、研磨性能の安定化を図ることができる。
【0012】
この場合において、準備ステップでは当量比Rが0.7〜0.9の範囲となるようにポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の準備する量を調整することが好ましい。このとき、発泡体形成ステップでは含有率HSCが32%〜42%の範囲となるようにイソシアネート基含有化合物およびポリアミン化合物の混合する量を調整することが好ましい。発泡体形成ステップではかさ密度Dが0.45g/cm〜0.55g/cmの範囲となるように水の混合する量を調整することが好ましい。また、研磨層形成ステップで形成される研磨層の厚みTを0.5mm〜2.0mmの範囲となるように調整することができる。準備ステップで準備するポリイソシアネート化合物が少なくともトリレンジイソシアネートを50重量%含むようにしてもよい。このとき、ポリオール化合物が少なくともポリテトラメチレンエーテルグリコールを50重量%含むようにしてもよい。また、発泡体形成ステップで得られるイソシアネート基含有化合物の温度50℃〜80℃における粘度を2000mPa・s〜20000mPa・sの範囲とすれば、混合液中で発泡の移動が抑制されるため、発泡の分布を均一化することができる。このとき、準備ステップで準備する水を予めポリオール化合物に0.01重量%〜6重量%の割合で分散させるようにすれば、発泡の分散状態をより均一化することができる。また、準備ステップで準備する水の量を発泡体形成ステップで得られるイソシアネート基含有化合物の重量1kgに対して0.01g〜6gの割合とすれば、水の量が制限されるため、大きな発泡の形成や偏りを抑制することができる。発泡体形成ステップにおいて、剪断速度9,000〜41,000/秒、剪断回数300〜10,000回の混合条件で混合液を調製すると、発泡の偏りを更に抑制することができる。研磨層形成ステップで形成される研磨層の研磨面側に溝加工またはエンボス加工を施すようにしてもよい。また、研磨層形成ステップで形成される研磨層の少なくとも一部に、研磨加工中に研磨加工状態を光学的に検出するための光透過を許容する光透過部を形成するようにしてもよい。このとき、光透過部が研磨層の厚み方向の全体にわたり形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、研磨層のかさ密度Dが水を混合して形成される発泡構造と相関し、含有率HSC、当量比Rが硬さや脆さと相関し、厚みTが寿命と相関することから、F値が研磨層の摩耗のしやすさを表すため、F値を100〜200の範囲とすることで、被研磨物に合わせてかさ密度Dや硬度を変化させても厚みTの分で摩耗の度合を適正化することができるとともに、研磨加工時に研磨面が摩耗により適時再生されるため、研磨性能の安定化を図ることができる、という効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明をCMP法による研磨加工に用いられる研磨パッドに適用した実施の形態について説明する。
【0015】
(研磨パッド)
図1に示すように、本実施形態の研磨パッド1は、ポリウレタン樹脂製の研磨層としてのウレタンシート2を備えている。ウレタンシート2は、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有している。ウレタンシート2は、予めポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物を反応させて得られたイソシアネート基含有化合物と、予めポリオール化合物に水を分散希釈させた分散液と、ポリアミン化合物と、を混合した混合液を型枠に注型し硬化させたポリウレタン発泡体をスライスすることで形成されている。すなわち、研磨パッド1を構成するウレタンシート2は、乾式成型で形成されている。
【0016】
ウレタンシート2の内部には、乾式成型時に、分散液中の水により、断面が円形状ないし楕円形状の発泡6が略均等に分散して形成されている。すなわち、ポリウレタンシート2は発泡構造を有している。発泡6は、平均孔径が100μm以下の20〜60μmの範囲で形成されている。ウレタンシート2がポリウレタン発泡体をスライスすることで形成されているため、研磨面Pでは発泡6の一部が開口しており、開孔4が形成されている。開孔4が発泡6の開口で形成されるため、開孔4の平均孔径が20〜60μmの範囲となる。ウレタンシート2の厚みは0.5〜2.0mmの範囲に設定されている。
【0017】
ウレタンシート2では、F=−36.7・HSC−758.8・R+656・D−619・T+2587(以下、式(1)と記す。)で得られるF値が100〜200の範囲にある。式(1)において、HSCはイソシアネート基含有化合物とポリアミン化合物との反応で形成されるハードセグメントの含有率(%)を示し、Rはイソシアネート基含有化合物の生成に用いたポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対するポリオール化合物の水酸基およびポリアミン化合物のアミノ基の合計の当量比を示し、Dはウレタンシート2のかさ密度(g/cm)を示し、Tはウレタンシート2の厚み(mm)を示している。
【0018】
ここで、式(1)中の各因子、すなわち、含有率HSC、当量比R、かさ密度Dおよび厚みTについてそれぞれ説明し、式(1)の意味を説明する。通常、ポリウレタン樹脂では、イソシアネート基含有化合物およびポリアミン化合物の反応で形成されるハードセグメントと、ポリオール化合物で形成されるソフトセグメントと、を有している。ハードセグメントでは、ウレタン結合間に水素結合が形成され凝集力が強くなるため、剛直性を示し高結晶性となる。これに対して、ソフトセグメントでは、水素結合が形成されにくく凝集力が弱くなるため、変形しやすく低結晶性となる。従って、含有率HSCによりポリウレタン樹脂の摩耗性(摩耗の度合)や硬度を調整することができる。含有率HSCが小さすぎると低結晶性によるねばり(摩耗しても引きちぎられずに研磨面に残る現象)が生じやすく硬度も不十分となりやすくなるので、開孔4が目詰まりしやすくなるうえ、被研磨物の平坦性を低下させることがある。反対に、含有率HSCが大きすぎると高結晶性のため、脆くなり、硬くなりやすいので、余分な摩耗を招き、スラリの循環性を損なうこととなる。本例では、含有率HSCが32〜42%の範囲となるように調整されている。
【0019】
含有率HSCは、次式(以下、式(2)と記す。)、すなわち、HSC=100・(r−1)・(Mdi+Mda)/(Mg+r・Mdi+(r−1)・Mda)で算出することができる。式(2)において、Mdiはポリイソシアネート化合物のイソシアネート基2官能あたりの平均分子量を示し、Mgはポリオール化合物の水酸基2官能あたりの平均分子量を示し、Mdaはポリアミン化合物のアミノ基2官能あたりの平均分子量を示し、rはポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を示している。含有率HSCは、ウレタンシート2の成形時に用いたポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の配合比から式(2)を用いて算出することができる。換言すれば、成形時に用いる各化合物の配合比により含有率HSCを調整することができる。この配合比はウレタンシート2の核磁気共鳴(NMR)スペクトル等による構造解析によって得ることもできるため、ウレタンシート2の成形後でも含有率HSCを求めることができる。
【0020】
また、当量比Rについても、含有率HSCと同様に、ウレタンシート2の成形時のポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の配合比から算出できるので、ウレタンシート2のNMRスペクトル等による構造解析から算出することもできる。当量比Rが小さすぎると、未反応のイソシアネート基が残存しやすくなるため、成形後のウレタンシート2では熱収縮等により寸法安定性が損なわれ、厚み斑や発泡斑により被研磨物の平坦性を低下させるだけでなく、脆くなるので、摩耗が生じやすくなり、耐久性が不十分になる。反対に、当量比Rが大きすぎると、ポリオール化合物やポリアミン化合物による鎖伸長反応が不十分となりウレタンシート2の弾性が損なわれるため、ねばりを生じて開孔4が目詰まりを起こしやすくなる。本例では、当量比Rが0.7〜0.9の範囲となるように調整されている。
【0021】
かさ密度Dはウレタンシート2の発泡構造と相関する。すなわち、発泡6の孔径が小さすぎる、または、発泡数が少なすぎる場合は、かさ密度Dが大きくなる。発泡6の孔径が小さくなると開孔4も小さくなるため、目詰まりを起こしやすくなり、発泡数が少なくなると開孔4の数も少なくなるため、研磨レート等の研磨性能を十分に得ることが難しくなる。このようなことから、本例では、かさ密度Dが0.45〜0.55g/cmの範囲となるように調整されている。一方、硬度は、当量比R、含有率HSC、かさ密度Dにより変化するが、これら以外にもウレタンシート2を構成するウレタン樹脂の平均重合度や分子量分布、開孔の形状や分布によっても変化することがあるので、これらも考慮することが重要である。硬度が低すぎると、ウレタンシート2が柔らかすぎるため、被研磨物の平坦性を損なうばかりか、ねばりを生じやすくなり、開孔4が目詰まりを起こしやすくなる。反対に、硬度が高すぎると、スクラッチを招きやすくなる。本例では、硬度としては、ショアA硬度で60度以上、ショアD硬度で75度以下の範囲となるように調整されている。かさ密度D、硬度は、ポリウレタン樹脂の材質にもよるが、発泡6の大きさ、数量を変えること、換言すれば、分散液中の水の量を変えることで調整することができる。また、厚みTが研磨パッド1の寿命と相関する。すなわち、厚みTが小さすぎると、比較的早期に摩耗してしまい寿命が短くなる。反対に、厚みTが大きすぎると、研磨加工時の押圧による変形が大きくなり、却って被研磨物の平坦性を損なうこととなる。このため、厚みTは、本例では、0.5〜2.0mmの範囲に設定される。
【0022】
以上のように、ウレタンシート2における含有率HSC、当量比R、かさ密度Dはそれぞれがウレタンシート2の摩耗の程度や目詰まりのしやすさに関与し、厚みTは寿命に関与している。これらの関連性を総合的にまとめると、上述した式(1)を得ることができる。従って、式(1)により得られるF値は、ウレタンシート2の寿命を考慮しつつ摩耗のしやすさをあらわすこととなる。このF値は、日本工業規格(JIS K 6902の耐摩耗性A法)のテーバー摩耗試験機による研磨面Pでの研磨回数1000回あたりの摩耗減量(mg)に相当する。ウレタンシート2では、F値が100〜200の範囲となるように、上述したポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、混合液に混合する水の量が調整されている。F値をこの範囲にすることで、ウレタンシート2の摩耗性が適正化され、CMP法による研磨加工用として研磨パッド1を好適に使用することが可能となる。かさ密度Dがウレタンシート2の発泡構造と相関し、含有率HSCが硬度に影響を与えることから、例えば、当量比Rを小さくすることで、発泡構造や硬度を大きく変更することなくF値を大きくすることができる。換言すれば、被研磨物の特性に合わせて含有率HSCや当量比Rを変化させても、かさ密度D、厚みTや硬度を調整することで、F値を適正化することができる。上述した式(1)で得られるF値の範囲を満たすように、含有率HSC、当量比R、かさ密度D、厚みTを調整することで、それぞれの因子により生じる欠点を補うことができる。この結果、被研磨物の研磨加工時には、研磨面Pが摩耗することにより適時再生され、開孔4の目詰まりが抑制される。これにより、スラリが保持されつつ加工面全体に供給されるので、研磨性能の安定化を図ることができる。
【0023】
また、図1に示すように、研磨パッド1は、ウレタンシート2の研磨面Pと反対側の面に、研磨機に研磨パッド1を装着するための両面テープが貼り合わされている。両面テープは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の基材7の両面にそれぞれ接着剤層が形成されている。両面テープは、一面側の接着剤層でウレタンシート2と貼り合わされており、他面側(図1の最下面側)の接着剤層が剥離紙8で覆われている。
【0024】
(研磨パッドの製造)
研磨パッド1は、図2に示す各工程を経て製造される。すなわち、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、予めポリオール化合物に水を分散希釈させた分散液と、ポリアミン化合物とをそれぞれ準備する準備工程(準備ステップ)、予めポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物を反応させてイソシアネート基含有化合物を生成し、得られたイソシアネート基含有化合物、分散液およびポリアミン化合物を混合して混合液を調製する混合工程(発泡体形成ステップの一部)、混合液を型枠に注型する注型工程(発泡体形成ステップの一部)、型枠内で発泡、硬化させてポリウレタン発泡体を形成する硬化成型工程(発泡体形成ステップの一部)、ポリウレタン発泡体をシート状にスライスして複数枚のウレタンシート2を形成するスライス工程(研磨層形成ステップ)、ウレタンシート2と両面テープとを貼り合わせ研磨パッド1を形成するラミネート工程を経て製造される。以下、工程順に説明する。
【0025】
(準備工程)
準備工程では、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、分散液と、ポリアミン化合物とをそれぞれ準備する。準備するポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。これらのジイソシアネート化合物の2種以上を併用してもよく、分子内に3つ以上、例えば、3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物を用いてもよい。
【0026】
一方、ポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、および、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。また、これらのポリオール化合物の二種以上を併用してもよい。
【0027】
また、分散液の調製に用いられるポリオール化合物は、プレポリマのイソシアネート基と反応しソフトセグメントを形成するので、研磨加工時の溶出、ひいては、研磨特性に対する悪影響を抑制することができる。このポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、PTMG、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。プレポリマやポリアミン化合物の溶液の粘度と同程度にすることで混合工程において水の分散を均一化しやすくなるため、数平均分子量500〜3000のポリオール化合物を用いることが好ましい。本例では、数平均分子量約1000のPTMGを使用し、これに水を0.01〜6重量%の割合で分散希釈させて分散液を調製する。分散液の調製時には、一般的な攪拌装置を使用して攪拌混合すればよく、水が略均等に分散希釈されていればよい。使用する水としては、特に制限はないが、不純物等の混入を回避するため、蒸留水を使用することが好ましい。また、分散液の量は、次工程の混合工程で混合するプレポリマの重量1kgに対して水の量が0.01〜6gの割合となるように準備することが好ましい。水の量が少なすぎると得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡の大きさが小さすぎることとなり、反対に多すぎると極端に大きな発泡が形成されることとなる。例えば、プレポリマの重量を1kgとした場合、分散液を100gとすれば、この分散液に含まれる水の量は0.01〜6gとなる。
【0028】
ポリアミン化合物は、プレポリマのイソシアネート基と反応することでハードセグメントを形成する。このポリアミン化合物としては、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物を使用することができるが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)、MOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物等を挙げることができる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。これらの化合物の2種以上を併用してもよい。ポリアミン化合物として、本例では、MOCAが約120℃に加熱し溶融させた状態で用いられる。
【0029】
(混合工程、注型工程、硬化成型工程)
図2に示すように、混合工程では、準備工程で準備したポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを反応させることでイソシアネート基含有化合物、すなわち、イソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、プレポリマと略記する。)を生成させる。得られたプレポリマと、準備工程で準備した分散液およびポリアミン化合物とを混合して混合液を調製する。注型工程では混合工程で調製された混合液を型枠に注型し、硬化成型工程では型枠内で発泡、硬化させてポリウレタン発泡体を成型する。本例では、混合工程、注型工程、硬化成型工程を連続して行う。
【0030】
プレポリマを生成させるときは、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量より大きくすることで、プレポリマを得ることができる。また、使用するプレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が悪くなり混合時に略均一に混合することが難しくなる。温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり、却って混合斑が生じて得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡6の大きさにバラツキが生じる。反対に粘度が低すぎると混合液中で気泡が移動してしまい、ポリウレタン発泡体に略均等に分散した発泡6を形成することが難しくなる。このため、プレポリマは、温度50〜80℃における粘度を2000〜20000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。例えば、プレポリマの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。プレポリマは、50〜80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
【0031】
図3に示すように、混合工程では混合機20で混合液が調製され、注型工程では調製された混合液が混合機20から連続して型枠25に注型され、硬化成型工程で硬化させることによりポリウレタン発泡体が成型される。混合機20は、攪拌翼14が内蔵された混合槽12を備えている。混合槽12の上流側には、第1成分としてプレポリマ、第2成分としてポリアミン化合物、第3成分として分散液をそれぞれ収容した供給槽が配置されている。各供給槽からの供給口は混合槽12の上流端部に接続されている。攪拌翼14は混合槽12内の略中央部で上流側から下流側までにわたる回転軸に固定されている。回転軸の回転に伴い攪拌翼14が回転し、第1成分、第2成分および第3成分を剪断するようにして混合する。得られた混合液は混合槽12の下流端部に配置された排出口から型枠25に注型される。型枠25の大きさは、本例では、1050mm(長さ)×1050mm(幅)×50mm(厚さ)に設定されている。なお、第1成分のプレポリマ、第2成分のMOCAに代表されるポリアミン化合物の多くがいずれも常温で固体または流動しにくい状態のため、それぞれの供給槽は各成分が流動可能となるように加温されている。
【0032】
第1成分、第2成分および第3成分が混合槽12に供給され混合されるが、各成分の粘度が同程度に調製されているため、各成分を混合した混合液の温度50〜80℃における粘度が2000〜20000mPa・sの範囲となる。攪拌翼14の剪断速度、剪断回数を調整することで、各成分が略均等に混合され混合液が調製される。攪拌翼14の剪断速度が小さすぎると、得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡6の大きさが大きくなりすぎる。反対に剪断速度が大きすぎると、攪拌翼14および混合液間の摩擦による発熱で温度が上昇し粘度が低下するため、混合液中の気泡が(成型中に)移動してしまい、得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡6の分散状態にバラツキが生じやすくなる。一方、剪断回数が少なすぎると生じる気泡の大きさにムラ(バラツキ)が生じやすく、反対に多すぎると温度上昇で粘度が低下し、発泡6が略均等に形成されなくなる。このため、混合工程では、剪断速度を9,000〜41,000/秒の範囲、剪断回数を300〜10,000回の範囲に設定し、混合する。混合機20での混合時間(滞留時間)は、混合液の流量(最大1リットル/sec)にもよるが、およそ1秒程度である。すなわち、例えば、注液工程で型枠25に100kg程度の混合液を注液するのに要する時間はおよそ1〜2分程度となる。なお、剪断速度、剪断回数は次式により求めることができる。すなわち、剪断速度(/秒)=攪拌翼14の翼先端の直径(mm)×円周率×攪拌翼14の回転数(rpm)÷60÷攪拌翼14の翼先端と混合槽12の内壁とのクリアランス(mm)、剪断回数(回)=攪拌翼14の回転数(rpm)÷60×混合槽12中での混合液の滞留時間(秒)×攪拌翼14の翼の数、により求めることができる。
【0033】
混合工程で調製される混合液により、得られるポリウレタン発泡体のF値が調整可能である。つまり、プレポリマの生成に用いたポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物により、それぞれの2官能あたりの平均分子量Mdi、Mg、Mdaが定まる。また、混合したポリイソシアネート化合物の量とポリオール化合物の量とで当量比rが定まる。これらの数値から上述した式(2)によりハードセグメントの含有率HSCが求められる。また、混合したポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物のそれぞれの量から当量比Rが定まる。かさ密度Dおよび厚みTを上述した範囲とすることで、上述した式(1)によりF値が求められる。
【0034】
注液工程で、型枠25に混合液を注液するときは、混合機20からの混合液を混合槽12の排出口から排出し、例えばフレキシブルパイプを通じて、型枠25の対向する2辺間(例えば、図3の左右間)を往復移動する断面三角状の図示しない注液口に導液する。注液口を往復移動させながら、排出口の端部(フレキシブルパイプの端部)を注液口の移動方向と交差する方向に往復移動させる。混合液は、型枠25に略均等に注液される。
【0035】
硬化成型工程では、注液された混合液を型枠25内で反応硬化させブロック状のポリウレタン発泡体を形成させる。このとき、プレポリマとポリオール化合物、ポリアミン化合物との反応によりプレポリマが架橋硬化する。この架橋硬化の進行と同時に、プレポリマのイソシアネート基と分散液に分散希釈された水との反応で発生した二酸化炭素により発泡6が形成される。このとき、架橋硬化が進行しているため、発生した二酸化炭素が外部に抜け出すことなく、発泡6が形成される。
【0036】
(スライス工程)
図2に示すように、スライス工程では、硬化成型工程で得られたポリウレタン発泡体をシート状にスライスして複数枚のウレタンシート2を形成する。スライスには、一般的なスライス機を使用することができる。スライス時にはポリウレタン発泡体の下層部分を保持し、上層部から順に所定厚さにスライスする。スライスする厚さは、本例では、0.5〜2.0mmの範囲に設定されている。また、本例で用いた厚さが50mmの型枠25で成型したポリウレタン発泡体では、例えば、上層部および下層部の約10mm分をキズ等の関係から使用せず、中央部の約30mm分から15〜60枚のウレタンシート2が形成される。硬化成型工程で内部に発泡6が略均等に形成されたポリウレタン発泡体が得られるため、スライス工程で形成される複数枚のウレタンシート2では、表面に形成された開孔4の平均孔径がいずれも100μm以下の20〜60μmの範囲となる。開孔4の平均孔径が20μmを下回ると、研磨加工時にスラリが目詰まりしやすくなるため、研磨パッドの寿命低下を招きやすく、反対に100μmを上回ると、略均一な孔径の制御が難しくなる。
【0037】
(ラミネート工程)
ラミネート工程では、スライス工程で形成されたウレタンシート2と両面テープとが貼り合わされる。円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い研磨パッド1を完成させる。
【0038】
被研磨物の研磨加工を行うときは、研磨機の研磨定盤に研磨パッド1を装着する。研磨定盤に研磨パッド1を装着するときは、剥離紙8を取り除き、露出した接着剤層で研磨定盤に接着固定する。研磨定盤と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面P側へ押圧すると共に、外部からスラリを供給しながら研磨定盤ないし保持定盤を回転させることで、被研磨物の加工面が研磨加工される。このとき、開孔4にスラリが保持されつつ、加工面全体に略均等に供給される。また、研磨加工に伴い研磨面P側が摩耗し、適時、新たな研磨面が再生されるため、開孔4に目詰まりが生じることなく研磨加工される。なお、通常、研磨液の媒体としては水が使用されるが、アルコール等の有機溶剤を混合することも可能である。
【0039】
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド1の作用等について説明する。
【0040】
従来CMP法による研磨加工では、発泡構造を有し研磨面に開孔が形成された研磨パッドが用いられている。研磨加工時には、研磨粒子を含む研磨液(スラリ)が被研磨物および研磨パッド間に供給されるが、この研磨液が研磨面に形成された開孔に保持されつつ被研磨物の加工面全体に供給されることで被研磨物が研磨される。ところが、開孔が研磨粒子や研磨加工に伴い生じた研磨屑で目詰まりを起こすことがある。開孔の目詰まりが生じると、加工面に研磨傷が生じ平坦性を損なうばかりではなく、研磨パッドの寿命を低下させることにもなる。このため、開孔の目詰まりが生じたときは、研磨加工が中断され、研磨面がドレス処理される。ドレス処理では、目詰まりの生じた表層を除去することで新しい表層を露出させるため、研磨性能を回復させることができる。ところが、研磨加工を中断することで効率を低下させるうえ、ドレス処理の前後で研磨速度等が変わるため、安定した研磨加工が難しくなる。研磨パッド(研磨層)の摩耗減量を定め、研磨パッド自体にドレッシング性を持たせる技術もあるが、特定のポリオール化合物を用いる必要があるうえ、発泡構造や研磨層の物性との関係が定められていないため、被研磨物の平坦性や研磨加工の安定化が十分とはいえない。また、摩耗減量を大きくすると、研磨層の硬度が低下し、却って研磨性能を損なうこととなる。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨パッドである。
【0041】
本発明者らは、研磨層の摩耗減量を発泡構造や物性との関係を含め適正化することについて、鋭意検討し、次のような関係を見出した。すなわち、ポリウレタン樹脂で形成された研磨層では、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対するポリオール化合物の水酸基およびポリアミン化合物のアミノ基の合計の当量比をRとし、ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物の反応で形成されるハードセグメントの含有率をHSC(%)とし、かさ密度をD(g/cm)、厚みをT(mm)としたときに、式(1)、すなわち、F=−36.7・HSC−758.8・R+656・D−619・T+2587で得られるF値が、研磨層の摩耗のしやすさと優れた相関性を示すことである。
【0042】
本実施形態のウレタンシート2では、式(1)で得られるF値が100〜200の範囲にある。かさ密度Dがウレタンシート2の発泡構造と相関し、ハードセグメントの含有率HSCが硬度に影響を与え、厚みTが寿命と相関することから、例えば、当量比Rを小さくすることで、発泡構造の変更や寿命の低下を伴うことなくF値を大きくすることができる。換言すれば、被研磨物の特性に合わせて含有率HSCや当量比Rを変化させても、かさ密度Dや厚みTを調整することによりF値を適正化することができる。すなわち、含有率HSC、当量比R、かさ密度D、厚みTが、上述した式(1)で得られるF値の適正範囲を満たすように調整することで、それぞれの因子により生じる欠点を補うことができる。このため、被研磨物の研磨加工時には、研磨面Pが摩耗することにより適時再生されるため、開孔4の目詰まりが抑制される。これにより、スラリが保持されつつ加工面全体に供給されるので、研磨性能の安定化を図ることができる。
【0043】
また、含有率HSCが小さすぎると開孔4が目詰まりしやすいうえ、被研磨物の平坦性を低下させる。反対に、含有率HSCが大きすぎると脆くなり、硬くなりやすいので、スラリの循環性を損なうこととなる。当量比Rが小さすぎると、被研磨物の平坦性を低下させるだけでなく、脆くなるので、耐久性が不十分になる。反対に、当量比Rが大きすぎると、ウレタンシート2の弾性が損なわれるため、開孔4が目詰まりを起こしやすくなる。また、かさ密度Dがウレタンシート2の発泡構造と相関する。すなわち、発泡6の孔径が小さくなると、かさ密度Dが大きくなり、開孔4も小さくなるため、目詰まりを起こしやすくなり、発泡数が少なくなると、開孔4の数も少なくなるため、研磨レート等の研磨性能を十分に得ることが難しくなる。更に、厚みTが研磨パッド1の寿命と相関する。すなわち、厚みTが小さすぎると、比較的早期に摩耗してしまい寿命が短くなる。反対に、厚みTが大きすぎると、研磨加工時の押圧による変形が大きくなり、却って被研磨物の平坦性を損なうこととなる。本実施形態では、含有率HSC、当量比R、かさ密度D、厚みTが上述した式(1)で得られるF値の適正範囲を満たすように調整されている。このため、それぞれの因子により生じる欠点を補うことができる。
【0044】
更に、本実施形態では、式(1)で得られるF値が100〜200の範囲に調整されている。このため、研磨加工時にウレタンシート2の研磨面P側が適度に摩耗し新たな研磨面を再生させるので、開孔4の目詰まりを起きにくくすることができ、研磨面Pが過度に摩耗することがなくなるので、ウレタンシート2の摩耗屑による研磨傷の発生を抑制することができる。このようなウレタンシート2を用いた研磨パッド1では、CMP法による研磨加工用として好適に使用することができる。
【0045】
また更に、本実施形態では、混合工程で、プレポリマ、分散液およびポリアミン化合物が混合されて混合液が調製される。分散液には予めポリオール化合物に水が分散希釈されており、この分散液が混合液中に略均等に分散されるため、混合液中の水の分散状態を均等化することができる。これにより、水とプレポリマのイソシアネート基とが反応して発生する二酸化炭素も略均等に分散される。従って、得られるポリウレタン発泡体の内部に大きさが制御され略均等に分散した発泡6を形成することができる。スライス工程でスライスすることにより、表面に略均一な開孔4が略均等に形成された複数枚のウレタンシート2を得ることができ、ウレタンシート2を用いた複数枚の研磨パッド1では、研磨性能のバラツキを抑制することができる。
【0046】
更にまた、本実施形態では、分散液中の水の量をプレポリマの重量1kgに対して0.01〜6gの割合とすることで、混合液中に分散される水の量が制限されるので、極端に大きな発泡の形成や偏りを抑制することができる。これにより、スライスされた複数枚のウレタンシート2では、開孔4の平均孔径をいずれも20〜60μmの範囲とすることができる。従って、研磨加工時にスラリが開孔4に保持されつつ、研磨屑が開孔4に収容されるので、研磨効率の向上を図ることができる。また、プレポリマの温度50〜80℃における粘度を2000〜20000mPa・sの範囲とすることで、各成分を略均等に混合しやすくなり、混合液中での水の分散状態を均等化することができる。これにより、発泡6の偏りを抑制し分散状態を均等化することができる。
【0047】
また、本実施形態では、分散液に配合されたポリオール化合物は、混合液中で水を分散させやすくする役割を果たすが、混合液中に存在しているため、ポリオール化合物の一部の水酸基がプレポリマのイソシアネート基と反応することで、湿潤状態におけるポリウレタン発泡体の硬度変化を生じにくくする役割も果たす。このため、得られる複数枚のウレタンシート2では、湿潤状態での熱安定性が向上することから、スラリを使用した研磨加工時に摩擦等で発熱しても研磨パッド1(ウレタンシート2)の硬度変化が抑制され、研磨性能の安定化を図ることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、特に具体的化合物を例示していないが、プレポリマの調製に用いるポリイソシアネート化合物にトリイソシアネート化合物を配合するようにしてもよい。上述したように当量比Rを小さくすると得られるポリウレタン発泡体の寸法安定性を低下させるが、トリイソシアネート化合物を配合することでポリウレタン発泡体が硬くなり摩耗しやすくなる。従って、当量比Rを小さくすることなくF値を大きくすることができる。この場合、配合するトリイソシアネート化合物の割合を重量比で0.3〜0.8程度とすることが好ましい。また、ポリイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートを含むようにすることが好ましく、その配合割合としては少なくとも50重量%とすることが好ましい。更に、プレポリマの調製に用いるポリオール化合物にPTMGを用いる例を示したが、PTMG以外のポリオール化合物を混合して用いてもよい。この場合、PTMGの配合割合を少なくとも50重量%とすることが好ましい。
【0049】
また、本実施形態では、プレポリマとして、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリオール化合物に代えて水酸基やアミノ基等を有する活性水素化合物を用い、ジイソシアネート化合物に代えてポリイソシアネート化合物やその誘導体を用い、これらを反応させることで得るようにしてもよい。また、多種のイソシアネート末端プレポリマが市販されていることから、市販のものを使用することも可能である。また、本実施形態では、ポリオール化合物に水を分散希釈した分散液を調製する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分散液がポリオール化合物および水以外に、例えば、硬化成型に際し必要な添加剤やフィラー等の成分を含むようにしてもよい。この分散液では、発泡に関与しないポリオール化合物に水を分散させたため、混合工程における水の混合斑を低減する役割を果たす。ポリオール化合物以外の液体を用いることも可能であるが、そのような液体が研磨時に溶出して研磨特性に悪影響を及ぼす可能性のあることを考慮すれば、ポリオール化合物を用いことが好ましい。
【0050】
更に、本実施形態では、式(1)で得られるF値を100〜200の範囲、含有率HSCを32〜42%の範囲、当量比Rを0.7〜0.9の範囲、かさ密度Dを0.45〜0.55g/cmの範囲、厚みTを0.5〜2.0mmの範囲とする例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。研磨パッド1がCMP法による研磨加工に用いられることから、これらの範囲が好ましいが、研磨加工の対象とする被研磨物の特性や要求される研磨精度等により適宜変えるようにしてもよい。
【0051】
また更に、本実施形態では、特に言及していないが、スラリの供給や研磨屑の排出を考慮して研磨面Pに溝加工やエンボス加工を施すようにしてもよい。溝の形状については、放射状、格子状、螺旋状等のいずれでもよく、断面形状についても矩形状、U字状、V字状、半円状のいずれでもよい。溝のピッチ、幅、深さについては、研磨屑の排出やスラリの移動が可能であればよく、特に制限されるものではない。エンボス加工についても、特に制限のないことはもちろんである。
【0052】
更にまた、本実施形態では、特に言及していないが、ウレタンシート2が、少なくとも一部に、被研磨物の研磨加工状態を光学的に検出するための光透過を許容する光透過部を有するようにしてもよい。この場合、光透過部がウレタンシート2の厚み方向の全体にわたり貫通するように形成することが好ましい。このようにすれば、例えば、研磨機側に備えられた発光ダイオード等の発光素子、フォトトランジスタ等の受光素子により、研磨加工中に光透過部を通して被研磨物の加工面の研磨加工状態を検出することができる。これにより、研磨加工の終点を適正に検出することができ、研磨効率の向上を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態では、混合工程で混合機20、スライス工程でスライス機を使用する例を示したが、混合機やスライス機には特に制限はなく、通常使用される混合機、スライス機を使用することができる。また、本実施形態では、直方体状の型枠25を例示したが、本発明は型枠の形状や大きさに制限されるものではない。例えば、円柱状等の型枠を使用してもよく、混合液の粘性を考慮すれば、型枠を使用せずに発泡体を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0054】
以下、本実施形態に従い作製した研磨パッド1の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例についても併記する。
【0055】
(実施例1)
実施例1では、第1成分のプレポリマとして2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)の279部、数平均分子量約1000のPTMGの284部、ジエチレングリコールの64部を反応させたイソシアネート含有量が9.6%の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマを用いこれを55℃に加熱し減圧下で脱泡した。第2成分のMOCAは120℃で溶解させ、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMGの50部に、水の2部、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)の1部、シリコン系界面活性剤(SH−193、ダウコーニング社製)の5部をそれぞれ添加し攪拌混合した後、減圧下で脱泡した。すなわち、実施例1では、下表1に示すように、含有率HSCが39%、当量比Rが0.7となる。第1成分:第2成分:第3成分を重量比で100部:10部:5部の割合で混合槽12に供給した。混合工程では、攪拌条件を剪断回数1689回、剪断速度9425/秒に設定した。得られた混合液を型枠25に注型し硬化させた後、形成されたポリウレタン発泡体を型枠25から抜き出した。この発泡体を厚さ1.3mmにスライスしてウレタンシート2を作製し、研磨パッド1を得た。
【0056】
【表1】

【0057】
(実施例2)
実施例2では、第1成分のプレポリマとして2,4−TDIの463部、2,4−TDIの3量体となるトリイソシアネートの10部、数平均分子量約1000のPTMGの476部、ジエチレングリコールの107部を反応させたイソシアネート含有量が9.5%の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマを用いた以外は実施例1と同様にして、ウレタンシート2を作製し、研磨パッド1を得た。表1に示すように、実施例2では、含有率HSCが39%、当量比Rが0.7となる。
【0058】
(比較例1)
比較例1では、第1成分のプレポリマとして2,4−TDIの270部、数平均分子量約1000のPTMGの292部、ジエチレングリコールの65部を反応させたイソシアネート含有量が8.7%の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマを用い、第1成分:第2成分:第3成分を重量比で100部:21部:5.5部の割合で混合槽12に供給した以外は実施例1と同様にして、ウレタンシートを作製し、研磨パッドを得た。表1に示すように、比較例1では、含有率HSCが36%、当量比Rが0.9となる。
【0059】
(評価1)
各実施例および比較例について、ウレタンシートのかさ密度D、開孔4の孔径を測定した。かさ密度Dは、所定サイズの大きさに切り出した試料の重量を測定し、サイズから求めた体積から算出した。孔径は、マイクロスコープ(KEYENCE製、VH−6300)で約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し算出した。また、ウレタンシートについて、日本工業規格(JIS K 7311)に準じてショアA硬度を測定した。かさ密度D、開孔4の平均孔径、ショアA硬度の結果および式(1)で得られたF値を下表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
表2に示すように、比較例1では、開孔4の平均孔径が70μmを示し、ショアA硬度が84.0度を示した。これに対して、実施例1、実施例2では、開孔4の平均孔径がそれぞれ60μm、54μmと小さくなり、ショアA硬度がそれぞれ89.0度、92.0度と大きくなった。また、F値では、比較例1が75と低い値であったのに対し、実施例1、実施例2がそれぞれ136、162と大きな数値を示した。
【0062】
(評価2)
次に、各実施例および比較例の研磨パッドについて、日本工業規格(JIS K6902)に準じて摩耗減量を測定した。摩耗減量は、研磨回数が1000回について測定した。摩耗減量の測定結果を下表3に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
表3に示すように、比較例1の研磨パッドは摩耗減量が低く、評価後の研磨パッドでは開孔4の大部分が目詰まりを起こしているのが確認された。これに対し、実施例1および実施例2の研磨パッドは、適度な摩耗減量を有しており、評価後の研磨パッドでは開孔4の目詰まりが比較例1より少ないことが確認できた。また、実施例1、実施例2、比較例1の1000回研磨を繰り返した摩耗減量が、式(1)のF値に近似の範囲にあることが明らかとなった。
【0065】
(評価3)
また、各実施例および比較例の研磨パッドを用いて、以下の研磨条件でハードディスク用のアルミニウム基板の研磨加工を行い、研磨レートを測定した。研磨レートは、1分間当たりの研磨量を厚さで表したものであり、研磨加工前後のアルミニウム基板の重量減少から求めた研磨量、アルミニウム基板の研磨面積および比重から算出した。また、目視にてスクラッチの有無を判定した。研磨レートおよびスクラッチの測定結果を下表4に示す。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、9B−5Pポリッシングマシン
研磨速度(回転数):30rpm
加工圧力:100g/cm
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:11.5)
スラリ供給量:100cc/min
被研磨物:ハードディスク用アルミニウム基板
(外径95mmφ、内径25mm、厚さ1.27mm)
【0066】
【表4】

【0067】
表4に示すように、比較例1では研磨レートが低く、スクラッチの発生も確認された。これに対して、実施例1および実施例2では、研磨レートが比較例1より高くなり、スクラッチの発生もないことが判明した。
【0068】
以上の結果から、実施例1および実施例2では、式(1)で得られるF値が、上述した範囲内にあり、適正な摩耗減量を示すことから、開孔4が目詰まりしにくく、良好な研磨レートを示し、スクラッチの発生も抑えられることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は摩耗の度合を適正化し研磨性能の安定化を図ることができる研磨パッドの製造方法を提供するため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態の研磨パッドの製造方法の要部を示す工程図である。
【図3】実施形態の研磨パッドの製造に用いた混合機および型枠の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
P 研磨面
1 研磨パッド
2 ウレタンシート
4 開孔
6 発泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物および水の各成分を準備する準備ステップと、
前記準備ステップで準備したポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを予め反応させて得られたイソシアネート基含有化合物、前記ポリアミン化合物および前記水を混合した混合液から発泡体を形成する発泡体形成ステップと、
前記発泡体形成ステップで形成された発泡体から、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を形成する研磨層形成ステップと、
を含み、
前記準備ステップで準備するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対するポリオール化合物の水酸基およびポリアミン化合物のアミノ基の合計の当量比をRとし、前記発泡体形成ステップで得られるイソシアネート基含有化合物および前記ポリアミン化合物の反応で形成されるハードセグメントの含有率をHSC(%)とし、前記研磨層形成ステップで形成される研磨層のかさ密度をD(g/cm)、厚みをT(mm)としたときに、F=−36.7・HSC−758.8・R+656・D−619・T+2587で得られるF値が100〜200の範囲となるように、前記準備ステップで準備する前記各成分の配合量を調整することを特徴とする研磨パッドの製造方法。
【請求項2】
前記準備ステップでは、前記当量比Rが0.7〜0.9の範囲となるように、前記ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の準備する量を調整することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記発泡体形成ステップでは、前記含有率HSCが32%〜42%の範囲となるように、前記イソシアネート基含有化合物およびポリアミン化合物の混合する量を調整することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記発泡体形成ステップでは、前記かさ密度Dが0.45g/cm〜0.55g/cmの範囲となるように、前記水の混合する量を調整することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記研磨層形成ステップで形成される研磨層は、前記厚みTが0.5mm〜2.0mmの範囲となるように調整することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記準備ステップで準備するポリイソシアネート化合物は、少なくともトリレンジイソシアネートを50重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記準備ステップで準備するポリオール化合物は、少なくともポリテトラメチレンエーテルグリコールを50重量%含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記発泡体形成ステップで得られるイソシアネート基含有化合物は、温度50℃〜80℃における粘度が2000mPa・s〜20000mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記準備ステップで準備する水は、予めポリオール化合物に0.01重量%〜6重量%の割合で分散させることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記準備ステップで準備する水の量は、前記発泡体形成ステップで得られるイソシアネート基含有化合物の重量1kgに対して0.01g〜6gの割合であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項11】
前記発泡体形成ステップにおいて、剪断速度9,000〜41,000/秒、剪断回数300〜10,000回の混合条件で前記混合液を調製することを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記研磨層形成ステップで形成される研磨層は、前記研磨面側に溝加工またはエンボス加工を施すことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記研磨層形成ステップで形成される研磨層の少なくとも一部に、研磨加工中に研磨加工状態を光学的に検出するための光透過を許容する光透過部を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記光透過部は、前記研磨層の厚み方向の全体にわたり形成されていることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−76064(P2010−76064A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248606(P2008−248606)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005359)富士紡ホールディングス株式会社 (180)
【Fターム(参考)】