説明

移動通信方法、無線アクセスネットワーク装置及び交換局

【課題】移動局UEが、第1通信方式の移動通信システムから第2通信方式の移動通信システムへのRedirection後、即座に、第1通信方式の移動通信システムに戻ってきてしまうという問題点を解決する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、移動局が、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、第2通信方式の移動通信システムが、移動局に対して、所定信号によって、移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知する工程Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、無線アクセスネットワーク装置及び交換局に関する。
【背景技術】
【0002】
WCDMA(Wideband-CDMA)方式の移動通信システム及びLTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムが混在する移動通信システムでは、WCDMA方式の移動通信システムとLTE方式の移動通信システムとの間で、各移動局UEに対するInter-RAT(Radio Access Technology)モビリティ制御を行うことができるように構成されている。
【0003】
かかる移動通信システムにおいて、WCDMA方式の移動通信システムにおいてRRCコネクションを確立している状態の移動局に対して、LTE方式の移動通信システムへの「Redirection指示」を送信すると、かかる移動局UEは、WCDMA方式の移動通信システムにおいて確立していたRRCコネクションを解放し、LTE方式の移動通信システム配下のセルにおける待ち受けを開始するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-11072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の移動通信システムにおいて、移動局UEは、プロファイル情報の一種として管理している「優先度(Priority)」に基づいて、待ち受けを行うRATを決定するように構成されている。
【0006】
したがって、移動局UEが、上述のように、LTE方式の移動通信システムへの「Redirection指示」によって、LTE方式の移動通信システム配下のセルにおける待ち受けを開始した場合であっても、WCDMA方式の「優先度」が、LTE方式の「優先度」よりも高い場合には、移動局UEは、所定タイミングで、再度、WCDMA方式の移動通信システム配下のセルにおける待ち受けを開始してしまう。
【0007】
このように、上述の移動通信システムでは、第1通信方式の移動通信システムが、移動局UEに対して、第1通信方式(例えば、WCDMA方式)の移動通信システムから第2通信方式(例えば、LTE方式)の移動通信システムへの「Redirection指示」を送信した場合であっても、予め第2通信方式の「優先度」が第1通信方式の「優先度」よりも高いことを指示しなければ、移動局UEは、第2通信方式の「優先度」が第1通信方式の「優先度」よりも低いものとして管理してしまい、Redirection後、第1通信方式の移動通信システムに戻ってきてしまう、すなわち、第1通信方式の移動通信システム配下のセルにおける待ち受けを開始してしまうという問題点があった。
【0008】
また、第1通信方式の移動通信システムが、移動局UEに対して、予め第2通信方式の「優先度」が第1通信方式の「優先度」よりも高いことを指示した上で「Redirection指示」を送信した場合であっても、移動局UEが、第2通信方式の移動通信システムで自律的にRRCコネクションを確立しなければ、第2通信方式の移動通信システムで待ち受けを行っている状態に留まり、結果として、ユーザにとっては呼が切断されたように見えるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、移動局UEが、第1通信方式の移動通信システムから第2通信方式の移動通信システムへのRedirection後、即座に、第1通信方式の移動通信システムに戻ってきてしまうという問題点、及び、第2通信方式の移動通信システムへのRedirection後、移動局UEが待ち受け状態に留まってしまうという問題点を解決することができる移動通信方法、無線アクセスネットワーク装置及び交換局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、前記移動局が、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、前記第2通信方式の移動通信システムが、前記移動局に対して、所定信号によって、該移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知する工程Bとを有することを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の特徴は、移動通信方法であって、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、前記第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、前記第2通信方式の移動通信システムに対して、前記移動局に対して前記指示を行ったことを通知する工程Bと、前記第2通信方式の移動通信システムが、前記通知に応じて、前記移動局宛てのページング信号を送信する工程Cと、前記移動局が、前記ページング信号に応じて、前記第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置に対して、前記第2無線コネクションの確立を要求する信号を送信する工程Dとを有することを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置であって、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置からの指示に応じて、第2通信方式の移動通信システムに遷移し、前記第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、所定信号によって、該移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知するように構成されている優先度通知部を具備することを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置であって、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置から、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示を行った旨の通知を受信した場合に、該移動局宛てのページング信号を送信するように構成されているページング信号送信部を具備することを要旨とする。
【0014】
本発明の第5の特徴は、第2通信方式の交換局であって、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置からの指示に応じて、第2通信方式の移動通信システムに遷移し、前記第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置に対して、所定信号によって、該移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知するように指示する優先度通知部を具備することを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の特徴は、第2通信方式の交換局であって、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置から、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示を行った旨の通知を受信した場合に、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置に対して、該移動局宛てのページング信号を送信するように指示するページング信号送信部を具備することを要旨とする。
【0016】
本発明の第7の特徴は、第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置であって、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局の位置と第2通信方式の移動通信システム配下のセルの配置とに基づいて、該移動局に対して該第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示するべきか否かについて判断するように構成されている判断部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、移動局UEが、第1通信方式の移動通信システムから第2通信方式の移動通信システムへのRedirection後、即座に、第1通信方式の移動通信システムに戻ってきてしまうという問題点、及び、第2通信方式の移動通信システムへのRedirection後、移動局UEが待ち受け状態に留まってしまうという問題点を解決することができる移動通信方法、無線アクセスネットワーク装置及び交換局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る交換局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の変更例1に係る無線回線制御局の機能ブロック図である。
【図7】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0020】
本実施形態に係る移動通信システムは、第1通信方式の移動通信システム(無線アクセスネットワーク)として、WCDMA方式の移動通信システム(無線アクセスネットワーク)を具備し、第2通信方式の移動通信システム(無線アクセスネットワーク)として、LTE方式の移動通信システム(無線アクセスネットワーク)を具備している。
【0021】
具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、WCDMA方式の交換局SGSNと、WCDMA方式の無線アクセスネットワーク装置である無線回線制御局RNCと、LTE方式の交換局MMEと、LTE方式の無線アクセスネットワーク装置である無線基地局eNBと、WCDMA方式の交換局SGSN及びLTE方式の交換局MMEに接続されている移動管理サーバHLR(Home Location Register)とを具備している。
【0022】
なお、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、WCDMA方式の無線アクセスネットワーク装置として、無線回線制御局RNCの代わりに、フェムトセル用無線基地局NodeBを収容する装置HNB-GWが用いられていてもよいし、LTE方式の無線アクセスネットワーク装置として、無線基地局eNBの代わりに、フェムトセル用無線基地局eNBを収容する装置HeNB-GWが用いられていてもよい。
【0023】
本実施形態に係る移動通信システムでは、移動局UEに対するInter-RATモビリティ制御を行うことができるように構成されている。
【0024】
すなわち、本実施形態に係る移動通信システムでは、移動局UEは、WCDMA方式の移動通信システムとの間でRRCコネクションを確立している状態(例えば、Cell PCH状態)と、LTE方式の移動通信システムとの間でRRCコネクションを確立している状態(例えば、Connected状態)との間を遷移することができるように構成されている。
【0025】
図2に示すように、移動局UEは、プロファイル情報管理部11と、LTE方式用インターフェイス12と、WCDMA方式用インターフェイス13とを具備している。
【0026】
プロファイル情報管理部11は、移動局UEのプロファイル情報を管理するように構成されている。
【0027】
ここで、プロファイル情報管理部11は、移動局UEのプロファイル情報の一種として「優先度(Priority)」を管理するように構成されている。「優先度(Priority)」は、移動局UEにおいて待ち受けを行うRATを決定する際に用いられる優先度である。
【0028】
図1の例では、WCDMA方式の「優先度」は、LTE方式の「優先度」よりも高い。かかる状態では、移動局UEは、LTE方式の移動通信システム配下のセルにおける待ち受けよりも、WCDMA方式の移動通信システム配下のセルにおける待ち受けを優先的に行うように構成されている。
【0029】
LTE方式用インターフェイス12は、LTE方式の移動通信システムとの間のインターフェイスの役割を果たすものであり、WCDMA方式用インターフェイス13は、WCDMA方式の移動通信システムとの間のインターフェイスの役割を果たすものである。
【0030】
図3に示すように、交換局MMEは、プロファイル情報管理部21と、受信部22と、ページング信号送信部23と、優先度通知部24とを具備している。
【0031】
プロファイル情報管理部21は、所定の移動局UE、例えば、交換局MME配下のセルに在圏している移動局UEのプロファイル情報を管理するように構成されている。
【0032】
受信部22は、交換局SGSNや移動局UEや移動管理サーバHLR等によって送信された各種信号を受信するように構成されている。
【0033】
ページング信号送信部23は、無線回線制御局RNCから、「New Info」を受信した場合に、無線基地局eNBに対して、移動局UE宛てのページング信号を送信するように指示する。
【0034】
ここで、「New Info」は、移動局UEに対して特定の通信方式の移動通信システムに遷移するように指示した旨の通知である。
【0035】
例えば、「New Info」は、3GPPで規定されている「SPID(Subscriber Profile ID)」の更新指示によって通知されてもよいし、RANAP/S1の「Release Request」内の情報要素や「Cause値」によって通知されてもよい。
【0036】
優先度通知部24は、受信部22によって「New Info」が受信された後に、所定信号、例えば、移動局UEと無線基地局eNBとの間で確立されているRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知するように構成されている。
【0037】
例えば、受信部22によって受信された「New Info」が、移動局UEに対してLTE方式の移動通信システムに遷移するように指示した旨を示している場合、優先度通知部24は、「RRC Connection Release」によって、LTE方式の「優先度」をWCDMA方式の「優先度」よりも高くなるように通知するように構成されている。
【0038】
ここで、優先度通知部24は、上述の「優先度」として、移動局UEによって管理されている全てのRATの「優先度」を通知してもよいし、変更すべきRATの「優先度」のみを通知してもよいし、どのように各RATの「優先度」を変更すべきかを示す情報を通知してもよい。
【0039】
また、優先度通知部24は、受信部22によって「New Info」が受信された後に、移動局UEが無線基地局eNBによって送信されたページング信号に応じて確立したRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知してもよい。
【0040】
或いは、優先度通知部24は、受信部22によって「New Info」が受信された後に、移動局UEのLTE方式の移動通信システムへの位置登録処理を行う際に確立されたRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知してもよい。
【0041】
なお、図3に示す交換局MMEの機能は、移動管理サーバHLRやxGSN等のコアネットワーク装置の他の1つ又は複数の装置に設けられていてもよい。
【0042】
図4に示すように、無線基地局eNBは、受信部25と、ページング信号送信部26と、優先度通知部26とを具備している。
【0043】
受信部25は、移動局UEや交換局MME等によって送信された各種信号を受信するように構成されている。
【0044】
ページング信号送信部26は、交換局MMEからの指示に応じて、移動局UE宛てのページング信号を送信するように構成されている。
【0045】
優先度通知部27は、交換局MMEからの指示に応じて、所定信号、例えば、移動局UEとの間で確立されているRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知するように構成されている。
【0046】
ここで、優先度通知部27は、上述の「優先度」として、移動局UEによって管理されている全てのRATの「優先度」を通知してもよいし、変更すべきRATの「優先度」のみを通知してもよいし、どのように各RATの「優先度」を変更すべきかを示す情報を通知してもよい。
【0047】
また、優先度通知部24は、移動局UEがページング信号送信部26によって送信されたページング信号に応じて確立したRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知してもよい。
【0048】
或いは、優先度通知部24は、移動局UEのLTE方式の移動通信システムへの位置登録処理を行う際に確立されたRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知してもよい。
【0049】
なお、優先度通知部27は、ページング信号送信部26によって送信されたページング信号に応じて移動局UEから「RRC Connection Setup Complete」を受信した場合、交換局MMEからの指示によることなく、当該「RRC Connection Setup Complete」に係るRRCコネクションの解放信号「RRC Connection Release」によって、上述の「優先度」を通知してもよい。
【0050】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0051】
図5に示すように、ステップS1000において、移動局UEが、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクションを確立している場合に、ステップS1001において、無線回線制御局RNCが、移動局UEに対して、LTE方式の移動通信システムへの「Redirection指示」を含む「RRC Connection Release(当該RRCコネクションの解放信号)」を送信する。
【0052】
ステップS1002Aにおいて、移動局UEは、LTE方式の移動通信システムに遷移することを決定し、ステップS1003Aにおいて、移動局UEは、交換局MMEに対して、「Tracking Area Update」を送信する。
【0053】
その後、ステップS1004Aにおいて、交換局MMEは、移動管理サーバHLRに対して「Update Location Request」を送信し、ステップS1005Aにおいて、移動管理サーバHLRは、交換局MMEに対して「Update Location Answer」を送信する。この結果、移動局UEのLTE方式の移動通信システムに対する位置登録処理が完了する。
【0054】
一方、ステップS1002Bにおいて、無線回線制御局RNCは、交換局SGSNに対して、「New Info」を含む「Iu Release Request」を送信し、ステップS1003Bにおいて、交換局SGSNは、交換局MMEに対して、「New Info」を送信する。
【0055】
ここで、「New Info」は、移動局UEに対してLTE方式の移動通信システムへの「Redirection指示」を送信した旨を示す通知である。
【0056】
ステップS1004Bにおいて、交換局MMEは、「New Info」に応じて、移動局UEがLTE方式の移動通信システムに対して「Redirection処理」を行っている状態であると認識し、移動局UEのLTE方式の移動通信システムへの接続処理を開始することなく待機する。
【0057】
ステップS1006において、交換局MMEは、無線基地局eNBに対して、移動局UE宛てのページング信号を送信するように指示する。
【0058】
ステップS1007において、無線基地局eNBは、交換局MMEからの指示に応じて、移動局UE宛てのページング信号を送信する。
ステップS1008において、移動局UEは、受信したページング信号に応じて、無線基地局eNBに対して、「RRC Connection Request」を送信し、ステップS1009において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、「RRC Connection Setup」を送信し、ステップS1010において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、「RRC Connection Setup Complete」を送信する。
【0059】
ステップS1011において、無線基地局eNBは、交換局MMEに対して、移動局UEとの間のRRCコネクションの確立が完了したことを通知する。
【0060】
ステップS1012において、交換局MMEは、無線基地局eNBからの通知に応じて、無線基地局eNBに対して、当該RRCコネクションを解放するように指示する。
【0061】
ここで、WCDMA方式の移動通信システムにおいて移動局UEについての未送受信中のデータが存在している場合には、交換局MMEは、これらのデータの送受信を当該RRCコネクションを介して完了させた後に、無線基地局eNBに対して、当該RRCコネクションを解放するように指示してもよい。
【0062】
ステップS1013において、無線基地局eNBは、交換局MMEからの指示に応じて、移動局UEに対して、上述の「優先度」含む「RRC Connection Release」を送信する。
【0063】
その後、移動局UEは、受信した「RRC Connection Release」に含まれる「優先度」に基づいて、プロファイル情報として管理している「優先度」を更新する。
【0064】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEが、管理している「優先度」を、Redirection後の移動通信システムにおいて送信される「RRC Connection Release」に含まれる「優先度」に基づいて変更するため、移動局UEが、第1通信方式の移動通信システムから第2通信方式の移動通信システムへのRedirection後、即座に、第1通信方式の移動通信システムに戻ってきてしまうという問題点を解決することができる。
【0065】
(変更例1)
図6及び図7を参照して、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムの変更例1について説明する。以下、本変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0066】
図6に示すように、本変更例1に係る無線回線制御局RNCは、判断部31と、UEインターフェイス32とを具備している。
【0067】
判断部31は、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクションを確立している状態の移動局UEの位置とLTE方式の移動通信システム配下のセルの配置とに基づいて、移動局UEに対してLTE方式の移動通信システムに遷移するように指示するべきか否かについて判断するように構成されている。
【0068】
ここで、判断部31は、WCDMA方式の移動通信システム配下のセルの配置及びLTE方式の移動通信システム配下のセルの配置を管理するように構成されている。
【0069】
また、判断部31は、各セルにおいて提供されている通信サービスの種類について管理するように構成されている。
【0070】
したがって、判断部31は、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクションを確立しており所定通信を行っている状態の移動局UEの位置が、かかる所定通信を提供しているLTE方式の移動通信システム配下のセル内に対応すると判断した場合に、移動局UEに対してLTE方式の移動通信システムに遷移するように指示するべきであると判断してもよい。
【0071】
なお、判断部31は、移動局UEによって送信される「Cell Update」に基づいて、かかる移動局UEの位置を算出してもよい。
【0072】
UEインターフェイス32は、無線回線制御局RNC配下のセルに在圏する各移動局UEとの間のインターフェイスの役割を果たすものである。
【0073】
以下、図7を参照して、本変更例1に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0074】
図7に示すように、移動局UEは、ステップS2000において、「CELL FACH/PCH状態」である場合に、ステップS2001において、RACH(Random Access Channel)を介して、無線回線制御局RNCに対して、移動局UEにおける測定結果(例えば、隣接セルの無線品質の測定結果等)を含む「Cell Update」を送信する。
【0075】
ステップS2002において、無線回線制御局RNCは、「Cell Update」に含まれる測定結果を用いて算出された移動局UEの位置及びLTE方式の移動通信システム配下のセルの配置を参照して、移動局UEに対してLTE方式の移動通信システムに遷移するように指示するべきであると判断する。
【0076】
ステップS2003において、無線回線制御局RNCが、移動局UEに対して、LTE方式の移動通信システムへの「Redirection指示」を含む「RRC Connection Release(当該RRCコネクションの解放信号)」を送信する。
【0077】
ステップS2004において、移動局UEは、受信した当該「Redirection指示」を含む「RRC Connection Release」に応じて、無線基地局eNBに対して、「RRC Connection Request」を送信する。
【0078】
ステップS2005において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、「RRC Connection Setup」を送信し、ステップS2006において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、「RRC Connection Setup Complete」を送信する。
【0079】
ステップS2007において、無線基地局eNBは、交換局MMEに対して、移動局UEとの間のRRCコネクションの確立が完了したことを通知する。
【0080】
ステップS2008において、交換局MMEは、無線基地局eNBからの通知に応じて、無線基地局eNBに対して、当該RRCコネクションを解放するように指示する。
【0081】
ここで、WCDMA方式の移動通信システムにおいて移動局UEについての未送受信中のデータが存在している場合には、交換局MMEは、これらのデータの送受信を当該RRCコネクションを介して完了させた後に、無線基地局eNBに対して、当該RRCコネクションを解放するように指示してもよい。
【0082】
ステップS2009において、無線基地局eNBは、交換局MMEからの指示に応じて、移動局UEに対して、上述の「優先度」含む「RRC Connection Release」を送信する。
【0083】
その後、移動局UEは、受信した「RRC Connection Release」に含まれる「優先度」に基づいて、プロファイル情報として管理している「優先度」を更新する。
【0084】
(変更例2)
上述の第1の実施形態及び変更例1に係る移動通信システムでは、移動局UEがWCDMA方式の移動通信システムからLTE方式の移動通信システムに遷移するケースを例に挙げて説明したが、本発明は、かかるケースに限定されることなく、移動局UEがLTE方式の移動通信システムからWCDMA方式の移動通信システムに遷移するケースにも適用可能である。
【0085】
かかるケースでは、交換局SGSNが、図3に示す交換局MMEの機能を具備し、無線回線制御局RNCが、図4に示す無線基地局eNBの機能を具備するように構成されている。
【0086】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0087】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線回線制御局RNC(第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置)が、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1(第1無線コネクション)を確立している状態の移動局UEに対して、LTE方式(第2通信方式)の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、移動局UEが、無線基地局eNB(第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置)との間でRRCコネクション#2(第2無線コネクション)を確立した後、LTE方式の移動通信システムが、移動局UEに対して、所定信号(例えば、RRCコネクション#2の解放信号)によって、移動局UEにおいて待ち受けを行うRAT(通信方式)を決定する際に用いられる優先度を通知する工程Bとを有することを要旨とする。
【0088】
本実施形態の第2の特徴は、移動通信方法であって、無線回線制御局RNCが、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1を確立している状態の移動局UEに対して、LTE方式の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、無線回線制御局RNCが、LTE方式の移動通信システムに対して、移動局UEに対して上述の指示を行ったことを通知する工程Bと、LTE方式の移動通信システムが、かかる通知に応じて、移動局UE宛てのページング信号を送信する工程Cと、移動局UEが、自局宛てのページング信号に応じて、無線基地局eNBに対して、RRCコネクション#2の確立を要求する信号「RRC Connection Request」を送信する工程Dとを有することを要旨とする。
【0089】
本実施形態の第1又は第2の特徴において、工程Aにおいて、無線回線制御局RNCは、移動局UEの位置とLTE方式の移動通信システム配下のセルの配置とに基づいて、移動局UEに対して、上述の指示を行ってもよい。
【0090】
本実施形態の第3の特徴は、無線基地局eNBであって、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1を確立している状態の移動局UEが、無線回線制御局RNCからの指示に応じて、LTE方式の移動通信システムに遷移し、無線基地局eNBとの間でRRCコネクション#2を確立した後、所定信号(例えば、RRCコネクション#2の解放信号「RRC Connection Release」)によって、移動局UEにおいて待ち受けを行うRATを決定する際に用いられる優先度を通知するように構成されている優先度通知部27を具備することを要旨とする。
【0091】
本実施形態の第4の特徴は、無線基地局eNBであって、無線回線制御局RNCから、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1を確立している状態の移動局UEに対して、LTE方式の移動通信システムに遷移するように指示を行った旨の通知を受信した場合に、移動局UE宛てのページング信号を送信するように構成されているページング信号送信部26を具備することを要旨とする。
【0092】
本実施形態の第5の特徴は、交換局MME(第2通信方式の交換局)であって、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1を確立している状態の移動局UEが、無線回線制御局RNCからの指示に応じて、LTE方式の移動通信システムに遷移し、無線基地局eNBとの間でRRCコネクション#2を確立した後、無線基地局eNBに対して、RRCコネクション#2の解放信号によって、移動局UEにおいて待ち受けを行うRATを決定する際に用いられる優先度を通知するように指示する優先度通知部24を具備することを要旨とする。
【0093】
本実施形態の第6の特徴は、交換局MMEであって、無線回線制御局RNCから、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1を確立している状態の移動局UEに対して、LTE方式の移動通信システムに遷移するように指示を行った旨の通知を受信した場合に、無線基地局eNBに対して、移動局UE宛てのページング信号を送信するように指示するページング信号送信部23を具備することを要旨とする。
【0094】
本実施形態の第7の特徴は、無線回線制御局RNCであって、無線回線制御局RNCとの間でRRCコネクション#1を確立している状態の移動局UEの位置とLTE方式の移動通信システム配下のセルの配置とに基づいて、移動局UEに対してLTE方式の移動通信システムに遷移するように指示するべきか否かについて判断するように構成されている判断部31を具備することを要旨とする。
【0095】
なお、上述の移動管理サーバHLRや交換局SGSNや無線回線制御局RNCや交換局MMEや無線基地局eNBや移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0096】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0097】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動管理サーバHLRや交換局SGSNや無線回線制御局RNCや交換局MMEや無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動管理サーバHLRや交換局SGSNや無線回線制御局RNCや交換局MMEや無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。
【0098】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0099】
UE…移動局
11、21…プロファイル情報管理部
12…LTE方式用インターフェイス
13…WCDMA方式用インターフェイス
MME…交換局
eNB…無線基地局
22、25…受信部
23、26…ページング信号送信部
24、27…優先度通知部
RNC…無線回線制御局
31…判定部
32…UEインターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、
前記移動局が、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、前記第2通信方式の移動通信システムが、前記移動局に対して、所定信号によって、該移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知する工程Bとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示する工程Aと、
前記第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置が、前記第2通信方式の移動通信システムに対して、前記移動局に対して前記指示を行ったことを通知する工程Bと、
前記第2通信方式の移動通信システムが、前記通知に応じて、前記移動局宛てのページング信号を送信する工程Cと、
前記移動局が、前記ページング信号に応じて、前記第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置に対して、前記第2無線コネクションの確立を要求する信号を送信する工程Dとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項3】
前記工程Aにおいて、前記第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置は、前記移動局の位置と前記第2通信方式の移動通信システム配下のセルの配置とに基づいて、該移動局に対して、前記指示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動通信方法。
【請求項4】
第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置であって、
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置からの指示に応じて、第2通信方式の移動通信システムに遷移し、前記第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、所定信号によって、該移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知するように構成されている優先度通知部を具備することを特徴とする無線アクセスネットワーク装置。
【請求項5】
第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置であって、
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置から、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示を行った旨の通知を受信した場合に、該移動局宛てのページング信号を送信するように構成されているページング信号送信部を具備することを特徴とする無線アクセスネットワーク装置。
【請求項6】
第2通信方式の交換局であって、
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局が、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置からの指示に応じて、第2通信方式の移動通信システムに遷移し、前記第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第2無線コネクションを確立した後、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置に対して、所定信号によって、該移動局において待ち受けを行う通信方式を決定する際に用いられる優先度を通知するように指示する優先度通知部を具備することを特徴とする交換局。
【請求項7】
第2通信方式の交換局であって、
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置から、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局に対して、第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示を行った旨の通知を受信した場合に、第2通信方式の無線アクセスネットワーク装置に対して、該移動局宛てのページング信号を送信するように指示するページング信号送信部を具備することを特徴とする交換局。
【請求項8】
第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置であって、
該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置との間で第1無線コネクションを確立している状態の移動局の位置と第2通信方式の移動通信システム配下のセルの配置とに基づいて、該移動局に対して該第2通信方式の移動通信システムに遷移するように指示するべきか否かについて判断するように構成されている判断部を具備することを特徴とする無線アクセスネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−259499(P2011−259499A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191863(P2011−191863)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【分割の表示】特願2009−191943(P2009−191943)の分割
【原出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】