説明

破断開口容易な容器

【課題】容器本体と封鎖体とに渡って連結帯が一体的に形成された破断開口容易な樹脂製の容器について、容器の開封後に、容器本体の開口部から遠ざけた状態に封鎖体を固定することで、内容物を注出するときに封鎖体が邪魔にならないようにする。
【解決手段】封鎖体3の下端付近に中空の球殻部31が形成されて、容器本体2と封鎖体3との間の弱化部を破断して容器本体2の開口部(口部26の上端)を開口させることで、封鎖体2の球殻部31の下端が開口されるのに対して、封鎖体3を係止するための係止用突起27を容器本体2の側に形成して、該係止用突起27と球殻部31の開口部との係合により、容器本体2の開口部(口部26の上端)からの内容物の注出を妨げない位置で、封鎖体3を容器本体2に係止させて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成された、所謂ツイストオフ容器と呼ばれる破断開口容易な容器に関し、特に、容器本体と封鎖体とに渡って連結帯が一体的に形成されて、容器の開封後も容器本体と封鎖体とが連結帯を介して繋がった状態となるような破断開口容易な樹脂製の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
アンプル容器等で従来から一般的な開封機能と同様の開封機能を備えた樹脂製の容器、即ち、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成されていて、摘み部分となる封鎖体を摘んで捻ることで弱化部(被破断部)を破断して、容器本体から封鎖体を離すことで、容器本体の開口部を開口させる、所謂ツイストオフ容器と言われる破断開口容易な樹脂製の容器が従来から提案されている(例えば、本出願人の出願に係る下記の特許文献1等参照)。
【0003】
また、そのような破断開口容易な樹脂製の容器について、被破断部である弱化部から離れた箇所で、容器本体と封鎖体とに渡って、両者を繋ぐための連結帯を一体的に形成することで、弱化部を破断して容器を開封した後も、容器本体と封鎖体とが連結帯を介して繋がった状態となるようにすると共に、容器本体と繋がる封鎖体に対して、容器本体の開口部を再閉鎖するための栓部を一体的に形成しておく、ということが本出願人の出願に係る下記の特許文献2により従来公知となっている。
【特許文献1】特開2002−321750号公報
【特許文献2】実開平4−19449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来公知の破断開口容易な容器では、例えば、一回で内容物を出し切ってしまう場合には、容器本体の開口部を再閉鎖するための栓部を封鎖体に形成するような必要はないものの、缶容器におけるプルタブの場合と同様に、容器本体と封鎖体とを完全に分離してしまうと、使用済みの容器を回収する際に、容器本体と共に封鎖体を回収するのが困難となって、資源のリサイクルという点で不利になると共に、分離した封鎖体が散乱することで環境上の問題が生じる虞もあることから、何れにしても、弱化部を破断した後も容器本体と封鎖体とが繋がった状態となるように、容器本体と封鎖体とに渡って連結帯を一体的に形成しておくことが望ましい。
【0005】
しかしながら、樹脂製の容器で、容器本体と封鎖体とに渡って連結帯を一体的に形成した場合に、弱化部を破断して容器を開封した後で、容器本体の開口部から内容物を注出する際に、帯状の連結帯を介して容器本体と封鎖体とが一体的に連結されているため、連結帯を可動部として封鎖体が揺動し、揺動した封鎖体が容器本体の開口部を覆うことで、容器本体の開口部からの内容物の注出を封鎖体が邪魔する、というような問題が生じることとなる。
【0006】
なお、破断開口容易な樹脂製の容器の製法については、一般的に、外金型と中子の間に樹脂を射出する射出成形法や、2枚の樹脂製シート(又はフィルム)の間に圧空を吹き込んで外金型に押し付けたり外金型に真空で吸い付けたりするシート成形法や、円筒形のパリソンを金型で挟んで空気を吹き込むブロー成形法のような適宜の成形法が適用されるが、何れにしても、特に、オレフィン樹脂のような柔軟性に富んだ樹脂から容器を製造する場合には、容器本体と封鎖体とに渡って連結帯を設けると、連結帯が柔らかく変形し易いことから、上記のような問題が顕著なものとなる。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、容器本体と封鎖体とに渡って連結帯が一体的に形成された破断開口容易な樹脂製の容器について、容器の開封後に、容器本体の開口部から遠ざけた状態に封鎖体を固定することで、内容物を注出するときに封鎖体が邪魔にならないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するために、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成され、且つ、該弱化部から離れた箇所で、容器本体と封鎖体とに渡って、両者を繋ぐための連結帯が一体的に形成されている破断開口容易な樹脂製の容器において、封鎖体の下端付近に中空部分が形成されて、容器本体と封鎖体との間の弱化部を破断して容器本体の開口部を開口させることで、封鎖体の下端で中空部分が開口されるのに対して、封鎖体を係止するための係止用突起が容器本体の側に形成されており、該係止用突起と封鎖体の開口部との係合により、容器本体の開口部からの内容物の注出を妨げない位置で、封鎖体が容器本体に係止されて固定されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記のような本発明の破断開口容易な容器によれば、容器本体と封鎖体との間の弱化部を破断して容器本体の開口部を開口させた後、封鎖体の開口部と容器本体の係止用突起とを係合させることで、容器本体の開口部から離れた位置(内容物の注出を妨げない位置)に封鎖体を係止させて固定することができるため、封鎖体が揺動して容器本体の開口部を覆うようなことはなく、容器本体の開口部からの内容物の注出が封鎖体によって妨げられるようなことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
容器本体と封鎖体とに渡って連結帯が一体的に形成された破断開口容易な樹脂製の容器について、容器の開封後に、容器本体の開口部から遠ざけた状態に封鎖体を固定することで、内容物を注出するときに封鎖体が邪魔にならないようにするという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、封鎖体の下端付近に中空部分が形成されて、容器本体と封鎖体との間の弱化部を破断して容器本体の開口部を開口させることで、封鎖体の下端で中空部分が開口されるのに対して、封鎖体を係止するための係止用突起を容器本体の側に形成して、該係止用突起と封鎖体の開口部との係合により、容器本体の開口部からの内容物の注出を妨げない位置で、封鎖体を容器本体に係止させて固定するということで実現した。
【0011】
なお、本発明の破断開口容易な容器は、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂等の適宜の合成樹脂から一体的に形成されるものであり、例えば、外金型と中子の間に樹脂を射出する射出成形法や、2枚の樹脂製シート(又はフィルム)の間に圧空を吹き込んで外金型に押し付けたり外金型に真空で吸い付けたりするシート成形法や、円筒形のパリソンを金型で挟んで空気を吹き込むブロー成形法のような従来から知られた適宜の成形方法によって一体成形されるものである。
そのような本発明の破断開口容易な容器の一実施例について以下に説明する。
【実施例】
【0012】
本実施例では、破断開口容易な容器は、押出機から押し出された円筒形のパリソンを、二つ割りの金型に挟んで圧縮空気でブローし、円筒状の胴部と底部を一体成形してから、胴部の上部がヘッドスペースとなるように内容物を充填した後で、別の二つ割りの金型に挟んで胴部の上部を再成形することにより、図1および図2に示すように、内容物を収納する容器本体2と、容器本体2を封鎖する封鎖体3と、容器本体2と封鎖体3とを繋ぐ連結帯4とが一体的に形成されたものであって、容器本体2と封鎖体3との境界には、破断容易な弱化部(被破断部)5が形成されている。
【0013】
なお、容器本体2と封鎖体3との境界に形成される弱化部(被破断部)5は、その部分が部分的に薄肉化されることによるものであって、当該部分を薄肉に成形する方法としては、成形加工中に外金型と中子でパリソンを挟んで薄肉にする方法や、後加工として、レーザー照射によって薄肉にする方法や、刃物による切削加工を施すことで薄肉にする方法などの適宜の方法が適用できる。
【0014】
容器本体2では、円形板状の底部21から上方に円筒形の胴部22が形成され、胴部22の上端から曲面の肩部23を介して、胴部22より小径で円筒形の頸部24が形成され、頸部24の上端から内方に天板部25が形成され、天板部25の中央から上方に突出するように釣鐘形の口部26が形成されていて、この口部26の上端に、封鎖体3との境界として、破断容易な弱化部5が平坦な仮想水平面に沿って形成されている。
【0015】
封鎖部3では、容器本体2の開口部を封鎖する中空の球殻部31と、容器を開封する際の摘み部分となる平板部32とが一体的に形成されている。平板部32は、パリソンからブロー成形された円筒状の胴部の上部を押し潰すことで中空部を挟んだ所望の厚さに形成され、容器本体2の頸部24の直径とほぼ同じ幅を有して、球殻部31の下端を除いた三方を取り囲むように球殻部31と一体的に形成されている。封鎖部3の球殻部31の下端は平板部32の下端よりも少し下方に位置し、この球殻部31の下端に、容器本体2との境界として、破断容易な弱化部5が平坦な仮想水平面に沿って形成されている。
【0016】
容器本体2と封鎖部3とを繋ぐための連結帯4は、パリソンからブロー成形された円筒状の胴部の上部を二つ割りの金型で挟んで再成形する際に、容器本体2と封鎖部3との間の樹脂が部分的に排除されずに残されることで1本の棒板状に形成されたものであって、連結帯4の上端は、封鎖部3の平板部32の下端外縁に連結され、連結帯4の下端は、容器本体2の天板部25の上面外縁に連結されていて、容器本体2(口部26)と封鎖体3(球殻部31)との境界である弱化部5から離れた箇所で、容器の軸線方向(上下方向)に沿って延びている。
【0017】
ところで、上記のような構造を備えた本実施例の破断開口容易な容器1では、容器本体2と封鎖体3との間の弱化部5を破断することにより、容器本体2の開口部(口部26の上端)が開口されると共に、封鎖体3の側でも、中空の球殻部31の下端が開口されることとなるが、そのような封鎖体3の球殻部31の開口部に対して、容器本体2の口部26の下方には、連結帯4の変形によって球殻部31の開口部との係合が可能な範囲に、封鎖体3を容器本体2に係止させて固定するための係止用突起27が形成されている。
【0018】
なお、本実施例の容器1では、図1および図2に示すように、容器本体2の口部26の下方に、封鎖体3の球殻部31の開口部と係合する大きさの係止用突起27が形成されていると共に、この係止用突起27の周りで、容器本体2の頸部24と天板部25の一部に、封鎖体3の球殻部31が嵌り込む大きさの凹部28が形成されている。
【0019】
また、本実施例の容器1では、図3に示すように、封鎖体3の球殻部31を容器本体の凹部28に嵌り込ませて、球殻部31の開口部を容器本体2の係止用突起27に係合させた状態において、封鎖体3の中心軸Bは、容器本体2の中心軸Aに対して60°以上の角度で傾斜しており、また、封鎖体3の少なくとも球殻部31の部分は、容器本体2の口部26の上端を通る仮想平面よりも下方に位置している。
【0020】
上記のような本実施例の破断開口容易な容器1によれば、容器本体2と封鎖体3との間の弱化部5を破断して容器本体2の開口部(口部26の上端)を開口させた後で、封鎖体3の球殻部31と容器本体2の係止用突起27とを係合させることにより、連結帯4を可動部として封鎖体3を揺動させるようなことなく、容器本体2の開口部(口部26の上端)から離れた位置に封鎖体3を係止させて固定することができるため、封鎖体3が揺動して容器本体2の開口部を覆うようなことはなく、容器本体2の開口部から内容物を注出する際に、封鎖体3に邪魔されることなく、内容物をスムーズに注出することができる。
【0021】
以上、本発明の破断開口容易な容器の一実施例について説明したが、本発明は、上記のような実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、連結帯の位置については、実施例に示したような位置に限らず、容器本体や封鎖部の形状の違いによって適宜に変更可能なものであり、連結帯の本数については、実施例に示したような1本に限らず、複数本とすることも可能であり、また、封鎖体の平板部については、実施例に示したような中空部を挟んだ構造に限らず、全体を押し潰して実質的に中実な構造としても良く、封鎖体の下端付近の中空部分としては、実施例に示したような球状の中空部分(球殻部)に限らず、その他の形状の殻部(中空部分)であっても良く、容器本体に形成される係止用突起や凹部については、実施例に示したような一箇所(正面側の一箇所)に限らず、正面側と背面側の両方に設置して、その何れかに封鎖体を係止させるようにしても良く、さらに、容器本体の係止用突起の周りに形成される凹部については、場合によっては設けなくても良い等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の破断開口容易な容器の一実施例について、容器を開封する前の状態を示す正面図。
【図2】図1に示した容器を中央で半分に裁断して右側から見た状態を示す断面図。
【図3】図2に示した容器を開封してから封鎖体を容器本体に係止させて固定した状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0023】
1 破断開口容易な容器
2 容器本体
3 封鎖体
4 連結帯
5 弱化部
26 (容器本体の)口部
27 (容器本体の)係止用突起
31 (封鎖体の)球殻部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成され、且つ、該弱化部から離れた箇所で、容器本体と封鎖体とに渡って、両者を繋ぐための連結帯が一体的に形成されている破断開口容易な樹脂製の容器において、封鎖体の下端付近に中空部分が形成されて、容器本体と封鎖体との間の弱化部を破断して容器本体の開口部を開口させることで、封鎖体の下端で中空部分が開口されるのに対して、封鎖体を係止するための係止用突起が容器本体の側に形成されており、該係止用突起と封鎖体の開口部との係合により、容器本体の開口部からの内容物の注出を妨げない位置で、封鎖体が容器本体に係止されて固定されることを特徴とする破断開口容易な容器。
【請求項2】
容器本体の上端部分となる口部と、封鎖体の下端部分となる中空の球殻部とが、破断容易な弱化部を境界として一体的に形成されており、容器本体の口部の下方に係止用突起が形成されていて、弱化部の破断により開口された封鎖体の球殻部の開口部を、容器本体の係止用突起に係合させた状態で、容器本体の中心軸に対して封鎖体の中心軸が60°以上の角度で傾斜し、且つ、封鎖体の少なくとも球殻部の部分が、容器本体の口部上端を通る仮想平面よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の破断開口容易な容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−30752(P2008−30752A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202741(P2006−202741)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】