説明

磁気ヘッドサスペンション

【課題】フレクシャ基板を含む3部材間の溶接を要することなく、フレクシャ基板を支持部形成板における先端側エッジに可及的に近接した位置で溶接可能とする。
【解決手段】支持部形成板の支持部先端領域における先端側エッジを含む先端部位のディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成するように一対の圧電素子の先端側を支持する先端側支持プレートが前記支持部形成板の前記下面に溶接によって固着される。フレクシャ基板は適宜の溶接点においてロードビーム部本体領域に溶接され且つ少なくとも支持部先端領域における先端部位の前記露出面に配置された溶接点において前記支持部形成板に溶接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする磁気ヘッドスライダを支持する為の磁気ヘッドサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置の大容量化に伴って磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する位置決め精度の向上が求められており、その為、ボイスコイルモータ等のメインアクチュエータによる磁気ヘッドスライダのシーク方向への粗動に加えて、サブアクチュエータとして作用する圧電素子による磁気ヘッドスライダのシーク方向の微動を可能とした磁気ヘッドサスペンションが提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された前記磁気ヘッドサスペンションは、前記圧電素子による磁気ヘッドスライダの微動を可能としつつ、前記圧電素子を備えたことによるサスペンションの板厚方向の増大を可及的に防止する為に、下記構成が備えられる。
【0004】
図10(a)及び(b)に、それぞれ、前記従来の磁気ヘッドサスペンションの上面図(ディスク面とは反対側から視た平面図)及び下面図(前記ディスク面に近接する側から視た底面図)を示す。
又、図10(c)に、図10(b)におけるX-X線に沿った断面図を示す。
【0005】
図10(a)〜(c)に示すように、前記従来の磁気ヘッドサスペンションは、磁気ヘッドスライダ50をディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部20と、前記荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達するためのロードビーム部30と、前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持し且つメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部10と、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に支持されるフレクシャ部40と、前記一対の圧電素子60とを備えている。
【0006】
前記支持部10はプレート状の支持部形成板100を有している。
前記支持部形成板100は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結される支持部基端領域101と、前記荷重曲げ部20が連結される支持部先端領域105と、サスペンション長手方向に関し前記支持部基端領域101及び前記支持部先端領域105の間に位置し且つ前記ディスク面と直交する平面視において前記一対の圧電素子60を囲繞する支持部開口領域110と、前記支持部開口領域110よりサスペンション幅方向外方向側において前記支持部基端領域101及び前記支持部先端領域105の間を連結する左右一対の支持部連結梁領域115とを一体的に有している。
【0007】
前記支持部10は、さらに、少なくとも一部が前記支持部開口領域110内に位置するように前記支持部形成板100における前記ディスク面に近接する下面に固着される先端側支持プレート850と、少なくとも一部が前記支持部開口領域110内に位置するように前記支持部形成板100における前記ディスク面に近接する下面に固着される基端側支持プレート860とを備えている。
なお、図10(b)に示すように、前記先端側支持プレート850は、前記荷重曲げ部20及び前記ロードビーム部30と一体形成されている。
【0008】
前記一対の圧電素子60は、先端側が前記先端側支持プレート850の前記ディスク面とは反対側の上面に載置され且つ基端側が前記基端側支持プレート860の前記ディスク面とは反対側の上面に載置された状態で、前記支持部先端領域105における基端側の端面、前記先端側支持プレート850の前記上面、前記支持部基端側領域101における先端側の端面、及び、前記基端側支持プレート860の前記上面に接着剤70を介して固着されており、これにより、前記一対の圧電素子60の少なくとも一部が前記ディスク面と直交するz方向に関し前記支持部形成板100とオーバーラップするようになっている。
【0009】
斯かる構成によれば、前記一対の圧電素子60によって前記支持部先端領域105を前記支持部基端領域101に対して変位させることを可能としつつ、前記一対の圧電素子60を備えたことによる前記磁気ヘッドサスペンションの板厚方向の厚み増大を可及的に防止することができる。
【0010】
ところで、図10(b)及び(c)に示すように、前記磁気ヘッドサスペンションにはフレクシャ部40が備えられる。前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッドスライダ50が装着されるヘッド搭載領域412を有するフレクシャ基板400と、前記磁気ヘッドスライダ50に電気的に接続された状態で前記フレクシャ基板400に積層される配線体480とを備えている。
【0011】
前記フレクシャ基板400は、前記支持部形成板100に溶接されることで前記支持部10に固着され且つ前記ロードビーム部30を形成するロードビーム形成板300に溶接されることで前記ロードビーム部30に固着される。
【0012】
詳しくは、前記荷重曲げ部20の弾性変形動作に起因する前記フレクシャ基板400の振動を可及的に防止する為には、前記フレクシャ基板400は、サスペンション長手方向に関し前記荷重曲げ部20にできるだけ近接された位置で前記支持部形成板100に固定されること、即ち、前記支持形成板100の前記支持部先端領域105に溶接されることが望ましい。
【0013】
しかしながら、前記従来の磁気ヘッドサスペンションにおいては、図10(c)に示すように、前記先端側支持プレート850がサスペンション長手方向に関し前記支持部形成板100の前記支持部先端領域105の全域と重合されている。
【0014】
斯かる従来構成において、前記フレクシャ基板400を前記荷重曲げ部20にできるだけ近接された位置において前記支持部形成板100に溶接する為には、図10(c)におけるA部に示すように、前記フレクシャ基板400を前記先端側支持プレート850及び前記支持部形成板100の双方に溶接しなければならない。
即ち、前記フレクシャ基板400,前記先端側支持プレート850及び前記支持部形成板100の3枚のプレート状部材を溶接しなければならない。
【0015】
従って、必要とされる溶接強度が上昇し、その結果、溶接に起因して前記フレクシャ基板400,前記先端側支持プレート850及び前記支持部形成板100に歪みが生じる恐れがある。これらの歪みは、前記磁気ヘッドスライダ50の浮上特性やサスペンション振動特性に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−050140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、平面視において一対の圧電素子が支持部形成板に設けられた開口領域内に位置するように前記一対の圧電素子が前記支持部形成板に固着された支持プレートを利用して前記支持部形成板に装着されている磁気ヘッドサスペンションであって、3部材間の溶接を要することなく、フレクシャ部を形成するフレクシャ基板を前記支持部形成板における先端側エッジに可及的に近接した位置で溶接させ得る磁気ヘッドサスペンションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前記目的を達成する為に、磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重を磁気ヘッドスライダに伝達するためのロードビーム部と、前記荷重曲げ部を介して前記ロードビーム部を支持し且つメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部と、前記磁気ヘッドスライダを支持した状態で前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されるフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダをシーク方向に微動させる為にサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称で且つ互いに対して伸縮方向が異なるように前記支持部に装着される左右一対の圧電素子とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結される支持部基端領域と前記荷重曲げ部が連結される支持部先端領域とサスペンション長手方向に関し前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間に位置し且つ前記ディスク面と直交する平面視において前記一対の圧電素子を囲繞する支持部開口領域と前記支持部開口領域よりサスペンション幅方向外方向側において前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間を連結する左右一対の支持部連結梁領域とを一体的に有する支持部形成板と、少なくとも一部が前記支持部開口領域内に位置する先端側載置領域を形成する状態で前記支持部形成板における前記ディスク面に近接する下面に固着される先端側支持プレートと、少なくとも一部が前記支持部開口領域内に位置する基端側載置領域を形成する状態で前記支持部形成板における前記ディスク面に近接する下面に固着される基端側支持プレートとを備え、前記一対の圧電素子は、先端側が前記先端側載置領域の前記ディスク面とは反対側の上面に載置され且つ基端側が前記基端側載置領域の前記ディスク面とは反対側の上面に載置された状態で、前記支持部先端領域における基端側の端面、前記先端側載置領域の前記上面、前記支持部基端側領域における先端側の端面、及び、前記基端側載置領域の前記上面に接着剤を介して固着され、前記荷重曲げ部は、前記ディスク面と略平行とされ且つ互いに対してサスペンション幅方向に離間されるように基端部が前記支持部先端領域のサスペンション幅方向一端側及び他端側にそれぞれ連結された左右一対の弾性板を有し、前記ロードビーム部は、前記ディスク面と略平行とされた平板状のロードビーム部本体領域を有し且つ基端部が前記一対の弾性板の先端部に連結されたロードビーム基板を備え、前記フレクシャ部は、前記磁気ヘッドスライダが装着されるヘッド搭載領域を有するフレクシャ基板と前記フレクシャ基板に積層される配線体とを備え、前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部本体領域に重合されるロードビーム部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域に一対のアーム領域を介して支持される前記ヘッド搭載領域と、前記支持部に重合される支持部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域及び前記支持部重合領域を連結するようにサスペンション幅方向に関し前記一対の弾性板の間においてサスペンション長手方向に延びる連結領域とを一体的に有しており、前記先端側支持プレートは、前記支持部先端領域における先端側エッジを含む先端部位の前記ディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成することを許容した状態で、前記支持部形成板の前記下面に溶接によって固着されており、前記フレクシャ基板の前記ロードビーム部重合領域は適宜の溶接点において前記ロードビーム部本体領域に溶接され、且つ、前記支持部重合領域は少なくとも前記支持部先端領域における前記先端部位の前記露出面に配置された溶接点において前記支持部形成板に溶接されている磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0019】
好ましくは、前記支持部形成板の前記下面のうち前記先端側支持プレートが当接する部分及び前記基端側支持プレートが当接する部分が他の部分よりも前記ディスク面から離間するように、前記支持部形成板の下面には凹部が形成される。
【0020】
前記凹部は、前記先端側支持プレートが当接する先端側凹部と前記基端側支持プレートが当接する基端側凹部とを含み得る。
前記先端側凹部は、前記支持部先端領域の基端側及び前記一対の支持部連結梁領域の先端側に亘るように形成される。
前記基端側凹部は、前記支持部基端領域にのみ形成されて前記一対の支持部連結梁領域の基端側には到達していないものとされる。
【0021】
一形態においては、前記凹部の深さは前記先端側支持プレートの板厚と同一又はそれ以上とされる。
【0022】
前記支持部重合領域は、サスペンション長手方向に関し前記支持部先端領域における前記先端部位の前記露出面と同一位置に位置する先端側支持部重合領域と、前記一対の圧電素子より基端側に位置する基端側支持部重合領域と、サスペンション幅方向に関し前記一対の圧電素子の間において前記先端側支持部重合領域及び前記基端側支持部重合領域を連結する中間支持部重合領域とを含み得る。
前記凹部の深さは前記先端側支持プレートの板厚よりも小さくされ、前記先端側支持プレートにおける前記ディスク面に近接する下面には、前記中間支持部重合領域が通過する溝が形成される。
【0023】
例えば、前記先端側支持プレート及び前記基端側支持プレートはサスペンション幅方向外方側の端部同士が一対の連結梁によって連結された状態で一体形成され得る。
これに代えて、前記先端側支持プレート及び前記基端側支持プレートはサスペンション幅方向中央部同士が単一の連結梁によって連結された状態で一体形成され得る。
【0024】
前記種々の構成において、好ましくは、前記先端側支持プレートは、平面視において先端側のエッジと前記支持部先端領域の基端側のエッジとの間に隙間が存するように、前記支持部形成板に固着され、前記基端側支持プレートは、平面視において基端側のエッジと前記支持部基端側領域の先端側のエッジとの間に隙間が存するように、前記支持部形成板に固着される。
【0025】
又、本発明は、磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重を磁気ヘッドスライダに伝達するためのロードビーム部と、前記荷重曲げ部を介して前記ロードビーム部を支持し且つメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部と、前記磁気ヘッドスライダを支持した状態で前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されるフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダをシーク方向に微動させる為にサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称で且つ互いに対して伸縮方向が異なるように前記支持部に装着される左右一対の圧電素子とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結される支持部基端領域と前記荷重曲げ部が連結される支持部先端領域とサスペンション長手方向に関し前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間に位置し且つ前記ディスク面と直交する平面視において前記一対の圧電素子を囲繞する支持部開口領域と前記支持部開口領域よりサスペンション幅方向外方向側において前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間を連結する左右一対の支持部連結梁領域とを一体的に有する支持部形成板と、前記支持部開口領域内に前記一対の圧電素子が載置される載置領域を形成するように前記支持部形成板に固着される支持プレートとを備え、前記一対の圧電素子は、前記支持プレートに載置された状態で、前記支持部先端領域における基端側の端面、前記支持プレートの前記ディスク面とは反対側の上面、及び、前記支持部基端側領域における先端側の端面に接着剤を介して固着され、前記荷重曲げ部は、前記ディスク面と略平行とされ且つ互いに対してサスペンション幅方向に離間されるように基端部が前記支持部先端領域のサスペンション幅方向一端側及び他端側にそれぞれ連結された左右一対の弾性板を有し、前記ロードビーム部は、前記ディスク面と略平行とされた平板状のロードビーム部本体領域を有し且つ基端部が前記一対の弾性板の先端部に連結されたロードビーム基板を備え、前記フレクシャ部は、前記磁気ヘッドスライダが装着されるヘッド搭載領域を有するフレクシャ基板と前記フレクシャ基板に積層される配線体とを備え、前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部本体領域に重合されるロードビーム部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域に一対のアーム領域を介して支持される前記ヘッド搭載領域と、前記支持部に重合される支持部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域及び前記支持部重合領域を連結するようにサスペンション幅方向に関し前記一対の弾性板の間においてサスペンション長手方向に延びる連結領域とを一体的に有しており、前記支持プレートは、前記支持部先端領域における前記ディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成するように互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で前記支持部形成板の前記下面に溶接される一対の先端側ベースステンレスと、前記一対の先端側ベースステンレスからサスペンション長手方向基端側に離間された位置で前記支持部形成板の前記下面に溶接される一対の基端側ベースステンレスと、前記一対の先端側ベースステンレス及び前記一対の基端側ベースステンレスの上面に積層されたポリイミド層と、前記ポリイミド層の上面に積層された補強ステンレスとを備え、前記ポリイミド層は、前記支持部先端領域の基端側の端面と対向するように前記一対の先端側ベースステンレスの間においてサスペンション幅方向に延びる先端側幅方向領域と、前記支持部基端領域の先端側の端面と対向するように前記一対の基端側ベースステンレスの間においてサスペンション幅方向に延びる基端側幅方向領域と、前記先端側幅方向領域及び前記基端側幅方向領域を連結する連結領域とを含み、前記補強ステンレスは、前記先端側幅方向領域における上面の基端側においてサスペンション幅方向に延びる先端側補強ステンレスと、前記基端側幅方向領域における上面の先端側においてサスペンション幅方向に延びる基端側補強ステンレスとを含み、前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部重合領域が前記ロードビーム部本体領域に溶接されることで前記ロードビーム部に固着され、且つ、前記支持部重合領域が前記支持部先端領域における前記露出面に溶接されることで前記支持部に固着されている磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、支持部形成板の支持部先端領域における先端側エッジを含む先端部位のディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成するように一対の圧電素子の先端側を支持する先端側支持プレートが前記支持部形成板の前記下面に溶接によって固着され、フレクシャ基板は適宜の溶接点においてロードビーム部本体領域に溶接され且つ少なくとも前記支持部先端領域における前記先端部位の前記露出面に配置された溶接点において前記支持部形成板に溶接されているので、前記フレクシャ基板を含む3部材間の溶接を要することなく、前記フレクシャ基板を前記支持部形成板の先端側エッジに可及的に近接した位置で該支持部形成板に溶接させることができる。従って、前記フレクシャ基板,前記先端側支持プレート及び前記支持部形成板に溶接に起因する歪みが生じることを有効に防止しつつ、荷重曲げ部の弾性変形動作に伴う前記フレクシャ基板の振動を抑えることができる。
【0027】
又、本発明の他態様に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、支持部形成板の支持部先端領域における先端側エッジを含む先端部位のディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成するように一対の圧電素子を支持する支持プレートが前記支持部形成板の前記下面に溶接によって固着され、フレクシャ基板は適宜の溶接点においてロードビーム部本体領域に溶接され且つ少なくとも前記支持部先端領域における前記先端部位の前記露出面に配置された溶接点において前記支持部形成板に溶接されているので、前記フレクシャ基板を含む3部材間の溶接を要することなく、前記フレクシャ基板を前記支持部形成板の先端側エッジに可及的に近接した位置で該支持部形成板に溶接させることができる。従って、前記フレクシャ基板,前記支持プレート及び前記支持部形成板に溶接に起因する歪みが生じることを有効に防止しつつ、荷重曲げ部の弾性変形動作に伴う前記フレクシャ基板の振動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図及び下面図である。
【図2】図2は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの分解上面図である。
【図3】図3は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションにおける支持部形成板の下面図である。
【図4】図4(a)は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションのフレクシャ部を取り外した状態の下面図である。図4(b)は、図4(a)におけるIV-IV線に沿った拡大断面図である。図4(c)は、変形形態に係る磁気ヘッドサスペンションにおける拡大断面図である。
【図5】図5は、他の変形形態に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、さらに他の変形形態に係る磁気ヘッドサスペンションの部分下面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図であり、図7(b)は、前記実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの部分縦断側面図であって、図4(b)に対応した縦断側面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。図8(c)は、前記実施の形態3の変形形態に係る磁気ヘッドサスペンションの断面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションにおけるロードビーム部,荷重曲げ部及び支持プレートの下面図及び上面図である。
【図10】図10(a)及び(b)は、それぞれ、従来の磁気ヘッドサスペンションの上面図及び下面図であり、図10(c)は、図10(b)におけるX-X線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aの上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)及び下面図(ディスク面側から見た底面図)を示す。なお、図1(b)における○印は溶接点を示している。
又、図2に、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの分解上面図を示す。
【0030】
図1及び図2に示すように、前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、磁気ヘッドスライダ50をディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部20と、前記荷重を磁気ヘッドスライダ50に伝達するためのロードビーム部30と、前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持し且つメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部10と、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に支持されるフレクシャ部40と、前記磁気ヘッドスライダ50をシーク方向に微動させる為にサスペンション長手方向中心線CLを基準にして互いに対して対称で且つ互いに対して伸縮方向が異なるように前記支持部10に装着された左右一対の圧電素子60とを備えている。
【0031】
前記支持部10は、ボイスコイルモータ等の前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持すると共に、装着される前記一対の圧電素子60によって先端側が基端側に対して変動し得るように構成されている。
【0032】
詳しくは、前記支持部10は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結され且つ前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持する支持部形成板100と、前記支持部形成板100と共働して前記一対の圧電素子60を支持するように前記支持部形成板100に固着される先端側支持プレート150及び基端側支持プレート160とを備えている。
【0033】
図3に、前記支持部形成板100の下面図を示す。
図1(a),図2及び図3に示すように、前記支持部形成板100は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結される支持部基端領域101と、前記荷重曲げ部20が連結される支持部先端領域105と、サスペンション長手方向に関し前記支持部基端領域101及び前記支持部先端領域105の間に位置し且つ前記ディスク面と直交する平面視において前記一対の圧電素子60を囲繞する支持部開口領域110と、前記支持部開口領域110よりサスペンション幅方向外方向側において前記支持部基端領域101及び前記支持部先端領域105の間を連結する左右一対の支持部連結梁領域115とを一体的に有している。
前記支持部形成板100は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0034】
図4(a)に、前記磁気ヘッドサスペンション1Aから前記フレクシャ部40を取り外した状態の下面図を示す。
又、図4(b)に、図4(a)におけるIV-IV線に沿った拡大断面図を示す。
【0035】
図4(b)に示すように、前記先端側支持プレート150は、少なくとも一部が前記支持部開口領域110内に位置する先端側載置領域151を形成する状態で前記支持部形成板100における前記ディスク面に近接する下面に固着されている。
【0036】
即ち、前記先端側支持プレート150は、図4(b)に示すように、前記支持部形成板100の下面に当接される支持部当接領域152と、前記支持部当接領域152を前記支持部形成板100の下面に当接させた状態で前記支持部開口領域110内に位置する前記先端側載置領域151とを有している。
【0037】
本実施の形態においては、図3に示すように、前記支持部形成板100の前記下面のうち前記先端側支持プレート150と当接する部分が他の部分よりも前記ディスク面から離間するように、前記支持部形成板100の前記下面には先端側凹部120が設けられている。
前記先端側凹部120を形成することにより、前記支持部形成板100の前記下面に前記先端側支持プレート150を固着させた際に、前記先端側支持プレート150が前記支持部形成板100の前記下面から膨出することを防止又は前記先端側支持プレート150の膨出量を低減できる。
【0038】
図4(b)に示すように、前記先端側凹部120の深さは前記先端側支持プレート150の板厚と同一又はそれ以上とされることが好ましい。
斯かる構成によれば、前記先端側支持プレート150が前記支持部形成板100の前記下面から前記ディスク面に近接する方向へ膨出することを確実に防止できる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、前記先端側支持プレート150は、前記支持部先端領域105の基端側及び前記一対の支持部連結梁領域115の先端側と当接している。
従って、前記先端側凹部120は、図3に示すように、前記支持部先端領域105の基端側エッジから前記一対の支持部連結梁領域115の先端側に至るように設けられている。
【0040】
同様に、前記基端側支持プレート160も、少なくとも一部が前記支持部開口領域110内に位置する基端側載置領域161を形成する状態で前記支持部形成板100における前記下面に固着されている。
【0041】
即ち、前記基端側支持プレート160は、図4(b)に示すように、前記支持部形成板100の下面に当接される支持部当接領域162と、前記支持部当接領域162が前記支持部形成板100の下面に当接させた状態で前記支持部開口領域110内に位置する前記基端側載置領域161とを有している。
【0042】
本実施の形態においては、図4(b)に示すように、前記支持部形成板100の前記下面のうち前記基端側支持プレート160と当接する部分が他の部分よりも前記ディスク面から離間するように、前記支持部形成板100の前記下面には基端側凹部125が設けられている。
前記基端側凹部125を形成することにより、前記支持部形成板100の前記下面に前記基端側支持プレート160を固着させた際に、前記基端側支持プレート160が前記支持部形成板100の前記下面から膨出することを防止又は前記基端側支持プレート160の膨出量を低減できる。
【0043】
図4(b)に示すように、前記基端側凹部125の深さは前記基端側支持プレート160の板厚と同一又はそれ以上とされることが好ましい。
斯かる構成によれば、前記基端側支持プレート160が前記支持部形成板100の前記下面から前記ディスク面に近接する方向へ膨出することを確実に防止できる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、前記基端側支持プレート160は、前記支持部基端領域101の先端側にのみ当接し、前記一対の支持部連結梁領域115とは当接しないように構成されている。従って、前記基端側凹部125は、図3に示すように、前記支持部基端領域101の先端側にのみ設けられており、前記一対の支持部連結梁領域115の基端側には到達していない。
斯かる構成によれば、衝撃力印可時に前記一対の圧電素子60に掛かる応力を低減でき、これにより、前記一対の圧電素子60の破断を引き起こす際の衝撃力の加速度(限界加速度)を高めて前記磁気ヘッドサスペンション1Aの耐衝撃性を向上させることができる。さらに、前記構成によれば、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの曲げモードの共振周波数を高めることもできる。
【0045】
本実施の形態においては、図1(a)及び(b)に示すように、前記支持部形成板100は、前記メインアクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部15を備えており、前記支持部10がベースプレートの形態をなしている。
これに代えて、前記支持部10が前記メインアクチュエータの揺動中心に連結されるアームの形態をなすように、前記支持部形成板100を形成することも可能である。
【0046】
前記一対の圧電素子60の各々は、PZT(チタン酸ジリコン酸鉛)からなる本体部と、前記ディスク面と直交する前記本体部の厚み方向両側に配置された一対の電極層とを有している。
前記本体部は、例えば厚さ0.05mm〜0.3mmとされ、前記電極層は、例えば厚さ0.05μm〜数μmのAgやAuによって形成される。
【0047】
前記一対の圧電素子60は、電圧の印可に応じて一方が伸長し且つ他方が圧縮し、前記伸縮動作によって前記支持部先端側領域105を前記支持部基端側領域101に対して変位させて前記磁気ヘッドスライダ50をシーク方向に微動させるように前記支持部10に装着されている。
【0048】
本実施の形態においては、前記一対の圧電素子60は、前記ディスク面と直交する平面視において前記支持部開口領域110内に位置された状態で、前記支持部形成板100,前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160に絶縁性の接着剤70を介して固着されている。
【0049】
即ち、図1(a)及び図4(b)等に示すように、前記一対の圧電素子60は、先端側が前記先端側載置領域151の前記ディスク面とは反対側の上面に載置され且つ基端側が前記基端側載置領域161の前記ディスク面とは反対側の上面に載置された状態で、前記支持部先端領域105における基端側の端面、前記先端側載置領域151の上面、前記支持部基端側領域101における先端側の端面、及び、前記基端側載置領域161の上面に前記接着剤70を介して固着されている。
【0050】
斯かる構成によれば、前記一対の圧電素子60の伸縮動作を可及的に前記磁気ヘッドスライダ50のシーク方向への移動動作として伝達することができる。
さらに、前記構成によれば、前記一対の圧電素子60の一部又は全部を厚み方向に関し前記支持部形成板100とオーバーラップさせることができ、前記一対の圧電素子60を含む前記磁気ヘッドサスペンション1A全体の厚みを可及的に薄くすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態においては、図1(a)に示すように、前記一対の圧電素子60は、長手方向(即ち、伸縮方向)がサスペンション長手方向に沿うように配置されているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
即ち、前記一対の圧電素子60がサスペンション長手方向中心線CLを基準にして互いに対し対称であり、且つ、前記一対の圧電素子60の長手方向がサスペンション長手方向に沿った成分を有する範囲内であれば、前記一対の圧電素子60の長手方向をサスペンション長手方向に対して傾斜させることも可能である。
【0052】
前記荷重曲げ部20は、基端部が前記支持部10に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部30に連結されており、自己の弾性変形に基づいて前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面へ向けて押し付ける押し付け荷重を発生する。
【0053】
図1及び図2に示すように、本実施の形態においては、前記荷重曲げ部20は、左右一対の弾性板21を有している。
前記一対の弾性板21は、前記ディスク面と略平行とされ且つ互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で、基端部が前記支持部先端領域105のサスペンション幅方向一端側及び他端側にそれぞれ連結され且つ先端部において前記ロードビーム部30に連結されている。
前記弾性板21は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって形成される。
【0054】
好ましくは、前記一対の弾性板21は、前記磁気ヘッドサスペンション1Aが前記磁気ディスク装置へ実装される前の段階において前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面に近づく方向に予め折り曲げられ、且つ、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの前記磁気ディスク装置への実装時には曲げ戻されることで前記押し付け荷重を発生するように、構成される。
【0055】
前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記荷重曲げ部20によって発生される荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記ロードビーム部30はロードビーム基板300を有している。
前記ロードビーム基板300は、基端部が前記一対の弾性板21の先端部に連結されており、前記ディスク面と略平行とされた平板状のロードビーム部本体領域310を有している。
【0056】
好ましくは、前記ロードビーム基板300には、前記ロードビーム部本体領域310の幅方向両端部からディスク面とは反対側に曲げ形成されたフランジ部320が設けられ、前記フランジ部320によって前記ロードビーム部30の剛性を確保し得る。
前記ロードビーム基板300は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0057】
詳しくは、前記ロードビーム部30は、先端部に、所謂ディンプルと呼ばれる突起33を有している。
前記突起33は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.05mm〜0.1mm程度突出されている。この突起33は、前記フレクシャ部40におけるヘッド搭載領域412の裏面(ディスク面とは反対側の面)に接触しており、前記荷重はこの突起33を介して前記フレクシャ部40のヘッド搭載領域412に伝達される。
【0058】
本実施の形態においては、前記ロードビーム部30は、さらに、前記本体領域310の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ34を一体的に有している。前記リフトタブ34は、前記磁気ヘッドスライダ50がディスク面の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1Aが前記メインアクチュエータによって揺動された際に、磁気ディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ50をz方向(前記ディスク面と直交する方向)に沿って前記ディスク面から離間させる為の部材である。
【0059】
なお、本実施の形態においては、図1(a)及び(b)等に示すように、前記荷重曲げ部20は前記ロードビーム部30と一体形成されている。
即ち、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前記一対の弾性板21及び前記ロードビーム基板300は単一のプレート部材によって一体的に形成されている。
【0060】
当然ながら、図5に示すように、前記一対の弾性板21を前記ロードビーム基板300とは別体とすることも可能である。
図5に示す変形形態においては、前記ロードビーム基板300は前記一対の弾性板21の先端部に溶接によって連結されている。
【0061】
前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッド50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に接合される。
詳しくは、前記フレクシャ部40は、図1(b)及び図2に示すように、前記磁気ヘッドスライダ50を支持し且つ前記ロードビーム部30及び前記支持部10に固着されるフレクシャ基板400と、前記フレクシャ基板400に積層される配線体480とを備えている。
【0062】
前記フレクシャ基板400は、前記ロードビーム部本体領域310に重合されるロードビーム部重合領域410と、前記ロードビーム部重合領域410からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対のアーム領域411と、前記一対のアーム領域411によって支持されたヘッド搭載領域412と、前記支持部10に重合される支持部重合領域420と、前記ロードビーム部重合領域410及び前記支持部重合領域420を連結するようにサスペンション幅方向に関し前記一対の弾性板21の間においてサスペンション長手方向に延びる連結領域415とを一体的に有している。
【0063】
前記ヘッド搭載領域412は、ディスク面と対向する対向面において前記磁気ヘッド50を支持している。
前述の通り、前記ヘッド搭載領域412の裏面には前記突起33が接触しており、従って、前記ヘッド搭載領域412は前記突起33を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
前記フレクシャ基板40は、前記ヘッド搭載領域412がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム基板300よりも低剛性とされる。
前記フレクシャ基板400は、例えば、厚さ0.01mm〜0.025mm程度のステンレス板によって好適に形成される。
【0064】
前記配線体480は、図1(b)に示すように、前記フレクシャ基板400におけるディスク面との対向面に積層された絶縁層481と、前記絶縁層481におけるディスク面との対向面に積層された導体層482と、前記導体層482を囲繞する保護層(図示せず)とを有し得る。
【0065】
本実施の形態においては、前記配線体482を利用して前記一対の圧電素子60への電圧印可が行われている。
即ち、前記導体層482は、図1(b)に示すように、前記磁気ヘッドスライダ50及び外部間の信号伝達を行う磁気ヘッド用導体層482aと、前記一対の圧電素子60に電気的に接続される圧電素子用導体層482bとを含んでいる。
【0066】
そして、前記一対の圧電素子60の上面側(前記ディスク面とは反対側)の電極層を導電性接着剤等の導電性部材72(図1(a)参照)によって前記支持部形成板100に電気的に接続することで接地電位とした状態で、前記一対の圧電素子60の下面側(前記ディスク面と対向する側)の電極層に前記圧電素子用導体層482bが電気的に接続されている。
【0067】
好ましくは、図1(b)に示すように、前記ディスク面と直交する方向に沿って視た平面視において前記絶縁層481の一部を前記一対の圧電素子60とオーバーラップさせ、且つ、前記圧電素子用導体層482bにおける前記一対の圧電素子60との接続端部を前記平面視において前記一対の圧電素子60とオーバーラップするように配置させることができる。斯かる構成によれば、前記配線体480を利用した前記一対の圧電素子60の下面側の電極への電圧印可を容易に行うことができる。
【0068】
本実施の形態においては、図1(b)に示すように、前記配線体480における前記圧電素子用導体層482bと前記一対の圧電素子60の下面側の電極層とはワイヤーボンディング74によって電気的に結合されている。
なお、図1(b)における符号76は前記絶縁層481に形成された開口である。
【0069】
さらに、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前記先端側支持プレート150は、前記支持部先端領域105における先端側エッジを含む先端部位の前記ディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成することを許容した状態で、前記支持部形成板100の前記下面に溶接によって固着されている。
【0070】
即ち、本実施の形態においては、前記支持部先端領域105の下面のうち前記先端側支持プレート150が当接される領域よりサスペンション長手方向先端側における領域が前記露出面を形成している。
【0071】
そして、前記フレクシャ基板400の前記ロードビーム部重合領域410は適宜の溶接点において前記ロードビーム部本体領域310に溶接され、且つ、前記支持部重合領域420は少なくとも前記支持部先端領域105における前記先端部位の前記露出面に配置された溶接点90(図1(b)参照)において前記支持部形成板100に溶接されている。
【0072】
斯かる構成によれば、前記フレクシャ基板400を前記支持部形成板100にのみ溶接させた状態で、前記フレクシャ基板400の前記支持部10への溶接点を前記支持部10の先端側に可及的に近接させることができる。
従って、前記荷重曲げ部20の弾性変形動作によって前記フレクシャ基板400が振動することを可及的に防止しつつ、溶接による前記フレクシャ基板400,前記先端側支持プレート150及び前記支持部形成板100の歪みを有効に防止できる。
【0073】
さらに、本実施の形態においては、前述の通り、前記支持部形成板100の下面には、前記先端側支持プレート150が当接する部分に前記先端側凹部120が形成されている。
斯かる構成によれば、前記フレクシャ基板400を前記支持部先端領域105の下面に溶接させつつ、前記フレクシャ基板400を無理なく前記支持部形成板100の基端側へ延在させることができる。
【0074】
本実施の形態においては、図2及び図4(b)に示すように、前記支持部重合領域420は、前記支持部先端領域105における前記先端部位の前記露出面に当接され且つ溶接される先端側支持部重合領域421と、前記一対の圧電素子60よりサスペンション長手方向基端側に位置する基端側支持部重合領域423と、前記先端側支持部重合領域421及び前記基端側支持部重合領域423の間に延びる中間支持部重合領域422とを含んでいる。
【0075】
斯かる構成においては、図4(b)に示すように、前記先端側凹部120の形成によって、前記先端側支持部重合領域421及び前記中間支持部重合領域間422の間に段差が生じることを防止又は前記段差の高さを低減でき、これにより、前記フレクシャ基板400に無理な応力が掛かることを有効に防止できる。
【0076】
なお、本実施の形態においては、図4(b)に示すように、前記先端側凹部120の深さは前記先端側支持プレート150の板厚と同一とされているが、これに代えて、図4(c)に示すように、前記先端側凹部120の深さを前記先端側支持プレート150の板厚よりも小さくし、且つ、前記先端側支持プレート150における前記ディスク面に近接する下面に前記中間支持部重合領域422が通過する溝155を設けることも可能である。
【0077】
当然ながら、前記基端側支持プレート160に同様の溝165を設けることができる。
即ち、図4(c)に示すように、前記基端側凹部125の深さを前記基端側支持プレート160の板厚よりも小さくし、且つ、前記基端側支持プレート160における前記ディスク面に近接する下面に前記中間支持部重合領域422が通過する前記溝165を設けることができる。
【0078】
又、本実施の形態においては、前記支持部先端側領域105に溶接される前記先端側支持部重合領域421と前記支持部形成板100のうち前記一対の圧電素子60より基端側に位置する部分と重合する前記基端側支持部重合領域423とが前記中間支持部重合領域422を介して連結されている。
斯かる構成においては、好ましくは、図1(a)に示すように、前記中間支持部重合領域422は、サスペンション幅方向に関し前記一対の圧電素子60の間に配置される。
【0079】
斯かる構成によれば、前記中間支持部重合領域422によって前記フレクシャ基板400の剛性を向上させつつ、前記中間支持部重合領域422と前記一対の圧電素子60とが接触することを有効に防止できる。
【0080】
なお、本実施の形態においては、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160は別体とされているが、これに代えて、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160を一体成形することも可能である。
【0081】
例えば、図6(a)に示すように、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160のサスペンション幅方向外方側の端部同士を一対の連結梁170によって連結することも可能であるし、若しくは、図6(b)に示すように、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160のサスペンション幅方向中央部同士を単一の連結梁175によって連結することも可能である。なお、図6(a)及び(b)においては、前記一対の圧電素子60を破線で示している。
【0082】
このように、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160を一体形成することによって、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160の前記支持部形成板100への装着作業効率を向上させることができると共に、衝撃力印可時に前記一対の圧電素子60に掛かる応力を低減させることができる。
【0083】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図7(a)に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2Aの下面図(ディスク面側から見た底面図)を示す。図7(a)における○印は溶接点を示している。
又、図7(b)に、前記磁気ヘッドサスペンション2Aの部分縦断側面図であって、前記実施の形態1における図4(b)に対応した縦断側面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1における同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0084】
本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2Aは、前記ディスク面と直交する平面視において先端側支持プレート150Bの先端側エッジと前記支持部先端領域105の基端側エッジとの間に隙間140が存在する点、及び、前記平面視において基端側支持プレート160Bの基端側エッジと前記支持部基端側領域101の先端側エッジとの間に隙間145が存在する点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aと相違している。
【0085】
詳しくは、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2Aは、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aを基準にして、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160の代わりに、先端側支持プレート150B及び基端側支持プレート160Bを備えている。
【0086】
前記先端側支持プレート150Bは、前記一対の支持部連結梁115の先端側にのみ重合し且つ前記支持部先端領域105との間には前記隙間140が存するように、構成されている。
【0087】
なお、本実施の形態においては、前記支持部形成板100は、前記一対の支持部連結梁115の先端側にのみ前記先端側凹部120を有し、前記支持部先端領域105のサスペンション幅方向中央には前記先端側凹部120が設けられていない。
そして、前記先端側支持プレート150Bは、前記一対の支持部連結梁115の先端側に設けられた前記先端側凹部120においてのみ前記一対の支持部連結梁115に重合され且つ溶接されており、前記支持部先端領域105とは重合しないように構成されている。
【0088】
前記基端側支持プレート160Bは、前記支持部基端領域101のサスペンション幅方向両側にのみ重合し且つ前記支持部基端領域101のサスペンション幅方向中央との間には前記隙間145が存するように、構成されている。
【0089】
なお、本実施の形態においては、前記支持部形成板100は、前記支持部基端領域101の先端側のサスペンション幅方向中央を挟んだ両側にのみ前記基端側凹部125を有し、前記支持部基端領域101の先端側のサスペンション幅方向中央には前記基端側凹部125が設けられていない。
そして、前記基端側支持プレート160Bは、前記基端側凹部125においてのみ前記支持部基端領域101に重合され且つ溶接され、サスペンション幅方向中央においては前記支持部基端領域101とは重合しないように構成されている。
【0090】
斯かる構成の前記磁気ヘッドサスペンション2Aによれば以下の効果を得ることができる。
即ち、前記実施の形態1におけるように前記先端側支持プレート150が平面視において前記支持部先端領域105とオーバーラップする構成においては、前記先端側支持プレート150の上面に前記絶縁性接着剤70を塗布してから前記一対の圧電素子60を前記先端側支持プレート150の上面に載置させて前記一対の圧電素子60を前記支持部先端領域105及び前記先端側支持プレート150に固着させる際に、前記絶縁性接着剤70が理想的には密着している前記先端側支持プレート150及び前記支持部先端領域105の間に入り込む恐れがある。前記先端側支持プレート150及び前記支持部先端領域105は共にSUS等の剛性部材によって形成され且つ理想的には密着状態とされるから、両者の間に前記絶縁性接着剤70が入り込むと、前記一対の圧電素子60の伸縮動作に伴って両者の間の前記絶縁性接着剤70に包含されるフィラーが脱離する恐れがある。
これに対し、本実施の形態においては、前記先端側支持プレート150Bの先端側エッジと前記支持部先端領域105の基端側エッジとの間に前記隙間140が設けられているので、斯かる不都合も有効に防止できる。
【0091】
同様に、前記基端側支持プレート160Bの基端側エッジと前記支持部基端領域101の先端側エッジのサスペンション幅方向中央との間に前記隙間145が設けられているので、前記基端側支持プレート160B及び前記支持部基端領域101の間に前記絶縁性接着剤70が入り込むことを有効に防止できる。
【0092】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図8(a)に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3Aの下面図(ディスク面側から見た底面図)を示す。又、図8(b)に、図8(a)におけるVIII-VIII線に沿った断面図を示す。なお、図8(a)においては前記フレクシャ部40の図示を削除している。又、図8(a)における○印は溶接点を示している。
図中、前記実施の形態1又は2における同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0093】
本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション3Aは、前記先端側支持プレート150及び前記基端側支持プレート160が支持プレート200に変更されている点において、主として前記実施の形態1に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Aと相違している。
【0094】
図9(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション3Aにおける前記ロードビーム部30,前記荷重曲げ部20及び前記支持プレート200の下面図及び上面図を示す。なお、図9(a)及び(b)において、前記一対の圧電素子60を破線で示している。
【0095】
詳しくは、前記支持プレート200は、互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で前記支持部形成板100の下面に溶接される一対の先端側ベースステンレス210と、前記一対の先端側ベースステンレス210からサスペンション長手方向基端側へ離間され且つ互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で前記支持部形成板100の下面に溶接される一対の基端側ベースステンレス220と、前記一対の先端側ベースステンレス210及び前記一対の基端側ベースステンレス220の上面(前記ディスク面とは反対側の面)に積層されたポリイミド層230と、前記ポリイミド層230の上面に積層された補強ステンレス240とを備えている。
【0096】
前記一対の先端側ベースステンレス210は、図8(a)及び(b)に示すように、前記支持部先端領域105における前記ディスク面に近接する下面の少なくともサスペンション幅方向中央領域が前記ディスク面に対して露出した露出面を形成するように、前記支持部形成板100の下面に溶接されている。
【0097】
本実施の形態においては、図8(a)及び(b)に示すように、前記支持部形成板100には前記先端側凹部120及び前記基端側凹部125が形成されており、前記一対の先端側ベースステンレス210及び前記一対の基端側ベースステンレス220はそれぞれ前記先端側凹部120及び前記基端側凹部125内に配置されている。
【0098】
これに代えて、図8(c)に示すように、前記先端側凹部120及び前記基端側凹部125を削除することも可能である。
即ち、前記支持部先端領域105の下面のサスペンション幅方向両側に前記一対の先端側ベースステンレス210を溶接させ、前記フレクシャ基板400を前記一対の弾性板21の間において前記支持部先端領域105の下面に溶接させ且つ前記一対の先端側ベースステンレス210の間を通過させて基端側へ延在させることができる。
【0099】
前記ポリイミド層230は、先端側の端面が前記支持部先端領域105の基端側の端面と対向するように前記一対の先端側ベースステンレス210の間においてサスペンション幅方向に延びる先端側幅方向領域231と、基端側の端面が前記支持部基端領域101の先端側の端面と対向するように前記一対の基端側ベースステンレス220の間においてサスペンション幅方向に延びる基端側幅方向領域233と、前記先端側幅方向領域231及び前記基端側幅方向領域233を連結する連結領域232とを含んでいる。
【0100】
なお、前記ポリイミド層230が前記支持部先端領域105及び/又は前記支持部基端領域101と当接するように構成することも可能であるが、斯かる構成においては、前記ポリイミド層230と前記支持部先端領域105との間、及び/又は、前記ポリイミド層230と前記支持部基端領域101との間に前記絶縁性接着剤70が入り込み、前記一対の圧電素子60の伸縮動作に伴って前記絶縁性接着剤70に包含されるフィラーが脱離する恐れがある。
これに対し、本実施の形態においては、図8(b)及び(c)に示すように、平面視において前記ポリイミド層230と前記支持部先端領域105との間に隙間が存在し、且つ、平面視において前記ポリイミド層230と前記支持部基端領域101との間に隙間が存在する。従って、斯かる不都合を有効に防止できる。
【0101】
前記補強ステンレス240は、前記先端側幅方向領域231における上面の基端側においてサスペンション幅方向に延びる先端側補強ステンレス241と、前記基端側幅方向領域233における上面の先端側においてサスペンション幅方向に延びる基端側補強ステンレス242とを含んでいる。
【0102】
好ましくは、前記先端側補強ステンレス241は、平面視において一端側及び他端側が前記一対の先端側ベースステンレス210の一方及び他方と重合するように配置される。
同様に、前記基端側補強ステンレス242は、平面視において一端側及び他端側が前記一対の基端側ベースステンレス220の一方及び他方と重合するように配置される。
斯かる構成によれば、前記支持プレート200の強度を有効に向上させることができる。
【0103】
前記一対の圧電素子60は、先端側が前記先端側幅方向領域231及び前記先端側補強ステンレス241の上面に載置され且つ基端側が前記基端側幅方向領域233及び前記基端側補強ステンレス242の上面に載置された状態で、前記支持部先端領域105における基端側の端面、前記先端側幅方向領域231及び前記先端側補強ステンレス241の上面、前記基端側幅方向領域233及び前記基端側補強ステンレス242の上面、及び、前記支持部基端側領域101における先端側の端面に前記接着剤70を介して固着される。
【0104】
前記フレクシャ基板400は、前記ロードビーム部重合領域410が前記ロードビーム部本体領域310に溶接されることで前記ロードビーム部40に固着され、且つ、前記支持部重合領域420が少なくとも前記支持部先端領域105における前記露出面に溶接されることで前記支持部10に固着される。
【0105】
斯かる構成によれば、前記フレクシャ基板400を前記支持部10の先端側に可及的に近接した位置で前記支持部形成板100にのみ溶接することができる。
従って、前記荷重曲げ部20の弾性変形動作によって前記フレクシャ基板400が振動することを可及的に防止し、さらに、溶接による前記フレクシャ基板400,前記支持プレート200及び前記支持部形成板100の歪みを有効に防止できる。
【0106】
さらに、本実施の形態においては、前述の通り、前記一対の先端側ベースステンレス210が互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で前記支持部形成板100の下面に溶接されており、サスペンション幅方向中央には前記先端側ベースステンレス210が存在しない。
従って、前記支持部先端領域105の下面に溶接された前記フレクシャ基板400を前記一対の先端側ベースステンレス210の間を通過させて前記支持部形成板100の基端側へ延在させることができる。
さらに、前記一対の圧電素子60の先端側に配設された絶縁性接着剤70が基端側へ流れ出ることを前記先端側補強ステンレス241によって有効に防止でき、且つ、前記一対の圧電素子60の基端側に配設された絶縁性接着剤70が先端側へ流れ出ることを前記基端側補強ステンレス2542によって有効に防止できる。
【符号の説明】
【0107】
1A〜3A 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
20 荷重曲げ部
21 弾性板
30 ロードビーム部
40 フレクシャ部
50 磁気ヘッドスライダ
60 圧電素子
70 接着剤
100 支持部形成板
101 支持部基端領域
105 支持部先端領域
110 支持部開口領域
115 支持部連結領域
120 先端側凹部
125 基端側凹部
140 支持部先端領域及び先端側支持プレート間の隙間
145 支持部基端領域及び基端側支持プレート間の隙間
150 先端側支持プレート
155 溝
160 基端側支持プレート
170 一対の連結梁
175 単一の連結梁
200 支持プレート
210 先端側ベースステンレス
220 基端側ベースステンレス
230 ポリイミド層
231 先端側幅方向領域
232 連結領域
233 基端側幅方向領域
240 補強ステンレス
241 先端側補強ステンレス
242 基端側補強ステンレス
300 ロードビーム基板
310 ロードビーム部本体領域
400 フレクシャ基板
410 ロードビーム部重合領域
411 アーム領域
412 ヘッド搭載領域
415 連結領域
420 支持部重合領域
421 先端側支持部重合領域
422 中間支持部重合領域
423 基端側支持部重合領域
480 配線体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重を磁気ヘッドスライダに伝達するためのロードビーム部と、前記荷重曲げ部を介して前記ロードビーム部を支持し且つメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部と、前記磁気ヘッドスライダを支持した状態で前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されるフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダをシーク方向に微動させる為にサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称で且つ互いに対して伸縮方向が異なるように前記支持部に装着される左右一対の圧電素子とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記支持部は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結される支持部基端領域と前記荷重曲げ部が連結される支持部先端領域とサスペンション長手方向に関し前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間に位置し且つ前記ディスク面と直交する平面視において前記一対の圧電素子を囲繞する支持部開口領域と前記支持部開口領域よりサスペンション幅方向外方向側において前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間を連結する左右一対の支持部連結梁領域とを一体的に有する支持部形成板と、少なくとも一部が前記支持部開口領域内に位置する先端側載置領域を形成する状態で前記支持部形成板における前記ディスク面に近接する下面に固着される先端側支持プレートと、少なくとも一部が前記支持部開口領域内に位置する基端側載置領域を形成する状態で前記支持部形成板における前記ディスク面に近接する下面に固着される基端側支持プレートとを備え、
前記一対の圧電素子は、先端側が前記先端側載置領域の前記ディスク面とは反対側の上面に載置され且つ基端側が前記基端側載置領域の前記ディスク面とは反対側の上面に載置された状態で、前記支持部先端領域における基端側の端面、前記先端側載置領域の前記上面、前記支持部基端側領域における先端側の端面、及び、前記基端側載置領域の前記上面に接着剤を介して固着され、
前記荷重曲げ部は、前記ディスク面と略平行とされ且つ互いに対してサスペンション幅方向に離間されるように基端部が前記支持部先端領域のサスペンション幅方向一端側及び他端側にそれぞれ連結された左右一対の弾性板を有し、
前記ロードビーム部は、前記ディスク面と略平行とされた平板状のロードビーム部本体領域を有し且つ基端部が前記一対の弾性板の先端部に連結されたロードビーム基板を備え、
前記フレクシャ部は、前記磁気ヘッドスライダが装着されるヘッド搭載領域を有するフレクシャ基板と前記フレクシャ基板に積層される配線体とを備え、
前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部本体領域に重合されるロードビーム部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域に一対のアーム領域を介して支持される前記ヘッド搭載領域と、前記支持部に重合される支持部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域及び前記支持部重合領域を連結するようにサスペンション幅方向に関し前記一対の弾性板の間においてサスペンション長手方向に延びる連結領域とを一体的に有しており、
前記先端側支持プレートは、前記支持部先端領域における先端側エッジを含む先端部位の前記ディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成することを許容した状態で、前記支持部形成板の前記下面に溶接によって固着されており、
前記フレクシャ基板の前記ロードビーム部重合領域は適宜の溶接点において前記ロードビーム部本体領域に溶接され、且つ、前記支持部重合領域は少なくとも前記支持部先端領域における前記先端部位の前記露出面に配置された溶接点において前記支持部形成板に溶接されていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
前記支持部形成板の前記下面のうち前記先端側支持プレートが当接する部分及び前記基端側支持プレートが当接する部分が他の部分よりも前記ディスク面から離間するように、前記支持部形成板の下面には凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記凹部は、前記先端側支持プレートが当接する先端側凹部と前記基端側支持プレートが当接する基端側凹部とを含み、
前記先端側凹部は、前記支持部先端領域の基端側及び前記一対の支持部連結梁領域の先端側に亘るように形成され、
前記基端側凹部は、前記支持部基端領域にのみ形成されて前記一対の支持部連結梁領域の基端側には到達していないことを特徴とする請求項2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記凹部の深さは前記先端側支持プレートの板厚と同一以上とされていることを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
前記支持部重合領域は、サスペンション長手方向に関し前記支持部先端領域における前記先端部位の前記露出面と同一位置に位置する先端側支持部重合領域と、前記一対の圧電素子より基端側に位置する基端側支持部重合領域と、サスペンション幅方向に関し前記一対の圧電素子の間において前記先端側支持部重合領域及び前記基端側支持部重合領域を連結する中間支持部重合領域とを含み、
前記凹部の深さは前記先端側支持プレートの板厚よりも小さくされており、
前記先端側支持プレートにおける前記ディスク面に近接する下面には、前記中間支持部重合領域が通過する溝が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記先端側支持プレート及び前記基端側支持プレートはサスペンション幅方向外方側の端部同士が一対の連結梁によって連結された状態で一体形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項7】
前記先端側支持プレート及び前記基端側支持プレートはサスペンション幅方向中央部同士が単一の連結梁によって連結された状態で一体形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項8】
前記先端側支持プレートは、前記平面視において先端側のエッジと前記支持部先端領域の基端側のエッジとの間に隙間が存するように、前記支持部形成板に固着され、
前記基端側支持プレートは、前記平面視において基端側のエッジと前記支持部基端側領域の先端側のエッジとの間に隙間が存するように、前記支持部形成板に固着されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項9】
磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重を磁気ヘッドスライダに伝達するためのロードビーム部と、前記荷重曲げ部を介して前記ロードビーム部を支持し且つメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部と、前記磁気ヘッドスライダを支持した状態で前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されるフレクシャ部と、前記磁気ヘッドスライダをシーク方向に微動させる為にサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称で且つ互いに対して伸縮方向が異なるように前記支持部に装着される左右一対の圧電素子とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記支持部は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結される支持部基端領域と前記荷重曲げ部が連結される支持部先端領域とサスペンション長手方向に関し前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間に位置し且つ前記ディスク面と直交する平面視において前記一対の圧電素子を囲繞する支持部開口領域と前記支持部開口領域よりサスペンション幅方向外方向側において前記支持部基端領域及び前記支持部先端領域の間を連結する左右一対の支持部連結梁領域とを一体的に有する支持部形成板と、前記支持部開口領域内に前記一対の圧電素子が載置される載置領域を形成するように前記支持部形成板に固着される支持プレートとを備え、
前記一対の圧電素子は、前記支持プレートに載置された状態で、前記支持部先端領域における基端側の端面、前記支持プレートの前記ディスク面とは反対側の上面、及び、前記支持部基端側領域における先端側の端面に接着剤を介して固着され、
前記荷重曲げ部は、前記ディスク面と略平行とされ且つ互いに対してサスペンション幅方向に離間されるように基端部が前記支持部先端領域のサスペンション幅方向一端側及び他端側にそれぞれ連結された左右一対の弾性板を有し、
前記ロードビーム部は、前記ディスク面と略平行とされた平板状のロードビーム部本体領域を有し且つ基端部が前記一対の弾性板の先端部に連結されたロードビーム基板を備え、
前記フレクシャ部は、前記磁気ヘッドスライダが装着されるヘッド搭載領域を有するフレクシャ基板と前記フレクシャ基板に積層される配線体とを備え、
前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部本体領域に重合されるロードビーム部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域に一対のアーム領域を介して支持される前記ヘッド搭載領域と、前記支持部に重合される支持部重合領域と、前記ロードビーム部重合領域及び前記支持部重合領域を連結するようにサスペンション幅方向に関し前記一対の弾性板の間においてサスペンション長手方向に延びる連結領域とを一体的に有しており、
前記支持プレートは、前記支持部先端領域における前記ディスク面に近接する下面が少なくともサスペンション幅方向中央領域において前記ディスク面に対して露出した露出面を形成するように互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で前記支持部形成板の前記下面に溶接される一対の先端側ベースステンレスと、前記一対の先端側ベースステンレスからサスペンション長手方向基端側に離間された位置で前記支持部形成板の前記下面に溶接される一対の基端側ベースステンレスと、前記一対の先端側ベースステンレス及び前記一対の基端側ベースステンレスの上面に積層されたポリイミド層と、前記ポリイミド層の上面に積層された補強ステンレスとを備え、
前記ポリイミド層は、前記支持部先端領域の基端側の端面と対向するように前記一対の先端側ベースステンレスの間においてサスペンション幅方向に延びる先端側幅方向領域と、前記支持部基端領域の先端側の端面と対向するように前記一対の基端側ベースステンレスの間においてサスペンション幅方向に延びる基端側幅方向領域と、前記先端側幅方向領域及び前記基端側幅方向領域を連結する連結領域とを含み、
前記補強ステンレスは、前記先端側幅方向領域における上面の基端側においてサスペンション幅方向に延びる先端側補強ステンレスと、前記基端側幅方向領域における上面の先端側においてサスペンション幅方向に延びる基端側補強ステンレスとを含み、
前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部重合領域が前記ロードビーム部本体領域に溶接されることで前記ロードビーム部に固着され、且つ、前記支持部重合領域が前記支持部先端領域における前記露出面に溶接されることで前記支持部に固着されていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−8866(P2011−8866A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151896(P2009−151896)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】