説明

移動通信システムにおける基地局及び処理方法

【課題】同一セルに在圏している物理アンテナ数の異なるユーザ装置に、リファレンス信号を効率的に伝送すること。
【解決手段】基地局装置は、第1グループのM本の物理アンテナ(#1,#3,#5,#7)及び第2グループのM本の物理アンテナ(#2,#4,#6,#8)を含む複数の物理アンテナと、少なくともM種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)を下り信号のリソースブロックに多重するリファレンス信号多重部と、下り信号を無線送信する送信部とを有する。M種類のリファレンス信号は、同じ配置パターンで第1及び第2のリソースブロックに多重される。第1のリソースブロック中のM種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)は、第1グループの物理アンテナ(#1,#3,#5,#7)から送信される。第2のリソースブロック中のM種類のリファレンス信号は、第2グループの物理アンテナ(#2,#4,#6,#8)から送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は移動通信の技術分野に関し、特に同一セル内に物理アンテナ数の異なるユーザ装置が混在している移動通信システムにおける基地局、ユーザ装置及び処理方法等に関連する。
【背景技術】
【0002】
移動通信の技術分野では、ワイドバンド符号分割多重接続(W-CDMA)方式の標準化団体3GPPにより、いわゆる第3世代の後継となる方式が検討されている。特に、W-CDMA方式、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)方式及び高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)方式等の後継として、ロングタームエボリューション(LTE: Long Term Evolution)システムが挙げられる。更に、LTEシステムの後継として、LTEアドバンストシステム或いは第4世代移動通信システムのようなシステムも検討されている。LTEシステムにおける下りリンクの無線アクセス方式は、直交周波数分割多重接続(OFDMA: Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式である。上りリンクについてはシングルキャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA: Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が使用される。
【0003】
LTEシステムでは、下りリンクでも上りリンクでもユーザ装置に1つ以上のリソースブロック(RB: Resource Block)を割り当てることで通信が行われる。リソースブロックは、無線リソース割当の周波数単位を示し、システム内の多数のユーザ装置で共有される。一例として1つのリソースブロックは、180kHzの帯域幅を有し、例えば12個のサブキャリアを含む。例えば、5MHzのシステム帯域には25個のリソースブロックが含まれている。基地局装置は、例えばLTEシステムでは1msであるサブフレーム(Sub-frame)毎に、複数のユーザ装置の内どのユーザ装置にリソースブロックを割り当てるかを決定する。サブフレームは送信時間間隔(TTI: Transmission Time Interval)と呼ばれてもよい。無線リソースの割り当ての決定はスケジューリングと呼ばれる。下りリンクの場合、スケジューリングで選択されたユーザ装置宛に、基地局装置は1以上のリソースブロックで共有チャネルを送信する。この共有チャネルは、下り物理共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared CHannel)と呼ばれる。上りリンクの場合、スケジューリングで選択されたユーザ装置が、1以上のリソースブロックで基地局装置に共有チャネルを送信する。この共有チャネルは、上り物理共有チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)と呼ばれる。
【0004】
上述したような共有チャネルを用いた通信システムにおいては、サブフレーム毎にどのユーザ装置に共有チャネルを割り当てるかをユーザ装置に通知する必要がある。この通知に用いられる制御チャネルは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)または下りL1/L2制御チャネル(DL-L1/L2 Control Channel)と呼ばれる。下り制御信号には、このPDCCHに加えて、物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH: Physical Control Format Indicator CHannel)や、物理ハイブリッドARQインジケータチャネル(PHICH: Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)等が含まれてもよい。
【0005】
PDCCHには、例えば次の情報が含まれてよい:
・下りスケジューリンググラント(Downlink Scheduling Grant)、
・上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)及び
・送信電力制御コマンドビット(Transmission Power Control Command Bit)。
【0006】
下りスケジューリンググラント情報には、例えば、下りリンクの共有チャネルに関する情報が含まれ、具体的には、下りリンクのリソースブロックの割り当て情報、ユーザ装置の識別情報(UE-ID)、ストリーム数、プリコーディングベクトル(Pre-coding Vector)に関する情報、データサイズ、変調方式、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)に関する情報等が含まれる。
【0007】
また、上りリンクスケジューリンググラント情報には、例えば、上りリンクの共有チャネルに関する情報が含まれ、具体的には、上りリンクのリソースの割り当て情報、ユーザ装置の識別情報(UE-ID)、データサイズ、変調方式、上りリンクの送信電力情報、アップリンクMIMO(Multiple Input Multiple Output)におけるデモジュレーションレファレンスシグナル(Demodulation Reference Signal)の情報等が含まれる。
【0008】
PCFICHは、PDCCHのフォーマットを通知するための情報である。より具体的には、PDCCHのマッピングされるOFDMシンボル数が、PCFICHにより通知される。LTEシステムでは、PDCCHのマッピングされるOFDMシンボル数は1,2又は3であり、サブフレームの先頭OFDMシンボルから順にマッピングされる。
【0009】
PHICHは、上りリンクで伝送されたPUSCHについて再送を要するか否かを示す送達確認情報(ACK/NACK: Acknowledgement/Non-Acknowledgement information)を含む。
【0010】
なお、用語の定義の問題であるが、PDCCH、PCFICH及びPHICHの制御信号がそれぞれ対等な独立したチャネルとして定義されてもよいし、或いはPDCCHの中にPCFICH及びPHICHが含まれるように定義されてもよい。
【0011】
上りリンクではPUSCHによりユーザデータ(通常のデータ信号)及び制御情報が伝送される。また、PUSCHとは別に、上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)により、下りリンクの品質情報(CQI: Channel Quality Indicator)及びPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)等が伝送される。CQIは、下りリンクにおける共有物理チャネルのスケジューリング処理や適応変復調及びチャネル符号化処理(AMC: Adaptive Modulation and channel Coding)等に使用される。上りリンクでは、ランダムアクセスチャネル(RACH: Random Access CHannel)や、上下リンクの無線リソースの割り当て要求を示す信号等も必要に応じて伝送される。
【0012】
LTEシステムについては、例えば、非特許文献1等において説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2008/050453号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】3GPP,TS36.211 V8.4.0,2008年9月
【非特許文献2】NTT DoCoMo, Support of DL Higher-Order MIMO Transmission in LTE-Advanced, 3GPP R1-083685, 2008年10月3日
【非特許文献3】岸山祥久 外3名、OFDMを用いるEvolved UTRA下りリンクにおける報知チャネル構成の検討、電子情報通信学会研究報告、2006年11月9日、Vol.106, No.360, pp.83-87, RCS2006−171
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、LTEシステムでは、下りリンクにおいて最大で4つの送信アンテナによるMIMO伝送方式が用いられる。MIMO伝送方式の場合、通信に使用される複数の物理アンテナの各々は独立した無線伝搬路を形成するので、物理アンテナ毎にチャネル状態を測定する必要がある。このため、基地局の送信アンテナ数4に応じて、4種類のリファレンス信号が下りリンクで送信される。
【0016】
図1はLTEシステムにおけるリファレンス信号のマッピング例を示す。これについては、上記非特許文献の第6.10章"Reference Signals"等に示されている。なお、リファレンス信号は、送信側と受信側で既知の参照信号であり、パイロット信号、トレーニング信号、既知信号等と言及されてもよい。リファレンス信号の受信状況に基づいて、無線伝搬路の良否の推定や、チャネル推定等が行われる。図1の場合、1,5,8及び12番目のOFDMシンボルに、第1及び第2アンテナから送信されるリファレンス信号P#1,P#2が多重されている。そして、2及び9番目のOFDMシンボルに、第3及び第4アンテナから送信されるリファレンス信号P3,P4が多重されている。
【0017】
一方、IMTアドバンスト(IMT-A)又はLTEアドバンスト(LTE-A)システムのようなLTEよりも後継の無線アクセスでは、基地局で用いられる送信アンテナ数は、4本よりも増えるかもしれない(例えば、送信アンテナ数は8つになるかもしれない。)。この場合、基地局が8つの物理アンテナを使用する場合、LTE-A方式の移動局(LTE-A方式で要求される能力を有する移動局)も、基地局の各物理アンテナからのリファレンス信号をそれぞれ区別して受信し、各物理アンテナに対応するチャネル状態を測定することが望まれる。
【0018】
他方、LTEシステムからLET-Aシステムへのスムーズな移行を実現する観点からは、LTE-Aシステムにおいて、後方互換性又は下位互換性(backward compatibility)を十分に確保することが望まれる。上記の例の場合、4本より多い物理アンテナを区別することが必須でないLTEシステムと、8本の物理アンテナを区別しなければならないLTE-Aシステムとの間で、互換性を確保する必要がある。
【0019】
図2は、LTEシステムとLTE-Aシステムとの共存を実現する場合に考えられる無線リソースの利用例を示す。無線リソースは、LTE-A移動局が通信に使用する周波数帯域(無線リソースA)と、LTE移動局が通信に使用する周波数帯域(無線リソースB)とに周波数方向で分割される。LTE-A移動局は、無線リソースAに含まれる1つ以上のリソースブロック(リソース割当単位)を用いて通信を行う。LTE移動局は、リソースブロックBに含まれる1つ以上のリソースブロックを用いて通信を行う。無線リソースAではLTE-A移動局が通信するため、基地局は、LTE-Aシステムに適した配置でリファレンス信号を下り信号に多重することができる。例えば、8種類のリファレンス信号を含むリソースブロックが、無線リソースAに含まれてよい。また、リソースブロックBでは、LTE移動局が通信するので、基地局はLTE移動局に適した配置でリファレンス信号を下り信号に多重することができる。例えば、4種類のリファレンス信号を含むリソースブロックが、無線リソースBに含まれてよい。
【0020】
図3は、LTEシステムとLTE-Aシステムとの共存を実現する場合に考えられる無線リソースの別の利用例を示す。無線リソースは、LTE-A移動局が通信に使用する期間(無線リソースA)と、LTE移動局が通信に使用する期間(無線リソースB)とに時間方向で分割される。この場合も同様に、無線リソースAでは、基地局はLTE-A移動局に適した配置でリファレンス信号をリソースブロックに多重する。また、無線リソースBでは、基地局はLTE移動局に適した配置でリファレンス信号をリソースブロックに多重する。
【0021】
図2及び図3では共に無線リソースは、LTEシステム用とLTE-Aシステム用に固定的に分割される。これは各システムで無線リソースを確保できる等の点で好ましい。しかしながら無線リソースの利用効率の観点からは必ずしも好ましくない。例えばLTE-Aシステムの導入当初はLTE-A移動局はさほど多くないことが予想され、LTE-Aシステム用に確保された無線リソースAが当初から十分に活用されることは期待しがたいからである。無線リソースA,Bの境界を準静的に又は動的に変更することも考えられるが、境界の位置を常に最適に維持することは処理の複雑化を招き、困難であることが懸念される。
【0022】
図4は、LTEシステムとLTE-Aシステムとの共存を実現する場合に考えられる無線リソースの更に別の利用例を示す。例えば、基地局のスケジューラは、各移動局から報告されたチャネル品質情報(CQI)に基づいて、LTE移動局及びLTE-A移動局に最適なリソースブロックを割り当てる。従って、LTE-A移動局に割り当てられるリソースブロックAとLTE移動局に割り当てられるリソースブロックBとがサブフレーム毎に変化する。LTE-A移動局に割り当てられるリソースブロックAには、基地局により、LTE-A移動局に適合したリファレンス信号が多重される。例えば、8種類のリファレンス信号がそのリソースブロックAに多重される。LTE移動局に割り当てられるリソースブロックBには、基地局により、LTE移動局に適合したリファレンス信号が多重される。例えば、4種類のリファレンス信号がそのリソースブロックAに多重される。図4に示される例の場合、LTEシステム及びLTE-Aシステム用の無線リソースは予め決まってはいないので、図2及び図3に示されるような無線リソースの利用法で懸念されている問題(無線リソースが有効に活用されないかもしれない問題)に効果的に対処できるかもしれない。
【0023】
ところで、移動局は共有データチャネル用の無線リソースの割り当てを受けても受けなくても、無線伝搬状況の良否(CQI)を基地局に報告しなければならない。図4の例の場合、LTE移動局に割り当てられたリソースブロックには4種類のリファレンス信号が含まれ、LTE-A移動局に割り当てられたリソースブロックには8種類のリファレンス信号が含まれる。ということは、どのLTE-A移動局にも下りリンクで無線リソースが割り当てられていなかった場合、8種類総てのリファレンス信号は送信されず、8つのリファレンス信号を使ってチャネル状態を測定すること、及び測定値を基地局に適切に報告することは困難になってしまう。図2,3に示される例の場合、無線リソースAには必ずLTE-A用の8つのリファレンス信号が含まれているので、このような問題は生じないが、無線リソースの利用効率の悪化が懸念される。
【0024】
このように、LTEシステム用及びLTE-Aシステム用に無線リソースが固定的に分割される場合(図2,図3)も、無線リソースが動的にスケジューリングされる場合(図4)も、リファレンス信号を効率的に伝送する観点からは最適ではない。
【0025】
本発明の課題は、同一セルに在圏している物理アンテナ数の異なるユーザ装置に、リファレンス信号を効率的に伝送することである。
【0026】
なお、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明される構成及び手順の全てが過去に実証済みであるとは限らないことに留意を要する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
開示される発明による基地局は、
第1のリファレンス信号群に対応する第1のアンテナ群と、
第2のリファレンス信号群に対応する第2のアンテナ群と、
下り信号に含まれる複数のリソースブロック各々について、前記第1のリファレンス信号群に属するリファレンス信号を同じ配置パターンで多重し、かつ前記複数のリソースブロックのうち特定のユーザ装置に割り当てるリソースブロックについて、前記第2のリファレンス信号群に属するリファレンス信号を、前記配置パターンとは異なる別の配置パターンで多重するリファレンス信号多重部と、
前記第1及び第2のアンテナ群を用いて前記下り信号を送信する送信部と
を有する基地局である。
【発明の効果】
【0028】
開示される発明によれば、同一セルに在圏している物理アンテナ数の異なるユーザ装置に、リファレンス信号を効率的に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】リファレンス信号のマッピング例を示す図。
【図2】無線リソースの利用例を示す図。
【図3】無線リソースの別の利用例を示す図。
【図4】無線リソースの更に別の利用例を示す図。
【図5】本発明の一実施例による動作例を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施例による下り信号の構成例(サブバンド毎に変更する例)を示す図。
【図7】第1及び第2リソースブロックの詳細を示す図。
【図8】リファレンス信号(P#1〜P#4)と物理アンテナ(#1〜#4)との対応関係例を示す図。
【図9】本発明の一実施例による下り信号の構成例(サブフレーム毎に変更する例)を示す図。
【図10】本発明の一実施例による下り信号の構成例(サブバンド及びサブフレーム毎に変更する例)を示す図。
【図11】ユーザ装置に割り当てられるリソースブロックの詳細を示す図。
【図12】リファレンス信号(P#1〜P#8)と物理アンテナ(#1〜#8)との対応関係例を示す図。
【図13】本発明の一実施例による基地局装置を示す図。
【図14】本発明の一実施例によるユーザ装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[概要]
本発明の一形態によれば、基地局装置の複数の物理アンテナは、第1グループのM(=4)本(#1,#3,#5,#7)と、第2グループのM(=4)本(#2,#4,#6,#8)に分けられる。無線リソースもRBグループAのリソースブロック(第1のリソースブロック)と、RBグループBのリソースブロック(第2のリソースブロック)に分類される。M種類のリファレンス信号は、同じ配置パターンで第1及び第2のリソースブロックに多重される(図7)。そして、第1のリソースブロック中のM(=4)種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)は、第1グループの物理アンテナ(#1,#3,#5,#7)から送信される。第2のリソースブロック中のM(=4)種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)は、第2グループの物理アンテナ(#2,#4,#6,#8)から送信される。
【0031】
LTEユーザ装置は、リソースブロック中の4種類のリファレンス信号P#1〜P#4を使って4種類のチャネル状態を測定し、基地局に報告する。どのリソースブロックにも4種類のリファレンス信号が同じ配置パターンで入っているので、どのリソースブロックがLTEユーザ装置に割り当てられてもよい。LTE-Aユーザ装置は、第1グループのM本の物理アンテナ(#1,#3,#5,#7)については、第1のリソースブロック中のリファレンス信号P#1〜P#4を使ってチャネル状態を測定する。そして、LTE-Aユーザ装置は、第2グループのM(=4)本の物理アンテナ(#2,#4,#6,#8)については、第2のリソースブロック中のリファレンス信号P#1〜P#4を使ってチャネル状態を測定する。8本の受信アンテナを有するLTE-Aユーザ装置は、リファレンス信号P#1〜P#4の物理送信アンテナが、第1及び第2のリソースブロックで異なることを認識することによって、8つの物理送信アンテナに関するチャネル状態を測定することができる。4本の受信アンテナを有するLTEユーザ装置は、リファレンス信号P#1〜P#4の物理送信アンテナが、第1及び第2のリソースブロックで異なることを考慮しない。LTEユーザ装置は、第1のリソースブロックでも第2のリソースブロックでも同様にリファレンス信号P#1〜P#4を抽出し、4つの物理送信アンテナに関するチャネル状態として測定を行う。言い換えれば、LTE-Aユーザ装置は、第1グループのM(=4)本(#1,#3,#5,#7)と、第2グループのM(=4)本(#2,#4,#6,#8)を互いに区別しているが、LTEユーザ装置はそれらを区別していない。
【0032】
このようにすることで、どのリソースブロックもLTE及びLTE-Aユーザ装置に割り当て可能になる。更に、どのLTE-Aユーザ装置にも無線リソースが割り当てられなかったとしても、第1及び第2のリソースブロックが常に下りリンクで用意されるようにするので、LTE-Aユーザ装置は総ての物理送信アンテナについてチャネル状態を適宜測定できる。従って、本発明の一形態によれば、後方互換性を確保しつつ、LTEユーザ装置にもLTE-Aユーザ装置にもリファレンス信号を効率的に伝送できる。
【0033】
M(=4)種類のリファレンス信号と第1,第2グループ中のM(=4)本の物理アンテナとの対応関係は、ユーザ装置に報知チャネルで報知されてもよい。ユーザ装置に何等かの情報を通知する観点からは報知チャネルであることは必須でないが、変更され得る情報を多数のユーザに効率的に通知する観点からは、報知チャネルで報知することが好ましい。
【0034】
ある1つの時間サブフレームに、第1及び第2のリソースブロック双方が含まれていてもよい。その時間サブフレーム1つの間に第1及び第2のリソースブロック双方を取得できるので、これは、処理時間の短縮を図る観点から好ましい。
【0035】
所定の複数個の第1のリソースブロック(及び/又は所定の複数個の第2のリソースブロック)が、周波数方向に隣接して用意されていてもよい。リファレンス信号によるチャネル状態の測定は、リソースブロック毎に行われてもよいが、測定値の報告に要する制御情報量を削減する観点からは、複数のリソースブロックについての平均値が基地局装置に報告されることが望ましい。従ってその平均値の元になる個々のリソースブロックでは、同じ4本の物理アンテナから同じ4種類のリファレンス信号が送信されていることが好ましい。
【0036】
ある時間サブフレームに第1のリソースブロックが含まれ、後続の時間サブフレームに第2のリソースブロックが含まれていてもよい。これは、同じ周波数帯域についてチャネル状態を測定できる観点から好ましい。
【0037】
第1のリソースブロックが或る時間サブフレームに含まれ、該時間サブフレーム及び別の時間サブフレームにも第2のリソースブロックが含まれていてもよい。これは、LTE-Aユーザ装置が第1及び第2のリソースブロックのペアを揃える選択肢を増やし、より適切なペアを用意できるようにする観点から好ましい。
【0038】
特定のユーザ装置のリソースブロックが、M種類のリファレンス信号に加えて、該M種類のリファレンス信号とは異なるP種類のリファレンス信号も含むように、リファレンス信号多重部が、リファレンス信号を下り信号に多重してもよい(典型的には、M=P=4である)。この場合、LTE-Aユーザ装置に割り当てたリソースブロックに、総ての物理送信アンテナからのリファレンス信号が含まれる。これは、LTE-Aユーザ装置に割り当てられたリソースブロックに関し、各物理送信アンテナのチャネル状態を高精度に測定する観点から好ましい。
【0039】
[実施の形態の詳細な説明]
以下の観点から、開示される発明の実施の形態を説明する。
【0040】
1.動作例
2.変形例(時間方向)
3.変形例(時間及び周波数方向)
4.変形例(個別リファレンス信号)
5.基地局
6.ユーザ装置
1.動作例
以下、本発明の一実施例による動作例が説明される。動作説明における移動通信システムには複数のユーザ装置及び複数の基地局装置が含まれ、基地局装置はコアネットワークの上位局に接続される。複数のユーザ装置の中には、LTEシステムで使用されるユーザ装置(LTE_UE)と、LTE-Aシステムで使用されるユーザ装置(LTE-A_UE)とが含まれている。ユーザ装置は典型的には移動局であるが、固定局でもよい。LTE_UEは4本の物理アンテナを使って通信を行う。LTE-A_UEは8本の物理アンテナを使って通信を行う。基地局装置は双方のシステムに共用される。
【0041】
図5は本発明の一実施例による動作例を示すフローチャートである。ステップS11では、基地局装置がセルに在圏する複数のユーザ装置へ報知信号(BCH: Broadcast Channel)を送信している。報知信号(BCH)に含まれている報知情報は、システム帯域幅、システムフレーム番号、セルIDその他のシステム情報を含む。本動作例では、特に、下りリンクで送信されるリファレンス信号(P#1,P#2,...)、基地局装置で使用されている物理アンテナ(#1,#2,...)、リファレンス信号及び物理アンテナの対応関係、リソースブロックの構成等の情報が、報知情報に含まれている。これらの情報の内容は、システムで不変に固定されていてもよいが、定期的に又は非定期的に変更されてもよい。
【0042】
ステップS12では、基地局装置はいわゆるスケジューリングを行うことで、無線リソースの割り当てを決定する。スケジューリングは下りリンク及び上りリンクの無線伝搬状況に基づいて行われる。スケジューリングは当該技術分野で既知の適切な如何なるアルゴリズムで行われてもよい。一例として、スケジューリングはプロポーショナルフェアネス法に基づいて行われてもよい。
【0043】
ステップS13では、下りリンクで伝送される信号が作成される。概して、下り信号は、制御信号、リファレンス信号及び共有データ信号を含む。下りリンクの無線リソースの割り当て内容は、下りスケジューリンググラントとして制御信号に含まれる。上りリンクの無線リソースの割り当て内容は、上りスケジューリンググラントとして制御信号に含まれる。上り及び下りスケジューリンググラントを含む制御信号は、LTEシステムでは特に下り物理制御チャネル(PDCCH)と言及される。下り信号を作成する際、制御信号、リファレンス信号及び共有データ信号は、時間及び周波数の双方の観点から適切に多重される。
【0044】
図6は、本発明の一実施例による下り信号の構成例を示す。時間軸方向にサブフレーム8つ分の様子が示され、周波数軸方向にリソースブロック10個分の様子が示されている。共有データ信号を含むリソースブロック及び制御信号は時間多重されている。図示の簡明化を図るため、リファレンス信号及び共有データ信号は図6では詳細には示されていない。本実施例ではリソースブロックは、RBグループAと呼ばれるグループと、RBグループBと呼ばれるグループに分類される。RBグループAに属するリソースブロックは第1リソースブロックとも言及される。RBグループBに属するリソースブロックは第2リソースブロックとも言及される。図示の例では、低周波側(左側)の5つのリソースブロックは、RBグループAに属している。高周波側(左側)の5つのリソースブロックは、RBグループBに属している。図中、破線の楕円で囲まれている領域は、第1及び第2リソースブロックを含み、この部分の詳細が図7に示されている。
【0045】
図7は、第1及び第2リソースブロックの詳細を示す。図中、左側は第1リソースブロック(RBグループA)に対応し、右側は第2リソースブロック(RBグループB)に対応している。1つのリソースブロックは、所定数個のOFDMシンボル及び所定数個のサブキャリアで構成され、シンボル数及びサブキャリア数は適切な如何なる数でもよい。一例として、1リソースブロックは、1msに及ぶ14個のOFDMシンボル及び180kHzに及ぶ12個のサブキャリアを含んでもよい。図示されているように、第1及び第2リソースブロックには、同じ4種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)が同じ配置パターンでマッピングされている。しかしながら、第1リソースブロック(左側)のリファレンス信号P#1〜P#4と、第2リソースブロック(右側)のリファレンス信号P#1〜P#4は、それぞれ異なる物理アンテナから送信される。
【0046】
図8は4種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)と物理アンテナ(#1〜#4)との対応関係の一例を示す。4種類のリファレンス信号(P#1〜P#4)は、上記のP#1〜P#4に対応する。本実施例では、基地局装置の8つの物理アンテナは、第1及び第2グループに分けられる。RBグループAに属する第1リソースブロックでは、4種類のリファレンス信号P#1〜P#4が、第1グループの物理アンテナ#1,#3,#5及び#7からそれぞれ送信される。RBグループBに属する第2リソースブロックでは、同じ4種類のリファレンス信号P#1〜P#4が、第2グループの物理アンテナ#2,#4,#6及び#8からそれぞれ送信される。
【0047】
図8に示される例では、説明の簡明化を図るため、1つの物理アンテナから1つのリファレンス信号が送信されているが、このことは必須でない。例えばプリコーディングを利用することで、4つの物理アンテナから1つのリファレンス信号が特定の方向に送信されてもよい。いずれにせよ、或るグループ(4本の物理アンテナ)と別のグループ(別の4本の物理アンテナ)から同じ4種類のリファレンス信号が送信されることが必要である。図8に示される対応関係は一例に過ぎず、適切な如何なる対応関係やアンテナのグループ化がなされてもよい。例えば第1グループが若番順に#1,#2,#3,#4で構成され、第2グループが#5,#6,#7,#8で構成されてもよい。これらの対応関係は、システムで不変に固定されてもよいし、定期的に又は非定期的に変更されてもよい。
【0048】
図5のステップS13ではこのような構成を有するリソースブロックが構築され、ステップS14でこの下り信号が送信される。上述したように、本動作例ではユーザ装置LTE_UE及びユーザ装置LTE-A_UEが同じ基地局装置に接続している。先ずユーザ装置LTE_UEの場合の動作を説明し、次にユーザ装置LTE-A_UEの場合の動作を説明する。
【0049】
<LTE_UE の場合>
ステップS21では、下り信号中の制御信号が受信信号から抽出され、復調され、復号される。この制御信号は無線リンクの割当情報を含む信号であり、LTEシステムにおけるPDCCHに相当する。制御信号を復元する際、チャネル推定を行う必要がある。リファレンス信号がリソースブロック中のどこにマッピングされているか等に関する情報は、報知情報に含まれており、ユーザ装置LTE_UEは報知情報を既に取得している。ユーザ装置LTE_UEは、受信信号中のリファレンス信号(P#1〜P#4)を抽出し、それらに基づいてチャネル推定を行う。チャネル推定結果を利用して、ユーザ装置LTE_UEは、制御信号のチャネル補償を行う。ユーザ装置LTE_UEは、チャネル補償後の制御信号から、下り及び/又は上りスケジューリンググラントを確認し、自装置に無線リソースが割り当てられているか否かを確認する。説明の便宜上、このユーザ装置LTE_UEは、下りリンクの無線リソースの割り当てを受けているものとする。
【0050】
ステップS22では、物理アンテナのグループが確認される。具体的には、リファレンス信号P#1〜P#4と基地局装置の物理アンテナとの対応関係が、報知情報及び割り当てを受けたリソースブロックから確認される。しかしながら、ユーザ装置LTE_UEの場合、このステップの処理は必須ではない。
【0051】
ステップS23では、リファレンス信号P#1〜P#4に基づいて、各リファレンス信号の伝搬路に対するチャネル状態が測定される。具体的には、ユーザ装置LTE_UEにRBグループAのリソースブロックが割り当てられていた場合、基地局装置の物理アンテナ#1,#3,#5及び#7と、ユーザ装置LTE_UEの4本の物理アンテナとの間のチャネル状態が測定される。ユーザ装置LTE_UEにRBグループBのリソースブロックが割り当てられていた場合、基地局装置の物理アンテナ#2,#4,#6及び#8と、ユーザ装置LTE_UEの4本の物理アンテナとの間のチャネル状態が測定される。ユーザ装置LTE_UEの場合、4本より多い物理アンテナを区別することは必須でないので、基地局装置の物理アンテナの第1及び第2グループを区別しなくてもよい。
【0052】
ステップS24では、4アンテナ各々に関するチャネル推定結果を利用しながら、下り共有データ信号が再生される。
【0053】
ステップS25では、4アンテナ分の受信状況の測定結果及び/又は下り共有データ信号の送達確認信号(ACK/NACK)が、基地局装置に送信される。
【0054】
ユーザ装置LTE_UEの下り共有データ信号用にリソースブロックが割り当てられていなかった場合でも、ユーザ装置LTE_UEは、必要に応じてリファレンス信号P#1〜P#4を用いたチャネル状態の測定を行い、測定結果を基地局装置に報告してよい。例えば、ユーザ装置LTE_UEは、基地局装置から指示されたリソースブロックについてチャネル状態を測定し、測定結果をPUCCHで報告してもよい。
【0055】
本実施例によれば、どのリソースブロックでも4種類のリファレンス信号が同じ配置パターンでマッピングされている。LTE用のユーザ装置LTE_UEの場合、4本より多くの物理アンテナを区別することは必須でないので、基地局装置の物理アンテナが第1グループ(#1,#3,#5,#7)であるか、或いは第2グループ(#2,#4,#6,#8)であるかを区別する必要はない。従ってLTE用のユーザ装置LTE_UEは、どのリソースブロックの割り当ても受けることができる。
【0056】
<LTE-A_UE の場合>
次に、ユーザ装置がLTE-A_UEであった場合の動作を説明する。ステップS21の動作はLTE_UEの場合と同じである。LTE-A_UEの場合、8本の物理アンテナを使用するMIMO方式の通信に備えて、8つの物理アンテナそれぞれを区別し、各物理アンテナのチャネル状況を測定する必要がある。この点、LTE_UEと大きく異なる。
【0057】
ステップS22では、物理アンテナのグループが確認される。具体的には、リファレンス信号P#1〜P#4と基地局装置の物理アンテナとの対応関係が、報知情報及び割り当てを受けたリソースブロックから確認される。そのリソースブロックが、RBグループAに属する第1リソースブロックであった場合、4種類のリファレンス信号P#1〜P#4が、第1グループの物理アンテナ#1,#3,#5及び#7からそれぞれ送信されている。リソースブロックが、RBグループBに属する第2リソースブロックの場合、同じ4種類のリファレンス信号P#1〜P#4が、第2グループの物理アンテナ#2,#4,#6及び#8からそれぞれ送信されている。
【0058】
ユーザ装置LTE-A_UEが、RBグループA及びB双方のリソースブロックの割り当てを受けていた場合、各グループのリソースブロック中の4種類のリファレンス信号P#1〜P#4の受信状況を測定することで、物理アンテナ#1,#3,#5及び#7に関するチャネル状態及び物理アンテナ#2,#4,#6及び#8に関するチャネル状態を測定できる。
【0059】
ユーザ装置LTE-A_UEに割り当てられたリソースブロックが、RBグループAだけに所属していた場合(例えば、RB1)、そのリソースブロックから抽出したリファレンス信号P#1〜P#4は、基地局装置の物理アンテナ#1,#3,#5及び#7に関するチャネル状態を示している。ステップS23では、これらの物理アンテナに関する受信状況が測定される。ユーザ装置LTE-A_UEは、別の物理アンテナ(#2,#4,#6,#8)に関するチャネル状態も用意しなければならない。そこで、ユーザ装置LTE-A_UEは、割り当てを受けたリソースブロック(目下の例では、RB1)に最も近いRBグループBのリソースブロック(例えば、RB2)のリファレンス信号を抽出する。RBグループBに属するリソースブロックのリファレンス信号P#1〜P#4は、物理アンテナ#2,#4,#6及び#8から送信されているので、これらのリファレンス信号の受信状況を測定することで、物理アンテナ#2,#4,#6及び#8に関するチャネル状態を測定できる。但し、この測定値は、割り当てを受けたリソースブロックに関するものではないので、近似的なチャネル推定値である。従って、ユーザ装置LTE-A_UEは、割り当てを受けたリソースブロック(目下の例では、RBグループAに属する)に最も近いRBグループBのリソースブロックを選択すべきである。なるべく近いリソースブロックを選択することに加えて又は代替的に、リファレンス信号の受信状況の測定値は補間されてもよい。補間は外挿法でも内挿法でもよい。
【0060】
ユーザ装置LTE-A_UEの割り当てを受けたリソースブロックが、RBグループBだけに所属していた場合、4種類のリファレンス信号P#1〜P#4は、第2グループの物理アンテナ#2,#4,#6及び#8からそれぞれ送信されている。上記と同様に、ユーザ装置LTE-A_UEは、割り当てを受けたリソースブロックに最も近いRBグループAのリソースブロックのリファレンス信号を抽出することで、8本の物理アンテナに関するチャネル状態を測定する。
【0061】
ステップS24では、8アンテナ各々に関するチャネル推定結果を利用しながら、下り共有データ信号が再生される。
【0062】
ステップS25では、8アンテナ分の受信状況の測定結果及び/又は下り共有データ信号の送達確認信号(ACK/NACK)が、基地局装置に送信される。
【0063】
ユーザ装置LTE_UEの下り共有データ信号用にリソースブロックが割り当てられていなかった場合でも、ユーザ装置LTE_UEは、必要に応じてリファレンス信号P#1〜P#4を用いたチャネル状態の測定を行い、測定結果を基地局装置に報告してよい。例えば、ユーザ装置LTE_UEは、基地局装置から指示されたリソースブロックについてチャネル状態を測定し、測定結果をPUCCHで報告してもよい。
【0064】
本実施例によれば、どのリソースブロックでも4種類のリファレンス信号が同じ配置パターンでマッピングされている。このリファレンス信号を使って制御信号が復調される。従って制御信号に関しては、LTE用のユーザ装置もLTE-A用のユーザ装置も同じ手順で制御信号を復元できる。更に、LTE-A用のユーザ装置LTE-A_UEは、RBグループAの少なくとも1つのリソースブロック及びRBグループBの少なくとも1つのリソースブロックからリファレンス信号をそれぞれ抽出することで、8本の物理アンテナ総てに関する無線チャネル状況を測定できる。従って、どのリソースブロックがLTE_UE及びLTE-A_UEに割り当てられてもよい。
【0065】
なお、各物理アンテナに関するチャネル状態の報告は、リソースブロック毎に行われてもよいが、報告に要する制御情報量を節約する等の観点から、いくつかのリソースブロックについての平均値が報告されてもよい。更には所定数個のリソースブロックの内、品質の良い上位所定数個のリソースブロックに関する個々の値又はそれらの合計値が基地局装置に報告されてもよい。図6に示される例では、5つのリソースブロックで1つのサブバンドグループ(リソースブロックグループ)が形成され、チャネル状態は、サブバンドグループ毎に報告されてもよい(物理アンテナ毎に報告されることは言うまでもない。)。
【0066】
図6ではRBグループA及びBが、同一サブフレーム内でサブバンドサイズ毎に変更されている。基地局装置の第1グループの物理アンテナ(#1,#3,#5,#7)からのリファレンス信号も、第2グループの物理アンテナ(#1,#3,#5,#7)からのリファレンス信号も、1サブフレーム内で取得できる。従って、図示の例は、LTE-A用のユーザ装置LTE-A_UEが速やかにチャネル状態を測定できる等の点で好ましい。
【0067】
2.変形例(時間方向)
下り信号の構成例は、図6に示されるものに限定されず、様々な構成例が考えられる。図9は下り信号の構成がサブフレーム毎に変更される例を示す。この例の場合、リソースブロック中のリファレンス信号の配置パターン及び対応する基地局装置の物理アンテナの対応関係は、サブフレームが同じなら総て同じである。この点、信号処理の簡易化(特に、下り信号の作成負担の軽減)等の観点から好ましい。LTE-A用のユーザ装置は、或るサブフレームのリソースブロックと、前及び/又は後のサブフレームのリソースブロックとを利用してチャネル状態を測定する。測定に少なくとも2サブフレームの期間を費やしてしまうが、第1グループのアンテナ及び第2グループのアンテナに関し、同じ周波数帯域(図中、RB1及びRB2で示される)を測定できる点で好ましい。チャネル状態の時間変動が少ない場合、例えば低速でしか移動していないユーザの場合、図示の構成例は好ましい。
【0068】
3.変形例(時間及び周波数方向)
図10は下り信号の構成がサブバンド及びサブフレーム毎に変更される例を示す。この例は、図6に示される例と図9に示される例の組合せなので、少なくとも説明済みの有利な効果が得られる点で好ましい。更に、RBグループの異なるリソースブロックは、同一サブフレームからも、前後のサブフレームからも得られる。従って、LTE-A用のユーザ装置UTE-A_UEにとって、RBグループの異なる適切なリソースブロックの選択肢が増える点で好ましい。例えば図10のRB1の場合、RBグループの異なる適切なリソースブロックはRB2のように同一サブフレーム中だけでなく、RB3のように先行するサブフレームにも存在する。
【0069】
RBグループの異なるリソースブロックが下り信号の中でどのように配置されるかは、図示のものに限定されず、適切な如何なる配置が使用されてもよい。例えば、図6や図10のようにRBグループは、サブバンド毎に変更されるだけでなく、複数のサブバンド毎に変更されてもよいし、サブバンドとは異なる別のリソースブロック数毎に変更されてもよい。同様に、RBグループは、サブフレーム毎に変更されるだけでなく、複数のサブフレーム毎に変更されてもよい。
【0070】
4.変形例(個別リファレンス信号)
上記の例では、RBグループA及びBの何れのリソースブロックでも同じリファレンス信号P#1〜P#4が送信されていた。これにより、どのリソースブロックも、LTEユーザ装置に割り当て可能になる。その代わり、LTE-Aユーザ装置は、RBグループの異なる少なくとも2つのリソースブロックからリファレンス信号P#1〜P#4を抽出し、8アンテナ分のチャネル状態を推定しなければならなかった。LET-Aユーザ装置に割り当てられたリソースブロックが、すべて同じRBグループに属していた場合、そのユーザ装置LTE-A_UEは、割り当てを受けていないリソースブロック(異なるRBグループに属するリソースブロック)を選択し、そこから抽出されたリファレンス信号を使って残りのアンテナに関するチャネル状態を推定しなければならない。実際に割り当てを受けたリソースブロックとは異なるリソースブロックが使用される点で、チャネル推定精度の劣化が懸念される。
【0071】
一方、基地局装置は無線リソースのスケジューリングを行う際、どのユーザ装置がLTEシステムに属するか及びどのユーザ装置がLTE-Aシステムに属するかを知ることができる。
【0072】
そこで、本変形例では、LTEユーザ装置に基地局装置がリソースブロックを割り当てる場合、基地局装置は、全ユーザに共通の4種類のリファレンス信号P#1〜P#4をそのリソースブロックに含める。更に、LTE-Aユーザ装置に基地局装置がリソースブロックを割り当てる場合、基地局装置は、全ユーザに共通の4種類のリファレンス信号P#1〜P#4だけでなく、LTE-Aユーザに固有のリファレンス信号P#5〜P#8をもそのリソースブロックに含める。
【0073】
図11は、LTEユーザ装置に割り当てられるリソースブロック(左側)と、LTE-Aユーザ装置に割り当てられるリソースブロック(右側)とを示す。左側のリソースブロックは、図7左側に示されるものと同様である。LTE-Aシステムのユーザ装置に割り当てられるリソースブロック(図11右側)は、全ユーザに共通の4種類のリファレンス信号P#1〜P#4だけでなく、LTE-Aシステムのユーザに固有のリファレンス信号P#5〜P#8をも含んでいる。共通のリファレンス信号P#1〜P#4の配置パターンは、図11の左右で同一に維持されることに留意を要する。
【0074】
図12は、リファレンス信号P#1〜P#8と物理アンテナ#1〜#8との対応関係の一例を示す。図示の例では、全ユーザに共通のリファレンス信号P#1,P#2,P#3,P#4は、第1グループの物理アンテナ#1,#3,#5,#7からそれぞれ送信される。LTE-Aユーザに固有のリファレンス信号P#5,P#6,P#7,P#8は、第2グループの物理アンテナ#2,#4,#6,#8からそれぞれ送信される。図12に示される対応関係は一例に過ぎず、適切な如何なる対応関係やアンテナのグループ化がなされてもよい。例えば第1グループが若番順に#1,#2,#3,#4で構成され、第2グループが#5,#6,#7,#8で構成されてもよい。これらの対応関係は、システムで不変に固定されてもよいし、定期的に又は非定期的に変更されてもよい。
【0075】
図11右側に示されるようなリソースブロックが、LTE-Aシステムのユーザ装置に割り当てられた場合、8アンテナ分のチャネル状態をそのリソースブロック中のリファレンス信号P#1〜P#8から測定することができる。従って、本変形例は、チャネル状態の測定精度を高める等の観点から好ましい。
【0076】
5.基地局
図13は、本発明の一実施例による基地局装置を示す。基地局装置は、LTEユーザ装置用の信号処理部及びLTE-Aユーザ装置用の信号処理部を有する。
【0077】
LTEユーザ装置用の信号処理部は、バッファ103b、チャネル符号化部107b、データ変調部109b、プリコーディング乗算部111b、共通リファレンス信号生成部114b、リファレンス信号多重部115b及びマッピング制御部116bを有する。
【0078】
LTE-Aユーザ装置用の信号処理部も同様に、バッファ103a、チャネル符号化部107a、データ変調部109a、プリコーディング乗算部111a、個別リファレンス信号生成部114a、リファレンス信号多重部115a及びマッピング制御部116aを有する。
【0079】
スケジューラ105及びサブキャリアマッピング部113は、LTE及びLTE-Aユーザ装置用の信号処理部に共通に使用される。
【0080】
更に、基地局装置は、8つの物理アンテナの各々について、逆高速フーリエ変換部(IFFT: Inverse Fast Fourier Transformation)部117及びサイクリックプレフィックス(CP: Cyclic Prefix)付与部119及び無線部(RF)を有する。基地局装置は、8つの送信アンテナを備えているが、アンテナ数は8本以上でもよい。
【0081】
LTEユーザ装置用のバッファ103bは、セル内のNb台のLTEユーザ装置に対する送信データをそれぞれ格納する。LTE-Aユーザ装置用のバッファ103aは、セル内のNa台のLTE-Aユーザ装置に対する送信データをそれぞれ格納する。下りリンクで送信される信号には、制御信号、共有データ信号、リファレンス信号等様々な信号が含まれるが、本実施例ではリファレンス信号と他の信号との関係が特に重要である。このため、制御信号及び共有データ信号に関する処理の詳細は省略されている。
【0082】
スケジューラ105は、下りリンクで使用される無線リソースを管理する。スケジューラ105によるスケジューリングの下で、バッファ103a,103bに格納された送信データにリソースブロックが割り当てられる。スケジューリングは、当該技術分野で既知の適切な如何なるアルゴリズムに基づいてなされてもよい。一例として、プロポーショナルフェアネス法に基づいてスケジューリングがなされてもよい。
【0083】
LTEユーザ装置用のチャネル符号化部107bは、送信データをチャネル符号化する。LTE-Aユーザ装置用のチャネル符号化部107aも、送信データをチャネル符号化する。チャネル符号化率は、不図示の制御部から指示される。本実施例では、適応変調及びチャネル符号化方式が使用されるので、チャネル符号化率は、ユーザ装置のチャネル状態(具体的には、CQI)に応じて適宜変更される。一例として、チャネル符号化率は、1/3や1/16等の値をとってもよい。チャネル符号化方法は、当該技術分野で既知の適切な如何なる符号化方法が使用されてもよい。一例としてチャネル符号化はターボ符号化や畳み込み符号化等により行われてもよい。
【0084】
LTEユーザ装置用のデータ変調部109bは、チャネル符号化後の送信データをデータ変調する。LTE-Aユーザ装置用のデータ変調部109aも、チャネル符号化後の送信データをデータ変調する。データ変調方式は、不図示の制御部から指示される。本実施例では、適応変調及びチャネル符号化方式が使用されるので、データ変調方式は、ユーザ装置のチャネル状態(具体的には、CQI)に応じて適宜変更される。データ変調方式は、当該技術分野で既知の適切な如何なるデータ変調方式が使用されてもよい。一例として、データ変調方式は、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等でもよい。
【0085】
LTEユーザ装置用のプリコーディング乗算部111bは、LTEユーザ装置からフィードバックされたプリコーディング行列インジケータ(PMI: Precoding Matrix Indicator)に基づいて、送信データにプリコーディング行列を乗算する。LTE-Aユーザ装置用のプリコーディング乗算部111aも、LTE-Aユーザ装置からフィードバックされたプリコーディング行列インジケータ(PMI)に基づいて、送信データにプリコーディング行列を乗算する。プリコーディング行列インジケータは、所定数個の重み行列群から選択された何れかの重み行列群でもよい。所定数個の重み行列群は、コードブックと言及されてもよい。なお、プリコーディングが必須でないセルの場合、プリコーディングに関するこれらの処理は省略されてもよい。
【0086】
サブキャリアマッピング部113は、スケジューラ103からのリソース割当情報に従って、送信データを各サブキャリアにマッピングする。
【0087】
共通リファレンス信号生成部114bは、セル内の全ユーザが共通に使用する共通リファレンス信号P#1〜P#4を生成する又は記憶している。本実施例では共通リファレンス信号は4種類であるが、より多数の又はより少数の共通リファレンス信号が用意されてもよい。共通リファレンス信号は、セル内の全ユーザに共通に使用され、セル毎に異なるので、セル固有のRS(Cell-specific Reference Signal)と言及されてもよい。共通リファレンス信号は、直交符号系列で表現されてもよいし、非直交な符号系列で表現されてもよい。自セル内のユーザ間干渉を低減する等の観点からは、直交符号系列を使用することが好ましい。
【0088】
個別リファレンス信号生成部114aは、LTE-Aユーザ装置だけに送信されるリファレンス信号P#5〜P#8を生成する又は記憶している。本実施例では個別リファレンス信号は4種類であるが、より多数の又はより少数の共通リファレンス信号が用意されてもよい。個別リファレンス信号は、LTE-Aユーザ装置に固有に使用されるので、ユーザ固有のRS(UE-specific Reference Signal)と言及されてもよい。個別リファレンス信号も、直交符号系列で表現されてもよいし、非直交な符号系列で表現されてもよい。自セル内のユーザ間干渉を低減する等の観点からは、直交符号系列を使用することが好ましい。
【0089】
共通リファレンス信号に関するマッピング制御部116bは、共通リファレンス信号P#1〜P#4と物理アンテナ#1〜#8との対応関係に基づいて、制御信号をリファレンス信号多重部115a,115bに与える。この制御信号は、共通リファレンス信号がどのようにリソースブロックに多重されるべきかを示す。図示されているように、共通リファレンス信号の多重法を示す制御信号は、総てのリファレンス信号多重部115a及び115bに与えられている点に留意を要する。これにより、共通リファレンス信号のリソースブロック中での配置パターンが、リソースブロックによらず不変に維持されるようにする。
【0090】
個別リファレンス信号に関するマッピング制御部116aは、個別リファレンス信号P#5〜P#8と物理アンテナ#1〜#8との対応関係に基づいて、制御信号をLTE-A用のリファレンス信号多重部115aに与える。この制御信号は、個別リファレンス信号がどのようにリソースブロックに多重されるべきかを示す。図示されているように、個別リファレンス信号の多重法を示す制御信号は、LTE-A用のリファレンス信号多重部115aだけに与えられている点に留意を要する(総てのリファレンス信号多重部には与えられない。)。これにより、LTE-Aユーザ装置のリソースブロックについてのみ、個別リファレンス信号P#5〜P#8をマッピングすることができる。
【0091】
LTEユーザ装置用のリファレンス信号多重部115bは、共通リファレンス信号に関するマッピング制御部116bからの制御信号に従って、送信データと共通リファレンス信号を多重する。多重後のリソースブロックは、図7や図11(左側)に示されるような構成を有する。LTE-Aユーザ装置用のリファレンス信号多重部115aも、共通リファレンス信号に関するマッピング制御部116bからの制御信号に従って、送信データと共通リファレンス信号を多重する。更に、LTE-Aユーザ装置用のリファレンス信号多重部115aは、個別リファレンス信号に関するマッピング制御部116aからの制御信号に従って、送信データと個別リファレンス信号を多重する。多重後のリソースブロックは、図11(右側)に示されるような構成を有する。なお、個別リファレンス信号が使用されない場合、LTE-Aユーザ装置に対するリソースブロックは、図7や図11(左側)に示されるような構成を有する。
【0092】
共通リファレンス信号及び必要に応じて個別リファレンス信号を含む送信データは、各物理アンテナから送信されるように物理アンテナ毎に処理される。IFFT部117では、送信データは高速逆フーリエ変換され、時間領域のシンボルに変換される。
【0093】
サイクリックプレフィックス付与部(+CP)119は、送信するシンボルの先頭又は末尾の一部を使用してガードインターバルを用意する。
【0094】
無線部(RF)121は、ガードインターバルの付いたシンボルに対して、ディジタルアナログ変換、帯域限定、周波数変換、電力増幅等の処理を施し、無線通信信号を作成する。無線通信信号は、各アンテナからユーザ装置へ無線送信される。
【0095】
6.ユーザ装置
図14は、本発明の一実施例によるユーザ装置を示す。ユーザ装置はLTE-Aシステムで使用されるユーザ装置である。上述したようにLTEユーザ装置は、LTE-Aシステムの存否によらず同様に使用可能である。ユーザ装置は、典型的には移動局であるが、固定局でもよい。図示のユーザ装置は、基地局装置のN本の送信アンテナ(例えば、8つの送信アンテナ)に対応して、N本の受信アンテナを有する。ユーザ装置は、8つの物理アンテナの各々について、デュプレクサ201、無線部(RF)203、高速フーリエ変換部(FFT)207を有する。更にユーザ装置は、受信タイミング推定部205、共通リファレンス信号を使用するチャネル推定部209、報知情報復号部210、制御信号復号部211、個別リファレンス信号を使用するチャネル推定部212、データチャネル検出部213及びチャネル復号部215を有する。
【0096】
デュプレクサ201は、送受信の切替を制御する。周波数分割複信(FDD)方式の場合、デュプレクサは、送信帯域及び受信帯域それぞれを通過させるフィルタで構成されてもよい。時間分割複信(TDD)方式の場合、デュプレクサは単なるスイッチで構成されてもよい。
【0097】
無線部(RF)203は、物理アンテナ及びデュプレクサを介して受信された受信信号を、ベースバンドデジタル信号に変換するための所定の信号処理を行う。この信号処理には、例えば、電力増幅、帯域限定、およびアナログデジタル変換等が含まれてよい。
【0098】
受信タイミング推定部205は、受信信号の受信タイミングを推定する。推定は当該技術分野で既知の適切な如何なる方法でなされてもよい。例えば、受信OFDMシンボルと有効シンボル期間だけ遅延させた受信OFDMシンボルとの相関を順次算出して行くと、ガードインターバル(CP)の期間に亘って高い相関値が得られ、シンボルタイミングを推定できる。
【0099】
FFT部207は、受信タイミング推定部205から通知された受信タイミングに基づいて、受信信号に対してフーリエ変換を行なう。これにより受信信号は周波数領域の信号に変換される。
【0100】
チャネル推定部209は、受信信号から共通リファレンス信号P#1〜P#4を抽出し、共通リファレンス信号に基づいて各物理アンテナに関するチャネル状態を測定する。チャネル推定により、伝搬路上での位相回転量や振幅変動量が判定され、位相回転量等は以後の信号の受信の際に補償量として使用される。
【0101】
報知情報復号部210は、報知チャネル(BCH)で伝送されている情報を受信信号から抽出し、復調及び復号する。報知チャネルは、基地局装置の特定の4つの物理アンテナ(例えば、第1グループ)から送信される。LTEユーザ装置でもLTE-Aユーザ装置でも報知情報が適切に受信できるようにするためである。報知情報には一般的なシステム情報に加えて、本実施例では、共通リファレンス信号と物理アンテナとの対応関係(例えば、図8)、個別リファレンス信号と物理アンテナとの対応関係(例えば、図12)、共通/個別リファレンス信号の配置パターン、RBグループの配置構成等を示す情報も報知情報に含まれている。なお、これらの情報が報知情報に含まれることは本発明に必須でなく、別のチャネルに含まれてもよい。或いはシステムで固定し、シグナリングを不要にしてもよい。但し、その対応関係を可変にしつつ全ユーザに効率的に通知する観点からは、報知情報に含めることが好ましい。
【0102】
制御信号復号部211は、下り制御信号(特に、PDCCH)で伝送されている情報を復調及び復号する。下り制御信号は、無線リソースの割当情報(下り/上りスケジューリンググラント)を含み、ユーザ装置が下り共有データ信号について無線リソースの割り当てを受けていた場合、使用されるリソースブロックや、MCS(データ変調方式及びチャネル符号化率)等が特定される。
【0103】
チャネル推定部212は、受信信号から個別リファレンス信号P#5〜P#8を抽出し、個別リファレンス信号に基づいて各物理アンテナに関するチャネル状態を測定する。チャネル推定により、物理アンテナ#5〜#8に関する伝搬路上での位相回転量や振幅変動量が判定され、位相回転量等は以後の信号の受信の際に補償量として使用される。
【0104】
なお、個別リファレンス信号が使用されない場合、リソースブロックの構成の異なる少なくとも2つのリソースブロックからリファレンス信号が抽出され、8アンテナ分のチャネル状態が測定される。
【0105】
データチャネル検出部213は、チャネル推定部209,212のチャネル推定結果を利用して、データを復調する。受信信号は、各物理アンテナから送信された信号の混在した状態で受信されるので、受信信号は、先ず個々の物理アンテナから送信された信号各々に分離される必要がある。信号分離は当該技術分野で既知の適切な如何なるアルゴリズムで行われてもよい。一例として、ゼロフォーシング法、最小平均二乗誤差(MMSE: Maximum Mean Square Error)法、最尤検出(MLD: Maximum Likelihood Detection)法等が使用されてもよい。信号分離後の各アンテナの信号は、データ復調される。データ復調は、送信側で行われたデータ変調方式に対応して行われる。
【0106】
チャネル復号部215は、データチャネル検出部213で復調されたデータを復号し、基地局から送信された信号を再生する。
【0107】
本発明はLTEシステム及びLTE-Aシステムを例にとって説明されたが、物理アンテナ数の異なるユーザ装置が混在する適切な如何なる状況で使用されてもよい。例えば本発明は、HSDPA/HSUPA方式のW-CDMAシステム、LTE方式のシステム、IMT-Advancedシステム、WiMAX、Wi-Fi方式のシステム等に適用されてもよい。
【0108】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例又は項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、或る実施例又は項目に記載された事項が、別の実施例又は項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【0109】
以下、具体的な実施の形態を例示的に列挙する。
【0110】
(付記項1)
第1グループのM本の物理アンテナ及び第2グループのM本の物理アンテナを含む複数の物理アンテナと、
少なくともM種類のリファレンス信号を下り信号のリソースブロックに多重するリファレンス信号多重部と、
前記下り信号を無線送信する送信部と、
を有し、前記M種類のリファレンス信号は、同じ配置パターンで第1及び第2のリソースブロックに多重され、
前記第1のリソースブロック中のM種類のリファレンス信号は、前記第1グループの物理アンテナから送信され、
前記第2のリソースブロック中のM種類のリファレンス信号は、前記第2グループの物理アンテナから送信される
ようにした基地局装置。
【0111】
(付記項2)
前記M種類のリファレンス信号と前記第1及び第2グループ中のM本の物理アンテナとの対応関係が、ユーザ装置に報知される付記項1記載の基地局装置。
【0112】
(付記項3)
ある1つの時間サブフレームに、前記第1及び第2のリソースブロックが含まれている付記項2記載の基地局装置。
【0113】
(付記項4)
所定の複数個の第1又は第2のリソースブロックが、周波数方向に隣接して用意されている付記項3記載の基地局装置。
【0114】
(付記項5)
ある時間サブフレームに前記第1のリソースブロックが含まれ、後続の時間サブフレームに前記第2のリソースブロックが含まれている付記項2記載の基地局装置。
【0115】
(付記項6)
前記第1のリソースブロックが或る時間サブフレームに含まれ、該時間サブフレーム及び別の時間サブフレームにも前記第2のリソースブロックが含まれている付記項2記載の基地局装置。
【0116】
(付記項7)
特定のユーザ装置のリソースブロックが、前記M種類のリファレンス信号に加えて、該M種類のリファレンス信号とは異なるP種類のリファレンス信号も含むように、前記リファレンス信号多重部はリファレンス信号を下り信号に多重する付記項2記載の基地局装置。
【0117】
(付記項8)
第1グループのM本の物理アンテナ及び第2グループのM本の物理アンテナを含む複数の物理アンテナを有する基地局装置で使用される方法であって、
少なくともM種類のリファレンス信号を下り信号のリソースブロックに多重する多重ステップと、
前記下り信号を無線送信する送信ステップと、
を有し、前記M種類のリファレンス信号は、同じ配置パターンで前記第1及び第2のリソースブロックに多重され、
前記第1のリソースブロック中のM種類のリファレンス信号は、前記第1グループの物理アンテナから送信され、
前記第2のリソースブロック中のM種類のリファレンス信号は、前記第2グループの物理アンテナから送信される
ようにした基地局装置で使用される方法。
【0118】
(付記項9)
第1グループのM本の物理アンテナ及び第2グループのM本の物理アンテナを含む複数の物理アンテナと、
第1のリソースブロックに含まれているM種類のリファレンス信号及び第2のリソースブロックに含まれているM種類のリファレンス信号を受信する受信部と、
前記第1のリソースブロック中のリファレンス信号を用いて、前記第1グループの物理アンテナに関するチャネル状態を測定し、前記第2のリソースブロック中のリファレンス信号を用いて、前記第2グループの物理アンテナに関するチャネル状態を測定する測定部と、
を有するユーザ装置。
【0119】
(付記項10)
前記M種類のリファレンス信号と前記第1及び第2グループ中のM本の物理アンテナとの対応関係が、基地局装置から報知される付記項9記載の基地局装置。
【0120】
(付記項11)
ある1つの時間サブフレームに、前記第1及び第2のリソースブロックが含まれている付記項10記載の基地局装置。
【0121】
(付記項12)
所定の複数個の第1又は第2のリソースブロックが、周波数方向に隣接して用意されている付記項11記載の基地局装置。
【0122】
(付記項13)
ある時間サブフレームに前記第1のリソースブロックが含まれ、後続の時間サブフレームに前記第2のリソースブロックが含まれている付記項10記載の基地局装置。
【0123】
(付記項14)
前記第1のリソースブロックが或る時間サブフレームに含まれ、該時間サブフレーム及び別の時間サブフレームにも第2のリソースブロックが含まれている付記項10記載の基地局装置。
【0124】
(付記項15)
当該ユーザ装置に割り当てられたリソースブロックが、前記M種類のリファレンス信号に加えて、該M種類のリファレンス信号とは異なるP種類のリファレンス信号も含む付記項10記載の基地局装置。
【0125】
(付記項16)
第1グループのM本の物理アンテナ及び第2グループのM本の物理アンテナを含む複数の物理アンテナを有するユーザ装置で使用される方法であって、
第1のリソースブロックに含まれているM種類のリファレンス信号及び第2のリソースブロックに含まれているM種類のリファレンス信号を受信する受信ステップと、
前記第1のリソースブロック中のリファレンス信号を用いて前記第1グループの物理アンテナに関するチャネル状態を、前記第2のリソースブロック中のリファレンス信号を用いて前記第2グループの物理アンテナに関するチャネル状態を測定する測定ステップと、
を有するユーザ装置で使用される方法。
【符号の説明】
【0126】
103a,103b バッファ
105 スケジューラ
107a,107b チャネル符号化部
109a,109b データ変調部
111a,111b プリコーディング乗算部
113 サブキャリアマッピング部
114a 個別リファレンス信号生成部
114b 共通リファレンス信号生成部
115a,115b リファレンス信号多重部
117 IFFT部
119 CP付与部
121 無線部
201 デュプレクサ
203 無線部
205 受信タイミング推定部
207 FFT部
209 チャネル推定部(共通RS)
210 報知情報復号部(BCH)
211 制御信号復号部(PDCCH)
212 チャネル推定部(個別RS)
213 データチャネル検出部
215 チャネル復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリファレンス信号群に対応する第1のアンテナ群と、
第2のリファレンス信号群に対応する第2のアンテナ群と、
下り信号に含まれる複数のリソースブロック各々について、前記第1のリファレンス信号群に属するリファレンス信号を同じ配置パターンで多重し、かつ前記複数のリソースブロックのうち特定のユーザ装置に割り当てるリソースブロックについて、前記第2のリファレンス信号群に属するリファレンス信号を、前記配置パターンとは異なる別の配置パターンで多重するリファレンス信号多重部と、
前記第1及び第2のアンテナ群を用いて前記下り信号を送信する送信部と
を有する基地局。
【請求項2】
前記下り信号は、前記第1又は第2のリファレンス信号群と、共有データ信号と、該共有データ信号におけるリソーブロックの割り当て情報を示す制御信号とを含む、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記第1及び第2のリファレンス信号群と前記第1及び第2のアンテナ群との対応関係が、定期的又は非定期的に変更される、請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
第1のリファレンス信号群に対応する第1のアンテナ群と、第2のリファレンス信号群に対応する第2のアンテナ群とを有する基地局が実行する処理方法であって、
リファレンス信号多重部が、下り信号に含まれる複数のリソースブロック各々について、前記第1のリファレンス信号群に属するリファレンス信号を同じ配置パターンで多重し、かつ前記複数のリソースブロックのうち特定のユーザ装置に割り当てるリソースブロックについて、前記第2のリファレンス信号群に属するリファレンス信号を、前記配置パターンとは異なる別の配置パターンで多重するステップと、
前記第1及び第2のアンテナ群を用いて前記下り信号を送信部が送信するステップと
を有する処理方法。
【請求項5】
前記下り信号は、前記第1又は第2のリファレンス信号群と、共有データ信号と、該共有データ信号におけるリソーブロックの割り当て情報を示す制御信号とを含む、請求項4に記載の処理方法。
【請求項6】
前記第1及び第2のリファレンス信号群と前記第1及び第2のアンテナ群との対応関係が、定期的又は非定期的に変更される、請求項4又は5に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−110759(P2013−110759A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11387(P2013−11387)
【出願日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【分割の表示】特願2008−279968(P2008−279968)の分割
【原出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】