説明

移動ロボット、プログラム及びロボット制御方法

【課題】利用者を監視する能力を運用中に自動的に向上させることができる移動ロボット、プログラム及びロボット制御方法を提供する。
【解決手段】利用者2が存在する位置を示す利用者位置情報に基づいて利用者2が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成し、生成された利用者移動可能空間情報に基づいて利用者2との位置関係を制御する。これにより、利用者2が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報をロボット運用中に自動的に生成することで、利用者を監視する能力を運用中に自動的に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者を探索追尾する移動ロボット、プログラム及びロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間と活動空間を共有するロボットが各種発表されている。その用途として利用者に追尾して、利用者が安全かどうか監視するものが考えられている。例えば、利用者が家に一人で住んでいる場合、何らかの異常事態が発生しても、連絡できないこともある。この場合、ロボットが利用者の異常を検知すると、すぐに監視センターに連絡することで、利用者の安全を図ることが可能となる。上述した用途に供するために、ロボットは利用者の探索、追尾する機能及び利用者の異常を検知する機能の少なくとも2つの機能を具備する必要がある。
【0003】
利用者を探索、追尾する機能については、利用者の存在する場所まで移動する移動手段と利用者を探索するために移動可能な空間に関する地図情報を備えている必要がある。従来、ロボットが利用可能な地図情報は、大きく分けてワークスペースマップとネットワークマップの2種類存在する。
【0004】
ワークスペースマップは、例えばロボットが移動可能な空間の幾何学的な情報を記述した地図をいう。より詳細には、ワークスペースマップは、ロボットが移動可能な空間の形状を解析し、所定の条件を満たす移動経路の情報を生成したものである。そして、ロボットは、ワークスペースマップに生成された移動経路の情報に従うことで、ロボットが移動可能な空間内の移動が可能となる。
【0005】
また、センサにより移動可能な空間内に未知の障害物が検知された場合には、地図情報上に該障害物を追加し移動経路の情報の再生成を行うことで、障害物回避等にも応用される技術も提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0006】
特許文献1においては、2次元平面格子状に障害物が記述されており、該障害物の周囲にその距離に応じて計算されるポテンシャル場の谷線を探索することで、移動体の経路を算出し、生成する技術が開示されている。
【0007】
特許文献2においては、屋外不整地で運用されるロボットが大きな傾斜を避けて移動するために、2次元平面格子上に標高情報を付加し、それに基づいて経路を算出し、生成する技術が開示されている。
【0008】
ネットワークマップは、例えば各代表地点をノードで示し、これらを結ぶリンクにより各代表地点間の接続関係を記述する地図をいう。より詳細には、ネットワークマップは、ロボットがあるノードから他のノードに至る所定の条件を満たす移動経路の情報を生成したものである。
【0009】
また、各リンクに距離情報を付加すれば、移動経路の総延長や最短経路などの条件を満たす経路を算出し、生成することが可能となる。さらに、ノードに繋がる各リンクの方位情報を付加すれば、生成された経路の情報に従い、実際にロボットが移動することが可能となるネットワークマップを利用した最適経路探索方法も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0010】
上記2種類の地図情報を利用して、利用者の存在する付近の場所を目的地として設定すれば、ロボットの現在地から目的地までの経路を算出し、生成することが可能である。ロボットがある部屋から利用者の部屋までの移動経路とする部屋の情報はネットワークマップを利用して、生成することが可能である。そして、各部屋での移動経路及び、ロボットと利用者が同じ部屋にいる場合の移動経路は、ワークスペースマップを利用して、生成することが可能である。
【0011】
【特許文献1】特開2001−154706号公報
【特許文献2】特開平8−271274号公報
【特許文献3】特開平5−101035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ロボットは、利用者の移動先を予測するために利用者が移動可能な空間(地図情報)を把握し、利用者を監視する必要がある。このような利用者の移動可能空間は時間の経過とともに変化する場合があるが、ロボットが把握している利用者の移動可能空間が実状に合致していない場合には、ロボットの監視能力が低下するという問題が発生する。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者を監視する能力を運用中に自動的に向上させることができる移動ロボット、プログラム及びロボット制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の移動ロボットは、利用者が存在する位置を示す利用者位置情報を取得する利用者位置情報取得手段と、この利用者位置情報取得手段により取得した利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成手段と、この利用者移動可能空間生成手段により生成された前記利用者移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する位置関係制御手段と、を備える。
【0015】
また、本発明のプログラムは、利用者が存在する位置を示す利用者位置情報を取得する利用者位置情報取得機能と、この利用者位置情報取得機能により取得した利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成機能と、この利用者移動可能空間生成機能により生成された前記利用者移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する位置関係制御機能と、をコンピュータに実行させる。
【0016】
また、本発明のロボット制御方法は、利用者が存在する位置を示す利用者位置情報を取得する利用者位置情報取得工程と、この利用者位置情報取得工程により取得した利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成工程と、この利用者移動可能空間生成工程により生成された前記利用者移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する位置関係制御工程と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、利用者が存在する位置を示す利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成し、生成された利用者移動可能空間情報に基づいて利用者との位置関係を制御する。これにより、利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報をロボット運用中に自動的に生成することで、利用者を監視する能力を運用中に自動的に向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる移動ロボットの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図23に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる移動ロボット1の構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、本実施の形態の移動ロボット1は、異常検知通知部101と、異常判断基準設定部102と、異常判断部103と、検知部104と、検知方向制御部105と、利用者位置判断部106と、利用者移動経路予測部107と、地図情報等記憶部108と、現在位置特定部109と、移動距離・方向検出部110と、駆動部111と、経路生成部112と、利用者存在部屋予測部113と、利用者移動可能地図学習部114と、異常判断基準学習部115とから構成され、利用者2を探索追尾し、利用者の異常を監視する。
【0020】
地図情報等記憶部108は、部屋の構成図、部屋毎の地図情報、移動ロボット1や利用者2の現在位置情報などを記憶している。本実施の形態での地図情報等記憶部108の保持する情報を図2に示す。地図情報等記憶部108は移動可能部屋構成データ1001と、部屋毎の移動可能空間図1011a〜k及び移動可能経路データ1010a〜kと、利用者方向位置座標1002と、利用者存在部屋番号1003と、方向位置座標1004と、現在部屋番号1005と、地図上の位置毎の利用者存在確率・消失確率情報1012a〜kと、地図上の部屋毎の活動サイン・異常サイン1013とを記憶する。
【0021】
図3は、上述した移動可能部屋構成データ1001を図示したものである。利用者2の住居で移動可能な部屋の構成を示し、庭50、玄関51、廊下52、洋室53、トイレ54、和室55、リビング56、洗面室57、浴室58、ダイニング59、キッチン60といった各部屋が本発明における拠点を構成する。また、各拠点を結ぶリンク線は各部屋からの出入口11〜21を示している。
【0022】
この移動可能部屋構成データ1001は、利用者2の住居において利用者2が移動可能な全ての空間を拠点として記述されている。そして、各拠点には移動ロボット1が進入可能か否かを示す進入可能フラグ402を有し、また各リンク線には通行可能か否かを示す通行可能フラグ401を有している。そして少なくとも利用者2の追尾及び検知部104による検知をするために、進入可能な拠点とそこに隣接した進入不可能な拠点の移動可能空間図1011を地図情報等記憶部108上に記憶する必要がある。
【0023】
本実施の形態では、移動ロボット1の踏破能力に限界があるものとし、庭50、トイレ54、浴室58に移動ロボット1は侵入できないものとする。この場合、それぞれの進入可能フラグ402に“0”を設定し、他の部屋には進入可能フラグ402に“1”を設定する。また、玄関51から庭へは通行できないものとする。この場合、通行可能フラグ401には“0”を設定し、他の進入可能フラグ402は“1”を設定する。通行可能フラグ401と進入可能フラグ402を併用すべき場合は、ある拠点に移動ロボット1が進入可能であっても、ある出入口を通っては入れず、迂回した別の出入口からなら入ることができるような場合である。それゆえ、間取りの構成によっては、通行可能フラグ401と進入可能フラグ402は必ず両フラグとも必要というわけではなく、一方のフラグさえあれば足りる場合もある。
【0024】
移動ロボット1が侵入できない部屋や通行できない出入口であっても利用者2が移動可能な全拠点と全リンク線を網羅することで、この移動可能部屋構成データ1001は従来技術に開示されているような移動ロボット1が移動するためだけの経路情報ではなく、移動ロボット1が利用者2を探索可能にするために利用者2のみ移動可能な拠点への経路まで記述したデータとなっている。
【0025】
部屋毎の移動可能空間図1011a〜kは、部屋毎の利用者2が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報(地図情報)を保持する。例として、図4にリビング56の移動可能空間図1011gを示し、障害物202、203、204、205を除いた空間を、利用者2が移動できる移動可能空間201とする。加えて、他の部屋への出入口16、19、20の情報を保持している。
【0026】
部屋毎の移動可能経路データ1010a〜kは、部屋毎の移動可能空間図1011上の利用者2の移動可能な経路のデータとして保持する。例として、図5にリビング56の移動可能空間図1011g上の経路データを示す。この移動可能経路データは、移動可能空間図1011g上の移動可能空間201の中央部を通る経路を示すセグメント301〜311と、各出入口16、19、20の中央と最寄りのセグメント端点とを結ぶ追加のセグメント312〜314と、から成る。移動可能経路データ1010gのセグメント301〜311は、移動可能空間図1011gの移動可能空間201を画像として捉えてこれに細線化処理(領域を外側から次第に狭めていくことで中央部に点列のみを残す処理)とセグメント化処理(連続する点列を線分で近似する処理)を施すことで生成する。また、前記特許文献1に開示されるポテンシャル場の谷線(点列)をセグメント化処理することでも同様の結果を得ることが可能である。本実施の形態では、これに各出入り口から最も近いセグメント端点に伸びるセグメント312〜314を追加することで、室内の移動可能空間201の中央部を移動する経路に各出入り口への経路を追加している。
【0027】
利用者方向位置座標1002は、本実施の形態における利用者位置情報を構成し、利用者2が部屋にいる位置及び方向を示し、移動可能空間図1011上の位置座標及び方向を地図情報等記憶部108上に記憶する。この利用者方向位置座標は、後述する移動ロボット1の方向及び位置を保持する位置方向座標1004と検知部104により検知された移動ロボット1と利用者2の相対的な距離及び方向により決定される。これらより後述する利用者位置判断部106により移動可能空間図1011上の利用者2の位置座標及び方向が算出される。
【0028】
利用者存在部屋番号1003は、利用者2が存在する部屋を示す番号であり、部屋番号として地図情報等記憶部108上に記憶する。後述する異常判断基準は、この利用者存在部屋番号1003に基づき、設定される。例えば、移動ロボット1が廊下52に存在し、利用者2がトイレ54に移動したと判断した場合、トイレ54は進入可能フラグが“0”のため移動ロボット1は移動することが出来ず、移動ロボット1は利用者存在部屋番号1003を“54”に更新し、後述する異常判断基準設定部102ではそれに基づいた異常判断基準が設定される。
【0029】
方向位置座標1004は、本発明におけるロボット位置情報を構成し、移動ロボット1の方向及び部屋で存在する位置を示し、移動可能空間図1011上の位置座標として地図情報等記憶部108上に記憶する。方向位置座標1004は移動距離、移動方向及び移動前の方向位置座標1004から現在位置特定部109により特定される。
【0030】
現在部屋番号1005は、移動ロボット1がいる部屋を示す番号であり、部屋番号として地図情報等記憶部108上に記憶する。移動ロボット1が移動し、出入口11〜21を通過したと判断した場合に、現在部屋番号1005の値を更新する。その後、移動ロボット1は更新された部屋番号1005に対応した移動可能空間図1011及び移動可能経路データ1010により利用者の位置座標の特定、移動経路の予測と移動ロボット1の位置座標の特定などを行う。
【0031】
存在確率・消失確率1012a〜kは、部屋毎の移動可能空間図1011上の利用者2の位置に応じた存在確率情報と消失確率情報を保持する。存在確率情報は、方向位置座標1004として時々刻々得られる利用者2の位置を元に、同一位置に利用者2が滞留する時間から算出される確率データである。この確率データは、利用者2が観測されている全時間に対する、当該位置に利用者2が滞留する時間の比として算出される。また、消失確率情報は、利用者2をロボット1が見失ったときの利用者2の位置に対して積算される見失い発生回数から算出される確率データである。この確率データは、当該位置で利用者2を検出できている回数に対する、当該位置で利用者2を見失う回数の比として算出される。ゆえに、存在確率は利用者2がそこに居る可能性の高さを表し、消失確率は利用者2がそこに行くとロボット1が利用者2を見失う可能性の高さを表す情報となる。なお、存在確率・消失確率は、後述する利用者移動可能地図学習部114によって更新される。したがって、利用者移動可能地図学習部114は、存在確率情報付加手段及び消失確率情報付加手段としても機能する。
【0032】
活動サイン・異常サイン1013は、移動可能部屋構成データ1001上の各拠点に応じた活動サイン情報と異常サイン情報を保持する。活動サイン情報は、利用者がその場所で活動を行っているときにロボットのセンサが捉える観測信号上の特徴データである。例としては、変化するシャワーの音、水洗トイレの音、トイレットペーパーを巻き取る音、ドアの開閉音等が挙げられる。異常サイン情報は、その場所で利用者に異常が生じたときにロボットのセンサが捉える観測信号上の特徴データである。例としては、一定のまま継続するシャワーの音、ガラスの割れる音、物の倒れる音、呻き声、悲鳴等が挙げられる。活動サイン情報はそれが観測されなくなったとき利用者2に異常が生じた可能性を表し、異常サイン情報はそれが観測されたとき利用者2に異常が生じたことを表す情報となる。後述する異常判断基準設定部102は利用者2の位置に基づいて、活動サイン情報と異常サイン情報をここから読み出し、現在の異常判断基準を設定する。また、活動サイン情報と異常サイン情報は、予見できるものをプリセットデータとして与えられるが、異常判断部103によって正常/異常の判定が成された結果を受け、後述する異常判断基準学習部115によって、既知の活動サイン情報・異常サイン情報以外に他の特徴データが存在すればそれを追加の活動サイン情報・異常サイン情報としてロボット1の運用中に追加が可能となっている。
【0033】
検知部104は、図6に示すように、適応マイクロホンアレイ部501とズーム・雲台付きカメラ部502を使用している。適応マイクロホンアレイ部501とズーム・雲台付きカメラ部502による検知方向は後述する検知方向制御部105により制御される。適応マイクロホンアレイ部501の出力は、さらに特定音検出部503と音声話者識別部504と音声語彙認識部505に供給され、ズーム・雲台付きカメラ部502の出力は、さらに動きベクトル検出部506と顔検出・顔識別部507とステレオ距離計測部508に供給される。
【0034】
適応マイクロホンアレイ部501は、複数のマイクロホンを装備して指定された検知方向の音声のみを周囲の雑音から分離して入力するための手段である。ズーム雲台付きカメラ部502は、電動ズームとパン・チルトに可動な電動雲台を装備したステレオカメラである。適応マイクロホンアレイ部501の指向性方向とズーム・雲台付きカメラ部502のズーム及びパン・チルト角(カメラの指向性を決定するパラメータである)も検知方向制御部105により制御される。
【0035】
特定音検出部503は、適応マイクロホンアレイ部501による入力音声から例えばガラスの割れる音、物が倒れる音やドアの閉まる音等の短時減衰性の音の検出、またはシャワーの音、水洗トイレの音、トイレットペーパーを巻き取る音等の特定のスペクトルパタンとその変動パタンを持つ音の検出を可能にするため設定された音響信号解析手段である。
【0036】
音声話者識別部504は、適応マイクロホンアレイ部501により入力された人物音声からその人物を識別する手段であり、入力音声のスペクトルパタンに含まれる人物特有のフォルマント(スペクトルパタン中の強い周波数成分)を照合してその話者IDを出力する。
【0037】
音声語彙認識部505は、適応マイクロホンアレイ部501により入力された人物音声をパタン照合してその発声内容を表す語彙列、例えば文字列または語彙コード列などに変換して出力する。音声話者識別のためのフォルマントは発声内容に依存して変化するので、音声話者識別部504は音声語彙認識部505により識別された語彙に応じた参照パタンを用いてフォルマント照合を行う。この照合方法により様々な発声内容で話者識別を行うことが可能となり、識別した結果となる話者IDを出力する。
【0038】
動きベクトル検出部506は、ズーム・雲台付きカメラ部502による入力画像から画像中の各小領域の動き方向を表すベクトル、すなわちオプティカルフローを計算し、各フローベクトルを同種のものどうしグルーピングすることで入力画像を動きの異なる領域に分解する。この情報から検知した人物の移動ロボット1からの相対的な移動方向を算出する。
【0039】
顔検出・顔識別部507は、ズーム・雲台付きカメラ部502による入力画像からパタン照合により顔を検出し、さらに検出された顔から人物を識別し、その人物IDを出力する。
【0040】
ステレオ距離計測部508は、ズーム・雲台付きカメラ部502によるステレオ入力画像から画像各部の両眼視差を求め、三角測量の原理に基づいて各部の距離を計測する。この結果から移動ロボット1との相対距離を算出する。距離計測対象となる画像中の部位は動きベクトル検出部506が検出した動き領域毎や顔検出・顔識別部507が検出した顔領域毎とする。この結果、視覚的に捉えることのできた顔までの距離や、各動き領域の三次元的な動きベクトルを算出することまで可能になる。
【0041】
利用者位置判断部106は、本実施の形態における利用者位置情報取得手段を構成し、検知部104から入力された話者IDあるいは人物IDにより利用者2か否かの判断、そして検知部104から入力された相対的な方向と相対的な距離、そして地図情報等記憶部108に記憶されている方向位置座標1004による移動ロボット1の位置座標及び方向に基づき、実際に利用者2の存在する位置と移動方向を導き、移動可能空間図1011上の座標及び移動方向を算出する。この座標及び方向の情報は地図情報等記憶部108上の利用者方向位置座標1002に記憶する。利用者位置判断部106は検知部104による入力情報から利用者2の存在を示す観測的証拠を読み取る。
【0042】
利用者移動経路予測部107は、利用者2が存在する利用者方向位置座標1002または最後に利用者2を検知したとき利用者方向位置座標1002と、移動可能経路データ1010から利用者2の移動経路及び移動可能空間図1011上の利用者が存在すると推測される範囲を予測する。
【0043】
検知方向制御部105は、利用者2が利用者検知圏601に存在するか否かの探索や、利用者2を見失わないために行う後述する検知方向追尾(後述する図9のステップS5)に使用する。本実施の形態では適応マイクロホンアレイ部501の検知方向の制御や、ズーム・雲台付きカメラ部502の電動ズームとパン・チルト角の制御を行う。
【0044】
また、当然ながら検知部104の擁するセンサには有効空間範囲がある。この有効空間範囲は移動ロボット1が稼動する環境条件によりその広がりが変化し得るが、ここでは、検知方向制御部105により検知部104を全方位に制御した場合には有効空間範囲は略円形領域となるものとして考える。この利用者2を検知可能な利用者検知圏601を図7に示す。利用者検知圏601内に利用者2が存在するとき、移動ロボット1は検知方向制御部105で検知部104を制御することで、利用者2を検知することが可能となる。この場合、移動可能空間図1011上で利用者検知圏601の外側に広がる移動可能空間201の空間602〜604を検知圏外とする。検知圏外に利用者2が存在するときは、移動ロボット1の位置から検知が不可能となる。
【0045】
利用者存在部屋予測部113は、利用者2を検知できなくなった場合において利用者移動経路予測部107よる利用者2が移動に使用した出入口の予測に基づき、その後の利用者2が存在する可能性のある部屋を移動可能部屋構成データ1001により予測する。
【0046】
経路生成部112は、利用者移動経路予測部107による利用者2の予測移動経路と移動ロボット1の現在位置から移動可能経路データ1010に基づき追尾経路情報を生成し、また利用者存在部屋予測部113が利用者2の存在する可能性があると予測した部屋へ、移動ロボット1の現在位置から利用者2を探索するための探索経路を、移動可能部屋構成データ1001と移動可能経路データ1010と移動可能空間図1011に基づき生成する。
【0047】
駆動部111は、経路生成部112で生成された経路情報に従い各部を駆動し、移動ロボット1を移動させる。
【0048】
移動距離・方向検出部110は、駆動部111により移動した距離及び方向を取得する。本実施の形態では、移動ロボット1がジャイロ及びパルスエンコーダを有し、これらにより移動ロボット1の移動方向及び移動距離を検出する。取得した移動方向及び移動距離は後述する現在位置特定部109へ出力する。
【0049】
現在位置特定部109は、本発明におけるロボット位置情報取得手段を構成し、移動距離・方向検出部110から出力した移動方向と移動距離及び地図情報等記憶部108上に記憶されていた移動前の移動ロボット1の方向位置座標1004より移動ロボット1の現在位置を特定する。特定した移動ロボット1が向いている方向と現在位置を示す座標で地図情報等記憶部108上の方向位置座標1004を更新する。また、移動前の部屋と違う部屋に移動したと判断した場合は、移動後の部屋を示す部屋番号で地図情報等記憶部108の現在部屋番号1005を更新する。
【0050】
異常判断基準設定部102は、本実施の形態における異常判断基準設定手段を構成し、利用者2の存在する部屋に従い、異常を検知する基準を設定する。異常判断基準設定部102は、移動ロボット1の存在する部屋により異常判別の方法を設定するのではなく、利用者2の存在する部屋により異常判別の方法を設定する。
【0051】
異常を検知する基準の例としては、利用者2がトイレ54に居る場合、利用者2が無事であればトイレットペーパーの巻き取り音や水を流す音などがそのドア越しに聞こえるはずである。これを利用者2の「活動サイン情報」と呼び、利用者2に異常がなく無事に活動していることを示すサインとする。移動ロボット1は進入可能フラグ402が“0”であるためトイレ54には進入できないので、そこに隣接した進入可能な廊下52からこのような活動サイン情報を監視する。当然のことながら、同じく移動ロボット1が廊下52に居ても、利用者2が仮に他の進入可能でない拠点に居る場合は、異なる活動サイン情報を監視することになる。
【0052】
また、例えば利用者2が浴室58に居る場合、利用者2が無事であれば当然断続的なシャワーの音などがそのドア越しに聞こえるはずである。移動ロボット1はトイレ54同様に浴室58にも進入できないため、そこに隣接した進入可能な洗面室57から活動サイン情報としてシャワー音の断続(シャワーを動かしているときに発生する噴流が物に当たる音の強弱変化)や湯船の水音を監視する。もし、シャワー音が断続しておれば利用者2がシャワーを動かしている証拠となる。また、もし、シャワー音が断続せずに長時間聞こえている場合には、利用者2がシャワーを出しっぱなしにして倒れている可能性を示す証拠となる。そのため、継続的なシャワー音は逆に「異常サイン情報」となる。
【0053】
なお、この他の異常サイン情報として、悲鳴やうめき声などの特定の音声が含まれる。また、この他の活動サイン情報として、異常サイン情報に含まれない利用者2の音声が含まれる。これら活動サイン情報と異常サイン情報は検知部104によって検出される。
【0054】
本実施の形態では、異常を判断する基準としては利用者2のいる部屋から発せられる活動サイン情報・異常サイン情報等で行う。移動可能部屋構成データ1001の各部屋情報に活動サイン情報・異常サイン情報等の異常検知基準情報を参照可能に結び付けておく。この異常検知基準情報と結びついた移動可能部屋構成データを図8に図示する。また、移動可能部屋構成データは、外出可能な部屋を示す部屋情報には外出サインに関する情報も保持する。外出サインとは、利用者2が家から外出したか否かを判断するためのサインをいう。外出サインは屋外に通じる出入口から利用者2が出たことを示す証拠であり、実際に屋外に通じる出入口の向こうに利用者2を見失ったり、玄関口11のドアが開閉する音を観測した後、所定期間以上玄関51付近で利用者2を検知できなかったりする状況を指す。
【0055】
そして、利用者存在部屋番号1003が更新された際、異常判断基準設定部102が異常判断基準を設定する。
【0056】
異常判断部103は、本実施の形態における異常判断手段を構成し、検知部104より検知された活動サイン情報・異常サイン情報等と異常判断基準設定部102により設定された異常判断基準とを比較して異常か否か判断する。異常と判断した場合は異常検知通知部101に出力する。
【0057】
異常判断部103は、利用者2が部屋に入ってから活動サイン情報が観測されなかった場合、活動サイン情報が観測されてから所定時間が経過するまで次の活動サイン情報が観測されなかった場合、最後の活動サイン情報が観測されてから利用者2が移動をしなかった場合、異常サイン情報を観測した場合に、利用者2の身に異常が起こったと判断する。
【0058】
また、外出サインによる利用者2が外出したか否かの判断も異常判断部103で行う。検知部104で外出サインが検知された場合の処理は、玄関51から利用者2が入るまで待機するか、若しくは一度リビング56へ移動して庭50から利用者2が入るか否か待機し、庭50から利用者2が入らないと判断した後に玄関51で待機する等が考えられる。この場合、利用者2は外出したものとして、活動サイン情報・異常サイン情報等による異常検知は行わない。そして利用者2が玄関から入ってくるのを検知した場合や、あるいはリビング56の出入口19のドアを開けた音を検知した等の活動サイン情報が観測された場合に移動ロボット1が活動を開始する。
【0059】
異常検知通知部101は、異常判断部103から異常と判断された旨が入力された場合に監視センター等へ通報を行う。本実施の形態では、携帯電話等による公衆回線を使用して通報することとする。また、警報等を鳴らし、周囲に警戒を促すことも考えられる。
【0060】
利用者移動可能地図学習部114は、利用者位置判断部106による利用者2の位置座標に基づいて、部屋毎の移動可能空間図1011である利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成手段である。この働きを図10によって説明する。部屋毎の移動可能空間図1011は最初全域が障害物で埋め尽くされているものとする。移動ロボット1が利用者2の位置を検出すると、この位置に応じて利用者2の周囲に占有空間4001が設定される。この占有空間4001は、利用者の身体によって占められている空間を表している。本実施の形態では占有空間4001を利用者2の位置を中心とする直径1m程度の円形領域として設定する。利用者2は障害物を避けながら部屋の中を移動する。この移動に伴って占有空間4001も移動する。この結果、各位置における占有空間を重ね合わせることで、利用者2の移動可能な空間を知ることができる。その際、占有空間4001が実際の障害物や部屋の壁にかかるように広がることもあるが、移動可能空間図1011から細線化とセグメント化処理によって生成される移動可能経路図1010は大きな誤差を示さないことが期待できる。
【0061】
異常判断基準学習部115は、利用者位置判断部106による利用者2の位置座標に基づいて、部屋毎の活動サイン情報と異常サイン情報を生成する異常判断基準学習手段である。例えば、予め悲鳴やうめき声などを異常サイン情報とし、それ以外の利用者2の音声などを活動サイン情報とすることが地図情報等記憶部108に登録されているものとする。この既知の活動サイン情報と異常サイン情報は部屋の別に関わらず有効なサインとして登録されているものとする。運用開始時点のロボット1にはこのような一般的な知識がプリセットされているものとする。
【0062】
浴室に入った利用者2は、湯船につかりながら鼻歌を歌うなどしてくつろぎだしたとする。異常判断部103は、既知の活動サイン情報としてこの鼻歌(音声話者識別部504により検出される利用者2の声であり、かつ音声語彙認識部505による語彙コードが異常サインでない音声等)を証拠に異常なしと判断する能力がある。鼻歌がとぎれても所定期間経過以前に既知の活動サイン情報が検出されれば、異常判断部103は異常なしとの判断を覆さない。逆に所定期間経過しても既知の活動サイン情報が検出されなければ、異常判断部103は異常ありと判断する。
【0063】
一方、異常判断基準学習部115は、活動サイン情報(鼻歌)がとぎれたときから検出部104により得られる観測信号の記録を開始する。このとき、利用者2が浴槽の湯を肩にかけるなどして断続的な水音を生じさせていると、記録される観測信号にはこの断続的な水音が含まれることになる。所定期間経過以前に鼻歌が再開するなどして活動サイン情報が検出されると、異常判断基準学習部115は、観測信号の記録を停止し、記録された信号から断続的な水音(特定音検出部503により解析される時間軸方向にパワーの波のある特定周波数域の音響信号等)を抽出して新たな活動サイン情報として学習する。そして、この活動サイン情報は浴室という拠点に関するものとして記憶される。以後、利用者2が鼻歌を歌わなくても、学習済みの水音が観測され続ける限り、異常判断部103は利用者2が正常に活動していると判断できる。同様にして、例えば洗い桶を置く音なども学習されることになる。この結果、あらゆる音の変化を活動サイン情報とするのに近い広範な音の変化を学習することになるが、浴室には浴室でのみ検出される音を個別に学習することで、単に音の変化をもって異常なしとするよりも正確に活動の有無を判断できるようになることが期待できる。
【0064】
また、活動サイン情報の消失後所定期間経過しても既知の活動サイン情報が検出されなければ、異常判断基準学習部115は、観測信号の記録を停止し、記録された信号から抽出される特徴を新たな異常サイン情報として学習する。例えば、鼻歌がとぎれた直後に何かがぶつかる音(特定音検出部503により解析される低周波数域の強い短時減衰性の音響信号等)がして、そのまま活動サイン情報が得られなければ、このぶつかる音を異常サイン情報として学習するとともに、異常検知通知部101の動作として、ロボット1が利用者2に声をかけたり、家人に通知するなどの対処行動を行なうことになる。
【0065】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る移動ロボット1における処理構成を説明する。図9は、本実施の形態に係る移動ロボット1における全体処理の手順を示すフローチャートである。
【0066】
利用者位置判断部106は、検知部104による入力情報から利用者2の存在を示す観測的証拠を読み取り、移動ロボット1の方向位置座標1004及び移動ロボット1に対する利用者2の相対的な方位と距離から、移動可能空間図1011における利用者2の存在する位置座標を算出する(ステップS1)。この利用者2の存在を示す観測的証拠を「利用者反応」ということとする。
【0067】
図11は、図9のステップS1の利用者位置情報更新処理の詳細なフローチャートである。利用者位置情報更新処理は、利用者位置検知のために利用者検知判定処理ステップS21と、検知方向制御ステップS22と、兆候検知判定処理ステップS23と、確証検知判定処理ステップS24と、利用者検知設定処理ステップS25と、利用者位置情報更新処理ステップS26と、利用者非検知設定処理ステップS27と、利用者検知判定処理ステップS28とからなる処理で構成される。
【0068】
利用者検知中判定処理ステップS21において、利用者位置判断部106は、利用者2を検知したか否かを示す利用者検知フラグを調べる。利用者検知フラグにより利用者検知と設定されていない場合(ステップS21のNo)はステップS22に進み、利用者検知フラグにより利用者検知と設定されている場合(ステップS21のYes)はステップS23に進む。
【0069】
検知方向制御処理ステップS22は、利用者2を検知していない場合の処理であり、検知方向制御部105は検知部104を、利用者検知圏601を全て探索するかあるいは利用者2を検知するまで、制御を行う。
【0070】
ステップS21より利用者検知と設定されている場合、またはステップS22の処理の後に、兆候検知判定処理ステップS23において、検知部104は、利用者2が未検知であるか否かに関わらず、利用者2の存在を示す兆候の有無を検証する。利用者2の存在を示す兆候とは、音声語彙認識部505による語彙コードの出力、動きベクトル検出部506による動き領域情報の出力、または顔検出・顔識別部507よる顔検出情報の出力をいう。この処理ステップでは、兆候を検知した場合(ステップS23のYes)にはステップS24に進み、兆候を検知しない場合(ステップS23のNo)にはステップS27に進む。利用者非検知中設定処理ステップS27により、利用者位置判断部106は、利用者兆候が失われたと判断し、前記利用者検知フラグを利用者非検知と設定する。
【0071】
確証検知判定処理ステップS24において、利用者位置判断部106は、正規利用者であるか否かの確証について検証する。正規利用者である確証とは、音声話者識別部504による利用者2を示す話者IDの出力、あるいは顔検出・顔識別部507による利用者2を示す人物IDの出力があったことをいう。この処理ステップでは、確証を検知した場合(ステップS24のYes)にはステップS25に進み、確証を検知しない場合(ステップS24のNo)にはステップS28に進む。確証を検知しない場合(ステップS24のNo)、利用者2の兆候は検知されているが確証は失われた状態となる。
【0072】
確証を検知しない場合(ステップS24のNo)、利用者検知判定処理ステップS28において、利用者位置判断部106は、前記利用者検知フラグから利用者検知か利用者非検知か判断する。前記利用者検知中フラグが利用者検知と設定されている場合、検知されている兆候のみで正規利用者を検知しているとみなす。
【0073】
確証を検知した場合(ステップS24のYes)、利用者検知中処理ステップS25において、利用者位置判断部106は、正規利用者である確証を検知したものとして、利用者検知フラグを利用者検知に設定する。
【0074】
ステップS25の処理の後、あるいは利用者検知であると判断された場合(ステップS28のYes)、利用者所在情報更新処理ステップS26において、利用者位置判断部106は、利用者2の確証や兆候が検知された場合、正規利用者と認定された動き領域の重心に対する相対方位と相対距離を算出し、方向位置座標1004による移動ロボット1の方向と位置座標を基準に、地図情報等記憶部108に記憶される移動可能空間図1011上の絶対位置が求められ、利用者位置情報とされる。利用者位置情報は、地図情報等記憶部108に利用者方向位置座標1002として記憶する。つまり、利用者位置情報が更新され続けている状態が、利用者反応のある状態となる。
【0075】
図9に戻り、利用者位置情報更新ステップS1の後、ステップS1で利用者2を検知したか否かを判断する(ステップS2)。利用者2を検知した場合は(ステップS2のYes)、利用者移動可能地図学習部114が、ステップS1によって更新された利用者方向位置座標1002に記憶される利用者2の位置座標に基づいて前記占有空間4001を計算し、その内部を移動可能空間とするように移動可能空間データ1011を更新するとともに、利用者2の所在に応じた存在確率情報1012gを更新する(ステップS3)。同じく、利用者移動経路予測部107が、ステップS1によって更新された利用者方向位置座標1002に記憶される利用者2の方向及び位置座標と、移動可能経路データ1010により移動経路を予測する(ステップS4)。
【0076】
図12は、移動ロボット1による利用者2の移動経路の予測方法の詳細を示したものである。移動ロボット1と利用者2は図12に示される位置に存在し、特に利用者2は、利用者検知圏601内に存在する。そして移動ロボット1の検知部104により、利用者2は矢印1201の方向に移動していることが観測されているとする。利用者2がこのまま移動し続けると仮定すると、利用者2は矢印1201の方向に移動することとなる。しかし、実際は障害物203のため移動可能経路データ1010g上のセグメント308に沿った矢印1203方向に転進すると推測される。この推理を移動ロボット1が行うため、利用者移動経路予測部107は、利用者2の現在の矢印1201の方向の進路に最も近い移動可能経路データ1010g上のセグメント308の端点を求め、これに連結する全てのセグメント(307と309)を抽出する。次に、先に求めたセグメント308の端点を始点とし、もう一方の端点を終点とするベクトルとして抽出された各セグメント(307と309)を捉え、現在の利用者2の矢印1201の方向の進路(ベクトルである)との余弦(cosθ=(v1・v2)/(|v1||v2|)、v1: 矢印1201のベクトル、v2:各セグメントベクトル)の最も大きいセグメント(向きの最も似ているベクトル)を選択する。この例ではセグメント308が選択される。これで移動ロボット1は利用者2の予測進路がセグメント308から307への方向であると決定する。
【0077】
図9に戻り、利用者移動経路予測ステップS4の後、移動ロボット1は、利用者2を見失わないように予測した経路に沿って、検知部104の適応マイクロホンアレイ部501とズーム・雲台付きカメラ部502の検知方向を検知方向制御部105により制御して利用者2を観測し続ける検知方向追尾(ステップS5)を行う。そして、移動ロボット1の方向位置座標1004による位置座標と、利用者方向位置座標1002による利用者2の位置座標と、ステップS4による利用者2の予測移動経路より利用者2の予測経路に従い追尾を行うための追尾経路を作成し、この追尾経路をトレースすることで利用者2の後を追いかける移動追尾(ステップS6:位置関係制御手段)を行う。
【0078】
このとき、前述の消失確率が所定閾値以上となる位置に利用者2が進入したことを検知すると、ロボット1は利用者2を見失わないように速度を上げて距離を詰める追尾制御を行う。
【0079】
図13は、図9におけるステップS4〜ステップS6までの処理をフローチャートとして示したものである。ステップS1により取得した利用者位置情報による利用者2の位置、方向から移動可能経路データ1010gの最も近似した経路を利用者2の移動する予測移動経路とし(ステップS31)、利用者を見失わないようにするため、その予測移動経路に沿うように検知部104を検知方向制御部105より制御する(ステップS32)。そして、見失わないよう検知部104より検知し続け、移動ロボット1と利用者2の移動可能空間図1011gの移動ロボット1及び利用者2の座標情報から相対距離が離れたか判断し(ステップS33)、離れたと判断した場合は、移動ロボット1の現在位置から利用者2の存在した位置までの経路と利用者2の予測移動経路より、移動ロボット1が利用者2を追尾するための追尾経路を生成し(ステップS36)、移動ロボット1は追尾経路をトレースして、利用者2を追尾する(ステップS37)。移動ロボット1と利用者2の距離が離れない場合は移動せず、そのまま異常判断基準設定(ステップS7)に移る。
【0080】
図9に戻り、検知方向追尾および利用者予測経路移動の結果、利用者2の所在を把握している場合、異常判断基準設定部102より利用者2の存在する部屋に応じた異常判断基準が設定され(ステップS7)、異常判断基準に従った監視方法による異常検知が行われる。そして、異常判断部103は、利用者2が部屋に入ってから活動サイン情報が観測されなかった場合、活動サイン情報が観測されてから所定時間が経過するまで次の活動サイン情報が観測されなかった場合、最後の活動サイン情報が観測されてから利用者2が移動をしなかった場合、明らかな異常サイン情報が観測された場合に、利用者2の身に異常が起こったと判断し(ステップS8のYes)、異常検知通知部101が監視センター等に通報するなどの対処を行う(ステップS9)。同時に、異常判断基準学習部115が、前記判断のための期間に観測された他の音声・画像的な特徴パタンを学習し、新たな異常サイン情報として記憶する(ステップS10)。一方、異常ではなく、活動サイン情報の得られている場合には、異常判断基準学習部115は、活動サイン情報の観測されている期間に観測された他の音声・画像的な特徴パタンを学習し、新たな活動サイン情報として記憶する(ステップS11)。
【0081】
ステップS1で利用者2を検知できなかった場合(ステップS2のNo)、利用者移動可能地図学習部114は、直前まで検知できていた利用者2が見失われたのであれば(ステップS12のYes)、最後に検知した利用者方向位置座標1002に記憶する利用者2の存在した位置座標に対応した消失確率情報1012gを更新する(ステップS13)。利用者移動経路予測部107及び利用者存在部屋予測部113は最後に検知した利用者方向位置座標1002に記憶する利用者2の存在した位置座標と移動方向(利用者消失方向)から利用者2の存在する場所を予測する(ステップS14)。この場所を「利用者存在可能圏」と呼ぶことにする。これには利用者移動経路予測部107によって予測される移動可能空間図1011上の「幾何的利用者存在可能圏」と利用者存在部屋予測部113によって予測される移動可能部屋構成データ1001上の「位相的利用者存在可能圏」の2種類ある。
【0082】
図14は、存在する場所の予測方法を例示したものである。この図において、幾何的利用者存在可能圏と成り得るのは移動可能空間図1011上で利用者検知圏601の外の空間、すなわち検知圏外602〜604である。また、位相的利用者存在可能圏と成り得るのは前記幾何的利用者存在可能圏内にある出入口16や利用者検知圏内で利用者反応が消失した方向の出入口19、20の先に繋がっている移動可能部屋構成データ1001上の部屋は庭50、廊下52、ダイニング59である。
【0083】
最後に検知した利用者消失方向が矢印1301や1302の方向であれば、利用者存在可能圏は移動可能空間図上の検知圏外604もしくは603のみとなり、これらの場所は出入口がないため、利用者移動経路予測部107は利用者2が検知圏外604もしくは603に居る可能性が極めて高いと判断する。このとき、検知圏外604と603のそれぞれにどれくらいの程度で利用者2が居そうかという情報は、前述した利用者の存在確率情報から求めることができる。具体的には、検知圏外604と603内の存在確率の合計値をそれぞれ当該検知圏外の存在確率S(604)とS(603)とし、両者を比較することで、ロボット1は存在確率の高い方から優先的に利用者を探索することができる。
【0084】
また、最後に検知した利用者消失方向が矢印1303や1305の方向であれば、利用者存在可能圏は出入口19や20を経由した移動可能部屋構成データ1001上の庭50もしくはダイニング59のみとなり、利用者移動経路予測部107は利用者2が庭50もしくはダイニング59に移動した可能性が極めて高いと判断する。このとき、庭50とダイニング59のそれぞれにどれくらいの程度で利用者2が居そうかという情報も、前述した利用者の存在確率情報から求めることができる。具体的には、庭50とダイニング59内の存在確率の合計値をそれぞれ当該検知圏外の存在確率S(50)とS(59)とし、両者を比較することで、ロボット1は存在確率の高い方から優先的に利用者を探索することができる。
【0085】
一方、最後に検知した利用者消失方向が矢印1304の方向であれば、利用者移動経路予測部107は、利用者存在可能圏となる検知圏外602と、出入口16を経由した廊下52の両方のどちらかに利用者2が存在すると予測する。この場合も、同様に各検知圏外の存在確率S(602)とS(52)を求め、優先順位を付けることが可能である。
【0086】
このように、幾何的利用者存在可能圏は見失った利用者2が存在する可能性の高い場所を移動可能空間図1011上に示し、位相的利用者存在可能圏は見失った利用者2が移動した可能性の高い部屋を移動可能部屋構成データ1001から特定する。これらの情報は利用者検知圏601に利用者2が存在しない場合に、移動ロボット1が利用者2を探索する際に使用される。
【0087】
図9に戻り、移動ロボット1は利用者2が存在する可能性が高い幾何的利用者存在可能圏を利用者検知圏601に含めるように移動し、利用者2が存在するか否か確認する(ステップS15)。
【0088】
図15は、図14における移動ロボット1が利用者2の存在する可能性が高い幾何的利用者存在可能圏602を利用者検知圏601に含めるために移動した後を例示したものである。最初は図14により示される位置に移動ロボット1が存在していたとし、最後に検出した利用者消失方向が出入口16の方を向いていた場合、移動ロボット1は図15のように移動可能経路データ1010g上のセグメント309、308、307をトレースする経路上を出入口16方面へ進行し、図14の幾何的利用者存在可能圏602を利用者検知圏1401に含め、この空間に利用者2が存在するか否か確認する。
【0089】
図9に戻り、利用者2を幾何的利用者存在可能圏602内で検知した場合(ステップS16のYes)、ステップS1に戻り、移動ロボット1は利用者追尾を再開する。利用者2が幾何的利用者存在可能圏602内に検知しなかった場合(ステップS16のNo)、利用者2は出入口16を通ってリビング56に隣接する廊下52もしくはさらにその先の空間に移動したことになる。この場合、移動ロボット1が利用者2を見失ってからの経過時間に応じて利用者存在部屋予測部113は廊下52から先の部屋毎に利用者2が存在しそうな期待を示す期待値、すなわち「利用者存在期待値」を計算する(ステップS17)。
【0090】
利用者存在期待値とは、利用者2が部屋(出発部屋)を退出した後、移動可能部屋構成データ1001による利用者2が移動することが可能な部屋毎に、利用者2が移動している可能性を示す期待度を数値化したものをいう。
【0091】
移動ロボット1が利用者2を見失ってからの経過時間と部屋の構成に着目し、部屋毎の利用者存在期待値の変化を模式的に示したものが図16、図17、図18である。各図において網掛けが濃いほど存在期待値が高いことを示している。
【0092】
図16は見失ってからの経過時間が短い時(経過時間をT1とする)の利用者存在期待値の分布を示した図である。図16に示されるとおり、経過時間が短い場合は利用者2が遠くに移動している可能性が低く、廊下52に居る可能性が極めて高い。
【0093】
図17は見失ってからの経過時間が中程度の時(経過時間をT2とする)の利用者存在期待値の分布を示した図である。図17に示されるとおり、T1よりさらに時間が経過した場合は、利用者2は廊下52に隣接した玄関51、洋室53、トイレ54、和室55、洗面室57に存在する可能性も生じる。
【0094】
図18は見失ってからの経過時間が長い時(経過時間をT3とする)の利用者存在期待値の分布を示した図である。図18に示されるとおり、T2より、さらに時間が経過した場合は、利用者2は玄関51から外に出て庭50や、洗面室57の先の浴室58にまで移動している可能性がある。
【0095】
上述した利用者存在期待値は、部屋ごとの幾何学的形状を考慮せず、部屋の構成に基づき均等に各部屋の利用者存在期待値を算出した。しかし実際は、部屋の幾何学的形状により、ある部屋から他の部屋へ移動する場合、移動先の部屋毎に移動経路が異なるため、移動先の部屋により移動距離が異なる。そして利用者2の移動速度には限界があるため、移動距離の違いにより同じ部屋から移動可能な部屋であっても、部屋毎に利用者存在期待値が異なるはずである。そこで、利用者存在部屋予測部113による各部屋の幾何学的形状を考慮した利用者存在期待値の算出方法を下記に示す。
【0096】
まず利用者存在部屋予測部113は、出発部屋の出口と、この出口を通って移動可能な他の部屋への入口との間の距離は、この入口まで経由する各部屋の利用者2の移動する距離を合計することで算出する。例えば利用者2がリビング56から浴室58へ移動するとき、移動可能部屋構成データ1001より利用者2が廊下52、洗面室57を経由して浴室58へ移動することが決定され、経由する洗面室57内の利用者移動距離は、廊下52と洗面室57を結ぶ出入口17から洗面室57と浴室58を結ぶ出入口18までの移動距離であり、これは洗面室57の移動可能経路データ1010上で出入口17と出入口18を結ぶ最短経路の長さとして求めることができる。
【0097】
利用者2が一定の移動速度で移動すると仮定した場合、利用者2の移動距離は経過時間に比例し、時間経過とともに到達可能な部屋は、より遠方の部屋まで含まれることとなる。実際は利用者2の移動速度にばらつきがあるため、利用者2が一定時間内に移動する距離はある期待値の分布を示すこととなる。これを模式的に示したものが図19である。図中の横軸1801は距離を示す軸、縦軸1802は利用者2がある距離に到達している可能性を表す期待値の軸である。図19は、経過時間がT1、T2、T3と増加するに伴い、期待値の最大値を示す距離がL1、L2、L3とより遠方へと移動し、さらに利用者移動距離の期待値分布(利用者移動期待値)が1806、1807、1809と移動速度のばらつきのため期待値を表す曲線が緩やかになる経過を示す。なお、図19では利用者移動距離確率の分布形状を正規分布でモデル化している。
【0098】
部屋の幾何学的形状を考慮し、利用者存在期待値を算出した場合の、移動ロボット1が利用者2を見失ってからの経過時間に応じた部屋毎の期待値の変化を模式的に示したものを図20に示す。上述した図と同様、網掛けが濃いほど存在期待値が高いことを示している。図20では、廊下52から和室55または洗面室57への移動距離が短いため、利用者存在期待値が高くなり、一方、廊下52から玄関51への移動距離が長いため、利用者存在期待値は低くなる。また、洗面室57は狭いため浴室58への移動経路も短く、浴室に移動している可能性も出てくるため、浴室58においても利用者存在期待値が算出される。
【0099】
時間経過に伴い、例えば経過時間T3において、利用者存在期待値の最大値を示す最大点1805が通り過ぎた距離軸上の領域、すなわち図中のL3より短い距離が、利用者2が存在している可能性のある距離を示している。よって、L3より短い距離においては利用者存在期待値として最大点1805の期待値与える。一方、最大点1805が通り過ぎていない距離軸上の領域、すなわち最大点L3より長い距離においては、利用者存在期待値として利用者移動期待値そのものを与える。この結果、経過時間T3における利用者存在期待値は図21に示すとおりとなる。
【0100】
移動ロボット1が出入口方向に利用者2を最後に検知した時刻を起点に経過時間が計測され、移動追尾により移動ロボット1が再び利用者2をその利用者検知圏601内に捕捉するまで、経過時間に応じた利用者存在可能性が上述したように距離の関数として計算され、出発部屋から各部屋までの距離に応じた当該経過時間の利用者存在可能性が利用者存在期待値として各部屋に与えられる。
【0101】
なお、より簡便に利用者存在期待値を算出するため、利用者移動速度の最大値がある値を超えないと仮定した場合の経過時間と最大利用者移動距離の関係を図22に示す。図22で示すように利用者移動距離の最大値(最大利用者移動距離)は経過時間に比例する直線2001となる。任意の経過時間Tにおける最大利用者移動距離Lはこの図の直線2001から導かれ、経過時間がTの時に距離が0〜Lまで範囲において利用者2が存在すると予測される。この場合の利用者存在期待値を図23に示す。図23に示すように距離Lの左側では利用者存在期待値が一定正値となり、矩形状となる。
【0102】
図9に戻り、利用者存在部屋予測部113は予想した幾何的利用者存在可能圏が無い場合、あるいは有る場合でも検知部104が幾何学的利用者存在可能圏内に利用者2を検知できなかったときに、利用者存在期待値と拠点毎の存在確率(拠点内の最大存在確率)の積が高い拠点順に移動し、利用者2を探索する行動を開始する(ステップS18)。部屋間を跨ぐ経路は移動可能部屋構成データ1001上で大局的な経路生成をし、各部屋内では移動可能経路データ1010上で通行可能な出入口を結ぶ局所的な経路生成して、この移動を達成する。
【0103】
なお、探索移動中に移動ロボット1が、例えば水洗トイレの音やシャワーの音が検知部104により検知した場合、検知された音の発生場所として妥当なトイレ54や浴室58を利用者2が存在する部屋と予測し、その部屋を移動目標に設定し、他の部屋を探索する必要がなくなる。また、探索移動中に例えばドアの開閉音が進行方向などから検知部104により検知された場合には、検知された音の方向以外の部屋を探索する必要がなくなる。こうして利用者2が所在する部屋を予測すると、移動ロボット1は進入可能でそこに至る経路のある部屋で利用者所在する部屋に最も近い部屋(利用者2が所在する部屋を含む)を移動する目的の部屋に設定する。
【0104】
このように本実施の形態によれば、利用者2が存在する位置を示す利用者位置情報に基づいて利用者2が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成し、生成された利用者移動可能空間情報に基づいて利用者2との位置関係を制御する。これにより、利用者2が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報をロボット運用中に自動的に生成することで、利用者を監視する能力を運用中に自動的に向上させることができる。
【0105】
本実施の形態に係る移動ロボット1は、利用者2の幾何圏内移動探索と位相圏内移動探索という2種類の探索動作を移動可能経路データ1010と移動可能部屋構成データ1001の利用者2の存在可能圏に基づいて、効率的かつ広い範囲での利用者2の探査を可能にする。
【0106】
本実施の形態に係る移動ロボット1は、利用者2が移動すると予測される経路に従って検知部104の検知方向を制御することで、利用者2を見失わないという効果を奏する。
【0107】
また、本実施の形態に係る移動ロボット1は、移動ロボット1の現在位置と利用者2の現在位置及び方向と移動可能経路情報から追尾経路を生成し、この追尾経路に従い移動することで利用者2を見失わないで追尾移動が可能という効果を奏する。また利用者2を見失った場合でも、最後に検知した利用者2の場所から移動する経路を予測し、効率よく利用者2の探索を可能とする。
【0108】
本実施の形態に係る移動ロボット1は、利用者2の異常を検知する動作を移動可能拠点構成情報上の利用者2の所在に基づいて行うため、利用者2のいる拠点により適応的に異常の検知を行うことが出来るという効果を奏する。
【0109】
本実施の形態に係る移動ロボット1は移動先の部屋及び移動可能な部屋ごと利用者2の存在する期待値を算出し、効率的に利用者2の探索を可能にする。さらに、部屋毎の幾何学的形状の違いに基づく移動距離の違いから利用者存在期待値を適切に算出することで、より効率的に利用者2の探索を可能とする。
【0110】
また本実施の形態では、適応マイクロホンアレイ部501は検知方向を特定できればよく、検知方向の音のみ入力すると制限を加えるものではない。検知方向の制御としては、上記検知方向制御部の他に移動ロボット1本体を動作させて検知方向を制御することも考えられる。現在位置特定部109はジャイロ及びパルスエンコーダを使用して現在位置を取得しているが、超音波等により現在位置を特定する方法も考えられる。
【0111】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図24ないし図32に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0112】
第1の実施の形態では、移動ロボット1の移動可能な空間と利用者2の移動可能な空間が一致している場合に本発明を適用した例である。ところが実際の環境中には、利用者2は踏み越えられるが、移動ロボット1には通行できない高さの物体が存在し、利用者2は避けて通るが、移動ロボット1はその下を潜り抜けていける物体も存在する。したがってこの第2の実施の形態に係る移動ロボット1では、利用者2が移動可能な経路であるが、移動ロボット1は移動できない経路がある場合において障害物を迂回した経路の生成を行うものである。
【0113】
本実施の形態における状況を図24に示す。図中の202、203、205は第1の実施の形態における図4に記述した障害物と同じ物である。本実施の形態では、さらに床にクッション2501を加える。
【0114】
このとき利用者2はクッション2501を踏み越えられるので障害物とはならないが、テーブル203の天板は障害物となる。一方、移動ロボット2301にとってクッション2501とテーブル203の脚が障害物となるが、テーブルの天板は下を通り抜けられるので障害物とならない。このような状態では、テーブルの下を潜るなど、利用者経路を追従するよりも効率の良いショートカットコースを移動ロボット2301が利用できれば、その利便性は一層向上するはずである。
【0115】
図25は、本発明の第2の実施の形態にかかる移動ロボット2301の構成を示すブロック図である。前述した第1の実施の形態の図1において、地図情報等記憶部108とは記憶している情報が異なる地図情報等記憶部2302に変更され、経路生成部112とは処理が異なる経路生成部2303に変更された構成を有している。
【0116】
地図情報等記憶部2302は、部屋の構成図、部屋毎の地図情報、移動ロボット2301や利用者2の現在地情報などを記憶している。本実施の形態での地図情報等記憶部2302の保持する情報を図26に示す。地図情報等記憶部108は移動可能部屋構成データ1001と、部屋毎の移動可能空間図1011a〜k及び移動可能経路データ1010a〜kと、利用者方向位置座標1002と、利用者存在部屋番号1003と、方向位置座標1004と、現在部屋番号1005と、地図上の位置毎の利用者存在確率・消失確率情報1012a〜kと、地図上の部屋毎の活動サイン・異常サイン1013の他に、部屋毎の移動ロボット2301が移動可能な空間を記述したロボット移動可能空間情報(地図情報)を保持するロボット移動可能空間図2701a〜kを記憶する。
【0117】
図27にクッション2501を加えた場合の移動可能空間図2601を示す。移動可能空間図は利用者2の移動可能な空間に基づいて生成される。クッション2501は利用者2にとってクッション2501は踏み越えられるので障害物とはならず、また、テーブル203の天板は障害物となる。したがって、このときの移動可能空間図2601は、図4に例示した移動可能空間図1011と同じとなる。
【0118】
図28にクッション2501を加えた場合のロボット移動可能空間図2701を示す。移動ロボット2301にとってクッション2501とテーブル203の脚2702〜2705が障害物となるが、テーブル203の天板は潜り抜けられるので障害物とはならない。
【0119】
部屋毎のロボットの移動可能空間図は最初全域が障害物で埋め尽くされているものとする。移動ロボット2301は自身の持つ衝突回避センサによって周囲の障害物を検出しながら移動することができるものとする。その際、障害物の検出されなかった空間をこの移動可能空間図上に記述していくことで、全域が障害物で埋められていた空間にロボットの移動可能な空間が地図情報として形成されていく。ロボット2301を運用開始する時点で、ロボット2301を自由に徘徊させることで、この地図情報は自動的に形成されていく。また、運用開始後にも、同様の手順によって、ロボット2301は自身の移動可能空間図2701を更新していくことができる。ここに、ロボット移動可能空間生成手段が実現されている。
【0120】
経路生成部112は、利用者移動経路予測部107による利用者2の予測移動経路と移動ロボット2301の現在位置と移動可能経路データ1010とから追尾経路情報を生成し、この追尾経路とロボット移動可能空間図2701とから該追尾経路上に移動ロボット1の通行できない障害物があるかを確認し、障害物があると判断した場合は、障害物と一定間隔の距離を保持した状態で、利用者2の予測移動経路まで移動する迂回経路を生成する。
【0121】
また、利用者存在部屋予測部113は、移動ロボット2301の現在位置から利用者2の存在する可能性があると予測される部屋までを探索するための探索経路として、移動可能部屋構成データ1001から大局的な経路を、そして移動可能経路データ1010とロボット移動可能空間図2701から部屋毎の詳細な経路を生成する。
【0122】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る移動ロボット2301における処理構成を説明する。第1の実施の形態と、この第2の実施の形態の処理の違いは図9の利用者予測経路移動ステップS6が主である。したがって、予測経路移動ステップS6における本実施の形態に係る移動ロボット2301の処理手順のフローチャートを図30に詳しく示す。
【0123】
まずは検知方向追尾ステップS5より利用者2を見失わないよう検知部104が利用者2を検知し続け、移動ロボット2301と利用者2の座標情報から相対距離が離れたか否かを判断し(ステップS33)、離れたと判断した場合、経路生成部2303が移動ロボット2301の現在位置から利用者2の現在位置までの追尾経路を移動可能経路データ1010に基づいて生成する(ステップS41)。さらに、生成された追尾経路上に移動ロボット2301が通行できない障害物があるか否かを、追尾経路とロボット移動可能空間図2701とを比較して判断する(ステップS42)。その判断について図29を使用して説明する。
【0124】
図29はロボット移動可能空間図2701に利用者2の移動可能経路データ1010を重ね合わせた図である。この図において、移動ロボット2301の追尾経路として利用者2のセグメント309、308を通る経路が最短となるが、経路生成部2303は、この追尾経路上に障害物となるクッション2501があることをロボット移動可能空間図2701から検出し、この追尾経路に従って移動できないと判断する。このような状況ではセグメント309と308上を移動ロボット2301が移動することができないので、迂回経路を生成しなければならない。
【0125】
障害物により移動できないと判断された場合(ステップS42の右分岐)、経路生成部2303は、移動ロボット2301の現在位置から利用者2の現在位置までの迂回経路を2種類生成する。1つは、移動ロボット2301の移動可能な空間情報を記録したロボット移動可能空間図2701上で、各障害物(壁面を含む)を右手に見ながら、各障害物(壁面を含む)と一定距離を置いた回避経路(ステップS45により生成)、もう1つは、各障害物(壁面を含む)を左手に見ながら各障害物(壁面を含む)から一定距離を置いた回避経路(ステップS46により生成)である。
【0126】
図31に生成される迂回経路情報を示す。迂回経路3001が各障害物(壁面を含む)を右手に見る迂回経路を示し、迂回経路3002が各障害物(壁面を含む)を左手に見る迂回経路を示す。この場合、迂回経路3002においてテーブルの天板はロボット1にとって障害物とならないため、利用者の経路とは異なるショートカットコースが生成されており、利便性が向上していることが確認できる。
【0127】
図30に戻り、経路生成部2303は、生成された回避経路のうち移動距離の短いものを選択し(ステップS47)、駆動部111は選択された回避経路をトレースして移動する(ステップS48またはステップS49)。上述した図31の場合では迂回経路3002が選択され、これをトレースしてロボット1が移動する。
【0128】
障害物がなかった場合(ステップS24の左分岐)は、駆動部111は生成された追尾経路をトレースして、移動ロボット2301の現在位置から利用者2の現在位置まで移動し(ステップS43)、その後、移動ロボット2301は利用者2の予測経路をトレースして移動する(ステップS44)。
【0129】
つまり、図32に例示するように、利用者2がセグメント307上を移動ロボット2301から遠ざかる方向に移動するとき、移動ロボット2301はセグメント309から308を経て307へと移動追尾するところであるが、前述した通り、クッション2501によりセグメント309から307へと移動できないため、セグメント309からセグメント308へ至る迂回経路3101を障害物回避手順に従って生成して移動追尾を完遂する。
【0130】
これによって移動ロボット2301は利用者2が利用者2のみ移動することが可能な経路に従って移動した場合でも、迂回経路を選択し、移動追尾することが可能となる。これにより一層利便性が高まったと考えられる。
【0131】
また、同様に図9の利用者移動可能経路探索ステップS15や拠点間移動探索ステップS18においても同様の手順により回避経路を生成することが可能である。
【0132】
なお、移動ロボット2301の移動可能な範囲を示すロボット移動可能空間図2701は、移動ロボット2301の検知部104によって計測された物体の形状や高さから移動ロボット2301が移動する際の障害物となるか否かを判断した上で自動的に生成される。また、利用者2の移動可能な範囲を示す移動可能空間図1011は、第1の実施形態で示した通り、利用者2の位置と移動を計測することで自動的に生成される。
【0133】
つまり、タンスやクッションなどの全域、テーブルの脚部分などの移動ロボットが踏破出来ない高さを有する物体は、移動ロボット2301にとっての障害物として、床面から一定の高さの範囲(利用者2が飛び越えられない高さ以上、利用者2の背の高さ以下)にある物体、つまりタンス、テーブルの脚部分及びテーブルの天板等は、利用者2にとっての障害物として、移動可能空間図1011および移動可能空間図2701が生成される。
【0134】
このように本実施の形態に係る移動ロボット2301によれば、移動ロボット2301についても移動することが可能な空間を示すロボット移動可能空間図2701を保持することで、利用者2は移動することできるが、移動ロボット2301は移動できない場所があっても、利用者2を問題なく追尾することができる。また、利用者2は移動できないが、移動ロボット2301は移動できる空間を利用してショートカットでき、より効率的な移動をすることができる。
【0135】
また、本実施の形態によれば、移動ロボット2301が存在する位置を示すロボット位置情報に基づいて移動ロボット2301が移動可能な空間を記述したロボット移動可能空間情報を生成し、生成されたロボット移動可能空間情報に基づいて利用者2との位置関係を制御する。これにより、移動ロボット2301が移動可能な空間を記述したロボット移動可能空間情報をロボット運用中に自動的に生成することで、利用者を監視する能力を運用中に自動的に向上させることができる。
【0136】
なお、上述した各実施の形態は、本発明の好適な実施例であり、上記実施の形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、上述した各実施の形態の移動ロボット1,2301における処理動作は、移動ロボット1,2301に組み込まれたコンピュータプログラムにより実行することも可能であり、例えば、このプログラムを、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または、半導体等の記録媒体に記録し、該記録した記録媒体から移動ロボット1,2301に読み込むことで、各実施の形態の移動ロボット1,2301における処理動作を実施することは可能となる。また、所定のネットワークを介して接続されている外部の接続機器から移動ロボット1,2301にダウンロードすることでも各実施の形態の移動ロボット1,2301における処理動作を実施することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上のように、本発明にかかる移動ロボットは、利用者を探索、追尾し、異常が発生したか否か診断するために有用であり、特に、利用者が移動すると予測される経路に従い、移動ロボットが検知手段の制御や利用者を追尾して移動する場合に適し、また移動ロボットが利用者の存在する場所に適した異常を判断する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係る移動ロボットの第1の実施の形態における機能ブロック構成を示した図である。
【図2】地図情報記憶部の保持している情報を示した図である。
【図3】移動可能部屋構成データによる利用者の移動可能な部屋の構成を示した図である。
【図4】地図情報記憶部に保持するリビング56の移動可能空間図の例を示した平面図である。
【図5】地図情報記憶部に保持するリビング56の移動可能経路の例を示す平面図である。
【図6】検知部の機能ブロックの構成を示した図である。
【図7】利用者検知圏を模式的に示した図である。
【図8】移動可能部屋構成データにおいて部屋毎に付与された異常検知設定基準情報を示した図である。
【図9】処理構成を示した図である。
【図10】利用者の位置座標に基づいて部屋毎の移動可能空間図の生成する方法を示した図である。
【図11】検知部及び利用者位置判断部の処理構成を示した図である。
【図12】利用者の予測経路を選択する方法を示した図である。
【図13】追尾移動するまでの処理構成を示した図である。
【図14】利用者消失方向と利用者の存在可能圏の関係を示した図である。
【図15】利用者検知圏を使用した利用者追尾方法を示した図である。
【図16】利用者を見失ってから経過時間が短いとき(経過時間T1)の利用者存在期待値の分布を示した図である。
【図17】利用者を見失ってから経過時間が中程度のとき(経過時間T2)の利用者存在期待値の分布を示した図である。
【図18】利用者を見失ってから長時間経過したとき(経過時間T3)の利用者存在期待値の分布を示した図である。
【図19】経過時間に応じた利用者移動距離分布の推移を示した図である。
【図20】部屋間の移動距離の違いから部屋ごとに異なる利用者存在期待値の分布を示した図である。
【図21】利用者移動距離分布から導かれる移動距離に対応する利用者存在期待値を示した図である。
【図22】利用者の移動速度の最大値がある値を超えない場合の経過時間と最大利用者移動距離の関係を示した図である。
【図23】利用者の移動速度の最大値がある値を超えない場合の最大利用者移動距離から導かれる利用者存在期待値を示した図である。
【図24】本発明に係る第2の実施の形態における障害物と利用者と移動ロボットの大きさの関係を示した側面図である。
【図25】機能ブロック構成を示した図である。
【図26】地図情報記憶部の保持している情報を示した図である。
【図27】地図情報記憶部に保持するリビングの利用者が移動可能な空間を示す移動可能空間図の例を示した平面図である。
【図28】地図情報記憶部に保持するリビングの移動ロボットが移動可能な空間を示すロボット移動可能空間図の例を示した平面図である。
【図29】リビングのロボットが移動することが可能な空間上に利用者が移動することが可能な経路を示した平面図である。
【図30】利用者の移動する経路を予測して追尾するときの処理構成を示した図である。
【図31】障害物回避手順により利用者を追尾するために導き出された迂回経路を示した図である。
【図32】障害物回避手順により選択された迂回経路を示した図である。
【符号の説明】
【0139】
1,2301 移動ロボット
2 利用者
102 異常判断基準設定手段
103 異常判断手段
106 利用者位置情報取得手段
109 ロボット位置情報取得手段
114 利用者移動可能空間生成手段
114 存在確率情報付加手段
114 消失確率情報付加手段
115 異常判断基準学習手段
1002 利用者位置情報
1004 ロボット位置情報
1011,2601 利用者移動可能空間情報
2701 ロボット移動可能空間情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が存在する位置を示す利用者位置情報を取得する利用者位置情報取得手段と、
この利用者位置情報取得手段により取得した利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成手段と、
この利用者移動可能空間生成手段により生成された前記利用者移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する位置関係制御手段と、
を備えることを特徴とする移動ロボット。
【請求項2】
ロボット自身が存在する位置を示すロボット位置情報を取得するロボット位置情報取得手段と、
このロボット位置情報取得手段により取得したロボット位置情報に基づいてロボットが移動可能な空間を記述したロボット移動可能空間情報を生成するロボット移動可能空間生成手段と、
を更に備え、
前記位置関係制御手段は、前記ロボット移動可能空間生成手段により生成された前記ロボット移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動ロボット。
【請求項3】
前記利用者の異常を判断する異常判断手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の移動ロボット。
【請求項4】
前記利用者移動可能空間生成手段は、前記利用者が同一位置に滞留する時間に基づく存在確率情報を生成して前記利用者移動可能空間情報に付加する存在確率情報付加手段を備えており、
前記位置関係制御手段は、前記存在確率情報付加手段で生成された前記存在確率情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動ロボット。
【請求項5】
前記利用者移動可能空間生成手段は、前記利用者を見失った位置に対して積算される見失い発生回数に基づく消失確率情報を生成して前記利用者移動可能空間情報に付加する消失確率情報付加手段を備えており、
前記位置関係制御手段は、前記消失確率情報付加手段で生成された前記消失確率情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動ロボット。
【請求項6】
前記利用者が活動を行っている際の観測信号上の特徴データである活動サイン情報を生成する異常判断基準学習手段と、
この異常判断基準学習手段により生成された前記活動サイン情報に基づいて前記利用者の異常を判断するための異常判断基準を設定する異常判断基準設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項3記載の移動ロボット。
【請求項7】
前記利用者に異常が生じている際の観測信号上の特徴データである異常サイン情報を生成する異常判断基準学習手段と、
この異常判断基準学習手段により生成された前記異常サイン情報に基づいて前記利用者の異常を判断するための異常判断基準を設定する異常判断基準設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項3記載の移動ロボット。
【請求項8】
前記利用者移動可能空間生成手段は、前記利用者位置情報取得手段により取得した利用者位置情報に基づく位置に所定の図形を配置し、当該図形によって覆われる範囲を前記利用者の占有空間とし、前記利用者の移動に伴って変化する前記占有空間の和集合によって覆われる範囲を前記利用者移動可能空間情報とする、
ことを特徴とする請求項1記載の移動ロボット。
【請求項9】
前記位置関係制御手段は、前記利用者移動可能空間生成手段により生成された前記利用者移動可能空間情報を用いて前記利用者の追尾及び探索を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の移動ロボット。
【請求項10】
前記位置関係制御手段は、前記ロボット移動可能空間生成手段により生成された前記ロボット移動可能空間情報を用いて前記利用者の追尾及び探索を行う、
ことを特徴とする請求項2記載の移動ロボット。
【請求項11】
前記異常判断手段は、前記活動サイン情報の所定期間以上の消失によって前記利用者の異常を判断する
ことを特徴とする請求項5記載の移動ロボット。
【請求項12】
前記異常判断手段は、前記異常サイン情報の検出によって前記利用者の異常を判断する
ことを特徴とする請求項6記載の移動ロボット。
【請求項13】
前記異常判断基準学習手段は、前記利用者が活動を行っている際の観測信号上の特徴データである活動サイン情報を検出しなくなったとき、当該活動サイン情報の消失方向から得る検知情報の一時的な記録を開始し、その後所定期間満了以前に再び活動サイン情報を検出したときに、一時的に記録された前記検知情報から新たな活動サイン情報を生成して、前記活動サイン情報の消失方向の先に位置する前記利用者移動可能空間情報に対応付ける、
ことを特徴とする請求項6記載の移動ロボット。
【請求項14】
前記異常判断基準学習手段は、前記利用者が活動を行っている際の観測信号上の特徴データである活動サイン情報を検出しなくなったとき、当該活動サイン情報の消失方向から得る検知情報の一時的な記録を開始し、その後所定期間満了に至っても活動サイン情報を検出できなかったときに、一時的に記録された前記検知情報から新たな異常サイン情報を生成して、前記活動サイン情報の消失方向の先に位置する前記利用者移動可能空間情報に対応付ける、
ことを特徴とする請求項6記載の移動ロボット。
【請求項15】
利用者が存在する位置を示す利用者位置情報を取得する利用者位置情報取得機能と、
この利用者位置情報取得機能により取得した利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成機能と、
この利用者移動可能空間生成機能により生成された前記利用者移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する位置関係制御機能と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
ロボット自身が存在する位置を示すロボット位置情報を取得するロボット位置情報取得機能と、
このロボット位置情報取得機能により取得したロボット位置情報に基づいてロボットが移動可能な空間を記述したロボット移動可能空間情報を生成するロボット移動可能空間生成機能と、
を更にコンピュータに実行させ、
前記位置関係制御機能は、前記ロボット移動可能空間生成機能により生成された前記ロボット移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する、
ことを特徴とする請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
利用者が存在する位置を示す利用者位置情報を取得する利用者位置情報取得工程と、
この利用者位置情報取得工程により取得した利用者位置情報に基づいて利用者が移動可能な空間を記述した利用者移動可能空間情報を生成する利用者移動可能空間生成工程と、
この利用者移動可能空間生成工程により生成された前記利用者移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する位置関係制御工程と、
を含むことを特徴とするロボット制御方法。
【請求項18】
ロボット自身が存在する位置を示すロボット位置情報を取得するロボット位置情報取得工程と、
このロボット位置情報取得工程により取得したロボット位置情報に基づいてロボットが移動可能な空間を記述したロボット移動可能空間情報を生成するロボット移動可能空間生成工程と、
を更に含み、
前記位置関係制御工程は、前記ロボット移動可能空間生成工程により生成された前記ロボット移動可能空間情報に基づいて前記利用者との位置関係を制御する、
ことを特徴とする請求項17記載のロボット制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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