移載装置
【課題】移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着可能な移載装置を提供する。
【解決手段】実施例の移載装置7は、移載装置本体70と制御装置70aとからなる。移載装置本体70は、支持台26と、4つの個別載置台27a〜27dと、4つの伸縮ロッド27e〜27hと、全体昇降機構36と、基部33とを備えている。移載装置本体70は、全体昇降機構36により支持台26を昇降させることが可能であるとともに、各伸縮ロッド27e〜27hが個別に昇降することで、各個別載置台27a〜27dを個別に昇降させることが可能である。これにより、この移載装置7では、個別載置台27a〜27d上のバッテリユニット3の姿勢を変更することが可能である。
【解決手段】実施例の移載装置7は、移載装置本体70と制御装置70aとからなる。移載装置本体70は、支持台26と、4つの個別載置台27a〜27dと、4つの伸縮ロッド27e〜27hと、全体昇降機構36と、基部33とを備えている。移載装置本体70は、全体昇降機構36により支持台26を昇降させることが可能であるとともに、各伸縮ロッド27e〜27hが個別に昇降することで、各個別載置台27a〜27dを個別に昇降させることが可能である。これにより、この移載装置7では、個別載置台27a〜27d上のバッテリユニット3の姿勢を変更することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の車体に対してバッテリユニットの装着を行うための移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体に対して所定の装着位置までバッテリを上昇させることにより、バッテリを車体に対して装着可能な昇降装置(移載装置に相当)が開示されている。この昇降装置は、バッテリを載置可能な4個の昇降支持台と、クラッチを備えた動力伝達機構と、動力伝達機構を介して全ての昇降支持台を昇降させる一つのモータとを備えている。また、特許文献1に開示されている車体の下方には、バッテリを装着可能なバッテリ吊り金具が設けられている。
【0003】
この昇降装置によってバッテリを車体に対して装着する場合、操作部を操作することにより、クラッチの切替とモータの駆動とを行い、昇降支持台を上昇させる。これにより、装着位置までバッテリが上昇する。そして、バッテリがバッテリ吊り金具に係合、すなわち係止されれば、その装着が完了する。
【0004】
また、特許文献2には、車体の傾斜状態を位置検出センサによって検知し、バッテリを載置して固定する固定手段の傾斜状態を調整した上で、バッテリを上昇させ、バッテリを車体に対して装着可能なバッテリ交換装置(移載装置に相当)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−36727号公報
【特許文献2】特開2010−173364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2の移載装置では、バッテリ、より具体的には複数のバッテリを内包したバッテリユニットを車体に対して装着するために、移載装置には、単にバッテリユニットを上下動させるために必要な値以上の、高い強度や大きな出力が要求されるという課題がある。
【0007】
すなわち、車体に装着されたバッテリユニットが車両の走行中に安定しているようにするためには、車体とバッテリユニットとが3個以上の箇所で取り付けられ、固定されていることが好ましい。例えば、車体に設けられる固定部と、バッテリユニットに設けられる被固定部とにより、両者の系脱が行われるとすると、バッテリユニットが車体に対して安定して装着されるためには、3個ずつの固定部と被固定部とが各々係合していることが好ましい。ここで、互いに係合した固定部と被固定部との組み合わせによって空間上の座標が決定されるとすれば、それぞれ3座標によって車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが決定されることとなる。このため、バッテリユニットが係合した状態では、車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とがそれぞれ平坦であり、かつそれらが平行になる。
【0008】
特に、電気自動車等のバッテリユニットは重量物であるため、車体とバッテリユニットとは4個以上の箇所で係合されることが好ましい。ここで、上記と同様に検討すれば、4以上の座標によって車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが決定されることとなる。このため、その場合、車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが捩じれておらず、かつそれらが平行であるか、車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが互いに同じ捩じれを生じている必要がある。
【0009】
しかしながら、バッテリユニットは重量物であるため、バッテリユニット自体や車体に撓みを生じさせる。また上記の固定部や被固定部には、製造時の公差が存在することから、バッテリユニットの装着前において、固定部と被固定部の位置にずれを生じさせる。
【0010】
このため、上記の移載装置のように、4個の載置台を同時に上昇させることによってバッテリユニットを車体に対して装着しようとすれば、一部の組の固定部及び被固定部が初めに係合する。
【0011】
この際、上記従来の移載装置では、一部の組の固定部及び被固定部が係合した後も強引に全ての載置台を同時に上昇させることで、全ての固定部及び被固定部を係合させる。このようにバッテリユニットの装着作業のために、移載装置は、車体の一部を押し上げる必要があることから、移載装置には偏った位置で車体を押し上げることが出来るだけの強度と出力とが求められ、移載装置が大型化する。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着可能な移載装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の移載装置は、車体に対して所定の装着位置までバッテリユニットを上昇させることにより、該車体又は該バッテリユニットの一方に設けられる3個以上の固定部と、該車体又は該バッテリユニットの他方に設けられ、各該固定部と対応する被固定部とを各々係合させることで該バッテリユニットを該車体に対して装着可能な移載装置であって、
前記バッテリユニットに設けられた各該固定部又は各該被固定部を個別に載置する複数の個別載置台と、
各該個別載置台を個別に昇降させる個別昇降機構と、
各該個別昇降機構を個別に制御可能な個別制御手段とを備えていることを特徴とする(請求項1)。
【0014】
本発明の移載装置によってバッテリユニットを車体に対して装着する場合、個別制御手段により各個別昇降機構を個別に駆動し、各個別載置台を個別に上昇させる。これにより、車体の装着位置までバッテリユニットが上昇する。この際、バッテリユニットは、各個別載置台が個別に上昇することから、高さ方向においては、空間上で任意の姿勢をとることができる。
【0015】
このため、例えば、車体に設けられる3個の固定部と、バッテリユニットに設けられる各被固定部とにより、両者の係合が行われるとすると、互いに係合した固定部及び被固定部の組み合わせによって決定される3座標により、バッテリユニット側の平坦な仮想面を高さ方向で任意に決定することができる。このため、製造時の公差や、バッテリユニット自身の重量による撓みにより、装着前の仮想面同士が平行でなかったとしても、車体側の仮想面に対してバッテリユニット側の仮想面を平行にすることができる。このため、バッテリユニットが車体に対して安定して装着される。
【0016】
また、例えば、車体に設けられる4個以上の固定部と、バッテリユニットに設けられる各被固定部とにより、両者の係合が行われるとすると、互いに係合した固定部及び被固定部の組み合わせによって決定される4以上の座標により、バッテリユニット側の仮想面を高さ方向で任意に決定することができる。このため、製造時の公差や、バッテリユニット自身の重量による撓みにより、仮想面同士に、捩れの状態などでずれがあったとしても、バッテリユニットが車体に対して安定して装着される。
【0017】
詳しくは、この移載装置では、一部の組の固定部及び被固定部が係合するだけで、他の組の固定部及び被固定部が係合していない場合には、係合している固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を停止し、係合していない固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を継続し、バッテリユニットの空間上の姿勢を変更することができる。こうして、全ての組の固定部及び被固定部を係合させることができる。こうして、バッテリユニットが安定して車体に装着される。
【0018】
したがって、本発明の移載装置によれば、移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着することができる。
【0019】
本発明の移載装置は、バッテリに蓄電された電力によって走行する車両において、車体とバッテリユニットとの装着を行う装置として主に採用され得る。なお、本発明において、車体の概念には、乗用自動車の車体だけでなく、産業車両や自動搬送車の車体も含まれる。
【0020】
また、本発明の移載装置において、各固定部又は各被固定部を各個別載置台に載置する状態とは、固定部又は被固定部と個別載置台とを直接当接させて載置する状態の他、各個別載置台とバッテリユニットとを当接させることで、各個別載置台に対して固定部又は被固定部を間接的に載置する状態も含まれる。
【0021】
さらに、本発明の移載装置における固定部及び被固定部としては、互いに係合してバッテリユニットを車体に対して装着可能であれば、種々のものを採用することができる。例えば、ロック装置とストライカとを採用することができる。
【0022】
個別制御手段は、各固定部又は各被固定部に設けられ、対応する固定部と被固定部とが係合されることにより検知信号を発信可能な検知手段と、検知信号に基づき、対応する個別昇降機構による上昇を停止させる停止手段とを有していることが好ましい(請求項2)。
【0023】
この場合、係合した固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を停止し、係合していない固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を継続することができる。このため、車体に対するバッテリユニットの装着が容易となる。なお、検知信号の発信は、それまで継続していた送信を停止する場合も含まれる。少なくとも1組の固定部及び被固定部が係合するまで、又は全ての個別載置台が一定の高さになるまでは、全ての個別昇降装置が同速度で個別載置台を上昇させることが好ましい。
【0024】
本発明の移載装置は、各個別昇降機構が設けられる支持台と、
支持台を昇降させる全体昇降機構と、
全体昇降機構を制御可能な全体制御手段と個別制御手段とを有する制御手段とを備えていることが好ましい(請求項3)。
【0025】
この場合、個々の個別昇降機構によって各個別載置台を昇降させるだけでなく、支持台を昇降させることにより、全ての個別載置台を同時に昇降させることが可能となる。このため、この移載装置では、車体に対するバッテリユニットの装着を効率良く行うことが可能となる。
【0026】
このような移載装置の場合、制御手段は、予め設定された高さまで全体制御手段により支持台を上昇させた後、個別制御手段により個別載置台を個別に上昇させることが好ましい(請求項4)。この場合、車体に対するバッテリユニットの装着を素早く行うことができる。
【0027】
各固定部は、車体に設けられたストライカであり得る。また、各被固定部は、バッテリユニットに設けられ、ストライカを固定又は解放可能なロック装置であり得る。そして、ロック装置は、ストライカを進入させる進入口が形成されたハウジングと、ハウジングに対して第1揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、進入口内でストライカを係止する係止状態と進入口内でストライカを解放する解放状態とを切り替え可能なラッチと、ラッチの揺動を固定可能なポールとを有していることが好ましい(請求項5)。この場合、車体側の構成を簡素化できるため、車体におけるバッテリユニットの装着位置等の設計に関する自由度を高くできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の移載装置によれば、移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】車体とバッテリユニットとの装着及び取り外しの状態を示す側面図である。
【図2】車体とバッテリユニットとの装着及び取り外しの状態を示す側面図である。
【図3】ストライカ装置、ロック装置、個別載置台及び伸縮ロッドを示す断面図である。
【図4】実施例の移載装置に係り、バッテリユニット、ロック装置並びに、支持台上の個別載置台及び伸縮ロッドの各位置関係を示す斜視図である。図(A)は、個別載置台上にバッテリユニット及び各ロック装置が載置された状態で、各伸縮ロッドが上昇した状態を示している。図(B)は各伸縮ロッドが下降した状態を示している。
【図5】実施例の移載装置を示す側面図である。図(A)は全体昇降機構が上昇した状態を示している。図(B)は全体昇降機構と、各個別昇降機構の伸縮ロッドとが上昇した状態を示している。
【図6】実施例の移載装置に係り、個別載置台上のピンを示す側面図である。図(A)は第1長さにあるピンを示し、図(B)は第2長さにあるピンを示している。
【図7】車体とバッテリユニットとの装着時における移載装置の制御フローである。
【図8】車体とバッテリユニットとの装着中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図9】車体とバッテリユニットとの装着中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図10】車体とバッテリユニットとの装着中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図11】車体とバッテリユニットとの装着完了におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図12】車体とバッテリユニットとの取り外し中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図13】車体とバッテリユニットとの取り外し中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例)
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。図1、2に示すように、実施例の移載装置7は、バッテリ交換ステーション10(以下、ステーション10という。)において、電気自動車1における車体1aよりバッテリユニット3の取り外しを行うとともに、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行う装置である。
【0031】
ステーション10は、上床10aと、上床10aの床下に位置する下床10bとを有している。また、上床10aには、下床10bに連通する連通口10cが形成されている。上床10aには電気自動車1が停車可能になっている。
【0032】
電気自動車1には、車体1aの下方にバッテリユニット3を搭載可能な搭載スペース1bが形成されている。また、車体1aには、車体1aの前後方向に延びる一対のフレーム1cが設けられ、搭載スペース1bの両側縁を形成している。
【0033】
移載装置7は、ロック装置5を有するバッテリユニット3を上床10aの床下より連通口10cを介して上昇させ、ストライカ装置9が配置された電気自動車1の搭載スペース1bにバッテリユニット3を装着させる。ストライカ装置9は車体1aに4個設けられており、ロック装置5はバッテリユニット3に4個設けられている。そして、移載装置7は、移載装置本体70と、制御手段としての制御装置70aとからなり、これらはステーション10の下床10bに配置されている。
【0034】
図3に示すように、各ストライカ装置9は、図1に示すフレーム1cに固定されたベースプレート9aと、ベースプレート9aに固定されたストライカ9bとを有している。ベースプレート9aには、フレーム1cにベースプレート9aを固定するための複数のボルト孔9cが形成されている。ストライカ9bは、鋼材に対して複数回の曲げ加工が施されることで形成されており、略環状を呈している。このベースプレート9aとストライカ9bとは溶接により一体とされている。このストライカ9bが被固定部に相当する。
【0035】
これらのストライカ装置9は、図1に示す搭載スペース1b内に位置するように、それぞれボルトによって、各フレーム1cに対して2個ずつ取り付けられている。各フレーム1cに取り付けられたストライカ装置9同士は、ストライカ9bが互いに対面している。なお、各フレーム1cに取り付けられるストライカ装置9の個数は、バッテリユニット3の大きさに応じて適宜変更が可能である。また、図1、2では、他方のフレーム1c及びこのフレーム1cに取り付けられた各ストライカ装置9の図示を省略している。
【0036】
図4に示すように、バッテリユニット3は、矩形の箱形状のケース3aと、このケース3a内に収納された詳細を図示しない複数個のバッテリとからなる。また、ケース3aには、図1に示す車体1aと各バッテリとを電気的に接続可能な図示しない接続端子が設けられている。また、バッテリユニット3内には、無線通信手段を有したユニット内制御装置(図示せず)が設けられており、このユニット内制御装置は、制御装置70aと通信を行なう。なお、ケース3aの形状は、図1に示す搭載スペース1bの形状に応じて適宜変更が可能である。
【0037】
各ロック装置5は、上記の各ストライカ装置9と対応する位置にて、ケース3aにおける長辺側の側面に各々2個ずつ取り付けられている。各ロック装置5は、図3に示すように、ハウジング13と、ラッチ15と、ポール17と、第1ソレノイド19とを有している。第1ソレノイド19には、ロックピン25が固定されている。また、各ロック装置5には、検知手段としての近接センサ20がそれぞれ設けられている。これらの各のロック装置5が固定部に相当する。近接センサ20は、例えば、ラッチ15の接近を磁気的に検出する磁気センサである。
【0038】
ハウジング13は、図4に示すように、バッテリユニット3のケース3aに固定されている。ハウジング13には、図3に示すように、上端が開き、下方に延びてストライカ9bを進入させる進入口13bが形成されている。また、ハウジング13には、下端からハウジング13内に向かって開けられ、ピン11を挿通させる挿通孔13cが形成されている。挿通孔13cの周囲には、ハウジング13が曲げ加工されることにより、ピン11を案内するガイド部13dが形成されている。さらに、ハウジング13には、三箇所にボルト孔13eが形成されている。ハウジング13は、各ボルト孔13eにそれぞれ挿通された図示しないボルトによりケース3aに固定されている。
【0039】
ハウジング13内には、第1揺動軸21、第2揺動軸23がそれぞれ水平方向に突出して設けられている。第1揺動軸21の軸芯が第1揺動軸芯O1であり、第2揺動軸23の軸芯が第2揺動軸芯O2である。
【0040】
ラッチ15は、一部に凹部15cが形成されて略U字形状を呈している。そして、凹部15cの上方側が上側爪部15aとされ、凹部15cの下方側が下側爪部15bとされている。凹部15cには、ハウジング13の進入口13b内に進入したストライカ9bが収まる形状とされている。さらに、上側爪部15aの近傍には、凹部15cとは逆側に係合面15dが形成されている。
【0041】
ラッチ15は、第1揺動軸21に対して揺動可能に軸支されており、A1方向及びA2方向に揺動することが可能となっている。このラッチ15は、図示しないコイルばねにより、A2方向に付勢されている。ラッチ15はA1方向に揺動することにより、進入口13b内でストライカ9bを係止する係止状態となる。また、ラッチ15はA2方向に揺動することにより、進入口13b内でストライカ9bを解放する解放状態となる。このように、ラッチ15は、第1揺動軸芯O1回りで揺動することにより、係止状態と解放状態とが切り替わる。
【0042】
ポール17には互いに略直交した係止片17aと操作片17bとが形成され、ポール17は略L字形状を呈している。ポール17は、第2揺動軸23に対して揺動可能に軸支されており、B1方向及びB2方向に揺動することが可能となっている。このポール17は、図示しないコイルばねにより、B1方向に付勢されている。ポール17がB1方向に揺動することにより、係止片17aはラッチ15の揺動を固定可能な第1位置に移動する。また、ポール17がB2方向に揺動することにより、係止片17aはラッチ15の揺動を解放可能な第2位置に移動する。このように、ポール17は第2揺動軸芯O2回りで揺動することにより、係止片17aの位置を第1位置と第2位置とに切り替わる。
【0043】
第1ソレノイド19は、上記のユニット内制御装置に電気的に接続され、ユニット内制御装置及び無線通信手段を介することで、図1に示す制御装置70aにより制御される。図3に示す第1ソレノイド19は、制御装置70aによって駆動されることにより、ハウジング13内にロックピン25を水平に突出させた状態と、第1ソレノイド19内にロックピン25が収納された状態とを切り替えることが可能なっている。そして、ロックピン25は、ハウジング13内に水平に突出することで、ポール17の揺動を固定することが可能になっている。また、ロックピン25は、第1ソレノイド19内に収納されることで、ポール17の揺動の固定を開放することが可能になっている。なお、第1ソレノイド19の他の構成は公知のソレノイドと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0044】
近接センサ20はハウジング13内に配置されている。この近接センサ20は、ユニット内制御装置に電気的に接続されており、ユニット内制御装置及び無線通信手段を介することで、検知信号を制御装置70aに送信する。具体的には、近接センサ20は、ハウジング13内におけるストライカ9bの位置と、上側爪部15aや下側爪部15bの各位置と、近接センサ20との位置を基に、ラッチ15の揺動を検出する。そして、近接センサ20は、ラッチ15が係止状態となり、ロック装置5とストライカ9bとが係合した場合に、制御装置70aに対して検知信号を送信する。
【0045】
上記のように、ロック装置5はバッテリユニット3に対して4個取り付けられていることから、近接センサ20は、対応するロック装置5とストライカ9bとの各係合を検知する。このため、制御装置70aは、4箇所分の検知信号を受信する。
【0046】
移載装置7における移載装置本体70は、図5に示すように、下床10b上に固定された基部33と、全体昇降機構36と、支持台26と、図4に示す個別昇降機構としての4つの伸縮ロッド27e〜27hと、4つの個別載置台27a〜27dとを備えている。
【0047】
図5に示すように、基部33内には、図示しないモータと、モータによって、全体昇降機構36に動力を伝達可能な図示しないギヤ列とが設けられている。このモータは制御装置70aと電気的に接続されている。
【0048】
全体昇降機構36は、下部保持部材31と、一対の第1リンク部材35及び第2リンク部材37と、上部保持部材29とからなる。下部保持部材31は基部33上に固定されている。下部保持部材31には水平方向に延びる一対の長孔31aが形成されている。また、上部保持部材29にも水平方向に延びる一対の長孔29aが形成されている。第1、2リンク部材35、37は、互いに同じ長さに形成され、互いの中央部で連結ピン39によって揺動可能に連結されている。第1リンク部材35の下端は、連結軸41bによって下部保持部材31と揺動可能に連結されている。一方、第2リンク部材37の下端は、上記のギヤ列と接続した連結軸41dに連結されており、第2リンク部材37は、下部保持部材31と揺動可能かつ長孔31a内を摺動可能となっている。また、第2リンク部材37の上端は、連結軸41cによって上部保持部材29と揺動可能に連結されている。一方、第1リンク部材35の上端は、連結軸41aによって上部保持部材29と揺動可能かつ長孔29a内を摺動可能となっている。支持台26は上部保持部材29に固定されている。なお、電動直動シリンダや油圧シリンダ等を全体昇降機構36として採用することも可能である。
【0049】
図4の(A)に示すように、支持台26上には、伸縮ロッド27e〜27hと、個別載置台27a〜27dとが配置されている。各個別載置台27a〜27dはその背面側で、各伸縮ロッド27e〜27hにそれぞれ接続されている。各個別載置台27a〜27d上には、バッテリユニット3を載置可能になっており、バッテリユニット3が載置された状態で、各個別載置台27a〜27dは、各ロック装置5にそれぞれ当接する。また、同図の(B)に示すように、各個別載置台27a〜27dの表面には、ピン11と、リミットスイッチ28とがそれぞれ取り付けられている。なお、ピン11及びリミットスイッチ28に関する詳細は後述する。
【0050】
各伸縮ロッド27e〜27hは、支持台26に設けられた図示しない4つの駆動機構によって、図4の(A)に示す高さHまで個別に伸縮することが可能になっている。これにより、各個別載置台27a〜27dは、支持台26から高さHの範囲で個別に昇降することが可能となっている。なお、各駆動機構は、制御装置70aと電気的に接続されている。
【0051】
制御装置70aは、移載装置本体70の近傍に配置されている。制御装置70aには、図示しないスイッチが設けられている。操作者がこのスイッチを操作することで、移載装置本体70に対するバッテリユニット3の昇降が指示される。この際、全体昇降機構36及び各伸縮ロッド27e〜27hは、制御装置70aにより制御される。この制御装置70aには、各伸縮ロッド27e〜27hを個別に制御するとともに、全体昇降機構36を制御する制御プログラムが記憶されている。制御装置70aは個別制御手段及び全体制御手段として機能するとともに、各伸縮ロッド27e〜27hによる各個別載置台27a〜27dの上昇を停止させる停止手段としても機能する。
【0052】
図4(B)に示すように、各リミットスイッチ28は、各個別載置台27a〜27dの各表面において、各ロック装置5におけるハウジング13と当接可能となる位置にそれぞれ取り付けられている。各リミットスイッチ28は、制御装置70aとそれぞれ電気的に接続されている。各リミットスイッチ28は、各ハウジング13によって押下されることにより、各ロック装置5と各個別載置台27a〜27dとがそれぞれ当接したことを検知して、当接信号を発信することが可能となっている。なお、リミットスイッチ28に替えて、各個別載置台27a〜27d上に位置する各ロック装置5の圧力を検知可能な圧力センサ等を採用しても良い。
【0053】
各ピン11は、各個別載置台27a〜27d上において、バッテリユニット3のケース3aに固定された各ロック装置5における各挿通孔13cに挿通可能となる位置にそれぞれ配置されている。
【0054】
図6に示すように、各ピン11は、各個別載置台27a〜27dの各表面から上方向へ垂直に延在している。各ピン11は、各ピン11に対応して各個別載置台27a〜27d7内に設けられた各第2ソレノイド110とそれぞれ接続されている。これらの各第2ソレノイド110は、図5に示す制御装置70aに電気的に接続されている。
【0055】
図6に示すように、各第2ソレノイド110は、バッテリユニット3の取り外し時における、上記の各リミットスイッチ28の当接信号に基づいて駆動され、同図6の(A)に示す第1長さαと、同図の(B)に示す第2長さβとの間で各ピン11を変動させることが可能となっている。なお、第2ソレノイド110に替えて、電動直動シリンダや油圧シリンダ等を採用することも可能である。
【0056】
各ピン11は、図6の(A)に示す第1長さαとなることで、各ピン11を各挿通孔13c(図5参照)に挿通させた状態で、各個別載置台27a〜27d上におけるバッテリユニット3の位置決めが可能となっている。また、各ピン11は、図6の(B)に示す第2長さβとなることで、図5に示すポール17と当接してポール17をB1方向からB2方向へ揺動、すなわち、係止片17aの位置を第1位置から第2位置へ揺動させることが可能となっている。
【0057】
図1に示すステーション10では、以下のようにして、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行うとともに、車体1aに対してバッテリユニット3の取り外しを行う。
【0058】
初めに、移載装置7によって、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行う際における、制御装置70aによる移載装置本体70の制御について、図7に示すフローを基に説明する。
【0059】
まず、個別載置台27a〜27d上に、バッテリユニット3を載置する。次に、操作者のスイッチ操作により、制御装置70aが制御プログラムを実行する。これにより、移載装置本体70では全体昇降機構36が所定の位置まで上昇する(ステップS1)。この所定の位置について、この移載装置本体70では、全体昇降機構36について、一定の可動範囲が設定されており、その可動範囲の上端が当該所定の位置として定義されている。これにより、図5の(A)に示すように、支持台26が上昇され、各個別載置台27a〜27d及びこれらと接続する各伸縮ロッド27e〜27hは、全体として上昇されることとなる(同図中の黒色矢印参照。)。
【0060】
次に、図7に示すように、制御装置70aは、全体昇降機構36が所定の位置に到達したか否かを判断する(ステップS2)。そして、全体昇降機構36について、所定の位置に到達したと判断した場合(ステップS2:YES)、制御装置70aは、全体昇降機構36の上昇を停止させる(ステップS3)。一方、制御装置70aが全体昇降機構36について、所定の位置に到達していない判断した場合(ステップS3:NO)、ステップS1が繰り返され、引き続き全体昇降機構36が上昇する。
【0061】
全体昇降機構36の上昇が停止した後、制御装置70aは、全ての伸縮ロッド27e〜27hが同期して上昇するように駆動させる(ステップS4)。これにより、図5の(B)に示すように、全ての伸縮ロッド27e〜27hが上昇し、全ての個別載置台27a〜27d及びこれらに載置されたバッテリユニット3が上昇される(同図中の白色矢印参照。)。
【0062】
個別載置台27a〜27d及びバッテリユニット3が上昇されれば、各ロック装置5と各ストライカ9bとが係合されることで、制御装置70aは、ユニット内制御装置を介して、各近接センサ20より発信された検知信号を間接的に受信する。なお、各ロック装置5と各ストライカ9bとの係合については、後述する。
【0063】
ここで、車体1aやバッテリユニット3等には公差が存在し、また、バッテリユニット3の重量に起因する撓みにより、各ロック装置5と各ストライカ9bとの位置にずれが生じているため、制御装置70aに対し、4箇所全ての検知信号が同時期に送信されない。このため、図7に示すように、制御装置70aは全ての検知信号を受信したか否かを判断する(ステップS5)。
【0064】
そして、全ての検知信号を受信していないと判断した場合(ステップS5:NO)、制御装置70aは、一箇所以上の近接センサ20からの検知信号を受信したか否かを判断する(ステップS501)。ここで、制御装置70aが検知信号を一つも受信していない場合(ステップS501:NO)には、ステップS4が繰り返され、引き続き全ての伸縮ロッド27e〜27hが上昇する。
【0065】
一方、一箇所以上の近接センサ20からの検知信号を受信した場合(ステップS501:YES)には、制御装置70aは検知信号に対応する伸縮ロッド27e〜27hの上昇を停止させる(ステップS502)。このように、ステップS5において、全ての検知信号を受信したと判断するまで、制御装置70aは、ステップS501及びステップS502の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS501及びステップS502の処理について、具体例を基に説明する。例えば、制御装置70aは、図4の(A)に示す個別載置台27a上に載置されたロック装置5に設けられた近接センサ20から検知信号を受信した場合(ステップS501)、伸縮ロッド27eの上昇を停止させる(ステップS502)。そして、制御装置70aは他の検知信号を受信するまで、伸縮ロッド27f〜27hの上昇を継続し、個別載置台27b〜27dを上昇させる。このため、この移載装置本体70では、各ロック装置5と各ストライカ9bとの係合の状態に応じて、図5の(B)に示すように、各個別載置台27a〜27dは、それぞれ上昇される高さが異なることとなる。
【0067】
そして、図7に示すように、全ての検知信号を受信した場合(ステップS5:YES)には、車体1aに対してバッテリユニット3が装着された状態となる。その後、制御装置70aは、全ての伸縮ロッド27e〜27hを縮める、すなわち、下降するように駆動させる(ステップS6)。そして、制御装置70aは、全体昇降機構を下降させる(ステップS8)。こうして、移載装置本体70の作動が終了する。
【0068】
これらのように、この移載装置7では、係合しているロック装置5及びストライカ装置9bに対応する伸縮ロッド27e〜27hによる上昇を停止し、係合していないロック装置5及びストライカ9bに対応する伸縮ロッド27e〜27hによる上昇を継続することで、図5の(B)に示すように、個別載置台27a〜27d上におけるバッテリユニット3の空間上の姿勢を変更することができる。このため、この移載装置7では、公差または撓みにより、対応するロック装置5とストライカ9bの位置がずれていたとしても、その仮想面に対してバッテリユニット3側の仮想面を平坦かつ平行にしたり、車体1a側の捩じれた仮想面に対してバッテリユニット3側の仮想面を同じ捩じれにしたりすることができる。このため、この移載装置7によれば、バッテリユニット3が車体1aに対して安定して装着される。
【0069】
また、この移載装置7では、係合していないロック装置5及びストライカ9bに対応する伸縮ロッド27e〜27hのみを上昇させるため、ロック装置5とストライカ9bとの係合の有無に関係なく、全ての個別載置台27a〜27dを上昇させる場合と比較して、ロック装置5とストライカ9bとの係合時における伸縮ロッド27e〜27hへの荷重を軽減することが可能となる。つまり、この移載装置7では、ロック装置5とストライカ9bとについて、各伸縮ロッド27e〜27hにおける最小限の荷重で係合させることが可能となる。
【0070】
このため、この移載装置7では、移載装置本体70の無用な大型化を伴わない。また、車体1aやバッテリユニット3に対し、バッテリユニット3の装着時に加わる荷重も小さくなるため、車体1aやバッテリユニット3等に無用な補強を行う必要もない。
【0071】
特に、制御装置70aは、各近接センサ20の検知信号に基づき、対応する伸縮ロッド27e〜27hによる上昇を停止させることが可能になっている。このため、この移載装置7では、車体1aに対するバッテリユニット3の装着が容易となっている。
【0072】
また、この移載装置7の移載装置本体70は、個々の伸縮ロッド27e〜27hによって各個別載置台27a〜27dを昇降させるだけでなく、支持台26を昇降させることにより、全ての個別載置台27a〜27dを同時に昇降させることが可能となっている。この際、制御装置70aは、所定の位置となる位置まで全体制御手段36により支持台26を上昇させた後、各伸縮ロッド27e〜27hによって各個別載置台27a〜27dを個別に上昇させる。このため、この移載装置7では、車体1aに対するバッテリユニット3の装着を素早く行うことができる。
【0073】
次に、ロック装置5と各ストライカ9bとの系脱について説明する。なお、説明の都合上、バッテリユニット3の装着時の説明を先に行なう。
【0074】
(バッテリユニット3の装着)
図1に示すように、ステーション10の上床10aの所定の位置に電気自動車1が停車している。この停車に際し、搭載スペース1bが連通口10cの直上、すなわち、移載装置本体70の直上に搭載スペース1bが来るように調整している。なお、電気自動車1は、後述する取り外し作業により、搭載スペース1bからバッテリユニット3が取り外されている。
【0075】
一方、移載装置本体70の各個別載置台27a〜27d上には、バッテリユニット3が載置されている。また、各ピン11はそれぞれ第1長さαとなっている。この状態において、バッテリユニット3は、図8に示すように、各ピン11が各ガイド部13dを介して各挿通孔13cにそれぞれ挿通されている。このため、バッテリユニット3は各個別載置台27a〜27d上において位置決めされている。また、各ロックピン25は、各第1ソレノイド19内に収納されており、ポール17は揺動の固定が解放されている。
【0076】
この状態において、制御装置70aにより、全体昇降機構36及び各伸縮ロッド27e〜27hを駆動させ、各個別載置台27a〜27dを上昇させることで、バッテリユニット3を搭載スペース1bに近接させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、相対的にストライカ9bが進入口13b内へ進入する。
【0077】
そして、図9に示すように、ラッチ15の下側爪部15bとストライカ9bとが当接し、ストライカ9bによってラッチ15が押圧される。これにより、コイルばねの付勢力に抗してラッチ15はA1方向に揺動される(同図中の破線矢印参照。)。また、ラッチ15の下側爪部15bにより、ポール17の係止片17aが押圧される。これにより、コイルばねの付勢力に抗してポール17はB2方向に揺動され、係止片17aは第1位置から第2位置へ移動する(同図中の破線矢印参照。)。
【0078】
図2に示すように、バッテリユニット3が搭載スペース1b内に位置すれば、図10に示すように、ポール17はコイルばねの付勢力によりB1方向へ揺動し、係止片17aが第2位置から第1位置へ移動する(同図中の破線矢印参照。)。このため、係止片17aはラッチ15の係止面15cと係合する。こうして、ラッチ15は係止状態となり、凹部15c内においてストライカ9cを係止した状態となる。
【0079】
上記のように、個別載置台27a〜27dには、それぞれロック装置5が載置された状態となっている。このため、各個別載置台27a〜27dの個別の上昇により、各ロック装置5は、順次、対応するストライカ9bと個別に係合されていくことで、全てのロック装置5と全てのストライカ9bとが係合される。この際、バッテリユニット3内のバッテリと電気自動車1との間における電気的な接続も同時に行われる。
【0080】
さらに、ロック装置5とストライカ9bとが係合された後、制御装置70aは、第1ソレノイド19を駆動させて、ハウジング13内にロックピン25を突出させる。これにより、ポール17の操作片17bとロックピン25とが当接し、ロックピン25によって、ポール17におけるB1方向からB2方向への揺動が固定される。つまり、係止片17aが第2位置に移動することが規制される。こうして、ロックピン25によるポール17の固定が完了し、ポール17によるラッチ15の固定が完了する。
【0081】
この後、図11に示すように、制御装置70aにより個別載置台27a〜27d及び全体昇降機構36を下降させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、挿通孔13c内からピン11が抜かれる。これにより、ロック装置5とストライカ9bとの係合が完了し、搭載スペース1b内へのバッテリユニット3の装着が完了する。
【0082】
(バッテリユニット3の取り外し)
図2に示すように、ステーション10の上床10aの所定の位置に電気自動車1を停車する。この際も、搭載スペース1bが連通口10cの直上、すなわち、移載装置本体70の直上に位置するように電気自動車1の位置を調整する。この電気自動車1は、搭載スペース1bにバッテリユニット3が搭載されている。
【0083】
一方、各個別載置台27a〜27d上には、バッテリユニット3が設けられていない。また、各ピン11はそれぞれ第1長さαとなっている。
【0084】
この状態において、図12に示すように、制御装置7aにより個別載置台27a〜27d及び全体昇降機構36を上昇させる。そして、個別載置台27a〜27d上の各ピン11aを各挿通孔13cにそれぞれ挿通させつつ、個別載置台27a〜27dとバッテリユニット3及び各対応するロック装置5とを当接させる。また、第1ソレノイド19が駆動され、ロックピン25が第1ソレノイド19内に収納された状態となる。これにより、ポール17の揺動の固定が解放される。
【0085】
さらに、個別載置台27a〜27dと対応するロック装置5とが当接することによって、リミットスイッチ28が押下され、当接信号が発信される。この当接信号により、制御装置70aは、図6に示す第2ソレノイド110を駆動させる。これにより、図12に示すように、各ピン11が第2長さβとなる。この第2長さβとなったピン11により、ポール17の操作片17bが押圧され、コイルばねの付勢力に抗してポール17がB2方向に揺動される(同図中の破線矢印参照。)。このため、係止片17aは第1位置から第2位置へ移動する。このため、ラッチ15の係止面15dと係止片17aとの係合が解除され、ポール17によるラッチ15の固定が解除される。
【0086】
そして、図13に示すように、個別載置台27a〜27dを下降させてバッテリユニット3を搭載スペース1b内から下方に移動させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、ラッチ15の上側爪部15aがストライカ9bに押圧されるとともに、コイルばねの付勢力によってA2方向に揺動され、ラッチ15が解放状態となる。このため、相対的にストライカ9bが進入口13bから離脱する方向に移動する。こうして、ロック装置5によるストライカ9bの係合が解除され、車体1aからのバッテリユニット3の取り外しが完了する。この際、バッテリユニット3内のバッテリと電気自動車1との間における電気的な接続の解除も同時に行われる。
【0087】
バッテリユニット3の取り外しが完了した後、制御装置70aは第2ソレノイド110を駆動させ、ピン11を第1長さαに変動させる。これにより、ピン11による操作片17bへの押圧が解除される。このため、コイルばねの付勢力により、ポール17はB1方向に揺動され、係止片17aは第2位置から第1位置へ移動される。また、全体昇降機構36を下降させる。この後、取り外しが完了したバッテリユニット3を載置台27から移動させる。なお、バッテリユニット3を各個別載置台27a〜27dから移動させる前にピン11を第2長さβから第1長さαに変動させることで、ピン11の損傷を未然に防止することができる。
【0088】
これらのように、この車両用バッテリユニット装着装置によれば、車体1aにおける所定の装着位置、すなわち、搭載スペース1bまで移載装置本体70によってバッテリユニット3を上昇させるだけで車体1aに対するバッテリユニット3の装着と、その取り外しとを行うことが可能である。
【0089】
さらに、各固定部は、車体1aに設けられたストライカ装置9におけるストライカ9bであり、各被固定部は、バッテリユニット3に設けられたロック装置5である。これらにより、この車両用バッテリ装着装置では、車体1a側の構成を簡素化できるため、車体1aにおけるバッテリユニット3の装着位置等の設計に関する自由度を高くできる。
【0090】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0091】
例えば、ケース3aに複数の凹部を形成し、各凹部内に各ロック装置5をそれぞれ位置させつつ、各ロック装置5とケース3aとを固定させても良い。この場合、バッテリユニット3から各ロック装置5が突出せず、搭載スペース1bを小型化することが可能となる。
【0092】
また、制御装置70aは、個別載置台27a〜27d上のいずれかのロック装置5がストライカ9bと係合するまで全体昇降機構36によって支持台26を上昇させる。そして、残りのロック装置5については、対応する伸縮ロッド27e〜27hを上昇させて、対応する個別載置台27a〜27dを上昇させてストライカ9bと係合させるように、制御装置本体70を制御しても良い。
【0093】
さらに、各ロック装置5が車体1側に配置され、各ストライカ9bがバッテリユニット3側に配置されていても良い。この場合、近接センサ20及び第1ソレノイド19は、車体側に設けられ得る車載側制御装置に電気的に接続され、例えば無線手段を介して、制御装置70より制御される。また、固定手段及び被固定手段についても、ロック装置5とストライカ9bとに限定されない。
【0094】
さらに、制御装置70aは、操作者によるスイッチ操作を必要とせず、自動でバッテリユニット3の装着または取り外しを開始する構成とすることも可能である。この場合、例えば、電気自動車1が上床10aの定位置に停車したことを検知するセンサを備え、停車を確認すると、バッテリユニット3の取り外し及びバッテリユニット3の装着を順に行なうものとしても良い。また、電気自動車1にこれらの作業の開始を指示する送信手段を備え、電気自動車1から開始信号を制御装置70aが受信することで、移載装置本体70によるバッテリユニット3の取り外し等を開始させても良い。
【0095】
また、個別載置台27a〜27dは、各ロック装置5に直接当接していなくてもよい。具体的には、個別載置台27a〜27dの上方に離間して、各ロック装置5が配置されるが如く、各ロック装置5が個別載置台27a〜27dに間接的に載置されていても良い。この構成においても、近接センサ20に基づき、個別載置台27a〜27d上でバッテリユニット3の姿勢を変更させることに支障は無い。
【0096】
さらに、近接センサ20は、制御装置70aに対して、常に一定の信号を送信し続ける一方、ロック装置5とストライカ9bとが係合されたと判断することで、この信号の送信を停止する構成としても良い。この場合、信号を停止することが制御手段70aに対する検知信号となる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、バッテリ交換ステーションとして利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1a…車体
1b…搭載スペース(装着位置)
3…バッテリユニット
5…ロック装置(固定部)
7…移載装置
9b…ストライカ(被固定部)
13…ハウジング
13b…進入口
13c…挿通孔
13d…ガイド部
15…ラッチ
17…ポール
20…近接センサ(検知手段)
26…支持台
27a〜27d…個別載置台
27e〜27h…伸縮ロッド(個別昇降機構)
36…全体昇降機構
70…移載装置本体
70a…制御装置(個別制御手段、停止手段、全体制御手段、制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の車体に対してバッテリユニットの装着を行うための移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体に対して所定の装着位置までバッテリを上昇させることにより、バッテリを車体に対して装着可能な昇降装置(移載装置に相当)が開示されている。この昇降装置は、バッテリを載置可能な4個の昇降支持台と、クラッチを備えた動力伝達機構と、動力伝達機構を介して全ての昇降支持台を昇降させる一つのモータとを備えている。また、特許文献1に開示されている車体の下方には、バッテリを装着可能なバッテリ吊り金具が設けられている。
【0003】
この昇降装置によってバッテリを車体に対して装着する場合、操作部を操作することにより、クラッチの切替とモータの駆動とを行い、昇降支持台を上昇させる。これにより、装着位置までバッテリが上昇する。そして、バッテリがバッテリ吊り金具に係合、すなわち係止されれば、その装着が完了する。
【0004】
また、特許文献2には、車体の傾斜状態を位置検出センサによって検知し、バッテリを載置して固定する固定手段の傾斜状態を調整した上で、バッテリを上昇させ、バッテリを車体に対して装着可能なバッテリ交換装置(移載装置に相当)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−36727号公報
【特許文献2】特開2010−173364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2の移載装置では、バッテリ、より具体的には複数のバッテリを内包したバッテリユニットを車体に対して装着するために、移載装置には、単にバッテリユニットを上下動させるために必要な値以上の、高い強度や大きな出力が要求されるという課題がある。
【0007】
すなわち、車体に装着されたバッテリユニットが車両の走行中に安定しているようにするためには、車体とバッテリユニットとが3個以上の箇所で取り付けられ、固定されていることが好ましい。例えば、車体に設けられる固定部と、バッテリユニットに設けられる被固定部とにより、両者の系脱が行われるとすると、バッテリユニットが車体に対して安定して装着されるためには、3個ずつの固定部と被固定部とが各々係合していることが好ましい。ここで、互いに係合した固定部と被固定部との組み合わせによって空間上の座標が決定されるとすれば、それぞれ3座標によって車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが決定されることとなる。このため、バッテリユニットが係合した状態では、車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とがそれぞれ平坦であり、かつそれらが平行になる。
【0008】
特に、電気自動車等のバッテリユニットは重量物であるため、車体とバッテリユニットとは4個以上の箇所で係合されることが好ましい。ここで、上記と同様に検討すれば、4以上の座標によって車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが決定されることとなる。このため、その場合、車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが捩じれておらず、かつそれらが平行であるか、車体側の仮想面とバッテリユニット側の仮想面とが互いに同じ捩じれを生じている必要がある。
【0009】
しかしながら、バッテリユニットは重量物であるため、バッテリユニット自体や車体に撓みを生じさせる。また上記の固定部や被固定部には、製造時の公差が存在することから、バッテリユニットの装着前において、固定部と被固定部の位置にずれを生じさせる。
【0010】
このため、上記の移載装置のように、4個の載置台を同時に上昇させることによってバッテリユニットを車体に対して装着しようとすれば、一部の組の固定部及び被固定部が初めに係合する。
【0011】
この際、上記従来の移載装置では、一部の組の固定部及び被固定部が係合した後も強引に全ての載置台を同時に上昇させることで、全ての固定部及び被固定部を係合させる。このようにバッテリユニットの装着作業のために、移載装置は、車体の一部を押し上げる必要があることから、移載装置には偏った位置で車体を押し上げることが出来るだけの強度と出力とが求められ、移載装置が大型化する。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着可能な移載装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の移載装置は、車体に対して所定の装着位置までバッテリユニットを上昇させることにより、該車体又は該バッテリユニットの一方に設けられる3個以上の固定部と、該車体又は該バッテリユニットの他方に設けられ、各該固定部と対応する被固定部とを各々係合させることで該バッテリユニットを該車体に対して装着可能な移載装置であって、
前記バッテリユニットに設けられた各該固定部又は各該被固定部を個別に載置する複数の個別載置台と、
各該個別載置台を個別に昇降させる個別昇降機構と、
各該個別昇降機構を個別に制御可能な個別制御手段とを備えていることを特徴とする(請求項1)。
【0014】
本発明の移載装置によってバッテリユニットを車体に対して装着する場合、個別制御手段により各個別昇降機構を個別に駆動し、各個別載置台を個別に上昇させる。これにより、車体の装着位置までバッテリユニットが上昇する。この際、バッテリユニットは、各個別載置台が個別に上昇することから、高さ方向においては、空間上で任意の姿勢をとることができる。
【0015】
このため、例えば、車体に設けられる3個の固定部と、バッテリユニットに設けられる各被固定部とにより、両者の係合が行われるとすると、互いに係合した固定部及び被固定部の組み合わせによって決定される3座標により、バッテリユニット側の平坦な仮想面を高さ方向で任意に決定することができる。このため、製造時の公差や、バッテリユニット自身の重量による撓みにより、装着前の仮想面同士が平行でなかったとしても、車体側の仮想面に対してバッテリユニット側の仮想面を平行にすることができる。このため、バッテリユニットが車体に対して安定して装着される。
【0016】
また、例えば、車体に設けられる4個以上の固定部と、バッテリユニットに設けられる各被固定部とにより、両者の係合が行われるとすると、互いに係合した固定部及び被固定部の組み合わせによって決定される4以上の座標により、バッテリユニット側の仮想面を高さ方向で任意に決定することができる。このため、製造時の公差や、バッテリユニット自身の重量による撓みにより、仮想面同士に、捩れの状態などでずれがあったとしても、バッテリユニットが車体に対して安定して装着される。
【0017】
詳しくは、この移載装置では、一部の組の固定部及び被固定部が係合するだけで、他の組の固定部及び被固定部が係合していない場合には、係合している固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を停止し、係合していない固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を継続し、バッテリユニットの空間上の姿勢を変更することができる。こうして、全ての組の固定部及び被固定部を係合させることができる。こうして、バッテリユニットが安定して車体に装着される。
【0018】
したがって、本発明の移載装置によれば、移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着することができる。
【0019】
本発明の移載装置は、バッテリに蓄電された電力によって走行する車両において、車体とバッテリユニットとの装着を行う装置として主に採用され得る。なお、本発明において、車体の概念には、乗用自動車の車体だけでなく、産業車両や自動搬送車の車体も含まれる。
【0020】
また、本発明の移載装置において、各固定部又は各被固定部を各個別載置台に載置する状態とは、固定部又は被固定部と個別載置台とを直接当接させて載置する状態の他、各個別載置台とバッテリユニットとを当接させることで、各個別載置台に対して固定部又は被固定部を間接的に載置する状態も含まれる。
【0021】
さらに、本発明の移載装置における固定部及び被固定部としては、互いに係合してバッテリユニットを車体に対して装着可能であれば、種々のものを採用することができる。例えば、ロック装置とストライカとを採用することができる。
【0022】
個別制御手段は、各固定部又は各被固定部に設けられ、対応する固定部と被固定部とが係合されることにより検知信号を発信可能な検知手段と、検知信号に基づき、対応する個別昇降機構による上昇を停止させる停止手段とを有していることが好ましい(請求項2)。
【0023】
この場合、係合した固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を停止し、係合していない固定部及び被固定部に対応する個別昇降装置による上昇を継続することができる。このため、車体に対するバッテリユニットの装着が容易となる。なお、検知信号の発信は、それまで継続していた送信を停止する場合も含まれる。少なくとも1組の固定部及び被固定部が係合するまで、又は全ての個別載置台が一定の高さになるまでは、全ての個別昇降装置が同速度で個別載置台を上昇させることが好ましい。
【0024】
本発明の移載装置は、各個別昇降機構が設けられる支持台と、
支持台を昇降させる全体昇降機構と、
全体昇降機構を制御可能な全体制御手段と個別制御手段とを有する制御手段とを備えていることが好ましい(請求項3)。
【0025】
この場合、個々の個別昇降機構によって各個別載置台を昇降させるだけでなく、支持台を昇降させることにより、全ての個別載置台を同時に昇降させることが可能となる。このため、この移載装置では、車体に対するバッテリユニットの装着を効率良く行うことが可能となる。
【0026】
このような移載装置の場合、制御手段は、予め設定された高さまで全体制御手段により支持台を上昇させた後、個別制御手段により個別載置台を個別に上昇させることが好ましい(請求項4)。この場合、車体に対するバッテリユニットの装着を素早く行うことができる。
【0027】
各固定部は、車体に設けられたストライカであり得る。また、各被固定部は、バッテリユニットに設けられ、ストライカを固定又は解放可能なロック装置であり得る。そして、ロック装置は、ストライカを進入させる進入口が形成されたハウジングと、ハウジングに対して第1揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、進入口内でストライカを係止する係止状態と進入口内でストライカを解放する解放状態とを切り替え可能なラッチと、ラッチの揺動を固定可能なポールとを有していることが好ましい(請求項5)。この場合、車体側の構成を簡素化できるため、車体におけるバッテリユニットの装着位置等の設計に関する自由度を高くできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の移載装置によれば、移載装置自体の大型化を生じることなく、車体に対してバッテリユニットを確実に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】車体とバッテリユニットとの装着及び取り外しの状態を示す側面図である。
【図2】車体とバッテリユニットとの装着及び取り外しの状態を示す側面図である。
【図3】ストライカ装置、ロック装置、個別載置台及び伸縮ロッドを示す断面図である。
【図4】実施例の移載装置に係り、バッテリユニット、ロック装置並びに、支持台上の個別載置台及び伸縮ロッドの各位置関係を示す斜視図である。図(A)は、個別載置台上にバッテリユニット及び各ロック装置が載置された状態で、各伸縮ロッドが上昇した状態を示している。図(B)は各伸縮ロッドが下降した状態を示している。
【図5】実施例の移載装置を示す側面図である。図(A)は全体昇降機構が上昇した状態を示している。図(B)は全体昇降機構と、各個別昇降機構の伸縮ロッドとが上昇した状態を示している。
【図6】実施例の移載装置に係り、個別載置台上のピンを示す側面図である。図(A)は第1長さにあるピンを示し、図(B)は第2長さにあるピンを示している。
【図7】車体とバッテリユニットとの装着時における移載装置の制御フローである。
【図8】車体とバッテリユニットとの装着中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図9】車体とバッテリユニットとの装着中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図10】車体とバッテリユニットとの装着中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図11】車体とバッテリユニットとの装着完了におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図12】車体とバッテリユニットとの取り外し中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図13】車体とバッテリユニットとの取り外し中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例)
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。図1、2に示すように、実施例の移載装置7は、バッテリ交換ステーション10(以下、ステーション10という。)において、電気自動車1における車体1aよりバッテリユニット3の取り外しを行うとともに、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行う装置である。
【0031】
ステーション10は、上床10aと、上床10aの床下に位置する下床10bとを有している。また、上床10aには、下床10bに連通する連通口10cが形成されている。上床10aには電気自動車1が停車可能になっている。
【0032】
電気自動車1には、車体1aの下方にバッテリユニット3を搭載可能な搭載スペース1bが形成されている。また、車体1aには、車体1aの前後方向に延びる一対のフレーム1cが設けられ、搭載スペース1bの両側縁を形成している。
【0033】
移載装置7は、ロック装置5を有するバッテリユニット3を上床10aの床下より連通口10cを介して上昇させ、ストライカ装置9が配置された電気自動車1の搭載スペース1bにバッテリユニット3を装着させる。ストライカ装置9は車体1aに4個設けられており、ロック装置5はバッテリユニット3に4個設けられている。そして、移載装置7は、移載装置本体70と、制御手段としての制御装置70aとからなり、これらはステーション10の下床10bに配置されている。
【0034】
図3に示すように、各ストライカ装置9は、図1に示すフレーム1cに固定されたベースプレート9aと、ベースプレート9aに固定されたストライカ9bとを有している。ベースプレート9aには、フレーム1cにベースプレート9aを固定するための複数のボルト孔9cが形成されている。ストライカ9bは、鋼材に対して複数回の曲げ加工が施されることで形成されており、略環状を呈している。このベースプレート9aとストライカ9bとは溶接により一体とされている。このストライカ9bが被固定部に相当する。
【0035】
これらのストライカ装置9は、図1に示す搭載スペース1b内に位置するように、それぞれボルトによって、各フレーム1cに対して2個ずつ取り付けられている。各フレーム1cに取り付けられたストライカ装置9同士は、ストライカ9bが互いに対面している。なお、各フレーム1cに取り付けられるストライカ装置9の個数は、バッテリユニット3の大きさに応じて適宜変更が可能である。また、図1、2では、他方のフレーム1c及びこのフレーム1cに取り付けられた各ストライカ装置9の図示を省略している。
【0036】
図4に示すように、バッテリユニット3は、矩形の箱形状のケース3aと、このケース3a内に収納された詳細を図示しない複数個のバッテリとからなる。また、ケース3aには、図1に示す車体1aと各バッテリとを電気的に接続可能な図示しない接続端子が設けられている。また、バッテリユニット3内には、無線通信手段を有したユニット内制御装置(図示せず)が設けられており、このユニット内制御装置は、制御装置70aと通信を行なう。なお、ケース3aの形状は、図1に示す搭載スペース1bの形状に応じて適宜変更が可能である。
【0037】
各ロック装置5は、上記の各ストライカ装置9と対応する位置にて、ケース3aにおける長辺側の側面に各々2個ずつ取り付けられている。各ロック装置5は、図3に示すように、ハウジング13と、ラッチ15と、ポール17と、第1ソレノイド19とを有している。第1ソレノイド19には、ロックピン25が固定されている。また、各ロック装置5には、検知手段としての近接センサ20がそれぞれ設けられている。これらの各のロック装置5が固定部に相当する。近接センサ20は、例えば、ラッチ15の接近を磁気的に検出する磁気センサである。
【0038】
ハウジング13は、図4に示すように、バッテリユニット3のケース3aに固定されている。ハウジング13には、図3に示すように、上端が開き、下方に延びてストライカ9bを進入させる進入口13bが形成されている。また、ハウジング13には、下端からハウジング13内に向かって開けられ、ピン11を挿通させる挿通孔13cが形成されている。挿通孔13cの周囲には、ハウジング13が曲げ加工されることにより、ピン11を案内するガイド部13dが形成されている。さらに、ハウジング13には、三箇所にボルト孔13eが形成されている。ハウジング13は、各ボルト孔13eにそれぞれ挿通された図示しないボルトによりケース3aに固定されている。
【0039】
ハウジング13内には、第1揺動軸21、第2揺動軸23がそれぞれ水平方向に突出して設けられている。第1揺動軸21の軸芯が第1揺動軸芯O1であり、第2揺動軸23の軸芯が第2揺動軸芯O2である。
【0040】
ラッチ15は、一部に凹部15cが形成されて略U字形状を呈している。そして、凹部15cの上方側が上側爪部15aとされ、凹部15cの下方側が下側爪部15bとされている。凹部15cには、ハウジング13の進入口13b内に進入したストライカ9bが収まる形状とされている。さらに、上側爪部15aの近傍には、凹部15cとは逆側に係合面15dが形成されている。
【0041】
ラッチ15は、第1揺動軸21に対して揺動可能に軸支されており、A1方向及びA2方向に揺動することが可能となっている。このラッチ15は、図示しないコイルばねにより、A2方向に付勢されている。ラッチ15はA1方向に揺動することにより、進入口13b内でストライカ9bを係止する係止状態となる。また、ラッチ15はA2方向に揺動することにより、進入口13b内でストライカ9bを解放する解放状態となる。このように、ラッチ15は、第1揺動軸芯O1回りで揺動することにより、係止状態と解放状態とが切り替わる。
【0042】
ポール17には互いに略直交した係止片17aと操作片17bとが形成され、ポール17は略L字形状を呈している。ポール17は、第2揺動軸23に対して揺動可能に軸支されており、B1方向及びB2方向に揺動することが可能となっている。このポール17は、図示しないコイルばねにより、B1方向に付勢されている。ポール17がB1方向に揺動することにより、係止片17aはラッチ15の揺動を固定可能な第1位置に移動する。また、ポール17がB2方向に揺動することにより、係止片17aはラッチ15の揺動を解放可能な第2位置に移動する。このように、ポール17は第2揺動軸芯O2回りで揺動することにより、係止片17aの位置を第1位置と第2位置とに切り替わる。
【0043】
第1ソレノイド19は、上記のユニット内制御装置に電気的に接続され、ユニット内制御装置及び無線通信手段を介することで、図1に示す制御装置70aにより制御される。図3に示す第1ソレノイド19は、制御装置70aによって駆動されることにより、ハウジング13内にロックピン25を水平に突出させた状態と、第1ソレノイド19内にロックピン25が収納された状態とを切り替えることが可能なっている。そして、ロックピン25は、ハウジング13内に水平に突出することで、ポール17の揺動を固定することが可能になっている。また、ロックピン25は、第1ソレノイド19内に収納されることで、ポール17の揺動の固定を開放することが可能になっている。なお、第1ソレノイド19の他の構成は公知のソレノイドと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0044】
近接センサ20はハウジング13内に配置されている。この近接センサ20は、ユニット内制御装置に電気的に接続されており、ユニット内制御装置及び無線通信手段を介することで、検知信号を制御装置70aに送信する。具体的には、近接センサ20は、ハウジング13内におけるストライカ9bの位置と、上側爪部15aや下側爪部15bの各位置と、近接センサ20との位置を基に、ラッチ15の揺動を検出する。そして、近接センサ20は、ラッチ15が係止状態となり、ロック装置5とストライカ9bとが係合した場合に、制御装置70aに対して検知信号を送信する。
【0045】
上記のように、ロック装置5はバッテリユニット3に対して4個取り付けられていることから、近接センサ20は、対応するロック装置5とストライカ9bとの各係合を検知する。このため、制御装置70aは、4箇所分の検知信号を受信する。
【0046】
移載装置7における移載装置本体70は、図5に示すように、下床10b上に固定された基部33と、全体昇降機構36と、支持台26と、図4に示す個別昇降機構としての4つの伸縮ロッド27e〜27hと、4つの個別載置台27a〜27dとを備えている。
【0047】
図5に示すように、基部33内には、図示しないモータと、モータによって、全体昇降機構36に動力を伝達可能な図示しないギヤ列とが設けられている。このモータは制御装置70aと電気的に接続されている。
【0048】
全体昇降機構36は、下部保持部材31と、一対の第1リンク部材35及び第2リンク部材37と、上部保持部材29とからなる。下部保持部材31は基部33上に固定されている。下部保持部材31には水平方向に延びる一対の長孔31aが形成されている。また、上部保持部材29にも水平方向に延びる一対の長孔29aが形成されている。第1、2リンク部材35、37は、互いに同じ長さに形成され、互いの中央部で連結ピン39によって揺動可能に連結されている。第1リンク部材35の下端は、連結軸41bによって下部保持部材31と揺動可能に連結されている。一方、第2リンク部材37の下端は、上記のギヤ列と接続した連結軸41dに連結されており、第2リンク部材37は、下部保持部材31と揺動可能かつ長孔31a内を摺動可能となっている。また、第2リンク部材37の上端は、連結軸41cによって上部保持部材29と揺動可能に連結されている。一方、第1リンク部材35の上端は、連結軸41aによって上部保持部材29と揺動可能かつ長孔29a内を摺動可能となっている。支持台26は上部保持部材29に固定されている。なお、電動直動シリンダや油圧シリンダ等を全体昇降機構36として採用することも可能である。
【0049】
図4の(A)に示すように、支持台26上には、伸縮ロッド27e〜27hと、個別載置台27a〜27dとが配置されている。各個別載置台27a〜27dはその背面側で、各伸縮ロッド27e〜27hにそれぞれ接続されている。各個別載置台27a〜27d上には、バッテリユニット3を載置可能になっており、バッテリユニット3が載置された状態で、各個別載置台27a〜27dは、各ロック装置5にそれぞれ当接する。また、同図の(B)に示すように、各個別載置台27a〜27dの表面には、ピン11と、リミットスイッチ28とがそれぞれ取り付けられている。なお、ピン11及びリミットスイッチ28に関する詳細は後述する。
【0050】
各伸縮ロッド27e〜27hは、支持台26に設けられた図示しない4つの駆動機構によって、図4の(A)に示す高さHまで個別に伸縮することが可能になっている。これにより、各個別載置台27a〜27dは、支持台26から高さHの範囲で個別に昇降することが可能となっている。なお、各駆動機構は、制御装置70aと電気的に接続されている。
【0051】
制御装置70aは、移載装置本体70の近傍に配置されている。制御装置70aには、図示しないスイッチが設けられている。操作者がこのスイッチを操作することで、移載装置本体70に対するバッテリユニット3の昇降が指示される。この際、全体昇降機構36及び各伸縮ロッド27e〜27hは、制御装置70aにより制御される。この制御装置70aには、各伸縮ロッド27e〜27hを個別に制御するとともに、全体昇降機構36を制御する制御プログラムが記憶されている。制御装置70aは個別制御手段及び全体制御手段として機能するとともに、各伸縮ロッド27e〜27hによる各個別載置台27a〜27dの上昇を停止させる停止手段としても機能する。
【0052】
図4(B)に示すように、各リミットスイッチ28は、各個別載置台27a〜27dの各表面において、各ロック装置5におけるハウジング13と当接可能となる位置にそれぞれ取り付けられている。各リミットスイッチ28は、制御装置70aとそれぞれ電気的に接続されている。各リミットスイッチ28は、各ハウジング13によって押下されることにより、各ロック装置5と各個別載置台27a〜27dとがそれぞれ当接したことを検知して、当接信号を発信することが可能となっている。なお、リミットスイッチ28に替えて、各個別載置台27a〜27d上に位置する各ロック装置5の圧力を検知可能な圧力センサ等を採用しても良い。
【0053】
各ピン11は、各個別載置台27a〜27d上において、バッテリユニット3のケース3aに固定された各ロック装置5における各挿通孔13cに挿通可能となる位置にそれぞれ配置されている。
【0054】
図6に示すように、各ピン11は、各個別載置台27a〜27dの各表面から上方向へ垂直に延在している。各ピン11は、各ピン11に対応して各個別載置台27a〜27d7内に設けられた各第2ソレノイド110とそれぞれ接続されている。これらの各第2ソレノイド110は、図5に示す制御装置70aに電気的に接続されている。
【0055】
図6に示すように、各第2ソレノイド110は、バッテリユニット3の取り外し時における、上記の各リミットスイッチ28の当接信号に基づいて駆動され、同図6の(A)に示す第1長さαと、同図の(B)に示す第2長さβとの間で各ピン11を変動させることが可能となっている。なお、第2ソレノイド110に替えて、電動直動シリンダや油圧シリンダ等を採用することも可能である。
【0056】
各ピン11は、図6の(A)に示す第1長さαとなることで、各ピン11を各挿通孔13c(図5参照)に挿通させた状態で、各個別載置台27a〜27d上におけるバッテリユニット3の位置決めが可能となっている。また、各ピン11は、図6の(B)に示す第2長さβとなることで、図5に示すポール17と当接してポール17をB1方向からB2方向へ揺動、すなわち、係止片17aの位置を第1位置から第2位置へ揺動させることが可能となっている。
【0057】
図1に示すステーション10では、以下のようにして、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行うとともに、車体1aに対してバッテリユニット3の取り外しを行う。
【0058】
初めに、移載装置7によって、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行う際における、制御装置70aによる移載装置本体70の制御について、図7に示すフローを基に説明する。
【0059】
まず、個別載置台27a〜27d上に、バッテリユニット3を載置する。次に、操作者のスイッチ操作により、制御装置70aが制御プログラムを実行する。これにより、移載装置本体70では全体昇降機構36が所定の位置まで上昇する(ステップS1)。この所定の位置について、この移載装置本体70では、全体昇降機構36について、一定の可動範囲が設定されており、その可動範囲の上端が当該所定の位置として定義されている。これにより、図5の(A)に示すように、支持台26が上昇され、各個別載置台27a〜27d及びこれらと接続する各伸縮ロッド27e〜27hは、全体として上昇されることとなる(同図中の黒色矢印参照。)。
【0060】
次に、図7に示すように、制御装置70aは、全体昇降機構36が所定の位置に到達したか否かを判断する(ステップS2)。そして、全体昇降機構36について、所定の位置に到達したと判断した場合(ステップS2:YES)、制御装置70aは、全体昇降機構36の上昇を停止させる(ステップS3)。一方、制御装置70aが全体昇降機構36について、所定の位置に到達していない判断した場合(ステップS3:NO)、ステップS1が繰り返され、引き続き全体昇降機構36が上昇する。
【0061】
全体昇降機構36の上昇が停止した後、制御装置70aは、全ての伸縮ロッド27e〜27hが同期して上昇するように駆動させる(ステップS4)。これにより、図5の(B)に示すように、全ての伸縮ロッド27e〜27hが上昇し、全ての個別載置台27a〜27d及びこれらに載置されたバッテリユニット3が上昇される(同図中の白色矢印参照。)。
【0062】
個別載置台27a〜27d及びバッテリユニット3が上昇されれば、各ロック装置5と各ストライカ9bとが係合されることで、制御装置70aは、ユニット内制御装置を介して、各近接センサ20より発信された検知信号を間接的に受信する。なお、各ロック装置5と各ストライカ9bとの係合については、後述する。
【0063】
ここで、車体1aやバッテリユニット3等には公差が存在し、また、バッテリユニット3の重量に起因する撓みにより、各ロック装置5と各ストライカ9bとの位置にずれが生じているため、制御装置70aに対し、4箇所全ての検知信号が同時期に送信されない。このため、図7に示すように、制御装置70aは全ての検知信号を受信したか否かを判断する(ステップS5)。
【0064】
そして、全ての検知信号を受信していないと判断した場合(ステップS5:NO)、制御装置70aは、一箇所以上の近接センサ20からの検知信号を受信したか否かを判断する(ステップS501)。ここで、制御装置70aが検知信号を一つも受信していない場合(ステップS501:NO)には、ステップS4が繰り返され、引き続き全ての伸縮ロッド27e〜27hが上昇する。
【0065】
一方、一箇所以上の近接センサ20からの検知信号を受信した場合(ステップS501:YES)には、制御装置70aは検知信号に対応する伸縮ロッド27e〜27hの上昇を停止させる(ステップS502)。このように、ステップS5において、全ての検知信号を受信したと判断するまで、制御装置70aは、ステップS501及びステップS502の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS501及びステップS502の処理について、具体例を基に説明する。例えば、制御装置70aは、図4の(A)に示す個別載置台27a上に載置されたロック装置5に設けられた近接センサ20から検知信号を受信した場合(ステップS501)、伸縮ロッド27eの上昇を停止させる(ステップS502)。そして、制御装置70aは他の検知信号を受信するまで、伸縮ロッド27f〜27hの上昇を継続し、個別載置台27b〜27dを上昇させる。このため、この移載装置本体70では、各ロック装置5と各ストライカ9bとの係合の状態に応じて、図5の(B)に示すように、各個別載置台27a〜27dは、それぞれ上昇される高さが異なることとなる。
【0067】
そして、図7に示すように、全ての検知信号を受信した場合(ステップS5:YES)には、車体1aに対してバッテリユニット3が装着された状態となる。その後、制御装置70aは、全ての伸縮ロッド27e〜27hを縮める、すなわち、下降するように駆動させる(ステップS6)。そして、制御装置70aは、全体昇降機構を下降させる(ステップS8)。こうして、移載装置本体70の作動が終了する。
【0068】
これらのように、この移載装置7では、係合しているロック装置5及びストライカ装置9bに対応する伸縮ロッド27e〜27hによる上昇を停止し、係合していないロック装置5及びストライカ9bに対応する伸縮ロッド27e〜27hによる上昇を継続することで、図5の(B)に示すように、個別載置台27a〜27d上におけるバッテリユニット3の空間上の姿勢を変更することができる。このため、この移載装置7では、公差または撓みにより、対応するロック装置5とストライカ9bの位置がずれていたとしても、その仮想面に対してバッテリユニット3側の仮想面を平坦かつ平行にしたり、車体1a側の捩じれた仮想面に対してバッテリユニット3側の仮想面を同じ捩じれにしたりすることができる。このため、この移載装置7によれば、バッテリユニット3が車体1aに対して安定して装着される。
【0069】
また、この移載装置7では、係合していないロック装置5及びストライカ9bに対応する伸縮ロッド27e〜27hのみを上昇させるため、ロック装置5とストライカ9bとの係合の有無に関係なく、全ての個別載置台27a〜27dを上昇させる場合と比較して、ロック装置5とストライカ9bとの係合時における伸縮ロッド27e〜27hへの荷重を軽減することが可能となる。つまり、この移載装置7では、ロック装置5とストライカ9bとについて、各伸縮ロッド27e〜27hにおける最小限の荷重で係合させることが可能となる。
【0070】
このため、この移載装置7では、移載装置本体70の無用な大型化を伴わない。また、車体1aやバッテリユニット3に対し、バッテリユニット3の装着時に加わる荷重も小さくなるため、車体1aやバッテリユニット3等に無用な補強を行う必要もない。
【0071】
特に、制御装置70aは、各近接センサ20の検知信号に基づき、対応する伸縮ロッド27e〜27hによる上昇を停止させることが可能になっている。このため、この移載装置7では、車体1aに対するバッテリユニット3の装着が容易となっている。
【0072】
また、この移載装置7の移載装置本体70は、個々の伸縮ロッド27e〜27hによって各個別載置台27a〜27dを昇降させるだけでなく、支持台26を昇降させることにより、全ての個別載置台27a〜27dを同時に昇降させることが可能となっている。この際、制御装置70aは、所定の位置となる位置まで全体制御手段36により支持台26を上昇させた後、各伸縮ロッド27e〜27hによって各個別載置台27a〜27dを個別に上昇させる。このため、この移載装置7では、車体1aに対するバッテリユニット3の装着を素早く行うことができる。
【0073】
次に、ロック装置5と各ストライカ9bとの系脱について説明する。なお、説明の都合上、バッテリユニット3の装着時の説明を先に行なう。
【0074】
(バッテリユニット3の装着)
図1に示すように、ステーション10の上床10aの所定の位置に電気自動車1が停車している。この停車に際し、搭載スペース1bが連通口10cの直上、すなわち、移載装置本体70の直上に搭載スペース1bが来るように調整している。なお、電気自動車1は、後述する取り外し作業により、搭載スペース1bからバッテリユニット3が取り外されている。
【0075】
一方、移載装置本体70の各個別載置台27a〜27d上には、バッテリユニット3が載置されている。また、各ピン11はそれぞれ第1長さαとなっている。この状態において、バッテリユニット3は、図8に示すように、各ピン11が各ガイド部13dを介して各挿通孔13cにそれぞれ挿通されている。このため、バッテリユニット3は各個別載置台27a〜27d上において位置決めされている。また、各ロックピン25は、各第1ソレノイド19内に収納されており、ポール17は揺動の固定が解放されている。
【0076】
この状態において、制御装置70aにより、全体昇降機構36及び各伸縮ロッド27e〜27hを駆動させ、各個別載置台27a〜27dを上昇させることで、バッテリユニット3を搭載スペース1bに近接させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、相対的にストライカ9bが進入口13b内へ進入する。
【0077】
そして、図9に示すように、ラッチ15の下側爪部15bとストライカ9bとが当接し、ストライカ9bによってラッチ15が押圧される。これにより、コイルばねの付勢力に抗してラッチ15はA1方向に揺動される(同図中の破線矢印参照。)。また、ラッチ15の下側爪部15bにより、ポール17の係止片17aが押圧される。これにより、コイルばねの付勢力に抗してポール17はB2方向に揺動され、係止片17aは第1位置から第2位置へ移動する(同図中の破線矢印参照。)。
【0078】
図2に示すように、バッテリユニット3が搭載スペース1b内に位置すれば、図10に示すように、ポール17はコイルばねの付勢力によりB1方向へ揺動し、係止片17aが第2位置から第1位置へ移動する(同図中の破線矢印参照。)。このため、係止片17aはラッチ15の係止面15cと係合する。こうして、ラッチ15は係止状態となり、凹部15c内においてストライカ9cを係止した状態となる。
【0079】
上記のように、個別載置台27a〜27dには、それぞれロック装置5が載置された状態となっている。このため、各個別載置台27a〜27dの個別の上昇により、各ロック装置5は、順次、対応するストライカ9bと個別に係合されていくことで、全てのロック装置5と全てのストライカ9bとが係合される。この際、バッテリユニット3内のバッテリと電気自動車1との間における電気的な接続も同時に行われる。
【0080】
さらに、ロック装置5とストライカ9bとが係合された後、制御装置70aは、第1ソレノイド19を駆動させて、ハウジング13内にロックピン25を突出させる。これにより、ポール17の操作片17bとロックピン25とが当接し、ロックピン25によって、ポール17におけるB1方向からB2方向への揺動が固定される。つまり、係止片17aが第2位置に移動することが規制される。こうして、ロックピン25によるポール17の固定が完了し、ポール17によるラッチ15の固定が完了する。
【0081】
この後、図11に示すように、制御装置70aにより個別載置台27a〜27d及び全体昇降機構36を下降させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、挿通孔13c内からピン11が抜かれる。これにより、ロック装置5とストライカ9bとの係合が完了し、搭載スペース1b内へのバッテリユニット3の装着が完了する。
【0082】
(バッテリユニット3の取り外し)
図2に示すように、ステーション10の上床10aの所定の位置に電気自動車1を停車する。この際も、搭載スペース1bが連通口10cの直上、すなわち、移載装置本体70の直上に位置するように電気自動車1の位置を調整する。この電気自動車1は、搭載スペース1bにバッテリユニット3が搭載されている。
【0083】
一方、各個別載置台27a〜27d上には、バッテリユニット3が設けられていない。また、各ピン11はそれぞれ第1長さαとなっている。
【0084】
この状態において、図12に示すように、制御装置7aにより個別載置台27a〜27d及び全体昇降機構36を上昇させる。そして、個別載置台27a〜27d上の各ピン11aを各挿通孔13cにそれぞれ挿通させつつ、個別載置台27a〜27dとバッテリユニット3及び各対応するロック装置5とを当接させる。また、第1ソレノイド19が駆動され、ロックピン25が第1ソレノイド19内に収納された状態となる。これにより、ポール17の揺動の固定が解放される。
【0085】
さらに、個別載置台27a〜27dと対応するロック装置5とが当接することによって、リミットスイッチ28が押下され、当接信号が発信される。この当接信号により、制御装置70aは、図6に示す第2ソレノイド110を駆動させる。これにより、図12に示すように、各ピン11が第2長さβとなる。この第2長さβとなったピン11により、ポール17の操作片17bが押圧され、コイルばねの付勢力に抗してポール17がB2方向に揺動される(同図中の破線矢印参照。)。このため、係止片17aは第1位置から第2位置へ移動する。このため、ラッチ15の係止面15dと係止片17aとの係合が解除され、ポール17によるラッチ15の固定が解除される。
【0086】
そして、図13に示すように、個別載置台27a〜27dを下降させてバッテリユニット3を搭載スペース1b内から下方に移動させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、ラッチ15の上側爪部15aがストライカ9bに押圧されるとともに、コイルばねの付勢力によってA2方向に揺動され、ラッチ15が解放状態となる。このため、相対的にストライカ9bが進入口13bから離脱する方向に移動する。こうして、ロック装置5によるストライカ9bの係合が解除され、車体1aからのバッテリユニット3の取り外しが完了する。この際、バッテリユニット3内のバッテリと電気自動車1との間における電気的な接続の解除も同時に行われる。
【0087】
バッテリユニット3の取り外しが完了した後、制御装置70aは第2ソレノイド110を駆動させ、ピン11を第1長さαに変動させる。これにより、ピン11による操作片17bへの押圧が解除される。このため、コイルばねの付勢力により、ポール17はB1方向に揺動され、係止片17aは第2位置から第1位置へ移動される。また、全体昇降機構36を下降させる。この後、取り外しが完了したバッテリユニット3を載置台27から移動させる。なお、バッテリユニット3を各個別載置台27a〜27dから移動させる前にピン11を第2長さβから第1長さαに変動させることで、ピン11の損傷を未然に防止することができる。
【0088】
これらのように、この車両用バッテリユニット装着装置によれば、車体1aにおける所定の装着位置、すなわち、搭載スペース1bまで移載装置本体70によってバッテリユニット3を上昇させるだけで車体1aに対するバッテリユニット3の装着と、その取り外しとを行うことが可能である。
【0089】
さらに、各固定部は、車体1aに設けられたストライカ装置9におけるストライカ9bであり、各被固定部は、バッテリユニット3に設けられたロック装置5である。これらにより、この車両用バッテリ装着装置では、車体1a側の構成を簡素化できるため、車体1aにおけるバッテリユニット3の装着位置等の設計に関する自由度を高くできる。
【0090】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0091】
例えば、ケース3aに複数の凹部を形成し、各凹部内に各ロック装置5をそれぞれ位置させつつ、各ロック装置5とケース3aとを固定させても良い。この場合、バッテリユニット3から各ロック装置5が突出せず、搭載スペース1bを小型化することが可能となる。
【0092】
また、制御装置70aは、個別載置台27a〜27d上のいずれかのロック装置5がストライカ9bと係合するまで全体昇降機構36によって支持台26を上昇させる。そして、残りのロック装置5については、対応する伸縮ロッド27e〜27hを上昇させて、対応する個別載置台27a〜27dを上昇させてストライカ9bと係合させるように、制御装置本体70を制御しても良い。
【0093】
さらに、各ロック装置5が車体1側に配置され、各ストライカ9bがバッテリユニット3側に配置されていても良い。この場合、近接センサ20及び第1ソレノイド19は、車体側に設けられ得る車載側制御装置に電気的に接続され、例えば無線手段を介して、制御装置70より制御される。また、固定手段及び被固定手段についても、ロック装置5とストライカ9bとに限定されない。
【0094】
さらに、制御装置70aは、操作者によるスイッチ操作を必要とせず、自動でバッテリユニット3の装着または取り外しを開始する構成とすることも可能である。この場合、例えば、電気自動車1が上床10aの定位置に停車したことを検知するセンサを備え、停車を確認すると、バッテリユニット3の取り外し及びバッテリユニット3の装着を順に行なうものとしても良い。また、電気自動車1にこれらの作業の開始を指示する送信手段を備え、電気自動車1から開始信号を制御装置70aが受信することで、移載装置本体70によるバッテリユニット3の取り外し等を開始させても良い。
【0095】
また、個別載置台27a〜27dは、各ロック装置5に直接当接していなくてもよい。具体的には、個別載置台27a〜27dの上方に離間して、各ロック装置5が配置されるが如く、各ロック装置5が個別載置台27a〜27dに間接的に載置されていても良い。この構成においても、近接センサ20に基づき、個別載置台27a〜27d上でバッテリユニット3の姿勢を変更させることに支障は無い。
【0096】
さらに、近接センサ20は、制御装置70aに対して、常に一定の信号を送信し続ける一方、ロック装置5とストライカ9bとが係合されたと判断することで、この信号の送信を停止する構成としても良い。この場合、信号を停止することが制御手段70aに対する検知信号となる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、バッテリ交換ステーションとして利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1a…車体
1b…搭載スペース(装着位置)
3…バッテリユニット
5…ロック装置(固定部)
7…移載装置
9b…ストライカ(被固定部)
13…ハウジング
13b…進入口
13c…挿通孔
13d…ガイド部
15…ラッチ
17…ポール
20…近接センサ(検知手段)
26…支持台
27a〜27d…個別載置台
27e〜27h…伸縮ロッド(個別昇降機構)
36…全体昇降機構
70…移載装置本体
70a…制御装置(個別制御手段、停止手段、全体制御手段、制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して所定の装着位置までバッテリユニットを上昇させることにより、該車体又は該バッテリユニットの一方に設けられる3個以上の固定部と、該車体又は該バッテリユニットの他方に設けられ、各該固定部と対応する被固定部とを各々係合させることで該バッテリユニットを該車体に対して装着可能な移載装置であって、
前記バッテリユニットに設けられた各該固定部又は各該被固定部を個別に載置する複数の個別載置台と、
各該個別載置台を個別に昇降させる個別昇降機構と、
各該個別昇降機構を個別に制御可能な個別制御手段とを備えていることを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記個別制御手段は、各前記固定部又は各前記被固定部に設けられ、対応する該固定部と該被固定部とが係合されることにより検知信号を発信可能な検知手段と、
該検知信号に基づき、対応する前記個別昇降機構による上昇を停止させる停止手段とを有している請求項1記載の移載装置。
【請求項3】
各前記個別昇降機構が設けられる支持台と、
該支持台を昇降させる全体昇降機構と、
該全体昇降機構を制御可能な全体制御手段と前記個別制御手段とを有する制御手段とを備えている請求項1又は2記載の移載装置。
【請求項4】
前記制御手段は、予め設定された高さまで前記全体制御手段により前記支持台を上昇させた後、前記個別制御手段により各前記個別載置台を個別に上昇させる請求項3記載の移載装置。
【請求項5】
各前記固定部は、前記車体に設けられたストライカであり、
各前記被固定部は、前記バッテリユニットに設けられ、該ストライカを固定又は解放可能なロック装置であり、
該ロック装置は、該ストライカを進入させる進入口が形成されたハウジングと、該ハウジングに対して第1揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、該進入口内で該ストライカを係止する係止状態と該進入口内で該ストライカを解放する解放状態とを切り替え可能なラッチと、該ラッチの揺動を固定可能なポールとを有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の移載装置。
【請求項1】
車体に対して所定の装着位置までバッテリユニットを上昇させることにより、該車体又は該バッテリユニットの一方に設けられる3個以上の固定部と、該車体又は該バッテリユニットの他方に設けられ、各該固定部と対応する被固定部とを各々係合させることで該バッテリユニットを該車体に対して装着可能な移載装置であって、
前記バッテリユニットに設けられた各該固定部又は各該被固定部を個別に載置する複数の個別載置台と、
各該個別載置台を個別に昇降させる個別昇降機構と、
各該個別昇降機構を個別に制御可能な個別制御手段とを備えていることを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記個別制御手段は、各前記固定部又は各前記被固定部に設けられ、対応する該固定部と該被固定部とが係合されることにより検知信号を発信可能な検知手段と、
該検知信号に基づき、対応する前記個別昇降機構による上昇を停止させる停止手段とを有している請求項1記載の移載装置。
【請求項3】
各前記個別昇降機構が設けられる支持台と、
該支持台を昇降させる全体昇降機構と、
該全体昇降機構を制御可能な全体制御手段と前記個別制御手段とを有する制御手段とを備えている請求項1又は2記載の移載装置。
【請求項4】
前記制御手段は、予め設定された高さまで前記全体制御手段により前記支持台を上昇させた後、前記個別制御手段により各前記個別載置台を個別に上昇させる請求項3記載の移載装置。
【請求項5】
各前記固定部は、前記車体に設けられたストライカであり、
各前記被固定部は、前記バッテリユニットに設けられ、該ストライカを固定又は解放可能なロック装置であり、
該ロック装置は、該ストライカを進入させる進入口が形成されたハウジングと、該ハウジングに対して第1揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、該進入口内で該ストライカを係止する係止状態と該進入口内で該ストライカを解放する解放状態とを切り替え可能なラッチと、該ラッチの揺動を固定可能なポールとを有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の移載装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−6568(P2013−6568A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142101(P2011−142101)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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