説明

積層チューブおよびインク供給用チューブ

【課題】 輸送、供給する各種液体の水分蒸発を防止し、かつ外部からの酸素透過を遮断して、滞留する各種液体の変質を長時間にわたって防止することができ、しかも低温下においても柔軟性に優れ、繰り返し折り曲げに対する耐久性、信頼性の高い積層チューブおよびインク供給用チューブを提供する。
【解決手段】 インク供給用チューブ1は、インクジェット記録装置のインクタンクからインクジェットヘッドにインクを供給するためのものである。インク供給用チューブ1は、インクが接する内層と外気が接する外層には曲げ弾性率が300MPa以下の熱可塑性樹脂を配置し、中間層には透湿度が2cc/m2・day・atm以下のフッ素系樹脂を配置し、外層と中間層および内層と中間層の間に接着層を配置している。内層2および外層3は、スチレン系エラストマーで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の液体を輸送、供給するための積層チューブであって、特に印刷機、各種測定機器や観測機器などに備えられるプリンタ部のインク供給用チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタのインク供給用チューブは、特開平9−226153号公報、特開平9−300652号公報記載のように、更に外部からの酸素透過遮断を改良するため中間層にガスバリア性を有する樹脂層を配置した多層構造から構成されている。また、柔軟性と耐屈曲耐久性を備えかつ蒸気バリア性に優れたインク供給用チューブを提供するため内層をフッ素系樹脂とし、その外層をシリコンゴムより構成したものがある。
【0003】
また特開2003−80724公報では、内層は蒸気透過性およびガス透過性に優れるオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂で構成し、外層はオレフィン系ゴム若しくはシリコン系ゴムまたはフッ素系ゴムで構成し、使用するフッ素樹脂には四フッ化エチレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)としたインク供給用チューブが開示されている。
【特許文献1】特開平9−226153号公報
【特許文献2】特開平9−300652号公報
【特許文献3】特開2003−80724公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のインク供給用チューブは、固定設置されるインクタンクと繰り返し往復動する印刷ヘッドとを連係するものであるから、繰り返し折り曲げに対する耐久性の高いものであることを要するが、特に冬場のような低温下(例えば5℃以下)において硬直化するので、低温下においても所要の柔軟性を保持することが十分でなかった。
【0005】
特開平9−226153号公報、特開平9−300652号公報に記載されているプリンタのインク供給用チューブは、このような問題点に鑑み、中間層を酸素バリヤ性が高いエチレン含有量が25〜50モル%、けん化度が96%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物で構成することにより、外部からの酸素透過を遮断して、滞留するインクの変質を長時間にわたって防止し、しかも中間層を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に相溶性および低温特性の良好なエラストマー成分をブレンドすることにより、低温下においても柔軟性に優れ、繰り返し折り曲げに対する耐久性を高めたものであったが、各種機器類のメンテナンスフリーのさらなる要求に答えるには、不十分であった。
【0006】
また特開2003−80724公報に記載されているプリンタのインク供給用チューブは、内層は蒸気透過性およびガス透過性に優れるオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂で構成し、外層はオレフィン系ゴム若しくはシリコン系ゴムまたはフッ素系ゴムで構成し、使用するフッ素樹脂には四フッ化エチレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用されているので、水分透過性および柔軟性に対する改善は見られるが、透明性、酸素透過性は要求に対して満足できるものではなかった。特に、バリア層としてフッ素樹脂を内層に設ける場合には繰り返し折り曲げに対する耐久性および成形性の観点からその膜厚を大きく設定する必要があり、酸素バリア性の良好な比較的曲げ弾性率の高いフッ素樹脂を用いると逆に柔軟性が低下するという関係からこれら複数の要求を同時に満たすものは得られていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、中間層に水分並びに酸素の遮断性に優れたフッ素樹脂を比較的膜厚を低くして配置し、軟質樹脂からなる内外層と密に接着することにより、輸送、供給する各種液体の水分蒸発を防止し、かつ外部からの酸素透過を遮断して、滞留する各種液体の変質を長時間にわたって防止することができ、しかも低温下においても柔軟性に優れ、繰り返し折り曲げに対する耐久性、信頼性の高い積層チューブおよびインク供給用チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る積層チューブは、共押出しされてなる少なくとも5層構造からなる積層チューブであって、曲げ弾性率が300MPa以下の熱可塑性樹脂からなる内層および外層と、平均膜厚が50μm以下のフッ素樹脂からなる中間層と、内層と中間層および外層と中間層の間に接着層を有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項2に係る積層チューブは、請求項1記載の構成において、中間層は透湿度が15g/m2・day(25μm・40℃−90%RH)以下であるとともに、酸素透過量が50cc/m2・day・atm(25μm・25℃−dry)以下のフッ素樹脂からなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項3に係る積層チューブは、請求項1または2記載の構成において、フッ素樹脂からなる中間層に接着層を介して50μm以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるガスバリア層が積層されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項4に係る積層チューブは、請求項1、2または3記載の構成において、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)からなる中間層の外側にエチレン含有量が45モル%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるガスバリア層が接着層を介して積層されており、積層チューブの肉厚に対して前記中間層およびガスバリア層の合計肉厚の比率が20%以下であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項5に係る積層チューブは、請求項1、2、3または4記載の構成において、内外層を構成する樹脂の脆弱温度がマイナス30℃以下であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項6に係る積層チューブは、請求項5記載の構成において、内層および外層がオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の軟質性の樹脂からなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項7に係る積層チューブは、請求項1、2、3または4記載の構成において、接着層が少なくともスチレン系エラストマーを含有するオレフィン系樹脂であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項8に係るインク供給用チューブは、請求項1、2、3、4、5または6記載の積層チューブにおいて、インクジェット記録装置のインクタンクからインクジェットヘッドにインクを供給するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中間層に水分並びに酸素の遮断性に優れたフッ素樹脂を比較的膜厚を低くして配置し、軟質樹脂からなる内外層と密に接着することにより、輸送、供給する各種液体の水分蒸発を防止し、かつ外部からの酸素透過を遮断して、滞留する各種液体の変質を長時間にわたって防止することができ、しかも低温下においても柔軟性に優れ、繰り返し折り曲げに対する耐久性、信頼性の高い積層チューブおよびインク供給用チューブを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明に係るインク供給用チューブの一実施の形態を示す拡大断面図である。
【0018】
図1において、1はインク供給用チューブであり、インク供給用チューブ1は、内層2、外層3、中間層5、接着層4−1、4−2の5層構造をなしている。6はインク通路である。内層2、接着層4−1、中間層5、接着層4−2、外層3の各膜厚は、150〜300:3〜25:5〜50:3〜25:150〜300(μm)の範囲が好適である。なお、内層2、外層3、中間層5、接着層4−1、4−2の膜厚はこれに限定されるものでない。
【0019】
インク供給用チューブ1は、インクが接する内層2と外気が接する外層3には曲げ弾性率が300MPa以下(ASTM−D790・23℃)の軟質の熱可塑性樹脂を配置し、中間層5には平均膜厚が50μm以下でフッ素系樹脂を配置してあり、内層2と中間層5および外層3と中間層5の間にはそれぞれ接着層4−1、4−2を配置してある。
【0020】
図2は、本発明に係るインク供給用チューブの他の実施の形態を示す拡大断面図である。
【0021】
図2において、1はインク供給用チューブであり、インク供給用チューブ1は、内層2、外層3、中間層5、ガスバリア層7、接着層4−1、4−2、4−3の7層構造をなしている。6はインク通路である。内層2、接着層4−1、中間層5、接着層4−2、ガスバリア層7、接着層4−3、外層3の各膜厚は、150〜300:3〜25:5〜50:3〜25:5〜50:3〜25:150〜300(μm)の範囲が好適である。なお、内層2、外層3、中間層5、ガスバリア層7、接着層4−1、4−2、4−3の膜厚はこれに限定されるものでない。
【0022】
内層2および外層3は、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなり、これら樹脂の脆弱温度はマイナス30℃以下である。また、本発明において、オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、プロピレン−ブテン共重合体ゴム、ブタジエン−スチレン共重合体ゴムの水素添加物など、スチレン系エラストマーとしてはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、およびこれらの水素添加物などが好適に使用される。
【0023】
中間層5は、透湿度が15g/m2・day(25μm・40℃−90%RH)以下であるとともに、酸素透過量が50cc/m2・day・atm(25μm・25℃−dry)以下のフッ素系樹脂である。
【0024】
本発明において、フッ素樹脂は、水蒸気バリア性および酸素バリア性の良好なものであれば特に限定されるものではないが、共押出し成形により積層チューブを形成する観点からフッ素樹脂の融点は好ましくは270℃以下、さらに好ましくは220℃以下のものが用いられる。また、本発明において用いられるフッ素樹脂は曲げ弾性率1000〜2200MPa(ASTM−D790・23℃)の比較的高い範囲のものが用いられる。特に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)が好適である。フッ素樹脂はフッ化ビニリデンまたはクロロトリフルオロエチレンを主体としたポリマーであり、ポリフッ化ビニリデンまたはポリクロロトリフルオロエチレンのホモポリマーに限らず、フッ化ビニリデンまたはクロロトリフルオロエチレンを構成要素としたクロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、エチレン−フッ化ビニリデン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などを含み、ポリフッ化ビニリデンまたはポリクロロトリフルオロエチレンと他の樹脂との混合物であってもよい。
【0025】
ガスバリア層7は、エチレン含有量が45モル%以下、けん化度が96%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を用いるのが好適である。さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に柔軟性および低温特性を向上させるためにエラストマー成分をブレンドすることが可能であり、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、変性ポリオレフィン樹脂などを用いることができる。特に、高融点ポリエステルハードセグメントとポリエーテルソフトセグメントがブロック状に結合した共重合体であるポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体などのエステル系エラストマーが好適である。また、変性ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィンの一部または全部が不飽和カルボン酸または誘導体でグラフト変性したポリオレフィン、エチレンと不飽和カルボン酸もしくはそのエステルとの共重合体、アイオノマー、エチレン含有量が50モル%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物またはその部分けん化物、さらにはエチレン−酢酸ビニル共重合体などの樹脂である。
【0026】
接着層4−1、4−2は中間層と内外層とがそれぞれ密着されるものであればよく、適宜公知の接着性の熱可塑性樹脂を用いることができるが、特にインク供給用チューブとして用いられる場合には繰り返し折り曲げによって積層されている各層において剥離が生じ易く、さらにフッ素樹脂は一般に非粘着性であり他の樹脂との接着性が乏しいという問題を有している。このため接着樹脂として最もよく用いられる酸変性のオレフィン樹脂等では接着性が劣り、積層構造のインク供給用チューブとして使用した場合には経時的に層間の剥離が生じ、インク供給用チューブとしての性能が低下することとなる。このため接着層を構成する樹脂としては特に限定されるものではないが酸変性またはエポキシ化されたオレフィン樹脂にSEBSゴム等のスチレン系エラストマーを含有させたものが好適に用いられる。また、接着層4−3は外層とガスバリア層とがそれぞれ密着されるものであればよく、無水マレイン酸変性ポリエチレンなどの変性ポリオレフィンを用いることができる。
【0027】
これにより、比較的剛性の高い水蒸気バリア性および酸素バリア性の良好なフッ素樹脂を50μm以下の薄肉の中間層とし、軟質樹脂からなる内外層を接着層を介して一体に形成したことで各種の要求を満足した積層チューブを得ることができる。
【0028】
また、中間層とガスバリア層とが接着層を介して一体に積層される場合には、フッ素樹脂からなる中間層およびエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるガスバリア層をともに平均膜厚が50μm以下とすることが積層チューブの柔軟性の観点から好適であり、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物は一般にフッ素樹脂よりも柔軟性に劣ることからガスバリア層は中間層よりも膜厚が薄くなるように積層させることで、水蒸気バリア性および酸素バリア性を向上させかつ良好な柔軟性を維持することができる。
【実施例】
【0029】
次に実施例を示す。この実施例において、インク供給用チューブ1は、外径3.0mm、内径2.0mm、肉厚500μmである。インク供給用チューブ1は、公知の方法により共押出成形された5層構造若しくは7層構造からなる。
【0030】
[実施例1]
内層2:スチレン系エラストマー(225μm)/接着層4−1:接着剤樹脂(10μm)/中間層5:フッ素樹脂(30μm)/接着層4−2:接着剤樹脂(10μm)/外層3:スチレン系エラストマー(225μm)である。スチレン系エラストマーはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSゴム)、フッ素樹脂はポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を用い、接着剤樹脂はエチレン68wt%、プロピレン25wt%、酢酸ビニル7wt%、無水マレイン酸1wt%未満を含有するポリオレフィン樹脂にスチレン系エラストマー(SEBSゴム)を10wt%混合したものを用いた。
【0031】
[実施例2]
内層2:直鎖状低密度ポリエチレン(230μm)/接着層4−1:接着剤樹脂(10μm)/中間層5:フッ素樹脂(20μm)/接着層4−2:接着剤樹脂(10μm)/外層3:直鎖状低密度ポリエチレン(230μm)である。フッ素樹脂はクロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体を用い、接着剤樹脂は実施例1と同様とした。
【0032】
[実施例3]
内層2:直鎖状低密度ポリエチレン(230μm)/接着層4−1:接着剤樹脂(10μm)/中間層5:フッ素樹脂(20μm)/接着層4−2:接着剤樹脂(10μm)/ガスバリア層(10μm)/接着層4−3:接着剤樹脂(10μm)/外層3:直鎖状低密度ポリエチレン(210μm)である。フッ素樹脂はポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を用い、ガスバリア層はエチレン含有量が32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)を用いた。
【0033】
[実施例4]
内層2:直鎖状低密度ポリエチレン(230μm)/接着層4−1:接着剤樹脂(10μm)/中間層5:フッ素樹脂(30μm)/接着層4−2:接着剤樹脂(10μm)/ガスバリア層(30μm)/接着層4−3:接着剤樹脂(10μm)/外層3:直鎖状低密度ポリエチレン(180μm)である。ガスバリア層はエチレン含有量が32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)100重量部に対して、エチレン−アクリル酸共重合体15重量部およびポリエステル系エラストマー7重量部をブレンドした樹脂を用いた。それ以外の樹脂は実施例3と同様とした。
【0034】
上記実施例より得られた積層チューブは耐折り曲げ試験の結果、層間剥離または「ささくれ」が生じることがなく良好な折り曲げ耐久性を示した。また、実施例3、4においては折り曲げ耐久性を実質的に低下させることなく酸素バリア性を向上することができた。
【0035】
[比較例1]
内層:直鎖状低密度ポリエチレン(200μm)/接着層:接着剤樹脂(10μm)/中間層:フッ素樹脂(80μm)/接着層:接着剤樹脂(10μm)/外層:直鎖状低密度ポリエチレン(200μm)である。フッ素樹脂はポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用い、接着剤樹脂は実施例1と同様とした。
【0036】
[比較例2]
内層:フッ素樹脂(75μm)/外層:シリコンゴム(725μm)である。フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いた。
【0037】
上記比較例より得られた積層チューブは、比較例1にあっては耐折り曲げ試験の結果、柔軟性が不足し、「ささくれ」の発生がみられた。さらに比較例2にあっては柔軟性は良好であったが、酸素バリア性が劣る結果となった。
【0038】
インク供給用チューブ1の耐折り曲げ試験は、ヨシミツ科学製のMIT型耐折強さ試験機を使用し、5℃の雰囲気内において、角度を135°に毎分135回のサイクルで50万回まで折り曲げる実験をし、「ささくれ」が発生するまでの回数を測定するとともに、折り曲げ負荷もみた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るインク供給用チューブの一実施の形態を示す拡大断面図である。
【図2】本発明に係るインク供給用チューブの他の実施の形態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 インク供給用チューブ
2 内層
3 外層
4−1、4−2 接着層
5 中間層
6 インク通路
7 ガスバリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共押出しされてなる少なくとも5層構造からなる積層チューブであって、曲げ弾性率が300MPa以下の熱可塑性樹脂からなる内層および外層と、平均膜厚が50μm以下のフッ素樹脂からなる中間層と、内層と中間層および外層と中間層の間に接着層を有することを特徴とする積層チューブ。
【請求項2】
中間層は透湿度が15g/m2・day(25μm・40℃−90%RH)以下であるとともに、酸素透過量が50cc/m2・day・atm(25μm・25℃−dry)以下のフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の積層チューブ。
【請求項3】
フッ素樹脂からなる中間層に接着層を介して平均膜厚が50μm以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるガスバリア層が積層されていることを特徴とする請求項1または2記載の積層チューブ。
【請求項4】
ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)からなる中間層の外側にエチレン含有量が45モル%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるガスバリア層が接着層を介して積層されており、積層チューブの肉厚に対して前記中間層およびガスバリア層の合計肉厚の比率が20%以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の積層チューブ。
【請求項5】
内外層を構成する樹脂の脆弱温度がマイナス30℃以下であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の積層チューブ。
【請求項6】
内層および外層がオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の軟質性の樹脂からなることを特徴とする請求項5記載の積層チューブ。
【請求項7】
接着層が少なくともスチレン系エラストマーを含有するオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の積層チューブ。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の積層チューブは、インクジェット記録装置のインクタンクからインクジェットヘッドにインクを供給するためのものであることを特徴とするインク供給用チューブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−38622(P2007−38622A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251635(P2005−251635)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】