説明

積層コンデンサおよびその実装構造

【課題】積層コンデンサにおいて、低ESL化および高ESR化の双方を図る。
【解決手段】コンデンサ本体8において、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とを積層方向に並ぶように配置しながら、第1のコンデンサ部11が積層方向での少なくとも一方端に位置するようにし、それによって、実装面25により近い側に第1のコンデンサ部11を位置させる。第2のコンデンサ部12を構成する第3および第4の内部電極15および16についての第3および第4の引出し部の対の数を単に1つとすることによって、第1のコンデンサ部11を構成する第1および第2の内部電極13および14についての第1および第2の引出し部17および18の対の数より少なくし、第1のコンデンサ部11が低ESL化に寄与するようにしながら、第2のコンデンサ部12が高ESR化に寄与するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層コンデンサおよびその実装構造に関するもので、特に、高周波回路において有利に適用される積層コンデンサおよびその実装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数GHzのような高周波領域において、MPU(マイクロプロセッシングユニット)等のための電源回路に用いられるデカップリングコンデンサとして、たとえば特開平11−144996号公報(特許文献1)に記載のような構造の積層コンデンサが知られている。この積層コンデンサによれば、多端子構造にしながら、隣り合う端子を逆極性にすることによって、正極から負極への電流の流れを短くし、電流の流れを多様にし、さらに、電流の方向を互いに逆方向に向けるようにして磁束の相殺を行ない、それによって、ESL(等価直列インダクタンス)の低減が図られている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の積層コンデンサによれば、ESLの低下に伴って、ESR(等価直列抵抗)も低下するため、インピーダンス特性が急峻になるという問題を有している。
【0004】
他方、特開2001−284170号公報(特許文献2)では、コンデンサ本体の内部に静電容量を形成するために設けられる内部電極の各々について、コンデンサ本体の表面にまで引き出されかつ外部端子電極に電気的に接続される引き出し部の数を単に1つとすることによって、積層コンデンサのESRを高めることが提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の構造によれば、ESRを高くすることができるものの、それに伴って、ESLが高くなり、高周波側の特性が劣化するという問題がある。
【特許文献1】特開平11−144996号公報
【特許文献2】特開2001−284170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の目的は、低ESL化を図りながらも、高ESR化を図ることができる、積層コンデンサを提供しようとすることである。
【0007】
この発明の他の目的は、上述のように低ESL化が図られた積層コンデンサの低ESL特性を十分に発揮させることができる、積層コンデンサの実装構造を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る積層コンデンサは、積層された複数の誘電体層をもって構成される積層構造を有するコンデンサ本体を備えている。この発明では、上述した技術的課題を解決するため、積層コンデンサが、次のように構成されることを特徴としている。
【0009】
すなわち、積層コンデンサに備えるコンデンサ本体は、第1および第2のコンデンサ部を構成している。
【0010】
第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、第1の内部電極には、コンデンサ本体の外表面にまで引き出される複数の第1の引出し部が形成され、かつ、第2の内部電極には、コンデンサ本体の外表面にまで引き出される複数の第2の引出し部が形成される。
【0011】
他方、第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、第3の内部電極には、コンデンサ本体の外表面にまで引き出される第3の引出し部が形成され、かつ、第4の内部電極には、コンデンサ本体の外表面にまで引き出される第4の引出し部が形成される。そして、1対の第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の対の数が、単に1であり、1対の第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の対の数より少なくされる。
【0012】
コンデンサ本体の外表面上には、上記第1、第2、第3および第4の引出し部に、直接、それぞれ電気的に接続される第1、第2、第3および第4の外部端子電極が形成される。
【0013】
そして、第1、第2、第3および第4の外部端子電極は、誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして形成されていることを特徴としている。
【0014】
この発明に係る積層コンデンサにおいて、典型的には、各々1つの第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の少なくとも一方の数が、各々1つの第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の各々の数より少なくされる。
【0015】
この発明に係る積層コンデンサにおいて、好ましくは、各々1つの第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の各々の数は、各々1つの第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の各々の数より少なくされる。
【0016】
第1および第2の外部端子電極の少なくとも一方は、第3および第4の外部端子電極の少なくとも一方と共通であってもよい。
【0017】
第1および第2の外部端子電極は、交互に配置されることが好ましい。
【0018】
コンデンサ本体において、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とは積層方向に並ぶように配置されるとともに、第1のコンデンサ部が積層方向での少なくとも一方端に位置されることが好ましい。この場合、コンデンサ本体において、第2のコンデンサ部が2つの第1のコンデンサ部によって積層方向に挟まれるように配置されることがより好ましい。
【0019】
この発明の特定的な実施態様では、コンデンサ本体は、相対向する2つの主面および2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなしていて、誘電体層は、主面の方向に延びており、外部端子電極は、4つの側面上に形成される。この実施態様において、主面が、4つの側面のいずれよりも大きい面積を有しているとき、主面のいずれか一方が所定の実装面側に向けられた状態で実装されることが好ましい。
【0020】
この発明の特定的な他の実施態様では、コンデンサ本体は、相対向する2つの主面および2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなしていて、外部端子電極は、互いに対向する2つの側面上にのみ形成される。この実施態様において、主面が、4つの側面のいずれよりも大きい面積を有しているとき、主面のいずれか一方が所定の実装面側に向けられた状態で実装され、また、外部端子電極が形成された側面が、主面および残りの側面のいずれよりも大きい面積を有しているとき、外部電極が形成された側面のいずれか一方が所定の実装面側に向けられた状態で実装されることが好ましい。
【0021】
この発明は、また、上述した第1および第2のコンデンサ部の積層方向での配置についての好ましい実施態様に係る積層コンデンサが所定の実装面上に実装された、積層コンデンサの実装構造にも向けられる。この発明に係る積層コンデンサの実装構造は、第1のコンデンサ部が実装面により近い側に位置するようにコンデンサ本体を向けた状態で、積層コンデンサが実装されることを特徴としている。
【0022】
この発明に係る積層コンデンサは、より具体的な第1の実施態様では、相対向する2つの主面および2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなし、主面の方向に延びる誘電体層が複数積層された積層構造を有するコンデンサ本体を備え、コンデンサ本体は、誘電体層の積層方向に並ぶように配置された第1および第2のコンデンサ部を構成していて、第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、第1の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される複数の第1の引出し部が形成され、かつ、第2の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される複数の第2の引出し部が形成され、第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、第3の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される第3の引出し部が形成され、かつ、第4の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される第4の引出し部が形成され、1対の第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の対の数は、単に1であり、1対の第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の対の数より少なく、コンデンサ本体の互いに対向する2つの側面上にのみ、誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして、第1および第2の外部端子電極が形成され、第1の外部端子電極は、第1の引出し部および第3の引出し部に直接電気的に接続され、第2の引出し部および第4の引出し部とは電気的に絶縁され、第2の外部端子電極は、第2の引出し部および第4の引出し部に直接電気的に接続され、第1の引出し部および第3の引出し部とは電気的に絶縁されることを特徴としている。
【0023】
この発明に係る積層コンデンサは、より具体的な第2の実施態様では、相対向する2つの主面および2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなし、主面の方向に延びる誘電体層が複数積層された積層構造を有するコンデンサ本体を備え、コンデンサ本体は、誘電体層の積層方向に並ぶように配置された第1および第2のコンデンサ部を構成していて、第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、第1の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される複数の第1の引出し部が形成され、かつ、第2の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される複数の第2の引出し部が形成され、第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、第3の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される第3の引出し部が形成され、かつ、第4の内部電極には、コンデンサ本体の側面にまで引き出される第4の引出し部が形成され、1対の第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の対の数は、単に1であり、1対の第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の対の数より少なく、コンデンサ本体の互いに対向する2つの側面上に、誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして、第1および第2の外部端子電極が形成され、コンデンサ本体の互いに対向する残りの2つの側面上に、誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして、第1および第2の外部端子電極が形成され、第1の外部端子電極は、第1の引出し部および第3の引出し部に直接電気的に接続され、第2の引出し部および第4の引出し部とは電気的に絶縁され、第2の外部端子電極は、第2の引出し部および第4の引出し部に直接電気的に接続され、第1の引出し部および第3の引出し部とは電気的に絶縁されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係る積層コンデンサによれば、コンデンサ本体を第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とに分割し、第2のコンデンサ部にある1対の第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の対の数を、第1のコンデンサ部にある1対の第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の対の数より少なくしているので、第1のコンデンサ部において、より低ESL化を図ることができ、その結果、第1のコンデンサ部の共振周波数を第2のコンデンサ部の共振周波数より高くすることができる。したがって、第1のコンデンサ部がコンデンサ本体の複合特性において高周波側に影響を与えることになり、第1のコンデンサ部のESL特性が反映され、コンデンサ本体の低ESL化を図ることができる。
【0025】
また、コンデンサ本体を第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とに分割し、第1のコンデンサ部の共振周波数と第2のコンデンサ部の共振周波数とを異ならせることにより、第1のコンデンサ部のESRと第2のコンデンサ部のESRとの複合特性によって、コンデンサ本体のESRが決定されることになる。ここで、前述のように、第2のコンデンサ部にある1対の第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の対の数を、第1のコンデンサ部にある1対の第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の対の数より少なくしているので、第2のコンデンサ部において、より高ESR化を図ることができる。したがって、コンデンサ本体についての高ESR化が、第2のコンデンサ部によって図られることができる。
【0026】
その結果、低ESLかつ高ESRの双方を満足させる積層コンデンサを得ることができる。
【0027】
この発明に係る積層コンデンサにおいて、前述のように、第3および第4の引出し部の対の数を、第1および第2の引出し部の対の数より少なくするため、各々1つの第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の各々の数を、各々1つの第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の各々の数より少なくするようにすれば、第1のコンデンサ部による低ESL化および第2のコンデンサ部による高ESR化を確実に達成することができる。
【0028】
この発明に係る積層コンデンサにおいて、第1および第2の外部端子電極が交互に配置されていると、正極から負極への電流の流れをより短くし、かつ磁束の相殺をより効果的に行なうことができるので、第1のコンデンサ部でのESLをより低減することができる。
【0029】
コンデンサ本体において、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とが積層方向に並ぶように配置されるとともに、第1のコンデンサ部が積層方向での少なくとも一方端に位置される場合であって、第1のコンデンサ部が実装面により近い側に位置するようにコンデンサ本体を向けた状態で、積層コンデンサが実装される場合には、正極の外部端子電極から内部電極を通って負極の外部端子電極へと流れる電流の経路をより短くすることができるので、実装構造において低ESL化を図ることができる。したがって、低ESL化が図られた積層コンデンサの低ESL特性を十分に発揮させることができる。
【0030】
コンデンサ本体において、第2のコンデンサ部が2つの第1のコンデンサ部によって積層方向に挟まれるように配置されていると、上述のような低ESL化が可能な実装構造を得るにあたって、コンデンサ本体の上下についての方向性をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1ないし図4は、この発明の範囲内のものではないが、この発明を理解する上で必要な第1の参考例としての積層コンデンサ1を示している。ここで、図1は、積層コンデンサ1の外観を示す斜視図であり、図2は、積層コンデンサ1の実装構造を示す断面図であり、図2において、積層コンデンサ1は、後述する図3および図4の線II−IIに沿う断面をもって示されている。なお、後述するこの発明の範囲内にある実施形態による積層コンデンサの外観および実装状態は、それぞれ、図1および図2に示したものと同様である。
【0032】
積層コンデンサ1は、相対向する2つの主面2および3ならびにこれら主面2および3間を連結する4つの側面4、5、6および7を有する直方体状のコンデンサ本体8を備えている。コンデンサ本体8は、主面2および3の方向に延びる、たとえば誘電体セラミックからなる積層された複数の誘電体層9をもって構成される積層構造を有している。また、主面2および3は、4つの側面4〜7のいずれよりも大きい面積を有している。
【0033】
コンデンサ本体8は、図2に示すように、第1および第2のコンデンサ部11および12を構成している。この参考例では、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とは、積層方向に並ぶように配置され、しかも、第2のコンデンサ部12が2つの第1のコンデンサ部11によって積層方向に挟まれるように配置されている。その結果、第1のコンデンサ部11は、コンデンサ本体8における積層方向での両端に位置される。
【0034】
第1のコンデンサ部11は、静電容量を形成するように所定の誘電体層9を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極13および14を備えている。他方、第2のコンデンサ部12は、静電容量を形成するように所定の誘電体層9を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極15および16を備えている。
【0035】
この参考例では、より大きな静電容量を得るため、第1および第2の内部電極13および14の対の数ならびに第3および第4の内部電極15および16の対の数は、複数とされる。
【0036】
図3は、第1のコンデンサ部11の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第1の内部電極13が通る断面を示し、(b)は、第2の内部電極14が通る断面を示している。
【0037】
図3(a)に示すように、第1の内部電極13には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面4〜7にまで引き出される複数、たとえば7つの第1の引出し部17が形成されている。また、図3(b)に示すように、第2の内部電極14には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面4〜7にまで引き出される複数、たとえば7つの第2の引出し部18が形成されている。したがって、1対の第1および第2の内部電極13および14についての第1および第2の引出し部17および18の対の数は、7ということになる。
【0038】
コンデンサ本体8の側面4〜7の各々上には、第1の引出し部17に、直接、それぞれ電気的に接続される複数、たとえば7つの第1の外部端子電極19、ならびに第2の引出し部18に、直接、それぞれ電気的に接続される複数、たとえば7つの第2の外部端子電極20が形成されている。第1および第2の外部端子電極19および20は、図1および図2に示されるように、誘電体層9の積層方向に沿って延びるように、かつ、第1および第2のコンデンサ部11および12の双方にかかるようにして形成されるとともに、側面4〜7上から主面2および3の各々の一部上にまで延びるように形成されている。
【0039】
第1の引出し部17がそれぞれ引き出される側面4〜7上での各位置は、第2の引出し部18がそれぞれ引き出される各位置と異なっており、したがって、第1の外部端子電極19が設けられる側面4〜7上での各位置は、第2の外部端子電極20の各位置と異なっている。そして、第1の外部端子電極19と第2の外部端子電極20とは、側面4〜7上において、交互に配置されている。
【0040】
図4は、第2のコンデンサ部12の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第3の内部電極15が通る断面を示し、(b)は、第4の内部電極16が通る断面を示している。
【0041】
図4(a)に示すように、第3の内部電極15には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面5および7にまで引き出される2つの第3の引出し部21が形成されている。また、図4(b)に示すように、第4の内部電極16には、コンデンサ本体8の外表面、すなわち側面5および7にまで引き出される2つの第4の引出し部22が形成されている。したがって、1対の第3および第4の内部電極15および16についての第3および第4の引出し部21および22の対の数は、2ということになる。
【0042】
この参考例では、第3の引出し部21は、前述した第1の外部端子電極19に電気的に接続され、第4の引出し部22は、前述した第2の外部端子電極20に電気的に接続されている。すなわち、第1の外部端子電極19のいくつかは、第3の引出し部21に電気的に接続されるべき第3の外部端子電極と共通であり、第2の外部端子電極20のいくつかは、第4の引出し部22に電気的に接続されるべき第4の外部端子電極と共通である。
【0043】
上述のように、第3および第4の引出し部21および22が、それぞれ、第1および第2の引出し部17および18と共通する第1および第2の外部端子電極19および20に電気的に接続されていると、積層コンデンサ1自身において、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とを並列に接続した状態とすることができる。
【0044】
なお、後述する参考例のように、第3および第4の引出し部21および22にそれぞれ接続されるべき第3および第4の外部端子電極を、第1および第2の外部端子電極とは別に設けてもよい。
【0045】
以上説明した第1の参考例では、1対の第3および第4の内部電極15および16についての第3および第4の引出し部21および22の対の数が、1対の第1および第2の内部電極13および14についての第1および第2の引出し部17および18の対の数より少ない。すなわち、前者が2であり、後者が7である。
【0046】
特に、第1の参考例では、各々1つの第3および第4の内部電極15および16についての第3および第4の引出し部21および22の各々の数は、各々1つの第1および第2の内部電極13および14についての第1および第2の引出し部17および18の各々の数より少ない。すなわち、前者が2つであり、後者が7つである。
【0047】
そのため、第1および第2の内部電極13および14での電流の流れる方向を多様にすることができ、磁束の相殺によって、第1のコンデンサ部11のESLを、第2のコンデンサ部12のESLよりも低くすることができる。
【0048】
他方、第3および第4の内部電極15および16にあっては、前述したように、第3および第4の引出し部21および22の各々の数が、第1および第2の内部電極13および14についての第1および第2の引出し部17および18の各々の数より少ない。そのため、内部電極13〜16あるいは引出し部17、18、21および22がESRに及ぼす影響が第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12とで変わらず、かつ内部電極13〜16の材料等の他の条件が同じであるとすれば、第3および第4の内部電極15および16においては、第1および第2の内部電極13および14に比べて、電流の流れる方向が少ないことから、第2のコンデンサ部12のESRを、第1のコンデンサ部11のESRよりも高くすることができる。
【0049】
以上のようなことから、積層コンデンサ1の特性は、第1のコンデンサ部11による低ESL特性が有効に働くとともに、第1のコンデンサ部11のESR特性と第2のコンデンサ部12のESR特性とが反映された高ESR特性となる。したがって、積層コンデンサ1によれば、低ESL化および高ESR化の双方を実現することができる。
【0050】
図2には、配線基板24によって与えられた実装面25上に、積層コンデンサ1が実装された構造が示されている。配線基板24の実装面25上には、いくつかの導電ランド26および27が設けられていて、第1および第2の外部端子電極19および20が、それぞれ、導電ランド26および27に半田付け(図示せず。)等によって電気的に接続される。
【0051】
上述のような実装構造において、第1のコンデンサ部11が実装面25により近い側に位置するようにコンデンサ本体8を向けた状態で、積層コンデンサ1が実装されている。
【0052】
上述のような積層コンデンサ1の実装状態において、第1の外部端子電極19が正極となり、第2の外部端子電極20が負極となる時点において、正極から内部電極13〜16を通って負極へと流れる電流の流れのループを考慮した場合、より高周波になるほど、図2において破線の矢印28で示すように、最下層から2つの内部電極13(a)および14(a)に流れる電流がESL値により大きく影響するようになる。そのため、前述したように、第1のコンデンサ部11を実装面25により近い側に位置させると、積層コンデンサ1の実装状態において、一層の低ESL化を図ることができる。
【0053】
なお、第1の参考例のように、第2のコンデンサ部12が2つの第1のコンデンサ部11によって積層方向に挟まれるように配置されていると、コンデンサ本体8の上下についての方向性をなくすことができる。したがって、図2に示すように、主面3を実装面25側に向けても、図示しないが、主面2を実装面25側に向けても、上述のような低ESL化を図ることができる。
【0054】
図5は、上述した積層コンデンサ1が与える等価回路を模式的に示している。図5に示した要素と図1ないし図4に示した各要素との対応関係がわかるように、図5において、図1ないし図4に示した要素に相当する要素には同様に参照符号が付されている。
【0055】
図5において、第1ないし第4の内部電極13〜16の各々について、1つの内部電極が1本の線で示されている。第1のコンデンサ部11においては、第1および第2の内部電極13および14が2対図示されるとともに、これら2対の第1および第2の内部電極13および14の間に点線を表示することによって、さらに多数の第1および第2の内部電極13および14を備え得ることが示唆されている。同様に、第2のコンデンサ部12においても、第3および第4の内部電極15および16が2対図示されるとともに、これら2対の第3および第4の内部電極15および16の間に点線を表示することによって、さらに多数の第3および第4の内部電極15および16を備え得ることが示唆されている。
【0056】
なお、図5と前述の図2とを対比したとき、第1のコンデンサ部11における第1および第2の内部電極13および14の数が一致しないが、これは、図2では、第1および第2の内部電極13および14の代表的なもののみが図示されていると理解すればよい。
【0057】
図5に示すように、引出し部17、18、21および22の各々について、1つの引出し部のそれぞれに関連して、ESR29およびESL30が形成されている。
【0058】
図6は、この積層コンデンサ1の好ましい用途を説明するためのもので、積層コンデンサ1をデカップリングコンデンサとして用いているMPUの回路構成を示す図である。
【0059】
MPUは、MPUチップ101およびメモリ102を備える。電源部103は、MPUチップ101に電源を供給するためのもので、電源部103からMPUチップ101に至る電源回路には、積層コンデンサ1がデカップリングコンデンサとして機能するように接続されている。また、MPUチップ101からメモリ102側には、図示しないが、信号回路が構成されている。
【0060】
上述したMPUに関連して、デカップリングコンデンサとして用いられる積層コンデンサ1は、ノイズ吸収や電源の変動に対する平滑化のために用いられるばかりでなく、クイックパワーサプライとしての機能も有している。したがって、このようなデカップリングコンデンサとして用いられる積層コンデンサ1にあっては、ESLができるだけ低いことが望ましく、この点において、この積層コンデンサは、デカップリングコンデンサとして有利に用いることができる。
【0061】
図7は、この発明の第1の実施形態による積層コンデンサ1aを説明するための図4に対応する図である。図7において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0062】
前述した第1の参考例の場合と比較して、この実施形態では、第3の内部電極15には、1つの第3の引出し部21が形成され、かつ、第4の内部電極16には、1つの第4の引出し部22が形成されていることを特徴としている。その他の構成については、第1の参考例の場合と同様である。
【0063】
この実施形態によれば、第2のコンデンサ12に含まれる1対の第3および第4の内部電極15および16についての第3および第4の引出し部21および22の対の数が、単に1であるので、第2のコンデンサ部12でのESRを、第1の参考例の場合に比べて、より高くすることができる。
【0064】
図8は、この発明の範囲内のものではないが、第2の参考例による積層コンデンサ1bを説明するための図4に対応する図である。図8において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
第2の参考例では、第3および第4の内部電極15および16のいずれか一方が、図3に示した第1および第2の内部電極13および14のいずれか一方と同じパターンを有していることを特徴としている。より具体的には、図8(b)に示すように、第4の内部電極16が、図3(b)に示した第2の内部電極14と同じパターンを有している。したがって、第4の内部電極16には、7つの第4の引出し部22が形成されている。その他の構成については、第1の参考例の場合と実質的に同様である。
【0066】
第2の参考例では、1つの第4の内部電極16が7つの第4の引出し部22を有しているが、1つの第3の内部電極15が単に2つの第3の引出し部21を有しているにすぎないので、第3および第4の引出し部21および22の対の数は2ということになり、第1および第2の引出し部17および18の対の数すなわち7より少ない。したがって、第2のコンデンサ部12のESRを、第1のコンデンサ部11のESRよりも高くすることができる。
【0067】
図9は、この発明の第3の参考例による積層コンデンサ1cを説明するためのものである。ここで、図9(a)および(b)は、それぞれ、図3(a)および(b)に対応し、図9(c)および(d)は、それぞれ、図4(a)および(b)に対応している。図9において、図3および図4に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0068】
第3の参考例では、第3および第4の外部端子電極31および32が別途形成されていることを特徴としている。すなわち、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7上に形成された外部端子電極は、第1および第2の外部端子電極19および20ではなく、第3および第4の外部端子電極31および32である。これら第3および第4の外部端子電極31および32には、図9(c)および(d)に示すように、それぞれ、第3の内部電極15の第3の引出し部21および第4の内部電極16の第4の引出し部22が電気的に接続される。
【0069】
他方、図9(a)に示すように、第1の内部電極13には、5つの第1の引出し部17しか形成されず、これら第1の引出し部17は、コンデンサ本体8の長辺側の側面4および6にのみ引き出され、第1の外部端子電極19に電気的に接続される。また、図9(b)に示すように、第2の内部電極14には、5つの第2の引出し部18しか形成されず、これら第2の引出し部18は、コンデンサ本体8の長辺側の側面4および6にのみ引き出され、第2の外部端子電極20に電気的に接続される。
【0070】
その他の構成については、第1の参考例の場合と実質的に同様である。
【0071】
第3の参考例によれば、第1の参考例の場合と比べて、第1および第2の引出し部17および18の各々の数以外の条件が等しいとすれば、第1のコンデンサ部11のESLがより高くなると推測される。
【0072】
図10は、この発明の第2の実施形態による積層コンデンサ1dを説明するためのものである。ここで、図10(a)および(b)は、それぞれ、図3(a)および(b)に対応し、図10(c)および(d)は、それぞれ、図4(a)および(b)に対応している。図10において、図3および図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0073】
第2の実施形態では、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7上には、いずれの外部端子電極もが形成されないことを特徴としている。すなわち、コンデンサ本体8の長辺側の側面4および6上にのみ、第1および第2の外部端子電極19および20が形成される。
【0074】
また、第2の実施形態では、図10(c)に示すように、第3の内部電極15には、1つの第3の引出し部21が形成され、第3の引出し部21は、第1の外部端子電極19のいずれかに電気的に接続される。また、図10(d)に示すように、第4の内部電極16には、1つの第4の引出し部22が形成され、第4の引出し部22は、第2の外部端子電極20のいずれかに電気的に接続される。
【0075】
その他の構成については、第1の参考例の場合と実質的に同様である。
【0076】
第2の実施形態は、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7上には外部端子電極が形成されない積層コンデンサ1dに対しても、この発明を適用できることを明示する意義を有する。
【0077】
図11は、この発明の第3の実施形態による積層コンデンサ1eを説明するための図3に対応する図である。図11において、図3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0078】
第3の実施形態では、図11(a)に示すように、第1の内部電極13が形成された誘電体層9上には、ダミー引出し部38が形成され、他方、図11(b)に示すように第2の内部電極14が形成された誘電体層9上には、ダミー引出し部39が形成される。
【0079】
ダミー引出し部38および39は、誘電体層9の周縁部に位置される。ダミー引出し部38は、複数の第1の引出し部17の各間に位置し、かつ第2の外部端子電極20に電気的に接続される。他方、ダミー引出し部39は、複数の第2の引出し部18の各間に位置し、かつ第1の外部電子電極19に電気的に接続される。
【0080】
上述のように、ダミー引出し部38および39が形成されることによって、内部電極13および14の厚みに起因してコンデンサ本体8に生じ得る段差を抑制することができるとともに、外部端子電極19および20の、コンデンサ本体8に対する接合強度を高めることができる。
【0081】
図12は、この発明の範囲内のものではないが、第4の参考例による積層コンデンサ1fを説明するための図4に対応する図である。図12において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0082】
第4の参考例では、図12(a)に示すように、第3の内部電極15が形成された誘電体層9上には、ダミー引出し部40が形成され、他方、図12(b)に示すように、第4の内部電極16が形成された誘電体層9上には、ダミー引出し部41が形成される。
【0083】
ダミー引出し部40および41は、誘電体層9の短辺に沿って位置される。ダミー引出し部40は、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7上に形成された第2の外部端子電極20に電気的に接続される。他方、ダミー引出し部41は、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7上に形成された第1の外部端子電極19に電気的に接続される。
【0084】
上述したダミー引出し部40および41は、前述の図11に示したダミー引出し部38および39と実質的に同様の作用効果を奏するものである。
【0085】
なお、図12に示した第4の参考例の変形例として、ダミー引出し部を、誘電体層9の長辺に沿ってさらに位置させることも可能である。この場合においても、各ダミー引出し部は、コンデンサ本体8の長辺側の側面4および6上に形成された第1および第2の外部端子電極19および20にそれぞれ電気的に接続される。
【0086】
図13は、この発明の第4の実施形態による積層コンデンサ1gを説明するための図である。図13には、図3または図4に示した要素と共通する要素が多く図示されているので、図13において、図3または図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0087】
図13には、コンデンサ本体8に備える誘電体層9のうち、内部電極が形成されないものが図示されている。このような内部電極が形成されない誘電体層9は、コンデンサ本体8の積層方向における端部に位置されたり、第1のコンデンサ部11と第2のコンデンサ部12との境界部分に位置されたりする。
【0088】
第4の実施形態では、図13に示すように、内部電極が形成されない誘電体層9の周縁部に沿って、複数のダミー引出し部42が形成される。ダミー引出し部42は、外部端子電極19または20に電気的に接続される。また、ダミー引出し部42の寸法は、前述したダミー引出し部38〜41の各寸法と実質的に同等とされ、好ましくは、内部電極13〜16の各主要部と重なり合わないようにされる。
【0089】
このようなダミー引出し部42の作用効果についても、前述したダミー引出し部38〜41の場合と実質的に同様である。
【0090】
以上のダミー引出し部に関連する第3および第4の実施形態ならびに第4の参考例は、各々単独で実施されてもよいが、好ましくは、これら実施形態および参考例から選ばれた2つ以上のものが組み合わされて実施され、最も好ましくは、3つのものが組み合わされて実施される。
【0091】
図14は、この発明の第5の実施形態による積層コンデンサ1hを説明するための図3に対応する図である。図14において、図3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0092】
図14(a)および図14(b)には、それぞれ、図3(a)および図3(b)に示した第1および第2の内部電極13および14が示されている。他方、図14(c)には、ダミー内部電極45が示されている。ダミー内部電極45は、この実施形態では、図14(b)に示した第2の内部電極14と同じパターンを有している。すなわち、ダミー内部電極45には、コンデンサ本体8の側面4〜7にまで引き出される引出し部46が形成され、引出し部46は、第2の外部端子電極20に電気的に接続される。
【0093】
前述したように、第1のコンデンサ部11(図2参照)を構成するため、図14(a)に示した第1の内部電極13と図14(b)に示した第2の内部電極とが互いに対向するように積層されるが、この実施形態では、上述の積層構造における、積層方向での端部および/または途中において、第2の内部電極14と隣り合うように、少なくとも1つのダミー内部電極45が積層される。
【0094】
上述のように、ダミー内部電極45を積層構造に含ませることによって、静電容量は増加しないが、第2の外部端子電極20の、コンデンサ本体8に対する接合強度を高めることができる。したがって、この実施形態は、大きな静電容量を必要としないが、誘電体層9の積層数を確保しながら、外部端子電極20の接合強度を確保したい場合において、有利に適用される。
【0095】
第5の実施形態の変形例として、第1の内部電極13と同じパターンを有するダミー内部電極が形成されてもよい。
【0096】
図15は、この発明の範囲内のものではないが、第5の参考例による積層コンデンサ1iを説明するための図4に対応する図である。図15において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0097】
図15(a)および図15(b)には、それぞれ、図4(a)および図4(b)に示した第3および第4の内部電極15および16が示されている。図15(c)には、ダミー内部電極49が示されている。ダミー内部電極49は、この参考例では、図15(b)に示した第4の内部電極16と同じパターンを有している。すなわち、ダミー内部電極49には、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7にまで引き出される引出し部50が形成され、引出し部50は、第2の外部端子電極20に電気的に接続される。
【0098】
前述したように、第2のコンデンサ部12(図2参照)を構成するため、図15(a)に示した第3の内部電極15と図15(b)に示した第4の内部電極16とが互いに対向するように積層されるとき、この積層構造における、積層方向での端部および/または途中において、第4の内部電極16と隣り合うように、少なくとも1つのダミー内部電極49が積層される。上述したダミー内部電極49の作用効果は、図14(c)に示したダミー内部電極45と実質的に同様である。
【0099】
第5の参考例の変形例として、第3の内部電極15と同じパターンを有するダミー内部電極が形成されてもよい。
【0100】
図16は、この発明の第6の実施形態による積層コンデンサ1jを説明するための図3に対応する図である。図16において、図3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0101】
図16(a)および図16(b)には、それぞれ、図3(a)および図3(b)に示した第1および第2の内部電極13および14が示されている。他方、図16(c)には、ダミー内部電極53が示されている。ダミー内部電極53は、この実施形態では、図4(b)に示した第4の内部電極と同じパターンを有している。すなわち、ダミー内部電極53には、コンデンサ本体8の短辺側の側面5および7にまで引き出される引出し部54が形成され、引出し部54は、第2の外部端子電極20に電気的に接続される。
【0102】
前述したように、第1のコンデンサ部11(図2参照)を構成するため、図16(a)に示した第1の内部電極13と図16(b)に示した第2の内部電極14とが互いに対向するように積層されるとき、この積層構造における、積層方向での端部および/または途中において、第2の内部電極14と隣り合うように、少なくとも1つのダミー内部電極53が積層される。
【0103】
上述のダミー内部電極53の作用効果は、図14および図15にそれぞれ示したダミー内部電極45および49の場合と実質的に同様である。
【0104】
第6の実施形態の変形例として、図4(a)に示した第3の内部電極15と同じパターンを有するダミー内部電極が形成されてもよい。
【0105】
図17は、この発明の範囲外のものであるが、第6の参考例による積層コンデンサ1kを説明するための図4に対応する図である。図17において、図4に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0106】
図17(a)および図17(b)には、それぞれ、図4(a)および図4(b)に示した第3および第4の内部電極15および16が示されている。他方、図17(c)には、ダミー内部電極57が示されている。ダミー内部電極57は、図3(b)に示した第2の内部電極14と同じパターンを有している。すなわち、ダミー内部電極57には、コンデンサ本体8の側面4〜7にまで引き出される引出し部58が形成され、引出し部58は、第2の外部端子電極20に電気的に接続される。
【0107】
前述したように、第2のコンデンサ部12(図2参照)を構成するため、図17(a)に示した第3の内部電極15と図17(b)に示した第4の内部電極16とが互いに対向するように積層されるとき、この積層構造における、積層方向での端部および/または途中において、第4の内部電極16と隣り合うように、少なくとも1つのダミー内部電極57が積層される。
【0108】
上述のダミー内部電極57の作用効果は、図14ないし図16にそれぞれ示したダミー内部電極45、49および53の場合と実質的に同様である。
【0109】
第6の参考例の変形例として、図3(a)に示した第1の内部電極13と同じパターンを有するダミー内部電極が形成されてもよい。
【0110】
なお、上述の第5および第6の実施形態ならびに第5および第6の参考例は、これらを適宜組み合わせて実施することができる。より具体的には、第5および第6実施形態は、第1のコンデンサ部11に関するものであり、第5および第60の参考例は、第2のコンデンサ部12に関するものであるので、第5および第6の実施形態の各々は、第5および第6の参考例の各々と任意に組み合わせて実施することができる。
【0111】
図18ないし図21は、この発明の範囲内のものではないが、第7の参考例による積層コンデンサ61を示している。
【0112】
ここで、図18は、積層コンデンサ61の外観を示す斜視図であり、図19は、積層コンデンサ61における第1および第2のコンデンサ部62および63の配置状態を図解的に示す側面図である。図18および図19には、実装面64が図示されている。積層コンデンサ61は、実装状態において、実装面64と平行な方向に積層方向を有していることを特徴としている。
【0113】
積層コンデンサ61は、相対向する2つの主面65および66ならびにこれら主面65および66間を連結する4つの側面67、68、69および70を有する直方体状のコンデンサ本体71を備えている。コンデンサ本体71は、主面65および66の方向に延びる、たとえば誘電体セラミックからなる積層された複数の誘電体層72(図20および図21参照)をもって構成される積層構造を有している。また、側面67および69は、主面65および66ならびに残りの側面68および70のいずれよりも大きい面積を有している。
【0114】
コンデンサ本体71は、図19に示すように、第1および第2のコンデンサ部62および63を構成している。第1のコンデンサ部62と第2のコンデンサ部63とは、実装面64に平行な積層方向に並ぶように配置され、しかも、第2のコンデンサ部63が2つの第1のコンデンサ部62によって挟まれるように配置されている。その結果、第1のコンデンサ部62は、コンデンサ本体71における積層方向での両端に位置される。
【0115】
図20は、第1のコンデンサ部62の内部構造を示す誘電体層72の平面図であり、(a)は、第1の内部電極73が通る断面を示し、(b)は、第2の内部電極74が通る断面を示している。他方、図21は、第2のコンデンサ部63の内部構造を示す誘電体層72の平面図であり、(a)は、第3の内部電極75が通る断面を示し、(b)は、第4の内部電極76が通る断面を示している。
【0116】
第1のコンデンサ部62においては、図20に示す、少なくとも1対の第1および第2の内部電極73および74が、静電容量を形成するように所定の誘電体層72を介して互いに対向している。他方、第2のコンデンサ部63においては、図21に示す、少なくとも1対の第3および第4の内部電極75および76が、静電容量を形成するように所定の誘電体層72を介して互いに対向している。
【0117】
図20(a)に示すように、第1の内部電極73には、コンデンサ本体71の相対向する2つの側面67および69にまでそれぞれ引き出される各2つの第1の引出し部77が形成されている。また、図20(b)に示すように、第2の内部電極74には、コンデンサ本体71の相対向する側面67および69にまでそれぞれ引き出される各2つの第2の引出し部78が形成されている。
【0118】
コンデンサ本体71の側面67および69の各々上には、第1の引出し部77にそれぞれ電気的に接続される各2つの第1の外部端子電極79、ならびに第2の引出し部78にそれぞれ電気的に接続される各2つの第2の外部端子電極80が形成されている。第1および第2の外部端子電極79および80は、誘電体層72の積層方向に沿って延びるように、かつ、第1および第2のコンデンサ部62および63の双方にかかるようにして形成されるとともに、図18にその一部が示されているように、側面67および69の各々上から主面65および66の各々の一部上にまで延びるように形成されている。また、第1の外部端子電極79と第2の外部端子電極80とは、側面67および69の各々上において、交互に配置されている。
【0119】
図21(a)に示すように、第3の内部電極75には、コンデンサ本体71の相対向する側面67および69にまでそれぞれ引き出される各1つの第3の引出し部81が形成されている。また、図21(b)に示すように、第4の内部電極76には、コンデンサ本体71の相対向する側面67および69にまでそれぞれ引き出される各1つの第4の引出し部82が形成されている。
【0120】
この実施形態では、第3の引出し部81は、前述した第1の外部端子電極79に電気的に接続され、第4の引出し部82は、前述した第2の外部端子電極80に電気的に接続されている。
【0121】
以上説明した第7の参考例においても、第1の参考例等の場合と同様、1対の第3および第4の内部電極75および76についての第3および第4の引出し部81および82の対の数が、1対の第1および第2の内部電極73および74についての第1および第2の引出し部77および78の対の数より少ない。すなわち、前者が2であり、後者が4である。
【0122】
また、第7の参考例では、各々1つの第3および第4の内部電極75および76についての第3および第4の引出し部81および82の各々の数は、各々1つの第1および第2の内部電極73および74についての第1および第2の引出し部77および78の各々の数より少ない。すなわち、前者が2つであり、後者が4つである。
【0123】
そのため、第1および第2の内部電極73および74での電流の流れる方向を多様にすることができ、磁束の相殺によって、第1のコンデンサ部62のESLを、第2のコンデンサ部63のESLよりも低くすることができる。他方、第3および第4の内部電極75および76にあっては、電流の流れる方向が少ないため、内部電極73〜76の材料等の他の条件が同じであれば、第2のコンデンサ部63のESRを、第1のコンデンサ部62のESRよりも高くすることができる。
【0124】
したがって、積層コンデンサ61の特性は、第1のコンデンサ部62による低ESL特性と第2のコンデンサ部63による高ESR特性とを複合した特性となる。したがって、積層コンデンサ61によっても、低ESL化および高ESR化の双方を実現することができる。
【0125】
以上の説明では、図19に示した第1および第2のコンデンサ部62および63の配置状態は、この発明の範囲外の参考例としての積層コンデンサ61に適用されたが、この発明の範囲内にある、対の数が単に1である第3および第4の引出し部81および82が形成された第3および第4の内部電極75および76を備える積層コンデンサにも適用することができる。図22および図23は、それぞれ、図19に示した第1および第2のコンデンサ部62および63の配置状態の第1および第2の変形例が採用された積層コンデンサ61aおよび61bを説明するための図19に対応する図である。図22および図23において、図19に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0126】
前述した第7の参考例による積層コンデンサ61の場合には、実装面64と直交する方向に誘電体層72ならびに内部電極73〜76が延びるようにされているので、第1の参考例による積層コンデンサ1の場合のように、実装面64と内部電極との距離が及ぼすESLへの影響を考慮する必要がない。したがって、第1および第2のコンデンサ部62および63の配置に関して、図19に示すような配置状態の他、図22および図23にそれぞれ示すような配置状態をも問題なく採用することができる。
【0127】
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他種々の変形例が可能である。
【0128】
たとえば、内部電極に形成される引出し部の位置や数あるいは外部端子電極の位置や数については、第3および第4の内部電極に形成される第3および第4の引出し部の対の数が単に1つであるという条件を満たす限り、さらに種々に変更することができる。
【0129】
また、コンデンサ本体における第1および第2のコンデンサ部の配置については、後述する実験例からもわかるように、図示した実施形態での配置以外のものも可能である。
【0130】
また、たとえば第1の参考例では、第1および第2の内部電極13および14が第1のコンデンサ部11を構成するためだけに設けられ、かつ第3および第4の内部電極15および16が第2のコンデンサ部12を構成するためだけに設けられたが、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部との境界部に位置する内部電極が、第1および第2のコンデンサ部の双方のための内部電極として、すなわち、第1または第2の内部電極と第3または第4の内部電極とを兼ねる内部電極として設けられてもよい。
【0131】
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
【0132】
この実験例では、周知のように、複数のセラミックグリーンシートを用意し、特定のセラミックグリーンシート上に、引出し部を有する内部電極を導電性ペーストの印刷によって形成し、内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、得られた積層体を焼成してコンデンサ本体を得、このコンデンサ本体の外表面上に外部端子電極を導電性ペーストの焼付けによって形成するという各工程を経て、表1に示した各試料に係る積層コンデンサを作製した。
【0133】
各試料に係る積層コンデンサについて、コンデンサ本体の寸法は2.0mm×1.25mm×0.5mmとし、内部電極の総積層数を64とし、静電容量を0.68μFとし、図1等に示した実施形態の場合と同様、外部端子電極の数を14とした。また、内部電極の厚みを1μmとし、引出し部の厚みを1μmとし、引出し部の幅を150μmとした。
【0134】
【表1】

【0135】
表1において、「積層配置状態」の欄に示されたA〜Eは、図24の(A)〜(E)にそれぞれ対応している。図24には、第1および第2のコンデンサ部についての積層方向での配置状態が示されている。なお、図24において、参照符号「35」を付した部分は、いずれの内部電極も形成されない外層部を示している。また、図24において、図示された積層構造物の各下面が実装面側に向いている。
【0136】
表1の「第1のコンデンサ部」の欄には、「内部電極パターン」、「積層数」、「第1の引出し部数」、「第2の引出し部数」および「引出し部の対の数」が示され、「第2のコンデンサ部」の欄には、「内部電極パターン」、「積層数」、「第3の引出し部数」、「第4の引出し部数」および「引出し部の対の数」が示されている。
【0137】
それぞれの「内部電極パターン」の欄には、各試料において採用された内部電極パターンを図示する図面の番号が引用されている。なお、試料11の「第1のコンデンサ部」における「内部電極パターン」の欄に引用された「図25」、試料11の「第2のコンデンサ部」における「内部電極パターン」の欄に引用された「図26」、試料12の「第1のコンデンサ部」における「内部電極パターン」の欄に引用された「図27」、試料12の「第2のコンデンサ部」における「内部電極パターン」の欄に引用された「図28」、ならびに試料13の「第2のコンデンサ部」における「内部電極パターン」の欄に引用された「図29」については、それぞれ、添付の図25、図26、図27、図28および図29に示すような内部電極パターンを採用したものである。
【0138】
図25(a)には、7つの第1の引出し部17を有する第1の内部電極13が図示され、図25(b)には、2つの第2の引出し部18を有する第2の内部電極14が図示されている。
【0139】
図26(a)には、この発明の範囲外のものであるが、2つの第3の引出し部21を有する第3の内部電極15が図示され、図26(b)には、この発明の範囲外のものであるが、7つの第4の引出し部22を有する第4の内部電極16が図示されている。
【0140】
図27には、2つの第1の引出し部17を有する第1の内部電極13と2つの第2の引出し部18を有する第2の内部電極14とが図示されている。図27において、(1)〜(14)は、積層順序を示している。
【0141】
図28には、1つの第3の引出し部21を有する第3の内部電極15と1つの第4の引出し部22を有する第4の内部電極16とが図示されている。図28において、(1)〜(14)は、積層順序を示している。
【0142】
図29には、この発明の範囲外のものであるが、1つの第3の引出し部21を有する第3の内部電極15と1つの第4の引出し部22を有する第4の内部電極16とが図示されるとともに、第3および第4の引出し部21および22にそれぞれ電気的に接続される第3および第4の外部端子電極31および32が図示されている。図29において、(1)〜(14)は、積層順序を示している。
【0143】
再び表1を参照して、「積層数」は、「第1のコンデンサ部」にあっては、第1および第2の内部電極の合計積層数を示し、「第2のコンデンサ部」にあっては、第3および第4の内部電極の合計積層数を示している。また、「第1のコンデンサ部」の「積層数」の欄における「上」および「下」の表示は、図24(b)における「第1のコンデンサ部(上)」および「第1のコンデンサ部(下)」にそれぞれ対応している。
【0144】
また、「第1のコンデンサ部」における「第1の引出し部数」、「第2の引出し部数」および「引出し部の対の数」は、それぞれ、1つの第1の内部電極についての引出し部の数、1つの第2の内部電極についての引出し部の数、ならびに1対の第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の対の数を示している。
【0145】
他方、「第2のコンデンサ部」における「第3の引出し部数」、「第4の引出し部数」および「引出し部の対の数」は、それぞれ、1つの第3の内部電極についての引出し部の数、1つの第4の内部電極についての引出し部の数、ならびに1対の第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の対の数を示している。
【0146】
表1に示すような設計とされた試料1〜13の各々について求められた「ESL値」および「ESR値」が、表2に示されている。
【0147】
【表2】

【0148】
表1および表2において、試料番号に*を付したものは、この発明の範囲外の比較例である。また、試料2〜5については、第3および第4の引出し部の対の数が2である点で、前述したように、この発明の範囲外のものであるが、参考例として示している。
【0149】
比較例としての試料1では、表1に示すように、高ESR化に寄与する第2のコンデンサ部を備えないため、表2に示すように、低ESL化を図ることができるものの、高ESR化を図ることができない。
【0150】
試料1とは対照的な比較例としての試料13では、表1に示すように、低ESL化に寄与する第1のコンデンサ部を備えないため、表2に示すように、高ESR化を図ることができるものの、低ESL化を図ることができない。
【0151】
また、比較例としての試料11では、表1に示すように、「第2のコンデンサ部」における「引出し部の対の数」が、「第1のコンデンサ部」における「引出し部の対の数」と等しいため、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とが同じ構造になる。その結果、ESL値については、本発明の実施例で引出し部数が最も少ない試料12とほとんど変わらない程度の46pHのESL値しか得られず、ESR値については、本発明の参考例で最も低い試料2と同程度の13.3mΩしか得られていない。これは、以下の理由による。
【0152】
まず、ESLについては、第1のコンデンサ部の引出し部の対の数が2対であり、第2のコンデンサ部の引出し部の対の数も2対であることにより、試料12のESL値と同程度しか得られない。これは、第1の引出し部数が7でも、対の数としては2対しかないためである。
【0153】
一方、ESRについては、第1のコンデンサ部および第2のコンデンサ部を構成する内部電極の引出し部数が増えることから、1層あたりのESRは試料13に比べて大きく低下する。さらに、これらの積層によってESRが並列に接続されることにより、さらにESRが低下することになった結果である。
【0154】
以上のように、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部が同じ構造の場合は、効果的にESRを高くすることができない。
【0155】
また、この高周波側の周波数特性の改善効果に加えて、この発明の範囲内にある実施例または参考例としての試料2〜10および12では、表1に示すように、第1および第2のコンデンサ部の双方を備え、かつ「第2のコンデンサ部」における「引出し部の対の数」が、「第1のコンデンサ部」における「引出し部の対の数」より少ないため、表2に示すように、低ESL化および高ESR化の双方が図られている。
【0156】
また、試料2〜9については、ESL値は試料1とほぼ同程度の値が得られている。これは、高周波域においては、実装面側に電界が集中し、図2に示す破線の矢印28のようなループでの特性が最も影響されるようになり、引出し部数の多い第1のコンデンサ部が実装面側に積層配置されている試料2〜9では、第1のコンデンサ部の低いESLの値が支配的になった結果である。
【0157】
これに対して、実装面側に第2のコンデンサ部が配置された試料10においては、試料2〜9と比較すると、ESL値が高くなっている。なお、試料10の構成でも、試料13と比較した場合、第1のコンデンサ部が存在する分、ESL値を低くすることができている。
【0158】
また、同じ積層配置状態で第1のコンデンサ部の積層数を変化させた試料2〜5では、ESL値はほぼ同程度であることから、ESL値に対する、第1のコンデンサ部の積層数による影響は少ないことがわかる。これは、試料2〜5と異なる積層配置状態の試料6〜9でも同様である。
【0159】
一方、ESR値については、積層コンデンサ全体の全体積層数に対する第2のコンデンサ部の積層数が増加するほど、ESR値は高くなっている。また、第2のコンデンサ部の積層数が同じ試料5、試料9、試料10および試料12を比較すると、第3および第4の引出し部数が2である試料5に対して、第3および第4の引出し部数が1である試料9、試料10および試料12の方が、ESR値は高くなっている。また、試料9および試料10では、試料13よりもESR値が高くなっている。これは、第1のコンデンサ部のESR値と第2のコンデンサ部のESR値とがともに試料13のESR値よりも高くなった結果、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とでは共振周波数が異なることによって、積層コンデンサのESR値としても、試料13のESR値よりも高くなるためである。
【0160】
試料9および10間で比較すると、ほぼ同じ程度のESR値であり、積層配置状態が異なっても、第2のコンデンサ部の積層数が同じであれば、ESR値はほとんど変化しない傾向にあることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】この発明の範囲外であるが、第1の参考例としての積層コンデンサ1の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した積層コンデンサ1の実装状態を示す断面図であり、積層コンデンサ1については、図3および図4の線II−IIに沿う断面をもって示している。
【図3】図2に示した第1のコンデンサ部11の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第1の内部電極13が通る断面を示し、(b)は、第2の内部電極14が通る断面を示している。
【図4】図2に示した第2のコンデンサ部12の内部構造を示す平面図であり、(a)は、第3の内部電極15が通る断面を示し、(b)は、第4の内部電極16が通る断面を示している。
【図5】図1に示した積層コンデンサ1が与える等価回路を模式的に示す図である。
【図6】図1に示した積層コンデンサ1をデカップリングコンデンサとして用いているMPUの回路構成を示す図である。
【図7】この発明の第1の実施形態による積層コンデンサ1aを説明するための図4に対応する図である。
【図8】この発明の範囲外であるが、第2の参考例としての積層コンデンサ1bを説明するための図4に対応する図である。
【図9】この発明の範囲外であるが、第3の参考例としての積層コンデンサ1cを説明するためのもので、(a)および(b)は、それぞれ、図3(a)および(b)に対応し、(c)および(d)は、それぞれ、図4(a)および(b)に対応している。
【図10】この発明の第2の実施形態による積層コンデンサ1dを説明するためのもので、(a)および(b)は、それぞれ、図3(a)および(b)に対応し、(c)および(d)は、それぞれ、図4(a)および(b)に対応している。
【図11】この発明の第3の実施形態による積層コンデンサ1eを説明するための図3に対応する図である。
【図12】この発明の範囲外であるが、第4の参考例としての積層コンデンサ1fを説明するための図4に対応する図である。
【図13】この発明の第4の実施形態による積層コンデンサ1gを説明するための誘電体層9の平面図である。
【図14】この発明の第5の実施形態による積層コンデンサ1hを説明するための図3に対応する図である。
【図15】この発明の範囲外であるが、第5の参考例としての積層コンデンサ1iを説明するための図4に対応する図である。
【図16】この発明の第6の実施形態による積層コンデンサ1jを説明するための図3に対応する図である。
【図17】この発明の範囲外であるが、第6の参考例としての積層コンデンサ1kを説明するための図4に対応する図である。
【図18】この発明の範囲外であるが、第7の参考例としての積層コンデンサ61の外観を示す斜視図である。
【図19】図18に示した積層コンデンサ61における第1および第2のコンデンサ部62および63の配置状態を図解的に示す側面図である。
【図20】図19に示した第1のコンデンサ部62の内部構造を示す誘電体層72の平面図であり、(a)は、第1の内部電極73が通る断面を示し、(b)は、第2の内部電極74が通る断面を示している。
【図21】図19に示した第2のコンデンサ部63の内部構造を示す誘電体層72の平面図であり、(a)は、第3の内部電極75が通る断面を示し、(b)は、第4の内部電極76が通る断面を示している。
【図22】図19に示した第1および第2のコンデンサ部62および63の配置状態の第1の変形例が採用された積層コンデンサ61aを説明するための図19に対応する図である。
【図23】図19に示した第1および第2のコンデンサ部62および63の配置状態の第2の変形例が採用された積層コンデンサ61bを説明するための図19に対応する図である。
【図24】この発明による効果を確認するために実施した実験例において採用された第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とについての積層配置状態のいくつかの例を図解的に示す図である。
【図25】上記実験例において作製された試料11の第1のコンデンサ部における内部電極パターンを示す平面図である。
【図26】上記実験例において作製された試料11の第2のコンデンサ部における内部電極パターンを示す平面図である。
【図27】上記実験例において作製された試料12の第1のコンデンサ部における内部電極パターンを示す平面図である。
【図28】上記実験例において作製された試料12の第2のコンデンサ部における内部電極パターンを示す平面図である。
【図29】上記実験例において作製された試料13の第2のコンデンサ部における内部電極パターンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0162】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,61,61a,61b 積層コンデンサ
2,3,65,66 主面
4〜7,67〜70 側面
8,71 コンデンサ本体
9,72 誘電体層
11,62 第1のコンデンサ部
12,63 第2のコンデンサ部
13,73 第1の内部電極
14,74 第2の内部電極
15,75 第3の内部電極
16,76 第4の内部電極
17,77 第1の引出し部
18,78 第2の引出し部
19,79 第1の外部端子電極
20,80 第2の外部端子電極
21,81 第3の引出し部
22,82 第4の引出し部
25,64 実装面
31 第3の外部端子電極
32 第4の外部端子電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層をもって構成される積層構造を有するコンデンサ本体を備え、
前記コンデンサ本体は、第1および第2のコンデンサ部を構成していて、
前記第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、
前記第1の内部電極には、前記コンデンサ本体の外表面にまで引き出される複数の第1の引出し部が形成され、かつ、前記第2の内部電極には、前記コンデンサ本体の外表面にまで引き出される複数の第2の引出し部が形成され、
前記第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、
前記第3の内部電極には、前記コンデンサ本体の外表面にまで引き出される第3の引出し部が形成され、かつ、前記第4の内部電極には、前記コンデンサ本体の外表面にまで引き出される第4の引出し部が形成され、
1対の前記第3および第4の内部電極についての前記第3および第4の引出し部の対の数は、単に1であり、1対の前記第1および第2の内部電極についての前記第1および第2の引出し部の対の数より少なく、
前記コンデンサ本体の外表面上には、前記第1、第2、第3および第4の引出し部に、直接、それぞれ電気的に接続される第1、第2、第3および第4の外部端子電極が形成され、
前記第1、第2、第3および第4の外部端子電極は、前記誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、前記第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして形成されている、
積層コンデンサ。
【請求項2】
各々1つの前記第3および第4の内部電極についての前記第3および第4の引出し部の少なくとも一方の数は、各々1つの前記第1および第2の内部電極についての前記第1および第2の引出し部の各々の数より少ない、請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
各々1つの前記第3および第4の内部電極についての前記第3および第4の引出し部の各々の数は、各々1つの前記第1および第2の内部電極についての前記第1および第2の引出し部の各々の数より少ない、請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記第1および第2の外部端子電極の少なくとも一方は、前記第3および第4の外部端子電極の少なくとも一方と共通である、請求項1ないし3のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記第1および第2の外部端子電極は、交互に配置される、請求項1ないし4のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記コンデンサ本体において、前記第1のコンデンサ部と前記第2のコンデンサ部とは積層方向に並ぶように配置されるとともに、前記第1のコンデンサ部が積層方向での少なくとも一方端に位置される、請求項1ないし5のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
前記コンデンサ本体において、前記第2のコンデンサ部が2つの前記第1のコンデンサ部によって積層方向に挟まれるように配置される、請求項6に記載の積層コンデンサ。
【請求項8】
前記コンデンサ本体は、相対向する2つの主面および前記2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなしていて、前記誘電体層は、前記主面の方向に延びており、前記外部端子電極は、4つの前記側面上に形成される、請求項1ないし7のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項9】
前記主面は、4つの前記側面のいずれよりも大きい面積を有していて、前記主面のいずれか一方が所定の実装面側に向けられた状態で実装される、請求項8に記載の積層コンデンサ。
【請求項10】
前記コンデンサ本体は、相対向する2つの主面および前記2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなしていて、前記外部端子電極は、互いに対向する2つの前記側面上にのみ形成される、請求項1ないし7のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項11】
前記主面は、4つの前記側面のいずれよりも大きい面積を有していて、前記主面のいずれか一方が所定の実装面側に向けられた状態で実装される、請求項10に記載の積層コンデンサ。
【請求項12】
前記外部端子電極が形成された前記側面は、前記主面および残りの前記側面のいずれよりも大きい面積を有していて、前記外部端子電極が形成された前記側面のいずれか一方が所定の実装面側に向けられた状態で実装される、請求項10に記載の積層コンデンサ。
【請求項13】
請求項6または7に記載の積層コンデンサが所定の実装面上に実装された構造であって、前記第1のコンデンサ部が前記実装面により近い側に位置するように前記コンデンサ本体を向けた状態で、前記積層コンデンサが実装される、積層コンデンサの実装構造。
【請求項14】
相対向する2つの主面および前記2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなし、前記主面の方向に延びる誘電体層が複数積層された積層構造を有するコンデンサ本体を備え、
前記コンデンサ本体は、前記誘電体層の積層方向に並ぶように配置された第1および第2のコンデンサ部を構成していて、
前記第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、
前記第1の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される複数の第1の引出し部が形成され、かつ、前記第2の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される複数の第2の引出し部が形成され、
前記第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、
前記第3の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される第3の引出し部が形成され、かつ、前記第4の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される第4の引出し部が形成され、
1対の前記第3および第4の内部電極についての前記第3および第4の引出し部の対の数は、単に1であり、1対の前記第1および第2の内部電極についての前記第1および第2の引出し部の対の数より少なく、
前記コンデンサ本体の互いに対向する2つの前記側面上にのみ、前記誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、前記第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして、第1および第2の外部端子電極が形成され、
前記第1の外部端子電極は、前記第1の引出し部および前記第3の引出し部に直接電気的に接続され、前記第2の引出し部および前記第4の引出し部とは電気的に絶縁され、
前記第2の外部端子電極は、前記第2の引出し部および前記第4の引出し部に直接電気的に接続され、前記第1の引出し部および前記第3の引出し部とは電気的に絶縁される、
積層コンデンサ。
【請求項15】
前記第1および第2の外部端子電極は、交互に配置される、請求項14に記載の積層コンデンサ。
【請求項16】
相対向する2つの主面および前記2つの主面間を連結する4つの側面を有する直方体状をなし、前記主面の方向に延びる誘電体層が複数積層された積層構造を有するコンデンサ本体を備え、
前記コンデンサ本体は、前記誘電体層の積層方向に並ぶように配置された第1および第2のコンデンサ部を構成していて、
前記第1のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第1および第2の内部電極を含み、
前記第1の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される複数の第1の引出し部が形成され、かつ、前記第2の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される複数の第2の引出し部が形成され、
前記第2のコンデンサ部は、静電容量を形成するように所定の前記誘電体層を介して互いに対向する少なくとも1対の第3および第4の内部電極を含み、
前記第3の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される第3の引出し部が形成され、かつ、前記第4の内部電極には、前記コンデンサ本体の前記側面にまで引き出される第4の引出し部が形成され、
1対の前記第3および第4の内部電極についての前記第3および第4の引出し部の対の数は、単に1であり、1対の前記第1および第2の内部電極についての前記第1および第2の引出し部の対の数より少なく、
前記コンデンサ本体の互いに対向する2つの前記側面上に、前記誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、前記第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして、第1および第2の外部端子電極が形成され、
前記コンデンサ本体の互いに対向する残りの2つの前記側面上に、前記誘電体層の積層方向に沿って延びるように、かつ、前記第1および第2のコンデンサ部の双方にかかるようにして、第1および第2の外部端子電極が形成され、
前記第1の外部端子電極は、前記第1の引出し部および前記第3の引出し部に直接電気的に接続され、前記第2の引出し部および前記第4の引出し部とは電気的に絶縁され、
前記第2の外部端子電極は、前記第2の引出し部および前記第4の引出し部に直接電気的に接続され、前記第1の引出し部および前記第3の引出し部とは電気的に絶縁される、
積層コンデンサ。
【請求項17】
前記第1および第2の外部端子電極は、交互に配置される、請求項16に記載の積層コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−235169(P2007−235169A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127707(P2007−127707)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【分割の表示】特願2006−120801(P2006−120801)の分割
【原出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】