説明

空中線安全装置の制御方法

【課題】空中線の動作には、通常動作以外に収納動作など他動作を行うことが想定される。その為、ブレーキ電源を遮断するためのリミットスイッチを複数挿入することになる。このとき、リミットスイッチを正常に動作させる制御方式について、空中線装置に挿入されている安全装置に関し、通常動作以外に他動作が加わった場合においても、空中線の安全性が確保されるようにする。
【解決手段】信号を送信あるいは受信するために、空中線101の装置が仰角あるいは方位角方向の回転運動を行うことを通常動作とし、前記通常動作に加えて、空中線装置の収納動作を行う場合において、前記空中線装置の回転角が収納位置に達した時に、機器を停止させる収納位置リミットスイッチ203を用いることを特徴とする空中線安全装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
仰角あるいは方位角方向に回転するレーダ空中線等について、安全性を確保するために、所定停止角において回転を停止するための回転体停止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばレーダ空中線等の回転体を停止位置に停止させる手法は複数示されている。例えば特許文献1においては、ロータリーソレノイドの回転運動を直線運動に変換して接触ピンとカム円板の切込み部との係合を利用し、回転体を所定の位置で高精度に停止せしめる方法が提案されている。
【0003】
このような、回転体の停止については、精度向上などの意味の他に、安全性を確保する上においても重要な技術である。
【0004】
ここで、空中線は仰角・方位角方向の動きが可能である。そして、安全性確保の見地に立ち、空中線の仰角方向には、安全装置となるリミットスイッチが装備されている。図1のように従来では、仰角可動最大範囲である上限と下限の2ヶ所にリミットスイッチを挿入し、動作制御を行い、安全性を保障している。
【0005】
例えば上限リミットスイッチ109は、空中線101が仰角方向に上限リミット角103に達した時にブレーキ電源113を遮断し、また、下限リミットスイッチ111は、空中線101が仰角方向に下限リミット角105に達した時にブレーキ電源113を遮断する。ブレーキ電源113が遮断されると、空中線の動作が止まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−330836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに従来の空中線には、図1のように通常動作における仰角可動最大範囲であるところの上限と下限の2ヶ所のみにリミットスイッチが挿入されている為、通常動作以外に、例えば収納動作などの他動作が不可能である。また、図2のように単純にリミットスイッチを複数に増やすだけでは安全性が保障されないという問題がある。
【0008】
ここで、図2は、従来の一般的手段であるところの上限リミットと下限リミットのブレーキ電源遮断装置付きの空中線回路に、収納位置201に関してブレーキ電源を遮断するリミットスイッチ203を設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、
信号を送信あるいは受信するために、空中線装置が仰角あるいは方位角方向の回転運動を行うことを通常動作とし、前記通常動作に加えて、空中線装置の収納動作を行う場合において、
前記空中線装置の回転角が収納角に達した時に、機器を停止させる安全装置を用いることを特徴とする空中線安全装置の制御方法である。
【0010】
また本発明は、前記の空中線安全装置において、回転角が収納角に達した時という条件に代えて、ユーザが収納開閉動作を実行した場合という条件を備えたことを特徴とする空中線安全装置の制御方法である。
【0011】
また本発明は、前記の空中線安全装置において、回転角が収納角に達した時という条件に代えて、回転速度が予め設定した速度まで減速した場合という条件を備えたことを特徴とする空中線安全装置の制御方法である。
【0012】
また本発明は、前記の空中線安全装置において、回転角が収納角に達した時という条件に代えて、電波の送信が停止している場合という条件を備えたことを特徴とする空中線安全装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空中線が通常動作以外に他動作を行う必要がある場合でも、条件に応じてブレーキ電源が遮断され、空中線の動作が止まるため、操作者の安全性を確保した状態での運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】空中線の通常動作範囲例である。
【図2】空中線の通常動作及び収納動作範囲例である。
【図3】空中線の収納動作条件である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
本発明の好適な実施の形態について、図を参照して説明する。
【0016】
安全装置であるところのリミットスイッチを複数挿入する場合についての制御方法を説明する。本発明は、空中線が通常動作以外に、収納動作など他動作を行う場合を想定し、該他動作においても通常動作と同様に安全に動作することを特徴とするものである。
【0017】
前記、収納動作などの他動作を行う場合に対応するため、本発明ではリミットスイッチを複数個挿入している。本発明は、この時、各リミットスイッチを動作させる制御方式についてのものであり、通常動作時と他動作時の両方で機能する制御手段である。
【0018】
図2は収納展開動作、通常動作がある場合を示しており、上限リミット103、下限リミット105の他に、収納位置であるところの201が設定されている。ブレーキ電源113を遮断するためのスイッチは、上限リミットに関する109、下限リミットに関する111の他に、収納位置に関するリミットスイッチ203が設けられている。
【0019】
図3には、収納位置に関するリミットスイッチ203によってブレーキ電源113を遮断するための4つの条件が示されている。
【0020】
つまり、アンテナが一定の方位角、つまりこの場合は、収納ポジションに達した場合(301)。さらに、アンテナの回転速度を遮断回路等が検出して、回転速度が一定速度まで減速した場合(303)。さらに、ユーザの操作によって収納展開動作が実行されている場合(305)。さらに、電波の送信が停止している場合(307)、である。
【0021】
前記収納位置に関するリミットスイッチ203は、前記4つの条件のうち、いずれか一つ、又は複数が成立する場合にリミットスイッチ203がはずれ、ブレーキ電源113を遮断し、空中線の動作を強制的に止めるものである。
【0022】
本発明は、収納位置に関するリミットスイッチ203を設け、条件301のみでブレーキ電源を遮断するという従来の手法に対し、その安全性を向上するために、前記のように、該リミットスイッチ203の動作条件として301、303、305、307の4つの条件を設定したものである。
【符号の説明】
【0023】
101…空中線、 103…上限リミット、
105…下限リミット、 107…遮断回路、
109…上限リミットスイッチ、 111…下限リミットスイッチ、
113…ブレーキ電源、
201…収納位置、 203…収納位置リミットスイッチ、
301…4つの条件の一つであるところの収納ポジション、
303…4つの条件の一つであるところの一定速度までの減速、
305…4つの条件の一つであるところの収納展開動作を実行、
307…4つの条件の一つであるところの送信停止。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を送信あるいは受信するために、空中線装置が仰角あるいは方位角方向の回転運動を行うことを通常動作とし、前記通常動作に加えて、空中線装置の収納動作を行う場合において、
前記空中線装置の回転角が収納角に達した時に、機器を停止させる安全装置を用いることを特徴とする空中線安全装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の空中線安全装置において、回転角が収納角に達した時という条件に代えて、ユーザが収納開閉動作を実行した場合という条件を備えたことを特徴とする空中線安全装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の空中線安全装置において、回転角が収納角に達した時という条件に代えて、回転速度が予め設定した速度まで減速した場合という条件を備えたことを特徴とする空中線安全装置の制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の空中線安全装置において、回転角が収納角に達した時という条件に代えて、電波の送信が停止している場合という条件を備えたことを特徴とする空中線安全装置の制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−229081(P2011−229081A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99057(P2010−99057)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】