説明

積層体、これを備えた電子デバイス、圧電デバイス、これを備えた圧電モジュール、電子機器及び積層体の製造方法

【課題】複数の基板を重ね合わせて接合してなる積層構造において、接合材の接合面からのはみ出しを防止す積層体、これを備えた電子デバイス、圧電デバイス、これを備えた圧電モジュール、電子機器及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】圧力センサー1は、積層して接合材40で接合される感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30を備え、感圧素子層10の枠部108には溝部102a,102bが形成され、ダイアフラム層20の他方の主面側の枠部206には溝部208が形成され、ベース層30の一方の主面側の枠部304には溝部306が形成されている。溝部208は溝部102aと互いに対向しないように位置をずらして配置され、溝部306は溝部102bと互いに対向しないように位置をずらして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を接合材を用いて接合してなる積層体、これを備えた電子デバイス、圧電デバイス、これを備えた圧電モジュール、電子機器及び積層構造の製造方法に関し、特に、接合部からの前記接合材のはみ出しや溢れ出しを防止すると共に、接合強度を大きくした積層体、これを備えた電子デバイス、圧電デバイス、これを備えた圧電モジュール、電子機器及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサーや、半導体等を搭載したパッケージ等の電子デバイスは、2つ以上の部材を積層した積層構造を有している(特許文献1、2参照)。各部材は接合材で接合されるが、接合材は接合時に流動性を有しているため、接合材が2つの部材の接合部からはみ出したり溢れ出したりすることにより、ショートが発生したり感度劣化や特性のばらつきが生じて、性能が低下することが問題となっていた。
【0003】
このような問題を解決するための技術として、従来においては次のようなものが存在する。特許文献3には、中間層である水晶振動子の枠部を上下のケースで狭持し、接合材で接合してなる3層構造型水晶振動子において、前記接合材が中間層の前記枠部からのはみ出しにより、中間層の枠部の上下でショートしてしまうという問題を解決するために、中間層の枠部の外形を、外側、内側ともに、前記上下のケースの外形よりも張り出すことにより、前記ショートを防止することを可能とする構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、チップを搭載する凹部を有するセラミック製容器とセラミック製蓋の少なくともどちらか一方の接合面に溝を設け、溝の外側の双方の接合面に半田メタライズを形成することにより、溶融半田を溝に留めおいて前記凹部内への半田の流出(はみ出し)を防止したセラミックパッケージが開示されている。
【0005】
また、特許文献5には、圧力センサーに関し、ダイアフラム及びケースそれぞれの接合面の対向する位置に余剰の接合材が流入する溝部を設けることが開示されている。これにより、圧力センサーのダイアフラムとケースとをエポキシ系等の接着剤や低融点ガラス等の接合材を用いて互いに接合する場合、これらの接合箇所から接合材が流れ出し、凹部の底面に流れ込んでしまい、測定対象となる圧力を受けて湾曲可能となっている受圧部の可動条件が変化し、圧力センサーの感度劣化や特性のばらつきが生じてしまうという問題を解消するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−327922号
【特許文献2】特開2008−241287号
【特許文献3】特開昭56−06182号
【特許文献4】特開昭53−7172号
【特許文献5】特開2008−267896号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4においてセラミック製容器とセラミック製蓋の双方の部材に溝を設ける際にこれらの溝を対向する位置に設けた場合、又は特許文献5に記載されているように溝をダイアフラム及びケースのそれぞれの接合面の対向する位置に設けた場合には、次のような問題点がある。すなわち、2つの部材の接合時に2つの部材を重ね合わせて、流動性を有する接合材を2つの部材の間に挟み込んだ場合、上下に対向するように夫々の部材に配置された2つの溝においては、当該2つの溝の付近に存在する接合材は双方の溝に流れ込もうとするため、各溝に対して接合材を押し込む力が分散されることによって前記押し込む力が不足するという問題が生じる。さらに、前記2つの溝の中を完全に充填するだけの接合材が前記2つの溝の付近に存在しない場合には、前記溝の中に前記接合材が十分に充填されないので、2つの部材を接合する接合強度を十分に確保できないといった問題が生じる。これらの要因によって、各溝に接合材が十分に流入することができず、接合面に溝を複数設けたにもかかわらず、接合材の接合面からのはみ出しを完全には防げないという問題や、接合強度を確保できないという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、複数の基板を重ね合わせて接合してなる積層体において、接合材の接合面からのはみ出しを防止する積層体、これを備えた電子デバイス、圧電デバイス、これを備えた圧電モジュール、電子機器及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、複数の基板を重ね合わせて接合してなる積層体において、接合強度を大きくした積層体、これを備えた電子デバイス、圧電デバイス、これを備えた圧電モジュール、電子機器及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]少なくとも2つの基板を接合材により接合して積層され、前記2つの基板の各接合面には接合材が流入するための少なくとも1つの溝部が配置され、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に設けられた溝部と、他方の基板の接合面に設けられた溝部とが、互いに対向しないように位置をずらして配置されていることを特徴とする積層体。
本発明によれば、2つの基板のうち一方の基板の接合面に設けられた溝部と、他方の基板の接合面に設けられた溝部とが、互いに対向しないように位置をずらして配置されているため、接合材を各溝部に十分充填することができ、接合材の接合面からのはみ出しを防止することができる。
【0011】
[適用例2]前記接合面の少なくとも一部は他の面よりも表面の粗さが粗いことを特徴とする適用例1に記載の積層体。
本発明によれば、接合面の表面積を大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【0012】
[適用例3]前記溝部の内壁の表面の少なくとも一部は他の面よりも表面の粗さが粗いことを特徴とする適用例1又は2に記載の積層構造。
本発明によれば、溝部の内壁の表面に細かな凹凸ができるので、当該凹凸の表面の面積分だけ表面積を大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【0013】
[適用例4]適用例1乃至3の何れか一例に記載の積層体を備えた電子デバイス。
本発明によれば、接合面からの接合材のはみ出しを防止することができるため、接合材のはみ出しによる特性劣化が生じなくなり、特性のよい電子デバイスを提供することができる。
【0014】
[適用例5]振動部と、当該振動部の外周に配置された枠部と、を連結してなる圧電振動基板と、前記圧電振動基板の前記枠部の一方の主面と接合材により接合される第1基板と、前記圧電振動基板の前記枠部の他方の主面と前記接合材により接合される第2基板と、を備えた圧電デバイスであって、前記枠部の前記一方の主面には、当該枠部に沿って第1の溝部が設けられ、前記第1基板の前記枠部と対向する第1の領域には、当該第1の領域に沿って第2の溝部が設けられ、前記第1の溝部と、前記第2の溝部とは、互いに対向しないようにずらして配置され、前記枠部の前記他方の主面には、当該枠部に沿って第3の溝部が設けられ、前記第2基板の前記枠部と対向する第2の領域には、当該第2の領域に沿って第4の溝部が設けられ、前記第3の溝部と、前記第4の溝部とは、互いに対向しないようにずらして配置されている、ことを特徴とする圧電デバイス。
本発明によれば、前記第1の溝部と前記第2の溝部とは、互いに対向しないようにずらして配置され、前記第3の溝部と前記第4の溝部とは、互いに対向しないようにずらして配置されているため、接合材を各溝部に十分充填することができ、接合材の接合面からのはみ出しを防止することができる。
【0015】
[適用例6]前記振動部が、屈曲振動若しくは厚みすべり振動をすることを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
本発明によれば、振動部は屈曲振動若しくは厚みすべり振動をすることにより、所定の共振周波数を出力することができる。
【0016】
[適用例7]前記第1基板は、可撓性を有する可撓部を備えたダイアフラムであり、前記圧電振動基板の振動部は、少なくとも一以上の柱状ビームからなる振動素子であり、前記ダイアフラムの可撓部には、前記振動素子の両端に位置する一対の基部を夫々支持する支持部が設けられていることを特徴とする適用例5又は6に記載の圧電デバイス。
本発明によれば、振動部が1本の柱状ビームからなる場合は高い感度を有する振動部とすることができ、振動部が2本以上の柱状ビームからなる場合は振動漏れを抑制したQ値の高い振動部とすることができる。
【0017】
[適用例8]適用例5乃至7のうち何れか一例に記載の圧電デバイスが実装基板に実装されていることを特徴とする圧電モジュール。
[適用例9]前記振動部に電気的に接続された回路を備えることを特徴とする適用例8に記載の圧電モジュール。
[請求項10]適用例5乃至7のうちいずれか一例に記載の圧電デバイスを備えることを特徴とする電子機器。
【0018】
[適用例11]少なくとも2つの基板を接合して積層される積層体の製造方法であって、前記2つの基板が接合されるそれぞれの接合面に、互いに対向しないようにずらして、第1の溝部及び第2の溝部をそれぞれ形成する溝部形成工程と、前記2つの基板の前記接合面を接合材で接合する接合工程とを備えたことを特徴とする積層体の製造方法。
本発明によれば、2つの基板が接合されるそれぞれの接合面に、互いに対向しないようにずらして、第1の溝部及び第2の溝部をそれぞれ形成し、前記2つの基板の前記接合面を接合材で接合するため、接合材を各溝部に十分充填することができ、接合材のはみ出しを防止することができる。
【0019】
[適用例12]前記溝部形成工程の後に、前記接合面の少なくとも一部にブラスト加工を施す工程を備えたことを特徴とする適用例11に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、接合面の表面積を大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサーの断面図である。
【図2】同実施形態に係る圧力センサーの斜視展開図である。
【図3】同実施形態に係る感圧素子層の平面図である。
【図4】同実施形態に係る圧力センサーの製造方法の工程図である。
【図5】変形例に係る感圧素子層とダイアフラム層との接合面に形成された溝部の断面形状を示す図である。
【図6】変形例に係る感圧素子層とダイアフラム層との接合面に形成された溝部の断面形状を示す図である。
【図7】変形例に係る感圧素子層とダイアフラム層との接合面に形成された溝部の断面形状を示す図である。
【図8】変形例に係る圧力センサーの斜視図である。
【図9】本発明の圧力センサーの振動部として1つの柱状ビームを用いた場合の感圧素子層の平面図である。
【図10】本発明の圧力センサーの振動部としてATカット振動子を用いた場合の、感圧素子層、各マザーウェーハ、及び圧力センサーの斜視図である。
【図11】本発明に係る圧電デバイスの圧電振動基板の振動部が音叉振動子である場合の圧電デバイスの分解斜視図及び圧電振動基板の裏面図である。
【図12】本発明に係る圧電デバイスの圧電振動基板の振動部がATカット水晶振動子である場合の圧電デバイスの分解斜視図及び圧電振動基板の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電子デバイスを圧力センサーに適用した場合の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態に係る圧力センサー1の断面図であり、図2は圧力センサー1の分解斜視図である。これらの図に示すように、圧力センサー1は、感圧素子層(「圧電振動基板」に対応)10と、感圧素子10の一方の主面側及び他方の主面側それぞれを気密封止するように覆うダイアフラム層(「第1基板」に対応)20及びベース層(「第2基板」に対応)30と、を備えている。各層10、20、30は、それぞれ水晶板で形成されている。また、各層10、20、30は、平面形状が矩形で、同一サイズであり、平面視において矩形の輪郭が互いに一致するように積層されている。
【0022】
図3は感圧素子層10の平面図である。図2及び図3に示すように、感圧素子層10は、中央に感圧素子としての双音叉素子106と、その周囲を囲む枠型の枠部108とを有している。双音叉素子106は、振動部としての一対の平行な柱状ビーム16a,16bと、両柱状ビーム16a,16bの両端に接続される一対の基部16cとを有している。双音叉素子106は屈曲振動をする振動素子であるとともに、柱状ビーム16a,16bに引張応力又は圧縮応力が印加されると、その共振周波数が変化する周波数変化型の感圧素子であり、所謂、双音叉型の圧電振動子である。
【0023】
枠部108は、各基部16cから柱状ビーム16a,16bと直交する方向に延びる一対の梁状の梁部110a,110bを介して双音叉素子106と連結されている。
枠部108の一方の主面と他方の主面それぞれには枠に沿って溝部102a,102b(「第1の溝部」,「第3の溝部」に対応)が形成されている。但し、溝部102a,102bは、後述する引出電極(リード電極)116a,116bが設けられている領域と重ならないように形成されている。この溝部102a,102bは、感圧素子層10をダイアフラム層20と接合するときに、余剰の接合材40を流入させるためのものである。
【0024】
双音叉素子106の各柱状ビーム16a,16aには、各々の表、裏面と両側面に、図3に示すように励振電極112が設けられ、双音叉素子106の基部16cには当該励振電極112と電気的に接続された第1の入出力電極114a、第2の入出力電極114bが設けられている。前記第1、第2の入出力電極114a,114bには夫々、引出電極116a,116bが接続されており、当該引出電極116a,116bは梁部110a,110bを介して枠部108に各々引き出されている。
【0025】
ダイアフラム層20は、図1、2に示すように、一方の主面側に被測定圧力を受圧する受圧面204を有している。受圧面204は可撓性を有する可撓部であり、外部からの被測定圧力を受圧すると撓み変形する。受圧面204の周縁には環状の枠部206が形成されており、当該枠部206は感圧素子層10の枠部108と対向するように配置されている。
【0026】
ダイアフラム層20の他方の主面側であって受圧面204の裏側となる密閉側の主面には、双音叉素子106の一対の基部16cを固定し、受圧面204の撓み変形により受圧面204で受圧した被測定圧力を力に変換して双音叉素子106に伝達するための一対の支持部210が設けられている。
【0027】
ダイアフラム層20の一対の支持部210と双音叉素子106の一対の基部16c、及びダイアフラム層20における他方の主面側の枠部(「第1の領域」に対応)206と感圧素子層10における一方の主面側の枠部108とは、接合材40を介して接合される。接合材40としては、例えば、低融点ガラス、金属材料、接着剤等を用いることができるが、本実施形態では一実施形態として低融点ガラスを用いている。
【0028】
ダイアフラム層20における他方の主面側の枠部206には、当該枠部206に沿って溝部(「第2の溝部」に対応)208が形成されている。この溝部208は、ダイアフラム層20を感圧素子層10と接合するときに余剰の接合材40を溝部208の内部に流入させるためのものである。
【0029】
ベース層30は、双音叉素子106を収容する内部空間Sを密封するための基板である。ベース層30は、感圧素子層10における他方の主面側を覆うように配置されている。ベース層30の一方の主面側の主面中央には、内部空間Sを形成するための凹部302が形成されている。凹部302を囲んで環状の枠部304が設けられている。当該枠部304は感圧素子層10の枠部108と対向するように配置されている。
【0030】
ベース層30における一方の主面側の枠部(「第2の領域」に対応)304は、感圧素子層10における他方の主面側の枠部108と接合材40を介して接合される。ベース層30における一方の主面側の枠部304には、当該枠に沿って溝部(「第4の溝部」に対応)306が形成されている。この溝部306は、ベース層30を感圧素子層10と接合するときに、余剰の接合材40を溝部306の内部に流入させるためのものである。
【0031】
ベース層30の中央部には、厚さ方向に貫通する封止孔308が設けられている。この封止孔308は、内部空間Sを真空にするために用いられる。
なお、図示されていないが、ベース層30の外部に露出した面には電極端子が設けられており、この電極端子は図示しない導電パターンを介して双音叉素子106との間で信号の入出力を行う。
【0032】
ここで、本実施形態においては、感圧素子層10の一方の主面側とダイアフラム層20の他方の主面側とを平面視において各層10、20の矩形の輪郭が重なり合うように重ね合わせた場合に、当該溝部208は、感圧素子層10における一方の主面側の枠部108に設けられた溝部102aと対向する位置に対して、オフセットするようにずらして配置されている。言い換えれば、溝部208と溝部102aとが平面視して完全に重なり合わないように、或いは重ね合わせた面(接合面)方向にずらして配置される。
【0033】
同様に、感圧素子層10における他方の主面側とベース層30における一方の主面側とを平面視において各層10、30の矩形の輪郭が互いに重なり合うように重ね合わせた場合に、当該溝部306は、感圧素子層10における他方の主面側の枠部108に設けられた溝部102bと対向する位置に対してオフセットするようにずらして配置される。言い換えれば、溝部306と溝部102bとが平面視して完全に重なり合わないように、或いは接合面方向にずらして配置される。
【0034】
このように、接合材吸収用の溝部208と溝部102a、及び溝部304と溝部102bそれぞれを対向する位置に設けずに、ずらして配置することにより、接合面を接合材40で接合する際に、各溝部208、102a、304、102bの内部への接合材40の押圧力や流入量が大きくなり、各溝部208、102a、304、102bの内部に接合材40を十分に充填することができるため、接合面からの接合材40のはみ出しを防止することができる。
【0035】
以上のように構成された圧力センサー1は、内部が気密に封止され、真空状態に保持されており、絶対圧を検出するセンサーとなっている。双音叉素子106は、図示せぬ発振回路と電気的に接続され、当該発振回路から交流電圧(電気信号)を双音叉素子106の励振電極112に供給すると、2つの柱状ビーム16a,16bが互いに近づいたり離れたりする屈曲振動が励振され、固有の共振周波数で振動する。前記発振回路は双音叉素子106の共振周波数を示す電気信号を出力し、図示せぬ演算手段が当該信号で示される共振周波数から圧力値に変換して当該圧力値を検出値として出力する。
【0036】
次に、図4を参照して、上記構成における圧力センサー1の製造方法について説明する。まず、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30形成用の3枚のマザーウェーハ(水晶素板)を用意する。
【0037】
ダイアフラム層20については、ダイアフラム層20形成用のマザーウェーハ上に複数のダイアフラム層20の形状を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS101)。具体的には、凹部202及び溝部208を形成する部分が開口し、且つ、枠部206及び支持部210を形成する部分を覆うマスクを、水晶素板の一方の主面に被せて、このマスクの開口部分をウエットエッチングする。開口部分が所望の深さまでエッチングされたらエッチングを終了し、マザーウェーハ上のマスクを除去する。そして、支持部210の表面に電極(不図示)をスパッタリングなどで形成する。これにより複数のダイアフラム層20の形状が形成されたマザーウェーハが出来上がる。
【0038】
このような形成方法によれば、凹部202と溝部208とを同じ深さで形成する場合には、同じ工程でエッチングを行うことができる。なお、凹部202と溝部208とを異なる深さで形成する場合には、異なるマスクを用いて異なる工程で行えばよい。
【0039】
また、ベース層30については、ベース層30形成用のマザーウェーハ上に複数のベース層30の形状を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS201)。具体的には、凹部302及び溝部306を形成する部分が開口しているマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せて、このマスクの開口部分をエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。そして、ベース層30の必要な箇所に電極(不図示)をスパッタリングなどで形成する。これにより複数のベース層30の形状を有するマザーウェーハが形成される。
【0040】
また、感圧素子層10については、まず、感圧素子層10形成用のマザーウェーハ上に複数の感圧素子層10の外形を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS301)。具体的には、感圧素子層10の双音叉素子106、梁部110a,110b、枠部108を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方又は両方の主面上に被せて、このマスクの開口部分を厚さ方向に貫通するまでエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。
【0041】
次に、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより、溝部102a、102bを形成する(ステップS302)。具体的には、溝部102aを形成する部分が開口しているマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せて、このマスクの開口部分を所望の深さまでエッチングする。また、溝部102bを形成する部分が開口しているマスクをマザーウェーハの他方の主面に被せて、このマスクの開口部分を所望の深さまでエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。これにより複数の感圧素子層10の形状が形成されたマザーウェーハが出来上がる。
【0042】
次に、感圧素子層10の柱状ビーム16a,16b、基部16c、梁部110a,110b、枠部108上に、励振電極112、第1の入出力電極114a、第2の入出力電極114b、引出電極116a,116bをスパッタリングなどで形成する(ステップS303)。
【0043】
次に、各マザーウェーハの感圧素子層10とダイアフラム層20、及び感圧素子層10とベース層30とを重ね合わせて接合面を接合材40で接合し、3層の積層体を形成する(ステップS304)。
【0044】
具体的には、まず、接合面となる一対の支持部210と枠部206の部分が開口するマスクをダイアフラム層20形成用のマザーウェーハに被せて、一対の支持部210と枠部206の表面に接合材40を塗布し、仮焼成する。
【0045】
次に、ダイアフラム層20の他方の主面と感圧素子層10の一方の主面とを、平面視において各層10、20の矩形の輪郭が互いに重なり合うように重ね、ダイアフラム層20の一対の支持部210と感圧素子層10の一対の基部16c、及びダイアフラム層20の枠部206と感圧素子層10の枠部108(接合面)を、それぞれ接触させる。
このように接触させた状態では、ダイアフラム層20の溝部208と感圧素子層10の溝部102aとは、互いに対向しないように位置をずらして配置される。
【0046】
次に、加熱により接合材40を溶融させる。このとき接合材40は、流動性が高まり接合面方向に広がって接合面から外に流れ出そうとするが、ずらして配置された溝部208、102aそれぞれに接合材40が十分に流れ込んで充填され、接合面からはみ出すことがない。
【0047】
すなわち、従来のように溝部208、102aが対向する位置に配置されている場合には、溝部208、102a付近に存在する接合材40は、上側の溝部208と下側の溝部102aの両方の方向に移動しようとするため、各溝部208、102aに対して接合材40を押し込む力が小さくなり、各溝部208、102aに接合材40が十分に充填されない恐れがある。これに対して、上述した実施形態のように各溝部208、102aが対向しないようにずらして配置されている場合には、溝部208付近に存在する接合材40は溝部208に対して、溝部102a付近に存在する接合材40は溝部102aに対してそれぞれ流れ込もうとするため、各溝部208、102aへの接合材40の押圧力や流入量が大きくなり、各溝部208、102aに接合材40を十分に充填することが可能となる。これにより、接合面からの接合材40のはみ出しを防止することができる。
その後、加熱を停止し接合材40を硬化させることで、感圧素子層10とダイアフラム層20とは接合材40で接合され、2層構造となる。
【0048】
感圧素子層10とベース層30についても、感圧素子層10における他の主面側の枠部108と、ベース層30における一方の主面側の枠部304とを接合面として、上述した感圧素子層10とダイアフラム層20との接合手順と同様の手順で接合し、3層構造とすることができる。
次に、3層に重ね合わせて接合されたマザーウェーハのダイシングを行い、複数の圧力センサー1に個片化する(ステップS305)。
【0049】
以上説明したように、感圧素子層10の接合面に溝部102a、102bを形成し、ダイアフラム層20の接合面に溝部208を形成し、ベース層30の接合面に溝部306を形成し、感圧素子層10とダイアフラム層20、感圧素子層10層とベース層30をそれぞれ接合材40により接合面で接合する際に、溝部208を溝部102aと対向する位置に対してずらして配置され、溝部306を溝部102bと対向する位置に対してずらして配置されるようにした。
【0050】
したがって、溝部同士を対向した位置に配置する場合に比較して、接合時に各溝部102a、102b、208、306に対して大きな押圧力で十分な量の接合材40を当該各溝部の内部に流入させて充填することができるため、接合面から接合材40が溢れ出すのを防ぐことができる。
【0051】
また、各圧力センサー1の接合面に塗布した接合材40の量にバラツキがあったとしても、溝部102a、102b、208、306がそのバラツキ量を吸収するとともに接合材40のはみ出しを防止して品質の劣化を防ぐため、圧力センサー1の品質のバラツキが発生し難くなる。また、はみ出しがなくなるため、枠部108や枠部206、304の幅を狭くすることができ、圧力センサー1の平面サイズを小型化することができる。
【0052】
さらに、溝部102a、102b、208、306を設けることで接合面(溝部の内壁の表面を含む)に対する接合材40の接触面積を大きくすることができ、強度を大きくすることができる。
なお、各接合面に設ける溝部の数は1つに限らず、例えば、図5に示すように溝部102a、208それぞれを2つ以上設けてもよい。
【0053】
また、溝部の形状は直方体形状に限らず、図6に示すような断面が階段状の溝部102a、208であっても、図7に示すような断面が半円状の溝部102a、108であってもよい。溝部の断面形状を半円状とした場合、当該溝部には角部が存在しないため、溝部に流入した接合材40が溝部全体に充填し易くなり、溝部内に気泡が発生し難い。したがって溝部の容積を無駄にすることがなく、溝部の容積分の接合材40を確実に充填することができる。
【0054】
なお、溝部同士をずらす量は、平面視して溝部同士が全く重なり合わない量であっても、溝部同士の一部が重なり合う量であってもよい。ただし、溝部同士が全く重なり合わない量である方が、接合時に各溝部への接合材40からの押圧力をより大きくすることができ、より多くの接合材40を充填することができるため、より好ましいといえる。
【0055】
また、接合面(溝部102a、102b、208、306の内壁の表面を含む)の全部又は一部を粗く形成してもよい。この場合には、図4に示すステップS101、S201、S302においてウエットエッチング加工により溝部を形成した後に、接合面に対してサンドブラスト加工を施す工程を加えればよい。
【0056】
サンドブラスト加工は、ノズルから高圧で噴出させる気体に微小な砥粒を混合し、これを部材に衝突させて行う加工法である。サンドブラスト加工前(ウエットエッチング加工後)の接合面の表面粗さは0.5nm程度であるが、サンドブラスト加工後の表面粗さは200〜1000nm程度となる。このサンドブラスト加工後の表面粗さは、研磨加工後の表面粗さと同程度である。これにより、接合面の表面積がより大きくなるので、接合強度を大きくすることができる。
【0057】
このような圧力センサー1は、実装基板に実装して圧電モジュールとすることができる。この場合、ベース層30の凹部302に、双音叉素子106と電気的に接続され、双音叉素子106を駆動するための発振回路を内蔵したIC(Integrated Circuit)等の回路を搭載することができる。
【0058】
なお、上述した実施形態では、積層体を備えた電子デバイスとして、気体や液体の圧力を検出する圧力センサーを例にとって説明したが、積層体を備えた電子デバイスは圧力センサーに限定されることはない。例えば、指等により直接押圧した場合の前記指の押圧による外力を検出する力センサーであってもよいし、圧電振動子や半導体等の電子素子を密閉して収容するパッケージであってもよい。
【0059】
また、圧力センサーの積層体としては、図8に示すような積層体であってもよい。図8に示す圧力センサー1Aが上述した圧力センサー1と異なる点は、感圧素子層10A及びベース層30Aの長辺がダイアフラム層20Aより長く、張出部32が形成されている点である。そして、感圧素子層10Aの一方の主面側の張出部32は外部に露出しており、当該露出した部分には、引出電極116a,116bから延びる、接続端子としてのパッド電極42a,42bが設けられている。また、張出部32には溝部102aが設けられていない。
【0060】
感圧素子層10Aの2つの長辺の側面と2つの短辺の側面、ダイアフラム層20Aの2つの長辺の側面と1つの短辺の側面、ベース層30Aの2つの長辺の側面と2つの短辺の側面には、それぞれ1つの凸部58が設けられている。これらの凸部58は、感圧素子層10A、ダイアフラム層20A、ベース層30Aの各個片を製造する際に、感圧素子層10A用のマザーウェーハに形成された複数の感圧素子層10A同士を連結する各梁部、ダイアフラム層20A用のマザーウェーハに形成された複数のダイアフラム層20A同士を連結する各梁部、ベース層30A用のマザーウェーハに形成された複数のダイアフラム層20A同士を連結する各梁部を、それぞれ切断することにより形成されたものである。これらの凸部58は、感圧素子層10A、ダイアフラム層20A、ベース層30Aを積層する際の位置合わせに用いることができる。その他の点は、圧力センサー1と同様の構成である。
【0061】
また、上述した実施形態では、圧力センサー1の振動部として一対の柱状ビーム16a,16bを用いたが、例えば、図9に示すように1つの柱状ビームのみを用いてもよいし、図10に示すように、厚みすべり振動をする、ATカット水晶を用いた厚みすべり振動子(いわゆるATカット振動子)を用いてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、接合材40として低融点ガラスを用いた接合方法を示したが、各基板の接合方法はこれに限定されることはなく、例えば、アルコキシド、オルガノシノキシ基などを含む接合材を用い、当該接合材にプラズマや紫外線等のエネルギー線を照射することにより活性化させて接合する方法や、半田付けによる接合、金錫合金等の共晶金属材料を加圧密着し加熱溶融した後に冷却固化する共晶接合方法、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤を用いた接合方法、熱硬化性樹脂による接合方法等を用いてもよい。
【0063】
接合材として接着剤を用いた場合にも、各基板の接合面を接着剤を介して重ねると、その重ねたときの押圧力によって接着剤が接合面に沿って広がり、各溝部内に入り込んで各溝部を充填するため、接合面からの接着剤のはみ出しを防ぐことができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、各層10、20、30の材料として水晶を用いたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、セラミック等、各種の材料を用いることができる。また、各層10、20、30の形状やサイズは上述した実施形態に限定されることはなく、接合のために2つの層を重ね合わせた際に対向する位置に対してずれるように溝部が設けられていれば、各層は同一サイズでなくてもよいしどのような形状であってもよい。また、上述した実施形態では3層の積層構造について説明したが、2層であっても、4層以上であってもよい。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲内で様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、本発明は、3層以上の構造を有し且つ中間層として圧電振動基板が含まれる温度センサー、圧電振動子等の圧電デバイスに適用することができる。圧電振動基板の振動部としては、音叉振動子(図11参照)、ATカット水晶振動子(図12参照)、水晶のX軸(電気軸)を中心にして所定の角度だけ回転して得られる回転Y板を用いた水晶振動子、その他のカットで切断された水晶振動子、水晶以外の圧電材料を用いた圧電振動子、等を広く適用できる。
【0066】
また、本発明の圧電デバイスは、上述した圧電モジュール以外に、例えば携帯電話、ハードディスク、パーソナルコンピューター、BS及びCS放送用の受信チューナー、同軸ケーブルや光ケーブル中を伝搬する高周波信号や光信号用の各種処理装置、広い温度範囲で高周波・高精度クロック(低ジッタ、低位相雑音)を必要とするサーバー・ネットワーク機器、無線通信用機器等の様々な電子機器、加速度センサー、回転速度センサー等の各種センサー装置にも広く適用することができる。
このような各種センサー装置及び電子機器としては、例えば一般工業用計測機器、電子血圧計、高度・気圧・水深計測機能付き電子機器、携帯機器、自動車などが挙げられる。
【0067】
そして、上述のように外力によるダイアフラムの機械的な変形を電気的信号として計測するものとして、携帯電話機やパソコン等の小型の携帯機器での高度計測に前記圧力センサーを応用してマイクロホンとして利用可能である。
【0068】
更に、近年注目をされるようになった水素やメタノール等の燃料電池は、軽量化や利便性等に起因して、例えば、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末機(Personal Digital Assistants:PDA)、オーディオプレーヤ、プロジェクタ載置台、カプセル型医療機器の通信機能を具備した電子機器といった各種情報処理装置の燃料費電池としての用途が考えられる。即ち、水素を燃料として電力を発生させる燃料電池セルと、該燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵合金容器筐体と、該水素吸蔵合金容器筐体と上記燃料電池セルとの間に配設された検出用圧力センサーと、圧力調整弁と安全弁とを備えた燃料電池システムに於いて、本発明に係る圧電デバイスとしての圧力センサーを使用することができる。
【0069】
更に、事故等のイベント発生時前後の必要な時間のみについて、デジタルタコグラフとドライブレコーダの双方が生成するデータを関連付けて記録し、その後の解析等に有用なデータを提供することが可能な車両用情報記録装置において、前記デジタルタコグラフは、前記車両の走行状況を検出する走行状況検知手段と、前記ドライブレコーダとの間で情報を送受信するデジタルタコグラフ通信手段と、情報を記録するデジタルタコグラフ記録手段と、前記走行状況検知手段から入力した走行状況および前記デジタルタコグラフ通信手段から受信した情報を受けて、前記デジタルタコグラフ記録手段に情報を記録するデジタルタコグラフ制御部と、を有しているが、前記走行状況検知手段として、高精度な圧力検出が可能な本発明に係る圧力センサーを適用できる。
【0070】
更に、被測定者にかかる負荷を検出する活動量計測システムにおいて、前記負荷を圧力として検出する場合においては、検出器として、本発明に係る圧力センサーを適用できる。
また、外部からの侵入または異常を検知する異常検知センサーと、前記異常検知センサーが異常を検知したときに警報を発する警報手段とを含むセキュリティシステムにおいて、警戒モード設定手段は、警戒モードに応じて、前記異常検知センサーと前記警報手段とによる警戒動作を作動させる場合に、前記異常検知センサーとして、本発明に係る圧力センサーを適用できる。
【0071】
更に、本発明の電子機器の一例として腕時計型電子機器の本体が存在し、当該本体には、本発明に係る圧力センサーが備えられており、当該圧力センサーはダイナミックレンジやリニアリティなどの特性に優れたものとすることができる。
【0072】
更に、特に自動車においては、例えばインテークマニホールド圧若しくはチャージ圧、ブレーキ圧、エアサスペンション圧、タイヤ圧、ハイドロリック貯蔵圧、ショックアブソーバ圧、冷却媒体圧、自動変速機における変調圧、ブレーキ圧、タンク圧のような圧力検出に本発明に係る圧力センサーを適用できる。
【0073】
また、自動車のサイドドアの内部の圧力変化により側面衝突を検出する装置においては、衝突時に圧力センサーのダイアフラムが衝撃力を受けた場合に、これを圧力変化として検出する度合いを少なくして、圧力の変化をより高精度に検出するという要求がある。この場合、車両のサイドドアの内部に配設された圧力センサーにより、車両の側面に加わる衝撃を検出する側面衝突検出装置が利用されるが、前記側面衝突検出装置の前記圧力センサーが、圧力を検出するダイアフラムを持ち、そのダイアフラムの受圧面が前記サイドドアの内部の圧力変動により歪むことを検出することによって車両の側面に加わる衝撃を検出する構成を有する場合に、前記圧力センサーに本発明に係る圧力センサーを適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1………圧力センサー、10………感圧素子層、102a、102b………溝部、106………双音叉素子、16a、16b………柱状ビーム、16c………基部、108………枠部、110a,110b………梁部、112………励振電極、114a………第1の入出力電極、114b………第2の入出力電極、116a,116b………引出電極、20………ダイアフラム層、202………凹部、204………受圧面、206………枠部、208………溝部、210………支持部、30………ベース層、302………凹部、304………枠部、306………溝部、308………封止孔、40………接合材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの基板を接合材により接合して積層され、
前記2つの基板の各接合面には接合材が流入するための少なくとも1つの溝部が配置され、
前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に設けられた溝部と、他方の基板の接合面に設けられた溝部とが、互いに対向しないように位置をずらして配置されていることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記接合面の少なくとも一部は他の面よりも表面の粗さが粗いことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記溝部の内壁の表面の少なくとも一部は他の面よりも表面の粗さが粗いことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の積層体を備えた電子デバイス。
【請求項5】
振動部と、当該振動部の外周に配置された枠部と、を連結してなる圧電振動基板と、
前記圧電振動基板の前記枠部の一方の主面と接合材により接合される第1基板と、
前記圧電振動基板の前記枠部の他方の主面と前記接合材により接合される第2基板と、を備えた圧電デバイスであって、
前記枠部の前記一方の主面には、当該枠部に沿って第1の溝部が設けられ、
前記第1基板の前記枠部と対向する第1の領域には、当該第1の領域に沿って第2の溝部が設けられ、
前記第1の溝部と、前記第2の溝部とは、互いに対向しないようにずらして配置され、
前記枠部の前記他方の主面には、当該枠部に沿って第3の溝部が設けられ、
前記第2基板の前記枠部と対向する第2の領域には、当該第2の領域に沿って第4の溝部が設けられ、
前記第3の溝部と、前記第4の溝部とは、互いに対向しないようにずらして配置されている、
ことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項6】
前記振動部が、屈曲振動若しくは厚みすべり振動をすることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記第1基板は、可撓性を有する可撓部を備えたダイアフラムであり、
前記圧電振動基板の振動部は、少なくとも一以上の柱状ビームからなる振動素子であり、
前記ダイアフラムの可撓部には、前記振動素子の両端に位置する一対の基部を夫々支持する支持部が設けられている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
請求項5乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイスが実装基板に実装されていることを特徴とする圧電モジュール。
【請求項9】
前記振動部に電気的に接続された回路を備えることを特徴とする請求項8に記載の圧電モジュール。
【請求項10】
請求項5乃至7のうちいずれか一項に記載の圧電デバイスを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
少なくとも2つの基板を接合して積層される積層体の製造方法であって、
前記2つの基板が接合されるそれぞれの接合面に、互いに対向しないようにずらして、第1の溝部及び第2の溝部をそれぞれ形成する溝部形成工程と、
前記2つの基板の前記接合面を接合材で接合する接合工程と
を備えたことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項12】
前記溝部形成工程の後に、前記接合面の少なくとも一部にブラスト加工を施す工程を備えたことを特徴とする請求項11に記載の積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−247288(P2012−247288A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118808(P2011−118808)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】