説明

空気入りタイヤの製造方法

【課題】タイヤの外観低下を抑制しうる。
【解決手段】空気入りタイヤ1を製造するための方法である。成形フォーマFに補強ゴムシート16を貼り付ける工程と、カーカスプライ6Aを巻き付けるとともに、補強ゴムシート16の半径方向外側にジョイント部17Aを配置した円筒状カーカスプライ17を含む第1成形体10Aを形成する第1成形工程と、第1成形体10Aをトロイド状に膨張させて第2成形体10Bを形成する第2成形工程と、第2成形体10Bから補強ゴムシート16を取り外して生カバー1Lを成形する第3成形工程と、生カバー1Lを加硫成形する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの外観低下を抑制しうる空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造方法では、図3、及び図7(a)に示されるように、先ず、円筒状の成形フォーマfに、シート状のインナーライナーiや、カーカスプライbを巻き付けて、該カーカスプライbの周方向の両端部bt、btを重ねあわせたジョイント部c1を具える円筒状カーカスプライb1を含む成形体aが形成される。
【0003】
次に、前記成形体aは、慣例に従い、トロイド状にシェーピングされるとともに、カーカスプライbの外側に予め待機させたベルトプライやトレッドゴム等のゴム部材が貼り付けられて生カバーが形成され、加硫金型(図示省略)内で加硫することにより、空気入りタイヤが製造される。なお、関連する文献としては次のものがある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−302860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような円筒状カーカスプライb1は、ジョイント部c1と非ジョイント部c2との境界dで大きな剛性段差が形成される。この剛性段差は、図7(b)に示されるように、成形体aがシェーピングされる際に、前記境界d近傍の非ジョイント部c2におけるカーカスコードeの間隔を過度に大きくさせるなど、カーカスコードeのエンズをバラつかせやすい。
【0006】
このようなカーカスコードeのエンズのバラツキは、ジョイント部c1に凹み(デント)を生じさせ、タイヤの外観が低下しやすいという問題があった。
【0007】
また、風船状の弾性体からなるブラダーを用いて、タイヤ内腔面を略均一に押圧しながらシェーピングすることにより、カーカスコードのエンズのバラツキを小さくすることも考えられるが、ブラダーの外形が不均一になりやすく、十分な効果を得るには至っていない。
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、成形フォーマに貼り付けられた補強ゴムシートの半径方向外側に、カーカスプライのジョイント部を配置することにより、ジョイント部と非ジョイント部との間の剛性段差を緩和した後、トロイド状に膨張させるとともに、膨張後に補強ゴムシートを取り外すことを基本として、タイヤの外観低下を抑制しうる空気入りタイヤの製造方法をを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアで折り返されたカーカスプライを含むカーカスを具えた空気入りタイヤを製造するための方法であって、円筒状の成形フォーマに、シート状の補強ゴムシートを貼り付ける工程と、シート状のカーカスプライを巻き付けるとともに、前記補強ゴムシートの半径方向外側に、前記カーカスプライの周方向の両端部を重ね合わせたジョイント部を配置した円筒状カーカスプライを含む第1成形体を形成する第1成形工程と、前記第1成形体をトロイド状に膨張させて第2成形体を形成する第2成形工程と、前記第2成形体から前記補強ゴムシートを取り外すとともに、他のタイヤ部材を貼り合わせて生カバーを成形する第3成形工程と、前記生カバーを加硫成形する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記補強ゴムシートは、周方向の端部に向かって厚さが漸減する漸減部を有する請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、前記第1成形体は、ビードエーペックスを含み、前記補強ゴムシートは前記ビードエーペックスゴムと5mm以上のオーバラップさせて貼り付けられる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記第1成形体は、ビードコアをさらに含み、
前記補強ゴムシートは、このビードコア間に貼り付けられる請求項3に記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記補強ゴムシートの周方向の端部と、該端部に周方向で隣接する前記ジョイント部の端部との最短長さが20〜60mm、該補強ゴムシートの最大厚さが2.0〜4.0mmである請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、前記補強ゴムシートのゴム硬度が30〜60度である請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、補強ゴムシートは、シリコン系ゴムである請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、円筒状の成形フォーマに、シート状の補強ゴムシートを貼り付ける工程と、シート状のカーカスプライを巻き付けるとともに、補強ゴムシートの半径方向外側に、該カーカスプライの周方向の両端部を重ね合わせたジョイント部を配置した円筒状カーカスプライを含む第1成形体を形成する第1成形工程と、第1成形体をトロイド状に膨張させて第2成形体を形成する第2成形工程と、第2成形体から補強ゴムシートを取り外すとともに、他のタイヤ部材を貼り合わせて生カバーを成形する第3成形工程と、生カバーを加硫成形する工程とを含む。
【0017】
このような補強ゴムシートは、円筒状カーカスプライのジョイント部と非ジョイント部との境界における剛性段差を緩和でき、第2成形体を均一にトロイド状に膨張しうる。これにより、カーカスコードのエンズのバラツキを抑制しうる。従って、本発明の製造方法は、非ジョイント部の凹み(デント)を効果的に防ぎ、タイヤの外観低下を抑制しうる。
【0018】
また、補強ゴムシートは、トロイド状に膨張させたのちに取り外されるため、タイヤの性能に影響を及ぼすこともない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の製造方法で製造される空気入りタイヤの断面図である。
【図2】第1成形体を成形する工程を説明する断面図である。
【図3】(a)は補強ゴムシートが貼り付けられた成形フォーマを示す斜視図、(b)はカーカスプライが貼り付けられた成形フォーマを示す斜視図である。
【図4】図3(b)のA−A断面図である。
【図5】(a)は他の実施形態の成形フォーマを示す斜視図、(b)は(a)の成形フォーマにカーカスプライが貼り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】第2成形工程を説明する断面図である。
【図7】(a)は従来の成形体を示す断面図、(b)はシェーピングされた成形体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある。)では、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5で折り返されたカーカスプライ6Aを含むカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7と、カーカス6の内側に配されかつタイヤ内腔面9sをなすインナーライナーゴム9とを具え、例えば乗用車用タイヤの製造に好適に採用される。
【0021】
前記カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aにより構成される。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aからのびてビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含む。また、本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのび、かつ硬質ゴムからなるビードエーペックスゴム8が配され、ビード部4が適宜補強される。
【0022】
前記カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して例えば70〜90度の角度で配列されるカーカスコードの配列体と、該配列体の両面を被覆するトッピングゴとを含んで構成される。このカーカスコードとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、又はアラミドなどの有機繊維のコードが好適に採用される。
【0023】
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜40度の角度α2で傾けて配列した少なくとも2枚、本実施形態ではタイヤ半径方向に内、外2枚のベルトプライ7A、7Bを、各ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。
【0024】
また、本実施形態のベルトコードには、スチールコードが採用されるが、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維のコードも必要に応じて用いることができる。
【0025】
前記インナーライナーゴム9は、ビードコア5、5間をトロイド状に跨ってタイヤ内腔面9sのほぼ全域に配置される。また、インナーライナーゴム9は、例えば、ブチル系ゴム、又はゴム中にハロゲン化ブチルを50重量部以上含む空気非透過性のゴムからなり、タイヤ内圧を保持するのに役立つ。
【0026】
次に、本実施形態の上記タイヤ1の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、図2及び図6に示されるように、成形フォーマFに補強ゴムシート16を貼り付ける工程と、カーカスプライ6Aを含む第1成形体10Aを形成する第1成形工程と、第1成形体10Aをトロイド状に膨張させて第2成形体10Bを形成する第2成形工程と、第2成形体10Bから補強ゴムシート16を取り外して生カバー1Lを成形する第3成形工程と、生カバー1Lを加硫成形する工程とを含む。
【0027】
前記補強ゴムシートを貼り付ける工程では、図2、及び図3(a)に示されるように、円筒状の成形フォーマFに、シート状の補強ゴムシート16が貼り付けられる。本実施形態の補強ゴムシート16は、軸方向の幅L2が、周方向の長さL1よりも大きい平面視横長矩形状に形成される。
【0028】
前記第1成形工程では、図2及び図3(b)に示されるように、補強ゴムシート16が貼り付けられた成形フォーマFに、シート状のインナーライナーゴム9、シート状のカーカスプライ6A、クリンチゴム4G、及びサイドウォールゴム3Gが順次巻き付けられる。
【0029】
さらに、これらの巻回体には、ビードコア5、及びビードエーペックスゴム8が配置され、カーカスプライ6A、クリンチゴム4G、及びサイドウォールゴム3Gの両端部を軸方向外側から内側に折り返されることにより、前記第1成形体10Aが形成される。
【0030】
前記カーカスプライ6Aは、図3(b)、及び図4に示されるように、その周方向の両端部6At、6Atを半径方向に重ね合わせたジョイント部17Aと、該ジョイント部17Aの周方向両側に配される非ジョイント部17Bとを具える円筒状カーカスプライ17として形成される。
【0031】
前記ジョイント部17Aは、前記補強ゴムシート16の半径方向外側に配置される。さらに、本実施形態では、ジョイント部17Aの周方向の両端部17At、17At間が、補強ゴムシート16の周方向の両端部16t、16tよりも、周方向内側に配される。
【0032】
このような第1成形体10Aは、円筒状カーカスプライ17のジョイント部17Aと非ジョイント部17Bとの境界17cにおいて形成される剛性段差が、補強ゴムシート16によってタイヤ周方向に緩和されるため、前記第2成形工程において、第1成形体10Aを均一にトロイド状に膨張させることができる。これにより、カーカスコード11のエンズのバラツキを効果的に抑制しうる。
【0033】
従って、本実施形態の製造方法は、従来、大きな剛性段差により、カーカスコード11のエンズが疎となりがちな前記境界17c近傍の非ジョイント部17Bで生じる凹み(デント)を効果的に防ぎ、タイヤの外観低下を抑制しうる。
【0034】
なお、前記補強ゴムシート16の周方向の端部16tと、該端部16tに周方向で隣接する前記ジョイント部17Aの端部17Atとの最短長さL3が小さいと、上記のような作用を効果的に発揮できないおそれがある。逆に、前記最短長さL3が大きくても、製造コストが増大するおそれがあるとともに、非ジョイント部17Bにおいて大きな剛性段差が形成され、ユニフォミティが低下するおそれがある。このような観点より、前記最短長さL3は、好ましくは20mm以上、さらに好ましくは25mm以上が望ましく、また、好ましくは60mm以下、さらに好ましくは50mm以下が望ましい。
【0035】
また、前記補強ゴムシート16の最大厚さW1mが小さいと、上記のような作用を効果的に発揮できないおそれがある。逆に、前記最大厚さW1mが大きくても、第2成形体10Bをトロイド状に膨張させる際の障害となり、各ゴム部材間に空気が残留し、ディフェクトといった加硫不良が生じるおそれがある。このような観点より、前記補強ゴムシート16の最大厚さW1mは、好ましくは2.0mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上が望ましく、また、好ましくは4.0mm以下、さらに好ましくは3.0mm以下が望ましい。
【0036】
さらに、補強ゴムシート16のゴム硬度が小さいと、上記のような凹み(デント)を十分に抑制できないおそれがある。逆に、前記ゴム硬度が大きくても、トロイド状に膨張させる際に、カーカスコード11を半径方向にバラかせやすく、ユニフォミティが低下するおそれがある。このような観点より、前記ゴム硬度は、好ましくは30度以上、さらに好ましくは40度以上が望ましく、また、好ましくは60度以下、さらに好ましくは50度以下が望ましい。
【0037】
なお、前記ゴム硬度は、JIS−K6253に基づき、デュロメータータイプAにより測定したデュロメータA硬さである。
【0038】
また、補強ゴムシート16のゴム材料としては、上記ゴム硬度を有するものであれば適宜選択しうるが、とりわけ、離型性に優れるシリコン系ゴムが望ましい。これにより、前記第3工程において、前記第2成形体10Bから補強ゴムシート16を容易に取り外すことができ、生産性を向上しうる。
【0039】
また、前記補強ゴムシート16は、その周方向の端部16tに向かって厚さW1が漸減する漸減部16Dを有するのが望ましい。このような漸減部16Dは、補強ゴムシート16が貼り付けられる非ジョイント部17Biと、該補強ゴムシート16が貼り付けられない非ジョイント部17Boとの境界での剛性段差を緩和でき、第2成形体10Bをより均一にトロイド状に膨張させうる。
【0040】
また、前記補強ゴムシート16は、図3(b)に示されるように、第1成形体10Aのタイヤ赤道Cを軸方向に跨って配置されるのが望ましい。これにより、補強ゴムシート16は、第2成形体10Bの膨張時にカーカスコード11の間隔が最も大きくなる該タイヤ赤道C近傍において、カーカスコード11のエンズのバラツキを効果的に抑制でき、非ジョイント部17Bでの凹み(デント)を効果的に防ぎうる。
【0041】
さらに、前記補強ゴムシート16は、図2に示されるように、前記ビードエーペックスゴム8とオーバラップさせて貼り付けられるのが望ましい。これにより、補強ゴムシート16とビードエーペックスゴム8との間で、第1成形体10Aの剛性が相対的に低下するのが抑制され、第2成形工程において、カーカスコード11のエンズがバラつくのを効果的に抑制しうる。
【0042】
このような作用を効果的に発揮するために、補強ゴムシート16とビードエーペックスゴム8とのオーバラップの長さL8は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくはビードコア5、5間に亘って貼り付けられるのが最も望ましい。
【0043】
また、図5(a)に示されるように、ゴムシート16は、該補強ゴムシート16を沈下させる凹部18が設けられた成形フォーマFのセグメントSに貼り付けられるのが望ましい。これにより、図5(b)に示されるように、シート状のカーカスプライ6Aは、平坦な面に巻き付けられるため、その巻き付け精度を向上させることができ、ユニフォミティを向上しうる。なお、凹部18が設けられたセグメントSは、成形フォーマFの汎用性の観点より、凹部18の無い平滑な表面を有するセグメントに取り替え可能であるのが望ましい。
【0044】
前記第2成形工程では、図6に示されるように、第1成形体10Aをトロイド状に膨張させて第2成形体10Bが形成される。
【0045】
前記第3成形工程では、第2成形体10Bから補強ゴムシート16を取り外すとともに、ベルトプライ7A、7B、及びトレッドゴム2Gを含むタイヤ部材を貼り合わせて生カバー1Lが成形される。このように、補強ゴムシート16は、第1成形体10Aをトロイド状に膨張させたのちに取り外されるため、タイヤの性能に影響を及ぼすこともない。
【0046】
前記加硫成形する工程では、慣例に従い、生カバー1Lを加硫金型(図示省略)内で加硫成形されることにより、図1のタイヤ1が製造される。
【0047】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0048】
図1に示す基本構造を有する空気入りタイヤを、表1に示す補強ゴムシートを用いて試作するとともに、それらの性能がテストされた。また、比較として、ブラダーを用いて第1成形成形体を膨張させた製造方法(比較例2)についても同様にテストされた。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:195/65R15
リムサイズ:15×6.5JJ
ジョイント部の周方向長さL5:6mm
シリコン系ゴム:ウエーブ社製のウエーブ・シリコンゴム
テスト方法は、次の通りである。
【0049】
<タイヤの外観>
各試供タイヤが100本製造され、非ジョイント部において、凹み(デント)の発生の有無を目視により確認した。評価は次のとおりである。
◎:デントがなく、外観に優れる。
○:デントがほとんどなく、外観が良好である。
△:デントが僅かに発生し、外観をやや損ねる。
×:デントが発生し、外観を損ねる。
【0050】
<ユニフォミティ(RFV)>
各テストタイヤについて、JASO C607:2000のユニフォミティ試験条件に準拠して、ラジアルフォースバリエイション(RFV)が下記の条件で測定された。評価は、各RFVを逆数化し、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
内圧:200kPa
荷重:4.63kN
速度:120km/h
【0051】
<ディフェクトの発生率>
各試供タイヤが100本製造され、サイドウォール部、及びタイヤ内腔面等において、ディフェクトの発生の有無を目視により確認した。評価は、その発生率(%)で表示した。発生率が小さいほど良好である。
【0052】
【表1】

【0053】
テストの結果、実施例の製造方法は、タイヤの外観低下を抑制しうることが確認できた。
【符号の説明】
【0054】
1 空気入りタイヤ
16 補強ゴムシート
17 円筒状カーカスプライ
17A ジョイント部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアで折り返されたカーカスプライを含むカーカスを具えた空気入りタイヤを製造するための方法であって、
円筒状の成形フォーマに、シート状の補強ゴムシートを貼り付ける工程と、
シート状のカーカスプライを巻き付けるとともに、前記補強ゴムシートの半径方向外側に、前記カーカスプライの周方向の両端部を重ね合わせたジョイント部を配置した円筒状カーカスプライを含む第1成形体を形成する第1成形工程と、
前記第1成形体をトロイド状に膨張させて第2成形体を形成する第2成形工程と、
前記第2成形体から前記補強ゴムシートを取り外すとともに、他のタイヤ部材を貼り合わせて生カバーを成形する第3成形工程と、
前記生カバーを加硫成形する工程とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記補強ゴムシートは、周方向の端部に向かって厚さが漸減する漸減部を有する請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記第1成形体は、ビードエーペックスを含み、
前記補強ゴムシートは前記ビードエーペックスゴムと5mm以上のオーバラップさせて貼り付けられる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記第1成形体は、ビードコアをさらに含み、
前記補強ゴムシートは、このビードコア間に貼り付けられる請求項3に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記補強ゴムシートの周方向の端部と、該端部に周方向で隣接する前記ジョイント部の端部との最短長さが20〜60mm、該補強ゴムシートの最大厚さが2.0〜4.0mmである請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記補強ゴムシートのゴム硬度が30〜60度である請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
補強ゴムシートは、シリコン系ゴムである請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−245737(P2012−245737A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120744(P2011−120744)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】