説明

種結晶の存在下でのアゾ化合物の金属化合物の製造方法

【課題】種結晶の存在下でのアゾ化合物の金属化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】製造が種結晶の存在下で行われることを特徴とする、その互変異性構造体の形で式(I)


に合致するアゾ化合物の金属化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種結晶の存在下でのアゾ化合物の金属化合物の製造方法に、顔料としての前記金属化合物の使用に、および前記顔料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
金属と次式のアゾ化合物:
【0003】
【化1】

(式中、
RおよびR’は互いに独立してOH、NH、NH−CN、アリールアミノまたはアシルアミノであり、
そして、
およびR’は互いに独立して−OHまたは−NHである)
との金属錯体顔料、
およびまたそのホスト−ゲスト化合物は、文献に広く記載されており、例は、
DE−A第2064093号明細書、
米国特許第4,622,391号明細書、
欧州特許出願公開第0994162A1号明細書、
欧州特許出願公開第0994163A1号明細書、
欧州特許出願公開第0994164A1号明細書、
独国特許出願公開第10328999A1号明細書
である。
【0004】
上記の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造が製品特性の比較的重大な変動を伴うことは公知である。特に工業的規模生産条件下で、とりわけバッチプロセスで、例えば、BET比表面積などの、得られた物質のある種のパラメーターは多かれ少なかれ重大な変動を受けやすい。述べられた化合物の消費者は一貫した製品品質を望むので、これは勿論不利な点である。さらに、液晶ディスプレイ用カラーフィルターの製造に、特に、高いBET表面積の製品グレードが望まれる。
【0005】
バッチプロセスの概略の不利な点は、欧州特許出願公開第1142960号明細書に詳細に記載されている。この明細書に記載されている連続製造法は、かなりの追加装置、具体的には出発原料用の複数の容器、混合反応器、ならびに容量−およびpH調整の調節、ポンプ送液および安全システムを必要とし、それらは互いに極めて高い精度で調和していなければならない。
【0006】
例えば、欧州特許出願公開第0994162A1号明細書または独国特許出願公開第10328999A1号明細書に記載されているように、熱処理工程を用いて製品品質(再現性)に確実な一様性を与えることは可能である。しかしながら、これはBET比表面積を低下させて達成され、それは、特に液晶ディスプレイ用カラーフィルターの製造での用途にとって不利な点であり得る。
【0007】
従って、金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造の再現性を高め、そして高いBET表面積を有する製品の再現性ある形成を特に可能にする、前述の金属化合物の製造方法を見いだすことが本発明の目的であった。製品品質の変動は極めて小さいべきである。
【特許文献1】DE−A第2064093号明細書
【特許文献2】米国特許第4,622,391号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0994162A1号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0994163A1号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0994164A1号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10328999A1号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1142960号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0994162A1号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、任意選択でゲスト化合物を含有してもよい、式(I)のアゾ化合物:
【0009】
【化2】

(式中、
XおよびYを付した環はそれぞれ、=O、=S、=NR、−NR、−OR、−SR、−COOR、−CN、−CONR、−SO
【化3】

、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキルからの1つまたは2つの置換基を有してもよく、
環XおよびYのそれぞれについて環内および環外二重結合の合計は3であり、
ここで、
は水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
は水素、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルであり、そして
はアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
、R、RおよびRは水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、そしてさらに、式(I)に破線で示されるように、それにさらなる環が縮合されてもよい5−または6−員環を形成してもよく、
は−OH、−NR、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、ここで、RおよびRは上に定義される通りであり、
そしてCH基を含有するR〜Rで与えられる置換基において、CH基の水素原子が置換されていてもよく、
そしてm、n、oおよびpは1であってもよく、あるいはまた、式(I)に点線で示されているように相当する置換基R〜Rがその上にある環窒素原子から二重結合が始まる場合にはゼロであってもよい)、
またはその互変異性構造体の金属化合物の製造方法であって、
前記製造が種結晶の存在下で行われることを特徴とする方法に関する。
【0010】
本発明に従い、式(I)のアゾ化合物の金属化合物は、特に、式(I)アゾ化合物の金属錯体および/または式(I)のアゾ化合物の塩様(saltlike)金属化合物であると理解される。本発明に従って製造される金属化合物において、式(I)のアゾ化合物は一般にアニオンとして単一または複数脱プロトンして存在するが、金属はカチオンとして存在して塩様〜錯体様(complexlike)式で、または配位結合で(すなわち、共有結合要素と)式(I)のアゾ化合物のアニオンと結合している。式(I)は非脱プロトン化形の、すなわち遊離酸の形態のアゾ化合物を示す。これらの錯体様および/または塩様金属化合物の製造は、式(I)のアゾ化合物の金属化合物を形成するために、任意選択により塩基の存在下で、式(I)の酸性アゾ化合物と金属化合物との反応に好ましくは基づく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に従って製造される金属化合物、またはそのホスト−ゲスト化合物はまた、水和物の形態であることもできる。
【0012】
XおよびYを付した環(以下、それぞれ、ラベルXの環、ラベルYの環とも記す)上の上述した数の置換基(1つもしくは2つの置換基)は、本発明に従って、図示された置換基R〜Rおよび−OHを含まないと理解されるべきである。ラベルXおよびYの環上の述べられた置換基は、それ故、R〜Rで占められていない位置にある置換基である。それ故、置換基R〜Rとともに、3つ以上の置換基がラベルXおよびYの環上にあることもまた可能である。
【0013】
本発明の方法の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物におけるラベルXの環は、下記式:
【化4】

(式中、
LおよびMは互いに独立して=O、=Sまたは=NRであり、
は水素、−OR、−SR、−NR、−COOR、−CONR、−CN、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、そして
は−OR、−SR、−NR、−COOR、−CONR、−CN、−SO
【化5】

、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
または置換基MおよびRもしくはMおよびRは、5−もしくは6−員環を形成してもよく、そして
、R、R、R、RおよびRは上記に定義された通りである)
の環である。
【0014】
本発明に従って製造される特に好ましい金属化合物は、それらの遊離酸の形で下記式(II)もしくは(III):
【0015】
【化6】

(式中、
R’は−OHもしくは−NHであり、
R’、R”、R’およびR”はそれぞれ水素であり、そして
M’およびM”は互いに独立して水素、−OH、−NH、−NHCN、アリールアミノもしくはアシルアミノである)
の構造に、またはその互変異性体の形に合致するアゾ化合物の金属化合物である。
【0016】
とりわけ好ましい金属化合物は、それらの遊離酸の形で下記式(IV):
【化7】

(式中、
M’’’およびMIVは互いに独立してOHおよび/またはNHCNである)
の構造に、またはその互変異性構造に合致する式(I)のアゾ化合物の金属化合物である。
【0017】
下記式:
【化8】

またはそれと互変異性構造のアゾ化合物の金属化合物が特に好ましい。
【0018】
上の式において、置換基は好ましくは以下の定義を有する。
【0019】
アルキルの定義での置換基は好ましくはC〜Cアルキルであり、それは例えば塩素、臭素もしくはフッ素などのハロゲン、−OH、−CN、−NHまたはC〜Cアルコキシで置換されていてもよい。ここでC〜Cアルキルは、それらのすべての異性体形を含めて、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルなどの、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキルである。
【0020】
シクロアルキルの定義での置換基は好ましくはC〜Cシクロアルキル、とりわけC〜Cシクロアルキルであり、それは例えばC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、Cl、Br、Fなどのハロゲン、C〜Cアルコキシ、−OH、−CNおよび−NHで置換されていてもよい。
【0021】
アリールの定義での置換基は好ましくはフェニルまたはナフチルであり、それは例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NH、−NOおよび−CNで置換されていてもよい。
【0022】
アラルキルの定義での置換基は好ましくはフェニル−またはナフチル−C〜Cアルキルであり、それは芳香基において例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NH、−NOおよび−CNで置換されていてもよい。
【0023】
アシルの定義での置換基は好ましくは(C〜Cアルキル)−カルボニル、フェニルカルボニル、C〜Cアルキルスルホニル、フェニルスルホニル、任意選択でC〜Cアルキル−、フェニル−およびナフチル−置換されたカルバモイル、任意選択でC〜Cアルキル−、フェニル−およびナフチル−置換されたスルファモイルまたは任意選択でC〜Cアルキル−、フェニル−もしくはナフチル−置換されたグアニルであり、述べられたアルキル基は例えばCl、Br、Fなどのハロゲン、−OH、−CN、−NHまたはC〜Cアルコキシで置換されていることができ、そして述べられたフェニルおよびナフチル基は例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NH、−NOおよび−CNで置換されていることができる。
【0024】
上記の式に破線を用いて示されるように、Rと共にMが、またはRと共にMが、および/またはR、R、Rおよび/またはRが、5−または6−員環を形成する場合、当の環システムは、好ましくはトリアゾール、イミダゾールまたはベンズイミダゾール、ピリミジンまたはキナゾリン環システムである。
【0025】
式(I)〜(V)のアゾ化合物の金属化合物−それにより、既に記載したように、塩様または錯体様の金属化合物を意味する−として、好適な代表的なものは好ましくは式(I)〜(V)のアゾ化合物のモノ−、ジ−、トリ−およびテトラアニオンの塩および錯体である。好適な金属は、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sn、Pb、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Hf、Ta、W、La、Ce、PrおよびNdからなる群から選択された1つもしくはそれ以上の金属から有利に選択される。
【0026】
二価または三価金属との式(I)〜(V)の塩および錯体が特に好ましく、とりわけニッケル塩およびニッケル錯体が特に好ましい。本発明の方法の好ましい一実施形態では、式(I)のアゾ化合物のNi塩またはNi錯体が製造される。
【0027】
金属化合物は好ましくは下記構造:
【化9】

またはそれと互変異性の構造の1:1アゾバルビツール酸−ニッケル錯体である。
【0028】
本発明に従って製造される金属化合物は任意選択で1もしくはそれ以上のゲスト化合物を含有してもよい。ゲスト化合物は好ましくは有機化合物、すなわち少なくとも1つの共有結合した炭素原子を有する化合物である。本発明に従って製造される金属化合物とゲスト有機化合物との組成物は、包接化合物、層間化合物(インターカレーション化合物)または固溶体であってもよい。
【0029】
好ましくは、それらは下記構造:
【化10】

のまたはそれと互変異性の構造の1:1アゾバルビツール酸−ニッケル錯体と、その中に包含された少なくとも1の他の有機化合物との包接化合物、層間化合物または固溶体である。
【0030】
特に好ましくは、それらは1:2のモル比での、式(VI)の上記金属化合物とメラミンとの層間化合物である。
【0031】
一般的に言えば、本発明に従って製造される金属化合物は薄層状の結晶格子を形成し、この格子内で、一薄層内の結合は本質的には水素結合および/または金属イオンによる。当の金属錯体は、実質的に平面状の薄層からなる結晶格子を好ましくは形成する。
【0032】
式(I)のアゾ化合物の金属錯体のまたはそのホスト−ゲスト化合物の本発明の製造は、本発明の方法によって製造される予定の式(I)のアゾ化合物の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物と同じ化学構造を有する種結晶の存在下で好ましくは行われる。特に、製造される予定の生成物が、式(I)のアゾ化合物の金属化合物とその中にゲストとして存在する化合物との組成物である場合、この種の包接組成物の種結晶もまた使用される。使用される種結晶の物理的性質は製造される予定の金属化合物の物理的性質を必ずしも決定しないことが驚くべきことに明らかになった。従って、例えば、用いられる種結晶が比較的低いBET比表面積を有する場合でさえ、高いBET比表面積を有する金属化合物が得られる。
【0033】
本発明の製造は、所与の反応バッチで製造される予定の金属化合物の理論的に得られる量を基準にして、好ましくは1ppm〜10000ppm、特に10ppm〜5000ppm、非常に好ましくは50ppm〜3000ppm、特に100ppm〜2000ppmの種結晶の存在下で行われる。
【0034】
本発明に従って、特にLCD用途向けの、非常に高いBET比表面積を有する、好ましくはゲスト化合物を含有する式(I)のアゾ化合物の金属化合物、およびそれらに相当する顔料を製造することが有利に可能である。
【0035】
このように、本発明の方法によって、少なくとも180m/g、例えば、180〜240m/g、特に180〜210m/gである、式(I)のアゾ化合物の金属化合物の、またはその少なくとも1のゲスト化合物との組成物のBET比表面積を得ることが可能である。比表面積は、DIN66131:ブルナウアー、エメットおよびテラー(B.E.T.)の方法でガス吸着による固体の比表面積の測定、に従って測定される。
【0036】
ある種の用途向けには、欧州特許出願公開第0994162A1号明細書に記載されているように、本発明の方法によって得られた金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物を熱処理にかけることは実用にかない得る。熱処理は一般により狭い粒度分布をもたらす。しかしながら、冒頭で記載したように、これはまた比表面積の低下を一般に伴う。それにもかかわらず熱処理が実施される場合、好ましい一実施形態は、金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造された水性懸濁液を少なくとも2つのpH段階で熱処理する工程を含む。これは、単段階熱処理と比べてかなり改善された色の濃さが得られることを可能にする。多段階熱処理は各処理工程で80〜125℃の温度で有利に行われる。多段階熱処理は好ましくは水および任意選択により有機溶媒の存在下で、0〜4の範囲のpH値で実施される。少なくとも1つの熱処理段階のpHは好ましくは2〜4、特に2.5〜3.5である。第2熱処理段階のpHは好ましくは0〜3、より好ましくは1〜2.5である。2つの熱処理段階のpH値は好ましくは0.5〜3単位、好ましくは1〜2単位異なる。好ましくは少なくとも2つの熱処理段階は互いに独立して0.25h〜24h、特に1h〜12h、非常に好ましくは2h〜8h続く。
【0037】
しかしながら、種結晶の使用と、さらに任意選択によるポンプ循環の使用は、熱処理法を採用する場合に実用にかなうこともあり、なぜなら、製品品質の減少された変動が保たれる利点、および、熱処理前に、より高いレベルの比表面積から始めることが可能であることによる。
【0038】
種結晶を用いる本発明の方法は、180m/gより大きいBET比表面積に必ずしもつながらない。この理由は、当業者が承知しているように、比表面積の設定がまた、例えば製造温度などの他の製造パラメーターに左右されるからである。しかしながら、別の方法で有利な製造条件下で、本発明の方法は、より大きな再現性で、本発明に従って製造される金属化合物に対するより高いBET比表面積をもたらす。
【0039】
本発明の特に好ましい一方法においては、種結晶は、アゾカップリング、より好ましくはアゾバルビツール酸を与えるためのジアゾバルビツール酸とバルビツール酸のアゾカップリングの間またはその開始前の反応媒体中に存在する。
【0040】
特に好ましい出発原料は、種結晶、特にアゾバルビツール酸の塩、好ましくはナトリウム、カリウムまたはニッケル塩、を含有するバルビツール酸およびジアゾバルビツール酸であり、それはまた、好ましくは特にメラミンのインターカレーション化合物として存在してもよい。
【0041】
同様に好ましい出発原料は、種結晶、とりわけニッケル−アゾバルビツール酸を、好ましくは特にメラミンとのインターカレーション化合物として含有する、アゾバルビツール酸およびその塩、特にナトリウム、二ナトリウム、カリウム、二カリウム塩である。
【0042】
本発明の方法はバッチ式に、すなわち、バッチプロセスとよばれるものとして実施されることが好ましい。用語「バッチプロセス」は、当業者がよく承知しているように、不連続プロセスを意味する。すなわち、本金属化合物の製造は、連続的にではなく、その代わりにバッチで、またはバッチ式で実施される。1つの反応バッチが完了した後、生成物は単離される。連続プロセスの場合は、対照的に、出発原料は連続的に供給され、生成物は連続的に取り出される。
【0043】
本発明の特に好ましい一方法は、前駆体バッチから所望量の生成物を残すか、またはそれをその中に残すことによって反応器内へ種結晶が導入されることを含む。所望量の生成物を残すことは、特に続けて製造する場合に経済的に有利に用いることができる重要なことである。
【0044】
本明細書との関連で、好ましくは少なくとも1のゲスト化合物を含有し、種結晶の存在下で製造された式(I)のアゾ化合物の金属化合物はまた、本発明により製造された顔料とも言う。
【0045】
好適な金属化合物には、塩または金属錯体などの金属化合物が、例えばニッケル錯体などの、別の金属錯体の結晶格子中へ組み込まれたものが含まれる。この場合では、例えば、式(VI)において、ニッケルなどの金属の幾つかが他の金属イオンで置き換えられることは可能であり、またはさらなる金属イオンが金属化合物、好ましくはニッケル錯体と多かれ少なかれ強く相互作用してもよい。
【0046】
金属錯体の包接化合物、層間化合物および固溶体はそれ自体、文献から公知である。それらはまた、およびそれらの製造は、例えば、欧州特許第0074515号明細書、欧州特許第0073463号明細書、欧州特許第0994163号明細書および欧州特許第0994162号明細書(その中の5頁、40行〜7頁、58行)に記載されている。このように、それらの刊行物での好適な化合物の列挙の全体内容が参照されてもよい。
【0047】
使用される特に好ましいゲスト化合物は、メラミンまたはメラミン誘導体、特に下記式(VII):
【化11】

(式中、
は水素または、任意選択によりOH基で置換されていてもよいC〜Cアルキルである)
のものであり、
そして非常に好ましくは式中、Rが水素のものである。
【0048】
金属錯体の結晶格子中へ組み込まれ得るゲスト物質の量は、金属化合物の量を基準にして一般に5%〜200重量%である。10%〜100重量%を組み込むことが好ましい。これは、適切な溶媒での洗浄によって除去できない、そして元素分析から明らかであるゲスト物質の量である。述べられた量の物質より多くまたは少なく加えることもまた勿論可能であり、場合により起こりうる可能性はいかなる過剰も洗い流さないことである。金属化合物の量を基準にして、10%〜150重量%の量が好ましい。
【0049】
金属化合物のまたはそのホスト−ゲスト化合物の製造は、例えば欧州特許第0074515号明細書、欧州特許第0073463号明細書、欧州特許第0994163号明細書および欧州特許第0994162号明細書に記載されているように行われる。アゾ化合物の合成の後に、錯化は、一般に層間に入れられる(インターカレートされる)化合物の存在下で、金属塩で行われる。工業的に興味深い二価および三価金属の錯体のインターカレーション化合物、特にアゾバルビツール酸−ニッケル錯体の技術的および経済的に重要なインターカレーション化合物の場合では、錯化およびインターカレーション、ならびにまたその後の単離も、酸性pH域で有利に行われる。
【0050】
金属塩には、上述の金属の水溶性塩、例えば好ましくはニッケルの、とりわけ塩化物、臭化物、酢酸塩、硝酸塩などが好適である。好ましく用いられる金属塩は、20℃で20g/lより大きい、特に50g/lより大きい水への溶解度を有する。
【0051】
様々な提示した金属を含むこれらの塩の混合物を使用することもまた可能である。かかる塩混合物の使用は、着色された最終製品の中間の色合いを得るために特に推奨できる。
【0052】
好ましい一実施形態では、本発明の方法は、好ましくはポンプ循環を適用して、反応器中、たとえば撹拌タンク反応器中で、バッチプロセスとして実施される。「ポンプ循環」は本明細書では内容物を製造中に反応器から取り出し、それに再び戻すことができる手段を備えていることを意味する。かかるポンプ循環の好ましい実施形態は、使用される反応器、特に、反応器の外部に好ましくは置かれているパイプライン・システムを有する撹拌タンクを含む。パイプライン・システムは少なくとも2つの異なるポイントで反応器または反応器内容物に連結される。パイプライン・システムは、反応器内容物を1つもしくはそれ以上のポイントで反応器から取り出し、パイプライン・システムを通過した後、1つもしくはそれ以上の他のポイントで再び戻すことができる手段を含む。この種の具体的手段はポンプである。本発明に従って用いられるポンプ循環システムは、好ましくは、出発原料、出発原料の溶液、酸、塩基などがその例である反応パートナーを、反応器の外部に置かれているパイプライン・システム中へ導入することを可能にする計量供給デバイスを特色とする。
【0053】
本発明の特に好ましい一方法は、酸および塩基を反応器中へ直接ではなく、その代わりにポンプ循環システム中へ計量供給する工程を含む。本発明の特に好ましい方法は、反応原料、酸および/またはアルカリもしくは塩基を、計量供給時間が理論的な総ポンプ循環サイクルのそれの0.2倍〜5倍、特に1倍〜2倍であるような方法で計量供給する工程を含む。理論的な総ポンプ循環サイクルとは、その時間以内に反応器内容物の容量がポンプ循環システムを1回通過する時間周期を意味する。
【0054】
ポンプ循環は比較的高い流速を示す領域を生み出すと推測される。この流速は、例えば、一番上の撹拌翼より上の領域でのような、低い撹拌効果のポイントでの撹拌タンク反応器での流速より一般に高い。ポンプ循環システムの領域での計量供給添加の場合では、特に、そこに行き渡っている高い流速のおかげで、濃度の局所的ピークを避けることが可能である。さらに、反応器内容物のより良好な混合は全体的に確実にされる。本発明の方法は、驚くべきことに、ポンプ循環なし方法で製造された製品よりさらに高い比表面積を有する製品を生産する。さらに、ポンプ循環の使用は、製品品質の変動のさらなる減少につながる。2つもしくはそれ以上のポンプ循環システムを平行して用いることができる。
【0055】
本製造で得られた懸濁液は好ましくは濾過され、こうして得られたプレスケーキは、任意選択で、水で洗浄した後に乾燥することができる。
【0056】
これに関連して好適な乾燥法には、一方では、パドル乾燥などのような慣例法が含まれる。この種の乾燥法、およびその後の通常の顔料の粉砕は粉末形態の顔料を生み出す。
【0057】
プレスケーキは好ましくは水性スラリーの形でスプレードライされる。スプレー用スラリーは好ましくは10%〜40重量%、特に15%〜30重量%の固形分フラクションを有する。
【0058】
本発明はさらに、本発明により製造された少なくとも1の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物と、少なくとも1の分散剤とが混合されている顔料調合物の製造方法を提供する。これらの顔料調合物は、好ましくは水性システムへの組み込みに役立つ。
【0059】
好適な分散剤については、冒頭で述べた先行技術、特に、その開示内容が本明細書の一部である、欧州特許出願公開第0994164A1号明細書、9頁、56行〜11頁、23行が参照されてもよい。特に好ましくは、本顔料調合物は90重量%超、特に95重量%超、好ましくは97重量%超の顔料(本発明により製造された金属化合物+任意選択でゲスト変異体としての化合物)および分散剤を含有する。
【0060】
本発明はさらに、少なくとも180m/g、例えば、180m/g〜240m/g、特に180m/g〜210m/gのBET比表面積を有する、本発明により製造された金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物(好ましくはメラミンとの)に関し、かつまた、提示した金属化合物またはホスト−ゲスト化合物、少なくとも1の光硬化性モノマー、および少なくとも1の光開始剤を含むフォトレジストをも提供する。本発明は少なくとも180m/g、例えば180m/g〜240m/gのBET比表面積を有する本発明により製造された金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物を含むカラーフィルターおよびそれから製造された液晶ディスプレイを提供する。液晶ディスプレイ用カラーフィルターの製造では、少なくとも180m/g、例えば180m/g〜240m/gのBET比表面積を有する本発明により製造された金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物(好ましくはメラミンとの)が、バインダー樹脂および/または分散剤の添加ありまたはなしで、有機溶媒中で粉砕され、次に、光硬化性モノマー、光反応開始剤および任意選択でさらなるバインダーおよび/または溶媒を加えて処理されてフォトレジストを与え、それはその次に、例えば、ローラー、スプレー、スピン、浸漬またはエアナイフコーティングのような、適切なコーティング方法を用いて適切な基材、一般的にはガラス板に塗布され、フォトマスクを用いて露光され、次に硬化させられ、現像されて既製のカラーフィルターを形成する。
【0061】
本発明はさらに、液晶ディスプレイでのカラーフィルター用の顔料として、少なくとも180m/g、例えば180m/g〜240m/gのBET比表面積を好ましくは有する、本発明により製造された金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の使用を好ましくは提供する。
【0062】
本発明はさらに、各場合に、少なくとも180m/g、例えば180m/g〜240m/gのBET比表面積を好ましくは有する、本発明により製造された金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の使用を含む液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造方法を提供する。
【0063】
本発明により製造された金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物、または顔料組成物は、さらに、すべての顔料最終使用用途に際立って好適である。
【0064】
それらは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどの、合成、半合成もしくは天然高分子物質の内部着色のための着色ワニスに、例えば、印刷インク、水性塗料もしくはバインダーカバーを製造するためのすべての種類の着色ワニスに、好適である。それらはまた、セルロース、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルもしくはポリアミド繊維などの、天然、再生もしくは人造繊維の原着のために、そしてまた織物および紙に印刷をするために使用することもできる。これらの顔料から、非イオン、アニオンまたはカチオン界面活性剤の存在下で磨砕(すり砕く)または混練することによって、紙の着色のために、織物の顔料印刷のために、ラミネート印刷のためにまたはビスコースの原着のために使用することができる、エマルジョンペイントをはじめとする、微細で安定な水性染色のペイントを製造することが可能である。本発明の方法によって製造された顔料は、インクジェット用途および、それらの比較的高いBET比表面積によって、液晶ディスプレイ用カラーフィルター向けに際立って好適である。
【0065】
[実施例]
〔本発明の実施例1〕
154g乾燥物に相当する、乾物含有率81%のジアゾバルビツール酸の水で湿ったペースト190gを、実験室撹拌機を用いて3000gの水中で撹拌する。600mgの種結晶(160m/gのBET比表面積をもつ、メラミンでインターカレーションしたアゾバルビツール酸のニッケル塩)を添加する。混合物を次に80℃に間接的に加熱し、この温度で134gのバルビツール酸を導入する。約30分の後撹拌の後、pHを、30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて5.0に調整する。これに、80℃および5.0のpHでの2時間の撹拌が続く。バッチをその後、水で5400gに希釈する。引き続きそれを間接的に90℃に加熱し、この温度で252gのメラミンを導入する。その後575gの22.5%濃度塩化ニッケル溶液を滴加する。できるだけ完全な反応を達成するために、90分の撹拌がそれに続く。pHを次に30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて5.0に調整する。
【0066】
顔料スラリー(本発明の実施例2のための6gを除いて)を次に吸引フィルター上で単離し、電解質がなくなるように洗浄し、減圧乾燥オーブン中80℃で乾燥し、そして標準実験室ミルで約2分間磨砕する。
【0067】
本実験を5回繰り返す。180〜192m/gの範囲のBET表面積を有する生成物が得られる。
【0068】
〔本発明の実施例2〕
本発明の実施例1からのバッチの6gの顔料スラリーを種結晶懸濁液として最初に導入する。3000gの水を加える。154g乾燥物に相当する、乾物含有率81%のジアゾバルビツール酸の水で湿ったペースト190gを、実験室撹拌機を用いて撹拌する。混合物を次に80℃に間接的に加熱し、この温度で134gのバルビツール酸を導入する。約30分の後撹拌の後、pHを30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて5.0に調整する。これに、80℃および5.0のpHでの2時間の撹拌が続く。バッチをその後、水で5400gに希釈する。引き続きそれを間接的に90℃に加熱し、この温度で252gのメラミンを導入する。その後575gの22.5%濃度塩化ニッケル溶液を滴加する。できるだけ完全な反応を達成するために、90分の撹拌がそれに続く。pHを次に30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて5.0に調整する。
【0069】
顔料スラリーを次に吸引フィルター上で単離し、電解質がなくなるように洗浄し、減圧乾燥オーブン中80℃で乾燥し、そして標準実験室ミルで約2分間磨砕する。
【0070】
これは185m/gのBET表面積を有する生成物を与える。
【0071】
〔比較例1〕
154g乾燥物に相当する、乾物含有率81%のジアゾバルビツール酸の水で湿ったペースト190gを、実験室撹拌機を用いて3000gの水中で撹拌する。混合物を次に80℃に加熱し、この温度で134gのバルビツール酸を導入する。約30分の後撹拌の後、pHを、30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて5.0に調整する。これに、80℃および5.0のpHでの2時間の撹拌が続く。バッチをその後、水で5400gに希釈する。引き続きそれを間接的に90℃に加熱し、この温度で252gのメラミンを導入する。その後575gの22.5%濃度塩化ニッケル溶液を滴加する。できるだけ完全な反応を達成するために、90分の撹拌がそれに続く。pHを次に30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて5.0に調整する。
【0072】
顔料スラリーを次に吸引フィルター上で単離し、電解質なしに洗浄し、減圧乾燥オーブン中80℃で乾燥し、そして標準実験室ミルで約2分間磨砕する。
【0073】
本実験を5回繰り返す。143〜177m/gの範囲のBET表面積を有する生成物が得られる。
【0074】
〔比較例2〕
ジャケット加熱/冷却システム、撹拌機、流れ攪乱装置およびポンプ循環システム付きの20m反応器に20rpmの撹拌スピードで、6000リットルの熱水(80℃)を装入し、308kg乾燥物に相当する、乾物含有率81%のジアゾバルビツール酸の水で湿ったペースト380kgを導入する。
【0075】
温度を80℃に保ち、この温度で268kgのバルビツール酸を導入する。操作は、15m/hにセットされているポンプ循環付きで行われる。1時間のポンプ循環の後、pHを、ポンプ循環へ計量供給される30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて、30分にわたって5.0に調整する。これに、ポンプ循環付きの80℃および5.0のpHでの2時間の後撹拌が続く。その後、バッチを水で1500リットルに希釈する、それを次に90℃に加熱し、この温度で500kgのメラミンを導入する。ポンプ循環を30m/hにセットする。その後1150kgの22.5%濃度塩化ニッケル溶液をポンプ循環サーキットにより30分にわたって計量供給する。できるだけ完全な反応を達成するために、ポンプ循環付きの90分の後撹拌がそれに続く。pHを次に、ポンプ循環へ計量供給される30%濃度水酸化カリウム溶液を用いて、30分にわたって5.0に調整する。
【0076】
その後pHを、ポンプ循環サーキットへ塩酸を計量供給することによって、30分にわたって2.5に調整する。温度を98℃に上げ、熱処理を4時間実施する。これに、ポンプ循環サーキットへ計量供給される30%水酸化カリウム溶液を用いる、30分にわたる5.0のpHへの調整が続き、温度は80℃に調節する。
【0077】
ケーキングなしの反応器は完結まで非常に容易に排出することができる。均一な顔料スラリーをフィルタープレスで単離し、電解質がなくなるように洗浄し、80℃で乾燥する。これは、非常に狭い粒度分布および167m/gのBET表面積の非常に一様な生成物を与える。
【0078】
〔本発明の実施例3〕
比較例2のバッチで、約20リットルの生成物懸濁液を種結晶として反応器に残し、次に比較例2に記載されるような操作を繰り返す。これは、非常に狭い粒度分布および182m/gのBET表面積の非常に一様な生成物を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意選択でゲスト化合物を含有してもよい、下記式(I)のアゾ化合物:
【化1】

(式中、
XおよびYを付した環はそれぞれ、以下の組、=O、=S、=NR、−NR、−OR、−SR、−COOR、−CN、−CONR、−SO
【化2】

アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキル、からの1つまたは2つの置換基を有してもよく、
環XおよびYのそれぞれについて環内および環外二重結合の合計は3であり、
ここで、
は水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
は水素、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルであり、そして
はアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
、R、RおよびRは水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、そしてさらに、式(I)に破線で示されるように、それにさらなる環が縮合されてもよい5−または6−員環を形成してもよく、
は−OH、−NR、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
ここで、RおよびRは上に定義される通りであり、
そしてCH基を含有するR〜Rに対して与えられる置換基においてCH基の水素原子が置換されてもよく、
そしてm、n、oおよびpは1であってもよく、あるいはまた、式(I)中で破線で示されるように、相当する置換基R〜Rがその上にある環窒素原子から二重結合が始まる場合にはゼロであってもよい)
またはその互変異性構造体の金属化合物の製造方法であって、
前記製造が種結晶の存在下で行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記式(I)の化合物においてXを付した環が下記式:
【化3】

(式中、
LおよびMは互いに独立して=O、=Sまたは=NRであり、
は水素、−OR、−SR、−NR、−COOR、−CONR、−CN、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、そして
は−OR、−SR、−NR、−COOR、−CONR、−CN、−SO
【化4】

アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり、
または置換基MおよびR、もしくはMおよびRは、5−もしくは6−員環を形成してもよく、そして
、R、R、R、RおよびRは請求項1に定義された通りである)
の環であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)のアゾ化合物がその遊離酸の形で下記式(II)もしくは(III):
【化5】

(式中、
R’は−OHもしくは−NHであり、
R’、R”、R’およびR”はそれぞれ水素であり、そして
M’およびM”は互いに独立して、水素、−OH、−NH、−NHCN、アリールアミノもしくはアシルアミノである)
に、またはそれと互変異性の形に合致することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)のアゾ化合物がその遊離酸の形で下記式(V):
【化6】

に、またはそれと互変異性の形に合致することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記式(I)のアゾ化合物の金属化合物が式(I)のアゾ化合物のモノ−、ジ−、トリ−およびテトラアニオンとLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sn、Pb、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Hf、Ta、W、La、Ce、PrおよびNdからなる群から選択された1つもしくはそれ以上の金属との塩または錯体化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)のアゾ化合物のNi塩またはNi錯体が金属化合物として使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属化合物がゲスト化合物として環式または非環式有機化合物、とりわけメラミンを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属化合物の製造方法。
【請求項8】
使用される前記種結晶が、製造されることになっている金属化合物またはホスト−ゲスト化合物と同じ化学構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造方法。
【請求項9】
前記式(I)のアゾ化合物のナトリウム、二ナトリウム、カリウム、二カリウムもしくはニッケル塩またはこれらの塩の混合物、またはこれらの塩のホスト−ゲスト化合物、特にメラミンとこれらの塩のホスト−ゲスト化合物が、種結晶として使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造方法。
【請求項10】
前記製造が、各場合で製造されることになっている金属化合物の理論的に得られる量を基準にして、1ppm〜10000ppmの、好ましくは10ppm〜5000ppmの、非常に好ましくは50ppm〜3000ppmの、特に100ppm〜2000ppmの種結晶の存在下で行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の金属錯体またはそのホスト−ゲスト化合物の製造方法。
【請求項11】
前記種結晶が、アゾカップリング中にまたはその前に反応媒体中に存在することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の金属錯体またはそのホスト−ゲスト化合物の製造方法。
【請求項12】
前記金属化合物のまたはそのホスト−ゲスト化合物のBET比表面積が少なくとも160m/gのもので得られることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって製造される前記金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物が、水性スラリーの形で噴霧乾燥されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物の製造方法。
【請求項14】
請求項1に定義された式(I)のアゾ化合物の金属化合物、またはそれらと少なくとも1のさらなる異なる化合物のホスト−ゲスト化合物であって、少なくとも180m/gのBET比表面積を有する化合物。
【請求項15】
少なくとも1の光硬化性モノマー、少なくとも1の光開始剤、および請求項14に記載の少なくとも1の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物を含むフォトレジスト。
【請求項16】
請求項14に記載の少なくとも1の金属化合物またはそのホスト−ゲスト化合物を含むカラーフィルター。
【請求項17】
請求項16に記載の少なくとも1のカラーフィルターを含む液晶ディスプレイ。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造された金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物の使用、または請求項14に記載の金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物の使用を含む、液晶ディスプレイ中のカラーフィルターの製造方法。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造された、少なくとも1の金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物、または請求項14に記載の金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物と少なくとも1の分散剤とが混合される、顔料調合物の製造方法。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造された金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物の、または請求項14に記載の金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物の、顔料としての使用。
【請求項21】
印刷インク、水性塗料もしくはバインダーカラーを製造するための、合成、半合成もしくは天然高分子物質、とりわけポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンもしくはポリプロピレンの内部着色のための、そしてまた天然、再生もしくは人造繊維、例えばセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリカーボネート繊維、ポリアクリロニトリル繊維もしくはポリアミド繊維の原着のための、そしてまた織物および紙に印刷するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造された金属化合物のもしくはそのホスト−ゲスト化合物の、または請求項14に記載の金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物の、または請求項19に従って製造された顔料調合物の使用。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造された金属化合物のもしくはそのホスト−ゲスト化合物の、または請求項14に記載の金属化合物もしくはそのホスト−ゲスト化合物の、または請求項17に従って製造された顔料調合物の、ラミネート用の顔料としての、液晶ディスプレイにおけるカラーフィルター用の顔料としての、またはインクジェット印刷用の顔料としての使用。

【公開番号】特開2007−23287(P2007−23287A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196044(P2006−196044)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】