説明

磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置

【課題】ライトマージンを上げることにより、記録密度を向上させることが可能な磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置の磁気ヘッドは、記録媒体12の記録層23に対し垂直な記録磁界を印加する主磁極66と、主磁極のトレーリング側にライトギャップを置いて対向し、主磁極とともに磁気回路を形成するリターン磁極68と、主磁極およびリターン磁極が形成する磁気回路に磁束を励起するコイル65と、それぞれ主磁極とリターン磁極との間に設けられ、磁気共鳴周波数の互いに異なる複数の磁性膜を有し、記録媒体に高周波磁界をそれぞれ印加する複数の高周波発振素子70a、70bと、高周波発振素子に通電するための電気回路80と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク装置に用いる垂直磁気記録用の磁気ヘッド、この磁気ヘッドを備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置として、例えば、磁気ディスク装置は、ケース内に配設された磁気ディスクと、磁気ディスクを支持および回転するスピンドルモータと、磁気ディスクに対して情報のリード/ライトを行う磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、を備えている。キャリッジアッセンブリは、回動自在に支持されたアームと、アームから延出したサスペンションとを備え、このサスペンションに延出端に磁気ヘッドが支持されている。磁気ヘッドは、サスペンションに取り付けられたスライダ、およびスライダに設けられたヘッド部を有し、このヘッド部は、ライト用の記録ヘッドとリード用の再生ヘッドとを含んで構成されている。
【0003】
近年、磁気ディスク装置の高記録密度化、大容量化あるいは小型化を図るため、垂直磁気記録用の磁気ヘッドが提案されている。このような磁気ヘッドにおいて、記録ヘッドは、垂直方向磁界を発生させる主磁極と、その主磁極のトレーリング側にライトギャップを挟んで配置されて磁気ディスクとの間で磁路を閉じるリターン磁極、あるいはライトシールド磁極と、主磁極に磁束を流すためのコイルとを有している。
【0004】
記録密度の向上を図る目的で、主磁極とリターン磁極との間に高周波発振素子を設け、この高周波発振素子から磁気記録層に高周波磁界を印加する高周波磁界アシスト記録方式の磁気ヘッドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−80904号公報
【特許文献2】特開2010−20835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように構成された磁気ヘッドにおいても、記録領域に対するライトマージンが不充分であり、記録密度を上げていくと、隣接する記録領域を磁化反転させ書き込みエラーを生じる場合がある。
【0007】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、ライトマージンを向上させることにより、記録密度を向上させることが可能な磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の態様に係る磁気ヘッドは、記録媒体の記録層に対し垂直な記録磁界を印加する主磁極と、前記主磁極のトレーリング側にライトギャップを置いて対向し、前記主磁極からの磁束を還流させて前記主磁極とともに磁気回路を形成するリターン磁極と、前記主磁極およびリターン磁極が形成する磁気回路に磁束を励起するコイルと、それぞれ前記主磁極とリターン磁極との間に設けられ、磁気共鳴周波数の互いに異なる複数の磁性膜を有し、前記記録媒体に高周波磁界をそれぞれ印加する複数の高周波発振素子と、前記高周波発振素子に通電するための電気回路と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、ライトマージンを上げ、記録密度を向上させることが可能な磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、この発明の第1の実施形態に係るHDDを示す斜視図。
【図2】図2は、前記HDDにおける磁気ヘッドおよびサスペンションを示す側面図。
【図3】図3は、前記磁気ヘッドのヘッド部を拡大して示す断面図。
【図4】図4は、前記磁気ヘッドの記録ヘッドを模式的に示す斜視図。
【図5】図5は、前記HDDにおける磁気ディスクの断面図。
【図6】図6は、前記磁気ディスクの記録層を示す平面図。
【図7】図7は、前記記録ヘッドの磁気ディスク側の端部および磁気ディスクを拡大して示す断面図。
【図8】図8は、前記記録ヘッド部分をスライダのABS面側から見た平面図。
【図9】図9は、前記記録ヘッドによる記録動作を模式的に示す図。
【図10】図10は、比較例に係る磁気ヘッド、本実施形態に係る磁気ヘッドについて、線記録密度とビットエラーレートとの関係を比較して示す図。
【図11】図11は、第2の実施形態に係るHDDにおける磁気ヘッドの記録ヘッドを模式的に示す斜視図。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る記録ヘッドをABS面側から見た平面図。
【図13】図13は、第3の実施形態に係るHDDにおける磁気ヘッドの記録ヘッドを模式的に示す斜視図。
【図14】図14は、第3の実施形態に係る記録ヘッドをABS面側から見た平面図。
【図15】図15は、第4の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層を模式的に示す斜視図。
【図16】図16は、第4の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層を模式的に示す平面図。
【図17】図17は、第5の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層を模式的に示す斜視図。
【図18】図18は、第5の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層を模式的に示す平面図。
【図19】図19は、第6の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層を模式的に示す斜視図。
【図20】図20は、第6の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層および記録ヘッドを模式的に示す平面図。
【図21】図21は、第6の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスクの記録層および記録ヘッドを模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照しながら、ディスク装置として、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)について詳細に説明する。
【0012】
図1は、HDDのトップカバーを取り外して内部構造を示し、図2は、浮上状態の磁気ヘッドを示している。図1に示すように、HDDは筐体10を備えている。この筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース11と、図示しない矩形板状のトップカバーとを備えている。トップカバーは、複数のねじによりベースにねじ止めされ、ベースの上端開口を閉塞している。これにより、筐体10内部は気密に保持され、呼吸フィルター26を通してのみ、外部と通気可能となっている。ベース11およびトップカバーは例えばアルミ、鉄、ステンレス、冷間圧延炭素鋼鈑等の金属材料によって形成されている。
【0013】
ベース11上には、記録媒体としての磁気ディスク12および機構部が設けられている。機構部は、磁気ディスク12を支持および回転させるスピンドルモータ13、磁気ディスクに対して情報の記録、再生を行なう複数、例えば、2つの磁気ヘッド33、これらの磁気ヘッド33を磁気ディスク12の表面に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ14、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)16を備えている。また、ベース11上には、磁気ヘッド33が磁気ディスク12の最外周に移動した際、磁気ヘッド33を磁気ディスク12から離間した位置に保持するランプロード機構18、HDDに衝撃等が作用した際、ヘッドアクチュエータ14を退避位置に保持するイナーシャラッチ機構20、およびプリアンプ、ヘッドIC等の電子部品が実装された基板ユニット17が設けられている。
【0014】
ベース11の外面には、制御回路基板25がねじ止めされ、ベース11の底壁と対向して位置している。制御回路基板25は、基板ユニット17を介してスピンドルモータ13、VCM16、および磁気ヘッド33の動作を制御する
図1に示すように、磁気ディスク12は、スピンドルモータ13のハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにハブの上端にねじ止めされたクランプばね15によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク12は、駆動モータとしてのスピンドルモータ13により所定の速度で矢印B方向に回転駆動される。
【0015】
ヘッドアクチュエータ14は、ベース11の底壁上に固定された軸受部24と、軸受部から延出した複数のアーム27と、を備えている。これらのアーム27は、磁気ディスク12の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部24から同一の方向へ延出している。ヘッドアクチュエータ14は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション30を備えている。サスペンション30は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム27の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション30は対応するアーム27と一体に形成されていてもよい。各サスペンション30の延出端に磁気ヘッド33が支持されている。アーム27およびサスペンション30によりヘッドサスペンションを構成し、このヘッドサスペンションと磁気ヘッド33とによりヘッドサスペンションアッセンブリを構成している。
【0016】
図2に示すように、各磁気ヘッド33は、ほぼ直方体形状のスライダ42とこのスライダの流出端(トレーリング端)に設けられた記録再生用のヘッド部44とを有している。磁気ヘッド33は、サスペンション30の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド33は、サスペンション30の弾性により、磁気ディスク12の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。2本のアーム27は所定の間隔を置いて互いに平行に位置し、これらのアームに取り付けられたサスペンション30および磁気ヘッド33は、磁気ディスク12を間に挟んで互いに向かい合っている。
【0017】
各磁気ヘッド33は、サスペンション30およびアーム27上に固定された中継フレキシブルプリント回路基板(以下、中継FPCと称する)35を介して後述するメインFPC38に電気的に接続されている。
【0018】
図1に示すように、基板ユニット17は、フレキシブルプリント回路基板により形成されたFPC本体36と、このFPC本体から延出したメインFPC38とを有している。FPC本体36は、ベース11の底面上に固定されている。FPC本体36上には、プリアンプ37、ヘッドICを含む電子部品が実装されている。メインFPC38の延出端は、ヘッドアクチュエータ14に接続され、各中継FPC35を介して磁気ヘッド33に接続されている。
【0019】
VCM16は、軸受部24からアーム27と反対方向に延出した図示しない支持フレーム、および支持フレームに支持されたボイスコイルを有している。ヘッドアクチュエータ14をベース11に組み込んだ状態において、ボイスコイルは、ベース11上に固定された一対のヨーク34間に位置し、これらのヨークおよびヨークに固定された磁石とともにVCM16を構成している。
【0020】
磁気ディスク12が回転した状態でVCM16のボイスコイルに通電することにより、ヘッドアクチュエータ14が回動し、磁気ヘッド33は磁気ディスク12の所望のトラック上に移動および位置決めされる。この際、磁気ヘッド33は、磁気ディスク12の径方向に沿って、磁気ディスクの内周縁部と外周縁部との間を移動される。
【0021】
次に、磁気ディスク12および磁気ヘッド33の構成について詳細に説明する。図3は、磁気ヘッド33のヘッド部44を拡大して示す断面図、図5および図6は、磁気ディスク12の記録層を模式的に示す斜視図および平面図、図7は、記録ヘッドの磁気ディスク側の端部および磁気ディスクを拡大して示す断面図である。
【0022】
図1および図2に示すように、磁気ディスク12は、例えば、直径約2.5インチの円板状に形成され非磁性体からなる基板19を有している。図2ないし図4に示すように、基板19の各表面には、下地層としての軟磁性層21と、その上層部に、配向性を制御する非磁性層22と、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する磁気記録層23と、最上層に形成された保護層31とが形成されている。
【0023】
図5、図6、図7に示すように、磁気記録層23は、磁気共鳴周波数が異なる磁気的に離間した複数、例えば、2種類の強磁性体で形成された複数の磁性ドット50、51と、離間した磁性ドット50、51間を埋める非磁性物質53とを含んでいる。共鳴周波数の異なる2種類の磁性ドット50、51は、磁気ディスク12の円周方向、つまり、回転方向Bに沿って、交互に並んで設けられている。また、磁性ドット50、51は、磁気ディスク12の径方向についても、交互に並んで設けられている。
【0024】
図2および図3に示すように、磁気ヘッド33は浮上型のヘッドとして構成され、ほぼ直方体状に形成されたスライダ42と、スライダの流出端(トレーリング)側の端部に形成されたヘッド部44とを有している。スライダ42は、例えば、アルミナとチタンカーバイドの焼結体(アルチック)で形成され、ヘッド部44は薄膜により形成されている。
【0025】
スライダ42は、磁気ディスク12の表面に対向する矩形状のディスク対向面(空気支持面(ABS面))43を有している。スライダ42は、磁気ディスク12の回転によってディスク表面とディスク対向面43との間に生じる空気流Cにより浮上する。空気流Cの方向は、磁気ディスク12の回転方向Bと一致している。スライダ42は、磁気ディスク12表面に対し、ディスク対向面43の長手方向が空気流Cの方向とほぼ一致するように配置されている。
【0026】
スライダ42は、空気流Cの流入側に位置するリーディング端42aおよび空気流Cの流出側に位置するトレーリング端42bを有している。スライダ42のディスク対向面43には、図示しないリーディングステップ、トレーリングステップ、サイドステップ、負圧キャビティ等が形成されている。
【0027】
図3に示すように、ヘッド部44は、スライダ42のトレーリング端部42bに薄膜プロセスで形成された再生ヘッド54および記録ヘッド56を有し、分離型磁気ヘッドとして形成されている。
【0028】
再生ヘッド54は、磁気抵抗効果を示す磁性膜63と、この磁性膜のトレーリング側およびリーディング側に磁性膜63を挟むように配置されたシールド膜62a、62bと、で構成されている。これら磁性膜63、シールド膜62a、62bの下端は、スライダ42のディスク対向面43に露出している。
【0029】
記録ヘッド56は、再生ヘッド54に対して、スライダ42のトレーリング端42b側に設けられている。記録ヘッド56は、トレーリング端側にリターン磁極をもつ単磁極ヘッドとして構成されている。
【0030】
図8は、記録ヘッド部分をスライダ42のABS面43側から見た配置図である。図3、図4、図7および図8に示すように、記録ヘッド56は、磁気ディスク12の表面に対して垂直方向の記録磁界を発生させる高透磁率材料からなる主磁極66と、主磁極66のトレーリング側に配置され、主磁極直下の軟磁性層21を介して効率的に磁路を閉じるために設けられたリターン磁極(ライトシールド電極)68と、磁気ディスク12に信号を書き込む際、主磁極66に磁束を流すために主磁極66およびリターン磁極68を含む磁気磁路に巻きつくように配置された記録コイル65と、を有している。
【0031】
主磁極66は、磁気ディスク12の表面に対してほぼ垂直に延びている。主磁極66の磁気ディスク12側の先端部66aは、ディスク面に向かって先細に絞り込まれている。図8に示すように、主磁極66の先端部66aは、例えば、断面が台形状に形成され、トレーリング端側に位置した所定幅のトレーリング側端面67a、トレーリング端面と対向しているとともにトレーリング側端面よりも幅の狭いリーディング側端面67bを有している。主磁極66の先端面は、スライダ42のディスク対向面43に露出している。
【0032】
リターン磁極68は、ほぼL字形状に形成され、その先端部68aは、細長い矩形状に形成されている。リターン磁極68の先端面は、スライダ42のディスク対向面43に露出している。先端部68aのリーディング側端面68bは、磁気ディスク12のトラックの幅方向に沿って延びている。このリーディング側端面68bは、主磁極66のトレーリング側端面67aとライトギャップWGを置いて平行に対向している。
【0033】
図7および図8に示すように、記録ヘッド56は、主磁極66の先端部66aとリターン磁極68とが対向する面の間に設けられた複数、例えば、2つのスピントルク発振子70a、70bを備えている。高周波磁界発振素子としてのスピントルク発振子70a、70bは、主磁極66の先端部66aのトレーリング側端面67aとリターン磁極68のリーディング側端面68bとの間にほぼ並行に、かつトラック幅方向に磁気的に離間して設けられている。
【0034】
スピントルク発振子70aは、非磁性層71a、発振層72a、中間層73a、スピン注入層74a、非磁性層76aをリターン磁極68側から主磁極66側に順に積層して構成されている。同様に、スピントルク発振子70bは、非磁性層71b、発振層72b、中間層73b、スピン注入層74b、非磁性層76bをリターン磁極68側から主磁極66側に順に積層して構成されている。スピントルク発振子70a、70bの発振層72a、72bは、互いに磁気共鳴周波数の異なる発振層で形成されている。スピントルク発振子70aの発振層72aの共鳴発振周波数は、磁気ディスク12の磁性ドット50に対応する共鳴発振周波数に設定されて、また、スピントルク発振子70bの発振層72bの共鳴発振周波数は、磁気ディスク12の磁性ドット51に対応する共鳴発振周波数に設定されている。
【0035】
ここで、2枚の磁気共鳴周波数の異なる発振層72a、72bは、異なる強磁性体で形成するか、あるいは、共通の強磁性体で異なる体積のものを用いることができる。また、膜71a、71b、72a、72b、73a、73b、74a、74b、75a、75bの積層の順番は、磁気ヘッド33の走行方向に対して逆でも構わない。
【0036】
スピントルク発振子70a、70bは、その先端がABS面43に露出し、磁気ディスク12の表面に対して、主磁極66の先端面と同一の高さ位置に設けられている。スピントルク発振子70a、70bは、主磁極66とリターン磁極68との間に接続された電気回路80により制御され、磁気ディスク12に高周波磁界を印加する。
【0037】
図3に示すように、再生ヘッド54および記録ヘッド56は、スライダ42のABS面43に露出する部分を除いて、保護絶縁膜82により覆われている。保護絶縁膜82は、ヘッド部44の外形を構成している。
【0038】
以上のように構成されたHDDによれば、VCM16を駆動することにより、ヘッドアクチュエータ14が回動し、磁気ヘッド33は、磁気ディスク12の所望のトラック上に移動され、位置決めされる。また、磁気ヘッド33は、磁気ディスク12の回転によってディスク表面とディスク対向面43との間に生じる空気流Cにより浮上する。HDDの動作時、スライダ42のディスク対向面43はディスク表面に対し隙間を保って対向している。図2に示すように、磁気ヘッド33は、ヘッド部44の記録ヘッド56部分が最も磁気ディスク12表面に接近した傾斜姿勢をとって浮上する。この状態で、磁気ディスク12に対して、再生ヘッド54により記録情報の読み出しを行うとともに、記録ヘッド56により情報を書き込みを行う。
【0039】
情報の書き込みにおいては、スピントルク発振子70a、70bに電気回路80から直流電流を通電して高周波磁界を発生させ、この高周波磁界を磁気ディスク12の磁気記録層23に印加する。また、記録コイル65により主磁極66を励磁し、この主磁極から直下の磁気ディスク12の記録層23に垂直方向の記録磁界を印加することにより、所望のトラック幅にて情報を記録する。記録磁界に高周波磁界を重畳することにより、高保持力かつ高磁気異方性エネルギーの磁気記録を行うことができる。
【0040】
図9を参照して、本実施形態のHDDにおける記録ヘッド56の記録動作について説明する。図9(a)は、記録ヘッド56が走行する前の磁気ディスク12の初期ドット状態を示している。例えば、磁性ドット50、51は、記録層23の表面に対して、ほぼ垂直方向下向きに磁化されている。図9(b)は、記録ヘッド56に対して、記録ゲートg1、g2、g3で、電気回路80にスピントルク発振子70aを発信させる電流Iw1を流し、同時に、記録コイル65に記録電流を流した電流ゲート図を示している。この場合、図9(c)に示すように、スピントルク発振子70aが所望のトラックと対向するように記録ヘッド56の磁気ディスク12に対して位置決めした後、記録ヘッド56のスピントルク発振子70aで高周波磁界を発振し、図9(d)に示すように、その高周波磁界により、スピントルク発振子70aと同一の共鳴発振周波数を有する磁性ドット50の磁化が反転する。ここで、記録ゲートタイミングが隣接する磁性ドット51にかかっていても、磁性ドット51は共鳴しないため、磁化反転を起こさない。従って、記録ヘッド56により、磁気ディスク12の磁性ドット50のみに所望の信号が書き込まれる。
【0041】
図9(e)は、記録ヘッド56に対して、記録ゲートg4、g5、g6で、電気回路80にスピントルク発振子70bを発信させる電流Iw2を、同時に、記録コイル65に記録電流を流した電流ゲート図を示している。図9(f)に示すように、スピントルク発振子70bが所望のトラックと対向するように記録ヘッド56の磁気ディスク12に対して位置決めした後、記録ヘッド56のスピントルク発振子70bで発振し、図9(g)に示すように、その高周波磁界により、スピントルク発振子70bと同一の共鳴発振周波数を有する磁性ドット51の磁化が反転する。ここで、記録ゲートタイミングが隣接する磁性ドット50にかかっていても、磁性ドット50は共鳴しないため、磁化反転を起こさない。従って、記録ヘッド56により、磁気ディスク12の磁性ドット51のみに所望の信号が書き込まれる。
【0042】
このように、従来では一つの磁性ドット分しか電流を流してもよい範囲、つまり、ライトマージン、がないのに対して、本実施形態に係る磁気ヘッド33では、スピントルク発振子の数の磁性ドット分だけライトマージンが許容できる。すなわち、本実施形態によれば、隣り合う2つの磁性ドット50、51分のライトマージンをとることができる。これにより、書込みトラック上での記録能力を確保したまま、隣接磁性ドットの消去を防止することができ、磁気ディスク12の線記録密度を向上することが可能となる。
【0043】
本発明者は、本実施形態に係る磁気ヘッド33と、比較例に係る磁気ヘッドとを用意し、これらの磁気ヘッドを用いて記録再生を行った場合の、信号誤り率(ビットエラーレート)を比較した。比較例は、単一のスピントルク発振子を有する磁気ヘッドであり、かつ、磁気ディスクの記録層も単一の磁気共鳴周波数を有する強磁性体で形成されているものとする。
【0044】
図10に、線記録密度とビットエラーレートの関係について、本実施形態と比較例と比較した評価結果を示している。比較例の磁気ヘッドでは、線記録密度が低いときは、ビットエラーレートは本実施形態とほぼ同じであるが、線記録密度が高くなり、ビット長が小さくなると、ビットエラーが発生しやすくなり、エラーレートが急激に悪化することが分かる。本実施形態に係るHDDの磁気ヘッドによれば、高線密度記録においてもビットエラー発生が抑えられており、エラーレートの悪化が改善されていることが分かる。
【0045】
次に、この発明の他の実施形態に係るHDDの磁気ヘッドについて説明する。
以下に述べる、複数の他の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には、第1の実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図11は、第2の実施形態に係るHDDにおける磁気ヘッドの記録ヘッド56を模式的に示す斜視図、図12は、スライダのABS面側から見た記録ヘッドの平面図である。
【0047】
図11および図12に示すように、第2の実施形態によれば、記録ヘッド56の主磁極66は、それぞれ高透磁率材料で形成され磁気的にトラック幅方向に離間した2つの主磁極(第1、第2主磁極)84a、84bで構成され、全体として、磁気ディスク面に向かって先端部が絞り込まれた先細状に形成されている。各主磁極の先端部は、例えば、断面が台形状に形成され、トレーリング端側に位置した所定幅のトレーリング側端面、トレーリング端面と対向しているとともにトレーリング側端面よりも幅の狭いリーディング側端面を有している。主磁極84a、84bの先端面は、スライダ42のABS面43に露出している。
【0048】
記録ヘッド56は、主磁極84a、84bのトレーリング側に配置され、主磁極直下の軟磁性層21を介して効率的に磁路を閉じるために設けられたリターン磁極68と、磁気ディスク12に信号を書き込む際、主磁極84a、84bに磁束を流すために主磁極およびリターン磁極68を含む磁気磁路に巻きつくように配置された記録コイル65と、を有している。
【0049】
リターン磁極68は、ほぼL字形状に形成され、その先端部68aは、細長い矩形状に形成されている。リターン磁極68の先端面は、スライダ42のABS面43に露出している。先端部68aのリーディング側端面68bは、磁気ディスク12のトラックの幅方向に沿って延びている。このリーディング側端面68bは、主磁極84a、84bのトレーリング側端面とライトギャップWGを置いて平行に対向している。
【0050】
記録ヘッド56は、主磁極84aの先端部とリターン磁極68とが対向する面の間に設けられたスピントルク発振子70a、および、主磁極84bの先端部とリターン磁極68とが対向する面の間に設けられたスピントルク発振子70bを備えている。高周波磁界発振素子としてのスピントルク発振子70a、70bは、主磁極66とリターン磁極68との間にほぼ並行に、かつトラック幅方向に磁気的に離間して設けられている。
【0051】
スピントルク発振子70aは、非磁性層71a、発振層72a、中間層73a、スピン注入層74a、非磁性層76aをリターン磁極68側から主磁極84a側に順に積層して構成されている。同様に、スピントルク発振子70bは、非磁性層71b、発振層72b、中間層73b、スピン注入層74b、非磁性層76bをリターン磁極68側から主磁極84b側に順に積層して構成されている。スピントルク発振子70a、70bの発振層72a、72bは、互いに磁気共鳴周波数の異なる発振層で形成されている。スピントルク発振子70aの発振層72aの共鳴発振周波数は、磁気ディスク12の磁性ドット50に対応する共鳴発振周波数に設定されて、また、スピントルク発振子70bの発振層72bの共鳴発振周波数は、磁気ディスク12の磁性ドット51に対応する共鳴発振周波数に設定されている。
【0052】
ここで、2枚の磁気共鳴周波数の異なる発振層72a、72bは、異なる強磁性体で形成するか、あるいは、共通の強磁性体で異なる体積のものを用いることができる。また、膜71a、71b、72a、72b、73a、73b、74a、74b、75a、75bの積層の順番は、磁気ヘッド33の走行方向に対して逆でも構わない。
【0053】
スピントルク発振子70a、70bは、その先端がABS面43に露出し、磁気ディスク12の表面に対して、主磁極66の先端面と同一の高さ位置に設けられている。磁気ヘッド33は、主磁極84a、スピントルク発振子70a、リターン磁極68に電流を流すための電気回路80a、および主磁極84b、スピントルク発振子70b、リターン磁極68に電流を流すための電気回路80bを備えている。スピントルク発振子70aは、電気回路80aにより制御され、電流が供給されると高周波磁界を磁気ディスク12に印加する。スピントルク発振子70bは、電気回路80bにより制御され、電流が供給されると高周波磁界を磁気ディスク12に印加する。
【0054】
上記のように構成された第2の実施形態においても、ライトマージンを向上させることにより、線記録密度を上げることが可能な磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置を提供することができる。また、スピントルク発振子70a、70bにそれぞれ独立した電気回路80a、80bから、別々に駆動電流を供給することができ、スピントルク発振子の一層確実に分けて発振させることができる。
【0055】
図13は、第3の実施形態に係るHDDにおける磁気ヘッドの記録ヘッド56を模式的に示す斜視図、図14は、スライダのABS面側から見た記録ヘッドの平面図である。
【0056】
図13および図14に示すように、第3の実施形態によれば、記録ヘッド56は、高透磁率材料で形成され主磁極66を有し、この主磁極は、磁気ディスク面に向かって先端部が絞り込まれた先細状に形成されている。主磁極66の先端部は、例えば、断面が台形状に形成され、トレーリング端側に位置した所定幅のトレーリング側端面、トレーリング端面と対向しているとともにトレーリング側端面よりも幅の狭いリーディング側端面を有している。主磁極66の先端面は、スライダ42のABS面43に露出している。
【0057】
記録ヘッド56は、主磁極66のトレーリング側に配置され、主磁極直下の軟磁性層21を介して効率的に磁路を閉じるために設けられたリターン磁極68と、磁気ディスク12に信号を書き込む際、主磁極66に磁束を流すために主磁極66およびリターン磁極68を含む磁気磁路に巻きつくように配置された記録コイルと、を有している。
【0058】
記録ヘッド56は、主磁極66の先端部とリターン磁極とが対向する面の間に設けられた複数、例えば、2つのスピントルク発振子70a、70bを備えている。高周波磁界発振素子としてのスピントルク発振子70a、70bは、主磁極66の先端部とリターン磁極68のリーディング側端面との間に、トラック方向に一列に並んで設けられている。
【0059】
スピントルク発振子70aは、非磁性層71a、発振層72a、中間層73a、スピン注入層74をリターン磁極68側から主磁極66側に順に積層して構成されている。スピントルク発振子70bは、非磁性層71b、発振層72b、中間層73b、スピン注入層74を主磁極66側からリターン磁極68側に順に積層して構成されている。スピン注入層74は、スピントルク発振子70a、70bで共通としている。スピントルク発振子70aの発振層72aの共鳴発振周波数は、磁気ディスク12の磁性ドット50に対応する共鳴発振周波数に設定されて、また、スピントルク発振子70bの発振層72bの共鳴発振周波数は、磁気ディスク12の磁性ドット51に対応する共鳴発振周波数に設定されている。
【0060】
ここで、2枚の磁気共鳴周波数の異なる発振層72a、72bは、異なる強磁性体で形成するか、あるいは、共通の強磁性体で異なる体積のものを用いることができる。また、膜71a、71b、72a、72b、73a、73b、74、75a、75bの積層の順番は、磁気ヘッド33の走行方向に対して逆でも構わない。
【0061】
スピントルク発振子70a、70bは、その先端がABS面43に露出し、磁気ディスク12の表面に対して、主磁極66の先端面と同一の高さ位置に設けられている。磁気ヘッド33は、主磁極66、スピントルク発振子70a、リターン磁極68に電流を流すための電気回路80aと、および主磁極66、スピントルク発振子70b、リターン磁極68に電流を流すための電気回路80bと、これらの電気回路を切り換えるスイッチ80cとを備えている。スピントルク発振子70aは、電気回路80aにより制御され、電流が供給されると高周波磁界を磁気ディスク12に印加する。スピントルク発振子70bは、電気回路80bにより制御され、電流が供給されると高周波磁界を磁気ディスク12に印加する。
【0062】
上記のように構成された第3の実施形態においても、ライトマージンを向上させることにより、線記録密度を上げることが可能な磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置を提供することができる。また、スピントルク発振子70a、70bのスピン注入層を共通にすることができ、構造の簡略化を図ることができる。スピントルク発振子70a、70bがトラック方向に並んでいることから、記録動作の際、磁気ヘッドを共通のトラック上に位置決めした状態で、磁性ドット50、51に順次書き込むことができ、磁気ヘッドの位置決め制御を簡略化することが可能となる。
【0063】
図15および図16は、第4の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスク12の記録層23を示している。本実施形態によれば、互いに異なる磁気共鳴周波数を有する強磁性体で形成された磁性ドット50、51は、磁気ディスク12の円周方向および回転方向Bに沿って交互に並んで設けられている。また、本実施形態において、磁性ドット50は磁気ディスク12の半径方向に所定の間隔をおいて一列に並んで設けられ、磁性ドット51は磁気ディスク12の半径方向に所定の間隔をおいて一列に並んで設けられている。
【0064】
図17および図18は、第5の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスク12の記録層23を示している。本実施形態によれば、互いに異なる磁気共鳴周波数を有する強磁性体で形成された磁性ドット50、51は、磁気ディスク12の円周方向および回転方向Bに沿って千鳥状に交互に並んで設けられている。すなわち、本実施形態において、磁性ドット50は磁気ディスク12の円周方向に所定の間隔をおいて一列に並んで設けられている。磁性ドット51は磁気ディスク12の円周方向に所定の間隔をおいて一列に並んで設けられ、かつ、隣接する磁性ドット50の列に対して、円周方向に半ピッチずれて並んでいる。
【0065】
上記第4および第5の実施形態のように構成された磁気ディスク12を用いた場合でも、前述した第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0066】
HDDにおける磁気ディスクの記録層における磁性体層は、上述した磁性ドット状に限らず、円周方向に連続して延びるトラック状に形成してもよい。図19、図20、および図21は、第6の実施形態に係るHDDにおける磁気ディスク12の記録層23を示している。本実施形態によれば、磁気ディスク12は、いわゆるディスクリートディスクとして構成され、互いに異なる磁気共鳴周波数を有する2種類の強磁性体によりトラック状に形成された磁性トラック50、51を有している。これらの磁性トラック50、51は、磁気ディスク12の半径方向に交互にかつ、同芯状に形成されている。
【0067】
上記のように構成された磁気ディスク12を有するHDDによれば、隣接トラックの書き込みエラーを低減し、半径方向のライトマージンを広くし、記録密度の向上を図ることができる。
なお、第4ないし第6の実施形態において、HDDの他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0068】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0069】
例えば、ヘッド部を構成する要素の材料、形状、大きさ等は、必要に応じて変更可能である。また、磁気ディスク装置において、磁気ディスクおよび磁気ヘッドの数は、必要に応じて増加可能であり、磁気ディスクのサイズも種々選択可能である。記録ヘッドの高周波発振素子、例えば、スピントルク発振子の数は、2つに限らず、3つ以上としてもよい。この場合、磁気ディスクの記録層を形成する強磁性体も、共鳴周波数が互いに異なる3種類以上の磁性体層とすることにより、よりライトマージンを稼ぐことができる。主磁極のトラック方向両側にサイドシールドを設けてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…筺体、11…ベース、12…磁気ディスク、13…スピンドルモータ、
14…ヘッドアクチュエータ、25…制御回路基板、27…アーム、
30…サスペンション、37…ヘッドIC、42…スライダ、43…ディスク対向面、
44…ヘッド部、50、51…磁性ドット、54…再生ヘッド、56…記録ヘッド、
65…記録コイル、66、84a、84b…主磁極、68…リターン磁極、
70a、70b…スピントルク発振子、72a、72b…発振層、
74、74a、74b…スピン注入層、80、80a、80b…電気回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の記録層に対し垂直な記録磁界を印加する主磁極と、
前記主磁極のトレーリング側にライトギャップを置いて対向し、前記主磁極からの磁束を還流させて前記主磁極とともに磁気回路を形成するリターン磁極と、
前記主磁極およびリターン磁極が形成する磁気回路に磁束を励起するコイルと、
それぞれ前記主磁極とリターン磁極との間に設けられ、磁気共鳴周波数の互いに異なる複数の磁性膜を有し、前記記録媒体に高周波磁界をそれぞれ印加する複数の高周波発振素子と、
前記高周波発振素子に通電するための電気回路と、
を具備する磁気ヘッド。
【請求項2】
前記複数の高周波発振素子は、前記主磁極のトラック幅方向に並んで設けられた2つ以上の高周波発振素子を備えて、前記高周波発振素子の磁気共鳴周波数は互いに異なる請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記主磁極は、磁気的に分離されたトラック幅方向に並んだ第1主磁極および第2主磁極を有し、前記高周波発振素子は、前記第1主磁極とリターン磁極との間に設けられた第1高周波発振素子と、前記第2主磁極とリターン磁極との間に設けられた第2高周波発振素子と、を備えている請求項2に記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記電気回路は、前記第1主磁極、第1高周波発振素子、前記リターン磁極に電流を供給する第1磁気回路と、前記第2主磁極、第2高周波発振素子、前記リターン磁極に電流を供給する第2磁気回路と、を備えている請求項3に記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記複数の高周波発振素子は、前記主磁極のトラック方向に一列に並んで設けられている請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
前記複数の高周波発振素子は、発振層およびスピン注入層を有する第1高周波発振素子と、第1高周波発振素子の発振層と磁気共鳴周波数の異なる発振層、および前記第1高周波発振素子のスピン注入層と共通のスピン注入層を有する第2高周波発振素子と、を備えている請求項5に記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
磁気共鳴周波数の異なる2種類以上の強磁性体で形成され磁気的に離間した複数の磁性体層を有する記録層を備えたディスク状の垂直磁気記録媒体と、
前記記録媒体を回転する機構部と、
前記記録媒体の表面と対向する対向面を有するスライダ、および前記スライダの一端部に設けられ前記記録媒体に対し情報処理を行うヘッド部と、を有する磁気ヘッドと、
を備え、
前記ヘッド部は、
前記記録層に対し垂直な記録磁界を印加する主磁極と、
前記主磁極のトレーリング側にライトギャップを置いて対向し、前記主磁極からの磁束を還流させて前記主磁極とともに磁気回路を形成するリターン磁極と、
前記主磁極およびリターン磁極が形成する磁気回路に磁束を励起するコイルと、
それぞれ前記主磁極とリターン磁極との間に設けられ、磁気共鳴周波数の互いに異なる磁性膜を有し、前記記録媒体に高周波磁界をそれぞれ印加する複数の高周波発振素子と、
前記高周波発振素子に通電するための電気回路と、
を備えているディスク装置。
【請求項8】
前記磁性体層は、それぞれ磁気的に離間した磁性ドットに形成され、磁気共鳴周波数の異なる磁性ドットが、前記記録媒体の回転方向に交互に並んでいる請求項7のディスク装置。
【請求項9】
前記磁気共鳴周波数の異なる磁性ドットが、前記記録媒体の半径方向に交互に並んでいる請求項8に記載のディスク装置。
【請求項10】
同一の磁気共鳴周波数を有する磁性ドットが、前記記録媒体の半径方向に並んでいる請求項8に記載のディスク装置。
【請求項11】
前記磁性体層は、それぞれ磁気的に離間した複数の磁性トラック状に形成され、磁気共鳴周波数の異なる磁性トラックが、前記記録媒体の半径方向に交互に並んでいる請求項7のディスク装置。
【請求項12】
前記複数の高周波発振素子は、前記主磁極のトラック幅方向に並んで設けられた2つ以上の高周波発振素子を備えて、前記高周波発振素子の磁気共鳴周波数は互いに異なり、前記複数の磁性体層の磁気共鳴周波数に対応している請求項7に記載のディスク装置。
【請求項13】
前記主磁極は、磁気的に分離されたトラック幅方向に並んだ第1主磁極および第2主磁極を有し、前記高周波発振素子は、前記第1主磁極とリターン磁極との間に設けられた第1高周波発振素子と、前記第2主磁極とリターン磁極との間に設けられた第2高周波発振素子と、を備えている請求項12に記載のディスク装置。
【請求項14】
前記電気回路は、前記第1主磁極、第1高周波発振素子、前記リターン磁極に電流を供給する第1磁気回路と、前記第2主磁極、第2高周波発振素子、前記リターン磁極に電流を供給する第2磁気回路と、を備えている請求項13に記載のディスク装置。
【請求項15】
前記複数の高周波発振素子は、前記主磁極のトラック方向に一列に並んで設けられている請求項7に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−210332(P2011−210332A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79074(P2010−79074)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】