説明

移動端末、測位方法

【課題】GPS衛星を利用できない場合でも、測位を容易に行う。
【解決手段】位置が既知である移動通信基地局50Kと移動端末10との距離、位置が既知であるデジタル放送送信所50Sと移動端末10との距離、位置が既知であり、かつ、電波時計の時刻情報を送信する電波時計情報送信所50Tと移動端末10との距離、をそれぞれ算出し、それらを組合せて利用する。こうすることにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末10の位置を特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異なる無線方式を複数組み合わせることにより、測位機能を実現する、移動端末および測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動端末の現在位置を特定するには、移動端末に内蔵されたGPS受信機能を利用して測位する方法が知られている。しかしながら、GPSを利用できない状況においては、別の手段の利用が必要となる。例えば、移動通信システムに用いられる移動通信基地局すなわち無線基地局を利用する測位や、無線アクセスポイントを利用する測位がある。
【0003】
(移動通信基地局を利用した測位)
移動通信システムに用いられる移動通信基地局から受信される電波を利用して、移動端末の位置を特定する方法について図15を参照して説明する。
移動通信基地局(以下、基地局と呼ぶ)は、その場所の正確な位置(緯度経度)が各々既知である。ネットワーク内の各装置が同期して動作している場合においては、移動端末の位置を特定するにはタイムスタンプを利用する。すなわち、各基地局には任意に定めた基地局ID番号が付与されており、時間符号(タイムスタンプ)と共にその基地局の位置データが各基地局から同期して伝送される。図15(a)を参照すると、同図には3つの基地局50A、50B、50Cが示されている。各基地局50A〜50Cを中心とする円は、対応する基地局からの電波が届く範囲である。
【0004】
各基地局50A〜50Cと移動端末10との距離は異なる。このため、各基地局50A〜50Cからの位置データは同一時刻には受信されず、時刻ta、tb、tcと時間差が発生して移動端末10に受信される。この移動端末10の位置は、各基地局と移動端末10との距離が算出できれば、特定することができる。
ここで、電波の伝送速度をV、各基地局50A、50B、50Cと移動端末10との距離をLa、Lb、Lcとすると、
La=V×ta
Lb=V×tb
Lc=V×tc
として算出することができる。
【0005】
また、ネットワーク内の各装置が同期して動作している場合および非同期で動作している場合においては、移動端末の位置を特定するためには、RTT(Round Trip Time)を利用することができる。すなわち、移動端末から基地局へ(または逆に、基地局から移動端末へ)、信号を送信し、その応答信号(ACK信号)が戻ってくるまでの時間(RTT)を測定し、その時間の半分の時間に電波の伝送速度Vを乗じることによって、移動端末と基地局との間の距離を算出することができる。つまり、基地局と自端末との間で信号を送受信する際に判明する信号到達時間に電波の伝搬速度を乗じることによって、基地局と移動端末との距離を算出できる。
【0006】
上記のように、移動端末と各基地局との間の距離が算出できれば、以下のように移動端末の位置を特定することができる。図15(b)を参照すると、同図の移動端末10は基地局50A、50B、50Cから送信される位置データを受信することができる。基地局50A、50B、50Cの位置は既知であり、例えば(Xa、Ya、Za)、(Xb、Yb、Zb)、(Xc、Yc、Zc)、である。これら、既知の各基地局の緯度経度、および、各基地局と移動端末との距離、を3つ組合せれば、移動端末の位置を特定し、緯度経度で表すことができる。
【0007】
理論的には3つの基地局と移動端末との距離がそれぞれ算出できれば、移動端末の位置を算出できる。ただし、基地局の時計と移動端末の時計とは一致しないため、もう1つ別の基地局からの信号の時刻で補正する場合もある。この場合、さらに、位置が既知である基地局50Dの位置(Xd、Yd、Zd)を加えた4つの各基地局の緯度経度と各基地局と移動端末10との距離を組合せて、移動端末10の位置を特定すればよい。
【0008】
ここで、測位すべき移動端末10の位置を(X、Y、Z)、基地局50A〜50Dの位置を(Xa、Ya、Za)、(Xb、Yb、Zb)、(Xc、Yc、Zc)、(Xd、Yd、Zd)とする。すると、基地局50Aと移動端末10とでの距離Laは式(1)によって算出できる。
La={(Xa−X)2 +(Ya−Y)2 +(Za−Z)2}1/2…(1)
=電波の伝搬速度(30万km/s)×伝搬時間…(2)
基地局50Bと移動端末との距離Lb、基地局50Cと移動端末との距離Lc、基地局50Dと移動端末との距離Ldについても同様に算出できる。
【0009】
上記式(2)において、「伝搬時間」は基地局で電波を送信した時の時刻スタンプtと、それを受信した時刻tnとの時間差から取得することができる。ただし、実際には基地局の時計の時刻と移動端末の時計の時刻とが全く同一になるわけではなく、補完するもう1つの基地局からの時刻で補正した「見かけ上の伝搬時間」である。このため、基地局と測位点との距離は、厳密な「距離」ではなく計算上、「疑似距離」と呼ぶ。
【0010】
移動端末の位置を決定するには、上記(1)によって各基地局50A〜50Cの距離La、Lb、Lcを各々計算し、ピタゴラスの定理の3連連立方程式を解く。
すなわち、
La={(Xa−X)2 +(Ya−Y)2 +(Za−Z)2}1/2
Lb={(Xb−X)2 +(Yb−Y)2 +(Zb−Z)2}1/2
Lc={(Xc−X)2 +(Yc−Y)2 +(Zc−Z)2}1/2
を解くことによって、X、Y、Zを確定することができる。
【0011】
なお、電波を受信できる基地局が多く存在すれば異端な数値分を除去・補正し、最も確からしい3つの値を用いて計算すればよい。
(無線アクセスポイントを利用した測位)
移動端末には、無線アクセスポイントを利用して通信を行うことができるものがある。そして、無線アクセスポイントに各々の位置情報を記憶しておき、無線アクセスポイントから出力される位置データに基づいて、携帯電話が測位を行う技術もある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−189154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した移動通信基地局を利用した測位を利用するには、移動端末は最低3つの基地局からの電波を受信する必要がある。一般に、3つの基地局からの電波を同時に受信できるケースは、基地局が蜜に構築された都市の一部などに限られる。従って、移動通信基地局のみを利用した測位を実現することは、利用環境の条件が限定されるために、測位機能としては汎用性に課題があった。
また、上述した特許文献1のように、アクセスポイントからの電波を受信できるのは半径100m程度であるため、大略の位置しか分からない。さらに、特許文献1の場合、アクセスポイントを多数設置しておく必要があり、現実的ではない。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的はGPS衛星を利用できない場合でも、測位を容易に行うことのできる移動端末、測位方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1による移動端末は、
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出手段と、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出手段と、
位置が既知であり、かつ、定期的に時刻情報を送信する時刻情報送信所と自端末との距離を算出する時刻情報送信所距離算出手段と、
を含み、前記基地局距離算出手段およびデジタル放送送信所距離算出手段ならびに時刻情報送信所距離算出手段によってそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定することを特徴とする。このような構成によれば、基地局との間の距離算出、デジタル放送送信所との間の距離算出、時刻情報送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。なお、時刻情報送信所には、電波時計情報送信所のほか、例えば、ラジオ放送のように定期的に時刻情報を送信する送信所も含まれる。
【0014】
本発明の請求項2による移動端末は、
位置が既知である複数の移動通信基地局と自端末との距離をそれぞれ算出する基地局距離算出手段と、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出手段と、
を含み、前記基地局距離算出手段およびデジタル放送送信所距離算出手段によってそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定することを特徴とする。このような構成によれば、複数の(例えば、2つの)基地局との間の距離算出、デジタル放送送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【0015】
本発明の請求項3による移動端末は、
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出手段と、
位置が既知である複数のデジタル放送送信所と自端末との距離をそれぞれ算出するデジタル放送送信所距離算出手段と、
を含み、前記基地局距離算出手段およびデジタル放送送信所距離算出手段によってそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定することを特徴とする。このような構成によれば、基地局との間の距離算出、複数の(例えば、2つの)デジタル放送送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【0016】
本発明の請求項4による移動端末は、請求項1から請求項3までのいずれか1項において、
前記基地局距離算出手段は、前記移動通信基地局と自端末との間で信号を送受信する際に判明する信号到達時間に電波の伝搬速度を乗じることによって、前記移動通信基地局と自端末との距離を算出することを特徴とする。このような構成によれば、移動通信基地局と自端末との距離を容易に算出できる。
【0017】
本発明の請求項5による移動端末は、請求項1から請求項3までのいずれか1項において、
前記デジタル放送送信所距離算出手段は、前記デジタル放送波から、前記番組時刻基準値情報に比例するシステムタイムクロックを自端末内で再生し、この再生システムタイムクロックにより判明するデジタル放送送信所と自端末との信号到達時間に電波伝搬速度を乗算することによって、前記デジタル放送送信所と自端末との距離を算出することを特徴とする。このような構成によれば、プログラム参照時刻と自端末内部のシステムタイムクロックとの位相差すなわち電波伝搬時間に電波伝搬速度を乗算することにより、デジタル放送送信所と自端末との距離を算出することができる。
【0018】
本発明の請求項6による移動端末は、請求項5において、
前記デジタル放送送信所距離算出手段は、前記デジタル放送送信所の内部クロックに自端末内部のシステムタイムクロックを同期させるための位相同期回路を構成するカウンタを含み、前記カウンタの出力から前記システムタイムクロックを導出することを特徴とする。このような構成によれば、ハードウェアの大幅なる変更や追加を施さずとも、位相同期回路のカウンタの出力を利用することにより、所要の信号を取り出し、デジタル放送送信所と自端末との距離を算出することができる。
【0019】
本発明の請求項7による移動端末は、請求項1において、
前記時刻情報送信所距離算出手段は、移動端末の時刻を時刻情報送信所の時刻に一致させる初期設定を行った場所との時間のずれに基づいて、前記時刻情報送信所と自端末との距離を算出することを特徴とする。このような構成によれば、時刻情報送信所と自端末との距離を容易に算出できる。
【0020】
本発明の請求項8による測位方法は、
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出ステップと、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出ステップと、
位置が既知であり、かつ、時刻情報を送信する時刻情報送信所と自端末との距離を算出する時刻情報送信所距離算出ステップと、
前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップならびに時刻情報送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップと、
を含むことを特徴とする。この方法によれば、基地局との間の距離算出、デジタル放送送信所との間の距離算出、時刻情報送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【0021】
本発明の請求項9による測位方法は、
位置が既知である複数の移動通信基地局と自端末との距離をそれぞれ算出する基地局距離算出ステップと、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出ステップと、
を含み、前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップと、
を含むことを特徴とする。この方法によれば、複数の(例えば、2つの)基地局との間の距離算出、デジタル放送送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【0022】
本発明の請求項10による測位方法は、
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出ステップと、
位置が既知である複数のデジタル放送送信所と自端末との距離をそれぞれ算出するデジタル放送送信所距離算出ステップと、
を含み、前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップと、
を含むことを特徴とする。この方法によれば、基地局との間の距離算出、複数の(例えば、2つの)デジタル放送送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基地局と移動端末との距離算出、デジタル放送送信所と移動端末との距離算出、時刻情報送信所と移動端末との距離算出、を任意に組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を容易に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、位置が既知である基地局と移動端末との距離、位置が既知であるデジタル放送送信所と移動端末との距離、位置が既知である電波時刻情報送信所と移動端末との距離、を算出し、それら算出された距離に基づいて移動端末の位置を特定する。
【0025】
(移動端末の構成例1)
図1は、本発明の第1の実施形態による移動端末の構成例を示すブロック図である。同図において、本例の移動端末10は、他の装置との間で信号を送受信するための通信部11と、図示せぬデジタル放送送信所から送信されてくる放送波を受信し、デジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出部12と、各種情報を表示する表示部13と、時刻情報送信所と自端末との距離を算出する時刻情報送信所距離算出部14と、移動通信システムの基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出部15と、算出した距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定部16と、各種情報を記憶する記憶部17と、この端末のユーザが操作する操作部18と、各部を制御する制御部19とを含み、これら各部が信号を相互に授受できるようにバスによって接続された構成になっている。
記憶部17は、基地局と移動端末との距離、位置が既知であるデジタル放送送信所と移動端末との距離、位置が既知である時刻情報送信所と移動端末との距離、の各算出結果などを記憶する機能を有している。
【0026】
(デジタル放送送信所との距離算出)
一般に、放送番組は、送信側からの距離に関係なく、番組の開始時刻に合わせて表示することが求められる。デジタル放送では、MPEG(Moving Picture Experts Group)システムが採用されている。デジタル受信機である移動端末では、ビデオの同期信号は伝送されないため、基本クロックである27MHzのクロックを再生し、そこから分周して同期信号が生成される。
【0027】
送信側であるデジタル放送送信所では、番組を送信する際のクロックが発生する値を所定間隔でサンプリングした情報であるPCR(Program Clock Reference :番組時刻基準値情報)が、MPEG−2 TS(トランスポートストリーム)に多重されて送信される。このPCRデータは、送信側と受信側とで、クロックを同期させるために、TSのパケットに、一定の周期で重畳される。受信側では、送信側の内部クロック(System Time Clock;システムタイムクロック)に、受信側の内部クロック(システムタイムクロック)を合わせるために、そのPCRデータを利用してPLL(Phase Locked Loop)で同期をかけている。
【0028】
図2(a)は、TSに、PCRが多重化された状態を概念的に示す図である。同図に示されているように、PCRは、送信側から受信側へ、一定の周期で重畳されて伝送される。
図2(b)は、図1中のデジタル放送送信所距離算出部12の内部構成のうち、本発明に関連する部分を示す図であり、PLLにより送信側の内部クロック(システムタイムクロック)に、受信側の内部クロック(システムタイムクロック)を同期させるための構成が示されている。
【0029】
同図において、デジタル放送送信所距離算出部12には、入力される制御電圧値によって発振周波数が変化する電圧制御発振器121と、この電圧制御発振器121の出力をカウントするカウンタ122と、このカウンタ122の出力である再生STC値とTSのPCR中のSTC値とを比較する比較器123と、この比較器123の比較結果を入力とし、電圧制御発振器121へ制御電圧を与えるフィルタ124とが設けられている。電圧制御発振器121の出力は、移動端末内部のシステムタイムクロックとなる。
【0030】
フィルタ124は低域通過フィルタであり、このフィルタ124によって高周波成分が除去される。高周波成分が除去されることにより、再生STC値とTSのPCR中のSTC値との差に応じた電圧値が電圧制御発振器121に入力される。これにより、カウンタ122の出力である再生STC値とTSのPCR中のSTC値との差つまりデジタル放送送信所から送信される電波の到達時間に応じて、電圧制御発振器121の発振周波数が制御されることになる。
【0031】
以上の構成において、一定周期で送られてくる初めのPCRデータ中のSTC値がカウンタ122にロード(Load)される。そして、TS中のPCR中のSTC値と受信側のシステムタイムクロックでカウントされたカウンタ値(再生STC値)を比較し、その差分が0(ゼロ)になるように制御をかける。その結果、送信側のクロックに対して、ある範囲内の精度でロックがかかることになる。これにより、デジタル放送送信所のシステムクロックに、移動端末内部のシステムタイムクロックを同期させることができる。
【0032】
ここで、デジタル放送の受信機である移動端末の位置がデジタル放送送信所から遠くなればなるほど、PCR到着時間が長くなる。よって、受信側内部のシステムタイムクロックである再生STC値は、PCR到着時間と比例する関係になる。このことから、図2中のカウンタ122の出力から再生STC値を得ることにより、PCR到着時間が判明する。再生STC値とPCRが到着する時間との比例関係は、その移動端末において常に一定である。従って、移動端末の再生STC値とPCR到着時間との関係式を予め知っておくことにより、端末が移動して再生STC値が変動していても、PCR到着時間を知ることが可能である。
【0033】
したがって、デジタル放送送信所と移動端末との距離は、式(3)のようになる。すなわち、
距離L = 電波伝搬速度 × 時間
= 30万[km/s] × PCR到達時間 …(3)
であるから、受信機である移動端末とデジタル放送送信所との距離Lを算出することができる。
ここで、図3に示されているように、上記の距離Lは、移動端末10とデジタル放送送信所50の電波送信部分との直線距離である。移動端末10とデジタル放送送信所50との高低差をHとすると、移動端末10とデジタル放送送信所50との地面Gに平行な経路の距離L’は、式(4)のようになる。すなわち、
距離L’=(L2+H21/2 …(4)
である。
【0034】
デジタル放送送信所と自端末との距離は、以下の処理によって算出できる。まず、移動端末は、デジタル放送波を受信する。受信したデジタル放送波には、上述したPCRが挿入されている。このPCRと、移動端末内部のシステムタイムクロックが生成するカウント値とを比較して端末内部のシステムタイムクロックの速度を調整する。これにより、移動端末は、デジタル放送送信所との同期を確立することができる。そして、移動端末は、デジタル放送送信所と移動端末との距離を、上記式(3)によって算出することができる。
【0035】
ところで、デジタル放送波の信号に含まれるフレームの送信時刻とその受信時刻との差すなわちフレームの到着時間に電波伝搬速度を掛け算することによって、放送局からの距離を推定する方法が知られている。この方法は、例えば、特開2005−221331号公報に記載されている。しかし、距離の算出に必要な送信時刻を受信側で認識するには、送信側と受信側との時刻合わせが必要であると共に、送信時刻に関する情報を送信側で挿入する必要がある。上記公報に記載の技術を採用する場合、時刻合わせを行うための構成および送信時刻を挿入するためのハードウェア構成を追加したり設計変更したりする必要があり、その実現は困難である。一方、上述したデジタル放送送信所との距離算出においては、デジタル放送送信所の内部クロックに自端末内部のシステムタイムクロックを同期させるための位相同期回路(PLL)を構成するカウンタの出力からシステムタイムクロックを導出している。このことは、ハードウェアの大幅なる変更や追加を施さずとも、既存の位相同期回路のカウンタの出力を利用することにより、所要の信号を取り出し、自端末との距離算出を容易に実現できる。
【0036】
(基地局との距離算出)
基地局と移動端末との距離の算出には、ネットワーク内の各装置が同期して動作している場合、上述した式(2)を利用すればよい。つまり、基地局で電波を送信した時の時刻スタンプと、それを受信した時刻との時間差から伝搬時間を取得し、これに電波の伝搬速度を乗じることによって、基地局と移動端末との距離を算出することができる。
また、ネットワーク内の各装置が同期して動作している場合および非同期で動作している場合、移動端末から基地局へ(または逆に、基地局から移動端末へ)、信号を送信し、その応答信号(ACK信号)が戻ってくるまでの時間(RTT)を測定し、その時間の半分の時間に電波の伝送速度Vを乗じることによって、移動端末と基地局との間の距離を算出することができる。つまり、基地局と自端末との間で信号を送受信する際に判明する信号到達時間に電波の伝搬速度を乗じることによって、基地局と移動端末との距離を算出できる。
【0037】
(電波時計情報送信所との距離算出)
情報通信研究機構で運用されている標準電波を利用し、その標準電波の送信所(以下、電波時計情報送信所と呼ぶ)と移動端末との距離を算出する。電波時計情報送信所から送信されている標準電波には、時刻に関する情報としてタイムコードが周期的に含まれている。標準電波については、情報通信研究機構のWebページ(URL:http://jjy.nict.go.jp/index.html)に詳述されている。なお、電波時計情報送信所の位置(緯度経度)は既知である。
情報通信研究機構で運用されている標準電波を利用する場合に限らず、基準となる時刻情報を定期的に送信するものであれば、それを利用して同様に移動端末との距離を算出することができる。例えば、FM/AMラジオについては、正午など正時に時刻情報が送信されるので、これを利用すれば上記と同様に移動端末との距離を算出することができる。
【0038】
以下、図4〜図6を参照して、電波時計情報送信所と移動端末との距離の算出原理について説明する。図4は、移動端末の時刻を電波時計情報送信所の時刻に同期させるための処理を示す図である。同図において、工場出荷時に移動端末に設定された任意の時刻(例えば、Tx)は、電波時計情報送信所の時刻(例えば、T1)と一致していない。このため、初期設定として、標準電波に含まれているタイムコードを参照し、移動端末の時刻を電波時計情報送信所の時刻に一致させる設定が行われる。例えば、時刻Txが時刻T1に修正される。
【0039】
以上のように時刻を一致させることにより、初期設定を行った場所に移動端末が位置している限り、移動端末の内部時計と電波時計情報送信所の内部時計とが同期する(つまり、時刻が一致する)。したがって、上記初期設定を行った場所(以下、初期設定場所と呼ぶ)に移動端末が位置している限り、電波時計情報送信所と移動端末との電波到達時間Rxは変化しないため、移動端末と電波時計情報送信所とにおいて、時刻T2、T3…が一致する。
【0040】
図5は、移動端末が、電波時計情報送信所から見て初期設定場所より遠くに移動した場合の時刻のずれを示す図である。同図において、移動端末が、送信場所から見て初期設定場所より遠くに移動した場合、電波到達時間は、初期設定した場合にかかった電波到達時間Rxより長くなる。このため、時刻T2情報の到達が遅れ、移動端末内の時計との時間のずれが発生する。例えば、電波到達時刻がT2Nとなり、時間のずれΔt1が発生する。つまり、T2N−T2=Δt1である。
【0041】
図6は、移動端末が、電波時計情報送信所から見て初期設定場所より近くに移動した場合の時刻のずれを示す図である。同図において、移動端末が、送信場所から見て初期設定場所より近くに移動した場合、電波到達時間は、初期設定した場合にかかった電波到達時間Rxより短くなる。このため、時刻T2情報の到達が早まり、移動端末内の時計との時間のずれが発生する。例えば、電波到達時刻がT2Nとなり、時間のずれΔt2が発生する。つまり、T2N−T2=Δt2である。
【0042】
ここで、初期設定場所の位置が既知であれば、初期設定場所と電波時計情報送信所との距離Lxは既知である。したがって、初期設定場所との時間のずれに基づいて、電波時計情報送信所と移動端末との距離を算出することができる。例えば、ある任意の場所において、上記時間のずれをΔtとすれば、電波時計情報送信所と移動端末との距離Lは、式(5)を用いて算出できる。
L = Lx+(V×Δt)…(5)
ただし、式(5)において、Vは電波の伝送速度である。なお、算出処理を簡易にするために、60進数である時刻を、10進数に変換し、算出処理を行ってもよい。
【0043】
電波時計情報送信所と移動端末との距離Lが特定されれば、すでに説明した基地局と移動端末との距離や、デジタル放送送信所と移動端末との距離と組み合わせることにより、移動端末の位置を特定することができる。なお、上記は、電波時計情報送信所から送信される時刻情報を利用する場合について説明したが、例えばラジオ放送の送信所から送信される時刻情報など、定期的に送信される時刻情報であれば、上記と同様に利用することができる。
【0044】
(測位処理例1)
第1の実施形態における移動端末の位置の特定すなわち測位は、図7に示されているように行われる。すなわち、移動端末10について、基地局50Kとの距離、デジタル放送送信所50Sとの距離、電波時計情報送信所50Tとの距離、をそれぞれ算出し、移動端末10の位置を特定する。
この第1の実施形態による測位処理について、図8を参照して説明する。同図において、最初に、基地局と移動端末との距離を算出する(ステップS101)。次に、デジタル放送送信所と移動端末との距離を算出する(ステップS102)。さらに、電波時計情報送信所と移動端末との距離を算出する(ステップS103)。なお、ステップS101からステップS103までの処理の順序は、同図の順序に限定されず、これらのステップが順不同で行われればよい。
【0045】
最後に、上記ステップS101〜S103において算出された距離に基づいて、移動端末の位置を特定する(ステップS104)。
以上のように、本実施形態によれば、基地局と移動端末との距離、デジタル放送送信所と移動端末との距離、電波時計情報送信所と移動端末との距離、を算出し、それら算出された距離に基づいて移動端末の位置を特定することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、位置が既知である2つの移動通信基地局と移動端末とのそれぞれの距離、位置が既知であるデジタル放送送信所と移動端末との距離、を算出し、それら算出された距離に基づいて移動端末の位置を特定する。
(移動端末の構成例2)
図9は、本発明の第2の実施形態による移動端末の構成例を示すブロック図である。同図において、本例の移動端末10が図1に記載の移動端末と異なる点は、電波時計情報送信所距離算出部が設けられておらず、基地局距離算出部15が2つの基地局と自端末との距離を算出する点である。本例の移動端末10のその他の構成については、図1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0047】
(測位処理例2)
第2の実施形態における移動端末の位置の特定すなわち測位は、図10に示されているように行われる。すなわち、移動端末10について、基地局50K1との距離、および基地局50K2との距離、デジタル放送送信所50Sとの距離、をそれぞれ算出し、移動端末10の位置を特定する。
この第2の実施形態による測位処理について、図11を参照して説明する。同図において、最初に、2つの基地局と移動端末との距離をそれぞれ算出する(ステップS101a)。次に、デジタル放送送信所と移動端末との距離を算出する(ステップS102)。なお、ステップS101aからステップS102までの処理の順序は、同図の順序に限定されず、これらのステップが順不同で行われればよい。
最後に、上記ステップS101aおよびS102において算出された距離に基づいて、移動端末の位置を特定する(ステップS104a)。
以上のように、本実施形態によれば、2つの移動通信基地局と移動端末とのそれぞれの距離、デジタル放送送信所と移動端末との距離、を算出し、それら算出された距離に基づいて移動端末の位置を特定することができる。
【0048】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、位置が既知である移動通信基地局と移動端末との距離、位置が既知である2つのデジタル放送送信所と移動端末とのそれぞれの距離、を算出し、それら算出された距離に基づいて移動端末の位置を特定する。
(移動端末の構成例3)
図12は、本発明の第3の実施形態による移動端末の構成例を示すブロック図である。同図において、本例の移動端末10が図1に記載の移動端末と異なる点は、電波時計情報送信所距離算出部が設けられておらず、デジタル放送送信所距離算出部12が2つのデジタル放送送信所と自端末との距離を算出する点である。本例の移動端末10のその他の構成については、図1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0049】
(測位処理例3)
第3の実施形態における移動端末の位置の特定すなわち測位は、図13に示されているように行われる。すなわち、移動端末10について、基地局50Kとの距離、デジタル放送送信所50S1との距離、デジタル放送送信所50S2との距離、をそれぞれ算出し、移動端末10の位置を特定する。
この第3の実施形態による測位処理について、図14を参照して説明する。同図において、最初に、基地局と移動端末との距離を算出する(ステップS101)。次に、2つのデジタル放送送信所と移動端末との距離をそれぞれ算出する(ステップS102a)。なお、ステップS101からステップS102aまでの処理の順序は、同図の順序に限定されず、これらのステップが順不同で行われればよい。
【0050】
最後に、上記ステップS101およびS102aにおいて算出された距離に基づいて、移動端末の位置を特定する(ステップS104b)。
以上のように、本実施形態によれば、移動通信基地局と移動端末との距離、2つのデジタル放送送信所と移動端末とのそれぞれの距離、を算出し、それら算出された距離に基づいて移動端末の位置を特定することができる。
【0051】
(測位方法)
上述した移動端末においては、以下のような測位方法が採用されている。すなわち、上述した第1の実施形態の場合、位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出ステップ(図8中のステップS101に対応)と、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出ステップ(図8中のステップS102に対応)と、
位置が既知であり、かつ、時刻情報を送信する時刻情報送信所と自端末との距離を算出する時刻情報送信所距離算出ステップ(図8中のステップS103に対応)と、
前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップならびに時刻情報送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップ(図8中のステップS104に対応)と、
を含む測位方法が採用されている。この方法によれば、基地局との間の距離算出、デジタル放送送信所との間の距離算出、時刻情報送信所との間の距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【0052】
また、上述した第2の実施形態の場合、位置が既知である複数の移動通信基地局と自端末との距離をそれぞれ算出する基地局距離算出ステップ(図11中のステップS101aに対応)と、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出ステップ(図11中のステップS102に対応)と、
を含み、前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップ(図11中のステップS104aに対応)と、
を含む測位方法が採用されている。この方法によれば、複数の(例えば、2つの)基地局との距離算出、デジタル放送送信所との距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
【0053】
さらに、上述した第3の実施形態の場合、位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出ステップ(図14中のステップS101に対応)と、
位置が既知である複数のデジタル放送送信所と自端末との距離をそれぞれ算出するデジタル放送送信所距離算出ステップ(図14中のステップS102aに対応)と、
を含み、前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップ(図14中のステップS104bに対応)と、
を含む測位方法が採用されている。この方法によれば、基地局との距離算出、複数の(例えば、2つの)デジタル放送送信所との距離算出、を組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を特定することができる。
(まとめ)
以上のように、基地局との距離算出、デジタル放送送信所との距離算出、電波時計情報送信所との距離算出、を任意に組合せて利用することにより、GPSが全く利用できない場合でも移動端末の位置を容易に特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、移動端末の現在位置を特定する場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態による移動端末の構成例を示すブロック図である。
【図2】(a)はMPEG−2 トランスポートストリームにPCRが多重化された状態を概念的に示す図、(b)は図1中のデジタル放送送信所距離算出部の内部構成のうち、本発明に関連する部分を示す図である。
【図3】高低差を考慮した場合の距離算出を説明するための図である。
【図4】移動端末の時刻を電波時計情報送信所の時刻に同期させるための処理を示す図である。
【図5】移動端末が、電波時計情報送信所から見て初期設定場所より遠くに移動した場合の時刻のずれを示す図である。
【図6】移動端末が、電波時計情報送信所から見て初期設定場所より近くに移動した場合の時刻のずれを示す図である。
【図7】第1の実施形態における移動端末の測位原理を示す図である。
【図8】第1の実施形態による測位処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態による移動端末の構成例を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態における移動端末の測位原理を示す図である。
【図11】第2の実施形態による測位処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態による移動端末の構成例を示すブロック図である。
【図13】第3の実施形態における移動端末の測位原理を示す図である。
【図14】第3の実施形態による測位処理を示すフローチャートである。
【図15】移動通信システムに用いられる基地局から受信される電波を利用して、移動端末の位置を特定する方法を説明するための図であり、(a)は基地局からの電波の届く範囲を示す図、(b)は4つの基地局から受信される電波を利用して、移動端末の位置を特定する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 移動端末
11 通信部
12 デジタル放送送信所距離算出部
13 表示部
14 時刻情報送信所距離算出部
15 基地局距離算出部
16 位置特定部
17 記憶部
18 操作部
19 制御部
50、50S、50S1、50S2 デジタル放送送信所
50A〜50D 基地局
50K、50K1、50K2 基地局
50T 電波時計情報送信所
121 電圧制御発振器
122 カウンタ
123 比較器
124 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出手段と、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出手段と、
位置が既知であり、かつ、定期的に時刻情報を送信する時刻情報送信所と自端末との距離を算出する時刻情報送信所距離算出手段と、
を含み、前記基地局距離算出手段およびデジタル放送送信所距離算出手段ならびに時刻情報送信所距離算出手段によってそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定することを特徴とする移動端末。
【請求項2】
位置が既知である複数の移動通信基地局と自端末との距離をそれぞれ算出する基地局距離算出手段と、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出手段と、
を含み、前記基地局距離算出手段およびデジタル放送送信所距離算出手段によってそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定することを特徴とする移動端末。
【請求項3】
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出手段と、
位置が既知である複数のデジタル放送送信所と自端末との距離をそれぞれ算出するデジタル放送送信所距離算出手段と、
を含み、前記基地局距離算出手段およびデジタル放送送信所距離算出手段によってそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定することを特徴とする移動端末。
【請求項4】
前記基地局距離算出手段は、前記移動通信基地局と自端末との間で信号を送受信する際に判明する信号到達時間に電波の伝搬速度を乗じることによって、前記移動通信基地局と自端末との距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の移動端末。
【請求項5】
前記デジタル放送送信所距離算出手段は、前記デジタル放送波から、前記番組時刻基準値情報に比例するシステムタイムクロックを自端末内で再生し、この再生システムタイムクロックにより判明するデジタル放送送信所と自端末との信号到達時間に電波伝搬速度を乗算することによって、前記デジタル放送送信所と自端末との距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の移動端末。
【請求項6】
前記デジタル放送送信所距離算出手段は、前記デジタル放送送信所の内部クロックに自端末内部のシステムタイムクロックを同期させるための位相同期回路を構成するカウンタを含み、前記カウンタの出力から前記システムタイムクロックを導出することを特徴とする請求項5に記載の移動端末。
【請求項7】
前記時刻情報送信所距離算出手段は、移動端末の時刻を時刻情報送信所の時刻に一致させる初期設定を行った場所との時間のずれに基づいて、前記時刻情報送信所と自端末との距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項8】
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出ステップと、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出ステップと、
位置が既知であり、かつ、時刻情報を送信する時刻情報送信所と自端末との距離を算出する時刻情報送信所距離算出ステップと、
前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップならびに時刻情報送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップと、
を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項9】
位置が既知である複数の移動通信基地局と自端末との距離をそれぞれ算出する基地局距離算出ステップと、
位置が既知であるデジタル放送送信所と自端末との距離を算出するデジタル放送送信所距離算出ステップと、
を含み、前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップと、
を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項10】
位置が既知である移動通信基地局と自端末との距離を算出する基地局距離算出ステップと、
位置が既知である複数のデジタル放送送信所と自端末との距離をそれぞれ算出するデジタル放送送信所距離算出ステップと、
を含み、前記基地局距離算出ステップおよびデジタル放送送信所距離算出ステップにおいてそれぞれ算出される距離に基づいて自端末の位置を特定する位置特定ステップと、
を含むことを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−101754(P2010−101754A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273439(P2008−273439)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】