説明

磁気共鳴イメージング装置及び高周波受信コイル

【課題】術具を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することができ、治療時間の短縮化が可能な磁気共鳴イメージング装置を実現する。
【解決手段】MRI用受信コイル502と、術具ガイド穴504が形成された術具ガイド部505と、その位置及び姿勢を検出するためのポインタ27と、術者が保持するための保持部501とを有し、術者により容易に移動が可能な術具誘導器具36を備えているので、術具601を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することができる。被検体の特定領域412を予め設定し、パーソナルコンピュータ19に登録し、撮像位置特定モードをオンに設定すると、術具誘導器具36から所定の距離範囲内に設定した特定領域412が存在する場合には、自動的にその特定領域412を含む断面を表示するように構成したので、特定領域の位置を術者は容易に判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、術具位置情報に基づいて被検体の断面画像を撮像し表示する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓イメージングや、手術時の穿刺モニタリング、経皮的治療などに磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)が使用される。これは、I−MRI装置(Interventional−MRI装置、または、Intraoperative−MRI装置)と呼ばれ、リアルタイムで撮像する断層面を任意に設定したいという要望がある。撮像する断層面を任意に選択する手法としては、グラフィカルユーザインタフェースにMRI画像を表示して、画面上のボタンをクリックして、次に撮像する断層面を決定する方法や、3次元マウスなどを使う方法などが提案されている。
【0003】
これらの方法では、撮像する断層面の位置や向きをマウスなどの入力手段で調整、設定しなければならず煩雑なので、MRI装置としては、より簡便に撮像する断層面の位置や向きを調整、設定できることが望ましい。その手法として、断層面指示デバイス(ポインタなど)を用いて撮像する断層面を決定するMRI装置が提案されている。
【0004】
また、MRI装置等を用いた、被検体の手術に際し、手術パスを自動探索可能な技術が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の技術は、従来の手法によって得られた手術パスを候補パスとして利用し、それを動的輪郭モデルに適用する技術である。
【0005】
また、インターベンショナル撮像を効果的に行なうためのRFコイルが特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載の技術は、被検体を取り巻くコイルであって、このコイルの被検体に対する相対的な傾きを変更可能とし、施術を行い易くする技術である。
【0006】
また、特許文献3には、RFコイルと穿刺針支持具を個々に位置決めする煩雑さを解消するため、穿刺針支持具を備えたRFコイルが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−30624号公報
【特許文献2】特開2000−354589号公報
【特許文献3】特開2001−104279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された技術にあっては、手術パスを自動的に探索したり、RFコイルの傾きを変更可能ではあるが、術具を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することは困難であった。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術にあっては、RFコイルと穿刺針支持具を個々に位置決めする煩雑さを解消することは可能であるが、被検体の特定領域を撮像するためには、RFコイルをその位置に移動し固定する必要があるが、その作業が煩雑であるとともに、一度固定すると、他の位置への移動が困難である。このため、特許文献3に記載の技術にあっても、術具を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することは困難であった。
【0010】
本発明の目的は、術具を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することができ、治療時間の短縮化が可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0012】
磁気共鳴イメージング装置において、高周波受信手段、術具ガイド部及び術者保持部を有する術具誘導手段と、上記術具誘導手段の位置及び姿勢を検出する位置検出手段とを備え、制御手段により、位置検出手段により検出された術具誘導手段の位置及び姿勢に基づいた被検体の断面が設定され、術具誘導手段の高周波受信手段により受信された磁気共鳴信号に基づいて、被検体の断面画像が上記画像表示手段に表示される。
【発明の効果】
【0013】
術具を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することができ、治療時間の短縮化が可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態の動作フローチャートであり、図2は、本発明が適用されたMRI装置の概略構成図である。
【0016】
まず、図2を参照してMRI装置について説明する。MRI装置1は、例えば、垂直磁場方式0.3T永久磁石MRI装置であり、垂直な静磁場を発生させる上部磁石3と下部磁石5、これら磁石を連結するとともに上部磁石3を支持する支柱7、位置検出デバイス9、アーム11、モニタ13、モニタ支持部15、基準ツール17、パーソナルコンピュータ19、ベッド21、制御部23を備えている。
【0017】
MRI装置1の図示しない傾斜磁場発生部は、傾斜磁場発生部をパルス的に発生させ、最大傾磁場強度15mT/mで、スルーレート20mT/m/msである。更に、MRI装置1は、静磁場中の被検体24に核磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器、被検体24からの核磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備え、これらは12.8MHzの共振型コイルである。
【0018】
位置検出デバイス9は、2台の赤外線カメラ25と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードを含んで構成され、断層面指示デバイスであるポインタ27の位置及び姿勢を検出する。また、位置検出デバイス9は、アーム11により移動可能に上部磁石3に連結され、図2に示すように、MRI装置1に対する配置を適宜変更することができる。
【0019】
モニタ13は、図2に示すように、操作者29は術具誘導器具36の保持部501を保持し、ポインタ27により指示された被検体24の断層面の画像を表示するもので、モニタ支持部15により、赤外線カメラ25と同様に、上部磁石3に連結されている。基準ツール17は、赤外線カメラ25の座標系とMRI装置1の座標系をリンクさせるもので、3つの反射球35を備え、上部磁石3の側面に設けられている。
【0020】
パーソナルコンピュータ19には、赤外線カメラ25が検出し算出したポインタ27の位置が、位置データとして、例えば、RS232Cケーブル33を介して送信される。制御部23は、ワークステーションで構成され、図示しないRF送信器、RF受信器などを制御する。また、制御部23は、パーソナルコンピュータ19と接続されている。
【0021】
パーソナルコンピュータ19では赤外線カメラ25が検出し算出したポインタ27の位置をMRI装置1で利用可能な位置データに変換し制御部23へ送信する。位置データは、撮像シーケンスの撮像断面へ反映される。新たな撮像断面で取得された画像は液晶モニタ13に表示される。また、画像は映像記録装置34に同時記録される。
【0022】
ここで、術具誘導器具36は術具ガイド穴が形成された術具ガイド部505を備えており、断層面特定デバイスであるポインタ27を術具誘導器具36に取り付けることで、術具誘導位置を常に把握することができ、術具誘導器具36に相対する規定断面を連続撮像することが可能となる。更に、MRI用受信コイル502を術具誘導器具36に内蔵することにより周辺部位を高感度で撮像できる他、受信コイル502の自動チューニング機能を備えることで、常に良好な画像を提供し最適な治療環境を提供することが可能となる。
【0023】
また、モニタ13に写し出される穿刺ガイド機能を用いて術具をターゲットまで正確に誘導する機能も有している。
【0024】
次に、図1を参照して、本発明の一実施形態の動作について説明する。図1において、術前作業として、被検体をMRIガントリー内に搬入後、MRIによる3D撮像を行い(ステップ101)、単数又は複数の特定領域抽出(撮像したい領域算出)及び術前シミュレーションを行う(ステップ102)。そして、各手術機器及びIVR−ISC装置(IVR−術具追従撮像機能)を起動する(ステップ103)。
【0025】
準備が整い次第、手術開始となり(ステップ104)、術者は関心領域付近に移動式小型受信コイル内蔵術具誘導器具36を患部付近に移動し(ステップ105)、赤外線カメラ25等の位置検出装置を用いて術具誘導器具位置36を追随・特定し、コイルから一番近い特定領域を内部計算する(ステップ106)。必要に応じて特定領域が磁場中心にくるようベッド移動及び術具誘導器具36の受信コイルの自動チューニングを行い(ステップ107)、特定領域を含む指定断面を連続撮像する(ステップ108)。そして、受信コイル502が一定距離移動する毎に受信コイル502の自動チューニングを行ない、移動先で連続撮像を行なう。
【0026】
ここで、特定領域を含む断面を自動的に抽出して撮像していることから、受信コイルの向きに関係なく、術具誘導器具36の都合に左右されない一定した画像を提供できることとなる(ステップ109)。また、必要に応じてフットスイッチ又は手元スイッチを設けて、各種撮像条件を変更することも可能である(ステップ110)。例えば、予め定められた画像位置の変更等である。
【0027】
受信コイル502の位置・向きに変更が生じたか否かが判断され(ステップ111)、変更が生じた場合には、自動的に受信コイル502のチューニングを行い(ステップ112)、ステップ108に戻る。受信コイル502の位置・向きに変更が生じていない場合は、関心領域に変更があるか否かが判断される(ステップ113)。そして、ステップ113において、関心領域に変更がある場合はステップ105に戻る。
【0028】
ステップ113において、関心領域に変更が無い場合は、ステップ114において、穿刺位置が決定されたか否かが判断され(ステップ114)、穿刺位置に変更がある場合にはステップ105に戻り、術具誘導器具を移動し特定領域の内部計算からやり直すこととなる。ステップ114において、穿刺位置が決定した場合には、つまり、穿刺位置・方向が決まったら穿刺ガイド機能(ステップ115)を併用して術者をアシストすることで、常に良好な画像と最適な治療環境を提供することが可能となる。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態におけるGUI表示例を示す図である。図3において、画面401の左側にはナビゲーションソフト402を示す。また、画面401の右側には術具・機器、手術情報の他にIVR−ISCリアルタイム画像が表示され、特定領域の3次元画像と手術情報が連動してリアルタイム表示できる機能を有している(表示部403)。
【0030】
使用方法として、最初に3D撮像を行うための3D撮像ボタン(3D Scan)404を押下することで、3軸断面画像405、406、407とVolume Rendering画像408が表示される。更に、特定領域抽出を行うための機能ボタン(Extract)411を用いて特定領域412の抽出を行う。実際の手術時には、ISCボタン(ISC:On/Off)420によりISC機能を併用することでリアルタイム画像421が表示され、ナビゲーションボタン(ナビゲーション:On/Off)422によりナビゲーションを併用することで術具位置425が表示されると共に各映像・画像及び患者情報を含む手術情報が独立して、表示部424に表示され、記録される。
【0031】
術前に抽出した特定領域(血管、腫瘍等)412や術具425のみを独立して表示する画面部423もあり、術者は必要な画面を用いて手術を行うことができる。更に手術中に使用する機能として、手術支援を行うためのオプション機能がある(表示部430)。ISC撮像断面は、Axial(Axial)432、Sagital(Sag.)433、Coronal(Cor.)434の3軸断面を自由に切り換えることができ、オフセット撮像も可能である(オフセットボタン(オフセット:mm)435)。
【0032】
また、必要に応じて撮像位置特定モードを併用することにより、事前に登録した特定領域を集中的に撮像する(撮像位置特定モードボタン(撮像位置特定モード:On/Off)431)。ターゲットまでのアプローチ位置及び方法が決定したら、穿刺ガイドモードボタン(穿刺ガイドモード)436を用いて術具をターゲットまで正確に誘導する機能も有している。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態における術具誘導器具・移動式小型コイル36の概略構成図である。図4において、断層面特定デバイスであるポインタ27が術具誘導器具36に取り付けられており、ポインタ27に対する規定断面を定義づけておくことで、術具誘導器具36の位置に対するISC撮像が可能となる。
【0034】
また、術具誘導器具36の内側にはMRI用受信コイル502が内蔵されており、被検体の患部に密着させた状態で高感度画像情報を術者に提供することができる。その他、術具誘導器具36の中心部には穿刺又は術具を誘導するための穴504が形成された術具ガイド部505が固定具503によって固定されている。術者は保持部501を持ち必要に応じて移動式コイルを併用した術具誘導器具36を移動して、ターゲットとなる部位を診断し、3軸断面及びVolume Rendering画像を用いて穿刺又は術具挿入位置を決定する。
【0035】
術者は術具ガイド穴504から術具を挿入し、術具ガイド機能を用いて術具位置を把握しながら、ターゲットまで術具を誘導することができる。なお、術具誘導器具の寸法例としては、MRI用受信コイル502の径が約10cm、保持部501の長さが約10cmである。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態である術具誘導器具36における穿刺ガイド(術具誘導機能)の説明図である。図5において、上記同様ポインタ27に対する規定断面を定義づけた後、術具601を誘導するための穴504に術具601を挿入する。ここで、術具穴504が形成された術具ガイド部505には術具601の進入距離を計測するセンサが内蔵されており、術具601の先端602が穴504に進入した距離603を常に把握することができる。
【0037】
計測した進入距離は術中ガイド機能内の3軸断面及びVolume Rendering画像上に表示され、視覚的にも術具601がどの位置にあるか分かるように構成されている。その他、ISCによるリアルタイム断面撮像も同時に行なっており、必要に応じて術具位置を確認することができる。このように複数の機能を併用して術具位置を把握することで、手術の精度を高めることが可能となる。
【0038】
図6、図7は、移動式小型受信コイル内蔵術具誘導器具36におけるISC撮像断面構成図を示す図である。術前作業として、術具誘導器具36に取り付けられたポインタ27及び術具誘導器具36に対する規定断面を定義づける。最初に通常撮像断面701を定義する。この通常撮像断面701は、この通常撮像断面701の中心と受信コイル502の中心とが一致し、かつ、受信コイル面502に直交する面である。そして、通常撮像断面701の定義づけに続いて、第一直交断面702、第二直交断面702を定義する。
【0039】
第一直交断面702は、この第一直交断面702の中心と受信コイル502面の中心とが一致し、かつ、受信コイル502面を含む面である。また、第二直交断面703は、この第二直交断面703の中心と受信コイル502面の中心とが一致し、かつ、受信コイル面502面及び通常撮像断面に直交する面である。
【0040】
そして、通常撮像断面701、第一直交断面702及び第二直交断面702のそれぞれに対するオフセット方向801、802、803を設定することで、術前準備が完了となる。
【0041】
オフセット方向は、この受信コイル502面に直交し、かつ、受信コイル502面の中心を通る線に沿った方向であり、このオフセット方向に、通常撮像断面701、第一直交断面702及び第二直交断面702の中心をずらす距離であるオフセット値を設定する。
【0042】
図8は、臨床時における術具誘導器具36の使用方法を説明する図である。つまり、図8は、MRI装置内の被検体24に対して、術者が術具誘導器具36を被検体24の側部に沿って平行移動させた時の様子であり、撮像位置特定モードをオフとした場合を示している。術具誘導器具36を被検体24の初期断面911から平行移動させることで、ボリューム画像905に示す術具誘導器具36の位置に対応する初期断面911〜914がそれぞれ得られる。
【0043】
ここで、図9に示すように、撮像位置特定モードをオンとした場合に得られる画像を併用することで、事前に登録した特定領域412を集中的に撮像する機能を使い分けることができる。図9は、図8と同様に、MRI装置内の被検体24に対して術者が術具誘導器具36を側部から平行移動させた時の様子を示す。通常であれば(撮像位置特定モードがオフ)、術具誘導器具36の位置に合わせた相対断面1011、1012、1013、1014が撮像される。撮像位置特定モードをオンとすることで、術具誘導器具36の一定範囲内(1031〜1034)に特定領域が存在するか否かを各々検索し、特定領域が含まれている領域1021〜1024を含む断面となるように、自動的に撮像断面を補正する(撮像断面1011、1025、1013、1014)。
【0044】
図9に示した例では、術具誘導器具36の位置に対応する断面は1012であるが、特定領域を含む領域は1022であるので、これを含む断面1025を、断面1012に代えて表示する。
【0045】
図10にISC(術具追従撮像)時の画像表示例(撮像位置特定モードはオフ)を示す。図10において、MRI装置内の被検体24に対して術者1101が術具誘導器具36を被検体24の同一断面周囲1106で移動した時の様子を示す(移動位置1111〜1114)。そして、移動位置1111〜1114に対応する断面画像(1121〜1124)がそれぞれ表示される。1105はリアルタイム画像である。
【0046】
ここで、得られる画像は術具誘導器具36に相対して断面が決定されるため、術具誘導器具36の向きによっては、画像が回転する。例えば、術具誘導器具36が位置1114にあるときは、画像が180度近く回転することもあり、術者にとっては見難く治療に支障をきたす場合もある。
【0047】
そこで、図11に示すように撮像位置特定モードをオンとすることで画像反転をなくし、撮像断面方向を固定することができる。つまり、術具誘導器具36の姿勢に関係なく、一定の座標系に基づいて、被検体24の断面画像を表示手段13に表示させる。
【0048】
図11は、MRI装置内の被検体24に対して術者1201が術具誘導器具36を同一断面の周囲1206で移動した時の様子を示したものである(移動位置1211〜1214)。術具誘導器具36から一定範囲内(1241〜1244)に特定領域が存在するか否かを検索し、特定領域が含まれている領域(1231〜1234)を含む断面を自動的に補正して撮像・画像データ(1221〜1224)として出力することができる。
【0049】
ここで、撮像位置特定モードをオンとすることにより、特定領域(1231〜1234)を含む断面を常に撮像するだけでなく、規定断面を固定して撮像・画像出力することができる。よって、術具誘導器具36の方向に影響のない常に規定回転面の画像を術者に提供することが可能となる。
【0050】
図12は、付属機能である穿刺ガイドモードの説明図である。ここでは撮像位置特定モードをオンとしており、MRI装置内の被検体24に対して術者1301が術具誘導器具36及び穿刺ガイド機能を用いて術具601をターゲットまで正確に誘導する様子を示している。
【0051】
術者1301が示した術具誘導器具36の位置から最短の特定領域を自動的に計算し、その特定領域を含む断面を連続撮像する(画像回転無し)。また、術者用ディスプレイ画面402には三軸断面405、406、407及びVolume Rendering408上に術具誘導器具36及び術具ガイド穴504の姿勢方向1321が表示され、距離指標となる目盛も表示されることから術具601をターゲットまで、正確に誘導することが可能となる。
【0052】
図13は、穿刺ガイドモード時におけるGUI表示例を示す図である。画面401の左側にはナビゲーションソフト402を示す。また、画面401の右側には術具・機器、手術情報の他にIVR・ISCリアルタイム画像403が表示され、特定領域の3次元画像と手術情報が連動してリアルタイム表示できる機能を有している。ナビゲーション画面402には三軸断面405、406、407及びVolume Rendering408上に術具誘導器具36及び術具ガイド穴504の姿勢方向1401が表示され、距離指標となる目盛も表示されている。
【0053】
更に、術具穴504を通った術具進入距離が自動的に計測されることで、GUI上に進入軌跡1402が連動して表示される。また、ISC420によるリアルタイム画像421が表示され、術具進入距離1404や術具方向1403が表示される。
【0054】
また、術前に抽出した特定領域(血管、腫瘍等)1408や術具1406のみを独立して表示する画面423もあり、術者はターゲットと術具方向のみの情報を用いて手術を行うこともできる。
【0055】
その他、各映像・画像及び患者情報を含む手術情報424が独立して表示・記録されており、必要に応じて警告を発して術者に環境の変化を知らせる機能を有している。
【0056】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、MRI用受信コイル502と、術具ガイド穴504が形成された術具ガイド部505と、その位置及び姿勢を検出するためのポインタ27と、術者が保持するための保持部501とを有し、術者により容易に移動が可能な術具誘導器具36を備えているので、術具601を被検体の特定領域に正確に、かつ容易に誘導することができる。
【0057】
また、被検体の特定領域412を予め設定し、パーソナルコンピュータ19に登録し、撮像位置特定モードをオンに設定すると、術具誘導器具36から所定の距離範囲内に設定した特定領域412が存在する場合には、自動的にその特定領域412を含む断面を表示するように構成したので、特定領域の位置を術者は容易に判断することができる。
【0058】
また、術具誘導器具36の術具ガイド穴504から被検体24内に挿入された術具601の挿入角度、挿入距離を画面表示するように構成したので、効果的な術者の施術支援を行なうことができる。
【0059】
つまり、術具誘導器具36及び撮像位置特定モードを併用することにより、事前に登録した特定領域412を集中的に撮像しながら、ターゲットまでのアプローチ位置及び方法を見出し、穿刺ガイドモードを用いて術具601をターゲットまで正確に誘導することができる。
【0060】
これにより、治療時間短縮と治療精度の向上との両立を可能とし、術者・被検体に対する負担を軽減することができるという効果がある。
【0061】
なお、本発明は術者自信(手技)による治療、ロボット/マニピュレータを用いた間接的な手術の何れにも適用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態の動作フローチャートである。
【図2】本発明が適用されるMRI装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるGUI表示例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における術具誘導器具の概略構成図である。
【図5】本発明の一実施形態における術具誘導器具の穿刺ガイド機能説明図である。
【図6】本発明の一実施形態における術具誘導器具のISC撮像断面図を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施形態における術具誘導器具のISC撮像断面図を示す模式図である。
【図8】本発明の一実施形態における術具誘導器具の平行移動時ISC画像構成(撮像位置特定モードオフ)を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態における術具誘導器具の平行移動時ISC画像構成(撮像位置特定モードオン)を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態における術具誘導器具の同一面内撮像ISC画像構成(撮像位置特定モードオフ)を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態における術具誘導器具の同一面内撮像ISC画像構成(撮像位置特定モードオン)を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態における穿刺ガイド機能ISC画像構成(撮像位置特定モードオン)を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態における穿刺ガイドモード時のGUI表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1・・・MRI装置、3・・・上部磁石、5・・・下部磁石、7・・・支柱、9・・・位置検出デバイス、11・・・アーム、13・・・モニタ、15・・・モニタ支持部、17・・・基準ツール、19・・・パーソナルコンピュータ、21・・・ベッド、23・・・制御部、24・・・被検体、25・・・赤外線カメラ、27・・・ポインタ、29・・・操作者、34・・・映像記録装置、35・・・反射球、36・・・術具誘導器具、501・・・保持部、502・・・MRI用受信コイル、504・・・術具ガイド穴、505・・・術具ガイド部、601・・・術具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送信手段と、高周波受信手段と、被検体の画像を表示する画像表示手段と、上記静磁場発生手段、傾斜磁場発生手段、高周波送受信手段及び画像表示手段を制御する制御手段とを有する磁気共鳴イメージング装置において、
高周波受信手段、術具ガイド部及び術者保持部を有する術具誘導手段と、
上記術具誘導手段の位置及び姿勢を検出する位置検出手段と、
を備え、上記制御手段は、上記位置検出手段により検出された上記術具誘導手段の位置及び姿勢に基づいた被検体の断面を設定し、上記術具誘導手段の高周波受信手段により受信された磁気共鳴信号に基づいて、被検体の断面画像を上記画像表示手段に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記制御手段は、被検体の特定領域が予め設定されている場合は、上記特定領域が上記術具誘導手段から所定の距離範囲内にあるか否かを判断し、上記特定領域が上記術具誘導手段から所定の距離範囲内にあれば、その特定領域を含む断面画像を撮像させ、上記表示手段に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記制御手段は、被検体の特定領域が予め設定されている場合は、一定の座標系に基づいて、上記被検体の断面画像を上記表示手段に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記術具誘導手段の術具ガイド部には、術具が挿入されるガイド穴が形成され、このガイド穴に術具が挿入された距離を計測する計測手段を有し、上記制御手段は、上記計測手段が計測した術具の挿入距離と、上記術具が被検体内に挿入された方向とを上記表示手段に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記制御手段は、上記術具誘導手段の連続移動に従って、複数の予め定められた位置の断面を連続的に撮像させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項5記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記予め定められた位置を変更するスイッチ手段を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記制御手段は、上記術具誘導手段が一定距離移動する毎に、上記術具誘導手段の高周波受信手段のチューニングを行なうことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
磁気共鳴イメージング装置に用いられる高周波受信コイルにおいて、
術具ガイド部と、術者保持部と、姿勢を示すポインタとを備えることを特徴とする高周波受信コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−125233(P2009−125233A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302163(P2007−302163)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【Fターム(参考)】