説明

移植可能な軟骨組織修復デバイス

生物学的適合性を有し、生物吸収性である三次元の絹または他のファイバー層部分、および物学的に適合性で生物吸収性で実質的に多孔性の絹に基づいたヒドロゲルまたは他のヒドロゲルであって部分的又は実質的にファイバー層部分の間隙を満たすにヒドロゲルを含み、デバイスを寛恕の骨にしっかりと取り付ける一体的な手段を有するか又は有しない軟骨組織修復デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、損傷を受けたか又は病気の軟骨の治療、再生のための外科的デバイスおよびそのようなデバイスの製造法に一般に関する。本発明は、特に、関節軟骨、膝半月板、顎関節または椎間板の修復に適用可能な、損傷を受けた軟骨の置換、部分的な置換または形成用のデバイスに関する。
【0002】
本発明の背景
成体の哺乳類の身体中の軟骨は3つの主要な形状で生じる:硝子軟骨;白色の線維軟骨;および黄色の弾性軟骨。硝子軟骨は、股関節部と肩関節部の滑膜の可動な関節中、および長骨間の堅く滑らかな関節で繋ぐ表面を形成する場所で、関節軟骨として主として存在する。白色の線維軟骨は、顎の顎関節、膝の半月板中、および椎間板中に存在する。黄色の弾性軟骨は、喉頭蓋、エウスタキオ管および外耳に支持を提供する。
軟骨傷害に関する3つの病理学的条件は非常に一般的である:関節軟骨の骨関節炎;膝半月板線維軟骨への傷および、椎間板の虚脱、断裂またはヘルニア形成。
骨関節炎は、関節軟骨の進行性の損傷および破壊によって、股関節部と膝に最も一般に引き起こされ、高齢者の痛みおよび減じられた可動性の重要な原因である。半月板の繊維軟骨への傷は一般的なスポーツ損傷で、交通事故の結果としても見られる。
【0003】
関節軟骨の構造および機能は、Hasler EM,Herzog W,Wu JZ, Muller W,Wyss U.1999による「関節軟骨バイオメカニクス:理論モデル、物質特性および生合成反応(Articular cartilage biomechanics:Theoretical models,material properties,and biosynthetic response)」、Critical Reviews In Biomedical Engineering vol 27 part 6 415−488頁に記載される。関節軟骨は比較的固い骨の間の比較的摩擦がない、高度に潤滑された、摩擦抵抗性のある表面を提供するために高度に特殊化されている。さらに、それは、荷重された接触から生ずる力を、周囲の軟骨および肋軟骨下の骨梁骨に伝え、分散させるように作用する。硝子軟骨は、衝撃からの骨への力を制限するショックアブソーバーの役割をするとは思われない。これは、骨の体積と比較して軟骨の、エネルギーを消費するための体積が非常に小さいため、およびそれが実際には歪速度の増大と共に剛性を大きくするためであり、これはショックアブソーバーとして使用のために不適当な物質にしている。関節軟骨は、主に、タイプIIコラーゲン、プロテオグリカンおよび他の糖タンパク質を含んでいる固相中に散在する水と電解質から主として成る流動性相から大部分ができている非血管性の結合組織である。高度に専門化された間葉細胞によって後の成分は囲まれ、隠蔽され、軟骨細胞は関節軟骨の体積の数10%を占める。健康な関節軟骨は強く、堅い(1〜20MPaの間のモジュラス)。関節内での膠原細線維の配置は、その機能にとって本質的である。それらはカラムを形成する複雑なアーケード構造に配置され、通常骨軟骨関節内に配置され、アンカーされる。これらのカラムは、軟骨の深葉を走って通る。しかし、主要な線維配向は徐々に変化し、軟骨浅葉中にアーケード構造のアーチを形成する。関節窩に接する浅葉では、膠原細線維の網状組織ははるかに密である。その一方で繊維は軟骨表面にほぼ完全に正接している。関節軟骨中のコラーゲンの配向はその機械的な機能に不可欠である。
【0004】
骨関節炎において損傷を受けた関節軟骨の交換のための満足の行く手順は存在しない。また、人工の大顎内葉による代替えは股関節部および膝関節の全体を交換するために最も一般に使用される。一方、これらは可動性を増大し、痛みを低減するが、また進行する摩耗、機械的な故障、逆の組織反応および骨との接触面での緩みの悪影響を受ける。
【0005】
膝関節の半月板は、大腿顆と脛骨プラトーの間に置かれたC−形の盤で、圧縮荷重の分散、衝撃吸収、潤滑用の滑液の安定化および分泌の機能を有する。半月板の構造、機能および病理学はS.M.BahgiaおよびM.Weinick,Y.Xing,およびK.Gupta(2005) Meniscal Injury,E−medicine World Library,27th 7月 2005,http://www.emedicine.com/pmr/topic75.htm.により調査された。外側のリムは脈管であり、中央部は無血管の繊維軟骨である。タイプIコラーゲン(非関節軟骨の原繊維性のコラーゲン)は、半月板のコラーゲンの約70%から90%を占める。ほとんどのコラーゲンはより少数の半径方向の結合ファイバーを有するロープ状の円周のファイバーとして配置される。関節軟骨では、コラーゲン配向は、この構造の機械的な機能および固定のために非常に重要である。半月板の圧縮は、円周のファイバーへの輪状の張力荷重、および半径方向のファイバーへの半径方向の荷重を導き、半月板の拡がりと屈曲に抵抗する。したがって、半月板が荷重を広げて、エネルギーを散らす能力は、膠原線維層の一体性に依存する。この理由のため、これらのファイバーの損傷は、正常な荷重分散と衝撃を吸収する機能が害されるため、関節丘の軟骨への続発性の骨関節症の危険を増大させる。半月大腿靭帯は、堅く大腿顆に外側半月の後角を固着させる。また、冠状靭帯は、脛骨へ半月板リムの周縁を固着する。半月板の損傷は成人においてかなり一般的で、スポーツと関連して最も頻繁に起こる。それらは形態学的に正常な半月板を有する10歳以上の子供においてそれほど一般的でなく、また10歳未満の子供においてはまれである。(Iobst、C.A.およびStanitski(C.L)、2000年、Acute knee injuries.Clin Sports Med.2000年、10月;19(4):621−35)。
【0006】
損傷を受けた半月板の外科治療は多くの場合必要である。全体または一部の膝関節半月板切除は約40年前に一般的だったが、この手術が、関節軟骨変性に結びつくことは現在よく理解されている(King,D.Clin.Orthop.1990,252,4−7;Fairbank,T.J.J.Bone Joint Surg.Br.1948,30,664−670)。軟骨の再生程度は、どれだけの組織が除去されたかに依存するように見える。そのため、部分的な膝関節半月板切除が選択される現在の手術である。しかしながら、部分的な膝関節半月板切除でさえ、長期的な結果としては続発性骨関節症が生ずる。そのため、部分的な膝関節半月板切除のよりよい代替え方法が求められている。同種移植片移植はかなり成功した代案である。しかしながら、半月板の同種移植片への置換が、半月板の重要な機能のうちのいくつかを再度確立し、それにより続発性の膝関節半月板切除に至る骨関節炎の再発を防ぐか、低減するという証拠はない(Messner,K.およびGao,J.1998 The menisci of the knee joint.Anatomical and functional characteristics,and a rationale for clinical treatment.Journal of Anatomy,193:161−178)。主要な問題は、劣った構造、生化学および機械的性質および骨への不十分な固着に帰結する移植片の改造の不足である。さらなる不都合としては、適当なドナーの不足、貯蔵技術に関する困難、疾病の転移の可能性、ドナーに適合するインプラントの賦形の困難さおよびインプラントへの起こりうる免疫反応があげられる(Stone,K.R.Clin.Sports Med.1996,15,557−571)。
【0007】
人工膝関節全置換は、複雑でない半月板の傷のための治療と見なすことができない。ダクロンおよびテフロンの半月板補綴成分は重い滑膜の反応を介する場合がある(Cook,J.L.,Tomlinson,J.L.,Kreeger,J.M.,およびCook,C.R.1999.The American Journal of Sports Medicine 27:658−665 Induction of meniscal regeneration in dogs using a novel biomaterial)。また緩みおよび機械的な破損も問題である(de Groot,J.H.1995 Doctoral dissertation. University of Gronigen,Summary pl53)。
【0008】
コラーゲン、テフロンファイバー、炭素繊維、強化されたポリエステル、またはポリウレタンでコーティングされたダクロンから作られた部分的または全体の半月板の置換は、固着不良、機械的な破損または激しい炎症反応に起因する高い失敗率を示した。
【0009】
両親媒性のウレタン・ブロック共重合体に基づいたエラストマーが、半月板の修復のために示唆され、動物モデルでテストされた。(Heijkants,R.G.J.C.2004、半月板改造物質としてのポリウレタン足場(Polyurethane scaffolds as meniscus reconstruction materials),Ph.D.Thesis, University of Groningen,オランダ国,MSC Ph. D.−thesis series 2004−09;ISSN:1570−1530;ISBN:90 367 2169 5,10章 167−184頁)。これらの物質はダクロンまたはテフロンより有毒でない分解産物を生産するだろう。しかしながら、テストされたポリウレタン類の機械的性質は生来の半月板とあまり一致しなかった。また、正常な半月板中のよく配向されたコラーゲンの代わりに移植されたデバイス中での再生された線維軟骨中で見られる、配向が不良なコラーゲンの理由を説明する。さらに可能性のある問題は、ポリウレタン物質がステージIの炎症反応(巨細胞およびいくつかのマクロファージ)を起こすことであった。
【0010】
最近、再生用の基体としての生物学的に適合性の移植片の使用並びに改造および治療の促進のための細胞の追加を含む半月板の修復用の細胞工学戦略が示唆された。
しかしながら、正常な半月板の機能の回復へのこれらの新規な修復戦略の寄与については公知ではない。(Setton,L.A.,Guilak,F,Hsu,E.W.Vail,T.P.(1999)Biomechanical Factors in Tissue Engineered Meniscal Repair.Clinical Orthopaedics & Related Research.(367S) supplement:S254−S272,10月、1999)。
【0011】
米国特許4,344,193(ケネディ/ダウケミカル)は、全体の内部人工器官関節置換術ではなく半月板の人工器官についてのアイデアを示す最初の特許出願と思われる。示唆された半月板の人工器官は、強化されていないシリコーンゴムである。この物質は低い生体適合性を有しており、激しい滑膜の反応を引き起こすだろう。
【0012】
米国特許4,502,161(ウォール)は、埋め込まれたステンレス鋼ストランド、ナイロンまたは織物で強化されたシリコーンゴム、ゴムまたはポリエチレンテレフタレートの半月板の人工器官を開示する。示唆された物質は低い生体適合性を有しており、激しい滑膜の反応を引き起こすだろう。
【0013】
WO89/00413(ストーン/レゲンバイオロジーズ社)は、コラーゲン・タイプI線維であって、重合されたグリコサミノグリカン分子から成る架橋によって相互に連結された三次元配列で作られた補綴半月板を示す。生体内で、マトリックスは天然の半月板のそれと同じ外側の表面輪郭を本質的に有している。マトリックスは、半月板の線維軟骨の内殖に適応された部分的に再吸収可能な足場を提供する。構築物が規定された形およびサイズを有することがある一方、機械的性質、特に圧縮モジュラスは軟骨のそれに近付かない。
【0014】
米国特許4、919、667(リッチモンド/ストライカー)は、ポリウレタンと結合するポリエステルから構成された半月板の人工器官を開示する。ポリエステルは、織物の最上層とポリエステルの最下層の間にはさまれた1つ以上の中間層中にフェルトとして配置される。ポリエステルおよびポリウレタンは、米国特許4,502,161の物質より生物学的に適合性だろう。
【0015】
米国特許6,306,169(リー)は、多孔性のマクロ構造物から成るインプラントであって、孔が水和されたゲルで充填されるものを開示する。マクロ構造物は、生物吸収性のポリマー(コラーゲン、ゼラチン、ポリL−乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブタレートまたはポリアンハイドライド)、および非多孔性の、アルギン酸塩、アガロース、カラゲーニン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、ポリエチレン酸化物またはコラーゲンモノマーから成る水和されたゲルから作られる。この構造は、WO 89/00413の構造物の機械的性質を改良するが、軟骨のそれには及ばない。
【0016】
米国特許6,514,515および米国特許6,867,247(ウィリアムズ)は、組織修復のためのポリヒドロキシアルカノエートの生物吸収性で生物学的に適合性のポリマーの使用を示す。そのようなポリマーは特定の機械的性質を有するために調節されることができる。
【0017】
米国特許6,679,914(ギャビー)は、アルデヒドによって架橋された動物心膜の複数の重ねられたシートを含む半月板の人工器官を開示する。
WO 00/72782(ウォロワック/スミスアンドネフュー)は、整列された線維を含む柔軟なテープから成る結合組織の全置換または強化のための生物学的に適合性の再吸収可能な移植可能な物質を開示する。この出願は、それらより細胞が物質内に組み込まれる「キャリア媒体」としてのヒドロゲルの使用に言及する。
【0018】
椎間板の構造および機能は、Matcher,SJ,Winlove,CP and Gangnus,SV.,(2004)の、「偏光感受性の光干渉断層撮影を使用して研究された牛の椎間板のコラーゲン構造(The collagen structure of bovine intervertebral disc studied using polarization−sensitive optical coherence tomography)」によって調査された。
【0019】
盤は内側の部位(線維輪により囲まれた髄核)を含む。内側の髄核は、微細なタイプII膠原細線維の乱れたネットワークの中に閉じ込められたプロテオグリカンから構成された粘弾性ゲルである。対照的に、外側の線維輪は軸方向に同心のラメラから成り、タイプIコラーゲンのより大きな筋原繊維から造られ、プロテオグリカンの有意に低い濃度を有する。ファイバーは、線維輪の各ラメラ内に互いに平行に、盤の軸へ一定の角度を為して伸びる。この角度はラメラとラメラ間で交互になり格子状の構造を与え、盤が軸方向に圧縮されるとファイバー角度が増加するようにされる。したがって、椎間板は半月板と多少類似する構造および機能を有し、流体で満たされた圧力容器として作用し、軸方向の圧縮力を環帯輪の同心のラメラのコラーゲン中の引っ張り力に変換するように機能する。盤の最上層および最下層の環帯輪の膠原線維は、隣接した脊椎骨の椎体の骨端の骨に堅く固着される。WO 2005/094911(ナイト/オックスフォードバイオマテリアル社)は、アクリルまたは架橋された蛋白質マトリックス中の1つ以上の絹エレメントを含む複合材料および、広範囲の移植可能なデバイスにおけるその使用を開示する。この出願は、インテグリン結合されたトリペプチドRGDで天然に修飾されたある種の野蚕糸の使用を教示する。野蚕糸中のこのトリペプチドは、間葉系細胞と他の細胞の結合を容易にする。
したがって、関節軟骨、椎間板および半月板の修復または置換に使用される、移植可能な物質およびデバイスにおける改良の相当な機会がある。
【0020】
本発明の目的は、先行技術デバイスのものよりも、治療される組織の解剖学的な要件により近い機械的性質を有する、移植可能な軟骨組織修復デバイスを提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、本質的に生物吸収性の移植可能な軟骨組織修復デバイスであって、少なくとも自己由来のコラーゲンおよびプロテオグリカン(すなわち患者自身の体によって生産されたコラーゲンおよびプロテオグリカン)の、少なくともデバイスのいくつかの部分への徐々の浸潤および置換を、先行技術デバイスと比較してより効果的に許容し促進するものを提供することである。
【0022】
別の態様では、本発明の目的は、少なくとも部分的に生物吸収性で、患者の骨に取り付けまたは固着されるための有効な手段を有している移植可能な組織修復デバイスを提供することである。
【0023】
本発明の要約
本発明は、生物学的適合性を有し、少なくとも部分的に生物吸収性である三次元のファイバー層部分であって、生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性で実質的に多孔性のヒドロゲルにより、少なくとも部分的に浸潤されるファイバー層部分を含み、使用時には細胞がデバイスの孔内に含まれている、移植可能な軟骨組織修復デバイスを提供する。
【0024】
別の態様では、本発明は以下の工程を含む移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法を提供する:
フェルトを捲くか織るか圧縮する方法、または布帛の層をねじるか結合するか編むか縫うかまたは刺繍する方法の1つ又は複数の方法により、生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のファイバーから三次元のファイバー層部分を形成する工程:生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性で、実質的に多孔性のヒドロゲルを調製する工程;および前記三次元のファイバー層部分の生産中または生産の後のいずれかに前記三次元のファイバー層部分を、生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性であり、実質的に多孔性のヒドロゲルで浸潤する工程。
【0025】
別の態様では、本発明は以下の工程を含む、移植可能な組織修復デバイスの製造方法を提供する;
(I) フェルトを捲くか織るか圧縮する、または布帛の層をねじるか結合するか編むか縫うか刺繍する工程の1つ又は複数の方法により、生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性のファイバーから三次元のファイバー層部分を形成する工程、
(II) 生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のヒドロゲルを調製する工程、
(III) 前記の三次元のファイバー層部分の生産の間または生産の後のいずれかに、三次元のファイバー層部分を前記の生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のヒドロゲルで浸潤する工程、および
(IV) 移植可能な組織修復デバイスの少なくとも1つの表面をミネラル化する工程であって、
(IVa) バッファーされたリン酸塩溶液を調製する工程、
(IVb) 該バッファーされたリン酸塩溶液を移植可能な組織修復デバイスの表面内に含まれるヒドロゲルに加える工程、
(IVc) 移植可能な組織修復デバイスの表面を制御して冷凍および/または乾燥する工程、
(IVd) 移植可能な組織修復デバイスの表面をバッファーされた塩化カルシウム溶液に暴露する工程。
【0026】
本発明の別の態様では、生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のファイバー層部分であって、生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のヒドロゲルにより少なくとも部分的に浸潤されたファイバー層部分、および該ファイバー層部分および/または該ヒドロゲルを骨に付着させるための少なくとも1つのミネラル化された表面を含む一体化された付着手段を含む移植可能な組織修復デバイスを提供する。
【0027】
別の態様では、本発明は生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性の、ミネラル化されたヒドロゲルを含む移植可能な組織修復デバイスを提供する。
【0028】
別の態様では、本発明は以下の工程を含む移植可能な組織修復デバイスの製造方法を提供する:
(I)生物学的に適合性の、少なくとも部分的に生物吸収性のヒドロゲルを調製する工程、
(II) 以下の工程によりヒドロゲルをミネラル化する工程、
(IIa)バッファーされたリン酸塩溶液を調製する工程、
(IIb)該バッファーされたリン酸塩溶液をヒドロゲルに加える工程、
(IIc)ヒドロゲルを制御して冷凍および/または乾燥する工程、および
(IId)ヒドロゲルをバッファーされた塩化カルシウム溶液に暴露する工程。
【0029】
本発明の他の望ましく有利な実施態様は、従属クレーム2から19、21から26および28に記載される。
【0030】
本発明は、先行技術デバイスのものよりも治療される組織の解剖学的な要件に近い機械的性質を移植可能な軟骨組織修復デバイスに提供する。確かに、本発明の適切に構成されたデバイスは、移植した時から交換された組織の機械的な機能を発揮することができる。
【0031】
本発明は、さらに実質的に生物吸収性の移植可能な軟骨組織修復デバイスであって、自己由来のコラーゲンおよびプロテオグリカン(すなわち患者自身の体によって生産されたコラーゲンおよびプロテオグリカン)による、少なくともデバイスのいくつかの部分への徐々の浸潤および置換を、先行技術デバイスと比較してより効果的に許容し促進するものを提供する。ヒドロゲルの多孔質性は、特に間葉または幹細胞による浸潤を許容する。
【0032】
本発明は、応力遮蔽の問題を回避し、それにより複合組織の異なる位置に適切な正確な結合組織にデノボ形成を促進するため、人工器官の全体にわたって適切な応力/歪環境を提供するために、人工器官の機械的性質を局所的に調整することができる複合材料構造物デバイスを提供する。
【0033】
三次元のファイバー層部分および拘束された多孔性のヒドロゲルは、移植可能なデバイスに軟骨様の特性を与え、圧縮荷重の間にそれがストレスを分配することを可能とし、半月板と椎間板の場合にはショックアブソーバーの役割を果たすことを可能とする。
【0034】
いくつかの実施態様では、天然の組織中の膠原線維の配向は、本発明の移植可能なデバイスの中で模倣され、天然の組織のものに類似する異方性の機械的性質を与える。
【0035】
本発明のいくつかの実施態様では、本発明は少なくとも部分的に生物吸収性の移植可能な組織修復デバイスを提供し、それは患者の骨に取り付けられるか固着されるための有効な手段を有している。
【0036】
いくつかの実施態様では、移植可能なデバイスを患者の骨に堅く取り付けるアンカー手段は、多くの整形外科のデバイスの執拗な弱さを克服することを支援し、骨/人工器官接触面での機械的な損傷を克服することを支援する。デバイスをしっかりと取り付けるか固着するそのような一体化手段のミネラル化作用は、本発明のいくつかの実施態様の中で使用される時、強靱な、耐圧縮性の物質を提供する。これはさらに骨の中に開けられた穴へのポリ乳酸ねじ(ポリスクリュー)または等価なデバイスの固定を容易にし、それにより強く強靱な骨への付着を提供する。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様においては、強く、弾性のある強靱な絹繊維の高密度の三次元の繊維層部分は、絹繊維に架橋された多孔性のヒドロゲル・マトリックスを閉じこめ、高い弾性率の強靱な弾力のある複合材料を与える。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様では、三次元のファイバー層部分中の絹繊維および/または絹タンパク質ヒドロゲルの再吸収速度は、制御された共有結合の架橋、β−シート結晶の制御された形成により局部的に調節することができ、および/または疎水性の側鎖でアルキル化することによりタンパク質の疎水性を調節することにより調整することができる。これは応力遮蔽のない再吸収中において、新しく形成される結合組織へストレスを順番に渡すためのプランニングを可能にする。
【0039】
いくつかの実施態様では、局部的に特定される生長因子は、移植可能なデバイスの一部またはすべてに組み入れられる。これは適切な細胞の漸増、分化および分泌を促進し、したがって局部的に適切な結合組織へのデバイスの経時的な転換をさらに促進する。
【0040】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の記述および図面の考察から明白になるだろう。それは例示を通して、膝半月板(「半月板の修復デバイス」)、椎間板(「椎間板修復デバイス」)および関節軟骨(「関節軟骨修復デバイス」)を治療するか交換するための移植可能な軟骨組織修復デバイスを提供する。例示的な実施態様は多孔性の再生された絹フィブロインヒドロゲルによって浸潤された野蚕糸ファイバーの、三次元のファイバー層部分からなる。
【0041】
発明の詳細な説明
図1および2は、本発明による半月板の修復デバイスの実施態様の、それぞれの模式的な平面図および横断面の透視図である。
円周(8)および半径方向(図示せず)での絹繊維の三次元のファイバー層部分は、部分的に多孔性の再生された絹フィブロインヒドロゲルで、および部分的に非多孔性の再生された絹フィブロインヒドロゲルで湿潤されたデバイスを形成する。
【0042】
図1および2のデバイスは、多孔性の辺縁のバンド(6)に取り付けられた冠状靭帯類似体(1)から成り、これは順に中央の非多孔性の部位(2)および半月大腿靭帯類似体(4)の両方に取り付けられる。多孔性の辺縁のバンド(6)の非−多孔性部位への付着は、多孔性の辺縁のバンド(7)との境界線に沿って生じる。中央の型台(3)は半月板の修復デバイスの製造を容易にするために使用された。この中央の型台(3)は、切断線(5)に沿って、使用前に削除される。
【0043】
したがって、解剖学的に賦形された半月板の修復デバイスは、バイオミメティクスなファイバー層部分と、ファイバー層部分のファイバーとの間に存在する多孔性のヒドロゲルからなる。ファイバー層部分は、人間の半月板中の膠原線維を模倣する。したがってファイバー層部分のファイバーの配向は本質的に円周方向であり、より少数の半径方向に配向されたファイバーで円周部分のファイバーが縫われるか又は織られている。半径方向のファイバーは、円周部分のファイバー間にヒドロゲルを収容する空いたスペースを維持する役目をする。
【0044】
ファイバーの円周方向の配向は、半月大腿靭帯類似体(4)(デバイスの三日月形の部分の1つまたは両方の角の欄外のフランジまたは伸張部)へ続き、骨へデバイスを固着する手段を提供する。半月大腿靭帯類似体(4)は、模擬体液にディッピングまたは浸すことによってハイドロキシアパタイトでミネラル化される。
バイオミメティックなファイバー層部分は半月板の修復デバイスに、天然の膝半月板のものに類似する異方性の機械的性質を与える。
【0045】
半月板の修復デバイスのファイバー層部分では、巻かれて横たわされた円周部分の複数のファイバー(8)と、縫われた半径方向の複数のファイバーをその周囲に巻いて縫い、半径方向の複数のファイバーを円周部分の複数のファイバー内に入れ、それらを互いに結ぶ。半月板の修復デバイスは、織り、ねじり、組紐、編み物、または刺繍またはこれらの組み合わせにより異なる方法で生産することができる。
【0046】
ファイバー層部分も布帛の連続した層を縫い合わせることにより生産することができる。この場合、ファイバー層部分中のファイバーの円周部分の配向は、横糸ファイバーより高密度の縦糸ファイバーを使用した布帛を使用し、縦糸ファイバーが配向してほぼ円周方向になるように布帛それ自体を折ることにより達成される。
【0047】
デバイスのファイバー層部分は生物吸収性絹繊維、たとえば、強く強靱なポリアラニン絹繊維で構成される。このフィブロインは少なくとも8つのインテグリン結合トリプレットRGDの繰り返しを有する。あるいは、これらは天然のクワ絹の、別の天然の野蚕糸の、または天然のスパイダー・シルクのファイバーであることができる。あるいは、それらは再生されたクワシルク、野蚕シルクまたは、スパイダー・シルクから成形された繊維、または、桑シルク、野蚕シルクまたはスパイダー・シルクのタンパク質に基づいた組み換えタンパク質またはこれらの組み合わせから成形された繊維であることができる。
【0048】
絹繊維は軽く互いの周りによじった6から9の繭糸からなる精練したシルクまたは生糸のストランドからなる。あるいは、絹ファイバー層部分は絹のスライバー・ファイバーから、絹のスライバー・ファイバーをよじることにより形成される絹糸から、絹のモノフィラメントから、互いによじられた絹のモノフィラメントから、精練されていない繭糸から、精練されたシルクブリンから、互いによじられた前記のストランドの2−8本から形成された糸から、または互いに編まれるか組まれた絹糸から形成されることができる。
【0049】
ヒドロゲルは開気孔構造を有しており、クワ蚕、野蚕、またはスパイダー・シルクからの生来または再生された絹フィブロインから成る。あるいは、ヒドロゲルは、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩またはこれらの組み合わせから成ることができる。
多孔性のヒドロゲルが蛋白質の場合、共有結合の架橋剤中に浸漬することによって架橋することができる。
多孔性のヒドロゲルがフィブロインで構成される場合、それは30−70%のエタノールで処理することにより水素結合によって架橋されることができる。
【0050】
どちら形態の架橋も、ヒドロゲルおよび絹ファイバー層部分の機械的性質および再吸収時間に影響を及ぼす。一連の異なる架橋剤が異なる組成のヒドロゲルを架橋するために使用することができる。例えば、以下があげられる:脂肪族アルデヒド類、ジアルデヒド類、カルボジイミド類、琥珀酸イミド、琥珀酸アミド、過酸化水素の存在下でのペルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、フェノールオキシダーゼ、フェノラーゼ、チロシナーゼおよび/またはフェントン反応触媒。
【0051】
再吸収時間も、疎水性側鎖でアルキル化することにより1つ又は複数のタンパク質の疎水性を変えることにより調節することができる。絹タンパク質内のアミノ酸の親水性のカルボキシル、ヒドロキシル、アミンおよびスルフィドリル側鎖は、そのようなアシル化のサイトとして使用されることができる。あるいは、広範囲の単官能性、二官能性、または多官能性のアシル化剤は、タンパク質の疎水性を増加させるために使用されることができる。二または多官能性のアシル化剤の場合には、これらはタンパク質成分を架橋するという付加的作用が得られる。タンパク質の疎水性を増加させるために使用することができるアシル化剤としては、たとえばアリール化剤およびアルキル化剤があげられる。タンパク質の疎水性を増加させるのにふさわしいさらなるアシル化剤としては、ペルフルオロブタノイルクロライド、ラウロイルクロライド、ミリストイルクロライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジアミノジフェニルオキサイド、脂肪族および二官能性のイソシアネート、ドデシルイソシアネート、ヘキサメチレン・ジイソシアナート、脂肪族の酸無水物およびオクタデセニル無水コハク酸があげられる。
【0052】
1つ以上の生長因子が、デバイス(2、6)のボディのヒドロゲルに加えられるか、または共有結合される。これらの生長因子は、間充織または幹細胞の結合および/または分化を刺激し、形状軟骨を形成するかまたはプロトグリカンを分泌する。適当な生長因子としては、β−FGF、TGFベータ 1、GDF−5、インスリン様成長因子、塩基性の繊維芽細胞成長因子、軟骨組織生長因子または骨形成タンパク質−1があげられる。生長因子と類似する機能を有する1つ以上の合成薬品が、天然の生長因子の機能を置き換えるかまたは増大するために使用されてもよい。
【0053】
同様に、1つ以上の共有結合で結合された生長因子が、デバイス(1,4)の周縁のフランジまたは伸張部に組み入れられる。これらの生長因子は、間充織または幹細胞の漸増、結合および/または分化を刺激し、正常な骨を分泌する。適当な生長因子としては、骨形態形成タンパク質、TGF−ベータ、上皮成長因子、インスリン様成長因子、増殖/分化因子−10またはRunx2(Cbfa1/AML3)転写因子があげられる。生長因子に類似する機能を備えた共有結合で結合された1つ以上の合成薬品が、天然の生長因子を交換するか増大するために使用されてもよい。
【0054】
生細胞は、改質された細胞培養メディア中に追加された、ゲル化していないフィブロインおよびアルギン酸塩モノマーの溶液に直接加えられることができる。その後、生じる細胞懸濁液は、ファイバー層部分を横にして配置する前にデバイスに加えられるか、または予備成形されたヒドロゲル骨格へ加えられる。組み込みの後、アルギン酸塩モノマーを重合させる。生細胞懸濁液は、低カルシウム細胞培養培地中に追加されたアルギン酸塩溶液と混合されることができる。そのような混合物は、カルシウムの細胞適合性の濃度での添加により、続いてゲル化されることができる。
【0055】
同様に、再生された絹フィブロイン溶液は、中性またはわずかにアルカリ性の細胞培養培地中のゾルのままであるが、リン酸塩緩衝液でわずかに酸性化される時にゆっくりゲルを形成する。これは生細胞を多孔性のフィブロイン・ヒドロゲルに組み入れることを可能とする。
【0056】
図3および4は、本発明による椎間板修復デバイスの実施態様の概要を示す。
この実施態様では、ランダムに配向された絹繊維(図示されない)と組み合わされた再生された絹フィブロインヒドロゲルの円筒状の髄核類似体(15)がある。この髄核類似体(15)は、核を形成し、環帯線維体類似体(14)が周囲に存在する。環帯線維体類似体(14)は、格子状の配置で髄核類似体(15)のまわりに置かれた絹繊維から成る。環帯線維体類似体(14)の連続した層が配置されると、ファイバー層部分およびヒドロゲル(13、16)のあらかじめミネラル化されたシートがデバイスに組み入れられる。あらかじめミネラル化されたシート(13、16)は、デバイスの最上層および最下層を形成し、患者の椎骨の中心の骨表面とデバイスの一体化を促進する。あらかじめミネラル化されたシート(13、16)は、椎骨の中心の骨表面へのデバイスの固着を促進するために、環帯線維体類似体(14)を越えて横に伸ばされる。三次元のファイバー層部分は、デバイス(9)の最上層および最下層で半径方向に配向した絹繊維の層、および連続した同心の円筒状の層(10)中に横たわって配置された絹繊維とから成る。多孔性の再生された絹フィブロインヒドロゲル(11)は、ファイバーおよびファイバーの層を一緒に保持する。任意の特定の円筒状の層の中のファイバーは互いに平行に横たわって配置され、デバイス(12)の垂直軸に対して一定の角度で傾けられる。ファイバーの傾斜は連続する円筒状の層の中で右に左に交互にされ、格子状の構造(12)を形成する。
【0057】
解剖学的に賦形された椎間板修復デバイスは、ファイバー層部分の性質以外においては、上に記載された半月板の修復デバイスに非常によく似ている。
椎間板修復デバイスのファイバー層部分も、巻きと縫いの組み合わせを使用する。しかし、織り、よじり、打ちひも、編み物、刺繍またはこれらの組み合わせによる異なる方法で生産することもできる。
脊椎骨間の修復デバイスのファイバー層部分は基本的に3つの成分を有している:髄核類似体(15)、環帯線維体類似体(14)および、2つの隣接した椎骨の中心の骨内への付着のためのフランジを有する最上層および最下層表面(13、16)。
【0058】
髄核類似体(15)のファイバー層部分は実質的に円筒状で、多孔性のヒドロゲル・マトリックスで浸潤された、ランダムに配向された絹繊維の粗い網状組織を含む。環帯線維体類似体(14)のファイバー層部分は、髄核類似化合物(15)に近密に付ける一連の、円筒状のラメラから成る。ファイバーは、各ラメラの中で互いに平行に配置され、デバイスの垂直軸へ実質的に一定の角度で配置される。連続するラメラ中のファイバーは、左右に交互に傾けられ、環帯線維体類似体(14)の全体にわたり実質的に一定の角度の傾斜を維持し、それに格子状の構造を与える。多孔性のヒドロゲルは、ラメラ内のファイバー間のスペース、およびラメラ間のスペースを満たす。
【0059】
同心のスイスロール構造を与えるために、環帯線維体(14)のための異なるファイバー層部分(図示されない)は、髄核類似体(15)の周囲に巻かれた絹布帛の包帯状ストリップから形成される。絹ストリップは最初にバイアスに切断され、縦糸と横糸のファイバー間の角度が健康な椎間板中の膠原線維の傾斜の角度の2倍となるまで伸ばされた。ストリップは、ヒドロゲル・マトリックスを形成するために使用されるモノマーの溶液をしっかりとしみ込ませられる。また、ストリップがまわりに巻かれると、この溶液の連続した層が適用される。デバイスの最上層および最下層の表面を形成するのを助けるために、二等辺三角形にストリップの最上層および最下層の端が切られることができる。
【0060】
骨への付着のための椎間板修復デバイスおよびフランジの最上層および最下層の表面(13、16)は、ミネラル化されたファイバーおよびヒドロゲルの複数の層から成る。これらの層は、環帯輪類似体(14)の端へ縫われることができるし、またはこの要素を構成するために使用されたものと同じ布帛または巻物から構成されることができる。
【0061】
図5は、本発明による関節軟骨修復デバイスの実施態様の概要図を示す。この実施態様では、デバイス(20)のベースは、ミネラル化された絹繊維層部分および再生された絹フィブロインヒドロゲルの層から作られる。これらのミネラル化されたベース層(20)は、軟骨下骨へのデバイスの固着を促進する。堅いヒドロゲルの層(19)は、ミネラル化されたベース層(20)の上に配置される。この堅いヒドロゲル層(19)は軟骨芽細胞を組込む。関節軟骨のアーケード構造の類似体は、ループ状のファイバー(17)によって形成される。該ファイバーはミネラル化されたベース層(20)を通して縫われ、ベース層(20)に垂直な堅いヒドロゲル層(19)を通って伸びる。これらのファイバー・ループ(17)の最上層および最下層は、結合糸(図示されない)によって所定位置に保持される。最上層層(18)は、結合糸または絹布のような垂直に配向されたファイバー層部分内へ浸漬された、再生された絹フィブロインヒドロゲルから成る。これらの上層は(18)デバイスのために滑らかな関節面を提供する。軟骨芽細胞も最上層層(18)内に組み入れられることができる。
【0062】
バイオミメティック関節軟骨修復デバイスは、ファイバー層部分の性質以外は、上に記載された半月板の修復デバイスおよび椎間板修復デバイスに非常によく似ている。
【0063】
関節軟骨修復デバイスのファイバー層部分はそれを通る縫いを利用し、織い、巻き付け、ねじり、打ちひも、編み物、または刺繍またはこれらの組み合わせにより生産することもできる。
【0064】
関節軟骨修復デバイスのファイバー層部分は基本的に3つの成分を有している:骨へのアタッチメント用の縁のフランジを有するベース層(20)、中心層(17、19)および表面層(18)。ベース層(20)は、ミネラル化された布帛の複数の層、および骨へのアタッチメントのための表面を形成する多孔性のヒドロゲルから成る。中心層は、堅い多孔性のヒドロゲル(19)からなり、絹繊維ループ(17)が健康な関節軟骨のアーケード構造を模倣するような方法でそれを通って縫われる。絹繊維ループはミシンによって生成することができ、ロック糸により所定位置に保持される。表面層(18)は、絹布の複数のシートまたはファイバーのラメラから形成され、それを通ってアーケード・ファイバーが縫われる。表面層の最上部のラメラ中のヒドロゲルは、滑らかで堅い関節面を与えるために非多孔性である。軟骨芽細胞または間充織の幹細胞がデバイスの全体にわたってヒドロゲルのモノマーに組み入れられ、その後生理学的条件で硬化される。フィブロインおよびアルギン酸塩溶液は細胞生命が維持される状態でゲル化されることができる点に注意する。型台はわずかに酸性の条件を要求する。また後にゲル化のためにわずかにカルシウム量を上げた。
【0065】
図6は、以下のプロトコルAにより蚕の再生された絹フィブロインから調製されたヒドロゲルの走査型電子顕微鏡写真である。ヒドロゲルの孔(23)が、このイメージではっきり見られることができる。
【0066】
図7は、図6に示されたような多孔性のゲルの走査型電子顕微鏡写真である。ただし10%のウシ胎児血清および1%のペンストレップ(penstrep)を含むアルファMEM基礎培地で最初の7日間は37℃、5%のCO2中で、その後3日間は同じ培地でデキサメタゾンとアスコルビン酸を加えて骨形成をすることにより成長させた、ストローム(strom)1活性で選ばれたクローンからの人骨骨髄ストロマ細胞をシーディングした後のものである。生細胞はデバイスの表面で孔(23)を完全に満たし、デバイスは細胞に良好な接着を示し、優れた細胞適合性を示した。細胞は、骨芽細胞に成功裡に分化した。これはアルカリホスファターゼのに対する陽性反応により示された。
【0067】
図8は、以下のプロトコルCによって調製されたミネラル化されたフィブロイン・ヒドロゲルの、横方向に破壊された孔壁の、エネルギー分散型X線スペクトルと走査型電子顕微鏡写真である。切断面は浸潤されたハイドロアパタイトを示す。これは板状の結晶によって、および以下のプロトコルCによって調製されたミネラル化されたフィブロイン・ヒドロゲルのX線回折によって示される。矢印を付したピーク(22)ハイドロアパタイトの211および222反射を示す。以下のプロトコルCによって調製されたミネラル化されたフィブロイン・ヒドロゲル中のハイドロアパタイトのようなリン酸カルシウム鉱物の存在も、カルシウム、リンおよび酸素のための傑出しているピークによってエネルギー分散型X線スペクトルにおいて示され、またフーリエ変換赤外線スペクトル(図10)において示される。矢印を付したピーク(21)がリン酸カルシウムの存在を実証する。
【0068】
プロトコルA:生来のフィブロインからの多孔性ゲルの調製。
1. 精練されたカイコ絹の約20w/v%溶液を、20g/100mlの9.3M LiBr溶液に60℃で4時間、連続的な撹拌下で溶解することにより調製した。秤量された透析チューブ(好ましくはMWCO 3500またはより小さなもの)への移動。4℃で2日の間に脱イオン化された水を5回変えて透析した。得られた溶液は約8%w/vである。屈折率測定による評価、または50℃に熱した真空オーブン中で恒量になるまでサンプルを乾燥した後の重量測定による評価が、所望のタンパク質濃度(8−15%w/vの間)に到達するまで、真空乾燥器内の透析バッグ内で部分的に乾燥する。優しく下へ透析チューブの内容物を圧搾し、バッグを再度クリップし、タンパク質溶液が完全にクリップされた管材料を満たすようにする。
2. 0.5−1%の酢酸に対して4℃で12時間以下で、サンプルを透析する。
3. 別法として、濃縮フィブロイン溶液の小滴を0.1%の酢酸からの蒸気で処理するか、または濃縮フィブロインの1mlに1Mのクエン酸ナトリウムバッファー(pH 5.0)の10μlを加え、直ちに円筒状の型内に移し、12時間放置してゲル化させる。
4. 20分間、−50℃で冷凍する。
5. 物質は水中で積み重ねることができ、良好な手切開特性を与えるのに十分に堅く(最適のタンパク質濃度で約1MPaの圧縮モジュラス)、相互に連結された孔の孔隙径分布と密度を偏光顕微鏡または干渉顕微鏡の観察により決定した。物質も臨界乾燥に供され、SEMで検査される。
6. 孔の相互連絡は、親指と人指し指の間でぬれたゲルの圧搾により迅速に評価することができる。孔の相互連絡の多さは、水の迅速な流出および圧力を緩めた時のゲルのすべての部分への空気の流入によって示される。
【0069】
プロトコルB:半月板の修復デバイスの調製
1. 三日月形の半月板の修復デバイスの内部直径と等しい直径を有する円筒状のルーサイト型台が使用される。ほぼランダムに配向された野蚕ファイバーのソーセージ形のコアが、プロトコルAに記載されたようにして調製された新鮮な8−12%w/vの絹フィブロイン溶液に浸漬された。pH 4.5の希薄クエン酸ナトリウムバッファー液中にコアを浸漬することによりフィブロインはゲル化される。編みの緩い精練された野蚕布帛片は、適当にほぼ腎臓形に切断されフィブロイン溶液でコーティングされた。層はデバイスの弦形の形を構築するために連続的に加えられた。層はそれぞれ一つすぐ下の層と、編まれた野蚕構造物で縫われ、デバイスの円縁のファイバーを模倣する。いくつかの半径方向の縫いも形成される。絹片の半径方向の幅はデバイスの楔形のプロフィルを生成するために減じられる。デバイスのボディを成形しつつ円周縁のフランジおよび内側靱帯類似体も、適切な段階で含まれ縫われる。
2. デバイスのボディへの型台の反対側の巻いた物が型台から切断され、全体の構造が取りはずされる。
3. フィブロイン・マトリックスは以下のプロトコルCに記載されるように、デバイスの全体をpH6.3にバッファーされた0.1―1.5Mのリン酸ナトリウム溶液に、4℃で4−16時間浸漬してゲル化される。別法として、デバイス内のフィブロイン・マトリックスは、0.1−1%の酢酸中への12時間の浸漬、または0.1%w/v酢酸からの蒸気への暴露によりゲル化することができる。両者において、たとえば12時間4℃であることができる。
4. マトリックスは急速に−50℃で冷凍され、多孔性のアーキテクチャーを生成する。
5. 構造物は50%エタノールにそれを移動することにより強固にされ、この溶液内に貯蔵されるか、または10−25%のグルタルアルデヒド内において架橋され、徹底的に洗われ、水素が発生しなくなるまで、0.1%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液中で還元された。
6. 生じた複合材料は著しく堅く強い。また、開気孔性のアーキテクチャーを有する。
【0070】
プロトコルC:ミネラル化された絹のタンパク質の生成
1. 0.1 ―1.5Mリン酸塩溶液がリン酸二水素ナトリウムを使用して調製される。0.08M トリス(Trizma)塩基の1gを、リン酸塩溶液の100mlにつき加える。また、1MHClの10滴を加え、6.3―9.0の間のpHに調節する。2. プロトコルAでのように、10%w/vフィブロイン溶液を含む透析バッグを調製する。その後、バッグを工程1で調製された、トリス塩基で緩衝されたリン酸塩溶液内に置き、4℃で4−16時間保持し、絹タンパク質をゲル化し、リン酸塩イオンを導入した。
3. フィブロインを含んでいる透析バッグは−20℃で急速に冷凍され、多孔質組織を導入し、次いで室温で解凍した。凍結−解凍サイクルは、孔の相互連絡性を増加させるために5回まで繰り返されることができる。
4. 解凍されたゲルは、透析管材料から取り除かれる。また、ほとんどの用途については、ゲルの不浸潤性の表面層は鋭いメスを使用して除去される。その後、絹のゲルはさらなる処理のために立方体に切られる。
5. ゲルの立方体は凍結乾燥され、次に工程1でのようにトリスHClでpH 7.0−9.0にバッファーされた0.25−2.5M塩化カルシウム液内に移動される。ゲル片は37℃で24時間、この溶液の中で保持される。別法として、ゲルの立方体は、凍結乾燥をしないでバッファーされた塩化カルシウム液内に直接移動されることができるし、または20℃で空気乾燥した後に、バッファーされた塩化カルシウム液内に移動されることができる。
6. プロトコルBに記載されたように調製されたゲル化されたフィブロインを含む絹ファイバー層部分は、透析膜でそれらを囲むかまたは囲まないで、同じ手順を使用してミネラル化されることができる。
【0071】
精練された繭、フィブロイン粉末または精練された絹繊維をカオトロピック剤中に溶解することにより、再生絹フィブロインの濃縮溶液を調製するいくつかの方法がある。
【0072】
さらに、いくつかの異なる方法が、ファイバー層部分の間隙へヒドロゲルを導入するために使用されてもよい。これらとしてはスプレー、浸漬、塗布、注入、あるいは真空浸潤があげられる。
【0073】
ファイバー層部分の生成中のいくつかの段階においてヒドロゲルを適用することができ、ファイバー層部分の完成の後にヒドロゲルを適用することにより得ることができるファイバー層部分よりも、マトリックスのファイバー内へのよりよい浸漬を得ることができる。
【0074】
さらに、移植可能な物質を堅くするのを支援するための膨圧を提供するために、ヒドロゲルを部分的に乾燥させるかまたは膨潤していない状態で適用し、その後完全に膨潤させることができる。
【0075】
ファイバー層部分が形成される前に、ファイバー層部分を形成するために使用されるファイバーまたは布帛は、ヒドロゲルでコーティングされることができる。
【0076】
幾分かの水を蒸発させることにより、多孔性のヒドロゲルは所望のタンパク質濃度へファイバー層部分内で濃縮されることができる。最初のフィブロイン濃度および湿潤重量が公知の場合、フィブロインは、規定された減量が生じるまで、幾分かの水を蒸発させることにより、所望の最終濃度にすることができる。10−12%の最終のタンパク質濃度は好ましい結果を与える。一旦所望のタンパク質濃度に到達したならば、フィブロイン・ゾルは次いでゲル化される。
【0077】
多くの方法をフィブロイン・ゾルのゲル化を引き起こすために使用することができる。例えば、これらは、pH3.5から6.4の間の酸性バッファー中への浸漬、酢酸アンモニウムのような温和な酸性の揮発性緩衝液からの蒸気での処理、または水性のアルコールの溶液での浸漬/蒸気処理があげられる。
【0078】
かなり均一な直径の分布を有する相互連絡を有する孔を高密度で有する多孔質組織は、急速凍結によって容易に生産されることができる。50−300μmからの平均孔径を有する相互連絡を有する孔は、タンパク質濃度および酸に暴露される長さを変えることにより生産されることができる。
【0079】
異方性の多孔質組織は、物質の冷凍ゾーンでの移動方向を制御することにより生成されることができる。
【0080】
ファイバー層部分のない場合でさえ、フィブロインの酸によるゲル化と引き続く冷凍によって形成された多孔性のヒドロゲルは、関節軟骨(1−20のMPa)の範囲の1−2MPaの間の圧縮力を示す。
【0081】
他の方法をヒドロゲル・マトリックスを多孔性にするために使用することができる。これらとしては、例えば、熱的に誘導される相分離、ソルベントキャスティングおよび粒子溶脱、超臨界ガス発泡、微粒子塩化ナトリウムでの塩析、凍結乾燥、ミクロ相分離を引き起こすことができる水混和性ポリマーとフィブロインとの混合、ギ酸に部分的に絹繊維を溶解して多孔質フェルト中にそれらを一緒に保持すること、ファイバー層部分の絹繊維の中へヒドロゲルの重合後に抽出することができる他の可溶性のファイバーを加え、ファイバー層部分中に不十分なタンパク質を加えて完全に間隙を満たすことがあげられる。
【0082】
70−120μmの細孔径は多孔性のヒドロゲルのために好ましい。この値は、細胞浸潤のために許容するべき最適値(およそ150−300μm)とヒドロゲルの圧縮特性を最適化するための低い孔密度の必要との妥協の結果である。
【0083】
一旦多孔性のヒドロゲルが調製されれば、架橋剤を加え、それを安定させて、かつそれを絹繊維に堅く結び付けることが有利な場合がある。
【0084】
一連の架橋剤は異なる組成のヒドロゲルを架橋するために使用されることができる。例えば、これらとしては、脂肪族のアルデヒドの群、ジアルデヒド、カルボジイミド、琥珀酸イミド、琥珀酸アミド、過酸化水素の存在下でのペルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、フェノールオキシダーゼ、フェノラーゼ、チロシナーゼ、硫酸アンモニウムの存在下でのルテニウム(II)トリス・ビピリジルと引き続く光処理、フェントン反応触媒、10−60%w/vのメタノールまたはエタノール、および10−40%のギ酸があげられる。
【0085】
アルギン酸塩の場合には、安定したヒドロゲルが、カルシウムイオンの中程度の濃度での追加によって調製されることができる。
【0086】
1つまたは複数の架橋剤は、連続的にまたは一緒に加えることができる。別法としては、移植可能なデバイスは、γ線照射、中性子照射または高電圧放電によって架橋および/または殺菌されることができる。
【0087】
多孔性のフィブロイン・ヒドロゲルは、室温で1時間50%のエタノールで処理し、分子間のベータシート水素結合の形成を増加させるようにすることができる。
【0088】
多孔性のヒドロゲルは10−50%のグルタルアルデヒドで処理し、多孔性のゲルを共有結合で架橋することができる。
【0089】
水の中での徹底した洗浄の後、水素が発生しなくなるまで、ヒドロゲルを4℃で、新鮮な0.1%のナトリウム水素化硼素で処理することができる。これはフィブロインのアルギニンとリジンの基の反応により得られたアルジミン架橋を安定させる。さらに、それは未反応のアルデヒド基を減じ、無毒なアルコールにする。これらの2つのメカニズムは、グルタルアルデヒド架橋によって作られる毒性を非常に減じる。
【0090】
水性のギ酸溶液は乾燥した絹フィブロインに2つの効果を与える:それを膨潤または部分的に溶解して、分子間および分子内β−シート水素結合の形成の誘導により架橋して、粘性を増大する。これにより、多孔性の架橋されたファイバー層部分は、絹繊維にギ酸を加えついで乾燥することにより調製される。この方法を使用すると、細孔径はファイバー層部分の圧縮、曲げ、または伸張によって変えられることができる。粉末のフィブロインは、部分的にまたは実質的にファイバー層部分の間隙を満たし、その後ギ酸で処理することにより導入されることができる。
【0091】
移植可能なデバイスのファイバー層部分およびヒドロゲル成分の両方の架橋は、デバイスのこれらの成分の再吸収時間を増加させるという補足的な利点がある。したがって、共有結合の架橋の程度は、これらの成分の再吸収速度を調節する方法として使用することができる。親水性の側鎖へ疎水基を置換されることができるアシル化剤の追加は、ファイバー層部分とヒドロゲルの両方の再吸収速度を調節するさらなる方法を提供する。絹タンパク質内のアミノ酸の親水性のカルボキシル、ヒドロキシル、アミンおよびスルフィドリル側鎖は、アシル化のサイトとして使用されることができる。広範囲の単官能性、二官能性、多官能性のアシル化剤が、タンパク質の疎水性を増加させるために使用されることができる。二または多官能性のアシル化剤の場合には、タンパク質成分を架橋するというの付加的作用がある。タンパク質の疎水性を増加させるために使用することができるアシル化剤としては、たとえばアシル化およびアルキル化剤があげられる。タンパク質の疎水性を増加させるのに適当なアシル化剤としては例えば、ペルフルオロブタノイルクロライド、ラウロイルクロライド、ミリストイルクロライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジアミノジフェニルオキサイド、脂肪族および二官能性のイソシアネート、ドデシルイソシアネート、ヘキサメチレン・ジイソシアナート、脂肪族の酸無水物およびオクタデセニル無水コハク酸があげられる。デバイスの比較的高い圧縮モジュラス、および従ってその圧縮に対する抵抗は、ファイバー層部分内に拘束されたヒドロゲルの膨潤圧に部分的に依存する。これは、ヒドロゲルの膨潤はファイバー層部分にあらかじめ応力を与え、デバイスの若干の曲げまたは圧縮でさえも、ファイバーのストレスの即時の著しい増加に帰結するようにする。複合材料の堅さおよび強度は、一部には、曲げまたは圧縮力の印加がヒドロゲル・マトリックス中の静水圧を増加させて、単位面積当たりのこの力があらかじめ応力が加えられたファイバーに直ちに伝えられるために生ずる。不完全に膨潤された状態でファイバー層部分内のヒドロゲルが架橋剤で処理され、架橋後にさらに水和され、膨潤されるか、または患者へ移植された時に膨潤されるようにすることが望ましい。これはたとえば、下記の方法の1つ以上の組み合わせを使用して達成することができる:ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールのようなコロイドを加えて、架橋前および架橋中に部分的にヒドロゲルから水を除去し、水のうちのいくらかを隔離すること、水のうちのいくらかを部分的にまたはすべてを凍結乾燥架橋の前および間に、実質的に減少された濃度の水を含む乾燥および架橋のための有機共溶剤または溶剤システムを使用して除去すること、架橋反応および塩類の添加または除去の前およびその間に、ファイバー層部分および拘束されたヒドロゲルを静水圧または圧縮力の負荷にさらすこと、pHを調節して架橋の前およびその架橋中にヒドロゲルの膨潤を減ずること。さらに、化学薬剤、照射、放電または光重合を使用して架橋する前に、上記のように部分的に水和されたヒドロゲルの層を適用する間に、教示された状態にそのほとんどすべてを巻くことにより、ファイバー層部分はあらかじめ応力が加えられることができる。教示された通りに巻かれたファイバー層部分は、実質的に乾燥させた状態にあり、ヒドロゲルを形成するためのヒドロゲルまたはモノマーのいずれかが、グルタルアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒドの濃厚溶液で架橋され、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールも含む。ヒドロゲルは、異なる処理を受けた連続した層または領域の中のヒドロゲルを形成するための1つ又は複数の成分を適用することにより、デバイスの異なる部分に異なる特性を与えることができる。ファイバー層部分内のヒドロゲルの形成に加えて、ヒドロゲルを形成するための1つ又は複数の成分が塗布されてファイバー層部分へのコーティングを形成することができる。デバイスの一部又は全部の開口孔は、デバイスの孔への幹細胞のインヴィトロまたはインヴィボでの浸漬を許容する。患者自身の生幹細胞またはドナーからの生幹細胞は、移植前にデバイスの孔に入いることを許されることがある。幹細胞で浸潤された移植物は、すぐに移植することができるが、ガラス質または繊維軟骨の形成を高めるのに公知の条件の下でインヴィトロで保持されることができる。いずれの場合も、引き続く生軟骨の形成のための細胞と移植物を提供する。別法として、患者自身の間充織の幹細胞は移植後に多孔性のヒドロゲルへ導入されることができる。しかしながら、移植の前の細胞の組み込みは、新しい機能的な組織の生産される速度、および特に骨の中へのデバイスの完全に機能的な固定が生成される速度を高めることができる。
【0092】
多孔性のヒドロゲル、および1つ以上の伸張部または表面のファイバー層部分のファイバー成分の両方は、骨ミネラルハイドロキシアパタイトでミネラル化することができ、それにより実質的に骨の物性を模倣し、骨伝導性(osteoconductive)および骨非伝導性(osteoinductive)で、生物学的に適合性で、間葉細胞のための付着部位として役立つ物質を生産して、これらの方法で下にある骨へのデバイスのアタッチメントおよび一体化を容易にする。
【0093】
ヒドロゲル中の絹フィブロイン溶液は、最初にリン酸塩イオンを含む弱酸性溶液でゲル化されることができ、多孔性のマトリックスを作成するために冷凍した後に、物質はカルシウムイオンを含む溶液で処理されてハイドロキシアパタイトを形成することができる。別法として、pH7で120mMのリン酸水素二ナトリウム塩に1時間、その後にpH7.4で200mMの塩化カルシウム液で1時間、いずれも20℃で繰り返して浸漬することにより、架橋した後にファイバー層部分および多孔性のヒドロゲル内にハイドロキシアパタイトを堆積させることができる。さらなる別法は、模擬体液でファイバー層部分および囲まれたヒドロゲルを処理することである。この場合、クエン酸は表面で核形成剤の役割をするために添加されることができる。
【0094】
デバイスに対する1つ以上の拡張部分が、デバイスの残部をミネラル化することなく、プロトコルCに記載されたミネラル化溶液に拡張部分浸漬することによってミネラル化されることができる。デバイスの1つ以上の表面または外側の層をミネラル化することが望まれる場合、ミネラル化溶液の薄層により浸漬または他の方法で表面を処理することができる。
【0095】
1つ又は複数の所望の表面にミネラル化溶液の拡がりを制限するために、薄い防水の生物学的に適合性の薄膜をファイバー層部分の調製の間にデバイスに組み入れることができる。1つ又は複数の層または拡張部分は、別途または引き続いてミネラル化することにより調製することができ、その後ミネラル化されていない1つ又は複数のデバイスの要素と縫われるかまたは他の方法で付着される。ミネラル化されたヒドロゲルは、骨の修復または骨内の整形外科のデバイス(例えば内部人工器官)の固着のために単独で使用されてもよい。
【0096】
デバイスは、関節軟骨の欠損の修復、膝または側頭下顎骨の半月板の1つまたは両方の部分的または完全な置換、または1つ以上の椎間板の置換を意図する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明による半月板の修復デバイスの概要図である;
【図2】本発明による半月板の修復デバイスの概要の横断面の概要図である;
【図3】本発明による椎間板修復デバイスの概要図である;
【図4】本発明による椎間板修復デバイスの概要の透視図である;
【図5】本発明による関節軟骨修復デバイスの概要の透視図である;
【図6】本発明による多孔性のヒドロゲルのマイクロポーラスな構造を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)イメージである;
【図7】主として人骨骨髄間質性細胞をシーディングした後の図6の多孔性のヒドロゲルを示す図である;
【図8】本発明によって調製されたミネラル化されたヒドロゲルの横方向に破壊された孔壁を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である;
【図9】本発明によって調製されたミネラル化されたフィブロイン・ヒドロゲルからのX線回折プロットである;
【図10】本発明によって調製されたミネラル化されたフィブロイン・ヒドロゲルからのフーリエ変換赤外線スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性の実質的に多孔性のヒドロゲルで少なくとも部分的に浸潤された、生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性の三次元のファイバー層部分を含み、使用時にデバイスの孔の少なくとも幾分かに細胞が含まれている、移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項2】
三次元のファイバー層部分が、治療されるべき軟骨組織の線維パターンを実質的にバイオミメティックしたものである、請求項1記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項3】
三次元のファイバー層部分は以下からなるファイバーの群から選択されるファイバー群を含む、請求項1または2記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス:
天然のクワ絹ファイバー、天然の野蚕のファイバー、もしくは天然のスパイダー・シルクのファイバー、または実質的にクワシルクのタンパク質に基づいた組み換えタンパク質のファイバー、実質的に野蚕シルクのタンパク質に基づいた組み換えタンパク質のファイバー、または実質的にスパイダー・シルクのタンパク質に基づいた組み換えタンパク質のファイバー。
【請求項4】
実質的に多孔性のヒドロゲルが、以下のものから成る成分の群から選ばれた少なくとも1つの成分を含む、請求項1から3のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス:
クワ絹からの再生された絹フィブロイン、野蚕からの再生された絹フィブロイン、スパイダー・シルクからの再生されたスピドリン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、およびコンドロイチン硫酸塩。
【請求項5】
平均孔直径が50μmから300μmの間である、請求項1から4のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス
【請求項6】
ベータ−FGF、TGFベータ1、GDF−5、インスリン様成長因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、軟骨組織生長因子および骨形成タンパク質−1から成る生長因子のリストから選ばれた共有結合で結合された1つ以上の生長因子をさらに含み、それによって、間充織または幹細胞の結合および/または分化が刺激され、軟骨を形成するか、またはプロトグリカン分泌を刺激する、請求項1から5のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項7】
さらに次のものを含む請求項1から6のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス:
三次元のファイバー層部分および/または多孔性のヒドロゲルを骨に取り付けるための一体化付着手段。
【請求項8】
一体化付着手段が少なくとも1つのミネラル化された表面層、伸張部またはフランジを含む、請求項7記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項9】
少なくとも1つのミネラル化された表面層、伸張部またはフランジがハイドロキシアパタイトを含む、請求項8記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項10】
骨の形態形成タンパク質、TGF−ベータ、上皮成長因子、インスリン様成長因子、増殖/分化係数−10およびRunx2(Cbfa1/AML3)転写因子から成る生長因子のリストから選ばれた、共有結合で拘束された1つ以上の生長因子であって、それによって間充織または幹細胞の漸増、結合および/または分化を刺激し、正常な骨を分泌するものを一体化付着手段がさらに含む、請求項7から9のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項11】
形態形成タンパク質、TGF−ベータ、上皮成長因子、インスリン様成長因子、増殖/分化因子−10またはRunx2(Cbfa1/AML3)転写因子から成る生長因子のリストから選ばれた生長因子のうちのいずれかに類似する機能性を備えた共有結合で結合された1つ以上の合成薬品であって、それによって間充織または幹細胞の漸増、結合および/または分化を刺激し、正常な骨を分泌するものをさらに含む、請求項7から9のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項12】
解剖学的な椎間板様にデバイスが実質的に賦形された、椎間板の全体または部分的な置換または形成のための、請求項1から11のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項13】
以下をさらに含む請求項12記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス:
ヒドロゲルから構成され、実質的に円筒状の髄核類似体で、ランダムに配向されたファイバー;
前記髄核類似体のまわりに横たわって配置されたファイバーの連続した層であって、それにより格子状の環帯線維体類似体を形成するもの;および
髄核類似体および環帯線維体類似体の最上層および最下層に配置されたファイバーの実質的に平らな層。
【請求項14】
環帯線維体類似体が以下のものを含む、請求項13記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス:
−複数の実質的に同心の、実質的に円筒状のファイバーの層であり、
実質的に円筒状のファイバーの層のそれぞれにおいてファイバーが実質的に互いに平行であり;および
−前記の同心の円筒状の層の長軸に対して実質的に一定の角度で傾けられ;
髄核類似体および環帯線維体類似体の最上層および最下層に配置されたファイバーの実質的に平らな層が、
−前記の実質的に同心の、実質的に円筒状の層に対して実質的に半径方向に配置された複数のファイバーを含み、
そこでは、ファイバーの同心的に隣接した円筒状の層のファイバーは、前記の同心の円筒状の層の長軸に対して異なる実質的に一定の角度で傾けられ、それによってファイバーの連続の層は交差した格子状の構造を提供する。
【請求項15】
膝半月板の全体的または部分的な置換または形成のための、実質的に解剖学的な膝半月板様に賦形された、請求項1から11のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項16】
三次元のファイバー層部分が実質的に周縁に配置された複数のファイバー、および実質的に半径方向に配置された複数のファイバーを含む、請求項15記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項17】
関節軟骨の全体的または部分的な置換または形成のために、三次元のファイバー層部分中のファイバーの配向が、治療されるべき関節軟骨の部分のファイバー配向に実質的に類似する、請求項1から11のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイス。
【請求項18】
関節軟骨の全体的または部分的な置換または形成のための、請求項1から11または17のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスであって、三次元のファイバー層部分が以下を含む弓形アーケード構造として形成されるデバイス:
− 少なくとも1つの実質的に平らなベース層;
− 前記のベース層と実質的に平行な少なくとも1つの実質的に平らな上部の関節面層;および
− 前記のベース層を通って縫われ;
− 前記のベース層と実質的に垂直に上部の関節面層へ伸び;そして
− 結ぶことにより、上部の関節面層および/またはベース層で適所に保持される、複数のループ状のファイバー。
【請求項19】
側頭下顎骨の半月板の全体的または部分的な置換または形成のための、請求項1から11のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスであって、三次元のファイバー層部分のファイバーの配向が解剖学的な側頭下顎骨の半月板の配向に実質的に類似するデバイス。
【請求項20】
以下の工程を含む移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法:
−1つ以上の以下の方法により生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のファイバーから三次元のファイバー層部分を形成する工程:
フェルトを曲げるか、織るか、もしくは圧縮するか、または布帛の層をねじるか、編むか、打ちひもにするか、縫うか、もしくは刺繍するか、またはそれらの組み合わせ:
−生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性で、実質的に多孔性のヒドロゲルの調製する工程;および
−三次元のファイバー層部分の生産中またはその生産の後のいずれかに、三次元のファイバー層部分に、生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性で、実質的に多孔性の前記ヒドロゲルを浸潤させる工程。
【請求項21】
さらに以下の工程を含む請求項20記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法:
−三次元のファイバー層部分を架橋する工程および/または実質的に多孔性のヒドロゲルを架橋する工程。
【請求項22】
さらに以下の工程を含む請求項20または21記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法:
−三次元のファイバー層部分および/または実質的に多孔性のヒドロゲルを疎水性のアシル化剤で処理する工程。
【請求項23】
多孔性のヒドロゲルを調製する工程が以下のサブ工程を含む、請求項20から22のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法:
−精練された絹の溶液を調製する工程;
−精練された絹の前記の溶液をゲル化する工程;および
−精練された絹の得られたゲルを冷凍する工程。
【請求項24】
前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面層、伸張部またはフランジをミネラル化する工程をさらに含む、請求項20から23のいずれか1項記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法。
【請求項25】
前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面層、拡張部分またはフランジをミネラル化する工程が以下のサブ工程を含む請求項24記載の軟骨組織修復デバイスの製造方法:
− バッファーされたリン酸塩溶液を調製する工程;
− 前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面層、伸張部またはフランジに含まれるべきヒドロゲルに、前記のバッファーされたリン酸塩溶液を加える工程;
− 前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面層、伸張部またはフランジを制御して冷凍および/または乾燥する工程;および
− 前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面層、伸張部またはフランジを、バッファーされたリン酸塩溶液に暴露する工程。
【請求項26】
バッファーされたリン酸塩溶液をヒドロゲルをゲル化させる際に使用することにより、バッファーされたリン酸塩溶液がヒドロゲルに加えられる、請求項25記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法。
【請求項27】
以下の工程を含む移植可能な組織修復デバイスの製造方法:
−1つ以上の以下の方法により生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のファイバーから三次元のファイバー層部分を形成する工程:
フェルトを曲げるか、織るか、もしくは圧縮するか、または布帛の層をねじるか、編むか、打ちひもにするか、縫うか、もしくは刺繍するか、またはそれらの組み合わせ:
−生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性で、実質的に多孔性のヒドロゲルの調製する工程;
−三次元のファイバー層部分の生産中またはその生産の後のいずれかに、三次元のファイバー層部分に、生物学的に適合性で、かつ少なくとも部分的に生物吸収性で、実質的に多孔性の前記ヒドロゲルを浸潤させる工程;
− 以下の方法により前記の移植可能な組織修復デバイスの少なくとも1つの表面をミネラル化する工程:
− バッファーされたリン酸塩溶液を調製する工程;
− 前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面内に含まれるヒドロゲルに、前記のバッファーされたリン酸塩溶液を加える工程;
− 前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面を制御して冷凍および/または乾燥する工程;
− 前記の移植可能な軟骨組織修復デバイスの表面を、バッファーされたリン酸塩溶液に暴露する工程。
【請求項28】
バッファーされたリン酸塩溶液をヒドロゲルをゲル化させる際に使用することにより、バッファーされたリン酸塩溶液がヒドロゲルに加えられる、請求項27記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法。
【請求項29】
以下のものを含む移植可能な組織修復デバイス:
− 生物学的に適合性で少なくとも部分的に生物吸収性のヒドロゲルで、少なくとも部分的に浸潤された、少なくとも部分的に生物学的に適合性で生物吸収性のファイバ:および
ファイバー層部分および/またはヒドロゲルを骨に取り付けるための、少なくとも1つのミネラル化された表面を有する一体化取付手段。
【請求項30】
生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性の、ミネラル化されたヒドロゲルを含む移植可能な組織修復デバイス。
【請求項31】
以下の工程を含む移植可能な組織修復デバイスの製造方法:
− 生物学的に適合性で、少なくとも部分的に生物吸収性のヒドロゲルを調製する工程;
− 以下により前記のヒドロゲルをミネラル化する工程:
− バッファーされたリン酸塩溶液の調製;
− ヒドロゲルへのバッファーされた前記リン酸塩溶液の添加;
− 前記のヒドロゲルの制御された冷凍および/または乾燥;
− バッファーされた塩化カルシウム液への前記ヒドロゲルの暴露。
【請求項32】
バッファーされたリン酸塩溶液をヒドロゲルをゲル化させる際に使用することにより、バッファーされたリン酸塩溶液がヒドロゲルに加えられる、請求項31記載の移植可能な軟骨組織修復デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−508540(P2009−508540A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526550(P2008−526550)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003079
【国際公開番号】WO2007/020449
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508047680)オックスフォード バイオマテリアリルズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】