説明

空気フィルターの製造方法

【課題】
空気フィルターの製造に関し、インサート射出成形によって枠と金網とを一体化して一工程で製造することにより、安価に空気フィルターを製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
定尺の金網21を凹型Cの空間部に挿入、定置させる工程と、凸型Dを前記凹型Cの方向へ可動して閉型作動した後、前記凹型Cと前記凸型Dとで形成されるキャビティに樹脂を射出する工程とを含むことにより、前記金網21の縁部を樹脂体で包囲した空気フィルター2を成形することを特徴とする空気フィルターの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油又はガスストーブ、石油又はガスファンヒータ等の燃焼機器に使用される空気フィルターに関するものである。詳しくは、石油又はガスストーブ、石油又はガスファンヒータ等の燃焼用あるいは温風用の空気フィルターをインサート射出成形によって樹脂製枠体と金網とを一体化製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油又はガスファンヒータ本体外装の裏面に設けた空気フィルターの例を図1に示す。この空気フィルターは、燃焼あるいは温風用の空気の取入口に設けたもので、取り入れられた空気は送風機の空気吸い込み部を通ってバーナに入り、排気吹き出し口を通って外気へ放出される。
【0003】
空気中に含まれた埃は石油又はガスファンヒータ本体外装の中に溜まりあるいは電装部に溜まったり、これ等が湿気を伴った時には電装部の誤動作の原因になる。又排気マフラー等の高温部にたまると埃が加熱して発火する恐れがある。これ等を防止するために空気フィルターが使用される。一方、先に、燃焼機器装置の外装内に埃が溜まらず、又短期間で埃が閉塞することのない空気フィルターの発明が提案されている(特許文献1)。
【0004】
ところで、従来の空気フィルターは、金属製の薄板をプレス成形して枠を作り、この枠により金網を表裏から挟んでプレスにより曲げ、次いでかしめて金網と一体化する。図2に空気フィルターを裏側から見た斜視図として示す。全体は矩形状を示し、枠22が金網21を囲むように一周し、外周縁を形成している。枠22には、プレス曲げ時に金網21を枠22に固着するためカシメ孔23を複数箇所備える。次いで、これを電着塗装して空気フィルターが完成する。
【0005】
【特許文献1】特開平5−332527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の空気フィルターには、次のような問題点があった。
【0007】
即ち、従来の空気フィルターの問題点の第一は、空気フィルターは、金属製の薄板をプレス成形して枠を作り、次に、この枠により金網を挟み込みプレスにて曲げて金網と一体化される。このようにして、空気フィルターは、枠を製造する工程、そして、枠と金網とを一体化する工程、最後にこれを電着塗装するという工程により製造される。従って、製造工程が多工程に亘るので空気フィルターのコストが高くなる。
【0008】
そこで、本発明の空気フィルターの製造方法は、このような従来の持つ問題点を解決するためになされたもので、インサート射出成形によって枠と金網とを一体化して一工程で製造することにより、安価に空気フィルターを製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、定尺の金網21を凹型Cの空間部に挿入、定置させる工程と、凸型Dを前記凹型Cの方向へ可動して閉型作動した後、前記凹型Cと前記凸型Dとで形成されるキャビティに樹脂を射出する工程とを含むことにより、前記金網21の縁部を樹脂体で包囲した空気フィルター2を成形することを特徴とする空気フィルターの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、インサート射出成形により枠と金網とからなる空気フィルターを一工程で製造するものので、従来のように枠のプレス曲げ工程、塗装工程を必要としないために製造工程を簡略化可能であり、製造コストの増大を抑制することができる。また、空気フィルターの仕様に合わせて燃焼用の窓枠あるいは温風用の窓枠を別個に、それぞれ複数箇所成形することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例】
【0012】
先ず、本発明の実施例について、図3〜図6を参照しながら説明する。図3は、本実施例に係る成形前の状態の金網の斜視図である。図4は、同上、インサート射出成形の説明図である。図5は、同上、製造方法による空気フィルターを表側から見た斜視図である。図6は、同上、空気フィルターを裏側から見た斜視図である。
【0013】
以下に、インサート射出成形による、空気フィルターの製造方法について説明する。
【0014】
図4を参照しながらインサート射出成形による、空気フィルターの製造方法について説明する。図示の左側を射出成形機の固定型、右側を可動型とし、固定側に組み込んだ凹型Cと可動側に組み込んだ凸型Dとこれらの間に金網21を示す。ここで、凹型Cは、空気フィルターの外郭形状に相当し、凸型Dは、空気フィルターの内郭形状に相当し、凹型Cへ凸型Dが合体したその閉型状態を凹型Cの内側の二点鎖線Lで示す。大矢印の如くに凸型Dを凹型Cの方向へ可動し、型締めすると、凹型Cと凸型Dが合体し、両型の隙間に成形キャビティが形成される関係にある。即ち、外周縁部キャビティE、底部キャビティF、側部キャビティG等のキャビティが両型によって形成される。先ず、成形工程の第一として、両型の開型状態において、凹型Cの空洞へ予め定尺に切断された金網21を、位置を決めて小矢印の方向へ挿入、定置する。次いで、大矢印の如く、凸型Dを凹型Cの方向へ可動し、閉型状態に作動して型締めする。この時、金網21は凸型Dにより押し込まれながらFの位置に定まる。型締め圧が所定圧力に達したら各所のキャビティの中へ、合成樹脂が射出される。射出成形が完了したら、凸型Dが大矢印の反対方向へ戻り、開型状態になる。次いで、金網21を合成樹脂により包囲した空気フィルター2が凹型Cから離型する。なお、本実施例で使用した合成樹脂は耐熱性を考慮したものである。また、金網は予め電着塗装したものを使用する。
【0015】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0016】
凹型Cと凸型Dが合体し、両型の隙間に成形キャビティが形成される関係にある。即ち、外周縁部キャビティE、底部キャビティF、側部キャビティG等のキャビティが両型によって形成される。外周縁部キャビティEに樹脂が射出されることにより、図5、図6に示す外縁枠22が形成される。同様に、底部キャビティFに樹脂が射出されて表枠24が、側部キャビティGに樹脂が射出されて側枠25が形成される。凹型Cと凸型Dとも必要に応じて設計し、如何様にも枠の形状を変えることができ、また、金網に膨らみ、段差を設けることも可能である。凹型Cの空洞へ金網21を定置することにより、金網の周端部が樹脂により包囲されるので、金網を挟み、包んだ樹脂製の枠が形成される。なお、金網は予め電着塗装したものを使用するので、一体射出成形後に塗装する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
なお、本発明の使途は、石油又はガスストーブ、石油又はガスファンヒータ等の燃焼機器用のフィルターに限るものではなく、給湯機や暖房器等に使用されるフィルターの用途に使ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】石油又はガスファンヒータを裏側から見た斜視図である。
【図2】従来の空気フィルターに係わる斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係わる成形前の状態の金網の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係わるインサート射出成形の説明図である。
【図5】同上、空気フィルターを表側から見た斜視図である。
【図6】同上、空気フィルターを裏側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 石油又はガスファンヒータ
2 空気フィルター
21 金網
22 外縁枠
23 カシメ孔
24 表枠
25 側枠
C 凹型
D 凸型
E 外周縁部キャビティ
F 底部キャビティ
G 側部キャビティ
L 二点鎖線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定尺の金網21を凹型Cの空間部に挿入、定置させる工程と、
凸型Dを前記凹型Cの方向へ可動して閉型作動した後、前記凹型Cと前記凸型Dとで形成されるキャビティに樹脂を射出する工程とを含むことにより、
前記金網21の縁部を樹脂体で包囲した空気フィルター2を成形することを特徴とする空気フィルターの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−62120(P2006−62120A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244852(P2004−244852)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(593212426)株式会社日豊製作所 (6)
【Fターム(参考)】