説明

穀物乾燥装置

【課題】乾燥処理後の穀物の水分を適切に検出する。
【解決手段】穀物乾燥装置では、穀物が設定水分値より所定値だけ大きな水分値以下になった後に、所定時間穀物の乾燥処理が休止される。さらに、特定時間穀物が循環処理及び送風処理されて、穀物の水分値が測定される。そして、穀物の水分値が設定水分値以下である際には乾燥運転が終了される一方、穀物の水分値が設定水分値より大きい際には再度穀物が乾燥処理される。このように、特定時間穀物が循環処理及び送風処理されて、穀物及び水分測定装置の温度が常温に近づけられてから、水分測定装置が穀物の水分値を測定することで、穀物の水分値を適切に測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を乾燥させる乾燥処理を行う穀物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物乾燥装置としては、穀物の乾燥工程の途中において、穀物の乾燥処理を休止する休止期間が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この穀物乾燥装置では、休止期間後の穀物の乾燥処理時に、穀物の温度が再度高温になるため、自動水分計が穀物の正確な水分(常温の穀物の水分)を検出できない可能性がある。これにより、自動水分計によって検出された穀物の水分が目標の水分に達した際に穀物の乾燥工程を終了させても、穀物の温度が常温になった際に穀物の水分が目標の水分と異なる可能性がある。
【特許文献1】特開昭61−125585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、乾燥処理後の穀物の水分を適切に検出できる穀物乾燥装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の穀物乾燥装置は、穀物を乾燥させる乾燥処理を行うと共に、穀物を移動させつつ穀物へ送風する移動送風処理を行う装置本体と、穀物の水分を検出する検出手段と、前記装置本体を制御可能にされ、前記装置本体に乾燥処理を行わせた後、所定時間経過後に前記装置本体に移動送風処理を行わせてから、前記検出手段が検出した穀物の水分に応じて前記装置本体に乾燥処理を行わせ又は乾燥処理を行わせない制御手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の穀物乾燥装置では、装置本体が、穀物を乾燥させる乾燥処理を行うと共に、穀物を移動させつつ穀物へ送風する移動送風処理を行う。さらに、検出手段が穀物の水分を検出する。
【0007】
ここで、制御手段が装置本体を制御可能にされており、装置本体は、乾燥処理を行った後、所定時間経過後に移動送風処理を行ってから、検出手段が検出した穀物の水分に応じて乾燥処理を行い又は乾燥処理を行わない。
【0008】
このように、装置本体が、乾燥処理を行った後に、移動送風処理を行う。これにより、穀物の温度を低下させることができ、検出手段が穀物の水分を適切に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図2には、本発明の実施の形態に係る循環式の穀物乾燥装置10が前方から見た断面図にて示されており、図3には、穀物乾燥装置10が左方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、穀物乾燥装置10の前方を矢印FRで示し、穀物乾燥装置10の右方を矢印RHで示し、穀物乾燥装置10の上方を矢印UPで示す。
【0010】
本実施の形態に係る穀物乾燥装置10は、装置本体としての機体12を備えており、機体12は上下に高く前後に長い直方体箱状とされている。
【0011】
機体12内の上部は、収容室を構成する穀槽14とされており、穀槽14内には穀物K(例えば籾)が貯留(収容)される。
【0012】
機体12内の下部には一対の排風路隔壁16が設けられており、各排風路隔壁16は通気性を有している。各排風路隔壁16は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されると共に、機体12の各側面板から機体12の左右方向中央へ向けて下方に傾斜しており、一対の排風路隔壁16は漏斗状とされている。
【0013】
一対の排風路隔壁16の機体12内側には、風胴板18が設けられており、風胴板18は、通気性を有すると共に、略菱形筒状とされている。風胴板18は機体12の前面板と後面板との間に架け渡されると共に、風胴板18の下側は、対向する各排風路隔壁16に平行とされており、風胴板18の内部は送風路22とされている。送風路22に対応して機体12の前面板には矩形状の外気入口26が形成されており、外気入口26は送風路22に連通している。
【0014】
風胴板18の上側と各排風路隔壁16の上部との間には、導風路隔壁32が設けられており、各導風路隔壁32は、通気性を有すると共に、略菱形筒状とされている。各導風路隔壁32は機体12の前面板と後面板との間に架け渡されており、各導風路隔壁32の内部は導風路34とされている。各導風路隔壁32の下側は、対向する各排風路隔壁16に平行とされると共に、対向する風胴板18に平行とされている。
【0015】
風胴板18の左方及び右方には、風胴板18と導風路隔壁32との間、導風路隔壁32と排風路隔壁16との間、及び、風胴板18と排風路隔壁16との間において、収容室を構成する穀物流下路36が形成されており、各穀物流下路36には穀槽14内に貯留された穀物Kが流下(流動)する。
【0016】
各穀物流下路36の下端間には、流動手段(移動手段)を構成する繰出手段としての円筒状のシャッタドラム38が設けられており、シャッタドラム38は、各穀物流下路36の下端を略閉塞すると共に、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されて軸心回りに回転可能とされている。シャッタドラム38の外周には、軸方向に長尺とされた矩形状のスリット40が一対形成されており、一方のスリット40はシャッタドラム38外周の前側に配置されると共に、他方のスリット40は、シャッタドラム38外周の後側かつ一方のスリット40の周方向反対側に配置されている。ここで、シャッタドラム38が回転して各スリット40が各穀物流下路36の下端に対面することで、各穀物流下路36内の穀物Kが各スリット40を経てシャッタドラム38内に流入し、さらにシャッタドラム38が回転して各スリット40が下向きとなることで、シャッタドラム38内に流入した穀物Kが下方へ排出される。
【0017】
一対の排風路隔壁16の下方には一対の張込流し板42が設けられており、各張込流し板42は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されている。一対の張込流し板42は、それぞれ機体12の各側面板から機体12の左右方向中央へ向けて下方に傾斜されて、漏斗状とされている。また、各張込流し板42と各排風路隔壁16との間は排風路44とされている。
【0018】
機体12の各側面板下部には張込ホッパ46が開閉可能に設けられており、各張込ホッパ46が開放されることで、機体12内へ穀物Kを張り込み(供給)可能とされている。ここで、シャッタドラム38から排出された穀物Kまたは張込ホッパ46から張り込まれた穀物Kは、各張込流し板42の下端間に流下する。
【0019】
各張込流し板42の下端間には、流動手段を構成する下スクリューコンベヤ48が設けられており、下スクリューコンベヤ48は、後端が機体12の後面板に固定されると共に、前端が機体12の前面から前方に突出している。下スクリューコンベヤ48は、長尺樋状の下搬送樋50を有しており、機体12外における下搬送樋50の上面及び前面は閉塞されている。機体12内における下搬送樋50は排風路44に連通されており、下搬送樋50内には各張込流し板42の下端間に到達した穀物Kが流下する。下搬送樋50内には下スクリュー52が設けられており、下搬送樋50内に流下した穀物Kが下スクリュー52によって前方へ搬送される。
【0020】
機体12の前方には、右側において、流動手段を構成する昇降機54が立設されており、昇降機54の上部は機体12の上面板よりも上方へ突出している。昇降機54内には無端ベルト56が配置されており、無端ベルト56にはバケット58が一定間隔で取り付けられている。昇降機54内の下端は下搬送樋50内の前端に連通されており、下スクリューコンベヤ48(下搬送樋50内の前端)から排出されて昇降機54内の下端に堆積した穀物Kが、無端ベルト56の回転によりバケット58によって昇降機54内の上端まで持上搬送される。
【0021】
昇降機54の側面板には、下端において、検出手段としての水分測定装置86(水分計)が設けられている。水分測定装置86内の上部は昇降機54内に連通されており、昇降機54内の下端に堆積した穀物Kがバケット58によって掬われる際に、穀物Kへのバケット58の跳ね上げ作用によって、穀物Kが水分測定装置86内へ昇降機54内との連通部分を介して自動的にサンプリング(取得)される。水分測定装置86内には一対の電極ロール(図示省略)が設けられており、水分測定装置86内へサンプリングされた穀物Kが1粒毎に一対の電極ロール間で圧砕されると共に一対の電極ロール間の電気抵抗値が測定されることで、測定された電気抵抗値が穀物Kの水分値(含水率)に換算されて、穀物Kの水分値(平均水分値)が測定(検出)される。
【0022】
機体12の上端には、流動手段を構成する上スクリューコンベヤ60が設けられており、上スクリューコンベヤ60は、後端が機体12の上面板中央直下に配置されると共に、前端が機体12の前面板から突出している。上スクリューコンベヤ60は、長尺樋状の上搬送樋62を有しており、上搬送樋62の後端下面は開放されている。上搬送樋62内の前端は昇降機54内の上端に連通されており、昇降機54内の上端まで搬送された穀物Kが上搬送樋62内の前端に流下する。上搬送樋62内には上スクリュー64が設けられており、上搬送樋62内の前端に流下した穀物Kが上スクリュー64によって後方へ搬送される。また、上搬送樋62内の前端は排出管66に連通可能とされており、上搬送樋62内の前端が排出管66に連通された際には、上搬送樋62内の前端に流下した穀物Kが排出管66を経て穀物乾燥装置10から排出される。
【0023】
上スクリューコンベヤ60後端の下方には、流動手段を構成する円盤状の均分機68が回転可能に設けられており、上スクリューコンベヤ60の後端(上搬送樋62内の後端)に搬送された穀物Kが、回転される均分機68の上面に流下することで、遠心力によって穀槽14内へ均等に放散分配される。
【0024】
機体12の前面下部には、左側部位において直方体箱状の火炉ケース70が設けられており、火炉ケース70の前面板にはスリット状の外気導入口72が複数形成されている。火炉ケース70の後面板は部分的に開放されており、火炉ケース70内は上記外気入口26に連通されている。また、火炉ケース70下面板の左側部位は開放されている。
【0025】
機体12の前面下部には、火炉ケース70直下の左側において直方体箱状のバーナケース74が設けられている。バーナケース74の上面板は部分的に開放されており、バーナケース74内は火炉ケース70内に連通されている。また、バーナケース74内には、熱風生成手段としてのバーナ76が設けられている。
【0026】
機体12の後面下部には、直方体箱状の送風機取付台78が設けられており、送風機取付台78内は上記各排風路44に連通されている。送風機取付台78の後面には、送風機80の前端が取り付けられており、送風機80の後端には、可撓性を有する排風ダクト82の一端が取り付けられている。
【0027】
これにより、送風機80が駆動されることで、常温の外気(常温風)が、外気導入口72から火炉ケース70内及び外気入口26を経て送風路22内に吸引流入され、さらに、風胴板18、各穀物流下路36、各排風路隔壁16、各排風路44及び送風機取付台78内を経て送風機80内に吸引送風され、かつ、排風ダクト82を経て排風される。また、各穀物流下路36の上部を送風される外気は、各導風路隔壁32及び各導風路34を通過する。
【0028】
さらに、外気導入口72から火炉ケース70内に導入された外気が、バーナ76によって外気に比し高温に加熱された熱風(乾燥風)にされて各穀物流下路36へ送風されることで、各穀物流下路36内の穀物Kが乾燥される。
【0029】
機体12の前面下部には、火炉ケース70の直上において、制御手段及び設定手段としての操作盤84(制御装置及び設定装置)が設けられており、操作盤84は穀物乾燥装置10の各駆動部(水分測定装置86を含む)に接続されている。操作盤84には、張込運転スイッチ、循環運転スイッチ、乾燥運転スイッチ、排出運転スイッチ、送風運転スイッチ、水分測定スイッチ及び停止スイッチ等の各種の操作スイッチ(図示省略)が設けられており、操作盤84の各種の操作スイッチが操作されることで、穀物乾燥装置10が操作盤84によって制御(運転及び停止等)される。また、操作盤84には、表示部(図示省略)が設けられており(接続されており)、表示部には、水分測定装置86によって測定された穀物Kの水分値等が表示される。さらに、操作盤84には、設定部(図示省略)が設けられており(接続されており)、設定部は、操作されることで、目標とする乾燥運転後の穀物Kの水分値(以下「設定水分値」という)等が設定される。
【0030】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0031】
以上の構成の穀物乾燥装置10では、操作盤84の張込運転スイッチを運転操作すると、下スクリューコンベヤ48、昇降機54、上スクリューコンベヤ60及び均分機68が駆動されて、張込運転され、その後、張込ホッパ46を開放して、刈り取ってきた穀物Kを機体12内へ張り込む。機体12内へ張込まれた穀物Kは張込流し板42によって下スクリューコンベヤ48に案内され、下スクリューコンベヤ48から昇降機54、上スクリューコンベヤ60及び均分機68を経て、穀槽14内及び各穀物流下路36へ搬送される(貯留される)。また、張込運転(穀物Kの張込処理)は、操作盤84の停止スイッチの操作により、又は、穀槽14内及び各穀物流下路36へ穀物Kが張込限度まで張り込まれた際に自動的に、停止される。
【0032】
例えば張込運転が終了した後に都合により乾燥運転をするまでにまだ時間がかかる際には、操作盤84の循環運転スイッチを運転操作すると、シャッタドラム38、下スクリューコンベヤ48、昇降機54、上スクリューコンベヤ60及び均分機68が駆動されて、循環運転(移動運転)される(穀物Kが循環処理(移動処理)される)。これにより、穀槽14内に貯留された穀物Kが、各穀物流下路36、シャッタドラム38、下スクリューコンベヤ48、昇降機54、上スクリューコンベヤ60及び均分機68を経て穀槽14に戻され、穀物乾燥装置10内を循環される。また、循環運転は、操作盤84の停止スイッチの操作により停止される。
【0033】
操作盤84の設定部で穀物Kの設定水分値を設定した後に、操作盤84の乾燥運転スイッチを運転操作すると、シャッタドラム38、下スクリューコンベヤ48、昇降機54、上スクリューコンベヤ60、均分機68、送風機80及び水分測定装置86が駆動されると共に、バーナ76が点火されて、後に詳細に説明する乾燥運転における穀物Kの乾燥処理が開始される。
【0034】
乾燥運転における穀物Kの乾燥処理では、上記循環運転の際と同様に、穀物Kが穀物乾燥装置10内を循環される。
【0035】
さらに、送風機80の駆動により、外気導入口72から火炉ケース70内に吸引導入された外気からバーナ76によって熱風が生成され、この熱風が外気入口26、送風路22及び風胴板18を介して各穀物流下路36へ吸引送風されて各穀物流下路36内の穀物Kの水分を吸収することで、穀物Kが乾燥される。穀物Kの水分を吸収した後の熱風は、各排風路隔壁16、各排風路44及び送風機取付台78内を経て(通過して)送風機80に吸引送風され、さらに、排風ダクト82を経て排風される。
【0036】
また、昇降機54内の下端に堆積した穀物Kがバケット58によって掬われる際に、穀物Kへのバケット58の跳ね上げ作用によって、穀物Kが水分測定装置86内へサンプリングされる。このため、水分測定装置86内へサンプリングされた穀物Kの水分値が水分測定装置86によって測定されて、穀物Kの水分値が操作盤84に表示される。
【0037】
乾燥運転は、操作盤84の停止スイッチの操作により、又は、後に詳細に説明する如く穀物Kが設定水分値に達した際に自動的に、停止される。乾燥運転が停止される際には、必要に応じて、シャッタドラム38の駆動が停止されると共に下スクリューコンベヤ48、昇降機54、上スクリューコンベヤ60及び均分機68の駆動が継続されて全ての穀物Kが穀槽14内及び各穀物流下路36に貯留される。
【0038】
例えば乾燥運転が終了した際には、操作盤84の排出運転スイッチを運転操作すると、シャッタドラム38、下スクリューコンベヤ48、昇降機54、上スクリューコンベヤ60及び均分機68が駆動されて、排出運転され、さらに、上搬送樋62内の前端が排出管66に連通されることで、穀物Kが排出管66を経て穀物乾燥装置10から排出される。また、排出運転(穀物Kの排出処理)は、操作盤84の停止スイッチの操作により、又は、穀物Kが穀物乾燥装置10から完全に排出された際に自動的に、停止される。
【0039】
例えば張込運転、循環運転又は排出運転される際には、操作盤84の送風運転スイッチを運転操作すると、送風機80が駆動されて、送風運転される(穀物Kが送風処理される)。これにより、外気導入口72から火炉ケース70内に吸引導入された常温の外気が、外気入口26、送風路22及び風胴板18を介して各穀物流下路36へ吸引送風されて、各穀物流下路36内の穀物Kへ送風される。各穀物流下路36内の穀物Kへ送風された後の外気は、各排風路隔壁16、各排風路44及び送風機取付台78内を経て(通過して)送風機80に吸引送風され、さらに、排風ダクト82を経て排風される。これにより、穀物Kの蒸れが防止されると共に、穀物K内から塵埃が排出される。また、送風運転は、操作盤84の停止スイッチの操作により停止される。
【0040】
例えば張込運転、循環運転又は排出運転される際には、操作盤84の水分測定スイッチを運転操作すると、水分測定装置86が駆動される。これにより、穀物Kの乾燥処理の際と同様に、水分測定装置86内へサンプリングされた穀物Kの水分値が水分測定装置86によって測定されて、穀物Kの水分値が操作盤84に表示される。また、穀物Kの水分値の測定は、操作盤84の停止スイッチの操作により停止される。さらに、循環運転される場合において、穀物Kが設定水分値に達した際には、循環運転が自動的に停止される。
【0041】
ここで、図1に示す如く、乾燥運転される場合には、ステップ100において、先ず穀物Kの乾燥処理が開始された後に、ステップ102において、穀物Kが設定水分値より所定値(例えば1%等の小さな値)だけ大きな水分値以下になった際に、穀物Kの乾燥処理が停止される。次に、ステップ104において、穀物Kの乾燥処理が停止されてから所定時間(例えば6時間等の長時間)穀物Kの乾燥処理が休止される。
【0042】
さらに、ステップ106において、特定時間(例えば10分間)循環運転と同様に穀物Kが循環処理されると同時に送風運転と同様に穀物Kが送風処理されて(穀物Kが移動送風処理されて)、水分測定装置86によって穀物Kの水分値が測定される。
【0043】
そして、ステップ108において、水分測定装置86によって測定された穀物Kの水分値が設定水分値(目標水分値)以下である場合には、ステップ110において、乾燥運転が終了される。一方、ステップ108において、水分測定装置86によって測定された穀物Kの水分値が設定水分値(目標水分値)より大きい場合(特に湿度が高かったり穀物K中に高水分の未熟粒が多かったりして穀物Kの水分値が低下しにくい場合)には、ステップ112において、再度必要な時間だけ穀物Kが乾燥処理されて、乾燥運転が終了される。なお、ステップ112において、乾燥運転が終了される前には、ステップ106及びステップ108の処理を再度繰り返してもよい。
【0044】
このように、ステップ102において、穀物Kが設定水分値より所定値だけ大きな水分値以下になった際に穀物Kの乾燥処理が停止されて、ステップ104において、穀物Kの乾燥処理が所定時間休止される。このため、穀物Kの水分値が設定水分値に近く穀物Kが高温にされた状態において穀粒間で(水分値が大きな穀粒から水分値が小さな穀粒へ)水分が移行される(穀物Kが所謂余熱乾燥、休止乾燥又はテンパリング乾燥される)ことで、穀粒間で容易に水分が移行されて、穀粒間での水分値のバラツキが良好に減少される(穀物Kの水分値が良好に平均化される)。これにより、ステップ106において水分測定装置86が穀物Kの水分値を適切に測定することができると共に、乾燥運転が終了した後に穀粒間で水分が移行されて穀物Kの水分値(平均水分値)が低下したり(穀物Kの乾燥が進行して穀物Kが過乾燥されたり)穀物Kの水分値(平均水分値)が上昇したり(穀物Kの乾燥戻りが発生したり)することを抑制できる。
【0045】
さらに、ステップ106において、特定時間穀物Kが循環処理されると同時に送風処理されてから、水分測定装置86によって穀物Kの水分値が測定される。このため、穀物K及び水分測定装置86の温度が常温に近づけられてから(低下されてから)、水分測定装置86によって穀物Kの水分値が測定されることで、水分測定装置86が穀物Kの水分値を一層適切に(正確に)測定することができる。これにより、ステップ108において水分測定装置86が測定した穀物Kの水分値を設定水分値と比較して、ステップ110において乾燥運転を終了し又はステップ112において再度必要な時間だけ穀物Kを乾燥処理することで、乾燥運転によって穀物Kの水分値をより正確に設定水分値にすることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、ステップ108において水分測定装置86が測定した穀物Kの水分値を設定水分値と比較する構成としたが、特に乾燥運転終了後に穀物Kの水分値が低下又は上昇する際には、それぞれステップ108において水分測定装置86が測定した穀物Kの水分値を設定水分値より特定値(例えば0.3%等の極めて小さな値)だけ大きな又は小さな水分値(以下「特定水分値」という)と比較する構成としてもよい。この際、ステップ108において、水分測定装置86によって測定された穀物Kの水分値が特定水分値以下である場合には、ステップ110において、乾燥運転が終了される。一方、ステップ108において、水分測定装置86によって測定された穀物Kの水分値が特定水分値より大きい場合には、ステップ112において、再度必要な時間だけ穀物Kが乾燥処理されて、乾燥運転が終了される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る穀物乾燥装置における乾燥運転の動作を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係る穀物乾燥装置を示す前方から見た断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る穀物乾燥装置を示す左方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 穀物乾燥装置
12 機体(装置本体)
84 操作盤(制御手段)
86 水分測定装置(検出手段)
K 穀物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を乾燥させる乾燥処理を行うと共に、穀物を移動させつつ穀物へ送風する移動送風処理を行う装置本体と、
穀物の水分を検出する検出手段と、
前記装置本体を制御可能にされ、前記装置本体に乾燥処理を行わせた後、所定時間経過後に前記装置本体に移動送風処理を行わせてから、前記検出手段が検出した穀物の水分に応じて前記装置本体に乾燥処理を行わせ又は乾燥処理を行わせない制御手段と、
を備えた穀物乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−115412(P2009−115412A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290619(P2007−290619)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】