説明

移動要素に剛結合された3軸加速度計の連続的な位置により形成された経路の特徴を決定する装置および方法

移動要素(EM)に剛結合された3軸加速度計(3A)の、前記3軸加速度計(3A)の第1の静止時点(t)と前記第1の静止時点(t)に後続する第2の静止時点(t)との間における連続的な位置により形成された軌跡の特徴を決定する装置であって、前記装置が更に、地球基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系(GF)内で、前記第1および第2の静止時点(t,t)の間で実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加的な3軸センサであって前記移動要素(EM)に剛結合されていると共に加速度計(3A)の基準座標系内で固定されている追加センサと、制御手段(CMD)とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動要素に結合された3軸加速度計の連続的な位置により形成された軌跡の特徴を決定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、本発明はモーションキャプチャの分野、および動き回る人物の位置特定に関する。モーションキャプチャは、一般的且つ公共的な用途、例えば娯楽レジャー用途(対話型ゲームコンソール、スポーツにおける動きの追跡、仮想現実または拡張現実)、歩行者の誘導を支援する用途(現在最も広く利用されているのがGPS等の衛星ナビゲーションシステムである)、弱者すなわち環境に起因して一時的に弱い立場にある人々(障がい者または失明した人々)の可動性を支援する用途、およびフィットネス用途(歩数計、消費エネルギーまたは移動距離の計算)に関する。モーションキャプチャはまた、医療用途(高齢者および/または要介護者の追跡、姿勢矯正用の歩行解析または診断支援)、安全または救助用途(火災発生中の建物内における消防士の位置特定、作戦行動時の兵士の追跡、または囚人の監視等)、並びに商用用途(ショッピングセンターまたはスーパーマーケット内で消費者が辿った軌跡に関する統計、有用なアーキタイプの定義、または場所に依存する商業サービスの提案)にも関する。
【0003】
物体、または屋外ではGPSシステム等、衛星を利用したナビゲーション支援システムにより、および屋内では超広帯域(UWB)またはWiFi送信に基づく電波探知システムにより認識される信号放射体を含む物体を装着した人物の動きを再構成することが特に知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「”An evaluation of UWB localization under non line−of−sight (NLOS) propagation”(A.Maali,A.Ouldali,H.Mimoun,and G.Baudoin),Wireless Pervasive Computing,ISWPC,3rd International Symposium」 2008年5月
【非特許文献2】「”Inertial head−tracker sensor fusion by a complementary separate−bias kalman filter”(E.Foxlin),Virtual Reality Annual International Symposium,Proceedings of the IEEE 1996」 1996年3月
【非特許文献3】「”Detection of spatio−temporal gait parameters by using wearable motion sensors”(K.Kogure L.Seon−Woo,and K.Mase),Engineering in Medicine and Biology Society.IEEE−EMBS 2005.27th Annual International Conference of the」 2005年
【非特許文献4】「”Pedestrian tracking with shoe−mounted inertial sensors”(E.Foxlin),Computer Graphics and Applications,IEEE,25:38−46,Nov−Dec 2005」 2005年11月
【非特許文献5】「”Integration of foot−mounted inertial sensors into a Bayesian location estimation framework”(P.Robertson B.Krach),Positioning,Navigation and Communication,2008.WPNC 2008.5th Workshop on」 2008年3月
【非特許文献6】「”Assessment of walking features from foot inertial sensing” (S.Scapellato F.Cavallo A.M.Sabatini,and C.Martelloni),Biomedical Engineering,IEEE Transactions on」 2005年3月
【非特許文献7】「”Multisensor approach to walking distance estimation with foot inertial sensing”(D.Alvarez A.M Lopez J.Rodriguez−Uria J.C.Alvarez,and R.C.Gonzalez),Engineering in Medicine and Biology Society,2007,EMBS 2007.29th Annual International Conference of the IEEE」 2007年8月
【非特許文献8】「”An innovative shoe−mounted pedestrian navigation system”(K.Fyfe,Gerard Lachapelle,R.Stirling,and J.Collin),Proc.European Navigation Conf.(GNSS),CD−ROM,Austrian Inst.of Navigation」 2003年4月
【非特許文献9】「”Robust step detection method for pedestrian navigation systems” (D.H.Hwang,J.H.Jang,and J.W.Kim),Electronics Letters,43(14)」 2007年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋外屋内を問わず、多くの地理的領域において、衛星を利用するナビゲーション支援または電波探知システムに依存するナビゲーションは極めて扱いが厄介なことがわかる。その理由は、場所に依存する尺度の測定に必要な無線信号が、例えばナビゲーション支援システムの1個以上の衛星群から発信され、擬距離の測定に必要とされる信号が利用不可能な場合等に妨害されるためである。実際に、これらの遮蔽または妨害された状況により位置情報の精度が大幅に低下し、時にはナビゲーション支援サービスが利用不可能になる場合もあり、2008年5月発行の文献「”An evaluation of UWB localization under non line−of−sight (NLOS) propagation”(A.Maali,A.Ouldali,H.Mimoun,and G.Baudoin),Wireless Pervasive Computing,ISWPC,3rd International Symposium」379〜382ページに例示されている。一般に、上述の実装では、一般的且つ公共的な用途に不適当または実際に害をなすコスト、消費量、寸法、および/またはインフラが顕著である。
【0006】
他のシステムは、通常は慣性測定値を与える姿勢センサ(加速度計、磁力計、ジャイロメーター)を用いることにより、所与の出発点を基準として経路を計算することを目的とする。これらの測定により、多少は正確且つ複雑な手段によりナビゲーションを行なうことが可能になり、例えば、1996年3月発行「”Inertial head−tracker sensor fusion by a complementary separate−bias kalman filter”(E.Foxlin),Virtual Reality Annual International Symposium,Proceedings of the IEEE 1996」185〜194ページ、2005年発行「”Detection of spatio−temporal gait parameters by using wearable motion sensors”(K.Kogure L.Seon−Woo,and K.Mase),Engineering in Medicine and Biology Society.IEEE−EMBS 2005.27th Annual International Conference of the」6836〜6839ページ、2005年11月発行「”Pedestrian tracking with shoe−mounted inertial sensors”(E.Foxlin),Computer Graphics and Applications,IEEE,25:38−46,Nov−Dec 2005」、または2008年3月発行「”Integration of foot−mounted inertial sensors into a Bayesian location estimation framework”(P.Robertson B.Krach),Positioning,Navigation and Communication,2008.WPNC 2008.5th Workshop on」55〜61ページ等の文献に記述されている。このようなシステムは、コストおよび複雑度が高く、且つ精度を欠いている場合が多い。
【0007】
Wii等のビデオゲームコンソールは、光および/または超音波センサを用いてゲーム制御要素の軌跡を決定する。これらのシステムは高価でしかも限定的である。
【0008】
2005年3月発行「”Assessment of walking features from foot inertial sensing” (S.Scapellato F.Cavallo A.M.Sabatini,and C.Martelloni),Biomedical Engineering,IEEE Transactions on」486〜494ページ、または2007年8月発行「”Multisensor approach to walking distance estimation with foot inertial sensing”(D.Alvarez A.M Lopez J.Rodriguez−Uria J.C.Alvarez,and R.C.Gonzalez),Engineering in Medicine and Biology Society,2007,EMBS 2007.29th Annual International Conference of the IEEE」5719〜5722ページに記述されているように、2個の加速度計および1個のジャイロメーターがユーザーの矢状面に配置されていると仮定することにより、当該平面におけるセンサの姿勢を決定できるようになる。加速度は足軸上で積分される。これらのシステムは低コストではあるが、他に短所が現れる。一方、これらはセンサ群が矢状面上に完全に配置されていると仮定するが、これをユーザーが実際に行なうのはほぼ不可能であり、センサまたはセンサ群の位置決めが拙いことに関して推定誤差が生じる。一方、これらは矢状面上で歩行が行なわれると仮定するが、これは例えば横方向に歩き続ける場合には当てはまらない。
【0009】
2003年4月に発行された文献「”An innovative shoe−mounted pedestrian navigation system”(K.Fyfe,Gerard Lachapelle,R.Stirling,and J.Collin),Proc.European Navigation Conf.(GNSS),CD−ROM,Austrian Inst.of Navigation」において、センサが向いている角度を計算すべく3個の加速度計および第4の加速度計を備えたシステムを開示している。この追加の加速度計は、同一移動要素に配置されているが、後者からある程度離されている。2個のセンサは従って、同一の回転および同一の移動を観測する。このような構造により、実質的に一定である方向の回りに回転している移動要素の回転速度を推定できるようにする一方、ジャイロメーターが不要になる。このシステムは、AlvarezおよびScapellato他が提案したジャイロメーターを備えたシステムに関して、一軸ジャイロメーターを一対の加速度計で代替することでコストを削減している。しかし、そのようなシステムは、矢状面に直交する軸の回りの回転だけを考慮しているため、上で引用した例と同じ短所を呈する。更に、一対の加速度計による回転の推定は、ジャイロメーターの支援により実行されたのと全く同様に、顕著なドリフトを呈する。例えば足が静止している場合に、進行方向もまた磁力計の支援により決定される、これにより移動の求める方向ではなく足の方向が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、低コストで軌跡を決定して、上述の問題を解決することである。
【0011】
本発明の一態様によれば、移動要素に剛結合された3軸加速度計の、3軸加速度計の第1の静止時点と前記第1の静止時点に後続する第2の静止時点との間における連続的な位置により形成された軌跡の特徴を決定する装置を提案し、前記装置は更に、地球基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系内で、前記第1および第2の静止時点の間で実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加的な3軸センサであって前記移動要素に剛結合されていると共に前記加速度計の前記基準座標系内で固定されている追加センサと、制御手段とを含んでいて、前記制御手段が、
− 3軸加速度計の前記第1および第2の静止時点を決定する第1の手段と、
− 3軸加速度計により得られたベクトルに基づいて、または追加センサにより得られたベクトルに基づいて、加速度計または追加センサに結合された移動基準座標系内で、前記第1および第2の静止時点の間における3軸加速度計の実質的に不変である回転軸、および前記実質的に一定である回転軸に直交する平面を決定する第2の手段と、
− 前記連続的な各時点において、前記移動基準座標系内で3軸加速度計により得られたベクトルおよび追加センサにより得られたベクトルの前記平面への第1の正射影を計算する第1の手段と、
− 前記連続的な各時点において、追加センサにより得られたベクトルの前記第1の正射影に基づいて、前記移動基準座標系から前記固定グローバル基準座標系に切り替える回転を決定する第3の手段と、
− 前記連続的な各時点において、3軸加速度計により得られたベクトルの前記平面において、前記第1の計算手段により得られた、前記第1の正射影の前記固定グローバル基準座標系における第2の正射影を計算する第2の手段と、
− 前記固定グローバル基準座標系内で、地球重力および前記装置のドリフトに影響されることなく、前記平面に集中する加速度を得るために、前記固定グローバル基準座標系における各第2の正射影から、前記連続的な各時点の平均ベクトルを減算する第3の計算手段と、
− 集中する加速度に基づいて軌跡の特徴を計算する第4の手段とを含んでいる。
【0012】
このような装置により、移動要素に結合された3軸加速度計の軌跡を正確且つ低コストで決定できるようにする。移動要素は、足や手のように人体の一部であっても、または動物の体の一部であっても、あるいはロボットやコンピュータマウスのような人工体の一部であってよい。以下の説明において、本発明を人体の足について記述しているが、任意の移動要素にも同様に適用することができる。
【0013】
一実装モードにおいて、前記連続的な位置は実質的に同一平面上にある。
【0014】
例えば、本装置は、人間、動物、または人工体の移動要素に剛結合された3軸加速度計の、3軸加速度計の第1の静止時点と前記第1の静止時点に後続する第2の静止時点との間における実質的に同一平面上の連続的な位置により形成された軌跡を決定する装置であってよく、3軸加速度計は、前記第1および第2の静止時点の間で実質的に一定である方向に対して回転している。前記装置は更に、地球基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系内で、前記第1および第2の静止時点の間で実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加センサすなわち、前記移動要素に剛結合されていると共に前記加速度計の測定軸と実質的に平行な測定軸を有している追加センサと、制御手段とを含んでいて、前記制御手段は、
− 3軸加速度計の前記第1および第2の静止時点を決定する第1の手段と、
− 3軸加速度計により得られたベクトルに基づいて、または追加センサにより得られたベクトルに基づいて、3軸加速度計および追加センサに結合された移動基準座標系内で、前記第1および第2の静止時点の間における多くの連続的な各時点において、3軸加速度計の軌跡の平面を決定する第2の手段と、
− 前記連続的な各時点において 前記移動基準座標系内で3軸加速度計により得られたベクトルのおよび追加センサにより得られたベクトルの3軸加速度計の軌跡の前記平面上への正射影を計算する第1の手段と、
− 前記連続的な各時点において、追加センサにより得られたベクトルの前記正射影に基づいて、前記移動基準座標系から前記固定グローバル基準座標系に切り替える回転を決定する第3の手段と、
− 前記連続的な各時点において、前記第1の計算手段により得られた3軸加速度計により得られたベクトルの前記固定グローバル基準座標系内での正射影を計算する第2の手段と、
− 前記固定グローバル基準座標系内で、地球重力および前記装置のドリフトに影響されることなく、3軸加速度計の軌跡の前記平面に集中する加速度を得るために、前記第2の計算手段により得られた前記連続的な各時点における平均ベクトルを減算する第3の計算手段と、
− 前記第1および第2の静止時点の間における前記平面内の3軸加速度計の、前記固定グローバル基準座標系内で表された軌跡を得るために、前記第3の計算手段により得られた集中する加速度の二重時間積分を計算する第4の手段と、
を含んでいる。
【0015】
このような装置により、移動要素に結合された3軸加速度計の平面軌跡の特徴を正確且つ低コストで決定できるようにする。
【0016】
従って、一実装モードにおいて、前記移動要素は足であり、前記時間間隔は前記足の歩調に対応して3軸加速度計の前記第1および第2の静止時点を分離する。
【0017】
一実装モードによれば、前記制御手段は、3軸加速度計の前記固定グローバル基準座標系で表された各々の位置を前記第1の静止時点および前記第2の静止時点に関連付けるべく適合された、方向ベクトルを計算する第1の手段を含んでいる。
【0018】
前記固定グローバル基準座標系の前記ベクトルの方向は、移動の方向および移動距離の長さを与える。
【0019】
一実装モードにおいて、軌跡の前記平面は垂直であって、前記制御手段は更に、追加センサにより測定された前記ベクトル場に関する移動進行方向を計算する第2の手段を含んでいて、前記第2の計算手段は、追加センサにより測定された前記ベクトル場の、軌跡の前記平面に直交する水平面上への正射影を実行すべく適合されている。
【0020】
前記追加センサが磁力計である場合、北側への移動の方向が得られる。例えば、移動の方向を地図上にプロットするか、またはこのベクトルの座標を与えることが可能であるため、ユーザーが移動した方向を示す。
【0021】
一実装モードにおいて、軌跡の前記平面は垂直であって、3軸加速度計の軌跡の前記平面を決定する前記第2の手段は、前記移動基準座標系内で、前記連続的な各時点で3軸加速度計により得られたベクトルにより形成される3列からなる行列の特異値分解を実行して、より大きい2個の特異値に対応する2個のベクトルを抽出すべく適合されている。
【0022】
本装置は、平面内を移動していて、実質的に一定である方向の回りに回転を実行する。この計算手段は、堅牢且つ動作の数の観点から安価である。更に、移動要素上のセンサの向きとは無関係である。任意であってよい軌跡の方向に関して何らの仮定もしていない。
【0023】
一実装モードにおいて、軌跡の前記平面は垂直であって、3軸加速度計の軌跡の前記平面を決定する前記第2の手段は、前記連続的な各時点で3軸加速度計により得られたベクトルにより形成された3列からなる行列である自己相関行列を前記移動基準座標系内で固有値および固有ベクトルに分解すべく、且つより大きい2個の固有値に対応する2個の固有ベクトルを抽出すべく適合されている。
【0024】
同様に、本装置は平面内を移動していて、実質的に一定である方向の回りに回転を実行する。この計算手段は、堅牢且つ動作の数に関して安価である。更に、移動要素上のセンサの向きとは無関係である。任意であってよい軌跡の方向に関して何らの仮定もしていない。
【0025】
一実装モードによれば、前記第2の計算手段は、地球基準座標系に関連付けられていて、追加センサにより得られたベクトル、および前記第1のベクトルに直交していて軌跡の前記平面に属している第2のベクトルに基づいて、前記第1の計算手段により得られた第1のベクトルにより定義される中間基準座標系へ切り替える第5の計算手段を含んでいる。
【0026】
前記第1のベクトルが利用でき、且つグローバル基準座標系への切り替えに極めて少ない回数の乗算および加算しか行なわないため、実行すべき計算の数が最小化される。
【0027】
一実装モードにおいて、前記移動基準座標系から前記固定グローバル基準座標系に切り替える回転を決定する前記第3の手段が角度を推定する手段を含んでいて、前記切換回転は、前記実質的に一定であるベクトル場への正射影、およびこれに続く3軸加速度計の軌跡の前記平面における前記推定された角度分の回転により定義される。
【0028】
この推定により、軌跡を既知のグローバル基準座標系、例えばNEDすなわち「North−East−Down」基準座標系を向かせることが可能になる。
【0029】
例えば、前記推定手段は、移動要素の接触面、および3軸加速度計により送信されたベクトルに基づいて前記第5の計算手段により送信されたベクトルの傾斜に基づいて、前記角度を推定すべく適合されている。
【0030】
傾斜は、加速度計の位置に基づいて移動要素の接触面の傾斜を提供する所定の対応テーブルにより知ることができる。
【0031】
傾斜が正確に知られたならば(例えば建物内では傾斜は往々にしてゼロであり、別の例は傾きが一定である傾斜面の歩行である)ならばこの方式は堅牢である。この方式により、軌跡の推定された特徴において、足は各静止時点で地面にある。
【0032】
例えば、前記推定手段は、前記連続的な各時点で3軸加速度計により得られたベクトルにより形成された行列に基づいて前記第5の計算手段により得られた3列からなる行列の特異値分解に基づいて前記角度を推定すべく適合されている。
【0033】
この場合、傾斜に関する知識は必要とされず、全ては信号の統計に基づいている。
【0034】
例えば、前記推定手段は前記角度を、追加センサにより得られたベクトルに基づいて前記第1の計算手段により得られたベクトルと、3軸加速度計により得られたベクトルに基づいて前記第1の計算手段により得られたベクトルとの間の、前記第1または第2の静止時点における角度として推定すべく適合されている。
【0035】
この場合、マッピングは一切必要とせず、また自身の高さよりも長い軌跡等、軌跡に関する何らの仮定も必要としない。
【0036】
一実装モードにおいて、前記制御手段は、前記第4の計算手段により得られたデータに基づいて、前記第1および第2の静止時点の間に、および/または3軸加速度計の2個の連続的な静止時点を分離する一組の連続的な時間内に移動する距離を計算する第3の手段を含んでいる。
【0037】
3軸加速度計の2個の連続的な静止時点の間に移動した距離、従って、足の場合、2個の連続的な着地の間に足により移動した距離は容易に計算される。
【0038】
一実装モードによれば、前記制御手段は、前記第4の計算手段により得られたデータに基づいて、3軸加速度計の2個の連続的な静止時点を分離する一組の連続的な時間間隔の軌跡を計算する第4の手段を含んでいる。
【0039】
本発明は、多くの計算を減らして、移動の間におけるユーザーの軌跡の特徴を計算できるようにする。
【0040】
一実装モードにおいて、前記追加センサは、前記第1および第2の静止時点の間で実質的に一定である地磁界を測定する3軸磁力計である。
【0041】
従って、例えばジャイロメーターを用いる場合に比べてコストが減少する。
【0042】
一実装モードによれば、前記3軸加速度計は、前記3軸加速度計の静止時点において、移動要素の接触面の高さに実質的に置かれるように配置されている。
【0043】
この場合、加速度は足が着地している間は実際にゼロであるため、本装置の精度を改善する。
【0044】
一実装モードにおいて、前記追加センサが、前記3軸加速度計の静止時点において、前記移動要素の接触面からある程度離れて配置されている。
【0045】
地上で地磁界を測定する際の妨害は避けられるため、本装置の精度が向上する。
【0046】
一実装モードによれば、前記制御手段は、移動要素に結合されているか、または移動要素からある程度離れて配置されていて、実時間または非実時間で動作すべく適合されている。
【0047】
前記制御手段が移動要素と共にまたは単独で移動し、且つ実時間また非実時間で情報を処理する装置を製造することが可能である。
【0048】
本発明の別の態様によれば、上述のような少なくとも1個の装置を含んでいて、プレーヤーが進む少なくとも一歩を示す画面またはスピーカー等の視覚または聴覚インジケータを含むビデオゲームシステムを提案する。
【0049】
従って、指令の適切な実行を監視して、例えばスコアを確定することが可能である。
【0050】
本発明の別の態様によれば、上述の少なくとも1個の装置を含む跳躍解析システムを提案する。
【0051】
従って、高さ、長さ、持続時間、跳躍の質を推定することが可能である。
【0052】
本発明の別の態様によれば、上述の少なくとも1個の装置を含む屋外または屋内の地理位置情報システムを提案する。
【0053】
本システムは、手動での初期化(ユーザーが地図上での自身の位置を指す)により、または他の地理位置情報システム(GPS、UWB等)の支援を受けて補間可能な低コストのシステムである。後者の場合、提案するシステムは他のシステムの性能を向上させるかまたは、それがもはや利用不可能な場合(例えば建物内でのGPS)に、自身を置換する。
【0054】
本発明の別の態様によれば、上述の少なくとも1個の装置を含んでいて、ユーザーのエネルギー消費を計算するシステムを提案する。
【0055】
この装置は、足の移動に関する重要な情報を保持できる。従って一歩の間にわたりこの情報を積分することにより各時点での足の高さを考慮したエネルギー消費の精密な推定値を得ることが可能である。
【0056】
例えば、3軸加速度計の軌跡の特徴は、3軸加速度計の速度、または3軸加速度計の軌跡を含んでいる。
【0057】
本発明の別の態様によれば、移動要素に剛結合された3軸加速度計の、3軸加速度計の第1の静止時点と前記第1の静止時点に後続する第2の静止時点との間における連続的な位置により形成された軌跡の特徴を、更に、地球基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系内で、前記第1および第2の静止時点の間で実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加的な3軸センサであって前記移動要素に剛結合されていると共に前記加速度計の前記基準座標系内で固定されている追加センサにより決定する方法をも提案し、前記方法が、
− 3軸加速度計の前記第1および第2の静止時点を決定するステップと、
− 3軸加速度計により得られたベクトルに基づいて、または追加センサにより得られたベクトルに基づいて、加速度計または追加センサに結合された移動基準座標系内で、前記第1および第2の静止時点の間における3軸加速度計の実質的に不変である回転軸を決定するステップ、および前記実質的に不変である回転軸に直交する平面を決定するステップと、
− 前記連続的な各時点において、前記移動基準座標系内で3軸加速度計により得られたベクトルおよび追加センサにより得られたベクトルの前記平面への第1の正射影を計算するステップと、
− 前記連続的な各時点において、追加センサにより得られたベクトルの前記第1の正射影に基づいて、前記移動基準座標系から前記固定グローバル基準座標系に切り替える回転を決定するステップと、
− 前記連続的な各時点において、3軸加速度計により得られたベクトルの前記平面において、前記第1の正射影の前記固定グローバル基準座標系における第2の正射影を計算するステップと、
− 前記固定グローバル基準座標系内で、地球重力および前記装置のドリフトに影響されることなく、前記平面に集中する加速度を得るために、前記固定グローバル基準座標系における各第2の正射影から、前記連続的な各時点の平均ベクトルを減算するステップと、
− 集中する加速度に基づいて軌跡の特徴を決定するステップと、
を含んでいる。
【0058】
本発明は、完全に非限定的な例により記述され、添付の図面に描かれたいくつかの実装モードを精査することで更によく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一態様による装置の一実装モードの模式図である。
【図2】本発明の一態様による、図1の装置の制御手段の一実施モードの模式図である。
【0060】
これらの図の組において、同一ラベルを付された要素は類似している。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0061】
図1に示すように、制御モジュールCMDは、3軸加速度計3Aおよび局所的且つ実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加センサ、この例では地磁界を測定する3軸磁力計3Mにより送信された測定値を受信する。3軸加速度計3Aは移動要素EMに結合されていて、磁力計3Mもまた同じ移動要素EMに直接または間接的に結合されていて、その測定軸は加速度計の測定軸と実質的に平行である。移動要素EMは、例えば、非限定的に人体の足であってよい。
【0062】
無論、変型として、磁力計が加速度計の基準座標系に固定されている場合、2個のセンサの基準座標系は交換行列により結合されており、全く同一の基準座標系内でセンサの測定値の座標を使用すべく、他のセンサの基準座標系内のセンサの1個の基準座標系の座標を表すために更なる変換を実行するだけで十分である。
【0063】
第1の判定モジュールMD1は、3軸加速度計3Aおよび3軸磁力計3Mにより送信された測定値に基づいて、3軸加速度計の第1の静止時点tおよび前記第1の静止時点tに後続する第2の静止時点tnを決定できるようにする。移動要素EMが足である場合、静止時点は接触面への足の着地に対応する。第1のモジュールMD1が使用する技術は、2007年7月発行の文献「”Robust step detection method for pedestrian navigation systems” (D.H.Hwang,J.H.Jang,and J.W.Kim),Electronics Letters,43(14)」に記述されているものであってよく、その中で著者らは加速度計のノルムの信号において歩調を示す典型的な信号に対応する基本形状の検出を試みている。この形状が検出された場合、開始は時点tに対応し、終了は時点tに対応する。
【0064】
連続的な各時点t,t,...,tは、第1の静止時点tと第2の静止時点tの間に時系列的に位置している。多くの連続的な各時点t,t,...,tは、センサからもたらされた信号のデジタル化におよびサンプリングに対応しており、これに続いて較正が実行されて測定された物理量に戻る。
【0065】
第2の判定モジュールMD2は、3軸加速度計3Aおよび3軸磁力計3Mに結合された移動基準座標系LF内の多くの連続的な各時点t0,,...,tにおいて、3軸加速度計3Aにより得られたベクトルに基づいて、3軸加速度計3Aの前記軌跡の平面
【数1】

を決定できるようにする。
【0066】
一変型例として、図2に示すように、第2の判定モジュールMD2は、3軸磁力計3Mにより得られたベクトルに基づいて、前記軌跡の平面
【数2】

を決定することができる。この変型で用いられる方式は、3軸加速度計3Aの測定値を3軸磁力計3Mの測定値で代替することに類似している。
【0067】
平面
【数3】

は、3軸加速度計3Aまたは3軸磁力計の各軸へ送信された測定値を考慮することにより、高々三次元空間内の位置またはベクトルであると考えられる測定値を含む平面に対応し、ベクトル
【数4】

により定義される軸は、測定値の射影の変化が最小の軸である。ベクトル
【数5】

は、軌跡
【数6】

の平面の法線ベクトルであるが、3軸加速度計3Aの回転軸でもある。
【0068】
これらの3個のベクトル
【数7】

を定義するために、第2の決定手段は,tとtを包含する範囲で取得したサンプルの数n+1であるn+1行、および3軸加速度計3Aの3軸x、y、z3個の測定値に対応する3列からなる行列ALFを形成する。次式が得られる。
【数8】

【0069】
一変型例として、連続的な各時点t,t,...,tにおけるサンプルの部分集合だけを取り出すことが可能である。
【0070】
行列ALF(=ALF(t,...,t)に基づいて3個のベクトル
【数9】

を決定するいくつかの実装モードが可能である。
【0071】
一実装モードは、行列ALF:ALF=USVの特異値分解SVDを実行することからなる。Vは、3行3列からなる行列であって、各列は3個のベクトル
【数10】

の1個に対応している。行列Sは、3個の特異値s,s,sを含んでいる。これら3個の特異値s,s,sは降順にランク付けされなければならない。ベクトル
【数11】

は、最小特異値に対応する行列Vの列である。他の2列は、平面
【数12】

を形成するベクトルの座標を与える。
【0072】
別の実装モードは、相関行列R=ALFTLFを3個の固有ベクトルおよび固有値(R=uSu)に分解し、減少している固有値s,s,sによりこれらをランク付けして3個のベクトル
【数13】

を得る。ALFTはALFの行列転置に対応する。より大きい2個の固有値に対応する2個の固有ベクトルが平面
【数14】

に対応し、固有ベクトル
【数15】

は最小固有値に対応する。
【0073】
制御モジュールCMDもまた、連続的な各時点t,t,...,tにおいて、3軸加速度計3Aの軌跡
【数16】

の平面上で、前記移動基準座標系LF内の3軸加速度計3Aにより得られたベクトル、および3軸磁力計3Mにより得られたベクトルの正射影を計算する第1の計算モジュールMC1を含んでいる。射影の行列は次式で得られる。
【数17】

【0074】
制御モジュールCMDは更に、連続的な各時点t,t,...,tにおいて、3軸磁力計3Mにより得られたベクトルの正射影に基づいて、移動基準座標系LFから、地球の基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系GFに切り替える回転を決定する第3のモジュールMD3を含んでいる。第3の判定モジュールMD3は、ベクトル
【数18】

により形成された中間平面IFを効果的に決定する。b(t)は、地磁界BLF(t)の単位ベクトルであって、
【数19】

は軌跡または歩容
【数20】

の平面内でベクトルb(t)を90°回転させることにより得られる。
【0075】
従って、第3の判定モジュールは中間基準座標系IFのベクトルを次式で計算する。
【数21】

【0076】
制御モジュールCMDの第2の計算モジュールMC2は、連続的な各時点t,t,...,tにおいて、3軸加速度計3Aにより得られたベクトルの、固定グローバル基準座標系GF内で第1の計算モジュールMC1により得られた正射影の計算を実行する。
【0077】
第2の計算モジュールMC2は、地球の基準座標系に結合された中間基準座標系IF内での切り替えを計算する第5の計算モジュールMC5を含んでいる。換言すれば、
【数22】

は軌跡
【数23】

の平面内で中間基準座標系IFのベクトル
【数24】

に正射影されて、軌跡
【数25】

の平面に射影される中間基準座標系IF内で次式により表される加速度測定値を得る。
【数26】

【0078】
移動基準座標系LFから固定グローバル基準座標系GFに切り替える回転を決定する第3のモジュールMD3は、角度αを推定するモジュールMESTを含んでいて、2個の静止時点tとtの間における前記切り換え回転は実質的に一定である地磁界上への正射影、およびこれに続く3軸加速度計3Aの軌跡の平面
【数27】

内での推定角度α分の回転により定義されている。
【0079】
換言すれば、推定モジュールMESTは、中間基準座標系IF
【数28】

からベクトル
【数29】

により定義される歩行平面内におけるグローバル基準座標系GFに切り替えるべく実行される回転α(回転行列Mαにより特徴付けられた)を発見可能にするものであり、グローバル基準座標系GF存在の第3のベクトルは
【数30】

である。
【0080】
歩行者向けナビゲーションの場合、
【数31】

は歩行平面内で水平であり、
【数32】

は垂直である。
【0081】
αを決定するために、推定モジュールMESTのいくつかの実装モードが可能である。
【0082】
第1の実装モードは、次式によりαを推定する際に、水平に関する時点tおよびtにおける足の2個の着地点の間の傾斜θを知ることからなっていてよい。
【数33】

【0083】
この傾斜θは、当該歩調が持続する間は傾斜が一定であることを考慮することにより、または人(移動要素EM)がいる場所の接触面の傾斜を出力として与える内蔵マッピング機能の支援を受けて,tまたはtにおいて着地した際の足に付けたセンサの傾きにより推定することができる。
【0084】
別の実施モードにおいて、足の移動に沿って加速度の最大変動が生じることを認めることにより、加速行列AIFの特異値分解すなわちSVDが行列Mαを決定し、最大特異値に対応する特異ベクトルはベクトル
【数34】

に対応している。
【数35】

【0085】
特異値分解は、AIF=USVと書くことができ、ここで、Vは行列Mである。
【0086】
この仮定が有効であるのは、0傾斜の平坦な地面での垂直移動よりも水平移動が大きくなるように歩幅が広い場合だけである。傾斜がゼロでない場合、この方式は使用可能であるが、
【数36】

は、第1の静止時点tにおけるセンサの位置を第2の静止時点tにおける自身の位置に接合するベクトルを除いて水平ではない。
【0087】
時点tおよびtにおいて足が静止しているという事実から出発して、別の実施モードを検討することもできる。
垂直線はこの時点で3軸加速度計3Aにより測定された加速度に沿っていて、αは
【数37】

の間、または
【数38】

の間の角度である。
【0088】
第2の計算モジュールMC2はまた、測定値Aをグローバル基準座標系に射影する乗算器を含んでいる。
【数39】

【0089】
制御モジュールCMDは更に、固定グローバル基準座標系GFにおける地球重力および装置のドリフトの影響を受けることなく、3軸加速度計3Aの軌跡の平面
【数40】

に集中する加速度を得るために、前記連続的な各時点t,t,...,tにおいて前記第2の計算手段MC2により得られたベクトルから、前記連続的な各時点上の平均ベクトルを減算する第3の計算モジュールMC3を含んでいる。第3の計算モジュールは、水平および垂直平均の収縮の以下の計算を実行する。
【数41】

【0090】
制御モジュールCMDはまた、例えば、第3の計算モジュールMC3により得られた集中する加速度の二重時間積分により、集中する加速度に基づいて3軸加速度計3Aの軌跡の特徴を計算する第4のモジュールMC4を含んでいることにより、この場合、固定グローバル基準座標系GFで表された3軸加速度計3Aの、すなわち、第1の着地と第2の着地、または静止時点tおよびtの間において、一歩進む間の足の軌跡の平面におけるユーザーの足の軌跡を得る。
【0091】
第4の計算モジュールMC4は、軌跡のまたは歩行の平面における足の、より正確には足に結合された加速度計の軌跡を計算するために、加速度を時間に関して2回積分可能にする。数値積分は、矩形法による積分を用いて以下の関係式を利用することにより実行できる。
【数42】

【0092】
ここで、FeはHzで表されるサンプリング周波数であり、行列
【数43】

の成分はm/sで表される。
【数44】

は各々、グローバル基準座標系{h,v}の2軸に沿った速度および位置ベクトルである。
【0093】
一変型例として、第4の計算モジュールMC4は、例えばスプライン関数を用いることにより、数値計算のより複雑なモードにより2重積分を行なうことができる。
【0094】
一変型例として、第4の計算モジュールMC4は、速度に戻るために1重積分を実行することができる。
【0095】
制御モジュールCMDは、3軸加速度計3Aの前記固定グローバル基準座標系GFで表された各々の位置を第1の静止時点tおよび第2の静止時点tに関連付けるべく適合された、方向ベクトルを計算する第1のモジュールMEL1を含んでいてよい。
【0096】
制御モジュールCMDはまた、追加センサにより測定された前記ベクトル場に関して、この場合は3軸磁力計3Mにより測定された地磁界に関して、移動進行方向を計算する第2のモジュールMEL2を含んでいてよい。第2の計算モジュールMEL2は、以下の方法の進行方向を計算することができる。
【0097】
移動の進行方向は、地球磁気の北極と移動の方向との間の角度として定義される。これを、北に対する人の向きである人の進行方向と混同してはならない。往々にして文献で推定されるのは後者である。人の進行方向は往々にしてその移動と同じであると仮定される。これは前方へ歩いている場合だけに当てはまり、後方、横方向、または僅かに斜めに歩いている場合はそうではない。従って、第2の計算モジュールMEL2は以下のように、移動の進行方向、より一般的にはNED(North,East,Down)基準座標系における軌跡を推定する。
【0098】
上記において、軌跡は足の軌跡の平面に対応する平面
【数45】

内で推定される。第3のベクトル
【数46】

は、3個の次元が各々歩行平面における水平方向、歩行平面における垂直方向、および同様に水平と仮定される歩行平面の法線ベクトルに対応している、基準座標系
【数47】

を形成できるようにする。
【0099】
進行方向を計算するために、以下の計算が実行される。
GF=B+B+Bu3
ここで、
【数48】

は3軸磁力計3Mの測定値BGFのh={1,0,0}への射影であり、
【数49】

は3軸磁力計3Mの測定値BGFのv={0,1,0}への射影であり、
【数50】

は3軸磁力計3Mの測定値BGF
【数51】

への射影であって、
【数52】

は歩行平面に直交するベクトルであってセンサの基準座標系内で表されて既に計算済みである。
【0100】
成分Bu3は、時間の関数として実質的に不変でなければならず、従って平面内の歩行、より一般的には実質的に不変である軸の回りの回転、および地磁界Bが妨げられないことを仮定するに至る。実際にはこれは一般的ではないため、第2の計算モジュールは、当該成分の推定値として(静止時点tおよびtの間における)この一歩の間の時間平均を求めることができる。
【0101】
進行方向BおよびBu3を単独で決定することが有用である。依然としてベクトル
【数53】

の符号の不確定性が残る。実際に、上で定義したように、
【数54】

は移動方向の反対方向であってよく、
【数55】

は上向きまたは下向きであってよい。
【0102】
第2の計算モジュールMEL2は、以下のように基準座標系
【数56】

を構築する。
【数57】


【数58】

歩行平面内でセンサの移動方向を向いている水平ベクトルであり、
【数59】


【数60】

は下向きの垂直ベクトルであり、
【数61】

は右手基準座標系
【数62】

を形成する
【数63】

歩行平面に垂直なベクトルである。
【0103】
ベクトル
【数64】

は以下のように決定される。
【数65】

は装置のユーザーの移動方向に対応する水平ベクトルである。これは、第4の計算モジュールMC4により与えられた移動ベクトル
【数66】

の第1成分と対応する水平移動x(t)により得られる。x(t)が正値ならば
【数67】

であり、移動方向において移動は正値でなければならない。
【数68】

は垂直且つ下向きである。
【数69】

へのB(t)の射影が正値ならば
【数70】

であり、測定された地磁界Bは常に下向きでなければならない。
【数71】

は、他の2ベクトルと共に右手基準座標系
【数72】

を形成している第3のベクトルである。
【0104】
{北、東}基準座標系における移動方向
【数73】

と磁北との間の角度αは以下の式を反転させることにより得られる。
【数74】

【0105】
制御モジュールCMDはまた、第4の計算モジュールにより提供されたデータに基づいて、第1および第2の静止時点tおよびtすなわち一歩の間に、および/または3軸加速度計の2個の連続的静止時点tおよびtすなわち連続的な歩行を分離する一組の連続的な時間内に移動した距離を計算する第3のモジュールMEL3を含んでいてよい。
【0106】
例えば、一歩で移動する水平距離は以下で与えられる。
(t,t)=x(t)−x(t
一連の歩行の場合、移動距離は各一歩について計算される距離の合計により与えられる。
【0107】
制御モジュールCMDはまた、第4の計算モジュールにより得られたデータに基づいて、3軸加速度計3Aの2個の連続的な静止時点tおよびtを分離する一組の連続的な時間間隔、この場合は一組の連続的な歩行における軌跡を計算する第4のモジュールMEL4を含んでいてよい。例えば、第2の計算モジュールMEL2で用いたのと同じ式により、または装置がそれらを含んでいる場合は第2の計算モジュールMEL2の結果に直接基づいてよい。対応する水平面内での移動はx(t)により与えられる。北を向く軸に沿った移動は以下の関係により与えられる。
【数75】

東を向く軸に沿った移動は以下の関係により与えられる。
【数76】

下方への移動は以下の関係により与えられる。
(t)=±x(t),但し、符号は、下向きである
【数77】

の符号で与えられる。
【0108】
一連の歩行に対する水平面(x(t),x(t))の推定軌跡はこのように得られる。
【0109】
また、NED基準座標系から所望の基準座標系への切り替えを可能にする回転行列が既知である任意のグローバル基準座標系GF内での移動を推定することも可能である。例えば、人が自分のゲームコンソールの前にいるような場合である。人が静止して画面に向かっている場合、測定値の取得を行なうことが可能である。計算された人の進行方向は、当人の仮想描写の向きの基準として役立つ。
【0110】
一変型例として、2個の連続的な静止時点を考える代わりに、軌跡の平面内の速度ベクトルが既知である2個の連続的な各時点、および2個の時点の角度αと合わせて考えることもでき、これらのデータは追加センサにより測定するかまたは追加センサにより提供された測定値に基づいて推定することができる。このような場合、第4の計算モジュールは、第1の時点の速度で速度を初期化して、2個の時点の速度に依存する定数を集中する加速度に加算しなければならない。
【0111】
実質的に不変である軸の回りの回転のより一般的な場合において、第2の決定モジュールMD2が3軸追加センサを用いて回転軸を推定し、第1の計算モジュールMC1もまたベクトルuに沿って射影を実行する。更に、第3の計算モジュールMC3はベクトルuに沿って集中する加速度を計算し、第4の計算モジュールMC4は後者の集中する加速度を、速度を得るために1回、位置を得るために2回積分する。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、移動要素、特に足に結合された3軸加速度計の平面軌跡を正確に且つ低コストで決定できるようにする。移動要素は、手のように人体の別の一部、動物の体の一部、またはロボットやコンピュータマウスなどの人工体の一部であってよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動要素(EM)に剛結合された3軸加速度計(3A)の、前記3軸加速度計(3A)の第1の静止時点(t)と前記第1の静止時点(t)に後続する第2の静止時点(t)との間における連続的な位置により形成された軌跡の特徴を決定する装置であって、前記装置が更に、地球基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系(GF)内で、前記第1および第2の静止時点(t,t)の間で実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加的な3軸センサであって、前記移動要素(EM)に剛結合されていると共に前記加速度計(3A)の前記基準座標系内で固定されている前記追加センサと、制御手段(CMD)とを含んでいて、前記制御手段(CMD)が、
− 前記3軸加速度計(3A)の前記第1および第2の静止時点(t,t)を決定する第1の手段(MD1)と、
− 前記3軸加速度計(3A)により得られたベクトルに基づいて、または前記追加センサにより得られた前記ベクトルに基づいて、前記加速度計(3A)または前記追加センサに結合された移動基準座標系(LF)内で、前記第1および第2の静止時点(t,t)の間における前記3軸加速度計(3A)の実質的に不変である回転軸、および前記実質的に不変である回転軸に直交する平面を決定する第2の手段(MD2)と、
− 前記連続的な各時点(t,t,...,t)において、前記移動基準座標系(LF)内で前記3軸加速度計(3A)により得られたベクトルおよび前記追加センサにより得られた前記ベクトルの前記平面への第1の正射影を計算する第1の手段(MC1)と、
− 前記連続的な各時点(t,t,...,t)において、前記追加センサにより得られた前記ベクトルの前記第1の正射影に基づいて、前記移動基準座標系(LF)から前記固定グローバル基準座標系(GF)に切り替える回転を決定する第3の手段(MD3)と、
− 前記連続的な各時点(t,t,...,t)において、前記3軸加速度計(3A)により得られた前記ベクトルの前記平面において、前記第1の計算手段(MC1)により得られた、前記第1の正射影の前記固定グローバル基準座標系(GF)における第2の正射影を計算する第2の手段(MC2)と、
− 前記固定グローバル基準座標系(GF)内で、地球重力および前記装置のドリフトに影響されることなく、前記平面に集中する加速度を得るために、前記固定グローバル基準座標系(GF)における各第2の正射影から、前記連続的な各時点(t,t,...,t)の平均ベクトルを減算する第3の計算手段(MC3)と、
− 前記集中する加速度に基づいて前記軌跡の特徴を計算する第4の手段(MC4)と、
を含む装置。
【請求項2】
前記連続的な位置が実質的に同一平面上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動要素(EM)が足であり、前記時間間隔が、前記足の歩調に対応して前記3軸加速度計(3A)の前記第1および第2の静止時点(t,t)を分離する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御手段(CMD)が、前記3軸加速度計(3A)の前記固定グローバル基準座標系(GF)で表された各々の位置を前記第1の静止時点(t)および前記第2の静止時点(t)に関連付けるべく適合された、方向ベクトルを計算する第1の手段(MEL1)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記軌跡の前記平面が垂直であって、前記制御手段(CMD)が更に、前記追加センサにより測定された前記ベクトル場に関する移動進行方向を計算する第2の手段(MEL2)を含んでいて、前記第2の計算手段(MEL2)が、前記追加センサにより測定された前記ベクトル場ベクトルの、前記軌跡の前記平面に直交する水平面上への正射影を実行すべく適合されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記軌跡の前記平面が垂直であって、前記3軸加速度計(3A)の前記軌跡の前記平面を決定する前記第2の手段(MD2)が、前記移動基準座標系(LF)内で、前記連続的な各時点(t,t,...,,t)で前記3軸加速度計(3A)により得られたベクトルにより形成される3列からなる行列
【数1】

の特異値分解を実行して、より大きい2個の特異値に対応する2個のベクトルを抽出すべく適合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記軌跡の前記平面が垂直であって、前記3軸加速度計(3A)の前記軌跡の前記平面を決定する前記第2の手段(MD2)が、前記連続的な各時点(t,t,...,t)で前記3軸加速度計(3A)により得られた前記ベクトルにより形成された3列からなる行列である前記自己相関行列を前記移動基準座標系(LF)内で固有値および固有ベクトルに分解すべく、且つ前記より大きい2個の固有値に対応する前記2個の固有ベクトルを抽出すべく適合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の計算手段(MC2)が、前記地球基準座標系に関連付けられていて、前記追加センサにより得られたベクトル、および前記第1のベクトルに直交していて軌跡の前記平面に属している第2のベクトルに基づいて、前記第1の計算手段(MC1)により得られた第1のベクトルにより定義される中間基準座標系(IF)へ切り替える第5の計算手段(MC5)を含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記移動基準座標系(LF)から前記固定グローバル基準座標(GF)系に切り替える前記回転を決定する前記第3の手段(MD3)が角度(α))を推定する手段(MEST)を含んでいて、前記切換回転が、前記実質的に一定であるベクトル場への正射影、およびこれに続く前記3軸加速度計(3A)の軌跡の前記平面における前記推定された角度(α)分の回転により定義される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記推定手段(MEST)が、前記移動要素(EM)の前記接触面の傾斜(θ)と、前記3軸加速度計(3A)により送信されたベクトルに基づいて前記第5の計算手段(MC5)により送信された前記ベクトルとに基づいて、前記角度(α)を推定すべく適合されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記推定手段(MEST)が、前記連続的な各時点(t,t,...,t)で前記3軸加速度計(3A)により得られた前記ベクトルにより形成された行列(AIF)に基づいて前記第5の計算手段(MC5)により得られた3列からなる行列の特異値分解に基づいて、前記角度(α)を推定すべく適合されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記推定手段(MEST)が、前記角度(α)を、前記追加センサにより得られた前記ベクトルに基づいて前記第1の計算手段(MC1)により得られた前記ベクトルと、前記3軸加速度計(3A)により得られた前記ベクトルに基づいて前記第1の計算手段(MC1)により得られた前記ベクトルとの間の、前記第1または第2の静止時点(t,t)における角度として推定すべく適合されている、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記制御手段(CMD)が、前記第4の計算手段(MC4)により得られたデータに基づいて、前記第1および第2の静止時点(t,t)の間に、および/または前記3軸加速度計(3A)の2個の連続的な静止時点(t,t)を分離する一組の連続的な時間内に移動する距離を計算する第3の手段(MEL3)を含んでいる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記制御手段(CMD)が、前記第4の計算手段(MC4)により得られた前記データに基づいて、前記3軸加速度計(3A)の2個の連続的な静止時点(t,t)を分離する一組の連続的な時間間隔の軌跡を計算する第4の手段(MEL4)を含んでいる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記追加センサが、前記第1および第2の静止時点(t,t)の間で実質的に一定である地磁界を測定する3軸磁力計(3M)である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記3軸加速度計(3A)が、前記3軸加速度計(3A)の静止時点において、前記移動要素(EM)の接触面の高さに実質的に置かれるように配置されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記追加センサが、前記3軸加速度計(3A)の静止時点において、前記移動要素(EM)の前記接触面からある程度離れて配置されている、請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記制御手段(CMD)が、前記移動要素(EM)に結合されているか、または前記移動要素(EM)からある程度離れて配置されていて、実時間または非実時間で動作すべく適合されている請求項1〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
プレーヤーが進む少なくとも一歩を示す視覚または聴覚インジケータを含み、請求項3〜17のいずれか1項に記載の装置を含むことを特徴とする、ビデオゲームシステム。
【請求項20】
請求項3〜17のいずれか1項に記載の装置を少なくとも1つ含むことを特徴とする、跳躍解析システム。
【請求項21】
請求項3〜17のいずれか1項に記載の装置を含むことを特徴とする、屋外または屋内の地理位置情報システム。
【請求項22】
請求項3〜17のいずれか1項に記載の装置を少なくとも1つ含むことを特徴とする、ユーザーのエネルギー消費を計算するシステム。
【請求項23】
前記3軸加速度計(3A)の前記軌跡の特徴が、前記3軸加速度計(3A)の速度を含んでいる、請求項1〜22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記3軸加速度計(3A)の前記軌跡の特徴が、前記3軸加速度計(3A)の軌跡を含んでいる、請求項1〜23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
移動要素(EM)に剛結合された3軸加速度計(3A)の、前記3軸加速度計(3A)の第1の静止時点(t)と前記第1の静止時点(t)に後続する第2の静止時点(t)との間における連続的な位置により形成された軌跡の特徴を、更に、地球基準座標系に結合された固定グローバル基準座標系(GF)内で、前記第1および第2の静止時点(t,t)の間で実質的に一定であるベクトル場のベクトルを測定する追加的な3軸センサであって前記移動要素(EM)に剛結合されていると共に前記加速度計(3A)の前記基準座標系内で固定されている追加センサにより決定する方法であって、
− 前記3軸加速度計(3A)の前記第1および第2の静止時点(t,t)を決定するステップと、
− 前記3軸加速度計(3A)により得られたベクトルに基づいて、または前記追加センサにより得られたベクトルに基づいて、前記加速度計(3A)または前記追加センサに結合された移動基準座標系(LF)内で、前記第1および第2の静止時点の間における前記3軸加速度計の実質的に不変である回転軸を決定するステップ、および前記実質的に不変である回転軸に直交する平面を決定するステップと、
− 前記連続的な各時点(t,t,...,t)において、前記移動基準座標系内で前記3軸加速度計(3A)により得られたベクトルおよび前記追加センサにより得られたベクトルの前記平面への第1の正射影を計算するステップと、
− 前記連続的な各時点(t,t,...,t)において、前記追加センサにより得られたベクトルの前記第1の正射影に基づいて、前記移動基準座標系(LF)から前記固定グローバル基準座標系(GF)に切り替える回転を決定するステップと、
− 前記連続的な各時点(t,t,...,t)において、前記3軸加速度計(3A)により得られたベクトルの前記平面において、前記第1の正射影の前記固定グローバル基準座標系における第2の正射影を計算するステップと、
− 前記固定グローバル基準座標系内で、地球重力および前記装置のドリフトに影響されることなく、前記平面に集中する加速度を得るために、前記固定グローバル基準座標系(GF)における各第2の正射影から、前記連続的な各時点(t,t,...,t)の平均ベクトルを減算するステップと、
− 前記集中する加速度に基づいて前記軌跡の特徴を計算するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−506550(P2012−506550A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532611(P2011−532611)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063741
【国際公開番号】WO2010/046364
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511098415)
【出願人】(510074896)
【Fターム(参考)】