説明

硬質表面洗浄剤組成物

【課題】本発明の目的は、窒素含有量の高い窒素化合物を使用せず、且つ汚れとのなじみが良く優れた洗浄力を持ち、人間や自然に対して安全性の高い硬質洗浄剤組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、窒素含量が0.1〜3質量%であるポリエーテルアミン化合物(A)と、水溶性のポリエーテル系溶剤(B)を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、プラスチック、ガラス、陶磁器、コンクリート等の硬質表面に存在する汚れ成分の除去性に優れ、更に、人間や自然に対して安全性の高い洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭における台所の換気扇やガスレンジ、風呂釜、トイレ、食器類、あるいは車両、建築物等は、金属、プラスチック、ガラス、陶磁器、コンクリート等の硬質によってできている。これらの硬質表面には、風雨、食物類、排出物、油類、排気ガス等によって様々な汚れが付着する。こうした汚れを除去するには、界面活性剤を使用して洗浄してやればよいが、界面活性剤だけでは、複合した汚れを完全に除去することができない場合が多い。
【0003】
そこで上記問題を解決する洗浄剤組成物として、例えば特許文献1には、必須の構成成分として界面活性剤(I)0.1〜50重量部(質量部) アルカリビルダー(II)1〜20重量部(質量部) 1種または2種以上の炭素原子数6〜10の脂肪族カルボン酸塩(III)0.5〜20重量部(質量部) 1種または2種以上の一般式
【化1】

(式中Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは水素原子、メチル基またはエチル基 n=1〜10)で示されるアルキルポリアルキレングリコールエーテル(IV)1〜20重量部(質量部)を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、(A)1種又は2種以上の界面活性剤0.1〜20wt%(質量%)
(B)下記の一般式(I)で表わされる溶剤1〜20wt%(質量%)
RO[(CO)(CO)]R’(1)
式中、m及びnのいずれかが0の時はR及びR’は炭素数1〜4のアルキル基であり、又、m、n>0の時はR及びR’はH又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びR’はいずれもHであることはない。但しm及びnは、0〜4でm+n=1〜6である。又[]内はオキシエチレン基とオキシプロピレン基とがランダム状及び又はブロック状に結合してなるポリオキシアルキレン鎖である。
(C)アルカノールアミン等の有機アミン類及び/又は、苛性アルカリから選ばれる1種または2種以上のアルカリ物質0.1〜15wt%(質量%)
(D)水 バランス
を含むことを特徴とする液体洗浄剤組成物が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭56−047496号公報 特許請求の範囲
【特許文献2】特開昭61−151300号公報 特許請求の範囲
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に開示されている洗浄剤組成物は、汚れに対する溶剤の溶解力、及びアルカリ剤の洗浄力により、様々な汚れを除去するのに適した洗浄剤組成物の一つと言われている。しかしながら、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の強アルカリ剤を使用した場合には、汚れとのなじみが悪く、洗浄むらができる場合がある。ここで、「洗浄むら」とは、洗浄後に汚れがまだらに残ってしまうこと等をいう。この洗浄むらを解消するために界面活性剤と強アルカリ剤を併用することも知られているが、その効果は十分ではなかった。
【0007】
又、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子アルカノールアミン類を使用した場合は、汚れとのなじみは良いものの、洗浄剤中の窒素含量が増え、排水として環境に放出されると水質汚染や富栄養化等の問題が発生する場合がある。現在、自治体等では窒素化合物の排出規制も行われており、窒素含量の低い洗浄剤が望まれている。又、低分子アルカノールアミン類は皮膚に対する刺激性が強いという問題があり、更に、モノエタノールアミンはニトロソアミンに変化する場合があり、この使用を制限する動きもある。
【0008】
従って、本発明の目的は、窒素含有量の高い窒素化合物を使用せず、且つ汚れとのなじみが良く優れた洗浄力を持ち、人間や自然に対して安全性の高い硬質洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエーテルアミン化合物を使用することにより、人体に対する安全性が高く、汚れとのなじみが良い、優れた洗浄力を持つ窒素含量の低い硬質洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は、窒素含量が0.1〜3質量%であるポリエーテルアミン化合物(A)と、水溶性のポリエーテル系溶剤(B)を含有することを特徴とする硬質表面洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果は、窒素含有量の高い窒素化合物を使用せず、且つ汚れとのなじみが良く優れた洗浄力を持ち、人間や自然に対して安全性の高い硬質洗浄剤組成物を提供したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に使用できる(A)成分は、窒素含量が0.1〜3質量%であるポリエーテルアミン化合物であり、例えば、アンモニアのアルキレンオキシド付加物、エチレンジアミンのアルキレンオキシド付加物、ジエチレントリアミンのアルキレンオキシド付加物、トリエチレンテトラミンのアルキレンオキシド付加物等、活性水素を持つアミン化合物にアルキレンオキシドを付加したものが挙げられる。こうしたポリエーテルアミン化合物はアルカリ性であり、アルカリ洗浄としての効果とともに、汚れとのなじみが良いという利点を持つ。このようなポリエーテルアミン化合物の中でも、汚れとのなじみ及び洗浄力の点から、水溶性のポリエーテルアミン化合物が好ましく、下記一般式(1)で表されるポリエーテルアミン化合物がより好ましい。ここで、「水溶性」とは、常温において水とポリエーテルアミン化合物を1対1で混合した時、全量が溶解あるいは乳化するものであることを意味する:
【化2】

(式中、POは、−CO−基を表し、EOは、−CO−基を表し、k、p、r及びtは、それぞれ3〜50の数を表し、m、q、s及びwは、それぞれ1〜100の数を表す。)
【0013】
上記一般式(1)において、k、p、r及びtは、それぞれオキシプロピレン基の重合度を表し、それぞれ独立した3〜50の数を表し、好ましくは5〜40、より好ましくは5〜30である。ここで、k、p、r及びtの数が3より少なくなると洗浄性が劣る場合があるために好ましくなく、また、50より大きくなると配合安定性が悪くなる場合があるために好ましくない。また、m、q、s及びwは、それぞれオキシエチレン基の重合度を表し、それぞれ独立した1〜100の数を表し、好ましくは3〜80、より好ましくは5〜60、更に好ましくは5〜50である。なお、m、q、s及びwの数が100より大きくなると、洗浄力が劣る場合があるために好ましくない。
【0014】
上記一般式(1)で表わされるポリエーテルアミン化合物は、水に溶解もしくは分散することが好ましく、オキシプロピレン基とオキシエチレン基の合計質量に対するオキシエチレン基の割合は、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましい。ここで、オキシエチレン基の割合が10質量%未満であると、水溶性でなくなる場合があり、また、80質量%を超えると洗浄むらが出る場合があるために好ましくない。
【0015】
一般式(1)のポリエーテルアミン化合物は、任意の方法によって製造することができるが、最も一般的な方法としては、例えば、触媒の存在下、エチレンジアミンに必要な量のプロピレンオキシドを付加させ、その後、必要な量のエチレンオキシドを付加させればよい。触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物が好ましく、水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが更に好ましい。
【0016】
ポリエーテルアミン化合物(A)はアミン化合物であるため、本発明の硬質表面洗浄剤組成物中に窒素が含有される。大量の窒素の流出は、河川の水質汚染や富栄養化等の問題を誘発するため、なるべく少ない方が好ましい。よって窒素含量を減らすためには、ポリエーテルアミン化合物(A)中の窒素含量が少ない方がよく、ポリエーテルアミン化合物(A)中の窒素含量は0.1〜3質量%でなければならないが、好ましくは0.3〜1質量%、より好ましくは0.5〜0.8質量%である。ここで、窒素含量が3質量%を超えると、硬質洗浄剤組成物中の窒素含量が多くなるため排水規制等で問題になる場合があるために好ましくなく、また、窒素含量が0.1質量%未満の場合は洗浄力に劣る場合や、洗浄むらが出る場合があるために好ましくない。
【0017】
次に、水溶性のポリエーテル系溶剤(B)について説明する。ここで、「水溶性」とは、前述した水溶性と同じ意味であり、常温において水とポリエーテル系溶剤を1対1で混合した時、全量が溶解あるいは乳化するものであることを意味する。本発明の(B)成分である水溶性のポリエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、炭素数1〜4の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物、炭素数1〜4のアルキルグリセリルエーテル、前記ポリエーテル化合物の低級脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物が好ましく、特に好ましいのは下記一般式(2)で表される化合物である:
【化3】

(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、平均重合度x及びyは、0〜4の数を表し、x+y=1〜6の数を表す。)
【0018】
一般式(2)において、Rは、ROHで表されるアルコールから水酸基を除いたものであり、炭素数1〜4のアルキル基を表し、これらのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、洗浄性が良好なことから、炭素数2〜4のアルキル基が好ましく、炭素数4のアルキル基がより好ましい。
【0019】
xは、オキシエチレン基の平均重合度を表し、yは、オキシプロピレン基の平均重合度を表す。xとyは、それぞれ独立した0〜4の数を表すが、それぞれ0.5〜3の数であることが好ましい。xとyが4より大きな数になると、水溶性が失われる場合や洗浄性が劣る場合があるために好ましくない。また、x+y=1〜6でなければならず、x+y=1.5〜4.5であることが好ましい。xとyの和が6より大きな数になると、水溶性が失われる場合や洗浄性が劣る場合があるために好ましくない。
【0020】
一般式(2)で表わされる化合物は、任意の方法によって製造することができるが、最も一般的な方法としては、例えば、上述した触媒を使用して、ROHで表されるアルコールに、エチレンオキシドを付加させ、その後、必要な量のプロピレンオキシドを付加する方法である。通常こうして製造したポリエーテル化合物は分子量分布を持つため、xやyは上記のように、整数以外の数字になることがある。
【0021】
本発明の硬質表面洗浄剤組成物において、(A)成分及び(B)成分の配合割合は、(A)成分1質量部に対して(B)成分は0.05〜50質量部の割合が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部、最も好ましくは0.3〜3質量部である。ここで、(A)成分1質量部に対して(B)成分が0.05質量部未満及び50質量部を超えると洗浄力が低下する場合があるために好ましくない。
【0022】
更に、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、(C)成分としてノニオン界面活性剤を添加することができる。なお、(A)成分はノニオン界面活性剤として分類される場合があるが、本発明の(C)成分は(A)成分を除いたノニオン界面活性剤である。このようなノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい。)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられ、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、これら(C)成分から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
【0023】
上記のようなノニオン性界面活性剤の中でも、窒素原子を含有していないノニオン界面活性剤が好ましく、洗浄中の泡立ちを抑えるという点から、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの二種類のアルキレンオキシドを使用したノニオン界面活性剤がより好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(ランダム付加)が更に好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(ランダム付加)に使用できるアルキル基は、炭素数6〜18が好ましく、炭素数8〜16がより好ましく、炭素数10〜14が更に好ましい。又、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数は、5〜20モルが好ましく、7〜15モルがより好ましい。更に付加したアルキレンオキシド全体に対するエチレンオキシドのモル比は、50〜99モル%が好ましく、60〜95モル%がより好ましく、65〜90モル%が更に好ましい。これら(C)成分は、(A)成分1質量部に対して、0〜10質量部添加することが好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が更に好ましい。
【0024】
更に、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、(D)成分としてビルダーを含有することができる。ビルダーとしては、例えば、乳酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸又はこれらの塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等);コハク酸、グルタル酸、マロン酸等のジカルボン酸又はこれらの塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等);エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン酢酸等のアミノカルボン酸又はこれらの塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等);トリメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等のリン酸化合物の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等);炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩;硼酸カリウム、硼酸ナトリウム等の硼酸塩;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素マグネシウム等の硫酸塩;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、ゼオライト等の無機アルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物;ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩等を挙げられることができる。本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、これら(D)成分から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
【0025】
上記のようなビルダーの中でも、オキシカルボン酸又はこれらの塩、リン酸塩、アミノカルボン酸又はこれらの塩、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩が好ましく、オキシカルボン酸塩、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩がより好ましい。これら(D)成分は、(A)成分1質量部に対して、0〜5質量部添加することが好ましく、0.05〜2質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
【0026】
更に、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を併用することができる。その他の成分としては、例えば、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;ベンゼンスルフォン酸塩、トルエンスルフォン酸塩等の低級アルキルスルフォン酸塩等の低温安定化剤;カプロイン酸、イソヘプタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、カプリン酸等の炭素数5〜10の低級脂肪酸;2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、2、5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、DL−α−トコフェノール等の酸化防止剤、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−オクタンジオール等のアルキレングリコール系溶剤、リモネン、ピネン、ジペンテン等のテルペン炭化水素系溶剤、香料、色素、防腐剤等を合わせて配合することができる。
【0027】
なお、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、高濃度で使用してもよいが、水で希釈して使用するのが好ましい。水で希釈する場合、(A)成分と(B)成分を合わせた濃度が、0.1〜50質量%になるように希釈してから使用するのが好ましく、0.2〜30質量%がより好ましく、0.3〜10質量%が更に好ましく、0.5〜5質量%が最も好ましい。(A)成分と(B)成分を合わせた濃度が0.1質量%未満の場合、洗浄力が悪くなる場合があり、50質量%を超えると、性能的にはほとんど変化なく、高濃度にする意味が経済的にも薄れるからである。なお、流通の目的等であるならば、50質量%を超えても問題はない。
【0028】
本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、コンクリート、タイル、金属、合成樹脂、岩石、ガラス、ホーロー、あるいはそれらの上に塗料を塗布したもの、更に、ゴム製品、自動車の車体等の洗浄にも使用することができ、特に、台所の換気扇やガスレンジ、風呂釜、トイレ、食器類等の家庭用洗浄剤に有用である。又、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、従来知られている任意の方法で使用することができ、例えば、本発明の硬質表面洗浄剤組成物を塗布してブラッシングした後、水で洗い流したり拭き取ったりすることにより汚れを除去することができる。塗布の方法としては、例えば、布やブラシにしみ込ませてそのまま塗布する方法、ハンドスプレーや機械スプレーにおいてスプレーする方法等が挙げられる。また、ブラッシングする方法としては、例えば、ウエス、布ブラシ、金属ブラシ、樹脂製ブラシ等を使用して、人手あるいは機械によってブラッシングする方法等が挙げられる。なお、拭き取る方法としては、ウエス等で拭き取ればよく、水道水で洗い流してもよい。また、自動清掃装置や超音波を使用した洗浄方法でもよく、更に、洗浄後にリンス剤等の処理を行ってもよい。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の硬質表面洗浄剤組成物を実施例により更に具体的に説明する。尚、以下の実施例等において、「%」及び「ppm」は、特に記載が無い限り質量基準である。
洗浄液、試験板の作成及び試験方法を以下に記す。
<洗浄液の調整>
実施例1〜6については、撹拌機の付いた1000mlのビーカーに水を700ml入れた後、表1に記されている配合表に従い、撹拌しながら各成分を順次添加した。全ての成分を添加後、30分間撹拌して均一な洗浄液を調整した。実施例7及び8については、水を入れずに各成分のみで洗浄液を調整した後、配合表の濃度となるように希釈した。なお、水の入っていない状態の洗浄液は、両方とも安定な均一液体であった。
【0030】
<洗浄試験板>
洗浄試験板として以下の2種類のスレート板を用意した。
(1)10cm×20cmのスレート板を3ヶ月間屋外に置き水垢を付着させた。
(2)カーボンブラック(三菱化学:MA100)10質量部、鉱油(日石三菱:スーパーオイルN22)45質量部、及び大豆油45質量部を均一に混ぜたものを擬似汚れとし、10cm×20cmのスレート板に塗った。その後、擬似汚れを塗ったスレート板を150℃の高温槽に6時間入れ、油汚れを劣化させて、スレート板に付着させた。
【0031】
<洗浄方法>
上記2種類の汚れの付いたスレート板を、評価用の洗浄剤を含ませたウレタン製のスポンジ(110mm×65mm×30mm)に約500gの荷重をかけて5往復こすった。その後のスレート板の汚れを、目視によって下記5段階で評価した。
1・・・汚れ落ちが非常に良好
2・・・汚れ落ちが良好
3・・・ところどころに落とせなかった汚れがある
4・・・汚れ落ちにかなりムラがある
5・・・若干汚れが落ちる程度
【0032】
<タンパク変性試験>
皮膚に対する刺激性を評価するために、宮澤らの方法[日本化粧品技術者会誌18(2),96−105(1984)]に準じ、以下の方法にてタンパク変性試験を行った。即ち、硫酸ナトリウム0.15モル/リットル及びpH7緩衝液としてリン酸ナトリウム0.05モル/リットルを含む水溶液に、更に卵白アルブミン(和光純薬社製)を0.025質量%溶解させた溶液10ミリリットルに、表1に記載の本発明品及び比較品をそれぞれ1mg混合した。この溶液の調製直後及び25℃で48時間放置後について、下記条件による液体クロマトグラフィーを用いて卵白アルブミン量を定量することによりタンパク変性率を求めた。
<条件>
カラム:東ソー社製、商品名G−3000
検出器:UV検出器、検出波長220nm
溶離液:硫酸ナトリウム0.15モル/リットル及びリン酸ナトリウム0.05モル/リ ットルを含む水溶液
タンパク変性率(%)=100×(A−B)/A
A:調製直後の卵白アルブミン量
B:48時間放置後の卵白アルブミン量
【0033】
<使用化合物>
(A)成分
A−1:一般式(1)においてk、p、r、tがそれぞれ10で、m、q、s、wがそ れぞれ10、窒素含量が0.68質量%であるポリエーテルアミン化合物。
A−2:一般式(1)においてk、p、r、tがそれぞれ15で、m、q、s、wがそ れぞれ20、窒素含量が0.40質量%であるポリエーテルアミン化合物。
(B)成分
B−1:一般式(2)において、R:プロピル基、x:2.0、y:1.3のポリエー テル系溶剤。
B−2:一般式(2)において、R:n−ブチル基、x:1.0、y:2.0のポリエ ーテル系溶剤。
B−3:ジグリセリン
(C)成分
C−1:
1225−O−(EO)(PO)−H ブロック共重合品
C−2:
1225−O−[(EO)(PO)]−H ランダム共重合品
(D)成分
D−1:クエン酸ナトリウム
D−2:炭酸水素ナトリウム
D−3:水酸化ナトリウム

その他の成分
E−1:ジエタノールアミン 窒素含量 13.3質量%
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、コンクリート、タイル、金属、合成樹脂、岩石、ガラス、ホーロー、あるいはそれらの上に塗料を塗布したもの、更に、ゴム製品、自動車の車体等の洗浄に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素含量が0.1〜3質量%であるポリエーテルアミン化合物(A)と、水溶性のポリエーテル系溶剤(B)を含有することを特徴とする硬質表面洗浄剤組成物。
【請求項2】
ポリエーテルアミン化合物(A)が、下記の一般式(1)
【化1】

(式中、POは、−CO−基を表し、EOは、−CO−基を表し、k、p、r及びtは、それぞれ3〜50の数を表し、m、q、s及びwは、それぞれ1〜100の数を表す。)で表される、請求項1記載の硬質表面洗浄剤組成物。
【請求項3】
水溶性のポリエーテル系溶剤(B)が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、平均重合度x及びyは、0〜4の数を表し、x+y=1〜6の数を表す。)で表される、請求項1又は2記載の硬質表面洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(C)成分としてノニオン界面活性剤を含有する、請求項1ないし3のいずれか1項記載の硬質表面洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(D)成分として、ビルダーを含有する、請求項1ないし4のいずれか1項記載の硬質表面洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−290942(P2006−290942A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110156(P2005−110156)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】