説明

磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具

【課題】シールドルームの特性を含む設置環境に応じて、より均一性の高い静磁場を撮像空間に形成することが可能な磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具は、磁場調整手段及び設置手段を備える。磁場調整手段は、磁気共鳴イメージング装置の磁石の外部に設けられ、前記磁石が設置されるシールドルーム内における環境の影響を受けて前記磁石により形成される静磁場の均一性を向上させる。設置手段は、前記磁場調整手段を、前記磁石の外部に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
MRI装置に備えられる静磁場導磁石は、イメージングのために強度の高い静磁場を生成する。このため、周囲の電子機器への磁気的な影響を回避するために、MRI装置は、磁気に対するシールドルームとしての機能を有する撮影室内に設置される。
【0004】
近年のMRI装置には、静磁場磁石として超電導磁石が用いられる。このため、1.5[T](テスラ)以上の高磁場を撮像空間に形成することが可能である。一方、古いMRI装置には、静磁場磁石として永久磁石が備えられており、0.3[T]以上の磁場を、比較的最近のMRI装置であれば0.8[T]程度の磁場を、形成することができる。
【0005】
近年では、長い年月を経た古いタイプのMRI装置を最新のMRI装置に換えるというニーズが高まっている。しかしながら、永久磁石を備えた旧式のMRI装置のシールドルームは、0.3[T]からせいぜい0.8[T]の磁場に対して十分な磁気シールド効果が得られるように設計されている。このため、1.5[T]以上の高磁場を形成するMRI装置を従来の狭いシールドルームにそのまま設置すると、シールドルームからの漏洩磁場が無視できなくなるという問題がある。
【0006】
この問題を解決するために、静磁場磁石が内蔵される架台に近い側のシールドルームの壁に鉄片を設置するといった工夫がなされている。具体的には、超電導磁石を備えたMRI装置をシールドルーム内に設置した場合に、5[G](ガウス;1[G]=1×10-4[T])の等磁線がシールドルームから漏洩しないように鉄片の厚さ等が調整される。これにより、永久磁石を備えた旧式のMRI装置用のシールドルームに超電導磁石を備えたMRI装置を設置することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−121227号公報
【特許文献2】特開2003−135425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、シールドルームの壁に鉄片を設置すると、静磁場の均一性に乱れが生じるという問題がある。鉄片の設置による静磁場均一性への影響は、鉄片と静磁場磁石間の距離に依存する。すなわち、静磁場磁石と鉄との距離が近づく程、静磁場の均一性が低下する。従って、静磁場の均一性を維持するためには、静磁場磁石をシールドルームの壁から一定の距離だけ離すことが重要である。
【0009】
一方、寝台のスペースを確保するために、静磁場磁石の寝台側におけるシールドルームの壁面からの距離は寝台と反対側におけるシールドルームの壁面からの距離に比べて必然的に長くなる。すなわち、旧式のMRI装置用に設計された狭いシールドルームに超電導磁石を備えた高磁場タイプのMRI装置を設置する場合には、静磁場磁石の寝台と反対側の部分は、シールドルームの壁面に近づけざるを得ない。
【0010】
従って、静磁場磁石とシールドルームの壁面との距離が短くなる場合であっても静磁場の均一性を維持できるようにする技術の開発が望まれる。また、新旧のMRI装置の置換を行う場合に限らず、新たにMRI装置を設置する場合においても、シールドルームの特性や他の介在物による影響に適応させて静磁場の均一性を一層良好にすることが重要である。
【0011】
本発明は、シールドルームの特性を含む設置環境に応じて、より均一性の高い静磁場を撮像空間に形成することが可能な磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具は、磁場調整手段及び設置手段を備える。磁場調整手段は、磁気共鳴イメージング装置の磁石の外部に設けられ、前記磁石が設置されるシールドルーム内における環境の影響を受けて前記磁石により形成される静磁場の均一性を向上させる。設置手段は、前記磁場調整手段を、前記磁石の外部に設置する。
また、本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、イメージング手段及び磁場調整手段を備える。イメージング手段は、磁石によって静磁場を形成し、寝台により前記磁石内に形成される磁気共鳴信号の収集領域に送り込まれた被検体から磁気共鳴信号を収集することにより磁気共鳴イメージングを行う。磁場調整手段は、前記磁石の外部に設けられ、前記磁石が設置されるシールドルーム内における環境の影響を受けて前記磁石により形成される静磁場の均一性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具の縦断面図。
【図2】図1に示すキャンセルコイルの左側面図。
【図3】図2に示すキャンセルコイルを分割した状態を示す図。
【図4】図1に示すガントリの内部にキャンセルコイルを含む磁場調整具を設けた例を示す図。
【図5】図1に示す鉄片を設けたシールドルーム内に磁場調整具を設置した場合と設置しない場合においてそれぞれ静磁場用磁石によって形成される静磁場のシミュレーション結果を比較した図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具の縦断面図。
【図7】図6に示す磁場調整具の左側面図。
【図8】図6に示す磁場調整具としてシールドルームに鉄リブを固定した例を示す図。
【図9】図8に示す磁場調整具の左側面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具について添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具の縦断面図である。
【0016】
磁気共鳴イメージング装置1は、データ収集系2及び制御系3を有する。データ収集系2は、撮影室を形成するシールドルーム4内に設置される。一方、制御系3は、シールドルーム4の外部に設けられる。
【0017】
データ収集系2は、静磁場下にセットされた被検体Oに傾斜磁場パルス及びRFパルスを印加することにより被検体OからNMR信号を収集する機能を有する。そのために、データ収集系2は、ガントリ(架台)5及び寝台6を有する。ガントリ5には、撮像領域が形成され、円筒状の静磁場用磁石7、円筒状の傾斜磁場コイル8及び円筒状の全身用(WB: whole body)コイル9などが同軸状に内蔵される。
【0018】
静磁場用磁石7は、円筒状の真空容器内に超電導コイルを設け、冷却液で超電導コイルを浸漬した超電導磁石である。静磁場用磁石7は、撮像領域に静磁場を形成する磁石であり、励磁の際には静磁場電源が超電導コイルと接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。
【0019】
傾斜磁場コイル8は、静磁場用磁石7の内側に設けられる。傾斜磁場コイル8は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸方向にそれぞれ磁場を形成する複数のコイルで構成され、傾斜磁場コイル8を構成する各コイルに供給される電流を制御することによって撮像領域に傾斜磁場を形成する機能を有する。
【0020】
全身用(WB: whole body)コイル9は、傾斜磁場コイル8の内側に設けられるRFコイルである。WBコイル9は、主として撮像領域にRFパルスを送信する送信用のRFコイルとして用いられるが、NMR信号の受信用に用いられる場合もある。
【0021】
一方、寝台6は、固定天板10及び寝台駆動装置11を備えている。固定天板10上には、2本のアーム12Aを備えたストレッチャ12により被検体Oをセットした可動天板13を設置することができる。そして、寝台駆動装置11を駆動させることにより被検体Oをセットした可動天板13をガントリ5内におけるNMR信号の収集領域Rに送り込むことができるように構成されている。
【0022】
この他、データ収集系2には、RF信号の送信用及びNMR信号の受信用の局所RFコイルが設けられる。局所RFコイルは、撮像部位やイメージングの目的に応じてガントリ5の内側に形成される撮像領域の適切な部位に設置される。例えば、頭部用RFコイルのように可動天板13に着脱可能な局所RFコイルや被検体Oに直接取り付ける局所RFコイルなどが代表的な局所RFコイルとして知られている。
【0023】
一方、制御系3は、データ収集系2の各構成要素に電流や制御信号を出力することによってデータ収集系2を制御する機能と、データ収集系2において収集されたNMR信号に対する画像再構成処理及び画像処理を行うことによってNMR信号から被検体OのMR画像データを生成する機能とを有する。そのために、制御系3は、傾斜磁場電源、送信器、受信器、シーケンスコントローラ及びコンピュータ等の構成要素を備えている。そして、制御系3によるデータ収集系2の制御及び収集データの処理によって被検体OのMRイメージングを実行することができる。
【0024】
また、シールドルーム4は、静磁場用磁石7によってシールドルーム4外に漏洩する静磁場を低減する機能、すなわち磁気に対するシールド機能を有する。このため、シールドルーム4は、通常、強磁性体として入手が容易な鉄で構成される。シールドルーム4のサイズや壁面の厚さ等のシールド機能に影響を及ぼす条件は、静磁場用磁石7の特性に応じて漏洩磁場が十分に低減されるように適切に決定することができる。
【0025】
但し、他の磁気共鳴イメージング装置の設置用に設計されたシールドルーム4に、より高磁場を形成する磁気共鳴イメージング装置1を設置した場合やシールドルーム4のサイズ等の条件に制約がある場合には、静磁場用磁石7によるシールドルーム4からの漏洩磁場が無視できなくなる。
【0026】
シールドルーム4から外部に漏洩する磁場の強度が最も大きくなるのは、静磁場用磁石7に最も接近するシールドルーム4の壁面付近となる。静磁場用磁石7を内蔵するガントリ3の一方側には寝台4が設けられるため、シールドルーム4の壁面に最も接近するのはガントリ3の寝台4と反対側となる。
【0027】
そこで、ガントリ3の寝台4と反対側に対向するシールドルーム4の壁面には、漏洩磁場を防止するための鉄片14が設けられる。例えば、5[G]の等磁線がシールドルーム4から漏洩しないように鉄片14の厚さやサイズ等の条件が決定される。
【0028】
更に、静磁場用磁石5を内蔵したガントリ3の寝台4側には磁場調整具15が設けられる。磁場調整具15は、静磁場用磁石7が設置されるシールドルーム4内における環境の影響を受けて静磁場用磁石7により形成される静磁場の均一性を向上させる機能を有する。
【0029】
すなわち、静磁場用磁石7により形成される静磁場は、シールドルーム4内に設置される金属等の磁性体の影響を受ける。例えば、静磁場用磁石7の寝台4と反対側には磁束線を内部に導く鉄片14が設置されるのに対し、静磁場用磁石7の寝台4側の対称な位置には鉄片14を設けることができない。この結果、鉄片14の影響により静磁場に不均一性が生じる。その他、寝台4やストレッチャ12等の金属を含むシールドルーム4内の設置物も静磁場に影響を与える。
【0030】
そこで、磁場調整具15は、シールドルーム4内の環境に応じて静磁場の均一性を向上させるように構成される。そのために、磁場調整具15は、キャンセルコイル16、設置部材17及び制御装置18を備えている。
【0031】
図2は、図1に示すキャンセルコイル16の左側面図である。
【0032】
キャンセルコイル16は、静磁場用磁石7により形成される静磁場への他の構成要素による影響をキャンセルすることによってNMR信号の収集領域Rにおける静磁場の均一性を向上させる機能を有する。特に、キャンセルコイル16は、少なくともシールドルーム4の壁面に設置された鉄片14による静磁場への影響をキャンセルするように構成される。
【0033】
設置部材17は、キャンセルコイル16をガントリ3の寝台4側の適切な位置に設置する部品である。例えば、キャンセルコイル16をシールドルーム4内に据え置く場合には、所定の重量を有する物体で設置部材17を構成することができる。或いは、キャンセルコイル16をシールドルーム4又は磁気共鳴イメージング装置1の構成要素に固定する場合には、ボルトとナットやソケット等の取り付け具又は溶接等の固定部材で設置部材17を構成することができる。
【0034】
キャンセルコイル16は、主として鉄片14による静磁場への影響をキャンセルするコイルであるため、キャンセルコイル16は、少なくともシールドルーム4内におけるNMR信号の収集領域Rよりも寝台4側に設置されればよい。例えば、設置部材17により、キャンセルコイル16をガントリ3の寝台4側に配置すれば、ガントリ3の設置後であってもキャンセルコイル16を簡易に設置することができる。図1及び図2は、設置部材17により、寝台4の固定天板10がキャンセルコイル16の内側となるようにキャンセルコイル16を設置した例を示している。
【0035】
尚、キャンセルコイル16とガントリ3内の静磁場用磁石7との距離を小さくすれば、キャンセルコイル16のコイル巻き線の本数N[本]と電流I[A]との積で表されるアンペア回数(NI[A])を小さくしても静磁場の均一性を劣化させる磁場成分を十分にキャンセルすることができる。すなわち、キャンセルコイル16を静磁場用磁石7に接近させる程、消費電力を小さくすることができる。
【0036】
或いは、電流が一定であれば、キャンセルコイル16の径や巻き数を小さくすることができる。このため、キャンセルコイル16の設置による操作性への悪影響を低減することができる。
【0037】
そこで、図1及び図2は、ガントリ3近傍の寝台4付近に作業スペースが得られるように、キャンセルコイル16をガントリ3から引き離して寝台4の端部よりやや中央よりの位置に設置部材17により配置した例を示している。
【0038】
また、キャンセルコイル16の設置による操作性への悪影響を一層排除するために、キャンセルコイル16を、コネクタ16Aを介して分割可能に構成することができる。例えば、図2に示すようにキャンセルコイル16を上部と下部に分割した2つのコイルパーツ16Bを2つのコネクタ16Aを用いて着脱可能に連結することができる。更に、2つのコイルパーツ16Bの各一端を互いに蝶番16Cで連結すれば、キャンセルコイル16を開閉することができる。
【0039】
図3は、図2に示すキャンセルコイル16を分割した状態を示す図である。
【0040】
図3に示すように蝶番16Cとコネクタ16Aとを用いてキャンセルコイル16の各コイルパーツ16Bを連結すれば、キャンセルコイル16を開閉することができる。これにより、被検体Oのセットやストレッチャ12を用いた可動天板13の設置の際に、キャンセルコイル16による干渉を回避させることができる。すなわち、ストレッチャ12を利用して被検体Oや可動天板13のセットを容易に行うことが可能となる。
【0041】
一方、制御装置18は、キャンセルコイル16に供給される電流を制御する装置である。制御装置18は、電源18A及びコンピュータ18Bを用いて構成することができる。図1、図2及び図3に示すように制御装置18は設置部材17の内部に収納することができる。
【0042】
電源18Aは、コンピュータ18Bからの制御信号に従ってキャンセルコイル16に電流を供給するように構成されている。
【0043】
コンピュータ18Bの演算装置にはプログラムを読み込ませることにより、電源18Aの制御機能を設けることができる。このため、コンピュータ18Bによる電源18Aの制御によって、NMR信号の収集領域Rにおける静磁場の均一性を向上させるための、シールドルーム4内における環境に応じた最適な電流を電源18Aからキャンセルコイル16に供給することができる。
【0044】
キャンセルコイル16に供給すべき適切な電流値は、磁気共鳴イメージング装置1の据付時や定期的なメンテナンスの際にキャンセルコイル16への供給電流を調整し、静磁場の均一性が最も良好となるときの電流値として予め計測しておくことができる。或いは、シミュレーションによってシールドルーム4内における環境に応じた適切なキャンセルコイル16の電流値を計算しておくこともできる。
【0045】
キャンセルコイル16に供給すべき電流値は、静磁場に影響を与えるシールドルーム4内の設置物に応じて変化する。すなわち、シールドルーム4内に設置される鉄片14に加え、寝台4のタイプやストレッチャ12の有無等の条件によってもキャンセルコイル16に供給すべき電流値が変化する。
【0046】
そこで、計測又は計算によって得られた、シールドルーム4内の設置物等の環境に応じたキャンセルコイル16に供給すべき適切な電流値を、プリセット値としてコンピュータ18Bの記憶装置に記憶させることができる。すなわち、シールドルーム4内の設置物の種類ごとの適切なキャンセルコイル16の電流値をプリセット値のテーブルとして記憶装置に保存することができる。
【0047】
そして、コンピュータ18Bの記憶装置からシールドルーム4内の環境に対応する電流値を読み込んで、コンピュータ18Bから制御信号として電源18Aに出力することによって、シールドルーム4内の環境に対応する電流値の電流を電源18Aからキャンセルコイル16に供給することができる。これにより、シールドルーム4内の寝台4を入換えた場合やストレッチャ12を利用する場合のように、より詳細な磁場環境が変化した場合であっても、静磁場の均一性に与える設置物の影響をキャンセルコイル16によって形成される磁場によって打ち消すことができる。
【0048】
磁場調整具15をシールドルーム4内に設置すれば、上述のようなNMR信号の収集領域Rにおける静磁場の均一性の向上という効果に加え、シールドルーム4からの漏洩磁場の低減効果を得ることもできる。従って、磁場調整具15を静磁場用磁石7の外部の所望の位置に所望の数だけ配置することもできる。
【0049】
例えば、キャンセルコイル16を含む磁場調整具15を静磁場用磁石7の寝台4と反対側に設置すれば、静磁場用磁石7の寝台4と反対側に面するシールドルーム4からの漏洩磁場を低減することができる。従って、ガントリ3の寝台4と反対側にキャンセルコイル16を設置すれば、鉄片14よりも良好にシールドルーム4内における磁場環境に適応してシールドルーム4からの漏洩磁場を防止することができる。このため、鉄片14の設置を省略することもできる。
【0050】
逆に、キャンセルコイル16をガントリ3の寝台4側における被検体Oの近傍に配置すれば、被検体Oに金属が装着されている場合に、キャンセルコイル16内の異常な電流変化を検出することによって金属を探知できるという効果も得られる。これにより、被検体Oに装着された金属が静磁場用磁石7に吸引される吸引事故を予防することもできる。
【0051】
キャンセルコイル16は、シールドルーム4内であれば所望の対象物に固定又は据え置くことができる。図1、図2及び図3は、設置部材17によりキャンセルコイル16をシールドルーム4の床面に据え置いた例を示している。但し、設置部材17によりキャンセルコイル16を寝台4やガントリ3等の対象物に固定するようにしてもよい。また、キャンセルコイル16をガントリ3の内部に設けることもできる。
【0052】
図4は、図1に示すガントリ3の内部にキャンセルコイル16を含む磁場調整具15を設けた例を示す図である。
【0053】
例えば図4に示すように、ガントリ3内におけるNMR信号の収集領域R外の両側にそれぞれ磁場調整具15のキャンセルコイル16を内蔵することができる。すなわち、設置部材17によってキャンセルコイル16をガントリ3の内部に固定することができる。
【0054】
この場合、キャンセルコイル16を静磁場用磁石7の内側又は外側に配置すれば、ガントリ3の軸方向の長さを短くすることができる。図4は、WBコイル9の内側にキャンセルコイル16を配置した例を示している。但し、ガントリ3内における構成要素間の間隙やガントリ3内における静磁場用磁石7の両端の外側にキャンセルコイル16を配置してもよい。
【0055】
図4に示すようにキャンセルコイル16をガントリ3に内蔵すれば、シールドルーム4内のスペースを有効に利用することができる。また、キャンセルコイル16を静磁場用磁石7に近接させることができる。更に、キャンセルコイル16の制御装置18もガントリ3内に内蔵またはガントリ3外に設けることができる。尚、図4に示すように静磁場用磁石7の寝台4と反対側にもキャンセルコイル16を設ければ、シールドルーム4の壁面に設置される鉄片14を省略することができる。
【0056】
このように構成された磁気共鳴イメージング装置1及び磁場調整具15によれば、シールドルーム4の壁面に静磁場用磁石7を従来よりも近づけて設置しても、静磁場用磁石7の両側に設置された鉄片14及び磁場調整具15によってシールドルーム4から外部への漏洩磁場の防止及び静磁場の均一性の向上を両立させることができる。換言すれば、従来に比べて狭いシールドルーム4であっても磁気共鳴イメージング装置1を設置することが可能となる。
【0057】
この結果、常電導磁石又は永久磁石を備えた低磁場タイプの磁気共鳴イメージング装置用に設計されたシールドルームに、1.5[T]以上の高磁場を形成する超電導磁石を備えた磁気共鳴イメージング装置1を導入することが可能となる。
【0058】
例えば、図1に示すようにガントリ3に最も近いシールドルーム4の壁面に漏洩磁場防止用の鉄片14を設けた場合であっても、静磁場の均一性を良好に保つことができる。
【0059】
図5は、図1に示す鉄片14を設けたシールドルーム4内に磁場調整具15を設置した場合と設置しない場合においてそれぞれ静磁場用磁石7によって形成される形成される静磁場のシミュレーション結果を比較した図である。
【0060】
図5(A), (B)において各横軸は撮像領域のX軸を、各縦軸は撮像領域のZ軸を、曲線は0.5×0.5[m]のXZ面上における等磁ラインを、それぞれ示す。また、図5(A)は、磁場調整具15を設置しない場合においてXZ面上に形成される静磁場分布のシミュレーション結果を示し、図5(B)は、磁場調整具15を設置した場合においてXZ面上に形成される静磁場分布のシミュレーション結果を示す。
【0061】
図1に示すようにシールドルーム4の壁面に鉄片14を設けると、1.5[T]の静磁場用磁石7によって形成される静磁場は鉄片14の影響を受けて図5(A)に示すような分布となる。この場合、静磁場のZ軸方向における勾配は、概ね線形となることが経験的に知られている。すなわち、Z軸方向における静磁場の歪は、Z1項と呼ばれる1次の線形成分が支配的である。従って、Z軸方向における等磁ラインの間隔は概ね均等となっている。
【0062】
これに対して、静磁場の中心から1200mmの位置、すなわちZ=-1200mmの位置に半径R=500mmでNI=6[kA]のキャンセルコイル16を設置すると、図5(B)に示すような静磁場分布が得られる。図5(B)によれば、等磁ラインの間隔が図5(A)に示す等磁ラインの間隔よりも著しく大きくなっていることが確認できる。すなわち、等磁ラインの密度が著しく減少している。これは、磁場調整具15の設置により静磁場の均一性が改善されたことを示している。特にZ軸方向には、均一な静磁場が形成されていることが確認できる。
【0063】
このため、磁場調整具15を設置した磁気共鳴イメージング装置1によれば、均一性の高い静磁場下におけるMRイメージングによって、良好な画質のMR画像を収集することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
【0065】
図6は本発明の第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具の縦断面図であり、図7は図6に示す磁場調整具の左側面図である。
【0066】
図6及び図7に示す第2の実施形態における磁気共鳴イメージング装置1及び磁場調整具15Aは、磁場調整具15Aの構成のみが第1の実施形態における磁気共鳴イメージング装置1及び磁場調整具15と異なる。このため、磁場調整具15Aの構成のみ説明し、他の構成要素については同符号を付して説明を省略する。
【0067】
第2の実施形態における磁場調整具15Aは、静磁場の均一性を向上させる所望の形状の強磁性体を所望の位置に設置部材17Aにより固定して構成される。強磁性体としては、鉄、コバルト及び鉄コバルト合金が代表的であるが、入手が容易で安価な鉄を強磁性体として用いることが実用的である。そこで、以下、強磁性体が鉄である場合を例に説明する。
【0068】
図6及び図7に示す磁場調整具15Aは、強磁性体の一例としての鉄柱20及び設置部材17Aで構成することができる。鉄柱20は、少なくとも静磁場用磁石7の内側に形成されるNMR信号の収集領域Rよりも寝台6側に設置部材17Aにより設置される。図6及び図7に示す例では、寝台6の送り方向に垂直な水平方向を長手方向とする2本の鉄柱20が、寝台6の上下におけるシールドルーム4の壁面間にボルトや金具等の設置部材17Aを介して固定されている。
【0069】
この結果、シールドルーム4と鉄柱20によって、静磁場用磁石7により生成される磁束線を導く磁気回路が形成される。すなわち、静磁場用磁石7により生成される寝台6側の磁束線は、鉄柱20に向かって引き寄せられる。そして、引き寄せられた磁束線は、鉄柱20の内部を経由してシールドルーム4の壁面内に導かれる。更に、磁束線は、シールドルーム4の壁面内を経由して静磁場用磁石7の寝台6と反対側に到達する。
【0070】
このため、適切な形状の鉄柱20を設置部材17Aにより適切な位置に配置することによってNMR信号の収集領域Rにおける静磁場の均一性を向上させることができる。すなわち、鉄柱20の設置による理想的な磁気回路の形成によって、鉄片14等のNMR信号の収集領域Rにおける静磁場への影響をキャンセルすることができる。
【0071】
尚、鉄柱20と静磁場用磁石7との間における距離を小さくする程、鉄柱20のサイズを小さくすることができる。従って、鉄柱20を静磁場用磁石7に近接させれば、鉄柱20の太さを細くすることによってシールドルーム4内の作業スペースを確保することができる。但し、図6に示すようにガントリ3近傍の寝台4付近に作業スペースが得られるように、鉄柱20をガントリ3から引き離して寝台4の端部よりやや中央よりの位置に設置部材17により固定してもよい。
【0072】
逆に、NMR信号の収集領域Rにおける静磁場の均一性を向上できれば、設置部材17Aにより鉄柱20をガントリ3の内部に固定してもよい。
【0073】
また、鉄柱20は、シールドルーム4の天井と床との間に固定してもよい。更に、鉄柱20に限らず鉄リング等の任意の形状の鉄部材を設置部材17Aによりシールドルーム4内に固定することができる。
【0074】
図8は図6に示す磁場調整具15Aとしてシールドルーム4に鉄リブを固定した例を示す図であり、図9は図8に示す磁場調整具15Aの左側面図である。
【0075】
図8及び図9に示すように、シールドルーム4の任意の部位、例えば、天井と床に設置部材17Aにより鉄リブ21を取り付けて設置部材17Aを構成することもできる。鉄リブ21の高さ、厚さ及び幅等のサイズは、鉄リブ21と静磁場用磁石7との間における距離が小さい程、小さくすることができる。このため、鉄リブ21を静磁場用磁石7に近い位置に設ければ、シールドルーム4内における空間を有効に利用することができる。
【0076】
図8及び図9に示すように、シールドルーム4の壁面に略垂直な鉄リブ21を設けると、鉄リブ21とシールドルーム4とによって、静磁場用磁石7により生成される磁束線Mを導く磁気回路が形成される。すなわち、静磁場用磁石7により生成される寝台6側の磁束線Mは、静磁場用磁石7内に形成されるNMR信号の収集領域Rよりも寝台6側において、鉄リブ21に向かって引き寄せられる。そして、引き寄せられた磁束線Mは、鉄リブ21の内部を経由してシールドルーム4の壁面内に導かれる。更に、磁束線Mは、シールドルーム4の壁面内を経由して静磁場用磁石7の寝台6と反対側に到達する。
【0077】
尚、鉄リブ21とシールドルーム4との間に間隙が存在しても、間隙が十分に狭ければ鉄リブ21をシールドルーム4に接触させた場合と同様な磁気回路を形成することができる。
【0078】
このため、適切な形状の鉄リブ21を設置部材17Aによりシールドルーム4の適切な位置に固定することによってNMR信号の収集領域Rにおける静磁場の均一性を向上させることができる。すなわち、鉄リブ21の設置による理想的な磁気回路の形成によって、鉄片14等のNMR信号の収集領域Rにおける静磁場への影響をキャンセルすることができる。
【0079】
つまり第2の実施形態における磁場調整具15Aは、第1の実施形態における磁場調整具15が備えるキャンセルコイル16の代わりに鉄等の強磁性体を用いて構成したものである。このため、第2の実施形態によれば、低コストで簡易に磁場調整具15Aをシールドルーム4内に設置することができる。また、磁場調整具15Aをシールドルーム4内に強固に固定することができる。磁場調整具15Aは、特に、変化が少なく常時発生する静磁場への影響を低減する場合において有効である。
【0080】
(第3の実施形態)
図10は本発明の第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具の縦断面図である。
【0081】
図10に示す第3の実施形態における磁気共鳴イメージング装置1では、磁場調整具15、15Aの構成のみが第1及び第2の実施形態における磁気共鳴イメージング装置1と異なる。このため、磁場調整具15、15Aの構成のみ説明し、他の構成要素については同符号を付して説明を省略する。
【0082】
第3の実施形態における磁気共鳴イメージング装置1では、第1の磁場調整具15として図4に示すような静磁場の均一性を向上させるためのキャンセルコイル16が静磁場用磁石7内に形成されるNMR信号の収集領域Rよりも寝台6と逆側に設置される。図10に示す例では、キャンセルコイル16が設置部材17によって静磁場用磁石7を内蔵するガントリ5の内部に固定された例を示している。また、キャンセルコイル16に供給される電流は、制御装置18によって制御することができる。
【0083】
更に、磁気共鳴イメージング装置1には、第2の磁場調整具15Bとして寝台6に任意形状の強磁性体30が設置される。尚、図10には、寝台6の固定天板10の下方に板状の強磁性体30を寝台6とは別の部品として設けた例を示しているが、寝台6の構成要素を強磁性体30で構成してもよい。また、強磁性体30を寝台6に直接設けずに少なくとも寝台6側に設けるようにしてもよい。すなわち、強磁性体30を寝台6又は寝台6側に寝台6の一部又は寝台6とは別の部品として設けることができる。
【0084】
また、強磁性体30は、上述のように静磁場用磁石7に接近させて配置することが好適である。従って、この要求を満たすために、上下方向に移動する天板とともに移動する位置に強磁性体30を設けることが望ましい場合がある。そのような場合には、強磁性体30を寝台6の天板とともに高さが変化するように設け、天板の高さがNMR信号の収集領域Rに送り込まれる高さとなった場合に強磁性体30により静磁場の均一性が向上されるように構成することが重要である。
【0085】
加えて、寝台6を、強磁性体30が静磁場用磁石7に引きつけられる磁力よりも大きいトルクで天板を移動させることができるように構成することが重要である。
【0086】
以上のような第3の実施形態における磁気共鳴イメージング装置1によれば、図4に示す磁気共鳴イメージング装置1と同等な効果を得ることができる。すなわち、寝台6と反対側に設けられたキャンセルコイル16によって、シールドルーム4からの漏洩磁場を防止することができる。この結果、シールドルーム4の壁面に設置される鉄片14を省略することができる。
【0087】
一方、静磁場用磁石7により生成される寝台6側の磁束線が寝台6側に設けられた強磁性体30に向かって引き寄せられる。そして、磁気回路の形成によってNMR信号の収集領域Rにおけるキャンセルコイル16の静磁場への影響をキャンセルすることができる。この結果、NMR信号の収集領域Rにおける磁場均一性を向上させることができる。
【0088】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0089】
例えば、第3の実施形態のように、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態を互いに組み合わせることができる。すなわち、磁気共鳴イメージング装置1の静磁場用磁石7が設置されるシールドルーム4内に、磁場調整具15、15Aとしてキャンセルコイル16及び鉄等の強磁性体の双方を設けることができる。
【0090】
すなわち、静磁場用磁石7が設置されるシールドルーム4内における環境の影響を受けて静磁場用磁石7により形成される静磁場の均一性を向上させる磁場調整具15、15A、15Bを、設置部材17、17A等によって磁気共鳴イメージング装置1の静磁場用磁石7の外部の様々な位置に設けることができる。そして、静磁場用磁石7によって静磁場を形成し、寝台6により静磁場用磁石7内に形成されるNMR信号の収集領域Rに送り込まれた被検体OからNMR信号を収集することによりMRイメージングを行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1 磁気共鳴イメージング装置
2 データ収集系
3 制御系
4 シールドルーム
5 ガントリ(架台)
6 寝台
7 静磁場用磁石
8 傾斜磁場コイル
9 全身用(WB: whole body)コイル
10 固定天板
11 寝台駆動装置
12 ストレッチャ
12A アーム
13 可動天板
14 鉄片
15、15A、15B 磁場調整具
16 キャンセルコイル
16A コネクタ
16B コイルパーツ
16C 蝶番
17、17A 設置部材
18 制御装置
18A 電源
18B コンピュータ
20 鉄柱
21 鉄リブ
30 強磁性体
O 被検体
R NMR信号収集領域
M 磁束線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置の磁石の外部に設けられ、前記磁石が設置されるシールドルーム内における環境の影響を受けて前記磁石により形成される静磁場の均一性を向上させる磁場調整手段と、
前記磁場調整手段を、前記磁石の外部に設置するための設置手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項2】
前記設置手段は、前記磁場調整手段を、前記磁石内に形成される磁気共鳴信号の収集領域よりも寝台側に設置するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項3】
前記設置手段は、前記磁場調整手段を、前記磁石内に形成される磁気共鳴信号の収集領域よりも寝台と逆側に設置するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項4】
前記磁場調整手段として前記静磁場の均一性を向上させるコイルを用いるようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項5】
前記磁場調整手段として前記静磁場の均一性を向上させる強磁性体を用いるようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項6】
前記設置手段は、前記強磁性体を寝台に設置するように構成される請求項5記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項7】
前記設置手段は、前記コイルを前記磁石内に形成される磁気共鳴信号の収集領域よりも寝台と逆側に設置するように構成される請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項8】
前記磁場調整手段は、
前記静磁場の均一性を向上させるコイルと、
前記静磁場に影響を与える前記シールドルーム内の設置物に応じて前記コイルに供給すべき電流値を記憶する記憶手段と、
前記コイルに前記記憶手段から読み込んだ電流値の電流を供給する電流供給手段と、
を有する請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項9】
前記磁場調整手段は、前記静磁場の均一性を向上させ、かつコネクタを介して分割可能なコイルを有し、
前記設置手段は、寝台の天板が前記コイルの内側となるように前記コイルを設置するように構成される請求項1又は8記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項10】
前記磁場調整手段は、前記静磁場の均一性を向上させるコイルを有し、
前記設置手段は、前記磁石を内蔵するガントリの内部に前記コイルを固定するように構成される請求項1又は8記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項11】
前記磁場調整手段は、前記磁石により形成される磁束線を、前記磁石内に形成される磁気共鳴信号の収集領域よりも寝台側において、その内部を経由して前記シールドルームに導くことにより、前記シールドルームとともに磁気回路を形成する強磁性体を有する請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置用の磁場調整具。
【請求項12】
磁石によって静磁場を形成し、寝台により前記磁石内に形成される磁気共鳴信号の収集領域に送り込まれた被検体から磁気共鳴信号を収集することにより磁気共鳴イメージングを行うイメージング手段と、
前記磁石の外部に設けられ、前記磁石が設置されるシールドルーム内における環境の影響を受けて前記磁石により形成される静磁場の均一性を向上させる磁場調整手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記磁場調整手段として前記寝台の構成要素を強磁性体で構成した請求項12記載の磁気共鳴イメージング装置
【請求項14】
前記磁場調整手段として前記寝台に強磁性体を設けた請求項12記載の磁気共鳴イメージング装置
【請求項15】
前記磁場調整手段として前記静磁場の均一性を向上させるコイルを前記磁気共鳴信号の収集領域よりも寝台と逆側に設置する一方、強磁性体を前記寝台又は前記寝台側に前記寝台の一部又は前記寝台とは別の部品として設けた請求項12記載の磁気共鳴イメージング装置
【請求項16】
前記磁場調整手段として強磁性体を前記寝台の天板とともに高さが変化するように設け、前記天板の高さが前記磁気共鳴信号の収集領域に送り込まれる高さとなった場合に前記強磁性体により前記静磁場の均一性が向上されるように構成される請求項12記載の磁気共鳴イメージング装置
【請求項17】
前記磁場調整手段として強磁性体を前記寝台又は前記寝台側に前記寝台の一部又は前記寝台とは別の部品として設け、
前記寝台は、前記強磁性体が前記磁石に引きつけられる磁力よりも大きいトルクで天板を移動させることができるように構成される請求項12記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250028(P2012−250028A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106348(P2012−106348)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】