説明

破片検出センサ

【課題】 液体中に混入した破片を、その破片の材料が金属・非金属,磁性・非磁性,導電性・非導電性等のいずれの材料特性であるかを問わずに検出できる破片検出センサを提供する。
【解決手段】 この破片検出センサは、液体中に混入する破片を検出するセンサである。2つの対面する平板5,7と、これら2つの平板5,7のうち少なくとも一つの平板7を対面方向に動かして前記2つの平板5,7に破片を挟み込ませる平板移動機構9と、測定・判定手段16とを備える。測定・判定手段16は、前記2つの平板5,7間のギャップを測定することで、前記破片の有無、大きさ、または蓄積量を検出する。前記2つの平板のうち少なくとも1つの平板には絶縁層7aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潤滑油などの液体中に混入した破片を検出する破片検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車や航空機、ヘリコプタ等の潤滑油中に、エンジンやトランスミッション、軸受等の摩耗や破損によって生じた金属破片あるいは金属紛が混入していることを検出する装置として、メタルチェックセンサあるいはオイルチェックセンサあるいはデブリスセンサなどと呼ばれる金属片検出装置が提案されている(特許文献1〜5)。
このような金属片検出装置は、エンジンやギアボックス、軸受等の各種装置の健全性を検査する手段として使用され、検査対象の装置の各部位における劣化の情報をこれらの部位に破壊的な故障が生じる前に得ることが出来る。
【特許文献1】特開昭55−052943号公報
【特許文献2】特開昭61−253455号公報
【特許文献3】特開2000−321248号公報
【特許文献4】特許2703502号公報
【特許文献5】特許2865857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、特に航空機用ジェットエンジンにおいて、その小型化と高速化が求められている。従来より、航空機用ジェットエンジンの主軸用軸受では、その転動体に金属材料が用いられてきたが、現状の転動体材料では更なる高速化が困難な状況にある。高速化に耐えうるためには、軸受の転動体を窒化珪素(Si3N4 )等を原材料とするセラミック玉やセラミックころとする必要がある。また、ジェットエンジン用軸受にセラミック玉やセラミックころを適用した場合、大きく性能が向上し、ひいてはジェットエンジンの効率が向上し、環境負荷を軽減できる可能性がある。
一方、従来の金属片検出装置では、金属材料あるいは磁性材料あるいは導電性材料の破片のみ検出が可能であり、非金属、非磁性、非導電性を特徴とするセラミック材の検出は不可能であった。したがって、例えばセラミック製の転動体を使用した軸受の場合には、破壊的な故障が生じる前に、金属片検出装置を用いて転動体の劣化や損傷に関する情報を得ることができない。そのため、現状ではこの様な構成の軸受は、用途が限定された航空機にしか使用されていない。
【0004】
この発明の目的は、液体中に混入した破片を、その破片の材料が金属・非金属,磁性・非磁性,導電性・非導電性等のいずれの材料特性であるかを問わずに検出できる破片検出センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の破片検出センサは、液体中に混入する破片を検出するセンサであって、2つの対面する平板と、これら2つの平板のうちの少なくとも一つの平板を対面方向に動かして前記2つの平板に破片を挟み込ませる平板移動機構と、前記2つの平板間のギャップを測定することで、前記破片の有無、大きさ、または蓄積量を検出する測定・判定手段とを備え、前記2つの平板のうち少なくとも1つの平板に絶縁層を設けたことを特徴とする。 この構成によると、2つの平板のうちの一つの平板を動作させて、2つの平板間の静電容量を測定し、その測定値から破片の有無あるいは大きさや蓄積量を判定するようにしているので、検査対象である潤滑油等の液体中に混入した破片の状態(破片の有無や破片の大きさ)を推定できる。
とくに、前記2つの平板のうち少なくとも1つの平板に絶縁層を設けているので、2つの平板間に挟み込む破片が導電性材料からなる場合であっても、破片の状態を確実に推定することができる。
また、上記破片検出センサを自動車,航空機,ヘリコプタ等に組み込んだ場合、潤滑油中に混入した破片の状態をモニターすることができるため、故障の前兆あるいは故障の診断を行い、運転の停止や部品交換が必要なことを知らせることができる。また、検出した情報により、劣化や損傷から破壊的な故障が生じる前にその情報を得ることができる。
【0006】
この発明において、前記測定・判定手段は、前記2つの平板間のギャップの測定を静電電容量で測定するものであっても良い。静電容量によると、簡単な構成で精度良く2つの平板間の距離を検出することができる。
【0007】
この発明において、前記測定手段は、交流電流を印加して、インピーダンスを測定することにより前記静電容量を推定するものとしても良い。インピーダンス測定によると、簡単な構成で、精度良く測定できる。
【0008】
この発明において、前記測定手段は、前記静電容量の変化を周波数の変化に変換する発振器と、この発振器の発振する周波数から前記静電容量を推定する周波数対応容量推定手段とでなるものであっても良い。このように発振器および周波数対応容量推定手段を設けた場合、精度良く検出することができる。
【0009】
この発明において、前記測定手段は、前記2つの平板間に充電および放電を繰り返し生じさせる充放電手段と、その充電および放電の繰り返しにおける過度現象によって生じる充放電時間より前記静電容量を推定する充放電時間対応静電容量推定手段とでなるものであっても良い。充放電時間対応静電容量推定手段を設けた場合も、精度良く検出することができる。
【0010】
この発明において、前記平板移動機構として、直動アクチュエータを用いても良い。直動アクチュエータを用いると、回転駆動源を用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要で、破片検出センサを簡素でコンパクトな構成とできる。
【0011】
この発明の場合、前記直動アクチュエータは、電磁式または油圧式または空圧式のものであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
この発明の破片検出センサは、液体中に混入する破片を検出するセンサであって、2つの対面する平板と、これら2つの平板のうち少なくとも1つの平板を対面方向に動かして前記2つの平板間に前記破片を挟み込ませる平板移動機構と、前記2つの平板間のギャップを測定することで、前記破片の有無、大きさ、または蓄積量を検出する測定・判定手段とを備え、上記2つの平板のうち少なくとも1つの平板に絶縁層を設けたため、液体中に混入した破片を、その破片の材料が金属・非金属,磁性・非磁性,導電性・非導電性等のいずれの材料特性であるかを問わずに検出することができ、検出した情報により、劣化や損傷から破壊的な故障が生じる前にその情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図1は、この実施形態の破片検出センサの概略構成図を示す。この破片検出センサは、検査対象である液体中に混入する各種材料からなる破片を検出するセンサであって、互いに対面する2つの平板5,7と、これら2つの平板5,7のうちの少なくとも一つの平板を対面方向に動かして2つの平板5,7間に破片13(図3)を挟み込ませる平板移動機構9と、前記2つの平板5,7間のギャップを測定することで、前記破片13の有無、大きさ、または蓄積量を検出する測定・判定手段16とを備える。この破片検出センサの場合、潤滑油が検査対象の液体とされる。
【0014】
前記2つの平板5,7と平板移動機構9はセンサユニット1に組み込まれる。このセンサユニット1は、検査対象である潤滑油を流す油路4aが貫通して設けたられたベース部材4を有し、油路4aの一端には給油配管2が接続され、油路4aの他端には排油配管3が接続されている。この場合、潤滑油は、給油配管2の油路2aからベース部材4の油路4aを経由し、排油配管3の油路3aに流れる。例えば、給油配管2はエンジンやギアボックス、軸受等で使用された潤滑油が収集される配管に接続され、排油配管3はオイルタンクへの配管に接続される。
【0015】
2つの平板5,7のうちの一つの平板5は導電性材料からなる固定平板であって、ベース部材4の油路4aの途中において、絶縁材料からなる平板固定部材6を介してベース部材4に電気的に絶縁された状態で固定されている。固定平板5は、その表面が油路4a内に臨む向きとなるように配置される。
【0016】
平板移動機構9はプッシュプルソレノイド等からなる直動アクチュエータであって、その可動軸9aが前記ベース部材4の油路4aの貫通方向に直交する方向に進退自在となるように、アクチュエータ固定部材10を介してベース部材4に固定されている。直動アクチュエータ9の可動軸9aの先端部には、絶縁材料からなる平板固定部材8を介して、前記2つの平板5,7のうちの他の一つの平板7が電気的に絶縁された状態で固定されている。この平板7は、直動アクチュエータ9の可動軸9aと一体に進退自在とされた可動平板であって、固定平板5と同様に導電性材料からなり、ベース部材4を貫通して油路4a内に臨み固定平板5に対面する。ここでは直動アクチュエータ9としてプッシュプルソレノイドを使用した例を示しているが、直動アクチュエータであれば、その種類は問わない。たとえば、電動モータとボールネジを組み合わせたものでも良いし、空圧や油圧を使用したものでも良い。直動アクチュエータ9を動作させると、その可動軸9aに平板固定部材8を介して設置された可動平板7が進退して、固定平板5に近づいたり、離れたりする。
【0017】
直動アクチュエータ9の可動軸9aは、その後端部に固定されたばね受け部材11とアクチュエータ固定部材10との間に介在させた圧縮ばね12により、進出方向に付勢される。
図1は、直動アクチュエータ9に電源を投入した状態を示し、このとき可動軸9aは圧縮ばね12を圧縮させて後退しており、可動平板7は固定平板5から離れた位置にある。一方、直動アクチュエータ9に電源を投入していない状態では、図2のように、電源投入時に圧縮された圧縮ばね12が復元する力によって、可動平板7が固定平板5に接触する位置まで進出する。可動平板7と固定平板5とが接触した状態で、可動平板7には圧縮ばね12による予圧が与えられているので、可動平板7と固定平板5とは一定の圧力で接触した状態となる。
【0018】
また、可動平板7の固定平板5と対面する表面には絶縁層7aが設けられている。この絶縁層7aは、数μm〜10数μmの厚さで誘電率の高い材料とすることが望ましい。例えば、可動平板7をアルミ材とし、その表面にアルマイト処理を施すことで絶縁層7aとしても良い。また、可動平板7の表面にセラミック材を溶射することで絶縁層7aとしても良い。また、可動平板7に絶縁層7aを設けるのに代えて、固定平板5に同様の絶縁層を設けても良く、さらには2つの平板5,7の互いに対面する両面に絶縁層を設けても良い。
【0019】
測定・判定手段16は、静電容量測定手段14と判定手段15とでなる。静電容量測定手段14は、可動平板7と固定平板5との間の静電容量を測定する手段であり、静電容量測定手段14の入力端子である電極14a,14bがそれぞれ可動平板7と固定平板5に接続される。判定手段15は、静電容量測定手段14の測定値から潤滑油中の破片13(図3)の状態を判断する手段であり、例えば測定値と判定結果との関係を定めたテーブルまたは演算式等の判定規則を有し、その判定規則と測定値とを比較して破片の有無、大きさ、または蓄積両等につき、判定結果を出力するものである。
【0020】
次に、この破片検出センサにより潤滑油中の破片を検出する動作を説明する。
上記したように、直動アクチュエータ9に電源を投入すると、図1のように可動軸9aが後退して、その可動軸9aに平板固定部材8を介して設置された可動平板7が固定平板5から離れる。このとき、可動軸9aに固定されたばね受け部材11とアクチュエータ固定部材10のと間に設置された圧縮ばね12は、圧縮される。
【0021】
次に、検査対象の液体として、エンジン,ギアボックス,軸受等に使用されている潤滑油を給油配管2の油路2aからベース部材4の油路4a内を経由して排油配管3の油路3aに流し、この状態のもとに、直動アクチュエータ9への電源の投入を停止すると、圧縮ばね12の復元力により可動軸9aと一体に可動平板7が固定平板5に接近する方向に進出する。
このとき、ベース部材4の油路4aを流れる潤滑油中に、図3に示すように、エンジンやギアボックス、軸受等の摩耗や破損によって生じた各種材料からなる破片13が混入していると、この破片13が可動平板7と固定平板5との間に挟み込まれる。この場合、可動平板7と固定平板5との間には、破片13の厚み分のギャップdと可動平板7の表面に設けられた絶縁層7aの厚み分のギャップd’とが生じる。これにより、可動平板7と固定平板5との間には、ギャップdとギャップd’とによる合成静電容量Cが形成される。
【0022】
ところで、一般的に、平行平板間の静電容量Cは
C=εo εr S/d ……(1)
となることが知られている。
また、一般的に、直列に接続された2つの静電容量C1 ,C2 の合成静電容量Cは
C=(C1 ×C2 )/(C1 +C2 ) ……(2)
となることが知られている。
式(1)から、前記破片13の厚み分のギャップdによる静電容量C1 [F]は、真空中の誘電率εo (8.854 ×10-12 [F/m])と潤滑油の誘電率εr と平行平板の面積S[m2 ]とを掛け合わせたものを、ギャップd[m]で割った値となる。一方、前記絶縁層7aの厚み分のギャップd’による静電容量C2 [F]は、真空中の誘電率εo (8.854 ×10-12 [F/m])と絶縁層7aの誘電率εr ’と平行平板の面積S[m2 ]とを掛け合わせたものを、ギャップd’[m]で割った値となる。
この実施形態の場合、潤滑油および絶縁層7aの誘電率εr ,εr ’、絶縁層7aの厚み分のギャップd’、平行平板の面積Sはそれぞれ一定となるため、式(2)で示される2つの静電容量C1 ,C2 の合成静電容量Cの値は、破片13の厚み分のギャップdに依存する。
そこで、2つの平板5,7間の合成静電容量Cを前記静電容量測定手段14で測定することにより、破片13の厚み分のギャップdの値を検出し、その値により破片13の大きさや蓄積量を推定することができる。
【0023】
一方、2つの平板5,7間に破片13がない場合、潤滑油による極微小な膜によるギャップdが形成されるか、もしくは平板5,7同士(固定平板5と可動平板7の絶縁層7a)が接触する。潤滑油による極微小なギャップdの場合、静電容量C1 は破片13を挟み込んだ場合と比較するとかなり大きな値となり、合成静電容量Cはほぼ絶縁層7aの厚み分のギャップd’による静電容量C2 分の値となる。C2 の値は固定値であるため、破片13による合成静電容量Cの変化からギャップ変化の大きさを推定できる。
【0024】
とくに、この破片検出センサでは、2つの平板5,7の少なくとも一方の平板(ここでは可動平板7)の相手の平板と対面する表面に絶縁層7aを設けているので、2つの平板5,7間に挟み込む破片13が導電性材料からなる場合であっても、破片13の厚み分のギャップdを静電容量に換算して確実に推定することができる。
すなわち、この実施形態において、例えば可動平板7に絶縁層7aが無いとすると、2つの平板5,7間に導電性材料の破片13を挟み込んだ場合、破片13の厚み分のギャップがあるにもかかわらず、2つの平板5,7間が導通状態となってギャップを測定できないが、上記したように絶縁層7aを設けることで、このような測定の不具合を解消できる。
破片13の有無あるいは大きさや蓄積量の判定は、静電容量測定手段14の測定値に基づき、判定手段15で判定される。静電容量測定手段14には、電気容量計などの計測器を用いることができる。
【0025】
図4は、図1の破片検出センサにおける測定・判定手段16の構成要素である静電容量測定手段14の一構成例を示す。この静電容量測定手段14は、直列接続した発振器20と電流測定手段21とでなり、発振器20から可動平板7と固定平板5に交流電流を流し、平板5、7間の静電容量Cをインピーダンスに換算して電流測定手段21で測定する。この場合、測定したインピーダンスから静電容量Cを求めることもできる。その他の構成は図1の場合と同様である。
【0026】
図5は、図1の破片検出センサにおける測定・判定手段16の構成要素である静電容量測定手段14の他の構成例を示す。この静電容量測定手段14は、OPアンプ32で構成した発振器30と、この発振器30の発振周波数から静電容量を推定する周波数対応容量推定手段31とでなり、測定した発振器30の周波数から平板5,7間の静電容量Cを推定する。この場合の発振器30はリラクセーションオシレータ(relaxation oscillator )と呼ばれ、OPアンプ32に抵抗33Ra ,33Rb ,33Rt 、およびコンデンサ33Ct を接続して構成される。抵抗33Ra ,33Rb ,33Rt の抵抗値をRa ,Rb ,Rt 、コンデンサ33Ct の静電容量をCt とすると、発振周波数fは、およそ、
f=1/(2Rt Ct ) ……(3)
となることが知られている。ここでは、前記発振器30のコンデンサ33Ct が平板5,7間の静電容量Cに置き換えられることで、その静電容量Cが推定される。
【0027】
図6は、図1の破片検出センサにおける測定・判定手段16の構成要素である静電容量測定手段14のさらに他の構成例を示す。この静電容量測定手段14は、充放電手段40と、その充電および放電の繰り返しにおける過度現象によって生じる充放電時間より静電容量を推定する充放電時間対応静電容量推定手段41とでなる。充放電手段40は、充電抵抗42と充電スイッチ43の直列回路部を被測定静電容量Ct に直列接続すると共に、放電スイッチ44と放電抵抗45の直列回路部を被測定静電容量Ct に並列接続した回路である。充放電時間対応静電容量推定手段41は、充放電手段40での充放電電圧を監視する電圧測定手段46と、この電圧測定手段46が監視する電圧が規定電圧になるまでの時間を測定することにより、被測定静電容量Ct を推定する判断手段47とでなる。
【0028】
この場合、例えば、充電スイッチ43をオンにして充電を開始し、被測定静電容量Ct の充電電圧を電圧測定手段46で監視して、その充電電圧が規定電圧になるまでの充電時間を判断手段47で測定することにより、被測定静電容量Ct を推定できる。または、予め所定電圧まで充電させた被測定静電容量Ct に対して、放電スイッチ44をオンにして放電を開始し、被測定静電容量Ct の放電電圧を電圧測定手段46で監視して、その放電電圧が規定電圧になるまでの放電時間を判断手段47で測定することにより、被測定静電容量Ct を推定できる。ここでは、前記被測定静電容量Ct が平板5,7間の静電容量Cに置き換えられることで、その静電容量Cが推定される。
【0029】
このように、この実施形態の破片検出センサでは、可動平板7を動作させ、可動平板7と固定平板5の間の静電容量Cを静電容量測定手段14で測定し、この静電容量測定手段14の測定値から破片13の有無あるいは大きさや蓄積量を判定手段15で判定するようにしたため、潤滑油中に混入した破片13の状態を推定できる。
また、上記破片検出センサを自動車,航空機,ヘリコプタ等に組み込んだ場合、潤滑油中に混入した破片の状態をモニターすることができるため、故障の前兆あるいは故障の診断を行い、運転の停止や部品交換が必要なことを知らせることができ、安全性が向上する。また、機械部品の寿命や経年変化を予測できるため、部品の無駄な交換や遅れた交換がなくなり、経済性が向上する。
【0030】
図7は、この発明の破片検出センサの他の実施形態を示す。この実施形態では、図1に示す実施形態において、判定手段15の次段に記録手段50を追加して、潤滑油中に混入した破片13の状態をリアルタイムでモニタできるようにしたものである。静電容量測定手段14は、図4〜図6に示したいずれのものを用いても良い。なお、判定手段15は、静電容量測定手段14により測定された静電容量の変動の値が所定の閾値を超えたことで、不具合が発生したと判定するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる破片検出センサの電源投入時の概略構成図である。
【図2】同破片検出センサの電源投入停止時の概略構成図である。
【図3】同破片検出センサの検出動作の説明図である。
【図4】同破片検出センサにおける静電容量測定手段として一構成例を用いた場合の検出動作の説明図である。
【図5】同破片検出センサにおける静電容量測定手段の他の構成例を示す回路図である。
【図6】同破片検出センサにおける静電容量測定手段のさらに他の構成例を示す回路図である。
【図7】この発明の他の実施形態にかかる破片検出センサの電源投入時の概略構成図である。
【符号の説明】
【0032】
5…固定平板
7…可動平板
7a…絶縁層
9…直動アクチュエータ(平板移動機構)
13…破片
14…静電容量測定手段
15…判定手段
16…測定・判定手段
30…発振器
31…周波数対応容量推定手段
40…充放電手段
41…充放電時間対応静電容量推定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に混入する破片を検出するセンサであって、2つの対面する平板と、これら2つの平板のうち少なくとも1つの平板を対面方向に動かして前記2つの平板間に前記破片を挟み込ませる平板移動機構と、前記2つの平板間のギャップを測定することで、前記破片の有無、大きさ、または蓄積量を検出する測定・判定手段とを備え、上記2つの平板のうち少なくとも1つの平板に絶縁層を設けたことを特徴とする破片検出センサ。
【請求項2】
請求項1において、前記測定・判定手段は、前記2つの平板間のギャップの測定を静電容量で測定する測定手段を有する破片検出センサ。
【請求項3】
請求項2において、前記測定手段は、交流電流を印加して、インピーダンスを測定することにより上記静電容量を推定するものとした破片検出センサ。
【請求項4】
請求項2において、前記測定手段は、前記静電容量の変化を周波数の変化に変換する発振器と、この発振器の発振する周波数から前記静電容量を推定する周波数対応推定手段とでなる破片検出センサ。
【請求項5】
請求項2において、前記測定手段は、前記2つの平板間に充電および放電を切り返し生じさせる充放電手段と、その充電および放電の繰り返しにおける過度現象によって生じる充放電時間より前記静電容量を推定する充放電時間対応静電容量推定手段とでなる破片検出センサ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記平板移動機構として、直動アクチュエータを用いた破片検出センサ。
【請求項7】
請求項6において、前記直動アクチュエータは、電磁式または油圧式または空圧式のものである破片検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−82743(P2008−82743A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260533(P2006−260533)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】