説明

空孔付き光ファイバの製造方法及び装置

【課題】空孔付き光ファイバ用母材の中心軸と線引炉の中心軸との間にずれが生じた場合であっても、各空孔の空孔径を均一とすることが可能な空孔付き光ファイバの製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】コアの周囲に、コアの中心軸に沿って複数の空孔2が形成されたクラッドを有する空孔付き光ファイバ用母材を線引炉3に導入し、線引炉3で空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引し、空孔付き光ファイバを製造する空孔付き光ファイバの製造方法において、コアの中心軸まわりに空孔付き光ファイバ用母材を回転させつつ、空孔付き光ファイバ用母材を線引炉3で加熱、溶融して線引するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホーリーファイバなどの空孔を有する空孔付き光ファイバの製造方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のホーリーファイバ(空孔付き光ファイバ)の製造方法として、コアの中心軸に沿って複数の空孔が形成されたホーリーファイバ用母材(空孔付き光ファイバ用母材)を用い、そのホーリーファイバ用母材を線引炉に導入し加熱、溶融して線引する方法が知られている。ホーリーファイバ用母材としては、コアの周囲にクラッドが形成され、そのクラッドに、コアの中心軸に沿って、かつコアの中心軸を中心とする同一円周上に等間隔に複数の空孔が形成されたものを用いる。
【0003】
線引炉は、ホーリーファイバ用母材が導入される円筒状の炉心管と、炉心管を取り囲むように設けられ、ホーリーファイバ用母材を加熱、溶融する円筒状のヒーターと、を備えており、ホーリーファイバ用母材は、その中心軸(コアの中心軸)が炉心管の中心軸と一致するように、線引炉内に導入される。線引炉内に設けられるヒーターとしては、円筒状のカーボンヒーターが一般に用いられている。
【0004】
また、この方法では、ホーリーファイバ用母材の空孔に窒素等のガスを供給して空孔に圧力を加えながら線引を行うことで、ホーリーファイバ用母材を溶融させる際に空孔が押し潰されないようにしている。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1〜3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−12330号公報
【特許文献2】特開2003−148948号公報
【特許文献3】特開2009−7201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来方法では、図3に示すように、ホーリーファイバ用母材(空孔付き光ファイバ用母材)Pの中心軸(コアの中心軸)と炉心管(図示せず)の中心軸との間にずれが生じた場合、ヒーター31による加熱が不均一となり、ホーリーファイバ用母材Pの同一面内で温度勾配が生じ、この温度勾配がホーリーファイバ用母材の粘性に勾配を生じさせて、空孔径が不均一となってしまう問題があった。より具体的には、ホーリーファイバ用母材Pの空孔32には均一に圧力がかけられているので、温度が高くなり粘性が低くなるヒーター31に近い部分にある空孔32ほど空孔径が大きくなり、逆に、温度が低く粘性が高いヒーター31から遠い部分にある空孔32ほど空孔径が小さくなってしまうという問題があった。
【0008】
また、近年、母材を大型化し、線引長を長く、線引速度を速くしてコストの低下を図ることが行われているが、図4に示すように、ホーリーファイバ用母材Pを大型化すると、ホーリーファイバ用母材Pとヒーター31(炉心管の内壁)との距離が近くなるため、上述のような温度勾配の影響がより顕著となり、ホーリーファイバ用母材Pの中心軸がヒーター31(線引炉)の中心軸に対して僅かでもずれると、空孔径が不均一となってしまう問題があった。なお、図3,4における破線は温度分布が等しい領域を示す所謂等温線であり、ヒーター31の近くほど温度勾配が大きく、またヒーター31から離れるほど温度が低下することを示している。
【0009】
さらには、空孔径が不均一となってしまうと、特許文献3で示されるような空孔モニタリングシステム、すなわち、線引中の光ファイバに照明光を照射し、光ファイバを透過した照明光から検出した空孔影の幅を基に、空孔径を検出するようなシステムでは、正確な空孔径を検出することができなくなる。特許文献3では、空孔モニタリングシステムで検出した空孔径に応じて、ホーリーファイバ用母材の空孔への加圧力を制御することで、長手方向全長にわたって均一な空孔径を有するホーリーファイバを製造しているが、空孔モニタリングシステムで正確な空孔径を検出できないと、このような制御を適正に行うことができなくなる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、空孔付き光ファイバ用母材の中心軸と線引炉の中心軸との間にずれが生じた場合であっても、各空孔の空孔径を均一とすることが可能な空孔付き光ファイバの製造方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、コアの周囲に、該コアの中心軸に沿って複数の空孔が形成されたクラッドを有する空孔付き光ファイバ用母材を線引炉に導入し、該線引炉で前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引し、空孔付き光ファイバを製造する空孔付き光ファイバの製造方法において、前記コアの中心軸まわりに前記空孔付き光ファイバ用母材を回転させつつ、前記空孔付き光ファイバ用母材を前記線引炉で加熱、溶融して線引するようにした空孔付き光ファイバの製造方法である。
【0012】
前記線引炉は、前記空孔付き光ファイバ用母材が導入される炉心管と、該炉心管を取り囲むように設けられ、前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱するヒーターと、を備えており、前記空孔付き光ファイバ用母材を回転させる回転周期を、前記炉心管の前記ヒーターに囲まれた部分を前記空孔付き光ファイバ用母材が通過する時間以下としてもよい。
【0013】
また、本発明は、コアの周囲に、該コアの中心軸に沿って複数の空孔が形成されたクラッドを有する空孔付き光ファイバ用母材を線引炉に導入し、該線引炉で前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引し、空孔付き光ファイバを製造する空孔付き光ファイバの製造装置において、前記線引炉で前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引する際に、前記コアの中心軸まわりに前記空孔付き光ファイバ用母材を回転させるための母材回転装置を備えた空孔付き光ファイバの製造装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、空孔付き光ファイバ用母材の中心軸と炉心管の中心軸との間にずれが生じた場合であっても、各空孔の空孔径を均一とすることが可能な空孔付き光ファイバの製造方法及び装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る空孔付き光ファイバの製造方法に用いる空孔付き光ファイバの製造装置の概略構成図である。
【図2】図1の空孔付き光ファイバの製造装置において、線引炉内での空孔付き光ファイバ用母材とヒーターとの位置関係を説明する図である。
【図3】従来の空孔付き光ファイバの製造方法において、空孔付き光ファイバ用母材の中心軸と炉心管の中心軸との間にずれが生じた場合に、空孔径が不均一となってしまうことを説明する図である。
【図4】従来の空孔付き光ファイバの製造方法において、空孔付き光ファイバ用母材を大型化すると、空孔付き光ファイバ用母材とヒーターとの距離が近くなり、温度勾配の影響がより顕著となることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。また、空孔付き光ファイバとして、ホーリーファイバを用いて説明を行う。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るホーリーファイバ(空孔付き光ファイバ)の製造方法に用いるホーリーファイバの製造装置(空孔付き光ファイバの製造装置)の概略構成図であり、図2は線引炉内でのホーリーファイバ用母材(空孔付き光ファイバ用母材)とヒーターとの位置関係を説明する図である。
【0018】
図1,2に示すように、ホーリーファイバの製造装置1は、コア(図示せず)の中心軸に沿って複数の空孔2が形成されたホーリーファイバ用母材Pを用い、そのホーリーファイバ用母材Pを線引炉3に導入し、線引炉3でホーリーファイバ用母材Pを加熱、溶融して線引し、ホーリーファイバFを製造する装置である。
【0019】
ホーリーファイバ用母材Pは、図示していないが、コアの周囲にクラッドが形成され、そのクラッドに、コアの中心軸に沿って、かつコアの中心軸を中心とする同一円周上に等間隔に複数(例えば6個)の空孔2が形成されたものである。
【0020】
線引炉3には、線引炉3の炉心の内圧を一定に保つために内圧制御機4が設けられる。線引炉3は、ホーリーファイバ用母材Pが導入される円筒状の炉心管5と、炉心管5を取り囲むように設けられ、ホーリーファイバ用母材Pを加熱する円筒状のヒーター6と、を備えている。線引炉3内に設けられるヒーター6としては、円筒状のカーボンヒーターを用いる。
【0021】
線引炉3の下流側には、順次、ファイバカッター7、外径測定器8、冷却管9、第1コーティング器10,第1樹脂硬化炉11、第2コーティング器12、第2樹脂硬化炉13、空孔モニタリングシステム14、引取キャプスタン15、巻取器16が設けられる。
【0022】
空孔モニタリングシステム14は、線引中のホーリーファイバFに照明光を照射する照明装置17と、ホーリーファイバFを透過した照明光からホーリーファイバFの空孔の空孔影を検出する検出装置18と、検出装置18が検出した空孔影の幅から空孔径を求める演算手段19と、を備えている。照明装置17としては、LEDやハロゲン光源等を用い、検出装置18としては、CCDカメラ等を用いるとよい。照明装置17と検出装置18とは、線引中のホーリーファイバFを挟んで同一水平面上に配置される。また、演算手段19は、例えば、検出装置18で検出した画像を画像解析プログラムにより解析して空孔影の幅を測定し、その測定した空孔影の幅と、予め求めた空孔影の幅に対する空孔径の関係とを基に、ホーリーファイバFの空孔径を演算するよう構成される。なお、この空孔モニタリングシステム14は、特許文献3に記載されているものと同じものである。
【0023】
また、ホーリーファイバ用母材Pには空孔加圧装置20が接続される。空孔加圧装置20は、ホーリーファイバ用母材Pの空孔2内の空気をN2、Heなどの不活性ガスに置換し、ホーリーファイバ用母材Pの空孔2を加圧する。これにより、空孔2が押し潰されずにホーリーファイバ用母材Pを溶融できる。
【0024】
空孔モニタリングシステム14の演算手段19と空孔加圧装置20とは、制御信号線21により接続されており、演算手段19は、検出したホーリーファイバFの空孔径に応じて空孔加圧装置20を制御し、ホーリーファイバFの空孔径が長手方向全長にわたって均一となるように、ホーリーファイバ用母材Pの空孔2への加圧力をコントロールする(フィードバック制御する)ようになっている。
【0025】
さて、本実施の形態に係るホーリーファイバの製造装置1は、コアの中心軸まわりにホーリーファイバ用母材Pを回転させつつ、ホーリーファイバ用母材Pを線引炉3(ヒーター6)に導入する母材回転装置22を備えている。
【0026】
本実施の形態では、ホーリーファイバ用母材Pをロータリージョイント(回転継手)23を介して空孔加圧装置20に回転自在に固定するようにし、アクチュエータ24によりロータリージョイント23を回転させるように母材回転装置22を構成した。ただし、母材回転装置22の構成はこれに限定されるものではなく、コアの中心軸まわりにホーリーファイバ用母材Pを回転させつつ、ホーリーファイバ用母材Pを線引炉3に導入し線引できるものであればどのような構成であってもよい。
【0027】
母材回転装置22のアクチュエータ24は、ホーリーファイバ用母材Pを回転させる回転周期が、炉心管5のヒーター6に囲まれた部分をホーリーファイバ用母材Pが通過する時間以下となるように、ホーリーファイバ用母材Pを回転させる。すなわち、本実施の形態では、炉心管5のヒーター6に囲まれた部分を通過するときに、ホーリーファイバ用母材Pが少なくとも1回転するようにしている。ホーリーファイバ用母材Pを回転させる回転周期は、一定としてもよいし、線引速度(引取キャプスタン15の引取速度)に応じて変化させるようにしてもよい。
【0028】
なお、本実施の形態では、ホーリーファイバ用母材Pを上から見て反時計回りに回転させるようにしているが、これに限らず、ホーリーファイバ用母材Pを上から見て時計回りに回転させてもよいし、また、ホーリーファイバ用母材Pを所定の角度(例えば180°)回転させるごとに回転方向を逆転させるようにしてもよい。
【0029】
次に、本実施の形態に係るホーリーファイバの製造方法を説明する。
【0030】
本実施の形態に係る光ファイバの製造方法では、まず、線引炉3に、ホーリーファイバ用母材Pを導入し、ホーリーファイバ用母材Pを加熱、溶融し、線引する。このとき、母材回転装置22によりホーリーファイバ用母材Pをコアの中心軸まわりに回転させつつ、ホーリーファイバ用母材Pを線引炉3に導入し線引する。ホーリーファイバ用母材Pを回転させる回転周期は、炉心管5のヒーター6に囲まれた部分をホーリーファイバ用母材Pが通過する時間以下となるように調整される。また、ホーリーファイバ用母材Pの空孔2を空孔加圧装置20により加圧する。
【0031】
ホーリーファイバ用母材Pから線引したファイバ裸線25は、外径測定器8により外径が測定され、冷却管9により冷却される。さらに、第1コーティング器10によりファイバ裸線25の表面にUV硬化樹脂を塗布し、第1樹脂硬化炉11にて紫外線照射し、UV硬化樹脂を硬化する。その後、再び第2コーティング器12によりUV硬化樹脂を塗布し、第2樹脂硬化炉13にて紫外線照射し、UV硬化樹脂を硬化する。これにより、ファイバ裸線25の外周にUV硬化樹脂からなる被覆層を形成したホーリーファイバFが得られる。なお、ホーリーファイバFの分類等のため、樹脂(UV硬化性樹脂)に着色する場合がある。
【0032】
その後、照明装置17からホーリーファイバFに照明光を照射して透過させ、その透過した照明光から検出装置18でホーリーファイバFの空孔の空孔影を検出する。ファイバ裸線25は石英ガラスより形成されており、被覆層(UV硬化樹脂)は透明であるため、照明光はホーリーファイバFを透過する。このとき、ホーリーファイバFの空孔の部分では、照明光が散乱されて暗い影になる。この影が空孔影である。演算手段19は、検出装置18が検出した空孔影の幅から空孔径を求めると共に、求めた空孔径に応じて空孔加圧装置20を制御し、ホーリーファイバFの空孔径が長手方向全長にわたって均一となるように、ホーリーファイバ用母材Pの空孔2への加圧力をフィードバック制御する。
【0033】
最後に、ホーリーファイバFを、引取キャプスタン15を介して、巻取器16に巻き取る。このとき、外径測定器8で測定したファイバ裸線25の外径が一定となるように、引取キャプスタン15の引取速度を調整する。線引終了時に、ファイバカッター7でファイバ裸線25を断線すると、製品が得られる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態に係るホーリーファイバの製造方法では、コアの中心軸まわりにホーリーファイバ用母材Pを回転させつつ、ホーリーファイバ用母材Pを線引炉3に導入し線引するようにしている。
【0035】
ホーリーファイバ用母材Pを回転させることにより、ホーリーファイバ用母材Pの中心軸と炉心管5の中心軸との間にずれが生じた場合であっても、ヒーター6による加熱を均一とし、ホーリーファイバ用母材Pの同一面内の温度を均一にすることが可能となる。その結果、ホーリーファイバ用母材Pの粘性も均一となり、ホーリーファイバFの各空孔の空孔径を均一とすることが可能となる。
【0036】
したがって、本発明によれば、ホーリーファイバ用母材Pを大型化し、ホーリーファイバ用母材Pとヒーター6(炉心管5の内壁)との距離が近くなる場合であっても、空孔径が均一なホーリーファイバFを製造することが可能である。つまり、本発明によれば、ホーリーファイバ用母材Pを大型化しても、既存の線引炉3を利用して、空孔径が均一なホーリーファイバFを歩留まりよく製造することができ、線引長を長く、線引速度を速くしてコストの低下を図ることが可能である。
【0037】
また、本発明によれば、空孔径が均一なホーリーファイバFを製造できるため、空孔モニタリングシステム14にて正確な空孔径を得ることができる。よって、空孔モニタリングシステム14で検出した空孔径に応じて、ホーリーファイバ用母材Pの空孔2への加圧力を制御することで、長手方向全長にわたって均一な空孔径を有するホーリーファイバFを製造することが可能である。
【0038】
なお、ホーリーファイバ用母材Pの中心軸と炉心管5の中心軸とを一致させるように、ホーリーファイバ用母材Pを移動させる方法も考えられるが、特に大型のホーリーファイバ用母材Pでは中心軸や外径が一定となっていないものも多く、このようなホーリーファイバ用母材Pにおいて、刻々と変化する中心軸(コアの中心軸)を常に検知することは技術的に非常に困難である。本発明では、ホーリーファイバ用母材Pを回転させるという簡単な構成で、空孔径が均一なホーリーファイバFを製造可能となる。
【0039】
さらに、本実施の形態に係るホーリーファイバの製造方法では、ホーリーファイバ用母材Pを回転させる回転周期を、炉心管5のヒーター6に囲まれた部分をホーリーファイバ用母材Pが通過する時間以下としているため、炉心管5のヒーター6に囲まれた部分を通過するときに、ホーリーファイバ用母材Pが少なくとも1回転することとなり、ヒーター6による加熱をより均一とし、ホーリーファイバFの各空孔の空孔径を均一とすることができる。
【0040】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
例えば、上記実施の形態では、空孔付き光ファイバとしてホーリーファイバを用いて説明を行ったが、フォトニック結晶ファイバ(PCF)でも良い。フォトニック結晶ファイバ用母材の中心軸と線引炉の中心軸との間にずれが生じた場合であっても、母材を回転させることにより、母材の同一面内の温度を均一にできるので、フォトニック結晶ファイバの各空孔の空孔径を均一とすることが可能となる。また、フォトニック結晶ファイバ用母材を回転させる回転周期を、炉心管のヒーターに囲まれた部分をフォトニック結晶ファイバ用母材が通過する時間以下とすることにより、ホーリーファイバ用母材を用いたときと同様に、ヒーターによる加熱をより均一とし、フォトニック結晶ファイバの各空孔の空孔径を均一とすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ホーリーファイバの製造装置(空孔付き光ファイバの製造装置)
2 空孔
3 線引炉
5 炉心管
6 ヒーター
22 母材回転装置
P ホーリーファイバ用母材(空孔付き光ファイバ用母材)
F ホーリーファイバ(空孔付き光ファイバ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアの周囲に、該コアの中心軸に沿って複数の空孔が形成されたクラッドを有する空孔付き光ファイバ用母材を線引炉に導入し、該線引炉で前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引し、空孔付き光ファイバを製造する空孔付き光ファイバの製造方法において、
前記コアの中心軸まわりに前記空孔付き光ファイバ用母材を回転させつつ、前記空孔付き光ファイバ用母材を前記線引炉で加熱、溶融して線引するようにしたことを特徴とする空孔付き光ファイバの製造方法。
【請求項2】
前記線引炉は、前記空孔付き光ファイバ用母材が導入される炉心管と、該炉心管を取り囲むように設けられ、前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱するヒーターと、を備えており、
前記空孔付き光ファイバ用母材を回転させる回転周期を、前記炉心管の前記ヒーターに囲まれた部分を前記空孔付き光ファイバ用母材が通過する時間以下とした
請求項1記載の空孔付き光ファイバの製造方法。
【請求項3】
コアの周囲に、該コアの中心軸に沿って複数の空孔が形成されたクラッドを有する空孔付き光ファイバ用母材を線引炉に導入し、該線引炉で前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引し、空孔付き光ファイバを製造する空孔付き光ファイバの製造装置において、
前記線引炉で前記空孔付き光ファイバ用母材を加熱、溶融して線引する際に、前記コアの中心軸まわりに前記空孔付き光ファイバ用母材を回転させるための母材回転装置を備えたことを特徴とする空孔付き光ファイバの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−184142(P2012−184142A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49045(P2011−49045)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】