説明

穴あけ具

【課題】土壌に縦穴を形成するときに発生した排土を、該縦穴に植物を差し入れた状態で容易且つ密実に縦穴に埋め戻すことを可能とする。
【解決手段】芯軸21に螺旋オーガ22を備え、芯軸21を軸心廻りに回転させながら土壌Sに突入させることで土壌Sに縦穴Bを形成する穴あけ具2において、芯軸21は、螺旋オーガ22よりも上方となる位置に、縦穴Bを形成するときに螺旋オーガ22から送り込まれてくる土塊を砕く複数の粉砕爪23を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さとうきびの補植等、植物を植え付ける縦穴を土壌に形成するための穴あけ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌に植物を植え付けるための縦穴を形成すべく、芯軸の下端部に尖端部を備えると共に該尖端部と芯軸の上端部との間に螺旋オーガを備え、該螺旋オーガの先端に切り込み刃を備えた穴あけ具が知られている(例えば特許文献1や特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開平10−309108号公報
【特許文献2】特開2005−155043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記穴あけ具は、芯軸を軸心廻りに回転させながら土壌に突入させて該土壌に縦穴を形成していくと、該縦穴の穴口の周囲には、螺旋オーガによって圧縮されることにより比較的大きな形状を有する土塊が排土として堆積することとなる。そして、縦穴に植物を差し入れた後に該縦穴を穴口の周囲の排土によって覆土する場合、前記土塊が上述の如く穴口に対して比較的大きい形状を有することや植物を差し入れるために穴口が狭められることにより、縦穴に土塊を埋め戻し難いばかりか該土塊を縦穴に密実に埋め戻すことが極めて困難となる。このため、縦穴に埋め戻した土塊と植物との間に空洞が生じてしまうこととなり、これによって該植物の根張りが不十分となって植物の根系を全体に亘って腐らせてしまう虞があった。
【0004】
そこで、本発明は、土壌に縦穴を形成するときに発生した排土を、該縦穴に植物を差し入れた状態で容易且つ密実に縦穴に埋め戻すことができる穴あけ具を提供するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、芯軸21に螺旋オーガ22を備え、該芯軸21を軸心廻りに回転させながら土壌Sに突入させることで該土壌Sに縦穴Bを形成する穴あけ具において、
前記芯軸21には、螺旋オーガ22よりも上方となる位置に、縦穴Bを形成するときに該螺旋オーガ22から送り込まれてくる土塊を砕く1又は複数の粉砕爪23が突設されていることを特徴としている。
【0006】
該穴あけ具を用いて土壌Sに縦穴Bを形成する場合には、先ず、芯軸21を軸心廻りに回転させながら土壌Sに突入させていくことにより、螺旋オーガ22によって土壌Sが掘削されて縦穴Bが形成されていく。このときに発生する排土は、螺旋オーガ22によって圧縮されることにより比較的大きな形状を有する土塊となっており、該土塊は縦穴Bの穴口bの周囲に堆積していく。
そして、土壌Sを掘り進めていくと、縦穴Bに粉砕爪23が入り込んでいく。このとき、螺旋オーガ22から穴口bに向けて送り込まれてくる圧縮された土塊は、粉砕爪23によって穴口bの口径の数十分の1から数分の1の大きさにまで細かく砕かれ且つ攪拌されることとなる。この状態においても、螺旋オーガ22によって土塊は送り込まれてくるので、粉砕爪23により砕かれた土(以下、粉砕土という)は該土塊に押し上げられて穴口bの外に排出され、前記穴口bの周囲に堆積している土塊の上に堆積していく。
【0007】
そして、所定位置まで縦穴Bを掘り進めた後、穴あけ具を縦穴Bから取り出す。このとき、螺旋オーガ22が粉砕爪23よりも下方に位置しているため、縦穴B内の粉砕土は螺旋オーガ22の上端部に堆積した状態で穴あけ具と共に引き上げられ、穴あけ具の縦穴Bからの取り出しに伴って穴口bの周囲に堆積する。これにより、縦穴Bの形成に伴って生じる排土が該縦穴Bの内部に残ることは殆どなく、縦穴Bは穴口bから底部まで一様な円筒状となる。
また、この様に形成された縦穴Bであれば、穴口の周囲の土塊の上に粉砕土が堆積することとなり、縦穴Bに植物を差し入れた後に穴口bの周囲の排土によって覆土する場合、土塊よりも先に該土塊の上に堆積している粉砕土によって縦穴Bを覆土することができる。これにより、縦穴B内の植物の周囲に粉砕土を密実に埋め戻すことができ、植物の周囲に該植物の成長を阻害する様な空洞が生じる虞はない。また、粉砕土は土塊に比べて十分に細かく砕かれているため、縦穴Bに差し入れた植物によって穴口bが狭められてる場合にも、粉砕土の埋め戻しにあたり該粉砕土が穴口bや縦穴Bの内壁に引掛かることはなく、これによって覆土作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、粉砕土を縦穴Bに埋め戻した後、穴口bの周囲に堆積している土塊を縦穴Bに埋め戻すことができる。縦穴Bの下部は粉砕土によって密実に覆土されているため、作業者は該土塊を縦穴Bの上部に覆土するだけでよく、これによって、土塊の覆土を容易に行うことができると共に、覆土作業全体の作業時間の短縮化も図られることとなる。
また、前記粉砕爪23は、前記螺旋オーガ22の最外縁よりも前記芯軸21の径外方向に突出していることが好ましい。
これによれば、粉砕爪23の先端の回転軌跡は螺旋オーガ22の最外縁の回転軌跡よりも大きなものとなる。このため、穴口bの周縁に堆積している土塊を粉砕爪23によって砕くことができ、該穴口bの周縁に粉砕土を堆積させることができる。これにより、縦穴Bに排土を埋め戻すときに粉砕土と共に土塊を覆土してしまう虞はなく、縦穴Bを粉砕土によって密実に覆土することができるのである。
【0009】
また、芯軸21を突入させていくと、粉砕爪23の先端が縦穴Bの内壁に接触することとなる。このため、該粉砕爪23は前記螺旋オーガ22からの土塊を砕くばかりでなく縦穴Bの内壁も削り取ることができ、これによって粉砕土を増量することができる。
さらには、縦穴Bの穴口b及び上部が拡径されることとなり、これによって覆土作業の作業性がさらに向上することとなる。
また、前記粉砕爪23は、前記縦穴Bの形成により螺旋オーガ22の上方に存することとなる排土を縦穴Bの穴口bに向けて送り出す送出し部28を備えていることが好ましい。
【0010】
これによれば、芯軸21の回転の阻害要素となる縦穴B内の排土を粉砕爪23の送出し部26aによって穴口bに送り込むことができ、掘削時に穴あけ具に作用する排土による回転抵抗を和らげることができる。
さらに、前記粉砕爪23の送出し部28は、芯軸21の回転方向先端側を回転方向後端側よりも低位とした傾斜面26aからなることが好ましい。
これによれば、前記送出し部28を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の穴あけ具によれば、土壌に縦穴を形成するときに発生した排土を、該縦穴に植物を差し入れた状態で容易且つ密実に縦穴に埋め戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、穴あけ装置(ホールディガー)1は、トラクタ3の後部に2点リンク機構を介して着脱自在に装着されており、装置フレーム5に設けたガイド体6に昇降台7を昇降自在に支持し、この昇降台7に油圧駆動の穴あけ具2を有する穿孔機構8を設け、前記装置フレーム5に昇降台7を昇降する昇降機構9を設けて構成されている。
図1及び図2に示す如く、装置フレーム5は、左右一対の支柱5aを上下部材5b、5cによって連結して形成されている。該上下部材5b、5cの後部には、左右一対のガイド体6が支持されている。
【0013】
該左右一対のガイド体6は、平行な2本の棒材で形成されており、上下端が上下部材5b、5cに貫通固定されている。また、左右一対のガイド体6に昇降台7が嵌合しており、該左右一対のガイド体6によって昇降台7が上下移動自在に案内されている。
昇降台7は、上下一対の板部材7a、7b間に左右一対の筒材7cと1つの軸受筒7dを固着して形成されている。左右一対の筒材7cは、左右一対のガイド体6に上下昇降自在に嵌合している。
また、該昇降台7に穿孔機構8が配備されている。該穿孔機構8は、上板部材7aの下面に固定された油圧モータ41と、上板部材7aの上面に固定された伝動ケース42と、軸受筒7dに支持された出力軸43と、該出力軸43に設けられた穴あけ具2とを備えている。
【0014】
伝動ケース42内にはギヤ伝動手段又はチェーン伝動手段等の伝動手段が収納されている。これにより、油圧モータ41の動力は、伝動ケース42及び出力軸43を介して穴あけ具2に等速又は変速して伝達される。
また、昇降機構9は、下部材5c上に装着された油圧シリンダ10と、該油圧シリンダ10の伸縮動作による油圧シリンダ10のストロークを2倍にして昇降台7に伝達する倍距離手段11とを有している。
倍距離手段11は、油圧シリンダ10のピストンロッドに連結された駆動体14の上下に回転体(スプロケット又はローラ)15を横軸廻りに回転自在に設け、該上下一対の回転体15にチェーン等で形成された巻掛け部材16を巻き付け、該巻掛け部材16を装置フレーム5と昇降台7とに連結している。
【0015】
巻掛け部材16はエンドレス形状でその1箇所がブラケット45を介して装着フレーム5の支柱5aに連結されており、他の1箇所がブラケット46を介して昇降台7の筒材7cに連結されている。
駆動体14は、油圧シリンダ10のピストンロッドの伸縮により左右一対のガイド体6の上下方向に沿って昇降する。上下一対の回転体15の間隔は不変であるため巻掛け部材16のエンドレス形状は不変であり、これによって、駆動体14が昇降すると、昇降台7が装着フレーム5に対して上下方向に移動する。
【0016】
従って、油圧シリンダ10を作動させて駆動体14を上下移動させると、ブラケット45に対する駆動体14の移動距離の2倍だけ、該駆動体14に対して昇降台7が移動する。つまり、昇降台7は油圧シリンダ10のピストンロッドの伸縮ストロークの2倍の距離を昇降することになる。
図2に示す如く、昇降機構9は、駆動体14の下降に伴って昇降台7を下降させる。これにより、穴あけ具2によって穴あけ作業をするとき、該穴あけ具2には、土壌に突入していくための押し力が付与されることとなる。
【0017】
図3に示す如く、穴あけ具2は、芯軸21と、該芯軸21の外周面に配備された螺旋オーガ22と粉砕爪23とを備えており、芯軸21が昇降台7の軸受筒7dに支持された出力軸43の下端に着脱自在に装着されている。
芯軸21は、中実棒材又は中空パイプ材で形成されている。また、螺旋オーガ22は、芯軸21の下端部となる一方の端部を始端部として他方の端部に向けて帯板を螺旋状に巻いて形成されている。該螺旋オーガ22の終端部は芯軸21の軸心方向中途部まで伸びていると共に、芯軸21の軸心から螺旋オーガ22の最外縁までの長さLaは5cm程度に設定されている。また、螺旋オーガ22の始端部には、芯軸21の一方の端部よりも該芯軸21の軸方向に突出する螺旋状の尖端部24が配備されている。
【0018】
また、螺旋オーガ22の終端部よりも芯軸21の他方の端部側に寄った位置に、複数枚(本実施の形態においては4枚)の粉砕爪23が芯軸21の軸心方向の位置を互いにずらした状態で取り付けられている。
穴あけ具2による縦穴の堀込み深さをD(本実施の形態においては30cm程度)とすると、芯軸21の一方の端部から螺旋オーガ22の終端部までの長さは該堀込み深さDの1/2〜2/3程度とし、残りの部分に4枚の粉砕爪23を互いの間を等間隔として配備されていることが好ましい。
【0019】
また、これらの粉砕爪23は、図4に示す如く、芯軸21に対し互いに略90°ずつずらした状態で該芯軸21に取り付けられている。
該粉砕爪23は、L字状に屈曲した板部材を芯軸21の外周面に取り付けて構成されており、芯軸21から径外方向に突出する横爪部26と、該横爪部26の先端部から芯軸21の軸心方向に伸びる縦爪部27とを備えている。該縦爪部27は、芯軸21の他方の端部側に屈曲しており、図3中に示す横爪部26に対する縦爪部27の立上り角度θは、90°〜100°の範囲が好ましいが、90°以上であればいかなる角度であっても構わない。
【0020】
また、縦爪部27の先端部と芯軸21の軸心の間の長さLbは、螺旋オーガ22の最外縁から芯軸21の軸心までの長さLaよりも大きく、これによって粉砕爪23は、螺旋オーガ22の最外縁よりも前記芯軸21の径外方向に突出していることとなる。このため、芯軸21の回転に伴う粉砕爪23の回転軌跡の半径は、螺旋オーガ22の回転軌跡の回転半径よりも大きなものとなる。
また、芯軸21は図3中に示す矢印の方向に回転して土壌Sに突入することとなるが、横爪部26は、芯軸21の軸心に垂直な平面に対して角度αだけ傾けることにより、芯軸21の回転方向先端側となる端部を回転方向後端部よりも螺旋オーガ22に近接させた状態で芯軸21に傾斜状に取り付けられている。これにより、横爪部26は、その上面を芯軸21の回転先端側に傾けてなる傾斜面26aを有し、該傾斜面26aによって縦穴B内にて螺旋オーガ22の上方に存する排土を縦穴Bの穴口bに向けて送り出す送出し部28が形成される。
【0021】
本実施の形態は以上の構成からなるものであって、続いて、本実施の形態の穴あけ装置1を用いてさとうきびを補植する方法について説明する。
図5の(a)に示す如く、トラクタ3を移動させて、穴あけ具2の一方の端部を土壌Sに対向させる。そして、穴あけ装置1の穿孔機構8の油圧モータ41を起動させて穴あけ具2を回転させるとともに、昇降機構9を起動させて昇降台7を左右一対のガイド体6の案内に沿って下降させる。これにより、(b)に示す如く、穴あけ具2が土壌Sに突入していく。このとき、螺旋オーガ22の尖端部24によって土壌Sに孔が穿設され、該孔が螺旋オーガ22によって拡径されることとなり、これによって土壌Sに縦穴Bが形成されていく。この様に土壌Bを掘削しているときに発生する排土は、螺旋オーガ22によって圧縮されることにより比較的大きな形状を有する土塊となっており、該土塊は縦穴Bの穴口bの周囲に堆積していく。
【0022】
そして、土壌Sを掘り進めていくと、(c)に示す如く、縦穴Bの穴口bに粉砕爪23が近接する。ここで、粉砕爪23の回転軌跡は螺旋オーガ22の回転軌跡よりも径大であるため、穴口bの周縁に堆積された土塊は粉砕爪23によって砕かれることとなる。これにより、穴口bの周縁には螺旋オーガ22によって圧縮された土塊ではなく、該土塊を粉砕爪23により細かく砕いた土が穴口bの周縁に堆積することとなる。
そして、さらに土壌Sを掘り進めていくと、(d)の如く粉砕爪23が縦穴Bの内壁を引掻きながら該縦穴Bに入り込んでいく。これによって、縦穴Bの穴口b及び該穴口bの近傍は拡径されることとなると共に、該粉砕爪23による内壁の引掻きに伴う排土が螺旋オーガ22の上方にて粉砕爪23に攪拌された状態で縦穴B内に存することとなる。
【0023】
また、同時に、縦穴B内にて螺旋オーガ22から穴口bに向けて送り込まれてくる圧縮された土塊は、粉砕爪23によって縦穴Bの口径の数十分の1から数分の1の大きさにまで細かく砕かれ且つ攪拌されることとなる。
これによって、縦穴B内の螺旋オーガ22よりも上方には、粉砕爪23によって細かく砕かれた土(以下、粉砕土という)が多量に存することとなるが、この間にも螺旋オーガ22によって土塊は送り込まれてくるので、該粉砕土は該土塊に押し上げられて穴口bの外に排出され、前記穴口bの周囲に堆積している土塊の上に堆積していく。
【0024】
また、該粉砕爪23には、横爪部26の傾斜面26aからなる送出し部28が形成されているので、該送出し部28によっても縦穴B内の粉砕土が穴口bに向けて持ち上げられ且つ送り込まれることとなる。これによって、土壌Sを掘り進めることにより螺旋オーガ22によって逐次縦穴Bの上方に向けて土塊が送り込まれてくるものの、該土塊は、粉砕爪23により砕かれ且つ攪拌された後、順次縦穴Bの穴口bに送り込まれることとなる。このため、該縦穴B内の土塊や粉砕土からなる排土によって芯軸21に作用する回転抵抗は和らげられることとなり、穴あけ具2はスムーズに土壌Sに入り込んでいくのである。
【0025】
そして、所定位置まで縦穴Bを掘り進めた後、(e)に示す如く、芯軸21を回転させながら穴あけ具2を縦穴Bから抜き出す。このとき、縦穴B内の粉砕土は螺旋オーガ22の上端部に堆積した状態で穴あけ具2と共に引き上げられ、穴あけ具2の縦穴Bからの取り出しに伴って穴口bの周囲に堆積する。また、芯軸21を回転させながら穴あけ具2を抜き出すため、螺旋オーガ22の中途部の土塊等が縦穴B内に落下することは可及的防止される。これにより、縦穴Bの形成に伴って生じる排土が該縦穴Bの内部に残ることは殆どなく、縦穴Bは穴口bから底部まで一様な円筒状となる。
【0026】
そして、(f)に示す如く、縦穴Bにさとうきびの補植用きびNを差し入れ、その後、該縦穴Bを覆土していく。このとき、先ず、穴口bの周囲に堆積している土塊の上に堆積している粉砕土によって縦穴Bを覆土する。これにより、縦穴B内の補植用きびNの周囲に粉砕土を密実に埋め戻すことができ、該補植用きびNの周囲に成長を阻害する空洞が生じる虞はない。また、粉砕土は土塊に比べて細かく砕かれているため、粉砕土を縦穴Bに埋め戻すときに該粉砕土が穴口bや縦穴Bの内壁に引掛かることはなく、これによって覆土作業を容易に行うことができる。
【0027】
そして、粉砕土を縦穴Bに埋め戻した後、縦穴Bの穴口bの周囲に堆積している土塊によって縦穴Bを覆土していく。このとき、既に縦穴Bの下部には粉砕土が密実に埋め戻されているため、作業者は土塊を縦穴Bの上部に覆土するだけでよく、これによって、該土塊の埋め戻し作業を容易且つ短時間を完了させることができ、これによって補植用きびNの補植を完了する。
本実施の形態によれば、土壌Sを掘削して縦穴Bを形成するにあたり、螺旋オーガ22によって口径の1/3〜1/2程の大きさを有して排土される土塊を穴口bの周囲に堆積させた後に該土塊を十分に細かく砕いた粉砕土を穴口bの周囲に堆積している土塊の上に堆積させることができる。そして、縦穴Bに補植用きびNを差し入れた後、該縦穴Bを粉砕土によって覆土した後に土塊によって覆土することができる。これにより、該縦穴Bに補植用きびNを差し入れた状態で容易且つ密実に縦穴形成時に生じる排土を埋め戻すことができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、粉砕爪23を1枚以上配備するものであれば、何枚配備する構成であっても構わない。また、複数配備した粉砕爪23の芯軸21からの突出長さをそれぞれ異なる大きさに設定することも可能である。また、粉砕爪23の縦爪部27を横爪部26の中途部から突出させる構成や螺旋オーガ22側に向けて突出させる構成も採用することができる。
また、上記穴あけ装置1は、挿し木等の他の植物を土壌Sに植え付けるための縦穴Bを形成する場合に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態の穴あけ装置をトラクタに装着した状態を示す左側面図である。
【図2】穴あけ具により土壌に縦穴を形成した状態を示す左側断面図である。
【図3】穴あけ具の下端部を示す側面図である。
【図4】穴あけ具の断面図である。
【図5】補植用きびを植え付ける過程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 穴あけ装置
2 穴あけ具
21 芯軸
22 螺旋オーガ
23 粉砕爪
24 尖端部
26 横爪部
27 縦爪部
28 送出し部
S 土壌
B 縦穴
b 穴口
N 補植用きび

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯軸(21)に螺旋オーガ(22)を備え、該芯軸(21)を軸心廻りに回転させながら土壌(S)に突入させることで該土壌(S)に縦穴(B)を形成する穴あけ具において、
前記芯軸(21)には、螺旋オーガ(22)よりも上方となる位置に、縦穴(B)を形成するときに該螺旋オーガ(22)から送り込まれてくる土塊を砕く1又は複数の粉砕爪(23)が突設されていることを特徴とする穴あけ具。
【請求項2】
前記粉砕爪(23)は、前記螺旋オーガ(22)の最外縁よりも前記芯軸(21)の径外方向に突出していることを特徴とする請求項1に記載の穴あけ具。
【請求項3】
前記粉砕爪(23)は、前記縦穴(B)の形成により螺旋オーガ(22)の上方に存することとなる排土を縦穴(B)の穴口(b)に向けて送り出す送出し部(28)を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穴あけ具。
【請求項4】
前記粉砕爪(23)の送出し部(28)は、芯軸(21)の回転方向先端側を回転方向後端側よりも低位とした傾斜面(26a)からなることを特徴とする請求項3に記載の穴あけ具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−297859(P2007−297859A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127859(P2006−127859)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】