磁石留置具
【課題】磁石を用いてろう孔を形成する場合に、磁石同士の落下位置を制御することが可能な、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具を提供する。
【解決手段】他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具は、先端部に針管を有する穿刺針と、前記針管に着脱可能に設けられた磁石と、前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記針管から排出するスタイレットとを有する。
【解決手段】他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具は、先端部に針管を有する穿刺針と、前記針管に着脱可能に設けられた磁石と、前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記針管から排出するスタイレットとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波内視鏡、ろう孔に配設するバルーン付きカテーテル、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具、および、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、”Method and apparatus for creating abdominal visceral anastomoses”について開示されている。
非特許文献1には、1対の磁石により例えば口側腸管と肛門側腸管とを吻合する腸管−腸管系磁石圧迫吻合術が開示されている。腸管の壁面を挟むように1対の磁石を留置して吸着させると、磁石間に挟まれた2層の腸管壁は徐々に虚血壊死に陥る。このとき、接し合った腸管壁同士は癒着して孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,690,656号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山内栄五郎ら(Journal of Nippon Medical School 磁石圧迫吻合術による腸管・胆道閉塞の治療-山内法の開発と臨床評価- 2002; 69(5), P471-475)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や非特許文献1では、磁石の磁力を利用してろう孔を形成するのに磁石を数日間留置する必要がある。このため、ろう孔を形成するための磁石により影響を受ける可能性がある機材などを用いる予定がある場合など、患者の状態によっては、磁石を用いてろう孔を形成することが出来ない場合があり得る。
また、磁石を用いることができる場合であっても、ろう孔が形成された場合、磁石の落下位置を制御する必要がある。
また、従来の超音波内視鏡では、超音波観察画像と光学観察画像との視点が揃えられておらず、これら画像を見比べたときに、観察対象部材の確認が難しいことがある。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、超音波観察画像と光学観察画像とを見比べたときに、観察対象部材の確認を容易に行うことが可能な超音波内視鏡を提供することを第1の目的とする。
また、磁石を用いなくても、容易にろう孔を形成することが可能なバルーン付きカテーテルを提供することを第2の目的とする。
また、磁石を用いてろう孔を形成する場合に、磁石同士の落下位置を制御することが可能な、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具、および、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するため、超音波内視鏡は、先端部と基端部とを有する細長い挿入部と、前記挿入部の基端部に設けられた操作部とを備えている。そして、前記挿入部は、前記先端部に、超音波振動子と、鉗子口開口部と、対物レンズとを一直線上に有する先端硬質部を備えている。
また、上記第2の目的を達成するため、ろう孔に配設するバルーン付きカテーテルは、先端部と基端部とを有する筒状部材と、前記筒状部材の先端部の外周面に設けられた第1のバルーンと、前記筒状部材の外周面に、前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンと、前記第1のバルーンに連結され、前記第1のバルーンに流体を出し入れするための第1の流体管路と、前記第2のバルーンに連結され、前記第2のバルーンに流体を出し入れするための第2の流体管路とを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具は、先端部に針管を有する穿刺針と、前記針管に着脱可能に設けられた磁石と、前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記針管から排出するスタイレットとを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具は、先端部に針管を有する穿刺針と、前記針管に設けられた側孔と、前記側孔から出し入れ可能に設けられた磁石と、前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記側孔から排出するスタイレットとを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットは、直線状の紐状部材と、前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、前記紐状部材に設けられ、前記磁石が前記紐状部材から脱落することを防止するストッパとを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットは、輪状の紐状部材と、前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、前記紐状部材を重ねた状態でスライドし、前記磁石が配設された側の紐状部材のループ形状を拡大/縮小可能なストッパとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、音波観察画像と光学観察画像とを見比べたときに、観察対象部材の確認を容易に行うことが可能な超音波内視鏡を提供することができる。
また、磁石を用いなくても、容易にろう孔を形成することが可能なバルーン付きカテーテルを提供することができる。
また、磁石を用いてろう孔を形成する場合に、磁石同士の落下位置を制御することが可能な、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具、および、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1ないし第11の実施の形態に係る内視鏡システムが用いられる種々の器官(管路)を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略図である。
【図3】第1の実施の形態に係る内視鏡システムの超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略的な斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるオーバーチューブの先端部を示す概略的な部分断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるオーバーチューブの内チューブからコイルを分離した状態を示す概略的な斜視図である。
【図6】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具を示す概略図である。
【図7】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具の針構造および電気メス構造の紐状部材および芯部を示す概略的な斜視図である。
【図8】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具の電気メス構造の紐状部材、バーおよび芯部を示す概略的な斜視図である。
【図9】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具の針構造に電気メス構造をセットした状態を示す概略的な断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸(第1の管腔)から総胆管(第2の管腔)にTバー留置具の針構造の針管を用いて穿孔を形成した後、バーを総胆管の内部に排出した状態を示す概略図である。
【図11】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管に配置したTバー留置具のバーで総胆管の内壁を押圧して総胆管を十二指腸に近づける様子を示す概略図である。
【図12】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管を十二指腸に近づけた後、オーバーチューブのコイルを十二指腸および総胆管に貫通させた状態を示す概略図である。
【図13】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてオーバーチューブのコイルを十二指腸および総胆管に貫通させた後、オーバーチューブの内チューブからコイルを離脱させた状態を示す概略図である。
【図14】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてTバー留置具のバーに通電してコイルの内側にろう孔を形成した状態を示す概略図である。
【図15】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてろう孔を形成した後、バスケット鉗子をろう孔から総胆管内に導入してバスケット部で結石を確保した状態を示す概略図である。
【図16】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてろう孔を形成した後、不要となったろう孔をクリップを用いて閉じようとする状態を示す概略図である。
【図17】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてろう孔を形成した後、不要となったろう孔をクリップを用いて閉じた状態を示す概略図である。
【図18】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて胃と小腸の空腸との間を吻合した状態を示す概略図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略図である。
【図20】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部の先端部を示す概略図である。
【図21】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部の先端部にバルーンを配置して、そのバルーンを膨張させた状態を示す概略的な断面図である。
【図22】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針を示す概略図である。
【図23】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の操作部の基端部にスタイレットとシリンジを着脱可能であることを示す概略図である。
【図24】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸の内壁に超音波振動子を当接させて総胆管の位置を確認した後、十二指腸と総胆管との間に超音波観察用穿刺針の針管を配置した状態を示す概略図である。
【図25】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸と総胆管との間に超音波観察用穿刺針の針管を配置した後、針管の先端から接着剤を排出した状態を示す概略図である。
【図26】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて超音波観察用穿刺針の針管の先端から接着剤を排出した後、内視鏡の挿入部の湾曲部を湾曲させて、十二指腸を総胆管側に押圧により移動させて接着させる状態を示す概略図である。
【図27】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸と総胆管とを接着した後、その接着した部分にろう孔を形成した状態を示す概略図である。
【図28】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて超音波観察用穿刺針の針管の先端から接着剤を排出した後、内視鏡の挿入部の先端部に配設したバルーンの膨張を利用して十二指腸を総胆管側に押圧により移動させて接着させる状態を示す概略図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波内視鏡の挿入部の先端部から超音波処置用の超音波を発振して、十二指腸と総胆管とを癒着させる状態を示す概略図である。
【図30】第3の実施の形態に係る内視鏡システムにおける内視鏡の鉗子チャンネルの先端開口部から超音波処置用のエネルギー処置具を突出させて、そのエネルギー処置具で十二指腸と総胆管とを癒着させる状態を示す概略図である。
【図31】本発明の第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具、および、このバルーン留置具の先端部に装着したバルーン付きカテーテルを示す概略的な縦断面図である。
【図32】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具の先端部からバルーン付きカテーテルの係合を外した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図33A】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具にバルーン付きカテーテルを装着した状態を図31中の矢印33方向から観察した状態を示す概略図である。
【図33B】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具にバルーン付きカテーテルを装着した状態を図31中の矢印33方向から観察した状態を示す概略図である。
【図34】第4実施の形態に係る内視鏡システムによってろう孔を維持するバルーン付きカテーテルのうち、バルーンを収縮させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図35】第4実施の形態に係る内視鏡システムによってろう孔を維持するバルーン付きカテーテルのうち、バルーンを膨張させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図36】第4実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸から総胆管にバルーン留置具の針部材を用いて穿孔を形成した後、バルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図37】第4実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した後、その先端側のバルーンを膨張させた状態を示す概略図である。
【図38】第4実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部で膨張させた後、バルーン留置具を手元側に引き寄せて基端側のバルーンを十二指腸の内部に配置して膨張させ、十二指腸と総胆管との壁面を狭持した状態を示す概略図である。
【図39】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルの両バルーンを用いて十二指腸と総胆管との壁面を狭持した後、バルーン付きカテーテルをバルーン留置具から取り外すために針部材を内シースの先端から抜いた状態を示す概略図である。
【図40】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルの両バルーンを用いて十二指腸と総胆管との壁面を狭持して両壁面が癒着してろう孔が安定した状態になるまで留置した状態を示す概略図である。
【図41】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを用いてろう孔を形成した後、バルーン付きカテーテルを除去した状態を示す概略図である。
【図42A】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルのバルーンに流体を供給、または、バルーンから排出する管路が十二指腸内に留まる状態を示し、図34および図35に示すバルーン付きカテーテルを変形した、概略的な縦断面図である。
【図42B】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルのバルーンに流体を供給、または、バルーンから排出する管路が十二指腸内に留まる状態を示し、図34および図35に示すバルーン付きカテーテルを変形した、概略的な斜視図である。
【図43】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図42Aおよび図42Bに示すバルーン付きカテーテルの管路の基端部に逆止弁を設けた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図44】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図43に示すバルーン付きカテーテルの管路の基端部に細管を挿入した状態を示す概略的な部分縦断面図である。
【図45A】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図44に示す細管でバルーン付きカテーテルのバルーンを膨張させた後、バルーンを収縮させるために管路の一部に切り込みを入れた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図45B】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図44に示す細管でバルーン付きカテーテルのバルーンを膨張させた後、バルーンを収縮させるために管路を切断した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図46】本発明の第5実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具、および、このバルーン留置具の先端部に装着したバルーン付きカテーテルを示す概略的な縦断面図である。
【図47A】第5実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを示し、特に、先端側のバルーンと基端側のバルーンとを離隔させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図47B】第5実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを示し、特に、先端側のバルーンと基端側のバルーンとをラチェット機構によって近接させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図48】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸から総胆管にバルーン留置具の針部材を用いて穿孔を形成した後、バルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図49】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した後、その先端側のバルーンを膨張させた状態を示す概略図である。
【図50】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部で膨張させた後、バルーン留置具を手元側に引き寄せて基端側のバルーンを十二指腸の内部に配置して膨張させた状態を示す概略図である。
【図51】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの両バルーンを膨張させた後、基端側のバルーンを先端側のバルーンに近接するように移動させて、十二指腸と総胆管との壁面を狭持した状態を示す概略図である。
【図52】第6実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを示す概略的な縦断面図である。
【図53】第6実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルの先端側および基端側のバルーンで十二指腸と総胆管との壁面を狭持するとともに、これらの間に配設された小型のバルーンでろう孔の孔径を大きくさせた状態で維持させることを示す概略的な縦断面図である。
【図54A】本発明の第7の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の先端部の針管に磁石を配置した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図54B】第7の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の先端部を示す概略的な斜視図である。
【図55】第7の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の先端部の針管の側孔から磁石を排出させる状態を示す概略的な縦断面図である。
【図56】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸から総胆管に超音波観察用穿刺針の針管を用いて穿孔を形成した後、針管の側孔から磁石を総胆管の内部に排出した状態を示す概略図である。
【図57】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて磁石(第1の磁石)を総胆管の内部に配置した後、十二指腸に内視鏡的に、総胆管の内部に配置した磁石よりも大きい磁石(第2の磁石)を配置する状態を示す概略図である。
【図58】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置した第1の磁石と、十二指腸の内部に配置した第2の磁石とが引力を及ぼし合って、総胆管および十二指腸の壁面を介して磁着した状態を示す概略図である。
【図59】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管および十二指腸の壁面を介して磁着した第1および第2の磁石によって圧迫された部分の組織が虚血により壊死してろう孔が形成された状態を示す概略図である。
【図60】本発明の第8の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略図である。
【図61】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図62A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を用いて留置される磁石セットを示し、特に、磁石セット留置具に配置されるときの状態を示す概略図である。
【図62B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を用いて留置される磁石セットを示し、特に、磁石セットが所望の管腔内に配置されるときの状態を示す概略図である。
【図63A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略的な斜視図である。
【図63B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略的な斜視図である。
【図64A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略図である。
【図64B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる各磁石の端面に膨らみを持たせることによって、紐状部材によって磁石同士の連結を維持した状態で磁石同士を適当な方向に曲げることが可能な状態を示す概略図である。
【図65】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石同士が磁着したときに円環状となるように、内周側の弦や円弧(円周)が外周側の弦や円弧(円周)に比べて短く形成された状態を示す概略図である。
【図66A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの内側に磁石セットを配置した状態を示す概略的な部分断面図である。
【図66B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの先端から磁石セットの紐状部材の先端およびストッパが外に出された状態を示す概略的な部分断面図である。
【図66C】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具により、磁石セットのストッパが相対的に前方に移動して、紐状部材の先端側のループを縮めた状態を示す概略的な部分断面図である。
【図66D】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具から磁石セットが離れた状態を示す概略的な部分断面図である。
【図67】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて磁石セット留置具のシースの先端を十二指腸から総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図68】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を用いて磁石セット(第1の磁石)を総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図69】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置した第1の磁石と、十二指腸の内部に配置した第2の磁石とが引力を及ぼし合って、総胆管および十二指腸の壁面を介して磁着した状態を示す概略図である。
【図70】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置した第1の磁石が円環状であり、十二指腸の内部に配置した第2の磁石が円環状である場合、これらの同心軸の位置に穿孔を形成することによって、ろう孔を形成する状態を示す概略図である。
【図71】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される磁石セットの一例を示す概略図である。
【図72A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される磁石セットの一例を示す概略図である。
【図72B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される、図72Aに示す磁石セットの磁石を磁着させて略円環状とした状態を示す概略図である。
【図72C】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される、図72Aに示す磁石セットの磁石を磁着させて略円環状とした状態を示す概略図である。
【図73A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略図である。
【図73B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる非磁性体を示す概略図である。
【図73C】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる、図73Aに示す磁石をC字状に並べ、図73Bに示す非磁性体を磁石の間に配置した状態を示す概略図である。
【図73D】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる図73Cに示す磁石セットの磁力の状態を示す概略図である。
【図74A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を2つ繋げた状態を示す概略図である。
【図74B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる図74Aに示す磁石セットの磁力の状態を示す概略図である。
【図75】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの先端を十二指腸の乳頭から総胆管の内部に配置して磁石セットを総胆管の内部に配置しようとする状態を示す概略図である。
【図76】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットを経皮経肝胆管ドレナージに用いられるチューブを通して総胆管の内部に配置しようとする状態を示す概略図である。
【図77A】本発明の第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図77B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースを図77A中の矢印77B方向から観察した状態を示す概略図である。
【図78】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図79】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略的な縦断面図である。
【図80A】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる先端ストッパを示す概略的な縦断面図である。
【図80B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる先端ストッパと、強い力が加えられると先端ストッパに係合する楔状部材とが係合した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図81A】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる基端ストッパを示す概略的な縦断面図である。
【図81B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる基端ストッパと、強い力が加えられると基端ストッパに係合する楔状部材とが係合した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図82】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられるスペーサを示す概略的な縦断面図である。
【図83A】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態でシースの先端を総胆管の内部に配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図83B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設したシースの先端に対して、磁石セットの先端ストッパを突出させて総胆管の内部に配置した後、第2のルーメン内の紐状部材を手元側に引いた状態を示す概略的な断面図である。
【図83C】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットの基端ストッパと先端ストッパとの間の距離が縮められ、スペーサが磁石の貫通穴のテーパ状の縁部に入り込もうとする状態を示す概略図である。
【図83D】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットの磁石の貫通穴にスペーサが入り込むことによって隣接する磁石同士が磁着した状態を示す概略図である。
【図83E】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットの隣接する磁石同士が磁着し、S極およびN極を有する大きな磁石と等価となる状態を示す概略図である。
【図83F】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットを、プッシャをシースの先端側に押し込んで、シースの先端から外側に出す状態を示す概略図である。
【図83G】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットから、プッシャおよびシースを離して磁石セットを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図84】本発明の第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図85A】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で磁石セット留置具のシースの先端を総胆管の内部に配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図85B】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをプッシャで押圧すると、磁石がシースの先端から突出するとともに、磁石間に配置された生体適合性を有するスペーサが総胆管の内部に脱落する状態を示す概略的な断面図である。
【図85C】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをさらにプッシャで押圧すると、磁石がシースの先端から突出するとともに、磁石間に配置された生体適合性を有するスペーサが総胆管の内部に脱落する状態を示す概略的な断面図である。
【図85D】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをさらにプッシャで押圧して磁石セット留置具のシースの先端に対して基端ストッパまで突出させた状態を示す概略的な断面図である。
【図85E】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの先端に対して磁石セットの基端ストッパまで突出させた後、磁石セットを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図86】本発明の第11の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図87A】第11の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態でシースの先端を総胆管の内部に配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図87B】第11の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをさらにプッシャで押圧して磁石セット留置具のシースの先端に対して基端ストッパまで突出させるとともに、スペーサを回収する状態を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
第1の実施の形態について図1ないし図18を用いて説明する。
図1には、胃S、十二指腸D、小腸の空腸(以後、主として単に空腸という)J、胆嚢G、総胆管Cなどを概略的に示す。そして、十二指腸(第1の管腔)Dと総胆管(第2の管腔)Cとの間、胃(第1の管腔)Sと空腸(第2の管腔)Jとの間など、種々の器官(管腔)同士を吻合させてろう孔を形成するろう孔形成術が行われることがある。ここでは、例えば総胆管C内の胆汁を十二指腸D内に流すために、十二指腸Dと総胆管Cとの間にろう孔を形成する場合について主に説明する。
【0011】
図2に示す内視鏡システム10は、超音波内視鏡12と、オーバーチューブ14と、Tバー留置具16とを備えている。Tバー留置具16は超音波内視鏡12とともに内視鏡的に用いられる。
【0012】
超音波内視鏡12は、細長い挿入部22と、この挿入部22の基端部に設けられた操作部24と、操作部24から延出されたユニバーサルコード26とを備えている。挿入部22は、先端硬性部32と、湾曲部34と、可撓管部36とを備えている。湾曲部34は、操作部24の湾曲操作ノブ24aを回動させることにより所望の方向に湾曲可能である。可撓管部36は、生体の管腔の形状にしたがって曲げられる。挿入部22から操作部24にかけては鉗子チャンネル38(図3参照)が挿通されている。この鉗子チャンネル38の基端部は、操作部24に設けられている。鉗子チャンネル38の基端側の開口部(鉗子口)には、鉗子栓38bが配設されている。
【0013】
図3に示すように、先端硬性部32の先端面には、超音波観察用の電子コンベックス型超音波振動子42と、鉗子チャンネル38の先端開口部38aと、光学観察用の対物レンズ44とが配設されている。先端硬性部32の先端面には、図示しないが、光学観察用の光を出射する照明レンズも配設されている。
【0014】
このため、超音波内視鏡12は、被写体を超音波観察する超音波観察機能と、光学観察する光学観察機能とを備えている。被写体を超音波観察可能な距離は、超音波振動子42に与える周波数にもよるが、超音波振動子42が生体組織に接触する接触面から例えば20mmから70mm程度である。
【0015】
超音波振動子42と、鉗子チャンネル38の先端開口部38aと、対物レンズ44とは、挿入部22の軸方向と直交する方向に一直線上(一列)に配設されている。特に、鉗子チャンネル38の先端開口部38aは、先端硬性部32(挿入部22)の略中心軸上に配設され、かつ、超音波振動子42と、対物レンズ44とは、鉗子チャンネル38の先端開口部38aに対して対称の位置に配設されている。すなわち、対物レンズ44と超音波振動子42との間の中央部に先端開口部38aが配設されている。
【0016】
図4に示すように、オーバーチューブ14は、二重構造に形成されている。オーバーチューブ14は、外チューブ52と、内チューブ54と、コイル(コイル針)56とを備えている。コイル56は、絶縁性を有することが好ましく、さらに言えば生体吸収性材料で形成されていることが好ましい。また、コイル56は形状記憶材料で形成されていても良い。コイル56は内チューブ54の先端部に配設されている。内チューブ54の先端部の内周面には、螺旋状溝54aが形成されている。このため、このコイル56は、内チューブ54の先端部の内周面の螺旋状溝54aに摩擦により着脱可能に係合(螺合)されている。
【0017】
図5に示すように、このコイル56の基端は、コイル56が内チューブ54の螺旋状溝54aに係合されたときに内チューブ54に穿孔が形成されることを防止するため、丸められている。一方、内チューブ54の先端に対して突出するコイル56の先端は針状に形成されている。
【0018】
図4に示すように、外チューブ52は、内チューブ54に対して移動可能であり、内視鏡12の挿入部22の体腔内への挿入時には、内チューブ54の先端のコイル56を覆うことが可能である。
【0019】
図6に示すように、Tバー留置具16は、外シース(本体)62と、管状の針構造64と、電気メス構造66とを備えている。針構造64は外シース62の内腔を移動可能である。さらに、電気メス構造66は、針構造64の内腔を移動可能である。内視鏡12の鉗子チャンネル38を挿通させることが必要であるため、外シース62の外径は鉗子チャンネル38の口径よりもやや小さく、外シース62、針構造64および電気メス構造66は、鉗子チャンネル38の長さよりも長く形成されている。
【0020】
図6および図7に示すように、針構造64は、針管72と、軟性チューブ(内シース)74と、針スライダ76とを備えている。軟性チューブ74の先端には、針管72が固定され、軟性チューブ74の基端には、針スライダ76が固定されている。
【0021】
図6および図8に示すように、電気メス構造66は、ロッド状のバー(紐状部材84よりも大きな部材(膨出部材))82と、紐状部材84と、芯部86と、芯スライダ88とを備えている。紐状部材84の先端には、バー82が固定され、紐状部材84の基端には、芯部86の先端が固定されている。特に、紐状部材84の先端は、バー82の中央に固定されている。このため、紐状部材84が引っ張られると、バー82と紐状部材84との関係が略T字状となる。また、バー82の長さは、上述したコイル56の内径よりも小さく形成されている。これら芯部86、紐状部材84およびバー82は導電性を有する。さらに、芯部86の基端には、電極のコネクタである芯スライダ88が固定されている。このため、芯スライダ88、芯部86、紐状部材84およびバー82に高周波電流を流すことが可能である。
【0022】
そして、Tバー留置具16の使用前は、図9に示すように、バー82および紐状部材84は、針管72の内部に狭持された状態で固定されている。芯部86は、バー82のプッシャとして使用される。このため、芯スライダ88を前方に向かって移動させると、芯部86が移動して、バー82が針管72の先端から押し出される。
【0023】
また、針構造64の針管72の先端は、針スライダ76の操作によって、外シース62の先端に対して突出する状態と、外シース62の先端に対して引き込まれる状態との間を移動可能である。また、バー82が針管72の先端から押し出される前であれば、電気メス構造66は針構造64と一緒に移動する。
【0024】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
図2に示すように、超音波内視鏡12の挿入部22に二重構造のオーバーチューブ14を被せる。そして、オーバーチューブ14は、外チューブ52に対して内チューブ54を引き込んでおく。このとき、内チューブ54の先端部に係合されたコイル56の全体を外チューブ52の先端よりも基端側に引き込んでおく。この状態で、内視鏡12の挿入部22およびオーバーチューブ14の先端を経口的に十二指腸Dまで導入する。
【0025】
超音波内視鏡12の超音波振動子42を十二指腸Dの内壁に当てる。そして、超音波内視鏡12の超音波振動子42を振動させて得られる超音波画像で総胆管Cの位置を確認しておく。
【0026】
Tバー留置具16の針管72を外シース62の先端よりも基端側に引き込んでおく。そして、超音波内視鏡12の鉗子チャンネル38の鉗子栓38bから鉗子チャンネル38の先端開口部38aを通して、内視鏡12の挿入部22の先端からTバー留置具16の外シース62を突出させる。Tバー留置具16の針スライダ76を操作して、外シース62に対して針管72の先端を突出させる。
【0027】
そして、針管72で十二指腸Dの壁部を貫通させ、さらに、総胆管Cの壁面をも貫通させる。すなわち、針管72の先端は総胆管Cの内部にある。この状態で、芯スライダ88を前方側に移動させる。すると、図10に示すように、バー82が芯部86によって針管72の先端から押し出されて総胆管Cの内部に落下する。すなわち、バー82が総胆管Cの内部に配設される。この状態で、針スライダ76を移動させて針管72の先端を外シース62に対して引き込む。このため、針管72が総胆管Cおよび十二指腸Dの壁面から抜去される。
【0028】
この状態で、芯スライダ88を外シース62に対して手元側に引く。すると、芯部86の先端に固定された紐状部材84が手元側に引っ張られる。このため、紐状部材84の先端に固定されたバー82が手元側に引っ張られる。すると、図11に示すように、バー82で総胆管Cの内壁を十二指腸D側に押圧し、十二指腸Dの外壁に総胆管Cの外壁を密着させる。
【0029】
ここで、オーバーチューブ14の外チューブ52を内チューブ54に対して基端側に移動させる。すると、コイル56が外チューブ52に対して露出される。内チューブ54を内視鏡12の挿入部22の外周面を覆った状態で所定の方向(第1の方向)に回転させる。すると、図12に示すように、コイル56の針状の先端から十二指腸Dの壁面および総胆管Cの壁面を貫通する。コイル56の先端が総胆管Cの内部に到達したら、内チューブ54を上述した第1の方向とは逆の第2の方向に回転させる。すると、コイル56と内チューブ54の先端部の内周面の螺旋状溝54aとの間の係合が解除される。このため、図13に示すように、コイル56は、十二指腸Dと総胆管Cとの外壁同士を密着させた状態で留置される。
【0030】
そして、Tバー留置具16の芯スライダ(コネクタ)88に高周波電源(図示せず)を電気的に取り付ける。高周波電源から芯スライダ88、紐状部材84およびバー82に高周波電流を流す。このため、図14に示すように、バー82に接触した総胆管Cの壁面にまず孔が形成され、続いて総胆管Cの壁面に密着した十二指腸Dの壁面に孔が形成される。すなわち、総胆管Cと十二指腸Dとの間にろう孔Fが形成される。
【0031】
コイル56は生体吸収性材料で形成されていれば時間の経過とともに次第に生体に吸収されていき、最終的には存在しなくなる。例えばコイル56が存在しなくなる頃、ろう孔Fは総胆管Cと十二指腸Dとが癒着により形成される。言い換えると、十二指腸Dと総胆管Cとが吻合される。このため、総胆管Cの壁面と十二指腸Dの壁面とが離れて胆汁が腹腔内に漏れ出すことが防止され、総胆管C内の胆汁は、ろう孔Fを通して十二指腸D側に流れる。
【0032】
また、コイル56に絶縁性があれば、高周波電流の印加時にバー82とコイル56とが接触しても安全である。また、コイル56を形状記憶材料で形成した場合、形状記憶材料の特性により、そのコイル56を体温に暫くさらしたときに、コイル56の巻き状態が密になる方向に形状を変化させるようにする。このとき、形状記憶材料の特性により総胆管Cと十二指腸Dとをより強く密着させようとするので、胆汁が腹腔内に漏れ出す危険が減り、ろう孔の形成が促進される。
【0033】
次に、図15に示すように、胆道(胆のう、胆のう管、肝内胆管、肝門部胆管、総胆管の総称)Bから十二指腸Dにあけたろう孔(バイパス)Fを使って胆道B内の結石Coを十二指腸D側に取り出す手技について側視型内視鏡90およびバスケット鉗子92を用いて説明する。
【0034】
この場合、内視鏡90の鉗子チャンネル(図示せず)にバスケット鉗子92を挿通させる。そして、ろう孔Fから胆道B内にバスケット鉗子92のバスケット部94を挿入する。バスケット部94で結石Coを保持してろう孔Fから取り出す。そして、その結石Coを十二指腸Dに放出する。または、バスケット部94でその結石Coを保持したまま内視鏡12を通して回収する。
【0035】
このような結石Coを除去した後、ろう孔Fが不要である場合、図16および図17に示すように、内視鏡的にクリップ96を用いて十二指腸D側から、ろう孔Fを閉鎖することが可能である。ろう孔Fを閉鎖すると、腸液が胆道Bに流れ込むことによって生じる胆管炎などの合併症を防止することができる。そして、クリップ96は暫くすると、十二指腸D内に自然に脱落する。
【0036】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
オーバーチューブ14のコイル56を生体組織にねじ込む際には、コイル56を内チューブ54の螺旋状溝54aに対して装着した状態で内チューブ54をその軸周りに回転させることによって、簡単に行うことができる。また、生体組織にねじ込んだコイル56と内チューブ54とを離脱させる際には、内チューブ54を逆方向に回転させるだけで、簡単に行うことができる。このため、簡単な操作で十二指腸Dと総胆管Cとの壁面同士を一体化させることができる。
【0037】
超音波観察用の超音波振動子42と、鉗子チャンネル38の先端開口部38aと、光学観察用の対物レンズ44とが一直線上に配設され、かつ、超音波振動子42と対物レンズ44とが鉗子チャンネル38の先端開口部38aに対して略対称的な位置に配設されている。このため、超音波観察画像と光学観察画像との視点を揃えることができる。したがって、超音波観察画像と光学観察画像とを見比べたときにTバー留置具16のバー82や紐状部材84の確認を容易に行うことができる。
【0038】
また、先端開口部38aを内視鏡12の挿入部22の先端硬性部32の中心軸の位置に配置したので、オーバーチューブ14のコイル56の中心付近をTバー留置具16の針管72で穿孔することができる。さらに、Tバー留置具16のバー82でろう孔を形成するときに、コイル56の中心軸(コイル56の内部)を容易に通すことができる。
【0039】
十二指腸D側から内視鏡的にアプローチして十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを連通させるろう孔Fで両者を接続することができる。このため、何らかの理由で総胆管Cにつまり(狭窄)が生じたときなどに、簡単にろう孔Fを形成して、総胆管C内の胆汁を十二指腸Dに排出することができる。
【0040】
なお、この実施の形態では、十二指腸Dと総胆管Cとを吻合させることについて説明したが、図18に示すように、十二指腸Dに狭窄Stがありその狭窄Stによって食物を通過させ難い場合、第1の実施の形態で説明した作用と同様の作用により胃Sと空腸Jとを吻合させることも好適である。すると、食物を胃Sから小腸の空腸Jへ直接流れるようにすることができるので、患者のQOL(Quality Of Life)を向上させることができる。
【0041】
以下、第2ないし第11の実施の形態では、十二指腸Dと総胆管Cとの間を吻合させる場合について説明するが、胃Sと空腸Jとの吻合に用いることも可能である。
【0042】
次に、第2の実施の形態について図19ないし図28を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0043】
図19に示すように、内視鏡システム10は、電子コンベックス型超音波内視鏡12と、超音波観察用穿刺針116とを備えている。ここでは詳細については説明しないが、内視鏡12の挿入部22の体腔内への導入を補助するため、オーバーチューブ(図示せず)を用いることも好適である。
【0044】
図20に示すように、第1の実施の形態と同様に、内視鏡12は、挿入部22と、操作部24とを備えている。この実施の形態で用いる内視鏡12の挿入部22の先端硬性部32は、超音波振動子122を先端に備え、その超音波振動子122の基端側に先端開口部38a、対物レンズ44および照明レンズ(図示せず)が配設された斜面部124を備えている。このため、この内視鏡12は、光学観察光学系である対物レンズ44および照明レンズが挿入部22の軸方向から外れる側視型に設けられている。
【0045】
なお、図20および図21に示すように、内視鏡12の挿入部22の先端硬性部32には、バルーン取付溝126が超音波振動子122と、斜面部124との間に形成されている。図21に示すように、例えば、先端開口部38a、対物レンズ44、照明レンズが設けられた斜面部124側とは反対側に開口を有するバルーン管路132が形成されている。バルーン管路132に水(液体)を注入することによって、バルーン取付溝126に固定されたバルーン134が膨らむ。バルーン管路132に吸引力を加えることによって、バルーン134を膨らませていた水を抜き取ってバルーン134を収縮させることができる。
【0046】
図22に示すように、超音波観察用穿刺針116は、シース142と、操作部144と、例えばステンレス鋼材製の針管146とを備えている。シース142は、内視鏡12の鉗子チャンネル38に挿入される。操作部144は、このシース142の基端部に配置されている。針管146の先端は、操作部144によってシース142の先端に対して移動自在に挿通されている。針管146の内部にはスタイレット148が挿脱自在に配置されている。
【0047】
操作部144は、シース142の基端部に設けられた操作部本体152と、この操作部本体152に対して摺動自在に設けられる樹脂部材で形成したスライダ154と、操作部本体152に設けられスライダ154の可動範囲を制限するストッパ156とを備えている。
【0048】
スライダ154は、針管146に連結されている。このため、操作部本体152に対してスライダ154を移動させると、針管146がシース142に対して移動する。このスライダ154の基端部には、吸引口金154aが配置されている。図23に示すように、この吸引口金154aには、シリンジ158やスタイレット148が着脱可能である。図22では、スタイレット148がスライダ154の基端部の吸引口金154aに配設されている。このため、操作部本体152に対するスライダ154の移動によって、針管146およびスタイレット148が一緒になって移動する。
【0049】
この穿刺針116の針管146は超音波観察用であるため、超音波内視鏡12の鉗子チャンネル38に穿刺針116を挿入する。すると、目的部位が表示されている超音波観察画像上に針管146の超音波画像が描出される。この後、術者は、スライダ154を把持し、このスライダ154をストッパ156に向けて素早く移動させる。すると、スタイレット148および針管146の先端が目的部位に確実に穿刺される。
【0050】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
第1の実施の形態で説明したように、超音波内視鏡12の挿入部22の先端部を十二指腸Dまで導く。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0051】
図24に示すように、穿刺針116のシース142の先端を鉗子チャンネル38の先端開口部38aから突出させて総胆管Cに近接する十二指腸Dの壁部を貫通させる。そして、図22および図23に示すように、穿刺針116の操作部144のスライダ154の基端部の吸引口金154aからスタイレット148を取り外す。スタイレット148の代わりに接着剤入りのシリンジ158をスライダ154の基端部の吸引口金154aに装着する。そして、超音波画像で観察を行いながら、図25に示すように、針管146の先端から接着剤Ahを排出する。なお、接着剤Ahには、例えばシアノアクリレート系のものや、ゼラチンにレゾルシンを散布するなどの第1液散布後第2液を散布するものや、フィブリン糊(2液混合型)など医療用のものが用いられる。また、接着剤Ahは速乾性を有することが好適である。
【0052】
そして、鉗子チャンネル38から穿刺針116を引き抜いて、図26に示すように、超音波内視鏡12の挿入部22の湾曲部34を湾曲させる。そして、十二指腸Dの内壁を押して総胆管C側に移動させる。このため、十二指腸Dと総胆管Cとの外壁同士が接着される。十二指腸Dと総胆管Cとの接着を、超音波観察により確認する。湾曲部34を湾曲させた状態を例えば数分など、暫く保持して接着剤を硬化させる。
【0053】
接着剤を硬化させた後、光学観察により、あるいは、触感や超音波観察により、十二指腸Dの内壁側から接着された部分を確認しながらその接着された部分の縁部の内側を図示しない穿孔用鉗子などを用いて穿孔する。すると、図27に示すように、総胆管Cと十二指腸Dとが連通される。このとき、接着剤によって接着された部分の縁部を残してその内側を穿孔するので、十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とが密着した状態は保持される。そして、例えば数日などの経過後、接着剤によって接着された部分の縁部が癒着して、十二指腸Dと総胆管Cとの間にろう孔Fが形成される。
【0054】
なお、十二指腸Dの内壁を押して総胆管C側に移動させる場合、図28に示すように、バルーン134を用いることも好適である。この場合、バルーン管路132を通してバルーン134内に水などの液体を入れてバルーン134を膨らませて、バルーン134で十二指腸Dの壁面を押圧する。このため、十二指腸Dの壁面が総胆管C側に移動され、総胆管Cと十二指腸Dとの外壁同士が接着される。
【0055】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
接着剤を2つの管腔の間に排出して、その接着剤の硬化作用により2つの管腔をくっ付けた後に穿刺針で穿刺することによりろう孔を形成することができる。このように、十二指腸Dに総胆管Cが接着されるまで総胆管Cには穿刺孔を開けないため、十二指腸Dと総胆管Cとが離れた状態で両者を穿刺する場合に対して、総胆管Cから胆汁が腹腔内に漏れ出す危険が少ない。
【0056】
次に、第3の実施の形態について図29および図30を用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0057】
この実施の形態に係る内視鏡システム10は、超音波内視鏡12を備えている。超音波内視鏡12には、第2の実施の形態で説明した超音波観察用の超音波振動子122とは異なり、超音波による作用により処置を行う超音波処置用の強力な超音波振動を発生させる超音波振動子が設けられている。内視鏡12の操作部24には、超音波観察を行う際に超音波振動子122を振動させるボタン(スイッチ)のほか、強力な超音波振動を発生させる超音波振動子を駆動させる超音波処置用ボタン(図示せず)が設けられている。
【0058】
第2の実施の形態で説明したように、内視鏡12の挿入部22の湾曲部34を操作部24の湾曲操作ノブ24aを操作して湾曲させて、挿入部22の先端硬性部32で十二指腸Dの内壁を押して十二指腸Dを総胆管C側に移動させる。そして、十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とが密着した状態で、超音波観察用の超音波振動子122とは別の超音波処置用の強力な超音波振動を発振する。その強力な超音波振動を十二指腸Dの内壁から総胆管Cに伝達すると、超音波処置により両者の組織が加熱、変性されて組織同士が癒着する。
【0059】
そして、内視鏡12による光学観察により、十二指腸Dの内壁側から癒着された部分を確認しながらその癒着された部分の縁部の内側を図示しない穿孔用鉗子などを用いて穿孔する。すると、総胆管Cと十二指腸Dとが連通される。このとき、癒着された部分の縁部を残してその内側を穿孔するので、十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とが密着した状態が保持されてろう孔が形成される。
【0060】
なお、第2の実施の形態で説明したように、接着剤Ahで十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とを接着させた後、両者間の癒着を促進させるため、超音波内視鏡12から超音波処置可能な強力な超音波振動を発振することも好適である。すなわち、第2の実施の形態で説明した図26に示す作用を行った後、続けて図29に示す作用を行う。このとき、接着剤Ahで接着した部分だけでなく、その周囲も超音波処置により癒着させることによって、時間の経過を経ずに、より大きなろう孔を形成することができる。
【0061】
また、この実施の形態では、超音波内視鏡12自体から超音波処置用の強力な超音波振動を発振可能としたが、図30に示すように、鉗子チャンネル38を通してエネルギー処置具162で十二指腸Dと総胆管Cとを癒着させることも好適である。この場合、円形状などに何点か癒着させる作業を繰り返す。このため、癒着面積を増やすことができる。この状態で癒着した部分の縁部の内側を穿孔することによって、より大きなろう孔を形成することができる。
【0062】
なお、第2の実施の形態で説明したように、接着剤Ahで十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とを接着させた後、両者間の癒着を促進させるため、超音波内視鏡12の鉗子チャンネル38を通したエネルギー処置具162で強力な超音波振動を発振することも好適である。すなわち、第2の実施の形態で説明した図26に示す作用を行った後、図30に示す作用を行う。このとき、接着剤Ahで接着した部分だけでなく、その周囲も超音波処置により癒着させることによって、時間の経過を経ずに、より大きなろう孔を形成することができる。
【0063】
次に、第4の実施の形態について図31ないし図45Bを用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
内視鏡システム10は、超音波内視鏡12と、図31に示すバルーン留置具216とを備えている。第2の実施の形態で説明したように、内視鏡12の挿入部22の挿入を補助するため、オーバーチューブを用いることも好適である。
【0064】
図31に示すように、バルーン留置具216は、外シース(プッシャ)222と、内シース224と、導電性を有する針部材226と、バルーン付きカテーテル228と、操作部230とを備えている。操作部230は、外シース222に連結された外シース操作部232と、内シース224に連結された内シース操作部234と、針部材226に連結された非導電性の針部材操作部236とを備えている。外シース操作部232と内シース操作部234との間、および、内シース操作部234と針部材操作部236との間には、それぞれの間の操作を防止するためのストッパネジ238a,238bが配設されている。なお、針部材操作部236には、針部材226に高周波電流を流すために高周波電源を着脱可能なコネクタ236aが配設されている。
【0065】
内シース224の先端部の外周面であって、外シース222の先端側の位置には、バルーン付きカテーテル228が着脱可能に配設されている。図31および図32に示すように、内シース224の先端には、径方向外方に突出されたフランジ部240が形成されている。フランジ部240は、複数の爪部240aと、爪部240a間に形成されたスリット240bとを備えている。図32、図33Aおよび図33Bに示すように、これら爪部240aは径方向内方(内シース224の中心軸方向)に付勢されている。このため、内シース224の先端に針部材226が配設されているときにはバルーン付きカテーテル228が内シース224の先端側から外れることが防止される。一方、内シース224の先端から針部材226が抜かれると、爪部240aが径方向内方に閉じるので、内シース224に対して外シース222を前方に移動させると、バルーン付きカテーテル228が内シース224の先端から外れる。
【0066】
図34および図35に示すように、バルーン付きカテーテル228は、筒状部材242と、1対のバルーン244a,244bとを備えている。先端側のバルーン244aおよび基端側のバルーン244bはそれぞれ別々の管路246a,246bに接続され、別々に膨張/収縮される。これら管路246a,246bの基端には、それぞれコック248a,248bが着脱可能に接続されている。管路246a,246bの基端には、シリンジ250を着脱可能である。
【0067】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
第2の実施の形態で説明したように、超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
バルーン留置具216の針部材操作部236を内シース操作部234に対して基端側に移動させて、針部材226の先端の、内シース224の先端からの突出量を小さくする。
鉗子チャンネル38を通してバルーン留置具216を内視鏡12の挿入部22の先端から突出させる。そして、針部材操作部236を内シース操作部234に対して前方側に移動させて、バルーン留置具216の内シース224の先端から針部材226を突出させる。そして、この針部材226にコネクタ236aから高周波電流を通電する。すると、十二指腸Dおよび総胆管Cの壁面に穿孔が形成される。そして、図36に示すように、この穿孔に沿って、内シース224およびバルーン付きカテーテル228を総胆管Cまで導入する。このとき、特に、シリンジ250を管路246aの基端部に取り付けた後、コック248aを開いて先端側のバルーン244aに気体(空気)または液体(水や生理食塩水)を通して、図37に示すように、そのバルーン244aを膨張させる。そして、コック248aを閉じてシリンジ250を取り外す。
【0068】
そして、バルーン留置具216を全体的に手元側に引き込む。このため、総胆管Cが十二指腸D側に引き込まれる。そして、図38に示すように、基端側のバルーン244bを十二指腸Dの内部に配設した状態で基端側のバルーン244bを膨張させる。このとき、シリンジ250を管路246bの基端部に取り付けた後、コック248bを開いて基端側のバルーン244bに気体または液体を通して、そのバルーン244bを膨張させる。そして、コック248bを閉じてシリンジ250を取り外す。
【0069】
このため、それぞれ膨張した先端側のバルーン244aと基端側のバルーン244bとの間に総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部が狭持される。
【0070】
そして、図39に示すように、針部材226を内シース224から引き抜く。すると、爪部240aが径方向内方に萎む。このため、爪部240aが筒状部材242の先端に対して対向した位置から除去される。そして、外シース222に対して内シース224および針部材226を抜去する。すると、図40に示すように、バルーン付きカテーテル228が十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを貫通し、かつ、2つのバルーン244a,244bでこれら十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを狭持した状態となる。このため、胆汁は総胆管Cから筒状部材242を通して十二指腸D内に排出される。
【0071】
この状態で数日そのままにすると、2つのバルーン244a,244bにより狭持された総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部は癒着する。癒着状態が安定してろう孔が形成された状態で先に先端側のバルーン244aを収縮させる。このとき、シリンジ250を管路246aに取り付けた後、コック248aを開いて先端側のバルーン244aから気体または液体を抜いて、そのバルーン244aを収縮させる。
【0072】
そして、十二指腸D側に筒状部材242を引っ張る。すると、筒状部材242が十二指腸D側に取り出され、図41に示すように、ろう孔Fが残る。そして、基端側のバルーン244bも先端側のバルーン244aと同様に収縮させ、内視鏡12を用いてバルーン付きカテーテル228を回収する。
【0073】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
バルーン付きカテーテル228の先端側バルーン244aと基端側バルーン244bとによって十二指腸Dおよび総胆管Cの壁面を狭持することができる。このため、筒状部材242によってろう孔を確実に形成することができる。
【0074】
なお、この実施の形態では、上述したようにコック248a,248bを着脱可能に設けることとして説明したが、コック248a,248bの代わりに以下のような構成であることも好適である。
【0075】
図42Aおよび図42Bに示すように、バルーン付きカテーテル228は、第1の管路246aが筒状部材242の内腔を通して基端側に延出されている。図43に示すように先端側および基端側のバルーン244a,244bに連通した管路246a,246bの基端部にはそれぞれ逆止弁252a,252bが配設されている。管路246a,246bは、十二指腸Dと総胆管Cとの間にろう孔を形成するときに、その基端部が十二指腸Dの内部に常に配置されるような長さに形成されている。
【0076】
逆止弁252bを通してバルーン244bへの気体(空気)や液体(生理食塩水)などの注入を行う場合、図44に示すように、管路246bに細管254を配設して行う。バルーン244bが膨張した後、逆止弁252bにより空気や生理食塩水が抜けることが防止されているので、膨張した状態が維持される。
【0077】
癒着によりろう孔が形成された後、そのろう孔を残すためにバルーン244bを収縮させる場合、図45Aに示すように、逆止弁252bよりもバルーン244bに近接した位置の管路246bに穴をあける(切り込みを入れる)か、図45Bに示すように、逆止弁252bを含む管路246bを切り落とす。すると、バルーン244a,244bから気体や生理食塩水が漏れ出して収縮する。このとき、第2の管路246bよりも先に第1の管路246aに穴をあけたり、第1の管路246aを切り落とす。そして、先端側のバルーン244aを収縮させてバルーン付きカテーテル228を十二指腸D側に引き出す。その後、基端側のバルーン244bも同様に収縮させて内視鏡12を用いて回収する。
【0078】
このように、逆止弁252a,252bを有する管路246a,246bに接続されたバルーン付きカテーテル228の管路246a,246bの端部を体内に配設したまま、バルーン244a,244bを膨張/収縮させることができる。
【0079】
次に、第5の実施の形態について図46ないし図51を用いて説明する。この実施の形態は第4の実施の形態の変形例であって、第4の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0080】
図46に示すように、バルーン留置具216は、第4の実施の形態と同様に、外シース222と、内シース224と、針部材226と、バルーン付きカテーテル228と、操作部230とを備えている。内シース224の先端部には、先端側が細く薄肉で、その基端側が段差を介して太く厚肉に形成されている。バルーン付きカテーテル228は、内シース224の先端側の細く薄肉の部分の外周面であって、外シース222の先端側の位置に着脱可能に配設されている。
【0081】
図47Aおよび図47Bに示すように、バルーン付きカテーテル228は、第1の筒状部材262aと、第2の筒状部材262bと、第1および第2のバルーン244a,244bとを備えている。第1の筒状部材262aの先端部の外周面には、第1のバルーン244aが配設されている。第1の筒状部材262aの基端部の外周面には、第1のラチェット部264aが形成されている。
【0082】
第2の筒状部材262bの先端部の外周面には、第2のバルーン244bが配設されている。第2の筒状部材262bの先端部の内周面には、第1のラチェット部264aに係合可能な第2のラチェット部264bが形成されている。この第2の筒状部材262bの基端側には、外シース222が配設されている。この外シース222は内シース224に対して相対的に移動可能である。このため、第2の筒状部材262bの基端を先端側に押圧可能である。したがって、内シース224に対する外シース222の移動によって、第1のバルーン244aと第2のバルーン244bとの間の距離を伸縮可能である。そして、第1のラチェット部264aと第2のラチェット部264bとはラチェット係合されているので、軸方向の任意の位置で固定される。
【0083】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0084】
バルーン留置具216の針部材操作部236を内シース操作部234に対して基端側に移動させて、針部材226の先端の、内シース224の先端からの突出量を小さくする。
【0085】
鉗子チャンネル38を通してバルーン留置具216を内視鏡12の挿入部22の先端から突出させる。そして、バルーン留置具216の先端から針部材226を突出させるとともに、この針部材226に高周波電流を通電する。すると、十二指腸Dおよび総胆管Cの壁面に穿孔が形成される。そして、図48に示すように、この穿孔に沿って、内シース224およびバルーン付きカテーテル228を総胆管Cまで導入する。このとき、図49に示すように、特に、先端側の第1のバルーン244aを管路246aに気体または液体を通して膨張させる。
【0086】
そして、バルーン留置具216を全体的に手元側に引き込む。このため、総胆管Cが十二指腸D側に引き込まれる。そして、図50に示すように、基端側のバルーン244bを十二指腸Dの内部に配設した状態で基端側のバルーン244bを膨張させる。このため、先端側の第1のバルーン244aと基端側の第2のバルーン244bとの間に総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部が配設される。
【0087】
そして、内シース224に対して外シース222を前方に移動させる。すると、ラチェット係合しながら第2の筒状部材262bの第2のバルーン244bが第1の筒状部材262aの第1のバルーン244aに近づいていく。このため、図51に示すように、互いに膨張した第1および第2のバルーン244a,244bの近接によって、先端側の第1のバルーン244aと基端側の第2のバルーン244bとの間の総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部が狭持される。
【0088】
その後、針部材226を内シース224から引き抜く。すると、爪部240aが径方向内方に萎む。このため、爪部240aが第1の筒状部材262aの先端に対して対向した位置から除去される。そして、外シース222に対して内シース224を抜去する。すると、バルーン付きカテーテル228が十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを貫通し、かつ、2つのバルーン244a,244bでこれら十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを狭持した状態となる。このため、胆汁は総胆管Cから第1の筒状部材262aを通して十二指腸D内に排出される。
【0089】
この状態で数日そのままにすると、2つのバルーン244a,244bにより狭持された総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部は癒着する。癒着状態が安定してろう孔が形成された状態で先に先端側のバルーン244aを収縮させる。そして、十二指腸D側に第1および第2の筒状部材262a,262bを引っ張る。すると、第1および第2の筒状部材262a,262bが十二指腸D側に取り出され、ろう孔が残る。そして、基端側のバルーン244bも収縮させ、内視鏡12を用いてバルーン付きカテーテル228を回収する。
【0090】
その後の作用は第4の実施の形態で説明した作用と同様である。このため、作用の説明を省略する。
【0091】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
先端側のバルーン244aと基端側のバルーン244bとの間の距離を大きくとることができる。すなわち、それぞれ膨張させた先端側のバルーン244aと基端側のバルーン244bとの間に十二指腸Dおよび総胆管の壁面を配置する状態を容易に取ることができる。その後から基端側のバルーン244bを先端側のバルーン244aに近接させることによって、十二指腸Dおよび総胆管の壁面を確実に狭持することができる。したがって、十二指腸Dと総胆管Cとの間を確実に密着させて、より確実にろう孔を形成することができる。
【0092】
次に、第6の実施の形態について図52および図53を用いて説明する。この実施の形態は第4の実施の形態の変形例であって、第4の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0093】
図52に示すように、先端側の第1のバルーン244aと基端側の第2のバルーン244bとの間には、第3のバルーン244cが配設されている。図53に示すように、この第3のバルーン244cの最大外径は第1および第2のバルーン244a,244bの最大外径よりも小さく形成されている。
【0094】
ここで、上述したように、第1および第2のバルーン244a,244bは、総胆管Cの壁面と十二指腸Dの壁面とを狭持するために用いられる。このため、第1および第2のバルーン244a,244b間の第3のバルーン244cは、ろう孔を広げるために用いられる。そうすると、第3のバルーン244cを膨張させることによって、ろう孔の孔径を大きくすることができる。
【0095】
次に、第7の実施の形態について図54Aないし図59を用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0096】
内視鏡システム10は、電子コンベックス型超音波内視鏡12と、超音波観察用穿刺針116(図22参照)とを備えている。図54Aおよび図55に示すように、この穿刺針116の針管146には、その長手軸方向に沿って側孔312が形成されている。図54Aおよび図54Bに示すように、針管146には、この側孔312から紐状部材324付きの磁石(第1の磁石)322が着脱可能に配設されている。この磁石322は、先端部の外周面に支点部326が形成されている。この支点部326は、側孔312の先端に当接されて、その側孔312の先端を支点として回動可能である。一方、磁石322は、基端部であって、側孔312の基端の対向する側には、斜面部328が形成されている。この斜面部328は、挿脱可能なスタイレット148の先端を当接させることにより、磁石322を容易に支点部326を支点として回動させながら外方に排出可能であるように形成されている。すなわち、斜面部328は、磁石322を支点部326を支点として側孔312から脱落させようとする際に力を作用する部分である。
【0097】
なお、内視鏡12によって体腔内に運ばれる後述する第2の磁石330は、第1の磁石322の複数の面のうち、最も大きい面を覆う面積を有するように形成されている。
【0098】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0099】
スタイレット148を抜去した状態の超音波観察用穿刺針116の針管146で十二指腸Dおよび総胆管Cを貫通する。そして、針管146にスタイレット148を入れて、磁石322の斜面部328をスタイレット148の先端で押圧する。すると、図56に示すように、磁石322の支点部326によって磁石322が回動して針管146の外部に排出される。このとき、磁石322に連結された紐状部材324は、十二指腸Dおよび総胆管Cを貫通した状態を維持しつつ、紐状部材324の基端は、十二指腸D側に残される。そして、針管146を十二指腸Dおよび総胆管Cから引き抜くとともに、超音波観察用穿刺針116を内視鏡12の鉗子チャンネル38から引き抜く。
【0100】
そして、図57に示すように、新たに第2の磁石330を先端に把持した処置具(把持鉗子)332を鉗子チャンネル38から十二指腸Dの内部に導入する。そして、内視鏡12による光学観察により第1の磁石322に連結された紐状部材324の存在を認識する。
【0101】
第2の磁石330を十二指腸D内に配置することにより、第1の磁石322と第2の磁石330とが磁石による引力により引き合う。このため、図58に示すように、第1および第2の磁石322,330の作用によって、総胆管Cと十二指腸Dとの外壁同士が密着する。このとき、第1の磁石322に連結された紐状部材324を操作することにより、磁石322,330の位置を調整可能である。そして、第1の磁石322と第2の磁石330とによって狭持された部分は磁石322,330同士の引力による圧迫により虚血する。このような虚血が長く続くことによりその部分の組織が壊死する。このとき、第1の磁石322よりも第2の磁石330の方が面積が大きく、第1の磁石322と総胆管Cの内壁とが密着した部分のみが圧迫されているので、その部分の組織が壊死する。
【0102】
そして、その壊死した部分にろう孔Fが形成される。このとき、第1の磁石322よりも第2の磁石330の方が面積が大きく形成されているので、第1の磁石322はろう孔Fを通過するが、第2の磁石330はろう孔Fを通過することができない。このため、図59に示すように、第1および第2の磁石322,330は磁石同士の引力を及ぼしあった状態(くっついた状態)で十二指腸D側に脱落する。そして、総胆管Cと十二指腸Dとが癒着してろう孔Fが維持される。
【0103】
なお、第1の磁石322には、紐状部材324が連結されているので、脱落した第1および第2の磁石322,330は、十二指腸Dの内部で引っ掛けられた状態にある。このため、内視鏡12の鉗子チャンネル38を挿通させた紐状部材324を十二指腸D側に引っ張って総胆管Cと十二指腸Dの壁面から紐状部材324を抜く。そして、このまま内視鏡12で磁石322,330を回収するか、十二指腸D内に落下させて排出させる。
【0104】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
第1の磁石322を第2の磁石330よりも小さく形成したので、虚血により壊死させる部分を第1の磁石322と総胆管Cとが密着した領域に制限することができる。このため、第2の磁石330が総胆管C側に脱落することを防止することができる。
【0105】
次に、第8の実施の形態について図60ないし図76を用いて説明する。この実施の形態は第7の実施の形態の変形例であって、第7の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0106】
図60に示すように、内視鏡システム10は、電子コンベックス型超音波内視鏡12と、磁石セット留置具416とを備えている。
【0107】
図61に示すように、磁石セット留置具416は、外シース422と、プッシャ(内シース)424と、操作部426と、フック428aを先端に有するワイヤ428とを備えている。外シース422、プッシャ424、ワイヤ428は、内視鏡12の鉗子チャンネル38を挿通したときに、内視鏡12の挿入部22の曲がり具合に伴って曲げられる可撓性を備えている。プッシャ424は、例えば金属材製のコイルなどにより形成されている。
【0108】
操作部426は、操作部本体432と、この操作部本体432に対してスライド可能なスライダ(フック操作部)434とを備えている。操作部本体432の先端には、管状のプッシャ424が固定されている。外シース422は、プッシャ424の外周に配設されている。ワイヤ428はプッシャ424の内部に挿通され、ワイヤ428の基端は、スライダ434に固定されている。
【0109】
ワイヤ428の先端のフック428aには、図62Aおよび図62Bに示す磁石セット440が配設される。図62Aおよび図62Bに示すように、磁石セット440は、ループ状の紐状部材442と、この紐状部材442によって並設された複数の磁石444と、磁石444が紐状部材442から抜けることを防止するストッパ446とを備えている。図62Bに示すように、磁石セット440は、隣接する磁石444同士が紐状部材442に沿って移動して磁着することによって略円環状となる。
【0110】
ストッパ446は、紐状部材442に沿って移動して、紐状部材442のループ状の部分の大きさを変化させる。このストッパ446は、紐状部材442に対して摩擦力により係合されている。なお、ストッパ446は例えばシリコーンゴム材などにより形成されている。
【0111】
図63Aおよび図63Bに示すように、磁石444は、円盤状や矩形盤状など、種々の形状のものが用いられる。また、図63Bに示す磁石444の中央には、紐状部材442が挿通される四角い空間(円形以外の空間)が形成されている。一方、図63Bに示す磁石444と組み合わせる紐状部材442の横断面は例えば矩形状に形成されている(円形以外に形成されている)。このため、各磁石444は紐状部材442の軸周りに回転することが防止されている。また、図64Aに示すように、各磁石444の先端面側および基端面側に膨らみを持たせることによって、図64Bに示すように、磁石444同士の連結を維持した状態で磁石444同士を適当な方向に曲げることが可能である。
【0112】
また、図65に示すように、各磁石444は、互いに隣接する複数の磁石444同士が磁着したときに円環状となるように、内周側の弦や円弧(円周)が外周側の弦や円弧(円周)に比べて短く形成されていることが好適である。この場合、ストッパ446を紐状部材442の先端側に移動させて磁石444同士が紐状部材442に沿って磁着すると、次第に円環状となる。このため、磁石セット440は略円環状に丸められる。そして、内周側の弦と外周側の弦との比を適宜に設定することにより、円環状となる磁石群の直径を規定することができる。
【0113】
次に、この実施の形態に係る磁石セット留置具416の作用について説明する。ここでは、図62Aおよび図62Bに示す磁石セット440を用いる場合について説明する。
【0114】
まず、図66Aに示すように、磁石セット440を磁石セット留置具416の外シース422の先端に対して引き込んだ状態で配設しておく。このとき、複数の磁石444は紐状部材442によって直線状に並設されている。
【0115】
図66Bに示すように、この状態で、磁石セット留置具416の外シース422をプッシャ424に対して引き込むと、磁石セット440の紐状部材442の先端およびストッパ446が外に出される。この状態で、図61に示す操作部本体432に対してスライダ434を操作してワイヤ428を手元側に引く。すると、フック428aによって紐状部材442が手元側に引き込まれる。このため、図66Cに示すように、ストッパ446が相対的に前方に移動して、紐状部材442の先端側のループが縮められる。この状態で図61に示すスライダ434を操作してワイヤ428を先端側に移動させる。すると、フック428aがプッシャ424の先端に対して突出する。このため、図66Dに示すように、フック428aとループ状の紐状部材442との係合が外れて磁石セット440が磁石セット留置具416から離される。
【0116】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0117】
内視鏡12の鉗子チャンネル38に上述した第2の実施の形態で説明した穿刺針116(図22参照)を用いて十二指腸Dから総胆管Cに穴H1,H2をあけておく。
【0118】
図67に示すように、磁石セット留置具416の外シース422の先端を、穿刺針(図示せず)であけた穴H1,H2を通して総胆管Cの内部に導入する。そして、上述したように、磁石セット440を磁石セット留置具416から離す。すなわち、図68に示すように、総胆管C内に磁石セット440が放出される。そして、磁石セット留置具416を鉗子チャンネル38から抜き取る。
【0119】
その後、磁石セット440の円環状の磁石群によって形成される外径よりも大きい外径を有する第2の磁石を鉗子チャンネル38を通して十二指腸Dの内部に導入する(図57参照)。すると、図69に示すように、磁石セット440は総胆管Cの壁面および十二指腸Dの壁面を介して第2の磁石330に密着する。このため、十二指腸Dと総胆管Cとが密着する。
【0120】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
磁石セット440の複数の磁石444を組み合わせて環状などにすることによって、虚血させる面積を大きくすることができる。そして、環状の部分の内側は磁石444の作用により圧迫していなくても、血液の流れが止められるので、虚血させることができる。このため、壊死させる部分を環状にして、より大きなろう孔を形成することができる。
【0121】
なお、図70に示すように、第1の磁石として磁石444が円環状となる磁石セット440を用い、かつ、円環状の第2の磁石330を用いる。そして、円環状の第2の磁石330と磁石セット(第1の磁石)440の円環状となった磁石444との両者の内側を一時に穿孔針116(図22参照)で穿孔等する。すると、ろう孔が形成され、組織の壊死による開通を待たずに胆汁を直ぐに排出することができる。
【0122】
この実施の形態では、ループ状の紐状部材442を用いる場合について説明したが、図71に示すように、直線状の紐状部材452を用いて磁石444を直線状に並設することも好適である。この場合、紐状部材452の基端には、フック428aに引っ掛けるためのリング452aが形成されている。また、磁石444が紐状部材452の先端から脱落することを防止する例えば球状などの先端ストッパ452bが紐状部材452の先端に配設されている。さらに、先端ストッパ452bとリング452aとの間には磁石444が基端側から脱落することを防止するとともに、先端ストッパ452bと協働して磁石444の可動範囲を規定する基端ストッパ452cが配設されている。なお、基端ストッパ452cは、紐状部材452に沿って移動可能なもの(図72A参照)を用いることも好適である。
【0123】
また、図72Aおよび図72Bに示す磁石セット440に用いられる磁石444は図65に示すものと同様のものが用いられる。このため、図72Aに示す状態からストッパ446を紐状部材452の先端側に移動させると、図72Bに示すように、隣接する磁石444同士が磁着して円環状となる。
【0124】
さらに、図72Cに示すように、ストッパ446に最も近接する磁石444の紐状部材452を通す部分は屈曲されている。このため、磁石444間にストッパ446が入り込む(図72B参照)ことが防止される。すなわち、ストッパ446に最も近接する側の磁石444を通す紐状部材452を、磁石444の外周側の面から延出させることによって、ストッパ446が磁石444の間に配設されることが防止される。そうすると、複数の磁石444が互いに磁着したときに、より円環状に近い形状となる。
【0125】
なお、図73Aに示す磁石456および図73Bに示す非磁性体(スペーサ)458を図73Cに示すように並設させると、図73Dに示すように、大きなC字状の磁石と等価な磁力を得ることができる。すなわち、小さな磁石456を集めて磁力を大きくすることができる。この磁石セット440は、図66Aないし図66Dに示すのと同様に用いられる。このため、各磁石456は磁力が小さく、大きさが小さいものであっても、大きさも適宜に設定可能で、磁力の大きさも設定可能な磁石セット440を得ることができる。
【0126】
図74Aに示す棒状の磁石462を磁着させると、磁石セット440は、図74Bに示すように、図74Aに示す磁石462の2つ分の磁力を有する1つの磁石と略等価となる。したがって、小型の磁石462を所定の向きと位置関係を維持して相互に連結すると、細い管腔や狭窄部を介して大型の磁石を留置することができるのと同じ効果を得ることができる。
【0127】
なお、この実施の形態では、一方の管腔(第1の管腔)から他方の管腔(第2の管腔)のそれぞれの壁面を穿孔して磁石セット440を総胆管Cの内部に放出する場合について説明したが、これには、いくつかの他のやり方がある。
【0128】
図75に示すように、例えば、内視鏡12を操作して、磁石セット留置具416の先端を十二指腸Dの乳頭Pから総胆管Cの内部に導入する。そして、磁石セット留置具416を操作して磁石セット440を総胆管Cの内部に排出する。その後、同様に、十二指腸D内に第2の磁石330を導入する。このため、磁石セット440の磁石444と十二指腸D内の第2の磁石330とが磁着する。
【0129】
磁石セット440を総胆管Cの内部に放出するには、さらに他のやり方がある。
図76には、経皮経肝胆管ドレナージ(PCTD)を示す。これは、体外から腹部の体壁Wを通して総胆管Cに配設したチューブ466から胆汁を排出する方法である。
【0130】
このチューブ466に磁石セット留置具416を挿入して、胆管C内に磁石セット440を放出する。そして、内視鏡12の挿入部22を経口的に十二指腸Dに導入して、第2の磁石330と磁石セット440の磁石444とを磁着させる。
【0131】
次に、第9の実施の形態について図77Aないし図83Gを用いて説明する。この実施の形態は第8の実施の形態の変形例であって、第8の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0132】
図77Aに示すように、磁石セット留置具416は、シース472と、プッシャ474と、操作部476とを備えている。操作部476は、操作部本体482と、操作部本体482に沿ってスライド可能なスライダ484とを備えている。
【0133】
図77Aおよび図77Bに示すように、シース472は内径が異なる2つのルーメン(ダブルルーメン)486a,486bを備えている。内径が大きい方の第1のルーメン486aには、プッシャ474が操作部476のスライダ484に連結された状態で配設されている。第1のルーメン486aよりも内径が小さい第2のルーメン486bには、紐状部材452が挿通されている。そして、第2のルーメン486bの基端部には、紐状部材452の基端部側が磁石セット留置具416の外側に延出される側孔488が形成されている。
【0134】
図78に示すように、磁石セット留置具416には、磁石セット440が配設されている。磁石セット留置具416の第1のルーメン486aには、紐状部材452に挿通された状態で、磁石492、先端ストッパ494、後端ストッパ496、および、スペーサ498が配設されている。 さらに、後端ストッパ496には、プッシャ474の先端が当接されている。なお、紐状部材452は、シース472の先端を通して第1のルーメン486aと第2のルーメン486bとを接続している。先端ストッパ494は、シース472の先端よりも基端側に引き込まれた状態でシース472(第1のルーメン486a)に仮固定されている。このため、後述するように、シース472に対する先端ストッパ494の仮固定は簡単に解除される。
【0135】
図79に示すように、磁石492は、S極とN極とを結ぶ方向に紐状部材452が挿通される貫通穴492aが形成されている。そして、磁石492の貫通穴492aの一端(図79中の左端部)は、その縁部がテーパ状に形成されている。すなわち、各磁石492の貫通穴492aの一端は、座ぐり状に形成されている。
【0136】
図80Aに示すように、複数の磁石492の先端側に配設される先端ストッパ494は、紐状部材452を挿通可能な貫通穴494aが形成されている。この貫通穴494aの一端(図80A中の左端部)には、図80Bに示す楔状部材494bが配設され、大きな力が加えられると、その貫通穴494aの一端に食い込む。このため、先端ストッパ494および楔状部材494bは、先端ストッパ494に楔状部材494bが食い込むような材料で形成されている。なお、先端ストッパ494は、シース472の先端側から第2のルーメン486bの内部に入り込むことを防止するため、第1のルーメン486aを通すが、第2のルーメン486bを通さない大きさに形成されている。
【0137】
図81Aに示すように、複数の磁石492の基端側に配設される基端ストッパ496は、紐状部材452を挿通可能な貫通穴496aが形成されている。この貫通穴496aの一端(図81A中の右端部)には、図81Bに示す楔状部材496bが配設され、大きな力が加えられると、その貫通穴496aの一端に食い込む。このため、基端ストッパ496および楔状部材496bは、基端ストッパ496に楔状部材496bが食い込むような材料で形成されている。なお、基端ストッパ496は、貫通穴496aに挿通された紐状部材452を固定している。
【0138】
図82に示すスペーサ498は、図78に示すように、隣接する磁石492の間に配設されている。このスペーサ498には、紐状部材452を挿通可能な貫通穴498aが形成されている。スペーサ498は、柔軟なシリコーン樹脂材により形成されている。各スペーサ498は、磁石492間に強く押し込まれると、図79に示す磁石492のテーパ状(座ぐり状)の縁部に入り込む。
【0139】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
図83Aに示すように、磁石セット留置具416のシース472の先端を総胆管Cの内部に配設する。そして、プッシャ474をシース472の先端側に押し込む。すると、先端ストッパ494とシース472との仮固定が解除されて先端ストッパ494がシース472の先端に対して突出する。
【0140】
図83Bに示すように、第2のルーメン486b側の紐状部材452を手元側に強く引く。すると、先端ストッパ494はシース472の先端側から第2のルーメン486bには入らず、シース472の先端に仮固定された状態となる。このため、図83Cに示すように、基端ストッパ496と先端ストッパ494との間の距離が縮められる。すなわち、スペーサ498が磁石492の貫通穴492aのテーパ状の縁部に入り込むとともに、図83Dに示すように、隣接する磁石492同士が磁着する。このとき、上述したように、S極およびN極を有する大きな磁石と等価となる(図83E参照)。さらに紐状部材452を引っ張って圧力を加えると、先端ストッパ494および後端ストッパ496の楔状部材494b,496bがそれぞれ先端ストッパ494および後端ストッパ496に食い込む。このため、先端ストッパ494と後端ストッパ496との間の紐状部材452の距離が固定される。
【0141】
図83Fに示すように、プッシャ474をシース472の先端側に押し込んで、一体化させた磁石492をシース472の先端から外側に出す。
【0142】
図83Gに示すように、プッシャ474とシース472とを手元側に抜去する。このため、紐状部材452に固定された磁石が総胆管Cの内部に留置される。なお、紐状部材452の長さが長すぎる場合、切断するなどして調整することができる。
【0143】
この状態で、第7の実施の形態と同様に、生体組織を壊死させて、総胆管Cと十二指腸Dとの間にろう孔を形成する。そして、ろう孔の形成後、磁石492は紐状部材452とともに十二指腸D内に落下する。
【0144】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
内視鏡12の鉗子チャンネル38に磁石セット留置具416を挿通させる際に、スペーサ498によって磁石492同士の磁着が防止されているので、体腔の形状に沿って容易に挿通させることができる。
【0145】
また、磁力の小さい磁石492同士を連結することによって、面積が大きく、且つ、磁力の大きい磁石として用いることができる。
【0146】
このため、内視鏡12の鉗子チャンネル38への挿入時には、それぞれの磁石492がスペーサ498を介して分離しているので挿入し易く、総胆管Cの内部に排出した時点では、磁力および大きさが大きい磁石として排出することができる。
【0147】
次に、第10の実施の形態について図84ないし図85Eを用いて説明する。この実施の形態は第9の実施の形態の変形例であって、第9の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0148】
図84に示す磁石セット留置具416は、第9の実施の形態で説明したシース472とは異なり、1つのルーメン(シングルルーメン)で形成されている。
【0149】
図85Aないし図85Cに示すように、磁石セット440は、紐状部材452から容易に脱落する、生体適合性材料で形成されたスペーサ500が磁石492間に配設されている。このため、磁石492がシース472の先端から突出するにつれて脱落して、隣接する磁石492同士が磁着する。
【0150】
なお、この実施の形態では、第9の実施の形態とは異なり、先端ストッパ494と紐状部材452とは互いに対して固定されているが、基端ストッパ496は紐状部材452に対して可動である。
【0151】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
図85Aに示すように、磁石セット留置具416のシース472の先端を、十二指腸Dを通して総胆管Cに配設する。
【0152】
図85Bに示すように、プッシャ474をシース472の先端側に移動させる。先端ストッパ494および磁石492がシース472の先端から突出する。すると、スペーサ500が磁石492間から脱落する。このため、図85Cに示すように、隣接する磁石492同士が磁着する。
【0153】
そして、スペーサ500の脱落とともに隣接する磁石492同士が順次磁着する。そして、プッシャ474を前方に移動させて基端ストッパ496の楔状部材と紐状部材452とを係合して固定する。このため、図85Dに示すように、複数の磁石492が磁着されて、磁力が大きい1つの磁石と等価となる。
【0154】
そして、図85Eに示すように、磁石492を総胆管C内に配置した状態で、シース472およびプッシャ474を抜く。脱落したスペーサ500は生体吸収性材料で形成されており、やがて体内に吸収されるため、胆管C内に残ることはない。
【0155】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
磁石セット留置具416は、シングルルーメンのシース472を用いているので、磁石セット留置具416のシース472をダブルルーメンの場合よりも細径化することができる。
【0156】
なお、この実施の形態では、十二指腸Dと総胆管Cとを吻合させる場合について説明したが、胃Sと空腸Jとを吻合させることも可能である。この場合、スペーサ500を直接空腸Jに排出することができるので、生体吸収性材料で形成する必要はない。
【0157】
次に、第11の実施の形態について図86ないし図87Bを用いて説明する。この実施の形態は第10の実施の形態の変形例であって、第10の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0158】
図86に示すように、磁石セット留置具416のシース472には、第1および第2の紐状部材454a,454bが配設されている。
【0159】
図87Aおよび図87Bに示すように、磁石492、先端ストッパ494、後端ストッパ496、プッシャ474には、第1の紐状部材454aが挿通されている。第2の紐状部材454bの先端部には、複数のスペーサ500が所定の間隔ごとに固定されている。このため、第2の紐状部材454bの基端を手元側で把持して、脱落させたスペーサ500を容易に回収することができる。
【0160】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0161】
以上の説明によれば、以下のItemが得られる。
Item1.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第1の管腔の壁面、前記第2の管腔の壁面を通して前記第2の管腔内に穿刺針を穿刺することと、
前記穿刺針を中心軸の位置に配置して前記第1の管腔から第2の管腔に向かってコイル針を前記穿刺針の周りに穿刺して第1の管腔と第2の管腔とを連結することと、
前記コイル針を前記第1の管腔と第2の管腔とを連通した状態で維持することと、
前記コイル針の内側にろう孔を形成することと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item2.Item1に記載のろう孔形成方法であって、
前記コイル針の基端をオーバーチューブの先端に係合した状態で、内視鏡の挿入部の外周に前記オーバーチューブを配置して、前記コイル針を前記第1の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item3.Item2に記載のろう孔形成方法であって、
前記オーバーチューブと前記コイル針との係合を解除する際、前記オーバーチューブをその軸周りに回転させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0162】
Item4.超音波内視鏡であって、
先端部と基端部とを有する細長い挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と
を具備し、
前記挿入部は、前記先端部の先端面に、超音波振動子と、鉗子チャンネル開口部と、対物レンズとを一直線上に有する先端硬質部を備えていることを特徴とする超音波内視鏡。
【0163】
Item5.Item4に記載の超音波内視鏡であって、
前記鉗子チャンネル開口部は、前記先端硬質部の中心軸上に配設され、
前記超音波振動子および前記対物レンズの中心軸は、前記先端硬質部の中心軸に対して略対称の位置にあることを特徴とする超音波内視鏡。
【0164】
Item6.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から第1の管腔外に穿刺針を穿刺することと、
前記穿刺針から第1の管腔と第2の管腔との間に接着剤を排出することと、
前記第1の管腔と第2の管腔とを相対的に相手側に近接させて互いの外壁面同士を接着剤で接着させることと、
前記外壁面同士を接着させた部分の縁部の内側にろう孔を形成することと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item7.Item6に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第2の管腔に向けて前記接着剤を排出する前に、内視鏡の超音波観察機能を用いて前記第2の管腔の位置を認識することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item8.Item6に記載のろう孔形成方法であって、
前記穿刺針を内視鏡を用いて内視鏡的に前記第1の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item9.Item8に記載のろう孔形成方法であって、
前記内視鏡の挿入部の先端部に配設したバルーンに液体を入れて前記バルーンを膨張させて、前記第1の管腔を前記第2の管腔側に移動させて前記第1の管腔と前記第2の管腔とを接着させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item10.Item8に記載のろう孔形成方法であって、
前記内視鏡による超音波観察用の超音波振動とは異なる、より強力な超音波振動を発生させて前記接着剤で接着した部分同士を超音波振動により、より強力に密着させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item11.Item8に記載のろう孔形成方法であって、
前記内視鏡による超音波観察用の超音波振動とは異なる、より強力な超音波振動を発生可能なエネルギー処置具を内視鏡的に配設して、前記接着剤で接着した部分同士を超音波振動により、より強力に密着させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0165】
Item12.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔から第2の管腔に穿刺針を穿刺することと、
前記穿刺針で穿刺した穿孔部を通して、筒状部材の外周面の先端部に設けられた第1のバルーンを第2の管腔内に配設することと、
前記第1のバルーンを膨張させることと、
前記第1のバルーンを膨張させた状態で前記第2の管腔の内壁を前記第1の管腔側に押圧して、前記第2の管腔を前記第1の管腔側に寄せるとともに、前記筒状部材の外周面の前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンを前記第1の管腔内に配設することと、
前記第2のバルーンを膨張させ、前記第1および第2の管腔の壁面を狭持することと、
前記筒状部材の外周面で穿孔部を維持した状態で、前記第1および第2のバルーンで前記第1および第2の管腔の壁面を狭持して互いに癒着させることと、
前記第1および第2のバルーンを収縮させるとともに、前記筒状部材を前記穿孔部から引き抜いてろう孔を形成することと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item13.Item12に記載のろう孔形成方法であって、
前記穿刺針を内視鏡の鉗子チャンネルを用いて内視鏡的に前記第1の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item14.Item12に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第2の管腔に向けて前記穿刺針を穿刺する前に、内視鏡の超音波観察機能を用いて前記第2の管腔の位置を認識することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item15.Item12に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1および第2のバルーンを膨張させる際、前記第1および第2のバルーンにそれぞれ流体を出入可能に連結された流体管路のうち、前記第1の管腔内に残される部分に設けられた逆止弁によって収縮を防止することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item16.Item15に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1および第2のバルーンを収縮させる場合、前記流体管路の前記逆止弁と前記バルーンとの間の少なくとも一部に切り込みを入れることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0166】
Item17.ろう孔に配設するバルーン付きカテーテルであって、
先端部と基端部とを有する筒状部材と、
前記筒状部材の先端部の外周面に設けられた第1のバルーンと、
前記筒状部材の外周面に、前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンと、
前記第1のバルーンに連結され、前記第1のバルーンに流体を出し入れするための第1の流体管路と、
前記第2のバルーンに連結され、前記第2のバルーンに流体を出し入れするための第2の流体管路と
を具備することを特徴とするカテーテル。
Item18.Item17に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記第2のバルーンは、前記第1のバルーンを前記筒状部材に固定した状態で、前記第1のバルーンに向かって移動可能であることを特徴とするカテーテル。
Item19.Item18に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記筒状部材は、前記第1のバルーンが配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外側に設けられ、前記第2のバルーンが配設された第2の筒状部材とを備え、
前記第1の筒状部材の外周面、および、前記第2の筒状部材の内周面には、互いに係合可能な係合部が設けられていることを特徴とするカテーテル。
Item20.Item17に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記第1および第2のバルーンの間には、前記第1および第2のバルーンの、前記筒状部材の径方向外方への膨張量よりも小さな膨張量を有する第3のバルーンを備えていることを特徴とするカテーテル。
Item21.Item17に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記第1および第2の流体管路は、それぞれ前記第1および第2のバルーンに近接する側に、前記第1および第2のバルーンの膨張を許容し、収縮を防止する逆止弁が配設されていることを特徴とするカテーテル。
【0167】
Item22.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
第1の管腔から第2の管腔内に第1の磁石を配設することと、
前記第1の磁石よりも大きい第2の磁石を前記第1の管腔内に配置して、前記第1および第2の磁石を前記第1および第2の管腔の壁面を狭持させて引力を及ぼさせることと、
前記第1および第2の管腔を第1および第2の磁石の引力による狭持によって壊死させてろう孔を形成することと、
前記第1の磁石を前記ろう孔を通して第1の管腔内に排出し、第1および第2の磁石を第1の管腔内に脱落させることと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item23.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の磁石を内視鏡を用いて内視鏡的に前記第1の管腔から第2の管腔に配設することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item24.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第2の管腔に向けて前記第1の磁石を配設する前に、内視鏡の超音波観察機能を用いて前記第2の管腔の位置を認識することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item25.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の磁石は、内視鏡により前記第1の管腔から第2の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item26.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
第1の管腔から第2の管腔内に第1の磁石を配設する際、紐状部材付きの第1の磁石を用い、前記第1の管腔内から第2の管腔内に穿刺針を穿刺して前記第2の管腔内に前記第1の磁石を配設することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item27.Item26に記載のろう孔形成方法であって、
前記第2の管腔を前記第1の管腔側に移動させる際、前記第1の磁石に連結された紐状部材を引っ張ることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0168】
Item28.他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具であって、
先端部に針管を有する穿刺針と、
前記針管に設けられた側孔と、
前記側孔から出し入れ可能に設けられた磁石と、
前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記側孔から排出するスタイレットと
を具備することを特徴とする磁石留置具。
Item29.Item28に記載の磁石留置具であって、
前記磁石には、紐状部材が固定されていることを特徴とする磁石留置具。
【0169】
Item30.他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
直線状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材に設けられ、前記磁石が前記紐状部材から脱落することを防止するストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
【0170】
Item31.Item30に記載の磁石セットであって、
前記紐状部材は、前記磁石を軸方向に移動可能で、前記紐状部材の軸周りの回動を規制する回り止め形状を備えていることを特徴とする磁石セット。
Item32.Item30に記載の磁石セットであって、
前記複数の磁石は、内周側の弦が外周側の弦よりも短く形成されていることを特徴とする磁石セット。
Item33.Item30に記載の磁石セットであって、
前記複数の磁石の間には、隣接する磁石同士の磁着を防止するスペーサが配設されていることを特徴とする磁石セット。
Item34.Item33に記載の磁石セットであって、
前記スペーサは、前記磁石に埋設可能であることを特徴とする磁石セット。
Item35.Item33に記載の磁石セットであって、
前記スペーサは、前記磁石間から取り外し可能であることを特徴とする磁石セット。
Item36.Item33に記載の磁石セットであって、
前記スペーサは生体適合性材料で形成されていることを特徴とする磁石セット。
【0171】
Item37.他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
輪状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材を重ねた状態でスライドし、前記磁石が配設された側の紐状部材のループ形状を拡大/縮小可能なストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
Item38.Item37に記載の磁石セットであって、
前記紐状部材は、前記磁石を軸方向に移動可能で、前記紐状部材の軸周りの回動を規制する回り止め形状を備えていることを特徴とする磁石セット。
Item39.Item37に記載の磁石セットであって、
前記複数の磁石は、内周側の弦が外周側の弦よりも短く形成されていることを特徴とする磁石セット。
【符号の説明】
【0172】
22…挿入部、32…先端硬性部、38…鉗子チャンネル、38a…先端開口部、42…電子コンベックス型超音波振動子、44…対物レンズ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波内視鏡、ろう孔に配設するバルーン付きカテーテル、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具、および、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、”Method and apparatus for creating abdominal visceral anastomoses”について開示されている。
非特許文献1には、1対の磁石により例えば口側腸管と肛門側腸管とを吻合する腸管−腸管系磁石圧迫吻合術が開示されている。腸管の壁面を挟むように1対の磁石を留置して吸着させると、磁石間に挟まれた2層の腸管壁は徐々に虚血壊死に陥る。このとき、接し合った腸管壁同士は癒着して孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,690,656号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山内栄五郎ら(Journal of Nippon Medical School 磁石圧迫吻合術による腸管・胆道閉塞の治療-山内法の開発と臨床評価- 2002; 69(5), P471-475)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や非特許文献1では、磁石の磁力を利用してろう孔を形成するのに磁石を数日間留置する必要がある。このため、ろう孔を形成するための磁石により影響を受ける可能性がある機材などを用いる予定がある場合など、患者の状態によっては、磁石を用いてろう孔を形成することが出来ない場合があり得る。
また、磁石を用いることができる場合であっても、ろう孔が形成された場合、磁石の落下位置を制御する必要がある。
また、従来の超音波内視鏡では、超音波観察画像と光学観察画像との視点が揃えられておらず、これら画像を見比べたときに、観察対象部材の確認が難しいことがある。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、超音波観察画像と光学観察画像とを見比べたときに、観察対象部材の確認を容易に行うことが可能な超音波内視鏡を提供することを第1の目的とする。
また、磁石を用いなくても、容易にろう孔を形成することが可能なバルーン付きカテーテルを提供することを第2の目的とする。
また、磁石を用いてろう孔を形成する場合に、磁石同士の落下位置を制御することが可能な、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具、および、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するため、超音波内視鏡は、先端部と基端部とを有する細長い挿入部と、前記挿入部の基端部に設けられた操作部とを備えている。そして、前記挿入部は、前記先端部に、超音波振動子と、鉗子口開口部と、対物レンズとを一直線上に有する先端硬質部を備えている。
また、上記第2の目的を達成するため、ろう孔に配設するバルーン付きカテーテルは、先端部と基端部とを有する筒状部材と、前記筒状部材の先端部の外周面に設けられた第1のバルーンと、前記筒状部材の外周面に、前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンと、前記第1のバルーンに連結され、前記第1のバルーンに流体を出し入れするための第1の流体管路と、前記第2のバルーンに連結され、前記第2のバルーンに流体を出し入れするための第2の流体管路とを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具は、先端部に針管を有する穿刺針と、前記針管に着脱可能に設けられた磁石と、前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記針管から排出するスタイレットとを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具は、先端部に針管を有する穿刺針と、前記針管に設けられた側孔と、前記側孔から出し入れ可能に設けられた磁石と、前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記側孔から排出するスタイレットとを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットは、直線状の紐状部材と、前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、前記紐状部材に設けられ、前記磁石が前記紐状部材から脱落することを防止するストッパとを備えている。
また、上記第3の目的を達成するため、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットは、輪状の紐状部材と、前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、前記紐状部材を重ねた状態でスライドし、前記磁石が配設された側の紐状部材のループ形状を拡大/縮小可能なストッパとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、音波観察画像と光学観察画像とを見比べたときに、観察対象部材の確認を容易に行うことが可能な超音波内視鏡を提供することができる。
また、磁石を用いなくても、容易にろう孔を形成することが可能なバルーン付きカテーテルを提供することができる。
また、磁石を用いてろう孔を形成する場合に、磁石同士の落下位置を制御することが可能な、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具、および、他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1ないし第11の実施の形態に係る内視鏡システムが用いられる種々の器官(管路)を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略図である。
【図3】第1の実施の形態に係る内視鏡システムの超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略的な斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるオーバーチューブの先端部を示す概略的な部分断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるオーバーチューブの内チューブからコイルを分離した状態を示す概略的な斜視図である。
【図6】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具を示す概略図である。
【図7】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具の針構造および電気メス構造の紐状部材および芯部を示す概略的な斜視図である。
【図8】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具の電気メス構造の紐状部材、バーおよび芯部を示す概略的な斜視図である。
【図9】第1の実施の形態に係る内視鏡システムにおけるTバー留置具の針構造に電気メス構造をセットした状態を示す概略的な断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸(第1の管腔)から総胆管(第2の管腔)にTバー留置具の針構造の針管を用いて穿孔を形成した後、バーを総胆管の内部に排出した状態を示す概略図である。
【図11】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管に配置したTバー留置具のバーで総胆管の内壁を押圧して総胆管を十二指腸に近づける様子を示す概略図である。
【図12】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管を十二指腸に近づけた後、オーバーチューブのコイルを十二指腸および総胆管に貫通させた状態を示す概略図である。
【図13】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてオーバーチューブのコイルを十二指腸および総胆管に貫通させた後、オーバーチューブの内チューブからコイルを離脱させた状態を示す概略図である。
【図14】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてTバー留置具のバーに通電してコイルの内側にろう孔を形成した状態を示す概略図である。
【図15】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてろう孔を形成した後、バスケット鉗子をろう孔から総胆管内に導入してバスケット部で結石を確保した状態を示す概略図である。
【図16】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてろう孔を形成した後、不要となったろう孔をクリップを用いて閉じようとする状態を示す概略図である。
【図17】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いてろう孔を形成した後、不要となったろう孔をクリップを用いて閉じた状態を示す概略図である。
【図18】第1の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて胃と小腸の空腸との間を吻合した状態を示す概略図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略図である。
【図20】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部の先端部を示す概略図である。
【図21】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部の先端部にバルーンを配置して、そのバルーンを膨張させた状態を示す概略的な断面図である。
【図22】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針を示す概略図である。
【図23】第2の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の操作部の基端部にスタイレットとシリンジを着脱可能であることを示す概略図である。
【図24】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸の内壁に超音波振動子を当接させて総胆管の位置を確認した後、十二指腸と総胆管との間に超音波観察用穿刺針の針管を配置した状態を示す概略図である。
【図25】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸と総胆管との間に超音波観察用穿刺針の針管を配置した後、針管の先端から接着剤を排出した状態を示す概略図である。
【図26】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて超音波観察用穿刺針の針管の先端から接着剤を排出した後、内視鏡の挿入部の湾曲部を湾曲させて、十二指腸を総胆管側に押圧により移動させて接着させる状態を示す概略図である。
【図27】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸と総胆管とを接着した後、その接着した部分にろう孔を形成した状態を示す概略図である。
【図28】第2の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて超音波観察用穿刺針の針管の先端から接着剤を排出した後、内視鏡の挿入部の先端部に配設したバルーンの膨張を利用して十二指腸を総胆管側に押圧により移動させて接着させる状態を示す概略図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波内視鏡の挿入部の先端部から超音波処置用の超音波を発振して、十二指腸と総胆管とを癒着させる状態を示す概略図である。
【図30】第3の実施の形態に係る内視鏡システムにおける内視鏡の鉗子チャンネルの先端開口部から超音波処置用のエネルギー処置具を突出させて、そのエネルギー処置具で十二指腸と総胆管とを癒着させる状態を示す概略図である。
【図31】本発明の第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具、および、このバルーン留置具の先端部に装着したバルーン付きカテーテルを示す概略的な縦断面図である。
【図32】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具の先端部からバルーン付きカテーテルの係合を外した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図33A】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具にバルーン付きカテーテルを装着した状態を図31中の矢印33方向から観察した状態を示す概略図である。
【図33B】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具にバルーン付きカテーテルを装着した状態を図31中の矢印33方向から観察した状態を示す概略図である。
【図34】第4実施の形態に係る内視鏡システムによってろう孔を維持するバルーン付きカテーテルのうち、バルーンを収縮させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図35】第4実施の形態に係る内視鏡システムによってろう孔を維持するバルーン付きカテーテルのうち、バルーンを膨張させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図36】第4実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸から総胆管にバルーン留置具の針部材を用いて穿孔を形成した後、バルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図37】第4実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した後、その先端側のバルーンを膨張させた状態を示す概略図である。
【図38】第4実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部で膨張させた後、バルーン留置具を手元側に引き寄せて基端側のバルーンを十二指腸の内部に配置して膨張させ、十二指腸と総胆管との壁面を狭持した状態を示す概略図である。
【図39】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルの両バルーンを用いて十二指腸と総胆管との壁面を狭持した後、バルーン付きカテーテルをバルーン留置具から取り外すために針部材を内シースの先端から抜いた状態を示す概略図である。
【図40】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルの両バルーンを用いて十二指腸と総胆管との壁面を狭持して両壁面が癒着してろう孔が安定した状態になるまで留置した状態を示す概略図である。
【図41】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを用いてろう孔を形成した後、バルーン付きカテーテルを除去した状態を示す概略図である。
【図42A】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルのバルーンに流体を供給、または、バルーンから排出する管路が十二指腸内に留まる状態を示し、図34および図35に示すバルーン付きカテーテルを変形した、概略的な縦断面図である。
【図42B】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルのバルーンに流体を供給、または、バルーンから排出する管路が十二指腸内に留まる状態を示し、図34および図35に示すバルーン付きカテーテルを変形した、概略的な斜視図である。
【図43】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図42Aおよび図42Bに示すバルーン付きカテーテルの管路の基端部に逆止弁を設けた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図44】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図43に示すバルーン付きカテーテルの管路の基端部に細管を挿入した状態を示す概略的な部分縦断面図である。
【図45A】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図44に示す細管でバルーン付きカテーテルのバルーンを膨張させた後、バルーンを収縮させるために管路の一部に切り込みを入れた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図45B】第4実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図44に示す細管でバルーン付きカテーテルのバルーンを膨張させた後、バルーンを収縮させるために管路を切断した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図46】本発明の第5実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン留置具、および、このバルーン留置具の先端部に装着したバルーン付きカテーテルを示す概略的な縦断面図である。
【図47A】第5実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを示し、特に、先端側のバルーンと基端側のバルーンとを離隔させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図47B】第5実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを示し、特に、先端側のバルーンと基端側のバルーンとをラチェット機構によって近接させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図48】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸から総胆管にバルーン留置具の針部材を用いて穿孔を形成した後、バルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図49】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部に配置した後、その先端側のバルーンを膨張させた状態を示す概略図である。
【図50】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの先端側のバルーンを総胆管の内部で膨張させた後、バルーン留置具を手元側に引き寄せて基端側のバルーンを十二指腸の内部に配置して膨張させた状態を示す概略図である。
【図51】第5実施の形態に係る内視鏡システムを用いてバルーン付きカテーテルの両バルーンを膨張させた後、基端側のバルーンを先端側のバルーンに近接するように移動させて、十二指腸と総胆管との壁面を狭持した状態を示す概略図である。
【図52】第6実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルを示す概略的な縦断面図である。
【図53】第6実施の形態に係る内視鏡システムにおけるバルーン付きカテーテルの先端側および基端側のバルーンで十二指腸と総胆管との壁面を狭持するとともに、これらの間に配設された小型のバルーンでろう孔の孔径を大きくさせた状態で維持させることを示す概略的な縦断面図である。
【図54A】本発明の第7の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の先端部の針管に磁石を配置した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図54B】第7の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の先端部を示す概略的な斜視図である。
【図55】第7の実施の形態に係る内視鏡システムにおける超音波観察用穿刺針の先端部の針管の側孔から磁石を排出させる状態を示す概略的な縦断面図である。
【図56】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて十二指腸から総胆管に超音波観察用穿刺針の針管を用いて穿孔を形成した後、針管の側孔から磁石を総胆管の内部に排出した状態を示す概略図である。
【図57】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて磁石(第1の磁石)を総胆管の内部に配置した後、十二指腸に内視鏡的に、総胆管の内部に配置した磁石よりも大きい磁石(第2の磁石)を配置する状態を示す概略図である。
【図58】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置した第1の磁石と、十二指腸の内部に配置した第2の磁石とが引力を及ぼし合って、総胆管および十二指腸の壁面を介して磁着した状態を示す概略図である。
【図59】第7の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管および十二指腸の壁面を介して磁着した第1および第2の磁石によって圧迫された部分の組織が虚血により壊死してろう孔が形成された状態を示す概略図である。
【図60】本発明の第8の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略図である。
【図61】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図62A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を用いて留置される磁石セットを示し、特に、磁石セット留置具に配置されるときの状態を示す概略図である。
【図62B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を用いて留置される磁石セットを示し、特に、磁石セットが所望の管腔内に配置されるときの状態を示す概略図である。
【図63A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略的な斜視図である。
【図63B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略的な斜視図である。
【図64A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略図である。
【図64B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる各磁石の端面に膨らみを持たせることによって、紐状部材によって磁石同士の連結を維持した状態で磁石同士を適当な方向に曲げることが可能な状態を示す概略図である。
【図65】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石同士が磁着したときに円環状となるように、内周側の弦や円弧(円周)が外周側の弦や円弧(円周)に比べて短く形成された状態を示す概略図である。
【図66A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの内側に磁石セットを配置した状態を示す概略的な部分断面図である。
【図66B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの先端から磁石セットの紐状部材の先端およびストッパが外に出された状態を示す概略的な部分断面図である。
【図66C】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具により、磁石セットのストッパが相対的に前方に移動して、紐状部材の先端側のループを縮めた状態を示す概略的な部分断面図である。
【図66D】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具から磁石セットが離れた状態を示す概略的な部分断面図である。
【図67】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて磁石セット留置具のシースの先端を十二指腸から総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図68】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を用いて磁石セット(第1の磁石)を総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図69】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置した第1の磁石と、十二指腸の内部に配置した第2の磁石とが引力を及ぼし合って、総胆管および十二指腸の壁面を介して磁着した状態を示す概略図である。
【図70】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置した第1の磁石が円環状であり、十二指腸の内部に配置した第2の磁石が円環状である場合、これらの同心軸の位置に穿孔を形成することによって、ろう孔を形成する状態を示す概略図である。
【図71】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される磁石セットの一例を示す概略図である。
【図72A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される磁石セットの一例を示す概略図である。
【図72B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される、図72Aに示す磁石セットの磁石を磁着させて略円環状とした状態を示す概略図である。
【図72C】第8の実施の形態に係る内視鏡システムを用いて総胆管の内部に配置される、図72Aに示す磁石セットの磁石を磁着させて略円環状とした状態を示す概略図である。
【図73A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略図である。
【図73B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる非磁性体を示す概略図である。
【図73C】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる、図73Aに示す磁石をC字状に並べ、図73Bに示す非磁性体を磁石の間に配置した状態を示す概略図である。
【図73D】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる図73Cに示す磁石セットの磁力の状態を示す概略図である。
【図74A】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を2つ繋げた状態を示す概略図である。
【図74B】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる図74Aに示す磁石セットの磁力の状態を示す概略図である。
【図75】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの先端を十二指腸の乳頭から総胆管の内部に配置して磁石セットを総胆管の内部に配置しようとする状態を示す概略図である。
【図76】第8の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットを経皮経肝胆管ドレナージに用いられるチューブを通して総胆管の内部に配置しようとする状態を示す概略図である。
【図77A】本発明の第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図77B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースを図77A中の矢印77B方向から観察した状態を示す概略図である。
【図78】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図79】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる磁石を示す概略的な縦断面図である。
【図80A】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる先端ストッパを示す概略的な縦断面図である。
【図80B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる先端ストッパと、強い力が加えられると先端ストッパに係合する楔状部材とが係合した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図81A】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる基端ストッパを示す概略的な縦断面図である。
【図81B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられる基端ストッパと、強い力が加えられると基端ストッパに係合する楔状部材とが係合した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図82】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セットに用いられるスペーサを示す概略的な縦断面図である。
【図83A】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態でシースの先端を総胆管の内部に配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図83B】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設したシースの先端に対して、磁石セットの先端ストッパを突出させて総胆管の内部に配置した後、第2のルーメン内の紐状部材を手元側に引いた状態を示す概略的な断面図である。
【図83C】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットの基端ストッパと先端ストッパとの間の距離が縮められ、スペーサが磁石の貫通穴のテーパ状の縁部に入り込もうとする状態を示す概略図である。
【図83D】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットの磁石の貫通穴にスペーサが入り込むことによって隣接する磁石同士が磁着した状態を示す概略図である。
【図83E】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットの隣接する磁石同士が磁着し、S極およびN極を有する大きな磁石と等価となる状態を示す概略図である。
【図83F】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットを、プッシャをシースの先端側に押し込んで、シースの先端から外側に出す状態を示す概略図である。
【図83G】第9の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に配置された磁石セットから、プッシャおよびシースを離して磁石セットを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図84】本発明の第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図85A】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で磁石セット留置具のシースの先端を総胆管の内部に配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図85B】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをプッシャで押圧すると、磁石がシースの先端から突出するとともに、磁石間に配置された生体適合性を有するスペーサが総胆管の内部に脱落する状態を示す概略的な断面図である。
【図85C】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをさらにプッシャで押圧すると、磁石がシースの先端から突出するとともに、磁石間に配置された生体適合性を有するスペーサが総胆管の内部に脱落する状態を示す概略的な断面図である。
【図85D】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをさらにプッシャで押圧して磁石セット留置具のシースの先端に対して基端ストッパまで突出させた状態を示す概略的な断面図である。
【図85E】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具のシースの先端に対して磁石セットの基端ストッパまで突出させた後、磁石セットを総胆管の内部に配置した状態を示す概略図である。
【図86】本発明の第11の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具を示す概略的な部分断面図である。
【図87A】第11の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態でシースの先端を総胆管の内部に配置した状態を示す概略的な断面図である。
【図87B】第11の実施の形態に係る内視鏡システムにおける磁石セット留置具に磁石セットを配設した状態で基端ストッパをさらにプッシャで押圧して磁石セット留置具のシースの先端に対して基端ストッパまで突出させるとともに、スペーサを回収する状態を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
第1の実施の形態について図1ないし図18を用いて説明する。
図1には、胃S、十二指腸D、小腸の空腸(以後、主として単に空腸という)J、胆嚢G、総胆管Cなどを概略的に示す。そして、十二指腸(第1の管腔)Dと総胆管(第2の管腔)Cとの間、胃(第1の管腔)Sと空腸(第2の管腔)Jとの間など、種々の器官(管腔)同士を吻合させてろう孔を形成するろう孔形成術が行われることがある。ここでは、例えば総胆管C内の胆汁を十二指腸D内に流すために、十二指腸Dと総胆管Cとの間にろう孔を形成する場合について主に説明する。
【0011】
図2に示す内視鏡システム10は、超音波内視鏡12と、オーバーチューブ14と、Tバー留置具16とを備えている。Tバー留置具16は超音波内視鏡12とともに内視鏡的に用いられる。
【0012】
超音波内視鏡12は、細長い挿入部22と、この挿入部22の基端部に設けられた操作部24と、操作部24から延出されたユニバーサルコード26とを備えている。挿入部22は、先端硬性部32と、湾曲部34と、可撓管部36とを備えている。湾曲部34は、操作部24の湾曲操作ノブ24aを回動させることにより所望の方向に湾曲可能である。可撓管部36は、生体の管腔の形状にしたがって曲げられる。挿入部22から操作部24にかけては鉗子チャンネル38(図3参照)が挿通されている。この鉗子チャンネル38の基端部は、操作部24に設けられている。鉗子チャンネル38の基端側の開口部(鉗子口)には、鉗子栓38bが配設されている。
【0013】
図3に示すように、先端硬性部32の先端面には、超音波観察用の電子コンベックス型超音波振動子42と、鉗子チャンネル38の先端開口部38aと、光学観察用の対物レンズ44とが配設されている。先端硬性部32の先端面には、図示しないが、光学観察用の光を出射する照明レンズも配設されている。
【0014】
このため、超音波内視鏡12は、被写体を超音波観察する超音波観察機能と、光学観察する光学観察機能とを備えている。被写体を超音波観察可能な距離は、超音波振動子42に与える周波数にもよるが、超音波振動子42が生体組織に接触する接触面から例えば20mmから70mm程度である。
【0015】
超音波振動子42と、鉗子チャンネル38の先端開口部38aと、対物レンズ44とは、挿入部22の軸方向と直交する方向に一直線上(一列)に配設されている。特に、鉗子チャンネル38の先端開口部38aは、先端硬性部32(挿入部22)の略中心軸上に配設され、かつ、超音波振動子42と、対物レンズ44とは、鉗子チャンネル38の先端開口部38aに対して対称の位置に配設されている。すなわち、対物レンズ44と超音波振動子42との間の中央部に先端開口部38aが配設されている。
【0016】
図4に示すように、オーバーチューブ14は、二重構造に形成されている。オーバーチューブ14は、外チューブ52と、内チューブ54と、コイル(コイル針)56とを備えている。コイル56は、絶縁性を有することが好ましく、さらに言えば生体吸収性材料で形成されていることが好ましい。また、コイル56は形状記憶材料で形成されていても良い。コイル56は内チューブ54の先端部に配設されている。内チューブ54の先端部の内周面には、螺旋状溝54aが形成されている。このため、このコイル56は、内チューブ54の先端部の内周面の螺旋状溝54aに摩擦により着脱可能に係合(螺合)されている。
【0017】
図5に示すように、このコイル56の基端は、コイル56が内チューブ54の螺旋状溝54aに係合されたときに内チューブ54に穿孔が形成されることを防止するため、丸められている。一方、内チューブ54の先端に対して突出するコイル56の先端は針状に形成されている。
【0018】
図4に示すように、外チューブ52は、内チューブ54に対して移動可能であり、内視鏡12の挿入部22の体腔内への挿入時には、内チューブ54の先端のコイル56を覆うことが可能である。
【0019】
図6に示すように、Tバー留置具16は、外シース(本体)62と、管状の針構造64と、電気メス構造66とを備えている。針構造64は外シース62の内腔を移動可能である。さらに、電気メス構造66は、針構造64の内腔を移動可能である。内視鏡12の鉗子チャンネル38を挿通させることが必要であるため、外シース62の外径は鉗子チャンネル38の口径よりもやや小さく、外シース62、針構造64および電気メス構造66は、鉗子チャンネル38の長さよりも長く形成されている。
【0020】
図6および図7に示すように、針構造64は、針管72と、軟性チューブ(内シース)74と、針スライダ76とを備えている。軟性チューブ74の先端には、針管72が固定され、軟性チューブ74の基端には、針スライダ76が固定されている。
【0021】
図6および図8に示すように、電気メス構造66は、ロッド状のバー(紐状部材84よりも大きな部材(膨出部材))82と、紐状部材84と、芯部86と、芯スライダ88とを備えている。紐状部材84の先端には、バー82が固定され、紐状部材84の基端には、芯部86の先端が固定されている。特に、紐状部材84の先端は、バー82の中央に固定されている。このため、紐状部材84が引っ張られると、バー82と紐状部材84との関係が略T字状となる。また、バー82の長さは、上述したコイル56の内径よりも小さく形成されている。これら芯部86、紐状部材84およびバー82は導電性を有する。さらに、芯部86の基端には、電極のコネクタである芯スライダ88が固定されている。このため、芯スライダ88、芯部86、紐状部材84およびバー82に高周波電流を流すことが可能である。
【0022】
そして、Tバー留置具16の使用前は、図9に示すように、バー82および紐状部材84は、針管72の内部に狭持された状態で固定されている。芯部86は、バー82のプッシャとして使用される。このため、芯スライダ88を前方に向かって移動させると、芯部86が移動して、バー82が針管72の先端から押し出される。
【0023】
また、針構造64の針管72の先端は、針スライダ76の操作によって、外シース62の先端に対して突出する状態と、外シース62の先端に対して引き込まれる状態との間を移動可能である。また、バー82が針管72の先端から押し出される前であれば、電気メス構造66は針構造64と一緒に移動する。
【0024】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
図2に示すように、超音波内視鏡12の挿入部22に二重構造のオーバーチューブ14を被せる。そして、オーバーチューブ14は、外チューブ52に対して内チューブ54を引き込んでおく。このとき、内チューブ54の先端部に係合されたコイル56の全体を外チューブ52の先端よりも基端側に引き込んでおく。この状態で、内視鏡12の挿入部22およびオーバーチューブ14の先端を経口的に十二指腸Dまで導入する。
【0025】
超音波内視鏡12の超音波振動子42を十二指腸Dの内壁に当てる。そして、超音波内視鏡12の超音波振動子42を振動させて得られる超音波画像で総胆管Cの位置を確認しておく。
【0026】
Tバー留置具16の針管72を外シース62の先端よりも基端側に引き込んでおく。そして、超音波内視鏡12の鉗子チャンネル38の鉗子栓38bから鉗子チャンネル38の先端開口部38aを通して、内視鏡12の挿入部22の先端からTバー留置具16の外シース62を突出させる。Tバー留置具16の針スライダ76を操作して、外シース62に対して針管72の先端を突出させる。
【0027】
そして、針管72で十二指腸Dの壁部を貫通させ、さらに、総胆管Cの壁面をも貫通させる。すなわち、針管72の先端は総胆管Cの内部にある。この状態で、芯スライダ88を前方側に移動させる。すると、図10に示すように、バー82が芯部86によって針管72の先端から押し出されて総胆管Cの内部に落下する。すなわち、バー82が総胆管Cの内部に配設される。この状態で、針スライダ76を移動させて針管72の先端を外シース62に対して引き込む。このため、針管72が総胆管Cおよび十二指腸Dの壁面から抜去される。
【0028】
この状態で、芯スライダ88を外シース62に対して手元側に引く。すると、芯部86の先端に固定された紐状部材84が手元側に引っ張られる。このため、紐状部材84の先端に固定されたバー82が手元側に引っ張られる。すると、図11に示すように、バー82で総胆管Cの内壁を十二指腸D側に押圧し、十二指腸Dの外壁に総胆管Cの外壁を密着させる。
【0029】
ここで、オーバーチューブ14の外チューブ52を内チューブ54に対して基端側に移動させる。すると、コイル56が外チューブ52に対して露出される。内チューブ54を内視鏡12の挿入部22の外周面を覆った状態で所定の方向(第1の方向)に回転させる。すると、図12に示すように、コイル56の針状の先端から十二指腸Dの壁面および総胆管Cの壁面を貫通する。コイル56の先端が総胆管Cの内部に到達したら、内チューブ54を上述した第1の方向とは逆の第2の方向に回転させる。すると、コイル56と内チューブ54の先端部の内周面の螺旋状溝54aとの間の係合が解除される。このため、図13に示すように、コイル56は、十二指腸Dと総胆管Cとの外壁同士を密着させた状態で留置される。
【0030】
そして、Tバー留置具16の芯スライダ(コネクタ)88に高周波電源(図示せず)を電気的に取り付ける。高周波電源から芯スライダ88、紐状部材84およびバー82に高周波電流を流す。このため、図14に示すように、バー82に接触した総胆管Cの壁面にまず孔が形成され、続いて総胆管Cの壁面に密着した十二指腸Dの壁面に孔が形成される。すなわち、総胆管Cと十二指腸Dとの間にろう孔Fが形成される。
【0031】
コイル56は生体吸収性材料で形成されていれば時間の経過とともに次第に生体に吸収されていき、最終的には存在しなくなる。例えばコイル56が存在しなくなる頃、ろう孔Fは総胆管Cと十二指腸Dとが癒着により形成される。言い換えると、十二指腸Dと総胆管Cとが吻合される。このため、総胆管Cの壁面と十二指腸Dの壁面とが離れて胆汁が腹腔内に漏れ出すことが防止され、総胆管C内の胆汁は、ろう孔Fを通して十二指腸D側に流れる。
【0032】
また、コイル56に絶縁性があれば、高周波電流の印加時にバー82とコイル56とが接触しても安全である。また、コイル56を形状記憶材料で形成した場合、形状記憶材料の特性により、そのコイル56を体温に暫くさらしたときに、コイル56の巻き状態が密になる方向に形状を変化させるようにする。このとき、形状記憶材料の特性により総胆管Cと十二指腸Dとをより強く密着させようとするので、胆汁が腹腔内に漏れ出す危険が減り、ろう孔の形成が促進される。
【0033】
次に、図15に示すように、胆道(胆のう、胆のう管、肝内胆管、肝門部胆管、総胆管の総称)Bから十二指腸Dにあけたろう孔(バイパス)Fを使って胆道B内の結石Coを十二指腸D側に取り出す手技について側視型内視鏡90およびバスケット鉗子92を用いて説明する。
【0034】
この場合、内視鏡90の鉗子チャンネル(図示せず)にバスケット鉗子92を挿通させる。そして、ろう孔Fから胆道B内にバスケット鉗子92のバスケット部94を挿入する。バスケット部94で結石Coを保持してろう孔Fから取り出す。そして、その結石Coを十二指腸Dに放出する。または、バスケット部94でその結石Coを保持したまま内視鏡12を通して回収する。
【0035】
このような結石Coを除去した後、ろう孔Fが不要である場合、図16および図17に示すように、内視鏡的にクリップ96を用いて十二指腸D側から、ろう孔Fを閉鎖することが可能である。ろう孔Fを閉鎖すると、腸液が胆道Bに流れ込むことによって生じる胆管炎などの合併症を防止することができる。そして、クリップ96は暫くすると、十二指腸D内に自然に脱落する。
【0036】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
オーバーチューブ14のコイル56を生体組織にねじ込む際には、コイル56を内チューブ54の螺旋状溝54aに対して装着した状態で内チューブ54をその軸周りに回転させることによって、簡単に行うことができる。また、生体組織にねじ込んだコイル56と内チューブ54とを離脱させる際には、内チューブ54を逆方向に回転させるだけで、簡単に行うことができる。このため、簡単な操作で十二指腸Dと総胆管Cとの壁面同士を一体化させることができる。
【0037】
超音波観察用の超音波振動子42と、鉗子チャンネル38の先端開口部38aと、光学観察用の対物レンズ44とが一直線上に配設され、かつ、超音波振動子42と対物レンズ44とが鉗子チャンネル38の先端開口部38aに対して略対称的な位置に配設されている。このため、超音波観察画像と光学観察画像との視点を揃えることができる。したがって、超音波観察画像と光学観察画像とを見比べたときにTバー留置具16のバー82や紐状部材84の確認を容易に行うことができる。
【0038】
また、先端開口部38aを内視鏡12の挿入部22の先端硬性部32の中心軸の位置に配置したので、オーバーチューブ14のコイル56の中心付近をTバー留置具16の針管72で穿孔することができる。さらに、Tバー留置具16のバー82でろう孔を形成するときに、コイル56の中心軸(コイル56の内部)を容易に通すことができる。
【0039】
十二指腸D側から内視鏡的にアプローチして十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを連通させるろう孔Fで両者を接続することができる。このため、何らかの理由で総胆管Cにつまり(狭窄)が生じたときなどに、簡単にろう孔Fを形成して、総胆管C内の胆汁を十二指腸Dに排出することができる。
【0040】
なお、この実施の形態では、十二指腸Dと総胆管Cとを吻合させることについて説明したが、図18に示すように、十二指腸Dに狭窄Stがありその狭窄Stによって食物を通過させ難い場合、第1の実施の形態で説明した作用と同様の作用により胃Sと空腸Jとを吻合させることも好適である。すると、食物を胃Sから小腸の空腸Jへ直接流れるようにすることができるので、患者のQOL(Quality Of Life)を向上させることができる。
【0041】
以下、第2ないし第11の実施の形態では、十二指腸Dと総胆管Cとの間を吻合させる場合について説明するが、胃Sと空腸Jとの吻合に用いることも可能である。
【0042】
次に、第2の実施の形態について図19ないし図28を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0043】
図19に示すように、内視鏡システム10は、電子コンベックス型超音波内視鏡12と、超音波観察用穿刺針116とを備えている。ここでは詳細については説明しないが、内視鏡12の挿入部22の体腔内への導入を補助するため、オーバーチューブ(図示せず)を用いることも好適である。
【0044】
図20に示すように、第1の実施の形態と同様に、内視鏡12は、挿入部22と、操作部24とを備えている。この実施の形態で用いる内視鏡12の挿入部22の先端硬性部32は、超音波振動子122を先端に備え、その超音波振動子122の基端側に先端開口部38a、対物レンズ44および照明レンズ(図示せず)が配設された斜面部124を備えている。このため、この内視鏡12は、光学観察光学系である対物レンズ44および照明レンズが挿入部22の軸方向から外れる側視型に設けられている。
【0045】
なお、図20および図21に示すように、内視鏡12の挿入部22の先端硬性部32には、バルーン取付溝126が超音波振動子122と、斜面部124との間に形成されている。図21に示すように、例えば、先端開口部38a、対物レンズ44、照明レンズが設けられた斜面部124側とは反対側に開口を有するバルーン管路132が形成されている。バルーン管路132に水(液体)を注入することによって、バルーン取付溝126に固定されたバルーン134が膨らむ。バルーン管路132に吸引力を加えることによって、バルーン134を膨らませていた水を抜き取ってバルーン134を収縮させることができる。
【0046】
図22に示すように、超音波観察用穿刺針116は、シース142と、操作部144と、例えばステンレス鋼材製の針管146とを備えている。シース142は、内視鏡12の鉗子チャンネル38に挿入される。操作部144は、このシース142の基端部に配置されている。針管146の先端は、操作部144によってシース142の先端に対して移動自在に挿通されている。針管146の内部にはスタイレット148が挿脱自在に配置されている。
【0047】
操作部144は、シース142の基端部に設けられた操作部本体152と、この操作部本体152に対して摺動自在に設けられる樹脂部材で形成したスライダ154と、操作部本体152に設けられスライダ154の可動範囲を制限するストッパ156とを備えている。
【0048】
スライダ154は、針管146に連結されている。このため、操作部本体152に対してスライダ154を移動させると、針管146がシース142に対して移動する。このスライダ154の基端部には、吸引口金154aが配置されている。図23に示すように、この吸引口金154aには、シリンジ158やスタイレット148が着脱可能である。図22では、スタイレット148がスライダ154の基端部の吸引口金154aに配設されている。このため、操作部本体152に対するスライダ154の移動によって、針管146およびスタイレット148が一緒になって移動する。
【0049】
この穿刺針116の針管146は超音波観察用であるため、超音波内視鏡12の鉗子チャンネル38に穿刺針116を挿入する。すると、目的部位が表示されている超音波観察画像上に針管146の超音波画像が描出される。この後、術者は、スライダ154を把持し、このスライダ154をストッパ156に向けて素早く移動させる。すると、スタイレット148および針管146の先端が目的部位に確実に穿刺される。
【0050】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
第1の実施の形態で説明したように、超音波内視鏡12の挿入部22の先端部を十二指腸Dまで導く。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0051】
図24に示すように、穿刺針116のシース142の先端を鉗子チャンネル38の先端開口部38aから突出させて総胆管Cに近接する十二指腸Dの壁部を貫通させる。そして、図22および図23に示すように、穿刺針116の操作部144のスライダ154の基端部の吸引口金154aからスタイレット148を取り外す。スタイレット148の代わりに接着剤入りのシリンジ158をスライダ154の基端部の吸引口金154aに装着する。そして、超音波画像で観察を行いながら、図25に示すように、針管146の先端から接着剤Ahを排出する。なお、接着剤Ahには、例えばシアノアクリレート系のものや、ゼラチンにレゾルシンを散布するなどの第1液散布後第2液を散布するものや、フィブリン糊(2液混合型)など医療用のものが用いられる。また、接着剤Ahは速乾性を有することが好適である。
【0052】
そして、鉗子チャンネル38から穿刺針116を引き抜いて、図26に示すように、超音波内視鏡12の挿入部22の湾曲部34を湾曲させる。そして、十二指腸Dの内壁を押して総胆管C側に移動させる。このため、十二指腸Dと総胆管Cとの外壁同士が接着される。十二指腸Dと総胆管Cとの接着を、超音波観察により確認する。湾曲部34を湾曲させた状態を例えば数分など、暫く保持して接着剤を硬化させる。
【0053】
接着剤を硬化させた後、光学観察により、あるいは、触感や超音波観察により、十二指腸Dの内壁側から接着された部分を確認しながらその接着された部分の縁部の内側を図示しない穿孔用鉗子などを用いて穿孔する。すると、図27に示すように、総胆管Cと十二指腸Dとが連通される。このとき、接着剤によって接着された部分の縁部を残してその内側を穿孔するので、十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とが密着した状態は保持される。そして、例えば数日などの経過後、接着剤によって接着された部分の縁部が癒着して、十二指腸Dと総胆管Cとの間にろう孔Fが形成される。
【0054】
なお、十二指腸Dの内壁を押して総胆管C側に移動させる場合、図28に示すように、バルーン134を用いることも好適である。この場合、バルーン管路132を通してバルーン134内に水などの液体を入れてバルーン134を膨らませて、バルーン134で十二指腸Dの壁面を押圧する。このため、十二指腸Dの壁面が総胆管C側に移動され、総胆管Cと十二指腸Dとの外壁同士が接着される。
【0055】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
接着剤を2つの管腔の間に排出して、その接着剤の硬化作用により2つの管腔をくっ付けた後に穿刺針で穿刺することによりろう孔を形成することができる。このように、十二指腸Dに総胆管Cが接着されるまで総胆管Cには穿刺孔を開けないため、十二指腸Dと総胆管Cとが離れた状態で両者を穿刺する場合に対して、総胆管Cから胆汁が腹腔内に漏れ出す危険が少ない。
【0056】
次に、第3の実施の形態について図29および図30を用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0057】
この実施の形態に係る内視鏡システム10は、超音波内視鏡12を備えている。超音波内視鏡12には、第2の実施の形態で説明した超音波観察用の超音波振動子122とは異なり、超音波による作用により処置を行う超音波処置用の強力な超音波振動を発生させる超音波振動子が設けられている。内視鏡12の操作部24には、超音波観察を行う際に超音波振動子122を振動させるボタン(スイッチ)のほか、強力な超音波振動を発生させる超音波振動子を駆動させる超音波処置用ボタン(図示せず)が設けられている。
【0058】
第2の実施の形態で説明したように、内視鏡12の挿入部22の湾曲部34を操作部24の湾曲操作ノブ24aを操作して湾曲させて、挿入部22の先端硬性部32で十二指腸Dの内壁を押して十二指腸Dを総胆管C側に移動させる。そして、十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とが密着した状態で、超音波観察用の超音波振動子122とは別の超音波処置用の強力な超音波振動を発振する。その強力な超音波振動を十二指腸Dの内壁から総胆管Cに伝達すると、超音波処置により両者の組織が加熱、変性されて組織同士が癒着する。
【0059】
そして、内視鏡12による光学観察により、十二指腸Dの内壁側から癒着された部分を確認しながらその癒着された部分の縁部の内側を図示しない穿孔用鉗子などを用いて穿孔する。すると、総胆管Cと十二指腸Dとが連通される。このとき、癒着された部分の縁部を残してその内側を穿孔するので、十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とが密着した状態が保持されてろう孔が形成される。
【0060】
なお、第2の実施の形態で説明したように、接着剤Ahで十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とを接着させた後、両者間の癒着を促進させるため、超音波内視鏡12から超音波処置可能な強力な超音波振動を発振することも好適である。すなわち、第2の実施の形態で説明した図26に示す作用を行った後、続けて図29に示す作用を行う。このとき、接着剤Ahで接着した部分だけでなく、その周囲も超音波処置により癒着させることによって、時間の経過を経ずに、より大きなろう孔を形成することができる。
【0061】
また、この実施の形態では、超音波内視鏡12自体から超音波処置用の強力な超音波振動を発振可能としたが、図30に示すように、鉗子チャンネル38を通してエネルギー処置具162で十二指腸Dと総胆管Cとを癒着させることも好適である。この場合、円形状などに何点か癒着させる作業を繰り返す。このため、癒着面積を増やすことができる。この状態で癒着した部分の縁部の内側を穿孔することによって、より大きなろう孔を形成することができる。
【0062】
なお、第2の実施の形態で説明したように、接着剤Ahで十二指腸Dの外壁と総胆管Cの外壁とを接着させた後、両者間の癒着を促進させるため、超音波内視鏡12の鉗子チャンネル38を通したエネルギー処置具162で強力な超音波振動を発振することも好適である。すなわち、第2の実施の形態で説明した図26に示す作用を行った後、図30に示す作用を行う。このとき、接着剤Ahで接着した部分だけでなく、その周囲も超音波処置により癒着させることによって、時間の経過を経ずに、より大きなろう孔を形成することができる。
【0063】
次に、第4の実施の形態について図31ないし図45Bを用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
内視鏡システム10は、超音波内視鏡12と、図31に示すバルーン留置具216とを備えている。第2の実施の形態で説明したように、内視鏡12の挿入部22の挿入を補助するため、オーバーチューブを用いることも好適である。
【0064】
図31に示すように、バルーン留置具216は、外シース(プッシャ)222と、内シース224と、導電性を有する針部材226と、バルーン付きカテーテル228と、操作部230とを備えている。操作部230は、外シース222に連結された外シース操作部232と、内シース224に連結された内シース操作部234と、針部材226に連結された非導電性の針部材操作部236とを備えている。外シース操作部232と内シース操作部234との間、および、内シース操作部234と針部材操作部236との間には、それぞれの間の操作を防止するためのストッパネジ238a,238bが配設されている。なお、針部材操作部236には、針部材226に高周波電流を流すために高周波電源を着脱可能なコネクタ236aが配設されている。
【0065】
内シース224の先端部の外周面であって、外シース222の先端側の位置には、バルーン付きカテーテル228が着脱可能に配設されている。図31および図32に示すように、内シース224の先端には、径方向外方に突出されたフランジ部240が形成されている。フランジ部240は、複数の爪部240aと、爪部240a間に形成されたスリット240bとを備えている。図32、図33Aおよび図33Bに示すように、これら爪部240aは径方向内方(内シース224の中心軸方向)に付勢されている。このため、内シース224の先端に針部材226が配設されているときにはバルーン付きカテーテル228が内シース224の先端側から外れることが防止される。一方、内シース224の先端から針部材226が抜かれると、爪部240aが径方向内方に閉じるので、内シース224に対して外シース222を前方に移動させると、バルーン付きカテーテル228が内シース224の先端から外れる。
【0066】
図34および図35に示すように、バルーン付きカテーテル228は、筒状部材242と、1対のバルーン244a,244bとを備えている。先端側のバルーン244aおよび基端側のバルーン244bはそれぞれ別々の管路246a,246bに接続され、別々に膨張/収縮される。これら管路246a,246bの基端には、それぞれコック248a,248bが着脱可能に接続されている。管路246a,246bの基端には、シリンジ250を着脱可能である。
【0067】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
第2の実施の形態で説明したように、超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
バルーン留置具216の針部材操作部236を内シース操作部234に対して基端側に移動させて、針部材226の先端の、内シース224の先端からの突出量を小さくする。
鉗子チャンネル38を通してバルーン留置具216を内視鏡12の挿入部22の先端から突出させる。そして、針部材操作部236を内シース操作部234に対して前方側に移動させて、バルーン留置具216の内シース224の先端から針部材226を突出させる。そして、この針部材226にコネクタ236aから高周波電流を通電する。すると、十二指腸Dおよび総胆管Cの壁面に穿孔が形成される。そして、図36に示すように、この穿孔に沿って、内シース224およびバルーン付きカテーテル228を総胆管Cまで導入する。このとき、特に、シリンジ250を管路246aの基端部に取り付けた後、コック248aを開いて先端側のバルーン244aに気体(空気)または液体(水や生理食塩水)を通して、図37に示すように、そのバルーン244aを膨張させる。そして、コック248aを閉じてシリンジ250を取り外す。
【0068】
そして、バルーン留置具216を全体的に手元側に引き込む。このため、総胆管Cが十二指腸D側に引き込まれる。そして、図38に示すように、基端側のバルーン244bを十二指腸Dの内部に配設した状態で基端側のバルーン244bを膨張させる。このとき、シリンジ250を管路246bの基端部に取り付けた後、コック248bを開いて基端側のバルーン244bに気体または液体を通して、そのバルーン244bを膨張させる。そして、コック248bを閉じてシリンジ250を取り外す。
【0069】
このため、それぞれ膨張した先端側のバルーン244aと基端側のバルーン244bとの間に総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部が狭持される。
【0070】
そして、図39に示すように、針部材226を内シース224から引き抜く。すると、爪部240aが径方向内方に萎む。このため、爪部240aが筒状部材242の先端に対して対向した位置から除去される。そして、外シース222に対して内シース224および針部材226を抜去する。すると、図40に示すように、バルーン付きカテーテル228が十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを貫通し、かつ、2つのバルーン244a,244bでこれら十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを狭持した状態となる。このため、胆汁は総胆管Cから筒状部材242を通して十二指腸D内に排出される。
【0071】
この状態で数日そのままにすると、2つのバルーン244a,244bにより狭持された総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部は癒着する。癒着状態が安定してろう孔が形成された状態で先に先端側のバルーン244aを収縮させる。このとき、シリンジ250を管路246aに取り付けた後、コック248aを開いて先端側のバルーン244aから気体または液体を抜いて、そのバルーン244aを収縮させる。
【0072】
そして、十二指腸D側に筒状部材242を引っ張る。すると、筒状部材242が十二指腸D側に取り出され、図41に示すように、ろう孔Fが残る。そして、基端側のバルーン244bも先端側のバルーン244aと同様に収縮させ、内視鏡12を用いてバルーン付きカテーテル228を回収する。
【0073】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
バルーン付きカテーテル228の先端側バルーン244aと基端側バルーン244bとによって十二指腸Dおよび総胆管Cの壁面を狭持することができる。このため、筒状部材242によってろう孔を確実に形成することができる。
【0074】
なお、この実施の形態では、上述したようにコック248a,248bを着脱可能に設けることとして説明したが、コック248a,248bの代わりに以下のような構成であることも好適である。
【0075】
図42Aおよび図42Bに示すように、バルーン付きカテーテル228は、第1の管路246aが筒状部材242の内腔を通して基端側に延出されている。図43に示すように先端側および基端側のバルーン244a,244bに連通した管路246a,246bの基端部にはそれぞれ逆止弁252a,252bが配設されている。管路246a,246bは、十二指腸Dと総胆管Cとの間にろう孔を形成するときに、その基端部が十二指腸Dの内部に常に配置されるような長さに形成されている。
【0076】
逆止弁252bを通してバルーン244bへの気体(空気)や液体(生理食塩水)などの注入を行う場合、図44に示すように、管路246bに細管254を配設して行う。バルーン244bが膨張した後、逆止弁252bにより空気や生理食塩水が抜けることが防止されているので、膨張した状態が維持される。
【0077】
癒着によりろう孔が形成された後、そのろう孔を残すためにバルーン244bを収縮させる場合、図45Aに示すように、逆止弁252bよりもバルーン244bに近接した位置の管路246bに穴をあける(切り込みを入れる)か、図45Bに示すように、逆止弁252bを含む管路246bを切り落とす。すると、バルーン244a,244bから気体や生理食塩水が漏れ出して収縮する。このとき、第2の管路246bよりも先に第1の管路246aに穴をあけたり、第1の管路246aを切り落とす。そして、先端側のバルーン244aを収縮させてバルーン付きカテーテル228を十二指腸D側に引き出す。その後、基端側のバルーン244bも同様に収縮させて内視鏡12を用いて回収する。
【0078】
このように、逆止弁252a,252bを有する管路246a,246bに接続されたバルーン付きカテーテル228の管路246a,246bの端部を体内に配設したまま、バルーン244a,244bを膨張/収縮させることができる。
【0079】
次に、第5の実施の形態について図46ないし図51を用いて説明する。この実施の形態は第4の実施の形態の変形例であって、第4の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0080】
図46に示すように、バルーン留置具216は、第4の実施の形態と同様に、外シース222と、内シース224と、針部材226と、バルーン付きカテーテル228と、操作部230とを備えている。内シース224の先端部には、先端側が細く薄肉で、その基端側が段差を介して太く厚肉に形成されている。バルーン付きカテーテル228は、内シース224の先端側の細く薄肉の部分の外周面であって、外シース222の先端側の位置に着脱可能に配設されている。
【0081】
図47Aおよび図47Bに示すように、バルーン付きカテーテル228は、第1の筒状部材262aと、第2の筒状部材262bと、第1および第2のバルーン244a,244bとを備えている。第1の筒状部材262aの先端部の外周面には、第1のバルーン244aが配設されている。第1の筒状部材262aの基端部の外周面には、第1のラチェット部264aが形成されている。
【0082】
第2の筒状部材262bの先端部の外周面には、第2のバルーン244bが配設されている。第2の筒状部材262bの先端部の内周面には、第1のラチェット部264aに係合可能な第2のラチェット部264bが形成されている。この第2の筒状部材262bの基端側には、外シース222が配設されている。この外シース222は内シース224に対して相対的に移動可能である。このため、第2の筒状部材262bの基端を先端側に押圧可能である。したがって、内シース224に対する外シース222の移動によって、第1のバルーン244aと第2のバルーン244bとの間の距離を伸縮可能である。そして、第1のラチェット部264aと第2のラチェット部264bとはラチェット係合されているので、軸方向の任意の位置で固定される。
【0083】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0084】
バルーン留置具216の針部材操作部236を内シース操作部234に対して基端側に移動させて、針部材226の先端の、内シース224の先端からの突出量を小さくする。
【0085】
鉗子チャンネル38を通してバルーン留置具216を内視鏡12の挿入部22の先端から突出させる。そして、バルーン留置具216の先端から針部材226を突出させるとともに、この針部材226に高周波電流を通電する。すると、十二指腸Dおよび総胆管Cの壁面に穿孔が形成される。そして、図48に示すように、この穿孔に沿って、内シース224およびバルーン付きカテーテル228を総胆管Cまで導入する。このとき、図49に示すように、特に、先端側の第1のバルーン244aを管路246aに気体または液体を通して膨張させる。
【0086】
そして、バルーン留置具216を全体的に手元側に引き込む。このため、総胆管Cが十二指腸D側に引き込まれる。そして、図50に示すように、基端側のバルーン244bを十二指腸Dの内部に配設した状態で基端側のバルーン244bを膨張させる。このため、先端側の第1のバルーン244aと基端側の第2のバルーン244bとの間に総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部が配設される。
【0087】
そして、内シース224に対して外シース222を前方に移動させる。すると、ラチェット係合しながら第2の筒状部材262bの第2のバルーン244bが第1の筒状部材262aの第1のバルーン244aに近づいていく。このため、図51に示すように、互いに膨張した第1および第2のバルーン244a,244bの近接によって、先端側の第1のバルーン244aと基端側の第2のバルーン244bとの間の総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部が狭持される。
【0088】
その後、針部材226を内シース224から引き抜く。すると、爪部240aが径方向内方に萎む。このため、爪部240aが第1の筒状部材262aの先端に対して対向した位置から除去される。そして、外シース222に対して内シース224を抜去する。すると、バルーン付きカテーテル228が十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを貫通し、かつ、2つのバルーン244a,244bでこれら十二指腸Dの壁面と総胆管Cの壁面とを狭持した状態となる。このため、胆汁は総胆管Cから第1の筒状部材262aを通して十二指腸D内に排出される。
【0089】
この状態で数日そのままにすると、2つのバルーン244a,244bにより狭持された総胆管Cおよび十二指腸Dの壁部は癒着する。癒着状態が安定してろう孔が形成された状態で先に先端側のバルーン244aを収縮させる。そして、十二指腸D側に第1および第2の筒状部材262a,262bを引っ張る。すると、第1および第2の筒状部材262a,262bが十二指腸D側に取り出され、ろう孔が残る。そして、基端側のバルーン244bも収縮させ、内視鏡12を用いてバルーン付きカテーテル228を回収する。
【0090】
その後の作用は第4の実施の形態で説明した作用と同様である。このため、作用の説明を省略する。
【0091】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
先端側のバルーン244aと基端側のバルーン244bとの間の距離を大きくとることができる。すなわち、それぞれ膨張させた先端側のバルーン244aと基端側のバルーン244bとの間に十二指腸Dおよび総胆管の壁面を配置する状態を容易に取ることができる。その後から基端側のバルーン244bを先端側のバルーン244aに近接させることによって、十二指腸Dおよび総胆管の壁面を確実に狭持することができる。したがって、十二指腸Dと総胆管Cとの間を確実に密着させて、より確実にろう孔を形成することができる。
【0092】
次に、第6の実施の形態について図52および図53を用いて説明する。この実施の形態は第4の実施の形態の変形例であって、第4の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0093】
図52に示すように、先端側の第1のバルーン244aと基端側の第2のバルーン244bとの間には、第3のバルーン244cが配設されている。図53に示すように、この第3のバルーン244cの最大外径は第1および第2のバルーン244a,244bの最大外径よりも小さく形成されている。
【0094】
ここで、上述したように、第1および第2のバルーン244a,244bは、総胆管Cの壁面と十二指腸Dの壁面とを狭持するために用いられる。このため、第1および第2のバルーン244a,244b間の第3のバルーン244cは、ろう孔を広げるために用いられる。そうすると、第3のバルーン244cを膨張させることによって、ろう孔の孔径を大きくすることができる。
【0095】
次に、第7の実施の形態について図54Aないし図59を用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0096】
内視鏡システム10は、電子コンベックス型超音波内視鏡12と、超音波観察用穿刺針116(図22参照)とを備えている。図54Aおよび図55に示すように、この穿刺針116の針管146には、その長手軸方向に沿って側孔312が形成されている。図54Aおよび図54Bに示すように、針管146には、この側孔312から紐状部材324付きの磁石(第1の磁石)322が着脱可能に配設されている。この磁石322は、先端部の外周面に支点部326が形成されている。この支点部326は、側孔312の先端に当接されて、その側孔312の先端を支点として回動可能である。一方、磁石322は、基端部であって、側孔312の基端の対向する側には、斜面部328が形成されている。この斜面部328は、挿脱可能なスタイレット148の先端を当接させることにより、磁石322を容易に支点部326を支点として回動させながら外方に排出可能であるように形成されている。すなわち、斜面部328は、磁石322を支点部326を支点として側孔312から脱落させようとする際に力を作用する部分である。
【0097】
なお、内視鏡12によって体腔内に運ばれる後述する第2の磁石330は、第1の磁石322の複数の面のうち、最も大きい面を覆う面積を有するように形成されている。
【0098】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0099】
スタイレット148を抜去した状態の超音波観察用穿刺針116の針管146で十二指腸Dおよび総胆管Cを貫通する。そして、針管146にスタイレット148を入れて、磁石322の斜面部328をスタイレット148の先端で押圧する。すると、図56に示すように、磁石322の支点部326によって磁石322が回動して針管146の外部に排出される。このとき、磁石322に連結された紐状部材324は、十二指腸Dおよび総胆管Cを貫通した状態を維持しつつ、紐状部材324の基端は、十二指腸D側に残される。そして、針管146を十二指腸Dおよび総胆管Cから引き抜くとともに、超音波観察用穿刺針116を内視鏡12の鉗子チャンネル38から引き抜く。
【0100】
そして、図57に示すように、新たに第2の磁石330を先端に把持した処置具(把持鉗子)332を鉗子チャンネル38から十二指腸Dの内部に導入する。そして、内視鏡12による光学観察により第1の磁石322に連結された紐状部材324の存在を認識する。
【0101】
第2の磁石330を十二指腸D内に配置することにより、第1の磁石322と第2の磁石330とが磁石による引力により引き合う。このため、図58に示すように、第1および第2の磁石322,330の作用によって、総胆管Cと十二指腸Dとの外壁同士が密着する。このとき、第1の磁石322に連結された紐状部材324を操作することにより、磁石322,330の位置を調整可能である。そして、第1の磁石322と第2の磁石330とによって狭持された部分は磁石322,330同士の引力による圧迫により虚血する。このような虚血が長く続くことによりその部分の組織が壊死する。このとき、第1の磁石322よりも第2の磁石330の方が面積が大きく、第1の磁石322と総胆管Cの内壁とが密着した部分のみが圧迫されているので、その部分の組織が壊死する。
【0102】
そして、その壊死した部分にろう孔Fが形成される。このとき、第1の磁石322よりも第2の磁石330の方が面積が大きく形成されているので、第1の磁石322はろう孔Fを通過するが、第2の磁石330はろう孔Fを通過することができない。このため、図59に示すように、第1および第2の磁石322,330は磁石同士の引力を及ぼしあった状態(くっついた状態)で十二指腸D側に脱落する。そして、総胆管Cと十二指腸Dとが癒着してろう孔Fが維持される。
【0103】
なお、第1の磁石322には、紐状部材324が連結されているので、脱落した第1および第2の磁石322,330は、十二指腸Dの内部で引っ掛けられた状態にある。このため、内視鏡12の鉗子チャンネル38を挿通させた紐状部材324を十二指腸D側に引っ張って総胆管Cと十二指腸Dの壁面から紐状部材324を抜く。そして、このまま内視鏡12で磁石322,330を回収するか、十二指腸D内に落下させて排出させる。
【0104】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
第1の磁石322を第2の磁石330よりも小さく形成したので、虚血により壊死させる部分を第1の磁石322と総胆管Cとが密着した領域に制限することができる。このため、第2の磁石330が総胆管C側に脱落することを防止することができる。
【0105】
次に、第8の実施の形態について図60ないし図76を用いて説明する。この実施の形態は第7の実施の形態の変形例であって、第7の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0106】
図60に示すように、内視鏡システム10は、電子コンベックス型超音波内視鏡12と、磁石セット留置具416とを備えている。
【0107】
図61に示すように、磁石セット留置具416は、外シース422と、プッシャ(内シース)424と、操作部426と、フック428aを先端に有するワイヤ428とを備えている。外シース422、プッシャ424、ワイヤ428は、内視鏡12の鉗子チャンネル38を挿通したときに、内視鏡12の挿入部22の曲がり具合に伴って曲げられる可撓性を備えている。プッシャ424は、例えば金属材製のコイルなどにより形成されている。
【0108】
操作部426は、操作部本体432と、この操作部本体432に対してスライド可能なスライダ(フック操作部)434とを備えている。操作部本体432の先端には、管状のプッシャ424が固定されている。外シース422は、プッシャ424の外周に配設されている。ワイヤ428はプッシャ424の内部に挿通され、ワイヤ428の基端は、スライダ434に固定されている。
【0109】
ワイヤ428の先端のフック428aには、図62Aおよび図62Bに示す磁石セット440が配設される。図62Aおよび図62Bに示すように、磁石セット440は、ループ状の紐状部材442と、この紐状部材442によって並設された複数の磁石444と、磁石444が紐状部材442から抜けることを防止するストッパ446とを備えている。図62Bに示すように、磁石セット440は、隣接する磁石444同士が紐状部材442に沿って移動して磁着することによって略円環状となる。
【0110】
ストッパ446は、紐状部材442に沿って移動して、紐状部材442のループ状の部分の大きさを変化させる。このストッパ446は、紐状部材442に対して摩擦力により係合されている。なお、ストッパ446は例えばシリコーンゴム材などにより形成されている。
【0111】
図63Aおよび図63Bに示すように、磁石444は、円盤状や矩形盤状など、種々の形状のものが用いられる。また、図63Bに示す磁石444の中央には、紐状部材442が挿通される四角い空間(円形以外の空間)が形成されている。一方、図63Bに示す磁石444と組み合わせる紐状部材442の横断面は例えば矩形状に形成されている(円形以外に形成されている)。このため、各磁石444は紐状部材442の軸周りに回転することが防止されている。また、図64Aに示すように、各磁石444の先端面側および基端面側に膨らみを持たせることによって、図64Bに示すように、磁石444同士の連結を維持した状態で磁石444同士を適当な方向に曲げることが可能である。
【0112】
また、図65に示すように、各磁石444は、互いに隣接する複数の磁石444同士が磁着したときに円環状となるように、内周側の弦や円弧(円周)が外周側の弦や円弧(円周)に比べて短く形成されていることが好適である。この場合、ストッパ446を紐状部材442の先端側に移動させて磁石444同士が紐状部材442に沿って磁着すると、次第に円環状となる。このため、磁石セット440は略円環状に丸められる。そして、内周側の弦と外周側の弦との比を適宜に設定することにより、円環状となる磁石群の直径を規定することができる。
【0113】
次に、この実施の形態に係る磁石セット留置具416の作用について説明する。ここでは、図62Aおよび図62Bに示す磁石セット440を用いる場合について説明する。
【0114】
まず、図66Aに示すように、磁石セット440を磁石セット留置具416の外シース422の先端に対して引き込んだ状態で配設しておく。このとき、複数の磁石444は紐状部材442によって直線状に並設されている。
【0115】
図66Bに示すように、この状態で、磁石セット留置具416の外シース422をプッシャ424に対して引き込むと、磁石セット440の紐状部材442の先端およびストッパ446が外に出される。この状態で、図61に示す操作部本体432に対してスライダ434を操作してワイヤ428を手元側に引く。すると、フック428aによって紐状部材442が手元側に引き込まれる。このため、図66Cに示すように、ストッパ446が相対的に前方に移動して、紐状部材442の先端側のループが縮められる。この状態で図61に示すスライダ434を操作してワイヤ428を先端側に移動させる。すると、フック428aがプッシャ424の先端に対して突出する。このため、図66Dに示すように、フック428aとループ状の紐状部材442との係合が外れて磁石セット440が磁石セット留置具416から離される。
【0116】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
超音波内視鏡12の挿入部22の先端を十二指腸Dまで挿入する。そして、超音波画像により総胆管Cの位置を確認する。
【0117】
内視鏡12の鉗子チャンネル38に上述した第2の実施の形態で説明した穿刺針116(図22参照)を用いて十二指腸Dから総胆管Cに穴H1,H2をあけておく。
【0118】
図67に示すように、磁石セット留置具416の外シース422の先端を、穿刺針(図示せず)であけた穴H1,H2を通して総胆管Cの内部に導入する。そして、上述したように、磁石セット440を磁石セット留置具416から離す。すなわち、図68に示すように、総胆管C内に磁石セット440が放出される。そして、磁石セット留置具416を鉗子チャンネル38から抜き取る。
【0119】
その後、磁石セット440の円環状の磁石群によって形成される外径よりも大きい外径を有する第2の磁石を鉗子チャンネル38を通して十二指腸Dの内部に導入する(図57参照)。すると、図69に示すように、磁石セット440は総胆管Cの壁面および十二指腸Dの壁面を介して第2の磁石330に密着する。このため、十二指腸Dと総胆管Cとが密着する。
【0120】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
磁石セット440の複数の磁石444を組み合わせて環状などにすることによって、虚血させる面積を大きくすることができる。そして、環状の部分の内側は磁石444の作用により圧迫していなくても、血液の流れが止められるので、虚血させることができる。このため、壊死させる部分を環状にして、より大きなろう孔を形成することができる。
【0121】
なお、図70に示すように、第1の磁石として磁石444が円環状となる磁石セット440を用い、かつ、円環状の第2の磁石330を用いる。そして、円環状の第2の磁石330と磁石セット(第1の磁石)440の円環状となった磁石444との両者の内側を一時に穿孔針116(図22参照)で穿孔等する。すると、ろう孔が形成され、組織の壊死による開通を待たずに胆汁を直ぐに排出することができる。
【0122】
この実施の形態では、ループ状の紐状部材442を用いる場合について説明したが、図71に示すように、直線状の紐状部材452を用いて磁石444を直線状に並設することも好適である。この場合、紐状部材452の基端には、フック428aに引っ掛けるためのリング452aが形成されている。また、磁石444が紐状部材452の先端から脱落することを防止する例えば球状などの先端ストッパ452bが紐状部材452の先端に配設されている。さらに、先端ストッパ452bとリング452aとの間には磁石444が基端側から脱落することを防止するとともに、先端ストッパ452bと協働して磁石444の可動範囲を規定する基端ストッパ452cが配設されている。なお、基端ストッパ452cは、紐状部材452に沿って移動可能なもの(図72A参照)を用いることも好適である。
【0123】
また、図72Aおよび図72Bに示す磁石セット440に用いられる磁石444は図65に示すものと同様のものが用いられる。このため、図72Aに示す状態からストッパ446を紐状部材452の先端側に移動させると、図72Bに示すように、隣接する磁石444同士が磁着して円環状となる。
【0124】
さらに、図72Cに示すように、ストッパ446に最も近接する磁石444の紐状部材452を通す部分は屈曲されている。このため、磁石444間にストッパ446が入り込む(図72B参照)ことが防止される。すなわち、ストッパ446に最も近接する側の磁石444を通す紐状部材452を、磁石444の外周側の面から延出させることによって、ストッパ446が磁石444の間に配設されることが防止される。そうすると、複数の磁石444が互いに磁着したときに、より円環状に近い形状となる。
【0125】
なお、図73Aに示す磁石456および図73Bに示す非磁性体(スペーサ)458を図73Cに示すように並設させると、図73Dに示すように、大きなC字状の磁石と等価な磁力を得ることができる。すなわち、小さな磁石456を集めて磁力を大きくすることができる。この磁石セット440は、図66Aないし図66Dに示すのと同様に用いられる。このため、各磁石456は磁力が小さく、大きさが小さいものであっても、大きさも適宜に設定可能で、磁力の大きさも設定可能な磁石セット440を得ることができる。
【0126】
図74Aに示す棒状の磁石462を磁着させると、磁石セット440は、図74Bに示すように、図74Aに示す磁石462の2つ分の磁力を有する1つの磁石と略等価となる。したがって、小型の磁石462を所定の向きと位置関係を維持して相互に連結すると、細い管腔や狭窄部を介して大型の磁石を留置することができるのと同じ効果を得ることができる。
【0127】
なお、この実施の形態では、一方の管腔(第1の管腔)から他方の管腔(第2の管腔)のそれぞれの壁面を穿孔して磁石セット440を総胆管Cの内部に放出する場合について説明したが、これには、いくつかの他のやり方がある。
【0128】
図75に示すように、例えば、内視鏡12を操作して、磁石セット留置具416の先端を十二指腸Dの乳頭Pから総胆管Cの内部に導入する。そして、磁石セット留置具416を操作して磁石セット440を総胆管Cの内部に排出する。その後、同様に、十二指腸D内に第2の磁石330を導入する。このため、磁石セット440の磁石444と十二指腸D内の第2の磁石330とが磁着する。
【0129】
磁石セット440を総胆管Cの内部に放出するには、さらに他のやり方がある。
図76には、経皮経肝胆管ドレナージ(PCTD)を示す。これは、体外から腹部の体壁Wを通して総胆管Cに配設したチューブ466から胆汁を排出する方法である。
【0130】
このチューブ466に磁石セット留置具416を挿入して、胆管C内に磁石セット440を放出する。そして、内視鏡12の挿入部22を経口的に十二指腸Dに導入して、第2の磁石330と磁石セット440の磁石444とを磁着させる。
【0131】
次に、第9の実施の形態について図77Aないし図83Gを用いて説明する。この実施の形態は第8の実施の形態の変形例であって、第8の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0132】
図77Aに示すように、磁石セット留置具416は、シース472と、プッシャ474と、操作部476とを備えている。操作部476は、操作部本体482と、操作部本体482に沿ってスライド可能なスライダ484とを備えている。
【0133】
図77Aおよび図77Bに示すように、シース472は内径が異なる2つのルーメン(ダブルルーメン)486a,486bを備えている。内径が大きい方の第1のルーメン486aには、プッシャ474が操作部476のスライダ484に連結された状態で配設されている。第1のルーメン486aよりも内径が小さい第2のルーメン486bには、紐状部材452が挿通されている。そして、第2のルーメン486bの基端部には、紐状部材452の基端部側が磁石セット留置具416の外側に延出される側孔488が形成されている。
【0134】
図78に示すように、磁石セット留置具416には、磁石セット440が配設されている。磁石セット留置具416の第1のルーメン486aには、紐状部材452に挿通された状態で、磁石492、先端ストッパ494、後端ストッパ496、および、スペーサ498が配設されている。 さらに、後端ストッパ496には、プッシャ474の先端が当接されている。なお、紐状部材452は、シース472の先端を通して第1のルーメン486aと第2のルーメン486bとを接続している。先端ストッパ494は、シース472の先端よりも基端側に引き込まれた状態でシース472(第1のルーメン486a)に仮固定されている。このため、後述するように、シース472に対する先端ストッパ494の仮固定は簡単に解除される。
【0135】
図79に示すように、磁石492は、S極とN極とを結ぶ方向に紐状部材452が挿通される貫通穴492aが形成されている。そして、磁石492の貫通穴492aの一端(図79中の左端部)は、その縁部がテーパ状に形成されている。すなわち、各磁石492の貫通穴492aの一端は、座ぐり状に形成されている。
【0136】
図80Aに示すように、複数の磁石492の先端側に配設される先端ストッパ494は、紐状部材452を挿通可能な貫通穴494aが形成されている。この貫通穴494aの一端(図80A中の左端部)には、図80Bに示す楔状部材494bが配設され、大きな力が加えられると、その貫通穴494aの一端に食い込む。このため、先端ストッパ494および楔状部材494bは、先端ストッパ494に楔状部材494bが食い込むような材料で形成されている。なお、先端ストッパ494は、シース472の先端側から第2のルーメン486bの内部に入り込むことを防止するため、第1のルーメン486aを通すが、第2のルーメン486bを通さない大きさに形成されている。
【0137】
図81Aに示すように、複数の磁石492の基端側に配設される基端ストッパ496は、紐状部材452を挿通可能な貫通穴496aが形成されている。この貫通穴496aの一端(図81A中の右端部)には、図81Bに示す楔状部材496bが配設され、大きな力が加えられると、その貫通穴496aの一端に食い込む。このため、基端ストッパ496および楔状部材496bは、基端ストッパ496に楔状部材496bが食い込むような材料で形成されている。なお、基端ストッパ496は、貫通穴496aに挿通された紐状部材452を固定している。
【0138】
図82に示すスペーサ498は、図78に示すように、隣接する磁石492の間に配設されている。このスペーサ498には、紐状部材452を挿通可能な貫通穴498aが形成されている。スペーサ498は、柔軟なシリコーン樹脂材により形成されている。各スペーサ498は、磁石492間に強く押し込まれると、図79に示す磁石492のテーパ状(座ぐり状)の縁部に入り込む。
【0139】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
図83Aに示すように、磁石セット留置具416のシース472の先端を総胆管Cの内部に配設する。そして、プッシャ474をシース472の先端側に押し込む。すると、先端ストッパ494とシース472との仮固定が解除されて先端ストッパ494がシース472の先端に対して突出する。
【0140】
図83Bに示すように、第2のルーメン486b側の紐状部材452を手元側に強く引く。すると、先端ストッパ494はシース472の先端側から第2のルーメン486bには入らず、シース472の先端に仮固定された状態となる。このため、図83Cに示すように、基端ストッパ496と先端ストッパ494との間の距離が縮められる。すなわち、スペーサ498が磁石492の貫通穴492aのテーパ状の縁部に入り込むとともに、図83Dに示すように、隣接する磁石492同士が磁着する。このとき、上述したように、S極およびN極を有する大きな磁石と等価となる(図83E参照)。さらに紐状部材452を引っ張って圧力を加えると、先端ストッパ494および後端ストッパ496の楔状部材494b,496bがそれぞれ先端ストッパ494および後端ストッパ496に食い込む。このため、先端ストッパ494と後端ストッパ496との間の紐状部材452の距離が固定される。
【0141】
図83Fに示すように、プッシャ474をシース472の先端側に押し込んで、一体化させた磁石492をシース472の先端から外側に出す。
【0142】
図83Gに示すように、プッシャ474とシース472とを手元側に抜去する。このため、紐状部材452に固定された磁石が総胆管Cの内部に留置される。なお、紐状部材452の長さが長すぎる場合、切断するなどして調整することができる。
【0143】
この状態で、第7の実施の形態と同様に、生体組織を壊死させて、総胆管Cと十二指腸Dとの間にろう孔を形成する。そして、ろう孔の形成後、磁石492は紐状部材452とともに十二指腸D内に落下する。
【0144】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
内視鏡12の鉗子チャンネル38に磁石セット留置具416を挿通させる際に、スペーサ498によって磁石492同士の磁着が防止されているので、体腔の形状に沿って容易に挿通させることができる。
【0145】
また、磁力の小さい磁石492同士を連結することによって、面積が大きく、且つ、磁力の大きい磁石として用いることができる。
【0146】
このため、内視鏡12の鉗子チャンネル38への挿入時には、それぞれの磁石492がスペーサ498を介して分離しているので挿入し易く、総胆管Cの内部に排出した時点では、磁力および大きさが大きい磁石として排出することができる。
【0147】
次に、第10の実施の形態について図84ないし図85Eを用いて説明する。この実施の形態は第9の実施の形態の変形例であって、第9の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0148】
図84に示す磁石セット留置具416は、第9の実施の形態で説明したシース472とは異なり、1つのルーメン(シングルルーメン)で形成されている。
【0149】
図85Aないし図85Cに示すように、磁石セット440は、紐状部材452から容易に脱落する、生体適合性材料で形成されたスペーサ500が磁石492間に配設されている。このため、磁石492がシース472の先端から突出するにつれて脱落して、隣接する磁石492同士が磁着する。
【0150】
なお、この実施の形態では、第9の実施の形態とは異なり、先端ストッパ494と紐状部材452とは互いに対して固定されているが、基端ストッパ496は紐状部材452に対して可動である。
【0151】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム10の作用について説明する。
図85Aに示すように、磁石セット留置具416のシース472の先端を、十二指腸Dを通して総胆管Cに配設する。
【0152】
図85Bに示すように、プッシャ474をシース472の先端側に移動させる。先端ストッパ494および磁石492がシース472の先端から突出する。すると、スペーサ500が磁石492間から脱落する。このため、図85Cに示すように、隣接する磁石492同士が磁着する。
【0153】
そして、スペーサ500の脱落とともに隣接する磁石492同士が順次磁着する。そして、プッシャ474を前方に移動させて基端ストッパ496の楔状部材と紐状部材452とを係合して固定する。このため、図85Dに示すように、複数の磁石492が磁着されて、磁力が大きい1つの磁石と等価となる。
【0154】
そして、図85Eに示すように、磁石492を総胆管C内に配置した状態で、シース472およびプッシャ474を抜く。脱落したスペーサ500は生体吸収性材料で形成されており、やがて体内に吸収されるため、胆管C内に残ることはない。
【0155】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
磁石セット留置具416は、シングルルーメンのシース472を用いているので、磁石セット留置具416のシース472をダブルルーメンの場合よりも細径化することができる。
【0156】
なお、この実施の形態では、十二指腸Dと総胆管Cとを吻合させる場合について説明したが、胃Sと空腸Jとを吻合させることも可能である。この場合、スペーサ500を直接空腸Jに排出することができるので、生体吸収性材料で形成する必要はない。
【0157】
次に、第11の実施の形態について図86ないし図87Bを用いて説明する。この実施の形態は第10の実施の形態の変形例であって、第10の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0158】
図86に示すように、磁石セット留置具416のシース472には、第1および第2の紐状部材454a,454bが配設されている。
【0159】
図87Aおよび図87Bに示すように、磁石492、先端ストッパ494、後端ストッパ496、プッシャ474には、第1の紐状部材454aが挿通されている。第2の紐状部材454bの先端部には、複数のスペーサ500が所定の間隔ごとに固定されている。このため、第2の紐状部材454bの基端を手元側で把持して、脱落させたスペーサ500を容易に回収することができる。
【0160】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0161】
以上の説明によれば、以下のItemが得られる。
Item1.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第1の管腔の壁面、前記第2の管腔の壁面を通して前記第2の管腔内に穿刺針を穿刺することと、
前記穿刺針を中心軸の位置に配置して前記第1の管腔から第2の管腔に向かってコイル針を前記穿刺針の周りに穿刺して第1の管腔と第2の管腔とを連結することと、
前記コイル針を前記第1の管腔と第2の管腔とを連通した状態で維持することと、
前記コイル針の内側にろう孔を形成することと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item2.Item1に記載のろう孔形成方法であって、
前記コイル針の基端をオーバーチューブの先端に係合した状態で、内視鏡の挿入部の外周に前記オーバーチューブを配置して、前記コイル針を前記第1の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item3.Item2に記載のろう孔形成方法であって、
前記オーバーチューブと前記コイル針との係合を解除する際、前記オーバーチューブをその軸周りに回転させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0162】
Item4.超音波内視鏡であって、
先端部と基端部とを有する細長い挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と
を具備し、
前記挿入部は、前記先端部の先端面に、超音波振動子と、鉗子チャンネル開口部と、対物レンズとを一直線上に有する先端硬質部を備えていることを特徴とする超音波内視鏡。
【0163】
Item5.Item4に記載の超音波内視鏡であって、
前記鉗子チャンネル開口部は、前記先端硬質部の中心軸上に配設され、
前記超音波振動子および前記対物レンズの中心軸は、前記先端硬質部の中心軸に対して略対称の位置にあることを特徴とする超音波内視鏡。
【0164】
Item6.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から第1の管腔外に穿刺針を穿刺することと、
前記穿刺針から第1の管腔と第2の管腔との間に接着剤を排出することと、
前記第1の管腔と第2の管腔とを相対的に相手側に近接させて互いの外壁面同士を接着剤で接着させることと、
前記外壁面同士を接着させた部分の縁部の内側にろう孔を形成することと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item7.Item6に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第2の管腔に向けて前記接着剤を排出する前に、内視鏡の超音波観察機能を用いて前記第2の管腔の位置を認識することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item8.Item6に記載のろう孔形成方法であって、
前記穿刺針を内視鏡を用いて内視鏡的に前記第1の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item9.Item8に記載のろう孔形成方法であって、
前記内視鏡の挿入部の先端部に配設したバルーンに液体を入れて前記バルーンを膨張させて、前記第1の管腔を前記第2の管腔側に移動させて前記第1の管腔と前記第2の管腔とを接着させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item10.Item8に記載のろう孔形成方法であって、
前記内視鏡による超音波観察用の超音波振動とは異なる、より強力な超音波振動を発生させて前記接着剤で接着した部分同士を超音波振動により、より強力に密着させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item11.Item8に記載のろう孔形成方法であって、
前記内視鏡による超音波観察用の超音波振動とは異なる、より強力な超音波振動を発生可能なエネルギー処置具を内視鏡的に配設して、前記接着剤で接着した部分同士を超音波振動により、より強力に密着させることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0165】
Item12.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔から第2の管腔に穿刺針を穿刺することと、
前記穿刺針で穿刺した穿孔部を通して、筒状部材の外周面の先端部に設けられた第1のバルーンを第2の管腔内に配設することと、
前記第1のバルーンを膨張させることと、
前記第1のバルーンを膨張させた状態で前記第2の管腔の内壁を前記第1の管腔側に押圧して、前記第2の管腔を前記第1の管腔側に寄せるとともに、前記筒状部材の外周面の前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンを前記第1の管腔内に配設することと、
前記第2のバルーンを膨張させ、前記第1および第2の管腔の壁面を狭持することと、
前記筒状部材の外周面で穿孔部を維持した状態で、前記第1および第2のバルーンで前記第1および第2の管腔の壁面を狭持して互いに癒着させることと、
前記第1および第2のバルーンを収縮させるとともに、前記筒状部材を前記穿孔部から引き抜いてろう孔を形成することと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item13.Item12に記載のろう孔形成方法であって、
前記穿刺針を内視鏡の鉗子チャンネルを用いて内視鏡的に前記第1の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item14.Item12に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第2の管腔に向けて前記穿刺針を穿刺する前に、内視鏡の超音波観察機能を用いて前記第2の管腔の位置を認識することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item15.Item12に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1および第2のバルーンを膨張させる際、前記第1および第2のバルーンにそれぞれ流体を出入可能に連結された流体管路のうち、前記第1の管腔内に残される部分に設けられた逆止弁によって収縮を防止することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item16.Item15に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1および第2のバルーンを収縮させる場合、前記流体管路の前記逆止弁と前記バルーンとの間の少なくとも一部に切り込みを入れることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0166】
Item17.ろう孔に配設するバルーン付きカテーテルであって、
先端部と基端部とを有する筒状部材と、
前記筒状部材の先端部の外周面に設けられた第1のバルーンと、
前記筒状部材の外周面に、前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンと、
前記第1のバルーンに連結され、前記第1のバルーンに流体を出し入れするための第1の流体管路と、
前記第2のバルーンに連結され、前記第2のバルーンに流体を出し入れするための第2の流体管路と
を具備することを特徴とするカテーテル。
Item18.Item17に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記第2のバルーンは、前記第1のバルーンを前記筒状部材に固定した状態で、前記第1のバルーンに向かって移動可能であることを特徴とするカテーテル。
Item19.Item18に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記筒状部材は、前記第1のバルーンが配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外側に設けられ、前記第2のバルーンが配設された第2の筒状部材とを備え、
前記第1の筒状部材の外周面、および、前記第2の筒状部材の内周面には、互いに係合可能な係合部が設けられていることを特徴とするカテーテル。
Item20.Item17に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記第1および第2のバルーンの間には、前記第1および第2のバルーンの、前記筒状部材の径方向外方への膨張量よりも小さな膨張量を有する第3のバルーンを備えていることを特徴とするカテーテル。
Item21.Item17に記載のバルーン付きカテーテルであって、
前記第1および第2の流体管路は、それぞれ前記第1および第2のバルーンに近接する側に、前記第1および第2のバルーンの膨張を許容し、収縮を防止する逆止弁が配設されていることを特徴とするカテーテル。
【0167】
Item22.第1の管腔と第2の管腔との間にろう孔を形成する、ろう孔形成方法であって、
第1の管腔から第2の管腔内に第1の磁石を配設することと、
前記第1の磁石よりも大きい第2の磁石を前記第1の管腔内に配置して、前記第1および第2の磁石を前記第1および第2の管腔の壁面を狭持させて引力を及ぼさせることと、
前記第1および第2の管腔を第1および第2の磁石の引力による狭持によって壊死させてろう孔を形成することと、
前記第1の磁石を前記ろう孔を通して第1の管腔内に排出し、第1および第2の磁石を第1の管腔内に脱落させることと
を具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item23.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の磁石を内視鏡を用いて内視鏡的に前記第1の管腔から第2の管腔に配設することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item24.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の管腔内から前記第2の管腔に向けて前記第1の磁石を配設する前に、内視鏡の超音波観察機能を用いて前記第2の管腔の位置を認識することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item25.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
前記第1の磁石は、内視鏡により前記第1の管腔から第2の管腔に導くことをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item26.Item22に記載のろう孔形成方法であって、
第1の管腔から第2の管腔内に第1の磁石を配設する際、紐状部材付きの第1の磁石を用い、前記第1の管腔内から第2の管腔内に穿刺針を穿刺して前記第2の管腔内に前記第1の磁石を配設することをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
Item27.Item26に記載のろう孔形成方法であって、
前記第2の管腔を前記第1の管腔側に移動させる際、前記第1の磁石に連結された紐状部材を引っ張ることをさらに具備することを特徴とするろう孔形成方法。
【0168】
Item28.他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具であって、
先端部に針管を有する穿刺針と、
前記針管に設けられた側孔と、
前記側孔から出し入れ可能に設けられた磁石と、
前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記側孔から排出するスタイレットと
を具備することを特徴とする磁石留置具。
Item29.Item28に記載の磁石留置具であって、
前記磁石には、紐状部材が固定されていることを特徴とする磁石留置具。
【0169】
Item30.他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
直線状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材に設けられ、前記磁石が前記紐状部材から脱落することを防止するストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
【0170】
Item31.Item30に記載の磁石セットであって、
前記紐状部材は、前記磁石を軸方向に移動可能で、前記紐状部材の軸周りの回動を規制する回り止め形状を備えていることを特徴とする磁石セット。
Item32.Item30に記載の磁石セットであって、
前記複数の磁石は、内周側の弦が外周側の弦よりも短く形成されていることを特徴とする磁石セット。
Item33.Item30に記載の磁石セットであって、
前記複数の磁石の間には、隣接する磁石同士の磁着を防止するスペーサが配設されていることを特徴とする磁石セット。
Item34.Item33に記載の磁石セットであって、
前記スペーサは、前記磁石に埋設可能であることを特徴とする磁石セット。
Item35.Item33に記載の磁石セットであって、
前記スペーサは、前記磁石間から取り外し可能であることを特徴とする磁石セット。
Item36.Item33に記載の磁石セットであって、
前記スペーサは生体適合性材料で形成されていることを特徴とする磁石セット。
【0171】
Item37.他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
輪状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材を重ねた状態でスライドし、前記磁石が配設された側の紐状部材のループ形状を拡大/縮小可能なストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
Item38.Item37に記載の磁石セットであって、
前記紐状部材は、前記磁石を軸方向に移動可能で、前記紐状部材の軸周りの回動を規制する回り止め形状を備えていることを特徴とする磁石セット。
Item39.Item37に記載の磁石セットであって、
前記複数の磁石は、内周側の弦が外周側の弦よりも短く形成されていることを特徴とする磁石セット。
【符号の説明】
【0172】
22…挿入部、32…先端硬性部、38…鉗子チャンネル、38a…先端開口部、42…電子コンベックス型超音波振動子、44…対物レンズ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部と基端部とを有する細長い挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と
を具備し、
前記挿入部は、前記先端部の先端面に、超音波振動子と、鉗子チャンネル開口部と、対物レンズとを一直線上に有する先端硬質部を備えていることを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
前記鉗子チャンネル開口部は、前記先端硬質部の中心軸上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記鉗子チャンネル開口部は、前記超音波振動子と前記対物レンズとの間に配設されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の超音波内視鏡。
【請求項4】
ろう孔に配設するバルーン付きカテーテルであって、
先端部と基端部とを有する筒状部材と、
前記筒状部材の先端部の外周面に設けられた第1のバルーンと、
前記筒状部材の外周面に、前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンと、
前記第1のバルーンに連結され、前記第1のバルーンに流体を出し入れするための第1の流体管路と、
前記第2のバルーンに連結され、前記第2のバルーンに流体を出し入れするための第2の流体管路と
を具備することを特徴とするバルーン付きカテーテル。
【請求項5】
前記第2のバルーンは、前記第1のバルーンを前記筒状部材に固定した状態で、前記第1のバルーンに向かって移動可能であることを特徴とする請求項4に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項6】
前記筒状部材は、前記第1のバルーンが配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外側に設けられ、前記第2のバルーンが配設された第2の筒状部材とを備え、
前記第1の筒状部材の外周面、および、前記第2の筒状部材の内周面には、互いに係合可能な係合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項7】
前記第1および第2のバルーンの間には、前記第1および第2のバルーンの、前記筒状部材の径方向外方への膨張量よりも小さな膨張量を有する第3のバルーンを備えていることを特徴とする請求項4に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項8】
前記第1および第2の流体管路は、それぞれ前記第1および第2のバルーンに近接する側に、前記第1および第2のバルーンの膨張を許容し、収縮を防止する逆止弁が配設されていることを特徴とする請求項4に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項9】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具であって、
先端部に針管を有する穿刺針と、
前記針管に着脱可能に設けられた磁石と、
前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記針管から排出するスタイレットと
を具備することを特徴とする磁石留置具。
【請求項10】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具であって、
先端部に針管を有する穿刺針と、
前記針管に設けられた側孔と、
前記側孔から出し入れ可能に設けられた磁石と、
前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記側孔から排出するスタイレットと
を具備することを特徴とする磁石留置具。
【請求項11】
前記磁石には、紐状部材が固定されていることを特徴とする請求項9もしくは請求項10に記載の磁石留置具。
【請求項12】
前記磁石を前記針管から排出する際に、前記スタイレットと接触する面が前記スタイレットの移動方向に対して直交する方向から外れていることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1に記載の磁石留置具。
【請求項13】
前記磁石は、前記針管との係合部を有することを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1に記載の磁石留置具。
【請求項14】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
直線状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材に設けられ、前記磁石が前記紐状部材から脱落することを防止するストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
【請求項15】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
輪状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材を重ねた状態でスライドし、前記磁石が配設された側の紐状部材のループ形状を拡大/縮小可能なストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
【請求項16】
前記紐状部材は、前記磁石を軸方向に移動可能で、前記紐状部材の軸周りの回動を規制する回り止め形状を備えていることを特徴とする請求項14もしくは請求項15に記載の磁石セット。
【請求項17】
前記複数の磁石は、隣接する磁石同士が磁着したときに全体として略円弧状となる形状を有することを特徴とする請求項14ないし請求項16のいずれか1に記載の磁石セット。
【請求項18】
前記複数の磁石は、内周側の弦が外周側の弦よりも短く形成されていることを特徴とする請求項14ないし請求項17のいずれか1に記載の磁石セット。
【請求項19】
前記複数の磁石の間には、隣接する磁石同士の磁着を防止するスペーサが配設されていることを特徴とする請求項14に記載の磁石セット。
【請求項20】
前記スペーサは、前記磁石に埋設可能であることを特徴とする請求項19に記載の磁石セット。
【請求項21】
前記スペーサは、前記磁石間から取り外し可能であることを特徴とする請求項19に記載の磁石セット。
【請求項22】
前記スペーサは生体適合性材料で形成されていることを特徴とする請求項19ないし請求項21のいずれか1に記載の磁石セット。
【請求項1】
先端部と基端部とを有する細長い挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と
を具備し、
前記挿入部は、前記先端部の先端面に、超音波振動子と、鉗子チャンネル開口部と、対物レンズとを一直線上に有する先端硬質部を備えていることを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
前記鉗子チャンネル開口部は、前記先端硬質部の中心軸上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記鉗子チャンネル開口部は、前記超音波振動子と前記対物レンズとの間に配設されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の超音波内視鏡。
【請求項4】
ろう孔に配設するバルーン付きカテーテルであって、
先端部と基端部とを有する筒状部材と、
前記筒状部材の先端部の外周面に設けられた第1のバルーンと、
前記筒状部材の外周面に、前記第1のバルーンの基端側に設けられた第2のバルーンと、
前記第1のバルーンに連結され、前記第1のバルーンに流体を出し入れするための第1の流体管路と、
前記第2のバルーンに連結され、前記第2のバルーンに流体を出し入れするための第2の流体管路と
を具備することを特徴とするバルーン付きカテーテル。
【請求項5】
前記第2のバルーンは、前記第1のバルーンを前記筒状部材に固定した状態で、前記第1のバルーンに向かって移動可能であることを特徴とする請求項4に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項6】
前記筒状部材は、前記第1のバルーンが配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外側に設けられ、前記第2のバルーンが配設された第2の筒状部材とを備え、
前記第1の筒状部材の外周面、および、前記第2の筒状部材の内周面には、互いに係合可能な係合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項7】
前記第1および第2のバルーンの間には、前記第1および第2のバルーンの、前記筒状部材の径方向外方への膨張量よりも小さな膨張量を有する第3のバルーンを備えていることを特徴とする請求項4に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項8】
前記第1および第2の流体管路は、それぞれ前記第1および第2のバルーンに近接する側に、前記第1および第2のバルーンの膨張を許容し、収縮を防止する逆止弁が配設されていることを特徴とする請求項4に記載のバルーン付きカテーテル。
【請求項9】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具であって、
先端部に針管を有する穿刺針と、
前記針管に着脱可能に設けられた磁石と、
前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記針管から排出するスタイレットと
を具備することを特徴とする磁石留置具。
【請求項10】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石を留置する磁石留置具であって、
先端部に針管を有する穿刺針と、
前記針管に設けられた側孔と、
前記側孔から出し入れ可能に設けられた磁石と、
前記針管の基端部に着脱可能で、挿入によって前記磁石を前記側孔から排出するスタイレットと
を具備することを特徴とする磁石留置具。
【請求項11】
前記磁石には、紐状部材が固定されていることを特徴とする請求項9もしくは請求項10に記載の磁石留置具。
【請求項12】
前記磁石を前記針管から排出する際に、前記スタイレットと接触する面が前記スタイレットの移動方向に対して直交する方向から外れていることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1に記載の磁石留置具。
【請求項13】
前記磁石は、前記針管との係合部を有することを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1に記載の磁石留置具。
【請求項14】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
直線状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材に設けられ、前記磁石が前記紐状部材から脱落することを防止するストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
【請求項15】
他の磁石と生体組織の壁面を介して磁着する磁石セットであって、
輪状の紐状部材と、
前記紐状部材が挿通されて並設された複数の磁石と、
前記紐状部材を重ねた状態でスライドし、前記磁石が配設された側の紐状部材のループ形状を拡大/縮小可能なストッパと
を具備することを特徴とする磁石セット。
【請求項16】
前記紐状部材は、前記磁石を軸方向に移動可能で、前記紐状部材の軸周りの回動を規制する回り止め形状を備えていることを特徴とする請求項14もしくは請求項15に記載の磁石セット。
【請求項17】
前記複数の磁石は、隣接する磁石同士が磁着したときに全体として略円弧状となる形状を有することを特徴とする請求項14ないし請求項16のいずれか1に記載の磁石セット。
【請求項18】
前記複数の磁石は、内周側の弦が外周側の弦よりも短く形成されていることを特徴とする請求項14ないし請求項17のいずれか1に記載の磁石セット。
【請求項19】
前記複数の磁石の間には、隣接する磁石同士の磁着を防止するスペーサが配設されていることを特徴とする請求項14に記載の磁石セット。
【請求項20】
前記スペーサは、前記磁石に埋設可能であることを特徴とする請求項19に記載の磁石セット。
【請求項21】
前記スペーサは、前記磁石間から取り外し可能であることを特徴とする請求項19に記載の磁石セット。
【請求項22】
前記スペーサは生体適合性材料で形成されていることを特徴とする請求項19ないし請求項21のいずれか1に記載の磁石セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図43】
【図44】
【図45A】
【図45B】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54A】
【図54B】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62A】
【図62B】
【図63A】
【図63B】
【図64A】
【図64B】
【図65】
【図66A】
【図66B】
【図66C】
【図66D】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72A】
【図72B】
【図72C】
【図73A】
【図73B】
【図73C】
【図73D】
【図74A】
【図74B】
【図75】
【図76】
【図77A】
【図77B】
【図78】
【図79】
【図80A】
【図80B】
【図81A】
【図81B】
【図82】
【図83A】
【図83B】
【図83C】
【図83D】
【図83E】
【図83F】
【図83G】
【図84】
【図85A】
【図85B】
【図85C】
【図85D】
【図85E】
【図86】
【図87A】
【図87B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図43】
【図44】
【図45A】
【図45B】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54A】
【図54B】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62A】
【図62B】
【図63A】
【図63B】
【図64A】
【図64B】
【図65】
【図66A】
【図66B】
【図66C】
【図66D】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72A】
【図72B】
【図72C】
【図73A】
【図73B】
【図73C】
【図73D】
【図74A】
【図74B】
【図75】
【図76】
【図77A】
【図77B】
【図78】
【図79】
【図80A】
【図80B】
【図81A】
【図81B】
【図82】
【図83A】
【図83B】
【図83C】
【図83D】
【図83E】
【図83F】
【図83G】
【図84】
【図85A】
【図85B】
【図85C】
【図85D】
【図85E】
【図86】
【図87A】
【図87B】
【公開番号】特開2012−210429(P2012−210429A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136170(P2012−136170)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2007−211472(P2007−211472)の分割
【原出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2007−211472(P2007−211472)の分割
【原出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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