説明

神経型ニコチン性アセチルコリン受容体リガンドとしての3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン

本発明は、神経型ニコチン性アセチルコリン受容体(NNR)に結合し、その活性を調節する化合物、これらの化合物の調製方法、これらの化合物を含む医薬組成物、及び中枢神経系(CNS)の機能不全に関連するものを含む広範な種類の状態及び障害を治療するためのこれらの化合物の使用方法に関する。本発明は、α4β2サブタイプ若しくはα6含有サブタイプのどちらかのNNR、又は両方のNNRサブタイプに高い親和性で結合する化合物を包含する。式I(式中、各mは、同一であり、0又は1であり、各nは、同一であり、0又は1であり、各mが0である場合、各nは1であり、各mが1である場合、各nは0であり、R1は、-C(O)-R3、-C(O)O-R3、-C(O)NH-R3、-C(O)-(CH2)q-X-R3、-C(O)O-(CH2)q-X-R3、又は-C(O)NH-(CH2)q-X-R3であり、qは、1、2、3、4、5又は6であり、Xは、-O-、-S-、-NH-、又は-NHC(O)-であり、R2は、H又はアルキルであり、R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環である)。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経型ニコチン性アセチルコリン受容体に結合しその活性を調節する化合物、これらの化合物の調製方法、これらの化合物を含む医薬組成物、及び中枢神経系(CNS)の機能不全に関連するものを含む広範な種類の状態及び障害を治療するためのこれらの化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)としても知られている神経型ニコチン受容体(NNR)を標的とする化合物の治療可能性は、いくつかの検討の対象となっている。例えば、Arnericら、Biochem.Pharmacol.74:1092(2007)、Breiningら、Ann.Rep.Med.Chem.40:3(2005)、Hogg及びBertrand、Curr.Drug Targets:CNS Neurol.Disord.3:123(2004)、Suto及びZacharias、Expert Opin.Ther.Targets 8:61(2004)、Daniら、Bioorg.Med.Chem.Lett.14:1837(2004)、Bencherif及びSchmitt、Curr.Drug Targets:CNS Neurol.Disord.1:349(2002)、Yangら、Acta Pharmacol.Sin.30(6):740-751(2009)を参照されたい。NNRリガンドが治療薬として提案されている種々の適応症の中には、アルツハイマー病、注意欠陥障害及び統合失調症をはじめとする認知障害(Bitonら、Neuropsychopharm.32:1(2007)、Boessら、J.Pharmacol.Exp.Ther.321:716(2007)、Hajosら、J.Pharmacol.Exp.Ther.312:1213(2005)、Newhouseら、Curr.Opin.Pharmacol.4:36(2004)、Levin及びRezvani、Curr.Drug Targets:CNS Neurol.Disord.1:423(2002)、Grahamら、Curr.Drug Targets:CNS Neurol.Disord.1:387(2002)、Ripollら、Curr.Med.Res.Opin.20(7):1057(2004)、及びMcEvoy及びAllen、Curr.Drug Targets:CNS Neurol.Disord.1:433(2002))、疼痛及び炎症(Deckerら、Curr.Top.Med.Chem.4(3):369(2004)、Vincler、Expert Opin.Invest.Drugs 14(10):1191(2005)、Jain、Cu
rr.Opin.Inv.Drugs 5:76(2004)、Miaoら、Neuroscience 123:777(2004))、うつ病及び不安(Shytleら、Mol.Psychiatry 7:525(2002)、Damajら、Mol.Pharmacol.66:675(2004)、Shytleら、Depress.Anxiety 16:89(2002))、神経変性(O'NeillらCurr.Drug Targets:CNS Neurol.Disord.1:399(2002)、Takataら、J.Pharmacol.Exp.Ther.306:772(2003)、Marreroら、J.Pharmacol.Exp.Ther.309:16(2004))、パーキンソン病(Bordiaら、J Pharmacol.Exp.Ther.327:239(2008)、Jonnala及びBuccafusco、J.Neurosci.Res.66:565(2001))、嗜癖(Dwoskin及びCrooks、Biochem.Pharmacol.63:89(2002)、Coeら、Bioorg.Med.Chem.Lett.15(22):4889(2005))、肥満(Liら、Curr.Top.Med.Chem.3:899(2003))、及びトゥレット症候群(Saccoら、J.Psychopharmacol.18(4):457(2004)、Youngら、Clin.Ther.23(4):532(2001))がある。
【0003】
中枢及び末梢神経系の両方において、nAChRサブタイプの不均一な分布が存在する。例えば、α4β2サブタイプ、α6含有サブタイプ、α7サブタイプ、及びα3β2サブタイプは脊椎動物の脳において優位であり、一方、α3β4サブタイプは自律神経節で優位であり、α1β1δγ及びα1β1δεサブタイプは神経筋接合部で優位である(Dwoskinら、Exp.Opin.Ther.Patents 10:1561(2000)及びHollidayら、J.Med.Chem.40(26):4169(1997)を参照されたい)。CNSで優位なサブタイプを選択的に標的とする化合物は、各種のCNS障害の治療において潜在的有用性を有する。しかし、一部のニコチン系化合物は、それらが、筋肉及び神経節中に位置する受容体よりもCNSの受容体を優先的に標的とするのに必要とされる選択性を欠くことによって制限される。このような薬物は、しばしば、種々の望ましくない副作用を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、例えば心血管及び骨格筋の部位においてはっきりと感知できる活性を含め、望ましくない副作用を誘導する潜在的可能性を有するそれらの受容体サブタイプに重大な影響を及ぼすことなく、有益な効果を誘発するのに十分に高い程度のnAChRサブタイプへの特異性をその化合物が呈示する、種々の状態又は障害を予防又は治療するための化合物、組成物、及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、α4β2サブタイプ若しくはα6含有サブタイプのどちらかのNNR、又は両方のNNRサブタイプに高い親和性で結合する化合物を包含する。本発明は、また、これらの化合物から調製される薬学的に許容される塩に関する。
【0006】
本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を包含する。本発明の医薬組成物は、広範な種類の状態又は障害、とりわけニコチン性アセチルコリン受容体よって仲介されるそれらの障害を治療又は予防するのに使用することができる。
【0007】
本発明は、このような治療を必要とする哺乳動物における、ニコチン性アセチルコリン受容体によって仲介される障害を治療する、予防する、発症を遅延させる、又は進行を減速させる方法を包含する。該方法は、対象に治療有効量の本発明の化合物(その塩を含む)、又はこのような化合物を含む医薬組成物を投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】48時間の前処置、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、TH陽性ニューロンに対する化合物A(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す図である。
【図2】48時間の前処置、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、全TH神経突起長に対する化合物A(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す図である。
【図3】48時間の前処置、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、TH陽性ニューロンに対する化合物B(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す図である。
【図4】48時間の前処置、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、全TH神経突起長に対する化合物B(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す図である。
【図5】48時間の前処置、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、TH陽性ニューロンに対するBDNF(50ng/ml)及びニコチン(10nM)の用量効果曲線を示す図である。
【図6】48時間の前処置、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、全TH神経突起長に対するBDNF(50ng/ml)及びニコチン(10nM)の用量効果曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I.化合物
本発明は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を包含する:
【化1】

【0010】
(式中、
各mは、同一であり、0又は1であり、
各nは、同一であり、0又は1であり、
各mが0である場合、各nは1であり、
各mが1である場合、各nは0であり、
R1は、
-C(O)-R3
-C(O)O-R3
-C(O)NH-R3
-C(O)-(CH2)q-X-R3
-C(O)O-(CH2)q-X-R3、又は
-C(O)NH-(CH2)q-X-R3であり、
qは、1、2、3、4、5又は6であり、
Xは、-O-、-S-、-NH-、又は-NHC(O)-であり、
R2は、H又はアルキルであり、
R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
各R3は、独立に、一つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、又はアルキルアミド置換基で置換されていてもよく、
但し、式Iは、次の化合物:
3-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
6-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
6-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
を包含しない)。
【0011】
本発明は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を包含する:
【化2】

【0012】
(式中、
各mは、同一であり、0又は1であり、
各nは、同一であり、0又は1であり、
各mが0である場合、各nは1であり、
各mが1である場合、各nは0であり、
R1は、
-C(O)-R3A
-C(O)O-R3B
-C(O)NH-R3C
-C(O)-(CH2)q-X-R3C
-C(O)O-(CH2)q-X-R3C、又は
-C(O)NH-(CH2)q-X-R3Cであり、
qは、1、2、3、4、5又は6であり、
Xは、-O-、-S-、-NH-、又は-NHC(O)-であり、
R2は、H又はアルキルであり、
R2がHである場合、R3Aは、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
R2がアルキルである場合、R3Aは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
R2がHであり、各mが0であり、各nが1である場合、R3Bは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
R2がHであり、各mが1であり、各nが0である場合、又はR2がアルキルである場合、R3Bは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
各R3Cは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
各R3は、独立に、一つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、又はアルキルアミド置換基で置換されていてもよい)。
【0013】
一実施形態において、化合物は、
3-メチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-イソプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-プロポキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-イソプロポキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン:
3-メトキシエトキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2-フルオロエトキシ)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2-ブロモフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(3-ブロモフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(3-クロロフラン-2-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(イソオキサゾール-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2-メトキシエチル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2,2,2-トリフルオロエチル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(テトラヒドロフラン-3-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-(2-クロロフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-(2-ブロモロフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-シクロブチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-(2-メトキシエチル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
cis-3-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
trans-3-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
cis-6-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;及び
trans-6-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
からなる群から選択されるか、又はその薬学的に許容される塩である。
【0014】
一実施形態において、本発明は、化合物3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(化合物A)又はその薬学的に許容される塩である。
【0015】
本発明の一態様は、本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を包含する。
【0016】
本発明の一態様は、本発明の化合物の投与を含む、神経型ニコチン受容体によって仲介される疾患又は状態を治療又は予防する方法を包含する。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α4β2サブタイプである。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α6含有サブタイプである。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α4β2及びα6含有サブタイプの組合せである。
【0017】
本発明の一態様は、本発明の化合物の投与を含む、神経型ニコチン受容体によって仲介される疾患又は状態を治療又は予防するための薬剤を調製するための、本発明の化合物の使用を包含する。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α4β2サブタイプである。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α6含有サブタイプである。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α4β2及びα6含有サブタイプの組合せである。
【0018】
本発明の一態様は、活性な治療物質として使用するための本発明の化合物を包含する。一態様は、したがって、本発明の化合物の投与を含む、神経型ニコチン受容体によって仲介される疾患又は状態の治療又は予防で使用するための本発明の化合物を包含する。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α4β2サブタイプである。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α6含有サブタイプである。一実施形態において、神経型ニコチン受容体は、α4β2及びα6含有サブタイプの組合せである。
【0019】
本発明の範囲には、態様及び実施形態のすべての組合せが包含される。
【0020】
以下の定義は、定義される用語を明確にすることを意味するが、特定するものではない。本明細書中で使用される個々の用語が明確に定義されていない場合、このような用語は、不確定と見なすべきでない。そうではなく、用語は、それらの一般に是認された意味の範囲内で使用される。
【0021】
本明細書全体において使用する場合、原子、例えば炭素原子の好ましい数は、例えば、表現「Cx〜yアルキル」で表され、その表現は、指定数の炭素原子を含む本明細書中で定義されるアルキル基を指す。同様の用語法は、他の好ましい用語及び範囲に対しても適用される。したがって、例えば、C1〜6アルキルは、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素を表す。
【0022】
本明細書中で使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖の炭化水素を指し、それは、任意選択により置換されていてもよく、多様な置換度が許容される。本明細書中で使用される「アルキル」の例には、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及びn-ペンチルが含まれる。
【0023】
本明細書中で使用する場合、用語「シクロアルキル」は、完全飽和の、置換されていてもよい単環式、二環式、又は架橋された炭化水素環を指し、多様な置換度が許容される。本明細書中で使用される典型的な「シクロアルキル」基には、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが含まれる。
【0024】
本明細書中で使用する場合、用語「複素環」又は「ヘテロシクリル」は、一つ又は複数の不飽和度を含んでいてもよく、また一つ又は複数のヘテロ原子を含む、任意選択により置換されていてもよい単環式又は多環式環系を指し、それは、任意選択により置換されていてもよく、多様な置換度が許容される。典型的なヘテロ原子には、窒素、酸素、又は硫黄原子が含まれ、N-オキシド、硫黄のオキシド及びジオキシドが包含される。好ましくは、環は、3〜12員、好ましくは3〜8員であり、完全飽和であるか、或いは一つ又は複数の不飽和度を有する。このような環は、一つ又は複数の別の複素環式環又はシクロアルキル環に任意選択により縮合されていてもよい。本明細書中で使用される「複素環」基の例には、限定はされないが、テトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、及びテトラヒドロチオフェンが含まれる。
【0025】
本明細書中で使用する場合、用語「アリール」は、単一のベンゼン環又は縮合ベンゼン環系を指し、それらは、任意選択により置換されていてもよく、多様な置換度が許容される。使用される「アリール」基の例には、限定はされないが、フェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、アントラセン、及びフェナントレンが含まれる。好ましいアリール環は、5〜10員を有する。
【0026】
本明細書中で使用する場合、用語「アリール」の範囲内に包含される縮合ベンゼン環系は、縮合多環式炭化水素、すなわち、環式炭化水素が最大数未満の非累積二重結合を有するもの、例えば、飽和炭化水素環(シクロペンチル環などのシクロアルキル)が、芳香族環(ベンゼン環などのアリール)と縮合して、例えば、インダニル及びアセナフタレニルなどの基を形成しているものを含み、また、非限定的例としてジヒドロナフタレン及びテトラヒドロナフタレンなどの基を含む。
【0027】
本明細書中で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、単環式の5〜7員芳香族環、又は二つのこのような芳香族環を含む縮合二環式芳香族環系を指し、それらは、任意選択により置換されていてもよく、多様な置換度が許容される。好ましくは、このような環は、5〜10員を含む。これらのヘテロアリール環は、一つ又は複数の窒素、硫黄及び/又は酸素原子を含み、ここで、N-オキシド、硫黄のオキシド及びジオキシドは許容されるヘテロ原子の置換である。本明細書中で使用される「ヘテロアリール」基の例には、限定はされないが、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ベンゾフラン、ベンゾキサゾール、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、及びピラゾロピリミジンが含まれる。
【0028】
本明細書中で使用する場合、多様な置換度には、一つ又は複数のアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、-NRaRb、-C(=O)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-OC(=O)Ra、-O(CRaRb)1〜6C(=O)Ra、-O(CRaRb)dNRbC(=O)Ra、-O(CRaRb)1〜6NRbSO2Ra、-OC(=O)NRaRb、-NRaC(=O)ORb、-SO2Ra、-SO2NRaRb、又は-NR2SO2R3での置換が含まれ、ここで、各Ra及びRbは、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はアリールアルキルであるか、或いはRa及びRbは、それらが結合している原子と一緒になって3〜10員環を形成していてもよい。したがって、一例において、Cyは、まずFなどのハロゲンで、次いで-OCH3などのアルコキシで任意選択により置換されていてもよいピリジニルでもよい。
【0029】
本明細書中で使用する場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0030】
本明細書中で使用する場合、用語「ハロアルキル」は、少なくとも一つのハロゲンで置換されている本明細書中でに定義した通りのアルキル基を指す。本明細書中で使用される分枝鎖又は直鎖の「ハロアルキル」基の例には、限定はされないが、一つ又は複数のハロゲン、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードで独立に置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、及びt-ブチルが含まれる。用語「ハロアルキル」は、-CF3のようなペルフルオロアルキル基などの置換基を包含すると解釈すべきである。
【0031】
本明細書中で使用する場合、用語「アルコキシ」は、基-ORa(ここで、Raは本明細書中で定義した通りのアルキルである)を指す。同様に、用語「アルキルチオ」は、基-SRa(ここで、Raは本明細書中で定義した通りのアルキルである)を指す。
【0032】
本明細書中で使用する場合、用語「アリールオキシ」は、基-ORa(ここで、Raは本明細書中で定義した通りのアリールである)を指す。同様に、用語「アリールチオ」は、基-SRa(ここで、Raは本明細書中で定義した通りのアリールである)を指す。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「アミノ」は、基-NRaRb(ここで、Ra及びRbのそれぞれは、水素である)を指す。さらに、「置換アミノ」は、基-NRaRb(ここで、Ra及びRbのそれぞれは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールである)を指す。本明細書中で使用する場合、Ra又はRbのどちらかが水素以外である場合、このような基を、「置換アミノ」と、又は例えば、RaがHでありRbがアルキルである場合、「アルキルアミノ」と呼ぶことができる。
【0034】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容される」は、担体(複数可)、希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、又は本発明の化合物の塩形態が、該製剤の他の成分と適合性があり、該医薬組成物の受容者に対して有害でないことを指す。
【0035】
本明細書中で使用する場合、用語「医薬組成物」は、一種又は複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と混合されていてもよい本発明の化合物を指す。医薬組成物は、それらの組成物を製造及び商業化の目的に適合させるために、環境条件に対してある程度の安定性を示すことが好ましい。
【0036】
本明細書中で使用する場合、用語「有効量」、「治療量」及び「有効用量」は、所望の薬理又は治療効果を誘発し、したがって障害の効果的治療をもたらすのに十分な本発明の化合物の量を指す。障害の治療は、該障害の発症又は進行を、並びに該障害に付随する症状の発症又は進行を遅延又は予防することを表し得る。障害の治療は、また、症状の軽減又は除去、障害進行の反転、及び患者の健康に対する任意の他の寄与を表し得る。
【0037】
有効用量は、患者の状態、障害の症状の重症度、及び医薬組成物の投与方式などの因子に応じて変更することができる。典型的には、有効用量で投与するには、化合物を5mg/kg(患者体重)未満の量で投与することができる。化合物は、約1mg/kg(患者体重)未満〜約100μg/kg(患者体重)未満、さらには約1μg/kg〜100μg/kg(患者体重)未満の間の量で投与することができる。前記の有効用量は、典型的には、単回投与として、又は24時間にわたって投与できる1回又は複数回の投与として投与できる量を意味する。
【0038】
本発明の化合物は、十分に確立された合成方法を含む、種々の方法によって調製することができる。例示的な一般的合成方法を以下に示し、次いで、本発明の具体的化合物を、実施例において調製する。
【0039】
後記の実施例において、合成化学の一般原理により必須である場合、感受性の又は反応性の基のための保護基が採用される。保護基は、有機合成の標準的方法により操作される(保護基に関する参照として本明細書に組み込まれるT.W.Green及びP.G.M.Wuts(1999)「Protecting Groups in Organic Synthesis」第3版、John Wiley & Sons)。これらの基は、当業者にとって容易に明らかとなる方法を使用して、化合物合成の好都合な段階で除去される。方法及び反応条件の選択、並びにそれらの実行順序は、本発明の化合物の調製と矛盾しないものとする。
【0040】
本発明は、また、本発明の化合物の調製方法に加えて、本発明の化合物の調製において中間体として有用な化合物の合成方法を提供する。
【0041】
化合物は、容易に入手できる出発原料及び試薬を使用して、下記の方法により調製することができる。これらの反応において、当業者にとってそれ自体公知であるが、本明細書中で詳細には説明しない変形形態を採用することができる。
【0042】
また、別途指摘しない限り、本明細書中で描写した構造は、一種又は複数の同位体富化原子が存在する点のみが異なる化合物を包含することを意味する。水素原子が重水素又は三重水素で、又は炭素原子が13C若しくは14Cで富化された炭素で置き換えられていることを除いて、他は示した構造を有する化合物は、本発明の範囲に包含される。例えば、重水素は、生物活性のある化合物の薬物動態及び代謝を調べるのに広範に使用されている。重水素は、化学的観点では水素と同様に挙動するが、重水素-炭素結合と水素-炭素結合の間には、結合エネルギー及び結合距離にかなりの相違が存在する。結果として、生物活性のある化合物における水素の重水素による置き換えは、その生化学的潜在力及び選択性を一般には保持するが、その同位体を含まない対応物に比較して大きく異なる吸収、分布、代謝、及び/又は排泄(ADME)特性を明示する化合物をもたらす可能性がある。したがって、重水素での置換は、薬物の効力、安全性、及び/又は生物活性のある一部の化合物に対する認容性の改善をもたらす可能性がある。
【0043】
本発明の化合物は、一種を超える形態で結晶化させることができ、多形現象として知られる特徴及びこのような多形形態(「多形体」)は、本発明の範囲に包含される。多形現象は、一般に、温度、圧力、又はその両方の変化に対する応答として生じることがある。多形現象は、結晶化プロセスの変動に由来することもある。多形体は、X線回折パターン、溶解度、及び融点などの当技術分野で公知の種々の物理的特徴によって識別することができる。
【0044】
本明細書に記載の特定の化合物は、一つ又は複数のキラル中心を含むか、又はそうでなければ、多様な立体異性体として存在できる可能性がある。本発明の範囲は、立体異性体の混合物、並びに精製されたエナンチオマー、又はエナンチオマー/ジアステレオマーとして富化された混合物を包含する。本発明の式によって表される化合物の個々の異性体、及びその任意の完全若しくは部分平衡混合物も、本発明の範囲に包含される。本発明は、また、一つ又は複数のキラル中心が反転されたその異性体との混合物としての、前記式によって表される化合物の個々の異性体を包含する。
【0045】
化合物が単一のエナンチオマーとして所望される場合、このような化合物は、当技術分野で公知の、立体特異的合成によって、最終生成物又は任意の好都合な中間体の分割によって、或いはキラルクロマトグラフィー法によって得ることができる。最終生成物、中間体、又は出発原料の分割は、当技術分野で公知の任意の適切な方法で実施することができる。例えば、「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley-Interscience,1994)を参照されたい。
【0046】
本発明は、本明細書に記載の化合物の塩又は溶媒和物(塩の溶媒和物などのその組合せを含む)を包含する。本発明の化合物は、溶媒和された、例えば水和された形態、並びに非溶媒和形態で存在することができ、本発明は、すべてのこのような形態を包含する。
【0047】
絶対的ではないが典型的には、本発明の塩は薬学的に許容される塩である。用語「薬学的に許容される塩」に包含される塩は、本発明の化合物の非毒性塩を指す。
【0048】
適切な薬学的に許容される塩の例には、無機酸との付加塩、例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、及び硝酸塩;有機酸との付加塩、例えば、酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸との塩、例えば、アスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩;アルカリ金属との塩、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩;アルカリ土類金属との塩、例えば、マグネシウム塩及びカルシウム塩;アンモニウム塩;有機塩基との塩、例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、及びN,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩;並びに塩基性アミノ酸との塩、例えば、リシン塩及びアルギニン塩が含まれる。塩は、一部の事例において、水和物又はエタノール溶媒和物であり得る。
【0049】
II.一般的合成法
本発明の化合物は、モノ保護型[3.1.1]ヘプチル-ジアザ二環、すなわち二つのアミン官能基の一方が適切な誘導体化によって非反応性にされたものと、適切に活性化されたカルボン酸、クロロホルメート、又はイソチオネート誘導体とのカップリングを介して調製することができる(スキーム1)。
【化3】

【0050】
本発明の化合物を調製するのに使用することのできるいくつかのモノ保護型ジアザ二環(具体的には、スキーム1の化合物1及び2)の調製方法は、Pinnaらの国際公開第2005/108402号(このような合成教示に関して参照により組み込まれる)中に開示されている。有機合成に関わる当業者は、他の適切なモノ保護型ジアザ二環(例えばスキーム1の化合物5)も本発明の化合物を調製するのに使用できることを認識するであろう(例えば、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999)を参照されたい)。
【0051】
本発明のアミドを調製する一つの手段は、適切なN-モノ保護型-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンを適切に官能化されたカルボン酸とカップリングさせ、続いて任意の保護基を除去することである。広範な種類のカルボン酸が市販されている。アミドを生成させるためのアミンとカルボン酸との縮合は、典型的には、適切な活性化剤、例えば、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBPyU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、又は(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(EDCI)を1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と共に使用することを必要とする。他の活性化剤も当業者にとって周知であり、例えば、Kiso及びYajima、「Peptides」39〜91頁、Academic Press、サンディエゴ、カリフォルニア州(1995)を参照されたい。
【0052】
別法として、本発明のアミドは、モノ保護型ジアザ二環を、購入可能であり、又は適切に官能化されたカルボン酸の変換によって調製することのできる適切に官能化された酸クロリドとカップリングすることによって調製することができる。酸クロリドは、適切なカルボン酸を、試薬の中でも塩化チオニル又は塩化オギサリルで処理することによって調製することができる。
【0053】
前記に類似した戦略を、本発明のカルバメート及び尿素を調製するのに使用することができる。簡潔には、本発明のカルバメートは、適切に官能化されたアルキル-、アリール-、又はヘテロアリール-クロロホルメートを適切なN-モノ保護型-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンとカップリングさせ、続いて任意の保護基を除去することによって調製することができる。同様に、適切なN-モノ保護型-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンを適切に官能化されたアルキル-、アリール-、又はヘテロアリール-イソシアネートとカップリングさせ、続いて任意の保護基を除去して、本発明の尿素を調製することができる。
【0054】
当業者によって認識されるように、反応性の補助的官能基を含む特定の出発原料の使用は、カップリング反応の干渉を防止するために、さらなる保護/脱保護ステップを必要とすることがある。このような保護/脱保護ステップは、当技術分野で周知である(例えば、T.W.Green及びP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」第3版、John Wiley & Sons、New York(1999)を参照されたい)。
【0055】
本明細書全体において当業者によって認識されるように、本発明の化合物中の環上の置換基の数及び性質は、立体的に望ましくない組合せを回避するように選択される。
【0056】
有機合成に関わる当業者は、本発明の化合物を生成させる多様な手段、及び各種用途に適した放射性同位体で標識された本発明の化合物を生成させるための手段が存在することを認識するであろう。例えば、11C又は18Fで標識された酸、クロロホルメート、又はイソシアネートと化合物、適切なN-モノ保護型-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンとのカップリング、それに続く前述の任意の保護基の除去は、陽電子放射型断層撮影法で使用するのに適した化合物をもたらす。同様に、3H又は14Cで標識された酸、クロロホルメート、又はイソシアネートと適切なN-モノ保護型-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンとのカップリング、それに続く前述の任意の保護基の除去は、受容体結合及び代謝研究で、又は代替の治療用化合物として使用するのに適した、同位体として改変された化合物をもたらす。
【0057】
III.医薬組成物
本発明の化合物を、そのままの活性化学物質の形態で投与することも可能であるが、医薬組成物又は製剤の形態で投与するのが好ましい。したがって、本発明の一態様は、一種又は複数の式Iの化合物、及び/又はその薬学的に許容される塩、並びに一種又は複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物を含む。本発明の別の態様は、一種又は複数の式Iの化合物、及び/又はその薬学的に許容される塩を一種又は複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と混合するステップを含む医薬組成物の調製方法を提供する。
【0058】
本発明の化合物を投与する方式は、変更することができる。本発明の化合物は、好ましくは経口で投与される。経口投与に好ましい医薬組成物としては、錠剤、カプセル剤、カプセル型錠剤、シロップ剤、溶液剤、及び懸濁剤が挙げられる。本発明の医薬組成物は、時間放出型の錠剤及びカプセル製剤などの放出調節剤形で提供することができる。
【0059】
医薬組成物は、また、注射、すなわち静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、鞘内、及び脳室内を介して投与することができる。静脈内投与は、好ましい注射法である。適切な注射用担体は、当業者に周知であり、5%デキストロース溶液、生理食塩水、及びリン酸緩衝化生理食塩水が挙げられる。
【0060】
製剤は、また、他の手段、例えば、直腸投与を利用して投与することができる。坐剤などの直腸投与に有用な製剤は、当業者に周知である。化合物は、また、吸入によって、例えば、エアロゾルの形態で;ローション形態などの局所で;経皮パッチを利用するなどの経皮で(例えば、Novartis及びAlza社から市販されている技術を使用することによって);粉末注入によって;又は頬側、舌下、又は鼻腔内吸収によって投与することができる。
【0061】
用語「鼻腔内送達」又は「経鼻送達」は、本明細書中で使用する場合、鼻を通した及び鼻内での薬物吸収法を意味する。用語「頬側送達」は、本明細書中で使用する場合、頬の内側、組織を含む頬側を通して吸収するための薬物提供方法を意味する。用語「舌下送達」は、活性薬剤を舌の下へ送達することを意味する。まとめて、これらは経粘膜送達法である。
【0062】
薬物は、鼻道及び口腔中などの粘膜表面を通って吸収され得る。粘膜表面を経由する薬物送達は、それらの表面が皮膚を横切る吸収に対する主な障壁である表皮角質層を欠くので、効率的であり得る。粘膜表面は、また、典型的には血液供給に富み、初回通過肝代謝によるかなりの分解を回避しながら薬物を全身に急速に輸送することができる。
【0063】
嗅覚粘膜上に噴霧された薬物に対して、嗅覚ニューロンによる、支持細胞及び周辺毛細血管床による、並びに脳脊髄液中へなどの三つの吸収経路が存在する。鼻粘膜を介する薬物吸収は、急速である傾向がある。
【0064】
鼻腔内投与と同様、経口経粘膜吸収は、粘膜への豊富な血管配備及び表皮角質層の欠落のため、一般には急速である。このような薬物輸送は、典型的には、血中濃度の急速な上昇を提供し、同様に、腸肝循環、並びに胃酸又は消化管壁及び肝代謝の部分初回通過効果による即時破壊を回避する。
【0065】
有意な薬物吸収が起こるには、典型的には、薬物を口内粘膜表面へ長く暴露する必要がある。薬物送達に影響を及ぼす因子としては、接触時間に影響を及ぼすことのある風味、及び薬物のイオン化が挙げられる。薬物の吸収は、一般に、舌及び歯肉に比べて頬側又は口腔粘膜からの吸収がより大きい。頬側薬物送達に伴う一つの制約が、薬物の低い生物学的利用能をもたらすことの多い低いフラックスである。低いフラックスは、当技術分野で公知であるように、薬物の粘膜を通過するフラックスを増大させるための頬側浸透増強剤を使用することによって、いくらか相殺することができる。
【0066】
鼻腔内又は頬側経路のどちらかにおいて、薬物吸収を遅延又は延長することができ、或いは取込みは、静脈内ボーラスを投与した場合とほとんど同じ程度に急速であってもよい。豊富な血液供給による高い浸透性のため、舌下経路は、急速な作用開始を提供することができる。
【0067】
鼻腔内、頬側、及び舌下経路は、錠剤、カプセル剤又は他の経口固形剤の嚥下が困難な患者、或いは疾患で腸吸収が損なわれている患者を治療するのに使用するために好まれることがある。
【0068】
医薬組成物は、単位剤形、或いは多回用量又は下位単位用量の状態で製剤化することができる。
【0069】
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、間欠的でよく、或いは緩やかで連続的な、一定若しくは制御された速度で行うことができる。該医薬組成物は、温血動物、例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ、又はサルなどの哺乳動物に投与することができるが、有利には人間に投与される。さらに、医薬組成物を投与する時刻及び1日あたりの投与回数は、変更できる。
【0070】
本発明の化合物は、種々の障害及び状態の治療で使用することができ、それ自体、それらの障害又は状態の治療又は予防で有用な他の適切な種々の治療薬と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の一実施形態は、本発明の化合物の、他の治療用化合物と組み合わせた投与を包含する。例えば、本発明の化合物は、他のNNRリガンド(バレニクリンなど)、NNRのアロステリックモジュレーター、抗酸化剤(遊離ラジカル捕捉剤など)、抗細菌剤(ペニシリン系抗生物質など)、抗ウイルス剤(ジドブジン及びアシクロビルのようなヌクレオシド類似体など)、抗凝血剤(ワルファリンなど)、抗炎症剤(NSAIDなど)、解熱剤、鎮痛剤、麻酔剤(外科で使用されるような)、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル及びガランタミンなど)、抗精神薬(ハロペリドール、クロザピン、オランザピン及びクエチアピンなど)、免疫抑制剤(シクロスポリン及びメトトレキセートなど)、神経保護剤、ステロイド(ステロイドホルモンなど)、コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン及びヒドロコルチゾンなど)、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、抗うつ剤(イミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン、ベンラファキシン及びデュロキセチンなど)、抗不安剤(アルプラゾラム及びブスピロンなど)、抗痙攣剤(フェニトイン及びガバペンチンなど)、血管拡張剤(プラゾシン及びシルデナフィルなど)、気分安定剤(バルプロエート及びアリピプラゾールなど)、抗癌剤(抗増殖薬など)、血圧降下剤(アテノロール、クロニジン、アムロピジン、ベラパミル及びオルメサルタンなど)、緩下剤、糞便軟化剤、利尿剤(フロセミドなど)、鎮痙剤(ジシクロミンなど)、抗運動障害薬、及び抗潰瘍薬剤(エソメプラゾールなど)と組み合わせて使用することができる。薬学的に活性な薬剤のこのような組合せは、一緒に又は別個に投与することができ、別個に投与するなら、投与は、同時又は逐次的に、任意の順序で行うことができる。化合物又は薬剤の量及び相対的な投与のタイミングは、所望の治療効果を達成するように選択される。本発明の化合物の他の治療薬剤との組合せ投与は、(1)両方の化合物を含む単位医薬組成物、又は(2)化合物の一方をそれぞれ含む別個の医薬組成物の状態で同時投与することによる組合せでよい。別法として、組合せは、別個に逐次的方式で投与することができ、一方の治療薬剤を最初に、残りを次に投与する。このような逐次投与は、時間が近接していても、離れていてもよい。
【0071】
本発明の別の態様は、対象に治療又は予防有効量の本発明の化合物、及び化学療法薬、放射線療法薬、遺伝子療法薬、又は免疫療法薬をはじめとする一種又は複数の他の療法薬を投与することを含む併用療法を包含する。
【0072】
IV.使用方法
本発明の化合物は、他の部類のニコチン系化合物が治療薬として提案されている、又は有用であることが示されている種々の状態又は障害、例えば、CNS障害、炎症、細菌及び/又はウイルス感染に付随する炎症応答、疼痛、糖尿病、メタボリック症候群、自己免疫障害、皮膚科学的状態、嗜癖、肥満、又は本明細書中でさらに詳細に説明される他の障害を予防又は治療するのに使用することができる。この化合物は、また、受容体結合研究(インビトロ及びインビボ)における診断薬として使用することができる。このような治療及び他の教示は、例えば、Williamsら、Drug News Perspec.7(4):205(1994)、Arnericら、CNS Drug Rev.1(1):1〜26(1995)、Arnericら、Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79〜100(1996)、Yangら、Acta Pharmacol.Sin.30(6):740〜751(2009)、Bencherifら、J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1413(1996)、Lippielloら、J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1422(1996)、Damajら、J.Pharmacol.Exp.Ther.291:390(1999)、Chiariら、Anesthesiology 91:1447(1999)、Lavand'homme及びEisenbach、Anesthesiology 91:1455(1999)、Holladayら、J.Med.Chem.40(28):4169〜94(1997)、Bannonら、Science 279:77(1998)、国際公開第94/08992号、国際公開第96/31475号、国際公開第96/40682号、及びBencherifらへの米国特許第5,583,140号、Dullらへの米国特許第5,597,919号、Smithらへの米国特許第5,604,231号、及びCosfordらへの米国特許第5,852,041号を含む、本明細書中で前に列挙した参考文献中に記載されている。
【0073】
CNS障害
本発明の化合物及びそれらの医薬組成物は、神経変性障害、神経精神障害、神経学的障害、及び嗜癖を含む、種々のCNS障害を治療又は予防するのに有用である。本発明の化合物及びそれらの医薬組成物は、加齢に関連した及びそうではない認知欠陥及び認知機能不全、注意障害及び認知症(感染性病原体又は代謝障害によるものを含む)を治療又は予防するため;神経保護を提供するため;痙攣及び多発性脳梗塞を治療するため;気分障害、強迫症及び嗜癖行動を治療するため;痛覚脱失を提供するため;サイトカイン及び核内因子κBによって仲介されるような炎症をコントロールするため;炎症性障害を治療するため;疼痛軽減を提供するため;並びに細菌、真菌及びウイルス感染症を治療するための抗感染薬として感染症を治療するために使用することができる。本発明の化合物及び医薬組成物を使用して治療又は予防することのできる障害、疾患及び状態の中には、加齢性記憶障害(AAMI)、軽度認知障害(MCI)、加齢性認知低下(ARCD)、初老期認知症、早期発症アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、認知症を伴わない認知障害(CIND)、レビー小体型認知症、HIV認知症、AIDS認知症複合、血管性認知症、ダウン症候群、頭部外傷、外傷性脳傷害(TBI)、拳闘家認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病及びプリオン病、脳卒中、中枢虚血、末梢虚血、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、失読症、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、統合失調症の認知機能不全、統合失調症の認知欠陥、パーキンソニズム(パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズム、グアム島のパーキンソン認知症、前頭側頭型認知症パーキンソン型(FTDP)を含む)、ピック病、ニーマン-ピック病、ハンチントン病、ハンチントン舞踏病、ジスキネジア、L-ドーパ誘発性ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、痙攣性ジストニア、運動過多、進行性核上性麻痺、進行性核上性不全麻痺、下肢静止不能症候群、クロイツフェルト-ヤコブ病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患(MND)、多系統萎縮症(MSA)、大脳皮質基底核変性症、ギラン-バレー症候群(GBS)、及び慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、てんかん、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、躁病、不安、うつ病、月経前不快気分、パニック障害、過食症、食欲不振、ナルコレプシー、日中の過剰な眠気、双極性障害、全般性不安障害、強迫性障害、怒りの爆発、行為障害、反抗挑戦性障害、トゥレット症候群、自閉症、薬物及びアルコール嗜癖、タバコ嗜癖、強迫性過食、及び性機能不全がある。
【0074】
認知障害又は認知機能不全は、統合失調症及び他の精神病性障害(限定はされないが、精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想障害、短時間の精神病性障害、共有精神病性障害、及び全般的医学的状態による精神病性障害を含む)、認知症及び他の認知障害(限定はされないが、軽度認知障害、初老期認知症、アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、加齢性記憶障害、レビー小体型認知症、血管性認知症、AIDS認知症複合及び失読症を含む)、パーキンソニズム(パーキンソン病、パーキンソン病の認知障害及び認知症を含む)、多発性硬化症の認知障害、外傷性脳傷害により生じた認知障害、他の全般的医学的状態による認知症、不安障害(限定はされないが、広場恐怖を伴わないパニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、パニック障害病歴のない広場恐怖症、特定恐怖症、社会恐怖症を含む)、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害及び全般的医学的状態による全般性不安障害、気分障害(限定はされないが、大抑うつ障害、気分変調性障害、双極性うつ病、双極性躁病、双極性障害I型、躁病を伴ううつ病、抑うつ又は混合エピソード、双極性障害II型、循環気質障害、及び全般的医学的状態による気分障害を含む)、睡眠障害(限定はされないが、睡眠異常障害、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、睡眠時異常行動障害、悪夢障害、睡眠時驚愕障害及び夢遊障害を含む)、精神発達遅滞、学習障害、運動能力障害、コミュニケーション障害、広範性発達障害、注意欠陥及び破壊的行動障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、幼児、小児又は成人の栄養摂取及び摂食障害、チック障害、排泄障害、物質に関連する障害(限定はされないが、物質依存症、物質乱用、物質中毒、物質離脱、アルコールに関連する障害、アンフェタミン又はアンフェタミン様物質に関連する障害、カフェインに関連する障害、大麻に関連する障害、コカインに関連する障害、幻覚剤に関連する障害、吸入剤に関連する障害、ニコチンに関連する障害、オピオイドに関連する障害、フェンシクリジン又はフェンシクリジン様物質に関連する障害、及び鎮静、催眠又は抗不安剤に関連する障害を含む)、人格障害(限定はされないが、強迫性人格障害及び衝動制御障害を含む)などの精神障害又は状態に関連し得る。認知能力は、例えば、アルツハイマー病評価スケールの認知サブスケール(ADAS-cog)などの検証済の認知スケールで評価することができる。認知改善における本発明の化合物の有効性の一つの尺度は、このようなスケールにより患者の変化度を測定することを含むことができる。
【0075】
強迫症及び嗜癖行動に関して、本発明の化合物は、ニコチン嗜癖のための、並びに物質乱用(アルコール嗜癖、違法薬及び処方薬嗜癖を含む)、摂食障害(肥満を含む)、及び行動嗜癖(ギャンブル又は嗜癖の他類似の行動顕示など)などの他の脳報酬系障害のための治療剤として使用することができる。
【0076】
前記の状態及び障害は、例えば、米国精神医学会:精神疾患の診断及び統計マニュアル、第4版、TR、ワシントンDC、米国精神医学会、2000年中でさらに詳細に考察されている。また、物質の使用、乱用及び依存に関連した症状及び診断の特徴に関するさらなる詳細について、このマニュアルを参照することができる。
【0077】
好ましくは、疾患、障害及び状態の治療又は予防は、感知できるほどの有害副作用(例えば、血圧及び心拍数の重大な増加、消化管に対する重大な否定的影響、及び骨格筋に対する重大な影響を含む)なしに行われる。
【0078】
本発明の化合物は、有効量で使用すると、副腎クロム親和性組織又は骨格筋中でニコチンの機能を誘発する能力の欠如によって証明されるように、さらには筋肉型ニコチン受容体を発現している細胞調製物中でニコチンの機能を誘発する能力の欠如によって証明されるように、ヒトの神経節を特徴付けるニコチンサブタイプとの感知できるほどの相互作用なしに、α4β2及び/又はα6含有NNRの活性を調節すると考えられる。したがって、これらの化合物は、神経節及び神経筋部位での活性に関連した重大な副作用を誘発することなしに、疾患、障害及び状態を治療又は予防する能力があると考えられる。したがって、該化合物の投与は、特定の疾患、障害及び状態の治療を提供し、特定の副作用を回避する治療ウィンドーを提供すると考えられる。すなわち、有効用量の該化合物は、疾患、障害又は状態に所望の効果を提供するのに十分であると考えられるが、望ましくない副作用を提供するには不十分である、すなわち十分に高いレベルではないと考えられる。
【0079】
したがって、本発明は、前記の療法などの療法中で使用するための、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0080】
さらに別の態様において、本発明は、前記の障害、疾患又は状態などのCNS障害の治療で使用するための薬剤の製造における、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0081】
炎症
主に迷走神経を通る神経系は、マクロファージ腫瘍壊死因子(TNF)の放出を阻害することによって生得免疫応答の大きさを調節することが知られている。この生理学的機構は、「コリン作動性抗炎症経路」として知られている(例えば、Tracey、「The Inflammatory Reflex」Nature 420:853〜9(2002)を参照されたい)。過剰な炎症及び腫瘍壊死因子の合成は、種々の疾患において病的状態さらには死亡を引き起こす。これらの疾患には、限定はされないが、内毒素血症、リウマチ様関節炎、骨関節炎、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、特発性肺線維症、及び炎症性腸疾患が含まれる。
【0082】
本明細書に記載の化合物を投与することによって治療又は予防することのできる炎症状態には、限定はされないが、慢性及び急性の炎症、乾癬、内毒素血症、痛風、急性偽痛風、急性痛風性関節炎、関節炎、リウマチ様関節炎、骨関節炎、同種移植片拒絶、慢性移植拒絶、喘息、アテローム性動脈硬化症、単核食細胞依存性肺傷害、特発性肺線維症、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸急迫症候群、鎌状赤血球症における急性胸部症候群、炎症性腸疾患、過敏性腸管症候群、クローン病、潰瘍、潰瘍性大腸炎、急性胆管炎、アフタ性口内炎、悪質液、回腸嚢炎、糸球体腎炎、ループス腎炎、血栓症、及び移植片対宿主反応が含まれる。
【0083】
細菌及び/又はウイルス感染に伴う炎症応答
多くの細菌及び/又はウイルス感染症は、毒素の形成、並びに細菌若しくはウイルス及び/又は毒素に対する体の本来的応答によってもたらされる副作用を伴う。前に考察したように、感染に対する体の応答は、しばしば、かなりの量のTNF及び/又は他のサイトカインを生じさせることを含む。これらのサイトカインの過剰発現は、敗血症性ショック(細菌が敗血症である場合)、内毒素性ショック、尿性敗血症、ウイルス性肺炎、及び中毒性ショック症候群などの重大な傷害をもたらすことがある。
【0084】
サイトカインの発現は、NNRによって仲介され、これらの受容体のアゴニスト又は部分アゴニストを投与することによって抑制することができる。これらの受容体のアゴニスト又は部分アゴニストである本明細書に記載のそれらの化合物は、したがって、細菌感染症、並びにウイルス及び真菌感染症に伴う炎症応答を最小化するのに使用することができる。このような細菌感染症の例には、炭疽症、ボツリヌス症、及び敗血症が含まれる。これらの化合物の一部は、また、抗微生物特性を有する可能性がある。
【0085】
これらの化合物は、また、細菌、ウイルス、及び真菌感染症を管理するための、抗生物質、抗ウイルス剤、及び抗真菌剤などの現行治療薬と組み合わされた補助治療薬として使用することができる。抗毒素をまた使用して、感染性病原体によって産生された毒素に結合させ、結合された毒素を、炎症応答を生じさせることなく体を通過させることを可能にすることができる。抗毒素の例は、例えば、Bundleらへの米国特許第6,310,043号中に開示されている。細菌及び他の毒素に有効な他の薬剤は、有効である可能性があり、それらの治療効果は、本明細書に記載の化合物と同時投与することによって補完することができる。
【0086】
疼痛
本発明の化合物は、急性、神経性、炎症性、神経因性、及び慢性の疼痛を含む、疼痛を治療及び/又は予防するのに投与することができる。本発明の化合物は、アヘン薬と共に使用してアヘン薬嗜癖の可能性を最小化することができる(例えば、モルフィン節約療法)。本明細書に記載の化合物の鎮痛活性は、持続性炎症性疼痛及び神経因性疼痛のモデルで証明することができ、米国特許出願公開第20010056084号(Allgeierら)に記載のように実施される(例えば、炎症性疼痛の完全フロイントアジュバントラットモデルにおける機械的痛覚過敏、及び神経因性疼痛のマウス部分坐骨神経結紮モデルにおける機械的痛覚過敏)。
【0087】
鎮痛効果は、種々の起源又は病因の疼痛を治療するのに、とりわけ、炎症性疼痛及び付随する痛覚過敏、神経因性疼痛及び付随する痛覚過敏、慢性疼痛(例えば、重症慢性疼痛、術後疼痛、及び癌、アンギナ、腎又は胆嚢疝痛、月経痛、偏頭痛、及び痛風を含む種々の状態に付随する疼痛)を治療するのに適している。炎症性疼痛は、関節炎及びリウマチ様疾患、腱鞘炎、及び血管炎を含む多様な起源を有する可能性がある。神経因性疼痛には、三叉神経又はヘルペス性神経痛、糖尿病性ニューロパチー疼痛、灼熱痛、腰痛、及び求心路遮断症候群(上腕叢剥離など)などのニューロパチーが含まれる。
【0088】
他の障害
CNS障害、炎症、及び血管新生、及び疼痛を治療することに加え、本発明の化合物は、NNRが役割を果たす特定の他の状態、疾患、及び障害を予防又は治療するのに使用することもできる。例には、自己免疫疾患(ループスなど)、サイトカイン放出に関連する障害、感染に続く悪質液(例えば、AIDS、AIDS関連複合及び新形成で起こる)、肥満、天疱瘡、尿失禁、過活動膀胱、下痢、便秘、網膜疾患、感染性疾患、筋無力症、イートン-ランバート症候群、高血圧、子癇前症、骨粗鬆症、血管狭窄、血管拡張、心不整脈、I型糖尿病、II型糖尿病、過食症、食欲不振、及び性機能不全、並びに国際公開第98/25619号中に記載の適応症が含まれる。本発明の化合物は、また、てんかんの症候であるものなどの痙攣を治療するのに、及び梅毒及びクロイツフェルト-ヤコブ病などの状態を治療するのに投与することができる。最後に、本発明の化合物は、限定はされないが、乾癬、皮膚炎、アクネ、膿疱症、白斑などを含む、各種の皮膚科学的障害を治療するのに使用することができる。
【0089】
診断用途
本発明の化合物は、とりわけ、それらの化合物が適切な標識を含むように改変されている場合に、プローブなどの診断用組成物中で使用することができる。該プローブは、例えば、特定の受容体、特にα4β2及び/又はα6含有受容体サブタイプの相対数及び/又は機能を決定するのに使用することができる。この目的の場合、本発明の化合物は、最も好ましくは、11C、18F、76Br、123I又は125Iなどの放射性同位体部分で標識されている。
【0090】
投与された化合物は、使用した標識に適切な公知の検出方法を使用して検出することができる。検出方法の例には、陽電子放射型断層撮影法(PET)及び単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)が含まれる。前記の放射性標識は、PET(例えば、11C、18F又は76Br)及びSPECT(例えば、123I)造影で有用であり、半減期は、11Cで約20.4分、18Fで約109分、123Iで約13時間、及び76Brで約16時間である。選択された受容体サブタイプを非飽和濃度で視覚化するには、高い比活性が望まれる。投与される用量は、典型的には、毒性範囲未満であり、高コントラストの画像を提供する。該化合物は、非毒性レベルで投与することができると予想される。用量の決定は、放射性標識の造影に関わる当業者に公知の方式で実施される。例えば、Londonらへの米国特許第5,969,144号を参照されたい。
【0091】
該化合物は、公知の技術を使用して投与することができる。例えば、前に挙げたLondonらへの米国特許第5,969,144号を参照されたい。該化合物は、診断用組成物を製剤化するのに有用な部類の成分などの他の成分を組み込んだ製剤組成物の状態で投与することができる。本発明を実施する際に有用な化合物は、最も好ましくは、高純度の形態で使用される。Elmalchらへの米国特許第5,853,696号を参照されたい。
【0092】
該化合物を対象(例えば、ヒト対象)に投与した後、選択されたNNRサブタイプの存在、量、及び機能を示すために、該対象内でのその化合物の存在を、適切な技術によって造影し、定量化することができる。ヒトに加えて、該化合物は、マウス、ラット、イヌ、及びサルなどの動物に投与することもできる。SPECT及びPET造影は、任意の適切な技術及び装置を使用して実施することができる。代表的な造影技術の開示については、参照によりそれぞれ本明細書に組み込まれる、Villemagneら、Arnericら(編)、「Neuronal Nicotinic Receptors:Pharmacology and Therapeutic Opportunities,235〜250(1998)、及びElmalchらへの米国特許第5,853,696号を参照されたい。
【0093】
放射性標識合物は、選択的NNRサブタイプ(例えば、α4β2及び/又はα6含有)に高親和性で結合し、好ましくは、他のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプ(例えば、筋肉及び神経節に関連する受容体サブタイプ)に無視できる非特異的結合を示す。したがって、該化合物を、対象の体内の、とりわけ各種のCNS疾患及び障害に関連する診断のために脳内の、ニコチン性コリン作動性受容体サブタイプを非侵襲的に造影するための薬剤として使用することができる。
【0094】
一態様において、診断用組成物は、ヒト患者などの対象の疾患を診断する方法において使用することができる。該方法は、その患者に本明細書に記載のような検出可能な標識化合物を投与するステップ、及びその化合物の選択されたNNRサブタイプ(例えば、α4β2及び/又はα6含有受容体サブタイプ)への結合を検出するステップを含む。PET及びSPECTなどの診断ツールを使用する当業者は、本明細書に記載の放射性標識化合物を使用して、中枢及び自律神経系の機能不全に関連した状態及び障害を含む、広範な種類の状態及び障害を診断することができる。このような障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び統合失調症を含む、広範な種類のCNS疾患及び障害が含まれる。評価できるこれらの及び他の代表的な疾患及び障害には、Bencherifらへの米国特許第5,952,339号に記載のものが含まれる。
【0095】
別の態様において、診断用組成物は、ヒト患者などの対象の選択的ニコチン受容体サブタイプを監視する方法において使用することができる。該方法は、その患者に本明細書に記載のような検出可能な標識化合物を投与するステップ、及びその化合物の選択されたニコチン受容体サブタイプ、すなわちα4β2及び/又はα6含有受容体サブタイプへの結合を検出するステップを含む。
【0096】
受容体結合
本発明の化合物は、NNRサブタイプ、とりわけ及び/又はα6含有受容体サブタイプに結合する化合物についての結合アッセイにおける参照リガンドとして使用することができる。この目的の場合、本発明の化合物は、好ましくは、3H又は14Cなどの放射性同位体部分で標識されている。このような結合アッセイの例は、後で詳細に説明される。
【実施例】
【0097】
V.合成例
(実施例1):3-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1)
3-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1)は、Pinnaらへの国際公開第2005/108402号の手順により調製した。
【0098】
(実施例2):6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(2)
6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(2)は、Pinnaらへの国際公開第2005/108402号の手順により調製した。
【0099】
(実施例3):3-ベンジル-6-(トリフルオロメチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(3)
3-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1)(7.5g、39.8ミリモル)、メタノール(300mL)、及びトリエチルアミン(6.70mL、1.2当量、47.8ミリモル)からなる溶液に、0℃で無水トリフルオロ酢酸(6.7mL、1.2当量、47.80ミリモル)を添加した。溶液を外界温度で4時間撹拌し、溶媒を真空下で除去した。固体を濾取し、塩化メチレンで洗浄した。溶媒を真空で除去し、残留物を、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサンのグラジエントを使用するカラムクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を集め、一緒にし、蒸発して、3-ベンジル-6-(トリフルオロメチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(3)を黄色固体として得た(7.0g、収率62%)。
【0100】
(実施例4):3-(tert-ブトキシカルボニル)-6-(トリフルオロメチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(4)
3-ベンジル-6-(トリフルオロメチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(3)(8.3g、29.2ミリモル)、エタノール(60mL)、ジ-t-ブチルジカーボネート(6.4g、29.2ミリモル)及び10%パラジウム/炭素(3.2g、30.1ミリモル)からなる溶液を、Parr反応器中で、3気圧の水素下に60℃で16時間振とうした。溶液を、冷却し、珪藻土を通して濾過し、メタノールで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残った残留物を塩化メチレン及び飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。有機層を、相分離器に通し、0〜50%の酢酸エチル/ヘキサンのグラジエントで溶離するカラムクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を集め、一緒にし、蒸発して、3-(tert-ブトキシカルボニル)-6-(トリフルオロメチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(4)を得た(8.5g、収率99%)。
【0101】
(実施例5):3-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(5)
3-(tert-ブトキシカルボニル)-6-(トリフルオロメチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(4)(8.5g、28.9ミリモル)及び炭酸カリウム(30.7g、2当量、57.8ミリモル)のメタノール(150mL)溶液を、70℃で3時間加熱した。溶液を外界温度まで冷却し、溶媒を真空で除去した。粗材料を、1:1の塩化メチレン:メタノール溶液に溶解し、濾過して、3-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(5)をオフホワイトの固体として得た(4.5g、収率79%)。
【0102】
(実施例6):3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(6)
6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(2)(2.50g、12.6ミリモル)、シクロプロパンカルボン酸(1.2mL、1.2当量、15ミリモル)、トリエチルアミン(3.50mL、25.2ミリモル)、ジクロロメタン(100mL)及びO-ベンゾトリアゾール-1-イル-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(9.6g、2当量、25ミリモル)からなる溶液を、外界温度で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム(50mL)を添加し、反応混合物を30分間撹拌したままにした。次いで、混合物を、相抽出器(Biotage社製のIsolute)に通し、溶媒を真空で除去した。
【0103】
粗混合物を20mLの塩化メチレンに溶解した。トリフルオロ酢酸(5mL)を添加し、反応物を16時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物を1mLの1:1の塩化メチレン:メタノールに溶解し、SCX-2カラム(Biotage社)に通した(3mLの1:1の塩化メチレン:メタノール、次いで7Nメタノール性アンモニアで溶離)。粗生成物を、クロロホルムから90:9:1のクロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムまでのグラジエントでカラムの12倍容以上で溶離するシリカゲルカラムで精製した。適切な画分を集め、溶媒を真空で除去して、3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(6)を黄色オイルとして得た(750mg、収率36%)。
【0104】
(実施例7):3-(プロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(7)
6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(2)(50mg、0.25ミリモル)の塩化メチレン(5mL)溶液に、トリエチルアミン(67μL、0.5ミリモル)を添加し、溶液を0℃まで冷却した。クロロギ酸プロピル(31μL、27.5ミリモル)を添加し、溶液を1時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物を、塩化メチレン溶液中、50mM酢酸ナトリウムで洗浄した。溶液を10分間撹拌し、相分離器に通した。溶媒を真空で除去して、粗3-(プロポキシカルボニル)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンを得た。
【0105】
粗混合物を3mLの塩化メチレンに溶解した。トリフルオロ酢酸(3mL)を添加し、反応物を2時間撹拌した。溶媒を40℃において真空で除去し、残留物を1:1の塩化メチレン:メタノールに溶解し、SCX-2カラム(Biotage社)に通した(2mLの1:1の塩化メチレン:メタノール、次いで7Nメタノール性アンモニアで溶離)。粗生成物を、クロロホルムから90:9:1のクロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムまでのグラジエントで溶離するシリカゲルカラムで精製した。適切な画分を集め、溶媒を真空で除去して、3-(プロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(7)を透明オイルとして得た(12mg、26%)。
【0106】
(実施例8):3-(メトキシエトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(8)
6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(2)(50mg、0.25ミリモル)の塩化メチレン(5mL)溶液にトリエチルアミン(67μL、0.5ミリモル)を添加し、溶液を0℃まで冷却した。クロロギ酸メトキシエチル(32μL、27.5ミリモル)を添加し、溶液を1時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物を、塩化メチレン溶液中、50mM酢酸ナトリウムで洗浄した。溶液を10分間撹拌し、相分離器に通した。溶媒を真空で除去して、粗3-(メトキシエトキシカルボニル)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンを得た。
【0107】
粗混合物を3mLの塩化メチレンに溶解した。トリフルオロ酢酸(3mL)を添加し、反応物を2時間撹拌した。溶媒を40℃において真空で除去し、残留物を1:1の塩化メチレン:メタノールに溶解し、SCX-2カラム(Biotage社)に通した(2mLの1:1の塩化メチレン:メタノール、次いで7Nメタノール性アンモニアで溶離)。粗生成物を、クロロホルムから90:9:1のクロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムまでのグラジエントで溶離するシリカゲルカラムで精製した。適切な画分を集め、溶媒を真空で除去して、3-(メトキシエトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(8)を透明オイルとして得た(15mg、27%)。
【0108】
VI.生物学的アッセイ
(実施例9):ニコチン性アセチルコリン受容体の相互作用の特徴づけ
細胞系
SH-EP1/ヒトα4β2(Eatonら、2003)、SH-EP1/ヒトα4β4(Gentryら、2003)、SH-EP1/α6β3β4α5(Grinevichら、2005)、TE671/RD及びSH-SY5Y細胞系(アリゾナ州フェニックス、St.Joseph's Hospital and Medical Center、Barrow Neurological InstituteのRon Lukas博士から入手)を、10%ウマ血清(Gibco BRL)、5%ウシ胎児血清(HyClone社、ユタ州ローガン)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミンを含む、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL)中で増殖成長期に維持した。安定な形質移入体を維持するために、α4β2及びα4β4細胞培地に、0.25mg/mLのゼオシン及び0.13mg/mLのヒグロマイシンBを補足した。選択は、0.25mg/mLのゼオシン、0.13mg/mLのヒグロマイシンB、0.4mg/mLのゲネチシン、及び0.2mg/mLのブラスチシジンを用いてα6β3β4α5細胞用に維持した。HEK/ヒトα7/RIC3細胞(ペンシルヴェニア州フィラデルフィア、ペンシルヴェニア大学、J.Lindstrom氏から入手)は、10%ウシ胎児血清(HyClone社、ユタ州ローガン)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミン、0.4mg/mLゲネチシン、0.2mg/mLヒグロマイシンBを含む、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL)中で増殖成長期に維持した。
【0109】
受容体結合アッセイ
ラット組織からの膜の調製
ラットの皮膚は、Analytical Biological Services社(ABS、デラウェア州ウィルミントン)から入手した。雌性スプラーグ-ドーリーラットから組織を切り取り、凍結し、ドライアイスに載せて輸送した。組織を、膜調製のため必要とされるまで-20℃で貯蔵した。10匹のラットの皮膚を一緒にし、ポリトロン(Kinematica社、スイス)で、10倍容(重量:容積)の氷冷した調製用緩衝液(11mM KCl、6mM KH2PO4、137mM NaCl、8mM Na2HPO4、20mM HEPES(遊離酸)、5mM ヨードアセトアミド、1.5mM EDTA、0.1mM PMSF、pH7.4)中でホモジナイズした。生じたホモジネートを、4℃、40,000gで20分間遠心し、生じたペレットを20倍容の氷冷水中に再懸濁させた。4℃で60分間インキュベートした後、4℃、40,000gで20分間遠心して新たなペレットを集めた。最終ペレットを、調製用緩衝液に再懸濁させ、-20℃で貯蔵した。アッセイ当日に、組織を解凍し、40,000gで20分間遠心し、次いでPBS(ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水、Life Technologies社、pH7.4)に再懸濁させて2〜3mgタンパク質/mLの最終濃度とした。タンパク質濃度は、基準としてのウシ血清アルブミンを含むPierce BCAタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology社、イリノイ州ロックフォード)を使用して測定した。
【0110】
クローン細胞系からの膜の調製
細胞を、氷冷PBS(pH7.4)中で採取し、次いで、ポリトロン(Brinkmann Instruments社、ニューヨーク州ウェストベリー)を用いてホモジナイズした。ホモジネートを、4℃、40,000gで20分間遠心した。ペレットをPBSに再懸濁させ、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology社、イリノイ州ロックフォード)を使用してタンパク質濃度を測定した。
【0111】
膜調製物中の受容体への競合結合
ニコチン受容体への結合を、公表されている手順(Lippiello及びFernandes、1986、Daviesら、1999)から適合させた標準的方法を使用して膜上でアッセイした。簡潔には、膜を、凍結ストック(約0.2mgタンパク質)から再構成し、競合化合物(0.001nM〜100mM)及び放射性リガンドの存在下に、150mLのアッセイ緩衝液(PBS)中、氷上で2時間インキュベートした。ヒトのα4β2結合研究には、[3H]-ニコチン(L-(-)-[N-メチル-3H]-ニコチン、69.5Ci/ミリモル、Perkin-Elmer Life Sciences社)を使用した。他の受容体サブタイプでの結合研究には、[3H]-エピバチジン(52Ci/ミリモル、Perkin-Elmer Life Sciences社)を使用した。インキュベーションは、非特異的結合を低減するために0.33(w/v)%ポリエチレンイミン中に事前浸漬したGF/Bフィルターを使用する、マルチマニホールド型組織採取器(Brandel社、メリーランド州ゲーサーズバーグ)上での急速濾過によって終結させた。フィルターを3回洗浄し、残っている放射能を液体シンチレーション計数で測定した。
【0112】
結合データの解析
結合データは、全対照結合パーセントとして表した。各点での反復測定値を平均し、薬物濃度の対数に対してプロットした。IC50(50%の結合阻害をもたらす化合物濃度)を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPAD社、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、最小二乗非線形回帰により決定した。Cheng-Prusoff式(Cheng及びPrusoff、1973)を使用してKiを計算した。
【0113】
(実施例10):表にしたスペクトル及び受容体結合データ
前に示したアミドカップリング法を、表1に示す化合物を調製するための基礎として利用した。試薬及び条件は、当業者にとって容易に理解できるであろう。一部の事例において、化合物は、核磁気共鳴(NMR)データ(表1中に含まれる)によって特徴付けられた。他の事例において、化合物はLCMSによって構造的に特徴付けられた(表2中に含まれる)。
【表1】


【表2】
















【0114】
本発明の代表である表2の化合物は、ヒトα4β2サブタイプで2nM〜11,000nMの範囲の阻害定数(Ki値)を示し、いくつかの化合物は100nM未満のKiを示し、α4β2サブタイプに対する高い親和性を示している。α6β3β4α5サブタイプでのKi値は、38nM〜100,000nMの範囲内で変化し、α6β3β4α5サブタイプに対して様々な親和性を示す。
【0115】
(実施例11):ドパミン作動性ニューロンの試験化合物での48時間の前処理のMPP+傷害(4μM)に対する神経保護効果
実験プロトコール
ドパミン作動性ニューロンの初代培養
ラットのドパミン作動性ニューロンを、Schinelliらが1988年に発表しているように培養した。簡潔には、妊娠15日目の妊娠雌性ラット(ウィスターラット、Janvier社)を頸部脱臼によって屠殺し、子宮から胎児を取り出した。胚性中脳を取り出し、1%のペニシリン-ストレプトマイシン(PS、Invitrogen社)及び1%のウシ血清アルブミン(BSA、Sigma社)を含む氷冷Leibovitz培地(L15、Invitrogen社)中に置いた。細胞調製物には、これがドパミン作動性ニューロンに富む脳を発達させている領域であるので、中脳湾曲部の腹側部のみを使用した。中脳を、カルシウム及びマグネシウムを含まないPBSで希釈し、37℃で20分間のトリプシン処理(Trypsin EDTA 1X、Invitrogen社)により解離した。DNAアーゼI グレードII(0.1mg/mL、Roche Diagnostic社)及び10%ウシ胎児血清(FCS、Invitrogen社)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Invitrogen社)を添加することによって、反応を停止した。次いで、細胞を、10mLのピペットを3回通過させることによって機械的に解離させた。次いで、細胞を、L15培地中、BSA(3.5%)の層上で、室温下に180×gで10分間遠心した。上清液を廃棄し、細胞ペレットを、B27(2%、Invitrogen社)、L-グルタミン(0.2mM、Invitrogen社)及び1%のPS溶液で補足されたNeurobasal(Invitrogen社)を含む規定の培養培地に再懸濁した。トリパンブルー色素排除試験を利用し、Neubauerサイトメーター中で生存細胞を計数した。細胞を、96ウェルプレート中に35000細胞/ウェルの密度で播種し(ウェルはポリ-L-リシン(greiner社)で事前被覆済)、加湿空気(95%)/CO2(5%)の雰囲気中、37℃で培養した。培地の半分を、2日毎に新鮮培地で交換した。これらの条件において、5日間の培養後に、星状細胞が培養物中に現れ、ニューロン分化を可能にする増殖因子を放出する。ニューロン細胞集団の5〜6%が、ドパミン作動性ニューロンであった。
【0116】
薬物処理及びドパミン作動性ニューロンの免疫染色法
簡潔には、培養3日目に、培地を除去し、試験化合物、ニコチン(10nM)又はBDNF(脳由来の向神経因子、50ng/ml)を含む又は含まない新鮮培地を48時間のプレインキュベーションのために添加した。5日目に、4μMのMPP+を添加し(試験化合物、ニコチン又はBDNFの存在下に)、条件毎に六つのウェルを使用した。
【0117】
試験化合物、ニコチン(10nM)又はBDNF(50ng/ml)を伴う又は伴わないMPP+中毒の48時間後に、細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液で固定した(すべての条件について)。
【0118】
試験化合物(へプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての化合物A及び化合物B)を7種の濃度(0.001、0.01、0.1、1、10、100及び1000nM)でアッセイした。
【0119】
ニコチン(10nM)及びBDNF(50ng/ml)を、参照試験化合物として使用した。
【0120】
0.1%サポニン(Sigma社)で透過処理した後、細胞を、主としてドパミン作動性ニューロンに対するチロシンヒドロキシラーゼ抗体(TH、Sigma社)に対してマウスモノクロナールと共にインキュベートした。
【0121】
全神経突起を同一ウェル上で並行して測定した。
【0122】
この抗体は、Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(Molecular probe社)を用いて明らかにされる。
【0123】
分析及び定量方法
各条件について、InCell Analyzer TM 1000(GE Healthcare社)を使用し、拡大率10Xで同一条件下にウェル当たり20枚の写真を撮影した。分析は、TH陽性ニューロンの全数及び全神経突起長を測定するための現像ソフトウェア(GE Healthcare社)を使用して自動的に実施した。データは、対照条件のパーセンテージで表現した。
【0124】
統計解析(Statviewパッケージを使用)は、異なる条件に対してANOVA検定、それに続くダネットの検定(可能なら)を使用して実施し、有意差は、p≦0.05に対して設定した。
【0125】
結果を図1〜6に例示する。
【0126】
図1は、48時間の前処理、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、TH陽性ニューロンに対する化合物A(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す。
【0127】
図2は、48時間の前処理、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、全TH神経突起長に対する化合物A(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す。
【0128】
図3は、48時間の前処理、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、TH陽性ニューロンに対する化合物B(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す。
【0129】
図4は、48時間の前処理、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、全TH神経突起長に対する化合物B(ヘプタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩としての3-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1])及びニコチンの用量効果曲線を示す。
【0130】
図5は、48時間の前処理、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、TH陽性ニューロンに対するBDNF(50ng/ml)及びニコチン(10nM)の用量効果曲線を示す。
【0131】
図6は、48時間の前処理、それに続くMPP+傷害(4μM、48時間)の後の、全TH神経突起長に対するBDNF(50ng/ml)及びニコチン(10nM)の用量効果曲線を示す。
【0132】
観察される特定の薬理学的応答は、選択した個々の活性化合物、又は薬学的担体が存在するかどうか、及び製剤のタイプ、及び採用する投与方式に従って、及び応じて変化する可能性があり、このような予想される結果の変動又は相違は、本発明の実施と矛盾しないと考えられる。
【0133】
本発明の具体的実施形態を本明細書中で例示し、詳細に説明してきたが、本発明はそれに限定されるものではない。前記の詳細な説明は、本発明の典型として提供されるものであり、本発明の何らかの限定を構成するものと解釈すべきでない。修正形態は当業者にとって明らかであり、本発明の精神から逸脱しないすべての修正形態は、添付の特許請求の範囲に包含されると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化1】

(式中、
各mは、同一であり、0又は1であり、
各nは、同一であり、0又は1であり、
各mが0である場合、各nは1であり、
各mが1である場合、各nは0であり、
R1は、
-C(O)-R3
-C(O)O-R3
-C(O)NH-R3
-C(O)-(CH2)q-X-R3
-C(O)O-(CH2)q-X-R3、又は
-C(O)NH-(CH2)q-X-R3であり、
qは、1、2、3、4、5又は6であり、
Xは、-O-、-S-、-NH-、又は-NHC(O)-であり、
R2は、H又はアルキルであり、
R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
各R3は、独立に、一つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、又はアルキルアミド置換基で置換されていてもよく、
但し、式Iは、次の化合物:
3-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
6-エチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
6-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
を包含しない)。
【請求項2】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化2】

(式中、
各mは、同一であり、0又は1であり、
各nは、同一であり、0又は1であり、
各mが0である場合、各nは1であり、
各mが1である場合、各nは0であり、
R1は、
-C(O)-R3A
-C(O)O-R3B
-C(O)NH-R3C
-C(O)-(CH2)q-X-R3C
-C(O)O-(CH2)q-X-R3C、又は
-C(O)NH-(CH2)q-X-R3Cであり、
qは、1、2、3、4、5又は6であり、
Xは、-O-、-S-、-NH-、又は-NHC(O)-であり、
R2は、H又はアルキルであり、
R2がHである場合、R3Aは、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
R2がアルキルである場合、R3Aは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
R2がHであり、各mが0であり、各nが1である場合、R3Bは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
R2がHであり、各mが1であり、各nが0である場合、又はR2がアルキルである場合、R3Bは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
各R3Cは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、
各R3は、独立に、一つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、又はアルキルアミド置換基で置換されていてもよい)。
【請求項3】
mが0である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
mが1である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
3-メチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-イソプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-プロポキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-イソプロポキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン:
3-メトキシエトキシカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2-フルオロエトキシ)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2-ブロモフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(3-ブロモフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(3-クロロフラン-2-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(イソオキサゾール-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2-メトキシエチル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(2,2,2-トリフルオロエチル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
3-(テトラヒドロフラン-3-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-(2-クロロフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-(2-ブロモロフラン-5-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-シクロブチルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
6-(2-メトキシエチル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
cis-3-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
trans-3-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
cis-6-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;及び
trans-6-(2-フルオロシクロプロパ-1-イル)カルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;
から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
化合物3-シクロプロピルカルボニル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1から6に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物の投与を含む、神経型ニコチン受容体によって仲介される疾患又は状態の治療又は予防方法。
【請求項9】
神経型ニコチン受容体によって仲介される疾患又は状態の治療又は予防のための薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
活性な治療物質として使用するための、請求項1から6に記載の化合物。
【請求項11】
神経型ニコチン受容体によって仲介される疾患又は状態の治療又は予防で使用するための、請求項1から6に記載の化合物。
【請求項12】
神経型ニコチン受容体が、α4β2サブタイプである、請求項8から11に記載の方法、使用、又は化合物。
【請求項13】
神経型ニコチン受容体が、α6含有サブタイプである、請求項8から11に記載の方法、使用、又は化合物。
【請求項14】
神経型ニコチン受容体が、α4β2及びα6含有サブタイプの両方である、請求項8から11に記載の方法、使用、又は化合物。
【請求項15】
前記疾患又は状態が、CNS障害である、請求項8から11に記載の方法、使用、又は化合物。
【請求項16】
前記疾患又は状態が、加齢性記憶障害、軽度認知障害、加齢性認知低下、初老期認知症、早期発症型アルツハイマー病、老年認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、認知症を伴わない認知障害(CIND)、レビー小体型認知症、HIV認知症、AIDS認知症複合、血管性認知症、ダウン症候群、頭部外傷、外傷性脳傷害(TBI)、拳闘家認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病及びプリオン病、脳卒中、虚血、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、失読症、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、統合失調症の認知機能不全、統合失調症の認知欠陥、パーキンソニズム(パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズム、グアム島のパーキンソン認知症、前頭側頭型認知症パーキンソン型(FTDP)を含む)、ピック病、ニーマン-ピック病、ハンチントン病、ハンチントン舞踏病、ジスキネジア、L-ドーパ誘発性ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、運動過多、進行性核上性麻痺、進行性核上性不全麻痺、下肢静止不能症候群、クロイツフェルト-ヤコブ病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患(MND)、多系統萎縮症(MSA)、大脳皮質基底核変性症、ギラン-バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、てんかん、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、躁病、不安、うつ病、月経前不快気分、パニック障害、過食症、食欲不振、ナルコレプシー、日中の過剰な眠気、双極性障害、全般性不安障害、強迫性障害、怒りの爆発、反抗挑戦性障害、トゥレット症候群、自閉症、薬物及びアルコール嗜癖、タバコ嗜癖、急性疼痛、慢性疼痛及び一種又は複数のニューロパチーからなる群から選択される、請求項8から11に記載の方法、使用、又は化合物。
【請求項17】
前記疾患又は状態が、パーキンソン病を含むパーキンソニズムである、請求項8から11に記載の方法、使用、又は化合物。
【請求項18】
鼻腔内、頬側、又は舌下投与用に製剤化される、請求項7に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−512922(P2013−512922A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542213(P2012−542213)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/058836
【国際公開番号】WO2011/071758
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】