説明

硬化性組成物、光情報媒体およびそれらの製法

【課題】 多層記録型光ディスクの半透過記録膜や半透過反射膜に対する保護性能に優れた光透過層形成に好適な硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 全塩素含有量10ppm以下の脂環式ジイソシアネート(a1)、多価アルコール(a2)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(A)、並びに(A)以外の(メタ)アクリレート(B)を含有する光情報媒体用硬化性組成物;脂環式ジアミン、尿素及びアルコールを反応させて脂環式ジウレタンとし、その脂環式ジウレタンを熱分解した(a1)が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の腐食に対する保護性能(以下、保護性能という)に優れる硬化性組成物に関し、特に多層記録型光ディスクの半透過記録膜や半透明反射膜に対する保護性能に優れた光透過層形成に好適な硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体の分野では高密度化に関して様々な研究が進められている。光ディスクの分野においても、動画が記録できる0.6mm厚の基板を貼り合わせた構造のDVDが普及期を迎えている。
【0003】
しかしながら、今後デジタルハイビジョン放送が広まるにつれ、更なる大容量の光ディスクが必要とされていることから、記録・再生側の基板(光透過層)を0.1mm厚とし、対物レンズの開口数(NA)を0.85程度、レーザー波長400nm程度とした高密度光ディスクシステムが実用化され、普及しつつある。
【0004】
この光透過層の形成方法としては、液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる手法が開発されている(例えば特許文献1)が、多層記録型光ディスク用の透明中間層を形成する際にも、紫外線硬化型樹脂を用いたスピンコート法が利用されるようになってきた(例えば特許文献2)。さらに、多層記録型光ディスクには半透過記録膜や半透過反射膜として膜厚8〜25nmの金属薄膜が設けられるようになってきた(例えば特許文献3)。
【0005】
しかしながら、これらの特許文献には紫外線硬化型樹脂の構成については、詳細には記載されてない。一方、これらスピンコート法に用いる液状の紫外線硬化型樹脂としては、例えば、特許文献4に記載の組成物が挙げられるが、光透過層や透明中間層形成用として、特許文献4記載の液状紫外線硬化型樹脂を用いた光ディスクは、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート由来の加水分解性塩素によって、高温高湿の耐久試験後に、半透過記録膜や半透過反射膜が腐食し、記録又は再生が不可能となるといった問題があった。
【特許文献1】特開平8−235638号公報
【特許文献2】特開2003−91887号公報
【特許文献3】特開2005−353144号公報
【特許文献4】特開2005−293823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属の腐食に対する保護性能に優れる硬化性組成物に関し、特に多層記録型光ディスクの半透過記録膜や半透過反射膜に対する保護性能に優れた光透過層形成に好適な硬化性組成物を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全塩素含有量10ppm以下の脂環式ジイソシアネート(a1)、多価アルコール(a2)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(A)、並びに(A)以外の(メタ)アクリレート(B)を含有する光情報媒体用硬化性組成物である。
【0008】
また、本発明は、支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層が前述の硬化性組成物の硬化物層である光情報媒体である。
【0009】
さらに、本発明は、脂環式ジアミン、尿素及びアルコールを反応させて脂環式ジウレタンとし、その脂環式ジウレタンを熱分解して脂環式ジイソシアネート(a1)とし、その(a1)、多価アルコール(a2)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)を反応させてウレタン(メタ)アクリレート(A)とし、これを(A)以外の(メタ)アクリレート(B)に混合して溶解させる前述の硬化性組成物の製造方法である。
【0010】
またさらに、本発明は前述の製造方法によって得られた硬化性組成物を基材に塗布して活性エネルギー線を照射して硬化させる光情報媒体の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、多層記録型光ディスクの半透過記録膜や半透過反射膜に対する保護性能に優れた光透過層形成に好適な硬化性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0013】
硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、全塩素含有量10ppm以下の脂環式ジイソシアネート(a1)(以下「成分(a1)」という)、多価アルコール(a2)(以下「成分(a2)」という)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)(以下「成分(a3)」という)から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下「成分(A)」という)、並びに(A)以外の(メタ)アクリレート(B)(以下「成分(B)」という)を含有する。
【0014】
また、成分(B)として、必要に応じて分子内に少なくとも1個のエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(b1)(以下「成分(b1)」という)、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(b2)(以下「成分(b2)」という)を含有させることもできる。
【0015】
CH=CRCOO(Cα2α)OCOCR=CH (1)
(式中、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を示す。αは2〜16の整数を示す。)
【0016】
成分(A)
本発明で用いる成分(A)は硬化性組成物に低収縮性を付与する成分であり、またその硬化物に強靭性及び可とう性を付与するための成分である。
【0017】
成分(A)の具体例としては、成分(a1)、成分(a2)及び成分(a3)から合成される化合物が挙げられる。
【0018】
成分(A)の原料となる成分(a1)は、全塩素含有量が10ppm以下である。なお、全塩素含有量とは、試料を酸素気流中で燃焼させて、生成した塩化水素を電解的に発生させた銀イオンで滴定する方法を用いて得られた塩素含有量をppmで表したものを意味する。
【0019】
成分(a)は、いわゆるホスゲン法で製造したものであって、精製を繰り返すことによって、その全塩素含有量を10ppm以下にしたものが使用できる。また、脂環式ジアミン、尿素及びアルコールを反応させて脂環式ジウレタンとし、その脂環式ジウレタンを熱分解して脂環式ジイソシアネートとする、いわゆる尿素法で製造したものも使用できる。その際に、ジウレタンの形成を2工程で実施し、低沸点物質、中沸点物質を除去したジウレタンを所望のジイソシアネートの遊離下に熱分解し、分解装置の分解塔底生成物の一部を連続的に排出し、かつアルコールにより再ウレタン化し、ここから高沸点物質を分離し、かつ、こうして精製した再ウレタン化物質をプロセスへ返送する連続的な製造方法が好ましい。
【0020】
その製造が容易なことから、尿素法によって製造された(a1)が好ましい。
【0021】
尿素法で製造された(a1)としては、例えば特開2006−36778号公報に記載される(a1)が挙げられる。具体的には、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキシルジアミン、2,4−メチレンジシクロヘキシルジアミン、2,2′−メチレンジシクロヘキシルジアミン等の脂環式ジアミン、尿素およびn−ブタノールから脱アンモニア反応により合成されるジウレタン化合物を熱分解し、脱アルコールすることにより、原料ジアミンに対応する、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,2′−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネートを得ることが出来る。本手法により、従来ホスゲン法では精製を繰り返さなくては得ることの出来なかった低塩素含有量の脂環式ジイソシアネートが容易に得られ、これを原料として用いることにより、特に光ディスク用記録膜の保護性能に優れた光透過層形成に好適な硬化性組成物を得ることが出来る。
【0022】
上記化合物の中で、硬化物に優れた靭性と難黄変性を付与できることから、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートが成分(a1)として特に好ましい。
【0023】
成分(A)の原料となる成分(a2)としては市販されている各種の多価アルコール類が使用可能である。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド等の多価アルコール類;これら多価アルコール類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール類;これら多価アルコール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類又はこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルポリオール類;これら多価アルコール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール類;これら多価アルコール類及び多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルポリオール類;1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のジオール類と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオール類等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0024】
これらの中でも、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリカーボネートジオール類は、得られる硬化物の耐湿性と強伸度バランスに優れることから、特に好ましい。
【0025】
成分(A)の原料となる成分(a3)は、具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び分子内に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートであればよい。具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類や、これらのカプロラクトンの付加物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中で、得られる成分(A)が低粘度となることから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0026】
成分(A)の合成方法としては、公知のウレタン(メタ)アクリレート合成法を使用できる。例えば、フラスコ内に2モルのジイソシアネートを仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を総仕込量に対して50〜300ppm混合し、フラスコ内温度を40〜60℃に保ちながら、滴下ロートを用いて1モルの多価アルコール化合物を2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマー末端に残存するイソシアネート基に、当量の水酸基含有(メタ)アクリレートを滴下させながらフラスコ内温60〜75℃で付加反応させればよい。
【0027】
成分(A)の含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計量(以下これらの合計量を「組成物単量体合計量」という)100質量%を基準として40質量%以上が好ましく、45質量%以上が特に好ましい。また、成分(A)の含有量は70質量%以下が好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
【0028】
成分(A)の含有量が40質量%以上の場合には硬化性組成物の硬化収縮率の低減効果が十分に発現され、得られる硬化物の可撓性が良好となる傾向にあり、また、70質量%以下の場合には硬化性組成物の液粘度が低くなり、情報記録層上への塗工作業性が良好となる傾向にある。
【0029】
成分(B)
本発明で用いる成分(B)は、成分(A)以外の(メタ)アクリレート化合物であり、硬化性組成物の粘度、硬化性や、硬化物の硬度および基材に対する密着性等を調整する成分である。
【0030】
また、成分(B)は、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、具体的には、分子内に少なくとも1個のエーテル結合を有する(メタ)アクリレート化合物(b1)と下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(b2)との少なくとも一方を含有することが好ましい。
【0031】
CH=CRCOO(Cα2α)OCOCR=CH (1)
(式中、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を示す。αは2〜16の整数を示す。)
成分(b1)は、硬化性組成物に低粘度性、速硬化性を付与する成分であり、その具体例としては、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルエチルアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
成分(b1)を成分(B)として含有する場合の含有量は、組成物単量体合計量100質量%を基準として、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、成分(b1)の含有量は40質量%以下が好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
【0033】
成分(b1)の含有量が5質量%以上の場合には得られる硬化性組成物の硬化性が良好となる傾向にあり、また、40質量%以下の場合には組成物の硬化収縮率が低くなる傾向にある。
【0034】
一般式(1)で示される成分(b2)は、硬化性組成物に低粘度性を付与すると共に、得られる硬化物に、硬度及び支持基体との密着性を付与する成分である。
【0035】
成分(b2)の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。それらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0036】
上記の中で、硬化性組成物の低粘度化及び硬化物の支持着体に対する密着性のバランスが良好であることから、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
成分(b2)を成分(B)として含有する場合の含有量は、組成物単量体合計量100質量%を基準として、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、成分(b2)の含有量は25質量%以下が好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
【0038】
成分(b2)の含有量が5質量%以上の場合には得られる硬化性組成物の低粘度性や、硬化物の硬度や密着性が良好になる傾向にあり、また、25質量%以下の場合には組成物の硬化収縮率が低くなり、硬化物の可とう性が良好となる傾向にある。
【0039】
本発明の組成物には、成分(B)として、必要に応じて成分(b1)および(b2)以外の(メタ)アクリレート化合物(b3)(以下「成分(b3)」という)を含有させることが可能である。成分(b3)は、多官能(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等であって、前述の成分(A)、(b1)、(b2)以外のものが挙げられる。
【0040】
成分(b3)のうち、多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0041】
ジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ジトリメチロールプロパン、2,2−メチレンビス(オキシメチレン)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)、トリメチロールプロパン等の多価アルコール及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、前記尿素法にて合成した1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネートおよび2,2′−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネートの少なくとも1種に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを直接付加して得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0046】
成分(b3)の含有量は、硬化性と硬化収縮率のバランスを考慮すると、組成物単量体合計量100質量%中30質量%以下が好ましい。
【0047】
本発明の組成物には、活性エネルギー線照射により効率よく硬化物とするために、光重合開始剤(C)(以下、「成分(C)」という)を含有することが好ましい。
【0048】
成分(C)の具体例としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート等の光重合開始剤が挙げられる。
【0049】
上記化合物の中で、硬化性組成物の硬化性及び得られる硬化物の難黄変性の観点から2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0050】
成分(C)の含有量は組成物単量体合計量100質量部に対して1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。また、成分(C)の含有量は5質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましい。
【0051】
成分(C)の含有量が1質量部以上の場合には、空気雰囲気中での硬化性が良好となる傾向にあり、また、5質量部以下の場合には、硬化性組成物の深部硬化性、得られる硬化物の難黄変性が良好となる傾向にある。
【0052】
他の成分
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であれば、硬化性組成物中に熱重合開始剤、酸化防止剤、光安定剤、光増感剤、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、公知の添加剤等を適宜配合して用いてもよい。
【0053】
これらの添加剤のなかでも、光ディスク用としては、特に耐光性が要求されることから、光安定剤としてHALS(ヒンダードアミンライトスタビライザー)の使用が好ましく、特にアミノエーテル基含有HALSが好ましい。
【0054】
これら添加剤の添加量は組成物単量体合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
【0055】
本発明における硬化性組成物は、ダストやゲル物等の異物の存在による光情報媒体の読み取り又は書き込みエラーを防止するために、5μm以上、好ましくは1μm以上の異物を排除するろ過フィルターを用いてろ過することが好ましい。ろ過フィルターの素材としてはセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等が使用可能である。また、光透過層に気泡が存在してもエラーの原因となるため、硬化性組成物は予め真空若しくは遠心条件下、又は真空且つ遠心条件下において脱泡を行うことが好ましい。
【0056】
硬化性組成物を硬化させるために使用される活性エネルギー線の種類としては、α、β及びγ線、X線、紫外線、可視光線等、公知の活性エネルギー線が挙げられる。活性エネルギー線を照射する雰囲気は空気中又は窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよいが、製造コストの観点から空気中で照射することが好ましい。
【0057】
本発明の硬化性組成物を基材に塗布して活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、光情報媒体を得ることができる。基材としては、後述する支持基体、支持基体に情報記録層を設けたもの、その情報記録層上に透明中間層を積層し更に透明中間層上に情報記録層を設けたもの等が挙げられる。
【0058】
硬化物
本発明の硬化性組成物の硬化物は、含まれる不純物塩素含有量が少ないため、腐食性が低く、且つ耐光性に優れた光透過層となるので、光情報媒体における光透過層に好適である。
【0059】
光透過層となる硬化物の23℃における引張弾性率は50〜600MPaが好ましく、より好ましくは100〜550MPaである。
【0060】
引張弾性率が50MPa以上で光透過層が傷つきにくい傾向にあり、また、600MPa以下で外部の温度変化及び湿度変化に対する寸法安定性が良好である傾向にある。
【0061】
23℃における引張弾性率を50〜600MPaにするためには、好ましくは紫外線の積算光量を500mJ/cm以上、より好ましくは1000mJ/cm以上、更に好ましくは2000mJ/cm以上の条件で照射して硬化性組成物を硬化させる。
【0062】
光情報媒体
本発明の硬化性組成物の硬化物を光透過層とする光情報媒体としては、支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体が挙げられる。
【0063】
支持基体
光情報媒体を構成する支持基体としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、プラスチック等の材料やこれらの複合材料が挙げられる。特に、従来の光ディスク製造プロセスを利用できることから、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が好適である。
【0064】
情報記録層
支持基体上に設けられる情報記録層の材料としては、例えば、金、銀、銀・Pd・Cu合金、アルミ、アルミチタン合金、アルミクロム合金、Si・Cu合金、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te・Sb・Ge合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金、Tb・Fe・Co合金、色素等が挙げられる。これらの材料は読み取り専用型媒体、相変化型記録媒体、ピット形成タイプ記録媒体、光磁気記録媒体等の使用目的に応じて選択すればよい。
【0065】
また、記録層の少なくとも一方の側に、記録層の保護や光学的効果を目的としてSiN、ZnS、SiO等の誘電体を設けることも可能である。
【0066】
光透過層
情報記録層上に設けられる光透過層は記録光又は再生光に対する透明性を保ち、情報記録層を保護する役割を有する。光透過層の厚みとしては、10μm以上の場合に光情報媒体の表面を十分に保護できる傾向にあり好ましく、また、500μm以下で光情報媒体の反りを抑制しやすい傾向にあり好ましい。より好ましくは20〜300μmの範囲であり、更に好ましくは25〜150μmの範囲である。
【0067】
光情報媒体の製造
本発明の光情報媒体は、コンパクトディスク等、既存の光情報媒体同様、公知の手法で製造可能である。ポリカーボネート等の透明樹脂を射出成型法により円盤状に成型した後、円盤の情報記録面となる面上に、例えばスパッタリング法により情報記録層となる金属薄膜層を形成する。その後、例えばスピンコート法により金属薄膜層上に硬化性組成物を塗布し、それを硬化させて光透過層を形成することにより製造できる。
【0068】
また、2P法を用いて、上記手法により形成した情報記録層上に、透明中間層を設け、該中間層上にスパッタリング法により半透明の情報記録層を形成し、更にその記録層上に光透過層を設けることで、多層記録型の光情報媒体を製造する事もできる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。尚、以下、「部」は「質量部」を意味する。
【0070】
実施例及び比較例において得られた組成物及びそれを用いて得た光ディスクについて、以下に示す評価項目及び評価方法で評価した。
【0071】
〔評価項目及び評価方法〕
1.光透過層の評価
<光線透過率(%)>
評価用光ディスクから剥離させた光透過層の波長400nmにおける光線透過率を、日立製作所(株)製分光光度計U−3400を用いて、空気をリファレンスとして測定した。
○:良好(85%以上)
×:不良(85%未満)
<耐光性(%)>
スガ試験機(株)製塗料用退色試験機FM−1型を用い、光透過層を光源に向けた状態で評価用光ディスクを配置、ブラックパネル温度60度の条件下で100時間耐光性テストを行った。その後、光ディスクを取り出し、23℃、相対湿度50%環境下にて24時間放置後、光透過層を剥離して光線透過率を測定した。
○:良好(85%以上)
×:不良(85%未満)
<引張特性>
評価用光ディスクから剥離させた光透過層から10mm×100mm×75μmの試験片を切り出し、標線間距離を50mm、引張速度20mm/分とすること以外はJIS K7127−1989に準拠し、23℃、相対湿度50%の環境下において、引張弾性率(単位:MPa)と破断伸度(単位:%)を測定した。
【0072】
2.光ディスクの評価
<保護性能>
評価用光ディスクについて、80℃、相対湿度85%環境下にて、400時間保持した後、23℃、相対湿度50%環境下へ取り出し、同環境下にて24時間放置後、偏光顕微鏡にて銀合金反射膜表面を観察し、下記基準に基づいて評価を行った。
○:初期から変化無し
×:銀合金表面に白化、黒化、ピンホール等の腐食が発生
【0073】
《合成例1》ウレタンアクリレート(UA1:成分(A))の製造
5Lの4つ口フラスコに、デグサ社製VESTANAT IPDI(尿素法によって米国工場で生産されたジイソシアネート;3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、全塩素含有量10ppm以下)1110g及びジブチル錫ジオクテート0.5gを仕込んで水浴中でフラスコ内温が70℃になるように加熱した。
【0074】
ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学(株)製、商品名PTG850SN、数平均分子量850)2125gを側管付きの滴下ロートに仕込み、この滴下ロート内の液を、4つ口フラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を70℃に保ちながら4時間等速で滴下し、更に同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0075】
次いで、フラスコ内容物の温度を75℃に上げ、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート580g及びハイドロキノンモノメチルエーテル1gの混合溶液を、フラスコ内温を75℃に保ちながら2時間等速で滴下した。更にフラスコ内容物の温度を75℃に保って4時間反応させて、ウレタンアクリレートUA1を製造した。
【0076】
《合成例2》ウレタンアクリレート(UA2:成分(A))の製造
ポリテトラメチレングリコールの代わりに、ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名プラクセル205U、数平均分子量530)を1325g用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2を製造した。
【0077】
《合成例3》ウレタンアクリレート(UA3:成分(A))の製造
ポリテトラメチレングリコールの代わりに、ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名T5650J、数平均分子量798)1995gを用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA3を製造した。
【0078】
《合成例4》ウレタンアクリレート(UA4)の製造
デグサ社製VESTANAT IPDI(米国工場製)の代わりに、住友バイエルウレタン社製デスモジュールI(ホスゲン法による3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、全塩素含有量120ppm)を用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA4を製造した。
【0079】
《合成例5》ウレタンアクリレート(UA5)の製造
デグサ社製VESTANAT IPDI(米国工場製)の代わりに、日本ポリウレタン社製T−100(ホスゲン法によるトリレンジイソシアネート、全塩素含有量100ppm)を用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA5を製造した。
【0080】
[実施例1]
(1)光透過層用硬化性組成物の製造
成分(A)として合成例1で得られたUA1を60部、成分(b1)としてエトキシジエチレングリコールアクリレート10部、成分(b2)として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート10部、成分(b3)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート19.95部、及び日本化薬社製カヤマーPM−2(ビスメタクリロイルオキシエチルリン酸エステル)0.05部、成分(C)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部、その他成分として、チバスペシャルティーケミカルズ社製光安定剤チヌビン123(アミノエーテル基含有HALS)0.01部、を50℃で混合溶解し、無色透明液状の硬化性組成物を得た。
【0081】
(2)評価用光ディスクの作製及び評価
ポリカーボネート樹脂(飽和吸水率:0.15質量%)を射出成型して得た光ディスク形状を有する透明円盤状鏡面基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)の片面に、Ag98PdCu(原子比)合金を膜厚13nmとなるようにスパッタリング法にて製膜し、鏡面に銀合金半透過反射膜を有する評価用光ディスク基材を得た。
【0082】
得られた評価用光ディスク基材の半透過反射膜上に、上記(1)で得られた硬化性組成物を雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境下、スピンコーターを用いて塗工した後、フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製Dバルブランプを用いて、積算光量2000mJ/cmのエネルギー量(オーク(株)製UV−350にて測定)で紫外線を照射、塗膜を硬化させて、平均膜厚が75μmの光透過層を有する評価用光ディスクを得た。
【0083】
各種評価結果を表1に示す。尚、全ての評価は作製した光ディスクを23℃、相対湿度50%の環境下にて24時間放置した後に実施した。
【0084】
[実施例2〜3及び比較例1〜2]
硬化性組成物として表1に記載のものを用いること以外は実施例1と同様にして評価用光ディスクを得た。評価結果を表1に示す。
【表1】

【0085】
UA1:合成例1で得られたウレタンアクリレート
UA2:合成例2で得られたウレタンアクリレート
UA3:合成例3で得られたウレタンアクリレート
UA4:合成例4で得られたウレタンアクリレート
UA5:合成例5で得られたウレタンアクリレート
EEA:エトキシジエチレングリコールアクリレート
MEDOL:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
C9DA:1,9−ノナンジオールジアクリレート
C10DA:1,10−デカンジオールジアクリレート
TCDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
PM−2:ビスメタクリロイルオキシエチルリン酸エステル(日本化薬(株)製カヤマーPM−2)
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
T123:チバスペシャリティーケミカルズ製光安定剤チヌビン123
V540:ビスフェノールA型エポキシアクリレート(大阪有機化学工業(株)製ビスコート540)
IRG1520L:チバスペシャルティーケミカルズ社製イルガノックス1520L

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全塩素含有量10ppm以下の脂環式ジイソシアネート(a1)、多価アルコール(a2)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(A)、並びに(A)以外の(メタ)アクリレート(B)を含有する光情報媒体用硬化性組成物。
【請求項2】
(a2)がポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール及びポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
成分(B)として分子内に少なくとも1個のエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(b1)を含有する請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項4】
成分(B)として下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(b2)を含有する請求項1記載の硬化性組成物。
CH=CRCOO(Cα2α)OCOCR=CH (1)
(式中、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を示す。αは2〜16の整数を示す。)
【請求項5】
支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層が請求項1記載の硬化性組成物の硬化物層である光情報媒体。
【請求項6】
脂環式ジアミン、尿素及びアルコールを反応させて脂環式ジウレタンとし、その脂環式ジウレタンを熱分解して脂環式ジイソシアネート(a1)とし、その(a1)、多価アルコール(a2)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)を反応させてウレタン(メタ)アクリレート(A)とし、これを(A)以外の(メタ)アクリレート(B)に混合して溶解させる請求項1に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法によって得られた硬化性組成物を基材に塗布して活性エネルギー線を照射して硬化させる光情報媒体の製造方法。

【公開番号】特開2008−130212(P2008−130212A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317670(P2006−317670)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】