磁気テープの測定装置及び測定方法
【課題】 磁気テープのカッピングの影響を排除して正確なテープ寸法を容易に測定することができる磁気テープの測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】 磁気テープの測定装置は、磁気テープを置く支持部材と、少なくとも一部に透明部が設けられ、支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付けられる蓋部材と、支持部材に対向配置された非接触式測定器と、を備える。蓋部材は、蓋部材を支持部材に取り付ける取付部と、磁気テープを視認するための透明部と、該透明部を取付部に対して伸縮可能に取り付ける伸縮部と、を有する。蓋部材を支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで伸縮部が伸縮し、透明部が支持部材側に変形して磁気テープを挟み込んで固定する。
【解決手段】 磁気テープの測定装置は、磁気テープを置く支持部材と、少なくとも一部に透明部が設けられ、支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付けられる蓋部材と、支持部材に対向配置された非接触式測定器と、を備える。蓋部材は、蓋部材を支持部材に取り付ける取付部と、磁気テープを視認するための透明部と、該透明部を取付部に対して伸縮可能に取り付ける伸縮部と、を有する。蓋部材を支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで伸縮部が伸縮し、透明部が支持部材側に変形して磁気テープを挟み込んで固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、磁気テープ等を磁気テープとして測定する際に、該磁気テープを固定した状態で、寸法等を測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、各種情報を記録する記録媒体として、プラスチックのベースフィルム上に磁気層を形成し、該磁気層の磁性体を磁化させることにより情報を記録するようにした磁気テープがある。このような磁気テープは、情報の書込み、読出しを保障し、また互換性を維持するなどのために各種規格が定められており、該規格の一部にテープ幅の寸法が規定されている。即ち、テープ幅が規格寸法を外れていると、テープの走行位置が所定の位置からずれてしまい、磁気テープの所定の位置に情報が記録できず、また、磁気ヘッドからの出力が不安定となって、正しく情報の読み書きができなくなるおそれがあった。このような現象は、磁気テープが、例えばＶＴＲ用テープである場合には、音声や画像に悪影響を及ぼす。
【０００３】
従って、磁気テープの評価項目の１つであるテープ幅を規格値内に維持するために、テープ幅の測定が行われる。しかし、磁気テープは、長手方向(テープの走行方向)と直交する方向に湾曲する性質、所謂、カッピング現象があるため、単なる測定ではテープ幅を正確に測定し難い問題があった。従来の測定方法は、カッピング現象の影響を排除して正確な寸法を測定するため、磁気テープをガラス板などの透明体で挟み込んで測定するのが一般的である。
【０００４】
また、テープ幅を正確に測定する寸法測定装置及び寸法測定方法として、円筒面状に形成された載置面上に磁気テープを載置することにより、磁気テープの自重によってカッピング現象を消滅させて測定するようにしたものも知られている（特許文献１参照）。
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−５０７１５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
磁気テープをガラス板などの透明体で挟み込んで測定する従来の測定方法によると、磁気テープと透明体との間にエア溜りが形成されてカッピングが十分に解消されない場合があり、正確な寸法測定ができないおそれがあった。
【０００７】
また、特許文献１の寸法測定装置及び寸法測定方法は、円筒形状に形成された載置面上に、円筒面の母線と直交する方向に磁気テープの長手方向を合わせて載置し、磁気テープの自重によってカッピング現象を消滅させる。そして、非接触式寸法測定機により、円筒面の母線方向に沿う方向の寸法を測定して、磁気テープのテープ幅を測定する。一方、測定誤差などの影響を最小にして正確なテープ幅寸法を知るためには、測定位置の長手方向前後の数箇所のテープ幅を測定し、それらの平均値をとってテープ幅寸法とするのが一般的である。
【０００８】
特許文献１の寸法測定装置及び寸法測定方法により測定位置の前後の数箇所でテープ幅を測定するためには、磁気テープを長手方向に移動して測定するか、または、磁気テープ位置、即ち、載置面を固定しておき、載置面に対して非接触式寸法測定機を相対的に磁気テープの長手方向に移動させて測定する必要がある。
【０００９】
しかし、磁気テープを長手方向に移動して測定する場合、磁気テープの移動に伴う磁気テープの曲がりや、位置ズレなどの外乱により測定値に誤差が生じるおそれがある。また、非接触式寸法測定機を相対的に移動させて測定する場合、載置面が円筒形状に形成されているため、非接触式寸法測定機の移動距離と磁気テープの長手方向距離とが一致せず、非接触式寸法測定機と載置面の相対位置および載置面の曲率から、磁気テープの長手方向位置を算出しなければならず、磁気テープの長手方向位置に誤差が生じ易い問題があった。
【００１０】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気テープのカッピングの影響を排除して正確な幅寸法を容易に測定することができる磁気テープの測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の上記目的は、下記磁気テープの測定装置によって達成される。
【００１２】
（１） 磁気テープを置く支持部材と、前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付けられ、少なくとも一部が透明である蓋部材とを備え、前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材が、前記支持部材側に変形して前記磁気テープを挟み込むことを特徴とする磁気テープの測定装置。
【００１３】
上記構成の磁気テープの測定装置によれば、支持部材の空気を引くことにより、蓋部材を支持部材側に変形させて、支持部材と蓋部材とで磁気テープを挟み込むようにしたので、磁気テープのカッピングを確実に消滅させることができ、これにより磁気テープの寸法を正確に測定することができる。
【００１４】
（２） 上記（１）の磁気テープの測定装置において、前記蓋部材が、該蓋部材を前記支持部材に取り付ける取付部と、前記支持部材に取り付けられた状態で、前記磁気テープを視認するための透明部と、前記透明部を前記取付部に対して伸縮可能に取り付けるための伸縮部とが形成されていることを特徴とする磁気テープの測定装置。
【００１５】
上記構成の磁気テープの測定装置によれば、蓋部材が、蓋部材を支持部材に取り付けるための取付部と、磁気テープを視認するための透明部と、該透明部を取付部に対して伸縮可能に取り付ける伸縮部と、を備えるので、伸縮部が伸縮して透明部が支持部材に密着する。これにより、磁気テープを視認可能な状態で支持部材上に固定することができる。
【００１６】
（３） 上記（１）または（２）の磁気テープの測定装置において、前記支持部材の一部に吸気口が形成され、前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で前記吸気口から空気を引くことにより、前記蓋部材が変形することを特徴とする磁気テープの測定装置。
【００１７】
上記構成の磁気テープの測定装置によれば、蓋部材を支持部材に取り付けた状態で、支持部材に形成された吸気口から空気を引くことにより、蓋部材が変形して支持部材に密着し、磁気テープを挟み込んで固定することができる。
【００１８】
また、本発明の上記目的は、下記磁気テープの測定方法によって達成される。
【００１９】
（４） 磁気テープを支持部材上に置き、前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付け、蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材を前記支持部材側に変形させて前記磁気テープを挟み込む状態とし、前記蓋部材の少なくとも一部に形成された透明部から前記磁気テープの形状を測定することを特徴とする磁気テープの測定方法。
【００２０】
上記測定方法によれば、支持部材上に置かれた磁気テープを覆うように蓋部材を支持部材に取り付け、支持部材の空気を引いて蓋部材を変形させて磁気テープを挟み込み、蓋部材の透明部から磁気テープの形状を測定するようにしたので、簡単な機構で確実にカッピング現象が消滅し、磁気テープの寸法を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【００２１】
本発明によれば、磁気テープなどのカッピング現象を消滅して、正確な寸法を測定することができる磁気テープの測定装置及び測定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【００２３】
＜第１実施形態＞
図１は支持部材上に置かれた磁気テープを覆うように蓋部材を支持部材に取り付けた状態を示す縦断面図、図２は図１の平面図、図３は支持部材の空気が引かれて蓋部材が変形し、磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【００２４】
図１から図３に示すように、第１実施形態の磁気テープの測定装置１０は、支持部材１１と、蓋部材１２と、非接触式測定器２８と、を備える。支持部材１１は、例えば、金属で製作された矩形板状部材であり、その上面には平滑な平面である載置面１１ａが形成されている。また、支持部材１１は、載置面１１ａに開口する吸気口１６を備え、測定装置１０の基台(図示せず)に固定されている。
【００２５】
蓋部材１２は、取付部１３と、伸縮部１４と、透明部１５とから構成されている。取付部１３は、支持部材１１と略同一外形寸法の枠体であり、上面に形成された開口縁部１３ａに伸縮可能な伸縮部１４が気密に固着されている。また、取付部１３と支持部材１１との接触面である下面に、その全周に亘ってＯリングなどのパッキン１７を配置して、取付部１３と支持部材１１との間を気密に封止するのが好ましい。
【００２６】
伸縮部１４の中央部には、更に透明部１５が気密に固着されている。そして、取付部１３を支持部材１１に乗せて蓋部材１２を支持部材１１に取り付けたとき、支持部材１１と透明部１５との間には、磁気テープＴを載置可能な程度の隙間が形成されるようになっている。磁気テープＴは、透明部１５を介して外部から視認可能である。
【００２７】
非接触式測定器２８は、例えば、レーザー測長器などが例示され、測定対象物、本実施形態においては磁気テープＴに接触することなく、任意の部分の長さを測定することができる。非接触式測定器２８は、支持部材１１の上方において、測定装置１０の基台に固定されており、蓋部材１２に対向して配置されている。
【００２８】
次に、このように構成された磁気テープの測定装置１０による磁気テープＴの長さ（テープ幅）測定について説明する。先ず、支持部材１１の載置面１１ａ上に磁気テープＴを載せ、更に磁気テープＴを覆うように蓋部材１２を支持部材１１に取り付ける。そして、図示しない真空装置により吸気口１６から支持部材１１と蓋部材１２の間のエアを引いて減圧すると、図３に示すように、伸縮部１４が伸びて透明部１５が下方に移動し、やがて支持部材１１の載置面１１ａと透明部１５とで磁気テープＴを挟み込んで固定する。これにより、磁気テープＴのカッピングは、確実に消滅する。
【００２９】
尚、このとき、支持部材１１と蓋部材１２（取付部１３）との間は、Ｏリングなどのパッキン１７により封止され、また、取付部１３と伸縮部１４、および伸縮部１４と透明部１５とは、気密に固着されているので、外気が侵入することはなく、容易に減圧することができる。
【００３０】
このように、カッピングが消滅した状態で載置面１１ａ上に挟み込まれて固定した磁気テープＴは、その寸法、例えば、幅寸法が、非接触式測定器２８により透明部１５を介して測定される。尚、磁気テープＴの寸法を、複数箇所測定する場合は、磁気テープＴが固定された支持部材１１と非接触式測定器２８とを相対的に平行移動させて測定する。このとき、載置面１１ａは平面であるので、非接触式測定器２８の移動距離が、そのまま磁気テープＴ（支持部材１１）上の距離となるので、磁気テープＴの寸法を高精度、且つ容易に測定することができる。
【００３１】
＜第２実施形態＞
図４は支持部材の空気が引かれて蓋部材が変形し、磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【００３２】
第２実施形態の磁気テープの測定装置２０は、支持部材２１と、蓋部材２２と、非接触式測定器２８と、を備える。支持部材２１は、その上面に平滑な平面である載置面２１ａ、および載置面２１ａに開口する吸気口２６が形成されている。蓋部材２２は、取付部２３と、透明部２５と、から構成されている。取付部２３は、支持部材２１と略同一外形寸法の枠体であり、上面に形成された開口縁部２３ａに透明部２５が気密に固着されている。また、取付部２３と支持部材２１との接触面である支持部材２１の下面には、全周に亘ってパッキン２７が配置され、取付部２３と支持部材２１との間を気密に封止する。
【００３３】
透明部２５は、第１実施形態における伸縮部１４と透明部１５とが同一材料により形成されている点で異なる。即ち、透明部２５の少なくとも周辺部２５ａは、伸縮性を有する。
【００３４】
磁気テープＴの長さ測定については、第１実施形態の磁気テープの測定装置１０と同様であるので、説明を省略する。
【００３５】
＜実施例＞
本発明の効果を確認するため、本発明の磁気テープの測定装置に係る実施例と、該実施例と比較する従来のガラス板で挟み込んで測定する比較例について説明する。実施例及び比較例ともに、同一のＶＴＲ用磁気テープの幅寸法を測定して比較した。実施例と比較例の測定結果を表１に示す。
【００３６】
【表１】
【００３７】
表１から明らかなように、本発明の磁気テープの測定装置による測定結果は、磁気テープの幅寸法測定値が比較例の測定値より大きくなっている。これは、磁気テープのカッピングやエア溜りの影響が排除されたことによるものである。従って、本発明の有効性が実証された。
【００３８】
また、本発明においては、測定装置は磁気テープの寸法を測定するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、カッピング現象が生じるおそれのある被測定物には適用することができ、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】図１から図３は磁気テープの測定装置の第１実施形態に係り、図１は支持部材上に置かれた磁気テープを覆うように蓋部材を支持部材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図２】図１の平面図である。
【図３】支持部材の空気が引かれて蓋部材が変形し、磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【図４】磁気テープの測定装置の第２実施形態に係り、支持部材と蓋部材とにより磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【００４０】
１０，２０ 磁気テープの測定装置
１１，２１ 支持部材
１２，２２ 蓋部材
１３，２３ 取付部
１４ 伸縮部
１５，２５ 透明部
２５ａ 周辺部（伸縮部）
１６，２６ 吸気口
Ｔ 磁気テープ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、磁気テープ等を磁気テープとして測定する際に、該磁気テープを固定した状態で、寸法等を測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、各種情報を記録する記録媒体として、プラスチックのベースフィルム上に磁気層を形成し、該磁気層の磁性体を磁化させることにより情報を記録するようにした磁気テープがある。このような磁気テープは、情報の書込み、読出しを保障し、また互換性を維持するなどのために各種規格が定められており、該規格の一部にテープ幅の寸法が規定されている。即ち、テープ幅が規格寸法を外れていると、テープの走行位置が所定の位置からずれてしまい、磁気テープの所定の位置に情報が記録できず、また、磁気ヘッドからの出力が不安定となって、正しく情報の読み書きができなくなるおそれがあった。このような現象は、磁気テープが、例えばＶＴＲ用テープである場合には、音声や画像に悪影響を及ぼす。
【０００３】
従って、磁気テープの評価項目の１つであるテープ幅を規格値内に維持するために、テープ幅の測定が行われる。しかし、磁気テープは、長手方向(テープの走行方向)と直交する方向に湾曲する性質、所謂、カッピング現象があるため、単なる測定ではテープ幅を正確に測定し難い問題があった。従来の測定方法は、カッピング現象の影響を排除して正確な寸法を測定するため、磁気テープをガラス板などの透明体で挟み込んで測定するのが一般的である。
【０００４】
また、テープ幅を正確に測定する寸法測定装置及び寸法測定方法として、円筒面状に形成された載置面上に磁気テープを載置することにより、磁気テープの自重によってカッピング現象を消滅させて測定するようにしたものも知られている（特許文献１参照）。
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−５０７１５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
磁気テープをガラス板などの透明体で挟み込んで測定する従来の測定方法によると、磁気テープと透明体との間にエア溜りが形成されてカッピングが十分に解消されない場合があり、正確な寸法測定ができないおそれがあった。
【０００７】
また、特許文献１の寸法測定装置及び寸法測定方法は、円筒形状に形成された載置面上に、円筒面の母線と直交する方向に磁気テープの長手方向を合わせて載置し、磁気テープの自重によってカッピング現象を消滅させる。そして、非接触式寸法測定機により、円筒面の母線方向に沿う方向の寸法を測定して、磁気テープのテープ幅を測定する。一方、測定誤差などの影響を最小にして正確なテープ幅寸法を知るためには、測定位置の長手方向前後の数箇所のテープ幅を測定し、それらの平均値をとってテープ幅寸法とするのが一般的である。
【０００８】
特許文献１の寸法測定装置及び寸法測定方法により測定位置の前後の数箇所でテープ幅を測定するためには、磁気テープを長手方向に移動して測定するか、または、磁気テープ位置、即ち、載置面を固定しておき、載置面に対して非接触式寸法測定機を相対的に磁気テープの長手方向に移動させて測定する必要がある。
【０００９】
しかし、磁気テープを長手方向に移動して測定する場合、磁気テープの移動に伴う磁気テープの曲がりや、位置ズレなどの外乱により測定値に誤差が生じるおそれがある。また、非接触式寸法測定機を相対的に移動させて測定する場合、載置面が円筒形状に形成されているため、非接触式寸法測定機の移動距離と磁気テープの長手方向距離とが一致せず、非接触式寸法測定機と載置面の相対位置および載置面の曲率から、磁気テープの長手方向位置を算出しなければならず、磁気テープの長手方向位置に誤差が生じ易い問題があった。
【００１０】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気テープのカッピングの影響を排除して正確な幅寸法を容易に測定することができる磁気テープの測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の上記目的は、下記磁気テープの測定装置によって達成される。
【００１２】
（１） 磁気テープを置く支持部材と、前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付けられ、少なくとも一部が透明である蓋部材とを備え、前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材が、前記支持部材側に変形して前記磁気テープを挟み込むことを特徴とする磁気テープの測定装置。
【００１３】
上記構成の磁気テープの測定装置によれば、支持部材の空気を引くことにより、蓋部材を支持部材側に変形させて、支持部材と蓋部材とで磁気テープを挟み込むようにしたので、磁気テープのカッピングを確実に消滅させることができ、これにより磁気テープの寸法を正確に測定することができる。
【００１４】
（２） 上記（１）の磁気テープの測定装置において、前記蓋部材が、該蓋部材を前記支持部材に取り付ける取付部と、前記支持部材に取り付けられた状態で、前記磁気テープを視認するための透明部と、前記透明部を前記取付部に対して伸縮可能に取り付けるための伸縮部とが形成されていることを特徴とする磁気テープの測定装置。
【００１５】
上記構成の磁気テープの測定装置によれば、蓋部材が、蓋部材を支持部材に取り付けるための取付部と、磁気テープを視認するための透明部と、該透明部を取付部に対して伸縮可能に取り付ける伸縮部と、を備えるので、伸縮部が伸縮して透明部が支持部材に密着する。これにより、磁気テープを視認可能な状態で支持部材上に固定することができる。
【００１６】
（３） 上記（１）または（２）の磁気テープの測定装置において、前記支持部材の一部に吸気口が形成され、前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で前記吸気口から空気を引くことにより、前記蓋部材が変形することを特徴とする磁気テープの測定装置。
【００１７】
上記構成の磁気テープの測定装置によれば、蓋部材を支持部材に取り付けた状態で、支持部材に形成された吸気口から空気を引くことにより、蓋部材が変形して支持部材に密着し、磁気テープを挟み込んで固定することができる。
【００１８】
また、本発明の上記目的は、下記磁気テープの測定方法によって達成される。
【００１９】
（４） 磁気テープを支持部材上に置き、前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付け、蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材を前記支持部材側に変形させて前記磁気テープを挟み込む状態とし、前記蓋部材の少なくとも一部に形成された透明部から前記磁気テープの形状を測定することを特徴とする磁気テープの測定方法。
【００２０】
上記測定方法によれば、支持部材上に置かれた磁気テープを覆うように蓋部材を支持部材に取り付け、支持部材の空気を引いて蓋部材を変形させて磁気テープを挟み込み、蓋部材の透明部から磁気テープの形状を測定するようにしたので、簡単な機構で確実にカッピング現象が消滅し、磁気テープの寸法を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【００２１】
本発明によれば、磁気テープなどのカッピング現象を消滅して、正確な寸法を測定することができる磁気テープの測定装置及び測定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【００２３】
＜第１実施形態＞
図１は支持部材上に置かれた磁気テープを覆うように蓋部材を支持部材に取り付けた状態を示す縦断面図、図２は図１の平面図、図３は支持部材の空気が引かれて蓋部材が変形し、磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【００２４】
図１から図３に示すように、第１実施形態の磁気テープの測定装置１０は、支持部材１１と、蓋部材１２と、非接触式測定器２８と、を備える。支持部材１１は、例えば、金属で製作された矩形板状部材であり、その上面には平滑な平面である載置面１１ａが形成されている。また、支持部材１１は、載置面１１ａに開口する吸気口１６を備え、測定装置１０の基台(図示せず)に固定されている。
【００２５】
蓋部材１２は、取付部１３と、伸縮部１４と、透明部１５とから構成されている。取付部１３は、支持部材１１と略同一外形寸法の枠体であり、上面に形成された開口縁部１３ａに伸縮可能な伸縮部１４が気密に固着されている。また、取付部１３と支持部材１１との接触面である下面に、その全周に亘ってＯリングなどのパッキン１７を配置して、取付部１３と支持部材１１との間を気密に封止するのが好ましい。
【００２６】
伸縮部１４の中央部には、更に透明部１５が気密に固着されている。そして、取付部１３を支持部材１１に乗せて蓋部材１２を支持部材１１に取り付けたとき、支持部材１１と透明部１５との間には、磁気テープＴを載置可能な程度の隙間が形成されるようになっている。磁気テープＴは、透明部１５を介して外部から視認可能である。
【００２７】
非接触式測定器２８は、例えば、レーザー測長器などが例示され、測定対象物、本実施形態においては磁気テープＴに接触することなく、任意の部分の長さを測定することができる。非接触式測定器２８は、支持部材１１の上方において、測定装置１０の基台に固定されており、蓋部材１２に対向して配置されている。
【００２８】
次に、このように構成された磁気テープの測定装置１０による磁気テープＴの長さ（テープ幅）測定について説明する。先ず、支持部材１１の載置面１１ａ上に磁気テープＴを載せ、更に磁気テープＴを覆うように蓋部材１２を支持部材１１に取り付ける。そして、図示しない真空装置により吸気口１６から支持部材１１と蓋部材１２の間のエアを引いて減圧すると、図３に示すように、伸縮部１４が伸びて透明部１５が下方に移動し、やがて支持部材１１の載置面１１ａと透明部１５とで磁気テープＴを挟み込んで固定する。これにより、磁気テープＴのカッピングは、確実に消滅する。
【００２９】
尚、このとき、支持部材１１と蓋部材１２（取付部１３）との間は、Ｏリングなどのパッキン１７により封止され、また、取付部１３と伸縮部１４、および伸縮部１４と透明部１５とは、気密に固着されているので、外気が侵入することはなく、容易に減圧することができる。
【００３０】
このように、カッピングが消滅した状態で載置面１１ａ上に挟み込まれて固定した磁気テープＴは、その寸法、例えば、幅寸法が、非接触式測定器２８により透明部１５を介して測定される。尚、磁気テープＴの寸法を、複数箇所測定する場合は、磁気テープＴが固定された支持部材１１と非接触式測定器２８とを相対的に平行移動させて測定する。このとき、載置面１１ａは平面であるので、非接触式測定器２８の移動距離が、そのまま磁気テープＴ（支持部材１１）上の距離となるので、磁気テープＴの寸法を高精度、且つ容易に測定することができる。
【００３１】
＜第２実施形態＞
図４は支持部材の空気が引かれて蓋部材が変形し、磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【００３２】
第２実施形態の磁気テープの測定装置２０は、支持部材２１と、蓋部材２２と、非接触式測定器２８と、を備える。支持部材２１は、その上面に平滑な平面である載置面２１ａ、および載置面２１ａに開口する吸気口２６が形成されている。蓋部材２２は、取付部２３と、透明部２５と、から構成されている。取付部２３は、支持部材２１と略同一外形寸法の枠体であり、上面に形成された開口縁部２３ａに透明部２５が気密に固着されている。また、取付部２３と支持部材２１との接触面である支持部材２１の下面には、全周に亘ってパッキン２７が配置され、取付部２３と支持部材２１との間を気密に封止する。
【００３３】
透明部２５は、第１実施形態における伸縮部１４と透明部１５とが同一材料により形成されている点で異なる。即ち、透明部２５の少なくとも周辺部２５ａは、伸縮性を有する。
【００３４】
磁気テープＴの長さ測定については、第１実施形態の磁気テープの測定装置１０と同様であるので、説明を省略する。
【００３５】
＜実施例＞
本発明の効果を確認するため、本発明の磁気テープの測定装置に係る実施例と、該実施例と比較する従来のガラス板で挟み込んで測定する比較例について説明する。実施例及び比較例ともに、同一のＶＴＲ用磁気テープの幅寸法を測定して比較した。実施例と比較例の測定結果を表１に示す。
【００３６】
【表１】
【００３７】
表１から明らかなように、本発明の磁気テープの測定装置による測定結果は、磁気テープの幅寸法測定値が比較例の測定値より大きくなっている。これは、磁気テープのカッピングやエア溜りの影響が排除されたことによるものである。従って、本発明の有効性が実証された。
【００３８】
また、本発明においては、測定装置は磁気テープの寸法を測定するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、カッピング現象が生じるおそれのある被測定物には適用することができ、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】図１から図３は磁気テープの測定装置の第１実施形態に係り、図１は支持部材上に置かれた磁気テープを覆うように蓋部材を支持部材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図２】図１の平面図である。
【図３】支持部材の空気が引かれて蓋部材が変形し、磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【図４】磁気テープの測定装置の第２実施形態に係り、支持部材と蓋部材とにより磁気テープを挟み込んだ状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【００４０】
１０，２０ 磁気テープの測定装置
１１，２１ 支持部材
１２，２２ 蓋部材
１３，２３ 取付部
１４ 伸縮部
１５，２５ 透明部
２５ａ 周辺部（伸縮部）
１６，２６ 吸気口
Ｔ 磁気テープ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
磁気テープを置く支持部材と、
前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付けられ、少なくとも一部が透明である蓋部材とを備え、
前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材が、前記支持部材側に変形して前記磁気テープを挟み込むことを特徴とする磁気テープの測定装置。
【請求項２】
前記蓋部材が、該蓋部材を前記支持部材に取り付ける取付部と、前記支持部材に取り付けられた状態で、前記磁気テープを視認するための透明部と、前記透明部を前記取付部に対して伸縮可能に取り付けるための伸縮部とが形成されていることを特徴とする請求項１に記載の磁気テープの測定装置。
【請求項３】
前記支持部材の一部に吸気口が形成され、前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で前記吸気口から空気を引くことにより、前記蓋部材が変形することを特徴とする請求項１又は２に記載の磁気テープの測定装置。
【請求項４】
磁気テープを支持部材上に置き、前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付け、蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材を前記支持部材側に変形させて前記磁気テープを挟み込む状態とし、前記蓋部材の少なくとも一部に形成された透明部から前記磁気テープの形状を測定することを特徴とする磁気テープの測定方法。
【請求項１】
磁気テープを置く支持部材と、
前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付けられ、少なくとも一部が透明である蓋部材とを備え、
前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材が、前記支持部材側に変形して前記磁気テープを挟み込むことを特徴とする磁気テープの測定装置。
【請求項２】
前記蓋部材が、該蓋部材を前記支持部材に取り付ける取付部と、前記支持部材に取り付けられた状態で、前記磁気テープを視認するための透明部と、前記透明部を前記取付部に対して伸縮可能に取り付けるための伸縮部とが形成されていることを特徴とする請求項１に記載の磁気テープの測定装置。
【請求項３】
前記支持部材の一部に吸気口が形成され、前記蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で前記吸気口から空気を引くことにより、前記蓋部材が変形することを特徴とする請求項１又は２に記載の磁気テープの測定装置。
【請求項４】
磁気テープを支持部材上に置き、前記支持部材に置かれた磁気テープを覆うように該支持部材に取り付け、蓋部材を前記支持部材に取り付けた状態で、該支持部材の空気を引くことで、前記蓋部材を前記支持部材側に変形させて前記磁気テープを挟み込む状態とし、前記蓋部材の少なくとも一部に形成された透明部から前記磁気テープの形状を測定することを特徴とする磁気テープの測定方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００６−３２９９４２（Ｐ２００６−３２９９４２Ａ）
【公開日】平成１８年１２月７日（２００６．１２．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１５７５５３（Ｐ２００５−１５７５５３）
【出願日】平成１７年５月３０日（２００５．５．３０）
【出願人】（０００００５２０１）富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１２月７日（２００６．１２．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年５月３０日（２００５．５．３０）
【出願人】（０００００５２０１）富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Ｆターム（参考）】
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