説明

積層構造を有する成形体及びその製造方法

【課題】強固に接着され且つ長期安定性に優れ、電気絶縁性、耐熱性に優れた金属/樹脂積層体を提供する。またその簡便な製造方法を提供することにある。
【解決手段】窒素を含有する樹脂、好ましくはポリアミドやポリイミドを含むことを特徴とする外層(A)、エポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂を含むことを特徴とする中間層(B)、金属を含むことを特徴とする内層(C)とを含む積層構造を有する成形体は、外層に用いる樹脂がエポキシ基を有する化合物の硬化剤としても機能する事があるので、層間の接着力が強い態様や、従来の低分子量エポキシ硬化剤量を低減出来ることから積層体の経時的な汚れや金属の変性、腐蝕を抑制できると期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属と樹脂との積層構造を有する成形体に関する。より詳しくは、金属と樹脂との間に接着層が存在する積層構造を有する成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属は一般的に剛性、靱性のバランスが良好で、導電性を有する等の好ましい性質を有している。一方で、金属は酸化され易く、酸化は変性、腐蝕等に繋がる可能性がある。また大容量の電流を送電する場合には、感電や発熱によるやけどに繋がるリスクがある。これらの対策としては、金属を金属酸化物の薄膜や樹脂層で保護する態様が広く知られている。
【0003】
樹脂層としては、電気絶縁性、耐熱性、剛性、靱性に優れる材料として、ポリアミド、ポリイミドなどの所謂エンジニアリングプラスチックが好適な材料とされている。また、エポキシ樹脂も電気絶縁性などに優れている事が知られているが、エポキシ樹脂は耐候性が充分とは言えないことが知られている。
【0004】
近年、種々の部品は複合化が進み、また組立の段階で積層や接着工程を伴う方法から、予め出来る限り複合化した部品を作成しておく、所謂モジュール化が進んでいる。またそれらのモジュールに対する低コスト化の要請も強い。
このため前記の金属と樹脂層との積層も各層をそれぞれ成型して積層したり、金属と樹脂との間に接着剤を注入するような従来の方法よりも効率の良い成型方法が可能で、且つ、高い機能を有する部品の成形体が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属と樹脂層との接着には、シリコーン系接着剤が用いられることが知られている。ただ、シリコーン系接着剤はオイルを含むケースが多く、経時的に当該オイルが滲み出す事がある。
金属と樹脂層との接着にエポキシ樹脂接着剤が用いられる例もある。ただ、エポキシ樹脂は、硬化剤が必要であり、未反応の硬化剤が経時的にブリードする可能性があり、各種部品として用いた場合の長期耐久性に影響が出る可能性がある。特に高性能で小型化が進む電子、電機部品にこの傾向が強いと考えられる。
従って、本発明が解決しようとする課題は、強固に接着され且つ長期安定性に優れ、電気絶縁性、耐熱性に優れた金属/樹脂積層体を提供することにある。またその簡便な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明者らは検討を重ねた。その結果、金属とエポキシ樹脂接着層と特定の構造を有する樹脂を含む層とからなる積層構造を有する成形体が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、
〔1〕窒素を含有する樹脂を含むことを特徴とする外層(A)、
エポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂を含むことを特徴とする中間層(B)、
金属を含むことを特徴とする内層(C)、
とを含む積層構造を有する成形体。
〔2〕前記窒素を含有する樹脂がポリアミド、ポリイミドから選ばれる樹脂
であることを特徴とする上記〔1〕に記載の成形体。
〔3〕前記エポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂がエポキシ樹脂接着剤であることを特徴とする上記〔1〕に記載の成形体。
[4]前記中間層(B)の厚みが100〜2000μmであることを特徴とする上記[1]に記載の成形体
〔5〕前記エポキシ樹脂接着剤に含まれる硬化剤が窒素含有化合物であることを特徴とする上記〔3〕に記載の成形体。
〔6〕エポキシ樹脂接着剤を100〜2000μm塗布した金属に窒素を含有する樹脂を供給して射出成形することを特徴とする上記〔1〕〜[5]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
である。
【0008】
上記の積層体は、樹脂層が窒素含有樹脂を含む層であることを特徴とする。当該樹脂層は、エポキシ樹脂接着剤の硬化剤としての機能も有するため、エポキシ樹脂接着剤層の接着強度を高めたり、エポキシ樹脂接着剤に含まれる比較的低分子量の硬化剤を低減させることが出来るので、長期安定性に優れた積層体を与えると考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、軽量で強固に接着され且つ長期安定性に優れ、電気絶縁性、耐熱性に優れた金属/樹脂積層体を提供することができる。またその簡便な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.窒素を含有する樹脂
本発明の窒素を含有する樹脂を含むことを特徴とする外層(A)に用いられる樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド等があげられる。
【0011】
ポリアミドとしては、DSCで測定した融点が280℃以上、好ましくは290〜350℃、より好ましくは290〜310℃の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから導かれる芳香族ポリアミドがあげられる。
【0012】
具体的な芳香族ポリアミドとしては、商品名アーレン(商標 三井化学製)、Zytel HTN(商標 Dupont製)、ジェネスタTM(株式会社クラレ製), AMODEL(商標 SOLVAY Advanced Polymers製)等があげられる。
【0013】
脂肪族ポリアミドは、一般に吸湿性が高く、吸湿時には誘電特性が低下し、また、融点が低く、耐熱性が不足するので、例えば電気・電子部品、コネクター等の低誘電率が好ましい用途に用いる場合には、芳香族ポリアミドの方が好適である。
ポリイミドとしては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等があげられる。
【0014】
具体的なポリイミドとしては、商品名オーラム(商標、三井化学)、ポリエーテルイミドとしては、商品名Ultem(商標 SABIC Innovative Plastics製), TORLON(商標 SOLVAY Advanced Polymers製)等があげられる。
【0015】
一般的に、金属の代表的な用途の一つである電線部材の表面に配設される保護膜には、絶縁性及び部分放電耐性(比誘電率が低いこと)が要求される。また、コイル等を製造するために金属線を湾曲させるような場合には、金属線から剥離しないよう、保護膜には一定の柔軟性が要求される。
ポリイミドは、比誘電率が低く、耐熱性が高いので、電線の保護層として、好適である。
【0016】
ポリイミドを例えば電線の保護膜として用いる場合において、保護膜の厚さは、通常10〜200μm、好ましくは15〜100μmである。保護膜の厚さが10μm未満であると、絶縁性や部分放電耐性が不十分となる場合がある。一方、保護膜の厚さが200μm超であると、柔軟性が不十分となる場合がある。一方、前述のモジュール型の部品、例えばコネクターなどの構造材を兼ねる場合は、外層(A)としての厚みは当該構造材の設計によって決定され、好ましい上限値は設計に見合いであり、特定の値は存在しない。
【0017】
ポリイミドを用いる層を形成する場合は、公知の方法を採用することが出来る。例えば、ワニス状のポリイミド組成物を金属線の表面に塗布した後、乾燥、及び必要に応じて焼き付けることによって形成することができる。また、金型に上記のワニスを充填して加熱するなどの方法を用いることも出来る。
【0018】
上記のポリアミドやポリイミド等の窒素含有樹脂は、それ自身が金属と比較的高い接着性を有している、例えばモジュール型の部品のように高い形状安定性を必要とする用途などには、当該樹脂自身の持つ接着性では不足する場合がある。このため本願発明においてはエポキシ基を含有する化合物から導かれる樹脂で形成される中間層(B)が導入される。
【0019】
2.エポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂
本発明のエポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂を含むことを特徴とする中間層(B)で用いられる樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を用いることが出来る。例えば以下のエポキシ樹脂、エポキシ硬化剤等からなる接着剤があげられる。
【0020】
(B1)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、および水添ビスフェノール型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、ビスフェノールノボラック型、ナフトールノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフチル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型、トリフェノールエタン型、トリフェノールプロパン型等のトリフェノールアルカン型エポキシ樹脂;脂環型エポキシ樹脂等が含まれる。
【0021】
なかでも、2官能のエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましい。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂等と比べて結晶性が低いため、塗布性や粘度安定性に優れる等の利点があるからである。
【0022】
エポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、種類や分子量の異なる2種類以上のエポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂は、分子蒸留法などによって高純度化され、不純物が取り除かれた樹脂であることが好ましい。
【0023】
これらの他、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂も好ましい例として挙げられる。このような樹脂には、2官能以上のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させることにより得られる樹脂が含まれる。原料となる2官能以上のエポキシ樹脂は、前述のエポキシ樹脂と同様のものであってよい。
【0024】
原料としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の2官能のエポキシ樹脂を用いる場合は、(メタ)アクリル酸をエポキシ基と(メタ)アクリル酸がほぼ1:1となる比率で反応させて得られる樹脂が好ましい。
【0025】
このように、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有するため、それを含む接着剤は、光硬化性と熱硬化性とを併せ持たせることができる場合がある。また、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、(D)アクリル樹脂と(A)エポキシ樹脂の相溶性を高めることができる。このため、硬化性および接着信頼性に優れた硬化物が得られる。
【0026】
エポキシ樹脂の含有量は、100重量部の接着剤に対して、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは3〜10重量部である。
【0027】
(B2)潜在性エポキシ硬化剤
潜在性エポキシ硬化剤は、エポキシ樹脂に混合されていても、樹脂を通常保存する状態(室温、可視光線下等)ではエポキシ樹脂を硬化させないが、熱が与えられるとエポキシ樹脂を硬化させる化合物であることが好ましい。具体的には、常温では固体であり、加熱硬化時に液化して硬化剤として作用する潜在性エポキシ硬化剤などである。このような潜在性エポキシ硬化剤を接着剤に含ませると、接着剤の室温での粘度安定性が向上する場合がある。
潜在性エポキシ硬化剤は、好ましくは融点が50℃以上の硬化剤、より好ましくは融点が50℃以上250℃以下である熱硬化剤が好ましい。
【0028】
なかでも、熱硬化剤は、窒素含有化合物であることが好ましく、有機ジヒドラジド化合物、イミダゾール変性化合物、ポリアミン化合物、ジシアンジアミドなどのシアノ基とアミド基とを有する化合物およびポリアミノウレア化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の化合物からなることが好ましい。これらの熱硬化剤は、単独で用いてもよいし、複数以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記の化合物の他に高分子量体の硬化剤を用いることも出来る。例えば、前記のポリアミド等の外層を形成する樹脂も前記エポキシ樹脂の硬化剤として使用することも出来る。
【0030】
有機酸ジヒドラジド化合物の例には、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド)、イソフタル酸ジヒドラジド、およびセバシン酸ジヒドラジドなどの融点が150℃を超えるような化合物を好ましい例として挙げることが出来る。このように、一定以上の融点を有する有機酸ジヒドラジド化合物は、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(VDH)等の融点が低い有機酸ジヒドラジド化合物と比べて熱的に安定であるため、加温下における粘度安定性に優れる。
【0031】
融点が130℃以下のイミダゾール変性化合物の例には、味の素ファインテクノ社製PN-23、PN−40J、MY−H、MY−24、およびADEKA社製EH-4344S等が含まれる。融点が130℃以下のポリアミン化合物の例には、ADEKA社製EH−5057(80℃)が含まれる。融点が130℃以下のポリアミノウレア化合物の例には、フジキュアFXR−1081(融点121℃)、およびフジキュアFXR−1020(融点124℃)などが含まれる。ポリアミノウレア化合物とは、アミンと尿素を加熱硬化させて得られる化合物である。
【0032】
潜在性エポキシ硬化剤は、前述の通り固形物であることが好ましく、その数平均粒子径は4μm以下であることが好ましく、0.5〜4μmであることがより好ましく、1〜3μmであることがさらに好ましい。潜在性エポキシ硬化剤の数平均粒子径が0.5μmよりも小さいと粘度安定性が低下しやすく、数平均粒子径が4μmを超えると、分散性が低下するからである。潜在性エポキシ硬化剤の粒子径は、ビーズミル、ボールミル等により粉砕することで調整できる。
上記の硬化剤は、単独で用いても複数種を併用することも出来る。
【0033】
潜在性エポキシ硬化剤の含有量は、硬化性樹脂の合計((B1)エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは3〜15重量部である。
【0034】
本願発明においては、前記の通り、外層に含まれる樹脂がエポキシ化合物の硬化剤としての機能を有することもある。このような場合、外層との接着性をより高めることが出来る可能性がある。また、低分子量の硬化剤の使用量を減らすことが出来る可能性もあるので、未反応の硬化剤由来等のブリードアウトを低減出来る可能性もある。このため、長期にわたって使用される部材に用いる場合に前記ブリードアウトによる製品汚れや他の部材の変性、劣化を低減できると期待される。特に、小型化、高機能、精密性での市場の要求性能が向上の一途をたどる電気、電子部品等で好適と考えられる。
【0035】
本発明の硬化剤に於いて、前記の低分子量の硬化剤が占める割合は、好ましくは30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
【0036】
3.金属
本発明の金属を含むことを特徴とする内層(C)に用いられる金属素材としては、公知の金属部材を用いることが出来る。例えば、銅板、アルミニウム板等の板状体や棒状、円柱状等各種形状のものが使用できる。さらに、表面をリン酸−クロム酸塩等による化成処理、電解エッチング等のエッチング処理、メッキ処理等の処理を施した金属素材も使用できる。
【0037】
4.成形体および成型方法
本発明の成形体は、例えば金属素材の表面をエポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂を含む接着剤で塗布し、予熱処理した後、窒素を含有する樹脂を含む組成物を積層して製造することができる。
接着剤の塗布厚みは、100〜2000μm、好ましくは、300〜1000μm、更に好ましくは、400〜800μmである。また形成される中間層(B)は100〜2000μm、好ましくは、300〜1000μm、更に好ましくは、400〜800μmである。
予熱処理の温度は、30〜180℃、好ましくは、50 〜150℃、更に好ましくは、80 〜120℃である。
【0038】
積層方法は金属素材の形状により異なるが、板状体の場合、コートハンガーダイ、Tダイ、Iダイ等の口金を取付けた押出機により、フイルムを押出しながら被覆する、いわゆる押出しラミネート方法や、あらかじめ製膜されたフイルムを用いて、フイルムの軟化温度以上に加熱された金属板上にニップロールで熱圧着する方法、金型にエポキシ樹脂を含む金属を設置した後、前記のポリアミド、ポリイミドなどの窒素を含む樹脂を導入し、加温、冷却工程を経て積層体を得る射出成形やプレス成形等がある。これらの中でも製造工程を短縮可能な押出ラミネート成型や射出成形、プレス成形が好適である。
【0039】
上記方法で加温、冷却することで所望の積層体を得た後、好ましくはその軟化温度以上の温度で熱処理することにより積層体の剥離強度の向上を図ることができる。このような効果は特に外層がポリアミドの場合に顕著である。 金属素材の形状が、棒状、円柱状の場合、射出成形機の金型内に金属を装着し、窒素を含有する樹脂を含む組成物を射出成形する方法がある。
【0040】
射出成形の場合、金型温度は外層(A)に使用する樹脂によって異なるが、例えば前述の芳香族ポリアミドの場合は30〜180℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃が望ましい。
5.成形体の用途
本発明の成形体は、コネクター、LED用構造部材といった電気電子部品用途に好適である。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明に係る実施例を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
[実施例1]
<焼成>
アルミニウム5052を、縦×横×高さが12.3×6.3×25mmに切削加工したものを金属試験片とし、該試験片に接着剤(三井化学製ストラクトボンドX8100L)を500μmの厚さで塗布した。その後、窒素雰囲気下のギアオーブン中で、110℃で28分間処理を行った。
<予熱>
前記の接着剤塗布金属試験片を、ホットプレート上にて100℃、10分間加熱した。
<成形>
三菱重工製射出成形機100MSIII、金型ASTM試験片を用いて、前記処理後のアルミニウム5052製の試験片を装着し、ポリアミド材料(アーレンA335)の射出成形を行った。冷却後に金型を開き、樹脂と接合された試験片を得た。
成形温度は340℃、金型温度は100℃、サイクルタイムは50秒であった。
<熱処理>
射出成形後の試験片を、窒素気流下のオーブンに投入して、120℃で1時間、熱処理を行った。
<接着強度>
熱処理後の試験片の接着強度を測定した。
測定は、試験片を東洋精機製ストログラフWに装着して、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、引張速度1.5mm/分の速度で引張試験を行い、破断時の応力を接着強度とした。結果を[表1]に示す。
【0043】
[実施例2]
樹脂材料として、ポリアミド材料として、三井化学製アーレンMN400を用い、金型温度を80℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を[表1]に示す。
【0044】
[実施例3]
金属試験片の材質を銅とし、接合面に錫めっきを施し、金型温度を100℃とした以外は、実施例2と同様に行った。
結果を[表1]に示す。
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素を含有する樹脂を含むことを特徴とする外層(A)、
エポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂を含むことを特徴とする中間層(B)、
金属を含むことを特徴とする内層(C)、
とを含む積層構造を有する成形体。
【請求項2】
前記窒素を含有する樹脂がポリアミド、ポリイミドから選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
前記エポキシ基を有する化合物から導かれる樹脂がエポキシ樹脂接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
【請求項4】
前記中間層(B)の厚みが100〜2000μmであることを特徴とする請求項1に記載の成形体
【請求項5】
前記エポキシ樹脂接着剤に含まれる硬化剤が窒素含有化合物であることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
【請求項6】
エポキシ樹脂接着剤を100〜2000μm塗布した金属に窒素を含有する樹脂を供給して射出成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体の製造方法。

【公開番号】特開2012−56249(P2012−56249A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203535(P2010−203535)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】