説明

移動機及び機種依存データ管理方法

【課題】 機種依存データの管理情報を外部メモリに記憶させて機種依存データを円滑に管理する。
【解決手段】 移動機10において、電源オン又はUIM20の差替えが検出されると(S1)、UIM20に記憶された最新管理情報が読み出され(S2)、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かが判断される(S3)。ここで肯定判断されると、配信サーバ30に対し最新の機種依存データの配信が要求され、最新の機種依存データが受信される(S4)。最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部16内の機種依存データが更新され、最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって自機管理情報記憶部17内の自機管理情報のバージョン情報が更新される(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動機、及び内容の更新が随時行われる移動機の機種依存データ(例えばパターンデータなど)を管理する機種依存データ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動機は電話機能以外に多種多様な機能を備えるようになり、モバイルコンピュータとして考えられるようになった。それに伴い、パーソナルコンピュータと同様に、コンピュータウィルスの侵入や駆除等のために移動機本体にコンピュータウィルスのパターンデータを記憶させ、そのパターンデータのバージョン情報を管理する技術が提案されている(下記の特許文献1、2参照)。
【0003】
その一方で、加入者情報をUIM(User Identity Module)と呼ばれる外部メモリに記憶させ、例えば移動機をバージョンアップする際に、加入者が、自己の加入者情報を記憶したUIMを、古い移動機から抜いて新しい移動機へ差し込むことで、自己の加入者情報を保持したまま移動機を簡単にバージョンアップ可能とするといった利用態様が知られている。
【特許文献1】特開2003−216447号公報
【特許文献2】特開2002−196942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したコンピュータウィルスのパターンデータは、移動機本体の機種情報(例えば移動機のメーカ名、モデル名、移動機が備えたプラットフォーム(いわゆるOSやファームウェア)のバージョン)に応じて異なるいわゆる機種依存データである。
【0005】
しかしながら、上記のような機種に依存するパターンデータの管理情報を上記UIMに記憶させてパターンデータを管理することを想定した場合、1つのUIMは複数の機種の移動機に装着可能である点を考慮する必要があるため、パターンデータの管理情報をUIMに記憶させてパターンデータを管理することは容易ではなく、そのような管理方法は上記の特許文献1、2にも記載されていない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、機種依存データの管理情報を外部メモリに記憶させて機種依存データを円滑に管理することができる移動機及び機種依存データ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る移動機は、内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機であって、自機の電源オン又は外部メモリの差替えを検出する検出部と、検出部により自機の電源オン又は外部メモリの差替えが検出された場合、当該外部メモリに記憶された最新管理情報を読み出す読出部と、読み出された最新管理情報と自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断部と、判断部により読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新する更新制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る機種依存データ管理方法は、内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機における機種依存データ管理方法であって、自機の電源オン又は外部メモリの差替えを検出する検出ステップと、検出ステップにて自機の電源オン又は外部メモリの差替えが検出された場合、当該外部メモリに記憶された最新管理情報を読み出す読出ステップと、読み出された最新管理情報と自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断ステップと、判断ステップにて、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新する更新制御ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
なお、「自機の機種に関する情報」における「機種」とは、移動機のメーカ名、モデル名、プラットフォームのバージョンなどにより識別される移動機の種類を指す広義の概念である。
【0010】
上記の発明では、移動機において自機の電源オン又は外部メモリの差替えが検出されると、外部メモリに記憶された最新管理情報が読み出され、読み出された最新管理情報と自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かが判断される。ここで、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信が要求され、要求に応じて配信された最新の機種依存データが受信され、受信された最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データが更新されるとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報が更新される。
【0011】
このような本発明によれば、電源オン又は外部メモリの差替え時に、必ず、機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データ、及び自機管理情報のバージョン情報を最新のものにすることができる。これにより、機種依存データの管理情報を外部メモリに記憶させて、機種依存データを円滑に管理することができる。
【0012】
本発明に係る移動機は、内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機であって、機種依存データを配信する配信サーバから新たな最新管理情報を受信する受信部と、受信部により受信された最新管理情報と自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断部と、判断部により受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新するとともに、前記受信された最新管理情報をもって、前記外部メモリに記憶された最新管理情報を更新する更新制御部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る機種依存データ管理方法は、内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機における機種依存データ管理方法であって、機種依存データを配信する配信サーバから新たな最新管理情報を受信する受信ステップと、受信ステップにて受信された最新管理情報と自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断ステップと、判断ステップにて、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新するとともに、前記受信された最新管理情報をもって、前記外部メモリに記憶された最新管理情報を更新する更新制御ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
上記の発明では、移動機において、配信サーバから新たな最新管理情報が受信されると、受信された最新管理情報と自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かが判断され、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信が要求され、要求に応じて配信された最新の機種依存データが受信され、受信された最新の機種依存データをもって機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データが更新されるとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報が更新されるとともに、上記受信された最新管理情報をもって、外部メモリに記憶された最新管理情報が更新される。
【0015】
上記の発明によれば、外部メモリを装着して移動機を使用しているときでも、配信サーバからの新たな最新管理情報に基づき最新の機種依存データを自動的に受信し、機種依存データを円滑に管理することができる。
【0016】
ところで、上記の更新制御ステップでは、判断ステップにて、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報である、と判断されなかった場合、受信された最新管理情報が、外部メモリに記憶された最新管理情報よりも新しい情報又は外部メモリに記憶された最新管理情報に含まれない追加の情報を含むか否かを判断し、受信された最新管理情報が新しい情報又は追加の情報を含むと判断された場合、当該受信された最新管理情報をもって外部メモリに記憶された最新管理情報を更新することが望ましい。
【0017】
これにより、たとえ、受信された最新管理情報が自機の機種に関する、より新しい最新管理情報を含まない場合であっても、受信された最新管理情報が新しい情報又は追加の情報を含むときには、当該新しい情報又は追加の情報を、外部メモリに記憶された最新管理情報に追加することができ、外部メモリに記憶された最新管理情報における自機の機種以外の機種に関する情報を最新のものに更新することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電源オン又は外部メモリの差替え時に、必ず、機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データ、及び自機管理情報のバージョン情報を最新のものにすることができるため、機種依存データの管理情報を外部メモリに記憶させて、機種依存データを円滑に管理することができる。また、外部メモリを装着して移動機を使用しているときでも、配信サーバからの新たな最新管理情報に基づき最新の機種依存データを自動的に受信し、機種依存データを円滑に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を説明する。
【0020】
図1には、本実施形態の移動機10及び関連機器の構成を示す。この図1に示す配信サーバ30は、機種依存データ(本実施形態ではパターンデータ)を配信するサーバである。この配信サーバ30は、さまざまな機種ごとのパターンデータファイルを格納しており、これらのパターンデータファイルを図2に示すようなテーブル形式のパターンデータファイル情報31によって管理している。このパターンデータファイル情報31に示すように、以下では、移動機のメーカ名、モデル名、及びプラットフォームのバージョンにより識別される機種情報ごとにパターンデータのバージョン情報を管理する例を示す。但し、機種情報は上記に限定されるものではなく、移動機のメーカ名、モデル名、及びプラットフォームのバージョンのうち一部の情報によって定めてもよいし、これら以外の情報(例えば、生産地や生産時期など)を含めた上で定めてもよい。
【0021】
UIM20は、1つ以上の機種についての最新のパターンデータに関する最新管理情報(以下「ウィルス情報」という)を記憶するための外部メモリであり、ウィルス情報は図4に示すように、移動機のメーカ名、モデル名及びプラットフォームのバージョンと、これらに対応付けられたパターンデータのバージョン情報とにより構成される。
【0022】
図1に示すように移動機10は、通信部11、検出部12、読出部13、判断部14、更新制御部15、機種依存データ記憶部16、自機管理情報記憶部17、電源部18及び入出力インタフェース19を含んで構成される。以下、各部の機能を概説する。
【0023】
このうち通信部11は、移動体通信網を介したデータや音声の送受信を行うための構成であり、本発明に係る受信部はこの通信部11に含まれる。電源部18は移動機10内の各部に電力を供給し、入出力インタフェース19は移動機10にUIM20を装着する際の入出力インタフェースとして機能する。
【0024】
機種依存データ記憶部16は、内容の更新が随時行われる機種依存データであるパターンデータを記憶したメモリであり、自機管理情報記憶部17は、自機の機種情報と、機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータに関するバージョン情報とから成る自機管理情報を記憶したメモリである。自機管理情報は図3(a)に示すように、自機のメーカ名、モデル名及びプラットフォームのバージョンと、これらに対応付けられたパターンデータのバージョン情報とにより構成される。
【0025】
検出部12は、移動機10の電源オン又はUIM20の差替えを検出し、読出部13は、検出部12により移動機10の電源オン又はUIM20の差替えが検出された場合にUIM20に記憶されたウィルス情報を読み出す。
【0026】
詳細は後述するが、判断部14は、最新のパターンデータの配信要求を行うべきか否かを判断する。更新制御部15は、判断部14による判断結果に応じて最新のパターンデータの配信を配信サーバ30に対し要求したり、機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータ、自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報のバージョン情報、及びUIM20に記憶されたウィルス情報のバージョン情報の更新制御を行う。
【0027】
[本実施形態における動作説明]
以下、(1)電源オン又はUIM20の差替えの検出時の動作(第1動作態様)と、(2)配信サーバ30からの新たなウィルス情報が受信された時の動作(第2動作態様)を、順に説明する。
【0028】
[第1動作態様]
図2に示すように、移動機10において、検出部12が電源オン又はUIM20の差替えを検出すると(図2のS1)、読出部13は、UIM20に記憶されたウィルス情報を読み出す(S2)。そして、判断部14は、読み出されたウィルス情報と自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報とを比較することで、読み出されたウィルス情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関するウィルス情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する(S3)。ここで、判断部14により否定判断がなされた場合は、最新のパターンデータの配信要求を行う必要が無いため、処理を終了する。
【0029】
一方、S3で判断部14により肯定判断がなされた場合、更新制御部15は、配信サーバ30に対し、自機の機種についての最新のパターンデータの配信を要求し、要求に応じて配信された最新のパターンデータを受信する(S4)。そして、更新制御部15は、受信した最新のパターンデータをもって機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータを更新するとともに、当該最新のパターンデータに関するバージョン情報をもって、自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新する(S5)。
【0030】
例えば、図2のS2で読み出されたウィルス情報が図4に示すウィルス情報であり、このときの自機管理情報が図3(a)に示す自機管理情報であった場合、読み出されたウィルス情報は自機の機種(メーカ名:BB、モデル名:bbb、プラットフォームのバージョン:2)に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関するウィルス情報のパターンデータバージョン「001」が自機管理情報のバージョン「000」よりも新しいため、S3では肯定判断される。そして、S4では、自機の機種に関するパターンデータバージョン「001」のパターンデータ(最新のパターンデータ)が移動機10に配信され、S5では、当該最新のパターンデータをもって機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータが更新され、当該最新のパターンデータに関するバージョン情報「001」をもって、自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報のバージョン情報が、図3(a)、(b)に示すように「000」から「001」に更新されることとなる。
【0031】
以上のように、電源オン又はUIM20の差替え時に、必ず、機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータ、及び自機管理情報のバージョン情報を最新のものにすることができるため、ウィルス情報をUIM20に記憶させてパターンデータを円滑に管理することができる。
【0032】
[第2動作態様]
図5に示すように、配信サーバ30が、機種(メーカ名:AA、モデル名:aaa、プラットフォームのバージョン:1)及び機種(メーカ名:BB、モデル名:bbb、プラットフォームのバージョン:2)に関する最新のパターンデータ(ID:0002)を図2に示すパターンデータファイル情報31に登録し(図5のP1)、当該最新のパターンデータに関するウィルス情報(メーカ名:AA、モデル名:aaa、プラットフォームのバージョン:1、パターンデータバージョン:002)とウィルス情報(メーカ名:BB、モデル名:bbb、プラットフォームのバージョン:2、パターンデータバージョン:001)を移動機10に配信する(P2)。そして、移動機10において、通信部11が配信サーバ30からのウィルス情報を受信すると(S11)、判断部14は、受信されたウィルス情報と自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報とを比較することで、受信されたウィルス情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関するウィルス情報が自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する(S12)。
【0033】
ここで、判断部14により肯定判断がなされた場合、更新制御部15は、配信サーバ30に対し、自機の機種についての最新のパターンデータの配信を要求し、要求に応じて配信された最新のパターンデータを受信する(S13)。そして、更新制御部15は、受信した最新のパターンデータをもって機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータを更新するとともに、最新のパターンデータに関するバージョン情報をもって、自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新するとともに、S11で受信されたウィルス情報をもって、UIM20に記憶されたウィルス情報を更新する(S14)。
【0034】
一方、S12で判断部14により否定判断がなされた場合は、更新制御部15は、受信されたウィルス情報が、UIM20に記憶されたウィルス情報よりも新しい情報又はUIM20に記憶されたウィルス情報に含まれない追加の情報を含むか否かを判断する(S15)。ここで、否定判断された場合は、UIM20に記憶されたウィルス情報を更新する必要は無いため、処理を終了する。一方、S15で肯定判断された場合、更新制御部15は、受信されたウィルス情報をもってUIM20に記憶されたウィルス情報を更新する(S16)。
【0035】
例えば、図5のS11で受信されたウィルス情報が、ウィルス情報(メーカ名:AA、モデル名:aaa、プラットフォームのバージョン:1、パターンデータバージョン:002)及びウィルス情報(メーカ名:BB、モデル名:bbb、プラットフォームのバージョン:2、パターンデータバージョン:001)であり、このときの自機管理情報が図6(a)に示す自機管理情報であった場合、受信されたウィルス情報は自機の機種(メーカ名:AA、モデル名:aaa、プラットフォームのバージョン:1)に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関するウィルス情報のパターンデータバージョン「002」が自機管理情報のバージョン「001」よりも新しいため、S12では肯定判断される。
【0036】
そして、S13では、自機の機種に関するパターンデータバージョン「002」のパターンデータ(最新のパターンデータ)が移動機10に配信され、S14では、最新のパターンデータをもって機種依存データ記憶部16に記憶されたパターンデータが更新され、自機の機種に関する最新のパターンデータのバージョン情報「002」をもって、自機管理情報記憶部17に記憶された自機管理情報のバージョン情報が、図6(a)、(b)に示すように「001」から「002」に更新される。また、S14では、UIM20に記憶されたウィルス情報のバージョン情報が、S11で受信されたウィルス情報により更新される。これにより、更新前に図7(a)の状態であったウィルス情報は、図7(b)のように更新される。具体的には、機種(メーカ名:AA、モデル名:aaa、プラットフォームのバージョン:1)に関するウィルス情報では、バージョンが「001」から「002」に更新され、また、機種(メーカ名:BB、モデル名:bbb、プラットフォームのバージョン:2)に関するウィルス情報が新規に追加される。
【0037】
以上のように、UIM20を装着して移動機10を使用しているときでも、配信サーバ30からの新たなウィルス情報に基づき最新のパターンデータを自動的に受信し、パターンデータを円滑に管理することができる。
【0038】
また、図5のS12で否定判断された場合でも、S15にて、受信されたウィルス情報が、UIM20に記憶されたウィルス情報よりも新しい情報又はUIM20に記憶されたウィルス情報に含まれない追加の情報を含むと判断されれば、当該受信されたウィルス情報をもって、UIM20に記憶されたウィルス情報を更新するため、たとえ、受信されたウィルス情報が自機の機種に関する新しいウィルス情報を含まない場合であっても、受信されたウィルス情報が含む新しい情報又は追加の情報を、UIM20に記憶されたウィルス情報に追加することができ、UIM20に記憶されたウィルス情報における自機の機種以外の機種に関する情報を最新のものに更新することができる、という利点がある。
【0039】
なお、上記の実施形態では、移動機の機種をメーカ名とモデル名とプラットフォームのバージョンとで識別し、図2のS3、図5のS12の判断処理ではメーカ名、モデル名、プラットフォームのバージョンの各々の完全一致を判断する例を示したが、完全一致以外に、例えば、ワイルドカードを用いてモデル名「aa*」とし、「aa」で始まるモデル名であれば該当するような条件設定を行ってもよい。
【0040】
また、UIM20の記憶容量には上限があるため、UIM20にウィルス情報を記憶する場合、UIM20の記憶領域の使用量が所定値(例えばUIM20の全記憶容量の90%)を超えたときには、古いウィルス情報から順に上書き削除するよう制御してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、機種依存データとしてパターンデータの例を説明したが、本発明は、パターンデータ以外にも、内容の更新が随時行われ移動機の機種に依存するようなさまざまなデータに対し適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】発明の実施形態に係る移動機及び関連機器の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1動作態様の処理動作を示す流れ図である。
【図3】第1動作態様における移動機の自機管理情報の内容及びその遷移を説明するための図である。
【図4】第1動作態様におけるUIMに記憶されたウィルス情報の内容を示す図である。
【図5】第2動作態様の処理動作を示す流れ図である。
【図6】第2動作態様における移動機の自機管理情報の内容及びその遷移を説明するための図である。
【図7】第2動作態様におけるUIMに記憶されたウィルス情報の内容及びその遷移を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
10…移動機、11…通信部、12…検出部、13…読出部、14…判断部、15…更新制御部、16…機種依存データ記憶部、17…自機管理情報記憶部、18…電源部、19…入出力インタフェース、20…UIM(外部メモリ)、30…配信サーバ、31…パターンデータファイル情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機であって、
自機の電源オン又は前記外部メモリの差替えを検出する検出部と、
前記検出部により自機の電源オン又は前記外部メモリの差替えが検出された場合、当該外部メモリに記憶された最新管理情報を読み出す読出部と、
読み出された最新管理情報と前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、前記配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新する更新制御部と、
を備えた移動機。
【請求項2】
内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機であって、
機種依存データを配信する配信サーバから新たな最新管理情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された最新管理情報と前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、前記配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新するとともに、前記受信された最新管理情報をもって、前記外部メモリに記憶された最新管理情報を更新する更新制御部と、
を備えた移動機。
【請求項3】
内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機における機種依存データ管理方法であって、
自機の電源オン又は前記外部メモリの差替えを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにて自機の電源オン又は前記外部メモリの差替えが検出された場合、当該外部メモリに記憶された最新管理情報を読み出す読出ステップと、
読み出された最新管理情報と前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにて、前記読み出された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、前記配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新する更新制御ステップと、
を有する機種依存データ管理方法。
【請求項4】
内容の更新が随時行われる所定の機種依存データを記憶する機種依存データ記憶部と、自機の機種情報及び前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データに関するバージョン情報から成る自機管理情報を記憶する自機管理情報記憶部とを備え、1つ以上の機種についての最新の機種依存データに関する最新管理情報を記憶するための外部メモリを着脱可能とされた移動機における機種依存データ管理方法であって、
機種依存データを配信する配信サーバから新たな最新管理情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにて受信された最新管理情報と前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報とを比較することで、受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにて、前記受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報であると判断された場合、前記配信サーバに対し、自機の機種についての最新の機種依存データの配信を要求し、要求に応じて配信された最新の機種依存データを受信し、受信した最新の機種依存データをもって前記機種依存データ記憶部に記憶された機種依存データを更新するとともに、当該最新の機種依存データに関するバージョン情報をもって、前記自機管理情報記憶部に記憶された自機管理情報のバージョン情報を更新するとともに、前記受信された最新管理情報をもって、前記外部メモリに記憶された最新管理情報を更新する更新制御ステップと、
を有する機種依存データ管理方法。
【請求項5】
前記更新制御ステップでは、
前記判断ステップにて、前記受信された最新管理情報が自機の機種に関する情報を含み且つ当該自機の機種に関する最新管理情報が前記自機管理情報のバージョン情報よりも新しい情報である、と判断されなかった場合、前記受信された最新管理情報が、前記外部メモリに記憶された最新管理情報よりも新しい情報又は前記外部メモリに記憶された最新管理情報に含まれない追加の情報を含むか否かを判断し、
前記受信された最新管理情報が前記新しい情報又は追加の情報を含むと判断された場合、当該受信された最新管理情報をもって前記外部メモリに記憶された最新管理情報を更新する
ことを特徴とする請求項4記載の機種依存データ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−293770(P2006−293770A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114860(P2005−114860)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】