硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システム
【課題】硫黄吸着脱硫剤の寿命を簡単な構成で適切に判定可能な燃料電池システムの提供。
【解決手段】寿命判定装置は、投光手段522にて、脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0に投光光H1を投光し、受光手段523にて、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2を受光する。寿命判定装置は、寿命判定制御手段にて、受光手段523での受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定し、この変色状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
【解決手段】寿命判定装置は、投光手段522にて、脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0に投光光H1を投光し、受光手段523にて、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2を受光する。寿命判定装置は、寿命判定制御手段にて、受光手段523での受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定し、この変色状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料ガス中の硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、燃料ガス中の硫黄化合物によって色相変化するインジケータ機能付き吸着剤を、吸着管に充填する。
そして、この吸着管に燃料ガスを導入することにより、燃料ガス中の硫黄化合物を吸着除去して、脱硫済燃料ガスとして導出管から排出する。このとき、吸着管中のインジケータ機能付き吸着剤は、硫黄化合物を吸着して変色する。そして、この変色相の位置を目視により観察することにより、インジケータ機能付き吸着剤の取り換え時期を判定する構成がとられている。また、色相変化をカメラ撮影により観察して、その判定を自動化する構成がとられている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−305123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような特許文献1のような構成では、目視で観察する場合、視認者により変色相の判定基準が異なるおそれがあり、適切に取り換え時期を判定できないおそれがある。また、カメラ撮影により自動判定する場合、画像処理などの複雑な処理を実施しなくては、適切に判断できないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、硫黄吸着脱硫剤の寿命を簡単な構成で適切に判定可能な硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記硫黄吸着脱硫剤は、脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤へ光を投光して、前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光し、この受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、この判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することを特徴とする。
この発明では、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤に光を投光して、硫黄吸着脱硫剤から出射される光の受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する。そして、この変色状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する。
このことにより、硫黄吸着脱硫剤からの光の受光状態に基づいて、この光を出射した硫黄吸着脱硫剤での硫黄分の吸着状態に対応させて、硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定される。したがって、一定の判定基準で硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定される。また、画像処理などの複雑な処理を実施する必要がなく、簡単な構成で硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定される。
【0008】
また、本発明では、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面から下流側の面までの距離をL0、前記上流側の面から前記受光する光が出射される位置までの距離をL1、として、L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される前記光を受光することが好ましい。
この発明では、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤で構成される原料ガスが流入される上流側の面(以下、脱硫剤上流面と称す)から下流側の面(以下、脱硫剤下流面と称す)までの距離をL0、脱硫剤上流面から受光する光が出射される位置までの距離をL1として、L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される光を受光する。
ここで、例えば受光位置特定値Vが0.5よりも小さくなる位置(以下、上流側位置と称す)で受光して、この上流側位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する場合、この上流側位置よりも下流側に硫黄分を吸着可能な硫黄吸着脱硫剤(以下、吸着可能脱硫剤と称す)が比較的広い範囲にわたって存在することになる。このため、この吸着可能脱硫剤を有効利用するためには、利用者が吸着可能脱硫剤の寿命を予測する必要があり、もし、この予測を行わないときは、管理が煩雑になるおそれがある。また、例えば受光位置特定値Vが0.90よりも大きくなる位置(以下、下流側位置と称す)に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する場合、この下流側位置よりも下流側に吸着可能脱硫剤が狭い範囲にわたって存在することになる。このため、下流側位置の硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定されてから、利用者が硫黄吸着脱硫剤を交換するなどのメンテナンスをするまでの間に、吸着可能脱硫剤の全てで硫黄分が吸着されて吸着不可能な状態となり、硫黄分が改質器へ流れてしまうおそれがある。
このことにより、受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置で受光して、この位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することで、管理が煩雑になるおそれや、硫黄分が改質器へ流れてしまうおそれが抑制される。
【0009】
さらに、本発明では、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤における前記原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される前記光を受光し、前記異なる位置での受光状態に基づいて、前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、この判定した前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態に基づいて、前記異なる位置よりも前記原料ガスが流入される下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することが好ましい。
この発明では、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤における原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される光を受光する。そして、この異なる位置での受光状態に基づいて、この異なる位置よりも原料ガスが流入される下流側に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する。
このことにより、受光位置よりも下流側の硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することにより、硫黄吸着脱硫剤の有効利用を容易に図れる。
【0010】
そして、本発明では、請求項3に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面からの距離がL11となる第1の位置から出射される前記光を受光し、前記上流側の面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される前記光を受光し、前記第1の位置での受光状態に対応する第1の前記変色状態が特定変色状態となってから、前記第2の位置での受光状態に対応する第2の前記変色状態が前記特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、前記第2の変色状態が前記特定変色状態となってからの経過時間が以下の式(1)で求められるTjとなるときに、前記上流側の面からの距離がL12より長いL13となる第3の位置の変色状態が前記特定変色状態となると判定する処理を、前記異なる位置よりも前記下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する処理として実施することが好ましい。
【0011】
(数1)
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(1)
【0012】
この発明では、脱硫剤上流面からの距離がL11となる第1の位置から出射される光を受光する。さらに、脱硫剤上流面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される光を受光する。そして、脱硫剤上流面から脱硫剤下流面までの距離をL0、第1の位置での受光状態に対応する第1の変色状態が特定変色状態となってから、第2の位置での受光状態に対応する第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、第2の変色状態が特定変色状態となってからの経過時間が上述した式(1)で求められるTjとなるときに、脱硫剤上流面からの距離がL12よりも長いL13となる第3の位置の変色状態が特定変色状態となると判定する処理を、異なる位置よりも下流側の位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定するとして実施する。
このことにより、硫黄吸着脱硫剤で構成される脱硫剤上流面から第1,第2,第3の位置までの距離、第1の位置での第1の変色状態が特定変色状態となってから第2の位置での第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間を上述した式(1)に代入するだけの簡単な方法で、第3の位置の変色状態が特定変色状態となる時期が判定される。したがって、より簡単な方法で判定された寿命に基づいて、硫黄吸着脱硫剤の有効利用を容易に図れる。
【0013】
また、本発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記判定した前記硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発することが好ましい。
この発明では、硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発する。
このことにより、脱硫器から離れた位置にいる利用者、あるいは、他の作業をしている利用者に対して、硫黄吸着脱硫剤の寿命を認識させることにより、適切なメンテナンスを実施させることが可能となる。
【0014】
そして、本発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器には、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む前記硫黄吸着脱硫剤が充填されたことが好ましい。
この発明では、脱硫器に、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む硫黄吸着脱硫剤が充填される。つまり、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する硫黄吸着脱硫剤が充填される。
このことにより、変色の判定が容易になり、硫黄吸着脱硫剤の寿命がさらに適切に判定される。
【0015】
また、本発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記判定した寿命に基づいて、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの動作を停止させることが好ましい。
この発明では、硫黄吸着脱硫剤の寿命に基づいて、改質器で生成した改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの動作を停止させる。
このことにより、硫黄分が燃料電池システムに流れることが防止され、適切な発電が得られる。
【0016】
さらに、本発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記判定した寿命に関する寿命情報を、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの管理者に通報することが好ましい。
この発明では、硫黄吸着脱硫剤の寿命に関する寿命情報を、燃料電池システムの管理者に通報する。ここで、燃料電池システムの管理者とは、燃料電池システムの製造者など、燃料電池システムに関する知識を有する人物を意味する。
このことにより、燃料電池システムの管理者に迅速に寿命を認識させることにより、さらに適切なメンテナンスをより迅速に実施させることが可能となる。
【0017】
本発明に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、前記硫黄吸着脱硫剤は、前記硫黄分が脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、前記脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤へ光を投光する投光手段と、前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光する受光手段と、この受光手段での受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する変色状態判定手段と、この変色状態判定手段で判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する寿命判定手段と、を具備したことを特徴とする。
この発明は、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法を装置構成に展開したもので、投光手段にて、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤に光を投光して、受光手段にて、硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光する。さらに、変色状態判定手段にて、受光手段での受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する。そして、寿命判定手段にて、この判定した変色状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する。
ここで、受光手段としては、硫黄吸着脱硫剤を介して投光手段に略対向する位置に設けられ、硫黄吸着脱硫剤を通過する光を受光する構成としてもよい。また、投光手段の近傍に設けられ、硫黄吸着脱硫剤で反射した光を受光する構成としてもよい。また、投光手段および受光手段としては、例えば光を透過しない金属の脱硫器内に設けられる構成としてもよい。さらに、例えば光を透過するガラスで脱硫器の少なくとも一部を構成するとともに、投光手段および受光手段を脱硫器外に設け、ガラスを介して光を投光、受光する構成としてもよい。
このことにより、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法と同様の作用効果を奏する。
【0018】
また、請求項9に従属する請求項10ないし請求項14に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置は、請求項1に従属する請求項2ないし請求項6に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法をそれぞれ装置構成に展開したものであり、請求項2ないし請求項6に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法と同様の作用効果を奏する。
【0019】
本発明に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置は、炭化水素原料を含む原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、この原料ガス供給手段から供給される原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤が充填された脱硫器と、この脱硫器で脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器と、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、原料ガス供給手段から供給される炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する脱硫器の硫黄吸着脱硫剤の寿命を、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置で判定する。
このことにより、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置と同様の作用効果を奏する状態で、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能となる。
【0020】
本発明に記載の燃料電池システムは、請求項15に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置と、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、前記燃料電池用改質ガスの製造装置の前記改質器で改質された前記改質ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能な請求項15に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置からの改質ガスと、酸素含有気体供給手段から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池で発電させる。
このことにより、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを利用して、適切な発電が得られる。
【0021】
また、請求項16に従属する請求項17および請求項18に記載の燃料電池システムは、請求項7および請求項8に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法をそれぞれ燃料電池システムに展開したものであり、請求項7および請求項8に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法と同様の作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムについて説明する。
なお、この第1の実施の形態、および、後述する第2の実施の形態では、本発明の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置を備えた炭化水素原料を利用する燃料電池システムの構成を例示するが、燃料電池システムに利用する構成に限らず、例えば改質ガスの製造装置や精製装置、供給装置など、炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する各種構成に適用できる。さらに、例えば家庭用の小型のシステム構成に限らず、集合住宅用や各種店舗などに利用される比較的大型のシステム構成にも適用できる。
図1は、第1の実施の形態および第2の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図4は、制御部の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
〔燃料電池システムの構成〕
図1において、100Aは、燃料電池システムで、この燃料電池システム100Aは、炭化水素原料を含む原料ガスを原料として、水素を主成分とする改質ガスである燃料ガスに改質し、燃料電池200により発電させるシステムである。
ここで、原料ガスとしては、例えば、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、さらには液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、ナフサ、灯油などの石油系炭化水素をガス状にしたものを利用できる。
【0024】
燃料電池システム100Aは、原料ガスを供給する配管である流通経路を構成する原料ガス供給手段110を有している。なお、本発明における原料ガス供給手段としては、例えば設置させるボンベやタンクからガス状の原料ガスを供給させる気化装置を備えた構成など、炭化水素原料を含む原料ガスを供給するいずれの構成が適用できる。
そして、この原料ガス供給手段110には、脱硫器300が接続されている。
【0025】
脱硫器300は、原料ガス供給手段110から供給される原料ガス中の硫黄分を、例えば0.01ppm以下まで除去する。
この脱硫器300は、図2および図3に示すような脱硫容器310と、図示しない加熱手段と、を備えている。この脱硫容器310は、例えば、ガラスなどの光を透過する材料により、軸方向の一端部に原料ガス供給手段110からの原料ガスが流入される流入口311が開口形成され、軸方向の他端部に脱硫された原料ガスを流出させる流出口312が開口形成され、内部に硫黄吸着脱硫剤D0が充填される内部空間を有した略円筒状に形成されている。
そして、脱硫器300は、原料ガス供給手段110の原料排出口に、流入口311が連通する状態に接続される。
【0026】
脱硫容器310内には、上述したように硫黄吸着脱硫剤D0が充填されている。この硫黄吸着脱硫剤D0は、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含んで構成されている。つまり、硫黄吸着脱硫剤D0として、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する構成を有している。なお、硫黄吸着脱硫剤としては、硫黄分未吸着状態での色が白色の構成に限らず、硫黄分を吸着した際に変色するいずれの構成を適用してもよい。
ここで、以下において、硫黄分を吸着していない白色の状態の硫黄吸着脱硫剤D0を吸着可能脱硫剤D1と、硫黄分を吸着して変色した状態の硫黄吸着脱硫剤D0を吸着済脱硫剤D2と、適宜称して説明する。
【0027】
また、脱硫器300の加熱を行うときは、例えば、脱硫容器310の外周面に螺旋状に配設されたシーズヒータなどの電気ヒータを備え、脱硫容器310の外面側から内部を流通する原料ガスを例えば50℃以上200℃以下、好ましくは50℃以上150℃以下で加熱して脱硫処理できる。なお、脱硫器300の外面には、電気ヒータとともに脱硫容器310の外面を被覆して断熱する断熱材が設けられる。また、電気ヒータは、螺旋状に配設する構成に限らず、例えば脱硫容器310の長手方向に沿って折り返すように配設するなどしてもよい。さらに、脱硫容器310内に配設した構成などとしてもよい。その他、後述する改質器410、CO変成器420、CO選択酸化器430の排熱を利用、具体的には熱交換装置160のように排ガスを流通する管を配設したり、改質器410、CO変成器420、CO選択酸化器430の保温材の中に原料ガスが流通するように脱硫器300を配設したりするなどしてもよい。
これら原料ガス供給手段110から改質手段400までの構成が、本発明における燃料電池用改質ガスの製造装置である燃料ガス製造装置450として構成される。
【0028】
また、脱硫器300は、図1に示すように、水蒸気混合器140を介して、改質手段400が接続されている。
水蒸気混合器140は、脱硫器300における脱硫容器310の流出口312から流出する脱硫処理後の原料ガスに水蒸気を混合する。この水蒸気混合器140には熱交換装置160が接続され、熱交換装置160から供給される水蒸気を脱硫器300から流出する脱硫処理後の原料ガスと混合させる。
【0029】
改質手段400は、水蒸気が混合された原料ガスを水素リッチな改質ガスとしての燃料ガスに改質する。
この改質手段400は、改質器410と、CO変成器420と、CO選択酸化器430と、を備えている。
【0030】
改質器410は、内部に図示しないニッケル触媒などの改質触媒が充填され、加熱装置としてのバーナ411を備えている。
バーナ411は、脱硫器300の上流側で分岐する原料ガス供給手段110から原料ガスが供給されるとともに、後述する燃料電池200から排出される燃料ガスが供給される。そして、バーナ411は、送気ブロワ170から供給される空気により、原料ガスおよび燃料ガスを燃焼させ、脱硫され水蒸気が混合された原料ガスを水素リッチの燃料ガスに水蒸気改質する。
このバーナ411の燃焼による高温の排ガスは、熱交換装置160に供給され、水との熱交換により冷やされて外気中に排気される。
熱交換装置160には、純水181を貯留する純水タンク180が搬送ポンプ182を有した給水経路183を介して接続され、純水タンク180から純水181が供給される。そして、熱交換装置160は、供給される純水181により改質器410から排気される排ガスを冷却させるとともに水蒸気を生成させ、生成した水蒸気を水蒸気混合器140へ供給させる。なお、純水タンク180は、蒸留水などの不純物を含まない純水181を貯留し、例えば水道水などが浄化されて適宜給水される構成が設けられていてもよい。
【0031】
CO変成器420は、改質器410に直列状に接続され、改質器410から流出する水素リッチの燃料ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を変成する。
CO選択酸化器430は、CO変成器420に直列状に接続され、CO変成器420でCOを二酸化炭素(CO2)に酸化させ、燃料ガス中のCOを除去する。
なお、CO変成器420およびCO選択酸化器430は、改質器410と一体構成としてもよい。さらには、水蒸気混合器140および熱交換装置160をも一体構成としてもよい。また、CO変成器420およびCO選択酸化器430の他、COを吸着除去するなどの装置を設けるなどしてもよい。
【0032】
改質手段400には燃料電池200が接続され、改質手段400で得られた燃料ガスを燃料電池200へ供給する。
燃料電池200は、水素と酸素とを反応させて直流電力を発生させる。この燃料電池200は、例えば固体高分子型燃料電池で、正極201と、負極202と、正極201および負極202間に配設された図示しない高分子電解質膜と、を備えている。そして、正極201側には、酸素含有気体供給手段としてのブロワ210の駆動により発生し、例えば図示しない加湿器で加湿された空気が供給され、負極202側には、例えば図示しない加湿器を介して加湿された水素リッチの燃料ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と空気中の酸素とが反応して水(純水181)が生成されるとともに、正極201および負極202間に直流電力が発生する。
そして、負極202側は、上述したように改質器410のバーナ411に接続され、余った水素分をバーナ411の燃料として供給する。また、正極201側には、分離器185が接続されている。この分離器185には、正極201側から反応に利用された空気が供給され、気相分の空気と液相分の水(純水181)とに分離する。なお、分離した空気は、外気に排気される。そして、分離器185には、純水タンク180が接続され、分離した水(純水181)を純水タンク180へ供給する。
【0033】
また、燃料電池200には、冷却装置187が設けられている。この冷却装置187は、燃料電池200に付設された熱回収装置187Aが設けられている。この熱回収装置187Aには、ポンプ187Bおよび熱交換器187Cを備えた循環経路187Dを介して純水タンク180が接続されている。
この循環経路187Dは、ポンプ187Bの駆動により、熱回収装置187Aと純水タンク180との間で純水181を循環させ、発電に伴って発熱する燃料電池200を冷却させるとともに熱を回収する。
熱交換器187Cは、循環され熱回収装置187Aで熱を回収した純水181と、例えば水道水などと熱交換させる。この熱交換により温められた水道水は、例えばお風呂などの他の設備に直接供給されて有効利用される。なお、水道水との熱交換の他、熱交換により得られる熱から発電させるなど、他の設備などに有効利用してもよい。
【0034】
そして、燃料電池システム100Aは、システム全体の動作を制御する制御部500を備えている。この制御部500は、燃料電池システム100Aの図示しないケース体から臨む状態で設けられた発音手段としてのアラーム910に接続されている。さらに、制御部500は、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。
ここで、ネットワークNとしては、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網や放送網などのネットワーク、さらには、制御部500および管理室920間で情報を直接送受信するための媒体となる無線媒体自体などが例示できる。ここで、無線媒体としては、電波、光、音波、電磁波などのいずれの媒体をも適用できる。
そして、制御部500は、図4に示すように、寿命判定装置510と、システム制御装置540と、を備えている。
【0035】
寿命判定装置510は、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0に光を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される光に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。そして、寿命判定装置510は、検出ユニット520と、寿命判定制御手段530と、を備えている。
【0036】
検出ユニット520は、図2〜図4に示すように、ユニット本体521と、投光手段522と、受光手段523と、を備えている。
ユニット本体521は、例えば樹脂材などにより、略箱状に形成されている。このユニット本体521は、一面に脱硫容器310の外周面に密着可能な曲面状の曲面部521Aを有している。そして、ユニット本体521は、脱硫容器310に巻き付けられたベルト524により、曲面部521Aが脱硫容器310に密着する状態で固定される。
投光手段522は、図示しない接続線を介して寿命判定制御手段530に接続された、例えば光ファイバである。この投光手段522は、ユニット本体521の内部に、投光光H1を投光する投光面522Aが曲面部521Aから臨む状態で設けられている。
受光手段523は、図示しない接続線を介して寿命判定制御手段530に接続された、例えば光ファイバであり、ユニット本体521の内部に、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2を受光する受光面523Aが曲面部521Aから臨む状態で設けられている。
そして、投光手段522および受光手段523は、図3に示すように、投光光H1が硫黄吸着脱硫剤D0に投光され、硫黄吸着脱硫剤D0で反射して出射される出射光H2を受光面523Aで受光可能な状態で、それぞれ位置決めされている。
【0037】
また、検出ユニット520は、図2に示すように、脱硫容器310における流出口312側に固定されている。具体的には、検出ユニット520は、脱硫容器310の流入口311から流出口312までの距離、すなわち硫黄吸着脱硫剤D0で構成される原料ガスが流入される上流側の面(脱硫剤上流面)から下流側の面(脱硫剤下流面)までの距離をL0、流入口311から受光手段523までの距離、すなわち上述した脱硫剤上流面から出射光H2が出射される位置までの距離をL1として、L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置(以下、寿命検出位置と称す)に固定されている。
【0038】
ここで、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填した後、最初に原料ガスが流入されると、原料ガスは、流入口311近傍の硫黄吸着脱硫剤D0により硫黄分が吸着されるので、流入口311近傍に吸着済脱硫剤D2が存在し、それ以外の部分に吸着可能脱硫剤D1が存在する状態となる。この後、原料ガスが流入されると、吸着済脱硫剤D2の存在範囲は、流出口312側に徐々に広がる状態となる。
つまり、検出ユニット520が固定された寿命検出位置は、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填してからの使用期間が短いときに、硫黄吸着脱硫剤D0が変色せずに、使用期間が長いときに変色する位置に設定されている。
【0039】
寿命判定制御手段530は、図4に示すように、アラーム910に接続されている。この寿命判定制御手段530は、変色状態判定手段531と、寿命判定手段532と、発音制御手段としてのアラーム制御手段533と、を備えている。
【0040】
変色状態判定手段531は、投光手段522を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H1を投光させる。そして、受光手段523を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2を受光させて、この受光状態に対応する受光信号を取得する。ここで、受光状態は、出射光H2が吸着可能脱硫剤D1から出射された場合、白色に対応した状態となり、出射光H2が吸着済脱硫剤D2から出射された場合、白色以外の例えば灰色、褐色、黒色に対応した状態となる。
そして、変色状態判定手段531は、受光信号の受光状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態に対応した変色状態値を設定する処理を、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する処理として実施する。例えば、受光状態が白色に対応している場合、変色状態値を0に設定し、着色するにしたがって、大きい値に設定する。なお、例えば白色に対応している場合に変色状態値を100に設定し、着色するにしたがって、小さい値に設定する構成としてもよい。
【0041】
寿命判定手段532は、変色状態判定手段531で変換された変色状態値を認識する。さらに、この変色状態値があらかじめ設定された閾値S未満であると判断した場合、寿命検出位置よりも流出口312側に広い範囲にわたって吸着可能脱硫剤D1が存在していると判断する。そして、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命でないと判定する。
一方、寿命判定手段532は、変色状態値が閾値S以上であると判断した場合、寿命検出位置に変色した吸着済脱硫剤D2が存在しており、この寿命検出位置よりも流出口312側の狭い範囲に吸着可能脱硫剤D1が存在していると判断する。そして、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定する。
【0042】
アラーム制御手段533は、寿命判定手段532にて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定されたことを認識すると、アラーム910を制御して、アラーム音を発せさせ、燃料電池システム100Aの利用者に、その旨を報知する。
【0043】
システム制御装置540は、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。このシステム制御装置540は、システム制御手段541と、停止制御手段としての非常停止制御手段542と、通報手段543と、を備えている。
【0044】
システム制御手段541は、原料ガスの流量制御、脱硫器300の加熱手段の加熱条件である電気ヒータへ供給する電力制御、改質器410のバーナ411の燃焼制御、熱交換装置160で水蒸気を生成させるための純水181の供給量制御や温度管理、発電量の管理などを実施する。
【0045】
非常停止制御手段542は、寿命判定手段532にて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定されたことを認識すると、システム制御手段541を制御して、燃料電池システム100Aの動作を非常停止させる。
【0046】
通報手段543は、寿命判定手段532にて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定されたことを認識すると、ネットワークNを介して管理室920の管理者に、その旨を寿命情報として通報する。ここで、通報する方法としては、管理室920に設けられたコンピュータや通報器などを利用して、画像表示や音の出力あるいはランプの点灯などにより実施する方法が例示できる。
【0047】
〔燃料電池システムの動作〕
次に、上述した燃料電池システム100Aの動作を説明する。
【0048】
まず、制御部500のシステム制御手段541が発電要求に関する信号を取得すると、発電処理が実施される。すなわち、バーナ411に原料ガスおよび空気を供給して改質器410を、例えば700℃程度まで加熱させる。さらに、システム制御手段541は、搬送ポンプ182を駆動させて純水タンク180に貯留する純水181を給水経路183を介して熱交換装置160に供給して水蒸気を生成し、水蒸気混合器140へ水蒸気を供給させる。この後、システム制御手段541は、脱硫器300の加熱手段の電気ヒータを、50℃以上400℃以下、好ましくは100℃以上300℃以下に加熱させるとともに、原料ガス供給手段110から原料ガスを脱硫器300へ供給する。
この脱硫器300へ供給された原料ガスは、50℃以上400℃以下、好ましくは100℃以上300℃以下の温度で硫黄吸着脱硫剤D0により、硫黄分の濃度が0.01ppm以下に脱硫処理される。
【0049】
そして、脱硫器300で脱硫された原料ガスは、水蒸気混合器140で熱交換装置160から供給される水蒸気と混合されて、改質手段400の改質器410へ供給される。そして、水蒸気が混合された原料ガスは、改質器410で水素リッチな燃料ガスに改質される。さらに、CO変成器420およびCO選択酸化器430により、燃料ガス中のCOが変成・除去され、加湿器などで適宜加湿された後、燃料電池200の負極202側に供給される。
そして、負極202側に供給された燃料ガスの水素は、加湿器などで適宜加湿されて燃料電池200の正極201側に供給された空気中の酸素と反応して水を生成するとともに、正極201および負極202間に直流電力を発生させる。
なお、負極202側の余った水素分を含む燃料ガスは、改質器410のバーナ411に供給されて燃焼される。
【0050】
また、制御部500の寿命判定装置510は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命判定処理を実施する。ここで、上述した寿命判定処理のタイミングとしては、発電処理開始時、所定時間毎、連続的など、いずれのタイミングであってもよい。
具体的には、寿命判定装置510は、上述した寿命検出位置に固定された検出ユニット520にて、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H1を投光するとともに、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H2を受光する。
この後、寿命判定制御手段530の変色状態判定手段531にて、検出ユニット520での受光状態に基づく変色状態値を設定する。さらに、寿命判定手段532にて、この変色状態値に基づいて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であるか否かを判定する。
【0051】
そして、制御部500は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命でないと判定された場合、あらかじめ設定されたタイミングで寿命判定処理を実施する。
一方、制御部500は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定された場合、アラーム910を制御してアラーム音を発せさせる処理、燃料電池システム100Aを非常停止させる処理、管理室920へ通報する処理を実施する。
なお、例えば利用者により、アラーム制御手段533、非常停止制御手段542、通報手段543のうち、動作させたい構成のみを適宜選択可能な構成としてもよい。
【0052】
〔第1の実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記第1の実施の形態では、脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0に投光光H1を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2の受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する。具体的には、変色状態値を設定する。そして、この変色状態値に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H2の受光状態に基づいて、この出射光H2を出射した硫黄吸着脱硫剤D0での硫黄分の吸着状態に対応させて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。したがって、一定の判定基準で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。また、画像処理などの複雑な処理を実施する必要がなく、簡単な構成で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。
【0053】
そして、受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる寿命検出位置から出射される出射光H2を受光して、この出射光H2に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、受光位置特定値Vが0.5よりも小さくなる上流側位置で受光する場合のように、吸着可能脱硫剤D1を有効利用するために、利用者が吸着可能脱硫剤D1の寿命を予測する必要がなくなる。また、受光位置特定値Vが0.90よりも大きくなる下流側位置で受光する場合のように、下流側位置の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命が判定されてから、利用者が硫黄吸着脱硫剤D0を交換するなどのメンテナンスをするまでの間に、吸着可能脱硫剤D1の全てで硫黄分が吸着されて吸着不可能な状態となり、硫黄分が改質器410へ流れてしまうことがなくなる。したがって、管理が煩雑になるおそれや、硫黄分が改質器410へ流れてしまうおそれを抑制できる。
【0054】
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、アラーム910からアラーム音を発している。
このため、脱硫器300から離れた位置にいる利用者、あるいは、他の作業をしている利用者に対して、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を認識させることにより、適切なメンテナンスを実施させることができる。
【0055】
また、脱硫器300に、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む硫黄吸着脱硫剤D0、つまり、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する硫黄吸着脱硫剤D0を充填している。
このため、変色の判定が容易になり、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命をさらに適切に判定できる。
【0056】
さらに、原料ガス供給手段110から供給される炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を、寿命判定装置510で判定する。
このため、上述した作用効果を奏する状態で、燃料ガス製造装置450にて、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造できる。
【0057】
また、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能な燃料ガス製造装置450からの改質ガスと、ブロワ210から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池200で発電させる。
このため、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを利用して、適切な発電を得ることができる。
【0058】
そして、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、燃料電池システム100Aの動作を停止させている。
このため、硫黄分が燃料電池システム100Aに流れることを防止でき、適切な発電を得ることができる。
【0059】
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、その旨を寿命情報として、管理室920にいる燃料電池システム100Aの管理者に通報する。
このため、燃料電池システム100Aの管理者に迅速に寿命を認識させることにより、さらに適切なメンテナンスをより迅速に実施させることができる。
【0060】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムについて説明する。
なお、上述した第1の実施の形態の燃料電池システム100Aと同一の構成については、同一名称および同一符号を付し、説明を省略する。
図5は、制御部の概略構成を示すブロック図である。図6は、脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。図8は、時間と、第1の受光手段および第2の受光手段での受光状態に対応する変色状態値と、の関係を示すグラフである。
【0061】
〔燃料電池システムの構成〕
図1において、100Bは、燃料電池システムで、この燃料電池システム100Bは、第1の実施の形態の燃料電池システム100Aの制御部500を制御部600に変更した構成を有している。
【0062】
この制御部600は、アラーム910に接続されているとともに、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。
そして、制御部600は、図5に示すように、寿命判定装置610と、システム制御装置650と、を備えている。
【0063】
寿命判定装置610は、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0に光を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される光に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。そして、寿命判定装置610は、第1の検出ユニット620と、第2の検出ユニット630と、寿命判定制御手段640と、を備えている。
【0064】
ここで、第1,第2の検出ユニット620,630は、第1の実施の形態の検出ユニット520と同一のものである。
第1の検出ユニット620は、図5〜図7に示すように、ユニット本体621と、第1の投光手段622と、第1の受光手段623と、を備えている。
ユニット本体621は、例えば樹脂材などにより略箱状に形成され、一面に脱硫容器310の外周面に密着可能な曲面状の曲面部621Aを有している。そして、ユニット本体621は、脱硫容器310に巻き付けられたベルト624により、曲面部621Aが脱硫容器310に密着する状態で固定される。
第1の投光手段622は、寿命判定制御手段640に接続された例えば光ファイバであり、ユニット本体621の内部に投光光H11を投光する投光面622Aが曲面部621Aから臨む状態で設けられている。
第1の受光手段623は、寿命判定制御手段640に接続された例えば光ファイバであり、ユニット本体621の内部に、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H12を受光する受光面623Aが曲面部621Aから臨む状態で設けられている。
そして、第1の投光手段622および第1の受光手段623は、図7に示すように、投光光H11が硫黄吸着脱硫剤D0に投光され、硫黄吸着脱硫剤D0で反射して出射される出射光H12を受光面623Aで受光可能な状態で、それぞれ位置決めされている。
【0065】
また、第2の検出ユニット630は、ユニット本体631と、第2の投光手段632と、第2の受光手段633と、を備えている。
ユニット本体631は、脱硫容器310に巻き付けられたベルト634により、図示しない曲面部が脱硫容器310に密着する状態で固定される。
第2の投光手段632は、ユニット本体631の曲面部から臨む図示しない投光面から投光光を投光する。第2の受光手段633は、ユニット本体631の曲面部から臨む図示しない受光面で出射光を受光する。また、第2の投光手段632および第2の受光手段633は、第1の投光手段622および第1の受光手段623と同一の状態で位置決めされている。
【0066】
そして、第1の検出ユニット620は、図6に示すように、脱硫容器310における流入口311近傍に固定されている。具体的には、第1の検出ユニット620は、流入口311から第1の受光手段623までの距離、すなわち上述した脱硫剤上流面から出射光H12が出射される位置までの距離がL11となる第1の位置に固定されている。
また、第2の検出ユニット630は、脱硫容器310における軸方向略中央に固定されている。具体的には、第2の検出ユニット630は、流入口311から第2の受光手段633までの距離、すなわち上述した脱硫剤上流面から出射光が出射される位置までの距離がL12となる第2の位置に固定されている。
つまり、第1の検出ユニット620の第1の位置は、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填してからの使用期間が短いときに、硫黄吸着脱硫剤D0が変色する位置に設定されている。また、第2の検出ユニット620の第2の位置は、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填してからの使用期間が短いときに、硫黄吸着脱硫剤D0が変色せずに、使用期間が長いときに変色する位置に設定されている。
ここで、脱硫剤上流面から脱硫剤下流面までの距離は、第1の実施の形態と同様にL0に設定さている。
なお、第1,第2の検出ユニット620,630の固定位置としては、上述した位置に限らず、脱硫容器310の軸方向に沿った異なる位置であればいずれの位置であってもよい。
【0067】
寿命判定制御手段640は、図5に示すように、アラーム910に接続され、変色状態判定手段641と、寿命判定手段642と、発音制御手段としてのアラーム制御手段643と、を備えている。
【0068】
変色状態判定手段641は、第1,第2の投光手段622,632を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H11、図示しない投光光を投光させる。そして、第1,第2の受光手段623,633を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H12、図示しない出射光を受光させて、この受光状態に対応する受光信号を取得する。ここで、受光状態は、出射光H12が吸着可能脱硫剤D1から出射された場合、白色に対応した状態となり、出射光H12が吸着済脱硫剤D2から出射された場合、白色以外の例えば灰色に対応した状態となる。
そして、変色状態判定手段641は、受光信号の受光状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態に対応した変色状態値を設定する処理を、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する処理として実施する。なお、変色状態値の設定方法は、第1の実施の形態と同一なので説明を省略する。
【0069】
ここで、上述したように、第1,第2の受光手段623,633は、脱硫容器310の軸方向に沿った異なる位置に固定されている。このため、第1,第2の受光手段623,633の受光状態に対応する変色状態値は、図8のグラフに示すように、使用時間に伴う増加状態が異なる。つまり、流入口311側の第1の受光手段623の変色状態値が、まず増加する。そして、第2の位置よりも流入口311側の硫黄吸着脱硫剤D0が吸着済脱硫剤D2に変化した後に、第2の受光手段633の変色状態値が増加する。
なお、図8では、変色状態値の増加状態を簡易的に直線で表しているが、実際には、使用状態に応じて適宜曲線的に増加する。
【0070】
寿命判定手段642は、第1の受光手段623での受光状態に対応する変色状態値を認識し、この変色状態値があらかじめ設定された閾値S以上であると判断した場合、このときの時間T1を認識する。ここで、変色状態値が閾値S以上となる状態は、本発明の特定変色状態に対応する。また、寿命判定手段642は、第2の受光手段633での受光状態に対応する変色状態値が閾値S以上であると判断した場合、このときの時間T2を認識する。さらに、例えばあらかじめ設定された、あるいは、利用者により設定入力され、脱硫剤上流面からの距離がL13となる第3の位置を認識する。
そして、時間T2から時間T1を減じたΔTと、上述した距離L11,L12,L13と、を以下の式(2)に代入して、時間Tjを算出する。
【0071】
(数2)
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(2)
【0072】
そして、寿命判定手段642は、第2の受光手段633での変色状態値が閾値S以上となった時間T2からの経過時間が、式(2)に基づき算出した時間Tjとなるときに、第3の位置の変色状態値が閾値S以上となると判定する。すなわち、時間T2からの経過時間がTjとなるときに、第3の位置の硫黄吸着脱硫剤D0が吸着済脱硫剤D2に変化すると判定する処理を、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命判定処理として実施する。
上述した式(2)により、例えば、L11が2cm、L12が6cm、L13が8cm、ΔTが5日間の場合、つまり、脱硫容器310の軸方向に沿って4cmの範囲の硫黄吸着脱硫剤D0が吸着済脱硫剤D2に変化するのに5日間要し、かつ、吸着可能脱硫剤D1の存在範囲である第2の位置から第3の位置までの距離が2cmの場合、Tjを2.5日間と算出することができる。
【0073】
アラーム制御手段643は、寿命判定手段642にて、時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間がTjになったときに、あるいは、Tjになる前にアラーム910を制御して、アラーム音を発せさせ、燃料電池システム100Bの利用者に、その旨を報知する。
【0074】
システム制御装置650は、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。このシステム制御装置650は、システム制御手段541と、停止制御手段としての非常停止制御手段652と、通報手段653と、を備えている。
【0075】
システム制御手段541は、原料ガスの流量制御、脱硫器300の加熱手段の加熱条件である電気ヒータへ供給する電力制御、改質器410のバーナ411の燃焼制御、熱交換装置160で水蒸気を生成させるための純水181の供給量制御や温度管理、発電量の管理などを実施する。
【0076】
非常停止制御手段652は、寿命判定手段642にて、時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間がTjになったときに、あるいは、Tjになる前にシステム制御手段541を制御して、燃料電池システム100Bの動作を非常停止させる。
【0077】
通報手段653は、寿命判定手段642にて、時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間がTjになったときに、あるいは、Tjになる前にネットワークNを介して管理室920の管理者に、その旨を寿命情報として通報する。
【0078】
〔燃料電池システムの動作〕
次に、上述した燃料電池システム100Bの動作を説明する。なお、燃料電池システム100Bの発電動作は、第1の実施の形態の燃料電池システム100Aと同一なので説明を省略し、寿命判定方法について説明する。
【0079】
制御部600の寿命判定装置610は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命判定処理を実施する。ここで、上述した寿命判定処理のタイミングとしては、発電処理開始時、所定時間毎、連続的など、いずれのタイミングであってもよい。
具体的には、寿命判定装置610は、上述した第1,第2の位置に固定された第1,第2の検出ユニット620,630にて、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H11、投光光を投光するとともに、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H12、出射光を受光する。
この後、寿命判定制御手段640の変色状態判定手段641にて、第1,第2の検出ユニット620,630での受光状態に基づく変色状態値を設定する。さらに、寿命判定手段642にて、第1,第2の検出ユニット620,630に対応する変色状態値が閾値S以上となった時間T1,T2を認識するとともに、第3の位置までの距離L13を認識して、上述した式(2)に基づいて、時間Tjを算出する。
【0080】
そして、制御部600は、寿命判定手段642で時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間が例えばTjになったときに、アラーム910を制御してアラーム音を発せさせる処理、燃料電池システム100Bを非常停止させる処理、管理室920へ通報する処理を実施する。
なお、例えば利用者により、アラーム制御手段643、非常停止制御手段652、通報手段653のうち、動作させたい構成のみを適宜選択可能な構成としてもよい。
【0081】
〔第2の実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記第2の実施の形態では、脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0に投光光H11を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H12の受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する。具体的には、変色状態値を設定する。そして、この変色状態値に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H12の受光状態に基づいて、この出射光H12を出射した硫黄吸着脱硫剤D0での硫黄分の吸着状態に対応させて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。したがって、一定の判定基準で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。また、画像処理などの複雑な処理を実施する必要がなく、簡単な構成で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。
【0082】
そして、脱硫器300の軸方向、すなわち脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0における原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される出射光H12、出射光を受光する。そして、この異なる位置での受光状態に基づいて、この異なる位置よりも原料ガスが流入される下流側に存在する硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、受光位置よりも下流側の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定することにより、硫黄吸着脱硫剤D0の有効利用を容易に図ることができる。
【0083】
さらに、脱硫剤上流面からの距離がL11となる第1の位置から出射される光を受光するとともに、脱硫剤上流面からの距離がL12となる第2の位置から出射される光を受光する。そして、第1の位置での受光状態に対応する第1の変色状態が特定変色状態となってから、第2の位置での受光状態に対応する第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、第2の変色状態が特定変色状態となってからの経過時間が上述した式(2)で求められるTjとなるときに、脱硫剤上流面からの距離がL13となる第3の位置の変色状態が特定変色状態となると判定する処理を、異なる位置よりも下流側の位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定するとして実施する。なお、脱硫剤上流面から第3の位置までの距離であるL13として、脱硫剤下流面までの距離であるL0を代入すれば、脱硫剤下流面で変色状態が特定変色状態になるまでの時間を算出できる。
このため、脱硫剤上流面から第1,第2,第3の位置までの距離、第1の位置での第1の変色状態が特定変色状態となってから第2の位置での第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間を上述した式(1)に代入するだけの簡単な方法で、第3の位置の変色状態が特定変色状態となる時期を判定できる。したがって、より簡単な方法で判定された寿命に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の有効利用を容易に図ることがでる。
【0084】
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、アラーム910からアラーム音を発している。
また、脱硫器300に、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む硫黄吸着脱硫剤D0、つまり、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する硫黄吸着脱硫剤D0を充填している。
さらに、原料ガス供給手段110から供給される炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を、寿命判定装置610で判定する。
また、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能な燃料ガス製造装置450からの改質ガスと、ブロワ210から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池200で発電させる。
そして、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、燃料電池システム100Bの動作を停止させている。
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、その旨を寿命情報として、管理室920にいる燃料電池システム100Bの管理者に通報する。
このため、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、燃料電池システム100Bが一般的な家庭に配置されている場合、利用者の生活様式によらず、燃料電池システム100Bの利用状況は、ほぼ等しいことが確認されている。このため、ほとんどの利用者の燃料電池システム100Bに対して、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を適切に判定することができ、利用拡大を容易に図ることができる。
【0085】
[実施の形態の変形例]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【0086】
すなわち、第1の実施の形態において、受光位置特定値Vが0.5よりも小さい上流側位置や、0.90よりも大きい下流側位置で受光した出射光H2に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
【0087】
また、第2の実施の形態において、第1,第2の投光手段622,632の代わりに、例えば脱硫容器310の軸方向全体にわたって光を照射可能な投光手段を設ける構成としてもよい。
【0088】
さらに、第1,第2の実施の形態において、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命に基づいて、アラーム音の出力処理、燃料電池システム100A,100Bの動作停止処理、管理室920にいる燃料電池システム100A,100Bの管理者への通報処理のうち、少なくともいずれか1つあるいは2つのみを実施する構成としてもよい。
そして、第1,第2の実施の形態において、硫黄吸着脱硫剤D0としては、硫黄分を吸着していない状態での色が白色のものに限らず、硫黄分を吸着することにより変色するものであれば、吸着していない状態での色がいかなる色のものをも適用できる。
【0089】
また、第1の実施の形態の脱硫容器310の代わりに、図9に示すような脱硫容器710を適用してもよい。
すなわち、SUSなどの金属材料により略円筒状に形成され、例えば受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置に四角形状に開口形成された窓部711Aを有する容器基部711と、例えば耐熱ガラスなどの光を透過する材料により四角板状に形成され、容器基部711の窓部711Aを閉塞する状態で設けられた光透過部712と、脱硫容器710を適用する。そして、検出ユニット520を、投光手段522および受光手段523が光透過部712に対向する状態で設け、容器基部711内の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
【0090】
そして、第1の実施の形態の脱硫容器310の代わりに、図10に示すような脱硫容器720を適用して、以下のように硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
すなわち、SUSなどの金属材料や耐熱ガラスなどにより円筒状に形成され、例えば受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置に丸形状に開口形成された第1,第2の挿通孔部721A,721Bを有する容器基部721を適用する。第1,第2の挿通孔部721A,721Bは、容器基部721の軸に対して略対向する状態で設けられている。また、投光手段731を第1の挿通孔部721Aに、受光手段732を第2の挿通孔部721Bにそれぞれ嵌合させる。そして、投光手段731から投光されて硫黄吸着脱硫剤D0を透過した光を受光手段732にて受光して、この受光状態に基づいて、寿命判定制御手段530にて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
【0091】
さらに、図10に示すような脱硫容器720の代わりに、図11に示すような脱硫容器740を適用してもよい。
すなわち、脱硫容器740を、例えば耐熱ガラスなどの光を透過する材料により円筒状に形成する。そして、投光手段731および受光手段732を、脱硫容器740の外部において脱硫容器740の軸に対して略対向する状態で設け、投光手段731から投光され硫黄吸着脱硫剤D0を透過した光を、受光手段732にて受光する構成としてもよい。
【0092】
さらに、図9〜図11と同様の構成を、第2の実施の形態に適用してもよい。
【0093】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記第1の実施の形態における脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】前記第1の実施に形態における制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】前記第2の実施の形態における制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】前記第2の実施の形態における脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】前記第2の実施の形態における時間と、第1の受光手段および第2の受光手段での受光状態に対応する変色状態値と、の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態に係る脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0096】
100A,100B…燃料電池システム
110…原料ガス供給手段
200…燃料電池
210…酸素含有気体供給手段としてのブロワ
300…脱硫器
410…改質器
450…燃料ガス製造装置
510,610…寿命判定装置
522,731…投光手段
523,732…受光手段
531,641…変色状態判定手段
532,642…寿命判定手段
533,643…発音制御手段としてのアラーム制御手段
542,652…停止制御手段としての非常停止制御手段
543,653…通報手段
622…第1の投光手段
623…第1の受光手段
632…第2の投光手段
633…第2の受光手段
910…発音手段としてのアラーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料ガス中の硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、燃料ガス中の硫黄化合物によって色相変化するインジケータ機能付き吸着剤を、吸着管に充填する。
そして、この吸着管に燃料ガスを導入することにより、燃料ガス中の硫黄化合物を吸着除去して、脱硫済燃料ガスとして導出管から排出する。このとき、吸着管中のインジケータ機能付き吸着剤は、硫黄化合物を吸着して変色する。そして、この変色相の位置を目視により観察することにより、インジケータ機能付き吸着剤の取り換え時期を判定する構成がとられている。また、色相変化をカメラ撮影により観察して、その判定を自動化する構成がとられている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−305123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような特許文献1のような構成では、目視で観察する場合、視認者により変色相の判定基準が異なるおそれがあり、適切に取り換え時期を判定できないおそれがある。また、カメラ撮影により自動判定する場合、画像処理などの複雑な処理を実施しなくては、適切に判断できないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、硫黄吸着脱硫剤の寿命を簡単な構成で適切に判定可能な硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記硫黄吸着脱硫剤は、脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤へ光を投光して、前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光し、この受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、この判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することを特徴とする。
この発明では、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤に光を投光して、硫黄吸着脱硫剤から出射される光の受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する。そして、この変色状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する。
このことにより、硫黄吸着脱硫剤からの光の受光状態に基づいて、この光を出射した硫黄吸着脱硫剤での硫黄分の吸着状態に対応させて、硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定される。したがって、一定の判定基準で硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定される。また、画像処理などの複雑な処理を実施する必要がなく、簡単な構成で硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定される。
【0008】
また、本発明では、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面から下流側の面までの距離をL0、前記上流側の面から前記受光する光が出射される位置までの距離をL1、として、L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される前記光を受光することが好ましい。
この発明では、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤で構成される原料ガスが流入される上流側の面(以下、脱硫剤上流面と称す)から下流側の面(以下、脱硫剤下流面と称す)までの距離をL0、脱硫剤上流面から受光する光が出射される位置までの距離をL1として、L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される光を受光する。
ここで、例えば受光位置特定値Vが0.5よりも小さくなる位置(以下、上流側位置と称す)で受光して、この上流側位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する場合、この上流側位置よりも下流側に硫黄分を吸着可能な硫黄吸着脱硫剤(以下、吸着可能脱硫剤と称す)が比較的広い範囲にわたって存在することになる。このため、この吸着可能脱硫剤を有効利用するためには、利用者が吸着可能脱硫剤の寿命を予測する必要があり、もし、この予測を行わないときは、管理が煩雑になるおそれがある。また、例えば受光位置特定値Vが0.90よりも大きくなる位置(以下、下流側位置と称す)に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する場合、この下流側位置よりも下流側に吸着可能脱硫剤が狭い範囲にわたって存在することになる。このため、下流側位置の硫黄吸着脱硫剤の寿命が判定されてから、利用者が硫黄吸着脱硫剤を交換するなどのメンテナンスをするまでの間に、吸着可能脱硫剤の全てで硫黄分が吸着されて吸着不可能な状態となり、硫黄分が改質器へ流れてしまうおそれがある。
このことにより、受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置で受光して、この位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することで、管理が煩雑になるおそれや、硫黄分が改質器へ流れてしまうおそれが抑制される。
【0009】
さらに、本発明では、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤における前記原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される前記光を受光し、前記異なる位置での受光状態に基づいて、前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、この判定した前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態に基づいて、前記異なる位置よりも前記原料ガスが流入される下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することが好ましい。
この発明では、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤における原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される光を受光する。そして、この異なる位置での受光状態に基づいて、この異なる位置よりも原料ガスが流入される下流側に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する。
このことにより、受光位置よりも下流側の硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定することにより、硫黄吸着脱硫剤の有効利用を容易に図れる。
【0010】
そして、本発明では、請求項3に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面からの距離がL11となる第1の位置から出射される前記光を受光し、前記上流側の面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される前記光を受光し、前記第1の位置での受光状態に対応する第1の前記変色状態が特定変色状態となってから、前記第2の位置での受光状態に対応する第2の前記変色状態が前記特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、前記第2の変色状態が前記特定変色状態となってからの経過時間が以下の式(1)で求められるTjとなるときに、前記上流側の面からの距離がL12より長いL13となる第3の位置の変色状態が前記特定変色状態となると判定する処理を、前記異なる位置よりも前記下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する処理として実施することが好ましい。
【0011】
(数1)
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(1)
【0012】
この発明では、脱硫剤上流面からの距離がL11となる第1の位置から出射される光を受光する。さらに、脱硫剤上流面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される光を受光する。そして、脱硫剤上流面から脱硫剤下流面までの距離をL0、第1の位置での受光状態に対応する第1の変色状態が特定変色状態となってから、第2の位置での受光状態に対応する第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、第2の変色状態が特定変色状態となってからの経過時間が上述した式(1)で求められるTjとなるときに、脱硫剤上流面からの距離がL12よりも長いL13となる第3の位置の変色状態が特定変色状態となると判定する処理を、異なる位置よりも下流側の位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定するとして実施する。
このことにより、硫黄吸着脱硫剤で構成される脱硫剤上流面から第1,第2,第3の位置までの距離、第1の位置での第1の変色状態が特定変色状態となってから第2の位置での第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間を上述した式(1)に代入するだけの簡単な方法で、第3の位置の変色状態が特定変色状態となる時期が判定される。したがって、より簡単な方法で判定された寿命に基づいて、硫黄吸着脱硫剤の有効利用を容易に図れる。
【0013】
また、本発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記判定した前記硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発することが好ましい。
この発明では、硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発する。
このことにより、脱硫器から離れた位置にいる利用者、あるいは、他の作業をしている利用者に対して、硫黄吸着脱硫剤の寿命を認識させることにより、適切なメンテナンスを実施させることが可能となる。
【0014】
そして、本発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記脱硫器には、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む前記硫黄吸着脱硫剤が充填されたことが好ましい。
この発明では、脱硫器に、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む硫黄吸着脱硫剤が充填される。つまり、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する硫黄吸着脱硫剤が充填される。
このことにより、変色の判定が容易になり、硫黄吸着脱硫剤の寿命がさらに適切に判定される。
【0015】
また、本発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記判定した寿命に基づいて、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの動作を停止させることが好ましい。
この発明では、硫黄吸着脱硫剤の寿命に基づいて、改質器で生成した改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの動作を停止させる。
このことにより、硫黄分が燃料電池システムに流れることが防止され、適切な発電が得られる。
【0016】
さらに、本発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、前記判定した寿命に関する寿命情報を、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの管理者に通報することが好ましい。
この発明では、硫黄吸着脱硫剤の寿命に関する寿命情報を、燃料電池システムの管理者に通報する。ここで、燃料電池システムの管理者とは、燃料電池システムの製造者など、燃料電池システムに関する知識を有する人物を意味する。
このことにより、燃料電池システムの管理者に迅速に寿命を認識させることにより、さらに適切なメンテナンスをより迅速に実施させることが可能となる。
【0017】
本発明に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、前記硫黄吸着脱硫剤は、前記硫黄分が脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、前記脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤へ光を投光する投光手段と、前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光する受光手段と、この受光手段での受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する変色状態判定手段と、この変色状態判定手段で判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する寿命判定手段と、を具備したことを特徴とする。
この発明は、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法を装置構成に展開したもので、投光手段にて、脱硫器に充填された硫黄吸着脱硫剤に光を投光して、受光手段にて、硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光する。さらに、変色状態判定手段にて、受光手段での受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する。そして、寿命判定手段にて、この判定した変色状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する。
ここで、受光手段としては、硫黄吸着脱硫剤を介して投光手段に略対向する位置に設けられ、硫黄吸着脱硫剤を通過する光を受光する構成としてもよい。また、投光手段の近傍に設けられ、硫黄吸着脱硫剤で反射した光を受光する構成としてもよい。また、投光手段および受光手段としては、例えば光を透過しない金属の脱硫器内に設けられる構成としてもよい。さらに、例えば光を透過するガラスで脱硫器の少なくとも一部を構成するとともに、投光手段および受光手段を脱硫器外に設け、ガラスを介して光を投光、受光する構成としてもよい。
このことにより、請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法と同様の作用効果を奏する。
【0018】
また、請求項9に従属する請求項10ないし請求項14に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置は、請求項1に従属する請求項2ないし請求項6に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法をそれぞれ装置構成に展開したものであり、請求項2ないし請求項6に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法と同様の作用効果を奏する。
【0019】
本発明に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置は、炭化水素原料を含む原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、この原料ガス供給手段から供給される原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤が充填された脱硫器と、この脱硫器で脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器と、前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、原料ガス供給手段から供給される炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する脱硫器の硫黄吸着脱硫剤の寿命を、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置で判定する。
このことにより、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置と同様の作用効果を奏する状態で、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能となる。
【0020】
本発明に記載の燃料電池システムは、請求項15に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置と、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、前記燃料電池用改質ガスの製造装置の前記改質器で改質された前記改質ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能な請求項15に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置からの改質ガスと、酸素含有気体供給手段から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池で発電させる。
このことにより、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを利用して、適切な発電が得られる。
【0021】
また、請求項16に従属する請求項17および請求項18に記載の燃料電池システムは、請求項7および請求項8に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法をそれぞれ燃料電池システムに展開したものであり、請求項7および請求項8に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法と同様の作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムについて説明する。
なお、この第1の実施の形態、および、後述する第2の実施の形態では、本発明の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置を備えた炭化水素原料を利用する燃料電池システムの構成を例示するが、燃料電池システムに利用する構成に限らず、例えば改質ガスの製造装置や精製装置、供給装置など、炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する各種構成に適用できる。さらに、例えば家庭用の小型のシステム構成に限らず、集合住宅用や各種店舗などに利用される比較的大型のシステム構成にも適用できる。
図1は、第1の実施の形態および第2の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図4は、制御部の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
〔燃料電池システムの構成〕
図1において、100Aは、燃料電池システムで、この燃料電池システム100Aは、炭化水素原料を含む原料ガスを原料として、水素を主成分とする改質ガスである燃料ガスに改質し、燃料電池200により発電させるシステムである。
ここで、原料ガスとしては、例えば、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、さらには液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、ナフサ、灯油などの石油系炭化水素をガス状にしたものを利用できる。
【0024】
燃料電池システム100Aは、原料ガスを供給する配管である流通経路を構成する原料ガス供給手段110を有している。なお、本発明における原料ガス供給手段としては、例えば設置させるボンベやタンクからガス状の原料ガスを供給させる気化装置を備えた構成など、炭化水素原料を含む原料ガスを供給するいずれの構成が適用できる。
そして、この原料ガス供給手段110には、脱硫器300が接続されている。
【0025】
脱硫器300は、原料ガス供給手段110から供給される原料ガス中の硫黄分を、例えば0.01ppm以下まで除去する。
この脱硫器300は、図2および図3に示すような脱硫容器310と、図示しない加熱手段と、を備えている。この脱硫容器310は、例えば、ガラスなどの光を透過する材料により、軸方向の一端部に原料ガス供給手段110からの原料ガスが流入される流入口311が開口形成され、軸方向の他端部に脱硫された原料ガスを流出させる流出口312が開口形成され、内部に硫黄吸着脱硫剤D0が充填される内部空間を有した略円筒状に形成されている。
そして、脱硫器300は、原料ガス供給手段110の原料排出口に、流入口311が連通する状態に接続される。
【0026】
脱硫容器310内には、上述したように硫黄吸着脱硫剤D0が充填されている。この硫黄吸着脱硫剤D0は、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含んで構成されている。つまり、硫黄吸着脱硫剤D0として、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する構成を有している。なお、硫黄吸着脱硫剤としては、硫黄分未吸着状態での色が白色の構成に限らず、硫黄分を吸着した際に変色するいずれの構成を適用してもよい。
ここで、以下において、硫黄分を吸着していない白色の状態の硫黄吸着脱硫剤D0を吸着可能脱硫剤D1と、硫黄分を吸着して変色した状態の硫黄吸着脱硫剤D0を吸着済脱硫剤D2と、適宜称して説明する。
【0027】
また、脱硫器300の加熱を行うときは、例えば、脱硫容器310の外周面に螺旋状に配設されたシーズヒータなどの電気ヒータを備え、脱硫容器310の外面側から内部を流通する原料ガスを例えば50℃以上200℃以下、好ましくは50℃以上150℃以下で加熱して脱硫処理できる。なお、脱硫器300の外面には、電気ヒータとともに脱硫容器310の外面を被覆して断熱する断熱材が設けられる。また、電気ヒータは、螺旋状に配設する構成に限らず、例えば脱硫容器310の長手方向に沿って折り返すように配設するなどしてもよい。さらに、脱硫容器310内に配設した構成などとしてもよい。その他、後述する改質器410、CO変成器420、CO選択酸化器430の排熱を利用、具体的には熱交換装置160のように排ガスを流通する管を配設したり、改質器410、CO変成器420、CO選択酸化器430の保温材の中に原料ガスが流通するように脱硫器300を配設したりするなどしてもよい。
これら原料ガス供給手段110から改質手段400までの構成が、本発明における燃料電池用改質ガスの製造装置である燃料ガス製造装置450として構成される。
【0028】
また、脱硫器300は、図1に示すように、水蒸気混合器140を介して、改質手段400が接続されている。
水蒸気混合器140は、脱硫器300における脱硫容器310の流出口312から流出する脱硫処理後の原料ガスに水蒸気を混合する。この水蒸気混合器140には熱交換装置160が接続され、熱交換装置160から供給される水蒸気を脱硫器300から流出する脱硫処理後の原料ガスと混合させる。
【0029】
改質手段400は、水蒸気が混合された原料ガスを水素リッチな改質ガスとしての燃料ガスに改質する。
この改質手段400は、改質器410と、CO変成器420と、CO選択酸化器430と、を備えている。
【0030】
改質器410は、内部に図示しないニッケル触媒などの改質触媒が充填され、加熱装置としてのバーナ411を備えている。
バーナ411は、脱硫器300の上流側で分岐する原料ガス供給手段110から原料ガスが供給されるとともに、後述する燃料電池200から排出される燃料ガスが供給される。そして、バーナ411は、送気ブロワ170から供給される空気により、原料ガスおよび燃料ガスを燃焼させ、脱硫され水蒸気が混合された原料ガスを水素リッチの燃料ガスに水蒸気改質する。
このバーナ411の燃焼による高温の排ガスは、熱交換装置160に供給され、水との熱交換により冷やされて外気中に排気される。
熱交換装置160には、純水181を貯留する純水タンク180が搬送ポンプ182を有した給水経路183を介して接続され、純水タンク180から純水181が供給される。そして、熱交換装置160は、供給される純水181により改質器410から排気される排ガスを冷却させるとともに水蒸気を生成させ、生成した水蒸気を水蒸気混合器140へ供給させる。なお、純水タンク180は、蒸留水などの不純物を含まない純水181を貯留し、例えば水道水などが浄化されて適宜給水される構成が設けられていてもよい。
【0031】
CO変成器420は、改質器410に直列状に接続され、改質器410から流出する水素リッチの燃料ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を変成する。
CO選択酸化器430は、CO変成器420に直列状に接続され、CO変成器420でCOを二酸化炭素(CO2)に酸化させ、燃料ガス中のCOを除去する。
なお、CO変成器420およびCO選択酸化器430は、改質器410と一体構成としてもよい。さらには、水蒸気混合器140および熱交換装置160をも一体構成としてもよい。また、CO変成器420およびCO選択酸化器430の他、COを吸着除去するなどの装置を設けるなどしてもよい。
【0032】
改質手段400には燃料電池200が接続され、改質手段400で得られた燃料ガスを燃料電池200へ供給する。
燃料電池200は、水素と酸素とを反応させて直流電力を発生させる。この燃料電池200は、例えば固体高分子型燃料電池で、正極201と、負極202と、正極201および負極202間に配設された図示しない高分子電解質膜と、を備えている。そして、正極201側には、酸素含有気体供給手段としてのブロワ210の駆動により発生し、例えば図示しない加湿器で加湿された空気が供給され、負極202側には、例えば図示しない加湿器を介して加湿された水素リッチの燃料ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と空気中の酸素とが反応して水(純水181)が生成されるとともに、正極201および負極202間に直流電力が発生する。
そして、負極202側は、上述したように改質器410のバーナ411に接続され、余った水素分をバーナ411の燃料として供給する。また、正極201側には、分離器185が接続されている。この分離器185には、正極201側から反応に利用された空気が供給され、気相分の空気と液相分の水(純水181)とに分離する。なお、分離した空気は、外気に排気される。そして、分離器185には、純水タンク180が接続され、分離した水(純水181)を純水タンク180へ供給する。
【0033】
また、燃料電池200には、冷却装置187が設けられている。この冷却装置187は、燃料電池200に付設された熱回収装置187Aが設けられている。この熱回収装置187Aには、ポンプ187Bおよび熱交換器187Cを備えた循環経路187Dを介して純水タンク180が接続されている。
この循環経路187Dは、ポンプ187Bの駆動により、熱回収装置187Aと純水タンク180との間で純水181を循環させ、発電に伴って発熱する燃料電池200を冷却させるとともに熱を回収する。
熱交換器187Cは、循環され熱回収装置187Aで熱を回収した純水181と、例えば水道水などと熱交換させる。この熱交換により温められた水道水は、例えばお風呂などの他の設備に直接供給されて有効利用される。なお、水道水との熱交換の他、熱交換により得られる熱から発電させるなど、他の設備などに有効利用してもよい。
【0034】
そして、燃料電池システム100Aは、システム全体の動作を制御する制御部500を備えている。この制御部500は、燃料電池システム100Aの図示しないケース体から臨む状態で設けられた発音手段としてのアラーム910に接続されている。さらに、制御部500は、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。
ここで、ネットワークNとしては、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網や放送網などのネットワーク、さらには、制御部500および管理室920間で情報を直接送受信するための媒体となる無線媒体自体などが例示できる。ここで、無線媒体としては、電波、光、音波、電磁波などのいずれの媒体をも適用できる。
そして、制御部500は、図4に示すように、寿命判定装置510と、システム制御装置540と、を備えている。
【0035】
寿命判定装置510は、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0に光を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される光に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。そして、寿命判定装置510は、検出ユニット520と、寿命判定制御手段530と、を備えている。
【0036】
検出ユニット520は、図2〜図4に示すように、ユニット本体521と、投光手段522と、受光手段523と、を備えている。
ユニット本体521は、例えば樹脂材などにより、略箱状に形成されている。このユニット本体521は、一面に脱硫容器310の外周面に密着可能な曲面状の曲面部521Aを有している。そして、ユニット本体521は、脱硫容器310に巻き付けられたベルト524により、曲面部521Aが脱硫容器310に密着する状態で固定される。
投光手段522は、図示しない接続線を介して寿命判定制御手段530に接続された、例えば光ファイバである。この投光手段522は、ユニット本体521の内部に、投光光H1を投光する投光面522Aが曲面部521Aから臨む状態で設けられている。
受光手段523は、図示しない接続線を介して寿命判定制御手段530に接続された、例えば光ファイバであり、ユニット本体521の内部に、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2を受光する受光面523Aが曲面部521Aから臨む状態で設けられている。
そして、投光手段522および受光手段523は、図3に示すように、投光光H1が硫黄吸着脱硫剤D0に投光され、硫黄吸着脱硫剤D0で反射して出射される出射光H2を受光面523Aで受光可能な状態で、それぞれ位置決めされている。
【0037】
また、検出ユニット520は、図2に示すように、脱硫容器310における流出口312側に固定されている。具体的には、検出ユニット520は、脱硫容器310の流入口311から流出口312までの距離、すなわち硫黄吸着脱硫剤D0で構成される原料ガスが流入される上流側の面(脱硫剤上流面)から下流側の面(脱硫剤下流面)までの距離をL0、流入口311から受光手段523までの距離、すなわち上述した脱硫剤上流面から出射光H2が出射される位置までの距離をL1として、L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置(以下、寿命検出位置と称す)に固定されている。
【0038】
ここで、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填した後、最初に原料ガスが流入されると、原料ガスは、流入口311近傍の硫黄吸着脱硫剤D0により硫黄分が吸着されるので、流入口311近傍に吸着済脱硫剤D2が存在し、それ以外の部分に吸着可能脱硫剤D1が存在する状態となる。この後、原料ガスが流入されると、吸着済脱硫剤D2の存在範囲は、流出口312側に徐々に広がる状態となる。
つまり、検出ユニット520が固定された寿命検出位置は、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填してからの使用期間が短いときに、硫黄吸着脱硫剤D0が変色せずに、使用期間が長いときに変色する位置に設定されている。
【0039】
寿命判定制御手段530は、図4に示すように、アラーム910に接続されている。この寿命判定制御手段530は、変色状態判定手段531と、寿命判定手段532と、発音制御手段としてのアラーム制御手段533と、を備えている。
【0040】
変色状態判定手段531は、投光手段522を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H1を投光させる。そして、受光手段523を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2を受光させて、この受光状態に対応する受光信号を取得する。ここで、受光状態は、出射光H2が吸着可能脱硫剤D1から出射された場合、白色に対応した状態となり、出射光H2が吸着済脱硫剤D2から出射された場合、白色以外の例えば灰色、褐色、黒色に対応した状態となる。
そして、変色状態判定手段531は、受光信号の受光状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態に対応した変色状態値を設定する処理を、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する処理として実施する。例えば、受光状態が白色に対応している場合、変色状態値を0に設定し、着色するにしたがって、大きい値に設定する。なお、例えば白色に対応している場合に変色状態値を100に設定し、着色するにしたがって、小さい値に設定する構成としてもよい。
【0041】
寿命判定手段532は、変色状態判定手段531で変換された変色状態値を認識する。さらに、この変色状態値があらかじめ設定された閾値S未満であると判断した場合、寿命検出位置よりも流出口312側に広い範囲にわたって吸着可能脱硫剤D1が存在していると判断する。そして、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命でないと判定する。
一方、寿命判定手段532は、変色状態値が閾値S以上であると判断した場合、寿命検出位置に変色した吸着済脱硫剤D2が存在しており、この寿命検出位置よりも流出口312側の狭い範囲に吸着可能脱硫剤D1が存在していると判断する。そして、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定する。
【0042】
アラーム制御手段533は、寿命判定手段532にて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定されたことを認識すると、アラーム910を制御して、アラーム音を発せさせ、燃料電池システム100Aの利用者に、その旨を報知する。
【0043】
システム制御装置540は、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。このシステム制御装置540は、システム制御手段541と、停止制御手段としての非常停止制御手段542と、通報手段543と、を備えている。
【0044】
システム制御手段541は、原料ガスの流量制御、脱硫器300の加熱手段の加熱条件である電気ヒータへ供給する電力制御、改質器410のバーナ411の燃焼制御、熱交換装置160で水蒸気を生成させるための純水181の供給量制御や温度管理、発電量の管理などを実施する。
【0045】
非常停止制御手段542は、寿命判定手段532にて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定されたことを認識すると、システム制御手段541を制御して、燃料電池システム100Aの動作を非常停止させる。
【0046】
通報手段543は、寿命判定手段532にて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定されたことを認識すると、ネットワークNを介して管理室920の管理者に、その旨を寿命情報として通報する。ここで、通報する方法としては、管理室920に設けられたコンピュータや通報器などを利用して、画像表示や音の出力あるいはランプの点灯などにより実施する方法が例示できる。
【0047】
〔燃料電池システムの動作〕
次に、上述した燃料電池システム100Aの動作を説明する。
【0048】
まず、制御部500のシステム制御手段541が発電要求に関する信号を取得すると、発電処理が実施される。すなわち、バーナ411に原料ガスおよび空気を供給して改質器410を、例えば700℃程度まで加熱させる。さらに、システム制御手段541は、搬送ポンプ182を駆動させて純水タンク180に貯留する純水181を給水経路183を介して熱交換装置160に供給して水蒸気を生成し、水蒸気混合器140へ水蒸気を供給させる。この後、システム制御手段541は、脱硫器300の加熱手段の電気ヒータを、50℃以上400℃以下、好ましくは100℃以上300℃以下に加熱させるとともに、原料ガス供給手段110から原料ガスを脱硫器300へ供給する。
この脱硫器300へ供給された原料ガスは、50℃以上400℃以下、好ましくは100℃以上300℃以下の温度で硫黄吸着脱硫剤D0により、硫黄分の濃度が0.01ppm以下に脱硫処理される。
【0049】
そして、脱硫器300で脱硫された原料ガスは、水蒸気混合器140で熱交換装置160から供給される水蒸気と混合されて、改質手段400の改質器410へ供給される。そして、水蒸気が混合された原料ガスは、改質器410で水素リッチな燃料ガスに改質される。さらに、CO変成器420およびCO選択酸化器430により、燃料ガス中のCOが変成・除去され、加湿器などで適宜加湿された後、燃料電池200の負極202側に供給される。
そして、負極202側に供給された燃料ガスの水素は、加湿器などで適宜加湿されて燃料電池200の正極201側に供給された空気中の酸素と反応して水を生成するとともに、正極201および負極202間に直流電力を発生させる。
なお、負極202側の余った水素分を含む燃料ガスは、改質器410のバーナ411に供給されて燃焼される。
【0050】
また、制御部500の寿命判定装置510は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命判定処理を実施する。ここで、上述した寿命判定処理のタイミングとしては、発電処理開始時、所定時間毎、連続的など、いずれのタイミングであってもよい。
具体的には、寿命判定装置510は、上述した寿命検出位置に固定された検出ユニット520にて、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H1を投光するとともに、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H2を受光する。
この後、寿命判定制御手段530の変色状態判定手段531にて、検出ユニット520での受光状態に基づく変色状態値を設定する。さらに、寿命判定手段532にて、この変色状態値に基づいて、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であるか否かを判定する。
【0051】
そして、制御部500は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命でないと判定された場合、あらかじめ設定されたタイミングで寿命判定処理を実施する。
一方、制御部500は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定された場合、アラーム910を制御してアラーム音を発せさせる処理、燃料電池システム100Aを非常停止させる処理、管理室920へ通報する処理を実施する。
なお、例えば利用者により、アラーム制御手段533、非常停止制御手段542、通報手段543のうち、動作させたい構成のみを適宜選択可能な構成としてもよい。
【0052】
〔第1の実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記第1の実施の形態では、脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0に投光光H1を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H2の受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する。具体的には、変色状態値を設定する。そして、この変色状態値に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H2の受光状態に基づいて、この出射光H2を出射した硫黄吸着脱硫剤D0での硫黄分の吸着状態に対応させて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。したがって、一定の判定基準で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。また、画像処理などの複雑な処理を実施する必要がなく、簡単な構成で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。
【0053】
そして、受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる寿命検出位置から出射される出射光H2を受光して、この出射光H2に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、受光位置特定値Vが0.5よりも小さくなる上流側位置で受光する場合のように、吸着可能脱硫剤D1を有効利用するために、利用者が吸着可能脱硫剤D1の寿命を予測する必要がなくなる。また、受光位置特定値Vが0.90よりも大きくなる下流側位置で受光する場合のように、下流側位置の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命が判定されてから、利用者が硫黄吸着脱硫剤D0を交換するなどのメンテナンスをするまでの間に、吸着可能脱硫剤D1の全てで硫黄分が吸着されて吸着不可能な状態となり、硫黄分が改質器410へ流れてしまうことがなくなる。したがって、管理が煩雑になるおそれや、硫黄分が改質器410へ流れてしまうおそれを抑制できる。
【0054】
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、アラーム910からアラーム音を発している。
このため、脱硫器300から離れた位置にいる利用者、あるいは、他の作業をしている利用者に対して、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を認識させることにより、適切なメンテナンスを実施させることができる。
【0055】
また、脱硫器300に、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む硫黄吸着脱硫剤D0、つまり、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する硫黄吸着脱硫剤D0を充填している。
このため、変色の判定が容易になり、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命をさらに適切に判定できる。
【0056】
さらに、原料ガス供給手段110から供給される炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を、寿命判定装置510で判定する。
このため、上述した作用効果を奏する状態で、燃料ガス製造装置450にて、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造できる。
【0057】
また、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能な燃料ガス製造装置450からの改質ガスと、ブロワ210から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池200で発電させる。
このため、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを利用して、適切な発電を得ることができる。
【0058】
そして、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、燃料電池システム100Aの動作を停止させている。
このため、硫黄分が燃料電池システム100Aに流れることを防止でき、適切な発電を得ることができる。
【0059】
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、その旨を寿命情報として、管理室920にいる燃料電池システム100Aの管理者に通報する。
このため、燃料電池システム100Aの管理者に迅速に寿命を認識させることにより、さらに適切なメンテナンスをより迅速に実施させることができる。
【0060】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムについて説明する。
なお、上述した第1の実施の形態の燃料電池システム100Aと同一の構成については、同一名称および同一符号を付し、説明を省略する。
図5は、制御部の概略構成を示すブロック図である。図6は、脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。図8は、時間と、第1の受光手段および第2の受光手段での受光状態に対応する変色状態値と、の関係を示すグラフである。
【0061】
〔燃料電池システムの構成〕
図1において、100Bは、燃料電池システムで、この燃料電池システム100Bは、第1の実施の形態の燃料電池システム100Aの制御部500を制御部600に変更した構成を有している。
【0062】
この制御部600は、アラーム910に接続されているとともに、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。
そして、制御部600は、図5に示すように、寿命判定装置610と、システム制御装置650と、を備えている。
【0063】
寿命判定装置610は、脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0に光を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される光に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。そして、寿命判定装置610は、第1の検出ユニット620と、第2の検出ユニット630と、寿命判定制御手段640と、を備えている。
【0064】
ここで、第1,第2の検出ユニット620,630は、第1の実施の形態の検出ユニット520と同一のものである。
第1の検出ユニット620は、図5〜図7に示すように、ユニット本体621と、第1の投光手段622と、第1の受光手段623と、を備えている。
ユニット本体621は、例えば樹脂材などにより略箱状に形成され、一面に脱硫容器310の外周面に密着可能な曲面状の曲面部621Aを有している。そして、ユニット本体621は、脱硫容器310に巻き付けられたベルト624により、曲面部621Aが脱硫容器310に密着する状態で固定される。
第1の投光手段622は、寿命判定制御手段640に接続された例えば光ファイバであり、ユニット本体621の内部に投光光H11を投光する投光面622Aが曲面部621Aから臨む状態で設けられている。
第1の受光手段623は、寿命判定制御手段640に接続された例えば光ファイバであり、ユニット本体621の内部に、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H12を受光する受光面623Aが曲面部621Aから臨む状態で設けられている。
そして、第1の投光手段622および第1の受光手段623は、図7に示すように、投光光H11が硫黄吸着脱硫剤D0に投光され、硫黄吸着脱硫剤D0で反射して出射される出射光H12を受光面623Aで受光可能な状態で、それぞれ位置決めされている。
【0065】
また、第2の検出ユニット630は、ユニット本体631と、第2の投光手段632と、第2の受光手段633と、を備えている。
ユニット本体631は、脱硫容器310に巻き付けられたベルト634により、図示しない曲面部が脱硫容器310に密着する状態で固定される。
第2の投光手段632は、ユニット本体631の曲面部から臨む図示しない投光面から投光光を投光する。第2の受光手段633は、ユニット本体631の曲面部から臨む図示しない受光面で出射光を受光する。また、第2の投光手段632および第2の受光手段633は、第1の投光手段622および第1の受光手段623と同一の状態で位置決めされている。
【0066】
そして、第1の検出ユニット620は、図6に示すように、脱硫容器310における流入口311近傍に固定されている。具体的には、第1の検出ユニット620は、流入口311から第1の受光手段623までの距離、すなわち上述した脱硫剤上流面から出射光H12が出射される位置までの距離がL11となる第1の位置に固定されている。
また、第2の検出ユニット630は、脱硫容器310における軸方向略中央に固定されている。具体的には、第2の検出ユニット630は、流入口311から第2の受光手段633までの距離、すなわち上述した脱硫剤上流面から出射光が出射される位置までの距離がL12となる第2の位置に固定されている。
つまり、第1の検出ユニット620の第1の位置は、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填してからの使用期間が短いときに、硫黄吸着脱硫剤D0が変色する位置に設定されている。また、第2の検出ユニット620の第2の位置は、脱硫容器310に硫黄吸着脱硫剤D0を充填してからの使用期間が短いときに、硫黄吸着脱硫剤D0が変色せずに、使用期間が長いときに変色する位置に設定されている。
ここで、脱硫剤上流面から脱硫剤下流面までの距離は、第1の実施の形態と同様にL0に設定さている。
なお、第1,第2の検出ユニット620,630の固定位置としては、上述した位置に限らず、脱硫容器310の軸方向に沿った異なる位置であればいずれの位置であってもよい。
【0067】
寿命判定制御手段640は、図5に示すように、アラーム910に接続され、変色状態判定手段641と、寿命判定手段642と、発音制御手段としてのアラーム制御手段643と、を備えている。
【0068】
変色状態判定手段641は、第1,第2の投光手段622,632を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H11、図示しない投光光を投光させる。そして、第1,第2の受光手段623,633を制御して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H12、図示しない出射光を受光させて、この受光状態に対応する受光信号を取得する。ここで、受光状態は、出射光H12が吸着可能脱硫剤D1から出射された場合、白色に対応した状態となり、出射光H12が吸着済脱硫剤D2から出射された場合、白色以外の例えば灰色に対応した状態となる。
そして、変色状態判定手段641は、受光信号の受光状態に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態に対応した変色状態値を設定する処理を、硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する処理として実施する。なお、変色状態値の設定方法は、第1の実施の形態と同一なので説明を省略する。
【0069】
ここで、上述したように、第1,第2の受光手段623,633は、脱硫容器310の軸方向に沿った異なる位置に固定されている。このため、第1,第2の受光手段623,633の受光状態に対応する変色状態値は、図8のグラフに示すように、使用時間に伴う増加状態が異なる。つまり、流入口311側の第1の受光手段623の変色状態値が、まず増加する。そして、第2の位置よりも流入口311側の硫黄吸着脱硫剤D0が吸着済脱硫剤D2に変化した後に、第2の受光手段633の変色状態値が増加する。
なお、図8では、変色状態値の増加状態を簡易的に直線で表しているが、実際には、使用状態に応じて適宜曲線的に増加する。
【0070】
寿命判定手段642は、第1の受光手段623での受光状態に対応する変色状態値を認識し、この変色状態値があらかじめ設定された閾値S以上であると判断した場合、このときの時間T1を認識する。ここで、変色状態値が閾値S以上となる状態は、本発明の特定変色状態に対応する。また、寿命判定手段642は、第2の受光手段633での受光状態に対応する変色状態値が閾値S以上であると判断した場合、このときの時間T2を認識する。さらに、例えばあらかじめ設定された、あるいは、利用者により設定入力され、脱硫剤上流面からの距離がL13となる第3の位置を認識する。
そして、時間T2から時間T1を減じたΔTと、上述した距離L11,L12,L13と、を以下の式(2)に代入して、時間Tjを算出する。
【0071】
(数2)
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(2)
【0072】
そして、寿命判定手段642は、第2の受光手段633での変色状態値が閾値S以上となった時間T2からの経過時間が、式(2)に基づき算出した時間Tjとなるときに、第3の位置の変色状態値が閾値S以上となると判定する。すなわち、時間T2からの経過時間がTjとなるときに、第3の位置の硫黄吸着脱硫剤D0が吸着済脱硫剤D2に変化すると判定する処理を、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命判定処理として実施する。
上述した式(2)により、例えば、L11が2cm、L12が6cm、L13が8cm、ΔTが5日間の場合、つまり、脱硫容器310の軸方向に沿って4cmの範囲の硫黄吸着脱硫剤D0が吸着済脱硫剤D2に変化するのに5日間要し、かつ、吸着可能脱硫剤D1の存在範囲である第2の位置から第3の位置までの距離が2cmの場合、Tjを2.5日間と算出することができる。
【0073】
アラーム制御手段643は、寿命判定手段642にて、時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間がTjになったときに、あるいは、Tjになる前にアラーム910を制御して、アラーム音を発せさせ、燃料電池システム100Bの利用者に、その旨を報知する。
【0074】
システム制御装置650は、ネットワークNを介して管理室920に接続されている。このシステム制御装置650は、システム制御手段541と、停止制御手段としての非常停止制御手段652と、通報手段653と、を備えている。
【0075】
システム制御手段541は、原料ガスの流量制御、脱硫器300の加熱手段の加熱条件である電気ヒータへ供給する電力制御、改質器410のバーナ411の燃焼制御、熱交換装置160で水蒸気を生成させるための純水181の供給量制御や温度管理、発電量の管理などを実施する。
【0076】
非常停止制御手段652は、寿命判定手段642にて、時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間がTjになったときに、あるいは、Tjになる前にシステム制御手段541を制御して、燃料電池システム100Bの動作を非常停止させる。
【0077】
通報手段653は、寿命判定手段642にて、時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間がTjになったときに、あるいは、Tjになる前にネットワークNを介して管理室920の管理者に、その旨を寿命情報として通報する。
【0078】
〔燃料電池システムの動作〕
次に、上述した燃料電池システム100Bの動作を説明する。なお、燃料電池システム100Bの発電動作は、第1の実施の形態の燃料電池システム100Aと同一なので説明を省略し、寿命判定方法について説明する。
【0079】
制御部600の寿命判定装置610は、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命判定処理を実施する。ここで、上述した寿命判定処理のタイミングとしては、発電処理開始時、所定時間毎、連続的など、いずれのタイミングであってもよい。
具体的には、寿命判定装置610は、上述した第1,第2の位置に固定された第1,第2の検出ユニット620,630にて、硫黄吸着脱硫剤D0へ投光光H11、投光光を投光するとともに、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H12、出射光を受光する。
この後、寿命判定制御手段640の変色状態判定手段641にて、第1,第2の検出ユニット620,630での受光状態に基づく変色状態値を設定する。さらに、寿命判定手段642にて、第1,第2の検出ユニット620,630に対応する変色状態値が閾値S以上となった時間T1,T2を認識するとともに、第3の位置までの距離L13を認識して、上述した式(2)に基づいて、時間Tjを算出する。
【0080】
そして、制御部600は、寿命判定手段642で時間Tjが算出されると、時間T2からの経過時間が例えばTjになったときに、アラーム910を制御してアラーム音を発せさせる処理、燃料電池システム100Bを非常停止させる処理、管理室920へ通報する処理を実施する。
なお、例えば利用者により、アラーム制御手段643、非常停止制御手段652、通報手段653のうち、動作させたい構成のみを適宜選択可能な構成としてもよい。
【0081】
〔第2の実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記第2の実施の形態では、脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0に投光光H11を投光して、硫黄吸着脱硫剤D0から出射される出射光H12の受光状態に基づいて、硫黄分の吸着状態に対応する硫黄吸着脱硫剤D0の変色状態を判定する。具体的には、変色状態値を設定する。そして、この変色状態値に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、硫黄吸着脱硫剤D0からの出射光H12の受光状態に基づいて、この出射光H12を出射した硫黄吸着脱硫剤D0での硫黄分の吸着状態に対応させて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。したがって、一定の判定基準で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。また、画像処理などの複雑な処理を実施する必要がなく、簡単な構成で硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定できる。
【0082】
そして、脱硫器300の軸方向、すなわち脱硫器300に充填された硫黄吸着脱硫剤D0における原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される出射光H12、出射光を受光する。そして、この異なる位置での受光状態に基づいて、この異なる位置よりも原料ガスが流入される下流側に存在する硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する。
このため、受光位置よりも下流側の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定することにより、硫黄吸着脱硫剤D0の有効利用を容易に図ることができる。
【0083】
さらに、脱硫剤上流面からの距離がL11となる第1の位置から出射される光を受光するとともに、脱硫剤上流面からの距離がL12となる第2の位置から出射される光を受光する。そして、第1の位置での受光状態に対応する第1の変色状態が特定変色状態となってから、第2の位置での受光状態に対応する第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、第2の変色状態が特定変色状態となってからの経過時間が上述した式(2)で求められるTjとなるときに、脱硫剤上流面からの距離がL13となる第3の位置の変色状態が特定変色状態となると判定する処理を、異なる位置よりも下流側の位置に存在する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定するとして実施する。なお、脱硫剤上流面から第3の位置までの距離であるL13として、脱硫剤下流面までの距離であるL0を代入すれば、脱硫剤下流面で変色状態が特定変色状態になるまでの時間を算出できる。
このため、脱硫剤上流面から第1,第2,第3の位置までの距離、第1の位置での第1の変色状態が特定変色状態となってから第2の位置での第2の変色状態が特定変色状態となるまでの時間を上述した式(1)に代入するだけの簡単な方法で、第3の位置の変色状態が特定変色状態となる時期を判定できる。したがって、より簡単な方法で判定された寿命に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の有効利用を容易に図ることがでる。
【0084】
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、アラーム910からアラーム音を発している。
また、脱硫器300に、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む硫黄吸着脱硫剤D0、つまり、硫黄分を吸着していない状態では白色で、硫黄分を吸着することにより変色する硫黄吸着脱硫剤D0を充填している。
さらに、原料ガス供給手段110から供給される炭化水素原料を含む原料ガスを脱硫する脱硫器300の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を、寿命判定装置610で判定する。
また、硫黄分を含まない燃料電池用改質ガスを適切に製造可能な燃料ガス製造装置450からの改質ガスと、ブロワ210から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池200で発電させる。
そして、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、燃料電池システム100Bの動作を停止させている。
さらに、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命であると判定した際に、その旨を寿命情報として、管理室920にいる燃料電池システム100Bの管理者に通報する。
このため、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、燃料電池システム100Bが一般的な家庭に配置されている場合、利用者の生活様式によらず、燃料電池システム100Bの利用状況は、ほぼ等しいことが確認されている。このため、ほとんどの利用者の燃料電池システム100Bに対して、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を適切に判定することができ、利用拡大を容易に図ることができる。
【0085】
[実施の形態の変形例]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【0086】
すなわち、第1の実施の形態において、受光位置特定値Vが0.5よりも小さい上流側位置や、0.90よりも大きい下流側位置で受光した出射光H2に基づいて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
【0087】
また、第2の実施の形態において、第1,第2の投光手段622,632の代わりに、例えば脱硫容器310の軸方向全体にわたって光を照射可能な投光手段を設ける構成としてもよい。
【0088】
さらに、第1,第2の実施の形態において、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命に基づいて、アラーム音の出力処理、燃料電池システム100A,100Bの動作停止処理、管理室920にいる燃料電池システム100A,100Bの管理者への通報処理のうち、少なくともいずれか1つあるいは2つのみを実施する構成としてもよい。
そして、第1,第2の実施の形態において、硫黄吸着脱硫剤D0としては、硫黄分を吸着していない状態での色が白色のものに限らず、硫黄分を吸着することにより変色するものであれば、吸着していない状態での色がいかなる色のものをも適用できる。
【0089】
また、第1の実施の形態の脱硫容器310の代わりに、図9に示すような脱硫容器710を適用してもよい。
すなわち、SUSなどの金属材料により略円筒状に形成され、例えば受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置に四角形状に開口形成された窓部711Aを有する容器基部711と、例えば耐熱ガラスなどの光を透過する材料により四角板状に形成され、容器基部711の窓部711Aを閉塞する状態で設けられた光透過部712と、脱硫容器710を適用する。そして、検出ユニット520を、投光手段522および受光手段523が光透過部712に対向する状態で設け、容器基部711内の硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
【0090】
そして、第1の実施の形態の脱硫容器310の代わりに、図10に示すような脱硫容器720を適用して、以下のように硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
すなわち、SUSなどの金属材料や耐熱ガラスなどにより円筒状に形成され、例えば受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置に丸形状に開口形成された第1,第2の挿通孔部721A,721Bを有する容器基部721を適用する。第1,第2の挿通孔部721A,721Bは、容器基部721の軸に対して略対向する状態で設けられている。また、投光手段731を第1の挿通孔部721Aに、受光手段732を第2の挿通孔部721Bにそれぞれ嵌合させる。そして、投光手段731から投光されて硫黄吸着脱硫剤D0を透過した光を受光手段732にて受光して、この受光状態に基づいて、寿命判定制御手段530にて、硫黄吸着脱硫剤D0の寿命を判定する構成としてもよい。
【0091】
さらに、図10に示すような脱硫容器720の代わりに、図11に示すような脱硫容器740を適用してもよい。
すなわち、脱硫容器740を、例えば耐熱ガラスなどの光を透過する材料により円筒状に形成する。そして、投光手段731および受光手段732を、脱硫容器740の外部において脱硫容器740の軸に対して略対向する状態で設け、投光手段731から投光され硫黄吸着脱硫剤D0を透過した光を、受光手段732にて受光する構成としてもよい。
【0092】
さらに、図9〜図11と同様の構成を、第2の実施の形態に適用してもよい。
【0093】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法、硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置、燃料電池用改質ガスの製造装置、および、燃料電池システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記第1の実施の形態における脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】前記第1の実施に形態における制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】前記第2の実施の形態における制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】前記第2の実施の形態における脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】前記第2の実施の形態における時間と、第1の受光手段および第2の受光手段での受光状態に対応する変色状態値と、の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態に係る脱硫器の要部の概略構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0096】
100A,100B…燃料電池システム
110…原料ガス供給手段
200…燃料電池
210…酸素含有気体供給手段としてのブロワ
300…脱硫器
410…改質器
450…燃料ガス製造装置
510,610…寿命判定装置
522,731…投光手段
523,732…受光手段
531,641…変色状態判定手段
532,642…寿命判定手段
533,643…発音制御手段としてのアラーム制御手段
542,652…停止制御手段としての非常停止制御手段
543,653…通報手段
622…第1の投光手段
623…第1の受光手段
632…第2の投光手段
633…第2の受光手段
910…発音手段としてのアラーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記硫黄吸着脱硫剤は、脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤へ光を投光して、前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光し、
この受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、
この判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面から下流側の面までの距離をL0、
前記上流側の面から前記受光する光が出射される位置までの距離をL1、として、
L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される前記光を受光する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤における前記原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される前記光を受光し、
前記異なる位置での受光状態に基づいて、前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、
この判定した前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態に基づいて、前記異なる位置よりも前記原料ガスが流入される下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面からの距離がL11となる第1の位置から出射される前記光を受光し、
前記上流側の面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される前記光を受光し、
前記第1の位置での受光状態に対応する第1の前記変色状態が特定変色状態となってから、前記第2の位置での受光状態に対応する第2の前記変色状態が前記特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、
前記第2の変色状態が前記特定変色状態となってからの経過時間が以下の式(1)で求められるTjとなるときに、前記上流側の面からの距離がL12より長いL13となる第3の位置の変色状態が前記特定変色状態となると判定する処理を、前記異なる位置よりも前記下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する処理として実施する
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(1)
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記判定した前記硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器には、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む前記硫黄吸着脱硫剤が充填された
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記判定した寿命に基づいて、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの動作を停止させる
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記判定した寿命に関する寿命情報を、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの管理者に通報する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項9】
炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記硫黄吸着脱硫剤は、前記硫黄分が脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤へ光を投光する投光手段と、
前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光する受光手段と、
この受光手段での受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する変色状態判定手段と、
この変色状態判定手段で判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する寿命判定手段と、
を具備したことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記受光手段は、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面から下流側の面までの距離をL0、
前記上流側の面から前記受光する光が出射される位置までの距離をL1、として、
L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される前記光を受光可能な位置に設けられた
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項11】
請求項9に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤における前記原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置に設けられた複数の前記受光手段を具備し、
前記変色状態判定手段は、前記複数の受光手段での受光状態に基づいて、前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、
前記寿命判定手段は、前記変色状態判定手段で判定した前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態に基づいて、前記異なる位置よりも前記原料ガスが流入される下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面からの距離がL11となる第1の位置から出射される前記光を受光可能な位置に設けられた第1の前記受光手段と、
前記上流側の面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される前記光を受光可能な位置に設けられた第2の前記受光手段と、
を具備し、
前記寿命判定手段は、
前記第1の位置での受光状態に対応する第1の前記変色状態が特定変色状態となってから、前記第2の位置での受光状態に対応する第2の前記変色状態が前記特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、
前記第2の変色状態が前記特定変色状態となってからの経過時間が以下の式(2)で求められるTjとなるときに、前記上流側の面からの距離がL12より長いL13となる第3の位置の変色状態が前記特定変色状態となると判定する処理を、前記異なる位置よりも前記下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する処理として実施する
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(2)
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記寿命判定手段で判定した前記硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発音手段で発せさせる制御をする発音制御手段を具備した
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項14】
請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記硫黄吸着脱硫剤は、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項15】
炭化水素原料を含む原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
この原料ガス供給手段から供給される原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤が充填された脱硫器と、
この脱硫器で脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器と、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置と、
を具備したことを特徴とした燃料電池用改質ガスの製造装置。
【請求項16】
請求項15に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置と、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、
前記燃料電池用改質ガスの製造装置の前記改質器で改質された前記改質ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と、
を具備したことを特徴とした燃料電池システム。
【請求項17】
請求項16に記載の燃料電池システムであって、
前記硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置の前記寿命判定手段で判定した前記寿命に基づいて、燃料電池システムの動作を停止させる停止制御手段を具備した
ことを特徴とした燃料電池システム。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の燃料電池システムであって、
前記硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置の前記寿命判定手段で判定した前記寿命に関する寿命情報を、燃料電池システムの管理者に通報する通報手段を具備した
ことを特徴とした燃料電池システム。
【請求項1】
炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記硫黄吸着脱硫剤は、脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤へ光を投光して、前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光し、
この受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、
この判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面から下流側の面までの距離をL0、
前記上流側の面から前記受光する光が出射される位置までの距離をL1、として、
L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される前記光を受光する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤における前記原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置から出射される前記光を受光し、
前記異なる位置での受光状態に基づいて、前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、
この判定した前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態に基づいて、前記異なる位置よりも前記原料ガスが流入される下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面からの距離がL11となる第1の位置から出射される前記光を受光し、
前記上流側の面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される前記光を受光し、
前記第1の位置での受光状態に対応する第1の前記変色状態が特定変色状態となってから、前記第2の位置での受光状態に対応する第2の前記変色状態が前記特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、
前記第2の変色状態が前記特定変色状態となってからの経過時間が以下の式(1)で求められるTjとなるときに、前記上流側の面からの距離がL12より長いL13となる第3の位置の変色状態が前記特定変色状態となると判定する処理を、前記異なる位置よりも前記下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する処理として実施する
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(1)
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記判定した前記硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記脱硫器には、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む前記硫黄吸着脱硫剤が充填された
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記判定した寿命に基づいて、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの動作を停止させる
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法であって、
前記判定した寿命に関する寿命情報を、前記改質器で生成した前記改質ガスを原料として発電する燃料電池システムの管理者に通報する
ことを特徴とする硫黄吸着脱硫剤の寿命判定方法。
【請求項9】
炭化水素原料を含む原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記硫黄吸着脱硫剤は、前記硫黄分が脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器における前記原料ガスが流入される上流側に直列状に接続された脱硫器に充填され、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤へ光を投光する投光手段と、
前記硫黄吸着脱硫剤から出射される光を受光する受光手段と、
この受光手段での受光状態に基づいて、前記硫黄分の吸着状態に対応する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定する変色状態判定手段と、
この変色状態判定手段で判定した前記変色状態に基づいて、前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する寿命判定手段と、
を具備したことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記受光手段は、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面から下流側の面までの距離をL0、
前記上流側の面から前記受光する光が出射される位置までの距離をL1、として、
L1をL0で除した受光位置特定値Vが0.5以上、0.90以下となる位置から出射される前記光を受光可能な位置に設けられた
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項11】
請求項9に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤における前記原料ガスが流入される方向に沿った異なる位置に設けられた複数の前記受光手段を具備し、
前記変色状態判定手段は、前記複数の受光手段での受光状態に基づいて、前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態を判定し、
前記寿命判定手段は、前記変色状態判定手段で判定した前記異なる位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の変色状態に基づいて、前記異なる位置よりも前記原料ガスが流入される下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤で構成される前記原料ガスが流入される上流側の面からの距離がL11となる第1の位置から出射される前記光を受光可能な位置に設けられた第1の前記受光手段と、
前記上流側の面からの距離がL11より長いL12となる第2の位置から出射される前記光を受光可能な位置に設けられた第2の前記受光手段と、
を具備し、
前記寿命判定手段は、
前記第1の位置での受光状態に対応する第1の前記変色状態が特定変色状態となってから、前記第2の位置での受光状態に対応する第2の前記変色状態が前記特定変色状態となるまでの時間をΔT、として、
前記第2の変色状態が前記特定変色状態となってからの経過時間が以下の式(2)で求められるTjとなるときに、前記上流側の面からの距離がL12より長いL13となる第3の位置の変色状態が前記特定変色状態となると判定する処理を、前記異なる位置よりも前記下流側の位置に存在する前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する処理として実施する
Tj=〔(L13−L12)/(L12−L11)〕×ΔT…(2)
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記寿命判定手段で判定した前記硫黄吸着脱硫剤の寿命に対応するアラーム音を発音手段で発せさせる制御をする発音制御手段を具備した
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項14】
請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置であって、
前記硫黄吸着脱硫剤は、銀および銅のうち少なくともいずれか一方を担持させたゼオライト、および、酸化セリウムのうちの少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とした硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置。
【請求項15】
炭化水素原料を含む原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
この原料ガス供給手段から供給される原料ガスの硫黄分を吸着する硫黄吸着脱硫剤が充填された脱硫器と、
この脱硫器で脱硫された原料ガスを改質触媒下で加熱して水素ガスを含有する改質ガスを生成させる改質器と、
前記脱硫器に充填された前記硫黄吸着脱硫剤の寿命を判定する請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置と、
を具備したことを特徴とした燃料電池用改質ガスの製造装置。
【請求項16】
請求項15に記載の燃料電池用改質ガスの製造装置と、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、
前記燃料電池用改質ガスの製造装置の前記改質器で改質された前記改質ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と、
を具備したことを特徴とした燃料電池システム。
【請求項17】
請求項16に記載の燃料電池システムであって、
前記硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置の前記寿命判定手段で判定した前記寿命に基づいて、燃料電池システムの動作を停止させる停止制御手段を具備した
ことを特徴とした燃料電池システム。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の燃料電池システムであって、
前記硫黄吸着脱硫剤の寿命判定装置の前記寿命判定手段で判定した前記寿命に関する寿命情報を、燃料電池システムの管理者に通報する通報手段を具備した
ことを特徴とした燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−128957(P2008−128957A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317143(P2006−317143)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]