説明

破砕装置

【課題】固定刃と回転刃の破損を防止することができ、また被破砕物を効率良く破砕処理できる破砕装置を提供する。
【解決手段】破砕装置1は、破砕室3の下方へ被破砕物を導く開口部5が開放された筐体7と、開口部5の内側へ鋸刃状の刃先を突出した固定刃9と、回転刃11を周面に設けた破砕ロータ13と、破砕ロータ13を回転させる駆動手段15とを備え、被破砕物97が破砕ロータ13と共に回転する回転刃11から受ける力を、固定刃9が受け止めるものである。更に、破砕装置1は、固定刃9を支持する支持体45と、支持体45を固定刃9が受け止める力の方向に移動自在に案内し筐体7に固定された案内部材47と、固定刃9の受ける上記の力に抗して支持体45の移動を規制する規制手段49とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物等の被破砕物を破砕する破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
破砕装置は、被破砕物が投入される破砕室の底部に固定刃を配置し、この固定刃に対向する回転刃を、モータ等の駆動源により回転する破砕ロータに取付け、固定刃と回転刃との間で被破砕物をせん断するものである。従来の破砕装置が下記の特許文献に開示されている。
【0003】
上記の被破砕物は、家具等の粗大ゴミ、家庭用電気製品、プラスチック、木材、又は紙等を対象にしているが、厚肉の金属片のような難処理物が被破砕物に含まれていることがある。このような難処理物が破砕装置の固定刃と回転刃との間に噛み込まれると、固定刃と回転刃とが難処理物から過大な反力を衝撃として受けるので、固定刃、又は回転刃が破損することがある。また、難処理物は破砕ロータの回転を妨げるので除去する必要があるが、そのために破砕装置を停止させる時間が長くなる程、破砕装置の被破砕物を処理する効率が低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−073614号公報
【特許文献2】特開2002−159876号公報
【特許文献3】特願平11−201856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、固定刃と回転刃の破損を防止することができ、また被破砕物を効率良く破砕処理できる破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、被破砕物の投入される破砕室を有し前記破砕室の下方へ被破砕物を導く開口部が開放された筐体と、前記筐体に取付けられ前記開口部の内側へ突出する固定刃と、前記開口部の内側に設けられ前記固定刃に対向する回転刃を周面に設けた破砕ロータと、前記破砕ロータを回転させる駆動手段とを備え、前記固定刃と前記回転刃との間に被破砕物を噛み込ませ、前記回転刃から被破砕物が受ける力を、前記固定刃で受け止める破砕装置であって、前記固定刃を支持する支持体と、前記固定刃の受ける力の方向に移動自在に案内する案内部材と、前記固定刃の受ける力に抗して前記支持体の移動を規制する規制手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記規制手段が、前記固定刃を摩擦力により前記筐体に対して固定する摩擦ブレーキであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記固定刃の移動を検出し検出信号を送出する検出手段と、前記支持体を移動させる移動手段と、前記検出信号に基づき前記移動手段を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記駆動手段の負荷を検出し検出信号を送出する検出手段と、前記支持体を移動させる移動手段と、前記検出信号に基づき前記移動手段を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記破砕ロータの下方に設けられ、前記破砕室の開口部から落下する被破砕物の大きさを選別するスクリーンと、前記破砕室の開口部を塞ぐ姿勢、又は前記固定刃の下方を開放する姿勢に前記スクリーンを動作させる開閉手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る破砕装置によれば、破砕室に投入された被破砕物を固定刃と回転刃との間に噛み込ませたとき、被破砕物が破砕ロータと共に回転する回転刃から受ける力を固定刃が受け止める。一方、規制手段は、固定刃の受ける上記の力に抗して支持体が移動するのを規制する。このため、固定刃の受ける上記の力が支持体の移動する向きに逃げないので、当該破砕装置は被破砕物の破砕を良好に行うことができる。
【0012】
また、被破砕物に含まれる難処理物が固定刃と回転刃との間に噛み込まれた時点で、規制手段は、固定刃の受ける難処理物の反力を逃がす向きに支持体が移動することを許容する。これにより、当該破砕装置は、固定刃と回転刃とが難処理物から受ける衝撃を緩和し、固定刃、又は回転刃の破損を回避することができる。規制手段が、固定刃を筐体に対して摩擦力により固定する摩擦ブレーキである場合、固定刃と回転刃とが難処理物から受ける反力よりも摩擦力を小さく設定しておけば、上記の効果を達成することができる。
【0013】
更に、本発明に係る破砕装置によれば、固定刃が難処理物の反力により所定位置から移動したこと、又は駆動手段の負荷の大きさが変化したことを、検出手段が検出し検出信号を送出する。この検出信号に基づき、制御装置が移動手段を制御する。例えば、固定刃が回転刃から離れるように、移動手段が支持体を移動させることにより、固定刃と回転刃との間に噛み込んだ難処理物を、これらの間から人手によらず落下させることができる。反対に、移動手段は、固定刃を所定位置に復帰させることができる。従って、難処理物を固定刃と回転刃との間から除去するために当該破砕装置を停止させる時間を最小限に短縮できるので、当該破砕装置は被破砕物を効率良く破砕することができる。
【0014】
更に、本発明に係る破砕装置によれば、開閉手段により開閉するスクリーンが破砕室の開口部を塞ぐ姿勢をとるとき、スクリーンで選別される大きさ以下に破砕された被破砕物だけを、破砕室の開口部から落下させることができる。また、開閉手段が、固定刃の下方を開放するようスクリーンを動作させると、上記のように固定刃と回転刃との間から落下する難処理物を、スクリーンで受け止めることなく、筐体の外部へ容易に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る破砕装置の側面図。
【図2】本発明に係る破砕装置の平面図。
【図3】本発明に係る破砕装置の要部を示す図2のA−A線断面図。
【図4】本発明に係る破砕装置の固定刃の取付構造を示す平面図。
【図5】(a)は本発明に係る破砕装置の要部を示す平面図、(b)は互いに対向する固定刃と回転刃の配置例を示す平面図。
【図6】本発明に係る破砕装置の規制手段の取付構造を示す断面図。
【図7】(a)は本発明に係る破砕装置の規制手段の原理を示す断面図、(b)はその動作した状態を示す断面図。
【図8】本発明に係る破砕装置の規制手段の変形例の取付構造を示す断面図。
【図9】本発明に係る破砕装置の構成を示すブロック図。
【図10】本発明に係る破砕装置の動作工程を説明するフローチャート。
【図11】(a)は本発明に係る破砕装置に適用される分別手段の一例を示す断面図、(b)はその他例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る破砕装置について説明する。図面は以下で指定する番号に加え、図1〜図3を常に参照する。
【0017】
破砕装置1は、破砕室3を有し破砕室3の下方へ被破砕物を導く開口部5が開放された筐体7と、筐体7に取付けられ開口部5の内側へ鋸刃状の刃先を突出した固定刃9と、開口部5の内側に設けられ回転刃11を周面に設けた破砕ロータ13と、破砕ロータ13を矢印α方向へ回転させる駆動手段15と、破砕ロータ13の下方に設けられ開口部5を塞ぐスクリーン17と、油圧シリンダー19の伸縮に従い破砕ロータ13に進退するプッシャー21とを備える。
【0018】
破砕室3の上面には、被破砕物を破砕室3に投入するための投入口23が形成されている。符号25は投入口23の縁部に設けたフランジを指している。固定刃9は、図4に示すように、厚手の3枚の鋼板を筐体7の幅方向に縦列させ、後述の可動ホルダー27にボルトで固定したものである。以下に記す「所定位置」は、固定刃9の上面が破砕室3の底面29と略同じ高さになる固定刃9の高さを意味する。
【0019】
破砕ロータ13は、図5(a)に示すように、周溝31を有するドラムの両端から回転軸33を突出し、筐体7の両側面に設けた軸受部材35に回転軸33を軸受けされている。回転刃11は、破砕ロータ13の周溝31の内側に溶接した取付ホルダー37に、鋼チップ39をボルトで締付けたものである。同図(b)に示すように、固定刃9と回転刃11とは互いに間隙を空けて対向する。
【0020】
駆動手段15は、ベルトカバー41に納められたベルトを介して破砕ロータ13の回転軸33に回転力を伝達する電動機、又は破砕ロータ13の回転軸33に接続した油圧モータである。符号43は減速機を指している。プッシャー21は、被破砕物を破砕ロータ13の周面に押付け、固定刃9と回転刃11との間に被破砕物が噛み込むのを促進するものである。
【0021】
更に、破砕装置1は、固定刃9を支持する支持体45と、図4に示す案内部材47と、支持体45の移動を規制する規制手段49とを備える。
【0022】
支持体45は、固定刃9を固定された可動ホルダー27に、排圧式保持装置51のピストンロッド53を接合したものである。案内部材47は、図4に上端が表れた一対の溝形レール55の内側に、可動ホルダー27の両端に設けた滑子57を係合したものであり、支持体45を上下方向に移動自在に案内できる。規制手段49は、図6に示すように排圧式保持装置51のシリンダー59を直立させ、その端部を筐体7に固定したものである。排圧式保持装置51は、ベアロック(登録商標)として市販されており、固定刃9を移動(昇降)させる移動手段の機能を、次のように果たすものである。
【0023】
図7(a)に示すように、排圧式保持装置51のシリンダー59は、締まり嵌めとなるピストン61が嵌入されている。ピストンロッド53に形成した加圧ポート63からシリンダー59の内周面とピストン61との間に供給される油圧により、シリンダー59が径方向に膨張する。この状態で、作動油ポート65に油圧が供給されると、ピストンロッド53が上昇する。反対に、作動油ポート67に油圧が供給されると、ピストンロッド53が下降する。ここに述べたピストンロッド53の動作に従い図6に示す固定刃9が移動(昇降)する。
【0024】
加圧ポート63に供給される油圧が絶たれると、図7(b)に示すように、シリンダー59が収縮することにより、シリンダー59の内周面とピストン61との間の摩擦力が増大し、ピストン61がシリンダー59に対して昇降することが規制される。この状態で、排圧式保持装置51は、固定刃3を摩擦力により筐体7に対して固定する摩擦ブレーキ69として機能する。上記の摩擦力は、排圧式保持装置51の固有の値であり、排圧式保持装置の仕様により異なる。
【0025】
図6に示す排圧式保持装置51は、固定刃9が所定位置に達するまでピストンロッド53を上昇させている。この状態で、排圧式保持装置51の加圧ポート63に供給される油圧は絶たれているので、排圧式保持装置51は、ピストンロッド53と共に支持体45が昇降するのを摩擦ブレーキ69の摩擦力によって規制する。このため、固定刃9と回転刃11との間に噛み込まれた被破砕物が、破砕ロータ13と共に矢印α方向へ回転する回転刃11から下向きの力を受けるとき、この力を排圧式保持装置51が下方へ逃がすことがないので、破砕装置1は被破砕物の破砕を良好に行うことができる。
【0026】
また、1つの排圧式保持装置51が図6に表れているが、複数の排圧式保持装置51を筐体7の幅方向に並べても良い。例えば、3つの排圧式保持装置51のそれぞれのピストンロッド53を可動ホルダー27に接合する場合、個々の排圧式保持装置51のピストンロッド53に加わる荷重が約20トンを超えるまで、固定刃9の下降を規制できるように、破砕装置1に適用する排圧式保持装置の仕様を選定する。
【0027】
被破砕物に含まれる難処理物が固定刃9と回転刃11との間に噛み込まれた時点で、排圧式保持装置51は、固定刃9の受ける難処理物の反力を逃がすように支持体45が移動することを許容する。即ち、固定刃9と回転刃11とが難処理物から受ける反力は、破砕装置1が被破砕物を破砕する工程に比べ増大する。このため、固定刃9が難処理物の反力を受け、3つの排圧式保持装置51のそれぞれのピストンロッド53に上記20トンの摩擦力を超える下向きの荷重が加わると、固定刃9がピストンロッド53と共に下降することになる。これにより、固定刃9と回転刃11とが被破砕物から受ける衝撃を緩和し、固定刃9、又は回転刃11の破損を回避することができる。このように固定刃9が難処理物の反力を受けて下降する距離は数mmで足りる。
【0028】
以上に述べた排圧式保持装置51は、本発明の必須の要素ではなく、可動ホルダー27を汎用の油圧シリンダーの伸縮に従わせて昇降させても良い。また、筐体7に保持される摩擦材を、可動ホルダー27の適所に圧接することにより、固定刃9の下降を規制する摩擦力を発生させても良い。或いは、図8に示すように、筐体7に固定した円筒部材71の内側に、可動ホルダー27に接合した垂下ロッド73を進入させ、これらを貫通するピン75が剪断力を受けるように、規制手段49を構成しても良い。この場合、ピン75の剪断応力によって固定刃9の下降が規制される。符号77は、ピン75が破断したときに固定刃9を所定位置まで押し上げるコイルスプリングを指している。
【0029】
更に、図9に示すように、破砕装置1は、支持体45の移動、又は駆動手段15の負荷を検出する検出手段79と、スクリーン17を開閉する開閉手段81と、制御装置83とを備えることが好ましい。
【0030】
検出手段79として、固定刃9を検出する近接センサーを適用しても良い。この場合、固定刃9が所定位置から下降したとき、検出手段79が検出信号を送出する。或いは、検出手段79として、駆動手段15の回転数を検出するタコジェネレータを適用しても良い。この場合、難処理物が固定刃9と回転刃11との間に噛み込まれたとき、破砕ロータ13の回転する速度が減速することを検出手段79が検出し検出信号を送出する。
【0031】
また、駆動手段15が電動機であれば、検出手段79は、電動機に供給される電流の変化を検出することにより、検出信号を送出する電流センサーであっても良い。或いは、駆動手段15が油圧モータであれば、検出手段79は油圧センサーであっても良い。この場合、検出手段79は、油圧モータに供給される作動油の圧力が所定値を上回ったことを検出したとき検出信号を送出する。この他、検出手段79は、難処理物が固定刃9又は回転刃11に衝突するときの騒音、又は振動を検出することにより、検出信号を送出する音センサー、又は振動センサーであっても良い。
【0032】
スクリーン17は、格子状に枠組した鋼材の隙間、又は金網の目を、所望の大きさ以下に破砕された被破砕物が通過できる寸法としたものである。スクリーン17の端部は、支軸85に接合されたスイングアーム87に支持されている。筐体7の両側面には、一対の油圧シリンダー89が設けられている。支軸85は筐体7に軸受けされ、その両端に取付けたクランク91を介して、油圧シリンダー89のピストンロッド93に連結されている。ここに述べた支軸85、スイングアーム87、油圧シリンダー89、及びクランク91が開閉手段81を構成する。
【0033】
制御装置83は、コンピューターを主体とし、このコンピューターがアクセスできる記憶媒体に書き込まれたプログラム、オペレーター等による指令、又は上記の検出信号に基づいて、図に表れていない油圧ユニットから排圧式保持装置51の加圧ポート63、作動油ポート65,67、又は開閉手段81の油圧シリンダー89に供給される油圧を制御するものである。油圧ユニットは、油圧ポンプ、方向切換え弁、リリーフ弁、及びタンク等を備えるものであれば良い。更に、制御装置83は駆動手段15を制御することができる。これにより、制御装置83は排圧式保持装置51の動作、及び開閉手段81の動作に加え、破砕ロータ13の回転、又は停止を次のように制御することができる。以下の文中のS1〜S8は、図10に示すフローチャートのステップに対応する。
【0034】
先ず、駆動手段15が起動し破砕ロータ13が回転する(S1)、破砕室3に投入された被破砕物は、所定位置にある固定刃9と回転刃11との間に噛み込まれ破砕される。この工程で破砕ロータ13の回転は継続する(S2)。被破砕物に含まれる難処理物が固定刃9と回転刃11との間に噛み込まれると、既述の通り固定刃9が難処理物の反力を受けて下降したことを、検出手段79が検出する(S3)。検出手段79の検出信号に基づき直ちに駆動手段15が破砕ロータ13を停止させる(S4)。
【0035】
ここに検出手段79が近接センサーである例を述べたが、検出手段79がタコジェネレータ、電流センサー、油圧センサー、音センサー、又は振動センサーであっても、破砕装置1は破砕ロータ13の停止を上記(S4)と同様に行える。
【0036】
続いて、開閉手段81が、支軸85を中心にスイングアーム87を図3の矢印O方向に旋回させる。これにより、スクリーン17は同図に仮想線で表したように、固定刃9と回転刃11との間隙の真下を開放する姿勢になる(S5)。上記のように固定刃9と回転刃11との間に被破砕物が噛み込まれた時点で固定刃9は既に下降しているが、排圧式保持装置51が、その作動油ポート67、及び加圧ポート63に油圧を供給されることによってピストンロッド53を積極的に下降させる。これにより、固定刃9が更に下降する(S6)ので、固定刃9と回転刃11との間から難処理物が落下し、スクリーン17で受け止められることなく、筐体7から排出される。
【0037】
難処理物の排出が完了したところで、排圧式保持装置51が、その作動油ポート65に供給される油圧によってピストンロッド53を上昇させ、固定刃9を所定位置に復帰させる(S7)。この時点で加圧ポート63に供給される油圧が絶たれる。開閉手段81が、支軸85を中心にスイングアーム87を図3の矢印C方向に旋回させ、スクリーン17を同図に実線で表したように破砕室3の開口部5を塞ぐ姿勢に復帰させる(S8)。このように、破砕装置1は、難処理物を固定刃9と回転刃11との間から人手によらず迅速に除去することができ、破砕装置1を停止させる時間を最小限に短縮できるので、被破砕物の破砕を効率良く行うことができる。
【0038】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様で実施できる。例えば、破砕装置1に適用する排圧式保持装置51の個数、又はその摩擦力の大きさは適宜に増減できるものである。また、上記の検出手段79、制御装置83、スクリーン17、プッシャー21、又は開閉手段81を省略し、或いは排圧式保持装置51を移動手段として機能させなくても、本発明の実施が妨げられることはない。また、破砕室3の底面29は水平である必要はなく、固定刃9に向けて下降するよう傾斜していても良い。排圧式保持装置51が固定刃9を移動させる方向が水平方向、又はこれに傾斜する方向であっても良い。
【0039】
図11(a)に示すように、シュート95を筐体7の下面に設け、開口部5から落下する破砕済みの被破砕物97を、筐体7の下方に設置したベルトコンベヤ99に滑降させても良い。ベルトコンベヤ99はそのベルト101に載せた被破砕物97を一方のバケット103に投下すものである。また、固定刃9が下降すること(S6)により難処理物105が落下したとき、ベルトコンベヤ99がベルト101を逆転させるようにすれば、難処理物105を他方のバケット107に投下することができる。或いは、同図(b)に示すように、シュート109の内部に設けた切換ダンパー111により、被破砕物又は難処理物を滑降させる方向を選択できるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る破砕装置を用いて破砕する被破砕物の材質や形態については、何ら限定されるものではない。また、当該破砕装置の用途は廃材等の処理工程に限られることはなく、何かの製造、又はリサイクル等の工程で当該破砕装置を使用しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1…破砕装置、3…破砕室、5…開口部、7…筐体、9…固定刃、11…回転刃、13…破砕ロータ、15…駆動手段、17…スクリーン、19,89…油圧シリンダー、21…プッシャー、23…投入口、27…可動ホルダー、29…底面、31…周溝、33…回転軸、35…軸受部材、37…取付ホルダー、39…鋼チップ、41…ベルトカバー、45…支持体、47…案内部材、49…規制手段、51…排圧式保持装置(移動手段)、53,93…ピストンロッド、55…溝形レール、57…滑子、59…シリンダー、61…ピストン、63…加圧ポート、65,67…作動油ポート、69…摩擦ブレーキ、71…円筒部材、73…垂下ロッド、75…ピン、79…検出手段、81…開閉手段、83…制御装置、85…支軸、87…スイングアーム、91…クランク、95,109…シュート、97…被破砕物、99…ベルトコンベヤ、101…ベルト、103,107…バケット、105…難処理物、111…切換ダンパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕物の投入される破砕室を有し前記破砕室の下方へ被破砕物を導く開口部が開放された筐体と、前記筐体に取付けられ前記開口部の内側へ突出する固定刃と、前記開口部の内側に設けられ前記固定刃に対向する回転刃を周面に設けた破砕ロータと、前記破砕ロータを回転させる駆動手段とを備え、前記固定刃と前記回転刃との間に被破砕物を噛み込ませ、前記回転刃から被破砕物が受ける力を、前記固定刃で受け止める破砕装置であって、
前記固定刃を支持する支持体と、前記固定刃の受ける力の方向に移動自在に案内する案内部材と、前記固定刃の受ける力に抗して前記支持体の移動を規制する規制手段とを備えることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記規制手段は、前記固定刃を摩擦力により前記筐体に対して固定する摩擦ブレーキであることを特徴とする請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
前記固定刃の移動を検出し検出信号を送出する検出手段と、前記支持体を移動させる移動手段と、前記検出信号に基づき前記移動手段を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の破砕装置。
【請求項4】
前記駆動手段の負荷を検出し検出信号を送出する検出手段と、前記支持体を移動させる移動手段と、前記検出信号に基づき前記移動手段を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕ロータの下方に設けられ、前記破砕室の開口部から落下する被破砕物の大きさを選別するスクリーンと、
前記破砕室の開口部を塞ぐ姿勢、又は前記固定刃の下方を開放する姿勢に前記スクリーンを動作させる開閉手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の破砕装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−5414(P2011−5414A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151003(P2009−151003)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000237466)富士車輌株式会社 (18)
【Fターム(参考)】