説明

移動処理機

【課題】コンベアの折り畳みに伴うコンベアや処理装置の損傷を防ぐことができる移動処理装置を提供する。
【解決手段】走行体1上に配置される本体フレーム2と、この本体フレーム2に搭載される処理装置すなわち篩装置4と、この篩装置4で処理された粒度の異なる処理物をそれぞれ外部に排出させる第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、及び第3排出コンベア8とを有し、第2排出コンベア6は輸送時に篩装置4に近接するように折り畳まれたものから成る自走式スクリーンにおいて、第2排出コンベア6が折り畳まれたことを検出する角度センサと、この角度センサで第2排出コンベア6が折り畳まれたことが検出されたとき、第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、及び第3排出コンベア8の駆動を不能にする制御信号を出力する制御手段、すなわちコントローラとを備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式スクリーン等の移動処理機に係り、篩装置等の処理装置と、折り畳み可能な関節部を有し処理装置で処理された処理物を外部に排出するコンベアとを備えた移動処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1,2に示されるものがある。これらの従来技術は、自走式スクリーンから成る移動処理機であり、処理装置すなわち処理物に振動を与えて異なる大きさの粒度ごとに篩い分ける篩装置を備えるとともに、トレーラ等に搭載されての輸送時に、篩装置に近接するように折り畳まれる関節部を有し、処理作業時に処理装置で処理された処理物を外部に排出させるコンベアを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6698594号公報
【特許文献2】特開2005−296893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した各従来技術は、コンベアが折り畳まれた状態でコンベアあるいは処理装置が誤って駆動させると、コンベアや処理装置を損傷させてしまう虞がある。また、コンベアが折り畳まれた状態で処理装置を、低い高さ位置である輸送時の姿勢から上昇させて、高い高さ位置である処理作業時の姿勢に変更させようとすると、コンベアや処理装置を損傷させてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、コンベアの折り畳みに伴うコンベアや処理装置の損傷を確実に防ぐことができる移動処理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る移動処理機は、移動機構部上に配置される車体と、この車体に搭載される処理装置と、この処理装置で処理された処理物を外部に排出するコンベアとを有し、このコンベアは輸送時に上記処理装置に近接するように折り畳まれるものから成る移動処理機において、上記コンベアが折り畳まれたことを検出する検出手段と、この検出手段で上記コンベアが折り畳まれたことが検出されたとき、上記コンベア及び上記処理装置の少なくとも一方の駆動を不能にする制御手段を備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、検出手段でコンベアが折り畳まれたことが検出されると、制御手段によってコンベア及び処理装置の少なくとも一方の駆動が不能に制御される。すなわち、コンベアが折り畳まれ、このコンベアが処理装置に近接している状態のときには、コンベアまたは処理装置が誤って駆動される事態を生じないように制御手段によって制御される。これによって、コンベアの折り畳みに伴うコンベアや処理装置の損傷を確実に防ぐことができる。
【0008】
また、本発明に係る移動処理機は、上記発明において、移動機構部を有する車体と、この車体に搭載される処理装置と、この処理装置で処理された処理物を外部に排出するコンベアとを有し、このコンベアは輸送時に上記処理装置に近接するように折り畳まれるものから成る移動処理機において、上記処理装置の高さ位置を調整可能な高さ調整手段と、この高さ調整手段の調整によって上記処理装置が処理作業時の高さ位置である所定の高さ位置になったことを検出する検出手段と、この検出手段で上記処理装置の高さ位置が上記所定の高さ位置になったことが検出されたとき、上記コンベアの折り畳みを不能にする制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、検出手段で処理装置の高さ位置が所定の高さ位置であることが検出されると、制御手段によって、コンベアの折り畳みが不能に制御される。すなわち、処理装置の高さ位置が所定の高さ位置であるときに、コンベアが折り畳まれてこのコンベアが処理装置に接触することがないように制御手段によって制御される。これによって、コンベアの折り畳みに伴うコンベアや処理装置の損傷を確実に防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る移動処理機は、上記発明において、上記検出手段は、角度センサから成ることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る移動処理機は、上記発明において、上記コンベアを駆動する油圧モータから成る駆動モータを備え、上記制御手段が、上記駆動モータを作動させる圧油の供給管路に設けられ、上記コンベアが折り畳まれると上記供給管路を閉じる開閉弁を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る移動処理機は、上記発明において、自走式スクリーンから成り、この自走式スクリーンは、上記移動機構部を構成し、一対の履帯を有する走行体と、この走行体上に、上記履帯と上面視重複するように配置され、上記車体を構成する本体フレームと、この本体フレーム上に搭載される処理装置を構成する篩装置と、上記本体フレームの長手方向における一方側に回動軸を有し、上記本体フレームに対して傾動可能に設けられた傾動フレームと、上記本体フレームの長手方向における一方側に設けられ、上記篩装置によって篩われて残った粒度の大きな処理物を排出する第1排出コンベアと、上記本体フレームの長手方向における一方側に設けられ、上記篩装置によって篩われた中程度の大きさの粒度の処理物を、上記本体フレームの左右方向の少なくとも一方に排出し、上記輸送時に折り畳まれるコンベアを構成する第2排出コンベアと、上記傾動フレームの下端に沿って傾動フレームに取り付けられ、上記本体フレームの長手方向における他方側に設けられ、上記篩装置によって篩われた粒度の小さな処理物を排出する第3排出コンベアとを備え、上記篩装置は、第1振動床と、この第1振動床の下方に設けられ、互いの配置関係を上記第1振動床に比べて狭く配置した第2振動床とを備え、上記第2排出コンベアは、この第2排出コンベアを上記第1排出コンベアの基端部において、機体の側部、及び上部を覆う姿勢に折り畳み可能にする関節部を有し、上記検出手段が、上記第2排出コンベアの折り畳みに伴う上記関節部の回動動作を検出し、信号として出力する角度センサから成り、上記制御手段が、上記角度センサから出力される信号に基づいて、上記第2排出コンベアが折り畳まれたかどうか判定する判定手段と、この判定手段で上記第2排出コンベアが折り畳まれたと判定されたとき、上記第1排出コンベア、上記第2排出コンベア、及び上記第3排出コンベアの駆動を不能にする制御信号を出力する出力手段とを有するコントローラから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、コンベアが折り畳まれたことを検出する検出手段と、この検出手段でコンベアが折り畳まれたことが検出されたとき、コンベア及び処理装置の少なくとも一方の駆動を不能にする制御手段とを備えたことから、コンベアが折り畳まれて処理装置に近接しているときにコンベアあるいは処理装置が誤って駆動される事態を生じることがなく、これによってコンベアの折り畳みに伴うコンベアや処理装置の損傷を確実に防ぐことができ、従来に比べて高い信頼性を確保することができる。
【0014】
また、本発明は、処理装置の高さ位置を調整可能な高さ調整手段と、この高さ調整手段の調整によって処理装置が処理作業時の高さ位置である所定の高さ位置になったことを検出する検出手段と、この検出手段で処理装置の高さ位置が所定の高さ位置になったことが検出されたとき、コンベアの折り畳みを不能にする制御手段とを備えたことから、検出手段で処理装置の高さ位置が所定の高さ位置になったことが検出されたとき、コンベアが折り畳まれてこのコンベアが処理装置に接触することがないように制御手段によって制御される。これによって、コンベアの折り畳みに伴うコンベアや処理装置の損傷を確実に防ぐことができ、従来に比べて高い信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る移動処理機の一実施形態である自走式スクリーンの処理作業時の姿勢を示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る自走式スクリーンの別の図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。
【図3】本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる篩装置を拡大して示した斜視図である。
【図4】本実施形態に係る自走式スクリーンの輸送時の姿勢を示す側面図である。
【図5】本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる第2排出コンベアが輸送に際して折り畳まれるときの状態を示す図で、(a)図は第2フレームが折り畳まれた状態を示す図、(b)図は第3フレームも折り畳まれた状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる第2排出コンベアの要部を示す図で、(a)は処理作業に際して展開させた状態を示す側面図、(b)図は輸送に際して折り畳まれた状態を示す側面図である。
【図7】図6に示す第2排出コンベアに備えられる第1フレームと第2フレームを連結する関節部付近を拡大して示した断面図である。
【図8】本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
【図9】自走式スクリーンに備えられる油圧駆動装置の別の例を示す油圧回路図である。
【図10】図6に示す第2排出コンベアが折り畳まれたことを検出する検出手段の別の例を示す図で、(a)は処理作業に際して展開させた状態を示す側面図、(b)図は輸送に際して折り畳まれた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る移動処理機を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明に係る移動処理機の一実施形態である自走式スクリーンの処理作業時の姿勢を示す側面図、図2は本実施形態に係る自走式スクリーンの別の図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図、図3は本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる篩装置を拡大して示した斜視図である。
【0018】
図1,2に示すように、本発明に係る移動処理機の一実施形態は、自走式スクリーンであり、この自走式スクリーンは、移動機構部を構成し、一対の履帯を有する走行体1と、この走行体1上に、履帯と上面視重複するように配置され、車体を構成する本体フレーム2と、この本体フレーム2の長手方向における一方側に回動軸を有し、本体フレーム2に対して上下方向に回動、すなわち傾動可能に設けられた傾動フレーム3と、本体フレーム2上に搭載される処理装置、例えば篩装置4とを備えている。
【0019】
また、本体フレーム2の長手方向における一方側に設けられ、篩装置4によって篩われて残った粒度の大きな処理物を外部に排出する第1排出コンベア5と、本体フレーム2の長手方向における一方側に設けられ、篩装置4によって篩われた中程度の大きさの粒度の処理物を本体フレーム2の左右方向に排出し、輸送時に篩装置4の上方に一部が近接するように折り畳まれるコンベアである第2排出コンベア6とを備えている。また、篩装置4における最上流側の下方であり、かつ、走行体1に対して他方側に張り出して設けられ、傾動フレーム3の自由端側に吊り下げ支持で取り付けられ、エンジンを内部に収納したパワーユニット7と、傾動フレーム3の下端に沿って傾動フレーム3に取り付けられ、パワーユニット7の上部を貫通して本体フレーム2の長手方向における他方側に設けられ、篩装置4によって篩われた粒度の小さな処理物を排出する第3排出コンベア8とを備えている。
【0020】
上述した篩装置4は、図3に示すように、一対のサイドプレート9aと、これらのサイドプレート9aを連結する連結プレート9bとを有する筐体9と、互いに配置関係を広く配置した複数のフィンガー装置を階段状に配置した第1振動床10と、互いの配置関係を第1振動床10に比べて狭く配置した複数のフィンガー装置を階段状に配置した第2振動床11とを備えている。第1振動床10上に残された粒度の大きな処理物は、第1排出コンベア5によって排出され、第2振動床11上に残された粒度の中程度の大きさの処理物は第2排出コンベア6によって排出され、第2振動床11から落下した粒度の小さな処理物は、第3排出コンベア8によって排出される。なお、同図3では説明を容易にするために、一対のサイドプレート9aのうちの一方のみを描いてあり、他方のサイドプレートは図示を省略してある。
【0021】
図4は本実施形態に係る自走式スクリーンの輸送時の姿勢を示す側面図、図5は本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる第2排出コンベアが輸送に際して折り畳まれるときの状態を示す図で、(a)図は第2フレームが折り畳まれた状態を示す図、(b)図は第3フレームも折り畳まれた状態を示す図である。
【0022】
本実施形態に係る自走式スクリーンは、篩装置4による処理作業時には、図1,2に示す姿勢に保たれ、トレーラ等の上に搭載しての輸送時には、図4,5に示す姿勢となる。すなわち、図4に示すように、篩装置4の高さ位置を調整可能な高さ位置調整手段、すなわち後述のスクリーンシリンダ27aを作動させて篩装置4の高さ位置を処理作業時よりも低くするとともに、傾動フレーム3を下降させるように傾動させて、パワーユニット7及び第3排出コンベア8の高さ位置を処理作業時よりも低くすることが行なわれる。
【0023】
この状態において、図4に示すように、第3排出コンベア8をその排出端部が篩装置4の連結プレート9bに接近するように関節部8aで折り畳むことが行なわれる。また、図5の(a)図に示すように、第2排出コンベア6を第1排出コンベア5の基端部において、機体の側部を覆うように関節部6aにおいて折り畳み、さらに図5の(b)図に示すように、その第2排出コンベア6を機体の上部を覆うように関節部6bにおいて折り畳むことが行なわれる。このような第2排出コンベア6の折り畳み動作は、後述の第2コンベアシリンダ28a,28bを作動させて行なわれる。このように折り畳まれた第2排出コンベア6の一部が篩装置4に接近する状態となる。なお、図4,5においては、説明を容易にするために、第2排出コンベア6のコンベアベルトを省略して描いてある。
【0024】
図6は本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる第2排出コンベアの要部を示す図で、(a)は処理作業に際して展開させた状態を示す側面図、(b)図は輸送に際して折り畳まれた状態を示す側面図、図7は図6に示す第2排出コンベアに備えられる第1フレームと第2フレームを連結する関節部付近を拡大して示した断面図である。
【0025】
上述のように輸送時に2つの関節部6a,6bで折り畳まれる第2排出コンベア6は、図6に示すように、本体フレーム2側において固定される第1フレーム6cと、この第1フレーム6cと関節部6aで連結される第2フレーム6dと、この第2フレーム6dと関節部6bで連結される第3フレーム6eとを備えており、第3フレーム6eの先端部に、図示しないコンベアベルトを駆動する油圧モータ、すなわち第2駆動モータ12を取り付けてある。
【0026】
また、図7に示すように、例えば第1フレーム6cと第2フレーム6dとを連結する関節部6aに、第2排出コンベア6が折り畳まれたことを検出する検出手段、例えば角度センサ14を配置してある。すなわち、第2排出コンベア6の第2フレーム6dの一方の側板6d1に固定したプレート6a1に一体に設けたピン6a2を、側板6d1に形成した穴に挿通させ、さらに第1フレーム6cの一方の側板6c1に形成した穴6a3に挿通させ、このピン6a2に角度センサ14を連結してある。角度センサ14は、第1フレーム6cの一方の側板6c1に固定したブラケット13に保持させてある。また、第2排出コンベア6の第2フレーム6dの他方の側板6d2に固定したプレート6a4に一体に設けたピン6a5を、側板6d2に形成した穴に挿通させ、さらに第1フレーム6cの他方の側板6c2に形成した穴6a6に挿通させてある。
【0027】
上述したプレート6a1及びピン6a2と、ピン6a2が挿通される第2フレーム6dの一方の側板6d1の穴及び第1フレーム6cの一方の側板6c1の穴6a3と、プレート6a4及びピン6a5と、ピン6a5が挿通される第2フレーム6dの他方の側板6d2の穴及び第1フレーム6cの他方の側板6c2の穴6a6とによって、第1フレーム6cと第2フレーム6dとを互いに回動可能に連結する関節部6aが構成されている。図示省略するが、第2排出コンベア6の第2フレーム6dと第3フレーム6eとを連結する関節部6bも上述した関節部6aと同様の構成となっており、角度センサ14を設けてある。また、第3排出コンベア8の関節部8aも、上述した第2排出コンベア6の関節部6a,6bと同様の構成になっている。
【0028】
図8は本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
【0029】
この図8に示すように、本実施形態に係る自走式スクリーンに備えられる油圧駆動装置は、例えば図示しないエンジンによって駆動する第1油圧ポンプ20及び第2油圧ポンプ21と、走行体1に設けられ、第1油圧ポンプ20から吐出される圧油によって駆動する左走行モータ22と、第2油圧ポンプ21から吐出される圧油によって駆動する右走行モータ23と、篩装置4に設けられ、第2油圧ポンプ2から吐出される圧油によって駆動して振動を発生させ、処理対象物を搬送するスクリーンモータ24とを備えている。
【0030】
また、上述した第2排出コンベア6を駆動する第2駆動モータ12の他に、第1排出コンベア5を駆動する第1駆動モータ25と、第3排出コンベア8を駆動する第3駆動モータ26とを備えている。これらの第1駆動モータ25及び第3駆動モータ26も、第2駆動モータ12と同様に、第1油圧ポンプ20から吐出される圧油によって駆動する油圧モータから成っている。第1油圧ポンプ20からの圧油が供給され、第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、及び第3駆動モータ26のそれぞれの駆動を制御する電磁弁から成る方向制御弁が含まれる方向制御弁群には、スクリーンシリンダ27aが備えられるスクリーンシリンダ回路27、または第2コンベアシリンダ28a,28bが備えられる第2コンベアシリンダ回路28への第1油圧ポンプ20からの圧油の供給の許可、不許可を制御する電磁弁から成るシリンダ制御弁29が備えられている。
【0031】
また、シリンダ制御弁29と、スクリーンシリンダ回路27との間に、第1選択弁30を設けてあり、スクリーンシリンダ回路27と第2コンベアシリンダ回路28との間に、第2選択弁31を設けてある。これらの第1選択弁30及び第2選択弁31は、電磁弁から成っている。第1選択弁30は、シリンダ制御弁29とスクリーンシリンダ回路27とを連通させ、シリンダ制御弁29と第2コンベアシリンダ回路28との間を遮断する第1切換位置30aと、シリンダ制御弁29とスクリーンシリンダ回路27との間を遮断し、シリンダ制御弁29と第2コンベアシリンダ回路28とを連通させる第2切換位置30bとを有している。第2選択弁31は、スクリーンシリンダ回路27をタンクに連通させ、スクリーンシリンダ回路27と第2コンベアシリンダ回路28との間を遮断する第1切換位置31aと、スクリーンシリンダ回路27とタンクとの間を遮断し、スクリーンシリンダ回路27と第2コンベアシリンダ回路28とを連通させる第2切換位置31bとを有している。
【0032】
また、同図8に示すように、パワーユニット7内に配置される図示しないエンジンを起動させるエンジンキースイッチ32と、篩装置4による処理作業を行なう作業モードと、第2排出コンベア6及び第3排出コンベア8が折り畳まれる整備モードと、走行が可能な走行モードのいずれか一方を指示するモード選択スイッチ33と、第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、第3駆動モータ26、及びスクリーンモータ24等を起動させる起動指示部34と、エンジンの回転数を指示するエンジン回転数指示部35とを備えている。
【0033】
また、エンジンキースイッチ32から出力された信号、モード選択スイッチ33から出力される信号、起動指示部34から出力される信号、エンジン回転数指示部35から出力される信号、及び角度センサ14から出力される信号を入力し、所定の信号処理を行なって、第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、第3駆動モータ26、及びスクリーンモータ24をそれぞれ駆動させる制御信号、シリンダ制御弁29を切り換える制御信号、及び第1選択弁30、第2選択弁31を切り換える制御信号を出力するコントローラ36を備えている。
【0034】
このコントローラ36は、第2排出コンベア6の2つの関節部6a,6bのそれぞれに設けられた角度センサ14によって、第2排出コンベア6が折り畳まれたことが検出されたとき、第2排出コンベア6及び篩装置4の少なくとも一方、例えば第2排出コンベア6の駆動を不能にする制御手段を構成している。本実施形態は、コントローラ36が、角度センサ14のそれぞれから出力される角度が第2排出コンベア6が折り畳まれたと見做される閾値以上かどうか判定する判定手段と、この判定手段で角度センサ14のそれぞれから出力される角度が閾値以上と判断されたとき、第1排出コンベア5を駆動する第1駆動モータ25、第2排出コンベア6を駆動する第2駆動モータ12、及び第3排出コンベア8を駆動する第3駆動モータ26、および篩装置4を駆動するスクリーンモータ24の全ての駆動、すなわち第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、及び第3排出コンベア8の全てのコンベア、及び篩装置4の駆動を不能にする制御信号を出力する出力手段とを備えている。
【0035】
このように構成した本実施形態に係る自走式スクリーンは、篩装置4による処理作業時には、図1,2に示すように、第2排出コンベア6及び第3排出コンベア8が展開され、傾動フレーム3が上方向に回動してパワーユニット7及び第3排出コンベア8が所定の高さ位置まで上昇し、また、篩装置4が所定の高さ位置に保持されて、篩装置4による処理作業が実施される。
【0036】
すなわち、エンジンキースイッチ32が操作されると図示しないエンジンが起動し、これによって第1油圧ポンプ20及び第2油圧ポンプ21が駆動する。ここで起動指示部34が操作されると、スクリーンモータ24に係る方向制御弁が切り換えられて、スクリーンモータ24が駆動し、篩装置4が駆動する。また、コントローラ36の出力手段から第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、第3駆動モータ26のそれぞれの方向制御弁を切り換える制御信号が出力されて、これらの第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、第3駆動モータ26が作動し、第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、第3排出コンベア8が駆動する。この状態で、例えば、本実施形態の近くに配置されている図示しない油圧ショベルによって、掘削されたコンクリート塊、砂利等を含む処理対象物が篩装置4内に投入され、この篩装置4の第1振動床10及び第2振動床11で篩い分け処理される。この処理において、粒度の大きな処理物は第1排出コンベア5で外部へ排出され、中程度の粒度の処理物は第2排出コンベア6で外部へ排出され、粒度の小さな処理物は第3排出コンベア8で外部へ排出される。
【0037】
このような篩装置4による処理作業が終了し、本実施形態に係る自走式スクリーンをトレーラに搭載させて輸送する場合には、モード選択スイッチ33を走行モードに切り換え、例えば左走行モータ22及び右走行モータ23を駆動させて走行体1を走行させ、本実施形態に係る自走式スクリーンをトレーラの近傍まで自走させることが行なわれる。この状態で、モード選択スイッチ33を整備モードに切り換えると、シリンダ制御弁29がスクリーンシリンダ回路27あるいは第2コンベアシリンダ回路28への圧油の供給を可能にする許容位置に切り換えられ、第1油圧ポンプ20から吐出される圧油が、シリンダ制御弁29、及び図8に示す第1切換位置30aに保持されている第1選択弁30を介して、スクリーンシリンダ回路27に供給される。これによりスクリーンシリンダ回路27に含まれる該当する方向制御弁を切り換えることによりスクリーシリンダ27aが作動可能となり、篩装置4がそれまでの所定の高さ位置から輸送位置まで下げられる。篩装置4が輸送位置まで下がると、第2選択弁31は、図8の右位置、すなわち、スクリーンシリンダ回路27と第2コンベアシリンダ回路28とを連通させる第2切換位置31bに切り換えられている。したがって、篩装置4が高い位置にあるときに、第2コンベアシリンダ回路28に圧油が供給されて第2排出コンベア6の折り畳み動作が行なわれることはない。このような動作に伴って、傾動フレーム3が下降してパワーユニット7及び第3排出コンベア8も輸送位置まで下げられる。また、第3排出コンベア8は、関節部8aにおいて輸送のために折り畳まれる。
【0038】
篩装置4が輸送位置まで下げられた後、コントローラ36からの制御信号が第1選択弁30、第2選択弁31に出力されて、第1選択弁30が図8の第1切換位置30a、すなわちシリンダ制御弁29とスクリーンシリンダ回路27とを連通させ、シリンダ制御弁29と第2コンベアシリンダ回路28とを遮断させる位置に保持され、第2選択弁31が図8に示す第2切換位置31b、すなわちスクリーンシリンダ回路27と第2コンベアシリンダ回路28とを連通させる切換位置に保持される。これにより、第1油圧ポンプ20から吐出された圧油がシリンダ制御弁29、第1選択弁30を介して第2コンベアシリンダ回路28に供給され、第2コンベアシリンダ回路28に含まれる該当する方向制御弁を切り換えることにより第2コンベアシリンダ28a,28bが作動して、第2排出コンベア6が上述した図5の(a)(b)図に示すように折り畳まれる。このときの第1フレーム6cと第2フレーム6dとの相対的な回動角度、及び第2フレーム6dと第3フレーム6eとの相対的な回動角度が該当する角度センサ14のそれぞれによって検出され、コントローラ36に入力される。このコントローラ36の判定手段で、それぞれの角度センサ14で検出された第1フレーム6cと第2フレーム6dとの相対的な回動角度、及び第2フレーム6dと第3フレーム6eとの相対的な回動角度のそれぞれが、第2排出コンベア6が折り畳まれたと見做される閾値以上であると判定されると、このコントローラ36の出力手段から、第1排出コンベア5の第1駆動モータ25、第2排出コンベア6の第2駆動モータ12、第3排出コンベア8の第3駆動モータ26、及び篩装置4のスクリーンモータ24のそれぞれを制御する方向制御弁を中立位置に保持させる制御信号が出力される。これにより、第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、第3排出コンベア8、及び篩装置4は駆動不能に保持される。
【0039】
また、エンジンキースイッチ32が操作されてエンジンが停止する。これによって、本実施形態に係る自走式スクリーンは、図4に示す輸送姿勢に保持される。このように輸送姿勢に保持された本実施形態に係る自走式スクリーンがトレーラに搭載されて所定の場所まで搬送されることになる。
【0040】
また、上述のようにして所定の場所までトレーラで搬送された本実施形態に係る自走式スクリーンによって、再び篩装置4による処理作業を実施する場合には、トレーラから本実施形態に係る自走式スクリーンが接地面に下ろされ、例えばこの状態でエンジンキースイッチ32が操作されてエンジンが起動され、走行モードを選択し、左走行モータ22、右走行モータ23を作動させて走行体1を処理現場まで走行させることが行なわれる。例えば、この処理現場でモード選択スイッチ33が走行モードから整備モードに切り換えられる。これによって、コントローラ36の出力手段からシリンダ制御弁29に制御信号が出力され、このシリンダ制御弁29がスクリーンシリンダ回路27、または第2コンベアシリンダ回路28への圧油の供給が可能な許可位置となるように切り換えられる。また、コントローラ36の出力手段から第1選択弁30に、シリンダ制御弁29とスクリーンシリンダ回路27との間を遮断し、シリンダ制御弁9と第2コンベアシリンダ回路28とを連通させる第2切換位置30bに保持する制御信号が出力される。
【0041】
これにより、第1油圧ポンプ20から吐出される圧油が、シリンダ制御弁29、第1選択弁30を介して第2コンベアシリンダ回路28に供給され、第2コンベアシリンダ回路28に含まれる該当する方向制御弁を切り換えることにより第2コンベアシリンダ28a,28bが作動して第2排出コンベア6が展開される。また、第3排出コンベア9も展開される。上述のように第2排出コンベア6が展開した際、コントローラ36の判定手段で角度センサ14のそれぞれから出力される第1フレーム3cと第2フレーム3dとの相対的な回動角度、及び第2フレーム3dと第3フレーム3eとの相対的な回動角度のそれぞれが、第2排出コンベア6が完全に展開したと見做される角度、例えば0°になったと判定されると、コントローラ36の出力手段から第1選択弁30を、シリンダ制御弁29とスクリーンシリンダ回路27とを連通させ、シリンダ制御弁29と第2コンベアシリンダ回路28との間を遮断する第1切換位置30aに切り換える制御信号が出力されて、この第1選択弁30が図8に示す第1切換位置30aに切り換えられる。また、コントローラ36の出力手段から第2選択弁31を、スクリーンシリンダ回路27と第2コンベアシリンダ回路28とを連通させる第2切換位置31bに切り換える制御信号が出力されて、この第2選択弁31が第2切換位置31bに切り換えられる。これによって、第1油圧ポンプ20から吐出される圧油が、シリンダ制御弁29、第1選択弁30を介してスクリーンシリンダ回路27に供給され、ここでスクリーンシリンダ回路27に含まれる該当する方向制御弁を切り換えることにより、スクリーンシリンダ27aが作動して篩装置4が処理作業位置である所定の高さ位置まで上昇する。また、これに伴って傾動フレーム3が上方向に回動し、パワーユニット7及び第3排出コンベア8が処理作業位置まで上昇する。傾動フレーム3が上昇したことを検出すると、コントローラ36の出力手段から出力される制御信号により、第2選択弁31を第1切換位置31a、すなわち第2コンベアシリンダ28aが操作不可の位置に切り換える。
【0042】
この状態において、作業モードを選択し、起動指示部34を操作すると、コントローラ36の出力手段から第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、第3駆動モータ26のそれぞれの方向制御弁を切り換える制御信号が出力されて、これらの第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、第3駆動モータ26が作動して第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、第3排出コンベア8が駆動する。また、スクリーンモータ24に係る方向制御弁が切り換えられて、スクリーンモータ24が作動し、篩装置4の第1振動床10及び第2振動床11が駆動する。これらの動作によって上述したような篩装置4による処理作業が行なわれる。
【0043】
このように構成した本実施形態に係る自走式スクリーンによれば、角度センサ14からの信号によって第2排出コンベア6が折り畳まれたことがコントローラ36の判定手段で検出されると、コントローラ36の出力手段から出力される制御信号により、第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、及び第3排出コンベア8、及び篩装置4の駆動が不能に制御される。すなわち、第2排出コンベア6が折り畳まれ、この第2排出コンベア6が篩装置4に近接している状態のときには、第2排出コンベア6が誤って駆動される事態を生じないようにコントローラ36によって制御される。これによって、第2排出コンベア6の折り畳みに伴う第2排出コンベア6や篩装置4の損傷を確実に防ぐことができ、高い信頼性を確保することができる。
【0044】
また、コンベアシリンダ28a,28bが作動して第2排出コンベア6が折り畳まれた状態では、第1選択弁30によってシリンダ制御弁9とスクリーンシリンダ回路27との間が遮断されるので、スクリーンシリンダ27aが作動して篩装置4が上昇する事態を生じることがない。すなわち、第2排出コンベア6が輸送に際して折り畳まれているときに、篩装置4が上昇して第2排出コンベア6と篩装置4とが接触する懸念がなく、これによっても第2排出コンベア6の折り畳みに伴う第2排出コンベア6や篩装置4の損傷を確実に防ぐことができ、高い信頼性を確保することができる。
【0045】
また、第1選択弁30が第1切換位置30aに切り換えられ、スクリーンシリンダ27aが作動して篩装置4が高い位置にあるときには、第2選択弁31は第1切換位置31aに保持されるので、スクリーンシリンダ回路28の下流の第2コンベアシリンダ回路28には圧油が供給されることがない。したがって、篩装置4が高い位置にあるときにこの篩装置4に、折り畳まれた第2排出コンベア6が接触する事態を生じる懸念がなく、これによっても第2排出コンベア6の折り畳みに伴う第2排出コンベア6や篩装置4の損傷を確実に防ぐことができ、高い信頼性を確保することができる。
【0046】
図9は、上述した自走式スクリーンに備えられる油圧駆動装置の別の例を示す油圧回路図である。この図9に示す油圧駆動装置は、図8に示した油圧駆動装置から第1選択弁30を除いた構成になっている。その他の構成は図8に示した構成とほぼ同等である。
【0047】
この図9に示した油圧駆動装置の構成では、第2選択弁31の切換位置を図9に示す第1切換位置31aに保持しておくと、スクリーンシリンダ回路27に圧油を供給し、スクリーンシリンダ回路27に含まれる該当する方向制御弁を切り換えてスクリーンシリンダ27aを作動させ、篩装置4を処理作業を行なう所定の高い位置に保持させているときは、第2選択弁31はタンクに連通しており、第2コンベアシリンダ回路28に圧油が供給されることはない。したがって、篩装置4が高い位置に保たれているときに、第2排出コンベア6の折り畳みを行なうことができず、この第2排出コンベア6と篩装置4との接触を生じる懸念がない。
【0048】
輸送時には、はじめにスクリーンシリンダ回路27に圧油を供給してスクリーンシリンダ27aを作動させて篩装置4を輸送位置まで下げ、下がったことが検出されると第2選択弁31を第2切換位置31bに切り換え、その後に、スクリーンシリンダ回路27、第2選択弁31の第2切換位置31bを介して第2コンベアシリンダ回路28に圧油を供給して第2コンベアシリンダ28a,28bを作動させて、第2排出コンベア6を折り畳めばよい。
【0049】
この図9に示す油圧駆動装置の別の例も、第2排出コンベア6が折り畳まれたことが第1フレーム6cと第2フレーム6dとの関節部6a、及び第2フレーム6dと第3フレーム6eとの関節部6bのそれぞれに設けた角度センサ14の信号で検出されると、コントローラ36から第1駆動モータ25、第2駆動モータ12、及び第3駆動モータ26及びスクリーンモータ24の駆動を不能にする制御信号、すなわち第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、第3排出コンベア8、及び篩装置4の駆動を不能にする制御信号が出力されるので、上述した実施形態と同等の効果が得られる。すなわち、第2排出コンベア6の折り畳みに伴う第2排出コンベア6や篩装置4の損傷を確実に防ぐことができ、高い信頼性を確保することができる。
【0050】
図10は図6に示す第2排出コンベアが折り畳まれたことを検出する検出手段の別の例を示す図で、(a)は処理作業に際して展開させた状態を示す側面図、(b)図は輸送に際して折り畳まれた状態を示す側面図である。
【0051】
この図10に示す例は、第2排出コンベア6が折り畳まれたことを検出する検出手段として、上述した角度センサ14に代えてスイッチ41を設けたものである。すなわち、第2排出コンベア6の第1フレーム6cにプーリ37を設け、第2フレーム6dに2つのプーリ38,39を設け、第3フレーム6eにプーリ40を設けるとともに、一端を例えばプーリ40に固定され、プーリ39,38,37に係着されるとともに、他端をスイッチ41に取り付けたワイヤ42を備え、同図10の(b)図に示すように、輸送に際して第2排出コンベア6が折り畳まれたときにスイッチ41が作動し、上述した例えば図8に示すコントローラ36に信号を出力する構成にしてある。
【0052】
このように構成したものも、コントローラ36の判定手段でスイッチ41からの信号が入力されたことが判定されると、第2排出コンベア6が折り畳まれたものと見做され、上述と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
なお、排出コンベア6が折り畳まれたことを検出する検出手段は、上述した角度センサ14や、ワイヤ42の牽引によって作動するスイッチ41には限られない。第2コンベアシリンダ26a,28bに装着されるリミットスイッチでもよく、第2コンベアシリンダ28a,28bの作動を検出する超音波センサ、光電センサ、近接スイッチなどの非接触式のセンサであってもよく、また、第2コンベアシリンダ28a,28bのストロークを検出するストロークセンサであってもよい。
【0054】
また、検出手段が、第2駆動モータ12を作動させる圧油の供給管路に設けられ、第2排出コンベア6が折り畳まれると上述の供給管路を閉じて、第2駆動モータの作動を不能にする開閉弁から成る構成にしてもよい。この場合、第2排出コンベア6が折り畳まれたときに開閉弁が閉位置に切り換えられるように、第2排出コンベア6の例えば第3フレーム3eと開閉弁との位置関係を考慮すればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、角度センサ14によって第2排出コンベア6が折り畳まれたことが検出されたとき、コントローラ36が第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、第3排出コンベア8の全てのコンベアの駆動を不能に制御するようになっているが、コントローラ36は第2排出コンベア6のみの駆動を不能に制御するようにしてもよい。
【0056】
また、角度センサ14によって第2排出コンベア6が折り畳まれたことが検出されたとき、スクリーンモータ24の操作回路の駆動を停止させる制御信号をコントローラ36から出力させて、篩装置4の駆動を不能に制御するようにしてもよい。この場合、第2排出コンベア6の駆動を不能にする制御と併せて篩装置4の駆動を不能に制御するようにしてもよく、また、第2排出コンベア6の駆動を不能にする制御を行なわずに篩装置4の駆動のみを不能に制御するようにしてもよい。第2排出コンベア6が折り畳まれた状態における誤動作が、第2排出コンベア6の駆動よりも篩装置4の駆動に起こりやすい場合に、上述のように篩装置4の駆動を不能に制御することは有効となる。
【0057】
また、上記では、第2排出コンベア6の折り畳みを検出する角度センサ14を設けてあるが、第3排出コンベア8の折り畳みを検出する角度センサ等の検出手段も併せて設ける構成にしてもよい。このように構成したものでは、コントローラ36の判定手段で、第2排出コンベア6と第3排出コンベア8の双方の折り畳みを判定し、その判定に応じて第1排出コンベア5、第2排出コンベア6、第3排出コンベア8を駆動不能に、あるいは篩装置4の駆動を不能に制御するとよい。
【0058】
また、上記実施形態の構成に代えて、あるいは上記実施形態の構成とともに、篩装置4の高さ位置が処理作業時の高さ位置である所定の高さ位置になったことを検出する検出手段と、この検出手段で篩装置4の高さ位置が上述の所定の高さ位置になったことが検出されたとき、第2排出コンベア6の折り畳みを不能にする制御手段を設けた構成にしてもよい。例えば、篩装置4の高さ位置が所定の高さ位置になったことを検出する検出手段として、スクリーンシリンダ27aに例えばストロークセンサを設け、このストロークセンサの信号がコントローラ36の判定手段で処理作業位置の高さ位置である所定の高さ位置であると見做されたときに、コントローラ36の出力手段から、第2コンベアシリンダ回路28に含まれる第2コンベアシリンダ28a,28bの作動を不能にする制御信号を出力させ、これによって第2排出コンベア6の折り畳みを不能にするように構成してもよい。
【0059】
このように構成したものでは、ストロークセンサで篩装置4の高さ位置が所定の高さ位置であることが検出されると、コントローラ36によって、第2排出コンベア6の折り畳みが不能に制御され、すなわち、第2排出コンベア6が折り畳まれてこの第2排出コンベア6が篩装置4に接触することがないように制御され、これによって、第2排出コンベア6の折り畳みに伴う第2排出コンベア6や篩装置4の損傷を確実に防ぐことができ、高い信頼性を確保することができる。
【0060】
なお、篩装置4の高さ一が所定の高さ一になったことを検出する検出手段として、上述したストロークセンサに代えて、リミットスイッチや、超音波センサ、光電センサ、近接スイッチなどの非接触式センサを設ける構成にしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、移動処理機として自走式スクリーンを挙げたが、本発明に係る移動処理機は、このような自走式スクリーンに限定されない。例えば、コンクリート塊や木材を破砕する自走式破砕機であってもよい。また、土質の劣化した土を優良な土に変える自走式土質改良機であってもよい。さらに、上記では移動機構部が走行体1から成る自走式スクリーンによって構成されているが、本発明は、このように移動処理機が自走式処理機であることには限定されない。移動処理機が、自走機能を有さず、ワイヤ等によって牽引されて移動するタイヤから成る移動機構部を有する可搬式処理機である場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 走行体(移動機構部)
2 本体フレーム(車体)
3 傾動フレーム
4 篩装置
5 第1排出コンベア
6 第2排出コンベア
6a 関節部
6b 関節部
6c 第1フレーム
6d 第2フレーム
6e 第3フレーム
7 パワーユニット
8 第3排出コンベア
9 筐体
9a サイドプレート
9b 連結プレート
10 第1振動床
11 第2振動床
12 第2駆動モータ
14 角度センサ(検出手段)
20 第1油圧ポンプ
21 第2油圧ポンプ
24 スクリーンモータ
25 第1駆動モータ
26 第3駆動モータ
27 スクリーンシリンダ回路
27a スクリーンシリンダ(高さ調整手段)
28 第2コンベアシリンダ回路
28a 第2コンベアシリンダ
28b 第2コンベアシリンダ
29 シリンダ制御弁
30 第1選択弁
30a 第1切換位置
30b 第2切換位置
31 第2選択弁
31a 第1切換位置
31b 第2切換位置
33 モード選択スイッチ
34 起動指示部
36 コントローラ(制御手段)
37 プーリ
38 プーリ
39 プーリ
40 プーリ
41 スイッチ(検出手段)
42 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機構部上に配置される車体と、この車体に搭載される処理装置と、この処理装置で処理された処理物を外部に排出するコンベアとを有し、このコンベアは輸送時に上記処理装置に近接するように折り畳まれるものから成る移動処理機において、
上記コンベアが折り畳まれたことを検出する検出手段と、この検出手段で上記コンベアが折り畳まれたことが検出されたとき、上記コンベア及び上記処理装置の少なくとも一方の駆動を不能にする制御手段を備えたことを特徴とする移動処理機。
【請求項2】
移動機構部を有する車体と、この車体に搭載される処理装置と、この処理装置で処理された処理物を外部に排出するコンベアとを有し、このコンベアは輸送時に上記処理装置に近接するように折り畳まれるものから成る移動処理機において、
上記処理装置の高さ位置を調整可能な高さ調整手段と、この高さ調整手段の調整によって上記処理装置が処理作業時の高さ位置である所定の高さ位置になったことを検出する検出手段と、この検出手段で上記処理装置の高さ位置が上記所定の高さ位置になったことが検出されたとき、上記コンベアの折り畳みを不能にする制御手段とを備えたことを特徴とする移動処理機。
【請求項3】
請求項1に記載の移動処理機において、
上記検出手段は、角度センサから成ることを特徴とする移動処理機。
【請求項4】
請求項1に記載の移動処理機において、
上記コンベアを駆動する油圧モータから成る駆動モータを備え、上記制御手段が、上記駆動モータを作動させる圧油の供給管路に設けられ、上記コンベアが折り畳まれると上記供給管路を閉じる開閉弁を有することを特徴とする移動処理機。
【請求項5】
請求項1に記載の移動処理機において、
自走式スクリーンから成り、
この自走式スクリーンは、
上記移動機構部を構成し、一対の履帯を有する走行体と、
この走行体上に、上記履帯と上面視重複するように配置され、上記車体を構成する本体フレームと、
この本体フレーム上に搭載される処理装置を構成する篩装置と、
上記本体フレームの長手方向における一方側に回動軸を有し、上記本体フレームに対して傾動可能に設けられた傾動フレームと、
上記本体フレームの長手方向における一方側に設けられ、上記篩装置によって篩われて残った粒度の大きな処理物を排出する第1排出コンベアと、
上記本体フレームの長手方向における一方側に設けられ、上記篩装置によって篩われた中程度の大きさの粒度の処理物を、上記本体フレームの左右方向の少なくとも一方に排出し、上記輸送時に折り畳まれるコンベアを構成する第2排出コンベアと、
上記傾動フレームの下端に沿って傾動フレームに取り付けられ、上記本体フレームの長手方向における他方側に設けられ、上記篩装置によって篩われた粒度の小さな処理物を排出する第3排出コンベアとを備え、
上記篩装置は、
第1振動床と、この第1振動床の下方に設けられ、互いの配置関係を上記第1振動床に比べて狭く配置した第2振動床とを備え、
上記第2排出コンベアは、この第2排出コンベアを上記第1排出コンベアの基端部において、機体の側部、及び上部を覆う姿勢に折り畳み可能にする関節部を有し、
上記検出手段が、上記第2排出コンベアの折り畳みに伴う上記関節部の回動動作を検出し、信号として出力する角度センサから成り、
上記制御手段が、
上記角度センサから出力される信号に基づいて、上記第2排出コンベアが折り畳まれたかどうか判定する判定手段と、この判定手段で上記第2排出コンベアが折り畳まれたと判定されたとき、少なくとも上記第2排出コンベアの駆動を不能にする制御信号を出力する出力手段とを有するコントローラから成ることを特徴とする移動処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−194488(P2010−194488A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44490(P2009−44490)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】