説明

積層コンデンサ

【課題】二つのコンデンサが形成されると共に、小型化を図り且つクロストークの発生を抑制することが可能な積層コンデンサを提供すること。
【解決手段】第1及び第2の内部電極21,31は、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有さず且つ第1及び第2の主面の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向において異なる位置に配置されている。第3及び第4の内部電極25,35は、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有さず且つ第1及び第2の主面の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向において異なる位置に配置されている。第1の内部電極21と第3の内部電極25とは第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有し、第2の内部電極31と第4の内部電極35とは第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
2ラインの伝送線路におけるノイズ対策として、各ラインとグランドとの間にそれぞれコンデンサを挿入することが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−228640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各ラインとグランドとの間に挿入されるコンデンサとして積層コンデンサを用いる場合、通常、二つの積層コンデンサが必要とされる。しかしながら、この場合、回路基板等に二つの積層コンデンサを実装するための領域を確保しておく必要が生じるため、回路基板等の設計上、大きな制約となってしまう。
【0004】
そこで、積層コンデンサの実装面積を低減するために、二つの積層コンデンサを1チップ化して、積層コンデンサの小型化を図ることが考えられる。しかしながら、二つの積層コンデンサを1チップ化した場合、すなわち、一つの積層コンデンサ内に二つのコンデンサを形成する場合、コンデンサ間においてクロストークが発生し易くなってしまう。クロストークが発生すると、積層コンデンサはノイズを十分に吸収することが困難となってしまう。
【0005】
本発明は、二つのコンデンサが形成されると共に、小型化を図り且つクロストークの発生を抑制することが可能な積層コンデンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層コンデンサは、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有する、複数の絶縁体層が第1及び第2の主面の対向方向に積層されたコンデンサ素体と、コンデンサ素体の第1の側面に配置される第1の端子電極と、コンデンサ素体の第2の側面に配置される第2の端子電極と、コンデンサ素体の第3の側面に配置される第3の端子電極と、コンデンサ素体の第4の側面に配置される第4の端子電極と、第1の端子電極に接続されると共にコンデンサ素体内に配置される第1の内部電極と、第2の端子電極に接続されると共にコンデンサ素体内に配置される第2の内部電極と、第3及び第4の端子電極に接続されると共にコンデンサ素体内に配置される第3及び第4の内部電極と、を備え、第1の内部電極と第2の内部電極とは、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有さず且つ第1及び第2の主面の対向方向及び第1及び第2の側面の対向方向において異なる位置に配置され、第3の内部電極と第4の内部電極とは、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有さず且つ第1及び第2の主面の対向方向及び第1及び第2の側面の対向方向において異なる位置に配置され、第1の内部電極と第3の内部電極とは、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有し、第2の内部電極と第4の内部電極とは、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る積層コンデンサでは、第1の内部電極と第3の内部電極とにより一つのコンデンサが形成され、第2の内部電極と第4の内部電極とにより一つのコンデンサが形成されることとなり、一つのコンデンサ素体内に二つのコンデンサが形成されることとなる。また、第3及び第4の端子電極は、二つのコンデンサにおいて共有されることとなり、積層コンデンサのより一層の小型化が可能となる。
【0008】
本発明では、一方のコンデンサを形成する第1及び第3の内部電極と、他方のコンデンサを形成する第2及び第4の内部電極とが、第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有していない、すなわち第1及び第2の主面の対向方向において互いに重ならないように配置されているので、二つのコンデンサ間に発生するクロストークの発生を抑制できる。特に、第1の内部電極と第2の内部電極とが第1及び第2の主面の対向方向及び第1及び第2の側面の対向方向において異なる位置に配置され、第3の内部電極と第4の内部電極とが第1及び第2の主面の対向方向及び第1及び第2の側面の対向方向において異なる位置に配置されていることから、第1の内部電極と第2の内部電極との間隔及び第3の内部電極と第4の内部電極との間隔が大きくなり、上記クロストークの発生をより一層抑制することができる。
【0009】
好ましくは、第1の内部電極と第4の内部電極とは、第1及び第2の側面の対向方向に所定の間隔を有すると共に第1及び第2の主面の対向方向において同じ位置に配置され、第2の内部電極と第3の内部電極とは、第1及び第2の側面の対向方向に所定の間隔を有すると共に第1及び第2の主面の対向方向において同じ位置に配置されている。この場合、形成される各コンデンサにおいて所望の静電容量を得るための内部電極の積層総数が少なくなるため、積層コンデンサ(コンデンサ素体)の低背化を図ることができる。
【0010】
好ましくは、第3の内部電極は、第2の側面側の端部から第3及び第4の側面に向けてそれぞれ伸びる二つの引き出し部を有し、第4の内部電極は、第1の側面側の端部から第3及び第4の側面に向けてそれぞれ伸びる二つの引き出し部を有し、第1の内部電極は、第1及び第2の主面の対向方向から見て、第3の内部電極における第3及び第4の側面の対向方向において二つの引き出し部間に位置する領域と互いに重ならず、第2の内部電極は、第1及び第2の主面の対向方向から見て、第4の内部電極における第3及び第4の側面の対向方向において二つの引き出し部間に位置する領域と互いに重なっていない。この場合、第1の内部電極と第2の内部電極との間隔がより一層大きくなり、上記クロストークの発生をより一層効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、二つのコンデンサが形成されると共に、小型化を図り且つクロストークの発生を抑制することが可能な積層コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
図1〜図5を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2は、本実施形態に係る積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。図4は、内部電極の構成を示す図である。図5は、本実施形態に係る積層コンデンサの等価回路図である。
【0014】
コンデンサ素体1は、略直方体状であり、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面2,3と、第1及び第2の主面2,3間を連結するように第1及び第2の主面2,3の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面4,5と、第1及び第2の主面2,3を連結するように第1及び第2の主面2,3の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面6,7と、を有している。第1の主面2又は第2の主面3が、他の部品(例えば、回路基板や電子部品等)に対する実装面となる。
【0015】
コンデンサ素体1は、図2に示されるように、複数の絶縁体層9を有している。コンデンサ素体1は、複数の絶縁体層9が第1及び第2の主面2,3が対向する方向に積層されることにより構成されており、誘電特性を有している。各絶縁体層9は、例えば誘電体セラミック(BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際の積層コンデンサC1では、各絶縁体層9は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0016】
第1の端子電極11は、コンデンサ素体1の第1の側面4に配置されている。第1の端子電極11は、第1の側面4の全面を覆うように、第1及び第2の主面2,3並びに第3及び第4の側面6,7の端部(第1の側面4側の端部)に亘って形成されている。第2の端子電極12は、コンデンサ素体1の第2の側面5に配置されている。第2の端子電極12は、第2の側面5の全面を覆うように、第1及び第2の主面2,3並びに第3及び第4の側面6,7の端部(第2の側面5側の端部)に亘って形成されている。第1の端子電極11と第2の端子電極12とは、第1及び第2の側面4,5の対向方向で対向している。
【0017】
第3の端子電極13は、コンデンサ素体1の第3の側面6に配置されている。第3の端子電極13は、第3の側面6の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第3の端子電極13は、第3の側面6上において、第1及び第2の側面4,5の対向方向での略中央に位置している。
【0018】
第4の端子電極14は、コンデンサ素体1の第4の側面7に配置されている。第4の端子電極14は、第4の側面7の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第4の端子電極14は、第4の側面7上において、第1及び第2の側面4,5の対向方向での略中央に位置している。第4の端子電極14は、第3の端子電極13と第3及び第4の側面6,7の対向方向で対向している。
【0019】
各端子電極11〜14は、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体1の外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極11〜14の上にめっき層が形成されることもある。
【0020】
積層コンデンサC1は、図2及び図3に示されるように、第1の内部電極群20と、第2の内部電極群30とを備えている。第1の内部電極群20は、第1の内部電極21と、第3の内部電極25とを含んでいる。第2の内部電極群30は、第2の内部電極31と、第4の内部電極35とを含んでいる。第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、コンデンサ素体1内に配置されている。
【0021】
コンデンサ素体1は、第1の内部電極群20が配置される領域と、第2の内部電極群30が配置される領域とを含んでおり、これらの領域が第1及び第2の側面4,5の対向方向に沿って並んでいる。すなわち、第1の内部電極群20と第2の内部電極群30とは、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の側面4,5の対向方向に沿って併置されている。具体的には、第1の内部電極群20が第1の側面4側に配置され、第2の内部電極群30が第2の側面5側に配置されている。
【0022】
第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0023】
第1の内部電極21は、図4中の(b)にも示されるように、矩形形状を呈しており、主電極部22と引き出し部23とを有している。主電極部22と、引き出し部23とは、一体的に形成されている。引き出し部23は、主電極部22の第1の側面4側の縁から第1の側面4に端が露出するように伸びている。
【0024】
第1の端子電極11は、引き出し部23の第1の側面4に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部23は、第1の端子電極11に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1の内部電極21は、第1の端子電極11に接続されることとなる。
【0025】
第3の内部電極25は、図4中の(a)にも示されるように、矩形形状を呈している主電極部26と、二つの引き出し部27とを有している。主電極部26と、各引き出し部27とは、一体的に形成されている。一方の引き出し部27は、主電極部26の第2の側面5側の端部から第3の側面6に向けて且つ第3の側面6に端が露出するように伸びている。他方の引き出し部27は、主電極部26の第2の側面5側の端部から第4の側面7に向けて且つ第4の側面7に端が露出するように伸びている。
【0026】
第3及び第4の端子電極13,14は、各引き出し部27の第3及び第4の側面6,7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部27は、第3及び第4の端子電極13,14に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第3の内部電極25は、第3及び第4の端子電極13,14に接続されることとなる。
【0027】
第1の内部電極21の主電極部22と、第3の内部電極25の主電極部26とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで絶縁体層9の積層方向(第1及び第2の主面2,3の対向方向)に互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第1の内部電極21と、第3の内部電極25とは、第1及び第2の主面2,3の対向方向)から見て互いに重なる領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第1の内部電極21の主電極部22と第3の内部電極25の主電極部26とに重なる部分は、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0028】
第2の内部電極31は、図4中の(a)にも示されるように、矩形形状を呈しており、主電極部32と引き出し部33とを有している。主電極部32と、引き出し部33とは、一体的に形成されている。引き出し部33は、主電極部32の第2の側面5側の縁から第2の側面5に端が露出するように伸びている。
【0029】
第2の端子電極12は、引き出し部33の第2の側面5に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部33は、第2の端子電極12に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第2の内部電極31は、第2の端子電極12に接続されることとなる。
【0030】
第4の内部電極35は、図4中の(b)にも示されるように、矩形形状を呈している主電極部36と、二つの引き出し部37とを有している。主電極部36と、各引き出し部37とは、一体的に形成されている。一方の引き出し部37は、主電極部36の第1の側面4側の端部から第3の側面6に向けて且つ第3の側面6に端が露出するように伸びている。他方の引き出し部37は、主電極部36の第1の側面4側の端部から第4の側面7に向けて且つ第4の側面7に端が露出するように伸びている。
【0031】
第3及び第4の端子電極13,14は、各引き出し部37の第3及び第4の側面6,7に露出した部分をすべて覆うようにも形成されており、引き出し部37は、第3及び第4の端子電極13,14に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第4の内部電極35は、第3及び第4の端子電極13,14に接続されることとなる。
【0032】
第2の内部電極31の主電極部32と、第4の内部電極35の主電極部36とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで絶縁体層9の積層方向(第1及び第2の主面2,3の対向方向)に互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第2の内部電極31と、第4の内部電極35とは、第1及び第2の主面2,3の対向方向)から見て互いに重なる領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第2の内部電極31の主電極部32と第4の内部電極35の主電極部36とに重なる部分は、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0033】
第1の内部電極21と第2の内部電極31とは、第1及び第2の主面2,3の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第1の内部電極21と第2の内部電極31とは、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の主面2,3の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向に間隔を有して配置されている。
【0034】
第3の内部電極25と第4の内部電極35とは、第1及び第2の主面2,3の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第3の内部電極25と第4の内部電極35とは、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の主面2,3の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向に間隔を有して配置されている。
【0035】
第1の内部電極21と第4の内部電極35とは、第1及び第2の側面4,5の対向方向に所定の間隔を有すると共に第1及び第2の主面2,3の対向方向において同じ位置(層)に配置されている。第2の内部電極31と第3の内部電極25とは、第1及び第2の側面4,5の対向方向に所定の間隔を有すると共に第1及び第2の主面2,3の対向方向において同じ位置(層)に配置されている。
【0036】
これらにより、第1の内部電極21は、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第2及び第4の内部電極31,35と互いに重なる領域を有していない。第3の内部電極25も、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第2及び第4の内部電極31,35と互いに重なる領域を有していない。第3の内部電極25の引き出し部27と第4の内部電極35の引き出し部37とも、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、互いに重なる領域を有しておらず、対向していない。
【0037】
図5に示されるように、積層コンデンサC1では、上述した内部電極群毎にコンデンサC11,C12が形成される。すなわち、第1の内部電極21の主電極部22と第3の内部電極25の主電極部26とが対向する領域によりコンデンサC11が形成される。第2の内部電極31の主電極部32と第4の内部電極35の主電極部36とが対向する領域によりコンデンサC12が形成される。積層コンデンサC1は、図5に示されるように、第1及び第2の端子電極11,12が信号伝送ラインSL(例えば、差動伝送ライン等)に接続され、第3及び第4の端子電極13,14がグランドラインGLに接続されることにより、他の部品に実装される。この場合、第1及び第2の端子電極は信号用端子電極として機能し、第3及び第4の端子電極は接地用端子電極として機能する。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、一つのコンデンサ素体1内に二つのコンデンサC11,C12が形成された積層コンデンサC1が実現されることとなる。また、第3及び第4の端子電極13,14は、二つのコンデンサC11,C12において共有されることとなり、積層コンデンサC1のより一層の小型化が可能となる。このように、積層コンデンサC1は小型化が図られていることから、当該積層コンデンサC1を差動伝送ライン等の2ラインの伝送線路に挿入する場合、積層コンデンサC1を伝送線路間に実装することができる。
【0039】
本実施形態によれば、一方のコンデンサC11を形成する第1及び第3の内部電極21,25と、他方のコンデンサC12を形成する第2及び第4の内部電極31,35とが、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て互いに重なる領域を有していない、すなわち第1及び第2の主面2,3の対向方向において互いに重ならないように配置されているので、二つのコンデンサC11,C12の間に発生するクロストークの発生を抑制できる。特に、第1の内部電極21と第2の内部電極31とが第1及び第2の主面2,3の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向において異なる位置に配置され、第3の内部電極25と第4の内部電極35とが第1及び第2の主面2,3の対向方向及び第1及び第2の側面4,5の対向方向において異なる位置に配置されていることから、第1の内部電極21と第2の内部電極31との間隔及び第3の内部電極25と第4の内部電極35との間隔が大きくなり、上記クロストークの発生をより一層抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、第1の内部電極21と第4の内部電極35とが同じ層に配置され、第2の内部電極31と第3の内部電極25とが同じ層に配置されている。これにより、形成される各コンデンサC11,C12において所望の静電容量を得るための内部電極の積層総数が少なくなるため、積層コンデンサC1(コンデンサ素体1)の低背化を図ることができる。
【0041】
次に、図6に基づいて、第1〜第4の内部電極の変形例について説明する。図6は、変形例に係る内部電極の構成を示す図である。
【0042】
第1の内部電極21の第2の側面5側の縁は、図6中の(b)に示されるように、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第3の内部電極25の二つの引き出し部27よりも第1の側面4側に位置している。すなわち、第1の内部電極21は、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第3の内部電極25における第3及び第4の側面6,7の対向方向において二つの引き出し部27の間に位置する領域25aと互いに重なっていない。
【0043】
第2の内部電極31の第1の側面4側の縁は、図6中の(a)に示されるように、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第4の内部電極35の二つの引き出し部37よりも第2の側面5側に位置している。すなわち、第2の内部電極31は、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第4の内部電極35における第3及び第4の側面6,7の対向方向において二つの引き出し部37の間に位置する領域35aと互いに重なっていない。
【0044】
本変形例によれば、第1の内部電極21と第2の内部電極31との間隔がより一層大きくなるので、上記クロストークの発生をより一層効果的に抑制することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0046】
コンデンサ素体1に含まれる絶縁体層9の積層数及び各内部電極21,25,31,35の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。各内部電極21,25,31,35の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。第1の内部電極21の主電極部22と第3の内部電極25の主電極部26とが対向する領域の面積と、第2の内部電極31の主電極部32と第4の内部電極35の主電極部36とが対向する領域の面積とが異なっていてもよい。
【0047】
第1の内部電極21と第4の内部電極35とが同じ層に配置されている必要はなく、第1及び第2の主面2,3の対向方向において異なる位置(層)に配置されていてもよい。第2の内部電極31と第3の内部電極25とが同じ層に配置されている必要もなく、第1及び第2の主面2,3の対向方向において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
【図2】本実施形態に係る積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【図4】内部電極の構成を示す図である。
【図5】本実施形態に係る積層コンデンサの等価回路図である。
【図6】変形例に係る内部電極の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…コンデンサ素体、2…第1の主面、3…第2の主面、4…第1の側面、5…第2の側面、6…第3の側面、7…第4の側面、9…絶縁体層、11…第1の端子電極、12…第2の端子電極、13…第3の端子電極、14…第4の端子電極、21…第1の内部電極、22…主電極部、23…引き出し部、25…第3の内部電極、26…主電極部、27…引き出し部、31…第2の内部電極、32…主電極部、33…引き出し部、35…第4の内部電極、36…主電極部、37…引き出し部、C1…積層コンデンサ、C11,C12…コンデンサ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有する、複数の絶縁体層が前記第1及び第2の主面の対向方向に積層されたコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体の前記第1の側面に配置される第1の端子電極と、
前記コンデンサ素体の前記第2の側面に配置される第2の端子電極と、
前記コンデンサ素体の前記第3の側面に配置される第3の端子電極と、
前記コンデンサ素体の前記第4の側面に配置される第4の端子電極と、
前記第1の端子電極に接続されると共に前記コンデンサ素体内に配置される第1の内部電極と、
前記第2の端子電極に接続されると共に前記コンデンサ素体内に配置される第2の内部電極と、
前記第3及び第4の端子電極に接続されると共に前記コンデンサ素体内に配置される第3及び第4の内部電極と、を備え、
前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とは、前記第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有さず且つ前記第1及び第2の主面の対向方向及び前記第1及び第2の側面の対向方向において異なる位置に配置され、
前記第3の内部電極と前記第4の内部電極とは、前記第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有さず且つ前記第1及び第2の主面の対向方向及び前記第1及び第2の側面の対向方向において異なる位置に配置され、
前記第1の内部電極と前記第3の内部電極とは、前記第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有し、
前記第2の内部電極と前記第4の内部電極とは、前記第1及び第2の主面の対向方向から見て互いに重なる領域を有していることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とは、前記第1及び第2の側面の対向方向に所定の間隔を有すると共に前記第1及び第2の主面の対向方向において同じ位置に配置され、
前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とは、前記第1及び第2の側面の対向方向に所定の間隔を有すると共に前記第1及び第2の主面の対向方向において同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記第3の内部電極は、前記第2の側面側の端部から前記第3及び第4の側面に向けてそれぞれ伸びる二つの引き出し部を有し、
前記第4の内部電極は、前記第1の側面側の端部から前記第3及び第4の側面に向けてそれぞれ伸びる二つの引き出し部を有し、
前記第1の内部電極は、前記第1及び第2の主面の対向方向から見て、前記第3の内部電極における前記第3及び第4の側面の対向方向において前記二つの引き出し部間に位置する領域と互いに重ならず、
前記第2の内部電極は、前記第1及び第2の主面の対向方向から見て、前記第4の内部電極における前記第3及び第4の側面の対向方向において前記二つの引き出し部間に位置する領域と互いに重なっていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−130219(P2009−130219A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305025(P2007−305025)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】