積層弾道シート
非常に優れた弾道特性を示し、UHMWPEの複数の幅広いシートの積層又は角度をもった積層により作られた不織布弾道材料であって、複数の、高度に配向した超高分子量ポリエチレンのストリップにして、縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイントを規定するストリップを有してなり、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である、上記不織布弾道材料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層弾道(ballistic)シートに関し、更に具体的には、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のストリップ又はテープから形成されたシートの積層により作られ、該ストリップ又はテープは結合されてシートを形成しそして次に積層されている材料に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第11/787,094号(特許文献1として2008年10月16日公開)は、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの複数のストリップを含む、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの幅広いシートを記載し、該ストリップは縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイント(接合部)を規定し、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である。これらの材料の縦方向に重なる又は接する複数のストリップを、UHMWPEの融点未満の温度及び300pliを越える圧力に付すことを含む、かかる材料の連続的製造方法もまた、この特許文献1に記載されている。
【0003】
米国特許出願第11/787,260号(特許文献2として2008年10月16日公開)は、縦方向に接し又は部分的に重なって隣接するストリップ間でジョイントを規定する、中間長さの複数のポリマーストリップから、幅広いポリマーシートを連続的に作る装置を記載する。
【0004】
特許文献3(PCT/US 08433として2008年4月3日出願)は、耐弾道性パネルであって、パネル全体又はその攻撃面部分が高モジュラスの高分子量ポリエチレンテープの複数のシートで形成された、該耐弾道性パネルを記載する。上記高モジュラスポリエチレンテープのシートはテープストリップがクロスプライして積み重ねられた層の形態又はテープストリップの織布の形態であることができる。上記UHMWPEテープのストリップは、少なくとも1インチの幅、及び1400グラム/デニールより大きいモジュラスを有する。耐弾道性パネルは、樹脂に埋め込まれた慣用の高モジュラス繊維の裏打ち層を含み得る。この開示による耐弾道性パネルを形成するために、広範囲の接着剤が、高モジュラスポリエチレンテープをクロスプライした層を結合するのに許容されることが見出された。
【0005】
これらの特許文献の各々は高度に有用な材料、及びそれらの作成のための方法及び装置を記載するが、いずれも、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの複数のストリップを含む、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの幅広いシートから作られた弾道積層体であって、該ストリップは縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイントを規定し、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である、上記弾道積層体を記載していない。
【0006】
従って、特許文献1に記載された幅広いシート製品から作られた、弾道積層体を提供する機会が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 2008-0254260 Al
【特許文献2】US 2008-0251212 A
【特許文献3】米国特許出願第11/881,863号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、非常に優れた弾道特性を奏するUHMWPE弾道積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、非常に優れた弾道特性を示し、UHMWPEの複数の幅広いシートの積層又は角度をもった積層(angular lamination)により作られた不織布弾道材料であって、複数の、高度に配向した超高分子量ポリエチレンのストリップにして、縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイントを規定するストリップを有してなり、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である、上記不織布弾道材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置の概略側面図である。
【0011】
【図2】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置の概略平面図である。
【0012】
【図3】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置のカレンダーロールスタンド部分の概略側面図である。
【0013】
【図4】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置の、初期及び最終の配列ガイドゾーンの一部分の概略部分平面図である。
【0014】
【図5】特許文献1に記載された実施に従って結合する前の、高度に配向したUHMWPEの2つの隣接する細いストリップの間の重なった領域の断面図である。
【0015】
【図6】特許文献1に記載された方法に従って処理した後の、2つの高度に配向したUHMWPEテープの間のジョイントの嵩(volume)の断面図である。
【0016】
【図7】特許文献1のUHMWPE幅広シートを該文献に記載された方法に従って加工する前の、該シートの部分的に仮想して示した平面図である。
【0017】
【図8】特許文献1に記載されたそして本発明の首尾良い実施に有用な、幅広シートの代替品の好ましい態様を描いた平面図である。
【図9】特許文献1に記載されたそして本発明の首尾良い実施に有用な、幅広シートの代替品の好ましい態様を描いた平面図である。
【0018】
【図10】接着剤被覆した一方向性非繊維性UHMWPEテープの2つのシート又は層を、本発明に従う弾道積層体の構築に使用するために熱及び圧力で融合させて、クロスプライ積層体を形成する前の、上記2つのシート又は層を斜視した概略図である。
【0019】
【図11】一方向性非繊維性UHMWPEテープの2つのシートを、熱及び圧力で融合させて、クロスプライ積層体を形成する前の、上記2つのシートの側部から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願で使用される用語「実質的に平らな」、「本質的に平らな」及び「実質的に純粋な」は、下記の意味を有することを意味しそして意図される:「実質的に平らな」は、本発明に従うシート材料であって、該材料の、2つの隣接するストリップの間のジョイントが隣接する/重なる/接する2つのストリップの合わせた厚さの80%以下の厚さを有する該シート材料を云い;「本質的に平らな」は、本発明に従うシート材料であって、該材料の2つの隣接するストリップの間のジョイントの厚さが、結合される2つのストリップの厚さと本質的に同じであり、それらの間に厚さの差異があったとしてもほとんどないような該シート材料を云い;そして「実質的に純粋な」は、UHMWPE製造工程の人為的成分(artifacts)、例えば触媒等、以外の、UHMWPEの特性に悪影響を及ぼす異質の材料又は物質を含まないUHMWPEを云う。
【0021】
本発明の出発材料UHMWPE幅広シートは、全体を引用して本願の一部として含める前述の特許文献1(以後、'094出願と云う)に記載されたようにして、全て全体を引用して本願の一部として含める下記の米国特許第6,951,685号;第4,879,076号;第5,091,133号;第5,106,555号;第5,106,558号;及び第5,578,373号に記載された方法で製造したUHMWPEのストリップから作られたものである。出発材料として特に好ましいのは、前述の米国特許第6,951,685号に記載されたようにして製造されたUHMWPE材料である。かかる材料は高純度の高度に配向したUHMWPEを含む。
【0022】
前述の'094出願に記載の方法によると、幅広いUHMWPEシートは、上述の従来技術に記載されたようにして調製された中間長さのアレー状の重なった又は接する複数のストリップを、UHMWPEの融点未満の温度、一般に約120℃と約155℃の間の範囲の温度(以下に記載されるように、結合中に該ストリップに加わる張力に依存する)、約300ポンド/線形インチ(lineal inch)(pli)を越える圧力、及び約0.3グラム/デニールと約5グラム/デニールの間の張力下でカレンダリングすることを含む方法で製造される。これらの幅広シートの製造のためのカレンダリング装置及び方法の詳細な説明は米国特許出願第11/787,260号(以後、'260出願と云う)に描かれそして記載されており、その全体を引用して本願に含める。
【0023】
添付の図5−7を参照すると、本発明の幅広いUHMWPEシートの第1態様300は、一連の平行で重なった中間長さのテープ又はストリップ302を含む。この第1の好ましい態様に関連して、本願で使用されるように、用語「ジョイント(接合部)」は、図6に描かれる、重なった領域/嵩304を規定し指している。図5、6、10及び11に描かれるように、2つの接する又は重なったストリップ又はテープ302A及び302Bにおける分子は、三角形及び円形で概念的に描いて、以下の検討において区別できるようにする。
【0024】
図5、6及び7に描かれるように、本発明の首尾良い実施に有用な幅広いシートである幅広シート300の第1の好ましい態様は、いかなる幅でもあり得るアレー状のテープ又はストリップ302A,302B等を長さ方向に平行な関係で重ね、次にそれらを本願に記載した装置での加工条件に付すことにより製造される。図5に示すように、一態様では、重ねられるストリップ又はテープ302A及び302Bの各々は厚さ0.0025インチであり、そして分子(三角形及び円形で概念的に表される)は別個のストリップ又はテープ302A及び302Bの各々の中にある。図6に示されるように、重なった構造が一旦本願記載の加工条件に付されると、ジョイント304の合計厚さは約0.0032インチで、合計で約35%を越える減少であり、そしてこれらの分子は混ざっており、このケースでは、最も確からしくは絡み合って、母材よりも高い強度、並びにより高いモジュラスを示すジョイント304を与える。今述べたストリップ又はテープ302A及び302Bの厚さは例示の目的のみに使用したもので、より厚い又はより薄いストリップ302A及び302Bも、本願に記載のUHMWPE幅広シートの製造に等しく使用できることが意図されていることは明らかである。最も具体的には、例えば約0.0010インチと約0.01インチの間の厚さを有するストリップが、適当なカレンダリング装置が利用可能と仮定して、本発明の幅広シートを形成するために等しく使用できる。厚さ約0.0015インチと約0.007インチの間の範囲のストリップが、本発明の首尾良い実施に使用するために特別に好ましい。ジョイント領域304のこのような厚さの減少、及び母ストリップ又はテープ302A及び302Bの各々の分子の混ざり合いは、本願に記載の圧力の適用によってのみ達成できることに留意されたい。重なった構造体を、従来技術に記載されたようなより低い圧力に付しても、本発明の厚さの減少及び分子の混ざり合い、又はそれから生じる強度及びモジュラスの増加は達成されない。これらの向上及びそれらの存在の実現は、本願記載の幅広シートを従来技術の幅広シートから明確に且つはっきりと区別する。
【0025】
図10及び11は、本発明の首尾良い実施に有用なUHMWPE幅広シートの別の好ましい態様を示す断面図を描く。図10に示すように、この態様によるとUHMWPEの2つのストリップ302A及び302Bは突合される。この突合せ構造を、本願に記載の加工条件下で、'094出願に記載の装置で加工すると、図11に示される構造を生じ、ここで、ストリップ302A及び302Bの各々はある程度の「側方押出し突合せ」を受ける、即ち、各ストリップの縦方向縁部は隣接するストリップの縦方向縁部とブレンドして、これらの2つの図面で区別のために円形及び三角形で描かれた部材ストリップの各々の分子の合併により規定されるジョイント領域/嵩304を形成する。この生成物の幅広シートは、アレー状のUHMWPEからなり縦方向に隣接する複数のストリップをレイアップし(laying up)、そしてこのように形成されたアレーを本願に記載の加工条件下で、'094出願に記載の装置での加工に付すことにより組み立てられるが、但し、UHMWPEの隣接するストリップどうしを重ね合わせる代わりに、これらのストリップを加工前に互いに突合せる。これらの条件下で、接するストリップは、隣り合う縁部を互いの中に押し込む側方押出しを受けて、図11に描く構造を与える。想像できるようにそして図11に描かれたように、この幅広シートは、ジョイント領域/嵩304で厚さの差異がほとんどないか全くない、本質的に平らなシートを含む。
【0026】
今度は図1−3を参照すると、本発明に有用な幅広い弾道シートを得るための本発明に従って使用される装置は、図1に描かれるように7つの別個のゾーン10−70を含む。ゾーン10は原料分配ゾーンであり、ゾーン20は張力を発生させるのを助ける張力制御ゾーンを含み(勿論、他の手段、例えば追加のローラーを含めること、も可能である)、ゾーン30は最初及び最終の整列ガイドゾーンであり、ゾーン40は、材料を装置1を通って引き出すための引張りエネルギーを与えるモーター駆動ロールスタンドであり、ゾーン50は、熱及び圧力を加えて、重なった材料のストリップ01を結合するカレンダーロールを含み、ゾーン60は該重なった材料を、該カレンダーから引張りそしてそれを取り出しスタンド又はゾーン70に供給するモーター駆動ロールスタンドを含む。
【0027】
材料01及び01’(図面5,6及び7に要素302として示される)の個々のロールは、これらのロールを支持して巻き出し、そしてそれらをずらした(staggered)関係に置くためのシャフト12及び12’の上に設けられる。個々のロール1の各々上の材料は縁部3を有し、そしてずらしたロール01及び01’上の縁部03は、添付の図面に示されるように僅かに重なるように配向される。抵抗機構14がロール1に適用されて、該ロールの巻き戻し速度を制御する。
【0028】
材料302が原料分配ゾーン10を出ると、材料302が次の操作のためにラインを通って引張られる際の張力を制御するのに役立つ一連のバー20(図1に最も良く見られる)を通過する。以下により充分に説明されるように、張力制御はこの方法を首尾よく実施するために非常に重要である。
【0029】
材料302がゾーン20を出ると、ゾーン30に入る。該ゾーン30は、調節可能なシャフト33及び33’上に設けられたフランジ32及び32’を含む2組のずれた(オフセット)ロール31及び31’を含み、該シャフト33及び33’は、材料302の流れを次のゾーン40に導きそして材料302がこの次のゾーンに入る際にその重なり部分量を制御するのに役立つ。
【0030】
ゾーン40は原料ロール01から材料302を引張りそしてゾーン20及び30を通過させる一連の垂直方向にずれたロール40及び40’を含む。モーター42が、ロール41及び41’を駆動するために設けられる。
【0031】
ゾーン50はシャフト33に設けられたフランジ32を含む最終セットのガイドロール31を含み、該フランジは、重ねられた材料302をカレンダーゾーン50に最終的にガイド(案内)するのに役立つ。この工程内のこの時点でのこの態様による重ねられた材料は全体的に図4に示される。この図面に示されるように、幅W1、W2及びW3の3つの投入ストリップ1は長さWTだけ重なっている。WTは1インチより短い長さから1又は2インチまでの非常に広範囲で変えてもよい。重なり部分の量は特に重要ではなく、工程又はそれにより製造された製品に実質的に影響しない。カレンダーゾーン50内に、外の箇所に特定したように、重ねられた材料302に必要な圧力を供給するカレンダーロール51及び51’が位置し、そしてゾーン50を出るのは、図5に示すように重ねられそして緊密に結合された材料302からなる複数のセクションを含む幅広い弾道シート300である。図3に示すように、カレンダー54により駆動されるリフトバー55が設けられて、上部ロール51を持ち上げて、重ねられた材料302がカレンダーロール51及び51’の間を通り抜けるのを可能にする。
【0032】
ゾーン50を出た後、幅広い弾道シート300はゾーン60に入る。該ゾーン60は、材料が、本願の別の個所に記載したように張力下で装置100を通るように引き抜くように働く、ずれた1組の引張りロール61を含む。モーター62がロール60を駆動するために設けられる。
【0033】
ゾーン70で、幅広い弾道シート300が取り出され、そしてモーター72で駆動されるシャフト71に再度巻かれる。
【0034】
今度は図4を参照すると、材料01は上記の種々のガイドロール、更に詳しくはカレンダーロール51及び51’に最も近いガイドロール31に入る際に、カレンダーロール51及び51’の各々は特定の幅W1、W2又はW3を有し、該幅は好ましくは全て同じであるが、異なっていることもでき、そして図4に示すように、そして更に詳細には図7にも示すように、重なっている。
【0035】
本願で記載する加工条件、UHMWPEストリップの融点未満の温度、約0.3〜約5グラム/デニールの範囲の張力、及び約300pliを越える圧力は、温度及び張力のそのパラメータが緊密に相互関連するオペレーションウインドウ(operation window)を規定する。UHMWPE製造の業界で良く知られたように、UHMWPEの繊維又はストリップに加わる張力について、「融点」、即ち融解の開始が検出できる温度、は繊維又はストリップに加わる張力が増加するにつれて増大する。従って、0.3グラム/デニールの張力で約120℃の温度がUHMWPEストリップの融点未満であり得るとしても、5グラム/デニールの張力で約154℃の温度はまだ、UHMWPEストリップの融点より直下の温度であり得る。このように、張力と温度の相互関係は注意深く考えなければならず、そして本発明の向上された製品を得るために維持されなければならない。加工条件の圧力要素は、上記した張力及び温度の関係から大きく独立している。本発明の加工条件の種々の好ましい態様によると、約125℃から150℃の範囲の温度及び約0.4から約4.5グラム/デニールの範囲の張力が特に好ましい。工程を首尾よく操作することができる速度は、UHMWPEストリップに熱を付与することができる速度にもっぱら依存する。該ストリップを、カレンダーロールに導入する前に適正な温度にすることができる限り、該方法は効率的であろう。かかるより迅速な加熱は、予備加熱オーブンの使用、より大きいカレンダーロール、多数の組のカレンダーロールの使用、及び多数のカレンダーの使用等によることができる。
【0036】
本願に記載した方法に従って製造されたUHMWPE幅広シートは、30%を越える顕著な透明度を示し、一方、以下に記載する従来技術により製造されたものは、母ストリップ材料の不透明性を示した。これは疑いも無く、低温では従来技術の方法は良く合体した又は緊密に混合した構造を生成せず、従って母材料の透明度を示し、一方高温では、より詳しく以下に論じるように、融解が起き、融解した領域に、光を拡散しそして増加した不透明性の結果となる空隙が存在することになる、という事実による。
【0037】
テストされた特定の接着剤及び重要な測定された性質を以下の第1表に示す。
<第1表>
Tensylonテープを弾道積層体になるように結合する際の有効性についてテストされた接着剤
【0038】
【表1】
【0039】
テストされた接着剤はポリエチレン−PO4401(A1)、ポリエチレン−PO4605(B1)、ポリエチレン−DO184B(C1)、ポリウレタン−DO187H(D1)、及びポリエチレン−DO188Q(E1)(これらの全てはスパンファブ社、オハイオ州、カヤホガ・フォールから入手可能である);Kraton D1161P(F1)(クラトンポリマー・ユーエス、テキサス州、ハウストンLLCから入手可能である);Macromelt 6900(G1)(ヘンケル・アドヘッシブズ、イリノイ州、エルギンから入手可能である);及びNoveon−Estane 5703(H1)(ルブリゾール・アドバンスト・マテリアル社、オハイオ州、クレーブランドから入手可能である)を含む。接着剤A1−E1はTensylonテープに、米国特許出願第11/881,863号の図1に描かれたラミネーター/フューザー20により適用された。溶媒に分散された接着剤F1−H1は、剥離フィルムにコートされそして次ぎにUHMWPEテープの1つの側面に転写された。
【0040】
通常「ユニテープ」と命名されそして縁部が融合された(fused)UHMWPEテープの8つのストリップから成る、接着剤被覆された一方向性非繊維状、高モジュラス、超高分子量のポリエチレンテープを、次ぎに12インチx12インチのシートに切断した。図10及び11は、ジョイント領域466で融合されたUHMWPEテープのストリップ464から成る、接着剤被覆ユニテープの2つのシート460及び462を描く。図10において、UHMWPEテープの配向方向の記述においてジョイント領域466を明確にするために描いたが、UHMWPEテープストリップ464は、本願に記載するように結合する時に実質的に透明にされて、従ってジョイント領域466がシートと均一に見えるようにされることを理解されたい。非繊維状、高モジュラス、超高分子量のポリエチレンテープの結合は2007年4月13日出願の米国特許出願第11/787,094号に詳細に記載され、該出願を引用して本願に含める。接着剤被覆ユニテープの上部シート460は下部シート462に対して90度の角度で配向している。図10及び11で接着剤の透明層として示される接着剤層468は、上記の方法でシート460及び462の各々に結合される。接着剤は熱可塑性であるので、接着剤被覆ユニテープの2つのシート460及び462は熱及び圧力によりプレスされて、2つのシートを非繊維状、高モジュラス、超高分子量のポリエチレンUHMWPEのクロスプライ(即ち、方形直交、cross-plied)シートになるように結合される。該結合されたシートは0度及び90度の方向にクロスプライされている。
【0041】
耐弾道性パネルを形成するために、接着剤が被覆された非繊維状、高モジュラス、超高分子量ポリエチレンのクロスプライシートを、約2.0psf(ポンド/平方フィート)のクロスプライした非繊維状、高モジュラス、超高分子量ポリエチレンの積み重ね体が得られるまで積み重ねた。公称2.0psf積み重ね体の幾つかを150psiの圧力でプレスし、そして幾つかは3,000psiの圧力でプレスした。プレスサイクルは華氏250−260度の温度で30分、そして解放前に全圧力下で華氏120度未満への冷却を含み、これにより公称2.0psfの面密度(areal density)の耐弾道性パネルを形成した。
【0042】
次ぎに耐弾道性パネルを耐弾道性についてテストした。MIL−P−46593A当たり0.3口径FSPの発射体(フラグメント刺激発射体)を上記の2.0psfテストパネルに目がけて発射し、種々の接着剤で結合した該パネルの弾道特性を得た。該発射体の50%がターゲットを貫通しない速度(V50)をpsf(フィート/秒)で、MIL−STD−462F毎に測定した。以下に、150psiで形成して得られた耐弾道性パネルについてのデータを第2表に、そして3,000psiで形成して得られた耐弾道性パネルについてのデータを第3表に示す。
<第2表>
種々の接着剤を用いて成形圧150 psiで形成したUHMWPEテープの耐弾道性パネルについてのデータ結果及び弾道性テスト結果:
【0043】
【表2】
<第3表>
種々の接着剤を用いて成形圧3,000 psiで形成したUHMWPEテープの耐弾道性パネルについてのデータ結果及び弾道性テスト結果:
【0044】
【表3】
【0045】
該データの要約は、弾道性能について、接着剤A1、B1及びC1を用いて成形した3000psi耐弾道性パネルが150psiパネルよりも僅かに高いと評価されたことを示唆する。接着剤B1及びC1は性能において本質的に同等であった。上記V50結果は、テストパネルの全てが0.30口径フラグメント刺激発射体の耐弾道性について許容できたことを示唆する。
【0046】
本発明を説明したが、当業者には、本発明は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの形で変更し得ることは明らかであろう。かかる変更のいずれか及び全てが本願特許請求の範囲内に含まれることを意図している。
【符号の説明】
【0047】
1:ロール
10:原料分配ゾーン
12、12’:シャフト
20:張力制御ゾーン
30:最初及び最終の整列ガイドゾーン
40:モーター駆動ロールスタンド
51及び51’:カレンダーロール
61:引張りロール
300:幅広い弾道シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層弾道(ballistic)シートに関し、更に具体的には、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のストリップ又はテープから形成されたシートの積層により作られ、該ストリップ又はテープは結合されてシートを形成しそして次に積層されている材料に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第11/787,094号(特許文献1として2008年10月16日公開)は、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの複数のストリップを含む、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの幅広いシートを記載し、該ストリップは縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイント(接合部)を規定し、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である。これらの材料の縦方向に重なる又は接する複数のストリップを、UHMWPEの融点未満の温度及び300pliを越える圧力に付すことを含む、かかる材料の連続的製造方法もまた、この特許文献1に記載されている。
【0003】
米国特許出願第11/787,260号(特許文献2として2008年10月16日公開)は、縦方向に接し又は部分的に重なって隣接するストリップ間でジョイントを規定する、中間長さの複数のポリマーストリップから、幅広いポリマーシートを連続的に作る装置を記載する。
【0004】
特許文献3(PCT/US 08433として2008年4月3日出願)は、耐弾道性パネルであって、パネル全体又はその攻撃面部分が高モジュラスの高分子量ポリエチレンテープの複数のシートで形成された、該耐弾道性パネルを記載する。上記高モジュラスポリエチレンテープのシートはテープストリップがクロスプライして積み重ねられた層の形態又はテープストリップの織布の形態であることができる。上記UHMWPEテープのストリップは、少なくとも1インチの幅、及び1400グラム/デニールより大きいモジュラスを有する。耐弾道性パネルは、樹脂に埋め込まれた慣用の高モジュラス繊維の裏打ち層を含み得る。この開示による耐弾道性パネルを形成するために、広範囲の接着剤が、高モジュラスポリエチレンテープをクロスプライした層を結合するのに許容されることが見出された。
【0005】
これらの特許文献の各々は高度に有用な材料、及びそれらの作成のための方法及び装置を記載するが、いずれも、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの複数のストリップを含む、高度に配向した超高分子量ポリエチレンの幅広いシートから作られた弾道積層体であって、該ストリップは縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイントを規定し、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である、上記弾道積層体を記載していない。
【0006】
従って、特許文献1に記載された幅広いシート製品から作られた、弾道積層体を提供する機会が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 2008-0254260 Al
【特許文献2】US 2008-0251212 A
【特許文献3】米国特許出願第11/881,863号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、非常に優れた弾道特性を奏するUHMWPE弾道積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、非常に優れた弾道特性を示し、UHMWPEの複数の幅広いシートの積層又は角度をもった積層(angular lamination)により作られた不織布弾道材料であって、複数の、高度に配向した超高分子量ポリエチレンのストリップにして、縦方向に部分的に重なるか又は接して、隣接するストリップの間でジョイントを規定するストリップを有してなり、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップの厚さの合計厚の約80%未満である、上記不織布弾道材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置の概略側面図である。
【0011】
【図2】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置の概略平面図である。
【0012】
【図3】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置のカレンダーロールスタンド部分の概略側面図である。
【0013】
【図4】本発明の首尾よい実施に有用な幅広いシートの弾道材料の製造に有用な装置の、初期及び最終の配列ガイドゾーンの一部分の概略部分平面図である。
【0014】
【図5】特許文献1に記載された実施に従って結合する前の、高度に配向したUHMWPEの2つの隣接する細いストリップの間の重なった領域の断面図である。
【0015】
【図6】特許文献1に記載された方法に従って処理した後の、2つの高度に配向したUHMWPEテープの間のジョイントの嵩(volume)の断面図である。
【0016】
【図7】特許文献1のUHMWPE幅広シートを該文献に記載された方法に従って加工する前の、該シートの部分的に仮想して示した平面図である。
【0017】
【図8】特許文献1に記載されたそして本発明の首尾良い実施に有用な、幅広シートの代替品の好ましい態様を描いた平面図である。
【図9】特許文献1に記載されたそして本発明の首尾良い実施に有用な、幅広シートの代替品の好ましい態様を描いた平面図である。
【0018】
【図10】接着剤被覆した一方向性非繊維性UHMWPEテープの2つのシート又は層を、本発明に従う弾道積層体の構築に使用するために熱及び圧力で融合させて、クロスプライ積層体を形成する前の、上記2つのシート又は層を斜視した概略図である。
【0019】
【図11】一方向性非繊維性UHMWPEテープの2つのシートを、熱及び圧力で融合させて、クロスプライ積層体を形成する前の、上記2つのシートの側部から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願で使用される用語「実質的に平らな」、「本質的に平らな」及び「実質的に純粋な」は、下記の意味を有することを意味しそして意図される:「実質的に平らな」は、本発明に従うシート材料であって、該材料の、2つの隣接するストリップの間のジョイントが隣接する/重なる/接する2つのストリップの合わせた厚さの80%以下の厚さを有する該シート材料を云い;「本質的に平らな」は、本発明に従うシート材料であって、該材料の2つの隣接するストリップの間のジョイントの厚さが、結合される2つのストリップの厚さと本質的に同じであり、それらの間に厚さの差異があったとしてもほとんどないような該シート材料を云い;そして「実質的に純粋な」は、UHMWPE製造工程の人為的成分(artifacts)、例えば触媒等、以外の、UHMWPEの特性に悪影響を及ぼす異質の材料又は物質を含まないUHMWPEを云う。
【0021】
本発明の出発材料UHMWPE幅広シートは、全体を引用して本願の一部として含める前述の特許文献1(以後、'094出願と云う)に記載されたようにして、全て全体を引用して本願の一部として含める下記の米国特許第6,951,685号;第4,879,076号;第5,091,133号;第5,106,555号;第5,106,558号;及び第5,578,373号に記載された方法で製造したUHMWPEのストリップから作られたものである。出発材料として特に好ましいのは、前述の米国特許第6,951,685号に記載されたようにして製造されたUHMWPE材料である。かかる材料は高純度の高度に配向したUHMWPEを含む。
【0022】
前述の'094出願に記載の方法によると、幅広いUHMWPEシートは、上述の従来技術に記載されたようにして調製された中間長さのアレー状の重なった又は接する複数のストリップを、UHMWPEの融点未満の温度、一般に約120℃と約155℃の間の範囲の温度(以下に記載されるように、結合中に該ストリップに加わる張力に依存する)、約300ポンド/線形インチ(lineal inch)(pli)を越える圧力、及び約0.3グラム/デニールと約5グラム/デニールの間の張力下でカレンダリングすることを含む方法で製造される。これらの幅広シートの製造のためのカレンダリング装置及び方法の詳細な説明は米国特許出願第11/787,260号(以後、'260出願と云う)に描かれそして記載されており、その全体を引用して本願に含める。
【0023】
添付の図5−7を参照すると、本発明の幅広いUHMWPEシートの第1態様300は、一連の平行で重なった中間長さのテープ又はストリップ302を含む。この第1の好ましい態様に関連して、本願で使用されるように、用語「ジョイント(接合部)」は、図6に描かれる、重なった領域/嵩304を規定し指している。図5、6、10及び11に描かれるように、2つの接する又は重なったストリップ又はテープ302A及び302Bにおける分子は、三角形及び円形で概念的に描いて、以下の検討において区別できるようにする。
【0024】
図5、6及び7に描かれるように、本発明の首尾良い実施に有用な幅広いシートである幅広シート300の第1の好ましい態様は、いかなる幅でもあり得るアレー状のテープ又はストリップ302A,302B等を長さ方向に平行な関係で重ね、次にそれらを本願に記載した装置での加工条件に付すことにより製造される。図5に示すように、一態様では、重ねられるストリップ又はテープ302A及び302Bの各々は厚さ0.0025インチであり、そして分子(三角形及び円形で概念的に表される)は別個のストリップ又はテープ302A及び302Bの各々の中にある。図6に示されるように、重なった構造が一旦本願記載の加工条件に付されると、ジョイント304の合計厚さは約0.0032インチで、合計で約35%を越える減少であり、そしてこれらの分子は混ざっており、このケースでは、最も確からしくは絡み合って、母材よりも高い強度、並びにより高いモジュラスを示すジョイント304を与える。今述べたストリップ又はテープ302A及び302Bの厚さは例示の目的のみに使用したもので、より厚い又はより薄いストリップ302A及び302Bも、本願に記載のUHMWPE幅広シートの製造に等しく使用できることが意図されていることは明らかである。最も具体的には、例えば約0.0010インチと約0.01インチの間の厚さを有するストリップが、適当なカレンダリング装置が利用可能と仮定して、本発明の幅広シートを形成するために等しく使用できる。厚さ約0.0015インチと約0.007インチの間の範囲のストリップが、本発明の首尾良い実施に使用するために特別に好ましい。ジョイント領域304のこのような厚さの減少、及び母ストリップ又はテープ302A及び302Bの各々の分子の混ざり合いは、本願に記載の圧力の適用によってのみ達成できることに留意されたい。重なった構造体を、従来技術に記載されたようなより低い圧力に付しても、本発明の厚さの減少及び分子の混ざり合い、又はそれから生じる強度及びモジュラスの増加は達成されない。これらの向上及びそれらの存在の実現は、本願記載の幅広シートを従来技術の幅広シートから明確に且つはっきりと区別する。
【0025】
図10及び11は、本発明の首尾良い実施に有用なUHMWPE幅広シートの別の好ましい態様を示す断面図を描く。図10に示すように、この態様によるとUHMWPEの2つのストリップ302A及び302Bは突合される。この突合せ構造を、本願に記載の加工条件下で、'094出願に記載の装置で加工すると、図11に示される構造を生じ、ここで、ストリップ302A及び302Bの各々はある程度の「側方押出し突合せ」を受ける、即ち、各ストリップの縦方向縁部は隣接するストリップの縦方向縁部とブレンドして、これらの2つの図面で区別のために円形及び三角形で描かれた部材ストリップの各々の分子の合併により規定されるジョイント領域/嵩304を形成する。この生成物の幅広シートは、アレー状のUHMWPEからなり縦方向に隣接する複数のストリップをレイアップし(laying up)、そしてこのように形成されたアレーを本願に記載の加工条件下で、'094出願に記載の装置での加工に付すことにより組み立てられるが、但し、UHMWPEの隣接するストリップどうしを重ね合わせる代わりに、これらのストリップを加工前に互いに突合せる。これらの条件下で、接するストリップは、隣り合う縁部を互いの中に押し込む側方押出しを受けて、図11に描く構造を与える。想像できるようにそして図11に描かれたように、この幅広シートは、ジョイント領域/嵩304で厚さの差異がほとんどないか全くない、本質的に平らなシートを含む。
【0026】
今度は図1−3を参照すると、本発明に有用な幅広い弾道シートを得るための本発明に従って使用される装置は、図1に描かれるように7つの別個のゾーン10−70を含む。ゾーン10は原料分配ゾーンであり、ゾーン20は張力を発生させるのを助ける張力制御ゾーンを含み(勿論、他の手段、例えば追加のローラーを含めること、も可能である)、ゾーン30は最初及び最終の整列ガイドゾーンであり、ゾーン40は、材料を装置1を通って引き出すための引張りエネルギーを与えるモーター駆動ロールスタンドであり、ゾーン50は、熱及び圧力を加えて、重なった材料のストリップ01を結合するカレンダーロールを含み、ゾーン60は該重なった材料を、該カレンダーから引張りそしてそれを取り出しスタンド又はゾーン70に供給するモーター駆動ロールスタンドを含む。
【0027】
材料01及び01’(図面5,6及び7に要素302として示される)の個々のロールは、これらのロールを支持して巻き出し、そしてそれらをずらした(staggered)関係に置くためのシャフト12及び12’の上に設けられる。個々のロール1の各々上の材料は縁部3を有し、そしてずらしたロール01及び01’上の縁部03は、添付の図面に示されるように僅かに重なるように配向される。抵抗機構14がロール1に適用されて、該ロールの巻き戻し速度を制御する。
【0028】
材料302が原料分配ゾーン10を出ると、材料302が次の操作のためにラインを通って引張られる際の張力を制御するのに役立つ一連のバー20(図1に最も良く見られる)を通過する。以下により充分に説明されるように、張力制御はこの方法を首尾よく実施するために非常に重要である。
【0029】
材料302がゾーン20を出ると、ゾーン30に入る。該ゾーン30は、調節可能なシャフト33及び33’上に設けられたフランジ32及び32’を含む2組のずれた(オフセット)ロール31及び31’を含み、該シャフト33及び33’は、材料302の流れを次のゾーン40に導きそして材料302がこの次のゾーンに入る際にその重なり部分量を制御するのに役立つ。
【0030】
ゾーン40は原料ロール01から材料302を引張りそしてゾーン20及び30を通過させる一連の垂直方向にずれたロール40及び40’を含む。モーター42が、ロール41及び41’を駆動するために設けられる。
【0031】
ゾーン50はシャフト33に設けられたフランジ32を含む最終セットのガイドロール31を含み、該フランジは、重ねられた材料302をカレンダーゾーン50に最終的にガイド(案内)するのに役立つ。この工程内のこの時点でのこの態様による重ねられた材料は全体的に図4に示される。この図面に示されるように、幅W1、W2及びW3の3つの投入ストリップ1は長さWTだけ重なっている。WTは1インチより短い長さから1又は2インチまでの非常に広範囲で変えてもよい。重なり部分の量は特に重要ではなく、工程又はそれにより製造された製品に実質的に影響しない。カレンダーゾーン50内に、外の箇所に特定したように、重ねられた材料302に必要な圧力を供給するカレンダーロール51及び51’が位置し、そしてゾーン50を出るのは、図5に示すように重ねられそして緊密に結合された材料302からなる複数のセクションを含む幅広い弾道シート300である。図3に示すように、カレンダー54により駆動されるリフトバー55が設けられて、上部ロール51を持ち上げて、重ねられた材料302がカレンダーロール51及び51’の間を通り抜けるのを可能にする。
【0032】
ゾーン50を出た後、幅広い弾道シート300はゾーン60に入る。該ゾーン60は、材料が、本願の別の個所に記載したように張力下で装置100を通るように引き抜くように働く、ずれた1組の引張りロール61を含む。モーター62がロール60を駆動するために設けられる。
【0033】
ゾーン70で、幅広い弾道シート300が取り出され、そしてモーター72で駆動されるシャフト71に再度巻かれる。
【0034】
今度は図4を参照すると、材料01は上記の種々のガイドロール、更に詳しくはカレンダーロール51及び51’に最も近いガイドロール31に入る際に、カレンダーロール51及び51’の各々は特定の幅W1、W2又はW3を有し、該幅は好ましくは全て同じであるが、異なっていることもでき、そして図4に示すように、そして更に詳細には図7にも示すように、重なっている。
【0035】
本願で記載する加工条件、UHMWPEストリップの融点未満の温度、約0.3〜約5グラム/デニールの範囲の張力、及び約300pliを越える圧力は、温度及び張力のそのパラメータが緊密に相互関連するオペレーションウインドウ(operation window)を規定する。UHMWPE製造の業界で良く知られたように、UHMWPEの繊維又はストリップに加わる張力について、「融点」、即ち融解の開始が検出できる温度、は繊維又はストリップに加わる張力が増加するにつれて増大する。従って、0.3グラム/デニールの張力で約120℃の温度がUHMWPEストリップの融点未満であり得るとしても、5グラム/デニールの張力で約154℃の温度はまだ、UHMWPEストリップの融点より直下の温度であり得る。このように、張力と温度の相互関係は注意深く考えなければならず、そして本発明の向上された製品を得るために維持されなければならない。加工条件の圧力要素は、上記した張力及び温度の関係から大きく独立している。本発明の加工条件の種々の好ましい態様によると、約125℃から150℃の範囲の温度及び約0.4から約4.5グラム/デニールの範囲の張力が特に好ましい。工程を首尾よく操作することができる速度は、UHMWPEストリップに熱を付与することができる速度にもっぱら依存する。該ストリップを、カレンダーロールに導入する前に適正な温度にすることができる限り、該方法は効率的であろう。かかるより迅速な加熱は、予備加熱オーブンの使用、より大きいカレンダーロール、多数の組のカレンダーロールの使用、及び多数のカレンダーの使用等によることができる。
【0036】
本願に記載した方法に従って製造されたUHMWPE幅広シートは、30%を越える顕著な透明度を示し、一方、以下に記載する従来技術により製造されたものは、母ストリップ材料の不透明性を示した。これは疑いも無く、低温では従来技術の方法は良く合体した又は緊密に混合した構造を生成せず、従って母材料の透明度を示し、一方高温では、より詳しく以下に論じるように、融解が起き、融解した領域に、光を拡散しそして増加した不透明性の結果となる空隙が存在することになる、という事実による。
【0037】
テストされた特定の接着剤及び重要な測定された性質を以下の第1表に示す。
<第1表>
Tensylonテープを弾道積層体になるように結合する際の有効性についてテストされた接着剤
【0038】
【表1】
【0039】
テストされた接着剤はポリエチレン−PO4401(A1)、ポリエチレン−PO4605(B1)、ポリエチレン−DO184B(C1)、ポリウレタン−DO187H(D1)、及びポリエチレン−DO188Q(E1)(これらの全てはスパンファブ社、オハイオ州、カヤホガ・フォールから入手可能である);Kraton D1161P(F1)(クラトンポリマー・ユーエス、テキサス州、ハウストンLLCから入手可能である);Macromelt 6900(G1)(ヘンケル・アドヘッシブズ、イリノイ州、エルギンから入手可能である);及びNoveon−Estane 5703(H1)(ルブリゾール・アドバンスト・マテリアル社、オハイオ州、クレーブランドから入手可能である)を含む。接着剤A1−E1はTensylonテープに、米国特許出願第11/881,863号の図1に描かれたラミネーター/フューザー20により適用された。溶媒に分散された接着剤F1−H1は、剥離フィルムにコートされそして次ぎにUHMWPEテープの1つの側面に転写された。
【0040】
通常「ユニテープ」と命名されそして縁部が融合された(fused)UHMWPEテープの8つのストリップから成る、接着剤被覆された一方向性非繊維状、高モジュラス、超高分子量のポリエチレンテープを、次ぎに12インチx12インチのシートに切断した。図10及び11は、ジョイント領域466で融合されたUHMWPEテープのストリップ464から成る、接着剤被覆ユニテープの2つのシート460及び462を描く。図10において、UHMWPEテープの配向方向の記述においてジョイント領域466を明確にするために描いたが、UHMWPEテープストリップ464は、本願に記載するように結合する時に実質的に透明にされて、従ってジョイント領域466がシートと均一に見えるようにされることを理解されたい。非繊維状、高モジュラス、超高分子量のポリエチレンテープの結合は2007年4月13日出願の米国特許出願第11/787,094号に詳細に記載され、該出願を引用して本願に含める。接着剤被覆ユニテープの上部シート460は下部シート462に対して90度の角度で配向している。図10及び11で接着剤の透明層として示される接着剤層468は、上記の方法でシート460及び462の各々に結合される。接着剤は熱可塑性であるので、接着剤被覆ユニテープの2つのシート460及び462は熱及び圧力によりプレスされて、2つのシートを非繊維状、高モジュラス、超高分子量のポリエチレンUHMWPEのクロスプライ(即ち、方形直交、cross-plied)シートになるように結合される。該結合されたシートは0度及び90度の方向にクロスプライされている。
【0041】
耐弾道性パネルを形成するために、接着剤が被覆された非繊維状、高モジュラス、超高分子量ポリエチレンのクロスプライシートを、約2.0psf(ポンド/平方フィート)のクロスプライした非繊維状、高モジュラス、超高分子量ポリエチレンの積み重ね体が得られるまで積み重ねた。公称2.0psf積み重ね体の幾つかを150psiの圧力でプレスし、そして幾つかは3,000psiの圧力でプレスした。プレスサイクルは華氏250−260度の温度で30分、そして解放前に全圧力下で華氏120度未満への冷却を含み、これにより公称2.0psfの面密度(areal density)の耐弾道性パネルを形成した。
【0042】
次ぎに耐弾道性パネルを耐弾道性についてテストした。MIL−P−46593A当たり0.3口径FSPの発射体(フラグメント刺激発射体)を上記の2.0psfテストパネルに目がけて発射し、種々の接着剤で結合した該パネルの弾道特性を得た。該発射体の50%がターゲットを貫通しない速度(V50)をpsf(フィート/秒)で、MIL−STD−462F毎に測定した。以下に、150psiで形成して得られた耐弾道性パネルについてのデータを第2表に、そして3,000psiで形成して得られた耐弾道性パネルについてのデータを第3表に示す。
<第2表>
種々の接着剤を用いて成形圧150 psiで形成したUHMWPEテープの耐弾道性パネルについてのデータ結果及び弾道性テスト結果:
【0043】
【表2】
<第3表>
種々の接着剤を用いて成形圧3,000 psiで形成したUHMWPEテープの耐弾道性パネルについてのデータ結果及び弾道性テスト結果:
【0044】
【表3】
【0045】
該データの要約は、弾道性能について、接着剤A1、B1及びC1を用いて成形した3000psi耐弾道性パネルが150psiパネルよりも僅かに高いと評価されたことを示唆する。接着剤B1及びC1は性能において本質的に同等であった。上記V50結果は、テストパネルの全てが0.30口径フラグメント刺激発射体の耐弾道性について許容できたことを示唆する。
【0046】
本発明を説明したが、当業者には、本発明は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの形で変更し得ることは明らかであろう。かかる変更のいずれか及び全てが本願特許請求の範囲内に含まれることを意図している。
【符号の説明】
【0047】
1:ロール
10:原料分配ゾーン
12、12’:シャフト
20:張力制御ゾーン
30:最初及び最終の整列ガイドゾーン
40:モーター駆動ロールスタンド
51及び51’:カレンダーロール
61:引張りロール
300:幅広い弾道シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合され、交互にそして角度をもって配置された、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなる複数の層を含む耐弾道性パネルであって、
該非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの該層の各々は、シート構造に縦方向に接合された複数のテープストリップを含む、上記耐弾道性パネル。
【請求項2】
上記の結合され、交互にそして角度をもって配置された非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの複数の層が、熱及び圧力の適用により結合された、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項3】
上記の結合の熱が少なくとも華氏150度、そして上記の結合の圧力が少なくとも150psiである、請求項2に記載の耐弾道性パネル。
【請求項4】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、隣接するストリップとストリップの間でジョイントを規定する、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの、部分的に重なった又は突合された複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップとストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項5】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、側側で(side to side)突合せジョイント状に配置されそして熱及び圧力で結合された複数のテープストリップを含む、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項6】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、重なったストリップとストリップの間のジョイントを規定する非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなり、縦方向に部分的に重なった複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接する複数のストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項7】
更に、上記の非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの層と層との間に接着剤の層を含む、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項8】
上記接着剤が、ポリアミド接着剤、エチレン−酢酸ビニル接着剤、ポリウレタン接着剤、エチレン−アクリル酸接着剤、ポリオレフィン接着剤及びポリスチレン−イソプレンコポリマー接着剤から成る群から選ばれる、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項9】
上記の結合され、交互にそして角度をもって配置された、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなる複数の層が、熱及び圧力の適用により結合された、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項10】
上記の結合の熱が少なくとも華氏150度、そして上記の結合の圧力が少なくとも150psiである、請求項9に記載の耐弾道性パネル。
【請求項11】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、隣接するストリップとストリップとの間でジョイントを規定する、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなる部分的に重なった又は突合された複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップとストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項12】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、側側で(side to side)突合せジョイント状に配置されそして熱及び圧力で結合された複数のテープストリップを含む、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項13】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、重なったストリップとストリップの間のジョイントを規定する非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなり、縦方向に部分的に重なった複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接する複数のストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項1】
結合され、交互にそして角度をもって配置された、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなる複数の層を含む耐弾道性パネルであって、
該非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの該層の各々は、シート構造に縦方向に接合された複数のテープストリップを含む、上記耐弾道性パネル。
【請求項2】
上記の結合され、交互にそして角度をもって配置された非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの複数の層が、熱及び圧力の適用により結合された、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項3】
上記の結合の熱が少なくとも華氏150度、そして上記の結合の圧力が少なくとも150psiである、請求項2に記載の耐弾道性パネル。
【請求項4】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、隣接するストリップとストリップの間でジョイントを規定する、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの、部分的に重なった又は突合された複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップとストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項5】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、側側で(side to side)突合せジョイント状に配置されそして熱及び圧力で結合された複数のテープストリップを含む、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項6】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、重なったストリップとストリップの間のジョイントを規定する非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなり、縦方向に部分的に重なった複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接する複数のストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項7】
更に、上記の非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープの層と層との間に接着剤の層を含む、請求項1に記載の耐弾道性パネル。
【請求項8】
上記接着剤が、ポリアミド接着剤、エチレン−酢酸ビニル接着剤、ポリウレタン接着剤、エチレン−アクリル酸接着剤、ポリオレフィン接着剤及びポリスチレン−イソプレンコポリマー接着剤から成る群から選ばれる、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項9】
上記の結合され、交互にそして角度をもって配置された、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなる複数の層が、熱及び圧力の適用により結合された、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項10】
上記の結合の熱が少なくとも華氏150度、そして上記の結合の圧力が少なくとも150psiである、請求項9に記載の耐弾道性パネル。
【請求項11】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、隣接するストリップとストリップとの間でジョイントを規定する、非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなる部分的に重なった又は突合された複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接するストリップとストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項12】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、側側で(side to side)突合せジョイント状に配置されそして熱及び圧力で結合された複数のテープストリップを含む、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【請求項13】
シート構造に接合された上記複数のテープストリップが、アレー状の、重なったストリップとストリップの間のジョイントを規定する非繊維性、高モジュラスの超高分子量ポリエチレンテープからなり、縦方向に部分的に重なった複数のストリップを含み、ここで、該ジョイントの厚さは、該ジョイントを作る隣接する複数のストリップの厚さの合計厚さの約80%未満である、請求項7に記載の耐弾道性パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−509782(P2012−509782A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537426(P2011−537426)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/006225
【国際公開番号】WO2010/090627
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(509278036)ビ−エ−イ−・システムズ・テンシロン・ハイ・パフォーマンス・マテリアルズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/006225
【国際公開番号】WO2010/090627
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(509278036)ビ−エ−イ−・システムズ・テンシロン・ハイ・パフォーマンス・マテリアルズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]