説明

移動体監視装置及び移動体の監視方法

【課題】車両Vなどの移動体の安全を監視するにあたり、監視の対象となる監視対象が移動体周囲に存在するか否かを、車両Vに異常が発生する前に判断する。
【解決手段】車両Vに設置された一又は二以上の検波センサKと、検波センサKにより検出された検出波の波形パターンの特徴を抽出し、波形パターンの特徴に基づいて車両Vの周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断する制御装置を有する監視装置100と、監視装置100の判断結果を外部に送出する通信装置400と、通信装置400から送出された判断結果を受信可能な外部端末装置800とを備える車両監視システム1000を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの移動体に設置された検波センサを用いて、移動体の内外を監視する移動体監視装置及び移動体の監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置に関し、ドア接触センタ、車体傾斜センサ、車室内赤外線センサ、音センサなどを用いて、不法行為と判断される刺激を感知したことをトリガに撮像された画像を、利用者又は監視者の端末に送出する防犯装置及び遠隔監視システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−107279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、不法行為と判断されるような刺激が感知された後に撮像された画像が送信されるので、画像が送信されたときには既に不法行為が実行され、移動体に異常が発生している場合があるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、不法行為が実行され、移動体の安全が損なわれる前に監視をすべき対象の存在を判断することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、移動体に設置された検波センサにより検出された検出波の波形パターンの特徴に基づいて監視対象物体が存在するか否かを判断することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検出波の波形パターンの特徴から監視をすべき監視対象物体の存在を判断することにより、不法行為が実行される前に移動体の周囲に監視対象物体が存在するか否かを判断できるため、実際に移動体に異常が発生する前に監視対象物体に対する注意喚起又は警告を発することができる。この結果、移動体の安全が損なわれることを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る実施形態の監視装置を含む車両監視システムの構成図である。
【図2】検波センサ及びカメラの設置例を示す図である。
【図3】RFセンサの検出波の波形パターンの一例を示す図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、異なるRFセンサの各検出波の波形パターンの例をそれぞれ示す図であり、図4(C)は、図4(A)(B)に示す異なるRFセンサの各検出波を合成した波形パターンの一例を示す図である。
【図5】検波センサの検出波の波形パターンの一例を示す図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、異なる検波センサの各検出波の波形パターンの例をそれぞれ示す図であり、図6(C)は、図6(A)(B)に示す異なる検波センサの各検出波を合成した波形パターンの一例を示す図である。
【図7】図7(A)はRFセンサの検出波の波形パターンの一例を示し、図7(B)は検波センサの検出波の波形パターンの一例を示す図である。
【図8】図8(A)(B)(C)は、監視対象物体を追跡するために撮像された画像の例である。
【図9】本発明の実施形態に係る車両監視システムの制御手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る移動体監視装置を、車両を監視するための車両監視システム1000に適用した場合を例にして説明する。なお、監視の対象となる移動体は車両に限定されず、本発明に係る移動体監視装置は二輪車、船、重機、フォークリフト等を監視することもできる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る監視装置100を含む車両監視システム1000のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の車両監視システム1000は、車両に設置された4つのカメラ1a〜1dと(以下、カメラ1と総称することもある)、同じく車両に設置された4つの検波センサ2a〜2d(以下、検波センサ2と総称することもある)と、監視装置100と、車両コントローラ200と、通信装置400と、外部端末装置800と、を有する。この車両監視システム1000は、車両コントローラ200と情報の授受が可能なイグニッションスイッチ500と、ポジショニングスイッチ600と、出力装置300と、を備えることができる。これらの各装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。
【0011】
また、本実施形態の車両監視システム1000において、監視装置100は、通信装置400を介して携帯電話、スマートフォンその他の外部端末装置800(コンピュータ)と相互に通信が可能である。また、外部端末装置800は、通信装置810を備え、監視装置100から通信装置810を介して取得した車両その他の移動体の監視に関する監視情報をディスプレイ821やスピーカ822を含む出力装置820を用いて出力することができる。外部端末装置800を所持するユーザは、監視装置100から送出された移動体の監視情報を、外部端末装置800を用いて視聴することができる。
【0012】
図2は、本発明の実施形態における近接センサとして採用される検波センサ2a〜2dを車両Vに取り付けた場合の配置例を示す図である。本実施形態における検波センサ2は、送信器により波を検出対象に対して発信し、その反射波を受信器で受信することにより物体の存在、その位置、接近・離隔(移動)を非接触で検出することができるセンサである。本実施形態の検波センサ2は、検出媒体として、超音波などの音波、電磁波などの電波を用いることができ、検出空間内で生じた上記検出媒体の変化を抽出し、検出空間における検出対象の物理的状態を検出する。各センサにおいて用いられる検出媒体の変化の変換手法、検出対象による物理的変化の検出手法は出願時に知られているものを適宜に使用することができる。具体的に、本実施形態の検波センサ2としては音波センサ及び/又は電波センサを用いることができる。
【0013】
本実施形態では、超音波センサ、ソナー(SONAR:Sound navigation and ranging)などの音波センサ、及び/又はRFセンサ(radio frequency sensor)などの電波センサを、検波センサ2として利用する。音波センサ2と電波センサ2とは、いずれか一方を選択的に用いることもできるし、両方のセンサを協働させて用いることもできる。
【0014】
本実施形態の検波センサ2は、一つだけ設置してもよいし、複数個を車両Vに設置してもよい。複数の検波センサ2を設ける場合には、図2に示すように、検波センサ2a〜2dが、車両Vの外部の異なる位置に各々設置され、車両周囲の物体の存在並びに物体までの距離及び距離の変化を検出する。図2に示す、車両Vの前方右側の所定位置に設置された検波センサ2aと車両Vの前方左側の所定位置に配置された検波センサ2dは、車両Vの前方のエリアSP1及びその前方の空間に存在する物体の存在等を検出する。左サイドミラーなどの車両Vの左側方の所定位置に設置された検波センサ2bは、車両Vの左側方のエリアSP2及びその周囲の空間の物体の存在等を検出する。右サイドミラーなどの車両Vの右側方の所定位置(不図示)に検波センサ2を設けることも可能である。車両Vの後方右側の所定位置に設置された検波センサ2cは、車両Vの後方向のエリアSP3及びその後方の空間に存在する物体の存在等を検出する。また、車両Vの後方左側の所定位置(不図示)に検波センサ2を設けることも可能である。制御装置10は、検波センサ2a〜2dの検出結果をそれぞれ取得する。なお、検波センサ2の配置数及び配置位置は、車両Vの大きさ、形状、検出領域の設定手法等に応じて適宜に決定することができる。
【0015】
また、図2は、カメラ1a〜1dを車両Vに取り付ける場合の配置例を示す図である。カメラ1a〜1dはCCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子を用いて構成され、車両Vの外部の異なる位置に各々設置され、車両周囲の4方向の画像をそれぞれ撮影する。例えば、図2に示すように、フロントグリル近傍などの車両Vの前方の所定位置に設置されたカメラ1aは、車両Vの前方のエリアSP1内及びその前方の空間に存在する物体又は路面の画像(以下、フロントビュー画像という)を撮影する。左サイドミラーなどの車両Vの左側方の所定位置に設置されカメラ1dは、車両Vの左側方のエリアSP2内及びその周囲の空間に存在する物体又は路面の画像(以下、左サイドビュー画像という)を撮影する。ルーフスポイラーなどの車両Vの後方の所定位置に設置されたカメラ1cは、車両Vの後方のエリアSP3内及びその後方の空間に存在する物体又は路面の画像(以下、リアビュー画像という)を撮影する。右サイドミラーなどの車両Vの右側方の所定位置に設置されたカメラ1bは、車両Vの右側方のエリアSP4内及びその周囲の空間に存在する物体又は路面の画像(以下、右サイドビュー画像という)を撮影する。制御装置10は、カメラ1a〜1dによって撮像された撮像画像をそれぞれ取得する。なお、カメラ1の配置数及び配置位置は、車両Vの大きさ、形状、検出領域の設定手法等に応じて適宜に決定することができる。
【0016】
なお、上述した複数のカメラ1及び検波センサ2は、それぞれのアドレス(配置)に応じた識別子が付されており、制御装置10は、各識別子に基づいて各カメラ1及び各検波センサ2のそれぞれを識別することができる。また、制御装置10は、識別子を付することにより、特定のカメラ1及び特定の検波センサ2に起動命令その他の命令を送出することができる。
【0017】
また、同図に示すように、本実施形態に係る監視装置100の制御装置10は、カメラ1と検波センサ2の動作を制御するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、監視装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えている。
【0018】
また、本実施形態の制御装置10は、画像処理コントロールユニット(Image Processing Control Unit: IPCU)を備える。制御装置10は、画像処理コントロールユニットを用いて、撮像画像を解析し、撮像データから物体に対応する画像を抽出し、さらに抽出した画像に基づいて物体の動きを追跡し、経時的な物体の位置の変化を記憶することができる。この経時的な物体の位置の変化に基づいて、制御装置10は、車両Vの状態が異常であるか否かを判断することができる。例えば、制御装置10は、検出した物体に対応する画像が所定時間以上に渡って抽出される場合には、物体が車両Vの近傍に所定時間以上滞在していると判断し、車両Vの状態が異常であると判断することができる。また、物体を追跡した画像は、経時的に制御装置10内の画像メモリに記憶することができ、外部端末装置800へ送出することができる。なお、これらの画像処理には、出願時に用いられる手法を用いることができる。
【0019】
本実施形態に係る監視装置100の制御装置10は、制御機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。本実施形態では、制御装置10がカメラ1、検波センサ2、出力装置300、通信装置400の制御命令を送る態様を例にして説明するが、本実施形態の制御装置10は、車両コントローラ200を介してカメラ1、検波センサ2、出力装置300、通信装置400を制御することも可能である。
【0020】
以下に、監視装置100の制御装置10が実現する監視対象判断機能、追跡機能、報知機能、通信機能について説明する。
【0021】
まず、監視対象判断機能について説明する。
【0022】
本実施形態の制御装置10は、監視動作の開始信号の入力に応じて検波センサ2a〜2dを起動させる。本実施形態の監視動作は、車両Vから乗員が離れる際に開始させることが好ましい。特に限定されないが、本実施形態では、イグニッションスイッチ500に入力されたエンジンのオフ信号、ポジショニングスイッチ600に入力されたパーキングシフトへのオン信号、又は、監視装置100のスイッチ(図示せず)に入力された監視開始信号などを監視動作の開始信号とすることができる。
【0023】
開始信号が入力されると、制御装置10は、検波センサ2を起動させ、検波センサ2が受信した検出波を制御装置10へ送出させる。
【0024】
制御装置10は、検波センサ2から検出波を取得すると、検出波の波形パターンの特徴を抽出し、波形パターンの特徴に基づいて車両Vその他の移動体の周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断する。
【0025】
具体的に、制御装置10は、検出波の波形パターンに基づいて移動体から所定距離以内の領域に物体が存在することを示す特徴を抽出し、その特徴が所定時間内に所定回数以上発現する場合には、監視すべき監視対象物体、つまり、車両V等の移動体に不法行為をする可能性の高い物体(人間)が存在すると判断する。特徴を判断する際の基準となる移動体からの距離(所定距離)は、車両Vの中を観察可能な距離、車両Vを触ることができる距離、車両Vに道具を接触させることができる距離、その他の車両の安全を脅かすことができる距離に基づいて任意に設定することができる。特に限定されないが、上述の所定距離は、車両Vから3m以内、1m以内、50cm以内に設定することができる。
【0026】
特に限定されないが、検波センサ2として電波センサ2を用いる場合には、制御装置10は、車両Vの近傍の所定領域内に物体が存在するか否かを、電波センサ2の検出波の受信強度に基づいて判断することができる。RFセンサなどの電波センサ2の検出波の受信強度は物体との距離に応じるので、所定値以上の受信強度を示す場合には、物体が車両Vから所定距離未満の所定領域内に存在すると判断することができる。電波センサ2を用いた距離の検知は、出願時における技術を用いることができる。
【0027】
また、特に限定されないが、検波センサ2として超音波センサ2を用いる場合には、制御装置10は、車両Vの近傍の所定領域内に物体が存在するか否かを、超音波センサ2の検出波の戻り時間や減衰に基づいて判断することができる。超音波センサなどの音波センサ2の検出波の戻り時間や減衰は物体との距離に応じるので、所定値未満の戻り時間を示す場合等には、物体が車両Vから所定距離未満の所定領域内に存在すると判断することができる。音波センサ2を用いた距離の検知は、出願時における技術を用いることができる。
【0028】
そして、制御装置10は、車両Vの近傍に物体が存在することを示す特徴が、所定時間内に所定回数以上の回数で発現する場合には、監視すべき監視対象物体が存在すると判断する。本発明の実施形態において、物体の接近を示す特徴が所定時間内に所定回数以上の回数で発現するという検知結果は、移動可能な物体(不審者)が車両Vに近づいての室内の様子を伺う状態や、不審者が車両Vに近づいて車種や構造を判断する状態や、車両Vのドアを開ける、車両Vの窓ガラスを割る、車両Vの部品を外すなどの車両Vに対して外力を及ぼそうとしている(事前の)状態であると判断する。
【0029】
ところで、実際に車両Vのドアが所有者以外の者に解錠されることや、車両が傾いたことが検出された場合には、すでに、車両には異常が発生しており、車両に対する不法行為が既遂されている状態である。このように、他人が車両に触れた状態では、車両には何かしらの被害が発生しており、車両の安全は守られているとは言えない。
【0030】
こうした不法行為の発生を未然に防止するためには、車両Vに何も起きていなくても車両Vに近づく移動体又は車両Vの近傍に存在する移動体のすべてを警戒することが有用であるが、単に車両近くを通り過ぎる歩行者までをも不審者として誤判断することは好ましくない。特に車両Vの出力装置300により警告を発する処理を行う場合には、単なる歩行者に対して警告を発し、歩行者に不快な思いをさせるおそれがある。また、車両Vの所有者の外部端末装置800の出力装置820に監視情報を送出する場合には、単なる歩行者が通過する度にその監視情報を送り続けると、車両監視システム1000に対する利用者の信頼が損なわれる。
【0031】
これに対して、本実施形態では、検出波の波形パターンの特徴の発現態様に基づいて、単に通り過ぎるのではなく、車両Vの様子を探る等の不審な行動をとる監視対象物体の存在を判断するので、実際に車両Vに異常が発生する前に車両に不法行為を行う蓋然性の高い監視対象物体に対する注意喚起又は警告を発することができる。この結果、単に車両近傍を通り過ぎる歩行者を不審者として誤判断することなく、移動体の安全が損なわれることを未然に防止することができる。
【0032】
以下、RFセンサ2により検出された検出波を用いた場合の制御装置10の判断手法を具体的に説明する。
【0033】
図3は、RFセンサ2により検出された検出波の波形パターンの一例を示す図である。制御装置10は、図3に示す検出波の波形パターンに基づいて、車両Vから所定距離以内の領域に物体が存在することを示す特徴を抽出する。本例において制御装置10は、RFセンサ受信強度Pが所定値P1以上の値を示すピークM1,M2,M3(破線で示す)を特徴として抽出する。本実施形態において、RFセンサの受信強度PがP1以上からP未満の値である場合は正常であると判断する。
【0034】
そして、制御装置10は、所定時間T(Sec)以内に特徴として抽出されたピークの数をカウントする。図3に示す例ではM1,M2,M3の3つである。本実施形態においては、所定時間T以内に3回以上特徴が抽出された場合には、監視すべき監視対象物体が存在すると判断する旨が予め定義されている。このため、制御装置10は、図3に示す例の波形パターンを取得した場合には、この波形パターンは、所定時間T以内に、受信強度P1以上の値を示す特徴が3回(≧3回)発現しているので監視すべき監視対象物体が存在すると判断する。このように、所定時間T以内に強度P1以上の値を示す特徴が所定回数以上見られる場合には、動きのある物体(人間)が車両Vに断続的に存在する、つまり、車両Vに接触するために近付いたり離れたりする不審者が存在すると判断することができる。
【0035】
また、制御装置10は、複数のRFセンサ2から検出された複数の検出波の波形パターンを、時間軸を基準に合成された合成波形パターンの特徴に基づいて車両Vの周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断することができる。
【0036】
図4(A)(B)は、異なる検波センサ2により検出された検出波の波形パターンの一例であり、図4(C)は、図4(A)(B)に示す二つ(複数の)検出波から合成された合成波形パターンである。図4(A)〜(C)に示すように、図4(C)は図4(A)(B)に示す二つ(複数の)検出波の波形パターンを同期させて両波形パターンを重畳させた合成波形パターンである。図4(A)の検出波には、受信強度がP1以上の値である特徴M11及びM12が含まれており、図4(B)の検出波には、受信強度がP1以上の値である特徴M21が含まれている。これらを合成した図4(C)の合成波形パターンには、特徴M11に対応するM31及び特徴M12に対応するM32、並びに特徴M21に対応するM33が含まれている。このため、制御装置10は、図4(C)に示す例の合成波形パターンを取得した場合には、この合成波形パターンは、所定時間T以内に、強度P1以上の値を示す特徴が3回(≧3回)発現しているので監視すべき監視対象物体が存在すると判断する。
【0037】
続いて、超音波センサ2により検出された検出波を用いた場合の制御装置10の判断手法を具体的に説明する。
【0038】
図5は、超音波センサ2により検出された検出波の波形パターンの一例を示す図である。制御装置10は、図5に示す検出波の波形パターンに基づいて、車両Vから所定距離以内の領域に物体が存在することを示す特徴を抽出する。本例において制御装置10は、超音波センサ2の送信波の戻り時間から求めた距離Dが所定値D1未満の値を示すピークL1〜L5(破線で示す)を特徴として抽出する。本実施形態では、RFセンサの受信強度がD1より大きい値である場合は正常であると判断する。
【0039】
そして、制御装置10は、所定時間T(Sec)以内に特徴として抽出されたピークの数をカウントする。図5に示す例ではL1〜L5の5つである。本実施形態においては、所定時間T以内に4回以上特徴が抽出された場合には、監視すべき監視対象物体が存在すると判断する旨が予め定義されている。このため、制御装置10は、図5に示す例の波形パターンを取得した場合には、この波形パターンは、所定時間T以内に、距離D1未満の値を示す特徴が5回(≧4回)発現しているので監視すべき監視対象物体が存在すると判断する。このように、所定時間T以内に距離D1未満の値を示す特徴が所定回数以上見られる場合には、動きのある物体(人間)が車両Vに断続的に存在する、つまり、車両Vに接触するために、接近を何度も繰り返す不審者が存在すると判断することができる。
【0040】
また、制御装置10は、複数の超音波センサ2から検出された複数の検出波の波形パターンを、時間軸を基準に合成された合成波形パターンの特徴に基づいて車両Vの周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断することができる。
【0041】
図6(A)(B)は、異なる検波センサ2により検出された検出波の波形パターンの一例であり、図6(C)は、図6(A)(B)に示す二つ(複数の)検出波から合成された合成波形パターンである。図6(A)〜(C)に示すように、図6(C)は図6(A)(B)に示す二つ(複数の)検出波の波形パターンを同期させて両波形パターンを重畳させた合成波形パターンである。図6(A)の検出波には、距離がD1未満の値である特徴L11〜L13が含まれており、図6(B)の検出波には、距離がD1未満の値である特徴L21〜L23が含まれている。これらを合成した図6(C)の合成波形パターンには、特徴L31〜L35が含まれている。このため、制御装置10は、図6(C)に示す例の合成波形パターンを取得した場合には、この合成波形パターンは、所定時間T以内に、距離D1未満の値を示す特徴が5回(≧4回)発現しているので監視すべき監視対象物体が存在すると判断する。
【0042】
さらに、本実施形態の制御装置10は、RFセンサ2と超音波センサ2の両方を検波センサ2として併用することができる。検出波の取得手法は先述のとおりである。図7(A)は、RFセンサ2により検出された検出波の波形パターンの一例を示し、図7(B)は超音波センサ2により検出された検出波の波形パターンの一例を示す図である。
【0043】
制御装置10は、図7(A)に示すRFセンサ2の検出波の波形パターンに基づいて、受信強度PがP1以上の値を示す特徴M1〜M3(破線で示す)を抽出する。また、制御装置10は、図7(B)に示す超音波センサ2の検出波の波形パターンに基づいて、距離DがD1未満の値を示す特徴L1〜L5(破線で示す)を抽出する。制御装置10は、RFセンサ2の受信波の受信強度PがP1以上となった最初の特徴M1を検出した後に、超音波センサ2の受信波の距離DがD1未満となった最初の特徴L2を検出したタイミング、つまり、RFセンサ2及び超音波センサ2の両方が、車両Vの所定距離以内に物体が存在すると判断したタイミングt0を検出する。そして、制御装置10は、タイミングt0から所定時間T以内に、受信強度PがP1以上となり且つ超音波センサ2の受信波の距離DがD1未満となる特徴R1〜R3が、各受信波に所定回数以上発現した場合には、監視すべき監視対象物体が存在すると判断する。
【0044】
また、制御装置10は、検波センサ2により検出された検出波の波形パターンの特徴の変化を抽出し、波形パターンの変化の特徴に基づいて車両Vに監視対象物体が接近しているか否かを判断することができる。先述したように、RFセンサ2の受信強度は物体の距離が近いほど強くなるので、特徴の受信強度が時間の経過につれて強くなる場合には、物体が車両Vに接近していると判断することができる。また、超音波センサ2は物体の距離を検出結果として出力できるので、特徴の距離が時間の経過につれて小さくなる場合には、物体が車両Vに接近していると判断することができる。このように、制御装置10は、RFセンサ2の検出波の波形パターンの特徴の受信強度が時間の経過につれて増加する変化が見られる場合には、監視対象物体が存在し、かつ車両Vに接近していると判断することができる。同様に、制御装置10は、超音波センサ2の検出波の波形パターンの特徴の距離が時間の経過につれて減少する変化が見られる場合には、監視対象物体が存在し、かつ車両Vに接近していると判断することができる。
【0045】
続いて、制御装置10の追跡機能について説明する。制御装置10は、カメラ1を用いて監視対象物体の追跡を行うことができる。具体的に、制御装置10は車両Vの周囲に監視対象物体が存在すると判断した場合、又は車両Vに監視対象物体が接近していると判断した場合には、カメラ1に車両Vの周囲を撮像させることができる。
【0046】
図5(A)〜(C)は、監視対象物体が検出された場合に起動されたカメラ1により撮像された画像例を示す図である。図5(A)は、車両Vの所定距離以内の領域に監視対象物体が検出されたときの撮像画像である。監視対象物体が検出されたときに画像による追跡を開始することができるので、監視対象物体の全体画像を得られるので、不審者の背の高さ、服装、着用物の有無などの身体的な特徴を取得することができる。図5(B)は、図5(A)で撮像対象となっている監視対象物体を継続的に追跡して撮像された画像である。このように、固定カメラ1で撮像された画像によれば、監視対象物体が車両Vに必要以上に接近していることが分かるので、単に通り過ぎる歩行者でない不審者が車両Vの周囲に存在していることをカメラ画像から判断することができる。
【0047】
このように、監視対象物体が検出された場合にカメラ1を起動させるので、常にカメラ1を起動させておく必要がない。このため、監視のために消費される電力を低減させることができる。特に、車両Vのエンジンが停止しており、給電もされていない場合に監視処理を実行する場合には、バッテリの電力を使用するので消費電力は低いことが望まれるが、本実施形態の監視装置100によれば、監視対象物体を正確に検出するとともにその動向が追跡可能な監視処理を低い消費電力で行うことができる。
【0048】
さらに、制御装置10は、監視対象物体が存在すると判断した場合において、監視対象物体が検出された検波センサ2を特定することにより、監視対象物体の存在方向を判断することができるので、監視対象物体の存在方向を撮像するカメラ1a〜1dの何れか一つ以上に車両Vの周囲を撮像させることができる。これにより、監視対象物体を撮像するカメラ1a〜1dのみを選択して起動させるので、監視処理に必要な消費電力をさらに低減させることができる。
【0049】
続いて、制御装置10の報知機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、車両Vの周囲に監視対象物体が存在すると判断した場合には、判断結果を車両Vが備える出力装置300を介して報知することができる。本実施形態の車両監視システム1000の出力装置300は、ディスプレイ301、スピーカ302、ホーン303、ライト304を含む。これらは、監視装置100の指令により動作させることができるが、車両コントローラ200を介して動作させることもできる。
【0050】
制御装置10は、監視対象物体が存在するという判断結果を、ナビゲーション装置などに用いられるディスプレイ301やスピーカ302を介して出力する。例えば、制御装置10は、「車両に異常が発生しました。通報します。」などの文字をディスプレイ301に大きく点滅表示し、及び/又はスピーカ302を介して警告音とともに音声出力する。これとともに又は独立して、ホーン303を鳴らし、ライト304を点灯又は点滅させる。さらにカメラ1により撮像された監視対象物体(不審者)の画像を表示することもできる。このように制御装置10が監視対象物体を認識したことを周囲に報知することにより、車両Vに不法行為をしようとして車両Vに接近した者(監視対象物体)に、車両Vに接触することを断念させることができる。結果として、車両Vに不法行為が行われ、車両Vに異常が発生することを未然に防止することができる。
【0051】
最後に、制御装置10の通信機能について説明する。制御装置10は、車両Vの周囲に監視対象物体が存在すると判断した場合には、判断結果に関する監視情報を車両Vの外部の外制御装置800に送出する。また、外部端末装置800は、監視装置100の制御装置10と通信を行う通信手段810と、通信手段810を介して監視装置100側から取得した監視情報を出力するディスプレイ821、スピーカ822を含む出力手段820を備えているので、車両Vの管理者は外部端末装置800を用いて車両Vの監視情報を視聴することができる。なお、監視情報には、監視対象物体が車両Vの近傍に存在するという判断結果、監視対象物体が車両Vに接近しているという判断結果、さらにカメラ1による監視対象物体の撮像画像を含めることができる。監視情報に監視対象物体を追跡する画像が含まれている場合には、状況に応じて正確な判断を行うことができる。
【0052】
このように監視情報を車両Vの管理者の外部端末装置800に送信することにより、管理者は監視情報に基づいて車両Vに不法行為が行われることを防ぐために必要な処置、例えば警備者への通報などを行うことができる。これにより、車両Vに接近した者に、車両Vに接触することを断念させることができ、車両Vに不法行為が行われ、車両Vに異常が発生することを未然に防止することができる。
【0053】
続いて、図9のフローチャート図に基づいて、本実施形態の車両監視システム1000の制御手順を説明する。
【0054】
まず、監視装置100は、監視処理開始の要求を待機する。監視装置100は、監視装置100のスイッチに入力された起動命令を取得した場合、又は外部端末装置800から取得した起動命令を取得した場合に監視処理開始要求を取得したと判断し、ステップ10へ進む。また、イグニッションスイッチ500にオフ信号が入力された場合に監視処理を自動的に開始することもできる。
【0055】
監視装置100は、監視処理開始の要求を受け付けた後に、ステップ10において、検波センサ2に検出処理を開始させる。検波センサがRFセンサ2である場合はステップS11において検出波の波形パターンを含む電磁波情報を取得し、検波センサが超音波センサ2である場合はステップS12において検出波の波形パターンを含む音波情報を取得する。
【0056】
ステップ20において、監視装置100は、取得した検出波の波形パターンから特徴を抽出する。
【0057】
続く、ステップ30において、監視装置100は、抽出した特徴を評価する。具体的にはRFセンサ2の検出波において受信強度Pが所定値P1以上の特徴が所定時間T内に何回検出されたかをカウントし、その回数が所定数以上であるか否かを評価する。また、超音波センサ2の検出波において距離Dが所定値D1未満の特徴が所定時間T内に何回検出されたかをカウント、その回数が所定数以上であるか否かを評価する。
【0058】
ステップS40において、監視装置100は、監視対象物体が存在するか否かを判断する。受信強度Pが所定値P1以上の特徴が所定時間T内に所定数以上含まれる場合、又は検出距離Dが所定値D1未満の特徴が所定時間T内に所定数以上含まれる場合には、監視対象物体が存在すると判断し、ステップ50又は60へ進む。監視対象物体が存在しないと判断された場合には、ステップ10へ戻る。
【0059】
さらに、ステップS50において、監視装置100は、監視対象物体が車両Vに接近しているか否かを判断することができる。受信強度Pが時間の経過に伴って大きくなる場合、距離Dが時間の経過に伴って小さくなる場合には、監視対象物体が車両Vに接近すると判断し、ステップ60へ進む。監視対象物体が存在しないと判断された場合には、ステップ10へ戻る。なお、この処理を行うことにより、監視対象物体が車両V近傍に存在するというだけではなく、車両Vに接近した場合に限ってカメラ1の起動、監視情報の送信などを行うことができる。
【0060】
続くステップS70において、監視装置100は、カメラ1を起動させ、ステップS70において車両Vの周囲を撮像させることにより監視対象物体の追跡画像を取得する。起動させるカメラ1は、監視対象物体が存在する方向を撮像するカメラ1a〜1dのいずれか一つ以上を選択することができる。ここで取得された監視対象物体を追跡して撮像された画像は、ステップ80で送信される監視情報に含めることができる。
【0061】
ステップS80において、監視装置100は、監視対象物体が車両Vの近傍所定領域内に存在するとの判断結果と、監視対象物体を追跡して撮像された画像とを含む監視情報を、車載の出力装置300を介して周囲に報知し及び/又車両監視システム1000の通信装置400を介して外部端末装置800へ送出する。
【0062】
具体的に、監視装置100は、車両Vのディスプレイ301に異常を検知した旨を文字や図形で表示する、スピーカ302で異常を検知した旨を音声で出力する、カメラ1が撮像した監視対象物体の画像をディスプレイ301に表示する、車両コントローラ200を介して車両Vのライトを点滅させ又は車両Vのホーンを鳴らすなどの報知処理を実行させることができる。
【0063】
また、この報知処理と並行して、監視装置100は、通信装置400を介して監視情報を外部端末装置800に送信することができる。外部端末装置800は通信装置810を介して撮像画像を含む監視情報を取得する。外部端末装置800は、これが備えるディスプレイ821に受信した監視情報(監視対象物体の追跡画像)を表示し、又はスピーカ822を用いて異常が検知された旨をユーザに報知する。このように、ユーザは、車両Vから離隔した場所で、外部端末装置800を利用して車両Vを画像により監視することができる。
【0064】
最後にステップS90において、監視装置100は監視対象物体が車両Vから離隔したか否かを判断する。監視対象物体が車両Vから離隔した場合には監視の必要は無くなるので、処理を終了する。監視対象物体が車両Vから離隔したか否かは、RFセンサ2の受信強度Pが所定値P2未満となる又は超音波センサ2の距離Dが所定値D1より大きい値となることにより判断することができる。他方、監視対象物体が車両Vから離隔せず、車両Vから所定距離以内に存在する場合には、報知及び/又は監視画像の送信を継続する。
【0065】
なお、本実施形態では、監視装置100が車両Vに配置された場合を例にして説明したが、本発明の本実施形態に係る車両Vその他の移動体の監視方法を、カメラ1、検波センサ2(近接センサ2)、出力装置300、通信装置400を制御可能なクライアント(コンピュータ・制御装置)と情報の授受が可能なサーバ(コンピュータ・制御装置)において実行することもできる。サーバは、クライアントと離隔した場所に配置することができる。
【0066】
サーバは、車両V側に配置されたクライアントに以下の指令を送出して、監視方法を実行することができる。指令の内容は、車両Vを含む移動体に設置された一又は二以上の検波センサ2により検出された検出波の波形パターンを取得させ(ステップ1)、波形パターンの特徴に基づいて移動体の周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断する(ステップ2)と、を含む。処理の具体的な内容は、本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000と共通するのでこれらの説明を援用する。
【0067】
本発明は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
【0068】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、検波センサ2により検出された検出波の波形パターンの特徴から監視をすべき監視対象物体の存在を判断することにより、不法行為が実行される前に移動体の周囲に監視対象物体が存在するか否かを判断できるため、実際に移動体に異常が発生する前に監視対象物体に対する注意喚起又は警告を発することができる。この結果、移動体の安全が損なわれることを未然に防止することができる。
【0069】
本実施形態における車両V(移動体)の監監視方法を使用した場合においても、監視装置100、車両監視システム1000と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0070】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、物体が所定距離内の領域に存在を示す特徴が所定時間内に所定回数以上発現する場合には、監視の対象となる監視対象物体が存在すると判断することにより、不審者(監視対象物体)が車両を探っている状態を判断することができるので、実際に車両Vに異常が発生する前に車両に不法行為を行う蓋然性の高い監視対象物体に対する注意喚起又は警告を発することができる。この結果、単に車両近傍を通り過ぎる歩行者を不審者として誤判断することなく、移動体の安全が損なわれることを未然に防止することができる。また、本実施形態によれば、他人が車両に実際に触れるなど、車両に対する不法行為が既遂されている状態になる前に、不法行為の発生を未然に防止することができる。さらに、単に車両Vの近くを通り過ぎる歩行者までをも監視の対象として判断することも防止することができる。
【0071】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、複数の検波センサ2から検出された複数の検出波の波形パターンから合成された合成波形パターンの特徴に基づいて監視対象物体の存在を判断するので、車両Vの周囲をまんべんなく監視することができ、監視対象物体の存在をより正確に判断することができる。
【0072】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、波形パターンの変化の特徴に基づいて車両Vに監視対象物体が接近しているか否かを判断することにより、監視対象物体が車両Vの周囲に存在するという危険に対する判断に加えて、監視対象物体が車両Vに接近するという相対的に高い危険に対する判断を示すことができる。これにより、監視のレベルを2段階として、状況に応じたレベルの監視処理を行うことができる。
【0073】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、監視対象物体の存在又は接近を判断した場合には、カメラ1に車両Vの周囲を撮像させて監視対象物体を追跡することにより、検出された監視対象物体の状態を画像により示す監視情報を得ることができる。監視対象物体を追跡する撮像画像を含む監視情報によれば、車両Vから離れた位置においても車両Vの状態を把握することができる。また、監視対象物体が検出された場合にカメラ1を起動させるので、常にカメラ1を起動させておく必要がない。このため、監視のために消費される電力を低減させることができる。特に、車両Vのエンジンが停止しており、給電もされていない場合に監視処理を実行する場合には、バッテリの電力を使用するので消費電力は低いことが望まれるが、本実施形態の監視装置100によれば、監視対象物体を正確に検出するとともにその動向が追跡可能な監視処理を低い消費電力で行うことができる。
【0074】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、監視対象物体の存在方向を撮像するカメラ1を起動させて監視対象物体を追跡することにより、監視対象物体の追跡に必要なカメラ1のみを起動させることができるので、監視のために消費される電力をより低減させることができる。
【0075】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、検波センサ2として電波センサ及び/又は音波センサを用いることにより、異なる検知媒体を用いて監視対象物体を検出できるので、状況に応じた検出処理を行うことができるとともに、両センサを併用することにより検出の精度を高めることができる。
【0076】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、監視対象物体の存在に関する監視情報を車両Vの出力装置300を介して報知することにより、車両Vに不法行為をしようとして車両Vに接近した者に、車両Vに接触することを断念させることができる。結果として、車両Vに異常が発生することを未然に防止することができる。
【0077】
本実施形態の監視装置100、車両監視システム1000によれば、監視対象物体の存在に関する監視情報を通信装置400を介して外部端末装置800に送出することにより、管理者は監視情報に基づいて車両Vに不法行為が行われることを防ぐために必要な処置、例えば警備者への通報などを行うことができる。これにより、車両Vに接近した者に、車両Vに接触することを断念させることができ、車両Vに異常が発生することを未然に防止することができる。また、監視情報に監視対象物体を追跡する画像が含まれている場合には、状況に応じて正確な判断を行うことができる。
【0078】
なお、以上説明したすべての実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
本明細書では、本発明に係る移動体監視装置の一態様として監視装置100及び車両監視システム1000を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0080】
また、本明細書では、本発明に係る移動体監視装置の一態様として、カメラ1及び検波センサ2を制御可能な、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備える監視装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、監視対象判断手段と、追跡手段と、報知手段と、通信手段とを有する本発明に係る移動体監視装置の一態様として、監視装置100を説明するが、これに限定されるものではない。
【0081】
本明細書では、本発明に係る移動体監視システムの一態様として、本願発明に係る検波センサ2と、カメラ1と、監視装置100と、通信装置400と、外部端末装置800とを備えた車両監視システム1000を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1000…車両監視システム
1a〜1d…カメラ
2a〜2d…検波センサ,電波センサ(RFセンサ),音波センサ(検波センサ)
100…監視装置
V…車両
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
200…車両コントローラ
300…出力装置
301…ディスプレイ
302…スピーカ
303…ホーン
304…ライト
400…通信装置
500…イグニッションスイッチ
600…ポジショニングスイッチ
800…外部端末装置
810…通信装置
820…出力装置
821…ディスプレイ
822…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置された一又は二以上の検波センサにより検出された検出波の波形パターンの特徴を抽出し、前記波形パターンの特徴に基づいて前記移動体の周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断する監視対象判断手段を有することを特徴とする移動体監視装置。
【請求項2】
前記監視対象判断手段は、前記検出された検出波の波形パターンに基づいて前記移動体から所定距離以内の領域に物体が存在することを示す特徴を抽出し、前記特徴が所定時間内に所定回数以上発現する場合には、前記監視対象物体が存在すると判断することを特徴とする請求項1に記載の移動体監視装置。
【請求項3】
前記監視対象判断手段は、前記複数の検波センサから検出された複数の検出波の波形パターンを、時間軸を基準に合成された合成波形パターンの特徴に基づいて前記移動体の周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体監視装置。
【請求項4】
前記監視対象判断手段は、前記検波センサにより検出された検出波の波形パターンの特徴の変化を抽出し、前記波形パターンの変化の特徴に基づいて前記移動体に前記監視対象物体が接近しているか否かを判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の移動体監視装置。
【請求項5】
移動体の周囲を撮像するカメラと、
前記監視対象判断手段が、前記移動体の周囲に前記監視対象物体が存在すると判断した場合、又は前記移動体に前記監視対象物体が接近していると判断した場合には、前記カメラに前記移動体の周囲を撮像させる追跡手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の移動体監視装置。
【請求項6】
前記検波センサ及び前記カメラは、前記移動体の複数個所に取り付けられ、
前記監視対象判断手段は、前記監視対象判断手段が前記移動体の周囲に前記監視対象物体が存在すると判断した場合には、前記検波センサの検出結果に基づいて監視対象物体の存在方向を判断し、前記判断した存在方向を撮像する前記カメラに前記移動体の周囲を撮像させることを特徴とする請求項5に記載の移動体監視装置。
【請求項7】
前記検波センサは、電波センサ及び/又は音波センサを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の移動体監視装置。
【請求項8】
前記監視対象判断手段が、前記移動体の周囲に前記監視対象物体が存在すると判断した場合には、前記判断結果に関する監視情報を前記移動体が備える出力装置を介して報知する報知手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の移動体監視装置。
【請求項9】
前記監視対象判断手段が、前記移動体の周囲に前記監視対象物体が存在すると判断した場合には、前記判断結果に関する監視情報を前記移動体の外部の外部端末装置に送出する通信手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の移動体監視装置。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか一項に記載された移動体監視装置と、前記移動体監視装置と相互に情報の授受が可能な外部端末装置とを備え、
前記移動体監視装置は、前記前記監視対象判断手段の判断結果に関する監視情報を前記外部端末装置に送出する通信手段を有し、
前記外部端末装置は、前記移動体監視装置と通信を行う通信手段と、前記通信手段を介して前記移動体監視装置から取得した監視情報を出力する出力手段と、を有することを特徴とする移動体監視システム。
【請求項11】
移動体に設置された一又は二以上の検波センサにより検出された検出波の波形パターンを取得させ、
前記波形パターンの特徴に基づいて前記移動体の周囲に監視の対象となる監視対象物体が存在するか否かを判断することを特徴とする移動体の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242993(P2012−242993A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111135(P2011−111135)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】