説明

研磨パッド

【課題】研磨レートの低下を抑制するとともに、層間の剥離を防止する。
【解決手段】表面2aが被研磨物に圧接される研磨層2と下地層3とが、接着層である両面テープ4によって接着される研磨パッドであって、研磨層2の裏面と両面テープ4との間に、研磨スラリーを遮断する止水層5を設け、研磨層2の表面2aに供給される研磨スラリーが、研磨層2の表面から裏面側の両面テープ3に浸透するのを防止し、両面テープ3の粘着材層の成分が溶出するのを防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造工程などにおいて、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:以下「CMP」という)法によってウェハ等の被研磨物の平坦化処理などを行う際に用いられる研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CMP法では、研磨パッドを定盤に保持し、シリコンウェハ等の被研磨物を研磨ヘッドに保持して、研磨スラリーを供給しながら、研磨パッドと被研磨物とを加圧した状態で相対的に摺動させることによって研磨が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−224093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研磨パッドの機能として、被研磨物表面の段差解消と全面の均一性の両方が要求されるような場合には、例えば、図6に示されるように、研磨層2と下地層3とを備える二層構造の研磨パッドが使用されることがある。下地層3は、研磨パッド全面を均一に被研磨物に接触させる為に、軟らかく弾性率の低い材質、例えば、不織布にポリウレタンを含浸させて硬化させたポリウレタン含浸不織布、上層である研磨層2は、被研磨物表面の段差解消を目的として、硬く、弾性率の高い材質、例えば、硬質の発泡ポリウレタンが使用され、両層2,3は、基材の両面に、粘着材層が形成されてなる両面テープ4などによって貼り合わされている。
【0005】
発泡ポリウレタンからなる研磨層2は、発泡による多数の孔(ポア)を有しており、研磨層2の厚みを越えて研磨層2を貫通するような大きな径の孔が存在する。
【0006】
かかる研磨パッドを用いた研磨においては、研磨層2の表面2a側に供給される研磨スラリーが、研磨層2を貫通する孔を介して、研磨層2の裏面側の両面テープ4の粘着材層に達することになり、例えば、アルカリ性の強い研磨スラリーによって、粘着材層の成分が溶出し、シリコンウェハ等の被研磨物に圧接される研磨層2の表面2aに達して付着し、研磨レートを低下させるという課題がある。
【0007】
また、研磨レートを低下させるだけではなく、両面テープ4の粘着材層が溶出することによって、研磨層2と下地層3との接着強度が弱くなって層間の剥離が生じる場合があるという課題もある。
【0008】
かかる課題は、上述の発泡による孔に限らず、研磨スラリーの保持性を改善する等の目的で、研磨層に施される加工穴が、研磨層の裏面の両面テープ4に達するような場合にも同様に生じる。
【0009】
更に、研磨層2の表面2aからの研磨スラリーの浸透に限らず、ポリウレタン含浸不織布などの下地層3の周面から両面テープ4の粘着材層への研磨スラリーの浸透によっても研磨層2と下地層3との層間の剥離が生じる場合がある。
【0010】
また、かかる研磨パッドは、図7に示すように、両面テープ4aによって、研磨機の定盤に固定されるが、下地層3の周面から浸透した研磨スラリーによって、定盤固定用の両面テープ4aの粘着材層が溶出した場合には、研磨パッドと両面テープ4aとの接着強度が弱くなって、研磨パッドが、定盤から剥離する場合があるという課題もある。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、積層型の研磨パッドの研磨レートの低下を抑制するとともに、層間の剥離を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の研磨パッドは、表面が被研磨物に圧接される研磨層を含む複数の層が、接着層を介して積層される研磨パッドであって、前記接着層を挟む二つの層の内の少なくとも一つの層と前記接着層との間に、研磨スラリーを遮断する止水層を設けている。
【0013】
止水層は、研磨スラリーを完全に遮断できるのが好ましいが、完全に遮断できなくても、研磨スラリーの浸透を抑制できればよい。
【0014】
接着層とは、二つの層を接着する層であり、接着には、粘着も含むものである。
【0015】
複数の接着層を備える場合には、全ての接着層について、止水層を設けてもよいが、少なくとも一つの接着層について、止水層を設けるものであればよい。
【0016】
前記接着層を挟む二つの層の内の少なくとも一つの層は、研磨層であるのが好ましい。
【0017】
本発明によると、接着層を挟む二つの層の内の少なくとも一つの層と前記接着層との間に、研磨スラリーを遮断する止水層を設けているので、前記二つの層の内の少なくとも一つの層から接着層へ研磨スラリーが浸透して接着層の成分が溶出するのを防止し、研磨レートの低下を抑制できるとともに、二つの層間の剥離を防止することができる。
【0018】
本発明の一つの実施形態では、前記複数の層の内の最も下層と、当該研磨パッドを定盤に固定するための接着層との間に、前記止水層を設けている。
【0019】
この実施形態によると、当該研磨パッドの最も下層と定盤への固定用の接着層との間に、止水層を設けているので、前記下層から前記接着層への研磨スラリーの浸透を抑制して、接着層の成分が溶出するのを防止し、これによって、当該研磨パッドが、定盤から剥離するのを防止することができる。
【0020】
本発明の他の実施形態では、前記接着層が、基材の両面に粘着材層が形成されてなる両面テープである。
【0021】
この実施形態によると、止水層によって、研磨スラリーの両面テープへの浸透が抑制されるので、両面テープの粘着材層の成分が、溶出するのを防止することができる。また、両面テープの粘着材層によって、止水層と両面テープとを、確実容易に接着することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、前記複数の層は、前記研磨層と、前記研磨層の裏面に、前記接着層を介して接着される下地層とからなる。
【0023】
この実施形態によると、研磨層と下地層とを接着する接着層の研磨層側、下地層側、あるいは、研磨層側および下地層側には、止水層が設けられるので、研磨層側から接着層への研磨スラリーの浸透、あるいは、下地層側から接着層への研磨スラリーの浸透を、止水層によって防止することができ、これによって、接着層の成分が溶け出して研磨層の表面に付着して研磨レートが低下するのを抑制することができ、また、研磨層と下地層との層間の剥離を防止することができる。
【0024】
下地層としては、不織布にポリウレタンを含浸させて硬化させたもの、発泡ポリウレタン、あるいは、ゴムシートなどが好ましい。
【0025】
研磨層としては、発泡ポリウレタン、不織布にポリウレタンを含浸させて硬化させたものなどが好ましい。
【0026】
また、下地層の弾性率が、研磨層の弾性率よりも小さいのが好ましい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、前記止水層が、熱接着フィルムである。
【0028】
この実施形態によると、熱接着フィルムを、加熱溶融させて、研磨層の裏面などに接着して、止水層を設けることができる。また、フィルム状であるので、均一な厚さの止水層とすることができる。
【0029】
この熱接着フィルムの溶融温度は、70℃以上120℃以下であるのが好ましく、更に好ましくは、90℃以上100℃以下である。
【0030】
止水層を構成する熱接着フィルムは、その溶融温度が高い程、接着後の密度および架橋密度が高く、研磨スラリーに暴露されても、その成分が溶出することがない。
【0031】
前記熱接着フィルムとしては、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、または、EVAオレフィン系を用いることができる。
【0032】
また、研磨層が、ポリウレタンである場合には、熱接着フィルムとしては、ポリウレタン系が好ましく、ポリオール成分とイソシアネート成分の成分比がmol%にて90〜70%:10〜30%であるのが好ましい。
【0033】
また、前記熱接着フィルムのポリマーの分子量が、重量平均分子量にして2×104〜4×104であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、接着層を挟む二つの層の内の少なくとも一つの層と前記接着層との間に、研磨スラリーを遮断する止水層を設けているので、前記二つの層の内の少なくとも一つの層から接着層へ研磨スラリーが浸透して接着層の成分が溶け出すのを防止し、研磨レートの低下を抑制できるとともに、二つの層間の剥離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態の研磨パッドの概略断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態の研磨パッドの概略断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態の研磨パッドの概略断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態の研磨パッドの概略断面図である。
【図5】剥離強度試験の結果を示す図である。
【図6】従来例の研磨パッドの概略断面図である。
【図7】従来例の研磨パッドの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態に係る研磨パッド1の概略断面図であり、上述の従来例に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0038】
この実施形態の研磨パッド1は、表面2aがシリコンウェハなどの被研磨物に圧接される研磨層2と、下地層3とを備える二層パッドであり、研磨層2と下地層3との間には、接着層としての両面テープ4が設けられる。
【0039】
この実施形態の研磨層2は、ウレタン樹脂を発泡させた発泡ポリウレタンからなる。
【0040】
このウレタン樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリエステルエーテル系、ポリカーボネート系のいずれのウレタン樹脂も使用することができる。各ウレタン樹脂の製造に使用されるポリオール成分としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシテトラメチレンアジペート等が挙げられる。また、イソシアネート成分としては、例えば、4−4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0041】
研磨層2には、発泡による孔(ポア)が多数存在し、この孔には、その最大径が、研磨層2の厚さ以上であるものが存在する。すなわち、研磨層2には、表面2aの研磨面から裏面まで貫通する孔が存在する。
【0042】
この実施形態の下地層3は、不織布にポリウレタンを含浸して硬化させたポリウレタン含浸不織布である。
【0043】
ウレタン樹脂としては、ポリエステル系あるいはポリエーテル系、ポリカーボネート系などの研磨層2と同様のウレタン樹脂を用いることができる。不織布としては、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系等の不織布を用いることができる。
【0044】
研磨層2と下地層3との間の接着層としての両面テープ4は、基材としての樹脂フィルム、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムと、その両面の、例えば、アクリル系の粘着材層とを備えている。
【0045】
粘着材層の粘着材は、常温で圧力をかけることにより流動化し、粘着機能を発現するものであり、粘着材の密度や架橋密度は、後述の止水層5を構成する熱接着フィルムに比べて、極めて低く、研磨スラリーに暴露させた場合には、熱接着フィルムよりも、はるかに容易に加水分解等が発生し、その成分が溶出する。
【0046】
この実施形態では、研磨層2の表面2aの研磨面に供給される研磨スラリーが、研磨層2を貫通する孔を介して両面テープ4の粘着材層に達し、粘着材層の成分が溶出するのを防止するために、研磨層2の裏面と両面テープ4との間に、止水層5を設けている。
【0047】
この実施形態では、止水層5は、ホットメルト接着剤である熱接着フィルムからなり、この熱接着フィルムとしては、例えば、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、または、EVA(Ethylene vinyl acetate)オレフィン系のいずれかの材料を用いることができる。
【0048】
この実施形態では、研磨層2が発泡ポリウレタンであるので、止水層5として、同じポリウレタン系の熱接着フィルムを用いており、このポリウレタン系の熱接着フィルムは、ポリオール成分とイソシアネート成分とから成り、その成分比がmol%にて90〜70%:10〜30%であるのが好ましい。
【0049】
また、熱接着フィルムのポリマーの分子量が、重量平均分子量にして2×104〜4×104であるのが好ましく、特に、2.5×104〜3.5×104であるのが好ましい。
【0050】
熱接着フィルムは、基本的に接着剤であって、粘着性を有しておらず、接着力を発現させる為にはその形態を変化させる必要があり、通常は、約100℃以上の温度を一定時間かける必要がある。一般的な研磨時の温度は、約30℃-40℃である為、熱接着フィルムが、両面テープ4の粘着材層のように研磨スラリーに溶け出すことはない。
【0051】
この熱接着フィルムの溶融温度が高いもの程、接着後の密度および架橋密度も高くなり、研磨スラリーに暴露されても、成分が溶出することがなく、したがって、熱接着フィルムの溶融温度は、最低100℃以上、好ましくは、120℃程度である。
【0052】
止水層5の厚さは、0.03mm〜0.2mmであるのが好ましい。特に、0.07mm程度あれば、十分な止水効果と接着力が得られる。
【0053】
この止水層5は、例えば、平面プレスあるいはロールプレスにより、研磨層2の裏面側に熱プレスによって設けることができる。
【0054】
量産性の観点からは、熱接着フィルムの流動化温度は、80℃-100℃であるのが好ましく、また、溶融粘度としては、300ps以下であるのが、加工上好ましい。
【0055】
止水層5が接着された研磨層2に、両面テープ4によって、下地層を、熱圧着して、上述の図1の研磨パッド1を得ることができる。
【0056】
両面テープ4は、上述のように粘着材層を有しているので、この粘着材層によって、研磨層2の裏面の止水層5に十分な強度で接着される。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0058】
化学的に発砲させたポリウレタンからなる研磨層の裏面に、ウレタン系の熱接着フィルム(ポリオール成分:イソシアネート成分(mol%)にておよそ85%:15%、重量平均分子量2.8×104)を止水層として熱接着し、次に両面テープによって、ポリウレタン含浸不織布からなる下地層を熱圧着して実施例の研磨パッドのサンプルを製作した。また、化学的に発砲させたポリウレタンからなる研磨層の裏面に、両面テープによって、ポリウレタン含浸不織布からなる下地層を熱圧着して、従来と同様の比較例の研磨パッドのサンプルを製作した。
【0059】
次に、下記の研磨条件で、実施例および比較例の研磨パッドを用いて研磨を行い、研磨レートおよび均一性を評価した。
【0060】
なお、均一性は、8インチTEOS膜つきウェハを研磨後に研磨面内49点の膜厚分布を測定し、その標準偏差を平均値で割ることにより、評価した。
<研磨条件>
・研磨スラリー:ヒュームド・シリカ・スラリー、pH11
・研磨機:24インチ定盤、研磨機
・プラテン回転速度: 上;50 rpm/下;50rpm
・スラリー流量: 200mL/min
・研磨パッド 実施例(止水層有りの二層研磨パッド)
比較例(止水層無しの二層研磨パッド)
・加圧力: 350gf/cm2
・研磨時間:2min
<研磨結果>
比較例の研磨パッド
・300バッチ(600分)研磨後に、研磨レートが4,000Å/minを下回る。
・400バッチ(800分)研磨後に、均一性が10%を超える。
・500バッチ(1,000分)研磨後に、部分的に層間の剥離が観察された。
実施例の研磨パッド
・500バッチ(1,000分)研磨後でも、研磨レートが4,000Å/minを維持する。
・500バッチ(1,000分)研磨後でも、均一性が7%を下回る。
・500バッチ(1,000分)研磨後でも、層間の剥離は観察されなかった。
【0061】
上記の研磨結果に示すように、止水層が無い比較例の研磨パッドでは、研磨レートが低下し、600分研磨後には、研磨レートが4,000Å/minを下回るのに対して、止水層を備える実施例の研磨パッドでは、1,000分研磨後でも4,000Å/minの研磨レートを維持することができた。
【0062】
また、比較例の研磨パッドでは、1,000分研磨後には、部分的な層間の剥離が認められたのに対して、実施例の研磨パッドでは、層間の剥離は認められなかった。
【0063】
更に、均一性については、800分研磨後には、比較例の研磨パッドが10%を越えていたのに対して、実施例の研磨パッドは、7%を下回っていた。
【0064】
この実施形態では、止水層5を、研磨層2と両面テープ4との間に設けたけれども、本発明の他の実施形態として、図2に示すように、下地層3と両面テープ4との間に設けてもよい。かかる構成によれば、下地層3の周面から浸透する研磨スラリーを、止水層5によって遮断して両面テープ4の粘着材層が溶出するのを防止することができる。また、本発明の他の実施形態として、図3に示すように、両面テープ4の両側に止水層5を設けてもよい。
【0065】
上述の各研磨パッドは、下地層3の下面が、両面テープによって研磨機の定盤に固定されるのであるが、下地層3の周面から研磨スラリーが浸透して両面テープの粘着材層の成分が溶出すると、研磨パッドと両面テープとの接着強度が弱まって、研磨パッドが定盤から剥がれる場合がある。
【0066】
そこで、本発明の他の実施形態として、図4に示すように、下地層3の下面と、定盤への固定用の両面テープ4aとの間に、止水層5aを設けるようにしてもよい。
【0067】
参考として、単層の研磨パッドについて、研磨パッドと、定盤への固定用の両面テープとの間に、止水層を設けたサンプルと、止水層を設けなかったサンプルの剥離試験を行った。
【0068】
すなわち、単層の発砲ポリウレタンからなる研磨パッドに止水層を熱接着し、次に両面テープを熱圧着した幅25mmの剥離強度測定用サンプルと、止水層を設けることなく、研磨パッドに両面テープを熱圧着した幅25mmの剥離強度測定用サンプルとを製作した。
【0069】
各サンプルを、pH10.5, 40℃のスラリー中に二日間、および七日間浸漬し、180度剥離にて剥離強度をそれぞれ測定した。サンプルは、各n=3を用意して再現性も確認した。
【0070】
図5に、その結果を示す。止水層無しのサンプルでは、二日間、七日間共に10N/25mmを下回る剥離強度であったのに対して、止水層を有するサンプルでは、20N/25mm〜25N/25mmと、約二倍以上の剥離強度を示した。
【0071】
このように、研磨パッドと定盤への固定用の両面テープと間に、止水層を設けることにより、剥離強度が向上することがわかる。
【0072】
上述の各実施形態では、研磨層と下地層との二層構造の研磨パッドに適用して説明したけれども、本発明は、三層以上の多層構造の研磨パッドに同様に適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、半導体ウェハや精密ガラス基板などの研磨に有用である。
【符号の説明】
【0074】
2 研磨層 3 下地層
4,4a 両面テープ 5,5a 止水層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が被研磨物に圧接される研磨層を含む複数の層が、接着層を介して積層される研磨パッドであって、
前記接着層を挟む二つの層の内の少なくとも一つの層と前記接着層との間に、研磨スラリーを遮断する止水層を設けることを特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
前記複数の層の内の最も下層と、当該研磨パッドを定盤に固定するための接着層との間に、前記止水層を設ける請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記接着層が、基材の両面に粘着材層が形成されてなる両面テープである請求項1または2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記複数の層は、前記研磨層と、前記研磨層の裏面に、前記接着層を介して接着される下地層とからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記下地層が、不織布にポリウレタンを含浸させて硬化させたものである請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記下地層が、発泡ポリウレタンである請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記下地層が、ゴムシートである請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記下地層の弾性率が、前記研磨層の弾性率よりも小さい請求項4〜7のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記研磨層が、発泡ポリウレタンである請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項10】
前記研磨層が、不織布にポリウレタンを含浸させて硬化させたものである請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項11】
前記止水層が、熱接着フィルムである請求項1〜10のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項12】
前記熱接着フィルムの材質が、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、または、EVAオレフィン系のいずれかである請求項11に記載の研磨パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−34018(P2013−34018A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−247031(P2012−247031)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【分割の表示】特願2007−271082(P2007−271082)の分割
【原出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000116127)ニッタ・ハース株式会社 (150)
【Fターム(参考)】