説明

積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストおよびその製造方法

【課題】溶剤の選択幅が広い積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】導電ペーストは、溶剤と、平均粒径が10〜200nmかつニッケルが50原子%以上かつ金属粒子とを含む。溶剤は水と極性溶媒との混合溶液であり、金属粒子の表面には、上記溶剤に金属粒子を分散させる分散剤が付着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粒子を含む積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサの内部電極等、導電膜を形成するための導電ペーストとして、特許文献1に記載の技術が知られている。
同文献の技術では、有機溶剤にバインダを溶解したビヒクルに金属粒子を分散させて導電ペーストを形成している。
【0003】
積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストでは、誘電体グリーンシートを溶解しないことが必要とされる。これは、導電ペーストに含まれる溶剤によって誘電体グリーンシートのバインダが溶解することがあり、この溶解により誘電体グリーンシートを挟む導電ペースト同士が接続する現象(所謂シートアタック)が発生するためである。このようなことから、導電ペーストの溶剤としては、導電ペーストを構成するバインダを溶解すること、かつ誘電体グリーンシートを構成するバインダを溶解しないことの2つの要件を満たすことが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−273987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、導電ペーストを構成するバインダも、誘電体グリーンシートを構成するバインダもいずれも有機樹脂であるため、これらの要件を満たす溶剤は限られている。一方で、製造上の観点から導電ペーストの塗布対象物に合わせて、または導電ペーストの塗布手段にあわせて、導電ペーストの粘度等を適宜変更したいという要求がある。このような事情から、溶剤の選択幅が広い導電ペーストが要求されている。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶剤の選択幅が広い積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載の発明は、溶剤と、ニッケルが50原子%以上の金属粒子とを含む積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストであって、前記金属粒子の平均粒径は10〜200nmであり、前記溶剤は水と極性溶媒との混合溶液であり、前記金属粒子の表面に、前記溶剤に前記金属粒子を分散させる分散剤が付着していることを要旨とする。
【0008】
粒径が数百nmのとき金属粒子は溶剤に分散せず、その重さにより沈降する。このため、有機溶剤にバインダを溶解したビヒクルに金属粒子を分散させて導電ペーストを形成する。ところで、積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するための導電ペーストにあっては、いわゆるシートアタックの発生を抑制する必要があるために、溶剤として、次の2つの事項が要求される。すなわち、導電ペーストの溶剤として、導電ペーストを構成するバインダを溶解すること、かつ誘電体グリーンシートを構成するバインダを溶解しないことが要求される。しかし、導電ペーストを構成するバインダも、誘電体グリーンシートを構成するバインダもいずれも有機樹脂であるため、これらの要件を満たす溶剤は限られている。
【0009】
この発明によれば、導電ペーストの溶剤として極性溶媒および水を用いるとともに、金属粒子に分散剤を付着させている。分散剤の作用により金属粒子は溶剤中で分散する。一般的に極性溶媒は誘電体グリーンシートのバインダを殆ど溶解しない。すなわち、金属粒子を微粒子化しかつ分散剤を表面に付着することにより極性溶媒に金属粒子を分散させていることにより、導電ペーストの溶剤として極性溶媒を用いることを可能とし、導電ペーストのベースとして有機樹脂を用いることなく導電ペーストとしての機能を確保している。このような構成により、導電ペーストの溶剤として従来導電ペーストに用いられていた有機樹脂の溶解性を要件とする必要がなく、誘電体グリーンシートを構成するバインダを溶解しないことだけを要件とすることができるため、溶剤の選択幅を広げることができる。
【0010】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、前記金属粒子は液相還元法により形成されたものであることを要旨とする。
【0011】
液相還元法により形成された金属粒子は液相中に分散した状態にあるため、気相で形成されるものに比べて、金属粒子の全体において凝集している金属粒子の割合が少ない。すなわち、気相法により形成された金属粒子を含む導電ペーストに比べて、金属粒子の粒径のばらつきを小さくすることができる。
【0012】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、前記極性溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ターシャルブチルアルコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートにより構成される群から選択される少なくとも1種であることを要旨とする。
【0013】
これらの極性溶媒は誘電体グリーンシートのバインダを殆ど溶解しない。すなわち、これらの極性溶媒を用いることにより、バインダの溶解を効果的に抑制することができる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、前記水の量が全体の5〜20質量%であることを要旨とする。
【0014】
導電ペーストに対して水の比率が高いとき、水の影響により、導電ペーストの表面張力を大きくなる。そこで、水の比率を5〜20質量%にする。これにより、導電ペーストの表面張力を小さくすることができる。
【0015】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・sであることを要旨とする。
【0016】
積層セラミックコンデンサの内部電極の層厚は均一であることが好ましい。内部電極の層厚を均一にするためには導電ペーストの塗布量を精確に制御することが必要である。導電ペーストの粘度が1.0mPa・sよりも小さいとき、または100mPa・sよりも大きい場合、吐出機による導電ペーストの吐出量にばらつきが生じる。すなわち、導電ペーストの量を制御することが困難となる。本発明では、導電ペーストの粘度を1.0〜100mPa・sとするため、粘度を規定しない場合と比べて、塗布量が精確に制御することができる。
【0017】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、当該導電ペーストの表面張力が15〜60mN/mであることを要旨とする。
【0018】
積層セラミックコンデンサの内部電極の層厚は均一であることが好ましい。
導電ペーストの表面張力が15mN/mよりも小さいとき導電ペーストが広がり過ぎて斑が生じる。一方、60mN/mよりも大きいとき、導電ペーストが十分に広がらず導電ペーストが厚くなる。そこで、本発明では表面張力を15〜60mN/mとする。これにより、表面張力を規定しない場合に比べて、積層セラミックコンデンサの内部電極の層厚を均一にすることができる。
【0019】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン−エチレンオキサイド付加物、アリルエーテルコポリマー、スチレンマレイン酸共重合物、オレフィンマレイン酸共重合物、およびナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物により構成される群から選択される少なくとも1種であることを要旨とする。
【0020】
これらに分散剤は、ニッケルを主成分とする金属粒子を極性溶媒中に分散させて、金属粒子同士の凝縮を抑制する。このため、分散剤を含まない導電ペーストに比べて、導電ペーストにより形成される導電膜を均一にすることができる。
【0021】
(8)請求項8に記載の発明は、金属粒子と、水と、極性溶媒とを含む積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法であって、分散剤および金属イオンを含む水溶液中で前記金属イオンを3価チタンにより還元することにより前記金属粒子を含む分散液を形成する工程と、洗浄により前記分散液の電気伝導度を200μS/cm以下にする工程と、脱水により水の量を全体の5〜20質量%にする工程と、脱水後の前記分散液に極性溶媒を加える工程とを含むことを要旨とする。
【0022】
導電ペーストの製造方法として、分散液に含まれる水分を蒸発させることにより金属粒子を分離し、これに溶剤を加える方法がある。しかし、水分を蒸発させると金属粒子同士の乾燥凝集が生じる。また、乾燥凝集した金属粒子に溶剤を加えたとしても、全部の金属粒子が個々には分散せず、一部は凝集した状態で存在する。
【0023】
本発明では、分散液中から金属粒子を分離するとき水を完全に除去するのではなく一部を残存させるため、金属粒子を分散させた状態で、当該金属粒子を極性溶剤に分散させることができる。これにより、導電ペースト中において凝集した金属粒子の割合を小さくすることができる。なお、上記「全体の5〜20質量%」とは、極性溶媒を加える工程を経た後の導電ペーストの質量を全体質量として、この全体質量に対する値を示す。
【0024】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法において、当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・sとなる量の前記極性溶媒を加えることを要旨とする。
【0025】
極性溶媒の添加量を調整することにより粘度を1.0〜100mPa・sとするため、粘度の幅を規定しない場合と比べて、導電ペーストの量を制御し易いペーストとすることができる。
【0026】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法において、当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・s、かつ当該導電ペーストの表面張力が15〜60mN/mとなる量の前記極性溶媒を加えることを要旨とする。
【0027】
極性溶媒の添加量を調整することにより粘度を1.0〜100mPa・s、かつ表面張力が15〜60mN/mとするため、このような規定を行わない場合と比べて、導電ペーストの膜厚を均一にすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、溶剤の選択幅が広い積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト、およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の導電ペーストの製造工程を示すフローチャート。
【図2】実施例および比較例の金属粒子の製造条件を示す表。
【図3】実施例および比較例の導電ペーストの特性を示す表。
【図4】実施例および比較例の導電ペーストの粘度と極性溶媒の粘度との関係を示すグラフ。
【図5】実施例および比較例の金属粒子の製造条件を示す表。
【図6】実施例および比較例の導電ペーストの特性を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0030】
導電ペーストの一例を挙げる。
導電ペーストは、金属粒子と、水と、極性溶媒とを含む。
金属粒子は、平均粒径が10〜200nmであり、かつニッケルが50原子%以上である。金属粒子のニッケル以外の成分としては、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Co、Ni、Fe、Re、Ta、W等が挙げられる。
【0031】
なお、粒度分布の異なる金属粒子を混合して、導電ペーストの材料とすることもできる。例えば、平均粒径が50nmの金属粒子と、平均粒径が150nmの金属粒子を所定の割合で混合したものを用いてもよい。
【0032】
金属粒子の表面に分散剤を付着させている。分散剤は、金属粒子を極性溶媒に分散させる機能を有する。
例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン−エチレンオキサイド付加物、アリルエーテルコポリマー、スチレンマレイン酸共重合物、オレフィンマレイン酸共重合物、およびナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等が分散剤として用いられる。また、これらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0033】
これら分散剤のうちでも、マレイン酸系の界面活性剤が好ましい。また、マレイン酸系の界面活性剤のうちでも、スチレンマレイン酸共重合体の塩またはオレフィンマレイン酸共重合体の塩であって、分子量が10,000〜50,000であるものが、特に好ましい。
【0034】
導電ペーストに対する金属粒子の濃度は、導電ペースト全体の質量に対して5〜20質量%とされる。また、金属粒子の濃度は、5〜20質量%の範囲中で、誘電体グリーンシートに対して導電ペーストを塗布する手段、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法に応じて適宜設定される。
【0035】
極性溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ターシャルブチルアルコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートにより構成される群から選択される少なくとも1種である。
【0036】
特に、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびジエチレングリコールが好ましい。なお、塗布方法および乾燥方法によって、適宜、各種溶媒が混合される。例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに所定のアルコールが混合される。
【0037】
極性溶媒としては、揮発性が低いものが好ましい。
導電ペーストを誘電体グリーンシートに塗布したとき、導電ペーストが広がる前に溶剤が蒸発すると導電パターンを所定形状に広がらせることができないことから、揮発性が低いものが選択される。
【0038】
導電ペーストの粘度は1.0〜100mPa・sに調整される。導電ペーストの表面張力は15〜60mN/mに調整される。導電ペーストの粘度は、導電ペーストの量の制御のしやすさ、誘電体グリーンシートに対する導電ペーストの拡がり速度等を考慮して設定される。導電ペーストの表面張力は、誘電体グリーンシートに対する導電ペーストの濡れ性等を考慮して設定される。なお、粘度は円錐平板型回転粘度計により測定した値である。表面張力は白金リング(リング法)によって測定した値である。
【0039】
[導電ペーストの製造方法]
図1を参照して、本実施形態の導電ペーストの製造方法を説明する。
第1のステップS110において、金属イオン還元法により金属粒子を含む分散液を形成する。
【0040】
次に、第2のステップS120から第5のステップS150の工程(洗浄工程)を繰り返すことにより、分散液に含まれる不純物を所定基準値以下にする。
・第2のステップS120において遠心分離またはろ過等により脱水する。
・第3のステップS130において所定量の純水を添加する。
・第4のステップS140において分散液の電気伝導度を測定する。
・第5のステップS150において電気伝導度が100μS/cm以下か否かを判定する。同ステップにおいて分散液の電気伝導度が100μS/cmよりも大きいとき、ステップS120〜ステップS150の処理を繰り返す。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下になったとき次のステップに移行する。電気伝導度の判定値は当該導電ペーストが内部電極材料として用いられる積層セラミックコンデンサの大きさおよび用途等により要求される値に設定される。
【0041】
第6のステップS160においては限外ろ過または遠心分離により脱水する。例えば、遠心分離機により水を全体の5〜20質量%とする。ここで、全体とは、最終的に形成されるべき導電ペーストの全体の質量を示す。
【0042】
そして、第7のステップS170において所定量の極性溶媒を添加し、導電ペーストに対する金属粒子の濃度、導電ペーストの粘度、および導電ペーストの表面張力を規定の値にする。
【0043】
[金属粒子を含む分散液の製造方法]
以下、金属粒子を含む分散液の製造方法について説明する。
金属粒子は、金属イオン還元法により形成される。
【0044】
まず、析出させる金属の金属イオンと還元剤とを含む反応溶液を形成する。次に、反応溶液のpHを調整して、アルカリ性にすることにより、金属イオンと還元剤との酸化還元反応を開始させて、金属粒子を析出させる。以下、各工程について説明する。
【0045】
1.還元剤の形成
還元剤としては、三塩化チタンを使用する。上記反応溶液を調整するときは三塩化チタンの塩酸溶液を用いる。三塩化チタンの塩酸溶液は、電解還元法により、四塩化チタンの塩酸溶液を還元することにより形成される。具体的には、電解槽の陰極室に、四塩化チタンの20%塩酸水溶液を入れる。陽極室に、塩化アンモニウム溶液を入れる。陰極室と陽極室とは、塩素イオンを透過するイオン交換膜により仕切る。この方法により4価のチタンイオンを3価のチタンイオンに還元する。
【0046】
2.反応溶液
金属粒子を形成するための反応溶液は、金属粒子を形成する金属イオンと、還元剤としての三塩化チタンと、金属イオンおよび3価のチタンイオンを溶液中で安定化させる錯化剤と、析出する金属粒子が凝集することを抑制する分散剤とを含む。分散剤としては上記に挙げたものを用いる。すなわち、金属粒子の表面に付着させる分散剤と、反応溶液中で金属粒子を分散させる分散剤とは同じものである。反応溶液は、三塩化チタンの塩酸溶液に、金属イオンの元となる金属化合物、錯化剤および分散剤を溶解することにより、得られる。
【0047】
金属イオンとしては、ニッケルイオンのほか、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Co、Fe、Re、Ta、W等の金属イオンを含めることができる。これらは、いずれも、3価のチタンイオンにより還元される金属種である。なお、3価のチタンイオンは還元性が高く、殆どの金属イオンを還元する。
【0048】
反応溶液中の三塩化チタンの濃度は、三塩化チタンの塩酸溶液を用いて調整される。例えば、三塩化チタンの濃度が0.1mol/Lの濃度となるように、三塩化チタンの塩酸溶液が反応溶液に添加される。
【0049】
錯化剤としては、金属イオンとチタンイオンとのいずれとも錯体を形成し、酸性溶液中で各金属イオンをイオンとして存在させるものが用いられる。例えば、チタンイオンは、塩酸溶液中で水と反応して水酸化物を形成するため、水酸化物の形成を抑制する目的で、錯化剤が用いられる。
【0050】
錯化剤の例として、リンゴ酸、グルコン酸、またはこれらのアルカリ金属塩またはこれらのアルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、グルコン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムが挙げられる。
【0051】
3.金属粒子の分散液の生成
金属粒子を形成するとき、反応温度に維持した上記反応溶液に、pH調整剤を添加してpH8.0〜10.0に調整し、さらに、500rpmで数十分〜数時間、撹拌を続けることにより、金属粒子を析出させる。金属イオンが還元され金属粒子が析出する過程において、反応液中の分散剤が金属粒子の表面に付着すると考えられる。なお、調整剤としては、炭酸ナトリウム、25%のアンモニア水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸アンモニウム等が用いられる。
【0052】
このようにして形成された分散液は導電ペーストの材料として用いられる。
すなわち、導電ペーストの製造方法に示したように、金属粒子を含む分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで純水で複数回洗浄し、極性溶媒を添加することにより、導電ペーストを形成する。
【0053】
[1:金属粒子の平均粒径を異ならせた例]
図2および図3を参照して、5つの実施例および2つの比較例を説明する。図2は、実施例1〜5および比較例1,2の金属粒子の製造条件をまとめた表である。図3は、実施例1〜5および比較例1,2の金属粒子の特性をまとめた表である。
【0054】
実施例1〜5において、平均粒径20nm〜200nmの範囲内にある金属粒子を用いた導電ペーストの例を示す。比較例1,2において、平均粒径20nm〜200nmの範囲内にない金属粒子を用いた導電ペーストの例を示す。なお、
[実施例1]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10,000)を用いた。金属粒子の平均粒径は20nmであった。
【0055】
なお、金属粒子を形成するために用いた金属化合物およびその濃度(mol/L)、錯化剤の種類およびその濃度、分散剤の種類およびその濃度については、図2に示した(実施例2、3、4、8、比較例1、2おいても同様。)。
【0056】
次に、分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体(形成されるべき導電ペースト全体。以下同じ。)の10質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加した。ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は10mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0057】
[平均粒径]
平均粒径は次の方法により算出した。
走査型電子顕微鏡により金属粒子を撮影し、その画像に基づいて、500個の金属粒子の直径および個数を測定する。直径に基づいて金属粒子の体積Viを算出する。そして、金属粒子の粒径Diに対する体積分布および体積累積分布を作成する。体積累積分布において50%の値をとる粒径を平均粒径として求めた。
【0058】
体積分布および体積累積分布は以下のように示される。
・体積分布の粒径Diは、粒径Di以上、粒径Di+1未満とする。
・体積分布の粒径Diに含まれる個々の金属粒子の粒径をDijとする。
・体積分布の粒径Diに含まれる個々の金属粒子の体積をVijとする。VijはDijに基づいて算出される。
・粒径Di(粒径Di〜粒径Di+1)にある金属粒子の粒子個数をNiとする。
・粒径Di(粒径Di〜粒径Di+1)にある金属粒子の総体積を所定粒径体積VDiとする。すなわち、所定粒径体積VDiはΣNiVijで与えられる。
・金属粒子の全部の総体積を総体積VAとする。総体積VAは、ΣiVDiで与えられる。総体積VAに対する所定粒径体積VDiの割合を所定粒径体積比VDriとする。
・体積分布は、粒径Di(粒径Di〜粒径Di+1)に対する所定粒径体積比VDriとして与えられる。
・累積体積分布は、体積分布の累積分布として与えられる。
【0059】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性
実施例の導電ペーストを1週間にわたって静置し、その沈降性を測定した。沈降性は、導電ペーストの上澄み液の金属粒子の濃度(全体に対する質量%)を測定した。この結果、上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。
【0060】
上澄み液の金属粒子の濃度が9.0質量%以上にあるとき分散性が良好と判定する。
すなわち、上記実施例の分散性は良好であり、導電ペースト中の金属粒子は1週間後にも殆ど沈降しない。これは、金属粒子の平均粒径を200nm以下としていること、および金属粒子の表面に分散剤を付着していることによる。
【0061】
(2)シートアタック性
チタン酸バリウムを主成分としバインダとしてポリビニルブチラール(以下、「PVB」)を用いた誘電体グリーンシートの上に、所定パターンのマスクを被せ、スプレー法により導電ペーストを塗布した。塗布後、および所定期間経過後においても、導電ペーストの溶剤の染み込みによるグリーンシートの滲み等は目視により確認されなかった。これは、PVBが極性溶媒に殆ど溶解しないためである。
【0062】
上記に挙げた極性溶媒は、PVBを殆ど溶解しない。このため、上記極性溶媒は、導電ペーストの溶剤として用いることができる。また、これら極性溶媒を混合して溶媒とすることもできる。上記にあげた極性溶媒以外にも、PVBを溶解しない極性溶媒は多数ある。特に、アルコール類、エーテル類、グリコール類等から選択可能である。このように、PVBを溶解しない物質は多数あるため導電ペーストの溶剤の選択幅は広い。
【0063】
(3)濡れ性
チタン酸バリウムを主成分としバインダとしてPVBを用いた誘電体グリーンシートの上に、所定のパターンのマスクを被せ、スプレー法により導電ペーストを塗布した。導電ペーストは、噴射とほぼ同時に所定のパターンに沿って広がり、殆ど斑が生じなかった。すなわち、濡れ性は良好であった。これは、導電ペーストの粘度および表面張力を規定値に調整しているためである。
【0064】
(4)内部電極の成形性
上記(2)および(3)と同様に、誘電体グリーンシートの上に、所定のパターンのマスクを被せ、スプレー法により導電ペーストを塗布した。そして、100℃で5分間加熱し、溶剤を除去した。膜厚は200nmであった。すなわち、当該導電ペーストを用いることにより内部電極の薄膜化が可能である。
【0065】
なお、スピンコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スリットコート、ロールコート、ディップコート、ディスペンサ、インクジェットのいずれの方法によっても同様の薄膜化が可能であった。
【0066】
膜厚は次の方法により測定した。
乾燥後の金属膜の表面から底面(誘電体グリーンシートの表面)までの切れ込みをいれ、断面を露出させる。そして、表面粗さ計(東京精密社サーフコム(登録商標)130A)を用いて切れ込み部分の段差を測定した。具体的には、当該切れ込みの前後にわたってプローブピンを走査して、段差(すなわち膜厚)を測定した。
【0067】
(5)積層セラミックコンデンサの成形性
上記(4)と同様に導電ペーストを用いて金属膜を形成した。そして、金属膜が形成されている誘電体グリーンシートを100枚重ね合わせ、これを、120℃で、10分にわたって、1t/cm2の圧力で圧縮した。次に、これを切断機により所定の寸法に切断し、直方体の積層体を形成した。そして、積層体を加熱器に入れ、窒素雰囲気において昇温速度0.5℃/分で徐々に温度を上げて300℃にし、さらにこの温度(300℃)で10時間加熱した。この後、3%(体積比)の水素ガス(H2)を含む窒素雰囲気において、昇温速度0.5℃/分で徐々に温度を上げて1200℃とし、さらにこの温度(1200℃)で2時間加熱した。この後、積層体を室温まで冷却したのち、外部電極ペーストを塗布して、3%の水素ガス(H2)を含む窒素雰囲気において焼成し、外部電極を形成した。
【0068】
このように積層セラミックコンデンサを形成した結果、予定した容量のコンデンサを形成することができた。すなわち、シートアタックに起因する内部電極同士の短絡は生じなかった。
【0069】
[実施例2]
上記分散液の製造方法により、組成がニッケル50原子%、コバルト50原子%である金属粒子を含む分散液を形成した。
【0070】
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはポリビニルピロリドン(分子量30000)を用いた。金属粒子の平均粒径は10nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これにエタノールを添加した。エタノールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は1.0mPa・s、表面張力は15mN/mであった。
【0071】
[導電ペーストの特性]
以下に示す特性の測定方法、評価方法、および製造条件は実施例1と同じである(以下、実施例3〜5、比較例1、2についても同様。)。
【0072】
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0073】
[実施例3]
上記分散液の製造方法により、組成がニッケル50原子%、鉄50原子%である金属粒子を含む分散液を形成した。
【0074】
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはポリビニルピロリドン(分子量30000)を用いた。金属粒子の平均粒径は10nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールを添加した。ジエチレングリコールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は100mPa・s、表面張力は40mN/mであった。
【0075】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0076】
[実施例4]
上記分散液の製造方法により、組成がニッケル90原子%、コバルト10原子%である金属粒子を含む分散液を形成した。
【0077】
錯化剤としてはリンゴ酸を用いた。分散剤としてはポリアクリル酸(分子量5000)を用いた。金属粒子の平均粒径は100nmであった。分散液の電気伝導度が200μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これにエチレングリコールを添加した。エチレングリコールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は100mPa・s、表面張力は50mN/mであった。
【0078】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0079】
[実施例5]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。
【0080】
分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10000)を用いた。金属粒子の平均粒径は200nmであった。分散液の電気伝導度が200μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加した。ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は10mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0081】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0082】
[比較例1]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはポリビニルピロリドン(分子量30000)を用いた。金属粒子の平均粒径は5nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これにエチレングリコールを添加した。エチレングリコールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は200mPa・s、表面張力は50mN/mであった。
【0083】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。また(2)シートアタック性についても良好であった。しかし、(3)濡れ性(濡れ広がり易さ)は良好ではなかった。すなわち、導電ペーストの粘度が200mPa・sと高いため、誘電体グリーンシート上にスプレー法により導電ペーストを塗布したときの広がりが遅く、均一な膜が形成されなかった。
【0084】
[比較例2]
上記分散液の製造方法により、組成がニッケル90原子%、コバルト10原子%である金属粒子を含む分散液を形成した。錯化剤としてはリンゴ酸を用いた。分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10000)を用いた。金属粒子の平均粒径は250nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールを添加した。ジエチレングリコールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は35mPa・s、表面張力は40mN/mであった。
【0085】
[導電ペーストの特性]
分散性は、他の実施例に比べて、低いものとなった。具体的には、導電ペーストを1週間にわたって静置したとき、金属粒子の殆どが沈降した。すなわち、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は略0質量%であった。
【0086】
[評価1]
実施例1〜5と比較例1とを比較する。
図4に、各導電ペーストの粘度と極性溶媒の粘度との関係を示す。
【0087】
この図において、横軸の極性溶媒の粘度は、各導電ペーストに用いられた極性溶媒の粘度を示している。黒色の印は、実施例および比較例の値を示す。破線は、所定の平均粒径の金属粒子を含む導電ペーストについて、極性溶媒の粘度を異ならせたときの粘度変化の傾向を示す。
【0088】
図4の破線に示されるように、導電ペーストの粘度は極性溶媒の種類に大きく依存する。すなわち、導電ペーストの粘度は、極性溶媒の粘度と略相関関係にある。
また、導電ペースの粘度は、金属粒子の平均粒径にも依存する。すなわち、導電ペーストに含まれる金属粒子の平均粒子が小さくなるほど粘度は高くなる傾向にある。これは、金属粒子が小さくなるほど導電ペーストの単位体積あたりの表面積が増大して金属粒子と極性溶媒との接触面積が増大するためである。特に、平均粒径が10nm以上である金属粒子が含まれる導電ペーストと、平均粒径が10nmよりも小さい金属粒子が含まれる導電ペーストとを比較したときに、上記傾向が顕著となる。
【0089】
導電ペーストに要求される条件は、粘度に関し次の2点である。
第1に、誘電体グリーンシートに対する濡れ性(濡れ広がり易さ)から、導電ペーストの粘度は、1.0〜100mPa・sの範囲にあること。第2に、極性溶媒の選択自由度を可能な限り確保する目的から、溶媒の種類を変更しても、上記粘度範囲(1.0〜100mPa・s)内となること。すなわち溶媒変更可能な導電ペーストとすること。
【0090】
以上の条件を満たすように、金属粒子の平均粒径の好ましい範囲が決められる。
実施例1〜5では、導電ペーストの金属粒子の平均粒径を10nm以上とした。図4によれば、高い粘度の極性溶媒ほど導電ペーストの粘度が増大するが、導電ペーストの粘度は100mP・s以下の値となっている。
【0091】
比較例1では、導電ペーストの金属粒子の平均粒径を5nmとした。極性溶媒はエチレングリコール(粘度:25.7mP・s)を用いている。この条件のとき、導電ペーストの粘度は200mP・sである。導電ペーストの粘度がこのレベルに達すると、実用上の濡れ性の要件を満たさない。
【0092】
以上より、溶剤として水およびアルコール、グリコール系もしくはエーテル系の極性溶媒を含む導電ペーストにおいて濡れ性を確保するためには、金属粒子の平均粒径を10nm以上とすることが好ましい。
【0093】
[評価2]
実施例1〜5と比較例2とを比較する。
実施例1〜5の金属粒子の平均粒径は10nm〜200nmの範囲内にある。この範囲にある金属粒子は、この範囲外の金属粒子に比べて比表面積が大きいため1週間にわたる静置期間をおいても、沈降がない。このことは、比重が若干異なるもののニッケル成分が50原子%以上の金属粒子を含み、かつ水およびアルコール、グリコール系もしくはエーテル系の極性溶媒を含む導電ペーストについても、同様の結果となる。
【0094】
一方、比較例2の金属粒子の平均粒径は250nmである。比較例2で示したように、この範囲の金属粒子が含まれるとき、金属粒子は所定期間内に沈降する。導電ペースト内には分散剤が含まれるが、水およびアルコール、グリコール系もしくはエーテル系の極性溶媒の比重が金属に比べると小さいこともあり、金属粒子の平均粒径が250nm以上になると、粒子に加わる重力の方が分散剤による分散効果に優り、金属粒子が沈降する。以上より、水および極性溶媒を溶剤とする導電ペーストにおいては、平均粒径が200nm以下の金属粒子を用いることが好ましい。
【0095】
[2:水の量を異ならせた例]
次に、他の3つの実施例および2つの比較例について説明する。
実施例6〜8において、平均粒径が所定範囲内にある金属粒子を含み、水の量5〜20質量%とした導電ペーストの例を示す。
【0096】
比較例3,4において、平均粒径が所定範囲内にある金属粒子を含み、水の量が5〜20質量%範囲から外れる導電ペーストの例を示す。
なお、図5に実施例6〜8および比較例3,4の金属粒子の製造条件をまとめた表を示す。図6に実施例6〜8および比較例3,4の金属粒子の特性をまとめた表を示す。
【0097】
[実施例6]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10000)を用いた。金属粒子の平均粒径は20nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の5質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加した。ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は12mPa・s、表面張力は28mN/mであった。
【0098】
[導電ペーストの特性]
以下に示す特性の測定方法、評価方法、および製造条件は実施例1と同じである(以下、実施例7,8、比較例3、4についても同様。)。
【0099】
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0100】
[実施例7]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10000)を用いた。金属粒子の平均粒径は20nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の10質量%となるように調整し、さらに、これに2−プロパノールを添加した。2−プロパノールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は3.0mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0101】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0102】
[実施例8]
上記分散液の製造方法により、組成がニッケル50原子%、コバルト50原子%である金属粒子を含む分散液を形成した。
【0103】
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはポリビニルピロリドン(分子量30000)を用いた。金属粒子の平均粒径は10nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の20質量%となるように調整し、さらに、これにエタノールを添加した。エタノールの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は1.0mPa・s、表面張力は25mN/mであった。
【0104】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。その他の特性、すなわち(2)シートアタック性、(3)濡れ性、(4)内部電極の成形性、(5)積層セラミックコンデンサの成形性についても、実施例1と同様に、いずれの特性についても良好であった。
【0105】
[比較例3]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10000)を用いた。金属粒子の平均粒径は20nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の2質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加した。ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は8.0mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0106】
[導電ペーストの特性]
分散性は、実施例6〜8に比べて、低いものとなった。具体的には、導電ペーストを1週間にわたって静置したとき、金属粒子の殆どが沈降した。すなわち、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は2.0質量%であった。
【0107】
[比較例4]
上記分散液の製造方法によりニッケル99原子%の金属粒子を含む分散液を形成した。
錯化剤としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。分散剤としてはオレフィンマレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量10000)を用いた。金属粒子の平均粒径は20nmであった。分散液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した。そして、遠心分離機により脱水し、水の量が全体の25質量%となるように調整し、さらに、これにジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加した。ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量は、金属粒子の濃度が全体の10質量%となる量とした。このとき、導電ペーストの粘度は6.0mPa・s、表面張力は62mN/mであった。
【0108】
[導電ペーストの特性]
(1)分散性は良好であった。具体的には、1週間静置後の上澄み液の金属粒子の濃度は9.5質量%であった。また(2)シートアタック性についても良好であった。一方、(3)濡れ性は良好ではなかった。すなわち、表面張力が62mN/mと高いため、誘電体グリーンシート上にスプレー法により導電ペーストを塗布したとき、導電ペーストが濡れ十分に拡がらなかった。
【0109】
[評価3]
実施例6〜8と比較例3とを比較する。
金属表面に分散剤を付着させている。分散剤は、水と極性溶媒との混合溶液(溶剤)に金属粒子を分散させる。また、分散剤は、金属粒子を形成するための反応溶液中において、同金属粒子を分散させるものでもある。このため、分散剤は、極性溶媒よりも水との親和性が高いものが用いられている。
【0110】
実施例6〜8に示したように、導電ペーストの水の量を5〜20質量%とした場合、1週間以上の期間にわたって導電ペーストを静置したとき、金属粒子が分散した状態が維持される。一方、比較例3に示したように、導電ペーストの水の量を2質量%とした場合、導電ペーストを静置すると、金属粒子が沈降する。
【0111】
以上より、溶剤として、水およびアルコール、グリコール系もしくはエーテル系の極性溶媒を含む導電ペーストにおいて金属粒子の分散性を確保するためには、水の量を5質量%以上とすることが好ましい。
【0112】
[評価4]
実施例6〜8と比較例4とを比較する。
水は、アルコール、グリコールおよびエーテル等の溶剤に比べて表面張力が高い。水のみを溶剤とする導電ペーストは、水とアルコール、グリコールおよびエーテル等の極性溶媒との混合溶液に比べて誘電体グリーンシートに対する濡れ性が低く、実用性に欠ける。
【0113】
実施例6〜8に示したように、導電ペーストの水の量を5〜20質量%とした場合、表面張力は60mN/m以下となった。また、誘電体グリーンシートに対する塗布方法に関係なく誘電体グリーンシートに対して濡れ性が良好であった。一方、比較例4に示したように、導電ペーストの水の量を25質量%とした場合、表面張力は62mN/mとなった。この導電ペーストは、誘電体グリーンシートに対する濡れ性が低く、導電膜の膜厚が不均一になった。
【0114】
以上より、溶剤として水およびアルコール、グリコール系もしくはエーテル系の極性溶媒を含む導電ペーストにおいて金属粒子の濡れ性を確保するためには、水の量を20質量%以下とすることが好ましい。
【0115】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば以下の効果を得る。
(1)本実施形態では、平均粒径が10〜200nmの金属粒子を用い、かつ導電ペーストの溶剤として水と極性溶媒との混合溶液を用いている。
【0116】
導電ペーストの溶剤として極性溶媒および水を用いるとともに、金属粒子に分散剤を付着させている。分散剤の作用により金属粒子は溶剤中で分散する。一般的に極性溶媒は誘電体グリーンシートのバインダを殆ど溶解しない。
【0117】
すなわち、金属粒子を微粒子化しかつ分散剤を表面に付着することにより極性溶媒に金属粒子を分散させ、導電ペーストの溶剤として極性溶媒を用いることを可能とし、これにより、導電ペーストのベースとして有機樹脂を用いることなく導電ペーストとしての機能を確保している。このような構成により、導電ペーストの溶剤の要件として、導電ペーストの有機樹脂を溶解するという要件は必要とされず、誘電体グリーンシートを構成するバインダを溶解しないことだけが要件となるため、溶剤の選択幅を広げることができる。
【0118】
(2)本実施形態では、液相還元法により形成された金属粒子を用いている。
液相還元法により形成された金属粒子は液相中に分散した状態にあるため、気相で形成されるものに比べて、金属粒子の全体において凝集している金属粒子の割合が少ない。このため、気相法により形成された金属粒子を含む導電ペーストに比べて、金属粒子の粒径のばらつきを小さくすることができる。
【0119】
(3)本実施形態では、極性溶媒として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ターシャルブチルアルコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートにより構成される群から選択される少なくとも1種を用いている。これらの極性溶媒は誘電体グリーンシートのバインダを殆ど溶解しない。すなわち、これらの極性溶媒を用いることにより、バインダの溶解を効果的に抑制することができる。
【0120】
(4)本実施形態では、水の量が導電ペースト全体の5〜20質量%である。
導電ペーストに対して水の比率が高いとき、水の影響により、導電ペーストの表面張力を大きくなる。そこで、水の量を5〜20質量%にする。これにより、導電ペーストの表面張力を小さくすることができる。
【0121】
(5)本実施形態では、導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・sに調整されている。粘度が1.0mPa・sよりも小さいとき、または100mPa・sよりも大きい場合、導電ペーストの吐出量にばらつきが生じる。本実施形態では導電ペーストの粘度を1.0〜100mPa・sに調整するため、粘度を規定しない場合と比べて、塗布量が精確に制御することができる。
【0122】
(6)本実施形態では、導電ペーストの表面張力が15〜60mN/mに調整されている。導電ペーストの表面張力が15mN/mよりも小さいとき導電ペーストが広がり過ぎて斑が生じる。一方、60mN/mよりも大きいとき、導電ペーストが十分に広がらず導電ペーストが厚くなる。そこで、表面張力を15〜60mN/mとする。これにより、表面張力を規定しない場合に比べて、積層セラミックコンデンサの内部電極の層厚を均一にすることができる。
【0123】
(7)本実施形態では、分散剤としてポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン−エチレンオキサイド付加物、アリルエーテルコポリマー、スチレンマレイン酸共重合物、オレフィンマレイン酸共重合物、およびナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のいずれか、またはこれらの混合物を用いる。
【0124】
これらに分散剤は、ニッケルを主成分とする金属粒子を極性溶媒中に分散させて、金属粒子同士の凝縮を抑制する。このため、分散剤を含まない導電ペーストに比べて、導電ペーストにより形成される導電膜を均一にすることができる。
【0125】
(8)本実施形態の導電ペーストの製造方法では、分散剤および金属イオンを含む水溶液中で還元処理することにより金属粒子を含む分散液を形成する工程と、洗浄により分散液の電気伝導度を200μS/cm以下にする工程と、脱水により水の量を全体の5〜20質量%にする工程と、脱水後の分散液に極性溶媒を加える工程とを含む。
【0126】
導電ペーストの製造方法として、分散液に含まれる水分を蒸発させることにより金属粒子を分離し、これに溶剤を加える方法がある。しかし、水分を蒸発させると金属粒子同士の乾燥凝集が生じる。また、乾燥凝集した金属粒子に溶剤を加えたとしても、全部の金属粒子が個々には分散せず、一部は凝集した状態で存在する。
【0127】
この工程によれば、分散液中から金属粒子を分離するとき水を完全に除去するのではなく一部を残存させるため、金属粒子を分散させた状態で、当該金属粒子を極性溶剤に分散させることができる。これにより、導電ペースト中において凝集した金属粒子の割合を小さくすることができる。
【0128】
(9)本実施形態の導電ペーストの製造方法では、当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・sとなる量の極性溶媒を加える。これにより、粘度の幅を規定しない場合と比べて、導電ペーストの量を制御し易いペーストとすることができる。
【0129】
(10)本実施形態の導電ペーストの製造方法では、当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・s、かつ当該導電ペーストの表面張力が15〜60mN/mとなる量の極性溶媒を加える。これにより、このような規定を行わない場合と比べて、導電ペーストの膜厚を均一にすることができる。
【0130】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施例にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また、以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0131】
・上記実施形態では、金属粒子を3価のチタンにより還元することにより形成しているが、これ以外の液相法により形成される金属粒子を導電ペーストの材料として用いることもできる。
【0132】
・上記実施形態では、導電ペーストの溶剤を幾つか挙げているが、これに限定されない。すなわち、導電ペーストの溶剤としては、極性溶媒であって、誘電体グリーンシートのバインダを溶解しないものであれば、採用することができる。
【0133】
・上記実施形態では、金属粒子に付着させる分散剤を幾つか挙げているが、これに限定されない。すなわち、金属粒子の形成するときの溶液において当該金属粒子を分散させるもものであって、かつ導電ペーストの溶剤中において金属粒子を分散させることのできるものであれば、これを採用することができる。
【0134】
・上記実施形態の導電ペーストの製造方法では、分散液から脱水するとき、遠心分離またはろ過等を用いているが、加熱により水を除去してもよい。また、限外ろ過等を用いることもできる。
【0135】
・上記実施形態の導電ペーストの製造方法では、ステップS150において100μS/cmを判定基準として分散液の不純物の濃度を判定しているが、この値は、誘電体グリーンシートの材料等によって適宜変更することができる。例えば、この判定値を200μS/cmとしても積層セラミックコンデンサの特性に殆ど影響は与えない。
【0136】
・上記実施形態の導電ペーストの製造方法では、分散液の洗浄毎に、ステップS150において電気伝導度について判定しているが、最初の洗浄およびその後の数回の洗浄においては当該電気伝導度の測定および判定を省略してもよい。最初の洗浄においては電気伝導度の判定で否定される確率が高いためである。
【0137】
・上記実施形態の導電ペーストの製造方法では、ステップS150において電気伝導度について判定しているがこれを省略することもできる。例えば、実験的に、分散液の不純物が基準値以下となる洗浄回数を決定し、決定した洗浄回数を実行する。これにより、当該電気伝導度の測定および判定ステップ(ステップS140およびステップS150)を省略しても、分散液の電気伝導度を基準値よりも低くすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤と、ニッケルが50原子%以上の金属粒子とを含む積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストであって、
前記金属粒子の平均粒径は10〜200nmであり、
前記溶剤は水と極性溶媒との混合溶液であり、
前記金属粒子の表面に前記溶剤に前記金属粒子を分散させる分散剤が付着している
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項2】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、
前記金属粒子は液相還元法により形成されたものである
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、
前記極性溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ターシャルブチルアルコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートにより構成される群から選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、
前記水の量が全体の5〜20質量%である
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、
当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・sである
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、
当該導電ペーストの表面張力が15〜60mN/mである
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストにおいて、
前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン−エチレンオキサイド付加物、アリルエーテルコポリマー、スチレンマレイン酸共重合物、オレフィンマレイン酸共重合物、およびナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物により構成される群から選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペースト。
【請求項8】
金属粒子と、水と、極性溶媒とを含む積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法であって、
分散剤および金属イオンを含む水溶液中で前記金属イオンを3価チタンにより還元することにより前記金属粒子を含む分散液を形成する工程と、
洗浄により前記分散液の電気伝導度を200μS/cm以下にする工程と、
脱水により水の量を全体の5〜20質量%にする工程と、
脱水後の前記分散液に極性溶媒を加える工程とを含む
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法において、
当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・sとなる量の前記極性溶媒を加える
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法において、
当該導電ペーストの粘度が1.0〜100mPa・s、かつ当該導電ペーストの表面張力が15〜60mN/mとなる量の前記極性溶媒を加える
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用の導電ペーストの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−42104(P2013−42104A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233286(P2011−233286)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】