説明

積層フィルム及びその製造方法、並びに偏光板

【課題】耐熱性、耐湿性及び滑り性に優れ、フィルム面内の位相差が小さい積層フィルムを提供する。
【解決手段】フィルム面内の位相差が5nm以下である積層フィルムを、脂環式ポリオレフィン樹脂Aを含む層aと、脂環式ポリオレフィン樹脂B及び微粒子Cを含む層bとを設け、層bが少なくとも一方の最表面にあるようにし、微粒子Cの数平均粒径を0.1μm〜1.0μm、微粒子Cの樹脂Bに対する重量比を0.05%〜1.00%にし、樹脂Aのガラス転移温度Tg、樹脂Bのガラス転移温度Tgとした時、Tg+10℃<Tg、Tg>140℃にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム及びその製造方法、並びに、前記の積層フィルムを備えた偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などに用いる偏光板は、通常、偏光フィルムと、前記偏光フィルムを保護するための偏光板保護フィルムとを有する。偏光板保護フィルムとしては、従来、トリアセチルセルロース(以下、適宜「TAC」という。)製のフィルムが用いられてきた(特許文献1参照)。
しかし、TAC製の偏光板保護フィルムは耐熱性及び耐湿性が十分ではない。このため、TAC製の偏光板保護フィルムを有する偏光板は、高温又は高湿の雰囲気下で長時間使用すると、偏光度の著しい低下、偏光フィルムと偏光板保護フィルムとの分離、TACの加水分解による透明性の低下等を生じ、性能が低下する場合があった。そこで、このような偏光板保護フィルムの耐熱性及び耐湿性を改善する観点から、出願人は、特許文献2においてノルボルネン系樹脂を用いた偏光板保護フィルムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3499974号公報
【特許文献2】特開2005−181615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載された偏光板保護フィルムは滑り性が低いものであった。このため、偏光板保護フィルムはハンドリング性に乏しく、搬送や保存のためにロール状の巻き取ることが困難であった。また、従来の偏光板保護フィルムは滑り性が低いために傷つきやすいフィルムとなっていた。さらに、通常は偏光板保護フィルムにはフィルム面内の位相差(レターデーションともいう。)が小さいことが要求されるが、従来の偏光板保護フィルムでは位相差を小さくすることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであって、耐熱性、耐湿性及び滑り性に優れ、且つ、フィルム面内の位相差が小さい積層フィルム及びその製造方法、並びに、その積層フィルムを備えた偏光板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、脂環式ポリオレフィン樹脂を含む層と、所定のガラス転移温度を有する別の脂環式ポリオレフィン樹脂及び所定の微粒子を含む層とを有する積層フィルムが、耐熱性、耐湿性及び滑り性のいずれにも優れ、且つフィルム面内の位相差が小さいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔5〕を要旨とするものである。
【0007】
〔1〕フィルム面内の位相差が5nm以下である積層フィルムであって、脂環式ポリオレフィン樹脂Aを含む層aと、脂環式ポリオレフィン樹脂B及び微粒子Cを含む層bとを有し、前記層bは前記積層フィルムの少なくとも一方の最表面にあって、前記微粒子Cの数平均粒径が0.1μm〜1.0μm、前記微粒子Cの前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bに対する重量比が0.05%〜1.00%であり、前記脂環式ポリオレフィン樹脂Aのガラス転移温度Tg、前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度Tgとした時、Tg+10℃<Tg、かつTg>140℃である、積層フィルム。
〔2〕前記層bの厚さが1μm〜5μmである、〔1〕記載の積層フィルム。
〔3〕前記層aが前記積層フィルムの最表面に位置せず、前記層aが紫外線吸収剤を含有し、前記積層フィルムの波長250nm〜360nmの光線透過率が0.1%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の積層フィルム。
〔4〕前記脂環式ポリオレフィン樹脂Aと、前記微粒子Cを含む前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bとをキャストロール上に共押し出しする工程を有する〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法であって、前記微粒子Cを含む前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bが前記キャストロールと接するようにする、積層フィルムの製造方法。
〔5〕偏光フィルムと、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の積層フィルムとを備える偏光板。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる積層フィルムによれば、耐熱性、耐湿性及び滑り性に優れ、且つ、フィルム面内の位相差が小さい積層フィルムを提供できる。
本発明にかかる積層フィルムの製造方法によれば、耐熱性、耐湿性及び滑り性に優れ、且つ、フィルム面内の位相差が小さい積層フィルムを製造することができる。
本発明にかかる偏光板によれば、前記本発明にかかる積層フィルムの優れた耐熱性及び耐湿性を活かした良好な偏光板を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示物や実施形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる例示物や実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
【0010】
[1.積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、少なくとも、脂環式ポリオレフィン樹脂Aを含む層aと、脂環式ポリオレフィン樹脂B及び微粒子Cを含む層bとを有する。また、本発明の積層フィルムは、層a及び層b以外にその他の層を有していてもよい。なお、脂環式ポリオレフィン樹脂Aの符号「A」、層aの符号「a」、脂環式ポリオレフィン樹脂Bの符号「B」、微粒子Cの符号「C」、及び、層bの符号「b」は、いずれもその符号が付された構成要素を他の構成要素から区別するために付した符号であり、構成要素の区別以外の意味を有するものではない。
【0011】
[1−1.層a]
層aは、脂環式ポリオレフィン樹脂Aを含む層である。層aが脂環式ポリオレフィン樹脂Aを有することにより、本発明の積層フィルムは、耐熱性及び耐湿性を高めることができる。
【0012】
(1)組成
層aに含まれる脂環式ポリオレフィン樹脂Aとは、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するポリオレフィン(以下、適宜「脂環式ポリオレフィン」という。)を含む樹脂である。中でも、機械強度および耐熱性が向上する観点から、脂環式ポリオレフィンの中でも主鎖に脂環式構造を含有するポリオレフィンが好ましい。
【0013】
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度および耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、更にその中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
【0014】
脂環式構造を構成する炭素原子数に格別な制限はないが、通常4個以上、好ましくは5個以上であり、通常30個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数が前記の範囲に収まるようにすることで、本発明の積層フィルムの機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされ、好適である。
【0015】
脂環式ポリオレフィン中に占める脂環式構造を含有する繰り返し単位の割合は、本発明の積層フィルムの使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは55重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィンに占める脂環式構造を含有する繰り返し単位の割合が前記の範囲にあると、本発明の積層フィルムの透明性および耐熱性を向上させることができる。
【0016】
脂環式ポリオレフィンとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
【0017】
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環重合体又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加重合体又はそれらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、本発明の積層フィルムの、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性を向上させることができるため、特に好適に用いることができる。
【0018】
前記のノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などが挙げられる。なお、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、前記の置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、極性基などが挙げられる。極性基としては、例えば、ヘテロ原子、およびヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。なお、これらの置換基は、1個が単独で環に結合していてもよく、2個以上が環に結合していてもよい。さらに、2個以上の置換基が環に結合する場合、置換基は同一種類の置換基であってもよく、相異なる2種類以上の置換基であってもよい。
【0019】
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体;などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
【0020】
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。なお、これらの単量体は、1種類で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
【0021】
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及び、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素添加物は、例えば、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素添加触媒を含有させ、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
【0022】
ノルボルネン系重合体の中でも、繰り返し単位として、ビシクロ〔3.3.0〕オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造(以下、適宜「X構造」という。)と、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカン−7,9−ジイル−エチレン構造(以下、適宜「Y構造」という。)との一方又は両方を有するものが好ましい。中でも、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系重合体の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、X構造の含有割合とY構造の含有割合との比が、X構造:Y構造の重量比で100:0〜40:60であるものがより好ましい。このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる積層フィルムを得ることができる。
【0023】
脂環式ポリオレフィン樹脂Aは、1種類の脂環式ポリオレフィンを単独で含んでいてもよく、2種類以上の脂環式ポリオレフィンを任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
また、脂環式ポリオレフィン樹脂Aは、本発明の効果を著しく損なわない限り脂環式ポリオレフィン以外にその他の重合体を含んでいても良いが、本発明の利点を顕著に発揮させる観点からは、その他の重合体の量は少ないことが好ましい。その他の重合体の具体的な量は積層フィルムの用途や厚さ等にもよるが、例えば脂環式ポリオレフィンの100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。中でも、その他の重合体は含まないことが特に好ましい。
【0024】
また、脂環式ポリオレフィン樹脂Aは紫外線吸収剤を含有していてもよい。これにより、層aに紫外線吸収剤が含有され、本発明の積層フィルムは紫外線に対する耐性を獲得することができる。このため、例えば偏光板保護フィルム等の光学フィルムとして本発明の積層フィルムを用いる場合、本発明の積層フィルム及びこの積層フィルムに保護される偏光板等の保護対象を、紫外線による劣化から保護することが可能となる。
【0025】
紫外線吸収剤のとしては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤などが使用可能である。中でも、紫外線吸収剤としては、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が好適に用いられる。なお、紫外線吸収剤は、1種類で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0026】
脂環式ポリオレフィン樹脂Aに紫外線吸収剤を含有させる方法としては、例えば、紫外線吸収剤を予め脂環式ポリオレフィン樹脂A中に配合する方法;紫外線吸収剤を高濃度に含有するマスターバッチを用いる方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられる。
【0027】
ただし、脂環式ポリオレフィン樹脂A中の紫外線吸収剤の濃度は、0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、8.0重量%以下が好ましい。紫外線吸収剤の濃度を前記の範囲に収めることにより、本発明の積層フィルムの耐熱性を悪化させること無く紫外線を効率的に遮断することができる。紫外線吸収剤の濃度が前記範囲の下限未満であると、波長250nm〜360nmにおける光線透過率が大きくなり、本発明の積層フィルムを偏光板保護フィルムとして使用した場合に偏光板の偏光度が低下する可能性がある。一方、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限を超えると、短波長側の光線透過率が小さくなり、積層フィルムの黄色味が強くなりすぎる可能性がある。
【0028】
また、層aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきは、全面で±0.1重量%以内であることが好ましい。これにより、初期フィルムの色調ムラがなく、また、長期使用後の紫外線による劣化が均一に起こり、本発明の積層フィルムを液晶表示装置に実装したときに色調ムラが起こりにくくなる。層aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきが全面で±0.1重量%を超えると、色調のムラがはっきりと視認でき、色調不良となる可能性がある。また、長期使用後には紫外線による劣化が不均一となり、色調不良が更に顕著になる可能性がある。
【0029】
なお、層aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきは以下の手順で測定する。まず分光光度計により積層フィルムの紫外線透過率を測定する。次に、接触式厚み計により積層フィルムの厚さを測定する。次いで、測定部の断面を光学顕微鏡により観察し、層aと層a以外の層との厚さの比を求め、層aの厚さを求める。そして、紫外線透過率と層aの厚さとから紫外線吸収剤の濃度を、下記式[1]から算出する。
式[1]:C=−log(0.01T)/K/L
式[1]において、Cは紫外線吸収剤の濃度(重量%)、Tは光線透過率(%)、Kは吸光係数(−)、Lは積層フィルムの厚さ(μm)である。以上の操作を積層フィルムの縦方向及び横方向で一定間隔毎に行い、これらの測定値の算術平均値をとりこれを平均濃度Caveとする。そして、測定した濃度Cの内最大値をCmax、最小値をCminとして以下の式から算出する。
濃度のばらつき(%) = (Cmin−Cave)/Cave×100、又は、
濃度のばらつき(%) = (Cmax−Cave)/Cave×100
ここで前記Cmin−CaveおよびCmax−Caveの絶対値が異なる場合は、絶対値の大きいほうを採用する。
【0030】
層aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきを全面で±0.1重量%とするための方法としては、(i)乾燥させた脂環式ポリオレフィン樹脂Aと紫外線吸収剤とを混合させ、次いで、その混合物を押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機へ供給して溶融押出する方法;(2)乾燥機付きホッパーに脂環式ポリオレフィン樹脂Aを投入し、また別の投入口から紫外線吸収剤を投入し、脂環式ポリオレフィン樹脂A及び紫外線吸収剤をそれぞれフィーダーで計量しながら二軸押出機へ供給して溶融押出する方法;などが挙げられる。
【0031】
さらに、脂環式ポリオレフィン樹脂Aは、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、上述した脂環式ポリオレフィン及び紫外線吸収剤以外にもその他の成分を含有していてもよい。その例を挙げると、酸化防止剤、熱安定剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤などが挙げられる。これらその他の成分は、1種類が含まれていても良く、2種類以上が任意の比率及び組み合わせで含まれていてもよい。なお、後述する脂環式ポリオレフィン樹脂Aのガラス転移温度Tgとは、上記の通り紫外線吸収剤や他の成分を含む場合には、当該他の成分等を含む樹脂組成物のガラス転移温度のことである。
【0032】
脂環式ポリオレフィン樹脂Aの重量平均分子量は、本発明の積層フィルムの使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(脂環式ポリオレフィン樹脂Aが溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常100,000以下、好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあることにより、本発明の積層フィルムの機械的強度及び成型加工性などが高度にバランスされる。
【0033】
脂環式ポリオレフィン樹脂Aの分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、通常10.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下である。
【0034】
脂環式ポリオレフィン樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、本発明の積層フィルムの使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、通常250℃以下である。Tgがこのような範囲にあると、本発明の積層フィルムが高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
【0035】
脂環式ポリオレフィン樹脂Aは、光弾性係数の絶対値が10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。なお、光弾性係数Coptは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、Copt=Δn/σで表される値である。脂環式ポリオレフィン樹脂Aの光弾性係数がこのような範囲にあると、本発明の積層フィルムのフィルム面内の位相差のばらつきを小さくすることができる。
【0036】
また、層aは、本発明の効果を著しく損なわない限り、脂環式ポリオレフィン樹脂A以外の成分を含む層であってもよい。そのような成分の例を挙げると、無機微粒子などが挙げられる。ただし、本発明の効果を本発明の利点を顕著に発揮させる観点からは、脂環式ポリオレフィン樹脂Aや前記紫外線吸収剤等の好適に含有される成分を除く他の成分の量は少ないことが好ましい。前記他の成分の具体的な量は積層フィルムの用途や厚さ等にもよるが、例えば脂環式ポリオレフィン樹脂Aの100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。
【0037】
(2)寸法及び位置
層aの厚さは、紫外線吸収剤を含有させる場合は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、通常30μm以下、好ましくは25μm以下である。層aの厚さを前記範囲の下限以上にすることで、十分な紫外線吸収性能を実現することができる。上限以下にすることで、積層フィルムの位相差を小さくできる。
【0038】
層aの厚さのばらつきは全面で±1μm以内であることが好ましい。層aの厚さのばらつきが全面で±1μm以内であることにより、本発明の積層フィルムの色調のばらつきが小さくなる。また、長期使用後の色調変化も均一となるため、長期使用後の色調ムラも起こり難い。
層aの厚さは、市販の接触式厚さ計を用いて、総厚を測定し、厚さ測定部分を切断し断面を光学顕微鏡で観察して、層aと他の層との厚さ比を求めて、その比率より層aの厚さを計算する。以上の操作を積層フィルムの横方向及び縦方向において一定間隔毎に行う。
層aの厚さのばらつきは、上記で測定した測定値の算術平均値を基準厚さTaveとし、測定した厚さTの内最大値をTmax、最小値をTminとして以下の式から算出する。
厚さのばらつき(μm)=Tmin−Tave、又は
厚さのばらつき(μm)=Tmax−Tave
ここで前記Tmin−Tave、及びTmax−Taveの絶対値が異なる場合は、絶対値の大きいほうをとる。
【0039】
層aは、本発明の積層フィルムにおいて、最表面には位置しないことが好ましい。すなわち、層aの両面には別の層(後述する層b及びその他の層など)が形成されていることが好ましい。中でも、層aの両面に後述する層bが形成されることで層b、層a及び層bをこの順に有する積層フィルムとすることが特に好ましい。これにより、層aに含まれる成分を層b等の別の層によって保護することが可能となるからである。中でも、層aが紫外線吸収剤を含有する場合、積層フィルムの成形時における紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できることから、特に好ましい。
【0040】
[1−2.層b]
層bは、脂環式ポリオレフィン樹脂B及び微粒子Cを含む層である。層bが脂環式ポリオレフィン樹脂Bを有することにより、本発明の積層フィルムは、耐熱性及び耐湿性を高めることができる。さらに通常は、層bは脂環式ポリオレフィン樹脂Bを含むことにより層aとの親和性が高くなるため、層aと層bとの接着強度を高めることも可能である。
【0041】
(1)組成
層bに含まれる脂環式ポリオレフィン樹脂Bは、そのガラス転移温度以外は、脂環式ポリオレフィン樹脂Aと同様である。なお、脂環式ポリオレフィン樹脂Bと脂環式ポリオレフィン樹脂Aとは、ガラス転移温度を除き、同じでもよく、異なっていてもよい。ただし紫外線吸収剤のブリードアウトを防止する観点からは、脂環式ポリオレフィン樹脂Bは紫外線吸収剤の含有量が少ないことが好ましく、紫外線吸収剤を含まないことがより好ましい。なお、後述する脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度Tgとは、上記の通り微粒子Cや他の成分を含む場合には、当該他の成分等を含む樹脂組成物のガラス転移温度のことである。
【0042】
脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、Tg+10℃より高い温度であり、好ましくはTg+15℃より高い温度、より好ましくはTg+20℃より高い温度である。さらに、脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度Tgは、140℃より高い温度であり、好ましくは150℃より高い温度であり、より好ましくは160℃より高い温度である。このように脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度Tgを脂環式ポリオレフィン樹脂Aのガラス転移温度Tgよりも高くすることにより、本発明の積層フィルムのフィルム面内の位相差を小さくすることができる。これは、相対的に高いガラス転移温度Tgを有する脂環式ポリオレフィン樹脂Bを含む層bによって相対的に低いガラス転移温度Tgを有する脂環式ポリオレフィン樹脂Aを含む層aを保護ないし支持しながら積層フィルムを成形できるためである。例えばダイを用いた共押し出しにより積層フィルムを製造する場合を例に挙げて説明すると、いわば層bを層aの保護層として機能させながら層a及び層bを共押し出し成形することにより、共押し出し後の樹脂硬化時の温度を層bにあわせて高く設定できるため、層aにおいて硬化収縮が生じにくくなり、位相差の発生を抑制できることになる。また、本発明の積層フィルムが層b、層a及び層bをこの順に有する構成を有する場合、層aの両側が層bで挟み込まれる構造になるため、層aが紫外線吸収剤等の蒸発しやすい成分を含んでいた場合でも、その蒸発しやすい成分のブリードアウトによりダイが汚染されることを防止できる。
なお、Tgの上限に制限は無いが、通常Tg+100℃以下の温度、好ましくはTg+80℃以下の温度である。また、通常200℃以下、好ましくは180℃以下である。
【0043】
微粒子Cは、無機粒子でもよく、有機粒子でもよく、無機材料及び有機材料を組み合わせた複合粒子でもよい。中でも無機粒子が好ましく、特に、金属酸化物の微粒子がより好ましい。その具体例を挙げると、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化スズ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン等が挙げられる。中でも、酸化チタン−酸化ケイ素系の金属酸化物は、屈折率の調整が容易である点から特に好ましい。これらの微粒子は、例えば特開平7−2520公報に記載の手法を用いて製造することができる。なお、微粒子Cは、1種類のものを用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0044】
微粒子Cの数平均粒径は、0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上であり、1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下である。微粒子Cの数平均粒径を前記範囲の下限以上にすることで、本発明の積層フィルムの滑り性を高めることが可能となる。また、微粒子Cの数平均粒径を前記範囲の上限以下とすることで、本発明の積層フィルムのヘイズを抑制することができる。
なお微粒子Cの数平均粒径は、電子顕微鏡画像によって測定できる。
【0045】
微粒子Cの屈折率は、通常1.45以上、好ましくは1.47以上、より好ましくは1.50以上、特に好ましくは1.52以上であり、通常1.60以下、好ましくは1.57以下、より好ましくは1.55以下である。微粒子Cの屈折率をこの範囲に収めることにより、微粒子Cによる本発明の積層フィルムの透明性の低下を避けることができる。
【0046】
層bにおいて、微粒子Cの脂環式ポリオレフィン樹脂Bに対する重量比は、0.05%以上、好ましくは0.10%以上であり、1.00%以下、好ましくは0.80%以下である。微粒子Cの前記重量比を前記範囲の下限以上にすることで、本発明の積層フィルムの滑り性を高めることが可能となる。また、微粒子Cの前記重量比を前記範囲の上限以下とすることで、積層フィルムの表面に微粒子Cの脱落による白粉が発生して傷つきが生じたり、層bの強度が低下したりすることを防止できる。
【0047】
また、層bは、本発明の効果を著しく損なわない限り、脂環式ポリオレフィン樹脂B及び微粒子C以外の成分を含む層であってもよい。ただし、本発明の効果を本発明の利点を顕著に発揮させる観点からは、脂環式ポリオレフィン樹脂Bや前記微粒子C等の好適に含有される成分を除く他の成分の量は少ないことが好ましい。前記他の成分の具体的な量は積層フィルムの用途や厚さ等にもよるが、例えば脂環式ポリオレフィン樹脂Bに対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。
【0048】
(2)寸法及び位置
層bの厚さは、通常1μm以上、好ましくは2μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは4μm以下である。層bの厚さを前記範囲の下限以上にすることで本発明の積層フィルムの耐熱性を十分に高くすることができ、上限以下にすることで本発明の積層フィルムの位相差を小さく抑制し、且つ、ヘイズを小さくすることができる。なお、層bの厚さは層aの厚さと同様にして測定できる。ここで、前記層bの厚さとは、層bが複数の層により構成される場合であっても、各層の厚さのことである。
【0049】
層bは、本発明の積層フィルムにおいて、少なくとも一方の最表面には位置する層である。微粒子Cを含む層bが優れた滑り性を有するので、層bが最表面に位置することにより、本発明の積層フィルムも優れた滑り性を発揮できるようになる。
【0050】
[1−3.積層フィルムの層構成]
本発明の積層フィルムは少なくとも層a及び層bを有するフィルムである。したがって本発明の積層フィルムは、前記の層a及び層bの2層のみからなる積層フィルムであってもよい。
また、本発明の積層フィルムは、3層以上の層を有する積層フィルムであってもよい。例えば、本発明の積層フィルムは、前記の層a及び層bの一方又は両方を2層以上有する積層フィルムであっても良い。好適な具体例を挙げると、層b、層a及び層bをこの順に有する積層フィルムが挙げられる。
【0051】
さらに、本発明の積層フィルムは、本発明の効果を著しく損なわない限り層a及び層b以外にその他の層を有していてもよい。なお、その他の層は、1層でもよく、2層以上であってもよい。また、各層は同じでもよく、異なる層であってもよい。また、少なくとも一方の最表面に層bが位置している限り、その他の層の位置は任意に設定できる。ただし、本発明の積層フィルムは従来よりも薄く形成できることを利点の一つとしていることから、前記の層a及び層b以外の層は有さないことが好ましい。
【0052】
[1−4.積層フィルムの寸法]
本発明の積層フィルムは厚みを薄くすることができる。このように薄くできる理由は様々であるが、理由を何点が挙げると、接着層を設けなくても層aと層bとを直接強固に接着できること、脂環式ポリオレフィン樹脂A及びBを含むことにより厚みを厚くしなくても耐熱性及び耐湿性を十分に発揮できること、などが挙げられる。特に本発明の積層フィルムを偏光板保護フィルムとして使用する場合、同様の位相差を有する従来の偏光板保護フィルムと比較して薄くできるため、液晶表示装置等に適用することに鑑みれば本発明の積層フィルムには大きな商業上の利点があるといえる。本発明の積層フィルムの具体的な厚さは、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。一方、過度に薄すぎると用途に応じた強度を確保できない可能性があるため、通常10μm以上、好ましくは15μm以上である。
【0053】
[1−5.積層フィルムの物性]
(1)位相差
本発明の積層フィルムのフィルム面内の位相差Reは、5nm以下、好ましくは3nm以下、より好ましくは1nm以下であり、下限は理想的には0nmである。本発明の積層フィルムはこのようにフィルム面内の位相差Reが小さいため、偏光板等の光学素子の保護フィルムとして好適に用いることができる。
また、本発明の積層フィルムの厚さ方向の位相差Rthは、通常5nm以下、好ましくは3nm以下、より好ましくは1nm以下であり、下限は理想的には0nmである。
なお、積層フィルムのフィルム面内の位相差Reは、積層フィルムのフィルム面内の主屈折率をnx及びnyとし、積層フィルムの厚さをd(nm)として、Re=|nx−ny|×dで求められる。また、厚さ方向の位相差Rthは、積層フィルム全体のフィルム面内の主屈折率をnx及びnyとし、厚さ方向の屈折率をnzとし、積層フィルムの厚さをd(nm)とすると、Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×dで求めることができる。これらの位相差Re及びRthは、例えば市販の自動複屈折計を用いて測定することができる。なお、前記の位相差Re及びRthは、波長590nmの光に対する評価とする。
【0054】
(2)光線透過率
本発明の積層フィルムは、通常、透明なフィルムであり可視光線を良好に透過させる。具体的な光線透過率は積層フィルムの用途に応じて一様ではないが、波長420〜780nmにおける光線透過率としては、通常85%以上、好ましくは88%以上である。波長420〜780nmにおいてこのように高い光線透過率を有することにより、本発明の積層フィルムを液晶表示装置などの表示装置に実装した場合に、特に長期間使用時の輝度低下を抑制できる。
【0055】
層aが紫外線吸収剤を含有する場合、本発明の積層フィルムの波長250nm〜360nmにおける光線透過率は、0.1%以下が好ましい。下限は、理想的には0%である。このように波長250nm〜360nmの紫外線を透過させないことにより、本発明の積層フィルムは良好な光学素子保護フィルムとして使用することができ、例えば偏光フィルム等の黄変を長期間にわたって防止できる。
なお光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計を用いて測定することができる。
【0056】
(3)耐熱性及び耐湿性
本発明の積層フィルムは耐熱性及び耐湿性に優れる。脂環式ポリオレフィン樹脂A及びBが耐熱性及び耐湿性に優れるため、それを含む本発明の積層フィルムも耐熱性及び耐湿性が高いものとなるからである。このような耐熱性及び耐湿性は本発明の積層フィルムの厚さが薄い場合であっても発揮されるため、積層フィルムの薄膜化が可能となり、製品設計等の面で非常に有利になる。なお、具体的な耐熱性及び耐湿性の程度は脂環式ポリオレフィン樹脂A及びBの分子量及び積層フィルムの厚さ等に応じて設定できるため、その用途に応じて適切に調整すればよい。
【0057】
(4)滑り性
本発明の積層フィルムは滑り性に優れる。これは、積層フィルムの最表面に位置する層bが微粒子Cを含んでいることによるものと推察される。すなわち、微粒子Cを含むことにより層bの表面に極めて小さい凹凸が形成され層bと他の物体との接触面積が減少すること、微粒子Cが層bの表面に露出することにより滑り性が比較的低い脂環式ポリオレフィン樹脂Bの露出面積が減少すること、などが理由として推察される。なお、積層フィルムの滑り性は、具体的には静摩擦係数により評価できる。
【0058】
[2.積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムの製造方法に特に制限は無く、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、層aを構成するフィルムに対して層bを構成する樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法などの公知の方法が適宜利用され得る。中でも、製造効率や、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出による成形方法が好ましい。共押出する方法の中でも、共押出Tダイ法が好ましい。さらに共押出Tダイ法にはフィードブロック方式、マルチマニホールド方式が挙げられるが、層aの厚さのばらつきを少なくできる点でマルチマニホールド方式がさらに好ましい。
【0059】
積層フィルムを得る方法として、共押出Tダイ法を採用する場合、Tダイを有する押出機における脂環式ポリオレフィン樹脂A及びBの溶融温度は、それぞれ、脂環式ポリオレフィン樹脂A及びBのガラス転移温度Tg及びTgよりも、80℃高い温度以上にすることが好ましく、100℃高い温度以上にすることがより好ましく、また、180℃高い温度以下にすることが好ましく、150℃高い温度以下にすることがより好ましい。押出機での溶融温度が過度に低いと脂環式ポリオレフィン樹脂A及びBの流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと樹脂が劣化する可能性がある。
【0060】
積層フィルムの層aの厚さのばらつきを全面で±1μm以内とするためには、(1)押出機内に目開きが20μm以下のポリマーフィルターを設ける;(2)ギヤポンプを5rpm以上で回転させる;(3)ダイ周りに囲い手段を配置する;(4)エアギャップを200mm以下とする;(5)フィルムを冷却ロール上にキャストする際にエッジピニングを行う;(6)押出機として二軸押出機又はスクリュー形式がダブルフライト型の単軸押出機を用いる;のすべてを行うことが望ましい。前記(1)〜(6)の1つでも実施しないと、層aの厚さのばらつきを全面で±1μm以内にすることは難しくなる傾向がある。
【0061】
積層フィルムの製造方法として溶融押出法を用いる場合には、層aと層bとに対応して、少なくとも脂環式ポリオレフィン樹脂Aと微粒子Cを含む脂環式ポリオレフィン樹脂Bとをダイの開口部からキャストロール上に共押し出しし、その後冷却ドラムに接触させる。冷却ドラムに接触させると溶融樹脂は冷却されて硬化し、積層フィルムが得られる。
【0062】
ただし、溶融樹脂をキャストロール上に共押し出しするとき、共押し出しされたシート状の溶融樹脂の表裏の向きは、微粒子Cを含む脂環式ポリオレフィン樹脂Bがキャストロールに接触する向きに設定することが好ましい。これにより、本発明の積層フィルムの位相差を小さくすることができるからである。これは、以下の理由によるものと推察される。すなわち、通常、樹脂が冷却硬化される際には硬化収縮が生じ、硬化物である積層フィルムには位相差が生じる傾向がある。そこで、ガラス転移温度Tgが相対的に低い脂環式ポリオレフィン樹脂Aではなく、ガラス転移温度Tgが相対的に高い脂環式ポリオレフィン樹脂Bの側がキャストロールと接触するようにすることで、キャストロールの温度を相対的に高いガラス転移温度Tgに対応させて高温にすることができる。このため、溶融樹脂の硬化がゆっくりと進行するようになり、硬化収縮による位相差が生じにくくなると推察される。さらに、キャストロールと接触する脂環式ポリオレフィン樹脂Bの層に微粒子Cが含まれることでキャストロールとシート状の溶融樹脂との間での滑り性が高くなり、溶融樹脂をフィルム面内方向へ延伸しようとする力がかかりにくくなるため、これによってもフィルム面内の位相差は生じにくくなっているものと推察される。
【0063】
また、層b、層a及び層bをこの順で有する積層フィルムを製造する場合には、少なくとも、微粒子Cを含む脂環式ポリオレフィン樹脂B、脂環式ポリオレフィン樹脂A、及び、微粒子Cを含む脂環式ポリオレフィン樹脂Bを共押し出しすることになる。このとき、積層フィルムの層aに紫外線吸収剤等のブリードアウトしやすい成分を含有させるべく、溶融状態の脂環式ポリオレフィン樹脂Aに前記のブリードアウトしやすい成分を含ませることがある。このような場合でも、脂環式ポリオレフィン樹脂Bの層が脂環式ポリオレフィン樹脂Aを挟み込むようにして共押し出しを行えば、前記ブリードアウトしやすい成分のブリードアウトを防止し、ダイの汚染を防止することができる。
【0064】
前記の溶融樹脂と冷却ドラムとの接触の程度としては、冷却を十分に行う観点から、密着させようにすることが好ましい。溶融樹脂を冷却ドラムに密着させる方法としては、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。また、冷却ドラムの数は特に制限されないが、通常は2本以上である。さらに、冷却ドラムの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられる。またダイの開口部から押出された溶融樹脂の冷却ドラムへの通し方も特に制限されない。
【0065】
通常、冷却ドラムの温度により、押出された脂環式ポリオレフィン樹脂Bの冷却ドラムへの密着具合が変化する。冷却ドラムの温度を上げると密着はよくなるが、温度を上げすぎると脂環式ポリオレフィン樹脂Bが冷却ドラムから剥がれずに、ドラムに巻きつくおそれがある。そのため、冷却ドラムの温度は、好ましくはダイから押し出す非晶性の脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度をTg(℃)に対して、(Tg+30)℃以下、さらに好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲にする。そうすることにより、滑りやキズなどの不具合を防止することができる。
【0066】
[3.偏光板]
本発明の積層フィルムは非常に薄く且つフィルム面内の位相差を小さくできるため、光学素子およびその光学素子の保護フィルムとして用いることができる。その例を挙げると液晶表示装置などの表示装置に用いられる部材が挙げられ、その具体例としては偏光板保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、透明導電フィルム、タッチパネル用基板、液晶基板、光拡散シート、プリズムシートなどが挙げられる。本発明の積層フィルムは、中でも偏光板保護フィルムとして用いて好適である。
【0067】
本発明の積層フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板は、本発明の積層フィルムと、偏光フィルムとを備えて構成される。この際、通常は偏光フィルムの両面に本発明の積層フィルムを設けるようにする。例えば、偏光フィルムの片面又は両面に、適切な接着剤を介して本発明の積層フィルムを積層する。また、本発明の積層フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合には、ブリードアウトを起こすことなく紫外線吸収剤を含有させることができ得るため、(1)出射側偏光板における観察者視認側の偏光板保護フィルムや、(2)入射側偏光板における光源側の偏光板保護フィルムとして、特に好適に用いることができる。
偏光フィルムは任意のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素などをドープした後、延伸加工したものを用いることができる。また、接着層としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどのポリマーをベースポリマーとする粘着剤などが挙げられる。
【0068】
前記の偏光板には、さらに他の層を設けるようにしてもよい。他の層としては、例えば、反射防止層、ハードコート層、プライマー層;アンカー層;SiOx(x=1.5〜2.0)超微粒子の三次元骨格からなる高均質透明多孔体層(屈折率1.25〜1.46);粘着剤層;防汚層;などが挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
【0070】
[評価方法の説明]
(1)層の厚みの測定方法
フィルムをエポキシ樹脂に包埋した後、大和光機(株)製のミクロトーム(RUB−2100)を用いて0.05μm厚にスライスし顕微鏡下で断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
【0071】
(2)フィルム面内の位相差Reの測定方法
平行ニコル回転法(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて、波長590nmにおけるRe、及びRthを温度25℃、湿度55%RHにて測定した。
【0072】
(3)耐熱性の評価方法
JISK−7196に従い軟化温度を測定し、耐熱性の評価指標とした。
【0073】
(4)滑り性の評価方法
JISK−7125に従いフィルム対フィルムの静摩擦係数を測定し、滑り性の評価指標とした。
【0074】
(5)紫外線吸収剤のブリードアウトの評価方法
多層押出装置で、積層フィルムを5時間連続製造した後、ダイへの紫外線吸収剤の付着の有無を目視観察した。紫外線吸収剤がダイへ付着していなかったものを「良」、付着していたものを「不良」で示す。
【0075】
(6)偏光板耐久性試験
偏光板を下記の環境下に順次さらした後、透明性、変色、そりの有無を目視観察し、透明性、変色及びそりが無いものを「良」とした。
(i)温度80℃、湿度50%、500時間。
(ii)温度60℃、湿度90%、500時間。
(iii)温度80℃、湿度90%、100時間。
(iv)温度−30℃、湿度10%、500時間。
(v)温度80℃、湿度90%にてウェットティッシュを重ね合わせ30分。
【0076】
(7)光線透過率
JISK−0115に従い、波長250nm〜360nmの光線透過率を測定した。
【0077】
〔実施例1〕
脂環式ポリオレフィン樹脂であるZEONOR1430に、紫外線吸収剤TINUVIN460(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製(2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン)、及びTINUVIN1577(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製(2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール)))を、それぞれ全体の2重量%合計で4重量%となるように混錬し、層a用の樹脂A1を得た。樹脂A1のガラス転移温度は136℃であった。
【0078】
また、脂環式ポリオレフィン樹脂であるZEONOR1600と、架橋アクリル樹脂微粒子(綜研化学MX−80HT3WT、数平均粒径0.8μm、屈折率1.49)とを、前記架橋アクリル樹脂微粒子が全体の0.5重量%となるように混錬し、層b用の樹脂B1を得た。樹脂B1のガラス転移温度は164℃であった。
【0079】
次に、層b/層a/層bの3層積層体となるマルチマニホールドダイを有する多層押出装置を用いて共押し出しによりフィルムを作製した。層aの樹脂として樹脂A1を使用し、層bの樹脂として樹脂B1を使用した。マルチマニホールドダイから3層積層体を260℃の樹脂温度で吐出し、樹脂B1のガラス転移温度より10℃低い154℃に温度調整されたキャストロール上に吐出し、その後50℃に温度調整された冷却ロールを通して、厚み2μmの層b/厚み20μmの層a/厚み2μmの層bからなるフィルム1を得た。
なお、ダイからキャストロールまでのエアギャップは50mmとし、キャストロール上に吐出したフィルムは、エッジピニングでその端部を固定した。
【0080】
〔実施例2〕
層a用の脂環式ポリオレフィン樹脂であるZEONOR1430の代わりに、脂環式ポリオレフィン樹脂であるZEONOR1060(ガラス転移温度100℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム2を得た。
【0081】
〔実施例3〕
層b用の微粒子Cとして、シリカ微粒子(日本触媒シーホスターP30、数平均粒径0.3μm、屈折率1.43)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム3を得た。
【0082】
〔実施例4〕
層aの厚みを16μmとし、層bの厚みを4μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム4を得た。
【0083】
〔実施例5〕
層aに紫外線吸収剤を添加せず、マルチマニホールドダイとして層b/層aの2層積層体となるものを有する多層押出装置を用い、層bの厚みを4μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、厚み4μmの層b/厚み20μmの層aからなるフィルム5を得た。
【0084】
〔比較例1〕
樹脂B1の製造方法において、層b用の樹脂としてZEONOR1600の代わりにZEONOR1430を用い、他は樹脂B1と同様にして樹脂B2を製造した。樹脂B2のガラス転移温度は142℃であった。
次いで、樹脂B1の代わりに樹脂B2を用い、それ以外は、キャストロールの温度も154℃とし、実施例1と全く同様に、積層フィルムを製造したところ、フィルムがキャストロールに貼り付いてしまい、フィルムの平面性、フィルム表面の平滑性が著しく損なわれた。
そこで、キャストロール温度を、樹脂B2のガラス転移温度より10℃低い132℃まで下げ、他は実施例1と同様にして積層フィルムを製造し、フィルム6を得た。
【0085】
〔比較例2〕
層b用の微粒子である架橋アクリル樹脂微粒子の量を、全体の0.02重量%となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム7を得た。
【0086】
〔比較例3〕
層b用の微粒子として、シリカ微粒子(商品名日本触媒シーホスターP10、数平均粒径0.08μm、屈折率1.43)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム8を得た。
【0087】
〔比較例4〕
層b用の樹脂としてZEONOR1600の代わりにZEONOR1430(ガラス転移温度142℃)を用い、キャストロール温度を132℃まで下げたこと以外は実施例5と同様にして、フィルム9を得た。
【0088】
〔評価〕
前記実施例1〜5及び比較例1〜4で得たフィルムの構成を表1に示し、その評価結果を表2に示す。
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
表2から分かるように、実施例1〜5のフィルム1〜5はいずれもフィルム面内の位相差Reが小さく、耐熱性に優れる。また、静摩擦係数が小さいことから滑り性が良好であることが分かる。さらに、層aに紫外線吸収剤を含有させた場合でも、紫外線吸収剤のブリードアウトが生じにくいことが分かる。
これに対し、比較例1では位相差Reが大きく、耐熱性が低く、紫外線吸収剤のブリードアウトが生じている。また、比較例2,3では静摩擦係数が高すぎ測定不能であったことから、滑り性が十分でないことが分かる。さらに、比較例4は位相差Reが大きく、さらには耐熱性に劣ることが分かる。
【0091】
〔実施例6〕
フィルム1の表面に、空気中にて放電量100W/m・分のコロナ放電処理を行った後、ポリビニルアルコール重合体(クラレ社製:PVA203、けん化度86.5〜89.5%平均重合度300。以下適宜、ポリビニルアルコールを「PVA」という。)の10%水溶液を滴下し、PVA2軸延伸フィルム(日本合成化学工業(株)製偏光膜:ボブロン#140(膜厚14μm))と貼り合わせた。次いで、厚みが80μmのトリアセチルセルロースからなるフィルムの一面を、10重量%苛性ソーダ水溶液でケン化処理し、その表面に上記同様の10重量%水溶液を滴下した後に、前記PVA2軸延伸フィルムの、フィルム1貼合面と反対側の表面を貼り合わせ、PVA水溶液が乾燥しないうちにロールタミネーターで圧着した。更に、この積層フィルムを40℃で72時間放置して、各層を完全に接着し、偏光板1を得た。接着層の厚みは1μmであった。
【0092】
〔実施例7〕
フィルム1の代わりにフィルム5を用いたこと以外は実施例6と同様にして偏光板2を得た。
【0093】
〔比較例5〕
実施例6で用いた厚みが80μmのトリアセチルセルロースからなるフィルムを、未染色PVA2軸延伸フィルムの両面に、実施例6と同様の要領で張り合わせ、偏光板3を得た。
【0094】
〔評価〕
前記実施例6,7及び比較例5で得た偏光板の評価結果を表3に示す。
【0095】
【表3】

【0096】
表3から分かるように、実施例6,7で製造した偏光板1,2は、高温及び低温、並びに高湿度環境においた場合でも偏光膜の透明性が低下したり変色及び変形を生じたりすることは無かったが、比較例5で製造した偏光板3は偏光膜が変色した。このことから、本発明の積層フィルムが高温及び低温環境に対して耐性を有すること、並びに、耐湿性に優れることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は産業上の任意の分野において使用できるが、特に光学素子に係る分野に用いて好適であり、例えば、液晶表示装置等の偏光板において好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム面内の位相差が5nm以下である積層フィルムであって、
脂環式ポリオレフィン樹脂Aを含む層aと、脂環式ポリオレフィン樹脂B及び微粒子Cを含む層bとを有し、
前記層bは前記積層フィルムの少なくとも一方の最表面にあって、
前記微粒子Cの数平均粒径が0.1μm〜1.0μm、前記微粒子Cの前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bに対する重量比が0.05%〜1.00%であり、
前記脂環式ポリオレフィン樹脂Aのガラス転移温度Tg、前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bのガラス転移温度Tgとした時、Tg+10℃<Tg、かつTg>140℃である、積層フィルム。
【請求項2】
前記層bの厚さが1μm〜5μmである、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記層aが前記積層フィルムの最表面に位置せず、
前記層aが紫外線吸収剤を含有し、
前記積層フィルムの波長250nm〜360nmの光線透過率が0.1%以下である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記脂環式ポリオレフィン樹脂Aと、前記微粒子Cを含む前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bとをキャストロール上に共押し出しする工程を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法であって、
前記微粒子Cを含む前記脂環式ポリオレフィン樹脂Bが前記キャストロールと接するようにする、積層フィルムの製造方法。
【請求項5】
偏光フィルムと、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルムとを備える偏光板。

【公開番号】特開2011−11394(P2011−11394A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156174(P2009−156174)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】