説明

移動無線端末装置およびインタフェース装置

【課題】外装部分に汚れが生じた場合や、外装の形状に飽きてしまった場合に、安価に外装を交換可能な移動無線端末装置を提供する。
【解決手段】発信要求や着信応答を受け付けるユーザインタフェース300がぬいぐるみ等の玩具に予め搭載されており、ユーザインタフェース300のインタフェース310と、主制御装置100の第2インタフェース108が着脱自在な構成となっており、主制御装置100と無線通信モジュール200は、上記玩具内に収納可能となっている。そして、主制御装置100は、ユーザインタフェース300で受け付けたユーザ指示にしたがって無線通信モジュール200を制御して、通信を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機などの移動無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、ぬいぐるみをかたどったカバーで、携帯電話機を覆うものがあった(例えば、特許文献1参照)。これは、既存の携帯電話機そのものを収容するカバーであって、携帯電話機の操作は、携帯電話機に対して行われていた。このため、このようなカバーを愛用する幼少のユーザにあっては、依然として携帯電話機の操作は難しいものであった。
【0003】
これに対して本発明者らは、ぬいぐるみの手足にスイッチを配設した携帯電話機を考案した。しかし、想定される主なユーザは幼児であることより、外装のぬいぐるみが汚れてしまったり、また飽きてしまうなどの問題があった。この場合、携帯電話機ごと交換することになるため、ユーザにとって経済的な負担が大きい。
【特許文献1】特開2001−037517公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の移動無線端末装置では、外装部分に汚れが生じた場合や、外装の形状に飽きてしまった場合に、移動無線端末装置ごと交換することになるため、ユーザにとって経済的な負担が大きいという問題があった。
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、外装部分に汚れが生じた場合や、外装の形状に飽きてしまった場合に、安価に外装を交換可能な移動無線端末装置およびインタフェース装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、この発明は、玩具と、移動通信網に収容される基地局装置と無線通信する通信機とを備える移動無線端末装置であって、玩具は、ユーザからの要求を受け付けるユーザインタフェースと、送話音声を入力するマイクロホンと、受話音声を拡声出力するスピーカと、通信機と着脱自在であって、ユーザインタフェースで受け付けた要求やマイクロホンから出力される音声信号を外部に出力するとともに、外部から入力された音声信号を前記スピーカに出力する第1インタフェースとを備え、通信機は、第1インタフェースと着脱自在な第2インタフェースと、基地局装置と無線通信する通信手段と、ユーザインタフェースで受け付けた要求を第2インタフェースを通じて取得し、その要求に応じて通信手段を制御する通信制御手段と、この通信制御手段の制御によって通信がなされる場合に、通信手段が受信した受話音声信号を第2インタフェースを通じて玩具に出力するとともに、第2インタフェースを通じて入力される音声信号を通信手段によって無線送信する制御を行う通話制御手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように、この発明では、玩具に、ユーザインタフェースと、マイクロホンと、スピーカと、第1インタフェースとを備え、この第1インタフェースに着脱自在な第2インタフェースによって、通信手段と、通信制御手段と、通話制御手段とを取り外し可能なように構成した。
【0007】
したがって、この発明によれば、比較的高価な通信手段と、通信制御手段と、通話制御手段とを玩具から取り外して別の同様の玩具で利用することができるため、玩具に汚れが生じた場合や、玩具の形状に飽きてしまった場合に、安価に交換可能な移動無線端末装置およびインタフェース装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる移動無線端末装置の構成を示すものである。この移動無線端末装置は、主制御装置100、無線通信モジュール200、ユーザインタフェース300を備えている。
【0009】
主制御装置100は、本体制御部101と、音声符号化/復号化部102と、記憶部103と、電源制御部104と、キーインタフェース部105と、緊急発信用スイッチ106と、第1インタフェース107と、第2インタフェース108とを備える。
【0010】
無線通信モジュール200は、アンテナ201と、アンテナスイッチ202と、送信部203と、受信部204と、変調部205と、復調部206と、TDMA符号化部207と、TDMA復号化部208と、音声用トランスコーダ209と、モジュール制御部210と、ROM211と、RAM212と、電源213と、インタフェース214とを備える。
【0011】
ユーザインタフェース300は、主操作部301と、マイクロホン302と、レシーバ303と、スピーカ304と、状態表示部305と、電池306と、電源スイッチ307と、応答スイッチ308と、終話スイッチ309と、インタフェース310とを備える。
【0012】
主制御装置100と無線通信モジュール200は、第1インタフェース107とインタフェース214とによって電気的および物理的に接続され、一体化している。また主制御装置100とユーザインタフェース300は、第2インタフェース108とインタフェース310とによって電気的および物理的に、着脱自在に接続される。
【0013】
またユーザインタフェース300は、例えば図2(a)に示すような熊のぬいぐるみ内に設けられる。そして、このぬいぐるみの背面は、図2(b)に示すように、内部に通じる開封口311を備え、同じく背面を示す図2(c)のように、その内部において、第2インタフェース108とインタフェース310とが接続され、主制御装置100と無線通信モジュール200は、ぬいぐるみの内部に収容される。
【0014】
移動通信網に収容される基地局装置から送信された無線信号は、アンテナ201によって受信される。アンテナスイッチ202は、モジュール制御部210によって切替制御され、この切替制御によって、アンテナ201によって受信した無線信号は、受信部204に出力され、一方、送信部203から出力される送信信号は、アンテナ201に出力される。
【0015】
受信部204は、受信した無線信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、復調部206に出力する。復調部206は、上記ベースバンド信号を復調して符号化データを得る。TDMA復号化部208は、上記符号化データのうち、当該移動無線端末装置に割り当てられたタイムスロットのデータを抽出する復号化処理を行い、このデータを音声用トランスコーダ209に出力する。
【0016】
音声用トランスコーダ209は、TDMA復号化部208から与えられるデータを圧縮された状態から伸長し、符号化音声データを得る。この符号化音声データは、インタフェース214および第1インタフェース107を介して、音声符号化/復号化部102に出力される。
【0017】
また音声用トランスコーダ209は、第1インタフェース107およびインタフェース214を介して、音声符号化/復号化部102から出力される符号化音声データを圧縮し、TDMA符号化部207に出力する。TDMA符号化部207は、音声用トランスコーダ209から与えられたデータを、当該移動無線端末装置に割り当てられたタイムスロットに挿入する符号化処理を行う。
【0018】
変調部205は、TDMA符号化部207から出力されるデータで、ベースバンド周波数の搬送波を変調する。送信部203は、変調部205が出力するベースバンド周波数の信号を無線周波数にアップコンバートする。このようにして得られた無線周波の送信信号は、アンテナスイッチ202およびアンテナ201を通じて空間に放射される。
【0019】
モジュール制御部210は、本体制御部101からの指示にしたがって、上述した無線通信モジュール200の各部を統括して制御し、上記基地局装置との間でTDMA方式による無線通信を実現する。またモジュール制御部210は、当該移動無線端末装置宛ての着信を検出する機能を有し、着信を検出すると、TDMA復号化部208が着信信号から抽出したデータから発信元の電話番号を抽出し、これを本体制御部101に通知する機能を備える。このような着信の通知は、着信が継続している間、継続して行われる。
【0020】
ROM211は、モジュール制御部210の制御プログラムや制御データを記憶する。RAM212は、上記無線通信に必要なデータを一時的に記憶するもので、モジュール制御部210によってデータが読み書きされる。電源213は、当該無線通信モジュール200の各部に動作用電力を供給する。
【0021】
本体制御部101は、主制御装置100を統括して制御する機能や、無線通信モジュール200やユーザインタフェース300を対応するインタフェースを通じて制御する機能を備え、発信処理や着信処理などの制御機能を備える。
【0022】
音声符号化/復号化部102は、本体制御部101からの指示にしたがって動作する。例えば、無線通信モジュール200から与えられる符号化音声データを音声符号化/復号化部102にて復号して音声信号を得る。この音声信号は、第2インタフェース108およびインタフェース310を介して、レシーバ303より拡声出力される。
【0023】
またマイクロホン302より入力された話者の送話音声信号は、インタフェース310および第2インタフェース108を介して、音声符号化/復号化部102に入力され、ここで符号化されて、符号化音声データとなる。この符号化音声データは、上述したように、音声用トランスコーダ209に出力される。
【0024】
記憶部103は、本体制御部101の制御プログラムや制御データを記憶する。
電源制御部104は、インタフェース310および第2インタフェース108を介して、ユーザインタフェース300内に備えられた電池306から出力される電力を、本体制御部101からの指示にしたがって、主制御装置100の各部に供給するものである。
【0025】
キーインタフェース部105は、インタフェース310および第2インタフェース108を介して、ユーザインタフェース300内に備えられた主操作部301を収容し、主操作部301に対するユーザ操作を検出し、この検出結果を本体制御部101に通知する。
【0026】
ユーザインタフェース300は、発呼スイッチ301a、301b、301c、301dを備える。発呼スイッチ301a、301b、301c、301dは、図3に示すような2つの発信先(通常用、緊急用)がそれぞれ予め割り当てられており、どちらかの発信先に発信するためのスイッチである。なお、これらの発信先の電話番号は、記憶部103が記憶する。
【0027】
また発呼スイッチ301aは、例えば図2に示すように、ぬいぐるみの右手内に設けられ、ユーザがその右手を握ることでON状態となるもので、ON/OFFの各状態は、キーインタフェース部105を介し接続された本体制御部101によって検出される。同様に、発呼スイッチ301b、301c、301dは、左手内、右足内、左足内にそれぞれ設けられ、ユーザが握るとON状態となり、同様にして、ON/OFFの各状態は、キーインタフェース部105を介し接続された本体制御部101によって検出される。なお、これらの発呼スイッチは、手足に限らず、耳や臀部などのいずれの体の部位であってもよい。
【0028】
緊急発信用スイッチ106は、発呼スイッチ301a、301b、301c、301dの発信先を、通常用あるいは緊急用に切り替えるためのスイッチである。このスイッチの設定によって、本体制御部101は、発呼スイッチ301a、301b、301c、301dの発信先を、図3(a)に示すものか、あるいは図3(b)に示すものに切り替える。
【0029】
スピーカ304は、本体制御部101からインタフェース310および第2インタフェース108を介して出力される音声信号を拡声出力するものであって、メロディや音階のあるビープ音、音声案内などを発する。例えば、図2に示したぬいぐるみの首や頭の内部に搭載される。
【0030】
状態表示部305は、LCD(Liquid Crystal Display)などを用いた表示装置であって、インタフェース310および第2インタフェース108を通じて本体制御部101によって制御され、当該移動無線端末装置の稼働状態を示す情報を表示する。例えば、図2に示したぬいぐるみの左胸の表面に搭載される。
【0031】
電源スイッチ307は、当該移動無線端末装置の電源をON/OFFするためのスイッチである。この電源スイッチ307の状態は、インタフェース310および第2インタフェース108を通じて本体制御部101によって検出される。本体制御部101は、ON状態を検出すると、電力を各部に供給する制御を行う。例えば、図2に示したぬいぐるみの臀部に搭載される。
【0032】
応答スイッチ308は、着信は発生した場合にユーザが操作することで、上記着信に応答するためのもので、この応答スイッチ308の状態は、インタフェース310および第2インタフェース108を通じて本体制御部101によって検出される。例えば、図2に示したぬいぐるみの右耳内に搭載される。
【0033】
終話スイッチ309は、通話を終了する場合にユーザが操作することで、通信回線を切断するためのもので、この終話スイッチ309の状態は、インタフェース310および第2インタフェース108を通じて本体制御部101によって検出される。例えば、図2に示したぬいぐるみの左耳内に搭載される。
【0034】
次に、上記構成の移動無線端末装置の動作について説明する。以下の説明では特に、発信や着信に関わる制御について説明する。
まず、図4を参照して、発信に関わる制御について説明する。図4に示すフローチャートは、本体制御部101によって実行される処理を示すものであって、記憶部103に記憶される制御プログラムや制御データにしたがって、本体制御部101が動作することにより、上記処理を実現する。この処理は、主制御装置100の電源が投入されると、電源が切られるまで繰り返し実行される。
【0035】
まずステップ4aにおいて本体制御部101は、キーインタフェース部105による主操作部301に対する操作の検出結果を監視し、発呼スイッチ301a、301b、301c、301dのうちいずれかに対して押下する操作を検出すると、ステップ4bに移行する。
【0036】
ステップ4bにおいて本体制御部101は、キーインタフェース部105による主操作部301に対する操作の検出結果を監視し、ステップ4aで検出した操作が、予め設定した時間以上、継続しているか否か、すなわち押下された状態が例えば1秒以上継続しているか否かを判定する。ここで、連続した操作の継続(長押し)を検出した場合には、ステップ4cに移行し、一方、操作が継続しなかった場合には、ステップ4aに移行して、操作の監視を行う。
【0037】
なお、発信操作が長押しによって受け付けられるのに対して、応答スイッチ308や終話スイッチ309に対する操作は、それより短い時間でも受け付けられるようにすることで、操作を区別する。また、物が発呼スイッチ上に載るなどの誤発信を防止するために、より長く(例えば10秒)操作が継続する場合には、本体制御部101は、誤操作と見なして、発信を行わないように、ステップ4aに戻るようにしてもよい。すなわちこの場合、1秒以上10秒未満の間、押下された場合に、長押しと見なす。
【0038】
ステップ4cにおいて本体制御部101は、緊急発信用スイッチ106がオン状態か否かを判定する。ここで、緊急発信用スイッチ106がオフ状態の場合には、ステップ4dに移行し、一方、緊急発信用スイッチ106がオン状態の場合には、ステップ4eに移行する。
【0039】
ステップ4dにおいて本体制御部101は、記憶部103が記憶する電話番号のうち、図3(a)に示した通常用の電話番号を参照する。そして、本体制御部101は、これらのうち、ステップ4aで操作が検出された発呼スイッチに対応する電話番号のデータを読み出し、ステップ4fに移行する。
【0040】
ステップ4eにおいて本体制御部101は、記憶部103が記憶する電話番号のうち、図3(b)に示した緊急用の電話番号を参照する。そして、本体制御部101は、これらのうち、ステップ4aで操作が検出された発呼スイッチに対応する電話番号のデータを読み出し、ステップ4fに移行する。
【0041】
ステップ4fにおいて本体制御部101は、モジュール制御部210に対して、ステップ4dもしくはステップ4eで読み出した電話番号のデータを与えて、この電話番号に発信するように指示する。これに対してモジュール制御部210は、無線通信モジュール200の各部を統括して制御して、基地局装置に対して発信信号を送信して、本体制御部101から通知された電話番号に対する発信を行う。
【0042】
そして発信が完了すると、モジュール制御部210は、通話先との間に通信リンクを確立する。すると、モジュール制御部210は、通信リンクが確立した旨を本体制御部101に通知し、この通知を受けた本体制御部101は、ステップ4gに移行する。
【0043】
ステップ4gにおいて本体制御部101は、通話処理を開始し、ステップ4hに移行する。すなわち、本体制御部101は、音声符号化/復号化部102を起動する。これにより、音声符号化/復号化部102は、音声用トランスコーダ209から与えられる符号化音声データを復号して音声信号を得たり、マイクロホン302より入力された話者の送話音声信号を符号化して、これにより得た符号化音声データを音声用トランスコーダ209に出力する。このようにして、通話相手からの音声を拡声出力するとともに、ユーザの送話音声を通話相手に送信して、通話が行える状態となる。
【0044】
ステップ4hにおいて本体制御部101は、ステップ4cと同様にして、緊急発信用スイッチ106がオン状態か否かを判定する。ここで、緊急発信用スイッチ106がオフ状態の場合には、当該処理を終了し、一方、緊急発信用スイッチ106がオン状態の場合には、ステップ4iに移行する。
【0045】
ステップ4iにおいて本体制御部101は、緊急用の発信先に発信が為されたことより、登録外の電話番号からの着信を拒否する登録外着信拒否機能を解除し、当該処理を終了する。これにより、本体制御部101は、着信時に通知される電話番号が、図3(a)または図3(b)のいずれにも記憶されていない電話番号であったとしても、着信に応答できる(もしくは自動応答できる)ように、設定を変更する。すなわち、警察関係や消防関係、警備会社など、予め登録していない電話番号からの着信を受け付けることが可能となる。
【0046】
なお、ステップ4fにおいて発信が失敗した場合においては、ステップ4hに移行するようにしてもよい。これによれば、緊急用の発信先に発信したにもかかわらず、発信が失敗した場合には、ステップ4hからステップ4iに移行することになり、以後、登録外の電話番号からの着信を拒否する機能が解除され、警察関係や消防関係、警備会社など、予め登録していない電話番号からの着信を受け付けることが可能となる。
【0047】
次に、図5を参照して、着信に関わる制御について説明する。図5に示すフローチャートは、本体制御部101によって実行される処理を示すものであって、記憶部103に記憶される制御プログラムや制御データにしたがって、本体制御部101が動作することにより、上記処理を実現する。この処理は、モジュール制御部210から着信が発生した旨の通知を受けると実行される。
【0048】
まずステップ5aにおいて本体制御部101は、モジュール制御部210が検出した発信元の電話番号(以下、発番号と略称する)を取得し、ステップ5bに移行する。なお、発番号の通知が無い場合には、取得せずに、ステップ5bに移行する。
【0049】
ステップ5bにおいて本体制御部101は、上記登録外着信拒否機能が解除されているか否かを判定する。ここで、例えば前述したステップ4iなどによって、登録外着信拒否機能が解除されている場合には、ステップ5fに移行する。一方、登録外着信拒否機能が解除されていない場合には、ステップ5cに移行する。
【0050】
ステップ5cにおいて本体制御部101は、ステップ5aで発番号を取得したか否かを判定する。ステップ5aで発番号を取得した場合には、ステップ5dに移行し、一方、ステップ5aで発番号を取得していない場合には、ステップ5eに移行する。
【0051】
ステップ5dにおいて本体制御部101は、ステップ5aで取得した発番号が、記憶部103に発信先として記憶された電話番号か否かを判定する。ここで、ステップ5aで取得した発番号が、記憶部103に発信先として記憶された電話番号の場合には、ステップ5fに移行し、一方、記憶部103に発信先として記憶されていない電話番号の場合には、ステップ5eに移行する。
【0052】
ステップ5eにおいて本体制御部101は、モジュール制御部210に対して、着信を拒否するように指示し、着信を報知することなく、当該処理を終了する。これにより、モジュール制御部210は、TDMA符号化部207など送信系の各部を制御して、基地局装置に着信を拒否する信号を送信させる。これにより、発信者に対して、着信が拒否されている旨が通知される。
【0053】
ステップ5fにおいて本体制御部101は、スピーカ304を通じて着信が発生した旨を報知するメロディなどの音を出力するとともに、ステップ5aで取得した電話番号に対応付けられた名称を記憶部103から読み出し、この名称や、電話番号を状態表示部305に表示して、着信が発生した旨を報知する処理を開始し、ステップ5gに移行する。
【0054】
なおここで、登録外着信拒否機能が解除されている場合には、本体制御部101は、ステップ5kに移行してもよい。これにより、ユーザは、応答操作を行わずに、自動的に通話が開始できる。またこの場合、着信報知を行わずに、ステップ5kに移行する構成も考えられる。これにより、周囲に着信発生が認識されることなく、音声を通話相手に送信することができる。
【0055】
ステップ5gにおいて本体制御部101は、応答スイッチ308が操作されたか否かを監視する。そして、応答スイッチ308が操作されたことを検出した場合には、ステップ5jに移行する。一方。応答スイッチ308が操作されたことを検出しない場合には、ステップ5hに移行する。
【0056】
ステップ5hにおいて本体制御部101は、モジュール制御部210からの着信通知が継続しているか否かを判定する。ここで、モジュール制御部210からの着信通知が継続している場合には、ステップ5gに移行し、一方、モジュール制御部210からの着信通知が終了した場合には、ステップ5iに移行する。
【0057】
ステップ5iにおいて本体制御部101は、スピーカ304および状態表示部305に対する制御を終了して、着信の報知動作を終了し、当該処理を終了する。
【0058】
一方、ステップ5jにおいて本体制御部101は、スピーカ304および状態表示部305に対する制御を終了して、着信の報知動作を終了し、ステップ5kに移行する。
【0059】
ステップ5kにおいて本体制御部101は、通話処理を開始し、当該処理を終了する。すなわち、本体制御部101は、音声符号化/復号化部102を起動する。これにより、音声符号化/復号化部102は、音声用トランスコーダ209から与えられる符号化音声データを復号して音声信号を得たり、マイクロホン302より入力された話者の送話音声信号を符号化して、これにより得た符号化音声データを音声用トランスコーダ209に出力する。このようにして、通話相手からの音声を拡声出力するとともに、ユーザの送話音声を通話相手に送信して、通話が行える状態となる。
【0060】
以上のように、上記構成の移動無線端末装置は、発信要求や着信応答を受け付けるユーザインタフェース300がぬいぐるみ等の玩具に予め搭載されており、ユーザインタフェース300のインタフェース310と、主制御装置100の第2インタフェース108が着脱自在な構成となっており、主制御装置100と無線通信モジュール200は、上記玩具内に収納可能となっている。そして、主制御装置100は、ユーザインタフェース300で受け付けたユーザ指示にしたがって無線通信モジュール200を制御して、通信を行うようにしている。
【0061】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、例えばぬいぐるみメーカなどが、ユーザインタフェース300を備えたぬいぐるみを製造し、通信機器メーカが主制御装置100および無線通信モジュール200を製造し、これらを組み合わせることで移動無線端末装置として機能する。
【0062】
すなわち、ぬいぐるみメーカは、比較的安価なユーザインタフェース300を備えたぬいぐるみを製造することで、主制御装置100および無線通信モジュール200のユーザに対して、交換用のぬいぐるみを安価に提供することができる。このため、ユーザは趣向に応じて、好みのぬいぐるみを比較的安価に手に入れることができ、また飽きれば別のぬいぐるみを入手すればよく、新たに主制御装置100や無線通信モジュール200を購入する必要がない。また通信機器メーカは、ユーザインタフェースを備えない汎用型の通信機を提供するだけでよい。
【0063】
また、ぬいぐるみの手足に発呼スイッチを設け、それを握るなどしてスイッチをオン状態にすることで発信が行えるので、子供でも簡単に発信操作を行うことができる。また緊急発信用スイッチ106の操作によって、発信先を警察などの緊急の発信先に切り替えることができる。
【0064】
そして、発呼スイッチの操作は、例えば1秒以上の長押しが為された場合に、発信要求があったものと判定して、発信を行うようにしている。このため、誤ってぬいぐるみの手足を握ることで発信が行われてしまうことを防止できる。またさらに長く(例えば10秒以上)長押しが続いた場合には、発信要求ではないものと見なして発信を行わないので、誤発信を防止することができる。
【0065】
そしてまた、予め登録した電話番号だけに発信できるようになっているため、通話相手を限定することができる。また予め登録した電話番号以外からの着信には応じない登録外着信拒否機能を備えているので、通話相手を限定でき、例えばいたずら電話などに対応することができる。
【0066】
また、上記構成の移動無線端末装置は、緊急の発信先に発信を行った場合には、上記登録外着信拒否機能を解除して、着信の報知や着信応答を受け付けて通話を行えるようにしている。このため、緊急発信を行った後に、警察関係などから折り返しで為される発信に応答して通話を行うことができる。
【0067】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0068】
その一例として例えば、上記実施の形態では、発呼スイッチをユーザインタフェース300だけに設けるようにしたが、図6に示すように、主制御装置100に副操作部110を設けるようにしてもよい。この場合、キーインタフェース部105に代わって、キーインタフェース部105の機能と切替機能を備える切替部109を設ける。
【0069】
切替部109は、副操作部110内の開閉スイッチ111の状態を監視し、この監視結果に応じて、主操作部301と副操作部110とのうち、いずれか一方を有効にするものである。開閉スイッチ111は、副操作部110が誤って操作されないようにする開閉カバーの開閉状態を検出するものである。
【0070】
そして切替部109は、開閉スイッチ111が閉状態を検出すると、主操作部301からの入力を有効にし、一方、開閉スイッチ111が開状態を検出すると副操作部110からの入力を有効にする。
【0071】
副操作部110は、ダイヤルスイッチ108a〜108lを備え、図7に示すように、これらがそれぞれダイヤルキーに対応しており、副操作部110からの入力が有効な場合に、切替部109が数字入力を検出し、入力された数字を電話番号として本体制御部101に通知する。
このような構成によれば、例えば大人が副操作部110のカバーを開けて操作を行うことで、任意の電話番号に対して発信することができる。
【0072】
また上記実施の形態では、1つの発呼スイッチを長押しした場合に、所定の発信先に発信を行うようにしたが、これに代わり、もしくはこれに加えて、本体制御部101が、複数の発呼スイッチを同時に長押しした場合や、複数の発呼スイッチを予め設定した順序で操作した場合を検出し、その場合に予め記憶部103に記憶した所定の発信先に発信するようにしてもよい。これによれば、操作の組み合わせによって、少ない発呼スイッチでも多数の発信先に発信することができ、また誤発信を防止することができる。
【0073】
そしてまた上記実施の形態では、ぬいぐるみ内にユーザインタフェース300を搭載する場合を例に挙げて説明したが、動物のぬいぐるみに限定されるものではなく、自動車など種々の玩具に適用することができる。
【0074】
また上記実施の形態では、無線通信モジュール200が採用する通信方式として、TDMA方式を例に上げて説明したが、これに限定されるものではなく、CDMA方式やOFDMA方式、無線LANなど種々の通信方式を採用することが可能である。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明に係わる移動無線端末装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した移動無線端末装置を搭載する玩具の一例を示す図。
【図3】図1に示した発呼スイッチに割り当てた電話番号の一例を示す図。
【図4】図1に示した移動無線端末装置の発信時の動作を説明するフローチャート。
【図5】図1に示した移動無線端末装置の着信時の動作を説明するフローチャート。
【図6】この発明に係わる移動無線端末装置の別の実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図7】図6に示したダイヤルスイッチに割り当てたダイヤル番号の一例を示す図。
【符号の説明】
【0076】
100…主制御装置、101…本体制御部、102…音声符号化/復号化部、103…記憶部、104…電源制御部、105…キーインタフェース部、106…緊急発信用スイッチ、107…第1インタフェース、108…第2インタフェース、108a〜108l…ダイヤルスイッチ、109…切替部、110…副操作部、111…開閉スイッチ、200…無線通信モジュール、201…アンテナ、202…アンテナスイッチ、203…送信部、204…受信部、205…変調部、206…復調部、207…TDMA符号化部、208…TDMA復号化部、209…音声用トランスコーダ、210…モジュール制御部、213…電源、214…インタフェース、300…ユーザインタフェース、301…主操作部、301a〜301d…発呼スイッチ、302…マイクロホン、303…レシーバ、304…スピーカ、305…状態表示部、306…電池、307…電源スイッチ、308…応答スイッチ、309…終話スイッチ、310…インタフェース、311…開封口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具と、移動通信網に収容される基地局装置と無線通信する通信機とを備える移動無線端末装置であって、
前記玩具は、
ユーザからの要求を受け付ける受付手段と、
送話音声を入力するマイクロホンと、
受話音声を拡声出力するスピーカと、
前記通信機と着脱自在であって、前記受付手段で受け付けた要求やマイクロホンから出力される音声信号を外部に出力するとともに、外部から入力された音声信号を前記スピーカに出力する第1インタフェースとを備え、
前記通信機は、
前記第1インタフェースと着脱自在な第2インタフェースと、
前記基地局装置と無線通信する通信手段と、
前記受付手段で受け付けた要求を前記第2インタフェースを通じて取得し、その要求に応じて通信手段を制御する通信制御手段と、
この通信制御手段の制御によって通信がなされる場合に、前記通信手段が受信した受話音声信号を前記第2インタフェースを通じて前記玩具に出力するとともに、前記第2インタフェースを通じて入力される音声信号を前記通信手段によって無線送信する制御を行う通話制御手段とを備えることを特徴とする移動無線端末装置。
【請求項2】
前記玩具は、ぬいぐるみであって、
前記受付手段は、複数のスイッチからなり、各スイッチがぬいぐるみの体の部位に配設され、
前記通信制御手段は、前記スイッチに予め対応付けた電話番号を記憶し、操作されたスイッチに対応する電話番号に対して発信を行うように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項3】
前記通信機は、電話番号切替スイッチを備え、
前記通信制御手段は、前記電話番号切替スイッチの状態ごとに前記スイッチに対応付けた電話番号を記憶し、前記電話番号切替スイッチの状態に応じて、操作されたスイッチに対応する電話番号に対して発信を行うように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の移動無線端末装置。
【請求項4】
着信を報知する報知手段を備え、
前記通信制御手段は、予め記憶した電話番号から着信があった場合には、前記報知手段を制御して着信を報知し、一方、予め記憶した電話番号以外からの着信があった場合には、前記報知手段による着信報知を行わないことを特徴とする請求項2に記載の移動無線端末装置。
【請求項5】
前記通信制御手段は、予め記憶した所定の電話番号に発信を行った場合には、予め記憶した電話番号以外からの着信についても、前記報知手段を制御して着信報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の移動無線端末装置。
【請求項6】
前記通信機は、
ダイヤル番号を入力するダイヤルインタフェースと、
このダイヤルインタフェースを有効にする入力切替スイッチとを備え、
前記通信制御手段は、前記入力切替スイッチが前記ダイヤルインタフェースを有効にする状態の場合には、前記ダイヤルインタフェースから入力されるダイヤル番号に発信を行い、一方、前記入力切替スイッチが前記ダイヤルインタフェースを無効にする状態の場合には、前記受付手段で受け付けた要求を前記第2インタフェースを通じて取得し、その要求に応じて通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項7】
前記通信機は、
ダイヤル番号を入力するダイヤルインタフェースと、
このダイヤルインタフェースを覆う蓋と、
この蓋の開閉を検出する開閉検出手段とを備え、
前記通信制御手段は、前記蓋が開いた状態を前記開閉検出手段が検出した場合には、前記ダイヤルインタフェースから入力されるダイヤル番号に発信を行い、一方、前記蓋が閉じた状態を前記開閉検出手段が検出した場合には、前記受付手段で受け付けた要求を前記第2インタフェースを通じて取得し、その要求に応じて通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項8】
前記受付手段は、スイッチからなり、
前記通信制御手段は、前記スイッチが予め設定した時間以上操作された場合に、発信を行うように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項9】
前記受付手段は、スイッチからなり、
前記通信制御手段は、前記スイッチが予め設定した第1時間以上第2時間未満の間、操作された場合に、発信を行うように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項10】
玩具と、
前記玩具内に備えられ、ユーザからの要求を受け付ける受付手段と、
前記玩具内に備えられ、送話音声を入力するマイクロホンと、
前記玩具内に備えられ、受話音声を拡声出力するスピーカと、
通信機と着脱自在であって、前記受付手段で受け付けた要求やマイクロホンから出力される音声信号を外部に出力するとともに、外部から入力された音声信号を前記スピーカに出力するインタフェースとを具備することを特徴とするインタフェース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−11279(P2010−11279A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170247(P2008−170247)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】